(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117206
(43)【公開日】2023-08-23
(54)【発明の名称】貯湯式給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24H 15/375 20220101AFI20230816BHJP
【FI】
F24H4/02 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019793
(22)【出願日】2022-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】神田 健司
(72)【発明者】
【氏名】野水 清貴
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA23
3L122AA73
3L122AB22
3L122BA32
3L122BB03
3L122BB14
3L122BC12
3L122DA22
3L122DA33
3L122EA05
3L122EA52
(57)【要約】
【課題】太陽光発電システムが発電する電力を効率良く利用し、電気料金の負担を抑制させることができる貯湯式給湯装置を提供する。
【解決手段】太陽光発電システム3により発電された自家発電電力および商用電源から供給される商用電力で作動し、湯水を沸上げるヒートポンプユニット19と、所定の時刻に更新される所定時間帯の気象予測情報61を取得する気象予測情報取得部41と、一次判定時刻で気象予測情報61に基づいて算出される予測発電量を算出し、算出された予測発電量に基づいて、所定時間帯に昼沸上げを実行するか否かを判定し、昼沸上げの開始時刻を判定する実行判定部42とを備えた貯湯式給湯装置において、実行判定部42は、気象予測情報61が更新された場合、気象予測情報61に基づいて予測発電量を再算出し、再算出した予測発電量に応じて、昼沸き上げ時間と、夜沸き上げ時間とを再決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、
太陽光発電システムにより発電された自家発電電力および商用電源から供給される商用電力で作動し、前記湯水を沸上げるヒートポンプユニットと、
所定の時刻に更新される所定時間帯の気象予測情報を取得する気象予測情報取得部と、
一次判定時刻で前記気象予測情報に基づいて算出される前記自家発電電力の予測発電量を算出し、算出された前記予測発電量に基づいて、前記所定時間帯に前記自家発電電力で前記ヒートポンプユニットを作動させて前記湯水を沸上げる前記自家発電電力による沸上げを実行するか否かを判定し、昼沸上げの開始時刻を判定する実行判定部とを備えた貯湯式給湯装置において、
前記一次判定時刻以降で、かつ、前記商用電源による夜沸き上げ運転が開始するまでの間を所定第一判定区間とし、
前記実行判定部は、前記所定第一判定区間内に前記気象予測情報取得部で取得した前記気象予測情報が更新された場合、更新された前記気象予測情報に基づいて前記自家発電電力の前記予測発電量を再算出し、
前記実行判定部は、前記再算出した前記予測発電量が増加する方向に変更されたら、前記夜沸き上げの開始時刻を遅くする方向に変更し、昼沸き上げの時間を長くすることを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、
太陽光発電システムにより発電された自家発電電力および商用電源から供給される商用電力で作動し、前記湯水を沸上げるヒートポンプユニットと、
所定の時刻に更新される所定時間帯の気象予測情報を取得する気象予測情報取得部と、
一次判定時刻で前記気象予測情報に基づいて算出される前記自家発電電力の予測発電量を算出し、算出された前記予測発電量に基づいて、前記所定時間帯に前記自家発電電力で前記ヒートポンプユニットを作動させて前記湯水を沸上げる前記自家発電電力による沸上げを実行するか否かを判定し、昼沸上げの開始時刻を判定する実行判定部とを備えた貯湯式給湯装置において、
前記一次判定時刻以降で、かつ、前記商用電源による夜沸き上げ運転が開始するまでの間を所定第一判定区間とし、
前記実行判定部は、前記所定第一判定区間内に前記気象予測情報取得部で取得した前記気象予測情報が更新された場合、更新された前記気象予測情報に基づいて前記自家発電電力の前記予測発電量を再算出し、
前記実行判定部は、前記再算出した前記予測発電量が減少する方向に変更されたら、前記夜沸き上げの開始時刻を早くする方向に変更し、昼沸き上げの時間を短くすることを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項3】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、
太陽光発電システムにより発電された自家発電電力および商用電源から供給される商用電力で作動し、前記湯水を沸上げるヒートポンプユニットと、
所定の時刻に更新される所定時間帯の気象予測情報を取得する気象予測情報取得部と、
