(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117252
(43)【公開日】2023-08-23
(54)【発明の名称】チェーンコンベヤのテンション調整装置
(51)【国際特許分類】
B65G 23/44 20060101AFI20230816BHJP
【FI】
B65G23/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019867
(22)【出願日】2022-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岸 博司
(72)【発明者】
【氏名】中本 昭彦
(57)【要約】
【課題】搬送機器の設置スペースが限られるような場合であっても、テンション調整の調整代を確保することが可能であるとともに、テンションの調整装置を大型化させることなく、複数種類のチェーンにも対応可能な、チェーンコンベヤのテンション調整装置を提供すること。
【解決手段】搬送ケース内において回動可能であるとともに非搬送側の搬送チェーンを押圧することが可能なテンションバーと、前記テンションバーを回動させることが可能な回動手段と、を有し、前記テンションバーは、前記搬送チェーンの移動方向に沿って複数のローラを備え、前記搬送チェーンの張力が低下した場合に、前記テンションバーを回動させて前記搬送チェーンを押圧し、前記搬送チェーンの張力を上昇させることが可能であることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ケース内において回動可能であるとともに非搬送側の搬送チェーンを押圧することが可能なテンションバーと、
前記テンションバーを回動させることが可能な回動手段と、を有し、
前記テンションバーは、前記搬送チェーンの移動方向に沿って複数のローラを備え、
前記搬送チェーンの張力が低下した場合に、前記テンションバーを回動させて前記搬送チェーンを押圧し、前記搬送チェーンの張力を上昇させることが可能である
ことを特徴としたチェーンコンベヤのテンション調整装置。
【請求項2】
前記回動手段は、前記テンションバーに任意の回動負荷をかけることが可能なシリンダを備える
請求項1に記載のチェーンコンベヤのテンション調整装置。
【請求項3】
前記テンションバーは、前記搬送チェーンに並行してそれぞれ対向して配置される
請求項1又は2に記載のチェーンコンベヤのテンション調整装置。
【請求項4】
前記搬送チェーンの走行状態を検出可能な走行状態検出手段、を有し、
前記走行状態検出手段の検出結果に基づいて、前記テンションバーを回動させることが可能である
請求項1乃至3のいずれかに記載のチェーンコンベヤのテンション調整装置。
【請求項5】
前記テンション調整装置は、一の前記チェーンコンベヤの複数箇所に設けることが可能である
請求項1乃至4のいずれかに記載のチェーンコンベヤのテンション調整装置。
【請求項6】
前記テンション調整装置は、前記チェーンコンベヤの従動スプロケットに設けられた緊張装置と併せて前記チェーンコンベヤに装着される
請求項1乃至5のいずれかに記載のチェーンコンベヤのテンション調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェーンコンベヤにおいて、搬送チェーンのテンションを調整することが可能な、チェーンコンベヤのテンション調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1や特許文献2に開示されているように、ベルトコンベヤのベルトやチェーンコンベヤの搬送チェーンの緊張装置として、コンベヤのテール部に設けられるテークアップ装置が知られている。
【0003】
そして、当該テークアップ装置では、スプロケットの軸(従動軸)をコンベヤの長手方向に移動させてコンベヤの機長を調整したり、エアシリンダにより昇降可能に支持されたテンション輪(プーリ)を、無端走行帯の走行方向に応じて、たるみ側のテンション付与手段を作動状態にし、引張り側のテンション付与手段を解除状態に選択的に切替えることでテンション調整を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-131989号公報
【特許文献2】特開平09-315541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、テークアップ装置によるテンション調整においては、コンベヤの機長が長く、設置スペースが限られる場合は、調整代(機長の長さに対しての搬送チェーン等の伸び量を見越した長さ)が十分に確保できず、搬送チェーンに対して頻繁に張り調整や切り詰め作業を行う必要があった。
