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  • 特開-ヒートポンプシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117239
(43)【公開日】2023-08-23
(54)【発明の名称】ヒートポンプシステム
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/00 20220101AFI20230816BHJP
   F24H 15/375 20220101ALI20230816BHJP
   H01M 8/0606 20160101ALI20230816BHJP
   H01M 8/04044 20160101ALI20230816BHJP
   H01M 8/0432 20160101ALI20230816BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20230816BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20230816BHJP
【FI】
F24H1/00 631A
F24H4/02 N
H01M8/0606
H01M8/04044
H01M8/0432
H01M8/04746
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019845
(22)【出願日】2022-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱口 直大
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 崇之
(72)【発明者】
【氏名】伊東 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】伊東 卓也
(72)【発明者】
【氏名】斎宮 久幸
【テーマコード(参考)】
3L122
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA23
3L122AA48
3L122AA73
3L122AB22
3L122AC16
5H126BB06
5H127AA07
5H127AB23
5H127AC16
5H127BA02
5H127BA05
5H127BA12
5H127BA18
5H127BA33
5H127BA34
5H127BA57
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB18
5H127BB19
5H127BB27
5H127BB37
5H127DB80
5H127DC87
5H127GG04
5H127GG10
(57)【要約】
【課題】外部機器に電力を供給可能とし、COPの向上を図り、かつ外部からの改質水の供給を抑制できるヒートポンプシステムを提供する。
【解決手段】ヒートポンプシステム10は、圧縮機12A、凝縮器12B、膨張弁12C、及び蒸発器12Dが、冷媒の流れる循環配管12Eにより順番に接続された電気式ヒートポンプ12と、改質水を用いて改質された燃料を用いて発電を行い、発電に伴って水分を含む排ガスが排出され、外部機器に電力を供給可能とするモノジェネの燃料電池16と、を備え、蒸発器12Aは、冷媒と排ガスとの間で熱交換を行って、排ガスの冷却により凝縮水W1を生成し、燃料電池16は、凝縮水W1を改質水として使用する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器が、冷媒の流れる冷媒循環ラインにより順番に接続されたヒートポンプと、
改質水で改質された燃料を用いて発電を行い、前記発電に伴って水分を含む排ガスが排出され、外部機器に電力を供給可能とするモノジェネの燃料電池と、
を備え、
前記蒸発器は、前記冷媒と前記排ガスとの間で熱交換を行って、前記排ガスの冷却により凝縮水を生成し、
前記燃料電池は、前記凝縮水を前記改質水として使用する、
ヒートポンプシステム。
【請求項2】
前記蒸発器を通過した前記排ガスを空気で冷却する熱交換器と、
前記熱交換器に空気を送風する送風機と、
前記蒸発器から前記熱交換器に向けて流れる前記排ガスの温度を計測する温度センサと、
計測した前記排ガスの前記温度に基づいて前記送風機の送風量を制御する制御装置と、
