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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117370
(43)【公開日】2023-08-23
(54)【発明の名称】液晶表示パネル及び液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1343 20060101AFI20230816BHJP
   G02F 1/1347 20060101ALI20230816BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALN20230816BHJP
   G02F 1/133 20060101ALN20230816BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALN20230816BHJP
【FI】
G02F1/1343
G02F1/1347
G02F1/1368
G02F1/133 575
G02F1/13357
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172191
(22)【出願日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2022019878
(32)【優先日】2022-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】518078142
【氏名又は名称】上海天馬微電子有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100183955
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 悟郎
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100180334
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 洋美
(74)【代理人】
【識別番号】100177149
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 浩義
(74)【代理人】
【識別番号】100174067
【弁理士】
【氏名又は名称】湯浅 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 成美
(72)【発明者】
【氏名】今野 隆之
【テーマコード(参考)】
2H092
2H189
2H192
2H193
2H391
【Fターム(参考)】
2H092HA04
2H092JA24
2H092JB05
2H092JB23
2H092JB32
2H092NA07
2H092PA02
2H189AA27
2H189AA35
2H192AA24
2H192BB12
2H192BB53
2H192BB66
2H192BB73
2H192BC31
2H192CC15
2H192CC55
2H192JA33
2H192JB12
2H193ZF17
2H193ZG03
2H193ZG14
2H193ZG43
2H193ZG48
2H391AA03
2H391AB04
2H391AC13
2H391AC32
2H391CB13
2H391CB43
2H391EB02
(57)【要約】
【課題】透過率が高い液晶表示パネル及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示パネルは、複数の画素を備える。画素は、画素電極と、共通電極と、画素電極と共通電極により印加される電圧によって面内で回転する液晶とを有する。画素電極は、線状電極254を有する。誘電率異方性が正である液晶の初期配向方向、又は、誘電率異方性が負である液晶の初期配向方向に垂直な方向を、所定の第1方向とした場合、隣接する画素の境界部290において、隣接する画素の間の境界線292と線状電極254と線状電極254の端辺255cは前記所定の第1方向に対して傾斜し、境界線292と線状電極254と端辺255cの所定の第1方向に対する傾斜方向が同じである。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素電極と、共通電極と、前記画素電極と前記共通電極により印加される電圧によって面内で回転する液晶とを有する、複数の画素を備え、
前記画素電極は、線状電極を有し、
誘電率異方性が正である前記液晶の初期配向方向、又は、誘電率異方性が負である前記液晶の初期配向方向に垂直な方向を、所定の第1方向とした場合、
隣接する前記画素の境界部において、該隣接する画素の間の境界線と前記線状電極と前記線状電極の端辺が前記所定の第1方向に対して傾斜し、前記境界線と前記線状電極と前記端辺の前記所定の第1方向に対する傾斜方向が同じである、
液晶表示パネル。
【請求項2】
前記端辺が曲線状である、
請求項1に記載の液晶表示パネル。
【請求項3】
前記端辺の前記所定の第1方向に対する傾斜角が、前記境界線の前記所定の第1方向に対する傾斜角よりも大きい、
請求項1に記載の液晶表示パネル。
【請求項4】
隣接する前記画素の境界部において、一方の前記画素における前記線状電極の長辺の延長線と他方の前記画素の前記線状電極の長辺の延長線が、前記所定の第1方向に垂直な方向にずれている、
請求項1に記載の液晶表示パネル。
【請求項5】
所定の第2方向にジグザグに延びる走査配線を備え、
前記画素の形状は、前記走査配線に沿って折れ曲がっている、
請求項1に記載の液晶表示パネル。
【請求項6】
隣接する前記画素の境界部において、一方の前記画素の前記線状電極と他方の前記画素の前記線状電極が平行である場合、一方の前記画素の前記線状電極と他方の前記画素の前記線状電極との間隔は、前記画素の内の前記線状電極の間隔よりも広い、
請求項1に記載の液晶表示パネル。
【請求項7】
モノクロ画像を表示する、請求項1から6のいずれか1項に記載の液晶表示パネルと、
カラー画像を表示するカラー液晶表示パネルと、を備える、
液晶表示装置。
【請求項8】
前記液晶表示パネルの前記画素のそれぞれは、前記カラー液晶表示パネルの複数の画素に対して光を出射する、
