(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117132
(43)【公開日】2023-08-23
(54)【発明の名称】木質系化粧材の取付構造
(51)【国際特許分類】
E04F 13/10 20060101AFI20230816BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
E04F13/10 D
E04F13/08 101E
E04F13/08 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019674
(22)【出願日】2022-02-10
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000250432
【氏名又は名称】理研軽金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157912
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 健
(74)【代理人】
【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】小池 夏樹
【テーマコード(参考)】
2E110
【Fターム(参考)】
2E110AA42
2E110AA46
2E110AB04
2E110AB23
2E110BA12
2E110BB03
2E110CA03
2E110CA04
2E110CA13
2E110CC03
2E110CC15
2E110DA09
2E110DA12
2E110DB12
2E110DC03
2E110DC06
2E110DC36
2E110GA32W
2E110GA33W
2E110GB06Z
2E110GB62W
(57)【要約】
【課題】少ない部品点数で構成でき、構造がシンプルな木質系化粧材の取付構造を提供する。
【解決手段】化粧取付材20は、化粧材10の凹溝11の内部に固定されるものであって、凹溝11の底面11bに当接して固定される底部片21と、底部片21から垂直方向に突出する係止片25と、を備える。躯体側取付材30は、躯体50に固定される固定片31と、固定片31から垂直方向に突出する突出片35と、を備える。躯体50に躯体側取付材30を固定するとともに、化粧材10の凹溝11の内部に化粧取付材20を固定した後に、凹溝11の内部に躯体側取付材30の突出片35を挿入することで、突出片35と係止片25とが係合して躯体50に化粧材10を取り付け可能である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧材と、前記化粧材に固定される化粧取付材と、建築物の躯体に固定される躯体側取付材と、を備え、
前記化粧材は、前記躯体に臨む面に凹溝が形成されており、
前記化粧取付材は、前記凹溝の内部に固定されるものであって、前記凹溝の底面に当接して固定される底部片と、前記底部片から垂直方向に突出する係止片と、を備え、
前記躯体側取付材は、前記躯体に固定される固定片と、前記固定片から垂直方向に突出する突出片と、を備え、
前記躯体に前記躯体側取付材を固定するとともに、前記化粧材の前記凹溝の内部に前記化粧取付材を固定した後に、前記凹溝の内部に前記躯体側取付材の前記突出片を挿入することで、前記突出片と前記係止片とが係合して前記躯体に前記化粧材を取り付け可能である、
木質系化粧材の取付構造。
【請求項2】
前記化粧取付材は、互いに平行な一対の前記係止片を備えるとともに、前記凹溝の側面と前記係止片との間に間隙が生じるように前記凹溝の内部に固定され、
前記躯体側取付材は、互いに平行な一対の前記突出片を備えるとともに、前記凹溝の内部に前記突出片を挿入したときに、前記突出片が前記間隙に挿入されるように構成されている、
請求項1に記載の木質系化粧材の取付構造。
【請求項3】
前記底部片は、前記係止片よりも側方に張り出した張出部を備える、
請求項2に記載の木質系化粧材の取付構造。
【請求項4】
前記突出片の先端付近には、鉤状の係止顎部が形成され、
前記係止片の基端付近には、前記係止顎部に係合する係止受部が形成され、
前記係止顎部と前記係止受部とが係合することで、前記躯体側取付材と前記化粧取付材とが固定される、
請求項1~3のいずれか1項に記載の木質系化粧材の取付構造。
【請求項5】
前記躯体側取付材は、前記係止顎部と前記係止受部とが係合したときに、前記化粧取付材の先端を受ける先端受部を備える、
