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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117317
(43)【公開日】2023-08-23
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20230816BHJP
【FI】
B25F5/00 Z
B25F5/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019955
(22)【出願日】2022-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上村 光央
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 良介
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA01
3C064AA02
3C064AA03
3C064AA04
3C064AA05
3C064AA06
3C064AA08
3C064AA20
3C064AB01
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA25
3C064BB52
3C064BB61
3C064BB89
3C064CA03
3C064CA28
3C064CA53
3C064CB17
3C064CB62
3C064CB73
3C064CB75
3C064CB92
3C064CB95
3C064EA05
(57)【要約】
【課題】駆動軸の軸方向を水平方向又は鉛直方向に平行にして使用した場合、無線通信基板の電波が外部装置に届きやすい電動工具を提供すること。
【解決手段】電動工具1、1aは、本体部21と、電池パック取付部23と、無線通信基板5、5aと、を備える。本体部21は、駆動部3によって回転する駆動軸4を有する。電池パック取付部23は、駆動部3を駆動する電流を供給する電池パックB1を着脱可能に取り付けられる。無線通信基板5、5aは、電池パック取付部23に配置され、外部装置C1と無線通信を行うための電波を出力する。電波の偏波方向D1は、駆動軸4の軸方向D2が水平方向X1である場合に、水平方向X1に平行である水平成分と、鉛直方向X2に平行である鉛直成分と、の両方に分解できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部によって回転する駆動軸を有する本体部と、
前記駆動部を駆動する電流を供給する電池パックを着脱可能に取り付けられる電池パック取付部と、
前記電池パック取付部に配置され、外部装置と無線通信を行うための電波を出力する無線通信基板と、を備え、
前記電波の偏波方向は、前記駆動軸の軸方向が水平方向である場合に、前記水平方向に平行である水平成分と、鉛直方向に平行である鉛直成分と、の両方に分解できる、
電動工具。
【請求項2】
前記本体部から突出しており、前記電池パック取付部が設けられるグリップ部を更に備え、
前記無線通信基板は、前記グリップ部が前記本体部から突出している方向である突出方向と前記軸方向とのそれぞれに垂直な方向である所定方向から見て、前記無線通信基板の主面が前記軸方向に対して斜めに交差するように配置されている、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記所定方向から見て、前記無線通信基板の前記主面と前記軸方向とがなす2つの角度のうち小さい方の角度は、0度より大きく90度より小さい、
請求項2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記駆動軸は、先端工具が設けられる先端部を有し、
前記無線通信基板は、前記所定方向から見て、前記無線通信基板が前記軸方向に対して斜めに交差する方向の一対の端部として、前記駆動軸側に位置する端部である第1端と、前記第1端と異なる端部である第2端と、を有し、
前記無線通信基板は、前記軸方向において、前記第1端が前記第2端より前記先端部に近くなるように配置される、
