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特開2023-117337回転センサ、および回転センサを備えるスイッチ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117337
(43)【公開日】2023-08-23
(54)【発明の名称】回転センサ、および回転センサを備えるスイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 19/00 20060101AFI20230816BHJP
   G01D 5/347 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
H01H19/00 Y
G01D5/347 110A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019999
(22)【出願日】2022-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】500309126
【氏名又は名称】株式会社ヴァレオジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100148301
【弁理士】
【氏名又は名称】竹原 尚彦
(74)【代理人】
【識別番号】100176991
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 由布子
(74)【代理人】
【識別番号】100217696
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 英行
(72)【発明者】
【氏名】福田 敬
(72)【発明者】
【氏名】中谷 多津男
(72)【発明者】
【氏名】宮川 和孝
(72)【発明者】
【氏名】新井 英郎
【テーマコード(参考)】
2F103
5G219
【Fターム(参考)】
2F103CA02
2F103DA01
2F103DA13
2F103EA05
2F103EA13
2F103EB01
2F103EB11
2F103EB33
5G219HT02
5G219HU02
5G219KS08
5G219KY04
5G219MS01
(57)【要約】
【課題】操作ダイヤルの回転操作を適切に検出する。
【解決手段】スイッチ装置1は、回転軸X回りに回転可能な操作ダイヤル9と、回転センサ10と、を有する。回転センサ10は、光センサ7と、遮光板86とを有する。光センサ7は、発光部71、および発光部71に間隔をあけて対向配置された一対の受光部72a、72bを備える。遮光板86は、操作ダイヤル9の回転操作に連動して、発光部71と一対の受光部72a、72bとの間を回転軸X周りの周方向に移動する。一対の受光部72a、72bは、回転軸X回りの周方向に並んでいる。遮光板86は、回転軸Xの径方向に厚みを持つと共に、回転軸X周りの周方向に所定長さを有している。遮光板86は、回転軸X回りの周方向における一端側と他端側が、回転軸Xの径方向の厚みが薄くなる先細り形状で形成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部、および前記発光部に間隔をあけて対向配置された一対の受光部を備える光センサと、
回転体の回転に連動して、前記発光部と前記一対の受光部との間を回転軸周りの周方向に移動する遮光板と、を有する回転センサであって、
前記一対の受光部は、前記回転軸周りの周方向に並んでおり、
前記遮光板は、前記回転軸の径方向に厚みを持つと共に、前記回転軸周りの周方向に所定長さを有しており、
前記遮光板は、前記回転軸周りの周方向における一端側と他端側が、前記回転軸の径方向の厚みが薄くなる先細り形状で形成されている、回転センサ。
【請求項2】
前記遮光板の前記一端と、前記遮光板の前記他端は、前記回転軸を中心とする共通の仮想円上に位置している、請求項1に記載の回転センサ。
【請求項3】
前記一対の受光部は、前記遮光板よりも外径側に位置しており、
前記遮光板の外周は、前記共通の仮想円上に位置している、請求項2に記載の回転センサ。
【請求項4】
前記遮光板の前記一端側は、前記一端が、前記発光部と前記一対の受光部のうちの一方の受光部とを結ぶ第1の直線上に位置した際に、前記一端よりも前記回転軸側の領域が、前記第1の直線よりも前記他端側に位置する形状であり、
前記遮光板の前記他端側は、前記他端が、前記発光部と前記一対の受光部のうちの他方の受光部とを結ぶ第2の直線上に位置した際に、前記他端よりも前記回転軸側の領域が、前記第2の直線よりも前記一端側に位置する形状である、請求項1から請求項3のうちの何れか一項に記載の回転センサ。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の回転センサを採用したスイッチ装置であって、
前記回転軸回りに回転可能な操作ダイヤルと、
前記操作ダイヤルを回転可能に支持するケースと、
前記光センサが実装される基板と、を有し、
前記操作ダイヤルは、前記回転軸を囲む筒状部を有しており、
前記遮光板は、前記筒状部における前記基板との対向部に設けられている、スイッチ装置。
【請求項6】
前記遮光板は、前記回転軸周りの周方向に所定間隔で、前記筒状部の全周に亘って設けられている、請求項5に記載のスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転センサ、および回転センサを備えるスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、操作ダイヤルの回転操作を、光センサを用いて検出する構成のスイッチ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-91613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スイッチ装置は、操作ダイヤルの回転操作に連動して移動する遮光羽根と、光センサと、を有している。光センサでは、発光部と一対の受光部が、間隔を空けて対向配置されている。
