(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117437
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】星型電動発電機
(51)【国際特許分類】
H02K 16/00 20060101AFI20230817BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20230817BHJP
H02K 7/10 20060101ALI20230817BHJP
H02K 7/08 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
H02K16/00
H02K7/116
H02K7/10 C
H02K7/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020018
(22)【出願日】2022-02-11
(71)【出願人】
【識別番号】521008422
【氏名又は名称】TOPWIND株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094802
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 健兒
(72)【発明者】
【氏名】安藤 滋
(72)【発明者】
【氏名】比嘉 実
【テーマコード(参考)】
5H607
【Fターム(参考)】
5H607BB01
5H607BB02
5H607BB04
5H607BB14
5H607CC01
5H607DD03
5H607DD08
5H607EE05
5H607EE31
5H607FF01
5H607FF21
5H607FF33
5H607FF36
5H607GG01
5H607GG02
5H607GG08
5H607JJ05
5H607JJ10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高効率で、かつメンテナンス性の向上が図られた電動発電機を提供する。
【解決手段】複数のモータ17、歯車機構、ドライブシャフト11及びケースを備えた電動発電機であり、前記歯車機構は、前記ドライブシャフト11に取り付けられた1段のドライブギア14と、前記モータ17に取り付けられた歯付きホイール15とが歯合する歯車機構であり、前記モータ17及び前記歯車機構は、前記ケースの内部に取付けられ、前記モータ17は、前記ドライブシャフト11を中心として等角度間隔で円周状に配置されている、電動発電機。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のモータ、歯車機構、ドライブシャフト及びケースを備えた電動発電機であり、
前記歯車機構は、
前記ドライブシャフトに取り付けられた1段のドライブギアと、
前記モータに取り付けられた歯付きホイールとが歯合する1段歯車機構であり、
前記モータ及び前記歯車機構は、前記ケースの内部に取付けられ、
前記モータは、前記ドライブシャフトを中心として等角度間隔で円周状に配置されている、
電動発電機。
【請求項2】
前記ケースは、
ケースブラケットと、
エンドブラケットとが着脱可能に形成され、
前記モータは、個別に着脱可能に前記ケースブラケットに取付けられた、
請求項1記載の電動発電機。
【請求項3】
前記エンドブラケットには、
第二ラジアルベアリングと、スラストベアリングとが取り付けられて前記ドライブシャフトを支持し、
前記スラストベアリングは、前記ドライブシャフトの下側先端を軸受して前記エンドブラケットに設けられ、
前記第二ラジアルベアリングの取り付け位置は、前記スラストベアリングの取り付け位置よりも上方になるように前記エンドブラケットに取付けられ、
前記下側先端の端面は、他の部材と接触しないフリーとした、
請求項2に記載の電動発電機。
【請求項4】
前記スラストベアリングは、
前記ドライブシャフトの下端に設けたスペーサーナットと、
前記エンドブラケットとの間に設けた、
請求項3記載の電動発電機。
【請求項5】
更に、前記ケースブラケットには、第一ラジアルベアリング又はアンギュラ玉軸受のいずれかの軸受が取り付けられて前記ドライブシャフトを軸受けし、
更に、前記ケースブラケットには、非接触シール又はラビリンスシールが、前記第二ラジアルベアリングの取り付け位置よりも上になるように取付けられた、
請求項3記載の電動発電機。
【請求項6】
前記歯付きホイールの歯先の材質の硬度が、前記ドライブギアの歯先の材質の硬度より大きい硬度とした、
請求項1又は2のいずれか1項に記載の電動発電機。
【請求項7】
前記歯付きホイールの歯先の材質が、歯研磨された調質鋼であり、
前記ドライブギアの歯先の材質が真鍮又はアルミ合金である、
請求項1又は2のいずれか1項に記載の電動発電機。
【請求項8】
更に、前記電動発電機の発電した電力を充電及び蓄電するためのバッテリを前記ケース内に設置した、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電動発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用ロボット、航空機、自動車、ドローン、水力・風力発電機など産業機器に使用される電動発電機(モータージェネレータ)に関し、特には、主軸(ドライブシャフト)とモータ回転軸との間に歯車機構を備えた電動発電機に関する。複数のモータが主軸(ドライブシャフト)の周りに円周状に配置された電動発電機であり、その形態から星型電動発電機と呼ばれる。本発明では、以下に述べるように、電動発電機(モータージェネレーター)という用語は、電動機と発電機とが可逆なもので電動機にも発電機にもなる機械を指す。
【背景技術】
【0002】
1.電動発電機(モータージェネレーター)
電動発電機(モータージェネレーター)という用語は、以下に示す2つの異なる機械を指す意味で使われている。一つは、
(1)電動機と発電機とを直結した機械を指し、他の一つは、
(2)電動機と発電機とが可逆なもので電動機にも発電機にもなる機械を指す。
【0003】
(1)電動機と発電機とを直結した電動発電機
電動機と発電機とを同軸で直結した電動発電機は、電力の変換を目的とする電力機器である。交流の周波数変換もしくは直流-交流の変換、あるいは直流の昇圧・降圧など、トランスでは変換できない電力変換で、かつ半導体素子ではかつての技術的な限界から変換が難しかった時期にはよく使用された電力機器であるが、現在でも稼働している電力機器は多数存在する。主に変電所、工場、鉄道の電気車(電気機関車、電車)などで使用されている電力機器である。
【0004】
この電動発電機では、変換元の電力を電動機に入力し、その回転運動を同軸上の発電機に伝達し、発電して電気エネルギーに戻す。交流電力の周波数変換では、交流電動機と交流発電機とで構成する。また、直流から交流を得るときは直流電動機と交流発電機とで構成し、直流の電圧変換では直流電動機と直流発電機とで構成する。
【0005】
電動機と発電機とを同軸で直結した電動発電機は、変圧器が電圧の変換しかできないのに対し、電動発電機では機構上、電力で発電機を作動させて発電する形となるため、電動機と発電機の組み合わせ方によって電圧変換・周波数変換・直流-交流変換など様々な電力変換に対応できる点が特徴であり、構造も単純であるため古くから用いられてきた。
しかし電動発電機を利用した電力変換は効率が悪いため、半導体素子の進歩により、シリコン整流器、静止型周波数変換装置、インバータなど、用途にあわせた新しい電力変換方式が普及し、電動発電機はそれらに置き換えられている。
【0006】
