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  • 特開-強皮症の診断法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011722
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】強皮症の診断法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20230117BHJP
   G01N 33/536 20060101ALI20230117BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20230117BHJP
   G01N 33/545 20060101ALI20230117BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20230117BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230117BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20230117BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230117BHJP
   C07K 14/47 20060101ALN20230117BHJP
【FI】
G01N33/53 N ZNA
G01N33/53 Y
G01N33/536 D
G01N33/536 B
G01N33/543 597
G01N33/545 A
A61P1/00
A61P17/00
A61P9/12
A61K45/00
C07K14/47
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171090
(22)【出願日】2022-10-26
(62)【分割の表示】P 2019541068の分割
【原出願日】2018-01-29
(31)【優先権主張番号】62/451,923
(32)【優先日】2017-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】514135801
【氏名又は名称】シーダーズ-サイナイ メディカル センター
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ピメンテル マーク
(72)【発明者】
【氏名】フルスト ダニエル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】抗ビンキュリン抗体の検出を含む全身性強皮症(SSc)を診断するための方法。また、全身性強皮症(SSc)と診断された対象の治療を選択するための方法、及び全身性強皮症(SSc)を治療するための方法。
【解決手段】全身性強皮症に関連する診断を望む対象から生体試料を得る工程と、
前記生体試料内における抗ビンキュリン抗体の濃度を検出する工程と、
抗ビンキュリン抗体の前記濃度が抗ビンキュリン抗体の基準濃度よりも高い場合に、全身性強皮症と診断する工程と
を含む、全身性強皮症を診断するための方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全身性強皮症に関連する診断を望む対象から生体試料を得る工程と、
前記生体試料内における抗ビンキュリン抗体の濃度を検出する工程と、
抗ビンキュリン抗体の前記濃度が抗ビンキュリン抗体の基準濃度よりも高い場合に、全身性強皮症と診断する工程と
を含む、全身性強皮症を診断するための方法。
【請求項2】
前記対象は全身性強皮症の1種または複数種の症状を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記生体試料は、全血、血清、または血漿である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
抗ビンキュリン抗体の前記濃度を検出する工程は、酵素免疫測定法(ELISA)を使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
抗ビンキュリン抗体の前記濃度を検出する工程は、免疫組織化学、フローサイトメトリー、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)、ラジオイムノアッセイ、またはアフィニティ精製を使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記抗ビンキュリン抗体は、ビンキュリンまたは配列番号:1上のエピトープに特異的に結合することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ビンキュリンまたはそのフラグメントは、前記抗ビンキュリン抗体を検出するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
抗ビンキュリン抗体の前記濃度が抗ビンキュリン抗体の基準濃度よりも高い場合に、肺動脈高血圧症(PAH)と診断する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
全身性強皮症を有するまたは全身性強皮症の1種または複数種の症状を有する対象における抗ビンキュリン抗体の濃度を測定する方法であって、
ビンキュリンまたはそのフラグメントを使用して、全身性強皮症を有するまたは全身性強皮症の1種または複数種の症状を有する前記対象から得た生体試料をアッセイすることにより、前記生体試料内における抗ビンキュリン抗体の前記濃度を測定する工程
を含む、前記方法。
【請求項10】
ビンキュリンまたはそのフラグメントは配列番号:1またはそのフラグメントである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
抗ビンキュリン抗体の前記濃度を測定する工程は、酵素免疫測定法(ELISA)を使用することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記生体試料は、全血、血清、または血漿である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
抗ビンキュリン抗体の前記濃度を測定する工程は、免疫組織化学、フローサイトメトリー、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)、ラジオイムノアッセイ、またはアフィニティ精製を使用することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
全身性強皮症を有するまたは全身性強皮症の1種または複数種の症状を有する対象から得た生体試料と、
前記生体試料内における抗ビンキュリン抗体の濃度を測定するためのアッセイと
を含む、システム。
【請求項15】
前記アッセイはビンキュリンまたはそのフラグメントを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
請求項9に記載の方法により抗ビンキュリン抗体の濃度を測定する工程と、
抗ビンキュリン抗体の前記濃度が基準値よりも高い場合に全身性強皮症を治療するための全身性強皮症用の治療法を選択する工程と
を含む、全身性強皮症用の治療法を選択する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、全身性強皮症を有するまたは全身性強皮症を有することが疑われる対象における抗ビンキュリン抗体の測定に関する。本発明はまた、全身性強皮症の診断法及び治療に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
本明細書における全ての刊行物は、それぞれの個々の刊行物または特許出願が参照により組み込まれることが明示的及び個別に示されるかのように、同程度に参照により組み込まれる。以下の記載は、本発明を理解するのに有用となり得る情報を含む。本明細書で提供する情報のいずれかが先行技術であるもしくは本願請求項に記載の発明に関連するということ、または、明示的または暗に参照したいずれの刊行物が先行技術であるということを認めるものではない。
【0003】
本発明は強皮症に関する。全身性強皮症(systemic sclerosis)(SSc)(全身性強皮症(systemic scleroderma)としても周知)は、一般に自己免疫疾患に分類される慢性的な結合組織病である。全身性強皮症は、皮膚、食道、胃腸管(胃及び腸)、肺、腎臓、心臓及びその他の内部器官に影響を与え得る。血管、筋肉及び関節にも影響を与え得る。胃腸(GI)運動障害は、全身性強皮症(SSc)を有するほとんどの患者が一般に直面している課題である。胃腸運動障害は、患者の生活の質及びSScの罹患率に大きな影響を与える。現時点で提唱されている発生機序は、SSc患者におけるGI障害の様々な表現型提示について完全には説明できていない。
【0004】
それゆえ、当該技術分野においては、全身性強皮症の原因を同定する必要性、ならびに、全身性強皮症を診断及び治療するための方法を見極める必要性が依然として存在している。
【発明の概要】
【0005】
以下の実施形態及びその態様について組成物及び方法と共に記載及び説明するが、そのことは代表的及び例示的であることを意味し、範囲を限定するものではない。
【0006】
全身性強皮症を診断するための方法を提供する様々な実施形態は、全身性強皮症に関連する診断を望む対象から生体試料を得ること、生体試料内における抗ビンキュリン抗体の濃度を検出すること、及び、抗ビンキュリン抗体の濃度が抗ビンキュリン抗体の基準濃度よりも高い場合に全身性強皮症と診断すること、を含む。
【0007】
様々な実施形態では、対象は全身性強皮症の1種または複数種の症状を示し得る。様々な実施形態では、生体試料は、全血、血清または血漿であり得る。様々な実施形態では、抗ビンキュリン抗体の濃度を検出することは、酵素免疫測定法(ELISA)を使用することを含み得る。様々な実施形態では、抗ビンキュリン抗体の濃度を検出することは、免疫組織化学、フローサイトメトリー、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)、ラジオイムノアッセイまたはアフィニティ精製を使用することを含み得る。様々な実施形態では、抗ビンキュリン抗体は、ビンキュリンまたは配列番号:1上のエピトープに特異的に結合することができ得る。様々な実施形態では、ビンキュリンまたはそのフラグメントは、抗ビンキュリン抗体を検出するために使用され得る。様々な実施形態では、本方法は、抗ビンキュリン抗体の濃度が抗ビンキュリン抗体の基準濃度よりも高い場合に肺動脈高血圧症(PAH)と診断することを更に含み得る。
