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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011728
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】D-アルロース結晶の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07H 3/02 20060101AFI20230117BHJP
   C07H 1/06 20060101ALI20230117BHJP
   A23L 33/21 20160101ALI20230117BHJP
   A23L 27/30 20160101ALI20230117BHJP
   C13K 13/00 20060101ALI20230117BHJP
   C12P 19/24 20060101ALN20230117BHJP
   A21D 2/18 20060101ALN20230117BHJP
   A21D 13/80 20170101ALN20230117BHJP
   A23L 2/00 20060101ALN20230117BHJP
   A23L 2/60 20060101ALN20230117BHJP
   A23G 4/06 20060101ALN20230117BHJP
【FI】
C07H3/02
C07H1/06
A23L33/21
A23L27/30 A
C13K13/00
C12P19/24
A21D2/18
A21D13/80
A23L2/00 G
A23L2/60
A23G4/06
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171280
(22)【出願日】2022-10-26
(62)【分割の表示】P 2019536587の分割
【原出願日】2018-01-05
(31)【優先権主張番号】1750103
(32)【優先日】2017-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】591169401
【氏名又は名称】ロケット フレール
【氏名又は名称原語表記】ROQUETTE FRERES
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】バティスト ボワ
(72)【発明者】
【氏名】ジョフレ ラクロワ
(72)【発明者】
【氏名】ローラン ロッシ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】連続製造プロセスを可能にし、そして高収率を確保するD-アルロース結晶の新規製造方法を提供する。
【解決手段】D-アルロースに富む組成物を提供する工程と;結晶化させられる原液を形成するように前記溶液を濃縮する工程と;D-アルロース結晶及び母液を形成するように前記原液を結晶化させる工程と;少なくとも1つのナノ濾過工程であって、前記工程が、前記D-アルロースに富む組成物を濃縮する工程の前の工程において行われる工程とを含むD-アルロース結晶の製造プロセスを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
・ D-アルロースに富む組成物を提供する工程と;
・ 結晶化させられる原液を形成するように前記溶液を濃縮する工程と;
・ D-アルロース結晶及び母液を形成するように前記原液を結晶化させる工程と;
・ 少なくとも1つのナノ濾過工程であって、前記工程が、前記D-アルロースに富む組成物を濃縮する工程の前の工程において行われる工程と
を含むD-アルロース結晶の製造プロセス。
【請求項2】
前記ナノ濾過のために用いられる膜が、300Da未満の、好ましくは150~250Daの範囲のカットオフ閾値を有することを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
得られる前記原液が、乾燥質量で:
・ 80%~99%、好ましくは85%~98%のD-アルロース;
・ 0%~20%、好ましくは0.5%~15%のD-フルクトース;
・ 0%~10%、好ましくは0%~5%のグルコース;
・ 0%~1.5%、例えば0.1%~1.2%、好ましくは0.4%~1.1%のD-アルロース二量体
を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記ナノ濾過の体積濃縮係数が5~20の範囲であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記結晶化させる工程が、
i.マスキットを形成するように真空下の断熱晶析装置-エバポレーターで実施される、断熱蒸発冷却段階、
ii.続いて、結晶を形成するための前記マスキットの冷却による結晶化の段階
を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記断熱蒸発冷却段階中の温度が、30~40℃の範囲であり、好ましくは33~37℃の範囲であり、例えばおよそ35℃であることを特徴とする、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
連続的であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
少なくとも1つのリサイクリング工程を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記母液の少なくとも一部をリサイクルする工程を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
D-アルロースの前記原液を提供する工程が、
・ D-アルロースに富む組成物を提供する工程;
・ 保持液及び透過液を提供するためのD-アルロースに富む前記組成物のナノ濾過の工程;
・ ナノ濾過透過液を回収する工程;
・ D-アルロースの前記原液を提供するようにこの透過液を濃縮する工程
を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記保持液の少なくとも一部をリサイクルする工程を含むことを特徴とする、請求項1
0に記載のプロセス。
【請求項12】
D-アルロースに富む前記組成物を提供する工程が、
・ D-フルクトースを含む組成物を提供する工程;
・ D-フルクトース及びD-アルロースを含む組成物を形成するようにエピマー化させる工程;
・ D-アルロースに富む組成物及びD-フルクトースに富む組成物を提供するためのクロマトグラフィー工程
を含むことを特徴とする、請求項10又は11に記載のプロセス。
【請求項13】
D-フルクトースに富む前記組成物の少なくとも一部をリサイクルする工程を含むことを特徴とする、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
D-フルクトースに富む前記組成物のリサイクリング度が50%~95%の範囲であることを特徴とする、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
0.50%未満の、ガスクロマトグラフィー(GC)によって測定される、質量含有量のD-アルロース二量体を含むD-アルロース結晶。
【請求項16】
0.01%~0.48%の範囲の、優先的には0.02%~0.45%の範囲の、例えば0.03%~0.40%の範囲の、特に0.04%~0.30%の質量含有量のD-アルロース二量体を含むことを特徴とする、請求項15に記載のD-アルロース結晶。
【請求項17】
200μmより大きい、有利には210~800μm、優先的には220~350μmの範囲の体積平均サイズD4,3を有することを特徴とする、請求項15又は16に記載のD-アルロース結晶。
【請求項18】
200~400μmの範囲で選ばれる所与の体積粒径D4,3について、0.60よりも大きい、有利には0.62~0.90、例えば0.63~0.80の範囲のFeret最小/Feret最大比を有することを特徴とする、請求項15~17のいずれか一項に記載のD-アルロース結晶。
【請求項19】
200~400μmの範囲の体積粒径D4,3の全てにわたってこのFeret最小/Feret最大比を有することを特徴とする、請求項17に記載のD-アルロース結晶。
【請求項20】
D-アルロース結晶の全収率を向上させるためのD-アルロース結晶の製造サーキットでのナノ濾過ユニットの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的に作業すること、及び高収率を得ることを可能にするD-アルロース結晶の新規製造プロセスに関する。本発明の主題はまた、新規D-アルロース結晶である。本発明の別の主題は、それの収率及び/又は得られる結晶の品質を向上させるためのD-アルロース結晶の製造プロセスにおけるナノ濾過ユニットの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
D-アルロース(つまりD-プシコース)は希少糖であり、その甘味力はサッカロースの70%に相当する。サッカロースとは対照的に、D-アルロースは、人間によって代謝されないので体重の増加を引き起こさない。D-アルロースは、カロリー含量(1グラム当たり0.2kcal)が非常に低く、したがって体脂肪の増加を防ぐ。さらに、研究は、D-アルロースが非う触性であるか、又はさらには抗う触性であることも示している。したがって、これらの特性は、最近、食品及び医薬品業界から非常に大きな関心を生んでいる。
【0003】
D-アルロースを化学的に、例えばモリブデン酸アンモニウム触媒の存在下で酸性媒体中のグルコースの水溶液を反応させることによってD-アルロースを得ることは可能であるが、D-アルロースは、例えば、本出願人名義で国際公開第2015/032761 A1号パンフレットに記載されているようにD-フルクトースの水溶液をD-プシコースエピメラーゼと反応させることによって、酵素的に一般に得られる。これらの2つのケースで、反応は完全ではない。例えば、エピマー化後にD-アルロースへ転化されたD-フルクトースの量は、一般に30%未満である。
【0004】
したがって、エピマー化反応の終わりに、結果として生じるD-アルロース組成物の濃度を高めるために、D-アルロースを分離する工程を実施することが必要である。この分離を実施するために、エピマー化反応から生じた組成物のクロマトグラフィーが、例えば擬似移動床タイプの連続クロマトグラフィーによって、極めて一般的に実施される。
【0005】
特開2001-354690号公報は、フルクトースとD-アルロースとの混合物から出発するD-アルロースシロップの製造プロセスであって、前記プロセスが、混合物の様々な生成物の特定の一連の試料を用いる連続クロマトグラフィーの工程からなる分離工程を含むプロセスを記載している。D-アルロースに富む画分(98%に達することができるD-アルロース濃度)とフルクトースに富む反応物とが回収される。D-アルロースに富む画分の回収収率は96%である。
【0006】
上述の分離工程の終わりに、D-アルロースに富む液体組成物が得られる。したがって、一般にシロップと呼ばれる、これらの液体組成物が、食品又は医薬品の製造のために使用される。
【0007】
例として、同様に本出願人名義での、国際公開第2015/094342号パンフレットは、50%~98%のD-アルロースと天然タンパクとを含む、D-アルロースシロップを含む固体食品の製造を記載している。これまでに様々な会社がD-アルロースの販売を発表しているのは、主にこのシロップ形態である。
【0008】
D-アルロースはまた、粉末形態でも販売されている。しかしながら、以下に説明されるように、前記粉末の製造は、非常に複雑な場合がある。
【0009】
例えば噴霧乾燥技術を用いて粉末を製造することは可能である。しかしながら、その組成が噴霧乾燥される原材料に依存する噴霧乾燥粉末は、一般に大量の不純物を含む。さらに、これらの噴霧乾燥粉末は、弱結晶質であり;それらは非常に吸湿性であり、これは、したがって耐水性問題の原因になる。これはまた、一般により実質的なケーキング現象を生み出す。
【0010】
これらの困難性のために、D-アルロースの噴霧乾燥についての文献の記載は極めて少ない。例として、D-アルロースとD-アロースとからなる混合物の噴霧乾燥を記載している欧州特許第1 860 195号明細書が言及され得る。D-アルロースのエナンチオマー、L-アルロースに関しては、D-アルロースの調理マスの噴霧乾燥を記載している特許第4761424号公報が言及され得る。
【0011】
本出願人名義の、例えば国際公開第2016/012853号パンフレットに記載されているような、造粒技術を用いて粉末を製造することも可能である。
【0012】
粉末の別の形態は、D-アルロースの原液の結晶化によって得られる結晶に関する。
【0013】
D-アルロース結晶の製造プロセスは、中国特許出願公開第104447888 A号明細書に記載されている。この文献は、より具体的には実施例において、モリブデン酸塩触媒を使用するグルコースからD-アルロースの溶液を製造する工程、次に活性炭を使用してこの溶液を脱色する工程、次に活性炭を除去するために濾過する工程、電気透析によって脱イオン化する工程、70%~90%の範囲の純度を有するD-アルロースの溶液を形成するように連続クロマトグラフィーによって分離する工程、D-アルロースの濃厚溶液を得るように前記溶液を濃縮する工程、引き続くせいぜい99%の、限界純度を有する結晶性D-アルロース製品を得るためのエタノールからの結晶化の工程を含むプロセスを記載している。結晶化収率は、前記文献に示されていない。
【0014】
別の結晶化プロセスもまた、結晶化収率が約50%である、CJ Cheiljedang名義の国際公開第2011/119004号パンフレットに記載されている。D-アルロース結晶のこの製造プロセスは、D-アルロースの溶液を提供する工程と、この溶液を精製する工程と、原液を提供するようにD-アルロースの溶液を濃縮する工程と、この原液の結晶化の工程とを含み、ここで、結晶化工程は、原液を準安定帯に維持しながら実施される。前記文献に記載される精製工程は、D-グルコースをフルクトースから分離することを可能にする、クロマトグラフィーによって分離する工程である。しかしながら、前記文献は、結晶形態での粉末の製造が実施するのが困難であることを認めている:
・ 第一に、この結晶化は、段落[36]に示されているように、制御するのが困難であり、その段落には、上澄みの濃度をまた測定しながら(これは、晶析装置の温度を調整するためである)、結晶の連続的観察によって、結晶化が注意して実施されなければならないことが明記されている。しかしながら、前記文献は、この結晶化を行うことが困難である理由に関して言及していない。
・ さらに、得られた結晶は、200μn未満のサイズを有し(段落[89]を参照されたい)、したがって、サイズが小さいため、遠心分離中に結晶化からの母液から分離するのが困難である。回収された結晶はまた、その後の使用中に取り扱うのが困難である。
【0015】
