(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117328
(43)【公開日】2023-08-23
(54)【発明の名称】歩行式電動運搬車
(51)【国際特許分類】
B62B 3/00 20060101AFI20230816BHJP
B62D 51/04 20060101ALI20230816BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20230816BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20230816BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20230816BHJP
【FI】
B62B3/00 B
B62D51/04
B60K1/04 Z
H01M50/249
H01M50/244 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019979
(22)【出願日】2022-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000199979
【氏名又は名称】川上産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099357
【弁理士】
【氏名又は名称】日高 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100105418
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 聖
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雄也
(72)【発明者】
【氏名】望月 孝
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩司
(72)【発明者】
【氏名】横井 篤
(72)【発明者】
【氏名】畑 明子
(72)【発明者】
【氏名】門馬 啓介
【テーマコード(参考)】
3D050
3D235
5H040
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB03
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050KK02
3D050KK14
3D235AA28
3D235BB04
3D235BB05
3D235BB06
3D235BB17
3D235BB20
3D235CC15
3D235EE63
3D235HH61
5H040AA14
5H040AS06
5H040AY05
5H040CC13
5H040CC34
5H040CC38
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】荷物の衝突よる蓄電池の破損防止しながら、長時間の連続使用を可能とする歩行式電動運搬車を提供する。
【解決手段】蓄電池7は箱状の電池ケーシング3内に収容され、電池ケーシング3は車体本体部2に着脱自在に取り付けられており、電池ケーシング3は、内部における上部及び前部と蓄電池7の上面及び前面とがそれぞれ離間するように空間S2,S3を有して7蓄電池を保持している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が把持するハンドル部と、電力により車輪を駆動可能な駆動部とを備え、荷物が載置された台車に連結されて牽引またはプッシュバックを電動で行うことができ、前記駆動部と前記車輪とを備える車体本体部と、該車体本体部から上方に立ち上がり前記ハンドル部を上端に備える起立部と、前記駆動部に電力を供給する蓄電池とを備える歩行式電動運搬車であり、
前記蓄電池は箱状の電池ケーシング内に収容され、該電池ケーシングは前記車体本体部に着脱自在に取り付けられており、
前記電池ケーシングは、内部における上部及び前部と前記蓄電池の上面及び前面とがそれぞれ離間するように空間を有して前記蓄電池を保持していることを特徴とする歩行式電動運搬車。
【請求項2】
前記車体本体部は、前記駆動部が収容される筐体と、前記筐体に離間して周設される囲繞部とを備え、
前記電池ケーシングは、前記囲繞部に支持されているものであることを特徴とする請求項1に記載の歩行式電動運搬車。
【請求項3】
前記囲繞部の上方には、前記電池ケーシングの下部形状に沿う形状の載置板が取り付けられており、前記電池ケーシングは前記載置板と凹凸係合状態で支持されているものであることを特徴とする請求項2に記載の歩行式電動運搬車。