一次判定時刻で前記気象予測情報に基づいて算出される前記自家発電電力の予測発電量を算出し、算出された前記予測発電量に基づいて、前記所定時間帯に前記自家発電電力で前記ヒートポンプユニットを作動させて前記湯水を沸上げる前記自家発電電力による沸上げを実行するか否かを判定し、昼沸上げの開始時刻を判定する実行判定部とを備えた貯湯式給湯装置において、
前記一次判定時刻以降で、かつ、前記商用電源による夜沸き上げ運転が開始されてから終了するまでの間を所定第二判定区間とし、
前記実行判定部は、前記所定第二判定区間内に前記気象予測情報取得部で取得した前記気象予測情報が更新された場合、更新された前記気象予測情報に基づいて前記自家発電電力の前記予測発電量を再算出し、
前記実行判定部は、前記再算出した前記予測発電量が増加する方向に変更されたら、前記夜沸き上げの終了時刻を早くする方向に変更し、昼沸き上げの時間を長くすることを特徴とする貯湯式給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電システムにより発電された電力により湯水を沸上げる貯湯式給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、HEMS(Home Energy Management System)を利用して、宅内で使用されるエネルギーを一元管理する技術が知られている。例えば、太陽光発電システムと連携する貯湯式給湯装置が、太陽光発電システムが発電した電力により効率的に湯水の沸上げを行えるように、HEMSが沸上げ運転を実行可能な発電電力値となる時間帯を予測する技術が知られている。
【0003】
HEMSの導入により多くのメリットを享受できるが、一方で導入コストや導入のための工事作業が発生するというデメリットも存在し、HEMSの導入が困難な場合もある。そのような場合であっても、既存の機器を連携させて太陽光発電システムが発電した電力を、各ユーザーの希望を反映させながら効率よく湯水の沸上げに利用する方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
HEMSを用いない太陽光発電システムとして、翌日の気象予測情報から翌日の昼間に得られる予測発電量を予測し、予測発電量を用いて昼沸上げ運転を行う分の沸上げ量を夜間の夜沸上げ運転から沸上げ量を減らしているが、気象予測情報が外れた場合、昼に沸上げるはずだった分の予定の沸上げ量に達しないため、不足分を電力料金単価が割高な昼間の商用電源を用いて沸上げる必要があり、その分ユーザーの電気代を負担させてしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る貯湯式給湯装置は、湯水を貯湯する貯湯タンクと、太陽光発電システムにより発電された自家発電電力および商用電源から供給される商用電力で作動し、前記湯水を沸上げるヒートポンプユニットと、所定の時刻に更新される所定時間帯の気象予測情報を取得する気象予測情報取得部と、一次判定時刻で前記気象予測情報に基づいて算出される前記自家発電電力の予測発電量を算出し、算出された前記予測発電量に基づいて、前記所定時間帯に前記自家発電電力で前記ヒートポンプユニットを作動させて前記湯水を沸上げる前記自家発電電力による沸上げを実行するか否かを判定し、昼沸上げの開始時刻を判定する実行判定部とを備えた貯湯式給湯装置において、前記一次判定時刻以降で、かつ、前記商用電源による夜沸き上げ運転が開始するまでの間を所定第一判定区間とし、前記実行判定部は、前記所定第一判定区間内に前記気象予測情報取得部で取得した前記気象予測情報が更新された場合、更新された前記気象予測情報に基づいて前記自家発電電力の前記予測発電量を再算出し、前記実行判定部は、前記再算出した前記予測発電量が増加する方向に変更されたら、前記夜沸き上げの開始時刻を遅くする方向に変更し、昼沸き上げの時間を長くする。
【0007】
また、湯水を貯湯する貯湯タンクと、太陽光発電システムにより発電された自家発電電力および商用電源から供給される商用電力で作動し、前記湯水を沸上げるヒートポンプユニットと、所定の時刻に更新される所定時間帯の気象予測情報を取得する気象予測情報取得部と、一次判定時刻で前記気象予測情報に基づいて算出される前記自家発電電力の予測発電量を算出し、算出された前記予測発電量に基づいて、前記所定時間帯に前記自家発電電力で前記ヒートポンプユニットを作動させて前記湯水を沸上げる前記自家発電電力による沸上げを実行するか否かを判定し、昼沸上げの開始時刻を判定する実行判定部とを備えた貯湯式給湯装置において、前記一次判定時刻以降で、かつ、前記商用電源による夜沸き上げ運転が開始するまでの間を所定第一判定区間とし、前記実行判定部は、前記所定第一判定区間内に前記気象予測情報取得部で取得した前記気象予測情報が更新された場合、更新された前記気象予測情報に基づいて前記自家発電電力の前記予測発電量を再算出し、前記実行判定部は、前記再算出した前記予測発電量が減少する方向に変更されたら、前記夜沸き上げの開始時刻を早くする方向に変更し、昼沸き上げの時間を短くする。
【0008】
