(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117332
(43)【公開日】2023-08-23
(54)【発明の名称】冊子体
(51)【国際特許分類】
B42D 3/14 20060101AFI20230816BHJP
【FI】
B42D3/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019991
(22)【出願日】2022-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】318001201
【氏名又は名称】山田 香織
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(72)【発明者】
【氏名】山田 香織
(57)【要約】 (修正有)
【課題】両手を効率よく使った情報の検索が可能で、多様な形式の情報の配置・検索を可能とする冊子体の提供。
【解決手段】課題は、複数の紙葉から形成される冊子体であって、この冊子体は、第1のコアページ、及びこれに連続する第2のコアページを有し、これら第1及び第2のコアページは、見開き状態において、冊子体内に記載される情報の総括情報を一覧提示する目次ページを形成し、第1及び第2のコアページの少なくとも一方の小口箇所に、当該コアページにアクセスするためのコアインデックスが設けられ、第1のコアページの後方に存在する複数のインデックスページの各小口箇所に第1のインデックス部が設けられ、第2のコアページの後方に存在する複数のインデックスページの各小口箇所に第2のインデックス部が設けられ、これら第1のインデックス部、及び第2のインデックス部が、天地方向における異なる高さに設けられていることにより解決される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の紙葉から形成される冊子体であって、
この冊子体は、冊子体の中程に第1のコアページ、及びこれに連続する第2のコアページを有し、
これら第1及び第2のコアページは、見開き状態において、冊子体内に記載される情報の総括情報を一覧提示する目次ページを形成し、
第1及び第2のコアページの少なくとも一方の小口箇所に、当該コアページにアクセスするためのコアインデックスが設けられ、
第1のコアページの後方に存在する一又は複数のインデックスページの各小口箇所に第1のインデックス部が設けられ、
第2のコアページの後方に存在する一又は複数のインデックスページの各小口箇所に第2のインデックス部が設けられ、
これら第1のインデックス部、及び第2のインデックス部が、天地方向における異なる高さに設けられていることを特徴とする冊子体。
【請求項2】
第1及び第2のインデックス部のうち、一方のインデックス部が、後方ページに向かうにつれて、冊子体の天側から地側へとずらされて配置され、他方のインデックス部が、後方ページに向かうにつれて地側から天側にずらされて配置されているか、又は、第1及び第2のインデックス部の双方のインデックス部が、後方ページに向かうにつれて地側から天側にずらされて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の冊子体。
【請求項3】
表紙、又は裏表紙のうち、コアインデックスが設けられているコアページと反対側に位置する方に、当該コアインデックスへのアクセス手段としてのショートカット部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の冊子体。
【請求項4】
綴じ部からインデックスページの小口部までの幅、又は綴じ部からインデックス部最外端部までの幅が、コアページから後方ページに向かうにつれて幅広となるよう形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の冊子体。
【請求項5】
第1及び第2のコアページの後方に、第3及び第4のコアページが設けられており、第1及び第2のコアページに、これら第3及び第4のコアページへのアクセス手段としてのショートカット部が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の冊子体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の紙葉から形成される冊子体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多様な種類の冊子体が製本され流通している。そして、それら冊子体は書籍、テキスト、問題集、マニュアル、ガイドブック、(レストランなどの)メニュー表、ノートブック、手帳などとして多様な態様で用いられている。しかし、その使用にあたっては、左右どちらかの面に存在する表紙から、他方の面に存在する裏表紙に向かってページをめくり進めていく、いわば片開きの形式で使用されるものばかりである。