【請求項4】
前記電池ケーシングの背面側には、前記車体本体部の前記起立部を左右に跨ぐ案内凸条が左右に離間して形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の歩行式電動運搬車。
【請求項5】
前記電池ケーシングは、内部における両側部と前記蓄電池の両側面とがそれぞれ離間するように空間を有して前記蓄電池を保持していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の歩行式電動運搬車。
【請求項6】
前記電池ケーシングは、前板と後板と、前記前板と前記後板に挟まれる無端の筒状体により箱状に構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の歩行式電動運搬車。
【請求項7】
前記電池ケーシングの前板の前面上部には、曲成された溝部を有し、該溝部は左右方向の中央部が下方に凸となる形状であることを特徴とする請求項6に記載の歩行式電動運搬車。
【請求項8】
前記筒状体は、波型を成すことを特徴とする請求項6または7に記載の歩行式電動運搬車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者が操作することで台車を移動させる歩行式電動運搬車に関する。
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫、物流センタ等においては、部品や製品等の物品が積載されたカゴ台車等を作業者が押して所望の位置に移動させることが一般的に行われてきた。近年では、大容量バッテリーの小型化と低価格化に伴い、電動駆動手段により人力で行われてきた作業をサポートできる装置が急速に普及しており、物流等の分野でもカゴ台車を牽引またはプッシュバックできる電動運搬車が登場している(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に示される電動運搬車は、電力により車輪を駆動可能な駆動部を備える車体本体部と、車体本体部から上方に立ち上がり作業者が把持するハンドル部を上端に備える起立部と、駆動部に電力を供給する蓄電池とを備える歩行式電動運搬車である。作業者は車体本体部に設けられた係合部をカゴ台車等に係合させた状態で、ハンドル部に設けられたスロットルを操作することで、歩行式電動運搬車の走行に合わせて歩行するのみで車体本体部の走行によりカゴ台車を牽引またはプッシュバックして移動させることができ、物品搬送作業の人的負担を大幅に軽減することができる。
【0004】
歩行式電動運搬車に近似する構造を有するものとして、分野も使用用途も異なるものの、農作業で使用される歩行型管理機がある(例えば、特許文献2)。この歩行型管理機は、バッテリーパックを車体本体部から着脱自在に構成されており、残量が少ないバッテリーパックを取り外して、残量の多いバッテリーパックに付け替えることで、歩行型管理機を長時間連続使用することができる。作業者が歩行しながら操作する歩行式電動運搬車と歩行型管理機とに共通して、歩行の邪魔にならないように、起立部は車体本体部から斜め後方に立ち上がり、バッテリーは起立部の前部に支持される構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-23288号公報(第4頁、第2図)
【特許文献2】特開2005-348617号公報(第4頁、第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には特に記載はないものの、歩行式電動運搬車の多くは、バッテリーが車体本体部に固定された構造が採用されており、バッテリーの残量が少ない場合には、歩行式電動運搬車の本体ごと充電箇所に駐車させておく必要があり連続使用時間が短く、特許文献2のようにバッテリーパックを着脱自在とする技術の適用が好ましい。しかしながら、歩行式電動運搬車は、重量物を移動させる関係から荷崩れ等が発生し得る環境で利用されるため、起立部の前部に支持されるバッテリーに荷物が衝突し、破損してしまう虞があった。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、荷物の衝突よる蓄電池の破損防止しながら、長時間の連続使用を可能とする歩行式電動運搬車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の歩行式電動運搬車は、
作業者が把持するハンドル部と、電力により車輪を駆動可能な駆動部とを備え、荷物が載置された台車に連結されて牽引またはプッシュバックを電動で行うことができ、前記駆動部と前記車輪とを備える車体本体部と、該車体本体部から上方に立ち上がり前記ハンドル部を上端に備える起立部と、前記駆動部に電力を供給する蓄電池とを備える歩行式電動運搬車であり、
