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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117323
(43)【公開日】2023-08-23
(54)【発明の名称】蒸気釜
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/14 20060101AFI20230816BHJP
   A47J 27/17 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
A47J27/14 N
A47J27/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019968
(22)【出願日】2022-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】岩尾 光
(72)【発明者】
【氏名】牟田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】西内 将平
(72)【発明者】
【氏名】松本 宏典
(72)【発明者】
【氏名】近藤 豪仁
(72)【発明者】
【氏名】田村 祐人
【テーマコード(参考)】
4B054
【Fターム(参考)】
4B054AA02
4B054AA16
4B054AB01
4B054AB13
4B054AC13
4B054AC20
4B054BA06
4B054BC19
4B054CC13
4B054CC14
4B054CC18
(57)【要約】
【課題】冷却水供給源へ戻す配管を保護しつつ冷却水の使用量を削減することの可能な蒸気釜を提供する。
【解決手段】本発明によれば、被処理物が収容される内釜2と、内釜2の外側に設けられるジャケット3と、ジャケット3に蒸気を供給する給蒸手段4と、ジャケット3と冷却水供給源100の間で前記冷却水を循環させる冷却水循環手段7と、を備えた蒸気釜1であって、前記冷却水循環手段7は、往水路70と、復水路80と、バイパス路90と、混合手段84と、を備え、往水路70は、冷却水供給源100からジャケット3へ冷却水を供給するよう構成され、復水路80は、ジャケットからの復水を冷却水供給源100へ戻すよう構成され、バイパス路90は、往水路70と復水路80をバイパスするよう構成され、混合手段84は、バイパス路90を介して復水路80を流通する復水に冷却水供給源100からの冷却水を混合して、冷却水供給源100へ戻す復水の温度を所定温度T以下とするよう構成される、蒸気釜1が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物が収容される内釜と、前記内釜の外側に設けられるジャケットと、前記ジャケットに蒸気を供給する給蒸手段と、前記ジャケットと冷却水供給源の間で前記冷却水を循環させる冷却水循環手段と、を備えた蒸気釜であって、
前記冷却水循環手段は、往水路と、復水路と、バイパス路と、混合手段と、を備え、
前記往水路は、前記冷却水供給源から前記ジャケットへ冷却水を供給するよう構成され、
前記復水路は、ジャケットからの復水を前記冷却水供給源へ戻すよう構成され、
前記バイパス路は、前記往水路と前記復水路をバイパスするよう構成され、
前記混合手段は、前記バイパス路を介して前記復水路を流通する復水に前記冷却水供給源からの冷却水を混合して、前記冷却水供給源へ戻す復水の温度を所定温度以下とするよう構成される、蒸気釜。
【請求項2】
請求項1に記載の蒸気釜であって、
前記復水路には排水切替弁が設けられ、
前記排水切替弁は、前記復水を排水するか前記冷却水供給源へと戻すかを切り替えるよう構成される、蒸気釜。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の蒸気釜であって、
前記混合手段は、前記復水路に設けられるミキシングバルブである、蒸気釜。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれかに記載の蒸気釜であって、
前記復水路における前記バイパス路との接続位置よりも前記ジャケット側の位置に第1温度センサを備え、前記バイパス路にバイパス弁を備えており、
前記バイパス弁は、前記第1温度センサが検知する前記復水の温度に応じて開閉される、蒸気釜。
【請求項5】
請求項4に記載の蒸気釜であって、
前記混合手段は、前記第1温度センサと、前記バイパス弁とから構成されており、
前記バイパス弁は、開度調整が可能な調整弁とされ、