【0008】
本発明の様々な実施形態は、全身性強皮症を有するまたは全身性強皮症の1種または複数種の症状を有する対象における抗ビンキュリン抗体の濃度を測定するための方法を提供し、本方法は、ビンキュリンまたはそのフラグメントを使用して、全身性強皮症を有するまたは全身性強皮症の1種または複数種の症状を有する対象から得た生体試料をアッセイすることにより、生体試料内における抗ビンキュリン抗体の濃度を測定することを含む。様々な実施形態では、ビンキュリンまたはそのフラグメントは配列番号:1またはそのフラグメントであり得る。様々な実施形態では、抗ビンキュリン抗体の濃度を測定することは、酵素免疫測定法(ELISA)を使用することを含み得る。様々な実施形態では、生体試料は、全血、血清または血漿であり得る。様々な実施形態では、抗ビンキュリン抗体の濃度を測定することは、免疫組織化学、フローサイトメトリー、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)、ラジオイムノアッセイまたはアフィニティ精製を使用することを含み得る。
【0009】
本発明の様々な実施形態はシステムを提供し、本システムは、全身性強皮症を有するまたは全身性強皮症の1種または複数種の症状を有する対象から得た生体試料、及び、生体試料内における抗ビンキュリン抗体の濃度を測定するためのアッセイを含む。様々な実施形態では、本アッセイはビンキュリンまたはそのフラグメントを含む。
【0010】
様々な実施形態は、全身性強皮症用の治療法を選択するための方法を提供し、本方法は、本発明の方法により抗ビンキュリン抗体の濃度を測定すること、及び、抗ビンキュリン抗体の濃度が基準値よりも高い場合に全身性強皮症を治療するための全身性強皮症用の治療法を選択することを含む。
【0011】
[本発明1001]
全身性強皮症に関連する診断を望む対象から生体試料を得る工程と、
前記生体試料内における抗ビンキュリン抗体の濃度を検出する工程と、
抗ビンキュリン抗体の前記濃度が抗ビンキュリン抗体の基準濃度よりも高い場合に、全身性強皮症と診断する工程と
を含む、全身性強皮症を診断するための方法。
[本発明1002]
前記対象は全身性強皮症の1種または複数種の症状を示す、本発明1001の方法。
[本発明1003]
前記生体試料は、全血、血清、または血漿である、本発明1001の方法。
[本発明1004]
抗ビンキュリン抗体の前記濃度を検出する工程は、酵素免疫測定法(ELISA)を使用することを含む、本発明1001の方法。
[本発明1005]
抗ビンキュリン抗体の前記濃度を検出する工程は、免疫組織化学、フローサイトメトリー、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)、ラジオイムノアッセイ、またはアフィニティ精製を使用することを含む、本発明1001の方法。
[本発明1006]
前記抗ビンキュリン抗体は、ビンキュリンまたは配列番号:1上のエピトープに特異的に結合することができる、本発明1001の方法。
[本発明1007]
前記ビンキュリンまたはそのフラグメントは、前記抗ビンキュリン抗体を検出するために使用される、本発明1001の方法。
[本発明1008]
抗ビンキュリン抗体の前記濃度が抗ビンキュリン抗体の基準濃度よりも高い場合に、肺動脈高血圧症(PAH)と診断する工程を更に含む、本発明1001の方法。
[本発明1009]
全身性強皮症を有するまたは全身性強皮症の1種または複数種の症状を有する対象における抗ビンキュリン抗体の濃度を測定する方法であって、
ビンキュリンまたはそのフラグメントを使用して、全身性強皮症を有するまたは全身性強皮症の1種または複数種の症状を有する前記対象から得た生体試料をアッセイすることにより、前記生体試料内における抗ビンキュリン抗体の前記濃度を測定する工程
を含む、前記方法。
[本発明1010]
ビンキュリンまたはそのフラグメントは配列番号:1またはそのフラグメントである、本発明1009の方法。
[本発明1011]
抗ビンキュリン抗体の前記濃度を測定する工程は、酵素免疫測定法(ELISA)を使用することを含む、本発明1009の方法。
[本発明1012]
前記生体試料は、全血、血清、または血漿である、本発明1009の方法。
[本発明1013]
抗ビンキュリン抗体の前記濃度を測定する工程は、免疫組織化学、フローサイトメトリー、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)、ラジオイムノアッセイ、またはアフィニティ精製を使用することを含む、本発明1009の方法。
[本発明1014]
全身性強皮症を有するまたは全身性強皮症の1種または複数種の症状を有する対象から得た生体試料と、
前記生体試料内における抗ビンキュリン抗体の濃度を測定するためのアッセイと
を含む、システム。
[本発明1015]
前記アッセイはビンキュリンまたはそのフラグメントを含む、本発明1014のシステム。
[本発明1016]
本発明1009の方法により抗ビンキュリン抗体の濃度を測定する工程と、
抗ビンキュリン抗体の前記濃度が基準値よりも高い場合に全身性強皮症を治療するための全身性強皮症用の治療法を選択する工程と
を含む、全身性強皮症用の治療法を選択する方法。
本発明のその他の特徴及び利点は、本発明の実施形態の様々な特徴を例として示す添付図面と関連させて記載される、以下の発明を実施するための形態により明らかとなる。
【0012】
例示的な実施形態について、参照図面により説明する。本明細書で開示する実施形態及び図面は、限定的ではなくむしろ例示的とみなされることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の様々な実施形態によるビンキュリンに対する、肺動脈高血圧症(PAH)と喫煙の相互作用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の説明
本明細書で引用した全ての参照文献は、あたかも完全に記載されているようにその全体が参照により組み込まれる。特に定義しない限り、本明細書で使用する技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般に理解する意味と同一の意味を有する。Singleton et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 3rd ed.,Revised,J.Wiley & Sons(New York,NY 2006);March,Advanced Organic Chemistry Reactions,Mechanisms and Structure 7th ed.,J.Wiley & Sons(New York,NY 2013);及びSambrook and Russel,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 4th ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press(Cold Spring Harbor,NY 2012)は、本出願で使用される用語の多くに対する一般的なガイドを当業者に提供する。抗体の調製方法の参照については、D.Lane,Antibodies:A Laboratory Manual 2nd ed.(Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor NY,2013);Kohler and Milstein,(1976)Eur.J.Immunol.6:511;Queen et al.米国特許番号5,585,089;and Riechmann et al.,Nature 332:323(1988);米国特許番号4,946,778;Bird,Science 242:423-42(1988);Huston et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883(1988);Ward et al.,Nature 334:544-54(1989);Tomlinson I.and Holliger P.(2000)Methods Enzymol,326,461-479;Holliger P.(2005)Nat.Biotechnol.Sep;23(9):1126-36)を参照されたい。
【0015】
当業者は、本明細書に記載の方法及び物質と同様または同等の多くの方法及び物質について認識すると考えられ、それらは本発明の実施において使用可能である。実際、本発明は、記載される方法及び物質に限定されるものではない。本発明の目的のために、以下の用語について以下で定義する。
【0016】
本明細書で使用する場合、「哺乳動物」とは、限定するわけではないが、ヒト及び非ヒト霊長類、例えば、チンパンジーなど、ならびに、その他の類人猿及びサル種;家畜、例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ及びウマなど;飼育哺乳動物、例えば、イヌ及びネコなど;げっ歯類、例えば、マウス、ラット及びモルモットなどを含む実験動物などを含む哺乳綱分類の任意のメンバーのことを意味する。この用語は特定の年齢または性別を表すものではない。それゆえ、成人及び新生児の対象に加えて胎児(男性または女性にかかわらず)が、この用語の範囲内に含まれることを意図している。
【0017】
本明細書で使用する場合、「治療」及び「治療すること」とは、治療処置と予防(prophylactic)手段または予防(preventative)手段(例えば、症状または病状を有する可能性を低下させるための)の両方のことを意味し、その目的は、たとえ治療が最終的に失敗したとしても、標的とする病理学的症状または障害を予防または鈍化(軽減)させることである。治療を必要とする対象としては、既に症状または障害を有している対象に加え、症状または障害を有する傾向のある対象、または、症状または障害の予防が行われる(例えば、症状または障害を有する可能性が低下させられる)対象が挙げられる。
【0018】
本明細書で使用する場合、「抗体(antibody)」または「抗体(antibodies)」としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単鎖(組換え)Fvなどの抗体変異体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、及び、免疫学的に活性な抗体フラグメントが挙げられる。
【0019】