また、かつての電動発電機は直流電動機を使用した方式であり、必然的にブラシ・整流子など磨耗部分があり、メンテナンスには手間を要するものであった。それに対し、1980年代からブラシを廃した電動発電機が開発された。特にこれをブラシレスモータージェネレーター(BLMG)と呼び、区別するようになった。しかし、依然として回転磨耗部分は残るため、根本的なメンテナンスフリーには至らず、1990年代に入ると静止形変換装置に代わられている。
【0007】
(2)電動機と発電機とが可逆な電動機にも発電機にもなる電動発電機
この電動発電機は、電動機と発電機とが可逆であり電動機にも発電機にもなる機械を指す。
【0008】
以下は電動発電機が使用された具体例である。
【0009】
ア 無停電電源装置
電動発電機に、フライホイール(はずみ車)とエンジン(ディーゼルエンジンが一般的)を組み合わせ無停電電源装置として用いたものである。平常時はエンジンを切り離し、電動発電機に電力を入力しフライホイールを回転させておく。停電時にはエンジンが接続され、フライホイールの慣性(トルク)でエンジンを始動する。始動後はエンジンの動力で発電機を回し発電する。
【0010】
イ セルダイナモ
セルダイナモは、小型の内燃機関において、始動時にはセルモーター(スターターモーター)として動作し、始動後はダイナモとして動作する部品である。かつては小排気量の自動車やオートバイに使用された。しかし、発電機が直流のダイナモから、より発電能力が高い交流のオルタネーターに取って替わられ、近時の自動車やオートバイではセルモーターとオルタネーターを個別に装備している場合が多い。
【0011】
ウ ハイブリッドカーや電気自動車
ハイブリッドカーや電気自動車において、コンピュータで制御された電動発電機は、バッテリからの電力を用いて走行し、また減速時には発電しバッテリに電力を蓄える(回生減速する)ことでガソリンエンジンの苦手とする部分を補い、排出ガスを抑制し燃費を向上させている。
【0012】
エ 電動アシスト付き自転車
上り坂ではモータがタイヤを回す力を供給し、一方、下り坂やブレーキを掛けたときにはモータが発電機の役割をして電気を作り、バッテリに充電する。
【0013】
ォ 揚水発電
夜間などの電力需要が少ないときに火力発電所などから余った電気を送ってもらい、発電機をモータとして使って水車を動かして、高地にあるダムなどに水を揚水しておき、昼間の消費電力が大きいときにダムなどにためた水が落下するエネルギーで水車を回して発電する。
【0014】
2.モータ
(1) 直流モータ
直流モータは、模型や家電、携帯電話の振動モータにも使われているモータであり、モータの構造はロータとステータとから成っている。直流モータのステータには永久磁石と、電流をロータへ供給するブラシがあり、ロータには巻線と整流子がある。ブラシから整流子へ直流電流が供給されると、整流子に接続された巻線に電流が流れ、トルクが発生する。ここで、巻線と整流子はトルクがいつも同じになるように電流が流れるようになっている。直流モータはモータの電線をつなぎ変えるだけで、簡単に回転方向を変えることができ多くの場面で利用されている。
【0015】
ブラシレス直流モータは、直流モータと同じような特性を持ちながらブラシが無いモータである。ブラシと整流子は無く、代わりに半導体スイッチ素子がモータの外部に備えられている。半導体スイッチ素子はU相、V相、W相の三相巻線のうち常に2相分の巻線のみに直流通電するように動作する。このときホール素子などで検知した永久磁石の位置に合わせて通電を切替え、常に同じトルクを発生するようにしている。
産業用の直流モータは、トルク安定性や速度応答性などに優れ、高精度の駆動制御が可能であるという利点はあるものの、構造が複雑で製造が難しく、高価になるという不利がある。一方、模型用の直流モータは、上記のように界磁石数と電機子鉄心の溝数が夫々最小数(界磁石数2,電機子鉄心溝数3)で構成されているため、トルク安定性や速度応答性が低く、高精度の駆動制御は困難であるという性能面での不利はあるものの、構造が簡単で製造し易く、廉価であるという利点がある。
【0016】
(2) 交流モータ
ア 同期モータ
同期モータはロータの一端に取付けられた角度センサの情報を使って正弦波駆動されるモータである。三相巻線が作る磁界の回転とロータの回転が同期する。同期モータの構造は基本的にブラシレス直流モータと同じであるため、両者が混同して扱われることがある。
同期モータやブラシレス直流モータの特長は、直流モータの問題点であるブラシの磨耗や電気ノイズを解消できることである。強力なレアアース磁石を使って小形化や高出力化、高効率化を図ることができる。このため、情報機器、家電、車載用モータ、サーボモータなど幅広く使われている。小型モータの生産台数のうち直流モータが7割、ブラシレス直流モータと同期モータが2割を占めている。
【0017】
イ 誘導モータ
誘導モータの回転原理は、U字型磁石の磁界がアルミ円板上で変化することでアルミ円板に渦状の電流が流れ(電磁誘導)、その電流とU字型磁石の磁界との作用で電磁力が発生する。誘導モータのステータも三相巻線で構成される。ロータにはかご状のアルミ部分(かご型導体)が形成されている。三相巻線を正弦波駆動すると、その周波数で回転する磁界が発生し、磁界の変化を受けるかご型導体には電流が流れ、ロータは磁界の回転よりも少し遅れて回転する。
誘導モータは永久磁石を使うブラシレス直流モータや同期モータに比べ効率が劣っているが、三相AC200Vの商用電源でも回すことができ、ホール素子や角度センサがなくても回せる、壊れにくく、インバータ駆動で高効率な運転も可能、大きなモータで大出力を出せるなどの特長を持っている。そのため、産業分野や乗り物に数多く使われている。
【0018】
3.発電機
発電機には、直流発電機と交流発電機がある。直流発電機は、機械的な動力を直流電力に変換する電気機械である。しかし、半導体整流装置の発達により、その重要性は失われ、現在ではほとんど製造されていない。太陽光発電や燃料電池では直流で発生した電気を交流に変換している。
交流発電機は、同期発電機と誘導発電機の2種類に分類される。以下に同期発電機と誘導発電機の特徴について述べる。
【0019】
3.1 同期発電機
同期発電機は、回転子に直流電流を流すための装置(励磁装置)が必要で、回転子の構造が複雑になり、励磁装置等の保守点検が必要となる。同期発電機は、発電機の外部から励磁を行うため、その励磁を調整することによって発電機の電圧を調整することができ、電力会社の送配電網に接続することなく需要施設へ電力の供給(単独運用)が可能である。
電力会社の送配電線に接続する系統連系の場合は、系統側と発電機側の電圧と周波数を合せてから連系するため、系統への影響が少ないのが特徴である。しかし、誘導発電機に比べると、自ら電圧を発生させ調整するための装置(励磁装置)が必要になるためコスト増となる。
【0020】
3.2 誘導発電機
誘導発電機は、電源に接続された誘導電動機を原動機によって駆動し、同期速度以上に回転数を上げることで、電力を得るための装置である。電力系統に接続する際、同期化の操作が必要ないため、小容量の水力発電機や風力発電機として使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】実開平2-41748号公報特許文献1は、偏心揺動型のギヤユニットであり、調整機構を備え、ロータとステータの位相角を個別に調整できるものである。ドライブシャフト側の1個の内歯歯車に対して、遊星歯車機構を介して1個の外歯歯車を歯合する。すなわち増減速機構が複雑で部品点数が多い点で本発明とは構成が相違している。これに対して、本願発明の場合はドライブシャフト側の1段の外歯歯車に対して、複数の歯付きホイール(スプロケット)が歯合するシンプルな構造である。
【特許文献2】特開2004-320901号公報特許文献2は、歯車機構がケースの外部に設置されており、またモータが円周状に配置されていない点で本発明とは構成が相違している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