スイッチ装置では、操作ダイヤルが操作されると、遮光羽根が、発光部と一対の受光部との間を、操作ダイヤルの操作方向に応じて決まる一方から他方に横切って移動する。
スイッチ装置は、一対の受光部における受光が遮断される順番と、受光が遮断された回数を特定可能な信号を出力する。
【0005】
操作ダイヤルの制御対象である機器では、スイッチ装置が出力する信号に基づいて、操作ダイヤルの操作方向と操作量を特定する。そして、特定された操作方向と操作量に基づき、制御対象の機器の動作が制御される。
そのため、操作ダイヤル(回転体)の回転操作を適切に検出できる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
発光部、および前記発光部に間隔をあけて対向配置された一対の受光部を備える光センサと、
回転体の回転に連動して、前記発光部と前記一対の受光部との間を回転軸周りの周方向に移動する遮光板と、を有する回転センサであって、
前記一対の受光部は、前記回転軸周りの周方向に並んでおり、
前記遮光板は、前記回転軸の径方向に厚みを持つと共に、前記回転軸周りの周方向に所定長さを有しており、
前記遮光板は、前記回転軸周りの周方向における一端側と他端側が、前記回転軸の径方向の厚みが薄くなる先細り形状で形成されている、回転センサとした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、回転体の回転操作を適切に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】スイッチ装置を説明する図である。
図2】スイッチ装置の断面図である。
図3】回転体を説明する図である。
図4】スイッチ装置の断面図である。
図5】光センサを説明する図である。
図6】遮光板の断面形状を説明する図である。
図7】実施形態にかかる遮光板の作用を説明する図である。
図8】比較例にかかる遮光板の断面形状を説明する図である。
図9】比較例にかかる遮光板の作用を説明する図である。
図10】変形例にかかる遮光板を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を説明する。
図1の(A)は、スイッチ装置1の正面図である。図1の(B)は、スイッチ装置1の分解斜視図である。図2は、スイッチ装置1を、図1の(A)におけるA-A線に沿って切断した断面を模式的に示した図である。
【0010】
図2に示すように、スイッチ装置1の本体ケース2(ケース)は、ボディ3と、フロントカバー4と、リアカバー5と、を有する。
本体ケース2は、ボディ3と、フロントカバー4と、リアカバー5を、後記する操作ダイヤル9の回転軸X方向で組み付けて形成される。
【0011】
スイッチ装置1は、操作ダイヤル9の回転操作を検出するための回転センサ10を備えている。回転センサ10は、操作ダイヤル9の回転操作に連動して回転軸X周りに回転する遮光板86と、光センサ7を有している。
【0012】
光センサ7が実装される基板6は、スイッチ装置1のボディ3内に配置される。
ボディ3は、周壁部31と、区画壁32を有する。周壁部31は、リアカバー5と基板6を収容可能な大きさで形成されている。
区画壁32は、周壁部31の内部を、フロントカバー4側の空間S1と、リアカバー5側の空間S2とに区画する。
【0013】
リアカバー5は、底壁部51と、周壁部52と、を有する。底壁部51は、ボディ3の周壁部31の開口を略覆うことができる大きさで形成されている。周壁部52は、底壁部51の外周を全周に亘って囲んでおり、ボディ3の周壁部31の内側に挿入される。
周壁部52の先端52aは、回転軸X方向から基板6に当接している。この状態においてリアカバー5は、図示しないネジでボディ3に固定されている。基板6とリアカバー5は、ボディ3内の空間S2内に収容されている。
【0014】
ボディ3の正面には、フロントカバー4が嵌め込まれている。
図1に示すようにフロントカバー4には、プッシュボタン41、42の支持部45が設けられている。支持部45は、ボディ3から突出している。ボディ3においてプッシュボタン41、42は、上下に並んでおり、押圧操作可能に設けられている。
プッシュボタン41、42の側方には、略円形の外形を持つダイヤル支持部451が位置している。図2に示すように、ダイヤル支持部451の中央には、筒壁452で囲まれた貫通孔450が開口している。貫通孔450の中央には、ボディ3から延びる支持筒33が位置している。
筒壁452と支持筒33は、回転軸Xを中心として同芯に配置されている。筒壁452と支持筒33の径方向の隙間には、回転体8の第1筒部81が位置している。
【0015】
図3の(A)は、回転体8を回転軸X方向から見た平面図である。図3の(B)は、回転体8を、図3の(A)におけるA-A線に沿って切断した断面を示す斜視図である。
なお、図3の(A)は、回転体8を基板6側から見た図に相当する。
【0016】
回転体8は、支持筒33に外挿される第1筒部81と、第1筒部81よりも大径の第2筒部82と、を有する。
第1筒部81と、第2筒部82は、第1筒部81の基端側の外周に設けた接続部83を介して互いに連結されている。
接続部83は、第1筒部81の外周に全周に亘って設けられている。接続部83は、第1筒部81に直交する向きで設けられている。接続部83は、第2筒部82の内周に接続している。接続部83の内側面には、節度溝831が設けられている。節度溝831は、回転軸X周りの周方向の全周に亘って設けられている。
【0017】