また、湯水を貯湯する貯湯タンクと、太陽光発電システムにより発電された自家発電電力および商用電源から供給される商用電力で作動し、前記湯水を沸上げるヒートポンプユニットと、所定の時刻に更新される所定時間帯の気象予測情報を取得する気象予測情報取得部と、一次判定時刻で前記気象予測情報に基づいて算出される前記自家発電電力の予測発電量を算出し、算出された前記予測発電量に基づいて、前記所定時間帯に前記自家発電電力で前記ヒートポンプユニットを作動させて前記湯水を沸上げる前記自家発電電力による沸上げを実行するか否かを判定し、昼沸上げの開始時刻を判定する実行判定部とを備えた貯湯式給湯装置において、前記一次判定時刻以降で、かつ、前記商用電源による夜沸き上げ運転が開始されてから終了するまでの間を所定第二判定区間とし、前記実行判定部は、前記所定第二判定区間内に前記気象予測情報取得部で取得した前記気象予測情報が更新された場合、更新された前記気象予測情報に基づいて前記自家発電電力の前記予測発電量を再算出し、前記実行判定部は、前記再算出した前記予測発電量が増加する方向に変更されたら、前記夜沸き上げの終了時刻を早くする方向に変更し、昼沸き上げの時間を長くする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る貯湯式給湯装置においては、気象予測情報の変化に応じて、最新の気象予測情報に適した沸き上げ時間を設定することができるため、電気料金の負担を抑制させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態における貯湯式給湯装置を含む給湯システムのシステム構成図。
【
図3】制御部により実行される昼沸上げ判定処理を説明するフローチャート。
【
図4】昼沸上げ判定処理を実行するために必要な情報を概念的に示す説明図。
【
図5】昼沸上げ判定処理において昼沸上げが可能あると判定された場合の給湯装置において実行される処理とその後の予測発電量の変化時に実行される処理の概念図。
【
図6】制御部により実行される沸上げ時刻変更処理を説明するフローチャート。
【
図7】昼沸上げ判定処理において昼沸上げが可能あると判定された場合の給湯装置において実行される処理とその後の予測発電量の変化時に実行される処理の概念図。
【
図8】ユーザー端末において昼沸上げ判定処理を行うのに必要な情報をユーザーから受け付ける際の画面表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る貯湯式給湯装置1の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本実施形態における貯湯式給湯装置1を含む給湯システム100のシステム構成図である。
【0013】
給湯システム100は、分電盤2と、太陽光発電システム3と、サーバー6と、貯湯式給湯装置1(以下単に「給湯装置1」という。)と、を有する。
【0014】
分電盤2は、太陽光発電システム3および給湯装置1とともに、住宅などの建造物(以下単に「住宅」という。)に設置されている。分電盤2は、商用電源2aおよび太陽光発電システム3に接続されている。分電盤2は、商用電源2aから供給される商用電力および太陽光発電システム3により発電された自家発電電力を、住宅で使用される給湯装置1や、給湯装置1以外のエアコンなどの宅内の電気負荷機器(以後の説明および
図1においては単に「エアコン等7」と示す。)に供給する。
【0015】
太陽光発電システム3は、太陽光発電パネル4と、インバータ5と、を有する。太陽光発電パネル4は、住宅の屋根などに設置される。インバータ5は、太陽光発電パネル4の発電電力を交流電源に変換する。
【0016】
サーバー6は、ネットワーク8を介して、給湯装置1およびユーザー端末9と接続されている。サーバー6は、給湯装置1で実行される種々の処理に必要な情報(詳細は後述)を給湯装置1およびユーザー端末9と送受信する。ユーザー端末9は、給湯装置1のユーザーの所有する、スマートフォンやタブレット、パーソナルコンピュータなどのネットワーク8を介してサーバー6と通信可能な機器である。
【0017】
給湯装置1は、貯湯タンク10と、ヒートポンプユニット19と、循環回路27と、リモコン32と、制御部31と、を有する。
【0018】
貯湯タンク10は、風呂や台所などの給湯端末に供給される湯水を貯湯する。貯湯タンク10は、給水管11と、出湯管12と、給水バイパス管13と、給湯管15と、貯湯温度センサ18と、を有する。
【0019】
給水管11は、貯湯タンク10の底部で貯湯タンク10に接続され、貯湯タンク10に給水する。出湯管12は、貯湯タンク10の頂部で貯湯タンク10に接続され、貯湯タンク10から出湯する。給水バイパス管13は、給水管11から分岐した配管であり、混合弁14を介して出湯管12と接続される。混合弁14は、出湯管12からの湯と給水バイパス管13からの水を、リモコン32によって設定された給湯設定温度になるように混合する。
【0020】
給湯管15は、混合弁14を介して供給される湯水を給湯端末に給湯する。給湯管15は、給湯流量センサ16と、給湯温度センサ17と、を有する。給湯流量センサ16は、給湯流量を検出し、対応する検出信号を制御部31に出力する。給湯温度センサ17は、給湯温度を検出し、対応する検出信号を出力する。
【0021】