前記混合手段は、前記第1温度センサが検知する前記復水の温度に応じて前記バイパス弁の開度を調整することで、前記復水の温度を所定温度以下とするよう構成される、蒸気釜。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれかに記載の蒸気釜であって、
前記復水路における前記バイパス路との接続位置よりも前記冷却水供給源側の位置に第2温度センサを備えている、蒸気釜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気により被処理物を加熱する蒸気釜に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品等の被処理物を収容する内釜の外側にジャケット(蒸気室)を備えた蒸気釜がある。例えば特許文献1に開示される蒸気釜は、ジャケットに蒸気及び冷却水を供給することで、食品を加熱及び冷却することの可能な蒸気釜が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2889169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ジャケットに蒸気に加えて冷却水を供給する構成の場合、冷却水の使用量削減のため、冷却水をジャケットと冷却水供給源(チラー)との間で循環させることが好ましい。しかしながら、冷却開始直後のジャケットからの復水は高温となるため、そのまま冷却水供給源へと戻すと、高温水の流通が想定されていない冷却水供給源への配管に不具合が生じるおそれがある。かといって、復水の温度が十分に低下するまで復水を排水すると、冷却水の使用量をほとんど削減することができない。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、冷却水供給源へ戻す配管を保護しつつ冷却水の使用量を削減することの可能な蒸気釜を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、被処理物が収容される内釜と、前記内釜の外側に設けられるジャケットと、前記ジャケットに蒸気を供給する給蒸手段と、前記ジャケットと冷却水供給源の間で前記冷却水を循環させる冷却水循環手段と、を備えた蒸気釜であって、前記冷却水循環手段は、往水路と、復水路と、バイパス路と、混合手段と、を備え、前記往水路は、前記冷却水供給源から前記ジャケットへ冷却水を供給するよう構成され、前記復水路は、ジャケットからの復水を前記冷却水供給源へ戻すよう構成され、前記バイパス路は、前記往水路と前記復水路をバイパスするよう構成され、前記混合手段は、前記バイパス路を介して前記復水路を流通する復水に前記冷却水供給源からの冷却水を混合して、前記冷却水供給源へ戻す復水の温度を所定温度以下とするよう構成される、蒸気釜が提供される。
【0007】
本発明によれば、ジャケットから冷却水供給源への復水路に混合手段を設け、バイパス路を介して供給される冷却水供給源からの冷却水を復水路を流通する復水に混合することで、ジャケットからの復水が高温であっても当該復水が冷却され、復水を排水することなく冷却水供給源へ戻す配管を保護することが可能となっている。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
【0009】
好ましくは、前記復水路には排水切替弁が設けられ、前記排水切替弁は、前記復水を排水するか前記冷却水供給源へと戻すかを切り替えるよう構成される。
【0010】
好ましくは、前記混合手段は、前記復水路に設けられるミキシングバルブである。
【0011】
好ましくは、前記復水路における前記バイパス路との接続位置よりも前記ジャケット側の位置に第1温度センサを備え、前記バイパス路にバイパス弁を備えており、前記バイパス弁は、前記第1温度センサが検知する前記復水の温度に応じて開閉される。
【0012】
好ましくは、前記混合手段は、前記第1温度センサと、前記バイパス弁とから構成されており、前記バイパス弁は、開度調整が可能な調整弁とされ、前記混合手段は、前記第1温度センサが検知する前記復水の温度に応じて前記バイパス弁の開度を調整することで、前記復水の温度を所定温度以下とするよう構成される。
【0013】
好ましくは、前記復水路における前記バイパス路との接続位置よりも前記冷却水供給源側の位置に第2温度センサを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る蒸気釜1を示す概略図である。
図2図1の蒸気釜1の動作を示すフローチャートである。
図3図1の蒸気釜1の加熱工程S1における蒸気及び凝縮水の流路を太線で示す図である。
図4図1の蒸気釜1の第1圧縮空気供給工程S2及び第2圧縮空気供給工程S5における圧縮空気の流路を太線で示す図である。