【0006】
例えば、特許文献2に開示されているように、切替え可能なプーリを設けてテンション調整を行う場合、コンベヤチェーンのサイズに合わせてプーリの径も変更する必要がある。したがって、プーリが大型化しやすくなり、特に大型のコンベヤチェーンにプーリを取り付けるような場合は、機器がさらに大型化してしまうという問題がある。
【0007】
加えて、スクレーパ付きの搬送チェーンを使用しているような搬送機器においては、プーリが大きいとスクレーパが接触してしまい、当該スクレーパの破損に繋がるおそれがある。これにより、特に食品に関連する施設では、異物混入などの大きな問題を引き起こしかねない。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、搬送機器の設置スペースが限られるような場合であっても、テンション調整の調整代を確保することが可能であるとともに、テンションの調整装置を大型化させることなく、複数種類のチェーンにも対応可能な、チェーンコンベヤのテンション調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)搬送ケース内において回動可能であるとともに非搬送側の搬送チェーンを押圧することが可能なテンションバーと、前記テンションバーを回動させることが可能な回動手段と、を有し、前記テンションバーは、前記搬送チェーンの移動方向に沿って複数のローラを備え、前記搬送チェーンの張力が低下した場合に、前記テンションバーを回動させて前記搬送チェーンを押圧し、前記搬送チェーンの張力を上昇させることが可能であることを特徴としたチェーンコンベヤのテンション調整装置である。
【0010】
(2)前記回動手段は、前記テンションバーに任意の回動負荷をかけることが可能なシリンダを備える上記(1)に記載のチェーンコンベヤのテンション調整装置である。
【0011】
(3)前記テンションバーは、前記搬送チェーンに並行してそれぞれ対向して配置される上記(1)又は(2)に記載のチェーンコンベヤのテンション調整装置である。
【0012】
(4)前記搬送チェーンの走行状態を検出可能な走行状態検出手段、を有し、前記走行状態検出手段の検出結果に基づいて、前記テンションバーを回動させることが可能である上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のチェーンコンベヤのテンション調整装置である。
【0013】
(5)前記テンション調整装置は、一の前記チェーンコンベヤの複数箇所に設けることが可能である(1)乃至(4)のいずれかに記載のチェーンコンベヤのテンション調整装置である。
【0014】
(6)前記テンション調整装置は、前記チェーンコンベヤの従動スプロケットに設けられた緊張装置と併せて前記チェーンコンベヤに装着される上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のチェーンコンベヤのテンション調整装置である。
【発明の効果】
【0015】
上記(1)に係る発明によれば、テンションバーを回動させて搬送チェーンを押圧する際、複数のローラによって、移動する搬送チェーンを緩やかに、そして摩擦による抵抗を軽減して搬送チェーンの張力を上昇させることが可能となっている。
【0016】
上記(2)に係る発明によれば、回動手段は、テンションバーに任意の回動負荷をかけることが可能なシリンダを備えているので、搬送チェーンの弛みに対処して適切な負荷をかけて搬送チェーンの張力を上昇させることが可能となる。
【0017】
上記(3)に係る発明によれば、テンションバーを、搬送チェーンに並行してそれぞれ対向して配置することで、搬送チェーンを緩やかに押圧して移動させることが可能となり、搬送チェーンに対して局所的に負荷をかけないようにすることができる。
【0018】
上記(4)に係る発明によれば、搬送チェーンの走行状態を検出可能な走行状態検出手段を備えることで、テンションバーに対する回動負荷の調整を行う適切なタイミングで行うことができる。
【0019】
上記(5)に係る発明によれば、テンション調整装置は、一のチェーンコンベヤの複数箇所に設けることが可能であるので、チェーンコンベヤの機長を延長することなく、搬送チェーンの調整代をさらに確保することが可能となる。
【0020】
