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  • 特開-粘着テープ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117253
(43)【公開日】2023-08-23
(54)【発明の名称】粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20230816BHJP
   C09J 7/40 20180101ALI20230816BHJP
   C09J 153/02 20060101ALI20230816BHJP
   C09J 7/21 20180101ALI20230816BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20230816BHJP
   B32B 25/06 20060101ALI20230816BHJP
   A61F 13/58 20060101ALI20230816BHJP
   A61F 13/56 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J7/40
C09J153/02
C09J7/21
B32B27/00 L
B32B27/00 M
B32B25/06
A61F13/58
A61F13/56 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019869
(22)【出願日】2022-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】國▲廣▼ 喜央司
(72)【発明者】
【氏名】森田 満美
【テーマコード(参考)】
3B200
4F100
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA16
3B200BB02
3B200BB08
3B200CA02
3B200DE05
4F100AK07
4F100AK07A
4F100AK12
4F100AL02
4F100AL02B
4F100AN02
4F100AN02B
4F100BA03
4F100BA07
4F100CA02
4F100CA02B
4F100DG10
4F100DG10C
4F100EH17
4F100EH46
4F100EJ30
4F100EJ94
4F100GB71
4F100JK06
4F100YY00B
4J004AA05
4J004AA06
4J004AB01
4J004BA02
4J004CB02
4J004DA04
4J004DB02
4J004FA09
4J040DM011
4J040JA09
4J040KA26
4J040NA02
(57)【要約】
【課題】
低光沢であり、且つ十分に柔らかく、特に衛生用品用として好適に使用可能な粘着テープを提供すること。
【解決手段】
スチレンブロック重合体系ゴムを含む粘着剤層1と、粘着剤層1上に設けられた紙基材3と、紙基材3上に設けられた、熱硬化型シリコーン樹脂を硬化してなる剥離剤層5と、を備える、粘着テープ10。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレンブロック重合体系ゴムを含む粘着剤層と、
当該粘着剤層上に設けられた紙基材と、
当該紙基材上に設けられた、熱硬化型シリコーン樹脂を硬化してなる剥離剤層と、
を備える、粘着テープ。
【請求項2】
前記スチレンブロック重合体系ゴムが、スチレン-イソプレン-スチレンブロック重合体及びスチレン-ブタジエン-スチレンブロック重合体から選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項3】
前記粘着剤層が粘着付与剤を更に含む、請求項1又は2に記載の粘着テープ。
【請求項4】
前記紙基材が和紙である、請求項1~3のいずれか一項に記載の粘着テープ。
【請求項5】
0.05N/cm~0.65N/cmの巻き出し力を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の粘着テープ。
【請求項6】
0.05N/15mm~0.65N/15mmの背面剥離力を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の粘着テープ。
【請求項7】
衛生用品用である、請求項1~6のいずれか一項に記載の粘着テープ。
【請求項8】