図5図1の蒸気釜1の第1冷却工程S3における冷却水及び復水の流路を太線で示す図である。
図6図1の蒸気釜1の第1冷却工程S3において、復水をチラー100に戻さない場合の冷却水及び復水の流路を太線で示す図である。
図7図1の蒸気釜1の第2冷却工程S4における冷却水及び復水の流路を太線で示す図である。
図8】本発明の変形例に係る蒸気釜1を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0016】
1.蒸気釜1の構成
図1は、本発明の一実施形態に係る蒸気釜1を示す概略図である。本実施形態の蒸気釜1は、被処理物である食品を加熱及び冷却することの可能な釜である。
【0017】
本実施形態の蒸気釜1は、図1に示すように、内釜2と、ジャケット3と、給蒸手段4と、ドレン排出手段5と、圧縮空気供給手段6と、冷却水循環手段7と、制御手段10とを備える。また、本実施形態において、冷却水循環手段7は、冷却水供給源としてのチラー100に接続されている。チラー100は、蒸気釜1の外部の構成であってもよく、蒸気釜1の構成要素として含んでいても良い。以下、各構成を具体的に説明する。
【0018】
内釜2は、上方へ開口した有底の中空容器であり、内部に食品が収容される。内釜2は、その形状を特に問わず、内部に食品を撹拌する攪拌装置(図示せず)を有していても良い。
【0019】
ジャケット3は、内釜2の外側に設けられる。例えば、図示例では、ジャケット3は、内釜2の下方領域を覆うように設けられる。ジャケット3の内部には、蒸気、圧縮空気又は冷却水が切り替えられて供給される。
【0020】
給蒸手段4は、ボイラ(ボイラ接続口)からの蒸気をジャケット3内に供給する。給蒸手段4は、具体的には、ボイラ(ボイラ接続口)とジャケット3とを接続する給蒸路40を備える。給蒸路40には、給蒸弁41が設けられている。
【0021】
ドレン排出手段5は、ジャケット3内へ供給した蒸気の凝縮水(ドレン)を排出する。ドレン排出手段5は、具体的には、ドレン排出路50を備え、ドレン排出路50には、上流側から順に、スチームトラップ51とドレン弁52とが設けられている。ドレン排出路50の下流側は、排水切替弁53を介して排気排水路54に接続され、排気排水路54には、逆止弁55が設けられている。
【0022】
圧縮空気供給手段6は、圧縮空気源(圧縮機接続口)からの圧縮空気をジャケット3内に供給する。圧縮空気供給手段6は、具体的には、圧縮空気供給路60を備え、圧縮空気供給路60には、上流側から順に、圧縮空気供給弁61と逆止弁62とが設けられている。
【0023】
冷却水循環手段7は、冷却水供給源としてのチラー100からの冷却水をジャケット3内に供給し、また、ジャケット3内から冷却水を排出してチラー100へ戻すよう構成される。冷却水循環手段7は、具体的には、往水路70と、復水路80と、バイパス路90とを備える。
【0024】
往水路70は、チラー100とジャケット3を接続し、チラー100からジャケット3へ冷却水を供給するよう構成される。往水路70には、冷却水供給弁71が設けられている。なお、本実施形態において、給蒸弁41よりも下流側の給蒸路40と、逆止弁62よりも下流側の圧縮空気供給路60と、冷却水供給弁71よりも下流側の往水路70とは、共通管路としてジャケット3に接続されている。
【0025】
復水路80は、ジャケット3とチラー100を接続し、ジャケット3からの復水をチラー100へ戻すよう構成される。復水路80には、上流側から順に、冷却水出口弁81と、排水切替弁53と、逆止弁82と、第1温度センサ83と、混合手段としてのミキシングバルブ84と、第2温度センサ85とが設けられている。ここで、排水切替弁53は、三方弁とされ、ドレン排出手段5のドレン排出路50又は復水路80からの水(ドレン水又は復水)を、排気排水路54から排水するか、復水路80を介してチラー100に戻すかを切り替えるよう構成されている。ただし、排水切替弁53は、排水・復水を切り替えることができれば任意の構成とすることができる。例えば、排水切替弁53を、三方弁に変えて、2つの弁を組み合わせて構成しても良い。
【0026】
なお、本実施形態において、ドレン排出路50は、ドレン弁52と排水切替弁53の間の位置において復水路80と接続しており、当該接続位置から排水切替弁53までの間、ドレン排出路50と復水路80は共通管路とされている。
【0027】
バイパス路90は、往水路70と復水路80とをバイパスするよう構成される。バイパス路90には、バイパス弁91が設けられている。バイパス路90は、具体的には、一端側がチラー100と冷却水供給弁71の間の位置において往水路70に接続され、他端側がミキシングバルブ84に接続されている。ミキシングバルブ84により、復水路80を流通する復水がチラー100からの冷却水と混合され、チラー100に戻されることになる。
