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特開2023-11716キャリブレーション懸濁液ユニット、キャリブレーション懸濁液ユニットの製造方法およびキャリブレーション懸濁液ユニットの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011716
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】キャリブレーション懸濁液ユニット、キャリブレーション懸濁液ユニットの製造方法およびキャリブレーション懸濁液ユニットの使用
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/59 20060101AFI20230117BHJP
   G01N 21/01 20060101ALI20230117BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20230117BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
G01N21/59 Z
G01N21/01 A
G01N1/00 102C
G01N1/10 N
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022170546
(22)【出願日】2022-10-25
(62)【分割の表示】P 2017051445の分割
【原出願日】2017-03-16
(31)【優先権主張番号】16161317.9
(32)【優先日】2016-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】517094345
【氏名又は名称】ティントメーター・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Tintometer GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156122
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】エルマー・グラベルト
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッヒ・ルントグレーエン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】濁度測定の扱いを容易にし、測定値の質を向上するキャリブレーション懸濁液ユニットおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】キャリブレーション懸濁液ユニット10は、濁度測定器14のキャリブレーションのためのキャリブレーション懸濁液18で充填されたフレキシブル素材製の容器16を有する。この容器中のキャリブレーション懸濁液の上方には空気の表層が存在しない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
濁度測定器のキャリブレーションのためのキャリブレーション懸濁液で充填された容器を含むキャリブレーション懸濁液ユニットであって、
前記容器は、フレキシブル素材で作製され、前記容器内のキャリブレーション懸濁液の上方には空気の表層が存在しない、キャリブレーション懸濁液ユニット。
【請求項2】
前記容器がホイルバッグとして設計されている、請求項1に記載のキャリブレーション懸濁液ユニット。
【請求項3】
前記容器が1 mm未満の厚さの壁を有する、請求項1に記載のキャリブレーション懸濁液ユニット。
【請求項4】
前記容器が気密かつ液体不透過性である、請求項1に記載のキャリブレーション懸濁液ユニット。
【請求項5】
前記容器が光不透過性である、請求項1に記載のキャリブレーション懸濁液ユニット。
【請求項6】
前記容器がプラスチックフィルムおよび金属箔のうちの少なくともひとつで作製されている、請求項1に記載のキャリブレーション懸濁液ユニット。
【請求項7】
前記容器の最大容積が、前記容器内のキャリブレーション懸濁液の体積よりも大きい、請求項1に記載のキャリブレーション懸濁液ユニット。
【請求項8】
前記キャリブレーション懸濁液ユニットがホースラインシステムを含み、前記ホースラインシステムは前記フレキシブル容器に直接接続されているホースラインを含む、請求項1に記載のキャリブレーション懸濁液ユニット。
【請求項9】
前記キャリブレーション懸濁液ユニットがホースラインシステムを含み、前記ホースラインシステムは、ホースラインおよび、前記ホースラインに備えられたカニューラを含む、請求項1に記載のキャリブレーション懸濁液ユニット。
【請求項10】
前記容器がセプタム蓋で閉鎖されている、請求項9に記載のキャリブレーション懸濁液ユニット。
【請求項11】
前記ホースラインが内径d2を有し、所望により、前記カニューラが最大9mm、好ましくは3から7 mmの内径d1を有する、請求項8に記載のキャリブレーション懸濁液ユニット。
【請求項12】
請求項1に記載のキャリブレーション懸濁液ユニットを製造する方法であって、
a)フレキシブル素材で作製された容器およびキャリブレーション懸濁液を提供し;
b)前記容器に前記キャリブレーション懸濁液を充填し;
c)前記容器から実質的にすべての空気を除去し;および
d)前記容器を閉鎖する
工程を含み、
前記閉鎖された容器内のキャリブレーション懸濁液の上方に空気の表層が存在しない、製造方法。
【請求項13】
前記空気が、前記容器の機械的圧搾によって取り除かれる、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