請求項7に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液晶表示パネル及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の液晶表示パネルを重ねることにより、コントラストを向上させた液晶表示装置が知られている。例えば、特許文献1は、複数の表示パネルが重ね合わされて配置され、それぞれの表示パネルに画像を表示する液晶表示装置であって、カラー画像を表示する第1表示パネルと白黒画像を表示する第2表示パネルとを含む液晶表示装置を、開示している。
【0003】
特許文献1では、第2表示パネルの画素電極は略平行四辺形の外形形状を有し、列方向に延在する複数のスリットが第2表示パネルの画素電極に形成されている。また、第2表示パネルの画素電極は、列方向に延在する第1辺と、列方向に延在し第1辺に対向する第2辺と、第1辺と第2辺のそれぞれの一端を結ぶ第3辺と、第1辺と第2辺のそれぞれの他端を結ぶ第4辺とを含み、第3辺と第4辺が、それぞれ、行方向に対して所定の角度を有して傾斜している。特許文献1では、第3辺と第4辺を行方向に対して傾斜させることにより、観察者が液晶表示装置を斜め方向から見た場合、第1表示パネルの画素の開口を介して、第2表示パネルのブラックマトリクス、配線等が観察者に見えて、ブラックマトリクス、配線等が周期的な輝度の明暗として観察者に視認されることを抑制している。すなわち、第3辺と第4辺を行方向に対して傾斜させることにより、列方向に隣り合う画素の境界部における暗線の発生を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-120045号公報
【特許文献2】特表2020-513111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の液晶表示パネルを重ねると、重ね合わされた表示パネルの透過率は、重ね合わされる液晶表示パネルのそれぞれの透過率の積となるので、単独の表示パネルの透過率よりも低くなる。したがって、重ね合わされる液晶表示パネルのそれぞれの透過率を向上させることが望まれる。特許文献1の第2表示パネルは横電界モードで動作するが、横電界モードで動作する液晶表示パネルには、画素電極が線状電極(ブランチ)から形成されている液晶表示パネルもある(例えば、特許文献2)。画素電極が線状電極から形成されている場合、暗線の発生を抑制しても、隣接する画素の間にディスクリネーションラインが発生して、ディスクリネーションラインが暗部となり、液晶表示パネルの透過率が低下する虞がある。
【0006】
本開示は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、透過率が高い液晶表示パネル及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の第1の観点に係る液晶表示パネルは、
画素電極と、共通電極と、前記画素電極と前記共通電極により印加される電圧によって面内で回転する液晶とを有する、複数の画素を備え、
前記画素電極は、線状電極を有し、
誘電率異方性が正である前記液晶の初期配向方向、又は、誘電率異方性が負である前記液晶の初期配向方向に垂直な方向を、所定の第1方向とした場合、
隣接する前記画素の境界部において、該隣接する画素の間の境界線と前記線状電極と前記線状電極の端辺が前記所定の第1方向に対して傾斜し、前記境界線と前記線状電極と前記端辺の前記所定の第1方向に対する傾斜方向が同じである。
【0008】
本開示の第2の観点に係る液晶表示装置は、
モノクロ画像を表示する上記の液晶表示パネルと、
カラー画像を表示するカラー液晶表示パネルと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、隣接する画素の間の境界線と線状電極と線状電極の端辺の、所定の第1方向に対する傾斜方向が同じであるので、隣接する画素の間の境界における液晶の回転を制御でき、液晶表示パネルの透過率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1に係る液晶表示装置を示す模式図である。
図2】実施形態1に係るカラー液晶表示パネルを示す平面図である。
図3】実施形態1に係る液晶表示装置を示す断面図である。
図4】実施形態1に係る液晶表示パネルを示す平面図である。
図5】実施形態1に係る、液晶表示パネルの走査配線、画素電極等を示す平面図である。
図6図5に示すスイッチング素子をA-A線で矢視した断面図である。
図7図5に示すコンタクトホールをB-B線で矢視した断面図である。
図8】実施形態1に係る液晶表示パネルの画素電極を示す平面図である。
図9】実施形態1に係る、液晶表示パネルの隣接する画素の境界部を示す平面図である。
図10】実施形態1に係る液晶分子の回転を示す模式図である。
図11】実施形態1に係る、主画素内における液晶分子の回転を示す模式図である。
図12】実施形態1に係る、境界部における液晶分子の回転を示す模式図である。
図13】比較例1に係る液晶の回転を示す模式図である。
図14】実施形態1に係る液晶表示パネルの主画素とカラー液晶表示パネルの主画素の関係を示す平面図である。
図15】実施形態1に係る表示制御部を示すブロック図である。
図16】実施形態2に係る液晶の回転を示す模式図である。
図17】実施形態2に係る、主画素内における液晶分子の回転を示す模式図である。
図18】実施形態2に係る、境界部における液晶分子の回転を示す模式図である。
図19】比較例2に係る液晶の回転を示す模式図である。
図20】変形例に係る線状電極の端辺を示す模式図である。
図21】変形例に係る線状電極の端辺と境界線とを示す模式図である。
図22】変形例に係る線状電極を示す模式図である。
図23】変形例に係る線状電極を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る液晶表示パネルと液晶表示装置について、図面を参照して説明する。
【0012】
<実施形態1>
図1図15を参照して、本実施形態に係る液晶表示装置10と液晶表示パネル200とを説明する。液晶表示装置10は、後述するカラー液晶表示パネル100と液晶表示パネル200とにより、カラー画像を表示する。
【0013】
液晶表示装置10は、図1に示すように、パネル部50と、バックライト300と、表示制御部400とを備える。パネル部50は、カラー液晶表示パネル100と液晶表示パネル200とを有する。バックライト300は、カラー液晶表示パネル100と液晶表示パネル200に光を照射する光源である。表示制御部400は、カラー液晶表示パネル100と液晶表示パネル200の表示を制御する。なお、本明細書では、理解を容易にするため、図1における液晶表示装置10の右方向(紙面の右方向)を+X方向、上方向(紙面の上方向)を+Y方向、+X方向と+Y方向に垂直な方向(紙面の手前方向)を+Z方向として説明する。