上記(6)に係る発明によれば、緊張装置によって搬送チェーンのテンションを調整し、その後、運転中に発生する搬送チェーンの弛みに対して、テンション調整装置10による調整代をさらに確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】(a)は一方向型のチェーンコンベヤに本発明のテンション調整装置を設けた概略の側面図であり、(b)は正逆方向型のチェーンコンベヤに本発明のテンション調整装置を設けた概略の側面図である。
【
図2】本発明の実施形態におけるテンション調整装置の概略の側面図である。
【
図3】(a)は本発明の実施形態におけるテンション調整装置の概略の上面図であり、(b)は本発明の実施形態におけるテンション調整装置の搬送方向における概略の側面図である。
【
図4】本発明の実施形態において、テンション調整装置が搬送チェーンにテンションを付加した際の概略の側面図である。
【
図5】本発明の実施形態におけるテンション調整装置の制御フローの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のチェーンコンベヤのテンション調整装置の一実施形態について、図面を参照して以下に説明する。
【0023】
図1には、本実施形態のテンション調整装置10をチェーンコンベヤ100に設けた場合の概略の側面図が図示されている。図示されるように、本実施形態のチェーンコンベヤ100は、搬送ケース3の内部に搬送チェーン2を収容し、当該搬送チェーン2に取り付けられた不図示のスクレーパ21によって、穀粒などの搬送対象物を搬送するものである。
【0024】
そして、
図1(a)には、一方向(図示左方向)にのみ搬送対象物を搬送可能な、一方向型のチェーンコンベヤ100に、テンション調整装置10を設けた態様が図示されている。図示される実施形態では、チェーンコンベヤ100の一方側には駆動モータ4及び駆動スプロケット41が配置され、他方側には従動スプロケット42と、公知の緊張装置1が設けられている。そして、駆動モータ4側にテンション調整装置10を設けている。
【0025】
また、
図1(b)には、正逆方向(図示左右方向)に搬送対象物を搬送可能な、正逆方向型のチェーンコンベヤ100に、テンション調整装置10を設けた態様が図示されている。図示される実施形態では、チェーンコンベヤ100の両側に駆動モータ4及び駆動スプロケット41が配置されている。
【0026】
すなわち、稼働させる駆動モータ4に応じて、一方側が駆動スプロケット41となる場合は他方側は従動スプロケット42となる。また、両側にあるスプロケットには公知の緊張装置1が設けられている。そして、各駆動モータ4側に2つのテンション調整装置10を設けている。
【0027】
図1に示されるように、本実施形態のテンション調整装置10は、チェーンコンベヤ100の機長を延長することなく、機体内に装着することが可能となっている。また、上記したように、チェーンコンベヤ100に備えられた緊張装置1に加えて、本実施形態のテンション調整装置10を設けることが可能となっている。
【0028】
これにより、緊張装置1によって搬送チェーン2のテンションを調整し、その後、運転中に発生する搬送チェーン2の弛みに対して、テンション調整装置10による調整代をさらに確保することが可能となる。
【0029】
図2には、本実施形態におけるテンション調整装置10の概略の側面図が示され、
図3(a)には、テンション調整装置10の概略の上面図が、
図3(b)にはテンション調整装置10の搬送方向から見た概略の側面図が示されている。
【0030】
すなわち、本実施形態のテンション調整装置10は、搬送ケース3の上面側に回動可能であるとともに、非搬送側の搬送チェーン2(図示2b)を上方に押圧することが可能なテンションバー12と、当該テンションバー12を回動させることが可能な回動手段11と、を有している。
【0031】
さらに、上記テンションバー12は、搬送チェーン2の移動方向に沿って複数のローラ121を備えており、搬送チェーン2の張力が低下した場合には、テンションバー12を回動させて搬送チェーン2を上方に押圧し、当該搬送チェーン2の張力を上昇させることが可能となっている。
【0032】
より詳細に説明すると、上記テンションバー12は、
図2及び
図3に示されるように、上方にカーブする2つの弧状のバー122を備えており、複数のローラ121が2つの弧状のバー122によって回転可能に挟持されている。
【0033】
このように構成されることによって、テンションバー12を回動させて搬送チェーン2を上方に押圧する際、複数のローラ121によって、移動する搬送チェーン2を緩やかに、そして摩擦による抵抗を軽減して搬送チェーン2の張力を上昇させることが可能となっている。
【0034】