請求項4に記載の木質系化粧材の取付構造。
【請求項6】
前記凹溝は、前記化粧材の全長に渡って形成されるとともに、
前記凹溝の端部には、前記化粧取付材が取り付けられていない空溝部が設けられ、
前記空溝部には、前記凹溝を埋める塞ぎ材が取り付けられている、
請求項1~5のいずれか1項に記載の木質系化粧材の取付構造。
【請求項7】
前記化粧材の端面には、ジョイントピンを挿入するための連結用穴が形成されており、
前記連結用穴に前記ジョイントピンを挿入することで、複数の前記化粧材を長手方向に連結可能である、
請求項1~6のいずれか1項に記載の木質系化粧材の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、木質系化粧材の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、屋内壁面に沿って複数の木質パネルが並べて施工される木質パネルの取付構造が開示されている。この特許文献1に開示された構成では、木質パネルの裏面には深さの異なる取付凹部が形成されており、この取付凹部に配置される取付部材を介して、木質パネルが屋内壁面から離間した状態で屋内壁面に支持されている。木質パネルを壁面に取り付けるための取付部材は、L型金具および掛金具より構成される取付金具と、キャッチャーおよび押込部材により構成される結合部材とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来の構造では、少なくとも4種類の取付部材(L型金具、掛金具、キャッチャー、押込部材)が必要であり、部品数が多くコストがかかるという問題があった。また、部品数が多いために、作業に手間がかかったり、作業ミスが起こりやすいという問題があった。
【0005】
また、木質パネルの裏面に深さの異なる取付凹部を形成しなければならないため、加工に手間がかかるという問題があった。また、木質パネルに複雑かつ大きな穴が必要であるため、木質パネルの強度が下がるという問題があった。
そこで、本発明は、少ない部品点数で構成でき、構造がシンプルな木質系化粧材の取付構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するため、本発明は、化粧材と、前記化粧材に固定される化粧取付材と、建築物の躯体に固定される躯体側取付材と、を備え、前記化粧材は、前記躯体に臨む面に凹溝が形成されており、前記化粧取付材は、前記凹溝の内部に固定されるものであって、前記凹溝の底面に当接して固定される底部片と、前記底部片から垂直方向に突出する係止片と、を備え、前記躯体側取付材は、前記躯体に固定される固定片と、前記固定片から垂直方向に突出する突出片と、を備え、前記躯体に前記躯体側取付材を固定するとともに、前記化粧材の前記凹溝の内部に前記化粧取付材を固定した後に、前記凹溝の内部に前記躯体側取付材の前記突出片を挿入することで、前記突出片と前記係止片とが係合して前記躯体に前記化粧材を取り付け可能である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は上記の通りであり、躯体に躯体側取付材を固定するとともに、化粧材の凹溝の内部に化粧取付材を固定した後に、凹溝の内部に躯体側取付材の突出片を挿入することで、突出片と係止片とが係合して躯体に化粧材を取り付け可能である。このような構成によれば、互いに係合する一対の取付部材(化粧取付材および躯体側取付材)で化粧材を取り付けることができるので、少ない部品点数で構成でき、構造がシンプルな木質系化粧材の取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】木質系化粧材を取り付けた状態を示す外観図である。
【
図2】木質系化粧材を取り付けた状態の断面図である。
【
図3】(a)化粧取付材の側面図、(b)躯体側取付材の側面図である。
【
図4】(a)化粧取付材と躯体側取付材とが係合する前の状態を示す図、(b)化粧取付材と躯体側取付材とが係合した後の状態を示す図である。
【
図5】木質系化粧材の施工手順を説明する図であって、(a)躯体側取付材の取り付けを説明する図、(b)化粧材の取り付けを説明する図、(c)取り付け後の状態を示す図である。
【
図6】塞ぎ材を使用した木質系化粧材の施工手順を説明する図であって、(a)躯体側取付材の取り付けを説明する図、(b)化粧材の取り付けを説明する図、(c)取り付け後の状態を示す図である。
【
図7】短尺の躯体側取付材を使用した木質系化粧材の取付構造を説明する図である。