【0014】
(パネル部)
パネル部50は、カラー液晶表示パネル100と液晶表示パネル200とを有する。カラー液晶表示パネル100は、観察者側(+Z側)に位置し、カラー画像を表示する。液晶表示パネル200は、カラー液晶表示パネル100の観察者側の面と反対側(カラー液晶表示パネル100の背面側)に位置し、カラー液晶表示パネル100に重なる。また、液晶表示パネル200は、モノクロ画像を表示する。
【0015】
(カラー液晶表示パネル)
カラー液晶表示パネル100は、例えば、公知の透過型横電界方式の液晶表示パネルである。カラー液晶表示パネル100は、TFT(Thin Film Transistor)によりアクティブマトリクス駆動される。
【0016】
カラー液晶表示パネル100は、図2に示すように、矩形形状の表示領域101に、マトリクス状に配列された主画素102を有する。主画素102は、ブラックマトリクスBMによりV字型に画定された、赤色光を出射する赤色画素104Rと緑色光を出射する緑色画素104Gと青色光を出射する青色画素104Bとから形成されている。なお、赤色画素104Rと緑色画素104Gと青色画素104Bとを総称して、サブ画素104と記載する場合がある。
【0017】
カラー液晶表示パネル100は、図3に示すように、第1TFT基板110と、第1対向基板120と、第1液晶130と、第1偏光板132と、第2偏光板134と、第1ドライバ回路136とを備える。第1TFT基板110と第1対向基板120は、第1液晶130を挟持する。第1偏光板132は第1TFT基板110に設けられ、第2偏光板134は第1対向基板120に設けられる。
【0018】
第1TFT基板110は、例えば、ガラス基板である。第1TFT基板110の第1液晶130側の主面110aには、サブ画素104を選択するためのTFT、共通電極、画素電極、第1液晶130を配向する配向膜等が設けられる(いずれも図示せず)。
【0019】
さらに、第1TFT基板110の主面110aには、複数の共通配線と複数の信号配線と複数の走査配線が形成されている(いずれも図示せず)。共通配線は、第1液晶130に電圧を印加する共通電極に共通電位を供給する。信号配線は、TFTを介して、第1液晶130に電圧を印加する画素電極に電圧を供給する。走査配線は、TFTを動作させる電圧を供給する。サブ画素104は信号配線と走査配線とに囲まれ、TFTが走査配線と信号配線との交差部に設けられている。第1TFT基板110の主面110aと反対側の主面110bには、第1偏光板132が設けられている。
【0020】
第1対向基板120は、図3に示すように、第1TFT基板110に対向し、シール材138により第1TFT基板110に貼り合わされている。第1対向基板120は、例えば、ガラス基板である。第1対向基板120の第1液晶130側の主面110aには、カラーフィルタ層122、ブラックマトリクスBM、第1液晶130を配向する配向膜等が設けられている。カラーフィルタ層122は、例えば、ストライプ状のカラーフィルタである。カラーフィルタ層122の赤色カラーフィルタと緑色カラーフィルタと青色カラーフィルタのそれぞれは、ブラックマトリクスBMに囲まれ、赤色画素104Rと緑色画素104Gと青色画素104Bのそれぞれに対応している。第1対向基板120の主面120aと反対側の主面120bには、第2偏光板134が設けられている。なお、図3では、理解を容易にするために、ブラックマトリクスBM、配向膜等を省略している。
【0021】
第1液晶130は、第1TFT基板110と第1対向基板120とに挟持される。第1液晶130は、例えば、ポジ型のネマチック液晶である。第1液晶130は、配向膜により、第1TFT基板110の主面110aに平行な方向に配向している。また、第1液晶130は、電圧を印加されることにより、第1TFT基板110の主面110aに平行な面内で回転する。
【0022】
第1偏光板132は第1TFT基板110の主面110bに設けられ、第2偏光板134は第1対向基板120の主面120bに設けられる。第1偏光板132の透過軸と第2偏光板134の透過軸は、いずれか一方の偏光板の透過軸が第1液晶130の配向方向に平行に配置されている。第1偏光板132は、透光性を有する接着層150により、後述する液晶表示パネル200の第2対向基板220に貼り合わされている。接着層150は、例えば、OCA(Optical Clear Adhesive)である。
【0023】
第1ドライバ回路136は、第1TFT基板110の主面110aに設けられる。第1ドライバ回路136は、表示制御部400から供給されるカラー画像信号に基づいて、走査配線と信号配線と共通配線に電圧を供給する。
【0024】
(液晶表示パネル)
液晶表示パネル200は、図3に示すように、カラー液晶表示パネル100の背面側(-Z側)に位置し、接着層150によりカラー液晶表示パネル100に貼り合わされている。液晶表示パネル200は、モノクロ画像を表示する。
【0025】
本実施形態では、液晶表示パネル200は、ポジ型液晶を使用した透過型横電界方式の液晶表示パネルである。液晶表示パネル200は、後述するスイッチング素子240により、アクティブマトリクス駆動される。液晶表示パネル200は、図4に示すように、矩形形状の表示領域201に、マトリクス状に配列した主画素202を有する。液晶表示パネル200の主画素202は、カラー液晶表示パネル100の複数のサブ画素104に対して光を出射する。液晶表示パネル200の主画素202とカラー液晶表示パネル100の主画素102の関係については、後述する。なお、図4では、液晶表示パネル200の主画素202の形状を、簡略化している。
【0026】
液晶表示パネル200は、図3に示すように、第2TFT基板210と、第2対向基板220と、第2液晶230と、第3偏光板232と、第2ドライバ回路236とを備える。第2TFT基板210と第2対向基板220は、第2液晶230を挟持する。第3偏光板232は第2TFT基板210に設けられる。なお、本実施形態では、カラー液晶表示パネル100の第1偏光板132が、液晶表示パネル200の光出射側の偏光板を兼ねている。また、液晶表示パネル200は、カラーフィルタとブラックマトリクスとを備えていない。
【0027】