請求項1に記載のキャリブレーション懸濁液ユニットを用いて濁度測定器のキャリブレーションを行う方法であって、
前記キャリブレーション懸濁液が、実質的な気泡形成なくして、前記濁度測定器に導入される、方法。
【請求項15】
前記キャリブレーション懸濁液がキャリブレーション懸濁液ユニットの機械的変形により混合される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記キャリブレーション懸濁液が、ホースラインにより前記濁度測定器に導入され、
ここに、前記フレキシブル容器がつぶれて、前記キャリブレーション懸濁液が前記容器から退出するとき、前記キャリブレーション懸濁液の容積補填として空気を引き込むことがなく、および、
ここに、前記ホースライン中の全ての空気が、前記キャリブレーション懸濁液中でいかなる気泡も形成することなく、前記キャリブレーション懸濁液により追い出される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
キャリブレーション懸濁液の体積対前記容器の最大容積の比が0.2から0.8である、請求項7に記載のキャリブレーション懸濁液ユニット。
【請求項18】
前記ホースラインが前記フレキシブル容器に着脱可能に接続されている、請求項8に記載のキャリブレーション懸濁液ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濁度測定器、好ましくはオンライン濁度測定器のキャリブレーションのためのキャリブレーション懸濁液を含むキャリブレーション懸濁液ユニット、キャリブレーション懸濁液ユニットの製造方法、およびキャリブレーション懸濁液ユニットの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
濁度測定器は、定期的にキャリブレーションしなければならない。この目的のため、所定濃度で濁度キャリブレーション標準を含有するキャリブレーション懸濁液がよく用いられる。キャリブレーション懸濁液は、製造者自身が作成するか、または、様々な容積のキャニスターに入った最終標準懸濁液として商業的に入手する。キャリブレーションのため、標準懸濁液は、所望により、希釈されて、懸濁液測定器に導入される。引き続き、光強度を測定し、標準懸濁液中の濁度キャリブレーション標準の濃度と相関付ける。
【0003】
キャリブレーション懸濁液は、通常、適当な液体中にコロイド粒子を含む。国際的に認識されている濁度キャリブレーション標準はホルマジンである。このキャリブレーション標準の製造はISO 7027スタンダードに記載されている。
【0004】
時間とともに、コロイド粒子は貯蔵容器の底に沈殿する。濁度測定器をキャリブレーションするために、キャリブレーション懸濁液は、かくして、使用前に混合しなければならない。これは、貯蔵容器内でキャリブレーション懸濁液を振盪するかまたは攪拌することによって行われる。
【発明の概要】
【0005】
第1の局面において、本発明は、濁度測定の扱いを容易にし、測定値の質を向上するキャリブレーション懸濁液ユニットおよびその製造方法を提供する。
【0006】
本発明者らは、キャリブレーション懸濁液での濁度測定器のキャリブレーションの質にとって重要な2つの因子:
i)濁度測定器に導入するキャリブレーション懸濁液の均質混合、および
ii)いかなる不随する干渉性影響もないキャリブレーション懸濁液の測定
を見出した。
【0007】
キャリブレーション懸濁液の測定の間の実質的な干渉性影響として、キャリブレーション懸濁液に存在するいかなるサイズの気泡も確認して、最も小さな気泡が最も強くかつ最もしつこく持続する干渉性影響であった。しかしながら、気泡は、例えば、振盪または攪拌による必要な混合中、キャリブレーション懸濁液に必然的に導入されてしまう。一方、特に、非常に小さな気泡が退出するまで長い間待つことは、コロイド粒子を再び沈殿させ、かくして、不正確なキャリブレーションに至る。
【0008】
また、濁度測定器の測定チャンバーをキャリブレーション懸濁液で充填するとき、さらなる気泡が入り得る。このように入った気泡は測定の妨害となり、さらに待つ必要が生じる。しかしながら、これはコロイド粒子が濁度測定内で沈殿する危険をはらみ、測定にひずみを与える。
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明は、濁度測定器をキャリブレーションするためのキャリブレーション懸濁液で充填された容器を含むキャリブレーション懸濁液ユニットを提供し、その容器はフレキシブル素材で作製され、容器内のキャリブレーション懸濁液の上方には、空気の表層(air supernatant)が存在しない。
【0010】
本発明によれば、フレキシブル素材は、さらなる道具を全く使用せず、特に手でもむことによって、容器を損傷せずに、人が容易に変形させることができる素材である。剛直な容器で提供されるキャリブレーション懸濁液と比較すると、本発明によるキャリブレーション懸濁液ユニットの利点は、フレキシブル容器に入れられたキャリブレーション懸濁液は、いかなる気泡も空気の表層も含まず、フレキシブル素材で作製された容器を変形させることによってすでに混合されることである。例えば、剛直なキャニスターまたは開放系容器内で懸濁液を振盪または攪拌することとは違って、気泡の形成が、ここでは、防止されて、簡単かつ安全な取り扱いならびに濁度測定のより高い質を達成し得る。
【0011】
有利な具体例によれば、容器は、ホイルバッグ、好ましくは筒状バッグとして設計される。そのようなホイルバッグは、そのまま、例えば、医療技術での点滴バッグや飲料業界でのドリンクパウチの形態で知られており、様々な形状およびサイズのものが低コストで製造できる。
【0012】