同様にCJ Cheiljedang名義の、国際公開第2016/064087号パンフレットはまた、実施例3において、原液が4つの別個の時点で晶析装置へ導入されるD-アルロース結晶の製造プロセスを記載している。各導入の間に、4つの加熱及び冷却サイクルが実施され、それによって80時間超続くプロセスをもたらす。国際公開第2011/119004号パンフレットに記載されているプロセスと比べて、結晶化収率は向上していない(それは52.8%である)。得られた結晶は、より大きい平均サイズ(3
74μmに等しい平均開口部)を有する。しかしながら、得られた結晶は不純物を示す。さらに、会社CJ Cheiljedangによって販売されている結晶は、全く満足できない流動性をもたらす、針状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述から、多くの問題が、D-アルロース結晶の製造に依然として残っているように思われる。
【0017】
第一に、D-アルロース結晶の全収率が過度に低い。用語「D-アルロース結晶の全収率」は、得られたD-アルロース結晶の質量対導入されたD-フルクトースの質量の、乾燥質量として表される、比を意味することを意図する。D-フルクトースに対して約15%の、この低い収率は、エピマー化工程の収率(30%未満の)及び結晶化工程の収率(一般に約50%の)と本質的に関係している。
【0018】
本プロセスの収率を向上させるために、したがって、「リサイクリング工程」を実施することが必要不可欠である。プロセスにおける用語「リサイクリング工程」は、分離工程中に得られた生成物の何分の一の、手順の先行工程における、再使用を意味することを意図する。本出願において、用語「分離工程」は、生成物Aと生成物Bとを含む組成物を少なくとも、生成物Aにより富む第1画分と、生成物Bにより富む第2画分とへ分離することを可能にする任意の工程を意味することを意図する。画分は、任意の形態でもよく、例えば固体形態、液体形態、又はさらには液体中の固体懸濁液の形態であってもよい。分離工程は、任意のタイプのもの、例えば、液体組成物が少なくとも2つの液体画分へ分離される、クロマトグラフィー工程、あるいは液体成分が固体画分と液体画分とへ分離される結晶化工程であってもよい。
【0019】
フルクトースに富む画分がリサイクルされる工程は、D-アルロースシロップの製造プロセスの収率を向上させる目的で既に記載されている。特に、前に引用された特開2001354690 A号公報は、エピマー化工程にかけるためにクロマトグラフィー工程中に得られたフルクトースに富む画分のリサイクリングを記載している。これは、液体組成物の形態でのD-アルロースの収率を向上させることを可能にする。
【0020】
D-アルロース結晶の製造プロセス(例えば、国際公開第2011/119004号パンフレットに記載されているものなどの)に前記文献の教示を適用しようとした際に、本出願人はそれらが簡単に置き換え可能ではないことに気付くことができた。
【0021】
これは、フルクトースに富む画分のリサイクリングが実施される場合に(図1を参照されたい)、得られた原液が結晶化するのが徐々に困難になることに本出願人が気付くことができたためである。実験の部において実証されるように、この結晶化は一定時間後に不可能になる。
【0022】
さらに、依然として本プロセスのD-アルロース結晶の全収率を向上させるという狙いで、本出願人はまた、濃縮後に新たな原液を形成するようにそれらをD-アルロース組成物と混合することによって、結晶化からの母液の(すなわち、結晶化工程中に得られた結晶を分離した後に得られるD-アルロースに富む溶液の)リサイクリングを行うことを試みた(図2を参照されたい)。母液のこのリサイクリングが同じ困難(これは、フルクトースに富む画分のリサイクリングのケースでよりもさらにより速い)を引き起こすことに気付くことができた(実施例の部を参照されたい)。
【0023】
上記のこれらの2つのケースでは、D-アルロース結晶の製造の中断がしたがって行わ
れなければならない。
【0024】
さらに、本出願人は、リサイクリングを実施しなくても、上に記載された教示をD-アルロース結晶を製造するための連続的な工業的プロセスに置き換えると、「不安定性」が観察されることに気付くことができた。これらの不安定性は、本プロセス中にどういうわけか可変の外観を有する結晶のマスキットをもたらす。これは、先験的に、それらの挙動のいかなる予測も行うことが可能であることなく、結晶のマスキットが遠心分離でき得るし、それからある瞬間に遠心分離できないので特にわずらわしい。それらをプロセスにおいて再使用することが望まれる場合には、そのとき、得られたマスキットを再溶融させる必要があり、これは、このプロセスを非常に実用的でなく、かつ、経済的でないものにする。
【0025】
実際に、シロップ形態で今日主に販売されている、D-アルロースの工業開発を加速させる目的で、競争力のある価格でそれらを供給できるために、D-アルロース結晶を製造するための連続的な、安定したプロセスを、工業的規模で、実施できることが必要不可欠である。
【0026】
膨大な量の研究の後に、本出願人は、上述の問題を解決することができるD-アルロース結晶の製造プロセスを得ることに成功した。
【0027】
向上したプロセス安定性のために、結晶の製造は、例えば国際公開第2011/119004号パンフレットに示されているような、いかなる系統的な制御も必要とせず、それは、D-アルロース結晶を製造するための連続的なプロセスの実施を可能にする。
【0028】
さらに、本発明のプロセスはまた、多数のリサイクリング工程を可能にし、本プロセスの収率は、大きく高めることができる。
【0029】
膨大な量の研究を実施することによって、本出願人は、D-アルロース結晶の製造プロセスにおいて、特定の不純物が、原液の調製プロセスの様々な工程中に生じることに気付くことができた。これらの不純物は、本出願人の知る限りでは、文献に決して報告されていない。本出願人が特定のガスクロマトグラフィー(GC)技術を用いることによってそれらを特定することが可能であった。いかなる理論にも制約されることなく、本出願人は、これらの不純物が、本プロセスの全体にわたって縮合により生じるD-アルロース二量体であると考える。
【0030】
本出願人はまた、これらのD-アルロース二量体が、グルコース又はD-フルクトースなどの他の不純物とは対照的に、非常に著しい抗結晶化効果を有することを示すことができた。
【0031】
意外にも、本出願人は、特定の分離工程が実施されるD-アルロース結晶の製造プロセスを実施することによって、D-アルロースの困難な結晶化というこの問題を排除するのに成功した。この分離工程は、これらの抗結晶化不純物を除去することを可能にする、ナノ濾過からなる。
【0032】
この新規プロセスは、それが、導入されたD-フルクトースに対して25%を超える、有利には50%を超える、又は実に65%を超える全収率を達成することを可能にするため、D-アルロース結晶の工業開発に大きな進歩を提供する。これは、競争力のある価格でのD-アルロース結晶の製造及びまた大規模でそのような結晶の商業開発を想定することを可能にする。
【0033】
さらに、本出願人は、これらの不純物の存在が、特に大きい結晶を製造しようとする場合に、特にそれらの平均サイズが200μnを超える場合に、結晶の形状に影響を及ぼす因子であることに気付いた。
【0034】
その研究中に、本出願人はまた、製造工程の中に、上述のナノ濾過工程を用いる特有の結晶化プロセスを用いて新規D-アルロース結晶を製造することに成功した。本発明の別の態様である、これらの結晶は、非常に低い質量百分率のD-アルロース二量体を含むという特殊性を特に有する。得られた結晶はまた、異なる形状及び改善された流動性を有することができる。これらの形状及び流動特性は、二量体が非常に少量結晶中に存在するという事実に直接関係している。逆に、大きい結晶を製造することが望まれる場合に、結晶化の間に原液中のD-アルロース二量体のかなりの存在は、かなりの量のこれらの二量体を含むD-アルロース結晶をもたらし;さらに、針状結晶を形成するようにこれらの結晶の伸長が観察される。実際に、これらの針状結晶は、本発明の結晶よりも少ない流動性を示し得る。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明は、したがって、
・ D-アルロースに富む組成物を提供する工程と;
・ 結晶化させられる原液を形成するように前記溶液を濃縮する工程と;
・ D-アルロース結晶及び母液を形成するように原液を結晶化させる工程と;
・ 少なくとも1つのナノ濾過工程であって、前記工程が、D-アルロースに富む組成物を濃縮する工程の前の工程で行われる工程と
を含む、D-アルロース結晶の製造プロセスに関する。
【0036】
上に述べられたように、本出願人は、系統的に、D-アルロース結晶の製造プロセスにおいて、特定の不純物が本プロセス中に生じることに気付くことができた。前記不純物は、本出願人が知る限りでは、文献に決して報告されていない。これは、D-アルロースの純度を測定するために従来用いられた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)技術で、これらの不純物は、クロマトグラム上で検出されないという事実によって説明される(図7及び8を参照されたい)。本出願人がそれらの存在を検出することができたのは、ガスクロマトグラフィー技術を用いることによる(図9及び10を参照されたい)。
【0037】
本出願人がこれらの不純物をD-アルロース二量体であると特定することは可能であった。本出願人はまた、これらの二量体が、グルコース又はD-フルクトースなどの他の不純物とは対照的に、非常に著しい抗結晶化効果を有することを示すことができた。実際に、これらのD-アルロース二量体は本プロセス中に生じるため、これらの二量体の量が余りにも高い場合には、それらの存在は、この結晶化を純粋に及び簡単に阻止することによって、遠心分離できないマスキットを形成することによってD-アルロース結晶の連続的製造プロセスの収率を制限し得る。さらに、多数の一連の工程が実施される、D-アルロース結晶を製造するための工業的な、連続的なプロセスにおいて、これらの不純粋物の量は、経時的に変わり得る。これは、マスキットが時々遠心分離でき、時々遠心分離できないので、本プロセスを経時的に不安定にする。
【0038】
これらの特有の不純物を特定したこと、及びナノ濾過によってこれらのD-アルロース二量体を少なくとも部分的に分離することからなる分離工程を実施することによって、それらを除去することに成功したことは、本出願人が評価できることである。
【0039】
結晶化工程を非常に安定したものにする本発明のプロセスを用いて、その結果、連続的に本プロセスを実施すること、しかしまたD-アルロース結晶の全収率を劇的に高めることが可能である。これは、非常に少量のD-アルロース二量体を有するD-アルロースの
原液を提供することが可能である(これは、上述のナノ濾過工程のおかげである)という事実によって可能にされる。
【0040】
この原液を使用して、特に前記二量体のその場形成をまた制限する特定の結晶化プロセスを用いて新規D-アルロース結晶を提供することに成功したことは、本出願人が評価できることである。これは、そのD-アルロース二量体の質量百分率が先行技術のものよりも低い結晶をもたらす。本発明の別の主題は、したがって、0.5%未満の、ガスクロマトグラフィー(GC)によって測定される、質量含有量のD-アルロース二量体を含むD-アルロース結晶に関する。
【0041】
国際公開第2011/119004 A2号パンフレットに記載されている結晶に関して、それらが非常に微細なサイズを有するため、それらは、結晶化母液から分離することが困難である。母液は、大量のD-アルロース二量体を含み、それ故分離後に回収された結晶中の二量体含有量が高く、本発明の結晶よりもはるかに高い。さらに、本出願の比較例3(実施例セクションを参照されたい)は、この文献に記載されているプロセスをさらに改善しても、本出願人が、本発明の結晶を得られなかったことを実証する。
【0042】
国際公開第2016/064087号パンフレットに記載されている結晶に関しては、それらは、本発明の結晶よりも多い量でD-アルロース二量体であり得る、不純物を示す。いかなる理論にも制約されることなく、これらの二量体の存在は、D-アルロース溶液が、結晶皿中へ導入される前に、すなわち、60時間に達する期間加熱し続けられるという事実によって説明され得る。さらに、この文献は、原液が調製される方法に関して、特に濃縮工程の条件に関して全く言及していない。実際に、本説明の残りにおいて明らかになるように、結晶化及び濃縮工程の条件の選択は、形成されるD-アルロース二量体の量に本質的な影響を及ぼす。したがって、これらの条件の選択は、本プロセス中に形成される二量体の量を制限すること、こうして得られたD-アルロース結晶中のD-アルロース二量体含有量を減少させることを可能にする。原液を調製する工程の条件の選択は、その中のD-アルロース二量体の量に本質的な影響を及ぼすので、この文献は、この発明の結晶の調製に有用な原液も、結晶それら自体も記載していない。
【0043】
欧州特許第1 860 195号明細書は、D-アルロースが少数部分であり、そしてD-アルロース結晶ではない、D-アロースとD-アルロースとの管状タイプの複合結晶性組成物を記載している。
【0044】
中国特許出願公開第104447888 A号明細書に記載されているエタノールからの結晶化によって得られる結晶性組成物について、この文献は、結晶性組成物の製造プロセスの多数の条件に関して、特に原液を濃縮するための工程に関して言及していない。この点において、これらの結晶性組成物製造試験を再現することは不可能である。しかしながら、結晶化がエタノールなどの有機溶剤中で特異的に実施されなければならないことに気付くことは有用である。しかしながら、このタイプの溶剤中での結晶化が必要な場合にのみ用いられることは公知である。実際に、明らかなコスト及び環境理由で一般に好ましい水。選択された有機溶剤(D-アルロースのケースではエタノール)は、再処理するためにより高くつき、必然的に困難が伴うが、結晶化を容易にし、水から可能であろう結晶化を可能にするという利点を有する。これは、それ故、D-アルロースの原液がD-アルロース二量体タイプの大量の不純物を含むことを裏付け、これは、原液を調製する様々な工程についての特別な事前の注意が全く払われなかったように思われる(特に条件が、濃縮工程について全く示されていない)という事実によって説明され得る。さらに、精製の観点から、D-アルロースに近い化学的性質の、これらの二量体がまたエタノールにやや溶けにくく、同様に沈澱するため、エタノールからの結晶化は、(これが可能である場合に)水からの結晶化よりも高純度のD-アルロース結晶を得るのに効率的であり得ない。
最後に、また多数である、他の不純物が、この文献において得られた低純度で実証されるように、結晶性組成物中に見いだされる。
【0045】