【0028】
なお、本実施形態のミキシングバルブ84は、その本体内部にサーモエレメントを備え、復水路80を流通する復水とバイパス路90を流通する冷却水の混合割合の調整が可能な構成とされる。したがって、ミキシングバルブ84は、復水路80を流通する復水を所定温度T(例えば、30℃)の水としてチラー100に戻すことが可能となっている。
【0029】
ミキシングバルブ84が上記のような位置に配置されていることから、本実施形態において、第1温度センサ83は、ミキシングバルブ84の位置、すなわち復水路80におけるバイパス路90との接続位置よりもジャケット3側の位置に配置されることになる。また、第2温度センサ85は、ミキシングバルブ84の位置(復水路80におけるバイパス路90との接続位置)よりもチラー100側の位置に配置されることになる。
【0030】
制御手段10は、第1温度センサ83、第2温度センサ85の検出信号や経過時間などに基づき、上述した各種の弁等を制御する。制御手段10は、具体的には、給蒸弁41、ドレン弁52、排水切替弁53、圧縮空気供給弁61、冷却水供給弁71、冷却水出口弁81、ミキシングバルブ84、バイパス弁91等を制御する。制御手段10は、後述するように、所定の手順(プログラム)に従い、内釜2内の食品の加熱やその後の冷却工程を実行する。
【0031】
なお、上記構成の制御手段10は、具体的には例えば、CPU、メモリ(例えばフラッシュメモリ)、入力部及び出力部を備えた情報処理装置により構成することができる。そして、情報処理装置により構成された制御手段10の上述した各構成要素による処理は、メモリに記憶されたプログラムをCPUが読み出して実行することで行われる。情報処理装置としては、例えば、パーソナルコンピュータ、PLC(プログラマラブルロジックコントローラ)あるいはマイコンが用いられる。ただし、制御手段10の一部の機能を、任意の通信手段により接続されたクラウド上で実行されるよう構成しても良い。
【0032】
チラー100は、冷凍機101と、熱交換器102と、冷水タンク103とを備える。チラー100は、冷凍機101と熱交換器102の間でポンプ(図示せず)により冷媒を循環させ、冷水タンク103と熱交換器102の間でポンプ(図示せず)により水を循環させることで、冷水タンク103内の水を冷却する。冷却された水は冷却水として、冷却水ポンプ104により冷却水出口路105を介して外部に供給される。また、冷却に用いられた後の復水(環水)は、復水入口路106を介して冷水タンク103に戻される。なお、チラー100の構成については、上記のものに限られず、冷却水を供給可能な構成であれば、任意のチラーを用いることが可能である。
【0033】
2.蒸気釜1の動作
次に、制御手段10による蒸気釜1の動作について説明する。制御手段10は、所定の手順(プログラム)に従い、各種の弁等を制御することによって内釜2内の食品の加熱やその後の冷却を行う。なお、運転開始前、つまり、これらの各工程を実行する前には、少なくとも、給蒸弁41、圧縮空気供給弁61及び冷却水供給弁71は閉じられている。そして、所定のスタートボタンが押されるなど、運転開始が指示されると、制御手段10は、内釜2内に食品を収容した状態で、図2に示すように、食品を加熱する加熱工程S1、ジャケット3内に圧縮空気を供給する第1圧縮空気供給工程S2、食品を冷却する第1冷却工程S3及び第2冷却工程S4、ジャケット3内に圧縮空気を供給する第2圧縮空気供給工程S5を順次に実行する。以下、各工程をより詳細に説明する。
【0034】
<加熱工程S1>
加熱工程S1では、制御手段10は、給蒸手段4によりジャケット3内へ蒸気を供給して、内釜2内の食品を加熱する。具体的には、制御手段10は、圧縮空気供給弁61及び冷却水供給弁71を閉じた状態で給蒸弁41を開くことで、給蒸路40を介してボイラ(ボイラ接続口)からの蒸気をジャケット3内に供給する。また、制御手段10は、ドレン弁52を開き、排水切替弁53を排水側に設定する。これにより、ジャケット3内へ供給された蒸気の凝縮水(ドレン)は、スチームトラップ51が設けられたドレン排出路50を介して排気排水路54から排出される(図3参照)。
【0035】
そして、ジャケット3内を設定加熱圧力(設定加熱温度)にした後、その状態を保つことで、内釜2内の食品を加熱する。例えば、制御手段10は、ジャケット3に設けた圧力センサ(図示せず)の検出圧力を設定加熱圧力に維持するように、給蒸弁41の開度又は開閉を調整する。加熱時間等の所定の終了条件を満たすと、制御手段10は、給蒸弁41を閉じることでジャケット3内への上記の供給を停止し、次工程へと移行する。