第2筒部82では、接続部83とは反対側の端部に、フランジ部84が設けられている。フランジ部84は、第2筒部82に直交する向きで設けられている。フランジ部84は、第2筒部82の外周に全周に亘って設けられている。
フランジ部84では、第2筒部82とは反対側の面に、円筒状の支持部85が設けられている。
図3の(A)に示すように支持部85は、回転軸Xを所定間隔で囲むリング状を成している。支持部85の外周851は、回転軸Xを中心とする仮想円Im0に沿う円弧状を成している。支持部85では、当該支持部85の紙面手前側の端部に、遮光板86が設けられている。
遮光板86は、回転軸X周りの周方向に所定長さを持つ板状の部位である。遮光板86は、回転軸X周りの周方向の全周に亘って、所定間隔で設けられている。
【0018】
回転軸X方向から見て遮光板86は、回転軸X周りの周方向に沿う弧状を成している。
遮光板86の外周861は、仮想円Im1に沿う形状で形成されている。仮想円Im1は、仮想円Im0よりも小さい径を有している。そのため、遮光板86の外周861は、支持部85の外周851よりも僅かに内径側に位置している。
【0019】
遮光板86の内周862は、仮想円Im2に沿う形状で形成されている。仮想円Im2は、仮想円Im1よりも小さく、支持部85の内周に沿う仮想円Im3よりも大きい径で形成されている。遮光板86は、径方向に基準となる厚みW86を有している。厚みW86は、仮想円Im1の半径r1と仮想円Im2の半径r2から下記式(1)で表すことができるW86=r1-r2 (1)
【0020】
回転軸X周りの周方向における内周862の長さL862は、外周の長さL861よりも小さい(L862<L861)。
そのため、遮光板86は、回転軸X周りの周方向の長さが、外径側に向かうにつれて広くなっている。
【0021】
遮光板86は、回転軸X周りの周方向の一端側と他端側が、回転軸Xの径方向の厚みが薄くなる先細り形状で形成されている。遮光板86の一端側の頂点P1と他端側の頂点P2は、前記した仮想円Im1上に位置している。
【0022】
図2に示すように、ボディ3において回転体8は、第1筒部81を、支持筒33に外挿した状態で設けられている。この状態において回転体8は、支持筒33で回転可能に支持されている。第1筒部81の先端81a側には、操作ダイヤル9が外嵌して固定されている。
図1に示すように、第1筒部81の外周には、突起811と係止爪812が設けられている。操作ダイヤル9では、把持部90に隣接して筒状の嵌合部91が設けられている。嵌合部91には、キー溝911と係合片912が設けられている。操作ダイヤル9の嵌合部91を、回転体8の第1筒部81に外挿すると、嵌合部91のキー溝911と係合片912が、それぞれ回転体8側の突起811と係止爪812に係合する。これにより、操作ダイヤル9と回転体8は、一体回転可能に連結される。
この状態において、回転軸X方向から見て操作ダイヤル9は、フロントカバー4の貫通孔450を塞ぐように配置される。さらに、操作ダイヤル9は、回転体8を介して、ボディ3側の支持筒33で回転可能に支持される。
【0023】
図2に示すように、支持筒33はボディ3と一体に形成されている。支持筒33は、回転軸Xを所定間隔で囲む筒状部材である。支持筒33の内側(回転軸X側)の領域は、区画壁32を厚み方向に貫通した開口30となっている。フロントカバー4側から見て開口30内には、基板6が露出している。
【0024】
支持筒33は、回転軸Xに沿って基板6から離れる方向に延びている。支持筒33の先端33aは、ボディ3の外部であって、前記したフロントカバー4の内側に位置している。
【0025】
図4は、スイッチ装置1を、図2におけるA-A線に沿って切断した断面図である。
なお、図4では、区画壁32を厚み方向に貫通した領域に、交差したハッチングを付して示している。交差したハッチングを付した領域は、区画壁32における開口領域であり、開口領域の紙面奥側に図示しない基板6が露出していることになる。
【0026】
図4に示すように支持筒33の外径側には、内側ガイド壁34と、外側ガイド壁35が位置している。回転軸X方向から見て、内側ガイド壁34と外側ガイド壁35は、略環状を成している。内側ガイド壁34は、支持筒33の外径R33よりも大きい内径r34で形成されている。内側ガイド壁34は、外側ガイド壁35の内径r35よりも小さい外径R34で形成されている。
【0027】
内側ガイド壁34と外側ガイド壁35は、それぞれ紙面手前側に延びている。内側ガイド壁34と外側ガイド壁35との間に、操作ダイヤル9に連結された回転体8の遮光板86が配置される。内側ガイド壁34と外側ガイド壁35は、遮光板86が操作ダイヤル9の操作に連動して回転軸X周りに移動する際に、遮光板86の振れを抑制する。内側ガイド壁34と外側ガイド壁35は、遮光板86の振れを抑制するためのガイドレールとして機能する。
【0028】
ボディ3の区画壁32には、節度ピン15(図2参照)の支持穴342が設けられている。支持穴342は、内側ガイド壁34と支持筒33とを接続するリブ343を利用して設けられている。
【0029】
図2に示すように、支持穴342は、操作ダイヤル9側(図2における左側)に開口を向けた有底穴である。支持穴342は、回転体8の節度溝831が設けられた領域に対向している。
支持穴342には、スプリングSpと節度ピン15が収容されている。節度ピン15は、支持穴342から回転軸X方向に出没自在である。節度ピン15は、スプリングSpから作用する付勢力で、回転体8の節度溝831に弾発的に係合している。
【0030】
本実施形態では、節度ピン15から回転体8に作用する付勢力で、回転体8に連結された操作ダイヤル9が位置決めされる。具体的には、操作ダイヤル9にユーザによる操作力が作用していないときに、遮光板86が、後記する光センサ7の受光部72(72a、72b)での受光を阻害しない位置(図5の(A)参照)若しくは妨げる位置に配置されるようになっている。