請求項2又は3に記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、電動工具に関する。より詳細には、本開示は、外部装置と通信を行う無線通信基板を備える電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、グレードアップモジュールを有するバッテリー駆動型携帯動力工具が開示されている。グレードアップモジュールは、ピストル型のハウジングとバッテリーユニットとの間に挿置でき、固定制御ユニットと無線通信するトランシーバーを工具に付加するアクセサリーを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009-515718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のようなバッテリー駆動型携帯動力工具(電動工具)では、バッテリー駆動型携帯動力工具の出力軸(駆動軸)の軸方向が水平方向である場合に、トランシーバーの通信基板が軸方向に対して平行又は垂直になるように配置されることが一般的である。しかし、無線通信基板が軸方向に対して平行又は垂直に配置されていると、出力軸の軸方向を水平方向又は鉛直方向に平行にして使用した場合、無線通信基板の電波が固定制御ユニット(外部装置)に届きにくいという問題があった。
【0005】
本開示の目的とするところは、駆動軸の軸方向を水平方向又は鉛直方向に平行にして使用した場合、無線通信基板の電波が外部装置に届きやすい電動工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電動工具は、本体部と、電池パック取付部と、無線通信基板と、を備える。前記本体部は、駆動部によって回転する駆動軸を有する。前記電池パック取付部は、前記駆動部を駆動する電流を供給する電池パックを着脱可能に取り付けられる。前記無線通信基板は、前記電池パック取付部に配置され、外部装置と無線通信を行うための電波を出力する。前記電波の偏波方向は、前記駆動軸の軸方向が水平方向である場合に、前記水平方向に平行である水平成分と、鉛直方向に平行である鉛直成分と、の両方に分解できる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、駆動軸の軸方向を水平方向又は鉛直方向に平行にして使用した場合、無線通信基板の電波が外部装置に届きやすいという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態の電動工具において、駆動軸の軸方向が水平方向である場合における無線通信基板が出力する電波の偏波方向を説明する説明図である。
図2図2は、同上の電動工具において、駆動軸の軸方向が鉛直方向である場合における無線通信基板が出力する電波の偏波方向を説明する説明図である。
図3図3は、同上の電動工具の要部断面図である。
図4図4は、同上の電動工具の無線通信基板の傾斜について説明する説明図である。
図5図5は、同上の電動工具において直接波が回折する様子を説明する説明図である。
図6図6は、同上の変形例に係る電動工具の無線通信基板の傾斜について説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る電動工具について、図面を用いて説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0010】
(実施形態)
(1)概要
以下、本実施形態に係る電動工具1の概要について、図1及び図2を参照して説明する。
【0011】
本実施形態に係る電動工具1は、図1及び図2に示すように、本体部21と、電池パック取付部23と、無線通信基板5と、を備える。本体部21は、駆動部3によって回転する駆動軸4を有する。電池パック取付部23は、駆動部3を駆動する電流を供給する電池パックB1を着脱可能に取り付けられる。無線通信基板5は、電池パック取付部23に配置され、外部装置C1と無線通信を行うための電波を出力する。
【0012】
本実施形態では、電波の偏波方向D1は、図1に示すように、駆動軸4の軸方向D2が水平方向X1である場合に、水平方向X1に平行である水平成分と、鉛直方向X2に平行である鉛直成分と、の両方に分解できる。このような電波の偏波方向D1は、図2に示すように、駆動軸4の軸方向D2が鉛直方向X2である場合も、水平方向X1に平行である水平成分と、鉛直方向X2に平行である鉛直成分と、の両方に分解できる。
【0013】