【0036】
<第1圧縮空気供給工程S2>
第1圧縮空気供給工程S2では、制御手段10は、圧縮空気供給手段6によりジャケット3内へ圧縮空気を供給する。具体的には、制御手段10は、給蒸弁41及び冷却水供給弁71を閉じた状態で圧縮空気供給弁61を開くことで、圧縮空気供給路60を介して圧縮空気源からの圧縮空気をジャケット3内に供給する。また、制御手段10は、加熱工程S1と同様、ドレン弁52を開き、冷却水出口弁81を閉じるとともに、排水切替弁53を排水側に設定する。これにより、ジャケット3内へ供給された圧縮空気は、ドレン排出路50を介して排気排水路54から排出される(図4参照)。
【0037】
第1圧縮空気供給工程S2により、ジャケット3内の残留蒸気を排出できると共に、ジャケット3および内釜2の冷却を図ることができる。制御手段10は、所定の時間、第1圧縮空気供給工程S2を実行した後、圧縮空気供給弁61を閉じることで、次工程へと移行する。
【0038】
<第1冷却工程S3>
第1冷却工程S3では、制御手段10は、冷却水循環手段7によりジャケット3内に冷却水を供給して、内釜2内の食品を冷却する。具体的には、制御手段10は、給蒸弁41及び圧縮空気供給弁61を閉じた状態で冷却水供給弁71を開くことで、往水路70を介してチラー100からの冷却水をジャケット3内に供給する。また、制御手段10は、ドレン弁52を閉じ、冷却水出口弁81を開くとともに、排水切替弁53をチラー100へ戻す側に設定する。これにより、ジャケット3内へ供給された冷却水は、復水路80を介してチラー100の冷水タンク103へと戻される。これにより、チラー100の冷水タンク103とジャケット3の間で冷却水が循環することになる。
【0039】
加えて、第1冷却工程S3では、制御手段10は、バイパス路90のバイパス弁91を開くよう制御する。これにより、往水路70を流通する冷却水の一部がバイパス路90を介して復水路80に設けられたミキシングバルブ84へと流通する。そして、ミキシングバルブ84により、加熱後のジャケット3を流通して高温となった復水に冷却水が混合され、所定温度Tの水としてチラー100の冷水タンク103に戻されることになる(図5参照)。
【0040】
なお、第1冷却工程S3の開始直後において、ミキシングバルブ84による冷却水の混合割合を最大にしてもチラー100へ戻す復水の温度が所定温度T(以下)にならないと判断される場合には、制御手段10は、内釜2の温度がある程度下がるまでの所定の時間、排水切替弁53を排水側に設定する(図6参照)。この際には、制御手段10は、バイパス路90のバイパス弁91は閉じておく。これにより、復水を高温のままチラー100へ戻さないようにして、復水路80及びチラー100の復水入口路106を保護することが可能となっている。
【0041】
制御手段10は、ミキシングバルブ84よりもジャケット3側に配置された第1温度センサ83が検知する復水の温度が所定温度Tを超過している限り第1冷却工程S3を継続し、復水の温度が所定温度T以下になると、次工程へ移行する。
【0042】
<第2冷却工程S4>
第2冷却工程S4では、制御手段10は、第1冷却工程S3と同様、冷却水循環手段7によりジャケット3内に冷却水を供給して、内釜2内の食品を冷却する。ただし、第2冷却工程S4では、制御手段10は、バイパス弁91を閉じることで、冷却水がバイパス路90を流通しないようにする。これにより、チラー100からの冷却水は、全てジャケット3内へ供給されることになる(図7参照)。
【0043】
なお、第1冷却工程S3及び第2冷却工程S4において、制御手段10は、第2温度センサ85が検知するチラー100に戻す復水の温度が所定温度Tになっていないかを常時監視している。そして、チラー100へ所定温度Tを超える温度の復水が戻されていると判断した場合には、制御手段10は、排水切替弁53を排水側に設定して復水を排水するか、冷却工程を停止するか、あるいは警告を発するようになっている。このような構成により、ミキシングバルブ84等に異常が生じたとしても、高温の水がチラー100へ流通することを防ぐことができ、チラー100の復水入口路106等の配管を保護することが可能となっている。
【0044】
<第2圧縮空気供給工程S5>
第2圧縮空気供給工程S5では、第1圧縮空気供給工程S2と同様、制御手段10は、圧縮空気供給手段6によりジャケット3内へ圧縮空気を供給する。具体的には、制御手段10は、給蒸弁41及び冷却水供給弁71を閉じた状態で圧縮空気供給弁61を開くことで、圧縮空気供給路60を介して圧縮空気源からの圧縮空気をジャケット3内に供給する。また、制御手段10は、ドレン弁52を開き、冷却水出口弁81を閉じるとともに、排水切替弁53を排水側に設定する。これにより、ジャケット3内へ供給された圧縮空気は、ドレン排出路50を介して排気排水路54から排出される(図4参照)。