前記蓄電池は箱状の電池ケーシング内に収容され、該電池ケーシングは前記車体本体部に着脱自在に取り付けられており、
前記電池ケーシングは、内部における上部及び前部と前記蓄電池の上面及び前面とがそれぞれ離間するように空間を有して前記蓄電池を保持していることを特徴としている。
この特徴によれば、蓄電池が収容される電池ケーシングが車体本体部に着脱自在に取り付けられるため、電池切れや経年劣化による蓄電池の交換を容易に行うことができ、例えば残量が少ない蓄電池を収容した電池ケーシングを取り外して、残量の多い蓄電池を収容した電池ケーシングに付け替えることで、歩行式電動運搬車を長時間連続使用することができる。また、荷崩れが発生した場合等においては荷物の衝突による破損で蓄電池からの発火などの重大な事故を招く虞があるが、蓄電池は電池ケーシングの内部に上面及び前面がそれぞれ離間するように空間を有して保持されるため、荷物の衝突に対する耐衝撃性が高められ、破損を効果的に防止することができる。
【0009】
前記車体本体部は、前記駆動部が収容される筐体と、前記筐体に離間して周設される囲繞部とを備え、
前記電池ケーシングは、前記囲繞部に支持されていることを特徴としている。
この特徴によれば、荷物の衝突時などに電池ケーシングに掛かる負荷は囲繞部の弾性変形により緩衝され、電池ケーシング自体の破損をより防止できる。
【0010】
前記囲繞部の上方には、前記電池ケーシングの下部形状に沿う形状の載置板が取り付けられており、前記電池ケーシングは前記載置板と凹凸係合状態で支持されていることを特徴としている。
この特徴によれば、電池ケーシングと載置板との水平方向の相対移動が規制され、電池ケーシングの脱落を防止できるとともに、車体本体部の定位置に常に電池ケーシングを取り付けることができる。
【0011】
前記電池ケーシングの背面側には、前記車体本体部の前記起立部を左右に跨ぐ案内凸条が左右に離間して形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、電池ケーシングの車体本体部に対する左右方向の揺動を防止できるとともに、取り付け時には案内凸条が起立部に案内されることで、電池ケーシングを車体本体部の定位置に誘導することができる。
【0012】
前記電池ケーシングは、内部における両側部と前記蓄電池の両側面とがそれぞれ離間するように空間を有して前記蓄電池を保持していることを特徴としている。
この特徴によれば、電池ケーシングにかかる外力の方向に関わらず蓄電池への影響を軽減することができ、耐衝撃性を高めることができる。
【0013】
前記電池ケーシングは、前板と後板と、前記前板と前記後板に挟まれる無端の筒状体により箱状に構成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、筒状体が前後方向の荷重に対して高い強度を得ることができる。
【0014】
前記電池ケーシングの前板の前面上部には、曲成された溝部を有し、該溝部は左右方向の中央部が下方に凸となる形状であることを特徴としている。
この特徴によれば、荷物の衝突時などに電池ケーシングに掛かる負荷は溝部を起点とした前板の弾性変形により緩衝され、電池ケーシング自体の破損をより防止できる。
【0015】
前記筒状体は、波型を成すことを特徴としている。
この特徴によれば、前板と筒状体との接触面積を増やして、前板にかかる外力を筒状体に伝達しやすく、電池ケーシングの耐衝撃性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例に係る歩行式電動運搬車を示す斜視図である。
【
図3】電池ケーシングを鎖線で表現した歩行式電動運搬車の斜視図である。
【
図4】電池ケーシングと手前側の車輪の図示を省略した歩行式電動運搬車の側面図である。
【
図6】前板の図示を省略した電池ケーシングの正面図である。
【
図7】電池ケーシングと載置板との関係を示す正面図である。
【
図8】電池ケーシングと載置板との関係を示す斜視図である。
【
図9】電池ケーシングの背面側を示す斜視図である。
【
図10】起立部のつまみネジと電池ケーシングのフックとが係合する態様を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る歩行式電動運搬車を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0018】
実施例に係る歩行式電動運搬車につき、
図1から
図10を参照して説明する。以下、
図2の紙面右側を歩行式電動運搬車の前方側とし、
図2の紙面左側を歩行式電動運搬車の後方側として説明する。
【0019】