【
図8】複数の化粧材を隙間を設けて連結した箇所を示す一部拡大図である。
【
図9】複数の化粧材を隙間を設けずに連結した箇所を示す一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
本実施形態に係る木質系化粧材の取付構造は、
図2に示すように、化粧材10と、化粧材10に固定される化粧取付材20と、建築物の躯体50に固定される躯体側取付材30と、を備える。本実施形態においては、
図1に示すように、複数の化粧材10が一定間隔を設けて平行に配置されている。これらの複数の化粧材10は、建築物の天井または壁躯体の表面から突出するように取り付けられており、化粧材として使用することができる。なお、この木質系化粧材は、少なくとも躯体側取付材30を取り付け可能な平坦面があれば任意の場所に取り付けることができる。例えば、躯体50の表面(天井面や壁面)に取り付けてもよいし、躯体50に固定された下地材に取り付けてもよい。
【0010】
化粧材10は、木質材料で形成されており、例えば無垢材、合板、集成材などで形成することができる。本発明に言う木質材料は、加工していない木材のみならず、木の上に木を貼った集成材や、木に塗装を施したもの、木の表面にシートを貼ったもの、木材に防腐剤を注入したもの、不燃木材を使用したもの(木材に不燃薬剤を注入したもの)など、木材を加工したものを含む概念である。化粧材10は、単純な木製であってもよいし、木を含有する複合材料で形成してもよい。本実施形態に係る化粧材10は、
図1に示すような長尺のルーバー材であり、躯体50に臨む面に凹溝11が形成されている。この凹溝11は、化粧材10の長手方向に沿って、化粧材10の全長に渡って形成されている。この凹溝11の内面は、
図4に示すように、段差のない凹形であり、互いに平行な一対の側面11aと、この側面11aに対して直角に形成された底面11bとで形成されている。なお、本実施形態においては、ルーバー形状の化粧材10を使用しているが、化粧材10の形状はこれに限らず任意の形状(例えばパネル形状、ブロック形状、パイプ形状など)とすることができる。
【0011】
化粧取付材20は、
図4に示すように、化粧材10の凹溝11の内部に固定される部材である。本実施形態に係る化粧取付材20は、アルミニウム製の押出形材である。この化粧取付材20は、凹溝11から突出しない寸法で形成されており、凹溝11の内部にすっぽりと隠れる大きさとなっている。本実施形態に係る化粧取付材20の長手方向の長さは、凹溝11の長手方向の長さよりも短い。このため、凹溝11の内部に化粧取付材20を固定すると、
図5に示すように、凹溝11の両端まで化粧取付材20が届かず、凹溝11の両端に、化粧取付材20が取り付けられていない部分(空溝部12)が設けられている。
この化粧取付材20は、
図3(a)に示すように、断面が略鳥居形であり、底部片21と、一対の係止片25と、を備えている。
【0012】
底部片21は、
図4に示すように、凹溝11の底面11bに当接して固定される板状の部位である。この底部片21の横幅は、凹溝11の底面11bの横幅とほぼ等しく形成されている。底部片21は、ルーバー用留具29(ネジなど)によって、凹溝11の底面11bを覆うように取り付けられる。ルーバー用留具29は、底部片21を貫通して、凹溝11の底面11bに螺着される。この底部片21は、後述する一対の係止片25よりも側方に張り出した張出部22を備えている。張出部22を備えることで、凹溝11の底面11bに当接する面積が大きくなるため、安定した取り付けが可能となる。この底部片21の外表面23(凹溝11に当接する面)は、張出部22を含めて、凹凸のないフラットな面となっている。
【0013】
係止片25は、
図3(a)に示すように、底部片21から垂直方向に突出して形成されている。係止片25は左右一対で形成されており、一対の係止片25は互いに平行に形成されている。以下の説明においては、一対の係止片25が互いに対向する面を内側面25a、その反対側の面を外側面25bとする。また、係止片25の突出方向に見て、底部片21側の端部を基端、基端の反対側の端部(突出した端部)を先端と呼ぶ。
【0014】
係止片25の外側面25bには、係止受部26が形成されている。この係止受部26は、後述する係止顎部37に係合する部位であり、係止片25の基端付近(係止片25の突出方向に見て、少なくとも中間よりも底部片21寄り)に形成されている。この係止受部26は、係止片25の外側面25bから突出するように形成されている。この係止受部26は、ラチェット状に形成されており、一度係合した係止顎部37が容易に外れないように形成されている。
