(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011749
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】新規なプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素、それを含むプシコース生産用組成物、及びこれを用いたプシコース製造方法
(51)【国際特許分類】
C12N 9/16 20060101AFI20230117BHJP
C12N 15/55 20060101ALI20230117BHJP
C12P 19/02 20060101ALI20230117BHJP
C13K 13/00 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
C12N9/16 B ZNA
C12N15/55
C12P19/02
C13K13/00
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172294
(22)【出願日】2022-10-27
(62)【分割の表示】P 2021533165の分割
【原出願日】2019-12-05
(31)【優先権主張番号】10-2018-0159351
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】507406611
【氏名又は名称】シージェイ チェルジェダン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヒョンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ユン,サンヨン
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ヒョングク
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ソンジェ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,スンファン
(72)【発明者】
【氏名】パク,イルヒャン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ビョンサム
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソンボ
(72)【発明者】
【氏名】パク,スンウォン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】プシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素、それを含む微生物、及びこれを用いたプシコース製造方法を提供する。
【解決手段】特定のアミノ酸配列を含むプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素、これを発現する微生物、または上記微生物の培養物を含むプシコース生産用組成物、並びにこれをプシコース-6-リン酸と接触させてプシコース-6-リン酸をプシコースに転換する段階を含むプシコース製造方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プシコース製造のためのプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素の使用であって、
上記酵素は、配列番号6、12~14、17、18、20~23、25、26、28、29、37~53、55~57、59~61、64~66、69、70、72、73、76、77、80、81、85、88、92、95、99~105、108、113、114、116、117、122、131、133、134、136、142~147、150~152、154~156、159~163、167、169、172、173、175、184~187、189、191、192、195、198、205、210、211、214、216、217及び221のいずれか一つのアミノ酸配列を含み、プシコース-6-リン酸に対して選択的脱リン酸活性を示すことを特徴とする、使用。
【請求項2】
上記プシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素が、配列番号6、12、26、29、38~43、45~53、56、57、59、60、64~66、69、70、72、76、80、81、92、95、99~103、113、114、116、117、131、134、136、142、145、146、167、169、172、184~187、189、191、192、211、217、及び221のいずれか一つのアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
配列番号6、12~14、17、18、20~23、25、26、28、29、37~53、55~57、59~61、64~66、69、70、72、73、76、77、80、81、85、88、92、95、99~105、108、113、114、116、117、122、131、133、134、136、142~147、150~152、154~156、159~163、167、169、172、173、175、184~187、189、191、192、195、198、205、210、211、214、216、217及び221のいずれか一つのアミノ酸配列を含み、プシコース-6-リン酸に対して選択的脱リン酸活性を示すプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素;これを発現する微生物;または上記微生物の培養物を含む、プシコース生産用組成物。
【請求項4】
