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  • 特開-撮影台 図1
  • 特開-撮影台 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117365
(43)【公開日】2023-08-23
(54)【発明の名称】撮影台
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/56 20210101AFI20230816BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
G03B17/56 E
H04N5/222
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154659
(22)【出願日】2022-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2022019294
(32)【優先日】2022-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522054798
【氏名又は名称】クローバー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100189865
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 正寛
(74)【代理人】
【識別番号】100094215
【弁理士】
【氏名又は名称】安倍 逸郎
(72)【発明者】
【氏名】小出 大介
【テーマコード(参考)】
2H105
5C122
【Fターム(参考)】
2H105CC25
5C122DA35
5C122EA42
5C122EA55
(57)【要約】
【課題】単純な構造で、各種情報が印字された紙媒体を撮影して得られた撮影データから情報を正確に読み取ることができる撮影台を提供する。
【解決手段】領収書など、所定の情報が印刷された紙媒体を、カバー部材と載置部材との間に挟み込み、カメラを用いて紙媒体を撮影する。カバー部材は無色透明の板材から構成され、また、載置板部材は白色以外の色に着色されている。これにより、領収書の部分と、それ以外との部分でコントラストが生じる。このようにすることにより、撮影時に陰影が生じることがないだけでなく、撮影して得られた撮影データから各種情報を正確に読み取ることが可能となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の情報が印刷された紙媒体を、カメラを用いて撮影する際に使用する、屈曲性を有するシート状の撮影シートであって、
白色以外の色に着色された所定厚さの載置部材と、
無色透明である所定厚さのカバー部材と、を有し、
上記載置部材と上記カバー部材とにより上記紙媒体を挟み込み、その後上記載置部材と上記カバー部材とを屈曲させることにより、上記カバー部材と、上記紙媒体の情報の印刷面とが接する状態にて、上記カメラを用いて上記紙媒体を撮影する撮影台。
【請求項2】
上記カバー部材に、低反射加工が施された請求項1に記載の撮影台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影台、詳しくは領収書やレシートなど、所定の情報が印刷された紙媒体を手に持って、カメラを用いて撮影する際に、陰影などが生じることなく、鮮明な写真データを得ることができる撮影台に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルトランスフォーメーションが進む経済社会において、電子帳簿保存法の2022年1月施行の改正により、経理電子化による社内の生産性向上、テレワークの推進、ペーパレス化が図られるようになった。このため、領収書やレシートなどの帳票を光学的に読み取り、読み取った画像に基づいて、各種情報を財務システムに提供するサービスが会計ソフトウェアなどを提供する企業などから提供されている。
【0003】
このような状況下で、ITに疎いユーザであっても、事業を展開している場合には、会計ソフトウェアを活用せざるを得ない。そのためには、小売店から商品を購入した際に発行される紙媒体であるレシートなどを、簡便に撮影し、財務システムに各種情報を提供できる機能が必要である。しかしながら、レシートを単にカメラで撮影した場合には、レシートの長さによっては、レシートにカールが発生することから、ピントが合っておらず、撮影された画像データから必要な情報を入手することができなかった。また、撮影時に陰影が発生し、この陰影の存在から、必要な情報を入手することができなかった。
【0004】
紙媒体を光学的に読み取り、読み取った画像に基づいて各種情報を財務システムに提供することを可能とする撮影台として、特許文献1、特許文献2等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-76753号公報