従来の発電機では、例えば風力発電機のような場合では、スタート時の発電電圧が低いため、特に小型モータの場合には、増減速機構を採用しなければ使用することができない。そして、多段のリダクションギヤが構成部品として用いられている。しかし、多段での増減速は以下のような欠点がある。
(1)部品数が多い。
(2)伝達効率が低い。
(3)重量や製作コストが大きい、
(4)ギヤの潤滑に問題がある。
(5)バックラッシュの問題がある。
このため、電動発電機のさらなる小型軽量化及びバッテリのエネルギーを消費しない高効率の電動発電機の開発が望まれている。
また従来の電動発電機では、一度組み立てられた電動発電機は、容易にケースを分離して、ケース内部の部品を取り替えたり修理したりすることができず、メンテナンス性の向上が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、従来の問題を解決するため、
【0024】
(1)
複数のモータ、歯車機構、ドライブシャフト及びケースを備えた電動発電機であり、
前記歯車機構は、
前記ドライブシャフトに取り付けられたドライブギヤと、
前記モータに取り付けられた歯付きホイールとが歯合する1段歯車機構であり、
前記モータ及び前記歯車機構は、前記ケースの内部に取付けられ、
前記モータは、前記ドライブシャフトを中心として等角度間隔で円周状に複数個配置されている、
電動発電機を提供する。
【0025】
(2)上記(1)の電動発電機において、
前記ケースは、
ケースブラケットと、
エンドブラケットとが着脱可能に形成され、
前記モータは、個別に着脱可能に前記ケースブラケットに取付けられ、
前記エンドブラケットには、前記ドライブギヤ及び前記歯付きホイールが配置された油溜め室が形成された
電動発電機を提供する。
【0026】
(3)上記(2)の電動発電機において、
前記エンドブラケットには、
前記第二ラジアルベアリングが取り付けられて前記ドライブシャフトを支持し、
前記第二ラジアルベアリングが、オイルシール付きローラーベアリングであり、
前記第二ラジアルベアリングの取付け位置は、前記油溜め室より下に配置した、
電動発電機を提供する。
【0027】
(4)上記(1)又は(2)の電動発電機において、
更に、前記モータと前記油溜め室との間にオイルシールシートを配置した、
電動発電機を提供する。
【0028】
(5)上記(3)の電動発電機において、
前記ケースブラケットには、第一ラジアルベアリング又はアンギュラ玉軸受のいずれかの軸受が取り付けられて前記ドライブシャフトを軸受けし、
更に、前記ケースブラケットには、非接触シール又はラビリンスシールが、前記第一ラジアルベアリングの取り付け位置よりも上に取付けられた、電動発電機を提供する。
【0029】
(6)上記(1)又は(2)の電動発電機において、
前記歯付きホイールの歯先の材質の硬度が、前記ドライブギヤの歯先の材質の硬度より大きい硬度とした、
前記(1)又は(2)のいずれかに記載の電動発電機を提供する。
【0030】
(7)上記(1)又は(2)の電動発電機において、
前記歯付きホイールの歯先の材質が、歯研磨された調質鋼であり、
前記ドライブギヤの歯先の材質が真鍮又はアルミ合金である、
前記(1)又は(2)のいずれかに記載の電動発電機を提供する。
【0031】
(8)上記(1)又は(2)の電動発電機において、
前記歯付きホイールにワンウェイクラッチ機構を採用した、
請求項1又は2のいずれか1項に記載の電動発電機。
電動発電機を提供する。
【発明の効果】
【0032】
本発明の効果は次のとおりである。
(1) 本発明の電動発電機は、歯車機構に1段の歯車機構で構成したことにより、軽量コンパクトとすることができた。
また、複数のモータがドライブシャフトを中心として等角度間隔で円周状に配置された構成によって、各直流モータの出力を合成してドライブシャフトに出力することにより安定したトルクを得ることができる。これによって、軽量コンパクトで出力効率の良い電動発電機とすることができる。
また、設置するモータ数を変えることにより、出力設定が容易にできる。
また、小径のドライブシャフトの採用や、摩擦抵抗の小さい小径ベアリングの使用により、軽量化と駆動抵抗を抑えることができる。
(2) ケースブラケットと、エンドブラケットとが着脱可能に形成され、ケース内部の部品の取り替えが容易にできる構成としたので、
また、モータの脱着が単体毎に容易にできるので、信頼性・整備性の向上により安全性が高まる。メンテナンス費用の軽減が可能である。
また、歯数の異なるドライブギヤ及び歯付きホイールの両方又は片方を別のものに取り替えることができるので、ドライブシャフトやモータの回転の減速又は増速の設定を容易にする。
(3) エンドブラケットには、第二ラジアルベアリングが取り付けられてドライブシャフトを支持し、
第二ラジアルベアリングが、オイルシール付きローラーベアリングであり、
オイルシール付きローラーベアリングの取付け位置を、油溜め室より下に配置した構成としたことにより、油溜め室の滑油の油漏れをオイルシール付きローラーベアリングによって防止でき、スラスト荷重を小さな軸受けで受けることができるので電動発電機を軽量コンパクトにすることができる。
(4) モータと油溜め室との間にオイルシールシートを配置した構成としたので、油溜め室の滑油の油漏れをオイルシールシートによって防止でき、電動発電機を傾けたり、倒立したりしても支障なく使用できる。
(5) ケースブラケットには、非接触シール又はラビリンスシールが、第一ラジアルベアリングの取り付け位置よりも上になるように、エンドブラケットに取付けられた構成としたので、従来の接触シールよりも摩擦抵抗を極力抑えることができ軸受を保護するだけではなく、電動発電機の延命化、信頼性向上、また、生産効率向上ができる。メンテナンスが効率的になる。
(6) 歯付きホイールの歯先の材質の硬度が、ドライブギヤの歯先の材質の硬度より大きい硬度とする構成としたので、歯付きホイールのダメージ軽減と伝達効率の向上の両立を達成することができる。
(7) 歯付きホイールの歯先の材質を調質鋼とし歯研磨して、ドライブギヤの歯先の材質が真鍮又はアルミ合金とする構成としたので、歯付きホイールのダメージ軽減と伝達効率の向上の両立を達成することができる。
(8) 歯付きホイールがワンウェイクラッチ機構を備えた歯付きホイールとしたので、モータの歯付きホイールを一方向に回転できるので、モータのトルク低下等で発生するモータへの負荷を軽減することができ、電動発電機の安全性を向上することができる。また小型のワンウェイクラッチ機構を歯付きホイールに装備すればコンパクトな電動発電機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の一実施例の電動発電機の断面図である。
【
図4】本発明の別の実施例のワンウェイクラッチ機構を組み込んだ歯付きホイールとドライブギヤ14との歯合状態を示す拡大平面図である。
【
図5】本発明の別の実施例であるモータ、歯付きホイールとドライブギヤ14との歯合状態を示す平面図である。
【
図6】本発明の一実施例の油溜め室とその周辺を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、図面を参照して実施例を説明する。実施例では、1段の歯車機構の例として1段の増減速機構を備えた歯車機構について説明する。しかし、増減速機構を備えた1段の歯車機構以外の歯車機構(モータ17の回転を増幅する多段ギヤユニット等)を備えている駆動装置にも本発明の部分を適用することは可能である。なお、以下の説明では、複数個が存在する実質的に同一種類の部品に共通した事象を説明する場合には、アルファベットの添え字を省略することがある。
【0035】