【0015】
具体的には、この係止受部26は、引掛部26aと、傾斜部26bと、平行部26cと、を備える。引掛部26aは、底部片21に臨むように、係止片25の外側面25bに対して垂直な面を形成している。この引掛部26aと底部片21との間は、引掛部26aおよび底部片21よりも相対的に凹んでおり、側方に向けて開口する係止溝26dを形成している。また、傾斜部26bは、基端側に行くにしたがって張り出すように傾斜している。平行部26cは、引掛部26aの頂部と傾斜部26bの頂部とを接続しており、係止片25の外側面25bと平行な面を形成している。
【0016】
上記した化粧取付材20は、
図4(a)に示すように、底部片21の外表面23が凹溝11の底面11bにぴったりと当接した状態で固定される。凹溝11の幅は、底部片21をほぼ隙間なく取り付けられる幅で形成されており、化粧取付材20を取り付けるときの位置決めが容易となっている。化粧取付材20を凹溝11の内部に取り付けると、張出部22が突出している分だけ、凹溝11の側面11aと係止片25との間に間隙Gが生じるようになっている。この間隙Gは、後述する突出片35を挿入するためのスペースとして使用される。
【0017】
躯体側取付材30は、
図5(a)に示すように、建築物の躯体50に直接固定される。躯体側取付材30は任意の平坦面に固定することが可能であり、例えば、壁面、天井面、下地材などの表面に当接した状態で固定される。本実施形態に係る躯体側取付材30は、アルミニウム製の押出形材である。この躯体側取付材30の長手方向の長さは、凹溝11の長手方向の長さと同じか、凹溝11の長手方向の長さよりも短く形成されている。例えば、躯体側取付材30の長手方向の長さは、化粧取付材20の長手方向の長さと同じであってもよい。または、
図7に示すように、1本の化粧取付材20を固定するために、複数の短尺の躯体側取付材30を使用してもよい。
この躯体側取付材30は、
図3(b)に示すように、断面が略鳥居形であり、固定片31と、一対の突出片35と、を備えている。
【0018】
固定片31は、躯体50に当接して固定される板状の部位である。この固定片31は、躯体用留具39(ネジなど)によって、躯体50に取り付けられる。躯体用留具39は、固定片31を貫通して、躯体50に螺着される。
【0019】
この固定片31は、後述する一対の突出片35よりも側方に張り出した延長部32を備えている。延長部32を備えることで、躯体50に当接する面積が大きくなるため、安定した取り付けが可能となる。固定片31の外表面33(躯体50に当接する面)は、延長部32を含めて、凹凸のないフラットな面となっている。
【0020】
突出片35は、
図3(b)に示すように、固定片31から垂直方向に突出して形成されている。突出片35は左右一対で形成されており、一対の突出片35は互いに平行に形成されている。以下の説明においては、一対の突出片35が互いに対向する面を内側面35a、その反対側の面を外側面35bとする。また、突出片35の突出方向に見て、固定片31側の端部を基端、基端の反対側の端部(突出した端部)を先端と呼ぶ。
【0021】
一対の突出片35は、その間に、化粧取付材20の一対の係止片25を挿入できるようになっている。具体的には、一対の突出片35の間隔(内側面35aの突起を除く)は、一対の係止片25の幅(外側面25bの突起を除く)よりも大きく形成されており、一対の突出片35の間に一対の係止片25を挿入できるようになっている。このように一対の突出片35の間に一対の係止片25を挿入すると、後述するように、突出片35の内側面35aに設けられた突起と、係止片25の外側面25bに設けられた突起とが係合し、容易に脱落しないように嵌め込まれるようになっている。
【0022】
突出片35の内側面35aには、係止顎部37が形成されている。係止顎部37は、係止片25の係止受部26と係合する鉤状の部位であり、突出片35の先端付近に形成されている。本実施形態に係る係止顎部37は、突出片35の先端を内側に屈折させた形状である。左右一対の係止顎部37が、それぞれ係止受部26を抱え込むように係合することで、躯体側取付材30と化粧取付材20とを互いに脱落しないように固定することができる。係止顎部37と係止受部26とが係合すると、
図4(b)に示すように、係止顎部37の先端が、引掛部26aと底部片21との間の係止溝26dに入り込むため、両者を引き離そうとする力が働いたとしても、係止顎部37が引掛部26aに引っ掛かり、一度係合した係止顎部37が容易に外れないようになっている。