【0003】
冊子体の中には、その内部に、いわゆる目次ページと呼ばれるページが存在しているものも多い。目次ページは、その冊子体の内容を体系的に表し、どのページのどの内容が記載されるかを一覧的に表すページである。このような目次ページは、通常、表紙直近のいわゆる巻頭ページといわれる領域に配置され、使用者は、表紙からまずこの目次ページにアクセスし、そこから裏表紙に向かってページをめくり進めていく。
【0004】
このような方式では、使用者は、情報の取得、整理・知識化、記憶、思考といった行動を効率的に行うことができない。冊子体の構造が単純な片開き構造であることに起因して、その内部の情報は、単純に表紙から裏表紙へと一方向へと進行するものであるため、その全体像、全体と部分の関連性などを俯瞰的にバランス良く把握することが困難であり、知識を習得しながら思考を巡らせ理解を深めるといったことが困難だからである。
【0005】
また、このような片開き構造の冊子体は、その記載内容の記憶・理解を効率よく行うための教材・ツールとしての使用に適していない。その構造上、巻頭ページから巻末ページへと学習をすすめたのち、巻末ページから巻頭ページへの再度の体勢の建て直しという不便さは回避不可能であり、その際、巻頭ページを探し当てるのも不便さを伴うからである。
【0006】
また、片開き構造の冊子体は、飲食店等で使用するメニューに使用するのにも必ずしも適していない。その構造が、両手を効率良く使った内容情報の検索に最適化されていないからである。
【0007】
さらには片開き構造の冊子体は、建築物などの館内ガイドブックとして使用するにも最適とは言えない。内容情報を、その建築物の構造と合致させることが困難であり、使用者に直感的に情報を伝達する構造となっていないからである。
【0008】
冊子体として、特許文献1に記載のようなスケジュール帳も存在するが、このスケジュール帳もまた片開き構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明の課題は、上述した問題点を克服し、情報の取得、整理・知識化、記憶の作業を効率よく行うことができ、目的とする各ページ間を自在に効率よく移動可能であり、両手を効率よく使った情報の検索が可能で、多様な形式の情報の配置・検索を可能とする冊子体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、複数の紙葉から形成される冊子体であって、この冊子体が、冊子体の中程に第1のコアページ、及びこれに連続する第2のコアページを有し、これら第1及び第2のコアページは、見開き状態において、冊子体内に記載される情報の総括情報を一覧提示する目次ページを形成し、第1及び第2のコアページの少なくとも一方の小口箇所に、当該コアページにアクセスするためのコアインデックスが設けられ、第1のコアページの後方に存在する一又は複数のインデックスページの各小口箇所に第1のインデックス部が設けられ、第2のコアページの後方に存在する一又は複数のインデックスページの各小口箇所に第2のインデックス部が設けられ、これら第1のインデックス部、及び第2のインデックス部が、天地方向における異なる高さに設けられている冊子体により解決される。目次ページが巻頭ページではなく巻中ページに存在し、インデックスページが目次ページの左右に略均等に振り分けられていることにより両手を使いバランス良く冊子体を使用することが可能となる。冊子体内の情報は目次ページの左右にバランス良く配置され、細部情報はそこからインデックス部を通じてインデックスページへと分配されているので、全体像を短時間で俯瞰することが可能となるとともに、細部情報へのアクセス、情報の理解も容易となる。
【0012】
別の実施形では、第1及び第2のインデックス部のうち、一方のインデックス部が、後方ページに向かうにつれて、冊子体の天側から地側へとずらされて配置され、他方のインデックス部が、後方ページに向かうにつれて地側から天側にずらされて配置されているか、又は、第1及び第2のインデックス部の双方のインデックス部が、後方ページに向かうにつれて地側から天側にずらされて配置されている。これにより、冊子体の立体的形状と冊子体内の情報体系が連動し、冊子体の使用時に視覚的感覚、触覚的感覚が連動する。結果、情報の取得、整理、記憶といった作業が、使用者の視覚のみならずこれと連動した触覚の作用により促進される。