(全体構造及び電動発電機10)
図1は、本発明の一実施例の電動発電機10の断面図を示している。
図2は、
図1の本発明の一実施態様である電動発電機10の部分切断した平面図を、
図3は、
図1の円で囲った部分の部分拡大図を、
図4は、本発明の別の実施例の歯付きホイール15とドライブギヤ14との歯合状態を示す拡大平面図を、
図5は、本発明の別の実施例であるモータ17、歯付きホイール15とドライブギヤ14との歯合状態を示す平面図を、
図6は、油溜め室22とその周辺を示す断面図を示している。
図1に示すように、電動発電機10は、モータ17、歯車機構、ドライブシャフト11、ケースブラケット16及びエンドブラケット18を備えている。モータ17は、複数のモータ17を備えている。
【0036】
本発明の電動発電機10は、
図5に示すように複数個のモータ17がケース内にドライブシャフト11の円周状に等角度間隔で着脱可能に配置されている。そして、各モータ17の回転軸に設けられた歯付きホイール15と、ドライブシャフト11に設けられたドライブギヤ14とを歯合する歯車機構によって、各直流モータ17の出力を合成してドライブシャフト11に出力する電動発電機10である。
すなわち本発明の電動発電機10は、外部から直流電圧を印加することでドライブシャフト11を回転させる(又はドライブシャフト11にトルクを入力する)電動機としての機能と、ドライブシャフト11を外部の動力源(例えば、風力発電機のプロペラ)によって回転させることで電動発電機10に直流電圧(起電力)を生じさせる発電機としての機能とを有する。
電動発電機10は、バッテリ等の電源から駆動電力が供給されることにより回転駆動される。また反対に、電動発電機10が外部動力により強制回転させられることによりモータ17で発生した電力を図示しないバッテリに充電する。
【0037】
(ドライブシャフト11の支持機構)
まず、ドライブシャフト11の支持機構を説明する。
図1に示すように、ケースブラケット16とドライブシャフト11との間に、第一ラジアルベアリング13cが配置されている。第一ラジアルベアリング13cによって、ドライブシャフト11はケースに対して回転可能であると共にラジアル方向に変位不能に支持されている。
本実施例ではドライブシャフト11とケースブラケット16との間に第一ラジアルベアリング13cを配置したが、第一ラジアルベアリング13cの代わりに同様なころがり軸受等を使用してもよい。
そして、ドライブシャフト11の下端部において、エンドブラケット18とドライブシャフト11との間に、第二ラジアルベアリング13eが配置されている。
ここで、本明細書において、電動発電機10のドライブシャフト11の軸方向でラビリンスシール12の設置された側を上側、又は上、上方とし、エンドブラケット18の側を下側、下方向又は単に下とする。すなわち、
図1においては、直立したドライブシャフト11の矢印の方向を上とする。
本実施例ではドライブシャフト11とエンドブラケット18との間に第二ラジアルベアリング13eとしてローラーベアリングを配置したが、ローラーベアリングの代わりに同様なころがり軸受等を使用してもよい。またスラストベアリングを取付けても良い。
【0038】
従来技術では、小型たて形電動機のような、たて軸に使用する場合では、
図6に示すように、固定側には組合せアンギュラ玉軸受が使用されている。しかし、アンギュラ玉軸受は、構造上、ラジアル荷重がかかるとアキシアル分力が生じるので、2個を対向させて使用するか、2個以上を組み合せて使用する必要がある。またアキシアル方向の振動及び共振による異音を防止するために与圧の調整が必要という欠点がある。
【0039】
本発明の電動発電機10では、従来の組合せアンギュラ玉軸受の欠点である与圧調整を必要とせず、振動及び共振による異音を防止して電動発電機10に使用することができる。
第一ラジアルベアリング13cによって、ドライブギヤ14はケースに対して回転可能であると共にラジアル方向に変位不能に支持されている。
更に、
図1に示すようにドライブシャフト11の下側では、エンドブラケット18に取り付けられた第二ラジアルベアリング13eが取付けられている。スラスト荷重が大きい場合はスラストベアリングを用いて支持することが好ましい。
その場合、スラストベアリングは、ドライブシャフト11の下端部の先端部に取り付けることが好ましい。そうすると、ドライブシャフト11の下側先端の端面は、他の部材と接触せずフリーとすることができ摩擦を極小化することができる。
【0040】
(歯車機構)
次に、歯車機構について説明する。
図1に示すように本発明の歯車機構は、外歯を取付けた歯付きホイール15(モータ17の回転軸に取り付けられる。)と外歯歯車であるドライブギヤ14(ドライブシャフト11に取り付けられる)とを備える1段歯車機構である。1段の歯車機構とは、一対の歯車をかみ合わせた歯車列を1段歯車機構といい、本発明の電動発電機10の歯車機構は、外歯歯車の平歯車であるドライブギヤ14と、歯付きホイール15とが歯合し、モータ17の回転トルクをドライブシャフト11に伝達する機構である。
【0041】
ケースブラケット16に固定されたモータ17のロータが回転すると、歯付きホイール15が回転し、歯合するドライブギヤ14も回転する。従って、ドライブシャフト11は歯車機構の出力部と称することができ、ケースブラケット16を、歯車機構の固定部と称することができる。言い換えれば、ドライブシャフト11には1段のドライブギヤ14が取付けられ、これに歯合する歯付きホイール15がモータ17の回転軸に取付けられている。歯車機構の減速比は適宜変更することができる。
【0042】
図5に示すように歯付きホイール15が取付けられた複数のモータ17は、ドライブシャフト11の軸回りに等角度間隔で円周状に配置されている。
図5の実施例では6個のモータ17の歯付きホイール15がドライブギヤ14と歯合している。
【0043】
(ワンウェイクラッチ機構21)
図4に示すように、本発明の別の実施例において、歯付きホイール15にワンウェイクラッチ機構21を取り付けることができる。ワンウェイクラッチ機構とは一方の方向のみに回転力を伝達するクラッチ機構である。フリーホイールとも呼ばれる。本発明で使用するワンウェイクラッチ機構21は同軸上の内輪と外輪の間で一方向のトルクを伝達する構造で、ベアリングとしての機能を持たせている。
本発明では、ローラー式のワンウェイクラッチ機構21が好適に使用することができる。ローラーワンウェイクラッチは外輪と内輪、ローラー、スプリングで構成され、外輪の内側又は内輪の外側にカム面を持ったポケットが設けられる。ポケットの内部にはローラーが配置され、スプリングによって外輪のカム面と内輪の外側、あるいは内輪のカム面と外輪の内側に接触するように保たれている。内輪に対して外輪がある一方向に回転しようとするとカム面とローラーとの接触面圧が高くなり、抵抗となって内輪への動力を伝達する。逆方向に回転すると、カム面とローラーとの接触面圧が低くなり、滑って動力伝達を切断するようになっている。本発明ではこのローラーワンウェイクラッチを歯付きホイール15に組み入れたので、モータの歯付きホイール15を一方向に回転できる。このため、モータのトルク低下等で発生するモータへの負荷を軽減することができ、電動発電機10の安全性を向上することができる。また小型のワンウェイクラッチ機構21を歯付きホイール15に装備すればコンパクトな電動発電機10を提供できる。
【0044】
またワンウェイクラッチ機構21として、スプラグ式のワンウェイクラッチ機構も採用することができる。
スプラグ式のワンウェイクラッチ機構は外輪(アウターレース)と内輪(インナーレース)の間にスプラグと呼ばれる、だるま形の輪留めが組み込まれた構造を持つ。内輪に対して外輪が一方へ回転するとスプラグがかみ合ってトルクを伝達し、逆回転した場合はスプラグのかみ合いが外れてトルクは伝達されなくなる。