巻回されており、長さが100m~2000mである、請求項1~7のいずれか一項に記載の粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキン、使い捨ておむつ、失禁パッド等の衛生用品には、折り畳まれた状態で包装するために、端部を貼り付けて固定するためのパウチテープ(止着テープ)が適用されることがある。例えば、特許文献1では、支持体の少なくとも片面に所定の粘着剤が設けられている再剥離用粘着テープが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-89732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記衛生用品及びその包装材には、通常不織布が用いられる。特許文献1等の従来の粘着テープには、通常二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)等のプラスチックフィルムが支持フィルムとして用いられているが、この場合不織布との外観統一性の欠如が問題となる。また、パウチテープを剥がす際の指で触る触感等を考慮すると、パウチテープは柔らかいことが望ましい。しかしながら、不織布との外観統一性の欠如を解消するための低光沢性と、柔らかさとを兼ね備えた、衛生用品用の粘着テープは従来知られていなかった。
【0005】
そこで本発明は、低光沢であり、且つ十分に柔らかく、特に衛生用品用として好適に使用可能な粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面は、スチレンブロック重合体系ゴムを含む粘着剤層と、当該粘着剤層上に設けられた紙基材と、当該紙基材上に設けられた、熱硬化型シリコーン樹脂を硬化してなる剥離剤層と、を備える、粘着テープに関する。
【0007】
かかる粘着テープによれば、低光沢であり、且つ十分に柔らかい。また、上記粘着テープは、一般的に肌への影響が懸念されるアクリル樹脂、ウレタン樹脂等を用いる必要が無いため、特に衛生用品用として好適に使用可能である。
【0008】
一態様において、スチレンブロック重合体系ゴムは、スチレン-イソプレン-スチレンブロック重合体及びスチレン-ブタジエン-スチレンブロック重合体から選ばれる少なくとも一種である。
【0009】
一態様において、粘着剤層が粘着付与剤を更に含む。これにより、より良好な粘着力を付与することができる。
【0010】
一態様において、上記紙基材は和紙である。これにより、粘着テープの光沢がより不織布に近いものとなるため、不織布に貼付する用途に用いた際の外観統一性が向上する。
【0011】
一態様において、上記粘着テープは、0.05N/cm~0.65N/cmの巻き出し力を有する。
【0012】
パウチテープ等の衛生用品用途に用いられる粘着テープは、通常、短幅、長尺の粘着テープロールとして、工業的に用いられる。このような粘着テープロールは、一般的に、幅広のシートを形成し、これを巻き取った後に短冊状に切り出し、切り出された短冊状の粘着テープを巻き直すことにより形成される。粘着テープの巻き出し力が上記所定の範囲であると、巻き直しの際に粘着テープの破断や巻き出しの中断等といった不具合が生じづらい。
【0013】
一態様において、上記粘着テープは、0.05N/15mm~0.65N/15mmの背面剥離力を有する。これにより、粘着テープを巻回した際に、粘着テープを簡単に引き出すことができる。
【0014】
一態様において、上記粘着テープは、衛生用品用である。上記粘着テープは、低光沢であり、且つ十分に柔らかく、更にはアクリル樹脂、ウレタン樹脂等を用いる必要が無いため、パウチテープ等の衛生用品用として好適に使用可能である。
【0015】
一態様において、上記粘着テープは、巻回されており、長さが100m~2000mである。これにより、工業的に用いた際の粘着テープの交換の回数を減らすことができるため、好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、低光沢であり、且つ十分に柔らかく、特に衛生用品用として好適に使用可能な粘着テープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】粘着テープの一形態の概略を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、図面は理解を容易にするため一部を誇張して描いており、寸法比率等は図面に記載のものに限定されるものではない。
【0019】
(粘着テープ)
本実施形態の粘着テープは、スチレンブロック重合体系ゴムを含む粘着剤層と、当該粘着剤層上に設けられた紙基材と、当該紙基材上に設けられた、熱硬化型シリコーン樹脂を硬化してなる剥離剤層と、を備える。
【0020】
<粘着剤層>
粘着剤層は、スチレンブロック重合体系ゴムを含む。スチレンブロック重合体系ゴムとしては、例えば、スチレン-イソプレン-スチレンブロック重合体(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック重合体(SBS)等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上をブレンドして用いてもよい。