【0023】
なお、突出片35は、係止顎部37の基端側に、係止顎部37と連続するように肉厚部36を備える。肉厚部36は、突出片35をやや肉厚に形成した部分であり、突出片35のほとんどの部分(例えば肉厚部36よりも基端側で、肉厚部36に連続する部分)よりも肉厚に形成されている。係止顎部37と係止受部26とが係合すると、
図4(b)に示すように、肉厚部36が係止受部26の平行部26cに当接し、両側から保持するようになっている。
【0024】
また、突出片35の内側面35aには、先端受部38が設けられている。先端受部38は、係止顎部37と係止受部26とが係合したときに、係止片25の先端を受けるための部位である。この先端受部38は、突出片35の内側面35aから膨出形成された膨出部38aと、膨出部38aよりも大きく内側に突出形成された突起部38bと、を備える。係止顎部37と係止受部26とが係合すると、
図4(b)に示すように、突起部38bが係止片25の先端を支持し、膨出部38aが係止片25の外側面25bを支持するようになっている。
上記した化粧材10は、下記のように取り付けることができる。
【0025】
まず、
図5(a)に示すように、躯体50に躯体側取付材30を固定する。躯体側取付材30は、躯体用留具39によって固定することができる。また、化粧材10の凹溝11の内部に化粧取付材20を固定する。化粧取付材20は、ルーバー用留具29によって固定することができる。
【0026】
その後、
図5(b)に示すように、凹溝11の内部に躯体側取付材30の突出片35を挿入する。このとき、
図4(a)および(b)に示すように、突出片35が、凹溝11の側面11aと係止片25との間の間隙Gに挿入される。挿入していくと、係止顎部37が係止受部26に当たるが、そのまま圧入することで、係止顎部37は傾斜部26bに沿って奥へ進むことができる(突出片35および係止片25が弾性変形する)。係止顎部37が係止受部26を乗り越えるまで挿入すると、係止顎部37の先端が係止溝26dに入り込む。これにより、係止片25の先端位置において、係止片25と突出片35とが係合する。このとき、先端受部38が係止片25の先端を受けるので、躯体側取付材30の突出片35が必要以上に押し込まれることがない。
【0027】
以上により、
図5(c)に示すように、躯体50に化粧材10を取り付けることができる。このように取り付けることで、
図4(b)に示すように、逆止爪を備えた突出片35と係止片25とが係合するため、化粧材10が躯体50から容易に脱落しないように固定される。また、突出片35(肉厚部36および膨出部38a)が係止受部26を両側から挟み込むように保持しているため、化粧材10をがたつきなく固定することができる。
【0028】
なお、
図6に示すように、凹溝11の両端の空溝部12に塞ぎ材13を取り付けてもよい。塞ぎ材13は、凹溝11を埋めるための部材であり、凹溝11の内部空間と同一形状に形成することが望ましい。塞ぎ材13は、木質材料を使用することが望ましく、化粧材10と同一の材料を使用することが特に望ましい。塞ぎ材13を使用する場合には、
図6に示すように、躯体側取付材30に取り付ける前に、化粧材10の空溝部12に塞ぎ材13を固定する。または、化粧材10を躯体50に取り付けてから塞ぎ材13を固定してもよい。塞ぎ材13は、ネジ、釘、接着剤などで空溝部12に固定することができる。このように塞ぎ材13で空溝部12を埋めることで、凹溝11を目立たなくすることができる。
【0029】
また、化粧材10は、長手方向に連結して使用することも可能である。このとき、例えば
図8および
図9に示すように、ジョイントピン45を使用して化粧材10を連結してもよい。具体的には、化粧材10の端面に、ジョイントピン45を挿入するための連結用穴15を形成する。連結用穴15は、連結する2本の化粧材10において、互いに向かい合う端面の重なり合う位置にそれぞれ形成する。この向かい合う連結用穴15にジョイントピン45の両端を挿入することで、化粧材10を長手方向に連結することができる。
【0030】
このとき、
図8に示すように、ジョイントピン45を完全に連結用穴15に埋没させないようにすれば、連結箇所に隙間を設けて化粧材10を連結することができる。また、