本明細書で使用する場合、「特異的に結合する」とは、抗体がその抗原に結合する作用のことを意味し、無作為のタンパク質間に生じ得る低レベルの非特異的結合を排除することを意図する。本明細書で使用する場合、「特異的に結合する」とは、抗体は関連エピトープを含む任意のタンパク質と交差反応し得ることから、抗体が本明細書で開示するタンパク質またはポリペプチド以外の任意のタンパク質に結合しないことを意図及び意味するものではない。
【0020】
基準量に関連させて本明細書で使用する場合、「有意により高い」とは、基準量よりも高い統計的に有意な量のことを意味する。
【0021】
小腸細菌過増殖(SIBO)はSScにおいて一般的であり、有病率は30%~62%と報告されている。別の運動障害(過敏性腸症候群(IBS))の発生に対するSIBOの潜在的な寄与について本発明者が研究しており、微生物及びその毒素(CdtB)の重要な役割が確認されている。カハール介在細胞(ICC)及び腸筋神経節内において抗CdtB抗体がビンキュリンと交差反応しており、正常な消化管運動に必要であることが報告された。ビンキュリンが内皮細胞内で過剰発現しており、SScに見られる障害性の血管形成プロセスに役割を有し得ることが更に判明した。いかなる特定の理論に制限されるものではないが、SScにおけるビンキュリンの過剰発現が、SScにおけるGI障害と血管障害性の変化の両方に寄与する抗ビンキュリン抗体を誘発すると本発明者らは考えた。
【0022】
本明細書に記載するが、本発明者は、抗ビンキュリン抗体がSSc患者に存在しており、それら抗体がGI障害ではなく肺動脈高血圧症と関連していることを見出した。
【0023】
ビンキュリンは、117-kDaの細胞質アクチン結合タンパク質であり、これは接着斑と接着結合の両方における主要な構成要素であり、インテグリンまたはカドヘリンそれぞれとアクチン細胞骨格の間の連結部を形成する。
【0024】
本発明の様々な実施形態はこれらの知見の少なくとも一部に基づいている。
【0025】
全身性強皮症を診断するための方法
本発明の様々な実施形態は、全身性強皮症を診断するための方法、アッセイ及びシステムを提供する。
【0026】
様々な実施形態では、本方法は、全身性強皮症に関連する診断を望む対象から生体試料を得ること、生体試料内における抗ビンキュリン抗体の濃度を検出すること、及び、抗ビンキュリン抗体の濃度が基準値よりも高い場合に全身性強皮症と診断すること、を含む。一部の実施形態では、本方法は、抗ビンキュリン抗体の濃度が抗ビンキュリン抗体の基準濃度よりも高い場合に肺動脈高血圧症(PAH)と診断することを更に含む。使用可能な抗ビンキュリン抗体の基準値については本明細書に記載している。
【0027】
様々な実施形態では、本方法は、全身性強皮症に関連する診断を望む対象から生体試料を得ること、生体試料内における抗ビンキュリン抗体の有無を検出すること、及び、抗ビンキュリン抗体の存在が検出された場合に全身性強皮症と診断すること、を含む。一部の実施形態では、本方法は、抗ビンキュリン抗体の存在が検出された場合に肺動脈高血圧症(PAH)と診断することを更に含む。特定の実施形態では、本方法は、全身性強皮症と診断された場合に全身性強皮症用の治療を選択することを更に含む。
【0028】
様々な実施形態では、本方法は対象由来の生体試料内における抗ビンキュリン抗体の有無を検出することを含み、抗ビンキュリン抗体の存在は全身性強皮症の存在を示す。一部の実施形態では、本方法は、抗ビンキュリン抗体の濃度が抗ビンキュリン抗体の基準濃度よりも高い場合に肺動脈高血圧症(PAH)と診断することを更に含む。様々な実施形態では、対象は、全身性強皮症に関連する診断を望む対象である。
【0029】
様々な実施形態では、全身性強皮症の診断または疑いがなされた場合、全身性強皮症またはPAHであることを更に確認するために、全身性強皮症またはPAHの1種または複数種の症状と更に対比してもよい。例えば、全身性強皮症の2、3、4、5、6、7、8、9または10種類の症状と、PAHの2、3、4または5種類の症状と、または、全身性強皮症の5、10、15、20またはそれ以上の種類の症状と対比してもよい。全身性強皮症及びPAHの症状は本明細書に記載の症状であり得る。
【0030】
様々な実施形態では、全身性強皮症を有するまたは全身性強皮症の1種または複数種の症状を有する対象における抗ビンキュリン抗体の有無を検出するための方法を提供する。様々な実施形態では、本方法は、ビンキュリンまたはそのフラグメントを使用して、全身性強皮症を有するまたは全身性強皮症の1種または複数種の症状を有する対象から得た生体試料をアッセイすることにより、生体試料内における抗ビンキュリン抗体の有無を検出することを含む。
【0031】
様々な実施形態では、全身性強皮症を有するまたは全身性強皮症の1種または複数種の症状を有する対象における抗ビンキュリン抗体の濃度を測定するための方法を提供する。様々な実施形態では、本方法は、ビンキュリンまたはそのフラグメントを使用して、全身性強皮症を有するまたは全身性強皮症の1種または複数種の症状を有する対象から得た生体試料をアッセイすることにより、生体試料内における抗ビンキュリン抗体の濃度を測定することを含む。
【0032】
様々な実施形態では、全身性強皮症を有するまたは全身性強皮症の1種または複数種の症状を有する対象における抗ビンキュリン抗体の濃度が基準濃度よりも高いかどうかを確認するための方法を提供する。様々な実施形態では、本方法は、ビンキュリンまたはそのフラグメントを使用して、全身性強皮症を有するまたは全身性強皮症の1種または複数種の症状を有する対象から得た生体試料をアッセイすることにより、生体試料内における抗ビンキュリン抗体の濃度を測定すること、及び、抗ビンキュリン抗体の濃度が基準濃度よりも高いかどうかを確認すること、を含む。
【0033】
本発明以前に、抗ビンキュリン抗体濃度を測定するために、または、これら対象における抗ビンキュリン抗体が基準濃度よりも高いかどうかを確認するために、抗ビンキュリン抗体の有無を検出する根拠は存在していないであろう。それゆえ、当業者は、全身性強皮症を有するまたは全身性強皮症の1種または複数種の症状を有する対象に対して本発明を実施していないであろう。
【0034】
全身性強皮症を診断するためのシステム
様々な実施形態では、本システムは、全身性強皮症に関連する診断を望む対象由来の単離生体試料、及び、全身性強皮症と診断するために生体試料内における抗ビンキュリン抗体の有無または抗ビンキュリン抗体の濃度を検出するためのアッセイ、を含む。
【0035】
本発明以前に、抗ビンキュリン抗体濃度を測定するために、または、全身性強皮症を有するまたは全身性強皮症の1種または複数種の症状を有する対象における抗ビンキュリン抗体が基準濃度よりも高いかどうかを確認するために、抗ビンキュリン抗体の有無を検出する根拠は存在していないであろう。それゆえ、当業者はこのようなシステムを探索していないであろう。
【0036】
アッセイ
様々な実施形態では、生体試料内における抗ビンキュリン抗体の有無を検出するために、または、抗ビンキュリン抗体の濃度を測定するために、様々なアッセイを使用する。
【0037】
様々な実施形態では、本発明で使用するアッセイは酵素免疫測定法(ELISA)であり、間接ELISA、サンドイッチELISA、競合ELISA、マルチプルポータブルELISAが挙げられるがこれらに限定されない。
【0038】
様々な実施形態では、本アッセイは、生体試料が抗ビンキュリン抗体を含む場合に生体試料と反応させるための第1の試薬(抗ビンキュリン抗体が存在しない場合には第1の試薬は生体試料と反応しないが、第1の試薬はなおもアッセイ中に存在する)、抗ビンキュリン抗体と反応させるための第2の試薬(例えば、二次抗体)または第1の試薬と反応させるための第2の試薬、及び、基質、を含む。様々な実施形態では、第1の試薬はビンキュリンまたはそのフラグメントである。様々な実施形態では、第2の試薬は、シグナルを生成して抗ビンキュリン抗体の存在を示す標識を含む。様々な実施形態では、標識は、放射能標識、発色団、蛍光体、量子ドット、酵素、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、ビオチン、またはこれらの組み合わせである。様々な実施形態では、標識は基質と反応する酵素である。様々な実施形態では、第1の試薬は固相(例えば、プレート、マルチウェルプレート)上にある。
【0039】
様々な実施形態では、本アッセイは、抗ビンキュリン抗体と反応する第1の試薬を含む。様々な実施形態では、第1の試薬は、シグナルを生成して抗ビンキュリン抗体の存在を示す標識を含む。様々な実施形態では、標識は、放射能標識、発色団、蛍光体、量子ドット、酵素、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、ビオチン、またはこれらの組み合わせである。様々な実施形態では、試薬は固相(例えば、プレート、マルチウェルプレート)上にある。
【0040】
様々な実施形態では、本システムは、抗ビンキュリン抗体の存在が検出された場合に全身性強皮症の存在を確認するための、または、抗ビンキュリン抗体が不在である場合に全身性強皮症の不在を確認するための機器を更に含む。様々な実施形態では、機器はコンピュータである。様々な実施形態では、コンピュータは、患者が全身性強皮症を有しているかどうかを表示するためのディスプレイ部材を含む。
【0041】
様々な実施形態では、本アッセイは、抗ビンキュリン抗体の濃度を検出するためにビンキュリンまたはそのフラグメントを使用することを含む。例えば、抗ビンキュリン抗体の存在を確認するまたはその濃度を測定することは、全身性強皮症に関連する測定を望む対象由来の生体試料に本明細書に記載するビンキュリンまたはそのフラグメントを接触させること(抗ビンキュリン抗体(生体試料内に存在する場合)はビンキュリンまたはそのフラグメントに特異的に結合する)、生体試料内における抗ビンキュリン抗体の濃度を測定すること、及び、抗ビンキュリン抗体の濃度が基準値よりも高い場合に対象が全身性強皮症を有していることを確認すること、を含む。ビンキュリン及びビンキュリンのフラグメントについて本明細書で更に記載する。
【0042】
様々な実施形態では、抗体の有無を検出することは、対象から得た生体試料に対して実施される。別の実施形態では、抗体の有無を検出することは、対象から得た血液、血清または糞便試料に対して実施される。ビンキュリン、配列番号:1またはそのフラグメントに特異的に結合する抗体の有無を検出するために使用可能な方法及びシステムについて、当業者は容易に理解する。これらの方法及びシステムとしては、ELISA、免疫組織化学、フローサイトメトリー、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)、ラジオイムノアッセイ及びアフィニティ精製が挙げられるがこれらに限定されない。
【0043】