貯湯温度センサ18は、貯湯タンク10内の湯水の温度を検出し、対応する検出信号を制御部31に出力する。貯湯温度センサ18は、貯湯タンク10の側面に高さ位置を変えて複数個設けられている。これら複数の貯湯温度センサ18のそれぞれは、例えば、十分に加熱された状態の湯の温度に対応して予め設定された、所定のしきい値以上の湯水温度を検出したとき、対応する検出信号を制御部31へ出力する。制御部31は、検出信号を出力する貯湯温度センサ18の個数に基づき、貯湯タンク10内において湯水が十分に加熱された状態となっている湯の量(すなわち貯湯量)を検出する。
【0022】
ヒートポンプユニット19は、自家発電電力および商用電力で作動し、湯水との熱交換を行い湯水を沸上げる。ヒートポンプユニット19は、圧縮機20と、水冷媒熱交換器21と、膨張弁22と、空気熱交換器23と、冷媒管26と、送風機24と、を有する。
【0023】
圧縮機20は、冷媒を高温高圧に圧縮搬送する。水冷媒熱交換器21は、高温の高圧の冷媒と貯湯タンク10からの水との熱交換を行う。膨張弁22は、水冷媒熱交換器21で熱交換された冷媒を減圧膨張させる。空気熱交換器23は、外気と低圧冷媒との熱交換を行い低圧冷媒を蒸発させる。冷媒管26は、圧縮機20、水冷媒熱交換器21、膨張弁22、および空気熱交換器23に冷媒を循環させる。送風機24は、空気熱交換器23へ外気を送風する。
【0024】
また、ヒートポンプユニット19は、吐出温度センサ25と、外気温度センサ30と、を有する。吐出温度センサ25は、圧縮機20から吐出される冷媒の温度を検出し、対応する検出信号を制御部31へ出力する。外気温度センサ30は、外気温度を検出し、対応する検出信号を制御部31へ出力する。
【0025】
循環回路27は、貯湯タンク10と水冷媒熱交換器21との間で貯湯タンク10内の湯水を循環させる。循環回路27は、加熱往き管27aと、加熱戻り管27bと、加熱循環ポンプ28と、沸上げ温度センサ29と、を有する。
【0026】
加熱往き管27aは、貯湯タンク10の下部と水冷媒熱交換器21の水側入口とを接続する。加熱戻り管27bは、水冷媒熱交換器21の水側出口と貯湯タンク10の上部とを接続する。加熱循環ポンプ28は、加熱往き管27a上に配置され、湯水を循環させる。沸上げ温度センサ29は、加熱戻り管27b上に配置され、検出信号を制御部31へ出力する。
【0027】
リモコン32は、給湯端末に供給される湯水の設定温度などの給湯装置1に関するユーザーからの指示を受け付ける。
【0028】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有し、制御部31の制御に必要な各種プログラムや、データを記憶する。制御部31は、各種プログラムに従って給湯装置1全体の作動を制御する。制御部31は、リモコン32と接続され、リモコン32と双方向に通信する。
【0029】
制御部31は特に、昼沸上げ判定処理(後述)を実行するための機能を有する。ここで、
図2は、制御部31およびサーバー6の機能ブロック図である。
図2においては、特に昼沸上げ判定処理と沸上げ時刻変更処理に必要な機能のみが図示され、その他の機能の図示は省略されている。制御部31は、記憶部50と、気象予測情報取得部41と、実行判定部42と、を有する。
【0030】
記憶部50は、昼沸上げ判定処理のためにユーザー端末9より取得する情報であり、後述するシステム容量情報51、宅内消費電力情報52および地域情報53を記憶する。
【0031】
気象予測情報取得部41は、所定時間帯の気象予測情報61をサーバー6より取得する。気象予測情報61は、雲量毎に規定された天気であり、例えば晴(第一天気)、曇(第二天気)、雨の三種類である。晴は、雲量が最も少なく、太陽光発電システム3の発電効率が最も高い天気である。曇は、晴よりも雲量の多い天気であり、晴よりも太陽光発電システム3の発電効率が低い天気である。雨は、太陽光発電システム3が発電しない、または発電したとしても晴よりも発電効率が低く、曇よりも発電効率が低い可能性のある天気である。
【0032】
所定時間帯は、太陽光発電システム3が発電可能な昼間に含まれる時間帯(以下「発電時間帯」という)であり、例えば9時から15時までである。気象予測情報取得部41は、発電時間帯の所定時間毎(例えば1時間毎)の気象予測情報61をサーバー6より取得する。
【0033】
実行判定部42は、自家発電電力の予測発電量に基づいて、発電時間帯中のいずれかの時間に自家発電電力 による沸上げを実行するか否かを判定する。予測発電量は、気象予測情報取得部41が取得した気象予測情報61に基づいて算出される(後述)。自家発電電力による沸上げは、発電時間帯中のいずれかの時間に自家発電電力でヒートポンプユニット19を作動させて、循環回路27を循環する湯水を沸上げる運転である。
【0034】
次に、本実施形態における給湯装置1の制御部31により実行される昼沸上げ判定処理の詳細を説明する。まず、昼沸上げ判定処理の前提として、給湯装置1が有する課題について説明する。
【0035】
給湯装置1は、商用電力または自家発電電力により、湯水の沸上げを行う。商用電力は、昼間(第一時間帯)よりも夜間(第二時間帯)の方が電力料金単価は安価に設定されている。このため、給湯装置1は、商用電力を用いる場合には、昼間に湯水を沸上げる(昼沸上げ運転)よりも、夜間に湯水を沸上げる(夜沸上げ運転)を行うことがユーザーの電気代の負担を軽減する観点から好ましい。