第2TFT基板210は、例えば、ガラス基板である。第2TFT基板210の第2液晶230側の主面210aには、後述する、複数の走査配線GL、複数の信号配線DL、共通配線(図示せず)、主画素202のスイッチング素子240と画素電極250と共通電極CE、第2液晶230を配向する配向膜(図示せず)等が形成されている。共通配線は、第2液晶230に電圧を印加する共通電極CEに共通電位を供給する。信号配線DLは、スイッチング素子240を介して、第2液晶230に電圧を印加する画素電極250に電圧を供給する。走査配線GLは、スイッチング素子240を動作させる電圧を供給する。第2TFT基板210の主面210aと反対側の主面210bには、第3偏光板232が設けられている。走査配線GL、画素電極250等の構成については、後述する。
【0028】
第2対向基板220は、第2TFT基板210に対向し、シール材238により第2TFT基板210に貼り合わされている。第2対向基板220は、例えば、ガラス基板である。第2対向基板220の第2液晶230側の主面220aには、第2液晶230を配向する配向膜(図示せず)が設けられている。第2対向基板220の主面220aと反対側の主面220bには、接着層150が設けられている。第2対向基板220は、接着層150を介して、カラー液晶表示パネル100(第1偏光板132)に貼り付けられている。
【0029】
第2液晶230は、第2TFT基板210と第2対向基板220とに挟持される。第2液晶230はポジ型(誘電率異方性が正)のネマチック液晶である。第2液晶230は、配向膜により、+Y方向に初期配向している。本実施形態では、ポジ型の第2液晶230の初期配向方向である+Y方向が、所定の第1方向に相当する。
【0030】
第2液晶230は、電圧を印加されることにより、第2TFT基板210の主面210aに平行な面内で回転する。第2液晶230の回転については、後述する。
【0031】
第3偏光板232は第2TFT基板210の主面210bに設けられる。第3偏光板232の透過軸は、第2液晶230の配向方向に平行に配置されている。なお、第3偏光板232の透過軸とカラー液晶表示パネル100の第1偏光板132(液晶表示パネル200の光出射側の偏光板)の透過軸は直交しており、液晶表示パネル200はノーマリーブラックモードで動作する。
【0032】
第2ドライバ回路236は、第2TFT基板210の主面210aに設けられる。第2ドライバ回路236は、表示制御部400から供給される信号に基づいて、走査配線GLと信号配線DLと共通配線に電圧を供給する。
【0033】
次に、図4図11を参照して、走査配線GL、信号配線DL、主画素202等の構成を説明する。図5は、走査配線GL、信号配線DL、画素電極250等を示す平面図である。図6図5に示すスイッチング素子240をA-A線で矢視した断面図であり、図7図5に示すコンタクトホールCHをB-B線で矢視した断面図である。図8は画素電極250を示す平面図である。なお、図5では、理解を容易にするために、後述する画素電極250の線状電極254の一部と共通電極CEを省略している。また、図6図7では、第3絶縁層278のハッチングを省略している。図8では、画素電極250を実線で示している。
【0034】
走査配線GLは、図4図5に示すように、ジグザグにX方向に延びる。走査配線GLの折れ曲がり点P1は、後述するように、カラー液晶表示パネル100のX方向に延びるブラックマトリクスBMに重なっている。走査配線GLは、図7に示すように、第2TFT基板210の主面210aの上に形成され、第1絶縁層272に覆われている。走査配線GLは、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)等の金属から形成される。本実施形態では、走査配線GLが延びるX方向が所定の第2方向に相当する。
【0035】
信号配線DLは、図4図5に示すように、Y方向に延び、画素電極250の線状電極254に沿って折れ曲がっている。信号配線DLは、図6に示すように、第1絶縁層272の上に形成され、第2絶縁層274に覆われている。信号配線DLも、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)等の金属から形成される。
【0036】
共通電極CEは、図6図7に示すように、第2絶縁層274の上に形成されている有機層間膜276の上に形成される。共通電極CEは、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)から形成される。共通電極CEは、第3絶縁層278に覆われている。
【0037】
スイッチング素子240は、走査配線GLと信号配線DLとの交点付近に設けられる。スイッチング素子240は、図5図6に示すように、ゲート電極242と半導体層244とソース電極246とドレイン電極248とを有する。スイッチング素子240は、例えば、TFT素子である。
【0038】
ゲート電極242は、走査配線GLと一体に、第2TFT基板210の主面210aの上に形成されている。ゲート電極242は、走査配線GLと同様に、第1絶縁層272に覆われる。半導体層244は、第1絶縁層272を介して、ゲート電極242の上にアイランド状に設けられる。半導体層244は、例えば、アモルファスシリコンから形成される。ソース電極246は、信号配線DLから分岐して、半導体層244の上に形成される。ドレイン電極248は、半導体層244の上から走査配線GLに沿って延びる。ドレイン電極248は、図7に示すように、第3絶縁層278と有機層間膜276と第2絶縁層274とを貫通するコンタクトホールCHを介して、後述する画素電極250の幹線電極252に接続している。ソース電極246とドレイン電極248は、信号配線DLと同様に、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)等の金属から形成される。また、半導体層244とソース電極246と半導体層244上のドレイン電極248は、図6に示すように、第2絶縁層274に覆われている。
【0039】
第1絶縁層272は、図6図7に示すように、走査配線GLとスイッチング素子240のゲート電極242とを覆う。第2絶縁層274は、スイッチング素子240の半導体層244とソース電極246と半導体層244上のドレイン電極248と、第1絶縁層272とを覆う。有機層間膜276は、感光性樹脂から、第2絶縁層274の上に形成される。第3絶縁層278は、共通電極CEと有機層間膜276とを覆う。第1絶縁層272と第2絶縁層274と第3絶縁層278は、窒化シリコン(SiNx)、酸化シリコン(SiOx)等から形成される。