エタノールからの結晶化によって得られる結晶性組成物は、Takeshitaらによる刊行物(Mass production of D-psicose from D-fructose by a continuous bioreactor system using immobilized D-tagatose 3-epimerase,Journal of Bioscience and Bioengineering,Vol.90 No.4,January 2000,pages 453-455)にまた記載されている。この文献は、D-アルロースを調製する第1工程に焦点を合わせており、D-アルロース結晶の製造に関して焦点を合わせておらず、それの詳細は再び非常に少ない。原液を調製する工程の条件の選択は、その中のD-アルロース二量体の量に本質的な影響を及ぼすので、この文献は、この発明の結晶の調製に有用な原液も、結晶それら自体も記載していない。さらに、この文献において、この結晶化は、D-アルロースの固化を容易にするためにエタノールから実施されることが明記されており、それは、高い量の非結晶性不純物を実証しており、水からこの文献のD-アルロース原液を結晶化させることの不可能性を裏付けている。さらに、この文献において問題の結晶化は、実際には、エタノールの添加による制御されない「沈澱」であるにすぎず、必然的に不純な固体結晶性組成物をもたらす。
【0046】
他の結晶性組成物がまた、中国特許出願公開第103333935 A号明細書に述べられているが、原液の調製についての条件も、結晶化についてのいかなる条件も(溶剤さえも)示されていないので、それらの調製に関する詳細は全くない。さらに、この文献は、調製試験それ自体を含んでいない。原液を調製する工程の条件の選択は、その中のD-アルロース二量体の量に本質的な影響を及ぼすので、この文献は、この発明の結晶の調製に有用な原液も、結晶それら自体も記載していない。さらに、この文献において得られた結晶性組成物の低純度(98%)は、結晶性組成物が非常に不純であることを示しているように思われる。
【0047】
本発明の別の主題はまた、D-アルロース結晶の全収率を向上させるためにD-アルロース結晶の製造サーキットでのナノ濾過ユニットの使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1図1は、D-フルクトースに富むクロマトグラフィーラフィネートが、エピマー化反応の最上部でフルクトースと混合されるようにリサイクルされるD-アルロース結晶の製造サーキットを図式的に表す。
図2図2は、結晶化母液が、エピマー化反応から生じるD-フルクトース/D-アルロース組成物と混合されるようにリサイクルされるD-アルロース結晶の製造サーキットを図式的に表す。
図3図3は、本発明のプロセスに有用なナノ濾過ユニットを含むD-アルロース結晶の製造サーキットを図式的に表す。
図4図4は、本発明のプロセスの変形に有用な、真空下の断熱晶析装置-エバポレーターの例を表す。
図5図5は、本発明のプロセスの変形に有用な垂直晶析装置の例を表す。
図6図6は、ナノ濾過工程に関連して体積濃縮係数の関数としての透過、すなわち流量の曲線を表す。
図7図7は、本発明のプロセスにおいて(図3を参照されたい)、すなわち、ナノ濾過前にサンプリングされたD-アルロースに富む組成物のHPLCクロマトグラムを表す。
図8図8は、本発明のプロセスにおいて(図3を参照されたい)、すなわち、ナノ濾過後にサンプリングされた透過液のHPLCクロマトグラムを表す。
図9図9は、本発明のプロセスにおいて(図3を参照されたい)、すなわち、ナノ濾過前にサンプリングされたD-アルロースに富む組成物の、二量体に特有のゾーンにおける、GCクロマトグラムを表す。
図10図10は、本発明のプロセスにおいて(図3を参照されたい)、すなわち、ナノ濾過後にサンプリングされた透過液の、二量体に特有のゾーンにおける、GCクロマトグラムを表す。
図11図11は、比較D-アルロース結晶の光学顕微鏡法によって得られた画像を表す。
図12図12は、本発明によるD-アルロース結晶の光学顕微鏡法によって得られた画像を表す。
図13図13は、会社CJ CheilJedang Food Ingredientによって製造され、販売されるD-アルロース結晶の光学顕微鏡法によって得られた画像を表す。
図14図14は、2つのタイプのD-アルロース結晶について体積粒径D4,3の関数としての直径Feret最小/Feret最大の比を表す。
図15図15は、モデル粒子の直径Feret最小及びFeret最大を表す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
D-アルロース結晶の製造プロセスは、従来、
・ 結晶化させられる原液を提供するようにD-アルロースに富む組成物を濃縮する工程;
・ D-アルロース結晶及び母液を形成するように原液を結晶化させる工程;
・ 母液とD-アルロース結晶とを分離する工程
を含む。
【0050】
本発明のプロセスは、ナノ濾過工程を含むという特殊性を有する。
【0051】
このナノ濾過工程は、本発明のプロセスにおいて提供される原液中のD-アルロース二量体の量を制限することを可能にする。このナノ濾過工程は、D-アルロースに富む組成物を濃縮する工程の前の工程において行われる。この工程はしたがって、そのD-アルロース二量体含有量が、このナノ濾過工程を用いないもの及び同じプロセスから得られるものよりも低いD-アルロースの原液の提供を可能にする。
【0052】
本発明のプロセスにとって絶対に必要である、ナノ濾過工程において、D-アルロースの組成物がナノ濾過にかけられる場合に2つの画分が形成される:
・ D-アルロース二量体に乏しい、透過液;
・ 及びまたD-アルロース二量体が富化されている、保持液。
【0053】
本発明のプロセスに有用である結晶の製造サーキットを表す、図3において、流れ6は透過液を表し、流れ12は保持液を表す。例示的な、しかし非限定的な理由で、本説明の残りにおいて示される流れは、この図3の製造サーキットの流れに言及する。
【0054】
ナノ濾過透過液は、この原液の製造を可能にする中間物である。
【0055】
用語「D-アルロース二量体に乏しい」及び「D-アルロース二量体が富化された」は、ナノ濾過される組成物のD-アルロースオリゴマーの含有量に明らかに関連している。用語「D-アルロース二量体」は、少なくとも第2の同一の又は異なる単糖と縮合したD-アルロースを含む化合物を意味することを意図する。これらの二量体は、例えばD-アルロース-D-アルロース型の二量体である。
【0056】
これらの二量体は、実施例の部において実証されるように、GCによって検出することができ、HPLC分析中に検出できなかった。乾燥質量として表される、様々な構成物質の質量が、本出願においてはGCによって系統的に測定されることはこれから分かる。組成物中の化学種のそれぞれの量を測定するために、試料は、存在する様々な化学種を、メトキシム化トリメチルシリル誘導体へ変換するための処理工程を一般に受ける。化学種のそれぞれの質量は本出願においては、特に言及しない限り、全乾燥質量に対して表される。
【0057】
グルコースの、フルクトースの及びアルロースの量は、300℃に加熱される注入器を備えた、300℃に加熱される水素炎イオン化検出器(FID)を備えた、ならびに0.18mmの内径及び0.4μmのフィルム厚さを有する、40メートルDB1キャピラリーカラムを備えたガスクロマトグラフにおいて測定することができ、カラム温度は、次のようにプログラムされる:3℃/分の速度で200℃から260℃まで、次に15℃/分で260℃から300℃まで、300℃で5分保持される。
【0058】
用語「D-アルロース二量体の量」は、GCによって測定される、試料中の二量体の総量と、マルトース及びイソマルトースなどのグルコース-グルコース二量体である、おそらく存在する公知の二量体の量との間の差を意味することを意図する。しかしながら、これらのグルコース-グルコース二量体の量は、一般に非常に少ないか、又は存在しない。例えば、本発明に有用な原液中で、グルコース-グルコース二量体の質量は、一般に0.2%未満、多くの場合0.1%未満である。同じことが、本発明の結晶に当てはまる。
【0059】
グルコース-グルコース二量体の可能な量は、グルコース、フルクトース及びD-アルロースについて上記のものと同じ条件下で:
・ 本発明のグルコース-グルコース二量体の加水分解を実施することによって;
・ 同じクロマトグラムでの及び同じ条件下の全グルコースの量(前記全グルコースは、遊離と称される初期グルコース及びグルコース-グルコース二量体の加水分解から生じたグルコースを含む)を測定することによって;
・ 全グルコースのこの量から、試料の初期グルコースの量を差し引くことによって
測定することができる。
【0060】
二量体の総量は、それに関する限り、使用されるカラムが、0.32mmの内径及び0.25μmのフィルム厚さを有する、30メートルDB1キャピラリーカラムであり、カラム温度が次のようにプログラムされる:5℃/分の速度で200℃から280℃まで、次に280℃で6分間保持され、次に5℃/分で280℃から320℃まで、320℃で5分間保持されるという相違ありで、上記のものと同じ条件下でのガスクロマトグラフにおいて測定することができる。
【0061】
本方法は、実施例の部においてより詳細に記載される。
【0062】
本発明に有用なナノ濾過工程を実施するために、ナノ濾過される組成物は、ナノ濾過膜を通過させられる。それは一般に、5%~15%の範囲の乾燥物質含有量を有する。
【0063】
ナノ濾過されるこの組成物の温度は、10~80℃、一般に15~50℃の範囲であり、多くの場合約20℃であり得る。
【0064】
当業者は、この分離に有用な膜を選ぶ方法を知っているであろう。このナノ濾過膜は、300Da未満の、好ましくは150~250Daの範囲のカットオフ閾値を有することができる。理想的には、膜は、少なくとも98%のMgSO拒絶率を有する。それは特
に、GE(登録商標)によって製造されるDairy DK又はDuracon NF1タイプの膜であってもよい。
【0065】
膜に加えられる圧力はまた、広く変わることができ、1~50バール、好ましくは5~40バール、最も優先的には15~35バールの範囲であり得る。
【0066】
ナノ濾過工程は、透析濾過段階によって成し遂げることができる。
【0067】
好ましくは、ナノ濾過の体積濃縮係数(VCF)は2~20の範囲である。この体積濃縮係数は、当業者によって容易に調整される。
【0068】
このナノ濾過工程は、連続的に実施することができる。
【0069】
本発明によれば、D-アルロースに富む組成物を提供する工程は、
・ D-フルクトースを含む組成物(流れ1又は1’)を提供する工程;
・ D-フルクトース及びD-アルロースを含む組成物(流れ2)を形成するためのエピマー化工程;
・ D-アルロースに富む組成物(流れ5)と、D-フルクトースに富む組成物である、ラフィネート(流れ14)とを提供するためのクロマトグラフィー工程
を含むことができる。
【0070】
好ましくは、ナノ濾過工程は、D-アルロースに富む組成物(流れ5)を提供する工程と、D-アルロースの原液(流れ7)を形成するための濃縮工程との間で実施される。D-アルロースに富む前記組成物のナノ濾過工程は、保持液(流れ12)及び透過液(流れ6)を提供する。
【0071】
したがって、
・ D-アルロースに富む組成物を提供する工程;
・ 保持液及び透過液を提供するためのD-アルロースに富む前記組成物ナノ濾過の工程;
・ ナノ濾過透過液を回収する工程;
・ D-アルロースの原液を提供するようにこの透過液を濃縮する工程
を含む、本発明の好ましいものの変形。
【0072】
本発明のプロセスにおいて、ナノ濾過工程は、したがって、原液を提供する濃縮工程の直前に、クロマトグラフィー工程から得られるD-アルロースに富む組成物に関して有利に実施される。本プロセスが、結晶化させられる原液中のD-アルロース二量体の量を最も効果的に制限し、こうしてD-アルロース結晶の全収率を最も実質的に高めることを可能にするのは、この構成においてである。
【0073】
用語「D-アルロースに富む組成物」は、乾燥質量で、80%よりも大きい、有利には80%~99%、優先的には82%~98%の範囲のD-アルロース質量含有量を有する組成物を一般に意味することを意図する。
【0074】
得られる透過液に関して、それの乾燥物質含有量は、例えば3%~15%の範囲で変わることができる。透過液は特に、D-アルロース、D-フルクトース及びグルコースに加えて、そしてまたおそらく存在する他の糖を含むことができる。この濾液の組成は、非常に異なることができ、ナノ濾過される組成物に依存する。このナノ濾過の終わりに、回収される透過液は、その乾燥質量に対して、0%~1.2%、例えば0.1%~1.0%、特に0.15%~0.5%のD-アルロース二量体を含むことができる。透過液は、追加
の生成物と混合する工程、分離工程、精製工程、エピマー化工程又は濃縮工程などの1つもしくは複数の工程にかけることができる。
【0075】
得られる保持液に関して、それの乾燥物質含有量はまた、広く、例えば15%~40%の範囲で変わることができる。それは、主にD-フルクトース、D-アルロース、グルコース及びD-アルロース二量体を含み得る。一変形によれば、保持液は、回収され、任意選択の濃縮工程後に、D-アルロースシロップを提供するように、D-アルロースの追加の組成物と任意選択的に混合される。
【0076】
D-アルロース二量体を含むD-アルロースに富む組成物がナノ濾過工程にかけられる好ましい変形において、「好ましい透過液」と称される、得られる透過液(流れ6)は好ましくは、乾燥質量で:
・ 80%~99%のD-アルロース;
・ 0%~20%のD-フルクトース;
・ 0%~10%のグルコース;
・ 0%~1.2%のD-アルロース二量体
を含む。
【0077】
上に示されたように、この好ましい透過液は、結晶化させられる原液(流れ7)を得るように濃縮工程に直接かけることができる。
【0078】
本出願において、D-アルロース結晶以外の、組成物の全ては一般に水性組成物であることが明記される。言い換えれば、乾燥構成物質の溶剤は水を含む。組成物の溶剤は、一般に水又は水と、例えば、エタノールなどのアルコールとの混合物からなる。優先的には、組成物の溶剤は水である。
【0079】
したがって、本発明に有用なD-アルロースの原液は、一般にD-アルロースの水溶液からなる。原液は、一般に少なくとも75%、例えば80%~95%、優先的には81%~92%、最も優先的には83%~89%の乾燥物質含有量を有する。
【0080】
この乾燥物質含有量を達成するために、濃縮工程を実施することが必要である。この工程は、D-アルロースに富む組成物に関して実施することができ、たった一つの要件は、D-アルロースに富むこの組成物が、先行工程において、本発明に有用なナノ濾過工程を含むプロセスを用いて得られていることである。濃縮工程にかけられるD-アルロースに富むこの組成物は、したがって、上記の好ましい透過液、しかしまたクロマトグラフィーによって得られたD-アルロースに富む組成物、あるいは透過液と、D-アルロースに富む追加の組成物との混合物であり得る。優先的には、濃縮工程にかけられるD-アルロースに富む組成物は、好ましい透過液である。
【0081】
D-アルロース二量体の形成は、濃縮工程中にも起こるため、これらの二量体の形成量を限定することを可能にする条件を選択することが好ましい。濃縮工程は、したがって一般に、真空下で、例えば5~100ミリバール、好ましくは20~70ミリバールの範囲の圧力で実施される。この真空は、蒸発のために必要とされる温度を下げること、及びこの濃縮工程の継続時間を減らすことを可能にする。それは、30~80℃、有利には34~70℃、優先的には37~50℃の範囲の温度で実施することができる。この濃縮工程は、一段階エバポレーター、多段階エバポレーター、例えば二段階エバポレーターで実施することができる。濃縮工程の終わりに、本発明に有用なD-アルロースの原液が得られる。