上記プシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素が、配列番号6、12、26、29、38~43、45~53、56、57、59、60、64~66、69、70、72、76、80、81、92、95、99~103、113、114、116、117、131、134、136、142、145、146、167、169、172、184~187、189、191、192、211、217及び221のいずれか一つのアミノ酸配列を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
上記組成物は、リン酸糖をさらに含む、請求項3または4に記載の組成物。
【請求項6】
配列番号6、12~14、17、18、20~23、25、26、28、29、37~53、55~57、59~61、64~66、69、70、72、73、76、77、80、81、85、88、92、95、99~105、108、113、114、116、117、122、131、133、134、136、142~147、150~152、154~156、159~163、167、169、172、173、175、184~187、189、191、192、195、198、205、210、211、214、216、217及び221のいずれか一つのアミノ酸配列を含み、プシコース-6-リン酸に対して選択的脱リン酸活性を示すプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素、これを発現する微生物、または上記微生物の培養物をプシコース-6-リン酸と接触させてプシコース-6-リン酸をプシコースに転換する段階を含む、プシコース製造方法。
【請求項7】
上記方法は、プシコース-6-リン酸をプシコースに転換する段階以前、果糖-6-リン酸(fructose-6-phosphate)に果糖-6-リン酸-3-エピマー化酵素、これを発現する微生物または上記微生物の培養物を接触させ、上記果糖-6-リン酸をプシコース-6-リン酸に転換する段階をさらに含む、請求項6に記載のプシコース製造方法。
【請求項8】
上記方法は、上記果糖-6-リン酸をプシコース-6-リン酸に転換する段階以前、ブドウ糖-6-リン酸(Glucose-6-phosphate)にブドウ糖-6-リン酸-異性化酵素、これを発現する微生物または上記微生物の培養物を接触させ、上記ブドウ糖-6-リン酸を果糖-6-リン酸に転換する段階をさらに含む、請求項7に記載のプシコース製造方法。
【請求項9】
上記方法は、上記ブドウ糖-6-リン酸を果糖-6-リン酸に転換する段階以前、ブドウ糖-1-リン酸(Glucose-1-phosphate)にホスホグルコムターゼ、これを発現する微生物または上記微生物の培養物を接触させ、上記ブドウ糖-1-リン酸をブドウ糖-6-リン酸に転換する段階をさらに含む、請求項8に記載のプシコース製造方法。
【請求項10】
上記方法は、上記ブドウ糖-6-リン酸を果糖-6-リン酸に転換する段階以前、ブドウ糖(Glucose)にポリホスフェートブドウ糖リン酸化酵素、これを発現する微生物または上記微生物の培養物、及びポリホスフェートを接触させ、上記ブドウ糖をブドウ糖-6-リン酸に転換する段階をさらに含む、請求項9に記載のプシコース製造方法。
【請求項11】
上記方法は、上記ブドウ糖-1-リン酸をブドウ糖-6-リン酸に転換する段階以前、澱粉、マルトデキストリン、スクロースまたはその組合わせに、α-グルカンホスホリラーゼ、澱粉ホスホリラーゼ、マルトデキストリンホスホリラーゼまたはスクロースホスホリラーゼ;これを発現する微生物;または上記微生物の培養物、及びホスフェートを接触させ、上記澱粉、マルトデキストリン、スクロースまたはその組合わせをブドウ糖-1 リン酸に転換する段階をさらに含む、請求項10に記載のプシコース製造方法。
【請求項12】
上記澱粉、マルトデキストリン、スクロースまたはその組合わせをブドウ糖-1-リン酸に転換する段階は、α-アミラーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼ、α-グルカノトランスフェラーゼ、グルコアミラーゼまたはスクラーゼ、これを発現する微生物、または上記微生物の培養物をさらに含み、上記澱粉、マルトデキストリン、スクロースまたはその組合わせをマルトオリゴ糖またはブドウ糖に転換する段階をさらに含む、請求項11に記載のプシコース製造方法。
【請求項13】
澱粉、マルトデキストリン、スクロースまたはその組合わせに、
(a)配列番号6、12~14、17、18、20~23、25、26、28、29、37~53、55~57、59~61、64~66、69、70、72、73、76、77、80、81、85、88、92、95、99~105、108、113、114、116、117、122、131、133、134、136、142~147、150~152、154~156、159~163、167、169、172、173、175、184~187、189、191、192、195、198、205、210、211、214、216、217及び221のいずれか一つのアミノ酸配列を含み、プシコース-6-リン酸に対して選択的脱リン酸活性を示すプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素;
果糖-6-リン酸-3-エピマー化酵素;
ブドウ糖-6-リン酸-異性化酵素;
ホスホグルコムターゼもしくはブドウ糖リン酸化酵素;及び
α-グルカンホスホリラーゼ、澱粉ホスホリラーゼ、マルトデキストリンホスホリラーゼ、スクロースホスホリラーゼ、α-アミラーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼ、グルコアミラーゼ、α-グルカノトランスフェラーゼ、ポリホスフェートグルコキナーゼもしくはスクラーゼ;
または
(b)上記項目(a)の酵素を発現する微生物もしくは上記微生物の培養物