様々な実施形態では、ビンキュリン、配列番号:1またはそのフラグメント(上に記載した)を、抗ビンキュリン抗体(存在する場合)に結合させるための基質、抗原または試薬(例えば、コレクタ、トラップ)として使用する。
【0044】
特定の実施形態では、ビンキュリン、配列番号:1またはそのフラグメントに特異的に結合する抗体の有無を検出することは、ビンキュリン、配列番号:1またはそのフラグメントを対象から得た生体試料に接触させて、ビンキュリン、配列番号:1またはそのフラグメントに特異的に結合する抗体を単離することによって実施してもよく、ビンキュリン、配列番号:1またはそのフラグメントに特異的に結合する抗体の単離は抗体の存在を示し、ビンキュリン、配列番号:1またはそのフラグメントに特異的に結合する抗体の単離の欠如は抗体の欠如を示す。様々な実施形態では、ビンキュリンまたは配列番号:1のフラグメントは本明細書に記載のフラグメントであってもよい。1つの例では、ビンキュリン、配列番号:1またはそのフラグメントを含むアフィニティマトリックスを固体支持体に結合させてもよく、生体試料をアフィニティマトリックスに接触させてアフィニティマトリックス-抗体複合体(抗体が存在する場合)を作製してもよく、生体試料の残部からそのアフィニティマトリックス-抗体複合体を分離してもよく、アフィニティマトリックスから抗体を遊離させてもよい。別の例では、ビンキュリン、配列番号:1またはそのフラグメント上に標識(例えば、蛍光標識)を配置してもよく、標識したビンキュリン、配列番号:1またはそのフラグメントを生体試料に接触させて、抗体(存在する場合)を、標識したビンキュリン、配列番号:1またはそのフラグメントに特異的に結合させてもよい。様々な実施形態では、標識したビンキュリン、配列番号:1またはそのフラグメントを分離して、抗体に対するその結合性を解析してもよい。
【0045】
様々な実施形態では、抗ビンキュリン抗体の存在を確認するまたはその濃度を測定する際に、本明細書に記載のビンキュリンタンパク質またはそのフラグメントを抗原として約1.2μg/mlの濃度で使用する。その他の実施形態では、濃度は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9または2.0μg/mlの濃度であってもよい。様々な実施形態では、抗ビンキュリン抗体の存在の確認またはその濃度の測定に、約1:32希釈の生体試料(例えば、血漿)を使用する。その他の実施形態では、抗ビンキュリン抗体の存在の確認またはその濃度の測定に、約1:8、1:10、1:12、1:16、1:20、1:24、1:30、1:36、1:48または1:64希釈の生体試料(例えば、血漿)を使用する。その他の実施形態では、抗ビンキュリン抗体の存在の確認またはその濃度の測定に、約1:8~1:64希釈の生体試料(例えば、血漿)を使用する。
【0046】
抗原を、約8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20時間(例えば、一晩、>16時間)、約4℃で、pH8.2のホウ酸緩衝食塩水(BBS)を入れた高結合プレート(例えば、96ウェルプレート)上に固定する。血漿の非特異的結合を確認するために、BBSを入れたウェルを交互に、抗原でコーティングするまたは未コーティングのままとする。1×PBS中の約3%ウシ血清アルブミンを用い、ウェルをほぼ室温で約1時間ブロックする。その後、CdtB用に1:512希釈の血漿、ビンキュリン用に1:32希釈の血漿を用い、コーティングまたは未コーティングのウェルを室温で約1時間インキュベートする。CdtBとビンキュリンに対する抗体を陽性対照として使用する。これに続いて、HRPをコンジュゲートした二次抗体で約1時間インキュベートする。それぞれの工程に続き、0.05%PBS-Tween 20を使用して連続洗浄を行う。最後に、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)基質溶液を可視化に使用し、プレートリーダ(例えば、BioTek Synergy HT;Winooski,VT)上で直ちに読む。光学密度(OD)を約90分間370nmで読み、抗ビンキュリンの濃度を比較するのに使用する。生のOD値をデータ解析に使用した。
【0047】
治療の選択
様々な実施形態では、全身性強皮症用の治療法を必要とする対象のためにそれを選択するための方法を提供する。
【0048】
様々な実施形態では、本方法は、全身性強皮症に関連する診断を望む対象における抗ビンキュリン抗体の濃度を検出すること、及び、抗ビンキュリン抗体の濃度が基準値よりも高い場合に全身性強皮症を治療するための治療法を選択すること、を含む。一部の実施形態では、本方法は、抗ビンキュリン抗体の濃度がPAH用の抗ビンキュリン抗体の基準濃度よりも高い場合に肺動脈高血圧症(PAH)と診断することを更に含む。使用可能な抗ビンキュリン抗体の基準値については本明細書に記載している。
【0049】
様々な実施形態では、本方法は、全身性強皮症に関連する診断を望む対象における抗ビンキュリン抗体の存在を検出すること、及び、全身性強皮症を治療するための治療法を選択すること、を含む。一部の実施形態では、本方法は、抗ビンキュリン抗体の濃度がPAH用の抗ビンキュリン抗体の基準濃度よりも高い場合に肺動脈高血圧症(PAH)と診断することを更に含む。使用可能な抗ビンキュリン抗体の基準値については本明細書に記載している。
【0050】
本明細書で使用する場合、治療法を選択することは、治療に関して対象を選抜、選択すること、対象に処方、助言、推奨、指導またはカウンセリングすることを含むがこれらに限定されない。
【0051】
様々な実施形態では、本方法は、全身性強皮症を治療するための治療法を施すことを更に含む。様々な実施形態では、治療法は本明細書に記載の治療法である。様々な実施形態では、治療法は従来技術において利用可能な治療法である。
【0052】
様々な実施形態では、抗ビンキュリン抗体の存在を検出することは、本発明の方法またはシステムに記載されているとおりに実施可能である。
【0053】
様々な実施形態では、対象は、例えば、本明細書に記載する全身性強皮症の1種または複数種の症状を示す対象であり得る。
【0054】
治療方法
様々な実施形態では、全身性強皮症を治療することを必要とする対象においてそれを実施するための方法を提供する。
【0055】
様々な実施形態では、本方法は、基準値よりも高い抗ビンキュリン抗体の濃度を有することが確認された対象に全身性強皮症用の治療を施すことを含む。
【0056】
様々な実施形態では、本方法は、全身性強皮症に関連する診断を望む対象における抗ビンキュリン抗体の濃度を検出すること、及び、抗ビンキュリン抗体の濃度が基準値よりも高い場合に全身性強皮症を治療するための全身性強皮症用の治療法を施すこと、を含む。使用可能な抗ビンキュリン抗体の基準値については本明細書に記載している。
【0057】
様々な実施形態では、抗ビンキュリン抗体の濃度を検出することは、本発明の方法またはシステムに記載されているとおりに実施可能である。
【0058】
様々な実施形態では、対象は、例えば、本明細書に記載する全身性強皮症の1種または複数種の症状を示す対象であり得る。
【0059】
全身性強皮症の症状
本発明に記載の対象は、全身性強皮症の1種または複数種の症状を示すまたは有し得る。例えば、対象は、全身性強皮症の3、4、5、6、7、8、9または10種類の症状、または、全身性強皮症の5、10、15、20またはそれ以上の種類の症状を有し得る。
【0060】
全身性強皮症の症状としては、全身(例えば、疲労)、筋骨格(例えば、関節炎、筋力低下、筋肉痛)、肺(例えば、呼吸困難、咳、肺高血圧症、塞栓)、心血管(例えば、心不全、不整脈)、GI(例えば、胸やけ、嚥下困難、吸収不良)、腎臓(例えば、腎不全、高血圧症)、泌尿生殖器(例えば、低出生体重児の妊娠)、神経(例えば、ニューロパチー、自律神経機能障害)、皮膚(例えば、強皮症及び潰瘍)、心理(例えば、うつ病)、及び、血管(例えば、レイノー、潰瘍)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0061】
全身性強皮症の別の症状としては、例えば、手指末端の皮膚の腫脹に次いで肥厚及び硬化を挙げることができる。レイノー現象(寒冷または精神的な不調に応じて、手指が突如一時的に極めて蒼白となりうずく、もしくは、麻痺、痛みを伴うようになる、または、それらの両方が生じる(レイノー症候群を参照のこと))も一般的である。手指が青みを帯びるまたは白色になる場合もある。胸やけ、嚥下困難及び息切れは場合により、全身性強皮症の初期症状である。いくつかの関節における疼痛及び痛みは初期症状に付随する場合が多い。筋肉痛及び筋力低下を伴う筋肉の炎症(多発性筋炎)が発現する場合もある。
【0062】
その他の症状としては、皮膚、関節、消化器系、肺、心臓及び腎臓における変化が挙げられる。
【0063】
皮膚はより広範囲に張りつめて艶がでる場合もあり、また通常よりも色が濃くなることもある。時に血管の拡張(多くの場合クモ状静脈と呼ばれる末梢血管拡張症)が、手指、胸部、顔、唇及び舌上に現れる場合もあり、カルシウムからなる隆起が、手指上、その他の骨領域上、または関節部に現れる場合もある。潰瘍が指先及び指関節上に現れる場合もある。
【0064】
関節内においては、炎症組織同士が互いにずれ合う際に(特に、膝及び膝下、ならびに、肘及び手首において)、時にきしみ音を感じるまたは聞く場合もある。皮膚の瘢痕化が原因で、手指、手首及び肘が屈曲位で固まる場合もある。
【0065】
GI系においては、瘢痕化により食道の下端が損傷を受ける場合もあり、嚥下困難及び胸やけが発現する場合もある。食道における異常細胞増殖が生じる場合もあり、それによって、線維帯に起因する食道閉塞のリスクが高まる場合もあり、または、食道癌のリスクが高まる場合もある。腸への損傷が食物吸収を妨げる場合もあり、体重減少をもたらす場合もある。
【0066】
全身性強皮症が瘢痕組織を肺内部に蓄積させて、運動中の異常な息切れをもたらす場合がある。肺に供給を行う血管が影響を受け(血管壁が厚くなる)、それにより、それら血管が十分な血液を供給できなくなる場合もある。その結果として、肺に供給を行う動脈内の血圧が上昇する(PAH)場合もある。全身性強皮症はまた、心不全及び調律異常を含むいくつかの生命を脅かす心臓異常を引き起こす場合もある。
【0067】
重度の腎疾患が全身性強皮症に起因する場合もある。腎障害の初期症状は、突然で進行性の血圧上昇である場合もある。
【0068】
PAHの症状
PAHの症状としては、息切れ、胸痛、疲労、失神、ならびに、足首及び脚部における腫脹が挙げられるがこれらに限定されない。
【0069】
抗ビンキュリン抗体