【0082】
この濃縮工程は、連続的に実施することができる。
【0083】
得られる原液は、乾燥質量で:
・ 80%~99%、好ましくは85%~98%のD-アルロース;
・ 0%~20%、好ましくは0.5%~15%のD-フルクトース;
・ 0%~10%、好ましくは0%~5%のグルコース;
・ 0%~1.5%、例えば0.1%~1.2%、優先的には0.4%~1.1%のD-アルロース二量体
を含むことができる。
【0084】
本発明によるプロセスはまた、D-アルロース結晶の懸濁液を形成するようにD-アルロースの前記原液を結晶化させる工程を含む。この懸濁液は、この工程中にまた形成される結晶化からの結晶及び母液を含む。
【0085】
この結晶化工程は、任意のタイプのものであってもよい。それは、特に、冷却による結晶化工程又は蒸発結晶化による結晶化工程であってもよい。当業者は、特に国際公開第2011/119004号パンフレットに記載されている実施条件を見いだす方法を知るであろう。しかしながら、これらの文献に記載されている結晶化工程は、本発明に有用な原液の特殊な調製のせいで、行うことをより困難にされることが指摘されるべきである。
【0086】
結晶化工程の終わりに、結晶の懸濁液(流れ9)を使用して、特に濾過工程及び/又は遠心分離工程によって、結晶(流れ10)が母液(流れ13)から分離される。この分離工程は、より優先的には回分式で実施される。
【0087】
母液(流れ13)は、一般に、70%~80%の範囲の乾燥物質含有量を有する。それらは、乾燥質量で:
・ 80%~99%、好ましくは82%~95%のD-アルロース;
・ 0%~20%、好ましくは0.5%~15%のD-フルクトース;
・ 0%~10%、好ましくは0%~5%のグルコース;
・ 0%~3%、例えば0.1%~2.9%、特に1%~2.5%のD-アルロース二量体
を含むことができる。
【0088】
得られた結晶は、冷水を使った及び/又はアルコール、特にエタノールを使った浄化工程にかけることができる。これらの結晶(流れ11)は、次に、任意のタイプの好適な乾燥機で実施することができる乾燥工程によって乾燥させることができる。D-アルロース結晶は、5%未満、好ましくは1%未満の含水量を有する。
【0089】
この結晶化工程は、特に、その例が図5に示される、垂直晶析装置を用いて、連続的に実施することができる。
【0090】
最も好ましい一モードによれば、結晶化工程は、マスキッド(流れ8)を形成するように真空下での断熱晶析装置-エバポレーターにおいて実施される、断熱蒸発冷却段階、引き続いて結晶の懸濁液(流れ9)を形成するように前記マスキッドを冷却することによる結晶化の段階を含む。断熱蒸発冷却は、結晶化させられる原液の即時冷却を引き起こす。好ましくは、晶析装置-エバポレーターは、凝縮器を備えており、この段階中に凝縮した水は、乾燥物質含有量を安定して保つように晶析装置の最上部で壁に沿って連続的に再注入される。本発明のプロセスの特定の構成においてナノ濾過工程と組み合わせられた、2つの別個の段階を含むこの好ましい結晶化工程は、本説明において以下に記載される本発明の結晶を連続的に得ることを可能にする。これは、この好ましい結晶化工程、特に蒸発冷却段階もまた、D-アルロース二量体のその場形成を非常に大幅に制限することを可能
にするという事実と関係している。いかなる理論にも制約されることなく、本出願人は、原液が晶析装置-エバポレーターへ導入される時点で実質的に瞬時に原液を冷却することができるという事実によってこれを説明しており、原液の自然冷却について記載している、又はさらには国際公開第2016/064087号パンフレットに記載されるような熱交換器を用いる冷却勾配による、既知のD-アルロースの結晶化プロセスとは異なる。本発明による結晶は、結晶化工程の第1段階が、それによって結晶化工程の継続時間を短縮する、即時蒸発冷却段階であるが、改善された純度及び改善された特性を示す。実際に、これは、改善された結晶を得るためには結晶化時間を長くする必要があるという、当業者の想定とは反対である。
【0091】
蒸発冷却段階中に、温度は、30~40℃の範囲であり、好ましくは33~37℃の範囲であり、例えばおよそ35℃のものであり得る。この温度は、加えられるべき適切な減圧を決定することによって当業者により容易に達成される。したがって、晶析装置-エバポレーター中の圧力は、30~50ミリバールの範囲であり得る。断熱晶析装置は、特に、強制循環又は間接強制循環(IFC)DT(通気管用の)又はDTB(通気管邪魔板用の)プルチューブであり得る。好ましくは、この蒸発冷却段階は連続的である。この段階中に、開始剤は、急冷によって生み出される過飽和による蒸発晶析装置における自発的な核形成現象によって連続的に生み出され:こうして、厳密に言えば、このケースでは、開始剤の導入は全くない。非限定的な意味では、連続的にこの蒸発冷却段階を実施する可能性は、実施例セクションに及び図4に記載されており、ここで、蒸発冷却段階中に形成された結晶の画分(流れ7d)は、晶析装置-エバポレーターに供給するために流れ7bに混ぜ込まれ、それによって晶析装置-エバポレーターのこの新たな通過中にさらに成長することができるであろう結晶を、晶析装置-エバポレーターへの導入の時点で、含む流れ7cを得ることを可能にする。この例によれば、流れ7bは、「微粉」、すなわち、晶析装置の最も微細なD-アルロース結晶を含む、晶析装置-エバポレーターにおいて回収されたD-アルロースの過飽和シロップからなる、流れ7と流れ7aとの混合物から得ることができる。この変形によれば、流れ7は、有利には、混合前に、熱交換器を通過することができ、前記通過は、それを流れ7aと即時混合する前に、流れ7を実質的に即時再加熱することを可能にする。これは、次に、流れ7aの微粉を再溶融させること、及びこれらの微粉を含まない流れ7bを得るように流れ7を冷却することを可能にする。
【0092】
この段階の終わりに、D-アルロース結晶のマスキット(流れ8)、すなわち、一般に小さいサイズを有する、結晶の懸濁液が回収される。この蒸発冷却段階中のマスキットの平均滞留時間は、5~15時間であり得る。マスキットでの懸濁液中の結晶の体積平均サイズD4,3は、一般に50~200μmの範囲である。
【0093】
冷却による結晶化の段階は、蒸発冷却段階中に得られたマスキット(流れ8)を冷却することによって連続的に実施される。この結晶化段階の継続時間は、25~50時間の範囲であり得る。結晶化の開始時の温度は、一般に、導入されるマスキットの温度に依存し、特に30~40℃の範囲であり、好ましくは33~37℃の範囲であり、例えばおよそ35℃のものであり得る。この段階は、一般に、機械攪拌を使って実施される、好ましくは、冷却による結晶化中に、温度は、1時間当たり0.3~0.5℃の範囲の速度で低下させられる。図5は、晶析装置中の温度を調整することを可能にする様々な熱交換器を、側面に、持った垂直晶析装置の例を示す。この操作中に、マスキットと交換機の水との間の温度差は、好ましくは5℃を超えない。冷却による結晶化の段階は、特に垂直晶析装置では、連続的に好ましくは実施することができる。
【0094】
したがって、本発明のプロセスの好ましい変形は、
・ D-アルロースに富む組成物(流れ5)を提供する工程;
・ 保持液(流れ12)及び透過液(流れ6)を提供するための前記D-アルロースに
富む組成物のナノ濾過の工程;
・ ナノ濾過透過液を回収する工程;
・ D-アルロースの原液(流れ7)を提供するようにこの透過液を濃縮する工程;
・ 結晶化工程であって、
i.マスキット(流れ8)を形成するように真空下の断熱晶析装置-エバポレーターで実施される、断熱蒸発冷却段階、
ii.引き続いて結晶の懸濁液(流れ9)を形成するための前記マスキッドの冷却による結晶化の段階
を含む結晶化工程
を含む
【0095】
結晶それら自体に関連する利点以外の、本発明のプロセスのこの好ましい変形の利点は、得られる結晶が、結晶化からの母液からさらにより容易に分離できること、及びより容易に乾燥できることである。これは、得られる結晶の形状と主に関係している。
【0096】
結晶化工程を開始するために、D-アルロース開始剤が、選択された晶析装置へ一般に導入される。これらのD-アルロース開始剤は、例えば、10~100μmの範囲のサイズを有する、小さいサイズのD-アルロース結晶からなる。開始剤の質量は、用いられる晶析装置のタイプに応じて広く変わることができる。それは、原液中のD-アルロースの質量に対して、0.001%~1%、多くの場合0.01%~0.7%、一般に0.05%~0.5%の範囲であり得る。これらの量は、D-アルロースの原液からの冷却による結晶化の工程が実施される場合に特に好適である。上に述べられたように、蒸発冷却工程が用いられる場合、その場で開始剤を生み出すことも可能である。
【0097】
好ましくは、結晶化工程は、濃縮工程の1時間未満後に、好ましくは前記工程の30分未満後に実施される。最も優先的には、結晶化工程は、濃縮工程後即時に実施される。これは、結晶化させられる原液中の二量体の量を、結晶化工程時に、さらに制限することを可能にする。
【0098】
いったん乾燥後に回収されると、結晶はまた、これらの結晶を篩い分けすること、そして篩い分け後に回収された画分によって結晶のサイズを増大させるか又は減少させることを可能にする、追加の篩い分け工程にかけることができる。例えば、この追加の工程は、篩い分け工程にかけられた結晶のサイズに関して、篩いを通過したより小さい体積平均サイズD4,3のD-アルロース結晶の画分及びまた篩いに残るより大きい体積平均サイズD4,3のD-アルロース結晶の画分を回収することを可能にする。結晶集団を修正するために、及び所望のD4,3画分を得るために、当業者が篩い網目サイズを選択することは十分である。
【0099】
本発明によるプロセスが、以前に記載された従来法に現れる、及び詳細に後で記載される他の工程などの、他の工程を含むことができることは言うまでもない。本発明によるプロセスはまた、追加の精製工程、及びまた乾燥物質含有量を調整し、こうして最良条件下で本発明のプロセスの様々な工程を実施する目的で中間の希釈又は濃縮工程を含むことができる。これらの工程の全ては、連続的に実施することができる。
【0100】
エピマー化工程を実施するために提供されるD-フルクトースの組成物(流れ1)は、D-フルクトース結晶を水に溶解させることによって得ることができる、D-フルクトースシロップ、又はグルコース/D-フルクトースシロップであり得る。優先的には、この組成物は、少なくとも90乾燥重量%のD-フルクトース、優先的には少なくとも94%のD-フルクトースを含むグルコース/D-フルクトースシロップを含む。本説明において後で説明される1つの好ましいモードにおいて、その後のエピマー化工程を実施するた
めに提供されるD-フルクトース組成物は、このD-フルクトースシロップと、全体として又は部分的にラフィネート(流れ14又は16)であってもよい少なくとも1つの被リサイクル画分との混合物(流れ1’)であり、この被リサイクル画分がより大量のD-アルロースを含むことが可能である。
【0101】
エピマー化工程にかけられるD-フルクトース組成物は、
・ 0%~10%のD-アルロース;
・ 70%~100%のD-フルクトース;
・ 0%~10%のグルコース;
・ 0%~15%のD-アルロース二量体
を含むことができる。
【0102】
エピマー化工程は、任意選択的に乾燥物質含有量の調整後に、前に提供されたD-フルクトース組成物を使用して実施される。この工程は、一般に30%~60%、多くの場合45%~55%の範囲の乾燥物質含有量で実施される。D-プシコースエピメラーゼ型の酵素又はこの酵素を含む組成物が、この組成物へ導入される。この酵素を含む組成物は、D-プシコースエピメラーゼを合成するホスト微生物の凍結乾燥物であってもよく、前記微生物は、おそらく枯草菌(Bacillus subtilis)、特に国際公開第2015/032761 A1号パンフレットに記載されているものである。pHは、使用される酵素に従って、例えば5.5~8.5の範囲のpHで調整される。反応は、40~70℃、多くの場合45~60℃の範囲の温度で加熱することによって実施することができる。反応は、0.1~100時間、例えば0.2~60時間続くことができる。この反応は、例えば、酵素カラム上で実施することができ、それによってこの工程に関して連続的にまた作業するという利点を有する。連続的に稼働するために、幾つかの反応器を使って順次作業することも可能である。このエピマー化工程を実施するために、国際公開第2015/032761 A1号パンフレットの教示が特に利用されてもよい。
【0103】
反応の終わりに、一般に85/15~55/45の範囲のD-フルクトース/D-アルロース重量比に従って、多くの場合80/20~60/40の範囲のD-フルクトース/D-アルロース重量比に従って、D-フルクトース及びD-アルロースを含む組成物が形成される。この比率は、用いられるエピマー化パラメータにならびに、実に明らかに、エピマー化工程に提供されるD-フルクトース組成物中のD-アルロースの及びD-フルクトースの量に依存し;この組成物中のD-アルロースの量は、リサイクリングのケースで特により大きいものであり得る。
【0104】
このエピマー化工程の終わりに、必要ならば、特にホスト微生物の凍結乾燥物が使用される場合に、おそらく存在する細胞破片を回収するために濾過工程を実施することができる。この工程は精密濾過工程からなってもよい。図3において、精密濾過された組成物は流れ3に相当し、細胞破片は流れ17に回収される。
【0105】
本発明のプロセスにおいて、追加の精製好適をまた実施することができる。クロマトグラフィー工程の前に、D-フルクトース及びD-アルロースを含む組成物(流れ3)を脱塩する工程が一般に実施され、それは、1つもしくは複数のカチオン性イオン交換樹脂(例えばDowex 88型のカチオン樹脂)、アニオン性イオン交換樹脂(例えばDowex 66型のアニオン樹脂)及びカチオン-アニオン混合物に通過させることによって実施することができる。図3において、この組成物は流れ4に相当する。得られたD-フルクトース及びD-アルロースを含む組成物は、次に脱塩され、一般に100kΩ.cm-1よりも大きい抵抗率を有する。この脱塩工程の前に、D-フルクトース及びD-アルロースを含む組成物を、例えば活性炭を含むカラム上に通すことによって、脱色する工程を実施することも可能である。
【0106】
D-フルクトース及びD-アルロースを含む組成物(流れ4)は、次に、D-アルロースに富む少なくとも1つの組成物及びD-フルクトースに富む1つの組成物を提供するためにクロマトグラフィー工程にかけることができる。本説明において後で詳細に説明される1つの好ましいモードにおいて、クロマトグラフィー工程にかけられる、D-フルクトース及びD-アルロースを含む組成物は、エピマー化工程から生じる組成物(流れ4)と、少なくとも1つの被リサイクル画分(この被リサイクル画分はより多い量のD-アルロースをおそらく含む)との混合物(流れ4’)である。
【0107】
クロマトグラフィー工程にかけられる組成物は、その乾燥質量に対して:
・ 22%~45%、一般に25%~37%のD-アルロース;
・ 45%~75%、一般に46%~70%のD-フルクトース;
・ 0%~10%のグルコース;
・ 2%~10%のD-アルロース二量体