【0031】
図4に示すように、外側ガイド壁35には、外径側に膨らむように凹部352が設けられている。凹部352は、回転軸X周りの周方向に間隔をあけて複数設けられている。
本実施形態では、1つの凹部352が、回転軸X方向から見て、前記した支持穴342と回転軸Xを結ぶ直線L上に位置している。
【0032】
さらに、回転軸X方向から見て、直線Lの一方側と他方側に、それぞれ2つずつ凹部352、352が設けられている。直線Lの一方側の凹部352、352と、他方側の凹部352、352は、直線Lを挟んで略対称となる位置関係で設けられている。
【0033】
これら凹部352は、区画壁32から延びる係合片36との干渉を避けるために設けられている。図2に示すように係合片36は、回転軸Xに沿って基板6から離れる方向に延びている。係合片36は、基端側が片持ち支持されており、爪部36aが設けられた先端側が回転軸Xの径方向に弾性変位可能である。
【0034】
係合片36は、回転体8のフランジ部84に回転軸X方向から係止されている。この状態において支持筒33に外挿された回転体8は、回転軸X回りの回転が許容された状態で、基板6から離れる方向への移動が規制されている。
【0035】
図4に示すように、内側ガイド壁34では、光センサ7との干渉を回避するための凹部341が設けられている。凹部341は、内側ガイド壁34を回転軸X側に窪ませて形成されている。
外側ガイド壁35にも、光センサ7との干渉を回避するための凹部351が設けられている。凹部351は、外側ガイド壁35を回転軸Xの径方向外側に窪ませて形成されている。
【0036】
区画壁32では、凹部341と凹部351で囲まれた領域に、貫通孔321が設けられている。貫通孔321は、前記した支持穴342に対して回転軸X周りの周方向に180度位相をずらした位置に設けられている。回転軸X方向から見て、貫通孔321と支持穴342は、前記した直線L上に位置している。回転軸X方向から見て貫通孔321は、略矩形形状を成している。貫通孔321は、後記する光センサ7が通過可能な大きさで形成されており、貫通孔321の中央に、光センサ7が位置している。
【0037】
図5は、光センサ7を説明する図である。図5の(A)は、光センサ7を回転軸X方向から見た平面図である。図5の(B)は、図5の(A)におけるX-X線に沿って光センサ7を切断した断面を基板6と共に示した図である。
なお、図5では、光センサ7と遮光板86との位置関係を明確にするために、遮光板86を断面または仮想線で示している。
さらに、光センサ7の発光部71と、受光部72(72a、72b)の配置を説明するために、発光部71と、受光部72(72a、72b)を模式的に示している。以下の説明においては、受光部72a、72bを区別しない場合には、単純に受光部72と標記する場合がある。
【0038】
図5に示すように、光センサ7は、発光部71と、一対の受光部72(72a、72b)を有する。発光部71と、受光部72(72a、72b)は、間隔W7を開けて対向配置されている。発光部71と、受光部72(72a、72b)との間の領域は、前記した回転体8の遮光板86が移動する領域である。
光センサ7は、遮光板86の移動軌跡の内径側に発光部71を位置させると共に、遮光板86の外径側に受光部72(72a、72b)を位置させる向きで、基板6上に設けられている。
【0039】
基板6の直交方向において、発光部71と受光部72(72a、72b)は、基板6の表面6aから同じ高さh分だけ離れた位置に配置されている。
発光部71は、赤外光を受光部72に向けて出射する。一対の受光部72(72a、72b)は、間隔W72を開けて設けられている。発光部71は、受光部72a、72bの中間点と回転軸Xとを結ぶ直線C上に位置している。そのため、発光部71の発光面の中心と受光部71aの受光面の中心までの離間距離Laと、発光部71の発光面の中心と受光部71bの受光面の中心までの離間距離Lbとが、等しくなっている。
【0040】
光センサ7では、発光部71から照射される赤外光を、受光部72a、72bで受光する。受光部72a、72bは、発光部71から照射される赤外光を受光している間、high信号を出力する。受光部72a、72bは、発光部71と受光部72a、72bとの間を通過する遮光板86により赤外光の受光が遮られると、low信号を出力する。
【0041】
前記したように、操作ダイヤル9は、前記した節度ピン15から作用する付勢力で位置決めされている。この状態において、遮光板86は、例えば一対の受光部72(72a、72b)での赤外光の受光を妨げない位置に配置される(図5の(A)参照)。
【0042】
そして、操作ダイヤル9が操作されると、遮光板86は、操作ダイヤル9の操作方向に応じて決まる一方向に、移動軌跡に沿って移動する。
そうすると、受光部72a、72bでの受光が、遮光板86により妨げられることになる。
【0043】
図6の(A)は、発光部71から照射される赤外光の軌跡と、遮光板86の形状との関係を説明する図である。図6の(B)は、遮光板86における頂点P1と、一側863との位置関係を説明する図である。図6の(C)は、遮光板86における頂点P2と、他側864との位置関係を説明する図である。
図7の(A)は、遮光板86の変位に伴う受光部72a、72bでの赤外光の受光状態の変化を説明する図である。図7の(B)は、遮光板86が図7の(A)に示す方向に変位する際の受光部72(72a、72b)の出力信号の遷移を説明する図である。
【0044】
例えば、遮光板86が図7の(A)における時計回り方向に回転する場合、受光部72a、受光部72bの順番で、赤外光の受光が遮られたのち、受光部72a、受光部72bの順番で、赤外光の受光が再開される。
この場合における光センサ7の出力信号の波形は、図7の(B)に示す波形となる。
【0045】