【0045】
(ケース、ドライブシャフト11、軸受)
本発明の一実施態様である電動発電機10では、ケースは、ケースブラケット16と、エンドブラケット18から形成されている。すなわち、
図1に示すように、ケースブラケット16は、エンドブラケット18の上に取付けられ、図示しないボルト等のねじ締結によって着脱自在に締結されており、ケースブラケット16とエンドブラケット18が一体となってケースを構成する。以下の説明では、ケースブラケット16と、エンドブラケット18とを併せて単にケースと称することがある。
【0046】
図1、
図2に示すように、ケースブラケット16の上部の中央とエンドブラケット18の中央には夫々貫通孔が設けられ、各貫通孔には第一ラジアルベアリング13c、第二ラジアルベアリング13eが取り付けられ、ドライブシャフト11が支持されている。
ドライブシャフト11の上端と下端の中間にドライブギヤ14が取付けられている。ドライブギヤ14は、リング状であり、その外周に沿って多数の外歯が形成されている。ドライブギヤ14の歯数は、歯付きホイール15と異なる歯数を有している。
歯付きホイール15は、ドライブギヤ14の外歯と噛み合いながら回転する。
電動発電機10は、例えば、エンドブラケット18がボルト等によって台座(例えばロボットの旋回部や回転装置のベース等)に固定される。すなわち、ケース(ケースブラケット16は、エンドブラケット18)は、台座基部に対して回転することが拘束される。そしてドライブシャフト11が、回転する出力部に相当する。
【0047】
(第一ラジアルベアリング13c)
前記したように、ドライブシャフト11上部とケースブラケット16の間には第一ラジアルベアリング13cが設けられている。
ここで、第一ラジアルベアリング13cは、後述する第二ラジアルベアリング13eと同一構造のラジアルベアリングとしても良いが、第一ラジアルベアリング13cは、ケースブラケット16に取付けられた軸受であり、第二ラジアルベアリング13eは、エンドブラケット18に取付けられた軸受である。
【0048】
なお、第一ラジアルベアリング13c、第二ラジアルベアリング13eを区別する必要がない場合は、単にラジアルベアリングと記載される場合がある。
【0049】
第一ラジアルベアリング13cによって、ドライブシャフト11はケースブラケット16に対して回転可能であると共にラジアル方向に変位不能に支持されている。
【0050】
本実施例ではドライブシャフト11とケースブラケット16との間に第一ラジアルベアリング13cとしてボールベアリングが設けられている。ボールベアリングの代わりにラジアル荷重を支えることができる他の軸受を使用してもよい。例えば、アンギュラ玉軸受は、ラジアル荷重と一方向のアキシアル荷重を同時に支えることができるので、本発明の電動発電機10のように、直立だけでなく、傾けられて使用されるような場合にはアンギュラ玉軸受が好適に使用できる。
【0051】
(第二ラジアルベアリング)
また、後述するように、ドライブシャフト11の下端部においては、エンドブラケット18とドライブシャフト11との間に、第二ラジアルベアリング13eとしてローラーベアリングが取付けられている。本実施例では、オイルシール付きローラーベアリングが配置されている。
オイルシール付きローラーベアリングの取付け位置は、
図6に示すように油溜め室22より下に配置されている。これにより、油溜め室22の滑油20の油漏れをオイルシール付きローラーベアリングによって防止でき、スラスト荷重を小さな軸受けで受けることができるので電動発電機10を軽量コンパクトにすることができる。
【0052】
本実施例では、第二ラジアルベアリング13eとしてシール付きローラーベアリングを用いたが、スラストベアリングを用いることもできる。スラストベアリングは、軌道板、転動体、保持器から構成される。軌道板は軸側に嵌合する軸軌道板と外周固定側に嵌合するハウジング軌道板がある。回転軸に取付ける方の軌道輪を内輪と呼び、ハウジングに取付ける方の軌道輪を外輪と呼ぶ。
スラストベアリングは、アキシアル方向の振動及び共振による異音を防止することができる。
【0053】
上記のようにドライブシャフト11の上部と下部に取付けられた第一ラジアルベアリング13c、第二ラジアルベアリング13eによって、ドライブシャフト11はケースに対して回転可能であると共にラジアル方向に変位不能に支持されている。
【0054】
(軸受配列)
一般に、軸は2個の軸受でラジアル方向及びアキシアル方向に支えられている。このとき,軸とハウジングとの相対的なアキシアル方向の移動を固定している側を固定側軸受,相対的なアキシアル方向の移動を可能にしている側を自由側軸受と呼ばれている。これによって温度変化による軸の伸縮を逃がし,かつ軸受の取付間隔の誤差を吸収することができる。
固定側軸受にはラジアル荷重とアキシアル荷重が負荷できアキシアル方向の移動を両方向に固定できる軸受を選定する。また,自由側軸受にはラジアル荷重のみ受けアキシアル方向の移動が可能な軸受を選定することが望ましい。円筒ころ軸受のように内輪と外輪が分離できるものはアキシアル方向の移動を軌道面で行い,深溝玉軸受のように内輪と外輪が分離できないものははめあい面で行う。
【0055】
軸受間隔が短い場合は温度変化による軸の伸縮が少ないので固定側,自由側の区別がなく使用可能である。この場合はアンギュラ玉軸受のようにアキシアル方向の移動を一方向のみ固定できる軸受を2個対向させて使う場合が多い。
【0056】
通常、縦形電動機のような、縦軸に使用する場合は、固定側軸受にはラジアル荷重とアキシアル荷重との両方を負荷できるアンギュラ玉軸受が好適に用いられている。固定側軸受は、軸受を軸方向に位置決めし、固定するために用いる。
従来はこの軸受にはラジアル荷重と同時にアキシアル荷重も負荷できるアンギュラ玉軸受が選定されている。
【0057】
(ラビリンスシール12)
本実施例では、第一ラジアルベアリング13cの上方には軸受や歯車などの潤滑油に異物が浸入しないように、又は潤滑油が漏れないように、ドライブシャフト11とケースブラケット16の間で封止するためラビリンスシール12が取り付けられている。
ラビリンスシール12は、軸受や歯車などの潤滑油に水や異物が浸入しないように、又は潤滑が漏れないように、機械の回転軸とハウジングの間でシールするための部品である。
ラビリンスシール12は、シール内部の構造が回転部・固定部で構成される点が、オイルシールなどの摺動シールとは異なる。ラビリンスシール12は、複雑・精巧であるが高性能である。本実施例ではラビリンスシール12を用いたが、これと同様なシールを使用することでも良い。
【0058】
シールには内輪と触れる接触形と内輪と触れない非接触形がある。接触形はシールと内輪が触れていて隙間がないので密封性が高いが、回転時のまさつが大きいことからゴミの侵入や油漏れ防止を優先するときに使われる。非接触形は内輪と離れているから摩擦は小さくゴミ侵入や油漏れも防止できるため本発明においては非接触シールが好ましく使用することができる。
【0059】
ラビリンスシール12には、後述するベアリングアイソレータ、CFシール及び薄形ラビリンスリング等のラビリンスシール12が含まれる。
ベアリングアイソレータは、ロータとステータの組み合わせで複雑なラビリンス構造を形成し、高いシール性を有する。またCFシールは、6mm程度の薄い厚みでコンパクトの複合ラビリンス(アキシアル・ラジアル)構造を有する高性能のラビリンスシール12であり、非接触シールの省エネ・メンテナンスフリーを兼ね備えた非接触シールである。
多くの低圧モータでは、転がり軸受を使用されており、モータ17の故障原因の約半数が、この転がり軸受と言われている。
本発明では、ラビリンスシール12を電動発電機10のケースブラケット16に取付けたので、高いシール性により、過酷な環境でも長期間、故障を抑制することができる。