を含むことができる。
【0108】
このクロマトグラフィー工程を実施するために、任意のタイプの、特に擬似移動床(Simulated Moving Bed)(SMB)タイプの、改良型(Improved)擬似移動床(ISMB)タイプの、分割改良型(Divide Improved)擬似移動床(DISMB)タイプの、順次(Sequential)擬似移動床(SSMB)タイプの又は日本三菱クロマトグラフィー改良型(NMCI)タイプの連続クロマトグラフィーを用いることが可能である。水が溶離液として一般に使用される。クロマトグラフは、連続して幾つかのカラム、例えば4~8のカラムを備えることができる。カラムは、イオン交換樹脂、例えばカルシウムイオンと交換するためのカチオン樹脂を含む。D-フルクトース及びD-アルロースを含む組成物の乾燥物質含有量は、40%~70%の範囲であることができ、一般におよそ50%である。クロマトグラフィー中の組成物の温度は、一般に40~80℃、好ましくは55~65℃の範囲である。このクロマトグラフィーは、満足できる分離を得るために必要な時間の間続き、数時間続くことができる。
【0109】
この工程の終わりに、その乾燥物質含有量に対して、少なくとも80%のD-アルロース、有利には少なくとも90%のD-アルロースを含むことができる、D-アルロースに富む組成物(流れ5)が得られる。D-アルロースに富むこの組成物は、5%~15%の範囲の乾燥物質含有量を有することができる。この工程の終わりに、その乾燥物質含有量に対して、少なくとも75%のD-フルクトース、多くの場合少なくとも80%のD-フルクトースを一般に含む、ラフィネート(流れ14)がまた得られる。このラフィネートは、一般に、およそ15%~30%の範囲の乾燥物質含有量を有する。
【0110】
クロマトグラフィーの終わりに得られるD-アルロースに富む組成物(流れ5)は、したがって、その乾燥質量に対して:
・ 80%~98%のD-アルロース;
・ 0%~20%のD-フルクトース;
・ 0%~10%のグルコース;
・ 1.5%~5%のD-アルロース二量体
を含むことができる。
【0111】
ラフィネートは、それに関する限り、その乾燥質量に対して:
・ 1%~10%のD-アルロース;
・ 70%~99%のD-フルクトース;
・ 0%~10%のグルコース;
・ 5%~20%のD-アルロース二量体
を含むことができる。
【0112】
導入されたD-フルクトースに対して、D-アルロース結晶の全収率が15%未満である従来法とは対照的に、本発明のプロセスの収率は、25%以上であり得る。有利には、D-アルロース結晶の全収率は、50%以上、例えば60%以上、又は実に65%以上である。この特に改善された収率は、結晶化工程を中断させることなくリサイクリング工程を行うことが可能であるという事実によって可能にされる。
【0113】
このように、本発明のプロセスは、少なくとも1つのリサイクリング工程を含むことができる。
【0114】
1つの好ましいモードによれば、このリサイクリング工程は、クロマトグラフィー工程から生じるラフィネート(流れ14)の少なくとも一部をリサイクルする工程からなることができる。このラフィネートは、任意選択的に、混合される前に濃縮されていることができる。それは、有利には、D-フルクトース組成物(流れ1’)を提供するために、上記の例えばD-フルクトース/グルコースシロップの形態での、D-フルクトース(流れ1)と混合されるように、全体的に又は部分的にリサイクルすることができる。それは、そのとき、エピマー化工程にかけられる、D-フルクトースシロップよりもD-アルロースに一般により富んでいる、このD-フルクトース組成物である。
【0115】
このリサイクリング工程は、母液(流れ13)の少なくとも一部をリサイクルする工程からなることができる。これらの母液は、有利には、D-フルクトース及びD-アルロースを含む組成物(流れ4)と混合されるように、全体的に又は部分的にリサイクルすることができる。それは、そのとき、クロマトグラフィー工程にかけられるこの混合物(流れ4’)である。これらの母液は、任意選択的に、混合される前に希釈されていてもよい。
【0116】
このリサイクリング工程は、保持液(流れ12)の少なくとも一部をリサイクルする工程からなることができる。この保持液は、有利には、D-フルクトース及びD-アルロースを含む組成物(流れ4)ならびに任意選択的に被リサイクル母液と混合されるように、全体的に又は部分的にリサイクルすることができる。それは、そのとき、クロマトグラフィー工程にかけられるこの混合物(流れ4’)である。この保持液は、任意選択的に、混合される前に濃縮されていることができる。混合が、保持液及び母液画分と実施されるケースでは、これらの画分を濃縮する又は希釈することは必要ではないかもしれない。比較的大量のD-アルロースを有する2つの画分である、保持液及び母液画分のリサイクリングは、クロマトグラフィー工程にかけられる組成物のD-アルロースの濃度を高める(その結果としてD-フルクトースの量を低下させる)ことを可能にすることが指摘されるべきである。
【0117】
被リサイクル画分を濃縮する任意選択の工程を実施するために、原液の製造を可能にする濃縮工程について記載された同じ設備及び条件を用いることが可能である。
【0118】
本発明の1つの最も好ましいモードによれば(図3は、本発明のこの好ましいプロセスでの製造のためのサーキットを表す)、本プロセスは、
a)D-フルクトースを含む組成物(流れ1’)を提供する工程;
b)D-フルクトース及びD-アルロースを含む組成物(流れ2)を形成するためのエピマー化工程;
c)D-アルロースに富む組成物(流れ5)と、D-フルクトースに富む組成物からなるラフィネート(流れ14)とを提供するためのクロマトグラフィー工程;
d)透過液(流れ6)及び保持液(流れ12)を提供するためのD-アルロースに富む組成物のナノ濾過の工程;
e)結晶化させられる原液(流れ7)を形成するように透過液を濃縮する工程;
f)結晶(流れ10)及び母液(流れ13)を形成するように原液(流れ9)を結晶化させる工程
を含み、前記プロセスにおいて:
・ D-フルクトース(流れ1)と混合され、工程a)の組成物(流れ1’)を提供するようにラフィネート(流れ14又は16)の少なくとも一部をリサイクルする工程;
・ ならびに/又はクロマトグラフィー工程c)にかけられる組成物(流れ4’)を提供するために工程b)から生じるD-フルクトース及びD-アルロースを含む組成物(流れ4)と混合されるようにナノ濾過から生じる保持液(流れ12)の少なくとも一部をリサイクルする工程;
・ ならびに/又はクロマトグラフィー工程c)にかけられる組成物(流れ4’)を提供するために工程b)から生じるD-フルクトース及びD-アルロースを含む組成物(流れ4)と混合されるように結晶化工程から生じる母液(流れ13)の少なくとも一部をリサイクルする工程
が実施される。
【0119】
本プロセスは、フラッシング工程を含み、このフラッシング工程はおそらくラフィネート、保持液及び結晶化からの母液から選ばれる被リサイクル画分の少なくとも1つの少なくとも一部をフラッシュする工程である。これは、システムが安定したままであるために、本プロセス中に形成されたD-アルロース二量体の一部を製造サーキットから除去することが絶対に必要であるからである。一般に、画分がより多くリサイクルされればされるほど、D-アルロース二量体の量は、サーキット中により多く増加する。したがって、D-アルロース二量体の量を低下させるための一可能性は、フラッシュされる量を増加させることである。しかしながら、これは、その結果D-アルロース結晶の全収率の損失に現れる。本発明のプロセスは、同時に結晶化を可能な状態に保ちながら、本プロセスにおいて得られる様々な画分のリサイクリングを劇的に増加させることを可能にする。
【0120】
例として、ラフィネート、保持液及び結晶化画分からの母液が全てリサイクルされる、上に記載された最も好ましいプロセスの変形において、ラフィネートリサイクリング工程は有利には部分リサイクリングであり、D-アルロース二量体を含むD-フルクトース組成物を提供するように、例えばこのラフィネートの50%~95%がリサイクルされ(流れ16)、5~50%がフラッシュされる(流れ15);言い換えれば、D-フルクトースに富む組成物のリサイクリング度は、50%~95%の範囲である。優先的には、リサイクリング度は、70%~92%の範囲である。このケースでは、他の2つのリサイクリングは、有利には全リサイクリングである。
【0121】
フラッシュされた画分は次に、任意選択的に濃縮のならびに/又は他の組成物及び/もしくは添加剤との混合の工程の後に、シロップを製造するために使用することができる。
【0122】
結晶化工程が経時的に安定したままであるから、本発明によるプロセスは、それが連続的であることできるため、特に有利である。
【0123】
前に説明されたように、ナノ濾過の工程と、真空下の断熱晶析装置-エバポレーターにおける結晶化の工程とを組み合わせる本発明の好ましい変形に従って、本出願人はまた、向上した品質の結晶を得ることに成功した。
【0124】
本発明による結晶は、0.50%未満、好ましくは0.30%未満、又は実に0.20%未満のD-アルロース二量体の質量含有量を有する。これらの結晶は、有利には0.01%~0.48%の範囲の、優先的には0.02%~0.45%の範囲の、例えば0.03%~0.40%、特に0.04%~0.30%、特別に0.05%~0.20%の範囲
の質量含有量のD-アルロース二量体を含むことができる。
【0125】
本発明による結晶は、有利には99.00%以上、好ましくは99.50%以上、又は実に99.70%以上のD-アルロースの質量含有量を有する。
【0126】
本発明の結晶の一利点は、これらの結晶が少量のD-アルロース二量体を示すことである。いかなる理論にも制約されることなく、本出願人は、これらの結晶の製造のための有用な原液が、非常に小さいD-アルロース二量体含有量を含むという事実によって、及び実施される結晶化工程がこれらの二量体のその場形成を制限することを可能にするという事実によってこれを説明する。したがって、ナノ濾過工程を、断熱蒸発冷却の段階及び冷却による結晶化の段階と組み合わせることによるこのプロセスを用いて本出願人がこれらの結晶を得ることが可能であった。
【0127】
本発明のものよりも高い二量体含有量を含む、先行技術D-アルロース結晶と関連した一不利点は、特にそれらが大きい場合に、針状晶に似た形状を有するようにこれらの結晶の伸長が観察されることである。
【0128】
優先的には、本発明のD-アルロース結晶は、200μmよりも大きい、有利には210~800μm、優先的には220~350μmの範囲の体積平均サイズD4,3を有する。
【0129】
より低いD-アルロース二量体含有量を有する、本発明の結晶は、図11、12及び13に実証されるように、より「ずんぐりした」形状を有するという利点を有する。
【0130】
このよりずんぐりした形状は、本発明のD-アルロース結晶が、200~400μmの範囲で選ばれる所与の体積粒径D4,3について、0.60よりも大きい、有利には0.62~0.90、例えば0.63~0.80の範囲のFeret最小/Feret最大比を有するという事実をもたらすことができる。Feret径は、当業者に周知のパラメータである。それは、キャリパーの原理を用いて、粒子の投影面積から推測される。Feret最小径は、寸法の最小からなり、一方、Feret最大径は、寸法の最大からなる。図15は、所与の粒子に関するFeret最小及び最大径の原理を表す。
【0131】
好ましくは、本発明の結晶は、200~400μmの範囲の粒径の全てにわたってこのFeret最小/Feret最大比を示す。
【0132】
あるいはまた、及びD-アルロース二量体の含有量とは無関係に、本発明の主題は、200μmよりも大きい、有利には210~800μm、優先的には220~350μmの範囲の体積平均サイズD4,3を有し、そして200から400μmまでに広がる範囲から選ばれる所与の体積粒径D4,3について、0.60よりも大きい、有利には0.62~0.90、例えば0.63~0.80の範囲のFeret最小/Feret最大径比を有するD-アルロース結晶に関する。好ましくは、本発明の結晶は、200から400μmまでに広がる範囲の粒径の全てにわたってこのFeret最小/Feret最大比を有する。本発明のこれらの結晶は、有利には0.50%未満、好ましくは0.30%未満、又は実に0.20%未満の質量含有量のD-アルロース二量体を含む。これらの結晶は、有利には0.01%~0.48%の範囲の、優先的には0.02%~0.45%の範囲の、例えば0.03%~0.40%、特に0.04%~0.30%、特別に0.05%~0.20%の範囲の質量含有量のD-アルロース二量体を含み得る。これらの結晶は、有利には99.00%以上、好ましくは99.50%以上、又は実に99.70%以上のD-アルロースの質量含有量を有する。
【0133】
結晶の体積平均サイズD4,3及びまたFeret最小/Feret最大径比は、粒径分析計、特に、実施例セクションにおいて用いられるものなどのブランドSympaTECのQICPIC RODOS型の粒径分析計を用いて測定される。結晶が、粒径分析計において全ての方向にランダムに観察されるということを考慮すれば、結晶の集団について粒径分析計によって得られる値は、この集団の結晶のたった一つの顕微鏡画像に関する計算によって得られる値とは異なり、粒径分析によって得られる値が一般により高い。
【0134】
好ましくは、結晶は、凝集していない(又は個別化されている)。結晶が凝集していないという事実は、光学顕微鏡法による簡単な観察によって検証することができる。例として、図13の結晶は、図11及び12のものとは異なって、凝集している。
【0135】
この異なる形態は、巨視的スケールで、同じ平均サイズの結晶と比べて本発明の結晶の改善された流動性をもたらす。同様に、これらの結晶は、経時的にケーキングに関してより良好な挙動を示すことができる。
【0136】
このように、それらの特性のために、本発明の好ましいプロセスを用いて得られた結晶は、容易に流れることができる。それらは、したがって、今まで決して達成されなかった流動性を示す結晶を得ることを可能にする。それらは、したがって、例えば、テーブルシュガーとして有利に使用することができる。
【0137】
本発明のD-アルロース結晶は、アルロースの既知用途及び、一般に、甘味料に使用することができる。本発明のD-アルロース結晶を使用することができる用途の中に、スティック又はドラジェの形態でのチューインガム、しゃぶられるキャンディー及びタブレット、ビスケット、クッキー、マフィン、ケーキ、ゼラチンベースのケーキ、チューイングペースト、特に短いテクスチャのチューイングペースト、アイシング及び粉末飲料に言及され得る。
【0138】
本発明の別の主題は、また、プロセスの安全性及び/又はD-アルロース結晶の全収率を向上させるためのD-アルロース結晶の製造サーキットでのナノ濾過ユニットの使用に関する。この使用は、サーキットへ導入される原材料がD-フルクトースを含む場合に特に有利である。
【0139】
本発明の別の主題は、また、得られる結晶の品質を向上させるためのD-アルロース結晶の製造サーキットでのナノ濾過ユニットの使用に関する。用語「得られる結晶の品質を向上させる」は、特に、D-アルロース二量体含有量を減らすこと及び/又はD-アルロース結晶のFeret最小/Feret最大径比を高めることを意味することを意図する。