別の有利な具体例によれば、容器は、1 mm未満、好ましくは0.8 mm未満、特に好ましくは0.1 mmから0.8 mmの壁強度を有する。この具体例において、容器を機械的に変形すること、特にもむことは非常に簡単である。
【0013】
容器は、好ましくは、気密かつ液体不透過性である。かくして、キャリブレーション懸濁液が容器の外からの薬品で汚染されないことが保証される。
【0014】
容器は、光不透過性、特に、UV光および/または可視光に対して不透過性であり、電磁波への暴露による濁度標準の望ましくない反応を低減する。
【0015】
好ましい具体例において、容器は、プラスチックフィルム製および/または金属箔性である。これらの素材は、安価であり、柔軟性などの所望の特性を有する容器に簡単に成型することができるという利点を有する。容器は、また、例えば、何枚かのプラスチックフィルムおよび、所望により、例えば、アルミ製の外部金属箔または金属コーティングの多層コンポジットフィルムであり、様々なフィルム/ホイルの異なる特性を合わせ持つ。
【0016】
適当なプラスチックフィルムの例示は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、および(ポリ)エチレンビニルアセテート、ならびにそれらのコポリマーおよびコンポジット素材である。
【0017】
別の好ましい具体例において、容器の最大容積は、キャリブレーション懸濁液の体積よりも大きい。それゆえ、容器は膨れ上がることがなく、すなわち、キャリブレーション懸濁液で最大容積まで充填されることがなく、容器は十分に変形させることができ、かくして、キャリブレーション懸濁液は均質に混合される。また、より大きな容積の容器は、キャリブレーション懸濁液ユニットをもむ間に容器内部で発生する圧搾力が小さくとどまり、かくして、いかなる損傷、特に容器の破裂を回避できることを確実にする。
【0018】
キャリブレーション懸濁液の体積と容器の最大容積との比率は、好ましくは0.2から0.8、好ましくは0.4から0.6である。これらの充填比率は、素材コストと容器の変形性との良好な妥協による。
【0019】
本発明によれば、キャリブレーション懸濁液ユニットは、実質的に、空気または気体がなく、すなわち、フレキシブル容器内のキャリブレーション懸濁液はいかなる空気の表層も示さず、容器の内部にはデッドボリュームがない。この理由により、容器は、気泡なしキャリブレーション懸濁液だけで充填される。かくして、容器内のキャリブレーション懸濁液が均質に混合されても、キャリブレーション懸濁液は空気と接触しないこと、および、キャリブレーション懸濁液中には気泡も形成されないことを保証する。
【0020】
好ましくは、キャリブレーション懸濁液は、適当な液体内のホルマジン、スチレンジビニルベンゼン、ラテックスまたは金属酸化物ゲルのうち少なくともひとつから選択され、好ましくはホルマジン懸濁液である。
【0021】
有利な具体例において、キャリブレーション懸濁液ユニットは、濁度測定器へのキャリブレーション懸濁液のエアフリー送液に適したホースラインシステムを含む。ホースラインシステムは、キャリブレーション懸濁液がキャリブレーション懸濁液ユニットから濁度測定器まで通過するときにキャリブレーション懸濁液に気泡が入らず、および/またはキャリブレーション懸濁液内で気泡が形成されないことを保証する。
【0022】
ホースラインシステムは、フレキシブル容器に直接接続されたホースラインを含むことができ、フレキシブル容器とホースラインの少なくとも一部との間の流体接続を作り出す。例えば、キャリブレーション懸濁液ユニットのフレキシブル容器と剛直に連結するか、または、フレキシブル容器に着脱可能に接続されたホースラインが備えられる。例えば、剛直接続はホースラインをフレキシブル容器に溶接するか、それと統合するかによって形成される。あるいは、ホースラインシステムは、蓋と剛直接続かつ液体不透過性接続を形成するホースラインシステムが付いた蓋でフレキシブル容器に取り付けて、蓋とともに、フレキシブル容器の開口に配置、好ましくはねじり止める。
【0023】
フレキシブル容器に直接接続されたホースラインシステムを含むキャリブレーション懸濁液ユニットは、好ましくは、クランプできつく締められて、いかなる空気の表層も存在しない。この目的のため、ホースラインでのクランプは、好ましくは、フレキシブル容器の近くに配置され、いかなる気泡も形成されることなくホースラインを遮断できる。その結果、キャリブレーション懸濁液はフレキシブル容器および/またはホースラインから流れることができない。また、自由端、すなわち、ホースラインの、フレキシブル容器と反対側の末端に栓を取り付けて、ホースラインの汚染を防止できる。例えば、この栓はストッパー、溶接継目、または自動ロックストップバルブであってよい。
【0024】
別の具体例において、キャリブレーション懸濁液ユニットは、別個に取り付けられたホースラインシステムを含み得る。そのような個別ホースラインシステムは、例えば、医療技術の点滴バッグから公知であり、キャリブレーション懸濁液を送液するためのホースラインから離れて、通常、フレキシブル容器を穿刺する装置を有する。
【0025】
個別ホースラインシステムは、好ましくは、ホースラインおよび、ホースラインに接続されたカニューラを含む。カニューラを用いて、フレキシブル容器内のキャリブレーション懸濁液を穿刺して取り出し、いかなる気泡も形成されることなく、ホースライン経由でそれを濁度測定器に送液し得る。
【0026】