【0040】
画素電極250は、図6図7に示すように、第3絶縁層278の上に形成される。画素電極250は、例えば、ITOから形成される。また、画素電極250は、図5図8に示すように、幹線電極252と線状電極254とを有する。
【0041】
幹線電極252は、走査配線GLの上に設けられ、走査配線GLに沿って折れ曲がっている。したがって、幹線電極252は、走査配線GLの折れ曲がり点P1と同じ折れ曲がり点P1を有している。
【0042】
線状電極254は、幹線電極252から分岐して、+Y方向又は-Y方向に延びる。線状電極254は、第1傾斜部254aと第2傾斜部254bとを有する。第1傾斜部254aにおける線状電極254の長辺255a、255bは+Y方向に対して時計回り方向に鋭角に傾斜し、第1傾斜部254aは+Y方向に対して時計回り方向に鋭角に傾斜している。また、第2傾斜部254bにおける線状電極254の長辺255a、255bは+Y方向に対して反時計回り方向に鋭角に傾斜し、第2傾斜部254bは+Y方向に対して反時計回り方向に鋭角に傾斜している。線状電極254は、第1傾斜部254aと第2傾斜部254bが繰り返されて、+Y方向又は-Y方向に延びている。線状電極254は、X方向において、互いに平行に等間隔に配置されている。
【0043】
画素電極250の外形形状は、図8に示すように、走査配線GLに沿って折れ曲がっており、+Y側の辺と-Y側の辺に突出部256と切り欠け部258とを有する、非対称なV字形となっている。突出部256と切り欠け部258は、後述するように、Y方向に隣接する主画素202の境界部290において、Y方向に対する隣接する主画素202の間の境界線292の傾斜方向と、Y方向に対する線状電極254の傾斜方向とを同じにするために、設けられている。ここで、本明細書では、傾斜方向が同じとは、所定の第1方向に対して同じ方向(時計回り又は反時計回り)に鋭角に傾斜していることを指す。例えば、境界線292と線状電極254が、共に、+Y方向に対して時計回りに鋭角に傾斜している場合、境界線292と線状電極254の傾斜方向は同じである。また、本実施形態では、画素電極250の外形形状を主画素202の形状とする。
【0044】
画素電極250の外形形状のパターン(線状電極254のパターン)は、図8に示すパターンA~パターンDに分けられ、1組のパターンA~パターンDがX方向に繰り返し並んでいる。一方、Y方向には、同じパターンの画素電極250が並ぶ。なお、パターンAとパターンCと、パターンBとパターンDは、X軸に対して回転対称となっている。
【0045】
本実施形態では、Y方向に隣接する主画素202の境界部290において、+Y方向(すなわち、ポジ型の第2液晶230の初期配向方向)に対する、隣接する主画素202の間の境界線292の傾斜方向と+Y方向に対する線状電極254の傾斜方向が、同じである。ここでは、図8に示す部分280を例に、図9を参照して、境界線292の傾斜方向と線状電極254の傾斜方向を説明する。
【0046】
図9に示すように、境界部290における線状電極254が+Y方向に対して時計回り方向に鋭角に傾斜した第1傾斜部254aである場合、境界線292は、第1傾斜部254aと同様に、+Y方向に対して時計回り方向に鋭角に傾斜している。また、境界部290における線状電極254が+Y方向に対して反時計回り方向に鋭角に傾斜した第2傾斜部254bである場合、境界線292は、突出部256と切り欠け部258が設けられることにより、第2傾斜部254bと同様に、+Y方向に対して反時計回り方向に鋭角に傾斜している。画素電極250の他の部分においても、部分280と同様に、+Y方向に対する境界線292の傾斜方向と+Y方向に対する線状電極254の傾斜方向は、同じである。なお、X方向において、線状電極254は互いに平行に配置されているので、X方向に隣接する主画素202の境界部290において、X方向に隣接する主画素202の間の境界線292の傾斜方向と線状電極254の傾斜方向は同じである。
【0047】
本実施形態では、境界線292の傾斜方向と線状電極254の傾斜方向が同じである。また、線状電極254の先端部254cは、図9に示すように、いわゆる鑿(ノミ)の刃先(chisel edge)のような形状を有している。線状電極254の先端部254cにおける刃先の傾斜面(bevel)、すなわち線状電極254の端辺255cは+Y方向に対して時計回り又は反時計回り方向に鋭角に傾斜しており、線状電極254の端辺255cと境界線292の+Y方向に対する傾斜方向は同じである。これらにより、図10に示すように、隣接する主画素202の間の境界部290における液晶分子230Mを、主画素202の内における液晶分子230Mと同じ方向(例えば、+Y方向に対して時計回り方向)に回転させる、電界(電界方向E)が境界部290に生じる。したがって、主画素202の内の液晶分子230Mと境界部290の端部領域が接する界面おける液晶分子230Mとを同一方向に回転させることにより、ディスクリネーションラインの発生を抑制すると共に、境界部290のバルク領域における液晶分子230Mも同一方向に回転させて、暗線の発生を抑制できる。ディスクリネーションラインと暗線の発生を抑制できるので、液晶表示パネル200の透過率が向上する。
【0048】
図11図12を参照して、液晶分子230Mの回転と液晶表示パネル200の透過率を、より具体的に説明する。図11は、主画素202内における、液晶分子230Mの初期配向状態と液晶分子230Mが線状電極254によって生成された電界により回転した状態とを示している。図11に図示する電界方向E1は、主画素202内の線状電極254によって生成される電界の向きを示している。また、図11に図示する角度θ1は、主画素202内の液晶分子230Mが電界によって回転する角度を示している。図12は、境界部290における、液晶分子230Mの初期配向状態と液晶分子230Mが線状電極254によって生成された電界により回転した状態とを示している。図12に図示する電界方向E2は、境界部290に生じる電界の向きを示している。また、角度θ2は、境界部290の液晶分子230Mが電界によって回転する角度を示している。
【0049】
一般的に、偏光軸が直交した上下2枚の偏光板の間において、液晶分子が一方向に一様に配向している場合、上下の偏光板を透過する光の強度は、下記の式(1)により表される。
I=I×sin(2×θ)×sin(πΔnd/λ) (1)