を接触させる段階を含む、プシコース製造方法。
【請求項14】
上記接触は、pH5.0~9.0、40℃~80℃の温度、及び/又は2時間ないし24時間または120時間実施する、請求項13に記載のプシコース製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、プシコースを製造するためにプシコース-6-リン酸を脱リン酸化する新規酵素、それを含むプシコース生産用組成物、及びこれを用いてプシコースを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プシコース-3-エピマー化酵素(D-psicose-3-epimerase、EC 5.1.3.30)及びタガトース-3-エピマー化酵素(D-tagatose-3-epimerase、EC 5.1.3.31)は果糖(D-fructose)を3-エピマー化(3-epimerization,3番炭素エピマー化)してプシコース(D-psicose)を生産する酵素として知られている。上記酵素を用いる単一酵素反応によりプシコースを生産する場合、基質である果糖と産物であるプシコースとの間に一定水準の反応平衡(reaction equilibrium)が存在する(産物/基質=約20%~35%)。したがって、高純度のプシコースを製造するためには、酵素反応結果物から比較的高濃度の果糖を分離して除去しなければならない追加精製工程が要求される問題がある。また、果糖は、澱粉やブドウ糖に比べて比較的高費用の原料であり果糖を原料として生産時にプシコースとタガトースの原価比率が高くなる。これに、比較的経済的な澱粉またはブドウ糖を用いた反応を通じてアルロース及びタガトース生産の多様な研究が発表されている(KR 10-2018-0004023(特許文献1)、WO2018-112139(特許文献2)、WO2017-059278(特許文献3)、WO2018-129275(特許文献4))。
【0003】
一方、Chanら(2008. Biochemistry. 47:9608-9617(非特許文献1))は、果糖-6-リン酸(D-fructose-6-phosphate)及びプシコース-6-リン酸(D-psicose-6-phosphate)に対して3-エピマー化反応を行うことができるストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)由来のリブロース-5-リン酸-3-エピマー化酵素(D-ribulose-5-phosphate-3-epimerase、EC 5.1.3.1)及びE.coli由来のプシコース-6-リン酸-3-エピマー化酵素(D-psicose 6-phosphate-3-epimerase、EC 5.1.3.-)を報告したことがあるが、上記酵素は耐熱性を有せず、産業的に利用が不可能な問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】KR 10-2018-0004023
【特許文献2】WO2018-112139
【特許文献3】WO2017-059278
【特許文献4】WO2018-129275
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】2008. Biochemistry. 47:9608-9617
【非特許文献2】Panoramic view of a superfamily of phosphatases through substrate profiling、PNAS、06.04. 2015、Huang等
【非特許文献3】EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite, Rice et al., 2000, Trends Genet. 16: 276-277
【非特許文献4】Needleman and Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48: 443-453
【非特許文献5】Devereux, J., et al, Nucleic Acids Research 12: 387 (1984)
【非特許文献6】Atschul, [S.] [F.,] [ET AL, J MOLEC BIOL 215]: 403 (1990)
【非特許文献7】Guide to Huge Computers, Martin J. Bishop, [ED.,] Academic Press, San Diego,1994
【非特許文献8】[CARILLO ETA/.](1988) SIAM J Applied Math 48: 1073
【非特許文献9】Smith and Waterman, Adv. Appl. Math (1981) 2:482
【非特許文献10】Schwartz and Dayhoff, eds., Atlas Of Protein Sequence And Structure, National Biomedical Research Foundation, pp. 353-358 (1979)
【非特許文献11】Gribskov et al(1986) Nucl. Acids Res. 14: 6745
【非特許文献12】Scheit, Nucleotide Analogs, John Wiley, New York(1980)
【非特許文献13】Uhlman 及びPeyman, Chemical Reviews, 90:543-584(1990)