ホースラインシステムのホースライン、所望により、カニューラの内径は、好ましくは、最大で9 mm、好ましくは、3から7 mmである。ホースラインシステムのホースライン、所望により、カニューラの好ましい内径は、キャリブレーション懸濁液は、ホースラインおよび/またはカニューラを完全に充填しつつ、濁度測定器に送液し、キャリブレーション懸濁液を空気と混合することなく、ホースラインおよび/またはカニューラ内に閉じ込められた空気を押し出す。キャリブレーション懸濁液内の気泡の形成はかくして防止される。
【0027】
別の好ましい具体例によれば、容器は、セプタム蓋、特に、プラスチック製のセプタム蓋で閉鎖される開口を有する。本発明によれば、セプタム蓋は、自己密封性を発揮し、カニューラにより穴が開けられることを意図された区画がある蓋である。
【0028】
また、蓋は、その内面に、容器の開口に突出し、その自由端にて閉鎖される隆起を有し得る。縁まで充填された容器に蓋をかぶせるとき、この隆起が液体およびいまだ存在するかもしれない空気を閉鎖領域から追い出して、容器を閉鎖する際に容器内に空気が閉じ込められないことを保証する。
【0029】
セプタム蓋および容器の開口は、好ましくは、スクリューキャップとして設計される。あるいは、開口は、容器に直接形成されたスリーブとしても設計され、その上でセプタム蓋がクランプされる。
【0030】
濁度測定器は、好ましくは、オンライン濁度測定器である。オンライン測定の間、通常、モニターする当該方法の試料が取り込まれ、測定器へと導入される。
【0031】
本発明の別の局面は、濁度測定器のキャリブレーションのためのキャリブレーション懸濁液ユニットの製造方法であって、以下の:
a)フレキシブル容器をキャリブレーション懸濁液で充填し、
b)実質的に全ての空気を容器から除去し、および
c)容器を閉鎖する
工程を含み、閉鎖された容器のキャリブレーション懸濁液の上方に空気の表層が存在しない、製造方法である。
【0032】
有利な具体例によれば、容器を機械的に圧搾することによって空気を除去する。機械的圧搾は、例えば、キャリブレーション懸濁液で充填されたフレキシブル容器を、容器を絞る2つの面の間で、または、2つのロールで圧搾することによって実行でき、依然として存在する残留空気を容器から除去するには安価な方法である。
【0033】
本発明によれば、上記のキャリブレーション懸濁液ユニットを用いて、懸濁測定器、特にオンライン懸濁測定器をキャリブレーションする。
【0034】
好ましい具体例によれば、キャリブレーション懸濁液は実質的に気泡がない濁度測定器に導入する。これは、測定を即座に実行できるようにし、かつ、特別に高い品質の測定結果を保証する。
【0035】
別の好ましい具体例によれば、キャリブレーション懸濁液は、機械的にキャリブレーション懸濁液ユニットを変形させることによって、閉鎖容器内で均質混合する。機械的変形は、特に、キャリブレーション懸濁液ユニットを手で圧搾するか揉むことによって実行することができ、キャリブレーション懸濁液内の気泡形成を防止する利点がある。
【0036】
有利な具体例において、均質混合されたキャリブレーション懸濁液は、ホースライン経由で濁度測定器に導入される。キャリブレーション懸濁液は、キャリブレーション懸濁液が空気と混合することなく、ホースラインに閉じ込められた空気を押し進め、引き続き濁度測定器の測定チャンバー内に存在する空気を追い出して、気泡を形成させることなく、キャリブレーション懸濁液を濁度測定器に導入する。
【0037】
キャリブレーション懸濁液が退出するとき、キャリブレーション懸濁液による容積補填として空気を引き込むことなく、フレキシブル容器が縮小する。キャリブレーション懸濁液の濁度測定器への気泡なし送液が、かくして、保証される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
さらなる利点および欠点は、好ましい具体例の下記の説明に添付図を併せて理解される。
【0039】
図1図1は、濁度測定器に接続されたホースラインシステムを含む、本発明によるキャリブレーション懸濁液ユニットの概略図である。
図2図2a、2bおよび2cは、本発明によるキャリブレーション懸濁液ユニットのフレキシブル容器の具体例の概略図である。
図3図3は、本発明によるキャリブレーション懸濁液ユニットのセプタム蓋の断面図である。
図4図4aおよび4bは、ホースラインシステムを含む、本発明によるキャリブレーション懸濁液ユニットの具体例の断面図である。
図5図5は、ホースラインシステムを含む、本発明によるキャリブレーション懸濁液ユニットの別の具体例の断面図である。
図6図6aおよび6bは、本発明によるキャリブレーション懸濁液ユニットのホースラインシステムへの濁度測定器の接続の概略図である。
図7図7aおよび7bは、本発明によるキャリブレーション懸濁液ユニットを充填する本発明による方法の概略図である。
図8図8aおよび8bは、本発明によるキャリブレーション懸濁液ユニットを充填する本発明による別の方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、本発明によるキャリブレーション懸濁液ユニット10を示し、ホースラインシステム12を介して濁度測定器14に接続される。キャリブレーション懸濁液ユニット10は、フレキシブル容器16、例えば、ホイルバッグを含み、それは、濁度測定用のキャリブレーション懸濁液18が充填され、例えば、セプタム蓋22によってシールされたバッグに取り付けられたプラスチックスリーブ21の形態で、少なくともひとつの開口20を有する。
【0041】
容器16は、フレキシブル素材で作製され、特に、プラスチックフィルム、金属箔または、いくつかの層のプラスチックフィルムおよび/もしくは金属箔によって形成されるコンポジットフィルムで作製される。
【0042】
ホースラインシステム12は、第1自由端にてカニューラ26(図5)が備えられたホースライン24を含む。ホースライン24の反対側の自由端にて、ホースライン24を濁度測定器14に接続するのに適したコネクション28(図6aおよび6b)が備えられる。