ここで、Iは出射する光の強度を、Iは入射する光の強度を、θは偏光板の偏光軸と液晶の長軸方向がなす角度を、Δnは液晶分子の屈折率異方性を、dは液晶が封入されている間隙の厚さを、λは光の波長を表す。式(1)から、θ=45°のときに出射する光の強度が最大となる。したがって、主画素202内の線状電極254よって形成される電界方向E1と第2液晶230の配向方向は、式(1)に基づいて、液晶分子230Mが回転した場合に、出射する光の強度(すなわち、液晶表示パネル200の透過率)が最大となるように設定される。
【0050】
本実施形態では、境界線292の傾斜方向と線状電極254の傾斜方向が同じであり、かつ、境界線292の傾斜方向と線状電極254の端辺255cの傾斜方向が同じであるので、図11図12に示すように、境界部290における電界の向き(電界方向E2)が主画素202内における電界の向き(電界方向E1)に近づく。これにより、境界部290の液晶分子230Mは、主画素202内の液晶分子230Mと連続的に回転するので、境界部290を透過する光の透過率は主画素202内を透過する光の透過率に近づく。したがって、境界部290を透過する光の透過率の低下を抑えて、液晶表示パネル200の透過率を向上できる。
【0051】
一方、例えば、境界線292の傾斜方向と線状電極254の傾斜方向が異なる場合(以下、比較例1と記載)、隣接する主画素202の間の境界部290における液晶分子230Mと主画素202の内の液晶分子230Mは、異なる方向に回転する虞がある。比較例1では、例えば、図13に示すように、隣接する主画素202の間の境界部290における液晶分子230Mは+Y方向に対して時計回りに回転し、主画素202の内の液晶分子230Mは+Y方向に対して反時計回りに回転する。これにより、比較例1の隣接する主画素202と境界部290の端部領域が接する界面の間では、ディスクリネーションラインが発生し、比較例1の構成を有する液晶表示パネルの透過率は低下する。
【0052】
以上のように、境界線292の傾斜方向と線状電極254の傾斜方向と線状電極254の端辺255cの傾斜方向が同じであるので、隣接する主画素202の間において、液晶分子230Mの回転を制御して、ディスクリネーションラインと暗線の発生を抑制し、液晶表示パネル200の透過率を向上できる。
【0053】
次に、液晶表示パネル200の主画素202とカラー液晶表示パネル100の主画素102の関係について説明する。本実施形態では、液晶表示パネル200の主画素202は、走査配線GLに沿って折れ曲がった形状を有する。さらに、液晶表示パネル200の主画素202が、カラー液晶表示パネル100の複数のサブ画素104に対して光を出射する。したがって、液晶表示パネル200の表示領域201は、カラー液晶表示パネル100の表示領域101よりも広いことが好ましい。
【0054】
また、図14に示すように、液晶表示パネル200の走査配線GLの折れ曲がり点(すなわち、幹線電極252の折れ曲がり点)P1が、カラー液晶表示パネル100の主画素102を画定しX方向に延びる、カラー液晶表示パネル100のブラックマトリクスBMに重なる。また、液晶表示パネル200の主画素202におけるV字形の折れ曲がり点P2も、カラー液晶表示パネル100の主画素102を画定しX方向に延びる、カラー液晶表示パネル100のブラックマトリクスBMに重なっている。これらにより、カラー液晶表示パネル100は、液晶表示パネル200から出射された光を高効率で利用できる。なお、図14では、理解を容易にするために、カラー液晶表示パネル100のブラックマトリクスBMを誇張して図示している。
【0055】
(バックライト)
バックライト300は、図1に示すように、液晶表示パネル200の背面側(-Z側)に配置される。バックライト300は、例えば、直下型バックライトである。バックライト300は、白色LED(Light emitting diode)素子、反射シート、拡散シート等を備えている(いずれも図示せず)。
【0056】
(表示制御部)
表示制御部400は、カラー液晶表示パネル100と液晶表示パネル200の表示を制御する。表示制御部400は、図15に示すように、画像データ分配部410と、第1画像信号生成部420と、第2画像輝度信号生成部430と、第2画像信号生成部440とを備える。
【0057】
画像データ分配部410は、入力画像データを、第1画像信号生成部420と第2画像輝度信号生成部430とに分配する。
【0058】
第1画像信号生成部420は、画像データ分配部410から分配された入力画像データから、カラー液晶表示パネル100に表示するカラー画像を生成する。具体的には、第1画像信号生成部420の第1階調変換部422が、分配された入力画像データを、カラー液晶表示パネル100に適した輝度-階調特性を有するカラー画像データに変換する階調変換を行う。データの変換には、例えば、入出力の関係を予め設定したルックアップテーブルが用いられる。第1画像信号生成部420は、生成されたカラー画像を表すカラー画像信号をカラー液晶表示パネル100の第1ドライバ回路136へ送信する。
【0059】
第2画像輝度信号生成部430は、画像データ分配部410から分配された入力画像データから、液晶表示パネル200に表示するモノクロ画像を生成するための輝度信号を生成する。第2画像輝度信号生成部430は、例えば、液晶表示パネル200の1つの主画素202から出射される光が入射する、カラー液晶表示パネル100の複数のサブ画素104における、階調値の平均値、頻出値、最小値、最大値等から、液晶表示パネル200の1つの主画素202の輝度レベルを求める。求められた輝度レベルは、階調値であってもよい。第2画像輝度信号生成部430は、求められた輝度レベルを表す輝度信号を第2画像信号生成部440に送信する。
【0060】
第2画像信号生成部440は、第2画像輝度信号生成部430から送信された輝度信号に基づいて、液晶表示パネル200に表示するモノクロ画像を生成する。第2画像信号生成部440は、例えば、平均化処理と階調変換とを施したモノクロ画像を生成する。具体的には、第2画像信号生成部440の演算部442は、注目する主画素202の所定の距離内に位置する主画素202の輝度レベルを、例えば、注目する主画素202からの距離に基づく加重平均により、平均化する。これにより、第2画像信号生成部440は、エッジをぼかしたモノクロ画像を生成できる。さらに、第2画像信号生成部440の第2階調変換部444は、液晶表示パネル200に適した輝度-階調特性を有するモノクロ画像データを生成する。第2階調変換部444の構成は、第1画像信号生成部420の第1階調変換部422と同様である。