そのため、無線通信基板5が出力する電波は、駆動軸4の軸方向D2を水平方向X1又は鉛直方向X2に平行にして使用した場合に、直接波W1と反射波W2とを含む。直接波W1は、床Y1又は天井Y2に反射することなく外部装置C1に直接届く成分である。反射波W2は、床Y1又は天井Y2に反射して外部装置C1に届く成分である。
【0014】
以上から、本実施形態の電動工具1では、駆動軸4の軸方向D2を水平方向X1又は鉛直方向X2に平行にして使用した場合に、直接波W1に加え、反射波W2が床Y1又は天井Y2に反射し外部装置C1に届くため、外部装置C1が配置される位置に関わらず、無線通信基板5の電波が外部装置C1に届く確率が向上するという効果を奏する。すなわち、本実施形態の電動工具1では、駆動軸4の軸方向D2を水平方向X1又は鉛直方向X2に平行にして使用した場合、無線通信基板5の電波が外部装置C1に届きやすいという利点がある。
【0015】
(2)詳細な構成
(2-1)全体の構成
以下に、本実施形態の電動工具1の詳細な構成について、図1図6を参照して説明する。
【0016】
以下の説明では、図3に示すように、駆動軸4の軸方向を前後方向と規定し、本体部21から見て駆動軸4の後述する先端部41側を前と規定し、駆動軸4の先端部41から見て本体部21側を後と規定する。また、以下の説明では、本体部21と後述するグリップ部22が並んでいる方向を上下方向と規定し、グリップ部22から見て本体部21側を上と規定し、本体部21から見てグリップ部22側を下と規定する。ただし、これらの規定は、電動工具1の使用方向を規定する趣旨ではない。
【0017】
電動工具1は、図3に示すように、ハウジング2と、駆動部3と、駆動軸4と、無線通信基板5と、制御部6と、操作部7と、を備える。本実施形態では、一例として、電動工具1は、インパクトドライバである。
【0018】
(2-2)ハウジング
ハウジング2は、駆動部3と、駆動軸4の少なくとも一部と、無線通信基板5と、を収容している。ハウジング2は、図3に示すように、本体部21と、グリップ部22と、電池パック取付部23と、を有する。本実施形態では、ハウジング2において、本体部21と、グリップ部22と、電池パック取付部23と、は一体に形成されている。
【0019】
(本体部)
本体部21は、図3に示すように、駆動部3と、駆動軸4の少なくとも一部と、を収容する。
【0020】
本体部21は、側部211と、2つの底部212a、212bと、を有する。側部211の形状は、筒状である。より詳細には、側部211の形状は、円筒状である。2つの底部212a、212bのそれぞれは、筒状の側部211の開口を覆うように配置されている。すなわち、本体部21は、有底筒体である。2つの底部212a、212bの形状は、円盤状である。2つの底部212a、212bの厚さ方向は、前後方向に沿っている。2つの底部212a、212bのうち一方の底部212aは、貫通孔213を有する。本実施形態では、貫通孔213は、底部212aの中心に設けられている。貫通孔213には、駆動軸4が通される。
【0021】
(グリップ部)
グリップ部22は、図3に示すように、本体部21から突出している。図3に示す突出方向D3は、グリップ部22が本体部21から突出している方向である。本実施形態の突出方向D3は、上下方向に平行ではなく、上下方向に対して前方向に傾いている。図5に示すように、グリップ部22を握ることで、作業者A1は電動工具1を保持することできる。
【0022】
本実施形態では、図3に示すように、グリップ部22は、突出方向D3を長手方向とするように、突出方向D3に長細い形状を有する。グリップ部22がこのような形状を有することで、作業者A1は、容易にグリップ部22を握ることができる。
【0023】
グリップ部22に、電池パック取付部23が設けられる。本実施形態では、電池パック取付部23は、グリップ部22の下端部に設けられる。言い換えれば、電池パック取付部23は、突出方向D3において、本体部21、グリップ部22、及び電池パック取付部23が並ぶように、グリップ部22に設けられる。
【0024】
(電池パック取付部)
電池パック取付部23の形状は、図3に示すように、直方体状である。電池パック取付部23の下部には、充電式の電池パックB1が着脱可能に取り付けられる。電動工具1は、電池パックB1を電源として動作する。すなわち、電池パックB1は、駆動部3を駆動する電流を供給する電源である。電池パックB1は、電動工具1の構成要素ではない。ただし、電動工具1は、電池パックB1を備えていてもよい。電池パックB1は、複数の二次電池(例えば、リチウムイオン電池)を直列接続して構成された組電池と、組電池を収容したケースと、を備えている。