【0060】
(ドライブギヤ14)
図5に示すように、ドライブギヤ14はリング状であり、その外周に沿って多数の外歯が形成されている。ドライブギヤ14は、モータ17の歯付きホイール15と異なる歯数を有している。
【0061】
(歯付きホイール15)
モータの回転軸には歯車やスプロケットのような歯付きホイール15が形成されている。歯付きホイール15は、ドライブギヤ14の外歯と噛み合いながら回転する。
【0062】
(歯車の材質)
歯車の強度は、単に歯車自体の寿命に影響するだけでなく、電動発電機10の寿命に影響を及ぼすことから設計において重要な問題である。言うまでもなく,歯車の強度は歯車の材質によって大きく異なる。市販されている歯車では,炭素鋼(S45C)やステンレス鋼(SUS304)が一般的である。モジュールが1以下の小型の歯車では,炭素鋼やステンレス鋼のほか,黄銅製(C3604B)やプラスチック製(ポリアセタールなど)の歯車が市販されている。
同一の寸法で炭素鋼,ステンレス鋼及びポリアセタールを比較すると,炭素鋼が最も大きい動力を伝達でき,ステンレス鋼はその半分,ポリアセタールはステンレス鋼の2割程度の強度である。
歯車の強度は歯面にかかる力(N),すなわち,トルク(Nm)に関係するため,許容伝達動力(W=Nm/s)は,回転数が低くなるほど小さくなる。従って,減速された歯車ほど,強度に気をつけなければならない。
【0063】
歯車に使用される材料として、よく使用されているものとしては以下のような材料がある。
(1)S45C(機械構造用炭素鋼)は、炭素含有量0.6%以下で、熱処理をされることを前提とした炭素鋼である。
(2)SCM440(クロムモリブデン鋼)は、鉄にクロム、モリブデン等を添加した低合金鋼の一種、機械構造用炭素鋼より強度・硬度に優れる。
(3)SCM415(クロムモリブデン鋼は、クロムモリブデン鋼のうち、硬度を上げる浸炭焼入れに適した鋼材である。
(4)SUS303(ステンレススチィール)は、非磁性のオーステナイト系ステンレス鋼である。
(5)銅合金(リン青銅、アルミ青銅)は、硬い材料と組合わせ、滑らせることによって、かじり・焼きつき防止に適した材料である。ウォームホィールなどに最適に用いられる。
(6)FCD(ダクタイル鋳鉄)は、組織中に球状の黒鉛があり、強度や延性を改良した鋳鉄である。
(7)MCナイロンは、低騒音・低速の場合、自己潤滑性があり無給油で使えるが、金属に比較して温度上昇・吸湿による変形が大きい。
【0064】
本発明の実施例では、好ましくは、歯付きホイール15の歯先の材質の硬度が前記ドライブギヤ14の歯先の材質の硬度より大きい硬度となるようにしている。更に好ましくは、歯付きホイール15の歯先の材質が調質鋼であり歯研磨され、且つ前記ドライブギヤ14の歯先の材質を真鍮又はアルミ合金とすることである。
調質鋼は、焼入れ後焼もどしの熱処理をした鋼である。調質によって、強度と靭性(ねばさのこと)の優れたバランスと高い鋼が得られる。調質鋼には、S45Cがある。
本発明のモータ17に取り付けられた歯付きホイール15は、熱処理後、歯車研削盤による歯車研削加工が行われたものが好ましい。
【0065】
次に、本発明の拾市例のドライブギヤ14の材質として使用することができる真鍮は、銅と亜鉛を混ぜ合わせた合金である。別名、黄銅とも呼ばれている。最も一般的な黄銅は、銅65%、亜鉛35%のものである。また、真鍮は、銅と亜鉛の割合によって適度な硬さにすることができる。安価で錆びない特徴があるためギヤの素材として最適である。
【0066】
また本発明の実施例で使用することができるアルミ合金(A5056.A2017等)は、軽量であるという利点がある一方で、アルミは塑性変形が蓄積されていくのでその意味で歯車には不向きとされている。しかし、本発明の電動発電機10においては有利に使用できる。
【0067】
(ケース)
ケースは、ケースブラケット16と、エンドブラケット18から形成されている。以下の説明では、ケースブラケット16と、エンドブラケット18とを併せて単にケースと称することがある。
【0068】
(ケースブラケット16)
図1に示すように、ケースブラケット16は、エンドブラケット18上に着脱可能に結合されている。ケースブラケット16とエンドブラケット18との結合は、ボルト等の公知の着脱容易な結合部材を用いて連結される。また間にガスケット等のカップリングを用いて密閉することができる。カップリングを介して連結すると、ケースブラケット16とエンドブラケット18の結合が緩むことなく、確実に結合することができる。
ケースブラケット16は円筒状の容器であり、上面には蓋が形成され、蓋の中心部にドライブシャフト11が貫通する貫通孔を有する。この貫通孔の内側でドライブシャフト11がケースに直立して設置されている。
【0069】
この貫通孔には、本実施例ではラビリンスシール12が取付けられている。そして、ラビリンスシール12の下に、第一ラジアルベアリング13cがケースブラケット16に取付けられている。
この貫通孔にドライブシャフト11がその上部をケースブラケット16から飛び出して垂直に取付けられる。ドライブシャフト11の下端は、
図3に示すように、後述するエンドブラケット18に取付けた第二ラジアルベアリング13eによって、支持される。
【0070】
またケースには電気コード及びコードブーツを取り出す貫通孔がケースブラケット16又はエンドブラケット18に設けられてもよい。
【0071】
(エンドブラケット18)
図1に示すように、エンドブラケット18は、ケースブラケット16を搭載して着脱可能に結合される。ケースブラケット16との結合は、ボルト等の公知の着脱容易な結合部材を用いて連結される。
そして、ケースブラケット16との結合部にOリング、パッキン又はガスケット等のシール材を用いて密閉することが好ましい。シール材を介して連結すると、ケースブラケット16とエンドブラケット18の結合が緩むことなく、確実に結合することができ、ケース内部への水や塵の侵入を防止できる。
エンドブラケット18は円形の皿形の容器であり、中心部にドライブシャフト11の下端部の軸受が形成される。軸受としては、第二ラジアルベアリング13eが設けられている。別の実施例として、軸受として第二ラジアルベアリング13eとスラストベアリングの両方の軸受がエンドブラケット18に設けられても良い。
【0072】
(油溜め室22)
図6に示すように、油溜め室22は、エンドブラケット18に円筒状の凹みを形成して設けられている。油溜め室22の中には、ドライブギヤ14と歯付きホイール15からなる歯車機構が設置されている。そして、油溜め室22には、
図6に示すようにドライブギヤ14と歯付きホイール15とを浸すように適量の滑油が溜められている。
滑油の漏洩を防ぐため、油溜め室22の天井には以下に説明するオイルシールシート19が設置されている。また油溜め室22の底部にはドライブギヤ14がエンドブラケット18との間にはオイルシール付きローラーベアリングが設置されている。このため、油溜め室22に溜められた滑油20は油溜め室22内に溜りケース内のモータ17等への飛散を防止している。
【0073】
(オイルシールシート19)
本実施例では、
図1に示すように、オイルシールシート19は、モータ17と油溜め室22との間に油溜め室22に蓋をするように設置されている。オイルシールシート19は円形のシートであり、中心部にドライブシャフト11が貫通する貫通孔が形成されている。
本実施例では、オイルシールシート19は、好ましくはテフロン(登録商標)材質のパッキン又はガスケット等のシール材を用いて密閉されている。オイルシールシート19により、油溜め室22の天井部を確実にシールすることができ、油溜め室22の外部に滑油20の漏れを防ぐことができる。
従って、電動発電機10を傾けたり、倒立したりしても支障なく使用できる。
【0074】