【0013】
別の実施形では、表紙、又は裏表紙のうち、コアインデックスが設けられているコアページと反対側に位置する方に、当該コアインデックスへのアクセス手段としてのショートカット部が設けられている。ショートカット部、コアインデックスの相互作用により目次ページへのアクセス性が著しく向上する。
【0014】
別の実施形では、綴じ部からインデックスページの小口部までの幅、又は綴じ部からインデックス部までの幅が、コアページから後方ページに向かうにつれて幅広となるよう形成されている。これによってコアページから、その後方に配置されるインデックスページへのアクセス性の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明にかかる冊子体の正面図及び部分拡大図
【
図4】使用例における開かれたインデックスページの図
【
図14】コアインデックス及びインデックスページの変形例
【
図15】コアインデックス及びインデックスページの別の変形例
【
図17】コアインデックス及びインデックスページの別の変形例の図
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施例1]
図1に、本発明にかかる冊子体の正面図及びその部分拡大図を示す。冊子体は閉じられた状態である。正面図に見て取れるように、冊子体は、冊子体本体1,小口部2、表紙3,裏表紙4を有している。この実施形においては、表紙3と裏表紙4は、綴じ部13において折り綴じによって綴じられている。表紙3と裏表紙4の間には冊子体の内部ページ(コアページ、インデックスページ、フリーページ)が存在しているが、これら内部ページの構成については後述する。
【0017】
表紙には、ショートカット部5が設けられている。ショートカット部5は、この実施形においては、表紙の右上部分の一部を切除した切り欠き部として形成されている。
図1の部分拡大図に見て取れるように、ショートカット部5の位置及びサイズは、ちょうどその後方に後述するコアインデックス6Aが存在するよう構成されている。これによって、冊子体の使用者は、表紙をめくることなくコアインデックス6Aにアクセスし、これを指先で押さえ、後述するコアページ(第1のコアページ7、目次ページ)を開くことが可能となる。つまりショートカット部5及びコアインデックス6Aはコアページへのアクセス手段として機能する。
図1の部分拡大図中には、第2のコアページ8が存在することも表されている。これら第1及び第2のコアページについては後述する。
【0018】
図2は、本発明にかかる冊子体の斜視図を示す。冊子体は開かれた状態である。当該冊子体の開かれた状態の最前面(図において最も手前側の面)には、第1及び第2のコアページ7,8が存在しているのが見て取れる。第1及び第2のコアページ7,8は、綴じ部13により綴じられている。
【0019】
このような開かれた状態の冊子体の最前面右側に存在している第1のコアページ7の小口部2には、コアインデックス6Aが設けられている。コアインデックス6Aは、小口部2の最上部に設けられている。
図1と関連して説明したように、
図2の冊子体の状態は、ショートカット部5及び当該コアインデックス6Aを使って第1及び第2のコアページ7,8によって形成される目次ページを開いたものである。
【0020】
図2には、第1のコアページ7の後方に第1のインデックスページ部9が存在しているのが見て取れる。第1のインデックスページ部9は、複数のインデックスページを含んでいることが可能である。この例では、5頁のインデックスページが設けられている。インデックスページの頁数はこの数量に限定されない。各インデックスページは、それぞれインデックス部(第1のインデックス部)31Aー35Aを有している。つまり
図2の例では第1インデックスページ部9には、5つの第1のインデックス部31Aー35Aが設けられている。
【0021】
第1のインデックス部31Aー35Aは、前方ページ、つまり第1のコアページ7に近いインデックスページ部9に設けられるものほど冊子体の天側15近くに設けられている。よってコアページ7直後に配置されるインデックスページのインデックス部31Aは、コアインデックス6A直近に設けられ、以後、後方のインデックスページのものほど冊子体の地側16に近づくように設けられている。
【0022】
この実施形においては、第1のインデックス部31Aー35Aの上辺は小口部に対して略直角に形成されている。これに対して第1のインデックス部31Aー35Aの下辺は小口部に対して傾斜した角度を有して形成されていることが可能である。もちろんインデックス部の形状はこれに限定されない。例えば直線による形成だけでなく曲線的に形成されるインデックス部も考えられる。