具体的には、時刻t1において、遮光板86の一端側の頂点P1が、受光部72aでの受光を阻止する位置に到達する。その結果、時刻t1以降、受光部72aの出力信号が、HighからLowに向けて低下する。そして、時刻t2において、遮光板86が受光部72aでの受光を阻止しているため受光部72aの出力信号がLowになる。
その後、時刻t3において、遮光板86の一端側の頂点P1が、受光部72bでの受光を阻止する位置に到達する。その結果、時刻t3以降、受光部72bの出力信号が、HighからLowに向けて低下する。そして、時刻t4において、遮光板86が受光部72bでの受光を阻止しているため受光部72bの出力信号がLowになる。
【0046】
続いて、時刻t6において、遮光板86の他端側の頂点P2が、受光部72aでの受光阻止を終了する位置に到達する。その結果、時刻t6以降、受光部72aの出力信号が、LowからHighに向けて上昇する。そして、時刻t7において、遮光板86が受光部72aでの受光を阻止していないため受光部72aの出力信号がHighになる。
その後、時刻t8において、遮光板86の他端側の頂点P2が、受光部72bでの受光阻止を終了する位置に到達する。その結果、時刻t8以降、受光部72bの出力信号が、LowからHighに向けて上昇する。そして、時刻t9において、遮光板86が受光部72bでの受光を阻止していないため受光部72bの出力信号がHighになる。
なお、時刻t4と時刻t6の間は、受光部72aでの赤外光の受光と、受光部72bでの赤外光の受光の両方が、遮光板86により遮られる。そのため、時刻t4と時刻t6の間の時刻t5では、受光部72aの出力信号と、受光部72bの出力信号の両方が、Lowになる。
【0047】
このように、遮光板86が、図7の(A)における時計回り方向に移動する場合、受光部72aの出力信号の低下/上昇の始まりが、受光部72bの出力信号の低下/上昇の始まりよりも先になる。
ちなみに、遮光板86が、図7の(A)における反時計回り方向に移動する場合、受光部72bの出力信号の低下/上昇の始まりが、受光部72aの出力信号の低下/上昇の始まりよりも先になる。
【0048】
これにより、光センサ7の出力信号が入力される制御装置(図示せず)において、受光部72aの出力信号の変化と、受光部72bの出力信号の変化のどちらが先であるのかに基づいて、操作ダイヤル9の操作方向が特定できる。
【0049】
さらに、制御装置では、光センサ7(受光部72a、72b)の出力信号の低下回数から、操作ダイヤルの操作量を特定する。
【0050】
一例として、受光部72a、72bの出力信号が、Highで揃った状態を第1状態、Lowで揃った状態を第2状態とする。
そして、第1状態または第2状態から、受光部72a、72bの出力信号の一方がHigh他方がLowになった遷移状態を経て、第2状態または第1状態になった時点を、「1カウント」とする。
以降、第1状態または第2状態になるたびにカウントアップする。出力信号の状態変化の開始から状態変化がなくなった時点までの総カウント数から、操作ダイヤル9の操作量を特定する。
【0051】
本実施形態にかかる遮光板86は、回転軸X周りの周方向における一端側の頂点P1と他端側の頂点P2が、受光部72(72a、72b)における赤外光の受光を遮断するタイミングと、遮断を解消するタイミングを決定する。
そして、遮光板86が、受光部72(72a、72b)での赤外光の受光を阻止する位置(阻止点)と、受光の阻止を解消する位置(開口点)とが、回転軸Xの径方向で揃うようにするために、遮光板86の形状は、以下の条件を満たすように設定されている。
【0052】
(I)回転軸X周りの周方向の一端側と他端側が、回転軸Xの径方向の厚みが薄くなる先細り形状で形成されている(図6の(A)参照)。
(II)遮光板86の一端側の頂点P1と他端側の頂点P2は、前記した共通の仮想円Im1上に位置している(図6の(A)参照)。
(III)回転軸X周りの周方向における遮光板86の一側863は、頂点P1が、発光部71と受光部72bとを結ぶ直線Ln2上に位置したときに、頂点P1よりも内径側が、直線Ln2を横切らない形状となっている(図6の(B)参照)。
(IV)回転軸X周りの周方向における遮光板86の他側864は、頂点P2が、発光部71と受光部72aとを結ぶ直線Ln1上に位置したときに、頂点P2よりも内径側が直線Ln1を横切らない形状となっている(図6の(C)参照)。
【0053】
このように、実施の形態にかかる遮光板86では、受光部72(72a、72b)での受光を阻止する位置(遮光点)と、受光の阻止を解消する位置(開口点)が、共通の仮想円Im1上に位置している。
これにより、受光部72(72a、72b)の出力信号の波形が、同一の波形に収斂するようにしている。
【0054】
図8は、比較例にかかる遮光板86Aを説明する図である。
図8の(A)は、発光部71から照射される赤外光の軌跡と、比較例にかかる遮光板86Aの形状との関係を説明する図である。図8の(B)は、遮光板86Aにおける頂点P1、P3と、一側863との位置関係を説明する図である。図8の(C)は、遮光板86Aにおける頂点P2、P4と、他側864との位置関係を説明する図である。
図9の(A)は、遮光板86Aの変位に伴う受光部72a、72bでの赤外光の受光状態の変化を説明する図である。図9の(B)は、遮光板86Aが図9の(A)に示す方向に変位する際の受光部72(72a、72b)の出力信号の遷移を説明する図である。
【0055】
遮光板86Aは、回転軸X周りの周方向における一側863と他側864の配置が、前記した遮光板86と相違する。
一側863と他側864は、仮想円Im1の中心を通る直径線Lcに沿う直線に沿う形状で形成されている。そのため、遮光板86Aは、図中、交差したハッチングで示した分だけ、内径側の幅が、前記した遮光板86よりも広くなっている。
【0056】