【特許文献2】特開2016-117168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、特許文献2に記載の技術は、いずれも、載置台に領収書等の紙媒体を載置し、カバーをかぶせて使用するものである。そして、特許文献1の技術では、携帯端末装置にて、端末配置部に設けられた撮影孔を介して紙媒体を撮影する。特許文献2の技術では、カバーをかぶせたものをスキャナのページめくり読み取り装置に送られる。
【0007】
特許文献1に記載の技術では、携帯端末を用いて紙媒体を撮影する点では、簡便であるものの、装置が大型化するため、わずかな量のレシートを撮影することを考えると手間が多いだけではなく、本装置が置かれている場所まで移動し、レシートを撮影する必要があるため、簡便であるとは言いがたい。
また、特許文献2に記載の技術では、別途スキャナを用意しなければならず、簡便であるとは言いがたい。
【0008】
そこで、発明者は、写真撮影に発生する陰影に着目し、紙媒体を載置する載置部材を白色以外の色に着色するとともに、載置部材と上記カバー部材とにより上記紙媒体を挟み込んで撮影することにより、単純な構造で、撮影したときの文字情報の視認効率が高まり、撮影データから各種情報を正確に読み取ることができることを知見し、本発明を完成させた。
【0009】
本発明は、単純な構造で、各種情報が印字された紙媒体を撮影して得られた撮影データから情報を正確に読み取ることができる撮影台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、所定の情報が印刷された紙媒体を、カメラを用いて撮影する際に使用する、屈曲性を有するシート状の撮影シートであって、白色以外の色に着色された所定厚さの載置部材と、無色透明である所定厚さのカバー部材と、を有し、上記載置部材と上記カバー部材とにより上記紙媒体を挟み込み、その後上記載置部材と上記カバー部材とを屈曲させることにより、上記カバー部材と、上記紙媒体の情報の印刷面とが接する状態にて、上記カメラを用いて上記紙媒体を撮影する撮影台である。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、領収書など、所定の情報が印刷された紙媒体を、カバー部材と載置部材との間に挟み込み、カメラを用いて紙媒体を撮影する。カバー部材は無色透明の板材から構成され、また、載置部材は白色以外の色に着色されている。一般的に、領収書は白色であることから、載置部材が白色以外の色に着色されることで、領収書の部分と、それ以外との部分でコントラストが生じる。このようにすることにより、撮影時に陰影が生じることがないだけでなく、撮影して得られた撮影データから各種情報を正確に読み取ることが可能となる。
【0012】
なお、載置部材の着色については、濃色、つまり、白または淡色に対してコントラストが大きい色であり、黒、緑、赤、青など原色であることが好ましく、このうち、最も本発明の効果を達成できるものは緑であることから、載置部材は緑に着色されていることが好ましい。しかしながら、濃色は外部光の反射が発生するため、載置部材の着色については淡色であってもよく、また、カバー部材の表面およびまたは裏面に低反射加工を施してもよい。低反射加工の方法としては、物理的・化学的に表面処理による方法、コーティング剤の塗布、低反射フィルムの貼付などが考えられる。また、カバー部材の素材を、低反射機能を有する材質のものを使用してもよい。
【0013】
載置部材、カバー部材は、いずれも、写真撮影により陰影が生じないものであれば、材質・厚さ・硬度・大きさは特に問わないが、持ち運びの容易性から、大きさはA5サイズ~A4サイズ、厚さは0.1mm~1.5mmであることが好ましい。なお、硬度は、載置部材、カバー部材を重ねて、手で屈曲できる程度であれば、写真撮影が可能であるため特に問わない。屈曲性を有することにより、撮影時に手に持って撮影するときに載置部材とカバー部材との間に気泡等が入らず、載置部材、カバー部材、そして紙媒体が密着するため、撮影した撮像データは、文字情報の視認効率が高まる。特に、折り目のある紙媒体のときは、紙媒体を手に持って撮影したときに、紙媒体全体にピントを合わせることが困難であり、撮像データから文字情報の視認が困難となる。しかしながら、本発明によれば、カバー部材・載置部材が屈曲性を有することにより、紙媒体をカバー部材・載置部材に挟み込み、カバー部材・載置部材を屈曲させることで、カバー部材と載置部材とがより強く密着させることができるため、視認効率を高めることができ、有効である。
【0014】
請求項2に記載の発明は、上記カバー部材に、低反射加工が施された請求項1に記載の撮影台である。
載置部材の着色が濃色の場合、外部光の反射が発生するため、カバー部材の表面およびまたは裏面に低反射加工を施すことで、外部からの入射光を撮影データに取り込むことを防ぐことができる。
低反射加工の方法としては、物理的・化学的に表面処理による方法、コーティング剤の塗布、低反射フィルムの貼付などが考えられる。また、カバー部材の素材を、低反射性を有する材質のものを使用してもよい。