を備えた請求項1に記載のヒートポンプシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒートポンプに補機としての燃料電池を組み合わせたヒートポンプシステムがある(例えば、特許文献1参照)。このヒートポンプシステムでは、燃料電池で発電した直流電力をコンプレッサ駆動用の電気モータに供給している。
【0003】
また、燃料電池の排ガスの熱とヒートポンプで生成した熱とを用いて湯を沸かすシステムがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-143795号公報
【特許文献2】特開2014-20651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特開2020-143795号公報に開示のシステムで用いられている燃料電池は、発電した電力を電気モータに供給するために用いられており、発電された電力を外部機器に供給することは考えられていない。
【0006】
ヒートポンプでは、蒸発器の冷媒を加熱することでCOP(成績係数)を改善することができる。特開2014-20651号公報に開示のシステムはコージェネレーションシステムであり、水または貯湯タンクの湯を加熱した後の排ガスでヒートポンプの冷媒を加熱している。水または貯湯タンクの湯を加熱した後の排ガスは、燃料電池から排出直後の排ガスよりも温度が低いため、ヒートポンプのCOPを向上する観点で改善の余地がある。
【0007】
本発明は、外部機器に電力を供給可能とし、COPの向上を図り、かつ外部からの改質水の供給を抑制できるヒートポンプシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のヒートポンプシステムは、圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器が、冷媒の流れる冷媒循環ラインにより順番に接続されたヒートポンプと、改質水で改質された燃料を用いて発電を行い、前記発電に伴って水分を含む排ガスが排出され、外部機器に電力を供給可能とするモノジェネの燃料電池と、を備え、前記蒸発器は、前記冷媒と前記排ガスとの間で熱交換を行って、前記排ガスの冷却により凝縮水を生成し、前記燃料電池は、前記凝縮水を前記改質水として使用する。
【0009】
請求項1に記載のヒートポンプシステムでは、ヒートポンプにおいて、冷媒が、冷媒循環ラインにより圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を流れる。
モノジェネの燃料電池は、改質水を用いて改質された燃料を用いて発電を行い、発電に伴って水分を含む排ガスを排出する。
モノジェネの燃料電池は、発電した電力をヒートポンプシステムのシステム外の外部機器に供給することができる。
【0010】
ヒートポンプを駆動し、冷媒とモノジェネの燃料電池から排出された排ガスとが蒸発器で熱交換されると、冷媒は加熱され、排ガスは冷却される。
水分を含む排ガスが冷却されると凝縮水が生成されるので、燃料電池は、該凝縮水を改質水として使用することができる。
【0011】
ヒートポンプを駆動すると、蒸発器を通過する冷媒の温度は、大気の温度よりも低くなるので、排ガスを大気(空気)で冷却するよりも、凝縮水を効率的に得ることができる。 燃料電池は、得られた凝縮水を改質水として利用することができるのでシステム外からの改質水の供給を抑制することができる
【0012】
また、燃料電池から排出される排ガスは、年間を通して大気よりも温度が高く温度変動も小さいため、排ガスの熱を利用する請求項1のヒートポンプシステムは、大気の熱を利用するヒートポンプシステムよりも冷媒の吸熱量を多くすることができ、COP(成績係数)を向上させることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のヒートポンプシステムにおいて、前記蒸発器を通過した前記排ガスを空気で冷却する熱交換器と、前記熱交換器に空気を送風する送風機と、前記蒸発器から前記熱交換器に向けて流れる前記排ガスの温度を計測する温度センサと、計測した前記排ガスの前記温度に基づいて前記送風機の送風量を制御する制御装置と、を備えている。
【0014】
請求項2に記載のヒートポンプシステムでは、蒸発器を通過した排ガスを熱交換器を用いて空気で冷却する。
熱交換器には、送風機で空気が送風され、温度センサは、蒸発器から熱交換器に向けて流れる排ガスの温度を計測する。
制御装置は、温度センサで計測した排ガスの温度に基づいて、送風機の送風量を制御することができる。
【0015】