【0036】
しかしながら、住宅に給湯装置1とともに太陽光発電システム3が設置されている場合には、商用電力ではなく、自家発電電力で湯水を沸上げることが好ましい。太陽光発電システム3は、日照時間や日射量に応じて発電効率が変動する。このため、給湯装置1が自家発電電力で湯水を沸上げるためには、太陽光発電システム3が、昼間において、ユーザーが必要な量の湯水を沸上げるための電力量が得られるか否かを知る必要がある。
【0037】
例えば、HEMSが宅内で使用されるエネルギーを一元管理する場合には、給湯装置1が太陽光発電システム3の実際の発電量や宅内消費電力量の予測値を取得することができるため、発電量に応じて自家発電電力による沸上げの可否を判断することができる。 しかしながら、HEMSが設置されていない住宅においては、それが難しいという現状がある。
【0038】
すなわち、給湯装置1により気象予測情報61に基づいて翌日の昼間に沸上げに必要な自家発電電力が得られると判断され、夜間に沸上げる湯水の量を減らすことで、商用電力の使用量を低減し、自家発電電力の使用量を増加することができる。
【0039】
HEMSにより実際の発電量と給湯装置1以外の電気負荷機器で消費される実際の消費電力量を把握できる場合には、昼間の自家発電電力による沸上げに利用可能な余剰電力量の予測にこの実際の発電量と実際の消費電力量とを利用できる。しかしながら、HEMSが設置されていない住宅においては、実際の発電量が利用できないために余剰電力量の予測精度が相対的に低くなる。このため、翌日の昼間に沸上げることを決定した場合であっても、実際には電力量が得られずに電力料金単価の高い昼間の商用電力で沸上げすることになってしまうおそれがある。
【0040】
給湯装置1の沸上げに利用する太陽光発電システム3の余剰電力量を確実に得るためには、発電効率の高い晴が気象予測情報61として得られる場合にのみ、昼間の沸上げを実行すると判断し、曇や雨の際には夜沸上げで所要量の全量の湯水の沸上げを実行し、昼沸上げを実施しないことが好ましい。
【0041】
したがって、本実施形態における給湯装置1は、発電時間帯の所定時間毎の気象予測情報61をサーバー6より取得し、天気が晴れの場合には積極的に自家発電電力を利用した昼沸上げを行う昼沸上げ判定処理を実行する。
【0042】
図3は、制御部31により実行される昼沸上げ判定処理を説明するフローチャートである。
【0043】
この昼沸上げ判定処理は、例えば給湯装置1が起動されている間繰り返し実行される。
【0044】
ステップS1において、気象予測情報取得部41は、一次判定時刻が到来したか否かを判定する。一次判定時刻は、翌日の発電時間帯の気象予測情報61をサーバー6より取得する、予め設定された時刻である。一次判定時刻は、例えば、後述するステップS4において沸上げが必要な湯水の全量が夜沸上げで沸上げられると判定された場合に、その後夜沸上げを完了することのできるタイミングである。また、一次判定時刻は、天気予報の確度の観点から、可能な限り発電時間帯に近い時刻(例えば23時)であることが好ましい。
【0045】
気象予測情報取得部41は、一次判定時刻がいまだ到来していないと判定した場合(ステップS1のNO)、一次判定時刻が到来するまで待機する。一方、気象予測情報取得部41は、一次判定時刻が到来したと判定した場合(ステップS1のYES)、ステップS2において、サーバー6から気象予測情報61を取得する。
【0046】
気象予測情報取得部41は、給湯装置1が設置されている住宅の地域に関する地域情報53に基づいて、サーバー6より対応する地域の気象予測情報61を取得する。ここで、
図8は、ユーザー端末9において昼沸上げ判定処理を行うのに必要な情報をユーザーから受け付ける際の表示画面例を示す図である。
【0047】
ユーザー端末9は、例えば給湯装置1が専用に作成し提供するアプリケーションプログラム(アプリ)を所定のサーバー6よりダウンロードしてインストールすることにより、給湯装置1の操作のための指示を送信したり、給湯装置1の現在の使用状況や過去の使用履歴を閲覧したりする。制御部31は、これら処理に必要な所要の情報をユーザー端末9に提供したり、ユーザー端末9から取得した指示を給湯装置1において実行したりする。本実施形態においては、制御部31は、昼沸上げ判定処理を実行するための初期設定として、
図8の表示画面9aにおいて所要の情報をユーザー端末9より受け付ける。
【0048】
地域情報53は、都道府県および市町村に関する情報をアプリを介してユーザー端末9から受け付けることにより、制御部31が取得する。記憶部50は、取得した地域情報53を記憶する。
【0049】
サーバー6は、例えば気象情報を提供する業者などから提供された全国に亘る複数箇所の気象予測情報61を予め保有している。または、サーバー6は、給湯装置1より気象予測情報61が要求された場合に、所定のデーターサーバーから気象予測情報61を取得する。気象予測情報取得部41は、地域情報53に基づいて、対応する気象予測情報61をサーバー6に要求し取得する。気象予測情報取得部41は、例えば
図4に示すように、9時から15時までの発電時間帯の1時間毎の気象予測情報61を取得する。
【0050】