(モータ17)
次に、モータ17について説明する。本実施例では、種々のモータ17が使用可能であるが、実施例では、軽量化のため小型の直流モータ17が使用されている。サーボモータを使用することもできる。複数のモータ17の夫々は、ステータとロータを備えている。ロータの表面に、永久磁石が形成されている。ロータの回転軸には、スプロケット等の歯付きホイール15が取り付けられている。各モータ17は、ケース内に、収容されている。
モータ17のケースブラケット16への固定及び、モータ17とケースブラケット16の着脱方法は、公知の係合手段によって行うことができる。例えば、モータ17の外側の一部とケースブラケット16の内側の一部を凹凸形状に形成して容易に脱着可能に形成することができる。このため、モータ17は、個別に着脱可能にケースブラケット16に取付けられている。従って、モータ17の取替の必要が生じたときに個別にモータ17の脱着を容易に行うことができる。なお、本実施例では、モータ17はケースブラケット16に設置されているが、エンドブラケット18上の任意の位置に着脱可能に設置されても良い。
【0075】
また、本発明では、モータ17の脱着が容易であるため、ケースブラケット16に取り付けることが可能なモータ17の数を容易に増減することができ、設置するモータ17の数を増減することにより、電動発電機10の出力又は電動発電機10の電力の設定が可能である。
モータ17は、ドライブシャフト11中心から所定の寸法だけ離れた位置に4個の直流モータ17がケースブラケット16に固定されている。
【0076】
そして、本実施例ではドライブシャフト11に平歯の1段のドライブギヤ14が固着されている。ドライブギヤ14には直流モータ17のモータ17回転軸の先端部に固着された歯付きホイール15が等角度間隔で複数個噛合されている。夫々の歯付きホイール15は同一構造であり、歯数は同一となっている。
上記のように、直流モータ17は、各モータ17の出力が歯付きホイール15及びドライブギヤ14を介してドライブシャフト11に伝達され、各モータ17の出力が合成されてドライブシャフト11から出力される構成となっている。
【0077】
直流モータ17は簡易構造の直流モータ17で構成されている場合には、上記したように夫々の直流モータ17から出力される夫々のトルクは、ドライブシャフト11が1回転する間にも大きく変動する。
そこで、本発明の直流モータ17では、各直流モータ17から出力されるトルクの変動が互に補完されてドライブシャフト11から出力されるように、各直流モータ17の界磁石に対する電機子鉄心の位置を調整することが好ましい。この調整方法は周知であるので詳細な説明は省略するが、以下に簡単に説明する。
直流モータ17の回転軸から出力されるトルクの特性は、各モータ17のトルク変動特性を合成したものとなる。この結果、1個の直流モータ17の場合では1回転中に数回、大きくトルク変動が生じるのに対し、本発明の電動発電機10では、各直流モータのトルクが合成されるため、1回転中に微小のトルク変動が生じるだけで、格段にトルク変動が抑制される。
従って、本発明に係る電動発電機10は、複数の直流モータ17を組み合わせた構成であるので、高速応答性やトルク安定性が可能になっている。
【0078】
また、モータ17の電機子鉄心の溝数及び界磁石数はこれらに限定されるものではない。例えば電機子鉄心の溝数は6であってもよく、界磁石数は4であってもよい。また、上記実施例では直流モータ17としてステータ側に界磁石を配置し、ロータ側に電機子鉄心とコイルを配置する構成の直流モータ17を用いたが、ロータ側に界磁石を配置し、ステータ側に電機子鉄心とコイルを配置する構成の直流モータ17を用いてもよい。
【0079】
また、複数のモータ17の内、1個のモータ17が故障した場合、残りのモータ17で連続運転するようにしても良い。
【0080】
(バッテリ)
本発明の電動発電機10では、バッテリをモータ17ーと同程度の大きさのバッテリを用いてケースの内部に組み込むことができる。従来からバッテリは重量が大きいので電動発電機10とは別の単体として電動発電機10のケース外に設置されるが、本発明では、モータ17ーと同程度の大きさのバッテリを、モータ17の場合と同様にケースブラケット16又はエンドブラケット18に脱着可能に取付けることができる。この結果、本発明の電動発電機10はバッテリ付き電動発電機として、従来のバッテリが別体のものと比較して、コンパクトで取り回しの良好な電動発電機10にすることもできる。
バッテリは、例えばニッケル・カドミウム蓄電池やニッケル・水素蓄電池、リチウムイオン電池、鉛蓄電池などの充放電可能な二次電池である。バッテリには、外部の動力源、例えば風力発電機によって発電された電力が充電される。バッテリに充電された電力は、モータ17に供給される他、必要に応じて外部の電気部品(外部負荷)などに供給することもできる。
【0081】
バッテリは、電圧が約12Vのものを用いているが、バッテリ電圧は12Vのものに限らず任意の電圧のものを用いることができる。
本発明の電動発電機10は、発電機としてのモータ17にインバータを接続することによって、モータ17で発電した電力をそのままインバータを介して負荷に使用することもできる。
【0082】
(電動機としての機能)
【0083】
また本発明の電動発電機10は、電動発電機10を、発電機としての機能を有すると共に、任意の電源からの電力供給を受けることにより電動機としても機能する直流電動機としての機能を有する。
例えば、ケース内外のバッテリから電力供給を受けて電動機として機能する。
また、交流電源を電力供給源とする場合は、交流電流を整流して整流器により直流電流にし、電力を電動発電機10に供給して電動発電機10を電動機として機能させることができる。
【0084】
また本実施例では、電動発電機10を直流電動機とすることで、以下のような効果も得ることができる。
すなわち、例えば従来から風力発電において起動風速を下げるために、電動発電機10としてコギングトルクを小さくした発電機を使用するものがあるが、このようなコギングトルクを小さくした発電機は一般的に交流発電機である。交流発電機を外部からの電力供給により電動機として機能させるためには、整流器によって整流された直流電流を、更に交流に変換して交流発電機に供給するためのインバータや、当該インバータを制御するための制御装置などが必要となる。そのため、風力発電機の構成が複雑になると共に風力発電機の大型化を招く。
【0085】
これに対し、電動発電機10を直流電動発電機とすれば、電動発電機10を電動機として機能させるにあたって、インバータや制御装置などが不要となり、風力発電機の構成を簡素化でき、風力発電機の小型化を図ることができる。
【0086】
本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
本発明は、上記した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。
【実施例0087】
以下に、図面を参照して実施例を説明する。
本発明の電動発電機10は、複数個の直流モータ17がケース内にドライブシャフト11の回転軸周りに円周状に等角度間隔で着脱可能に配置されている。
ドライブシャフト11は、
図1に示すように、ケースブラケット16とドライブシャフト11との間に、第一ラジアルベアリング13cが配置されている。第一ラジアルベアリング13cによって、ドライブシャフト11はケースに対して回転可能であると共にラジアル方向に変位不能に支持されている。そして、ドライブシャフト11の下端部において、エンドブラケット18とドライブシャフト11との間に、第二ラジアルベアリング13e取付けられている。第二ラジアルベアリング13eとしてはオイルシール付きローラーベアリングが設置されている。エンドブラケット18には、油溜め室22が形成されている。