【0061】
液晶表示パネル200に送信されるモノクロ画像信号は、第2画像輝度信号生成部430により実施される輝度レベルの算出、平均化処理等により、カラー液晶表示パネル100に送信されるカラー画像信号に対して遅延する。そこで、表示制御部400は、モノクロ画像信号とカラー画像信号の出力を同期させるために、図示しない同期回路を備えている。同期回路によって、カラー液晶表示パネル100のカラー画像に応じたモノクロ画像が、液晶表示パネル200に表示されるので、液晶表示装置10に適切なカラー画像が表示される。
【0062】
表示制御部400は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ等から構成される。表示制御部400の機能は、例えば、CPUがメモリに記憶されたプログラムを実行することによって実現される。
【0063】
以上のように、液晶表示パネル200では、境界線292の傾斜方向と線状電極254の傾斜方向と線状電極254の端辺255cの傾斜方向が同じであるので、隣接する主画素202の間において、液晶分子230Mの回転を制御して、ディスクリネーションラインの発生を抑制すると共に、暗線の発生を抑制できる。ディスクリネーションラインと暗線の発生を抑制できるので、液晶表示パネル200の透過率を向上できる。また、液晶表示パネル200の透過率が向上するので、液晶表示装置10の透過率も向上する。
【0064】
<実施形態2>
実施形態1では、液晶表示パネル200の第2液晶230はポジ型のネマチック液晶である。液晶表示パネル200の第2液晶230はネガ型(誘電率異方性が負)のネマチック液晶であってもよい。ここでは、第2液晶230の初期配向方向と、境界部290における第2液晶230の回転とを説明する。本実施形態のその他の構成は、実施形態1と同様である。
【0065】
ネガ型のネマチック液晶である第2液晶230は、+X方向に初期配向している。本実施形態では、ネガ型の第2液晶230の初期配向方向である+X方向に垂直な+Y方向が、所定の第1方向に相当する。
【0066】
本実施形態においても、実施形態1と同様に、Y方向に隣接する主画素202の境界部290において、+Y方向(すなわち、ネガ型の第2液晶230の初期配向方向に垂直な方向)に対する、隣接する主画素202の間の境界線292の傾斜方向と+Y方向に対する線状電極254の傾斜方向が、同じである。また、線状電極254の端辺255cの+Y方向に対する傾斜方向も、境界線292の+Y方向に対する傾斜方向と同じである。これらにより、図16に示すように、隣接する主画素202の間の境界部290における液晶分子230Mを、主画素202の内における液晶分子230Mと同じ方向(例えば、+Y方向に対して時計回り方向)に回転させる、電界(電界方向E)が境界部290に生じる。したがって、実施形態1と同様に、隣接する主画素202の間において、液晶分子230Mの回転を制御して、ディスクリネーションラインの発生を抑制すると共に暗線の発生を抑制でき、液晶表示パネル200の透過率を向上できる。
【0067】
図17は、主画素202内における、液晶分子230Mの初期配向状態と液晶分子230Mが線状電極254によって生成された電界により回転した状態を示している。図17に図示する電界方向E3は、主画素202内の線状電極254によって生成される電界の向きを示している。また、角度θ3は、主画素202内の液晶分子230Mが電界によって回転する角度を示している。図18は、境界部290における、液晶分子230Mの初期配向状態と液晶分子230Mが線状電極254によって生成された電界により回転した状態を示している。図18に図示する電界方向E4は、境界部290に生じる電界の向きを示している。角度θ4は、境界部290の液晶分子230Mが電界によって回転する角度を示している。
【0068】
本実施形態においても、境界線292の傾斜方向と線状電極254の傾斜方向が同じであり、かつ、境界線292の傾斜方向と線状電極254の端辺255cの傾斜方向が同じであるので、図17図18に示すように、境界部290における電界の向き(電界方向E4)が主画素202内における電界の向き(電界方向E3)に近づき、境界部290の液晶分子230Mは主画素202内の液晶分子230Mと連続的に回転する。したがって、本実施形態においても、実施形態1と同様に、境界部290を透過する光の透過率の低下を抑えて、液晶表示パネル200の透過率を向上できる。
【0069】
一方、境界線292の傾斜方向と線状電極254の傾斜方向が異なる場合(以下、比較例2と記載)、隣接する主画素202の間の境界部290における液晶分子230Mと主画素202の内の液晶分子230Mは、異なる方向に回転する虞がある。比較例2では、例えば、図19に示すように、隣接する主画素202の間の境界部290における液晶分子230Mは+Y方向に対して時計回りに回転し、主画素202の内の液晶分子230Mは+Y方向に対して反時計回りに回転する。これにより、比較例2の隣接する主画素202と境界部290の端部領域が接する界面の間では、ディスクリネーションラインが発生し、比較例2の構成を有する液晶表示パネルの透過率は低下する。
【0070】
以上のように、ネガ型の第2液晶230を用いた場合であっても、隣接する主画素202の間において、液晶分子230Mの回転を制御して、ディスクリネーションラインの発生を抑制すると共に暗線の発生を抑制でき、液晶表示パネル200の透過率を向上できる。
【0071】
<変形例>
以上、実施形態を説明したが、本開示は、要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0072】
例えば、実施形態では、カラー液晶表示パネル100はポジ型液晶を使用した横電界方式の液晶表示パネルであるが、カラー液晶表示パネル100の方式は、VA(Vertical Alignment)モード、TN(Twisted Nematic)モード等であってもよい。また、カラー液晶表示パネル100の表示領域101と液晶表示パネル200の表示領域201は、矩形形状に限られず、非矩形形状であってもよい。
【0073】
また、液晶表示パネル200は、第2対向基板220の主面220bに偏光板(光出射側の偏光板)を備えて、単独で、モノクロ画像を表示してもよい。さらに、液晶表示パネル200は、第2対向基板220の主面220aにカラーフィルタとブラックマトリクスとを備えて、カラー画像を表示してもよい。