そのため、回転軸X周りの周方向における遮光板86Aの一側863は、頂点P1が、発光部71と受光部72bとを結ぶ直線Ln2上に位置したときに、頂点P1よりも内径側が、直線Ln2を横切る形状となっている(図8の(B)参照)。
さらに、回転軸X周りの周方向における遮光板86Aの他側864は、頂点P2が、発光部71と受光部72aとを結ぶ直線Ln1上に位置したときに、頂点P2よりも内径側が直線Ln1を横切る形状となっている(図8の(C)参照)。
【0057】
例えば、遮光板86Aが図9の(A)における時計回り方向に回転する場合、光センサ7の出力信号の波形は、図9の(B)に示す波形となる。
【0058】
具体的には、時刻t1において、遮光板86Aの一端側の頂点P1が、受光部72aでの受光を阻止する位置に到達する。その結果、時刻t1以降、受光部72aの出力信号が、HighからLowに向けて低下する。そして、時刻t2において、遮光板86Aが受光部72aでの受光を阻止しているため受光部72aの出力信号がLowになる。
その後、時刻t3’において、遮光板86Aの一端側の頂点P3が、受光部72bでの受光を阻止する位置に到達する。その結果、時刻t3’以降、受光部72bの出力信号が、HighからLowに向けて低下する。そして、時刻t4’において、遮光板86Aが受光部72bでの受光を阻止しているため受光部72bの出力信号がLowになる。
【0059】
前記したように、遮光板86Aでは、頂点P1が直線Ln2に到達した時点で、頂点P3が直線Ln2を越えている(図8の(B)参照)。
そのため、頂点P1が直線Ln2に到達する時点(図9の(B)における時刻t3)よりも早い時点(時刻t3’)で、頂点P3が直線Ln2に到達する。
【0060】
そのため、時刻t3’以降、受光部72bの出力信号が低下することになるが、頂点P3のほうが、頂点P1よりも受光部72bから離れているので、頂点P1で赤外光が遮られる場合に比べて、受光部72bの出力信号の低下速度が遅くなる。
図9の(B)に示すように、遮光板86Aの場合、受光部72bからの出力信号の低下が、遮光板86の場合の時刻t3よりも早い時刻t3’から始まり、時刻t4’において、出力信号がLowになる。ここで、遮光板86Aにおいて出力信号がLowになる時刻t4’は、遮光板86の場合の時刻t4よりも早い。
【0061】
続いて、時刻t6’において、遮光板86Aの他端側の頂点P4が、受光部72aでの受光阻止を終了する位置に到達する。その結果、時刻t6’以降、受光部72aの出力信号が、LowからHighに向けて上昇する。そして、時刻t7’において、遮光板86Aが受光部72aでの受光を阻止していないため受光部72aの出力信号がHighになる。
その後、時刻t8において、遮光板86Aの他端側の頂点P2が、受光部72bでの受光阻止を終了する位置に到達する。その結果、時刻t8以降、受光部72bの出力信号が、LowからHighに向けて上昇する。そして、時刻t9において、遮光板86Aが受光部72bでの受光を阻止していないため受光部72bの出力信号がHighになる。
【0062】
前記したように、遮光板86Aでは、頂点P2が直線Ln1に到達した時点で、頂点P4が直線Ln1を越えている(図8の(C)参照)。
そのため、頂点P2が直線Ln1に到達する時点(時刻t6)よりも後の時点(時刻t6’)で、頂点P4が直線Ln1に到達する。
【0063】
そのため、時刻t6’以降、受光部72aの出力信号が上昇することになるが、頂点P4のほうが、頂点P2よりも受光部72bから離れているので、頂点P2で赤外光が遮られる場合に比べて、受光部72bの出力信号の上昇速度が遅くなる。
図9の(B)に示すように、遮光板86Aの場合、受光部72aの出力信号の上昇が、遮光板86の場合の時刻t6よりも遅い時刻t6’から始まり、出力信号がHighに達する時刻t7’は、遮光板86の場合の時刻t7よりも遅くなる。
【0064】
このように、比較例にかかる遮光板86Aの場合、赤外光の遮断と、遮断の解消に関与する部分が径方向の厚みを持っている。そのため、遮光板86Aが、受光部72a、72bでの赤外光の受光を遮断する位置(遮光点)と、受光の遮断を解消する位置(開口点)とが、回転軸Xの径方向に変化する。
その結果、遮光板86Aにより、受光部72a、72bでの赤外光の受光が遮断されるタイミングと、受光の遮断が解消されるタイミングがズレてしまう。
そのため、操作ダイヤル9の回転を適切に検出するためには、以下のようにする必要がある。(a)受光部72a、72bの出力信号のサンプリング期間を長くする。(b)受光部72a、72bのサンプリング周期を短くする。
しかし、(a)の場合には、操作ダイヤル9の操作方向と操作量の特定に時間がかかる。(b)の場合には、出力信号が入力される制御装置側での処理負担が増加する。
【0065】
これに対して、実施形態にかかる遮光板86の場合、遮光板86による受光の遮断と、遮断が解消されるタイミングが、遮光板86の径方向の厚みの影響で振れる程度を抑えることができる。
これにより、受光部72aの出力信号の変化と、受光部72bの出力信号の変化との差異を抑えることができるので、2つの受光部72a、72bの出力信号から、回転体の回転を適切に検出できる。
【0066】
ここで、実施形態にかかる回転センサ10の場合、受光部72aの出力信号の波形と、受光部72bの出力信号の波形の位相差が大きいほど、操作ダイヤル9が高速で操作された場合の検出に有利となる。
例えば、遮光板86の場合、図7の(B)に示すように、受光部72aの出力信号が低下してLowになった時刻t2から、受光部72bの出力信号の低下が始まる時刻t3までの時間差Δt(t3-t2)が、ここでいう波形の位相差に相当する。
【0067】
比較例にかかる遮光板86Aの場合、図9の(B)に示すように、受光部72aの出力信号が低下してLowになった時刻t2から、受光部72bの出力信号の低下が始まる時刻t3’までの時間差Δt’が、波形の位相差に相当する。