気象情報を提供する業者は、所定の時刻になると気象情報を更新するため、給湯装置1は所定の時刻に到達する度に気象予測情報61を要求することで、最新の気象予測情報61を取得することができ、より正確な気象情報から予測発電量を算出することができる。
【0051】
ステップS3において、実行判定部42は、発電時間帯において、自家発電電力でヒートポンプユニット19を作動させて湯水を沸上げる自家発電電力による昼沸上げを実行するか否か、を判定する。すなわち、実行判定部42は、自家発電電力の予測発電量に基づいて、商用電力ではなく自家発電電力でヒートポンプユニット19を作動させて昼沸上げが可能か否かを判定する。
【0052】
具体的には、実行判定部42は、得られた気象予測情報61の内容、すなわち晴、曇、雨にそれぞれ割り当てられる発電率に基づいて、予測発電量を算出する。また、実行判定部42は、予測発電量からエアコン等7で消費される電力量(以下単に「宅内消費電力量」という)を引いた余剰電力量と、ヒートポンプユニット19が湯水を沸上げる際に消費する電力量とを比較する。実行判定部42は、ヒートポンプユニット19で消費される量(以下単にヒートポンプ消費電力量)と比較し、余剰電力量がヒートポンプ消費電力量よりも大きい場合、自家発電電力による沸上げを実行すると判定する。
【0053】
実行判定部42は、気象予測情報61が晴である場合には発電率を0.6とする。また、曇および雨である場合には、発電率を0とする(曇の場合は、発電率を0.3として、曇と雨で発電率を異ならせても良い)。
【0054】
予測発電量は、太陽光発電システム3のシステム容量に、得られた気象予測情報61に割り当てられる発電率を乗算した値を用いる。システム容量は、太陽光発電システム3の単位時間あたり(1時間あたり)の発電量であって発電能力を表す値であり、太陽光発電システム3に固有の値である。制御部31は、
図8に示すようにアプリの表示画面9aにおいてユーザー端末9からシステム容量を受け付け、システム容量情報51として記憶部50に記憶する。
【0055】
実行判定部42は、例えば
図4aに示すような気象予測情報61が得られた場合、1時間毎の予測発電量を、システム容量と発電率とを掛け合わせてそれぞれ算出する。
【0056】
宅内消費電力量は、例えば単位時間あたり(1時間あたり)の宅内消費電力量の平均値であり、ユーザーにより設定される値である。制御部31は、ユーザー端末9より表示画面9aを介して受け付けた宅内消費電力量を、宅内消費電力情報52として記憶部50に記憶する。
【0057】
実行判定部42は、予測発電量からこの宅内消費電力量を引くことにより余剰電力量を算出する。すなわち、余剰電力量は、システム容量×発電率-宅内消費電力量で定義される。
【0058】
ヒートポンプ消費電力量は、予め設定されて制御部31が保有する、ヒートポンプユニット19が沸上げ時に消費する電力量に若干の上乗せ分の係数を掛け合わせた値である。ヒートポンプ消費電力量は、季節や曜日などにより変動し得る値である。例えば、ヒートポンプ消費電力量は、通常時は1kWに係数1.2を掛け合わせた値に設定される。また、ヒートポンプユニット19の使用頻度が高くなる冬などにおいては1.5kWに係数1.2を掛け合わせた値に設定される。
【0059】
ステップS4において、実行判定部42は、算出した余剰電力量がヒートポンプ消費電力量よりも大きいか否かを判定することにより、自家発電電力の余剰電力量で湯水の昼沸上げが可能であるか否かを判定する。実行判定部42は、沸上げに要する時間(例えば2時間)分連続して余剰電力量がヒートポンプ消費電力量よりも大きい場合に、昼沸上げが可能であると判定する。例えば
図4aの例においては、2時間連続して余剰電力量がヒートポンプ消費電力量よりも大きく、運転判定が○であるため、実行判定部42は、昼沸上げが可能であると判定する。
【0060】
実行判定部42は、昼沸上げが不可能であると判定した場合(ステップS4のNO)、ステップS5において、沸上げが必要な湯水の全量を沸上げるための夜沸上げを実行する。すなわち、翌日の昼間は所要の日照時間や日射量が得られず昼沸上げが行えないため、電力料金単価の低い夜間に、商用電力で全量の湯水を沸上げる。その後、制御部31は、ステップS1に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0061】
一方、実行判定部42は、昼沸上げが可能であると判定した場合(ステップS4のYES)、ステップS6において、夜沸き上げの開始時刻と昼沸上げの開始時刻を決定する。実行判定部42は、沸上げに要する時間分連続して得られる時刻のうち、最も早い時間帯を昼沸上げの開始時刻とする。これは、気象予測情報61を取得したタイミングに対して近い時刻の気象予測情報61は確度が高いといえるためである。例えば
図4aの例においては、3時間連続して昼沸上げが実行可能な時間のうち最も早い9時を、開始時刻に決定し、3時間の昼沸上げとする。
【0062】
また、実行判定部42は、昼沸上げを実行する時間帯の設定をユーザーから受け付けてもよい。太陽光発電システム3の発電のピークは、太陽光発電パネル4の設置角度などに応じてユーザー毎に異なる。このため、給湯装置1は、自家発電電力による昼沸上げを実行する時間帯をユーザーに選択させることにより、各ユーザーに合わせた沸上げを実行するため、