【0140】
例示として、母液リサイクリング工程及び/又はラフィネートリサイクリング工程及び/又は保持液リサイクリング工程を含む、本発明によるプロセスの他の実施形態は、以下に示される。
【0141】
第1実施形態によれば、本プロセスは、
a)D-アルロースに富む組成物を提供する工程;
b)結晶化させられる原液を形成するための濃縮工程
を含み、
・ 少なくとも1つのリサイクリング工程が、母液の少なくとも一部をリサイクルする工程からなり;
・ ナノ濾過工程が、透過液及び保持液を形成するようにこれらの被リサイクル母液に関して実施され;
・ 透過液が、工程a)において提供されたD-アルロースに富む組成物と混合され;そして
・ この混合物が、結晶化させられる原液を提供するように濃縮工程b)にかけられ;
・ 母液の及び/又は保持液の少なくとも一部がフラッシュされる
ことを特徴とする。
【0142】
第2実施形態によれば、本プロセスは、
a)D-アルロースに富む組成物を提供する工程;
b)結晶化させられる原液を形成するための濃縮工程
を含み、
・ 少なくとも1つのリサイクリング工程が、母液の少なくとも一部をリサイクルする工程からなり;
・ これらの被リサイクル母液が、工程a)において提供されたD-アルロースに富む組成物と混合され;
・ ナノ濾過工程が、透過液及び保持液を提供するようにこの混合物に関して実施され;
・ この透過液が、結晶化させられる原液を提供するように濃縮工程b)にかけられ;そして
・ 母液の少なくとも一部がフラッシュされる
ことを特徴とする。
【0143】
第3実施形態によれば、本プロセスは、
a)D-アルロース及びD-フルクトースを含む組成物を提供する工程;
b)D-アルロースに富む組成物と、D-フルクトースに富む組成物からなるラフィネートとを提供するためのクロマトグラフィー工程;
c)結晶化させられる原液を形成するようにD-アルロースに富む組成物を濃縮する工程
を含み、
・ 少なくとも1つのリサイクリング工程が、母液の少なくとも一部をリサイクルする工程からなり;
・ ナノ濾過工程が、透過液及び保持液を形成するようにこれらの被リサイクル母液に関して実施され;
・ 透過液が、工程a)において提供された組成物と混合され;
・ この混合物が、クロマトグラフィー工程b)にかけられ;そして
・ 母液の少なくとも一部がフラッシュされる
ことを特徴とする。
【0144】
第4実施形態によれば、本プロセスは、
a)D-アルロース及びD-フルクトースを含む組成物を提供する工程;
b)D-アルロースに富む組成物及びD-フルクトースに富む組成物を提供するためのクロマトグラフィー工程;
c)結晶化させられる原液を形成するための濃縮工程
を含み、
・ 少なくとも1つのリサイクリング工程が、母液の少なくとも一部をリサイクルする工程からなり;
・ これらの被リサイクル母液が、工程a)において提供された組成物と混合され;
・ ナノ濾過工程が、透過液及び保持液を提供するようにこの混合物に関して実施され;
・ この透過液が、クロマトグラフィー工程b)にかけられ;そして
・ 母液の少なくとも一部がフラッシュされることを特徴とする。
【0145】
第5実施形態によれば、本プロセスは、
a)D-アルロース及びD-フルクトースを含む組成物を提供する工程;
b)D-アルロースに富む組成物及びD-フルクトースに富む組成物を提供するためのクロマトグラフィー工程;
c)結晶化させられる原液を形成するための濃縮工程
を含み、
・ 少なくとも1つのリサイクリング工程が、母液の少なくとも一部をリサイクルする工程からなり;
・ これらの被リサイクル母液が、工程a)において提供された組成物と混合され;
・ クロマトグラフィー工程b)が、この混合物に関して実施され;
・ ナノ濾過工程が、透過液及び保持液を提供するように、このクロマトグラフィー工程b)から生じたD-アルロースに富む組成物に関して実施され;
・ この透過液が、濃縮工程c)にかけられ;そして
・ 母液の少なくとも一部がフラッシュされる
ことを特徴とする。
【0146】
第6実施形態によれば、本プロセスは、
a)D-フルクトースを含む組成物を提供する工程;
b)D-フルクトース及びD-アルロースを含む組成物を形成するためのエピマー化工程;
c)D-アルロースに富む組成物と、D-フルクトースに富む組成物からなるラフィネートとを提供するためのこの組成物のクロマトグラフィーの工程;
d)結晶化させられる原液を形成するようにD-アルロースに富む組成物を濃縮する工程
を含み、
・ 少なくとも1つのリサイクリング工程が、ラフィネートをリサイクルする工程からなり;
・ ナノ濾過工程が、透過液及び保持液を提供するようにこのラフィネートに関して実施され;
・ 透過液が、工程a)のD-フルクトースを含む組成物と混合され;
・ エピマー化工程b)が、この混合物に関して実施され;そして
・ ラフィネートの少なくとも一部がフラッシュされる
ことを特徴とする。
【0147】
第7実施形態によれば、本プロセスは、
a)D-フルクトースを含む組成物を提供する工程;
b)D-フルクトース及びD-アルロースを含む組成物を形成するためのエピマー化工程;
c)D-アルロースに富む組成物と、D-フルクトースに富む組成物からなるラフィネートとを提供するためのこの組成物のクロマトグラフィーの工程;
d)結晶化させられる原液を形成するための濃縮工程
を含み、
・ リサイクリング工程が、工程c)において得られたラフィネートをリサイクルする工程からなり;
・ 第1ナノ濾過工程が、第1透過液及び第1保持液を提供するようにこのラフィネートに関して実施され;
・ 第1透過液が、工程a)のD-フルクトースを含む組成物と混合され;
・ エピマー化工程b)が、この混合物に関して実施され;
・ リサイクリング工程が、母液の少なくとも一部をリサイクルする工程からなり;
・ 第2ナノ濾過工程が、第2透過液及び第2保持液を形成するようにこれらの被リサイクル母液に関して実施され;
・ 第2透過液が、工程c)において提供されたD-アルロースに富む組成物と混合され;
・ この混合物が、結晶化させられる原液を提供するための濃縮工程d)にかけられ;そして
・ ラフィネートの及び/又は母液の少なくとも一部がフラッシュされる
ことを特徴とする。
【0148】
第8実施形態によれば、本プロセスは、
a)D-フルクトースを含む組成物を提供する工程;
b)D-フルクトース及びD-アルロースを含む組成物を形成するためのエピマー化工程;
c)D-アルロースに富む組成物と、D-フルクトースに富む組成物からなるラフィネートとを提供するためのこの組成物のクロマトグラフィーの工程;
d)結晶化させられる原液を形成するための濃縮工程
を含み、
・ リサイクリング工程が、工程c)において得られたラフィネートをリサイクルする工程からなり;
・ 第1ナノ濾過工程が、第1透過液及び第1保持液を提供するようにこのラフィネートに関して実施され;
・ 第1透過液が、工程a)のD-フルクトースを含む組成物と混合され;
・ エピマー化工程b)が、この混合物に関して実施され;
・ リサイクリング工程が、母液の少なくとも一部をリサイクルする工程からなり;
・ これらの被リサイクル母液が、工程c)において提供されたD-アルロースに富む組成物と混合され;
・ 第2ナノ濾過工程が、第2透過液及び第2保持液を提供するようにこの混合物に関して実施され;
・ この第2透過液が、結晶化させられる原液を提供するための濃縮工程d)にかけられ;そして
・ ラフィネートの及び/又は母液の少なくとも一部がフラッシュされる
ことを特徴とする。
【0149】
第9実施形態によれば、本プロセスは、
a)D-フルクトースを含む組成物を提供する工程;
b)D-フルクトース及びD-アルロースを含む組成物を形成するためのエピマー化工程;
c)D-アルロースに富む組成物と、D-フルクトースに富む組成物からなるラフィネートとを提供するためのクロマトグラフィー工程;
d)結晶化させられる原液を形成するようにD-アルロースに富む組成物を濃縮する工程
を含み、
・ リサイクリング工程が、工程c)において得られたラフィネートをリサイクルする工程からなり;
・ 第1ナノ濾過工程が、第1透過液及び第1保持液を提供するようにこのラフィネートに関して実施され;
・ 第1透過液が、工程a)のD-フルクトースを含む組成物と混合され;
・ エピマー化工程b)が、この混合物に関して実施され;
・ リサイクリング工程が、母液の少なくとも一部をリサイクルする工程からなり;
・ 第2ナノ濾過工程が、第2透過液及び第2保持液を形成するようにこれらの被リサ
イクル母液に関して実施され;
・ 第2透過液が、工程b)において形成された組成物と混合され;
・ この混合物が、クロマトグラフィー工程c)にかけられ;そして
・ ラフィネートの及び/又は母液の少なくとも一部がフラッシュされる
ことを特徴とする。
【0150】
第10実施形態によれば、本プロセスは、
a)D-フルクトースを含む組成物を提供する工程;
b)D-フルクトース及びD-アルロースを含む組成物を形成するためのエピマー化工程;
c)D-アルロースに富む組成物と、D-フルクトースに富む組成物からなるラフィネートとを提供するためのクロマトグラフィー工程;
d)結晶化させられる原液を形成するようにD-アルロースに富む組成物を濃縮する工程
を含み
・ リサイクリング工程が、工程c)において得られたラフィネートをリサイクルする工程からなり;
・ 第1ナノ濾過工程が、第1透過液及び第1保持液を提供するようにこのラフィネートに関して実施され;
・ 第1透過液が、工程a)のD-フルクトースを含む組成物と混合され;
・ エピマー化工程b)が、この混合物に関して実施され;
・ リサイクリング工程が、母液の少なくとも一部をリサイクルする工程からなり;
・ これらの被リサイクル母液が、工程b)において形成された組成物と混合され;
・ 第2ナノ濾過工程が、第2透過液及び第2保持液を提供するようにこの混合物に関して実施され;
・ この第2透過液が、クロマトグラフィー工程c)にかけられ;そして
・ ラフィネートの及び/又は母液の少なくとも一部がフラッシュされる
ことを特徴とする。
【0151】
第11実施形態によれば、本プロセスは、
a)D-フルクトースを含む組成物を提供する工程;
b)D-フルクトース及びD-アルロースを含む組成物を形成するためのエピマー化工程;
c)D-アルロースに富む組成物と、D-フルクトースに富む組成物からなるラフィネートとを提供するためのクロマトグラフィー工程;
d)結晶化させられる原液を形成するようにD-アルロースに富む組成物を濃縮する工程
を含み、
・ リサイクリング工程が、工程c)において得られたラフィネートをリサイクルする工程からなり;
・ 第1ナノ濾過工程が、第1透過液及び第1保持液を提供するようにこのラフィネートに関して実施され;
・ 第1透過液が、工程a)のD-フルクトースを含む組成物と混合され;
・ エピマー化工程b)が、この混合物に関して実施され;
・ リサイクリング工程が、母液の少なくとも一部をリサイクルする工程からなり;
・ これらの被リサイクル母液が、工程b)において形成された組成物と混合され;
・ クロマトグラフィー工程c)が、この混合物に関して実施され;
・ 第2ナノ濾過工程が、第2透過液及び第2保持液を形成するように、このクロマトグラフィー工程b)から生じたD-アルロースに富む組成物に関して実施され;
・ この第2透過液が、濃縮工程c)にかけられ;そして
・ ラフィネートの及び/又は母液の少なくとも一部がフラッシュされることを特徴とする。
【0152】
非限定的に、本発明は、以下の実施例において本発明の利点を例示する目的で詳細にこれから説明される。
【実施例0153】
分析方法
ガスクロマトグラフィー
用いられるガスクロマトグラフは、Varian 3800タイプのものであり、
- スリット-スリットレス注入器(仕切あり又はなしの);
- 水素炎イオン化検出器(FID);
- 検出器からの信号を処理するためのコンピュータシステム;
- 自動サンプラー(タイプ8400)
を備えている。
【0154】
様々な量が、メトキシム化トリメチルシリル誘導体の形態でのガスクロマトグラフィーによって測定され、次に内部較正法によって定量化される。
【0155】
D-アルロース、D-フルクトース及びグルコース含有量の測定
適用される応答係数は、D-アルロース及びD-フルクトースについては1.25、グルコースについては1.23である。他の単糖類は検出されなかった。
【0156】
試料の調製
自重用の(for taring)皿に、100~300mgの試験される試料+ピリジン中0.3mg/mlでのメチルα-D-グルコピラノシドからなる10mlの内部標準液を量り取る。自重用の皿から0.5mlを取り出し、2mlのポットに入れ、窒素流れ下に蒸発乾固させる。20mgのメトキシルアミン塩酸塩及び1mlのピリジンを添加する。栓をし、70℃で40分間Reacti-therm(登録商標)インキュベーション系中にそのままにして置く。0.5mlのN,O-ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)を添加する。70℃で30分間加熱する。
【0157】
クロマトグラフ条件
カラム:DB1キャピラリー 40メートル、0.18mmの内径、フィルム厚さ 0.4μm、ジメチルポリシロキサンから100%構成される、非極性(J&W Scientific参照記号:121-1043)
カラム温度:100℃から3℃/分の速度で260℃まで、次に15℃/分で300℃までプログラミング、300℃で5分維持する。
注入器温度:300℃
検出器温度:300℃(レンジ 10-12
圧力:40psi(一定流量)
ベクトルガス:ヘリウム
注入モード:スプリット(スプリット流量:100ml/分)
注入量:1.0μl
【0158】
D-アルロース、D-フルクトース及びグルコースは、この順に検出された。未知であった、D-アルロースは、39.5~40分のこれらの条件下での保持時間を有する。
【0159】
D-アルロース二量体及びグルコース-グルコース二量体の含有量の測定
適用される応答係数は、D-アルロース及びD-フルクトースについては1.15、イ
ソマルトースについては1.08である。他のグルコース二量体は検出されなかった。
【0160】
試料の調製;
自重用の皿に、100~300mgの試験される試料+ピリジン中0.3mg/mlでのフェニルベータ-D-グルコピラノシドからなる10mlの内部標準液を量り取る。
自重用の皿から0.5mlを取り出し、2mlのポットに入れ、窒素流れ下に蒸発乾固させる。
ピリジン中40g/lでの0.5mlのヒドロキシルアミン塩酸塩の溶液で取り上げ、栓をし、攪拌し、70℃で40分間そのままにして置く。
0.4mlのBSTFA及び0.1mlのN-トリメチルシリルイミダゾール(TMIM)を添加する。70℃で30分間加熱する。
【0161】
クロマトグラフ条件
カラム:DB1キャピラリー 30メートル、0.32mmの内径、フィルム厚さ 0.25μm(J&W Scientific参照記号:123-1032)
カラム温度:200℃から5℃/分の速度で280℃まで(6分間維持すること)、次に5℃/分で320℃までプログラミング、320℃で5分維持する。
注入器温度:300℃
検出器温度:300℃(レンジ 10-12
圧力:14psi(一定流量)
ベクトルガス:ヘリウム