前記したように、遮光板86Aの場合、受光部72bの出力信号の低下が、遮光板86の場合よりも早い時刻t3’から始まる。そのため、遮光板86Aの場合の時間差Δt’は、遮光板86の場合の時間差Δtよりも短くなる。
【0068】
ここで、操作ダイヤル9の操作速度が速くなるほど、受光部72aの出力信号の波形と、受光部72bの出力信号の波形の位相差が小さくなる。すなわち、遮光板86Aの場合の時間差Δt’と、遮光板86の場合の時間差Δtが、それぞれ小さくなる。
図7の(B)および図9の(B)に示すように、遮光板86のほうが、遮光板86Aよりも、受光部72a、72bの出力信号の波形の時間差(位相差)が大きい。そのため、操作ダイヤル9が高速で操作されて遮光板が光センサ10を横切る周期が短くなった場合、遮光板86のほうが、遮光板86Aよりも、時間差Δtがゼロ(=0)になるまでの余裕が大きい。
よって、実施形態にかかる遮光板86を採用したスイッチ装置1のほうが、操作ダイヤル9の操作速度の上昇に対して余裕があり、比較例にかかる遮光板86Aを採用したスイッチ装置よりも、操作ダイヤル9の高速操作をより適切に検出できる。
【0069】
このように、受光部72aの出力信号の変化と、受光部72bの出力信号の変化が揃うことにより、受光素子72a、72bの出力信号の波形が同一の波形に収斂する。
これにより、操作ダイヤル9の回転操作の検出精度が高くなり、検出に要する時間を短くできる。
さらに、ユーザによる操作ダイヤル9の回転操作が早くなっても、操作ダイヤルの操作を検出して、操作ダイヤルの操作量をより適切にカウントできるようになる。よって、操作ダイヤル9の回転操作を適切に検出できる。
さらに、出力信号が入力される制御装置側で、操作ダイヤル9の回転操作が早い場合に備えて、出力信号の読み取り周期(サンプリング周期)を短くする必要が無い。すなわち、制御装置側で、操作ダイヤル9の回転操作を検出する際の処理負担が増加することを好適に防ぐことができる。
【0070】
このように、実施形態にかかる遮光板86は、2つ以上の受光部を備える光センサにおいて、回転体の回転検出(作動検出)に有効である。
遮光板86の一端側の頂点P1と他端側の頂点P2を、回転軸Xを中心とする任意の仮想円Im1上に位置させることで、受光部72(72a、72b)の出力信号(出力電圧)の波形をコントロールできる。これにより、操作ダイヤル9の高速操作を検出可能な出力信号の波形にすることや、ノイズの影響を受け難い出力信号の波形とすることも可能であり、制御装置側での誤検出の低減が期待できる。
また、遮光板86の一端側の頂点P1と他端側の頂点P2を、遮光板86の外周861に沿う仮想円Im1上に位置させたので、遮光板86における赤外光の受光遮断に関与する周方向の長さを長く取ることができる。これにより、操作ダイヤル9の高速操作の際の出力信号の処理を適切に行うことができ、誤検出の低減が期待できる。
【0071】
以上の通り、本実施形態にかかるスイッチ装置1は、以下の構成の回転センサ10を備える。
(1)回転センサ10は、光センサ7と、遮光板86とを有する。
光センサ7は、発光部71、および発光部71に間隔をあけて対向配置された一対の受光部72(72a、72b)を備える。
遮光板86は、操作ダイヤル9(回転体)の回転操作に連動して、発光部71と一対の受光部72(72a、72b)との間を回転軸X周りの周方向に移動する。
一対の受光部72(72a、72b)は、回転軸X回りの周方向に並んでいる。
遮光板86は、回転軸Xの径方向に厚みを持つと共に、回転軸X周りの周方向に所定長さを有している。
遮光板86は、回転軸X周りの周方向における一端側と他端側が、回転軸Xの径方向の厚みが薄くなる先細り形状で形成されている。
【0072】
このように構成すると、遮光板86による受光の遮断と、遮断が解消されるタイミングが、遮光板86の径方向の厚みの影響で振れる程度を抑えることができる。
これにより、受光部72aの出力信号の変化と、受光部72bの出力信号の変化との差異を抑えることができるので、2つの受光部72a、72bの出力信号から、回転体の回転を適切に検出できる。
特に、遮光板86は、回転軸X周りの周方向における一端側と他端側が、回転軸Xの径方向の厚みが薄くなる先細り形状で形成されていることにより、受光部72での赤外光の受光を阻止するタイミングと、受光の阻止を解消するタイミングを明確にできる。
【0073】
(2)遮光板86の一端側の頂点P1と、遮光板86の他端側の頂点P2は、回転軸Xを中心とする共通の仮想円Im1上に位置している。
【0074】
このように構成すると、遮光板86による受光の遮断と、遮断が解消されるタイミングを、目的とするタイミングに収束させることができる。
これにより、受光部72aの出力信号の変化と、受光部72bの出力信号の変化を揃えることができるので、2つの受光部72a、72bの出力信号から、操作ダイヤル9(回転体)の回転を適切に検出できる。
【0075】
(3)回転軸X方向から見て、一対の受光部72(72a、72b)は、遮光板86よりも外径側に位置している。
遮光板86の外周861は、共通の仮想円Im1上に位置している。
【0076】
このように構成すると、遮光板86により受光が遮られるタイミングを、目的とするタイミングに収束させることができる。
さらに、遮光板86の外周861に沿う仮想円Im1上に、一端側の頂点P1と、他端側の頂点P2が位置している。そのため、受光部72a、72bの近くで、遮光板86による受光の遮断と、遮断の解消が実施される。
これにより、受光部72aの出力信号の変化波形と、受光部72bの出力信号の変化波形が、同一波形に収斂するので、2つの受光部72a、72bの出力信号から、回転体の回転を適切に検出できる。
【0077】