図8のユーザー端末9の表示画面9aにおいて、時間帯の設定を「早め」ボタン、「標準」ボタンまたは「遅め」ボタンの選択により受け付けるようにして、昼沸上げの時間をずらしても良い。
【0063】
ステップS7で決定した夜沸上げの開始時刻に到達すると、S8において、制御部31は沸上げが必要な湯水のうちの一部の量について、商用電力による夜沸上げを実行する(
図5a参照)。すなわち、翌日の昼間は所要の日照時間や日射量が得られる予測であることから、電力料金単価の低い夜間に、沸上げが必要な湯水の一部(例えば全量の20~60%)の湯水を商用電力で沸上げる。この沸上げが必要な湯水の一部とは、沸上げが必要な湯水の全量から昼沸上げで沸き上げる湯量を引いた湯量を夜沸上げで沸き上げる必要があるため、昼沸上げで沸き上げる湯量に応じて夜沸上げの開始時刻が変更される。
【0064】
ステップS9において、制御部31は、ステップS6で決定された昼沸上げの開始時刻が到来したか否かを判定する。制御部31は、開始時刻がいまだ到来していないと判定した場合(ステップS9のNO)、開始時刻が到来するまで待機する。一方、制御部31は、開始時刻が到来したと判定した場合(ステップS9のYES)、ステップS10において、沸上げが必要な湯水のうちの残量を自家発電電力により沸上げる(
図5a参照)。その後、制御部31はステップS1に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0065】
以上が
図3のフローチャートに沿った昼沸き上げ判定処理である。しかし、一次判定時刻で取得した気象予測情報61が一次判定時刻以降で変更された場合、算出した予測発電量とは異なる可能性があるため、昼沸上げ判定処理とは別に制御部31により実行される沸上げ時刻変更処理を行う必要がある。
図6は、沸上げ時刻変更処理を説明するフローチャートである。
【0066】
ステップS11において、気象予測情報取得部41は、所定の時刻に到達する度にサーバー6から気象予測情報61を取得する(ここでは、23時、24時、1時・・・7時と、23時~7時までの1時間経過する毎を所定の時刻とする。)。気象予測情報取得部41は、所定の時刻に到達していないと判定した場合(ステップS12のNO)、所定の時刻に到達するまで待機する。一方、気象予測情報取得部41は、所定の時刻に到達したと判定した場合(ステップS11のYES)、ステップS12において、サーバー6から気象予測情報61を要求し、最新の9時から15時までの発電時間帯の1時間毎の気象予測情報61を取得し、9時から15時までの気象予測情報61が更新された場合、制御部31は最新の気象予測情報61を記憶する。
【0067】
ステップS13において、実行判定部42は、一次判定時刻で取得した気象予測情報61に対して(一次判定時刻の気象予測情報61がすでに更新されている場合は、直前の気象予測情報61に対して)、ステップS12で取得した気象予測情報61に変化があったか否かを判定する。実行判定部42は、変化があると判定した場合(ステップS13のYES)、ステップS14において、実行判定部42は、昼沸上げを行うことになっているかと全量沸上げを行うことになっているかを確認し、全量沸上げを行うことになっている場合は(ステップS14のNO)、ステップS11に戻る。一方、実行判定部42は、昼沸上げを実行する予定である場合(ステップS14のYES)、夜沸き上げ開始時刻及び昼沸上げ開始時刻がすでに決定していると判断する。
【0068】
ステップS15において、更新された最新の気象予測情報61を取得した時間が、一次判定時刻以降で、かつ、夜沸き上げ運転が開始するまでの間の第一判定区間内であったかを判定する。実行判定部42は、更新された最新の気象予測情報61を取得した時間が第一判定区間であると判定した場合(ステップS15のYES)、ステップS16において、実行判定部42は、予測発電量を再算出する。
【0069】
ステップS17において、実行判定部42は、一次判定時刻に取得した気象予測情報61に対して算出した予測発電量と、更新された最新の気象予測情報61に対して算出した更新された予測発電量を比較し、予測発電量が増加する方向に気象予測情報61が変化している場合(
図4b参照)、ステップS18において、実行判定部42は、夜沸上げ運転の開始時刻をステップS6で決定した夜沸上げ運転の開始時刻よりも遅くし、昼沸上げの時間を長くする(
図5b参照)。
【0070】
このように、一次判定時刻に取得した気象予測情報61に対して算出した予測発電量と、更新された最新の気象予測情報61に対して算出した更新された予測発電量を比較し、予測発電量が増加している方向に気象予測情報61が変化している場合、商用電源による夜沸上げ運転の開始時刻を遅くして、夜間の沸上げ量を減らし、減った分の沸上げ量を自家発電電力による昼沸上げ運転の時間を長くすることで沸上げ量を確保することができると共に、ユーザーの電気代の負担を軽減することができる。
【0071】
また、ステップS17において、実行判定部42は、一次判定時刻に取得した気象予測情報61に対して算出した予測発電量と、更新された最新の気象予測情報61に対して算出した更新された予測発電量を比較し、予測発電量が減少する方向に気象予測情報61が変化している場合(