【0043】
濁度測定器14は、測定器本体30、特に、フロー測定器本体に導入された試料の濁度値を定量するように提供され、出口バルブで充填および排出できるようにされたフロー測定器本体を有する。
【0044】
図2a、2bおよび2cにおいて、キャリブレーション懸濁液ユニット10の各種具体例が示され、その容器16は、矩形のクッション型ホイルバッグとして設計される。容器16は、一方が他方の上に重ねられた2枚のプラスチックフィルムから構成され、それらは、例えば、溶接、接着またはホットシーリングによって周辺フリンジ領域34でお互いに接続され、キャリブレーション懸濁液18を受容するように備えられたインテリア36を形成する。
【0045】
あるいは、容器16は、バルーン、自立ポーチまたは筒状バッグとして設計され、よって、フリンジ領域34がより小さいかまたはないものになる。筒状バッグは、フリンジ領域有無の平面フィルムまたはフィルムチューブで作製でき、バッグに組み込まれたプラスチックスリーブ21の形態で開口20を有する。図2aにおいて、プラスチックスリーブ21は容器16の頂部継目の中央に組み込まれ、図2bにおいて、プラスチックスリーブ21はインテリア36に組み込まれ、図2cにおいて、プラスチックスリーブ21は容器16の頂部継目の角部に組み込まれる。自立ポーチは、通常、W状折りとして設計された底部領域を有する。
【0046】
プラスチックスリーブ21で形成された開口20は、容器16と一体成型されるか、または、特に接着または溶接でそれに強固に貼り付けられる。開口20はセプタム蓋22により閉鎖される。好ましくは、開口20はスレッド38、好ましくは、雄ねじを有し(図3を参照)、そこに、雌ねじが備えられたセプタム蓋22がスクリューキャップとして取り付けることができる。あるいは、セプタム蓋22は開口20に締め付けることもできる。
【0047】
開口20の反対側の端にて、容器16はアイレット40を有し、そこからキャリブレーション懸濁液ユニット10を保留することができ、および/または、それは、キャリブレーション懸濁液ユニット10をラベル付けするために用いることができる。
【0048】
容器16は、キャリブレーション懸濁液18で完全には充填されない。これは、容器16の最大容積が、容器16に導入されるキャリブレーション懸濁液18の体積よりも大きいことを意味する。キャリブレーション懸濁液18の体積対容器16の最大容積の比が、0.2から0.8、好ましくは0.4から0.6であってよい。
【0049】
しかしながら、キャリブレーション懸濁液ユニット10は、実質的に、空気がなく、すなわち、容器16は、気泡なしキャリブレーション懸濁液18で充填されているのみであり、空気の表層すなわちデッドボリュームがない。キャリブレーション懸濁液18として、好ましくはホルマジン懸濁液を用いる。
【0050】
本発明によるキャリブレーション懸濁液ユニット10は、1,500 mlまでのキャリブレーション懸濁液18を含有し得る。好ましくは、キャリブレーション懸濁液ユニット10は100 mlから1,200 mlのキャリブレーション懸濁液18で充填される。さらに、キャリブレーション懸濁液ユニット10は、好ましくは、充填されるフローメータ30の容積よりも多い体積のキャリブレーション懸濁液18を含有する。
【0051】
図3において、本発明によるキャリブレーション懸濁液ユニット10の断面が、断面図に示される。セプタム蓋22は、開口20の雄ねじ38に螺合する雌ねじ42を有し、セプタム蓋22を容器16の開口20をしっかりと閉鎖する。
【0052】
セプタム蓋22は、開口20に突出し、セプタム蓋をそこにはめたときに、開口20に存在するキャリブレーション懸濁液18(図示せず)を追い出すことを意図したシリンダー状エクステンション44を含む。エクステンション44は、開口20の内周から離れているので、エクステンション44により追い出されたキャリブレーション懸濁液は、開口20からあふれ出る。あふれ出たキャリブレーション懸濁液10は、今度は、いまだ開口に閉じ込められた空気を追い出して、いかなる空気も含まない閉鎖キャリブレーション懸濁液ユニット10を得る。
【0053】
エクステンション44は、容器16に対向する軸端にて最終セクション48によって閉鎖される軸導管46を有する。最終セクション48は、シリンダー状エクステンション44の内面にて、導管46の内周に沿って周回する溝50を有し、それは、キャリブレーション懸濁液ユニット10を穿刺するために、カニューラ26(図4を参照)がセプタム蓋22の導管46に導入されると、所定のブレーキングポイントとして作用する。導管46の直径は、好ましくは、カニューラ26の外径よりも大きい。
【0054】
導管46に挿入されるシール部材52は、エクステンション44を完全に充填し、半径方向にシールするシリンダー状くぼみ44内に配置する。シール部材52は、外径が導管46の直径よりも小さい貫通カニューラ26用のシール受けとして機能する。
【0055】
追加して、または、代替として、外側に向く導管46の末端は、保護フィルムまたはシール膜(図示せず)で閉鎖できる。
【0056】
セプタム蓋22は、セプタム蓋22をより簡単に取り扱えるように備えられた外殻面54にて軸方向に波状にされた面56を有する。
【0057】
図4aにおいて、フレキシブル容器16に直接接続されたホースラインシステム12が備えられたキャリブレーション懸濁液ユニット10の代替的な具体例が示され、その容器16は、ホースライン24でしっかりと連結されている。ここに示される具体例において、ホースライン24は、フレキシブル容器16の開口20に導入されたプラスチックスリーブ21に溶接されている。
【0058】