特に、受光部72a、72bの近くで、遮光板86による受光の遮断と、遮断の解消が実施される。受光が遮断された際と、遮断が解消された際の受光部72a、72bの出力信号の変化率は、遮光板86による受光の遮断が実施される位置(遮光点)と、遮断の解消が実施される位置(開口点)が、受光部72a、72bに近づくほど大きくなる。
出力信号の変化率が大きくなると、出力信号のHighとLowとの切り替わりにかかる時間が短くなる。
これにより、2つの受光部72a、72bの出力信号から、回転体の回転を検出するために必要な時間を、より短くできる。これにより、回転体の回転速度が速くなった場合でも、回転体の回転を適切に検出できる。
【0078】
(4)遮光板86の一側863は、一端側の頂点P1が、発光部71と受光部72bとを結ぶ直線Ln2(第1の直線)上に位置した際に、一端側の頂点P1よりも回転軸X側の領域が、直線Ln2よりも他端側(図6の(B)における左側)に位置している。
遮光板86の他側864は、他端側の頂点P2が、発光部71と受光部71aとを結ぶ直線Ln1(第2の直線)上に位置した際に、他端側の頂点P2よりも回転軸X側の領域が、直線Ln1よりも一端側(図6の(C)における右側)に位置している。
【0079】
このように構成すると、受光部72a、72bでの赤外光の受光の遮断と、遮断の解消に、共通の仮想円Im1上に位置する頂点P1、P2のみを関与させることができる。
これにより、受光部72aの出力信号の変化と、受光部72bの出力信号の変化を揃えることができるので、2つの受光部72a、72bの出力信号から、回転体の回転を適切に検出できる。
【0080】
本件発明は、上記した(1)から(4)の回転センサ10を採用したスイッチ装置1としても特定できる。
(5)スイッチ装置1は、
回転軸X回りに回転可能な操作ダイヤル9と、
上記した(1)から(4)の回転センサ10と、
操作ダイヤル9を回転可能に支持する本体ケース2(ケース)と、
光センサ7が実装される基板6と、を有し、
操作ダイヤル9に連結された回転体8は、回転軸Xを囲む支持部85(筒状部)を有している。
遮光板86は、支持部85における基板6との対向部に設けられている。
【0081】
このように構成すると、光センサ7の2つの受光部72a、72bの出力信号から、操作ダイヤル9の回転を適切に検出できる。
【0082】
(6)遮光板86は、回転軸X周りの周方向に所定間隔で、支持部85(筒状部)の全周に亘って設けられている。
【0083】
このように構成すると、操作ダイヤル9の1回転以上の回転を適切に検出できる。
【0084】
図10の(A)から(C)は、変形例にかかる遮光板86B、86C、86Dを説明する図である。
前記した実施形態では、遮光板86が、回転軸X周りの周方向における一端側と他端側が、回転軸Xの径方向の厚みが薄くなる先細り形状で形成されており、一端側の頂点P1と、他端側の頂点P2が、支持部85の外周に沿う仮想円Im0よりも径が小さい仮想円Im1上に位置する場合を例示した。
遮光板の形状は、実施形態に示した形状にのみ限定されない。遮光板による受光の遮断と、遮断が解消されるタイミングを、目的とするタイミングに収束させることができる形状であれば、適宜変更可能である。
例えば、図10の(A)に示すように、一端側の頂点P5と、他端側の頂点P6が、外周861と内周862の間を通る仮想円Im4上に位置する形状の遮光板86Bであっても良い。
この場合にも、受光部72a、72bでの受光が遮断されるタイミングと、遮断が解消されるタイミングを、目的とするタイミングに収束させることができる。
【0085】
また、図10の(B)に示すように、楕円形状の遮光板86Cであっても良い。この場合にも、一端側の頂点P7と、他端側の頂点P8が、共通の仮想円Im5上に位置するので、受光部72a、72bで受光が遮断されるタイミングと、遮断が解消されるタイミングを、目的とするタイミングに収束させることができる。
【0086】
さらに、図10の(C)に示すように、外周861の長さL861のほうが、内周862の長さL862よりも短い略台形の遮光板86Dであっても良い。この場合には、周方向の一側863と他側864を、ぞれぞれ、発光部71と受光部72(72a、72b)とを結ぶ直線Ln1、Ln2に沿う形状にすることで、受光部72a、72bで受光が遮断されるタイミングと、遮断が解消されるタイミングを、目的とするタイミングに収束させることができる。
【0087】
さらに、遮光板を、頂点P1、P2と、遮光板の内周の1点を繋いだ三角形形状としても良い。
【0088】
なお、前記した実施形態では、一対の受光部72(72a、72b)が、遮光板86の移動軌跡の外径側に位置している場合を例示した。そのため、遮光板86の頂点P1、P2が、受光部72に近い外周861に沿う仮想円Im1上に位置する構成とした。
一対の受光部72(72a、72b)が、遮光板86の移動軌跡の内径側に位置している場合には、遮光板86の頂点P1、P2を、受光部72に近い内周862に沿う仮想円Im3(図3の(A))上に位置させれば良い。
【0089】
以上、本願発明の実施形態および変形例を説明したが、本願発明は、これらのものに限定されるものではなく、発明の技術的な思想の範囲内で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 :スイッチ装置
2 :本体ケース
3 :ボディ
4 :フロントカバー
5 :リアカバー
6 :基板
7 :光センサ
71 :発光部
72(71a、71b) :受光部
8 :回転体
81 :第1筒部
82 :第2筒部
83 :接続部
84 :フランジ部
85 :支持部
86、86A~86D :遮光板
861 :外周
862 :内周
863 :一側
864 :他側
9 :操作ダイヤル
10 :回転センサ
Im1~Im5 :仮想円
P1~P8 :頂点
W86 :厚み
X :回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10