様々な実施形態では、これらの方法またはシステムで検出された抗ビンキュリン抗体は、ビンキュリンまたはそのフラグメントに特異的に結合する抗体である。
【0070】
様々な実施形態では、抗ビンキュリン抗体は、ビンキュリンの5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の連続残基に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%または100%の相同性を有する5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22残基のポリペプチドに特異的に結合する抗体である。
【0071】
別の実施形態では、抗ビンキュリン抗体は、ビンキュリンの5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の連続残基に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%または100%の相同性を有する5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22残基を含むポリペプチドに特異的に結合する。
【0072】
別の実施形態では、抗ビンキュリン抗体は、ビンキュリンの5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の連続残基を含むかまたはそれらからなるポリペプチドに特異的に結合する。
【0073】
様々な実施形態では、抗ビンキュリン抗体は、配列番号:1を有するポリペプチドに特異的に結合する抗体である。
【0074】
様々な実施形態では、抗ビンキュリン抗体は、配列番号:1の5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の連続残基に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%または100%の相同性を有する5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22残基のポリペプチドに特異的に結合する抗体である。
【0075】
別の実施形態では、抗ビンキュリン抗体は、配列番号:1の5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の連続残基に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%または100%の相同性を有する5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22残基を含むポリペプチドに特異的に結合する。
【0076】
別の実施形態では、抗ビンキュリン抗体は、配列番号:1の5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の連続残基を含むかまたはそれらからなるポリペプチドに特異的に結合する。
【0077】
ビンキュリンまたは配列番号:1の連続残基としては、ビンキュリンまたは配列番号:1の任意のアミノ酸で始まりビンキュリンまたは配列番号:1の任意のアミノ酸で終わる連続残基が挙げられる。
【0078】
上に記載したこれらのポリペプチドもまた、抗ビンキュリン抗体の存在を確認してその濃度を測定するためのアッセイにおいて、ビンキュリンのフラグメントとして使用可能である。
【0079】
ビンキュリンのタンパク質配列(配列番号:1):
【0080】
生体試料
生体試料の例としては、体液、全血、血清、血漿、肺分泌液、腸液または腸吸引液、胃液または胃吸引液、脳脊髄液(CSF)、尿、汗、唾液、涙液、胸部吸引液、前立腺液、精液、頸管掻爬、羊水、眼内液、粘液、及び、糞便が挙げられるがこれらに限定されない。本発明の特定の実施形態では、生体試料は、全血、血漿、血清または肺分泌液である。様々な実施形態では、生体試料は全血である。様々な実施形態では、生体試料は血清である。様々な実施形態では、生体試料は血漿である。
【0081】
基準値
一部の実施形態では、基準値は、健康な対象由来の生体試料から設定可能である。
【0082】
例えば、生体試料が血清である場合、基準値は、健康な対象(例えば、全身性強皮症及び/または過敏性腸症候群を有さない対象)の血清試料から得ることができる。その他の実施形態では、基準値は、健康な対象の集団由来の同一タイプの生体試料における平均抗ビンキュリン抗体濃度である。その他の実施形態では、基準値は、健康な対象の集団由来の同一タイプの生体試料における、平均抗ビンキュリン抗体濃度の平均+1または2標準偏差である。一部の実施形態では、健康な対象の集団は、少なくとも3名の健康な個人~25名の健康な個人の範囲、また更に、50名超(例えば、50~75、75~100、100~200、200~300、300~400、400~500)の健康な個人であり得る。
【0083】
一部の実施形態では、光学密度を抗体濃度の指標として使用する。
【0084】
特定の実施形態では、光学密度(OD)を使用して抗ビンキュリン抗体の濃度を測定する。特定の実施形態では、抗ビンキュリン抗体のOD(OD)が1.62、1.86または2.23超である場合、対象は、全身性強皮症を有すると判定される。様々な実施形態では、抗ビンキュリン抗体のOD(OD)が1.00、1.25、1.50、1.75、2.00、2.25、2.50、2.75超である場合、対象は、全身性強皮症を有すると判定される。特定の実施形態では、これらのOD数値は、1:32の生体試料の希釈、及び1.2ug/mlの抗原濃度を基準としている。
【0085】
その他の実施形態では、ODのカットオフポイントは、生体試料と抗原の異なる希釈を基準として設定することができ、本発明の実施形態内に含まれる。
【0086】
治療
更なる実施形態では、上記の判定を使用して対象の治療を選択してもよい。一実施形態では、全身性強皮症用の1種または複数種の治療法を用いて、全身性強皮症が存在すると考えられる対象を治療してもよい。当業者は、全身性強皮症の診断に基づいて、全身性強皮症用の利用可能な治療を選択することができる。
【0087】
様々な実施形態では、利用可能な治療法は、全身性強皮症を治療するための一連の抗生物質治療法を施すことを含む。抗生物質の例としては、アミノグリコシド(例えば、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、パロモマイシン)、アンサマイシン(例えば、ゲルダナマイシン、ハービマイシン)、カルバセフェム(例えば、ロラカルベフ)、カルバペネム(例えば、エルタペネム、ドリペネム、イミペネム、シラスタチン、メロペネム)、セファロスポリン(例えば、第1世代:セファドロキシル、セファゾリン、セファロチン(cefalotin)またはセファロチン(cefalothin)、セファレキシン;第2世代:セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジル、セフロキシム;第3世代:セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン;第4世代:セフェピム;第5世代:セフトビプロール)、グリコペプチド(例えば、テイコプラニン、バンコマイシン)、マクロライド(例えば、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、テリスロマイシン、スペクチノマイシン)、モノバクタム(例えば、アズトレオナム)、ペニシリン(例えば、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリン、ピペラシリン、チカルシリン)、抗菌性ポリペプチド(例えば、バシトラシン、コリスチン、ポリミキシンb)、キノロン(例えば、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシン)、リファマイシン(例えば、リファンピシンまたはリファンピン、リファブチン、リファペンチン、リファキシミン)、スルホンアミド(例えば、マフェニド、プロントジル、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファニルアミド、スルファサラジン、スルフイソキサゾール、トリメトプリム、トリメトプリム-スルファメトキサゾール(コトリモキサゾール、「tmp-smx」))、及び、テトラサイクリン(例えば、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン)に加え、アルスフェナミン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、リンコマイシン、エタンブトール、ホスホマイシン、フシジン酸、フラゾリドン、イソニアジド、リネゾリド、メトロニダゾール、ムピロシン、ニトロフラントイン、プラテンシマイシン、ピラジナミド、キヌプリスチン/ダルホプリスチン合剤、及び、チニダゾール、またはこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。様々な実施形態では、抗生物質はリファキシミンとネオマイシンの組み合わせである。様々な実施形態では、抗生物質はリファキシミンとドキシサイクリンの組み合わせである。様々な実施形態では、抗生物質はリファキシミンとメトロニダゾールの組み合わせである。
【0088】
様々な実施形態では、抗生物質は非吸収性抗生物質である。非吸収性抗生物質の例としては、リファキシミン、ネオマイシン、バシトラシン、バンコマイシン、テイコプラニン、ラモプラニン及びパラモマイシンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0089】
様々な実施形態では、治療法は従来技術において利用可能な治療法である。
【0090】
治療法の例としては、症状の軽減を目的とした治療、例えば(限定するわけではないが)、NSAID、制酸薬(プロトンポンプ阻害剤及びH2遮断薬を含む)、血管作動薬(例えば、ニフェジピン、シデナフィル)、免疫抑制剤(例えば、メトトレキサート、タクロリムス、ミコフェノール酸、シクロホスファミド、生物学的製剤、例えば、リツキシマブ、トシリズマブなど)、及び、幹細胞移植などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0091】
様々な実施形態では、本方法は、抗ビンキュリン抗体中和剤または阻害剤を提供すること、及び、抗ビンキュリン抗体中和剤または阻害剤を必要とする対象にそれを投与して抗ビンキュリン抗体を中和または阻害すること、を含み得る。
【0092】
様々な実施形態では、抗ビンキュリン抗体中和剤または阻害剤は、抗ビンキュリン抗体に結合してその機能を中和または阻害することができるポリペプチドである。