代替的な具体例(図示せず)において、蓋は、ホースライン24に直接接続する開口20に備えるか、フレキシブル容器16に向かって開放されたホースライン24に対する接続を有する。
【0059】
これらのすべての場合において、フレキシブル容器16は、ホースクランプ57でホースライン24を遮断することによってしっかりと閉鎖される。ホースクランプ57は、好ましくは、ホースライン24のフレキシブル容器16の開口20に近いところに配置される。フレキシブル容器16内のキャリブレーション懸濁液18がホースライン24に表層を形成するので、フレキシブル容器16には、空気の表層またはデッドボリュームが存在しない。
【0060】
図4bにおいて、図3に準ずるセプタム蓋22付きのキャリブレーション懸濁液ユニット10が示され、それは、ホースライン24に取り付けられたカニューラ26で穿刺される。この具体例において、カニューラ26付きのホースライン24は、分離式ホースラインシステム12として備えられる。
【0061】
濁度測定器14のキャリブレーションにキャリブレーション懸濁液ユニット10を使用するため、キャリブレーション懸濁液18を均質混合し、いかなる気泡も形成されることなく濁度測定器14に導入する。
【0062】
この目的のため、キャリブレーション懸濁液ユニット10のフレキシブル容器16を、使用直前、機械的に変形させる;例えば、フレキシブル容器16は、ユーザーによって、手で揉み、および/または振盪する。均質なキャリブレーション懸濁液18を得るため、約10秒から2分、好ましくは1分まで、特に好ましくは15から30秒の間揉めば十分である。本発明によれば、「使用直前」とは、10分までの間を意味する。キャリブレーション懸濁液ユニット10がこの間に使用されなければ、揉むか振盪することによって懸濁液を再混合することが推奨される。
【0063】
いかなる気泡も形成されることなく濁度測定器14を充填するために、キャリブレーション懸濁液ユニット10を図5に示すようにして穿刺する。この目的のため、キャリブレーション懸濁液ユニット10は、開口20を下に向けて、すなわち、地面の方向にして、吊るされる。セプタム蓋22に位置する導管46は、次いで、ホースライン24に配置されたカニューラ26で穴あけされ、ホースライン24をキャリブレーション懸濁液ユニット10および、容器16に含有されるキャリブレーション懸濁液18に接続する。この接続の間、ホースライン24は、例えば、停止バブル58(図6a)によって、または、クランプ62(図6b)を用いる遮断によって閉鎖されるので、空気はキャリブレーション懸濁液18の中に侵入できない。引き続き、ホースライン24を濁度測定器14に接続し、ホースライン24を開放する。あるいは、まず、ホースライン14を濁度測定器14に接続し、次に、セプタム蓋22をカニューラ26で穴あけする。この場合、ホースライン24は、それを濁度測定器14に接続する前に閉鎖する必要はない。
【0064】
フレキシブル容器16に直接接続されたホースラインシステム12を備えたキャリブレーション懸濁液ユニット10(図4a)を用いる場合、ホースライン24の自由端に所望により配置される閉鎖を開き、ホースライン24を濁度測定器14に接続できる。ホースライン24は、クランプ57でまだ閉鎖されているので、空気がキャリブレーション懸濁液に侵入することがない。ホースライン24を濁度測定器14に接続した後、開口20を下向きにしてキャリブレーション懸濁液ユニット10を吊るし、クランプ57を取り外して、いかなる気泡も形成されることなく、キャリブレーション懸濁液18が濁度測定器14に流れ込むようにする。
【0065】
存在すればカニューラ26の内径d1と、ホースライン24の内径d2とは、いかなる気泡もホースライン24を通って容器16内に上昇することなくキャリブレーション懸濁液18がキャリブレーション懸濁液ユニット10から濁度測定器14に向かって空気を追い出すように、選択される。同時に、内径d1, d2は、濁度測定器の測定器本体30が十分な速さで充填されるように計算される。
【0066】
この目的のため、カニューラ26および/またはホースライン24の内径d1, d2は、9 mm未満、特に、3から7 mmが特に適している。充填時間は、測定器本体30の容積に依存する。300 mlの容積の測定器本体30を充填するには、40から60秒かかる。図6aおよび6bにおいて、本発明の2つの異なる具体例が示され、ホースラインシステム12がいかに濁度測定器14に接続されるかを例示する。
【0067】
濁度測定器14の出口バルブ32が備えられ、キャリブレーションおよびベリフィケーションの目的で、測定器本体30からサンプルを排出する。本発明によれば、出口バルブ32を用いて、いかなる気泡も形成されることなく、キャリブレーション懸濁液18を測定器本体30に充填する。この目的のため、キャリブレーション懸濁液ユニット10は、ホースラインシステム12を介して、出口バルブ32に接続される。
【0068】
図6aに示される具体例において、ホースラインシステム12は、出口バルブ32に接続可能なコネクション28にて停止バブル58を有する。停止バブル58は、接続されていないときは閉じられ、出口バルブ32にあるときは自然に開く。
【0069】
あるいは、図6bに示されるように、ホースラインシステム12のコネクション28は、ホースライン24の自由ライン端60として設計し得る。この場合、キャリブレーション懸濁液18の望まない流れは、ホースライン24を、例えば、クランプ62で、遮断することによって妨げられる。ホースラインシステム12を濁度測定器14に接続するため、自由ライン端60を出口バルブ32に押しかぶせ、必要あれば、クリップ(図示せず)で固定する。
【0070】