図9に示すように、ジョイントピン45を完全に連結用穴15に埋没させるようにすれば、連結箇所に隙間を設けずに化粧材10を突き合わせて連結することができる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態によれば、躯体50に躯体側取付材30を固定するとともに、化粧材10の凹溝11の内部に化粧取付材20を固定した後に、凹溝11の内部に躯体側取付材30の突出片35を挿入することで、突出片35と係止片25とが係合して躯体50に化粧材10を取り付け可能である。このような構成によれば、互いに係合する一対の取付部材(化粧取付材20および躯体側取付材30)で化粧材10を取り付けることができるので、少ない部品点数で構成でき、構造がシンプルな木質系化粧材の取付構造を提供することができる。部品点数が少ないので、製造コストを下げることができる。また、作業性が良く、短時間で施工することができ、作業ミスも発生しにくい。
【0032】
また、化粧取付材20は、互いに平行な一対の係止片25を備えるとともに、凹溝11の側面11aと係止片25との間に間隙Gが生じるように凹溝11の内部に固定され、躯体側取付材30は、互いに平行な一対の突出片35を備えるとともに、凹溝11の内部に突出片35を挿入したときに、突出片35が間隙Gに挿入されるように構成されている。このような構成によれば、施工時に突出片35を間隙Gに挿入すればよいので、嵌め合わせの際に作業ミスが生じにくい。
【0033】
また、底部片21は、係止片25よりも側方に張り出した張出部22を備える。このような構成によれば、底部片21を凹溝11に配置するだけで、自動的に張出部22によって平行な間隙Gが形成されるため、化粧取付材20を凹溝11に取り付ける際の位置決めが容易である。
【0034】
また、突出片35の先端付近には、鉤状の係止顎部37が形成され、係止片25の基端付近には、係止顎部37に係合する係止受部26が形成され、係止顎部37と係止受部26とが係合することで、躯体側取付材30と化粧取付材20とが固定される。このような構成によれば、凹溝11の奥の方で躯体側取付材30(係止顎部37)と化粧取付材20(係止受部26)とが係合するため、両者の係合が外れにくく、すなわち、化粧材10が脱落しにくい。
【0035】
また、躯体側取付材30は、係止顎部37と係止受部26とが係合したときに、化粧取付材20の先端を受ける先端受部38を備える。このような構成によれば、嵌合時に化粧取付材20が必要以上に押し込まれることがなく、部材の破損等を防止することができる。
【0036】
また、凹溝11は、化粧材10の全長に渡って形成されるとともに、凹溝11の端部には、化粧取付材20が取り付けられていない空溝部12が設けられ、空溝部12には、凹溝11を埋める塞ぎ材13が取り付けられていてもよい。このように構成すれば、凹溝11を埋めて意匠性を高めることができる。また、木製の塞ぎ材13を使用すれば、化粧材10と統一感があるので、意匠性を高めることができる。この塞ぎ材13は、凹溝11に挿入するだけで取り付けられるので、施工作業も容易である。
【0037】
なお、上記した実施形態においては、化粧取付材20の長手方向の長さは、凹溝11の長手方向の長さよりも短く形成されており、凹溝11の端部に空溝部12が設けられるようにしたが、これに限らない。すなわち、化粧取付材20の長手方向の長さを、凹溝11の長手方向の長さと同じにしてもよい。この場合、凹溝11の端部に空溝部12が存在しないので、塞ぎ材13は使用されない。
【0038】
また、化粧材10の端面には、ジョイントピン45を挿入するための連結用穴15が形成されており、連結用穴15にジョイントピン45を挿入することで、複数の化粧材10を長手方向に連結可能としてもよい。このように構成すれば、容易に化粧材10を連結することができる。また、木製の化粧材10は反りが起きやすいが、ジョイントピン45によって連結することで目違いが生じにくい。また、施工場所に合わせて目地間の隙間を変更できるので、見た目良く施工することができる。
【符号の説明】
【0039】
10 化粧材
11 凹溝
11a 側面
11b 底面
12 空溝部
13 塞ぎ材
15 連結用穴
20 化粧取付材
21 底部片
22 張出部
23 外表面
25 係止片
25a 内側面
25b 外側面
26 係止受部
26a 引掛部
26b 傾斜部
26c 平行部
26d 係止溝
29 ルーバー用留具
30 躯体側取付材
31 固定片
32 延長部
33 外表面
35 突出片
35a 内側面
35b 外側面
36 肉厚部
37 係止顎部
38 先端受部
38a 膨出部
38b 突起部
39 躯体用留具
45 ジョイントピン
50 躯体
G 間隙