注入モード:スプリット(スプリット流量:80ml/分)
注入量:1.2μl
【0162】
結果の表現
様々な構成物質の含有量は、粗生成物の100g当たりのg単位で表され、次式で与えられる:
【数1】
(式中:
Si=構成物質iのピークの表面積
Se=内部標準ピークの表面積
Pe=ビーカーへ導入された内部標準の重量(mg単位での)
P=量り取られた試料の重量(mg単位での)
Ki=構成物質iの応答係数
【0163】
得られた百分率(本明細書では粗物質基準で表される)が構成物質の1つについて20%を超える場合、試料は希釈され、GC分析は、20%未満の質量を得るために推奨される。
【0164】
粗物質基準で表される質量は、次に、試験された試料の乾燥物質含有量について割ることによって、乾燥基準で表される。
【0165】
D-アルロースの、D-フルクトースの及びグルコースの質量は、特性ピークのどれも共溶出されないため、容易に測定される。
【0166】
マルトースの及びD-アルロース二量体のピークは、共溶出され得る。しかしながら、本発明の、及び以下の実施例において記載される結晶において、マルトースは決して存在しないことが指摘されるべきである。
【0167】
マルトースの特性ピークが検出されない場合、D-アルロース二量体の表面積Siは、10~17分の、未知ピークの積分によって測定される。マルトースの特性ピークが検出される場合(それは、本発明のシロップに当てはまり得る)、マルトースの量が測定され、この量が二量体の総量から差し引かれる。
【0168】
グルコース-グルコース二量体の総量を測定するために、次のプロトコルが試料に関して実施される:
・ 塩酸加水分解
テフロン(Teflon)(登録商標)製のスクリューキャップ付き15mlの加水分解管に、約正確に50~500mgの試料を量り取り(予期される砂糖含有量に従って量り取りを調節すること)、2つの目盛りマーク付きピペットで、2mlの内部標準液(浸透水中5mg/mlでのガラクチトール)を添加し、3mlの水及び5mlの4N HCl溶液を添加する。
密閉して栓をし、ボルテックス攪拌機で1分間攪拌する。管を、時々ボルテックスで攪拌して、100℃に調整された恒温乾燥浴に1時間入れる。
・ 脱塩及び濃縮
冷却後に、全体加水分解物を50mlのビーカーに入れる。AG4 X 4及びAG50 W 8アニオン樹脂の6~8gの50/50混合物を添加する。5分間磁気攪拌するままにする。紙上で濾過する。液体を回収し、水に近いpHが得られるまで脱塩工程を繰り返す。
・ 試料の調製
自重用の皿に、100~300mgの試験される試料+ピリジン中0.3mg/mlでのメチルα-D-グルコピラノシドからなる10mlの内部標準液を量り取る。自重用の皿から0.5mlを取り出し、2mlのポットに入れ、窒素流れ下に蒸発乾固させる。20mgのメトキシルアミン塩酸塩及び1mlのピリジンを添加する。栓をし、70℃で40分間Reacti-therm(登録商標)中にそのままにして置く。0.5mlのBSTFAを添加する。70℃で30分間加熱する。
【0169】
(「遊離の」と称される初期グルコースと、加水分解から生じた、特にマルトース及びイソマルトースの存在と関係したグルコースとを含む)溶液の全グルコースの量は、グルコースのGC分析によって測定される。マルトースの量と、10~17分のピークに帰せられる二量体の総量間の差による、D-アルロース二量体の量とは、それらから容易に推測される。
【0170】
粒径分析
結晶の体積平均サイズD4,3値及びまたFeret最小/Feret最大径の比は、その粉末(ドライプロセス)分散系モジュールを備えた、ブランドSympaTECのQICPIC RODOS型の粒径分析計で、製造業者の技術マニュアル及び仕様書に従うことによって測定される。
【0171】
D-アルロース結晶を製造するための連続工業的プロセスの実施
実施例1
実施例1は、D-アルロース結晶の連続製造方法からなる。用いられるプロセスの工程は、図3に詳細に記載される。プロセスの安定化後の流れの組成及び流量は、表1a及び1bに記載される。
【0172】
工程1:
50%乾燥物質含有量(DM)で95%のD-フルクトースを含む26%のFructamyl D-フルクトースシロップ(Tereos)(流れ1)と、50DMにされた74%の流れ16とからなる13.1メートルトンの混合物が、12mの作業体積の攪拌される回分反応器へ導入される。全体混合物(流れ1’)は55℃に維持される。国際公開第2015/032761号パンフレットに詳述されるD-プシコース3エピメラーゼ酵素の枯草菌(Bacillus subtilis)ホスト菌株の凍結乾燥物が、反応器中で2.5×10単位の活性を有するのに十分な量でタンクへ導入される。5つの反応器が、フルクトース及びアルロースから本質的になるシロップ(流れ2)を1.3t/hの流量で連続的に提供するように順次用いられる。反応条件は下記である:
・ 温度:55℃
・ pH=7
・ 滞留時間48h
【0173】
反応の終わりに、得られた流れ2は、およそ25%に等しい濃度のD-アルロース及びおよそ75%に等しい濃度のD-フルクトースを含む。
【0174】
工程2:
流れ2は、回分式運転中に精密濾過膜を通過する。細胞破片を含まない流れ3が、サーキットからフラッシュされる、枯草菌(Bacillus subtilis)凍結乾燥物から生じる破片を含む精密濾過保持液(流れ17)と一緒に得られる。精密濾過パラメータは、次のとおりである:
・ 膜間差圧:0~3バール
・ 細孔径:0.1μm
・ 温度:50℃
・ 平均流量:15 l/h/m
・ 膜:Sepro PS35
・ 体積濃縮係数:33
【0175】
【表1】
【0176】
【表2】
【0177】
工程3:
流れ3は、2BV/hの平均流量でDowex 88強カチオン樹脂及び次にDowex 66弱アニオン樹脂上に通すことによって脱塩される。カーボイは、45℃の温度に維持され、脱塩の終わりでの流れ4の抵抗率は、出口(流れ4)で100kΩ.cm-1よりも大きいままである。これが当てはまらない場合には、樹脂は再生される。
【0178】
工程4:
流れ4は、流れ4’を形成するように流れ12(ナノ濾過保持液)と、及び流れ13(結晶化母液)と混合され、流れ4’は、サーキットの連続擬似移動床(SMB)クロマトグラフィー(8つのカラムを備えたSCC ARI(登録商標))に供給される。平均供
給流量は、50%DMで1673kg/hである。
【0179】
クロマトグラフィーパラメータは、次のとおり定義される:
・ 体積/カラム:2m
・ 樹脂:Dowex Monosphere 99Ca/320
・ 温度:60℃
・ 流量 水/流れ4’(体積/体積):2.4
・ ロード(供給流量/樹脂体積):0.09h-1
【0180】
2つの画分:SCCのラフィネート(流れ14)と、工程5に向かうD-アルロースに富む画分(流れ5)とが引き出される。流れ14の7%が、アルロース二量体を排出するためにフラッシュされ(流れ15)、一方、残り(流れ16)は、エバポレーターによって50%の乾燥物質含有量にされた後に再び工程1に向かう。
【0181】
工程5:
流れ5は、回分式モードのナノ濾過設備で処理される。パラメータは次のとおりである:
・ 膜間圧力:30バール
・ 温度:20℃
・ 膜:GE Duracon NF1 8040C35
・ 体積濃縮係数(VCF):16
【0182】
アルロース二量体は、保持液(流れ12)に濃縮されていき、この保持液は、リサイクルされ、流れ4と混合され、一方、透過液(流れ6)は回収される。図6は、VCFの関数としてのシロップの透過の詳細を示す。
【0183】
工程6:
流れ6は、その圧力が50ミリバールよりも下である、2段階エバポレーターを通過する。第1段階を出る際に、流れは、38℃の温度にあり、35%の乾燥物質含有量を有する。第2段階を出る際に、流れは、48℃の温度に達し、87%の乾燥物質含有量を有する。D-アルロースの原液(流れ7)が、この工程の終わりに得られる。
【0184】
工程7a:
このようにして形成された原液(流れ7)は、交換器によって68℃に加熱された後直ちに、その内部で圧力が35ミリバールに維持されている、3mの作業体積の、真空下の断熱晶析装置-エバポレーターへ導入される。
【0185】
ここで用いられる真空下の断熱晶析装置-エバポレーターの運転原理は、図4に詳細に記載される:
・ 流れ7aは、35℃での過飽和D-アルロースシロップと、微細なD-アルロース粒子とからなる。それは、混合物(流れ7b)が混合物の固溶限界(84%乾燥物質及び46℃)の直ぐ下にあるような比率で流れ7と混合される。細かい粒子はこうして再溶融される。
・ マスキットは、断熱晶析装置-エバポレーターにおいてレベルを一定に保つように、混合物と同じ速度で、35℃の温度での断熱晶析装置-エバポレーターから抜き出される。回収されたこのマスキットは、2つの流れ:流れ7d及び流れ8へ分離される。流れ7dは、D-アルロースの原液及びまた結晶化のための開始剤を含む流れ7cを形成するように流れ7bに同伴される。混合物比は、結晶がそれらの成長を続けることができるように溶解度(85.5%乾燥物質及び42.7℃)を再び超えているようなやり方で形成される。
・ 流れ7cはこうして、結晶化を延長し、そしてマスキットを形成するように真空下の断熱晶析装置-エバポレーターへ導入される。この段階中に凝縮した水は、晶析装置の最上部で壁に沿って連続的に再注入される。
【0186】
真空下の断熱晶析装置-エバポレーターにおける蒸発冷却段階中の様々な流れは、表2に報告される。
【0187】
【表3】
【0188】
工程7b:
抜き出されたマスキットは、8mの作業体積を有し、そして攪拌機を及びまた5つの冷却層を備えている垂直晶析装置の最上部で注入される。マスキットは、40hにわたって35℃から20℃にされる、すなわち、およそ0.4℃/hの冷却勾配である。晶析装置略図は図5に示される。層中の冷却水の温度は、次のとおりである:
1.入口で34℃、出口で32℃
2.入口で31℃、出口で29℃
3.入口で28℃、出口で26℃
4.入口で25℃、出口で22℃
5.入口で21℃、出口で20℃
【0189】
工程8:
晶析装置の底部で、結晶の懸濁液(流れ9)が回収され、次にRousselet Robatel SC 100KSA遠心乾燥機で遠心分離される。結晶懸濁液は、系統的に遠心分離可能であり、それは、本プロセスが経時的に非常に安定していることを意味する。母液(流れ13)はリサイクルされ、流れ4及び12と混合される。湿ったD-アルロース結晶が回収される(流れ10)。水での第1浄化、次に約0.5%m/mのエタノールでの最終浄化が、分離を改善するために実施される。浄化された結晶は、3%の水を含む。
【0190】
工程9:
湿った結晶は、回転乾燥機を通過し、0.4%の水を含む乾燥結晶が得られる。流動床での最終冷却は、結晶の温度を60℃から25℃に下げる。最終結晶が回収され(流れ11)、次に梱包される。得られたD-アルロース結晶の質量対導入されたD-フルクトースの質量の、乾燥質量で表される、比である、D-アルロース結晶の全収率は72%である。
【0191】
実施例2
実施例2は、リサイクリングが全く実施されないという相違ありで実施例1と同一である。流れ7は、0.7%のD-アルロース二量体を含む。流れ9の結晶の懸濁液は、経時的に常に遠心分離可能である。結晶の全収率は12%であるにすぎないが、本プロセスは
、以下に示されるナノ濾過工程を用いない比較例のプロセスとは対照的に、安定しているという利点を有する。
【0192】
比較例1
比較例1は、以下の相違ありで、実施例1と同一である:
・ ナノ濾過工程が全く実施されないこと、
・ 母液リサイクリング工程が全く実施されないこと、
・ ラフィネート(流れ14)のリサイクリングが、D-フルクトースシロップの流れ1と混合されるように全体としてリサイクルされること、
・ 結晶化工程が次のとおり実施されること:形成された原液(流れ7)が、実施例1の結晶化工程7bのために用いられるものと同一の8mの作業体積の3つの垂直晶析装置へ順次導入される。冷却勾配は、20℃まで0.33℃/hである。60μmにほぼ等しいD4,3を有するD-アルロースの開始剤が、0.1%の質量(この量は、晶析装置へ導入されるD-アルロースの乾燥重量に対して表される)で各晶析装置へ導入される。
【0193】
用いられる製造サーキット(すなわち、用いられるプロセスの様々な工程)は、図1に相当するものである。
【0194】
流れ7は1.9%のD-アルロース二量体を含む。流れ9が、回収され、工程8に持ち込まれる。流れ9は、必ずしも遠心分離可能であるとは限らないマスキットである。1週間の終わりに、流れ7は2.2%のD-アルロース二量体を含み、流れ9のマスキットは、系統的に遠心分離が不可能にさえなる(サイズが余りにも小さい結晶)。
【0195】
比較例2
比較例2は、母液(流れ13)が、クロマトグラフィー工程から生じるD-アルロースに富む組成物(流れ5)と混合されるように全体的にリサイクルされるという、かつ、ラフィネート(流れ14)がリサイクルされず、サーキットからフラッシュされるという相違ありで、比較例1と同一である。
【0196】
用いられる製造サーキットは、図2に相当するものである。
【0197】
流れ7は1.9%のD-アルロース二量体を含む。流れ9が、回収され、工程8に持ち込まれる。この流れ9は、必ずしも遠心分離可能であるとは限らないマスキットである。母液がリサイクルされる瞬間から、流れ7は2.4%のD-アルロース二量体を含み、流れ9のマスキットは、系統的に遠心分離が不可能にさえなる(サイズが余りにも小さい結晶)。
【0198】
比較例3
比較例3は、ラフィネートがリサイクルされないという相違ありで、比較例1と同一である。
【0199】
用いられる製造サーキットは、図1に相当するものである。
【0200】
流れ7は1.9%のD-アルロース二量体を含む。流れ9が、回収され、工程8に持ち込まれる。この流れ9は、必ずしも遠心分離可能であるとは限らないマスキットである。それが遠心分離可能である場合、母液は、回収することができるアルロース結晶から分離する。しかしながら、時々、流れ9は、晶析装置における自発的核形成と同じ意味の、大量の小さい分離できない結晶からなる。そのケースでは、この流れをサーキットから出すことが必要である。これは、本プロセスを工業的に利用できないものにする。
【0201】
これらのプロセスについて得られた結果の要約は、表3に報告される。報告される全収率は、1週間の使用にわたっての平均である。
【0202】
実施例1及び2ならびに比較例3について得られた結晶、そしてまた会社CJ Cheiljedang Food Ingredientによって販売されるD-アルロース結晶の特性は、表4に報告される。
【0203】
【表4】
【0204】
本発明のプロセスは、上に例示された工業的プロセス(実施例1及び2)に実証される、経時的に安定している結晶化を得ることを可能にする。それはまた、非常に十分なリサイクリングを行うこと、こうしてD-アルロース結晶の全収率を高めること(実施例2を参照されたい)を可能にする。ナノ濾過工程を用いてD-アルロース二量体を確実に分離することなくリサイクリングを行うことによって、上の例示的な比較例1及び2は、マスキットが系統的に遠心分離できなくなるので(サイズが余りにも小さい結晶)、工業的結晶化プロセスが停止されなければならないことを実証した。
【0205】
【表5】
【0206】