【0023】
図2にはさらに、本発明にかかる冊子体がフリーページ部11(第1のフリーページ部11)を有することが表されている。フリーページ部11は、複数のフリーページを含むことが可能である。フリーページ部は、インデックスページ部9の後方に設けられている。これらフリーページ部は、コアページ、インデックスページ部と異なり、インデックス部を有していない。
【0024】
図2に見てとれるように、第1のコアページ7には、これに連続して第2のコアページ8が綴じ部13によって接続されている。これによって第1のコアページ7、及び第2のコアページ8は目次ページを形成する。
【0025】
第2のコアページ8の後方(下方)には、第2のインデックスページ部10が設けられている。この例では、第2のインデックスページ部10は、5枚のインデックスページから成っているのが見て取れる。インデックスページの頁数はこの数量に限定されない。各インデックスページには、インデックス部(第2のインデックス部)41Aー45Aが設けられている。つまり、この例では計5つのインデックスが設けられている。
【0026】
第2のインデックス部41Aー45Aは、前方ページ、つまり第2のコアページ8に近いインデックスページ10に設けられるものほど冊子体の地側16近くに設けられている。よってコアページ8直後に配置されるインデックスページ10のインデックス部41Aは、地側16直近に設けられ、以後、後方のインデックスページのものほど冊子体の天側15に近づくように設けられている。
【0027】
この実施形においては、第2のインデックス部41Aー45Aの下辺は小口部に対して略直角に形成されている。これに対して第2のインデックス部41Aー45Aの上辺は小口部に対して傾斜した角度を有して形成されていることが可能である。もちろんインデックス部の形状はこれに限定されない。例えば直線による形成だけでなく曲線的に形成されるインデックス部も考えられる。
【0028】
図2にはさらに、本発明にかかる冊子体がフリーページ部12(第2のフリーページ部12)を有することが表されている。フリーページ部12は、複数のフリーページを含むことが可能である。これらフリーページ部12は第2のインデックスページ部10の後方に設けられている。フリーページ部12は、第2のコアページ8、インデックスページ部10と異なり、インデックス部を有していない。
【0029】
図2に更に見て取れるように、第2のフリーページ部12には、ショートカット部5が形成されている。このショートカット部5は、表紙3に設けられるショートカット部5と同様の形状・機能を有する。つまり、このショートカット部5は、使用者がコアインデックス6Aにアクセスすることを可能とするよう形成されている。
【0030】
このような冊子体の使用方法の例を
図3に示す。
図3の使用例は、本発明にかかる冊子体を用いた英語教材である。冊子体の使用者は、まず上述したショートカット部5及びコアインデックス6Aを使用して、当該目次ページを開く。目次ページは、上述したとおり第1及び第2のコアページ7,8により形成されるものである。
【0031】
開かれた目次ページには、この冊子体で取り扱われている内容の中心テーマが記載されている。この例においては、中央の円の中に記載される質問「How are you?(調子はいかがですか?)」とそれに対する回答のバリエーション、つまりこの場合「調子が良いときの返事」のバリエーションが、この目次ページに表されている。
【0032】
「調子が良いときの返事」の各バリエーション(Fantastic、Wonderfulなど)は、目次ページの右側及び左側の側部の領域、つまり第1及び第2のインデックス部31A-36A、41A-46Aの近傍に記載されている。これらバリエーションの配置は工夫されており、つまり、右上に記載されるFantasticが最も調子が良いときの返事のバリエーションとして記載され、ここから出発して、時計回りに段階的に調子の良さが減少するよう、その配置が工夫されている。つまり、時計回りに見て最後の位置にあたる左上(12と記載されているインデックス部の隣)のNot too badは、最高ランクからは落ちた調子のバリエーションの回答となっている。
【0033】
例えば、冊子体(英語教材)の使用者が「How are you?」の質問に対する回答として、「Fantastic」と回答したいと考え、その用法を確認したい場合、「Fantastic」の記載の横に位置するインデックス部を指で押さえページをめくり、これに該当するインデックスページを開く。これにより冊子体は、
図4の状態となる。開かれたインデックスページには