また、図示されるように、テンションバー12は一方の端部が自由端となり、他方の端部が回動軸123を介して回動手段11と接続されている。さらに、回動手段11は、進退動作によってテンションバー12に任意の回動負荷をかけることが可能なシリンダ111を備えている。
【0035】
本実施形態のシリンダ111はエアシリンダによって構成され、レギュレータ13によってシリンダ111の推力が調整可能となっている。なお、シリンダ111は必ずしもエアシリンダに限定されるものではなく、スプリングやダンパなどによって代替使用することができる。
【0036】
また、本実施形態のテンション調整装置10には、当該装置内の任意の箇所に、搬送チェーン2の走行状態を検出可能な走行状態検出手段16を設けてもよい。当該走行状態検出手段16は、搬送チェーン2の走行状態から搬送チェーン2の弛みを検知することも可能となっており、検出結果に基づいてレギュレータ13を制御して、テンションバー12に対する回動負荷の調整を行うことができる。なお、走行状態検出手段16は光学センサや超音波センサなど、公知の検出センサを利用することができる。
【0037】
さらに、
図2~
図4に示されるように、テンション調整装置10には、テンションバー12の位置を検出可能な第1位置検出手段14及び第2位置検出手段15を所定の位置に設けてもよい。第1位置検出手段14及び第2位置検出手段15は、テンションバー12の位置が検出可能であれば特に設置箇所は限定されない。なお、これら検出手段による検出態様については後述する。
【0038】
加えて、本実施形態のテンション調整装置10の上部には、特に
図3(b)に示されるように、搬送チェーンガイド板17が設けられている。そして、
図4に示されるように、非搬送側の搬送チェーン2(図示2b)がテンションバー12によって上方に押圧された際に、当該非搬送側の搬送チェーン2(図示2b)を収容するとともにガイドすることができるように構成されている。
【0039】
また、
図4等に示されるように、本実施形態のテンション調整装置10は、前述したテンションバー12が、搬送チェーンに並行してそれぞれ左右に対向して配置されている。このような構成とすることで、搬送チェーン2を緩やかに上方に押圧して移動させることが可能となり、搬送チェーン2に対して局所的に負荷をかけないようにすることができる。なお、左右いずれか1つのテンションバー12で、搬送チェーン2の張力を上昇させることが可能であるが、上記の理由から、テンションバー12を搬送チェーンに並行してそれぞれ左右に対向して設ける方がより好ましい。
【0040】
(制御態様)
次に、本実施形態のテンション調整装置10における制御態様について、
図5に示されたフローを参照して説明する。
【0041】
チェーンコンベヤ100の運転前は、搬送チェーン2に弛みがまだ生じていない状態であるが、この段階において、テンション調整装置10のシリンダ111に対して所定の推力がレギュレータ13によって負荷される。これにより、シリンダ111のロッドが伸びて、テンションバー12が上方へ回動し、搬送チェーン2に対して初期テンションが負荷されることとなる(ステップS1)。シリンダ111に負荷される推力は任意の推力を設定することが可能であるが、本実施例では0.1MPa程度の推力を負荷している。
【0042】
続いて、チェーンコンベヤ100の運転が開始される。
図2は運転開始初期におけるテンション調整装置10の状態を示しているが、稼働初期は、搬送チェーン2自体に一定の張力が負荷されているので、ほぼ水平方向に搬送チェーン2が走行する。同様に、テンションバー12もほぼ水平となる回動位置(回動範囲としてはほぼ最小の回動位置)で、搬送チェーン2に対して上記したような初期テンションが負荷されている。
【0043】
チェーンコンベヤ100の運転時間の経過にともない、搬送チェーン2に伸びが発生し、徐々に弛みが生じる。しかし、テンションバー12は搬送チェーン2に対して初期テンションを負荷しているので、初期にシリンダ111に負荷された推力によってテンションバー12が上方へ回動し、搬送チェーン2を上方に押圧することが可能となる。これにより、搬送チェーン2の張力を維持することができる。
【0044】
一方で、チェーンコンベヤ100の運転中は、走行状態検出手段16や、第1位置検出手段14によって、搬送チェーン2の弛みを監視しており、搬送チェーン2の弛みの有無を判定している(ステップS2)。例えば、搬送チェーン2が弛むと、当該搬送チェーン2に振れが発生するが、これを走行状態検出手段16によって検出することで、搬送チェーン2における弛みの有無を判定することが可能である。
【0045】