【0021】
スチレンブロック重合体系ゴムは市販品であってもよく、例えば日本ゼオン社製クインタック(登録商標)、クレイトンポリマージャパン社製クレイトン(登録商標)等であることができる。
【0022】
粘着剤層は、粘着付与剤を更に含むことが好ましい。粘着剤層におけるスチレンブロック重合体系ゴム100質量部に対する粘着付与剤の含有量は、例えば30~200質量部とすることができる。スチレンブロック重合体系ゴム100質量部に対する粘着付与剤の含有量(すなわちphr)は、粘着剤層に良好な粘着力を付与する観点から、好ましくは30質量部以上、より好ましくは60質量部以上、更に好ましくは90質量部以上である。スチレンブロック重合体系ゴム100質量部に対する粘着付与剤の含有量は、粘着剤層に良好な粘着力を付与する観点から、好ましくは200質量部以下、より好ましくは180質量部以下、更に好ましくは160質量部以下である。
【0023】
粘着付与剤としてはゴム粘着剤に従来用いられているものを種々使用できるが、例としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等の天然物及びその誘導体、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂等の合成樹脂を挙げることができる。粘着付与剤は複数種類をブレンドして使用してもよい。
【0024】
ロジン系樹脂としては、例えば、ポリペールレジン、ステベライトレジン、フォーラルAX、ペンタリンA、ペンタリンH(以上、イーストマンケミカル社製、登録商標)、エステルガムA、エステルガムH(以上、荒川化学工業社製、登録商標)、ハリエスターT(ハリマ化成社製、登録商標)等が挙げられる。また、ロジンフェノール樹脂として、例えば、スミライトレジンPR12603(住友ベークライト社製、登録商標)、タマノル803(荒川化学工業社製、登録商標)等が挙げられる。
【0025】
テルペン系樹脂としては、例えば、YSレジンPx、YSレジンTO、YSポリスターT(以上、ヤスハラケミカル(株)製、登録商標)、ピコライトA(イーストマンケミカル社製、登録商標)等が挙げられる。
【0026】
脂肪族系石油樹脂としては、例えば、Piccopale(イーストマンケミカル社製、登録商標)、エスコレッツ(エクソンモービルケミカル社製、登録商標)、WingTack(クレイバリー社製、登録商標)、ハイレッツ(三井化学社製、登録商標)、クイントン(日本ゼオン社製、登録商標)等が挙げられる。
【0027】
脂環族系石油樹脂としては、例えば、アルコンP、アルコンM(以上、荒川化学工業社製、登録商標)等が挙げられる。芳香族系石油樹脂としては、例えば、ペトロジン(三井化学社製、登録商標)等が挙げられる。クマロンインデン樹脂としては、例えば、クマロンNG(日塗化学製、登録商標)等が挙げられる。
【0028】
スチレン系樹脂としては、例えば、Piccolastic A(イーストマンケミカル社製、登録商標)等が挙げられる。フェノール系樹脂としては、例えば、ヒタノール(日立化成社製、登録商標)等が挙げられる。
【0029】
粘着付与剤としては、良好な粘着力を付与する観点から、脂肪族系石油樹脂を使用することが好ましい。
【0030】
また、粘着剤層は、液体の可塑化油、例えばShellflex371(シェル社製、登録商標)や、鉱油等を含有することができる。
【0031】
更に、粘着剤層は、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、充填剤等の常用の添加剤を必要に応じて含有することができる。粘着剤は、溶剤系、エマルジョン等の水系、無溶剤系等の方法で調製することができる。SISの場合、硫黄化合物、熱反応性フェノール樹脂、ポリイソシアネート等の架橋剤を用いて架橋することもできる。
【0032】
粘着剤層の厚さは、例えば、0.01mm以上であってもよく、0.02mm以上であってもよく、0.03mm以上であってもよい。粘着剤層の厚さは、例えば、0.20mm以下であってもよく、0.15mm以下であってもよく、0.12mm以下であってもよい。
【0033】
<紙基材>
紙基材としては、例えば、クレープ紙又は和紙が挙げられる。本開示で、クレープ紙とは、しわ加工が施された紙全般を意味する。クレープ紙は、電気絶縁用テープ、マスキングテープ、包装・事務用テープ等に使用されるものとして当業者に知られている。クレープ紙は、一般に、被着体になじみ易い、伸びやすい、曲線に追従できるといった特徴がある。また本開示で、和紙とは、流し漉きの手法により、機械的に抄紙して得られる紙を意味する。