図4のごとく「Fantastic」の用法、発音、要点等がまとめて説明されている。この例では、左側ページが発音トレーニング用のページとして、右側ページが使用上の注意点、会話例などを含む理解用のページとして構成されている。
【0034】
本発明にかかる冊子体(英語教材)は、使用者が続いてインデックス部32A、33A、34Aと、段階的に順番にインデックス部を指で押さえページをめくり、情報を見ていけるよう構成されている。これらページも、上述した「Fantastic」のページと同様のレイアウト・構成で記載されていることが可能である。
【0035】
図5は、右側のインデックス部(第1のインデックス部)31A―36Aの最も下のインデックス部36Aに相当するインデックスページが開かれた状態の図である。この状態から使用者は、第2のインデックス部41Aー46Aの使用を開始する。つまり、第2のインデックス部41Aー46Aの最も地側16に位置するインデックス部41Aを指で押さえページをめくる。
【0036】
これにより、冊子体は
図6aの状態となり、以後、使用者は第2のインデックス部41Aー46Aを順に天側へと移動するようページをめくっていく。これらページも、上述した「Fantastic」のページと同様のレイアウト・構成で記載されていることが可能である。このように第2のインデックス部41A―46Aを順次進んでいくと最終的に
図6bの状態となる。ここで使用者は、再度、右側に位置する第1のインデックス部にもどり学習を継続することが可能となる。
【0037】
[実施例2]
図7に本発明にかかる冊子体の第2の実施例を示す。
図7の実施例における構成は、
図1ー6の実施例と基本的に同様であるが、インデックス部の構成が異なっている。つまり
図1の構成においては、第1コアページ7の後方に設けられる第1のインデックスページ部9においては、第1のインデックス部31Aー35Aは、前方ページ、つまり第1のコアページ7に近いインデックスページ部9に設けられるのものほど冊子体の天側15近くに設けられていたのに対して、
図7の実施例においては、コアページ7に近いインデックスページ部9に設けられるものほど、冊子体の地側16近くに設けられている。よってコアページ7直後に配置されるインデックスページのインデックス部31Aは、地側16直近に設けられ、以後、後方のインデックスページのものほど冊子体の天側15に近づくように設けられている。
【0038】
図8は、この第2の実施例にかかる冊子体の使用例を示す。この使用例では、本発明にかかる冊子体が、館内のフロアーガイドとして使用されている。冊子体は、ショートカット部5,コアインデックス6Aを用いて目次ページ(コアページ)が開かれた状態である。
【0039】
綴じ部13の左右には、第1及び第2のコアページと、各コアページの後方にそれぞれ第1及び第2のインデックスページが各3頁ずつ設けられている。各インデックスページは、フロアーの階数に対応するよう構成されている。コアページの直後に設けられ、冊子体の最も地側16近くにインデックス部が配置されるインデックスページには、館内の一階のフロアーマップが掲載され、最も天側15近くにインデックス部が配置されるインデックスページには、館内の三階のフロアーマップが、そしてその中間にインデックス部が配置されるインデックスページには二階のフロアーマップが掲載されている。このように実際の建築物の階層とインデックスの配置とを合致させることによって、より実態に即した直感的な情報の検索・確認が可能となる。
【0040】
[ショートカット部・コアインデックスの変形例]
図9は、ショートカット部の変形例を示す。
図1の実施例においては、コアページ(目次ページ)にアクセスするための手段として、ショートカット部5とコアインデックス6Aを用いた例を示した。これに対して
図9においては、ショートカット部は形成されず、コアインデックスのサイズ(より具体的には綴じ部13からコアインデックスの図における右端までの幅)が、表紙3の幅よりも大きく形成され、これによってコアインデックスが表紙から突出した形状となるよう形成されている。これによりコアインデックスに対する視認性が向上し、より簡単にコアページにアクセスすることが可能となる。
【0041】
[インデックス部の変形例]
図10は、第1及び第2のインデックス部9,10に対する変形例を示す。
図1、7の実施例においては、第1及び第2のインデックス部の数量は、左右同数に形成されていた。
図10の実施例においては、これらの数量を左右で変えて構成されている。つまり、冊子体の右側に存在する第1のインデックス部は、上下方向(天地方向)において3段、左側に存在する第2のインデックス部は、上下方向(天地方向)において4段設けられる構成となっている。