【0025】
電池パック取付部23は、無線通信基板5を収容する。
【0026】
(2-3)駆動部
駆動部3は、本体部21に配置されており、駆動軸4を駆動する。駆動部3は、例えばブラシレスモータである。駆動部3は、回転軸及び永久磁石を有する回転子と、コイルを有する固定子と、を含んでいる。永久磁石とコイルとの電磁的相互作用により、回転子は、固定子に対して回転する。
【0027】
また、駆動部3は、サーボモータである。駆動部3のトルク及び回転速度は、制御部6(サーボドライバ)による制御に応じて変化する。より詳細には、制御部6は、駆動部3のトルク及び回転速度を目標値に近づけるように制御するフィードバック制御により駆動部3の動作を制御している。
【0028】
(2-4)駆動軸
駆動軸4は、駆動部3によって回転する。より詳細には、駆動軸4は駆動部3の回転軸と機械的に接続しており、駆動部3の回転軸が回転することで駆動軸4は回転する。
【0029】
駆動軸4は、柱体である。本実施形態の駆動軸4は、円柱状である。駆動軸4の少なくとも一部が、本体部21の貫通孔213から突出している。より詳細には、駆動軸4の前側の部分が、本体部21の貫通孔213から突出している。
【0030】
駆動軸4は、先端工具が設けられる先端部41を有する。先端部41は、本体部21の貫通孔213から突出している駆動軸4の端部である。すなわち、先端部41は、駆動軸4の前側の端部である。駆動軸4は、駆動部3によって先端工具と共に回転する。
【0031】
本実施形態では、先端部41は、チャックを介して先端工具が着脱可能に設けられている。なお、先端部41は、先端工具が着脱可能に直接設けられていてもよい。また、先端部41に先端工具が一体に形成されていてもよい。先端工具は、例えば、ドライバビットである。先端工具は作業対象のねじ(ボルト又はビス等)と嵌合した状態で先端工具が回転することにより、ねじを締め付ける又は緩めるといった作業が可能となる。
【0032】
(2-5)無線通信基板
無線通信基板5は、外部装置C1と無線通信を行うための電波を出力する。本開示でいう「無線通信」は、電波を媒介として用いた通信を意味し、Bluetooth(登録商標)、又はWi-Fi(登録商標)等を含む。無線通信基板5は、無線通信によって、作業情報の送信を行う。すなわち、無線通信基板5は、外部装置C1に、作業情報を送信することが可能である。本開示でいう「作業情報」は、電動工具1を用いた作業に関する情報であって、例えば、電動工具1を用いて作業する際の作業内容等に関する情報である。本実施形態のように電動工具1がインパクトドライバである場合は、作業情報は、例えば、締付トルク、ねじ締め本数、作業時間、及び電池残量といった、ねじ締め作業の作業内容に係る情報である。なお、無線通信基板5は、無線通信によって、作業情報の受信を行っていてもよい。すなわち、無線通信基板5は、外部装置C1から、作業情報を受信することが可能であってもよい。
【0033】
無線通信基板5は、図3に示すように、無線通信が可能な通信モジュール53を有する基板である。通信モジュール53は、無線通信基板5が有する2つの主面51のうち一方に設けられている。本実施形態では、2つの主面51のうち通信モジュール53が設けられている主面51を第1主面51aとし、もう一方の主面51(すなわち、2つの主面51のうち通信モジュール53が設けられていない主面51)を第2主面51bとする。
【0034】
無線通信基板5は、図3に示すように、電池パック取付部23に配置されている。より詳細には、無線通信基板5は、突出方向D3と軸方向D2とのそれぞれに垂直な方向である所定方向(図3の紙面に対して垂直方向)から見て、無線通信基板5の主面51が軸方向に対して斜めに交差するように配置されている。より詳細には、無線通信基板5は、所定方向から見て、無線通信基板5の第1主面51a及び第2主面51bが軸方向D2に対して斜めに交差するように配置されている。言い換えれば、無線通信基板5は、所定方向から見て、無線通信基板5の厚さ方向が軸方向D2に対して斜めに交差するように配置されている。
【0035】