【0015】
なお、カバー部材は、複数に分割されていてもよい。この場合、カバー部材が2以上に分割されていることにより、カバー部材の一部を用いて、紙媒体をクリップすることで、紙媒体を仮固定し、その後、残りのカバー部材を使って紙媒体を挟み込むことができる。これにより、厚さの薄い紙媒体であっても、紙媒体を破損することなく、撮影データを取得することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、領収書など、所定の情報が印刷された紙媒体を、カバー部材と載置部材との間に挟み込み、カメラを用いて紙媒体を撮影する。カバー部材は無色透明の板材から構成され、また、載置部材は白色以外の色に着色されている。これにより、領収書などの紙媒体の部分と、それ以外との部分でコントラストが生じ、撮影時に陰影が生じることがないだけでなく、撮影して得られた撮影データから各種情報を正確に読み取ることが可能となる。
【0017】
特に、請求項2に記載の発明によれば、載置部材の着色が濃色の場合、外部光の反射が発生するため、カバー部材の表面およびまたは裏面に低反射加工を施すことで、外部からの入射光を撮影データに取り込むことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(a)本発明の実施例1に係る撮影台の構成を示す斜視図である。(b)本発明の実施例1に係る撮影台を用いて紙媒体を撮影するときの撮影台の状態を示す斜視図である。
図2】本発明の実施例2に係る撮影台を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施例1)
本発明の実施例1に係る撮影台を、図面(図1(a))を参照にしつつ説明する。当該撮影台は、平面視して矩形状であり、A5サイズの樹脂製のもの(クリアファイル)である。撮影台は、全体を白以外の色に着色された載置部材11と、無色透明のカバー部材12とが一体に形成されている。つまり、一枚の矩形フィルムを折り曲げ、そのうち、載置部材のみ塗料で塗布(または色紙を貼付する)ことにより撮影台を構成している。なお、載置部材11とカバー部材12とを別部材により構成し、テープなどで両部材の端部を接着させることにより開閉可能に構成してもよい。
【0020】
このように構成された撮影台を用いて、紙媒体の撮影を行う。まず、載置部材11に紙媒体100を載置する。このとき、撮影する紙媒体100の面を上面にする。次に、カバー部材12を折り曲げ、カバー部材12と紙媒体100の上面とを接触させる。その後、この撮影台をもって、手で屈曲させる。その後、カメラのピントを合わせて、撮影し、撮像データを取得する。
【0021】
このとき、載置部材11の色を白色、水色、緑色、黒色の4色で試験を行った。その結果、白色の場合は、撮像データから紙媒体100と載置部材11の区別が困難であり、また、紙媒体100に印字された情報を認識することが困難である領域があることが判明した。
載置部材11の色が水色、緑色、黒色のときは、紙媒体100に陰影は生じることなく、また、紙媒体100に印字された情報を明確に認識することが可能であった。
しかしながら、載置部材11の色が緑色、黒色のとき、外部光の反射光が撮像データに映りこんでいた。そこで、カバー部材12の表面に低反射フィルムを貼付して、再度撮影したところ、外部光の反射光が抑えられ、紙媒体に陰影は生じることなく、また、紙媒体に印字された情報を明確に認識することが可能であった。
【0022】
(実施例2)
実施例2に係る撮影代は図2に示すように、矩形上のカバー部材22A,22Bが長さ方向の長さが1:3程度の割合となるように二分割されている。そして、長さ方向の長さが短い方のカバー部材(カバーA部材22A)は、載置部材の短辺を軸に折り畳みが可能なようにヒンジが取り付けられているとともに、長さ方向の長さが長いほうのカバー部材(カバーB部材22B)は、載置部材の長辺を軸に折り畳みが可能なようにヒンジが取り付けられている。
【0023】
このように構成された撮影台を用いて紙媒体の撮影を行う。まず、載置部材21に紙媒体を載置する。その後、カバーA部材22Aにて紙媒体をクリップするようにして仮固定し、その後、カバーB部材22Bにて、紙媒体を挟み込むことにより、紙媒体を固定する。
このようにすることにより、紙媒体が薄かったり、劣化が著しいものであっても、紙媒体を破損することなく、撮影することができる。ただし、カバーA部材22AとカバーB部材22Bとが同一素材、同一厚みであっても、カバーA部材22AとカバーB部材22Bとの境界は、撮像データから見てとれるものであった。しかしながら、情報の読み取りに支障が生じることはないため、特に問題なく、紙媒体に印字された情報を明確に認識することが可能であった。
この他の構成は実施例1と同様のため、省略する。
【符号の説明】
【0024】
11,21 載置部材、
12 カバー部材、
22A カバーA部材、
22B カバーB部材。
図1
図2