図1に示されるように、歩行式電動運搬車(以下、単に「運搬車」という。)1は、工場や倉庫、物流センタ等において、床面を走行してカゴ台車10(台車)の運搬を行う際に利用される。本実施例におけるカゴ台車10は、平面視矩形を成し物品を積載可能な底板11と、該底板11の3辺に沿って立設する格子状のパネル12と、下端の前後端にそれぞれ設けられるキャスタ13と、から構成されており、パネル12が立設しない1辺から積載される物品を出し入れ可能となっている。
【0020】
運搬車1は、連結具14を用いてカゴ台車10に連結されて用いられる。連結具14は、運搬車1における車体本体部2の前面側に延設された連結バー15と、連結バー15の前端にて上方に立設された連結軸15aと、連結軸15aに回動可能に一方端が軸支されたアーム16,16とからなり、アーム16,16の他方端の鈎部がカゴ台車10の進行方向後方に係合されて運搬車1とカゴ台車10とが連結されている。尚、連結具14は
図2以降では図示を省略する。
【0021】
図2に示されるように、運搬車1は、床面を走行可能な車体本体部2と、車体本体部2から斜め後方に伸びる起立部4と、車体本体部2の上方かつ起立部4の前方に設置される電池ケーシング3と、から主に構成されている。
【0022】
車体本体部2には、車体本体部2の前方の左右に駆動車輪32が2つ設けられ、車体本体部2の後方に左右にキャスタ33が2つ設けられている。
【0023】
図3及び
図4に示されるように、車体本体部2は、金属製箱状の筐体21と、筐体21を縦方向に取り囲むように金属板を屈曲させて構成された囲繞部22と、筐体21の後方に伸びる平板部23と、を有している。平板部23は金属板により囲繞部22と一体に構成されている。また、ここでは図示しないが、筐体21には駆動車輪32を駆動させる駆動手段である駆動モータ、シャフト、制御基板が内蔵されている。
【0024】
起立部4は下端が平板部23に溶接固定されており、上端にはハンドル部41が設けられている。作業者はハンドル部41を把持した状態で、ここでは詳述しないがハンドル部41に設けられたスロットルを操作することで、駆動車輪32を駆動させ、運搬車1の走行に合わせて自身が歩行することで、カゴ台車10を極小さな力で運搬することができる。また、起立部4の上方部には、後述するつまみネジ6が螺合している。
【0025】
図4に示されるように囲繞部22は、起立部4に対して溶接固定され、筐体21の上部、下部、前部にそれぞれ離間して周設されている。また、囲繞部22の上面部22aは、起立部4と垂直を成し、この上面部22aには後述する載置板5が固定されている。
【0026】
図5に示されるように、駆動モータに電力を供給する蓄電池7は、箱状の電池ケーシング3内に収容されている。電池ケーシング3は、前板34と後板35と、これら前板34と後板35に前後に挟まれる無端の筒状体36により箱状に構成されている。これら前板34と後板35と筒状体36は弾性を有する合成樹脂により形成されている。
【0027】
電池ケーシング3の後板35の背面部35aには、貫通孔35bが形成されており、電池ケーシング3の外部にて車体本体部2から伸びる電源ケーブルのコネクタ40bが、貫通孔35bを挿通されて電池ケーシング3内部の蓄電池7のコネクタ(図示略)に接続される(
図9参照)。
【0028】
図5と
図6に示されるように、電池ケーシング3は、上下方向の中央部に左右幅を有し、上部と下部の左右幅が中央部に比べて小さく形成されている。筒状体36は、内側に凹む凹部36aが左右両側にそれぞれ上下に形成され、全体に波型を成している。凹部36aは、上下面が平行に形成されており、凹部36aにコ字状のベース部材37が上下面に固着されている。
【0029】
ベース部材37は全ての凹部36aの前後端部にそれぞれ固定されており、前後に貫通する孔部が形成されている。前板34と後板35には、これら孔部と対応する位置に孔を有し、前後方向からネジ50を締結することで、前板34と後板35と筒状体36とが一体に固定されるようになっている。
【0030】
筒状体36の上下の内側面には、コ字状の強度材38の上下の外側面がそれぞれ固定されている。強度材38の背面部38aの外面は後板35の内面に当接され、背面部38aの内面には複数のゴム足(図示略)が取り付けてあり、筒状体36の内側に設置された蓄電池7のガタツキを防止し、強度材38に傾斜して凭れかかる蓄電池7に運搬車1の走行時における振動が作用しにくくなっている。
【0031】
また、
図5及び
図6に示されるように、筒状体36の上面部36bには外方から視認できるディスプレイ40が取り付けてあり、このディスプレイ40に蓄電池7の電池残量や充電時等のステータス情報を表示させる電子装置46が筒状体36の内側に配置されている。詳しくは、電子装置46は、筒状体36の内側の上方側に固定された板体39と筒状体36の上面部36bとの間の空間に配置されている。