図4c参照)、ステップS19において、実行判定部42は、夜沸上げ運転の開始時刻をステップS6で決定した夜沸上げ運転の開始時刻よりも早くし、昼沸上げの時間を短くする(算出した予測発電量が0の場合は昼沸上げの時間を無くす)(
図5c参照)。
【0072】
このように、一次判定時刻に取得した気象予測情報61に対して算出した予測発電量と、更新された最新の気象予測情報61に対して算出した更新された予測発電量を比較し、予測発電量が減少している方向に気象予測情報61が変化している場合、商用電源による夜沸上げ運転の開始時刻を早くして、夜間の沸上げ量を増やし、自家発電電力による昼沸上げ運転の時間を短くすることで、一次判定時刻で判定していた発電量では、必要な沸上げ量に達しないことにより、湯切れのリスクを防止できると共に、電力料金単価の高い昼間の商用電源を用いた沸上げを行わないため、ユーザーの電気代の負担を軽減することができる。
【0073】
また、ステップS15において、更新された最新の気象予測情報61を取得した時間が、第一判定区間ではないとされ(ステップS15のNO)、ステップS20において、更新された最新の気象予測情報61を取得した時間が、一次判定時刻以降で、かつ、商用電源による夜沸き上げ運転が開始されてから終了するまでの間の第二判定区間内であったかを判定する(
図7a参照)。実行判定部42は、更新された最新の気象予測情報61を取得した時間が第二判定区間であると判定した場合(ステップS20のYES)、ステップS21において、実行判定部42は、予測発電量を再算出する。
【0074】
ステップS22において、実行判定部42は、一次判定時刻に取得した気象予測情報61に対して算出した予測発電量と、更新された最新の気象予測情報61に対して算出した更新された予測発電量を比較し、予測発電量が増加する方向に気象予測情報61が変化している場合、ステップS23において、実行判定部42は、夜沸上げ運転の終了時刻をステップS6で決定した夜沸上げ運転の終了時刻よりも早くし、夜沸上げの時間を短くし、昼沸上げの時間を長くする(
図7b参照)。
【0075】
このように、一次判定時刻に取得した気象予測情報61に対して算出した予測発電量と、更新された最新の気象予測情報61に対して算出した更新された予測発電量を比較し、予測発電量が増加している方向に気象予測情報61が変化している場合、商用電源による夜沸上げ運転の終了時刻を早くして、夜間の沸上げ量を減らし、減った分の沸上げ量を自家発電電力による昼沸上げ運転の時間を長くすることで沸上げ量を確保することができると共に、ユーザーの電気代の負担を軽減することができる。
【0076】
また、ステップS20において、更新された最新の気象予測情報61を取得した時間が、第一判定区間でも第二判定区間でもないとさた場合(ステップS20のNO)、ステップS24において、実行判定部42は、該当なしとしてステップS6で決定した沸上げ開始時刻と終了時刻を用いる。
【0077】
ステップS18、ステップS19、ステップS23、ステップS24の後、実行判定部42はステップS11に戻り、以降の処理を所定の時刻に到達する度に繰り返す。
【0078】
このように、一次判定時刻に取得した気象予測情報61から予測発電量から夜沸上げの開始時刻と昼沸上げの開始時刻を決定するが、決定後に気象予測情報61が変化した場合、気象予測情報61の変化に応じて、最新の気象予測情報61に適した配分で夜沸上げ開始時刻と昼沸上げ開始時刻を設定することができるため、電気料金の負担を抑制させることができると共に、湯切れのリスクを防止することができる。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる
【0080】
例えば、昼沸上げ判定処理で用いた発電率の値は一例であって、任意の値に設定されればよい。
【0081】
また、サーバー6が、昼沸上げ判定処理に必要な情報をユーザーより取得し、記憶したが、制御部31が直接ユーザーより取得してもよい。
【0082】
また、
図7aの第二判定区間は、一次判定時刻以降で、かつ、商用電源による夜沸き上げ運転が開始されてから終了するまでの間としたが、夜沸上げの終了時刻間際では、昼沸上げに繰り越す分がなくなるため、夜沸上げの終了時刻の所定時間前(1時間前)までにしても良い。つまり、第二判定区間は、一次判定時刻以降で、かつ、商用電源による夜沸き上げ運転が開始されてから終了する所定時間前までの間としても良い。
【0083】
また、本実施形態では、昼沸上げの時間を長くまたは短くする場合、昼沸上げの開始時刻を変化させているが、昼沸上げの終了時刻を変化させるものでも良い。特に予測発電量が増加する場合は、沸上げ時間を長くするが、気象予測情報61に基づいて発電率が高い時間帯の方に時間を長くしても良い。
【符号の説明】
【0084】
1 貯湯式給湯装置(給湯装置)
3 太陽光発電システム
6 サーバー
7 エアコン等
8 ネットワーク
9 ユーザー端末
10 貯湯タンク
19 ヒートポンプユニット
27 循環回路
31 制御部
32 リモコン
41 気象予測情報取得部
42 実行判定部