【0042】
図10の実施例においては、更に、上下方向(天地方向)における同一高さに複数のインデックス部が設けられる構成となっている。
図10の右側ページにおいては、最も天側15に近い位置においては、コアページの後方に3層のインデックス部(インデックスページ)が設けられる構成となっている。そして、最も地側16に近い位置、及び中間位置には、2層のインデックス部(インデックスページ)が設けられる構成になっている。
図10の左側においては、コアページの後方に、地側から順に2層、1層、2層、2層に構成されたインデックス部が設けられているのが見て取れる。
【0043】
図10に記載されるように、上下方向(天地方向)同一高さに複数層のインデックス部が設けられる場合、綴じ部13からインデックス部の図における右端までの幅は、より下層のインデックスページほど幅広に構成されている。これによって、下層のインデックス部を指先で押さえることはより容易となる。
【0044】
[インデックス部の別の変形例]
図11はインデックス部の別の変形例を示す。
図14の実施形におけるインデックス部の構成は、
図1の実施形におけるインデックス部の構成と基本的に同様である。つまり、インデックス部の上下方向(天地方向)における位置は、右側ページ(第1のコアページ7側)においては、下層のページに向かうにつれ天側から地側へと位置をずらして配置され、左側ページ(第2のコアページ8側)においては、下層のページに向かうにつれ地側16から天側15へと位置をずらして配置されている。
【0045】
図11におけるインデックス部の、
図1におけるインデックス部に対する相違点は、
図1の例においては、上下方向(天地方向)における同一高さには、インデックス部は一層のみ設けられていたのに対し、
図11の例においては、天側から地側、又は地側から天側に向かってずらして配置される一組のインデックス部(インデックスページ)の下層に、天側から地側、又は地側から天側に向かってずらして配置される更にもう一組のインデックス部(インデックスページ)が設けられている。この結果、
図11におけるインデックス部は、上下方向(天地方向)における同一高さにおいて複数層設けられることとなる。
【0046】
しかも
図11の例においては、
図10の例と異なり、上下方向(天地方向)における同一高さに設けられる複数層のインデックス部(インデックスページ)は、連続して設けられておらず、間に複数の、他の高さに設けられるインデックス部(インデックスページ)を含む構成となっている。
【0047】
この例においても、上下方向(天地方向)同一高さに設けられる複数層のインデックス部の幅、つまり綴じ部13からインデックス部の図における左右端までの幅は、より下層のインデックスページほど幅広に構成されていることが可能である。
【0048】
[インデックス部の更に別の変形例]
図12は、インデックス部の更に別の変形例を示す。この例における冊子体の構成は、基本的に
図1の例における構成と同様である。
図12におけるインデックス部は、冊子体の天側から連続的に構成されている点で
図1の構成と異なっている。つまり
図1の例においては、インデックス部の天側・地側の両方の部分を切除し、インデックス部を形成する必要があるのに対し、
図12の例においてはインデックス部の地側、又は天側の一方の部分を切除するだけでインデックス部を形成可能となる。
【0049】
[コアページの変形例]
図13にコアページの変形例を示す。
図1の実施形おいては、第1コアページ7及び第2コアページ8のみが設けられる構成であった。この図の変形例においては、第1コアページ7及び第2コアページ8の下に、もう1ページずつのコアページが設けられている。つまり、第1コアページの後方には、第3コアページが、そして第2コアページの後方には、第4コアページが設けられている。第3及び第4コアページへのアクセスは、第1及び第2のコアページの地側に設けられたショートカット部によって行われるよう構成されている。この変形例のさらなる変形例として、第1コアページ7及び第2コアページ8の下に、複数ページずつのコアページが設けられていることも可能である。この場合、第1コアページの後方には、第3、第5コアページ…と設けられ、そして第2コアページの後方には、第4、第6コアページ…と設けられることとなる。
【0050】
第2コアページの横幅(綴じ部13から小口部2までの幅)は、その後方に位置する第4コアページ、及び第1コアページの横幅よりも大きく構成されていることが可能である。
【0051】