【0032】
上記したように、蓄電池7が収容される電池ケーシング3が車体本体部2に着脱自在に取り付けられるため、電池切れや経年劣化による蓄電池7の交換を容易に行うことができ、例えば残量が少ない蓄電池7を収容した電池ケーシング3を取り外して、残量の多い蓄電池7を収容した電池ケーシング3に付け替えることで、運搬車1を長時間連続使用することができる。
【0033】
また、電池ケーシング3の上下の凹部36aは、その内側部36cの左右位置が上下で一致しており、蓄電池7は筒状体36の凹部36a同士の間に配置されて、左右方向の移動が規制されるようになっている。換言すると、筒状体36における左右両側部の凹部36a以外の箇所は蓄電池7の左右両側部と離間し、これらの間に空間S1が形成されるため、荷崩れの発生等に起因する電池ケーシング3への荷物の衝突等において、蓄電池7に直接外力が作用せず、耐衝撃性に優れる。
【0034】
また、筒状体36の内側の前方には左右の凹部36a間にガード部材42がそれぞれ架設されており、蓄電池7は強度材38とガード部材42との間で前後方向の移動が規制されるようになっている。電池ケーシング3の前面部を構成する前板34は、前方に膨出する形状であり、蓄電池7の前面はガード部材42に保持されて前板34と離間し、これらの間に空間S3(
図2参照)が形成されるため、荷物の衝突等において、蓄電池7に直接外力が作用せず、耐衝撃性に優れる。
【0035】
また、蓄電池7は筒状体36内部上方の板体39と筒状体36の下面部36d及び強度材38の下面部38d(
図5参照)との間で上下方向の移動が規制されるようになっている。換言すると、蓄電池7の上部と筒状体36の上面部36bとが離間しており、板体39と筒状体36の上面部36bとの間に空間S2(
図2及び
図6参照)が存在することから、荷物の衝突等において、蓄電池7に直接外力が作用せず、耐衝撃性に優れる。
【0036】
また、電池ケーシング3の前板34の外面34aにおける上部には、左右方向の中央部が下方に凸になるように曲成された溝部43が形成されており、この溝部43を挟んで前板34の上下が弾性変形しやすくなっている。そのため、荷崩れ時の荷物の衝突の可能性の高い電池ケーシング3の前方上部が弾性変形できることで、衝撃が緩衝され、電池ケーシング3並びに内部の蓄電池7の破損を効果的に防止することができる。
【0037】
図7(b)に示されるように、電池ケーシング3は、車体本体部2の載置板5上に載置されて保持されるようになっている。載置板5は、左右端部に上方に突出する凸部5aを有する正面視凹形状であり、電池ケーシング3の下端部は幅狭となる凸形状であり、これら載置板5と電池ケーシング3の下端部とが凹凸係合することで、電池ケーシング3の左右方向への移動が規制されている。また、載置板5の左右端部の凸部5aがテーパを有し、電池ケーシング3の下端部、すなわち筒状体36の下面部36dの左右には対応する傾斜面36eを有していることから、比較的重量のある電池ケーシング3を載置板5に載置する際に、相対的に正確な位置に案内され、作業性に優れる。
【0038】
図8(a)に示されるように、電池ケーシング3の下端部、すなわち筒状体36の下面部36dの四隅には、電池ケーシング3を直接床などに載置する際に接地する樹脂製の足部44が設けられている。また、載置板5には足部44が上方からそれぞれ係合する孔5bが設けられており、足部44が孔5bに係合することで、電池ケーシング3の前後左右への移動が規制されている。
【0039】
また、
図9に示されるように、電池ケーシング3の後板35の背面部35aには、上下方向に伸びる案内凸条45が左右に離間して膨出形成されている。これら案内凸条45は起立部4の左右側面にそれぞれ対向して配置され、電池ケーシング3の起立部4に対する左右方向への移動が規制される。
【0040】
また、
図5及び
図9に示されるように、強度材38の背面側には、下向きのフック38bが左右に離間して延設されており、これらフック38bは、電池ケーシング3の後板35に形成されたスリット35cから電池ケーシング3の外部に露出している。
【0041】
図10に示されるように、起立部4の上方部の左右側面には、つまみネジ6がそれぞれ螺合しており、電池ケーシング3を載置板5に載置させるに伴い、つまみネジ6のネジ胴部(図示略)にフック38bを上方から係合されることで、電池ケーシング3の前方向への移動が規制される。加えて、つまみネジ6はネジ胴部よりも太径部を頭部側に有する段付きになっており、フック38bが係合された状態でつまみネジ6を締め込むことで、つまみネジ6の太径部と起立部4の左右側面との間で板状のフック38bが挟持され、電池ケーシング3の上方向への移動が抑制される。