より具体的に、図4を用いて、軸方向D2に対する無線通信基板5の傾斜について説明する。無線通信基板5は、所定方向(図4の紙面に対して垂直方向)から見て、無線通信基板5が軸方向D2に対して斜めに交差する方向の一対の端部として、駆動軸4側に位置する端部である第1端52aと、第1端52aと異なる端部である第2端52bと、を有する。無線通信基板5は、軸方向D2において、第1端52aが第2端52bより先端部41に近くなるように、配置される。このとき、第1主面51a及び第2主面51bの法線方向は、電動工具1の後ろ上方向である。
【0036】
すなわち、図4に示すように、所定方向(図4の紙面に対して垂直方向)から見て、無線通信基板5の主面51と軸方向D2とがなす2つの角度のうち小さい方の角度θは、0度よりも大きく90度より小さい。図4に示す破線L1は軸方向D2に平行な直線である。本実施形態では、所定方向から見て、無線通信基板5の第1主面51a及び第2主面51bの一方と軸方向D2とがなす2つの角度のうち小さい方の角度θは、0度よりも大きく90度より小さい。
【0037】
無線通信基板5は、突出方向D3と軸方向D2とのそれぞれに垂直な方向である所定方向(図4の紙面に対して垂直方向)から見て、第1主面51a及び第2主面51bに平行な方向に偏波する電波を出力する。すなわち、図4に示すように、無線通信基板5が出力する電波の偏波方向D1は、所定方向から見て、第1主面51a及び第2主面51bに平行な方向である。本開示でいう「電波の偏波方向」とは、電波が空間を伝搬する場合において電波の電界が振動する方向である。本実施形態では、無線通信基板5は所定方向から見て無線通信基板5の第1主面51a及び第2主面51bが軸方向D2に対して斜めに交差するように配置されているため、無線通信基板5が出力する電波の偏波方向D1は、無線通信基板5が軸方向D2に対して斜めに交差する方向である。
【0038】
この結果、無線通信基板5が出力する電波の偏波方向D1は、図1に示すように、駆動軸4の軸方向D2が水平方向X1である場合に、水平方向X1に平行である水平成分と、鉛直方向X2に平行である鉛直成分と、の両方に分解できる。また、電波の偏波方向D1は、図2に示すように、駆動軸4の軸方向D2が鉛直方向X2である場合も、水平方向X1に平行である水平成分と、鉛直方向X2に平行である鉛直成分と、の両方に分解できる。
【0039】
(2-6)操作部
図3に示すように、操作部7は、グリップ部22から突出している。操作部7は、駆動部3の回転軸の回転を制御するための操作を受け付ける。操作部7を引く操作により、駆動部3のオンオフを切替可能である。また、操作部7を引く操作の引込み量で、回転軸の回転速度を調整可能である。上記引込み量が大きいほど、回転軸の回転速度が速くなる。
【0040】
(2-7)制御部
制御部6は、操作部7を引く操作の引込み量に応じて、駆動部3の回転軸を回転又は停止させ、また、回転軸の回転速度を制御する。
【0041】
制御部6は、例えば、マイクロコントローラを含む。制御部6は、回転軸の回転速度を変化させることにより、駆動軸4及び先端工具の回転速度を変化させることができる。制御部6は、例えば、駆動部3に供給する電力を変化させることで、回転軸の回転速度を変化させる。
【0042】
(3)利点
電動工具1は、本体部21と、電池パック取付部23と、無線通信基板5と、を備える。本体部21は、駆動部3によって回転する駆動軸4を有する。電池パック取付部23は、駆動部3を駆動する電流を供給する電池パックB1を着脱可能に取り付けられる。無線通信基板5は、電池パック取付部23に配置され、外部装置C1と無線通信を行うための電波を出力する。電波の偏波方向D1は、図1に示すように、駆動軸4の軸方向D2が水平方向X1である場合に、水平方向X1に平行である水平成分と、鉛直方向X2に平行である鉛直成分と、の両方に分解できる。
【0043】
一般的に、電動工具1は、駆動軸4の軸方向D2を水平方向X1又は鉛直方向X2に平行にして使用されることが多い。一例として、電動工具1は、壁、天井、床等のねじを締め付ける又は緩めるといった作業に使用される。この構成によると、無線通信基板5が出力する電波は、駆動軸4の軸方向D2を水平方向X1又は鉛直方向X2に平行にして使用した場合に、直接波W1と反射波W2とを含む。直接波W1は、床Y1又は天井Y2に反射することなく外部装置C1に直接届く成分である。反射波W2は、床Y1又は天井Y2に反射して外部装置C1に届く成分である。そのため、駆動軸4の軸方向D2を水平方向X1又は鉛直方向X2に平行にして使用した場合に、直接波W1に加え、反射波W2が床Y1又は天井Y2に反射し外部装置C1に届くため、外部装置C1が配置される位置に関わらず、無線通信基板5の電波が外部装置C1に届く確率が向上するという効果を奏する。例えば、電動工具1と外部装置C1との間に障害物があったとき、直接波W1が障害物を回折できず障害物によって遮られて外部装置C1に届かなくても、反射波W2は障害物を回避し外部装置C1に届くことができる。すなわち、本実施形態の電動工具1では、駆動軸4の軸方向D2を水平方向X1又は鉛直方向X2に平行にして使用した場合、無線通信基板5の電波が外部装置C1に届きやすいという利点がある。