キャリブレーション懸濁液18を均質混合し、キャリブレーション懸濁液ユニット10を穿刺し、かつ、図1に示すように、ホースラインシステム12を介して、それを濁度測定器14に接続した後、測定器本体30を充填できる。
【0071】
測定器本体30を充填するため、例えば、アイレット40(図2を参照)からキャリブレーション懸濁液ユニット10を吊るすことによって、開口20を下向きにし、測定器本体30よりも測地学的に高く、キャリブレーション懸濁液ユニット10を配置する。ホースライン24がクランプ57および/または62で閉塞されれば、このクランプを外して、コネクションを開く。静水圧のため、キャリブレーション懸濁液18は、容器16から測定器本体30に流れ出て、おそらくそれを完全に充填する。容器16は、空気を引き込むような真空を発生することなく、しぼむ。
【0072】
その過程において、キャリブレーション懸濁液18が全ての空気を追い出す、空気なし容器16中でのキャリブレーション懸濁液18の混合の間でも、ホースラインシステム12を介する測定器本体30の充填の間でも、なんらかの気泡がキャリブレーション懸濁液18に閉じ込められることがないので、いかなる気泡も形成されることなく、濁度測定器14をキャリブレーション懸濁液18で充填することが可能である。
【0073】
キャリブレーション懸濁液18の測定が完了した後、装置に接続された空のキャリブレーション懸濁液ユニット10は、フロー測定器本体30よりも測地学的に低い高さに持っていき、キャリブレーション懸濁液18が容器16に逆流するようにする。この過程の間、容器16の開口20が逆さまになっていれば、空気が容器16に逆流することがない。全キャリブレーション懸濁液18が逆流した後、ホースライン24を再び閉鎖し、濁度測定器14から遮断する。
【0074】
かくして、キャリブレーション懸濁液ユニット10は、必要であれば、何度でも使用可能である。所望により、キャリブレーション懸濁液ユニット10が再使用できなければ、ホースラインシステム12とともに、専門的に廃棄できる。
【0075】
本発明のキャリブレーション懸濁液ユニット10中のキャリブレーション懸濁液18の提供により、ユーザーは多くの時間を節約でき、かつ、正確な測定が可能となった。同時に、キャリブレーション懸濁液18の安全な取扱いが保証される。ユーザーも環境もキャリブレーション懸濁液18に直接触れることがないからである。
本発明のキャリブレーション懸濁液ユニット10の製造のため、以下のステップを含む方法が提供される。
第1ステップにおいて、容器16をキャリブレーション懸濁液18で充填する。容器16に充填するキャリブレーション懸濁液18の体積は、最終キャリブレーション懸濁液ユニット10内に存在すべきキャリブレーション懸濁液18の体積よりも若干多い。
【0076】
第2ステップにおいて、容器16内のキャリブレーション懸濁液の上方に存在する空気は、フレキシブル容器16を機械的に圧搾することで容器16から除去できる。
【0077】
第3ステップにおいて、容器16は、いかなる空気の表層が存在することなく、閉鎖される。この目的のため、セプタム蓋22を使用することが好ましく、あるいは、フレキシブル容器16に直接接続されたホースラインをキャリブレーション懸濁液18で充填された区画にて遮断する。
【0078】
図7aおよび7bにおいて、容器16をキャリブレーション懸濁液18で充填し、容器16から空気を除去する方法が示される。容器16は、V字型に配置された2枚のパネル66, 67の間に置き(図7aを参照)、この時点で、すでに2枚のパネル66, 67によって部分的に圧縮できる。2枚のパネル66, 67によって包まれる体積は、容器16の最大容積よりも小さい。引き続き、容器16をキャリブレーション懸濁液18で充填する(図7bを参照)。充填する間、容器16はプレート66, 67までに限り膨張できる。好ましくは、容器16を充填して、所望の充填体積に達したとき、キャリブレーション懸濁液18が、容器16の開口20にてあふれ出し、フレキシブル容器16に直接接続されたホースライン24の内に押し込まれる。ホースライン24は、キャリブレーション懸濁液で充填される区画にて、クランプ57で遮断され、キャリブレーション懸濁液ユニット10は、かくして、いかなる気泡も形成されることなく、閉鎖できる。キャリブレーション懸濁液18の所望の充填体積は、2枚のパネル66, 67の間の角度α1, α2で決定される。パネル66, 67も、互いに移動可能に搭載して、充填される容器16に対してそれが可能にし、互いに対するパネル66, 67の動きによりキャリブレーション懸濁液18をあふれさせることができる。かくして、全ての空気70は容器16から追い出され、容器16は、引き続き、セプタム蓋22を用いるか、キャリブレーション懸濁液18で満たされる区画にてホースライン24をクランプ57で遮断するかによって、いかなる気泡も形成されることなく、閉鎖され得る。
【0079】
図8aおよび8bにおいて、容器16をキャリブレーション懸濁液18で充填し、容器16から空気70を除去する別の方法が示される。V字型パネル66, 67の代わりに、容器16は、例えば、ロール68, 69によってある高さにまで圧搾され、そこで遮断される(図8aを参照)。今や、圧搾されていないロール68, 69の上方の部分がキャリブレーション懸濁液18で充填されている。充填する間、容器16はロール68, 69までに限り膨張でき、容器16は、キャリブレーション懸濁液18が所望の充填体積に達したとき、その開口20にてあふれる。キャリブレーション懸濁液18の所望の充填体積は、ロール68, 69によって圧搾された領域の高さh1, h2で決定される。あるいは、あふれるまで充填するために、部分的に充填された容器16をさらに、ロール68, 69で圧搾し、かくして、容器16の充填体積をあふれるまで低減する。かくして、全ての空気70は容器16から追い出され、容器16は、引き続き、セプタム蓋22を用いるか、キャリブレーション懸濁液18で満たされる区画にてホースライン24をクランプ57で遮断するかによって、いかなる空気の表層も形成されることなく、閉鎖され得る。