そのため、請求項2のヒートポンプシステムによれば、例えば、ヒートポンプを稼働しなくても、送風機で空気を熱交換器に送風して排ガスを冷却して凝縮水を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明のヒートポンプシステムによれば、外部機器に電力を供給可能とし、COPの向上を図り、かつ外部からの改質水の供給を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るヒートポンプシステムを示すブロック図である。
図2】本発明の他の実施形態に係るヒートポンプシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係るヒートポンプシステム10を図1にしたがって説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態のヒートポンプシステム10は、電気式ヒートポンプ12、貯湯ユニット14、及び燃料電池16を含んで構成されている。
【0020】
(電気式ヒートポンプ)
電気式ヒートポンプ(EHP)12は、モータ(図示省略)で駆動される圧縮機12A、熱交換器で構成され熱を放出する凝縮器12B、膨張弁12C、熱交換器で構成され熱を吸収する蒸発器12D、圧縮機12Aと凝縮器12Bと膨張弁12Cと蒸発器12Dとを連結して冷媒を循環させる循環配管12E等を備えた一般的な構造のものである。なお、電気式ヒートポンプ12の動作は、一般的な電気式ヒートポンプの動作と同じであるため、動作についての説明は省略する。本実施形態のヒートポンプシステム10では、電気式ヒートポンプ12に代えて、ガスヒートポンプ(GHP)を用いることもできる。
【0021】
(貯湯ユニット)
貯湯ユニット14は、貯湯タンク14Aを備えており、貯湯タンク14Aには電気式ヒートポンプ12の凝縮器12Bとの間で湯を循環させる循環配管14Bが接続されている。また、循環配管14Bの途中には、循環ポンプ14Cが設けられている。なお、貯湯タンク14Aには、湯量を検出するための液面レベルセンサ、及び湯温を測定する温度センサ(いずれも図示せず)が設けられている。
【0022】
(燃料電池)
本実施形態のヒートポンプシステム10で用いる燃料電池16は、発電により生成された電気だけを取り出して利用し、発電により生成された熱を湯を加熱(貯湯タンク14A中の湯への顕熱供給)することには利用しない、いわゆるモノジェネの燃料電池である。
【0023】
燃料電池16は、燃料の一例としての都市ガスG、空気(酸素)A、及び改質水W1が供給されて発電を行う燃料電池モジュール18を備えている。
【0024】
燃料電池モジュール18は、都市ガスGの改質を行う改質触媒を備えた改質部52、バーナを備えた加熱部54、及び燃料電池スタック56を主要な構成として備えている。
【0025】
本実施形態の燃料電池スタック56は、一例として固体酸化物形の燃料電池スタックであり、積層された複数の燃料電池セル62(図1では1つのみ図示)を有している。各燃料電池セル62は、燃料極(アノード)64及び空気極(カソード)66を有している。
【0026】
空気極66には、空気(一例として外気)が供給される空気供給管36が接続されており、空気供給管36の中間部には、エアポンプ38、空気Aと後述するバーナ排気との間で熱交換を行う空気予熱器40が設けられている。また、空気極66には、空気極排ガス(カソード排ガス)を排出するための空気極排ガス管68の一端が接続されており、空気極排ガス管68の他端は加熱部54に接続されている。なお、空気極排ガスには未反応の酸素ガスが含まれている。
【0027】
改質部52には、燃料ガス管20が接続されており、燃料ガス管20の中間部には、燃料ポンプ22、及び都市ガスG中に含まれる硫黄化合物を除去する脱硫器24が設けられている。脱硫器24にて硫黄化合物が吸着除去された都市ガスが燃料ガス管20を通じて改質部52に供給されると、改質部52は、供給された都市ガス(原料ガス)を、後述する気化器34から供給された改質水を利用して水蒸気改質し、水素ガスを含む燃料ガスを生成する。
【0028】
燃料極64には、改質部52で生成された燃料ガスを流入させる燃料ガス管60が接続されている。また、燃料極64には、燃料極排ガス(アノード排ガス)を排出する燃料極排ガス管58が接続されている。
【0029】
燃料極64から排出された燃料極排ガスと、空気極66から排出された空気極排ガスとは、燃料極排ガス管58及び空気極排ガス管68を通じて加熱部54に排出される。なお、燃料極排ガスは、未反応の水素ガスを含んでおり、加熱部54にバーナガスとして供給され、加熱部54は、燃料極排ガスを空気極排ガス(酸素ガスを含む)で燃焼し、改質部52の改質触媒を加熱する。