【0044】
電動工具1は、本体部21から突出しており、電池パック取付部23が設けられるグリップ部22を更に備える。無線通信基板5は、図3に示すように、グリップ部22が本体部21から突出している方向である突出方向D3と軸方向D2とのそれぞれに垂直な方向である所定方向(図3の紙面に対して垂直方向)から見て、無線通信基板5の主面51が軸方向D2に対して斜めに交差するように配置されている。
【0045】
電動工具では、通信基板の主面が駆動軸の軸方向に対して平行又は垂直になるように配置される場合が一般的である。この場合、無線通信基板が主面に平行又は垂直な方向に偏波する電波を出力する構造であるとき、駆動軸の軸方向を水平方向X1又は鉛直方向X2に平行にして電動工具を使用すると、電波の偏波方向は水平方向X1及び鉛直方向X2のどちらか一方に平行になってしまう。その結果、無線通信基板の電波が、直接波及び反射波のどちらか一方になり、外部装置に届きにくくなってしまう。しかし、本実施形態の構成によると、無線通信基板5の主面51が軸方向D2に対して斜めに交差するように配置されているため、無線通信基板5が主面51に平行又は垂直な方向に偏波する電波を出力する構造であっても、電波の偏波方向D1は、駆動軸4の軸方向D2が水平方向X1及び鉛直方向X2である場合に、水平方向X1に平行である水平成分と、鉛直方向X2に平行である鉛直成分と、の両方に分解できる。すなわち、本実施形態の電動工具1では、駆動軸4の軸方向D2を水平方向X1又は鉛直方向X2に平行にして電動工具1を使用した場合、無線通信基板5が主面51に平行又は垂直な方向に偏波する電波を出力する構造であっても、無線通信基板5の電波が外部装置C1に届きやすいという利点がある。
【0046】
電動工具1では、無線通信基板5は、図4に示すように、所定方向(図4の紙面に対して垂直方向)から見て、無線通信基板5が軸方向D2に対して斜めに交差する方向の一対の端部として、駆動軸4側に位置する端部である第1端52aと、第1端52aと異なる端部である第2端52bと、を有する。無線通信基板5は、軸方向D2において、第1端52aが第2端52bより先端部41に近くなるように、配置される。
【0047】
この構成によると、図5に示すように、電動工具1と外部装置C1との間に作業者A1が存在し、床Y1及び天井Y2が電波を反射しにくい作業現場において電動工具1が作業者A1の頭部よりも下側で使用されている場合に、反射波W2が外部装置C1に届かなくても、直接波W1が作業者A1の体を回折して、外部装置C1に届くことができるという効果を奏する。すなわち、本実施形態の電動工具1では、電動工具1と外部装置C1との間に作業者A1が存在し、床Y1及び天井Y2が電波を反射しにくい作業現場において電動工具1が作業者A1の頭部よりも下側で使用されている場合に、無線通信基板5の電波が外部装置C1に届きやすいという利点がある。
【0048】
(4)変形例
以下、本実施形態の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0049】
本実施形態の電動工具1の無線通信基板5は、図4に示すように、軸方向D2において、第1端52aが第2端52bより先端部41に近くなるように、配置される。しかし、図6に示すように、電動工具1aの無線通信基板5aは、軸方向D2において、第2端52bが第1端52aより先端部41に近くなるように、配置されていてもよい。
【0050】
なお、電動工具1aでは、上述した電動工具1と同様に、突出方向D3と軸方向D2とのそれぞれに垂直な方向である所定方向(図6の紙面に対して垂直方向)から見て、無線通信基板5aの主面51と軸方向D2とがなす2つの角度のうち小さい方の角度θaは、0度よりも大きく90度より小さくなる。
【0051】
本実施形態の電動工具1はインパクトドライバであるが、インパクトドライバのみに限定されない。例えば、電動工具1の種類は、インパクトレンチ、ドリルドライバ、ハンマードリル、バンドソー、パワーカッター、サンダー及びディスクグラインダ等であってもよい。