【0093】
様々な実施形態では、抗ビンキュリン抗体中和剤または阻害剤は、抗ビンキュリン抗体の抗原結合部位に結合可能なポリペプチドである。いかなる特定の理論に制限されるものではないが、これらのポリペプチドが抗ビンキュリン抗体に対するデコイとして機能し得ると本発明者らは考えている。様々な実施形態では、ポリペプチドは、Lucchese and Delfino(Developing an anti-Campylobacter jejuni vaccine.Immunopharmacology and Immunotoxicology,2012;Early Online:1-6)に開示されているCDTペンタペプチドであり、あたかも完全に記載されているようにその全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0094】
様々な実施形態では、抗ビンキュリン抗体中和剤または阻害剤は、抗ビンキュリン抗体に結合してその機能を中和または阻害することができる低分子である。
【0095】
様々な実施形態では、抗ビンキュリン抗体中和剤または阻害剤は、抗ビンキュリン抗体の抗原結合部位に結合可能な低分子である。
【0096】
様々な実施形態では、本方法は、ビンキュリンを不活性化状態から活性化状態へと変化させるための薬剤を提供すること、及び、その薬剤をそれを必要とする対象に投与して全身性強皮症を治療すること、を含み得る。
【0097】
様々な実施形態では、ビンキュリンを不活性化状態から活性化状態へと変化させるための薬剤は、ビンキュリンを活性化可能な低分子である。
【0098】
様々な実施形態では、本方法は、ビンキュリンアゴニストを提供すること、及び、そのビンキュリンアゴニストをそれを必要とする対象に投与して全身性強皮症を治療すること、を含み得る。特定の実施形態では、ビンキュリンアゴニストは、Nelson et al.,Vinculin Activators Target Integrins from Within the Cell to Increase Melanoma Sensitivity to Chemotherapy,MOL CANCER RES JUNE 2011 9;712(published online April 1,2011)に開示されているビンキュリン活性化ペプチド(VAP)であり得、これはあたかも完全に記載されているようにその全体は参照により本明細書に組み込まれる。様々な実施形態では、VAPは、Shigellaのインベイシンタンパク質IpaAの残基500~633であり得る。
【0099】
ShigellaのIpaAのタンパク質配列:
【0100】
様々な実施形態では、本方法は、ビンキュリン活性化因子を提供すること、及び、そのビンキュリン活性化因子をそれを必要とする対象に投与して全身性強皮症を治療すること、を含み得る。特定の実施形態では、ビンキュリン活性化因子は、タリン、f-アクチン、a-カテニン、またはこれらの組み合わせであり得る。
【実施例0101】
本願請求項に記載の発明をより適切に説明するために以下の実施例を提供するが、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。特定の物質に言及する場合において、それは単に説明する目的であり、本発明を限定することを意図するものではない。当業者は、発明能力を発揮することなく、本発明の範囲を逸脱することなく、同等の方法または反応物質を開発することができる。
【0102】
実施例1
ACR/EULAR 2013基準を満たす72名のSSc患者由来の血清試料を補充した。抗CdtB抗体と抗ビンキュリン抗体の血清濃度をELISAで測定した。臨床評価、手順、アンケート及び検査結果については、臨床的相関用のカルテから得た。
【0103】
解析可能な合計72名のSSc患者のうち、32名の患者はびまん性SScサブタイプ(48.4%)を有し、平均年齢は56.4歳であり、18名の患者(25%)はラクツロース呼気検査に対して陽性であり、平均GIT 2.0は(0.373)であった。ILDは40名(55%)に存在し、PAHは23名(31%)に存在した。表1。
【0104】
(表1)個体群統計
【0105】
IBSに使用したカットオフポイントを使用すると、72名の患者のうち29名(40%)がビンキュリンに対して陽性であった。1名の患者のみが抗CdtBに対して陽性であった。抗ビンキュリン用の線形回帰分析では、BMI(p値<0.005)及びPAH(p値<0.052)が、SSc患者におけるより高い抗ビンキュリンの有意な予測因子であることが確認された。それに対し、GIT 2.0(p値<0.920)及びラクツロース呼気検査(p値<0.157)などのGI測定値は有意性を示さなかった。ビンキュリン濃度がより高いPAHの予測因子用の更なる回帰分析では、喫煙(現在/以前)が有意(p値<0.01)な予測因子であることが明らかとなった(図1)。
【0106】
本発明の様々な実施形態については、発明を実施するための形態において上述したとおりである。これらの記載は上記実施形態を直接説明するものであるが、本明細書において示し記載した特定の実施形態に対する変更及び/または変形形態について当業者が考案可能であることを理解されたい。本明細書の範囲に含まれる任意のこのような変更または変形形態が、同様に本明細書に含まれることを意味している。特に記載しない限り、本明細書及び特許請求の範囲における語及び語句が、適用される技術分野(複数可)の当業者にとって通常かつ慣例的な意味を有するということは、本発明者らの意図である。
【0107】
本出願のこの出願時において本出願人が知る本発明の様々な実施形態に関する上記記載について提示してきたが、例示及び説明の目的であることを意図している。本明細書は、網羅的であることまたは開示する正確な形態に本発明を限定することを意図するものではなく、上記教示に鑑みて多くの変更及び変形形態が可能である。記載した実施形態は、本発明の原理及びその実践的な用途を説明する役割を果たし、様々な実施形態において、また考察される特定の使用に適した様々な変更を行った上で、当業者が本発明を利用可能とする役割を果たす。それゆえ、本発明は、本発明を実施する上で開示する特定の実施形態に限定されないことを意図している。
【0108】
本発明の特定の実施形態を示し記載してきたが、本明細書の教示に基づき、本発明及びそのより広い態様を逸脱することなく変更及び修正を行うことが可能であり、その結果、添付の特許請求の範囲は、全てのこのような変更及び修正をそれらが本発明の真の趣旨及び範囲の中にあるようにその範囲内に包含するということは当業者に明らかである。一般的に、本明細書で使用する用語は通常、「オープン」用語であることを意図する(例えば、用語「含む(including)」は「含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきであり、用語「有する」は「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、用語「含む(includes)」は「含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきである、など)ことを当業者は理解する。
【0109】
本明細書で使用する場合、用語「含む(comprising)」または「含む(comprises)」は、実施形態に利用可能な組成物、方法及び対応するその構成要素(複数可)に関して使用されるが、利用可能であるかそうでないかにかかわらず、明記されていない要素の包含に対して更に開放されている。一般的に、本明細書で使用する用語は通常、「オープン」用語であることを意図する(例えば、用語「含む(including)」は「含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきであり、用語「有する」は「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、用語「含む(includes)」は「含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきである、など)ことを当業者は理解する。本発明を記載及び特許請求するために、オープンエンド用語「含む(comprising)」を、含む(including)、含有するまたは有するなどの用語の類語として本明細書で使用しているが、「からなる」または「から本質的になる」などの代替用語を使用して、本発明またはその実施形態を代替的に記載してもよい。
【0110】
配列情報
SEQUENCE LISTING
<110> CEDARS-SINAI MEDICAL CENTER
<120> DIAGNOSIS OF SCLERODERMA
<150> US 62/451,923
<151> 2017-01-30
<160> 2
<170> PatentIn version 3.5

<210> 1
<211> 1066
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 1
Met Pro Val Phe His Thr Arg Thr Ile Glu Ser Ile Leu Glu Pro Val
1 5 10 15
Ala Gln Gln Ile Ser His Leu Val Ile Met His Glu Glu Gly Glu Val
20 25 30
Asp Gly Lys Ala Ile Pro Asp Leu Thr Ala Pro Val Ala Ala Val Gln
35 40 45
Ala Ala Val Ser Asn Leu Val Arg Val Gly Lys Glu Thr Val Gln Thr
50 55 60
Thr Glu Asp Gln Ile Leu Lys Arg Asp Met Pro Pro Ala Phe Ile Lys
65 70 75 80
Val Glu Asn Ala Cys Thr Lys Leu Val Gln Ala Ala Gln Met Leu Gln
85 90 95
Ser Asp Pro Tyr Ser Val Pro Ala Arg Asp Tyr Leu Ile Asp Gly Ser
100 105 110
Arg Gly Ile Leu Ser Gly Thr Ser Asp Leu Leu Leu Thr Phe Asp Glu
115 120 125
Ala Glu Val Arg Lys Ile Ile Arg Val Cys Lys Gly Ile Leu Glu Tyr
130 135 140
Leu Thr Val Ala Glu Val Val Glu Thr Met Glu Asp Leu Val Thr Tyr