【0034】
クレープ紙としては、クラフトパルプを主原料とするものを例示できる。クラフトパルプは、バージンさらしパルプ、半ざらしパルプ、及び未ざらしパルプから選択される。クレープ紙は、三木特種製紙株式会社(例えばグレードC-40,C-30,F-50)、KJ特殊紙株式会社、大福製紙株式会社、特種東海製紙株式会社等から市販で入手できる。クレープ紙の製造方法は、例えば、特表2012-516382号公報に示されている。
【0035】
和紙の原紙としては、クラフトパルプを主原料とするものを例示できる。クラフトパルプ以外に、機械的強度や耐水性の改善のために、例えば、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール(ビニロン)繊維、マニラ麻等の抄紙可能な繊維を併用してもよい。和紙は三木特種製紙株式会社、KJ特殊紙株式会社、大福製紙株式会社、特種東海製紙株式会社等から市販で入手できる。和紙の製造方法は、例えば、特開平11-323789号公報に示されている。
【0036】
紙基材は、バインダーとして、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤を含んでもよい。また紙基材は、汎用の処理剤で処理されたものであってもよい。例えば、粘着剤塗工時の粘着剤の裏抜けを防止するための目止め、基材強度の調整、あるいは基材の内部強度の改善等のため含浸処理が施された紙基材を使用することができる。
【0037】
上記の含浸処理に用いる含浸剤は、好ましくは、約10℃未満、より好ましくは約0℃未満のガラス転移温度(Tg)を有する。好適な含浸剤として、例えば、合成又は天然イソプレン、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、粗ゴム、可塑化エラストマー等が挙げられる。
【0038】
紙基材の粘着剤層配置面には、紙基材と粘着剤との密着性を向上させるため、コロナ処理、プライマー処理、マット処理等が施されていることが好適である。プライマー処理としては、プライマー組成物を未処理の紙基材に塗布し、乾燥させてプライマーコーティングを形成する方法を例示できる。プライマー組成物は、反応性又は非反応性であってよく、例えば天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ネオプレンゴム、エチレン酢酸ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、又はこれらの混合物を含んでよい。プライマーコーティングは、典型的には、紙基材1平方メートルあたり2~8グラムの乾燥質量で適用される。
【0039】
一方、紙基材の剥離剤層配置面は、機械的強度や耐水性を強化するため、トップコート層として、例えば、アクリル樹脂等の合成樹脂による処理が施されていてもよい。
【0040】
紙基材の厚さは、例えば、0.04mm以上であってもよく、0.05mm以上であってもよく、0.06mm以上であってもよい。紙基材の厚さは、例えば、0.20mm以下であってもよく、0.15mm以下であってもよく、0.12mm以下であってもよい。
【0041】
<剥離剤層>
剥離剤層は、熱硬化型シリコーン樹脂を硬化してなる。熱硬化型シリコーン樹脂は、アルケニル基及びアルキル基を有するシリコーン樹脂を含むことが好ましい。アルケニル基及びアルキル基を有するシリコーン樹脂としては、官能基としてアルケニル基及びアルキル基の両方を含むシリコーン樹脂を1種類用いてもよいし、官能基としてアルケニル基を有するシリコーン樹脂(a)とアルキル基を有するシリコーン樹脂(b)をそれぞれ別々に含むことも好ましい。剥離剤層は、アルケニル基を有するシリコーン樹脂(a)とアルキル基を有するシリコーン樹脂(b)を両方含むことがより好ましい。
【0042】
アルケニル基を有するシリコーン樹脂(a)としては、ジオルガノポリシロキサンが好ましく、例えば、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体(例えば、ジメチルシロキサン単位96モル%、メチルヘキセニルシロキサン単位4モル%)、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体(例えば、ジメチルシロキサン単位97モル%、メチルヘキセニルシロキサン単位3モル%)、分子鎖両末端ジメチルヘキセニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体(例えば、ジメチルシロキサン単位95モル%、メチルヘキセニルシロキサン単位5モル%)等が挙げられる。
【0043】