また、搬送チェーン2の弛みがさらに進行すると、搬送チェーン2に対する初期テンションでは負荷が足りなくなってくる場合がある。このとき、テンションバー12が下方に下がってしまうことがある。そこで、前述した第1位置検出手段14によって、テンションバー12が下方へ下がってしまったことを検出し、搬送チェーン2における弛みの有無を判定することも可能である。
【0046】
ステップS2において、搬送チェーン2に弛みがあると判定されると、続いてテンションバー12が上限位置にあるか否かが判定される(ステップS3)。判定に際しては、前述した第2位置検出手段15によって、テンションバー12が上方の回動上限位置にあるか否かを、その検出結果に基づいて判定する。
【0047】
ステップS3において、テンションバー12が上限位置にあると判定された場合は、搬送チェーン2の切詰め等の作業を行う。切詰め等の作業が終わった後は、再びステップS1に戻り、搬送チェーン2に対して初期テンションを負荷することができる。また、テンションバー12が上限位置にあると判定された場合に、不図示の表示装置や警報装置等によって、作業担当者等に報知するようにしてもよい。
【0048】
一方、ステップS3において、テンションバー12がまだ上限位置にないと判定された場合は、レギュレータ13を制御して、シリンダ111に対して追加の推力を設定して負荷する(ステップS5)。本実施例では初期の推力0.1MPaに加えて、さらに追加的に0.1MPa程度の推力を負荷している。もちろん、シリンダ111に追加的に負荷される推力は、任意の推力を設定することが可能である。
【0049】
続いて、ステップS6では前述のステップS2と同様にして搬送チェーン2の弛みの有無が判定され、依然として搬送チェーン2の弛みが解消されない場合は、再びステップS5におけるシリンダ111への推力の追加を行う。
【0050】
なお、ステップS5の追加的な推力の負荷を繰り返し行っても搬送チェーン2の弛みが解消されない場合は、不図示の表示装置や警報装置等によって、作業担当者等に点検・保守の必要性を報知するように構成することが望ましい。
【0051】
(別実施形態)
以上、本発明のチェーンコンベヤのテンション調整装置について、一実施形態を説明したが、必ずしも前述した実施形態に限られるものではなく、種々の変更が可能である。
【0052】
例えば、一組の駆動スプロケット41及び従動スプロケット42を有する一台のチェーンコンベヤ100に対し、当該チェーンコンベヤ100の機体延長に応じてテンション調整装置10を複数箇所に設置することが可能である。
【0053】
また、チェーンコンベヤ100の機長や、既存のチェーンコンベヤ100にテンション調整装置10を設置する際の搬送チェーン2の切り詰め状況、チェーンコンベヤ100のメンテナンス時における搬送チェーン2の切り詰め状況などに応じて、それぞれ異なる推力がシリンダ111に負荷されて搬送チェーン2に対する初期テンションが負荷される。初期テンションの強さが比較的に強い場合は、チェーンコンベヤ100の運転中に、追加的にシリンダ111に推力を負荷することなく、搬送チェーン2の弛みを抑えることも可能である。
【0054】
前述した実施形態では、下方側にある搬送側の搬送チェーン2aによって搬送対象物を搬送するチェーンコンベヤ100を例示して説明した。しかし、本発明のチェーンコンベヤのテンション調整装置は、必ずしもこのようなチェーンコンベヤ100に限定して使用されるものではなく、上方側にある搬送チェーンにて搬送対象物を搬送するチェーンコンベヤにあっては、下方側にある搬送チェーン2をテンションバー12によって下方に押圧することで、搬送チェーン2にテンションを付加することが可能である。さらに、バケットを取り付けるなどして搬送対象物を上方又は下方に搬送するようなチェーンコンベヤにあっても、搬送チェーンを押圧することでテンションを付加することが可能である。このように、本発明のチェーンコンベヤのテンション調整装置は、種々のチェーンコンベヤに対して設置することが可能である。
【0055】
以上、本発明の実施例及び一部の変形例について説明してきたが、これらの説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 緊張装置
2 搬送チェーン
2a 搬送側の搬送チェーン
2b 非搬送側の搬送チェーン
3 搬送ケース
4 駆動モータ
10 テンション調整装置
11 回動手段
12 テンションバー
13 レギュレータ
14 第1位置検出手段
15 第2位置検出手段
16 走行状態検出手段
17 搬送チェーンガイド板
21 スクレーパ
41 駆動スプロケット
42 従動スプロケット
100 チェーンコンベヤ
111 シリンダ
121 ローラ
122 バー
123 回動軸