【0030】
燃料電池16は、燃料電池モジュール18に供給する改質水W1を貯留する改質水タンク26を備えている。改質水タンク26と、脱硫器24の下流側の燃料ガス管20とは、改質水供給管28で接続されており、改質水供給管28の途中には、イオン交換器30、ウォーターポンプ32、及び気化器34が設けられている。本実施形態の気化器34は、加熱部54の熱で改質水を気化することができる。
【0031】
加熱部54には、バーナ排気を排出する排ガス管42が接続されており、排ガス管42の途中には、前述した空気予熱器40、燃料電池16の外部機器である電気式ヒートポンプ12の蒸発器12D、及び熱交換器44が設けられている。なお、加熱部54から排出されるバーナ排気には水分が含まれている。
【0032】
この蒸発器12Dでは、冷媒とバーナ排気との間で熱交換を行うことで、水分を含んだバーナ排気を冷却し、改質水として利用する凝縮水W1を生成することができる。この蒸発器12Dは、改質水を生成することになるので改質水生成装置13として機能している。
【0033】
熱交換器44よりも下流側の排ガス管42は、改質水タンク26の内部を通過した後、下流側の端部からバーナ排気をヒートポンプシステム10の外部に排出するようになっている。
また、改質水タンク26の内部の排ガス管42には、排ガス管42の内部の凝縮水W1を改質水タンク26の内部に落下させるように分岐管42Aが接続されている。
【0034】
なお、蒸発器12Dと熱交換器44との間の排ガス管42には、内部を通過するバーナ排気の温度を計測する温度センサ46が設けられている。温度センサ46は、後述する制御装置70に接続されている。
【0035】
熱交換器44には、空気供給管48が接続されており、空気供給管48の途中には、エアポンプ50が設けられている。熱交換器44は、バーナ排気と空気(外気)との間で熱交換を行う。
【0036】
(制御装置)
ヒートポンプシステム10は、システム内の各部を制御する制御装置70を備えている。制御装置70は、温度センサ46で測定したバーナ排気の温度測定データに基づいて、エアポンプ50の駆動を制御することができ、その他、電気式ヒートポンプ12、循環ポンプ14C、燃料ポンプ22、ウォーターポンプ32、エアポンプ38、エアポンプ50等のシステム内の各部を制御することができる。制御装置70は、外部の電力需要に関する電力需要データを受信可能に構成されており、ヒートポンプシステム10の外部の電力需要に応じて燃料電池モジュール18の発電量を調整することができる。
また、制御装置70は、貯湯タンク14Aに設けられた液面レベルセンサ、及び温度センサからの測定データに基づき、貯湯タンク14Aの湯量、湯温を把握し、電気式ヒートポンプ12の作動を制御することができる。
【0037】
(作用、効果)
次に、本実施形態のヒートポンプシステム10の動作について説明する。
本実施形態のヒートポンプシステム10では、燃料ガスが燃料電池スタック56の燃料極64に供給されると共に、空気が燃料電池スタック56の空気極66に供給されると、この燃料電池スタック56において燃料ガスと酸化ガスとが反応して発電する。
なお、ここで発電された電力は、ヒートポンプシステム10の外部の外部機器(例えば、ヒートポンプシステム10が設置されている家屋内の電気機器)に供給されて使用される。
【0038】
この発電に伴い燃料電池スタック56からは、未反応の水素ガスを含むスタック排ガスが排出され、このスタック排ガスは、空気極排ガス管68からの空気中の酸素ガスにてバーナガスとして加熱部54のバーナにて燃焼され、このバーナからは、バーナ排ガスが排出される。このバーナ排ガスは、水蒸気を含んでおり、排ガス管42を通じて空気予熱器40に供給される。
【0039】
空気予熱器40では、バーナ排ガスと空気(外気)との間で熱交換がなされ、空気極66に供給される空気が加熱される。
【0040】
空気予熱器40を通過したバーナ排ガスは、電気式ヒートポンプ12の蒸発器12Dへ送られる。ここで、電気式ヒートポンプ12を駆動することで、バーナ排ガスと電気式ヒートポンプ12の冷媒との間で熱交換を行う。これにより、バーナ排ガスが冷却され、空気予熱器40を通過したバーナ排ガスに含まれる水蒸気が凝縮される。
【0041】
電気式ヒートポンプ12が駆動状態にあるときには、蒸発器12Dを通過する冷媒の温度は、大気(システム外部の空気)の温度よりも低くなるので、冷媒を大気で冷却するよりも、改質水とする凝縮水W1を効率的に得ることができる。
【0042】