実施例2のD-アルロース結晶及びCJによって販売されるD-アルロース結晶について、体積粒径D4,3の関数としてFeret最小/Feret最大径の比を示す、図14は、外観の明らかな相違が本発明による結晶と比較結晶との間に観察されるのは、200μm以上の(例えば200~400μmの範囲の)、大きいサイズの集団についてであることを実証する。したがって、200~400μmのこの範囲において、Feret最小/Feret最大比は、比較結晶については、常に0.55未満であり、一方、本発明による結晶は、少なくとも0.63の比を有する。この相違は、本発明による結晶が比較結晶よりもはるかによりずんぐりした外観を有することを視覚的に実証する、図11及び12の光学顕微鏡画像と完全に一致している。図13(光学顕微鏡画像)のCJ結晶に関して、それらが個別化されていない針状形結晶であることが指摘される。
【0207】
比較例3は、(特に、本出願人が、形成されるD-アルロース二量体の量をさらに減らすように、濃縮工程をより最適に実施することに成功したという点において)濃縮工程に関して国際公開第2011/119004 A2号パンフレットの教示と厳密には同一ではないが、得られる結晶は、国際公開第2011/119004 A2号パンフレットの実施例6に記載された結晶を製造するために(特に、水中での制御された冷却によって専ら実施された結晶化に関して)用いられたものと同じプロセスを用いる。0.7%のD-アルロース二量体を含む結晶を製造する、この比較試験3は、それ故、国際公開第2011/119004 A2号パンフレットが、本発明の結晶を形成することを可能にしないことを十分に実証している。
【0208】
様々な用途における本発明の結晶の使用
実施例2の結晶が、以下の生成物の製造に使用された。
【0209】
食事代替飲料の製造
本目的は、少ないカロリーを含む粉末食事代替飲料を生み出すことである。この粉末飲料は、良好な流動性を示すことができ、かつ、それが調合されるときに塊をほとんど形成しないことができなければならない。
【0210】
【表6】
【0211】
量り取られた後に、成分は、ドライミキサー中で激しく混合される。飲料は、次に、塊を形成することなく、210gの水を30g処方物に添加することによって容易に再構成される。
【0212】
本発明の結晶を使用する処方物は、同時にはるかに少ないカロリーを含みながら、サッカロースを含む処方物に完全に似た流動性挙動を有する。
【0213】
イエローケーキの製造
本目的は、そのカロリー含有量が25%だけ低下している、満足できる食感及び外観を有するイエローケーキを提供することである。
【0214】
【表7】
【0215】
方法:
1.粉、食塩、Nutriose(登録商標)及びイーストを混合する。
2.バターをサッカロース又はアルロースでクリーム状にする。
3.卵黄及びバニラをクリームに添加し、次にクリーム状混合物を形成するようにミルクを添加する。
4.粉を含む混合物をクリーム状混合物に添加し、遅い設定のミキサーで混合し(1分)、次に処方物が十分に混合されるまでより激しく混合する。
5.600gのペーストを9インチのグリースを塗った円形金型に注ぎ込む。
6.180℃で20分間ベーキングする。
【0216】
本目的は達成される:本発明の結晶を使用するケーキは、口の中で非常に快適な食感を有し(用語「パン粉の食感」が用いられる)、ケーキは、ベーキング後にその形状を保っている。
【0217】
チョコレートクッキーの製造
次の処方物が調製された:
【0218】
【表8】
【0219】
方法:
1.乾燥成分を混ぜ合わせる。
2.バターを砂糖又はアルロースでクリーム状にする。
3.卵及びバニラをクリーム状混合物に添加する。
4.粉を含む混合物をクリーム状混合物に添加し、遅い設定のミキサーで混合し(1分)、次に処方物が十分に混合されるまでより激しく混合する。
5.チョコレートチップを添加し、混合する。
6.30gの部分を量り取り、160℃で8分間ベーキングする。
【0220】
アルロースベースのクッキー生地(列2)は、砂糖ベースの生地(列1)よりも広がらない。しかしながら、列3の生地は、列1の生地と同じように広がる。
【0221】
ベーキング中に、アルロースベースのクッキーは、より速く焦げ目がつく。
【0222】
クッキーはドーム形を有することが指摘されるべきである。本発明によるクッキーの高さは、膨らみがより少なく、前記クッキーは、砂糖ベースのクッキーとは異なって、ベーキング後に崩れておらず、それによってより良好な外観が保たれる。
【0223】
アルロースベースのクッキーは、それほど甘くはないが、良好な味覚を有する。本発明によるクッキーの食感は、ソフトであり、砂糖ベースのクッキーよりもしっとりしている。
【0224】
クッキーの水分活性(wa)及び含水率(M)は、経時的に測定される:
【0225】
【表9】
【0226】
アルロースベースのクッキーは、水分に関してより良好な安定性を示す。
【0227】
オート麦フレーククッキーの製造
【0228】
【表10】
【0229】
方法:
1.粉、Nutriose(登録商標)、重曹、イースト及び食塩を混合する。
2.バターを砂糖又はアルロースでクリーム状にする。
3.卵及びバニラをクリーム状混合物に添加する。
4.粉を含む混合物をクリーム状混合物に添加し、遅い設定のミキサーで混合し(1分)、次に処方物が十分に混合されるまでより激しく混合する。
5.オート麦フレークを添加し、混合する。
6.包含物を添加し、混合する。
7.30gの部分を量り取り、160℃で10分間ベーキングする。
【0230】
砂糖の代わりにアルロースを使用して得られたクッキーは、わずかにより焦げ目がつき、ベーキング後にサクサクした食感を有する。
【0231】
風船ガムの製造
風船ガムが以下のレシピで製造された:
【0232】
【表11】
【0233】
本風船ガムは、市販の風船ガムに似た、完全に満足できる外観を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2022-11-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
・ D-アルロースに富む組成物を提供する工程と;
・ 結晶化させられる原液を形成するように前記D-アルロースに富む組成物を濃縮する工程と;
・ D-アルロース結晶及び母液を形成するように前記原液を結晶化させる工程と;
・ 少なくとも1つのナノ濾過工程であって、前記工程が、前記D-アルロースに富む組成物を濃縮する工程の前の工程において行われる工程と
を含み、
得られる前記原液が、乾燥質量で:
・ 80%~99%のD-アルロース;
・ 0%~20%のD-フルクトース;
・ 0%~10%のグルコース;
・ 0%~1.5%のD-アルロース二量体
を含むことを特徴とする、D-アルロース結晶の製造プロセス。
【請求項2】
前記ナノ濾過のために用いられる膜が、300Da未満の、好ましくは150~250Daの範囲のカットオフ閾値を有することを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
得られる前記原液が、乾燥質量で:
5%~98%のD-アルロース;
.5%~15%のD-フルクトース;
%~5%のグルコース;
.1%~1.2%のD-アルロース二量体
を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
得られる前記原液が、乾燥質量で:
0.4%~1.1%のD-アルロース二量体を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記ナノ濾過の体積濃縮係数が5~20の範囲であることを特徴とする、請求項1~
のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記結晶化させる工程が、
i.マスキットを形成するように真空下の断熱晶析装置-エバポレーターで実施される、断熱蒸発冷却段階、
ii.続いて、結晶を形成するための前記マスキットの冷却による結晶化の段階
を含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記断熱蒸発冷却段階中の温度が、30~40℃の範囲であることを特徴とする、請求項に記載のプロセス。
【請求項8】
連続的であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
少なくとも1つのリサイクリング工程を含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記母液の少なくとも一部をリサイクルする工程を含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記D-アルロースに富む組成物を提供する工程の後に、
・ 保持液及び透過液を提供するための前記D-アルロースに富む組成物のナノ濾過の工程;及び
・ ナノ濾過透過液を回収する工程;
を含み、
前記D-アルロースに富む組成物を濃縮する工程は、
前記透過液を濃縮する工程であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記D-アルロースに富む組成物を提供する工程が、
・ D-フルクトースを含む組成物を提供する工程;
・ D-フルクトース及びD-アルロースを含む組成物を形成するようにエピマー化させる工程;
前記D-アルロースに富む組成物及びD-フルクトースに富む組成物を提供するためのクロマトグラフィー工程
を含むことを特徴とする、請求項10に記載のプロセス。
【請求項13】
前記D-アルロース結晶が、0.50%未満の、ガスクロマトグラフィー(GC)によって測定される、質量含有量のD-アルロース二量体を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス
【請求項14】
前記D-アルロース結晶が、0.01%~0.48%の範囲の質量含有量のD-アルロース二量体を含むことを特徴とする、請求項13に記載のプロセス
【請求項15】
前記D-アルロース結晶が、200μmより大きい体積平均サイズD4,3を有することを特徴とする、請求項13又は14に記載のプロセス
【請求項16】
前記D-アルロース結晶が、200~400μmの範囲で選ばれる所与の体積粒径D4,3について、0.60よりも大きいFeret最小/Feret最大比を有することを特徴とする、請求項13~15のいずれか一項に記載のプロセス
【請求項17】
前記D-アルロース結晶が、200~400μmの範囲の体積粒径D4,3の全てにわたって0.60よりも大きいFeret最小/Feret最大比を有することを特徴とする、請求項15に記載のプロセス
【手続補正書】
【提出日】2022-12-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
・ D-アルロースに富む組成物を提供する工程と;
・ 結晶化させられる原液を形成するように前記D-アルロースに富む組成物を濃縮する工程と;
・ D-アルロース結晶及び母液を形成するように前記原液を結晶化させる工程と;
・ 少なくとも1つのナノ濾過工程であって、前記工程が、前記D-アルロースに富む組成物を濃縮する工程の前の工程において行われる工程と
を含み、
得られる前記原液が、乾燥質量で:
・ 80%~99%のD-アルロース;
・ 0%~20%のD-フルクトース;
・ 0%~10%のグルコース;
・ 0%~1.5%のD-アルロース二量体
を含むことを特徴とする、D-アルロース結晶の製造プロセス。
【請求項2】
前記ナノ濾過のために用いられる膜が、300Da未満のカットオフ閾値を有することを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
得られる前記原液が、乾燥質量で:
5%~98%のD-アルロース;
.5%~15%のD-フルクトース;
%~5%のグルコース;
.1%~1.2%のD-アルロース二量体
を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
得られる前記原液が、乾燥質量で:
0.4%~1.1%のD-アルロース二量体を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記ナノ濾過の体積濃縮係数が5~20の範囲であることを特徴とする、請求項1~
のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記結晶化させる工程が、
i.マスキットを形成するように真空下の断熱晶析装置-エバポレーターで実施される、断熱蒸発冷却段階、
ii.続いて、結晶を形成するための前記マスキットの冷却による結晶化の段階
を含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記断熱蒸発冷却段階中の温度が、30~40℃の範囲であることを特徴とする、請求項に記載のプロセス。
【請求項8】
連続的であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
少なくとも1つのリサイクリング工程を含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記母液の少なくとも一部をリサイクルする工程を含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記D-アルロースに富む組成物を提供する工程の後に、
・ 保持液及び透過液を提供するための前記D-アルロースに富む組成物のナノ濾過の工程;及び
・ ナノ濾過透過液を回収する工程;
を含み、
前記D-アルロースに富む組成物を濃縮する工程は、
前記透過液を濃縮する工程であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記D-アルロースに富む組成物を提供する工程が、
・ D-フルクトースを含む組成物を提供する工程;
・ D-フルクトース及びD-アルロースを含む組成物を形成するようにエピマー化させる工程;
前記D-アルロースに富む組成物及びD-フルクトースに富む組成物を提供するためのクロマトグラフィー工程
を含むことを特徴とする、請求項10に記載のプロセス。
【請求項13】
前記D-アルロース結晶が、0.50%未満の、ガスクロマトグラフィー(GC)によって測定される、質量含有量のD-アルロース二量体を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス
【請求項14】
前記D-アルロース結晶が、0.01%~0.48%の範囲の質量含有量のD-アルロース二量体を含むことを特徴とする、請求項13に記載のプロセス
【請求項15】
前記D-アルロース結晶が、200μmより大きい体積平均サイズD4,3を有することを特徴とする、請求項13又は14に記載のプロセス
【請求項16】
前記D-アルロース結晶が、200~400μmの範囲で選ばれる所与の体積粒径D4,3について、0.60よりも大きいFeret最小/Feret最大比を有することを特徴とする、請求項13~15のいずれか一項に記載のプロセス
【請求項17】
前記D-アルロース結晶が、200~400μmの範囲の体積粒径D4,3の全てにわたって0.60よりも大きいFeret最小/Feret最大比を有することを特徴とする、請求項15に記載のプロセス