アルキル基を有するシリコーン樹脂(b)としては、オルガノハイドロジェンポリシロキサンが好ましく、例えば、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体等が挙げられる。
【0044】
アルケニル基を有するシリコーン樹脂(a)とアルキル基を有するシリコーン樹脂(b)を併用する場合は、その含有質量比率(b)/(a)が、20/80~80/20であることが好ましい。当該比率が上記範囲であることにより、剥離性をより良好にすることができる。かかる観点から、含有質量比率は、25/75~75/25であることがより好ましく、30/70~70/30であることがさらに好ましい。
【0045】
シリコーン樹脂(a)、シリコーン樹脂(b)の具体例としては、KS-774、KS-775、KS-778、KS-779H、KS-847、K-841、KS-3703T(以上、信越化学工業(株)製)、DKQ3-202、DKQ3-203、DKQ3-204、DKQ3-205、DKQ3-210(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)、YSR-3022、TPR-6700、TPR-6720、TPR-6721(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、LTC300B、LTC303E、LTC310、LTC314、SRX357、BY24-749、SD7333、BY24-179、SP7015、SP7259、SD7220、SD7226、SD7229(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)等が挙げられる。
【0046】
熱硬化型シリコーン樹脂として、アルキル基を有するシリコーン樹脂(b)を単独で用いることもまた好ましい。シリコーン樹脂(b)の具体例としては、信越化学工業(株)製のKS-3703Tが挙げられる。
【0047】
熱硬化型シリコーン樹脂は、溶剤付加型シリコーン樹脂、無溶剤付加型シリコーン樹脂、エマルジョン付加型シリコーン樹脂の中から適宜選択することができる。これらの中で、塗工性や硬化性の観点から、溶剤付加型シリコーン樹脂が好ましい。
【0048】
剥離剤層は、さらに剥離性等を調整するために、剥離コントロール剤を更に含むことが好ましい。
【0049】
上記剥離コントロール剤の市販品としては、例えば、商品名「KS-3800」(信越化学工業(株)製)、商品名「SD7292」(東レ・ダウコーニング(株)製)、「BY24-843」(東レ・ダウコーニング(株)製)等が挙げられる。
【0050】
剥離コントロール剤の含有量(固形分)は、剥離剤層を構成する熱硬化シリコーン樹脂と剥離コントロール剤の合計量に対して10質量%以上であってもよく、15質量%以上であってもよく、20質量%以上であってもよく、70質量%以下であってもよく、60質量%以下であってもよく、50質量%以下であってもよい。
【0051】
剥離剤層には上述した剥離コントロール剤の他に、触媒や架橋剤等のその他の添加剤を含んでいてもよい。触媒は、一般的には、白金族元素を含有する触媒であり、好ましくは、白金系触媒である。触媒の含有量(固形分)は、熱硬化シリコーン樹脂100質量部に対して、例えば、1~10質量部とすることができる。
【0052】
剥離剤層の厚さは、例えば、0.01μm以上であってもよく、0.015μm以上であってもよく、0.05μm以上であってもよい。剥離剤層の厚さは、例えば、2μm以下であってもよく、1μm以下であってもよく、0.5μm以下であってもよい。
【0053】
本実施形態の粘着テープは、アクリル樹脂及びウレタン樹脂を実質的に含まないことが好ましい。これにより、肌への影響を考慮する必要がある衛生用品用として、特に好適に使用することができる。
【0054】
本実施形態の粘着テープは、0.05N/cm~0.65N/cmの巻き出し力を有することが好ましい。なお、巻き出し力は、例えば、「JIS Z0237(2000)、11、低速巻戻し力」に基づいて測定することができる。
【0055】
本実施形態の粘着テープにおける背面剥離力は、0.65N/15mm以下であることが好ましく、0.05N/15mm~0.65N/15mmであることがより好ましい。これにより、粘着テープを巻回した際に、粘着テープを簡単に引き出すことができる。背面剥離力は、例えば、実施例に記載の方法で測定することができる。
【0056】
本実施形態の粘着テープの幅は、例えば、8mm~60mmとすることができる。
【0057】
本実施形態の粘着テープは、巻回された状態で用いることができ、その長さは100m以上であることが好ましく、800m以上であることがより好ましい。長さの上限は、特に限定されないが、例えば2000m以下とすることができる。
【0058】