145 150 155 160
Thr Lys Asn Leu Gly Pro Gly Met Thr Lys Met Ala Lys Met Ile Asp
165 170 175
Glu Arg Gln Gln Glu Leu Thr His Gln Glu His Arg Val Met Leu Val
180 185 190
Asn Ser Met Asn Thr Val Lys Glu Leu Leu Pro Val Leu Ile Ser Ala
195 200 205
Met Lys Ile Phe Val Thr Thr Lys Asn Ser Lys Asn Gln Gly Ile Glu
210 215 220
Glu Ala Leu Lys Asn Arg Asn Phe Thr Val Glu Lys Met Ser Ala Glu
225 230 235 240
Ile Asn Glu Ile Ile Arg Val Leu Gln Leu Thr Ser Trp Asp Glu Asp
245 250 255
Ala Trp Ala Ser Lys Asp Thr Glu Ala Met Lys Arg Ala Leu Ala Ser
260 265 270
Ile Asp Ser Lys Leu Asn Gln Ala Lys Gly Trp Leu Arg Asp Pro Ser
275 280 285
Ala Ser Pro Gly Asp Ala Gly Glu Gln Ala Ile Arg Gln Ile Leu Asp
290 295 300
Glu Ala Gly Lys Val Gly Glu Leu Cys Ala Gly Lys Glu Arg Arg Glu
305 310 315 320
Ile Leu Gly Thr Cys Lys Met Leu Gly Gln Met Thr Asp Gln Val Ala
325 330 335
Asp Leu Arg Ala Arg Gly Gln Gly Ser Ser Pro Val Ala Met Gln Lys
340 345 350
Ala Gln Gln Val Ser Gln Gly Leu Asp Val Leu Thr Ala Lys Val Glu
355 360 365
Asn Ala Ala Arg Lys Leu Glu Ala Met Thr Asn Ser Lys Gln Ser Ile
370 375 380
Ala Lys Lys Ile Asp Ala Ala Gln Asn Trp Leu Ala Asp Pro Asn Gly
385 390 395 400
Gly Pro Glu Gly Glu Glu Gln Ile Arg Gly Ala Leu Ala Glu Ala Arg
405 410 415
Lys Ile Ala Glu Leu Cys Asp Asp Pro Lys Glu Arg Asp Asp Ile Leu
420 425 430
Arg Ser Leu Gly Glu Ile Ser Ala Leu Thr Ser Lys Leu Ala Asp Leu
435 440 445
Arg Arg Gln Gly Lys Gly Asp Ser Pro Glu Ala Arg Ala Leu Ala Lys
450 455 460
Gln Val Ala Thr Ala Leu Gln Asn Leu Gln Thr Lys Thr Asn Arg Ala
465 470 475 480
Val Ala Asn Ser Arg Pro Ala Lys Ala Ala Val His Leu Glu Gly Lys
485 490 495
Ile Glu Gln Ala Gln Arg Trp Ile Asp Asn Pro Thr Val Asp Asp Arg
500 505 510
Gly Val Gly Gln Ala Ala Ile Arg Gly Leu Val Ala Glu Gly His Arg
515 520 525
Leu Ala Asn Val Met Met Gly Pro Tyr Arg Gln Asp Leu Leu Ala Lys
530 535 540
Cys Asp Arg Val Asp Gln Leu Thr Ala Gln Leu Ala Asp Leu Ala Ala
545 550 555 560
Arg Gly Glu Gly Glu Ser Pro Gln Ala Arg Ala Leu Ala Ser Gln Leu
565 570 575
Gln Asp Ser Leu Lys Asp Leu Lys Ala Arg Met Gln Glu Ala Met Thr
580 585 590
Gln Glu Val Ser Asp Val Phe Ser Asp Thr Thr Thr Pro Ile Lys Leu
595 600 605
Leu Ala Val Ala Ala Thr Ala Pro Pro Asp Ala Pro Asn Arg Glu Glu
610 615 620
Val Phe Asp Glu Arg Ala Ala Asn Phe Glu Asn His Ser Gly Lys Leu
625 630 635 640
Gly Ala Thr Ala Glu Lys Ala Ala Ala Val Gly Thr Ala Asn Lys Ser
645 650 655
Thr Val Glu Gly Ile Gln Ala Ser Val Lys Thr Ala Arg Glu Leu Thr
660 665 670
Pro Gln Val Val Ser Ala Ala Arg Ile Leu Leu Arg Asn Pro Gly Asn
675 680 685
Gln Ala Ala Tyr Glu His Phe Glu Thr Met Lys Asn Gln Trp Ile Asp
690 695 700
Asn Val Glu Lys Met Thr Gly Leu Val Asp Glu Ala Ile Asp Thr Lys
705 710 715 720
Ser Leu Leu Asp Ala Ser Glu Glu Ala Ile Lys Lys Asp Leu Asp Lys
725 730 735
Cys Lys Val Ala Met Ala Asn Ile Gln Pro Gln Met Leu Val Ala Gly
740 745 750
Ala Thr Ser Ile Ala Arg Arg Ala Asn Arg Ile Leu Leu Val Ala Lys
755 760 765
Arg Glu Val Glu Asn Ser Glu Asp Pro Lys Phe Arg Glu Ala Val Lys
770 775 780
Ala Ala Ser Asp Glu Leu Ser Lys Thr Ile Ser Pro Met Val Met Asp
785 790 795 800
Ala Lys Ala Val Ala Gly Asn Ile Ser Asp Pro Gly Leu Gln Lys Ser
805 810 815
Phe Leu Asp Ser Gly Tyr Arg Ile Leu Gly Ala Val Ala Lys Val Arg
820 825 830
Glu Ala Phe Gln Pro Gln Glu Pro Asp Phe Pro Pro Pro Pro Pro Asp
835 840 845
Leu Glu Gln Leu Arg Leu Thr Asp Glu Leu Ala Pro Pro Lys Pro Pro
850 855 860
Leu Pro Glu Gly Glu Val Pro Pro Pro Arg Pro Pro Pro Pro Glu Glu
865 870 875 880
Lys Asp Glu Glu Phe Pro Glu Gln Lys Ala Gly Glu Val Ile Asn Gln
885 890 895
Pro Met Met Met Ala Ala Arg Gln Leu His Asp Glu Ala Arg Lys Trp
900 905 910
Ser Ser Lys Gly Asn Asp Ile Ile Ala Ala Ala Lys Arg Met Ala Leu
915 920 925
Leu Met Ala Glu Met Ser Arg Leu Val Arg Gly Gly Ser Gly Thr Lys
930 935 940
Arg Ala Leu Ile Gln Cys Ala Lys Asp Ile Ala Lys Ala Ser Asp Glu
945 950 955 960
Val Thr Arg Leu Ala Lys Glu Val Ala Lys Gln Cys Thr Asp Lys Arg
965 970 975
Ile Arg Thr Asn Leu Leu Gln Val Cys Glu Arg Ile Pro Thr Ile Ser
980 985 990
Thr Gln Leu Lys Ile Leu Ser Thr Val Lys Ala Thr Met Leu Gly Arg
995 1000 1005
Thr Asn Ile Ser Asp Glu Glu Ser Glu Gln Ala Thr Glu Met Leu
1010 1015 1020
Val His Asn Ala Gln Asn Leu Met Gln Ser Val Lys Glu Thr Val
1025 1030 1035
Arg Glu Ala Glu Ala Ala Ser Ile Lys Ile Arg Thr Asp Ala Gly
1040 1045 1050
Phe Thr Leu Arg Trp Val Arg Lys Thr Pro Trp Tyr Gln
1055 1060 1065

<210> 2
<211> 633
<212> PRT
<213> Shigella
<400> 2
Met His Asn Val Asn Asn Thr Gln Ala Pro Thr Phe Leu Tyr Lys Ala
1 5 10 15
Thr Ser Pro Ser Ser Thr Glu Tyr Ser Glu Leu Lys Ser Lys Ile Ser
20 25 30
Asp Ile His Ser Ser Gln Thr Ser Leu Lys Thr Pro Ala Ser Val Ser
35 40 45
Glu Lys Glu Asn Phe Ala Thr Ser Phe Asn Gln Lys Cys Leu Asp Phe
50 55 60
Leu Phe Ser Ser Ser Gly Lys Glu Asp Val Leu Arg Ser Ile Tyr Ser