【0088】
本実施例では、歯車機構は、外歯を取付けた歯付きホイール15(モータ17の回転軸に取り付けられる。)と外歯歯車(ドライブシャフト11に取り付けられる)とを備えている。歯車機構は、外歯歯車の平歯車であるドライブギヤ14と、歯付きホイール15とが歯合してモータ17の回転トルクをドライブシャフト11に伝達する。
ケースブラケット16に固定されたモータ17のロータが回転すると、歯付きホイール15が回転し、歯合するドライブギヤ14も回転する。
歯付きホイール15が取付けられた複数のモータ17は、ドライブシャフト11の軸回りに等角度間隔で円周状に配置されている。
図3の実施例では4個のモータ17の歯付きホイール15がドライブギヤ14と歯合している。
図6の実施例では6個のモータ17の歯付きホイール15がドライブギヤ14と歯合している。
【0089】
ケースは、ケースブラケット16と、エンドブラケット18から形成されている。すなわち、
図1に示すように、ケースブラケット16は、エンドブラケット18の上に取付けられ、図示しないボルト等のねじ締結によって着脱自在に締結されており、ケースブラケット16とエンドブラケット18が一体となってケースを構成する。
【0090】
図1、
図2に示すように、ケースブラケット16の上部の中央とエンドブラケット18の中央には夫々貫通孔が設けられ、各貫通孔には第一ラジアルベアリング13cが取り付けられ、ドライブシャフト11が支持されている。
ドライブシャフト11の上端と下端の中間にドライブギヤ14が取付けられている。ドライブギヤ14は、リング状であり、その外周に沿って多数の外歯が形成されている。ドライブギヤ14の歯数は、歯付きホイール15と異なる歯数を有している。
歯付きホイール15は、ドライブギヤ14の外歯と噛み合いながら回転する。
電動発電機10は、エンドブラケット18がボルト等によって台座(例えばロボットの旋回部や回転装置のベース等)に固定することができる。
【0091】
前記したように、ドライブシャフト11上部とケースブラケット16の間には第一ラジアルベアリング13cが設けられている。
第一ラジアルベアリング13cによって、ドライブシャフト11はケースブラケット16に対して回転可能であると共にラジアル方向に変位不能に支持されている。
また、後述するように、ドライブシャフト11の下端部においては、エンドブラケット18とドライブシャフト11との間に、第二ラジアルベアリング13eが取付けられている。
上記のようにドライブシャフト11の上部と下部に取付けられた第一ラジアルベアリング13c、第二ラジアルベアリング13eによって、ドライブシャフト11はケースに対して回転可能であると共にラジアル荷重を支持する。
【0092】
図1.
図2に示すように、本実施例では、ドライブシャフト11とケースブラケット16の間で封止するためラビリンスシール12が取り付けられている。
本実施例では、ラビリンスシール12を電動発電機10のケースブラケット16に取付けたので、高いシール性により、過酷な環境でも長期間、故障を抑制することができる。
【0093】
図2に示すように、ドライブギヤ14はリング状であり、その外周に沿って多数の外歯が形成されている。ドライブギヤ14は、モータ17の歯付きホイール15と異なる歯数を有している。モータ17の歯付きホイール15は、ドライブギヤ14の外歯と噛み合いながら回転する。
【0094】
本実施例の歯付きホイール15の歯先の材料は、S45C(機械構造用炭素鋼)である。
そして、歯付きホイール15の歯先の材質であるS45C(機械構造用炭素鋼)の硬度は、ドライブギヤ14の歯先の材質の硬度より大きい。ドライブギヤ14の歯先の材質は真鍮又はアルミ合金である。
歯付きホイール15は、熱処理後、歯車研削盤による歯車研削加工が行われたものが使用される。
図1に示すように、ケースブラケット16は、エンドブラケット18上に着脱可能に結合されている。ケースブラケット16とエンドブラケット18との結合はボルトによって着脱可能である。また間にガスケットを用いて密閉されている。
ケースブラケット16は円筒状で、上面の中心部にドライブシャフト11が貫通する貫通孔を有する。この貫通孔の内側でドライブシャフト11がケースに直立して設置されている。
【0095】
この貫通孔には、ラビリンスシール12が取付けられている。ラビリンスシール12の下には、第一ラジアルベアリング13cが、ケースブラケット16に取付けられている。
この貫通孔にドライブシャフト11がその上部をケースブラケット16から飛び出して垂直に取付けられている。ドライブシャフト11の下端は、エンドブラケット18に取付けたシール付きローラーベアリングである第二ラジアルベアリング13eによって、支持されている。
【0096】
本実施例ではケースブラケット16の下部には電気コードを取り出す貫通孔がケースブラケット16に設けられている。
【0097】
図1に示すように、エンドブラケット18は、ケースブラケット16と、ボルト(図示しない)により着脱容易に結合されている。そして、ケースブラケット16との結合部にシール材(図示しない)を用いて密閉されている。
エンドブラケット18は円形の皿形の容器であり、中心部にドライブシャフト11の下端部の軸受が形成されている。軸受としては、第二ラジアルベアリング13eとしてシール付きローラーベアリングが設けられている。
【0098】
次に、本実施例では、軽量化のため小型の直流モータ17が使用されている。モータ17の回転軸には、歯付きホイール15としてスプロケットが取り付けられている。
各モータ17は、ケース内に設置されている。モータ17とケースブラケット16の着脱は、モータ17側とケースブラケット内側に形成した脱着部材によって容易に行うことができる。本実施例では図示しないがモータ17の外側の一部とケースブラケット16の内側の一部を凹凸形状に形成して容易に脱着可能に形成されている。従って、モータ17の取替の必要が生じたときに個別にモータ17の脱着を容易に行うことができる。
【0099】
また、本発明では、モータ17の脱着が容易であるため、ケースブラケット16に取り付けることが可能なモータ17の数を容易に増減することができ、電動発電機10の出力又は電動発電機10の電力の設定が可能である。
本実施例では、ドライブシャフト11中心から所定の寸法だけ離れた位置に4個の直流モータ17がケースブラケット16に固定されている。これらの直流モータ17の構造は全て同一構造である。
【0100】
そして、ドライブシャフト11には平歯の1段のドライブギヤ14が固着されている。ドライブギヤ14は、他方のモータ17側の歯付きホイール15と歯合している。ドライブギヤ14には、モータ17に取付けた歯付きホイール15が等角度間隔で4個噛合されている。4個の歯付きホイール15は同一構造であり、歯数は同一となっている。
上記のように、直流モータ17の出力が歯付きホイール15及びドライブギヤ14を介してドライブシャフト11に伝達され、各モータ17の出力が合成されてドライブシャフト11から出力される。
【0101】
本実施例では、バッテリはモータ17と同程度の大きさのニッケル・カドミウム蓄電池をケース内部に組み込むことも可能である。モータ17と同程度の大きさのバッテリを、モケースブラケットに脱着可能に取付けることができる。
バッテリは、外部の動力源、例えば風力発電機によって発電された電力が充電される。バッテリに充電された電力は、モータ17に供給される他、必要に応じて外部の電気部品(外部負荷)などに供給することもできる。
【0102】
また本実施例では、ケース内に収容できるバッテリから電力供給を受けて電動機としても機能する。また、交流電源を電力供給源とする場合は、交流電流を整流して整流器により直流電流にし、電力を電動発電機10に供給して電動発電機10を電動機として機能させることができる。