【0080】
容器16の空気なし閉鎖のために、図3に示すセプタム蓋22を使用できる。縁まで充填された容器16にセプタム蓋をはめ込み、ねじ下げると、エクステンション44がキャリブレーション懸濁液18および、まだ存在するかもしれない空気70を開口20の領域から追い出し、かくして、いかなる気泡も形成されることなく、すなわち、空気70が容器16内に閉じ込められることなく容器16を閉鎖する。
【0081】
ホースライン24がフレキシブル容器16に直接接続されれば、容器16は、容器の中およびホースライン24の一部の中に、空気70がなくなるまで圧搾される。そして、ホースライン24を、キャリブレーション懸濁液18が充填される場所にて、好ましくは、容器16に近い場所にて、クランプ57で遮断され、その結果、容器16の中および適宜遮断されたホースライン24の一部の中に、空気70は閉じ込められていない。
【0082】
このように製造されたキャリブレーション懸濁液ユニット10を、次いで、上記したように、濁度測定器14のキャリブレーションに使用できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-11-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
濁度測定器のキャリブレーションのためのキャリブレーション懸濁液で充填された容器を含むキャリブレーション懸濁液ユニットであって、
前記容器は、前記キャリブレーション懸濁液を均質混合するためのフレキシブル素材で作製され、前記容器内のキャリブレーション懸濁液の上方には空気の表層が存在しない、キャリブレーション懸濁液ユニット。
【請求項2】
前記容器がホイルバッグとして設計されている、請求項1に記載のキャリブレーション懸濁液ユニット。
【請求項3】
前記容器が1mm未満の厚さの壁を有する、請求項1に記載のキャリブレーション懸濁液ユニット。
【請求項4】
前記容器が気密かつ液体不透過性である、請求項1に記載のキャリブレーション懸濁液ユニット。
【請求項5】
前記容器が光不透過性である、請求項1に記載のキャリブレーション懸濁液ユニット。
【請求項6】
前記容器がプラスチックフィルムおよび金属箔のうちの少なくともひとつで作製されている、請求項1に記載のキャリブレーション懸濁液ユニット。
【請求項7】
前記容器の最大容積が、前記容器内のキャリブレーション懸濁液の体積よりも大きい、請求項1に記載のキャリブレーション懸濁液ユニット。
【請求項8】
前記キャリブレーション懸濁液ユニットがホースラインシステムを含み、前記ホースラインシステムは前記フレキシブル素材で作製された容器に直接接続されているホースラインを含む、請求項1に記載のキャリブレーション懸濁液ユニット。
【請求項9】
前記キャリブレーション懸濁液ユニットがホースラインシステムを含み、前記ホースラインシステムは、ホースラインおよび、前記ホースラインに備えられたカニューラを含む、請求項1に記載のキャリブレーション懸濁液ユニット。
【請求項10】
前記容器がセプタム蓋で閉鎖されている、請求項9に記載のキャリブレーション懸濁液ユニット。
【請求項11】
前記ホースラインが最大9mmの内径d 2 を有する、請求項9に記載のキャリブレーション懸濁液ユニット。
【請求項12】
前記ホースラインが最大9mmの内径d2を有し、前記カニューラが最大9mmの内径d1を有する、請求項に記載のキャリブレーション懸濁液ユニット。
【請求項13】
請求項1に記載のキャリブレーション懸濁液ユニットを製造する方法であって、
a)フレキシブル素材で作製された容器およびキャリブレーション懸濁液を提供し;
b)前記容器に前記キャリブレーション懸濁液を充填し;
c)前記容器から実質的にすべての空気を除去し;および
d)前記容器を閉鎖する
工程を含み、
前記閉鎖された容器内のキャリブレーション懸濁液の上方に空気の表層が存在しない、製造方法。
【請求項14】
前記空気が、前記容器の機械的圧搾によって取り除かれる、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
請求項1に記載のキャリブレーション懸濁液ユニットを用いて濁度測定器のキャリブレーションを行う方法であって、
前記キャリブレーション懸濁液が、実質的な気泡形成なくして、均質混合され、かつ、前記濁度測定器に導入される、方法。
【請求項16】
前記キャリブレーション懸濁液がキャリブレーション懸濁液ユニットの機械的変形により混合される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記キャリブレーション懸濁液が、ホースラインにより前記濁度測定器に導入され、
ここに、前記フレキシブル素材で作製された容器がつぶれて、前記キャリブレーション懸濁液が前記容器から退出するとき、前記キャリブレーション懸濁液の容積補填として空気を引き込むことがなく、および、
ここに、前記ホースライン中の全ての空気が、前記キャリブレーション懸濁液中でいかなる気泡も形成することなく、前記キャリブレーション懸濁液により追い出される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
キャリブレーション懸濁液の体積対前記容器の最大容積の比が0.2から0.8である、請求項7に記載のキャリブレーション懸濁液ユニット。
【請求項19】
前記ホースラインが前記フレキシブル素材で作製された容器に着脱可能に接続されている、請求項8に記載のキャリブレーション懸濁液ユニット。
【外国語明細書】