図14にコアインデックスの別の変形例を示す。この変形例においては、コアインデックスは、第1のコアページ(図の左側のコアページ)にのみ設けられている。その際、このコアインデックスの形状は、2つのアーチ状部と直線部により形成される略台形状、いわば「八の字」型に形成されている。もちろんアーチ状部に代えて直線部により当該「八の字型」を形成することなども考え得るし、更には台形、長方形など多様な変形例が考え得る。
図14に見て取れるように、このコアインデックスは、小口部の中央付近に位置している点で、
図2などの例とも異なっている。
【0052】
この例においては、突出した形状のインデックス部は第2のコアページ側にのみ設けられており、第1のコアページ側には突出した形状のインデックス部を有さない構成となっている。代わりに、第1のコアページ側に位置するインデックスページは、その綴じ部から小口部までの幅が下層のページほど幅広となる、いわば階段状の構成に形成されている。
【0053】
図15に本発明にかかる冊子体の別の変形例を示す。この例においては、第1及び第2のインデックスページが、いずれも突出した形状のインデックス部を有しておらず、その綴じ部から小口部までの幅が下層のページほど幅広となる、いわば階段状の構成に形成されている。
【0054】
図14,
図15の実施例においては、コアページのインデックス(コアインデックス)は、表紙及び裏表紙の小口部より突出して設けられている(
図16)。そして表紙及び裏表紙の幅は同じ幅に形成されている。
【0055】
これに対して
図17の変形例においては、コアインデックスは、裏表紙の小口部から突出しないように設けられており、さらに、表紙の横幅が裏表紙の横幅よりも狭く形成されている。
【0056】
以上、本発明を実施例に従い説明した。この実施形においては、綴じ方は折り綴じを例に説明したが、本発明にかかる冊子体の技術思想はあらゆる綴じ方の製本に適用可能であり、例えばリフィルを綴じるバインダー等にも適用可能であることは言うまでもない。
【0057】
第1及び第2のコアページにより形成される目次ページは、必ずしも冊子体のちょうど中央に存在している必要はなく、それら後方にそれぞれ所定頁数のインデックスページ、フリーページ等を設けることができれば良い。
【0058】
またこの実施形においては、コアインデックスは、冊子体の開いた状態で右側に位置する第1コアページの天側に設けたが、その位置は必ずしもここに限定されない。例えば第1コアページの地側にコアインデックスを設けることももちろん考えられる。この場合、対応するショートカット部は、表紙の地側に設けられることとなる。更に例えば、コアインデックスは、冊子体を開いた状態で左側に位置する第2コアページの天側又は地側に設けることももちろん可能である。この場合、ショートカット部は、対応して裏表紙側へと移動させられる。
【0059】
表紙、各ページ(コアページ、インデックスページ、フリーページ)の厚さ、色分けには自由度が与えられる。厚さ、色分けによってコアページへのアクセスを容易とすること、その後のインデックスページの検索を容易とすることはもちろん考えられる。
【0060】
インデックス部は、ページ用紙を切断・裁断してこれを形成する様式によるものだけでなく、シール型など汎用型のインデックスを付与する様式のものを使用することも考えられる。
【0061】
第1及び第2のフリーページ部は、ページごとに分離した形式だけでなく、ジャバラ折り式に畳み込まれた用紙、袋とじ式に綴じ込まれた用紙、ポケットリーフを設け内部に用紙を挿入する形式など多様な形式が考えられる。
【0062】
本発明にかかる冊子体は、その形態及び効果を、画面ディスプレイ上に再現し、同様の視覚的効果・操作性を付与された電子書籍であることも考えられる。よって、その適用範囲は、当該電子書籍により実現される電子学習教材・電子パンフレット等、情報通信技術的に実現されるアプリケーションとして多岐に渡る。
【0063】
以上のとおり本発明にかかる冊子体を、実施例に即して説明したが、これらはあくまで例示的説明である。本発明の技術的範囲はこれらに限定されず、本発明にかかる技術的思想のここに記載した実施例以外の冊子体(例えば絵本のようなストーリーものなど)への適用を除外するものでない。
【符号の説明】
【0064】
1 冊子体本体
2 小口部
3 表紙
4 裏表紙
5 ショートカット部
6 コアインデックス
7 第1のコアページ
8 第2のコアページ
9 第1のインデックスページ部
10 第2のインデックスページ部
11 第1のフリーページ部
12 第2のフリーページ部
13 綴じ部
14 目次ページ
15 天側
16 地側
31Aー35A 第1のインデックス部
41Aー45A 第2のインデックス部