【0045】
第2圧縮空気供給工程S5により、ジャケット3内の残留水を排出することができ、次回の加熱工程S1におけるウォータハンマの発生を防止することができる。なお、所定時間、第2圧縮空気供給工程S5を実行した後、制御手段10は、少なくとも圧縮空気供給弁61を閉じる。これにより、蒸気釜1による加熱及び冷却の一連の工程が終了する。
【0046】
3.作用効果
以上のように、本実施形態の蒸気釜1は、冷却水循環手段7が往水路70と復水路80をバイパスするバイパス路90を備え、ミキシングバルブ84を介してバイパス路90を流通するチラー100からの冷却水を復水路80を流通する復水に混合可能な構成となっている(第1冷却工程S3)。そして、ミキシングバルブ84による冷却水と復水の混合割合の調整により、チラー100(チラー100の冷水タンク103)に戻す復水の温度を所定温度(以下)とすることができる。本実施形態の蒸気釜1は、このような構成となっていることから、ジャケット3からの復水が高温であっても、当該復水が冷却水により冷却されるため、復水を排水することなく冷却水供給源へ戻す配管を保護することが可能となっている。このような構成は、食品を急速に冷却するよりも、チラー用水の使用量削減のメリットが大きい場合に、特に有効である。
【0047】
また、本実施形態の蒸気釜1は、復水の温度が低下した段階で実行される第2冷却工程S4では、冷却水を全てジャケット3に供給するようになっている。これにより、第2冷却工程S4において、第1冷却工程S3よりも冷却速度を早めることが可能になる。
【0048】
4.変形例
なお、本発明は、以下の態様でも実施可能である。
【0049】
上記実施形態では、復水に冷却水を混合し、復水の温度を所定温度以下とする混合手段はミキシングバルブ84であったが、復水の温度を所定温度以下とする混合手段はミキシングバルブ84に限られない。例えば、本発明に係る混合手段を、図8に示すように、復水路80におけるバイパス路90との接続位置よりもジャケット3側の位置に設けられた第1温度センサ83と、バイパス路90に設けられた開度調整が可能な調整弁としてのバイパス弁91とから構成することも可能である。具体的には、本変形例に係る制御手段10は、第1温度センサ83の温度に基づいてバイパス弁91の開度をフィードバック制御する。これにより、チラー100へ戻す復水に対する冷却水の混合割合を調整し、チラー100へ戻す復水の温度を所定温度(又は所定温度以下)に維持することが可能となっている。
【0050】
上記実施形態では、各種の弁の動作が制御手段10の制御により行われていたが、一部又は全部の弁の動作を手動で行うようにしても良い。
【0051】
上記実施形態において、内釜2は上部が開放された状態で加熱を行うものであった。しかしながら、本発明は、内釜2に蓋材を設け、内釜2内を減圧して加熱を行う真空釜に用いることも可能である。
【0052】
上記実施形態においては、第2温度センサ85の検知する復水の温度が所定温度T以上の場合には、排水切替弁53を排水側にして、全ての復水を排水していた。しかしながら、排水切替弁53を開度調整可能な調整弁とし、第2温度センサ85の検知する復水の温度に応じて、一部の復水を排水し、一部の復水をチラー100に戻す構成とすることも有効である。
【符号の説明】
【0053】
1 :蒸気釜
2 :内釜
3 :ジャケット
4 :給蒸手段
5 :ドレン排出手段
6 :圧縮空気供給手段
7 :冷却水循環手段
10 :制御手段
40 :給蒸路
41 :給蒸弁
50 :ドレン排出路
51 :スチームトラップ
52 :ドレン弁
53 :排水切替弁
54 :排気排水路
55 :逆止弁
60 :圧縮空気供給路
61 :圧縮空気供給弁
62 :逆止弁
70 :往水路
71 :冷却水供給弁
80 :復水路
81 :冷却水出口弁
82 :逆止弁
83 :第1温度センサ
84 :ミキシングバルブ(混合手段)
85 :第2温度センサ
90 :バイパス路
91 :バイパス弁
100 :チラー(冷却水供給源)
101 :冷凍機
102 :熱交換器
103 :冷水タンク
104 :冷却水ポンプ
105 :冷却水出口路
106 :復水入口路
S1 :加熱工程
S2 :第1圧縮空気供給工程
S3 :第1冷却工程
S4 :第2冷却工程
S5 :第2圧縮空気供給工程
T :所定温度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8