【0042】
また、蓄電池7と車体本体部2とは、電源ケーブルによって接続される構成であることから、荷物の衝突時などにより電池ケーシング3が万一、車体本体部2と相対移動してしまった場合であっても、蓄電池7と車体本体部2との間で故障を伴う断線が生じにくい。
【0043】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0044】
例えば、運搬車1により搬送される台車は、カゴ台車に限らず、例えば車輪さえあれば平台車や手押し台車、コンテナ等であってもよい。
【0045】
また、前記実施例では、電池ケーシング3が前板34、後板35、筒状体36とから主に構成され、ネジ50を外すことで内部の蓄電池7にアクセスでき、メンテナンス性に優れるものの、これに限らず、電池ケーシングを一体の合成樹脂や金属製の箱で形成してもよい。
【0046】
また、前記実施例では、載置板5は、左右端部に上方に突出する凸部5aを有する正面視凹形状であり、電池ケーシング3の下端部は幅狭となる凸形状であり、これら載置板5と電池ケーシング3の下端部とが凹凸係合する構成で説明したが、これに限らず、載置板側の形状を正面視凸形状とし、電池ケーシング3の下端部を凹形状としてもよい。
【0047】
また、筒状体36は複数の板体同士を固着して無端状を成しても良い。
【0048】
また、前記実施例では、蓄電池7は筒状体36内部上方の板体39と筒状体36の下面部36d及び強度材38の下面部38d(
図5参照)との間で上下方向の移動が規制される構成で説明したが、これに限らず、例えば板体39に代えて筒状体36の上方に下方に向け突出するハット状の部材を固定し、このハット状の部材で上方向の移動を規制する構成でもよい。
【0049】
また、電池ケーシング3の内部における蓄電池7の前方の空間S3、上方の空間S2、左右の空間S1は、上述した構成に限らず、電池ケーシング3の内側に空間S3、S2、S1が形成されるように、蓄電池7の前方、上方、左右への移動がそれぞれ規制される構成であれば、どのような構成であってもよい。例えば、電池ケーシング3の左右両内面にそれぞれ左右内側に向けて突出するガード部材を取り付けることで蓄電池7の左右両端が筒状体の左右両内面と離間し、これらの間にS1を形成することもできる。
【0050】
また、電池ケーシング3の上方向への移動を抑制する構成としては、前記実施例のようにつまみネジ6とフック38bとを用いた構成に限らず、例えば、電池ケーシング3の上部に凹部を形成し、起立部4にこの凹部に係合する爪部材を設ける構成であってもよい。
【0051】
また、電池ケーシング3の上方向への移動を抑制する構成として、例えば起立部4に上向きの爪部を設け、電池ケーシング3の上部にこの爪部に係合するフック部を設け、これら爪部とフック部とで構成される、いわゆるパッチン錠を用いてもよい。
【0052】
また、電池ケーシング3の上方向への移動を抑制する構成として、例えば起立部4に凹部を設け、電池ケーシング3の上部にこの凹部に係合するフック部を設け、フック部が不正手段により上方に付勢される構成としてもよい。
【0053】
また、電池ケーシング3の起立部4に対する左右方向への移動を規制する構成としては、前記実施例のように載置板5の左右端部に上方に突出する凸部5aを形成し、載置板5と電池ケーシング3の下端部とを凹凸係合させる構造に限られるものではない。例えば、電池ケーシング3の左右に上下に延びる凹溝を形成し、載置板5の左右端部に上方に起立するバー部を形成し、凹溝を上方からバー部に係合させる構成とすることで、左右方向に加えて前後方向への移動も規制することができる。
【0054】
また、電池ケーシング3の正面側前方に上下に延びる凹溝を形成し、載置板5の正面側に上方に起立するガード部を形成し、凹溝を上方からガード部材に係合させる構成とすることで、左右方向に加えて前後方向への移動も規制することができる。尚、電池ケーシング3の正面側に加え背面側にも凹溝を形成し、載置板5の正面側と背面側にガード部を形成して、前後で電池ケーシング3が挟まれる構成としてもよいし、ガード部にボールプランジャを設け、凹溝側にボールプランジャが係合する凹部を設けて、電池ケーシング3の上下方向の移動を抑制する機能を付加してもよい。
【0055】
また、電池ケーシング3の底部にスリット状の穴部を形成し、載置板5に上方に起立する板部を形成し、穴部を上方から板部に挿入させる構成とすることで、左右方向に加えて前後方向への移動も規制することができる。
【0056】
また、電池ケーシング3の下端部と載置板5の上面とを磁着可能な構成とすることで、電池ケーシング3の上下方向の移動を抑制する機能を付加してもよい。