【0074】
実施形態1では、第2液晶230(ポジ型液晶)の初期配向方向は+Y方向であるが、第2液晶230(ポジ型液晶)の初期配向方向は-Y方向であってもよい。また、実施形態2では、第2液晶230(ネガ型液晶)の初期配向方向は+X方向であるが、第2液晶230(ネガ型液晶)の初期配向方向は-X方向であってもよい。
【0075】
実施形態では、液晶表示パネル200の線状電極254は、+Y方向に対して時計回り方向に鋭角に傾斜した第1傾斜部254aと+Y方向に対して反時計回り方向に鋭角に傾斜した第2傾斜部254bから形成されている。線状電極254は、所定の第1方向(+Y方向)に対して傾斜していればよい。例えば、線状電極254は、第1傾斜部254aのみから形成されてもよい。
【0076】
液晶表示パネル200の主画素202の外形形状のパターン(線状電極254のパターン)は、パターンA~パターンDに限られない。+Y方向(所定の第1方向)に対する隣接する主画素202の間の境界線292の傾斜方向と+Y方向に対する線状電極254の傾斜方向が同じであれば、主画素202の外形形状のパターン(線状電極254のパターン)は任意である。
【0077】
実施形態1では、線状電極254の端辺255cは直線状である。境界部290において、線状電極254の端辺255cは、境界線292と線状電極254と同じ方向に傾斜していればよく、図20に示すように、曲線状であってもよい。線状電極254の端辺255cが曲線状である場合、例えば、端辺255cの接線294の、+Y方向に対する傾斜方向が、境界線292と線状電極254の+Y方向に対する傾斜方向と同じである。また、線状電極254の先端部254cは丸まってもよい。
【0078】
実施形態2においても、線状電極254の端辺255cは、境界線292と線状電極254と同じ方向に傾斜していればよく、曲線状であってもよい。また、線状電極254の先端部254cは丸まってもよい。
【0079】
図21に示すように、線状電極254の端辺255cの、所定の第1方向に対する傾斜角θ5は、境界線292の所定の第1方向に対する傾斜角θ6よりも大きいこと、が好ましい。これにより、境界部290における電界の向き(電界方向E6)が主画素202内における電界の向き(電界方向E5)により近づくので、液晶表示パネル200の透過率をより向上できる。なお、図21は、第2液晶230をポジ型液晶として図示しているが、第2液晶230がネガ型液晶である場合も同様である。
【0080】
実施形態では、図10に示すように、境界部290において、一方の主画素202における線状電極254の長辺255aの延長線ExLと他方の主画素202における線状電極254の長辺255aの延長線ExLは一致し、一方の主画素202における線状電極254の長辺255bの延長線ExLと他方の主画素202における線状電極254の長辺255bの延長線ExLは一致している。境界部290において、一方の主画素202における線状電極254の長辺255aの延長線ExLと他方の主画素202における線状電極254の長辺255aの延長線ExLと、一方の主画素202における線状電極254の長辺255bの延長線ExLと他方の主画素202における線状電極254の長辺255bの延長線ExLは、図22に示すように、所定の第1方向(+Y方向)に垂直な方向(X方向)にずれてもよい。これにより、境界部290における電界の向き(電界方向E8)が主画素202内における電界の向き(電界方向E7)により近づくので、液晶表示パネル200の透過率をより向上できる。なお、図22は、第2液晶230をポジ型液晶として図示しているが、第2液晶230がネガ型液晶である場合も同様である。
【0081】
実施形態では、液晶表示パネル200の線状電極254はX方向に等間隔に配置されている。隣接する主画素202の境界部290において、一方の主画素202の線状電極254と他方の主画素202の線状電極254が平行である場合、図23に示すように、一方の主画素202の線状電極254と他方の主画素202の線状電極254との間隔L1は、主画素202の内の線状電極254の間の間隔L2よりも広いことが、好ましい。これにより、液晶表示パネル200を反転駆動した場合、境界部290における線状電極254の間に位置する第2液晶230に過剰な電圧が印加されて、暗線が境界部290における線状電極254の間に生じることを抑制できる。
【0082】
以上、好ましい実施形態について説明したが、本開示は特定の実施形態に限定されるものではなく、本開示には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲が含まれる。
【符号の説明】
【0083】
10 液晶表示装置、50 パネル部、100 カラー液晶表示パネル、101 表示領域、102 主画素、104,104R,104G,104B サブ画素、110 第1TFT基板、110a,110b 主面、120 第1対向基板、120a,120b 主面、122 カラーフィルタ層、130 第1液晶、132 第1偏光板、134 第2偏光板、136 第1ドライバ回路、138 シール材、150 接着層、200 液晶表示パネル、201 表示領域、202 主画素、210 第2TFT基板、210a,210b 主面、220 第2対向基板、220a,220b 主面、230 第2液晶、230M 液晶分子、232 第3偏光板、236 第2ドライバ回路、238 シール材、240 スイッチング素子、242 ゲート電極、244 半導体層、246 ソース電極、248 ドレイン電極、250 画素電極、252 幹線電極、254 線状電極、254a 第1傾斜部、254b 第2傾斜部、254c 先端部、255a,255b 長辺、255c 端辺、256 突出部、258 切り欠け部、272 第1絶縁層、274 第2絶縁層、276 有機層間膜、278 第3絶縁層、280 部分、290 境界部、292 境界線、294 接線、300 バックライト、400 表示制御部、410 画像データ分配部、420 第1画像信号生成部、422 第1階調変換部、430 第2画像輝度信号生成部、440 第2画像信号生成部、442 演算部、444 第2階調変換部、BM ブラックマトリクス、CE 共通電極、CH コンタクトホール、DL 信号配線、GL 走査配線、E,E1~E8 電界方向、ExL 延長線、L1,L2 間隔、P1,P2 折れ曲がり点、θ1~θ6 角度
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