【0052】
本実施形態の突出方向D3は、上下方向に対して前方向に傾いているが、上下方向に平行であってもよい。すなわち、グリップ部22が本体部21から突出する方向は限定されない。
【0053】
本実施形態の電池パックB1は、電池パック取付部23に着脱可能に取り付けられるが、電池パック取付部23に着脱可能でなくてもよい。すなわち、電池パックB1は、電動工具1に着脱可能でなくてもよい。
【0054】
(まとめ)
実施形態に係る第1の態様の電動工具(1、1a)は、本体部(21)と、電池パック取付部(23)と、無線通信基板(5、5a)と、を備える。本体部(21)は、駆動部(3)によって回転する駆動軸(4)を有する。電池パック取付部(23)は、駆動部(3)を駆動する電流を供給する電池パック(B1)を着脱可能に取り付けられる。無線通信基板(5、5a)は、電池パック取付部(23)に配置され、外部装置(C1)と無線通信を行うための電波を出力する。電波の偏波方向(D1)は、駆動軸(4)の軸方向(D2)が水平方向(X1)である場合に、水平方向(X1)に平行である水平成分と、鉛直方向(X2)に平行である鉛直成分と、の両方に分解できる。
【0055】
この態様によれば、駆動軸(4)の軸方向(D2)を水平方向(X1)又は鉛直方向(X2)に平行にして使用した場合、無線通信基板(5、5a)の電波が外部装置(C1)に届きやすい、という利点がある。
【0056】
実施形態に係る第2の態様の電動工具(1、1a)は、第1の態様において、本体部(21)から突出しており、電池パック取付部(23)が設けられるグリップ部(22)を更に備える。無線通信基板(5、5a)は、グリップ部(22)が本体部(21)から突出している方向である突出方向(D3)と軸方向(D2)とのそれぞれに垂直な方向である所定方向から見て、無線通信基板(5、5a)の主面が軸方向(D2)に対して斜めに交差するように配置されている。
【0057】
この態様によれば、簡略な構造の無線通信基板(5、5a)を備えた電動工具(1、1a)において、駆動軸(4)の軸方向(D2)を水平方向(X1)又は鉛直方向(X2)に平行にして使用した場合、無線通信基板(5、5a)の電波が外部装置(C1)に届きやすくできる、という利点がある。
【0058】
実施形態に係る第3の態様の電動工具(1、1a)では、第2の態様において、所定方向から見て、無線通信基板(5、5a)の主面と軸方向(D2)とがなす2つの角度のうち小さい方の角度(θ、θa)は、0度より大きく90度より小さい。
【0059】
この態様によれば、簡略な構造の無線通信基板(5、5a)を備えた電動工具(1、1a)において、駆動軸(4)の軸方向(D2)を水平方向(X1)又は鉛直方向(X2)に平行にして使用した場合、無線通信基板(5、5a)の電波が外部装置(C1)に届きやすくできる、という利点がある。
【0060】
実施形態に係る第4の態様の電動工具(1)では、第2又は第3の態様において、駆動軸(4)は、先端工具が設けられる先端部(41)を有する。無線通信基板(5)は、所定方向から見て、無線通信基板(5)が軸方向(D2)に対して斜めに交差する方向の一対の端部として、駆動軸(4)側に位置する端部である第1端(52a)と、第1端(52a)と異なる端部である第2端(52b)と、を有する。無線通信基板(5)は、軸方向(D2)において、第1端(52a)が第2端(52b)より先端部(41)に近くなるように配置される。
【0061】
この態様によれば、床(Y1)及び天井(Y2)が電波を反射しにくい作業現場において電動工具(1)が作業者(A1)の頭部よりも下側で使用されている場合に、無線通信基板(5)の電波が外部装置(C1)に届きやすい、という利点がある。
【0062】
なお、上述の実施形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0063】
1、1a 電動工具
21 本体部
22 グリップ部
23 電池パック取付部
3 駆動部
4 駆動軸
41 先端部
5、5a 無線通信基板
51 主面
52a 第1端
52b 第2端
B1 電池パック
C1 外部装置
D1 偏波方向
D2 軸方向
D3 突出方向
X1 水平方向
X2 鉛直方向
θ、θa 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6