65 70 75 80
Asn Ser Met Asn Ala Tyr Ala Lys Ser Glu Ile Leu Glu Phe Ser Asn
85 90 95
Val Leu Tyr Ser Leu Val His Gln Asn Gly Leu Asn Phe Glu Asn Glu
100 105 110
Lys Gly Leu Gln Lys Ile Val Ala Gln Tyr Ser Glu Leu Ile Ile Lys
115 120 125
Asp Lys Leu Ser Gln Asp Ser Ala Phe Gly Pro Trp Ser Ala Lys Asn
130 135 140
Lys Lys Leu His Gln Leu Arg Gln Asn Ile Glu His Arg Leu Ala Leu
145 150 155 160
Leu Ala Gln Gln His Thr Ser Gly Glu Ala Leu Ser Leu Gly Gln Lys
165 170 175
Leu Leu Asn Thr Glu Val Ser Ser Phe Ile Lys Asn Asn Ile Leu Ala
180 185 190
Glu Leu Lys Leu Ser Asn Glu Thr Val Ser Ser Leu Lys Leu Asp Asp
195 200 205
Leu Val Asp Ala Gln Ala Lys Leu Ala Phe Asp Ser Leu Arg Asn Gln
210 215 220
Arg Lys Asn Thr Ile Asp Ser Lys Gly Phe Gly Ile Gly Lys Leu Ser
225 230 235 240
Arg Asp Leu Asn Thr Val Ala Val Phe Pro Glu Leu Leu Arg Lys Val
245 250 255
Leu Asn Asp Ile Leu Glu Asp Ile Lys Asp Ser His Pro Ile Gln Asp
260 265 270
Gly Leu Pro Thr Pro Pro Glu Asp Met Pro Asp Gly Gly Pro Thr Pro
275 280 285
Gly Ala Asn Glu Lys Thr Ser Gln Pro Val Ile His Tyr His Ile Asn
290 295 300
Asn Asp Asn Arg Thr Tyr Asp Asn Arg Val Phe Asp Asn Arg Val Tyr
305 310 315 320
Asp Asn Ser Tyr His Glu Asn Pro Glu Asn Asp Ala Gln Ser Pro Thr
325 330 335
Ser Gln Thr Asn Asp Leu Leu Ser Arg Asn Gly Asn Ser Leu Leu Asn
340 345 350
Pro Gln Arg Ala Leu Val Gln Lys Val Thr Ser Val Leu Pro His Ser
355 360 365
Ile Ser Asp Thr Val Gln Thr Phe Ala Asn Asn Ser Ala Leu Glu Lys
370 375 380
Val Phe Asn His Thr Pro Asp Asn Ser Asp Gly Ile Gly Ser Asp Leu
385 390 395 400
Leu Thr Thr Ser Ser Gln Glu Arg Ser Ala Asn Asn Ser Leu Ser Arg
405 410 415
Gly His Arg Pro Leu Asn Ile Gln Asn Ser Ser Thr Thr Pro Pro Leu
420 425 430
His Pro Glu Gly Val Thr Ser Ser Asn Asp Asn Ser Ser Asp Thr Thr
435 440 445
Lys Ser Ser Ala Ser Leu Ser His Arg Val Ala Ser Gln Ile Asn Lys
450 455 460
Phe Asn Ser Asn Thr Asp Ser Lys Val Leu Gln Thr Asp Phe Leu Ser
465 470 475 480
Arg Asn Gly Asp Thr Tyr Leu Thr Arg Glu Thr Ile Phe Glu Ala Ser
485 490 495
Lys Lys Val Thr Asn Ser Leu Ser Asn Leu Ile Ser Leu Ile Gly Thr
500 505 510
Lys Ser Gly Thr Gln Glu Arg Glu Leu Gln Glu Lys Ser Lys Asp Ile
515 520 525
Thr Lys Ser Thr Thr Glu His Arg Ile Asn Asn Lys Leu Lys Val Thr
530 535 540
Asp Ala Asn Ile Arg Asn Tyr Val Thr Glu Thr Asn Ala Asp Thr Ile
545 550 555 560
Asp Lys Asn His Ala Ile Tyr Glu Lys Ala Lys Glu Val Ser Ser Ala
565 570 575
Leu Ser Lys Val Leu Ser Lys Ile Asp Asp Thr Ser Ala Glu Leu Leu
580 585 590
Thr Asp Asp Ile Ser Asp Leu Lys Asn Asn Asn Asp Ile Thr Ala Glu
595 600 605
Asn Asn Asn Ile Tyr Lys Ala Ala Lys Asp Val Thr Thr Ser Leu Ser
610 615 620
Lys Val Leu Lys Asn Ile Asn Lys Asp
625 630
図1
【配列表】
2023011722000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全身性強皮症に関連する診断を望む対象から得られた生体試料内における抗ビンキュリン抗体の濃度を検出する工程であって、酵素免疫測定法(ELISA)を使用することを含み、抗ビンキュリン抗体を検出するために、約0.8~1.6μg/mlの濃度のビンキュリンまたはそのフラグメントが使用され、かつ、前記生体試料は約1:16,1:20,1:24,1:30,1:32,1:36または1:48希釈である、前記工程と、
抗ビンキュリン抗体の前記濃度が抗ビンキュリン抗体の基準濃度よりも高い場合に、全身性強皮症と診断することを補助する工程であって、抗ビンキュリン抗体の光学密度(OD)が1.00超である場合に全身性強皮症を示す、前記工程、と
を含む、全身性強皮症の診断を補助するための方法であって、前記対象は全身性強皮症の1種または複数種の症状を示し、該1種または複数種の症状が、少なくとも皮膚の肥厚または硬化を含む、前記方法
【請求項2】
前記全身性強皮症の1種または複数種の症状が、肺の症状をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記生体試料は、全血、血清、または血漿である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記抗ビンキュリン抗体は、ビンキュリンまたは配列番号:1上のエピトープに特異的に結合することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
抗ビンキュリン抗体の前記濃度が抗ビンキュリン抗体の基準濃度よりも高い場合に、肺動脈高血圧症(PAH)と診断することを補助する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
全身性強皮症を有するまたは全身性強皮症の1種または複数種の症状を有する対象における抗ビンキュリン抗体の濃度を測定する方法であって、
ビンキュリンまたはそのフラグメントを使用して、全身性強皮症を有するまたは全身性強皮症の1種または複数種の症状を有する前記対象から得た生体試料を酵素免疫測定法(ELISA)により、前記生体試料内における抗ビンキュリン抗体の前記濃度を測定する工程であって、抗ビンキュリン抗体を検出するために、約0.8~1.6μg/mlの濃度のビンキュリンまたはそのフラグメントが使用され、かつ、前記生体試料は約1:16,1:20,1:24,1:30,1:32,1:36または1:48希釈である、前記工程
を含み、前記対象は全身性強皮症の1種または複数種の症状を示し、該1種または複数種の症状が、少なくとも皮膚の肥厚または硬化を含む、前記方法。
【請求項7】
ビンキュリンまたはそのフラグメントは配列番号:1またはそのフラグメントである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記生体試料は、全血、血清、または血漿である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
全身性強皮症を有するまたは全身性強皮症の1種または複数種の症状を有する対象から得た、約1:16,1:20,1:24,1:30,1:32,1:36または1:48希釈である生体試料であって、該1種または複数種の症状が、少なくとも皮膚の肥厚または硬化を含む、前記試料と、
前記生体試料内における抗ビンキュリン抗体の濃度を測定するためのアッセイであって、酵素免疫測定法(ELISA)を含み、かつ、抗ビンキュリン抗体を検出するために、約0.8~1.6μg/mlの濃度のビンキュリンまたはそのフラグメントが使用される、前記アッセイと
を含む、システム。
【請求項10】
請求項6に記載の方法により抗ビンキュリン抗体の濃度を測定する工程と、
抗ビンキュリン抗体の前記濃度が基準値よりも高い場合に全身性強皮症を治療するための全身性強皮症用の治療法の選択を補助する工程であって、抗ビンキュリン抗体の光学密度(OD)が1.00超である場合に全身性強皮症を示す、前記工程と
を含む、全身性強皮症用の治療法の選択を補助する方法。
【請求項11】
抗ビンキュリン抗体を検出するために、約1.2μg/mlの濃度のビンキュリンまたはそのフラグメントが使用され、生体試料が約1:32希釈であり、かつ、
抗ビンキュリン抗体の光学密度(OD )が1.62超である場合に全身性強皮症を示す、請求項1に記載の方法
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
2023011722000001.xml