本実施形態の粘着テープを巻回した際の巻き径は、200mm以上であることが好ましい。巻き径の上限は、特に限定されないが、例えば600m以下とすることができる。
【0059】
本実施形態の粘着テープの重量は、1000g以上であることが好ましい。重量の上限は、特に限定されないが、例えば5000g以下とすることができる。
【0060】
本実施形態の粘着テープは、芯管に巻回させることができる。芯管の内径は、例えば、75mm以上とすることができる。芯管の内径の上限は、特に限定されないが、例えば200mm以下とすることができる。なお、芯管は紙管であってもよい。
【0061】
図1は、粘着テープの一形態の概略を示す断面図である。図1の粘着テープ10は、スチレンブロック重合体系ゴムを含む粘着剤層1と、紙基材3と、熱硬化型シリコーン樹脂を硬化してなる剥離剤層5と、がこの順で積層された構造を有している。
【0062】
本実施形態の粘着テープは、衛生用途、特に不織布を貼着するための用途に好適に使用することができる。その具体例としては、生理用ナプキン、使い捨ておむつ、失禁パッド等の衛生用品の包装の際に用いられるパウチテープ、固定用テープ、廃棄の際に用いられる廃棄テープ等が挙げられる。その他、病院やレストランで、不織布等を一時的に固定するための粘着テープとしても好適に使用することができる。
【0063】
本実施形態の粘着テープは、例えば、紙基材の一方面上に、熱硬化型シリコーン樹脂を含む剥離剤組成物を塗布して形成される塗布層を形成し、該塗布層を熱硬化させて剥離剤層を形成させる剥離剤層形成工程と、紙基材の他方面上にスチレンブロック重合体系ゴムを含む粘着剤組成物を塗布して、粘着剤層を形成する粘着剤層形成工程と、を有する方法により製造することができる。
【0064】
剥離剤層形成工程において、剥離剤組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアコーター、ロールコーター、リバースコーター、ドクターブレードコーター、バーコーター、ナイフコーター、ダイコーター等を用いて塗布する方法が挙げられる。これにより形成される塗布層を例えば90~150℃で熱硬化することにより、剥離剤層が形成される。
【0065】
粘着剤層形成工程において、粘着剤組成物を塗布する方法としては、例えば、溶融押出法が挙げられる。
【実施例0066】
以下、本発明の内容を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「%」は特に明記されていない限り質量基準である。
【0067】
<実施例1>
和紙基材を巻き出した。
巻き出した和紙基材に、グラビア塗布機にて、熱硬化型シリコーン剥離剤(信越化学工業株式会社製KS-3703T;7%、KS-3800;3%、白金系硬化触媒CAT-PL-50T;0.3%、トルエン、ヘプタン、メチルエチルケトン(MEK);各29.9%)を塗布し、90℃以上で十分乾燥させた。
和紙基材の剥離剤が塗布された面とは反対の面に、溶融押出機より、粘着剤(クレイトン社製DX420(SIS);50%、ゼオン社製QUINTON M100;50%)を押出し20g/mを塗布し、巻き取った。
その後、およそ30mm幅にスリット加工し、1000m巻いた。得られた粘着テープの厚さは85μmであった。
【0068】
<比較例1>
テープ基材として、ポリプロピレン樹脂を溶融押出し、片面がマット面である、80μmの厚みのフィルム基材を用いた。
テープ基材のマット面に、グラビア塗布機にて、UV硬化型シリコーン剥離剤(信越化学工業株式会社製UV9300;4%、硬化剤としてUV9380C;0.1%、溶剤にヘプタン、イソプロピルアルコール(IPA)を使用した)を塗布し、UV光を照射し十分硬化させた。
テープ基材の剥離剤が塗布された面とは反対の面に、溶融押出機より、粘着剤(クレイトン社製DX420(スチレン-イソプレン);50%、ゼオン社製QUINTON M100;50%)を押出し20g/mを塗布し、巻き取った。
その後、およそ30mm幅にスリット加工し、1000m巻いた。得られた粘着テープの厚さは100μmであった。
【0069】
<比較例2>
テープ基材として、ポリプロピレン樹脂を溶融押出し、片面がマット面である、72μmの厚みのフィルム基材を用いた。
テープ基材のマット面に、グラビア塗布機にて、UV硬化型シリコーン剥離剤(信越化学工業株式会社製UV9300;4%、硬化剤としてUV9380C;0.1%、溶剤にヘプタン、IPAを使用した)を塗布し、UV光を照射し十分硬化させた。
テープ基材の剥離剤が塗布された面とは反対の面に、溶融押出機より、粘着剤(クレイトン社製DX420(スチレン-イソプレン);50%、ゼオン社製QUINTON M100;50%)を押出し20g/mを塗布し、巻き取った。