本実施形態のヒートポンプシステム10では、燃料電池16で発電を行うと共に、電気式ヒートポンプ12を駆動させると、蒸発器12Dを通過する冷媒が大気の温度よりも高温のバーナ排ガスで加熱される。発電に伴って排出されるバーナ排ガスは、年間を通して大気よりも温度が高く温度変動も小さいため、本実施形態のヒートポンプシステム10は、大気の熱を利用するヒートポンプシステムよりも冷媒の吸熱量を多くすることができ、COP(成績係数)を向上させることができる。
【0043】
蒸発器12Dから、バーナ排ガスと凝縮水W1が排出されると、これらは熱交換器44を介して改質水タンク26へ流される。
【0044】
改質水タンク26では、凝縮水W1が分岐管42Aから排出され、水分の除去されたバーナ排ガスは排ガス管42の端部からシステム外の大気に排出される。
本実施形態の燃料電池16は、得られた凝縮水W1を改質水として利用することができるのでシステム外からの改質水の供給を抑制することができる。
【0045】
次に、本実施形態のヒートポンプシステム10で、電気式ヒートポンプ12を作動させずに、発電を行う場合について説明する。
例えば、貯湯タンク14Aが満蓄、言い換えれば、湯量が十分で、湯温が必用とされる温度以上である場合は、電気式ヒートポンプ12で湯を加熱する必要がないので電気式ヒートポンプ12の作動を停止する。
【0046】
ところで、電気式ヒートポンプ12を作動させないと、電気式ヒートポンプ12の蒸発器12Dでバーナ排ガスを冷却することができず、凝縮水W1を生成することが困難になる。
このような場合、制御装置70は、エアポンプ50を駆動して熱交換器44に空気を送り、熱交換器44でバーナ排ガスを冷却して凝縮水W1を得ることができる。
【0047】
なお、電気式ヒートポンプ12の蒸発器12Dを通過したバーナ排ガスの温度は、温度センサ46で計測され、温度計測データが制御装置70に出力される。制御装置70は、蒸発器12Dを通過したバーナ排ガスの温度に基づいて、エアポンプ50の作動を制御し、熱交換器44に流す空気の量を調整して、凝縮水W1を効率的に得ることができる。
【0048】
電気式ヒートポンプ12の停止中は、蒸発器12Dを通過したバーナ排ガスの温度が高く、凝縮水W1が生成され難いので、温度センサ46で計測したバーナ排ガスの温度が、予め設定した閾値以上のガス温とならないように、言い換えれば、凝縮水W1が得られるようにエアポンプ50を作動させ、熱交換器44の冷却能力を上げてバーナ排ガスの温度を下げて凝縮水W1を得るようにする。
【0049】
例えば、制御装置70は、以下のような制御を行うことができる。
外部の電力需要の増加に応じて燃料電池モジュール18の発電量を増やすと、改質水の消費が多くなるため、凝縮水W1の生成量を増やす必要がある。
燃料電池モジュール18の発電量を増やすと、バーナ排ガスの排出量が増える。制御装置70は、温度センサ46で測定されたバーナ排ガスの温度を監視し、バーナ排ガスの温度が上昇傾向にある場合は、エアポンプ50を制御し、熱交換器44に送る空気の量を増やして熱交換器44の冷却能力を高める。
【0050】
これにより、貯湯タンク14Aが満蓄、かつ電力需要が大きい場合でも、発電に必要な改質水を得ることができ、燃料電池モジュール18の発電量を維持することができる。
【0051】
なお、本実施形態のヒートポンプシステム10では、改質水タンク26に改質水の液面レベルを計測する液面センサを設け、改質水の液面レベルに応じて制御装置70がエアポンプ50の作動を制御し、凝縮水W1の生成量を調整することもできる。
【0052】
[その他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0053】
上記実施形態では、蒸発器12Dの下流側に熱交換器44が設けられていたが、一例として、図2に示すように、熱交換器44を、空気予熱器40と蒸発器12Dとの間に設けることもできる。
【0054】
また、改質水タンク26に改質水の量を計測する液面センサを設け、改質水の量が減少傾向にある場合や下限の量よりも減少した場合に、制御装置70は、熱交換器44の冷却能力を高めて凝縮水の生成量を増やすように、エアポンプ50の送風量を増やす制御を行うこともできる。
【0055】
上記実施形態の電気式ヒートポンプ12は、湯を得るためのものであったが、暖房等、他の用途に用いるものであってもよい。
【符号の説明】
【0056】
10 ヒートポンプシステム
12 電気式ヒートポンプ(ヒートポンプ)
12A 圧縮機
12B 凝縮器
12C 膨張弁
12D 蒸発器
12E 循環配管
13 改質水生成装置
16 燃料電池
44 熱交換器
46 温度センサ
50 エアポンプ(送風機)
70 制御装置
図1
図2