その後、およそ30mm幅にスリット加工し、1000m巻いた。得られた粘着テープの厚さは100μmであった。
【0070】
<比較例3>
テープ基材として、ポリプロピレン樹脂を溶融押出し、片面がマット面である、88μmの厚みのフィルム基材を用いた。
テープ基材のマット面に、グラビア塗布機にて、シリコーン剥離剤を塗布し、十分硬化させた。
テープ基材の剥離剤が塗布された面とは反対の面に、溶融押出機より、粘着剤(クレイトン社製DX420(スチレン-イソプレン);50%、ゼオン社製QUINTON M100;50%)を押出し20g/mを塗布し、巻き取った。
その後、およそ30mm幅にスリット加工し、1000m巻いた。得られた粘着テープの厚さは120μmであった。
【0071】
<比較例4>
テープ基材として、ポリプロピレン樹脂を溶融押出し、延伸処理を施した40μmの厚みのフィルム基材を用いた。
テープ基材に、グラビア塗布機にて、UV硬化型シリコーン剥離剤(信越化学工業株式会社製UV9300;4%、硬化剤としてUV9380C;0.1%、溶剤にヘプタン、IPAを使用した)を塗布し、UV光を照射し十分硬化させた。
テープ基材の剥離剤が塗布された面とは反対の面に、溶融押出機より、粘着剤(クレイトン社製DX420(スチレン-イソプレン);50%、ゼオン社製QUINTON M100;50%)を押出し20g/mを塗布し、巻き取った。得られた粘着テープの厚さは60μmであった。
【0072】
<比較例5>
テープ基材として、ポリプロピレン樹脂を溶融押出し、延伸処理を施した40μmの厚みのフィルム基材を用いた。
テープ基材に、グラビア塗布機にて、UV硬化型シリコーン剥離剤(信越化学工業株式会社製UV9300;4%、硬化剤としてUV9380C;0.1%、溶剤にヘプタン、IPAを使用した)を塗布し、UV光を照射し十分硬化させた。
テープ基材の剥離剤が塗布された面とは反対の面に、溶融押出機より、粘着剤(クレイトン社製DX420(スチレン-イソプレン);50%、ゼオン社製QUINTON M100;50%)を押出し20g/mを塗布し、巻き取った。得られた粘着テープの厚さは60μmであった。
【0073】
得られた粘着テープについて、以下の方法で、表面光沢度、曲げ剛性及びテープ背面剥離力を測定した。その結果を表1に示す。
【0074】
<表面光沢度の測定>
粘着テープ剥離剤層側の平面について、表面光沢度を測定した。表面光沢度測定機(GLOSS METER YG268;SHENZHEN 3NH TECHNOLOGYCO., LTD.)を用い、入射光が60°の条件で測定する。粘着テープは、ケント紙(高品質上質紙、厚さ209g/m、白色度99.5%、長門屋社製)に皺なく貼り付け、10cm以上の間隔で10か所測定した平均値を算出した。
なお、表面光沢度が0.5~8.0であるものを合格として評価した。
【0075】
<曲げ剛性(ソフトネス)の測定>
粘着テープの一枚分の曲げ剛性を測定した。粘着テープの粘着剤面には、ベビーパウダー(ベビーパウダー、ピジョン株式会社製)を付属のパフにて塗布し、粘着力をなくしてから使用する。測定長は、2cmであったが、それ以下でもよい。曲げ試験は、純曲げ試験機KES-FB2-Sを用いて、測定長2cmを1cm間隔のチャック間に固定し、最大曲率±2.5cm-1まで曲げ、曲げ剛性[gf・cm/cm]は、曲率に対する曲げモーメントの傾きが一定になった時の傾きから算出した。
なお、粘着テープの曲げ剛性(ソフトネス)が0.05~0.30gf・cm/cmであるものを合格として評価した。
【0076】
<背面剥離力の測定>
JIS Z 0273:2000に記載のあるSUS304パネルに、両面テープ(ST-416、スリーエム社製)を貼り付け、測定する粘着テープの剥離剤層を上にして貼る。両面テープの粘着面のうち貼り付けた粘着テープ面以外の両面テープが露出した面に、測定する粘着テープより厚みの薄い任意のPETフィルムを隙間なく貼りつける。測定する粘着テープのサイズは、測定幅、10mm以上、測定長15mm以上となるように採取する。測定面と同じ幅、または、幅10mm以上、測定長15mm以上の測定用粘着テープ(CT15、ニチバン社製)を、測定する粘着テープの剥離剤層面に置く。JIS Z 0273:2000に記載の手動式圧着装置(2kg)にて、圧着速さ300mm/minにてパネル全体を一往復して圧着し、圧着の後1分経過した後に測定を行う。測定は、JIS Z 0273:2000に記載の、背面に対する90度引きはがし粘着力と同様に行い、3枚の試験片から各1回測定した数値[N/15mm]の平均値にて背面剥離力を求めた。
なお、粘着テープの背面剥離力が、0.65N/15mm以下であるものを合格として評価した。
【0077】
【表1】
【符号の説明】
【0078】
1…粘着剤層、3…紙基材、5…剥離剤層、10…粘着テープ。
図1