【非特許文献14】Sambrook et al., supra, 9.50-9.51, 11.7-11.8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、経済的であると同時に産業的にアルロースへの転換収率を高める方法を開発するために鋭意努力した。その結果、経済的原料であるスクロースまたは澱粉(例えば、マルトデキストリン)をプシコース-6-リン酸に転換させた後、上記プシコース-6-リン酸に特異的でありながら非可逆反応経路を行う本出願のプシコース-6リン酸の脱リン酸化酵素(psicose-6-phosphate phosphatase)を用いてプシコースを生産する場合、プシコース生産経路に関与する複数の酵素を同時に使用可能な同時酵素反応(one-pot enzymatic conversions)が可能であり、プシコース転換率を顕著に高めることを確認することにより本出願を完成した。本出願の酵素は、既存の公知となったプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素(Panoramic view of a superfamily of phosphatases through substrate profiling、PNAS、06.04. 2015、Huang(非特許文献2)等)に比べてプシコース生産においてより適した利点を有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願の一つの目的は、プシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素を提供することにある。
【0008】
本出願のもう一つの目的は、プシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素をコードする核酸を提供することにある。
【0009】
本出願の更に他の一つの目的は、プシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素をコードする核酸を含む形質転換体を提供することにある。
【0010】
本出願の更に他の一つの目的は、プシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素、これを発現する微生物、または上記微生物の培養物を含むプシコース生産用組成物を提供することにある。
【0011】
本出願の更に他の一つの目的は、プシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素、これを発現する微生物、または上記微生物の培養物をプシコース-6-リン酸と接触させてプシコース-6-リン酸をプシコースに転換する段階を含むプシコース製造方法を提供することにある。
【発明の効果】
【0012】
本出願の新規な各酵素及びその組合わせは耐熱性があり、プシコース-6-リン酸をプシコースに転換する経路を産業的に行うことができ、経済的な原料であるブドウ糖または澱粉(例えば、マルトデキストリン)を用いてプシコース合成経路の進行を可能にし、非可逆反応経路であるプシコース-6-リン酸の脱リン酸化反応によりプシコース生産を可能にするところ、プシコースへの転換率を顕著に高めることができる。耐熱性酵素は、商業的に微生物防止と高濃度基質反応が容易であり、その効果がさらに付加される。また、本製造方法は、プシコース転換率の上昇により反応結果物が高濃度のプシコースを含めて分離精製工程を単純化または除去することができるところ、製造方法が簡単でありながらも経済的な利点がある。特に、SMBを用いた分離などを行わないとか、最小化が可能であり、分離効率及び収率を極大化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本出願の内容について具体的に説明すると、次の通りである。一方、本出願において開示した一様態の説明及び実施形態は、共通した事項について他の様態の説明及び実施形態にも適用され得る。また、本出願において開示された多様な要素の全ての組合わせが本出願の範疇に属する。併せて、下記の具体的な記述により本出願の範疇が制限されるとは見られない。
【0014】
上記目的を達成するための本出願の一つの様態は、プシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素を提供することである。
【0015】
具体的には、本出願のプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素は、アリサイクロバチルス(Alicyclobacillus)、アミコラトプシス(Amycolatopsis)、アナエロリネア(Anaerolinea)、アルカエオグロブス(Archaeoglobus)、バチルス(Bacillus)、カルディセルロシルプター(Caldicellulosiruptor)、カルディリネア(Caldilinea)、カルジスリックス(Caldithrix)、カルボキシドセラ(Carboxydocella)、カルボキシドテルムス(Carboxydothermus)、クロロフレクサス(Chloroflexi)、デフルヴィトガ(Defluviitoga)、デイノコッカス(Deinococcus)、デスルフロコックス(Desulfurococcus)、ディクチオグロムス(Dictyoglomus)、エフシバチルス(Effusibacillus)、フェルビドバクテリウム(Fervidobacterium)、ゲオバチルス(Geobacillus)、ハロコッカス(Halococcus)、ヒドロゲニビルガ(Hydrogenivirga)、ヒドロゲノバクテル(Hydrogenobacter)、ヒュペルテルムス(Hyperthermus)、コスモトガ(Kosmotoga)、マリニトガ(Marinitoga)、メイオテルムス(Meiothermus)、メソトガ(Mesotoga)、メタロスファエラ(Metallosphaera)、メタノケッラ(Methanocella)、メタノコッコイデス(Methanococcoides)、メタノハロビウム(Methanohalobium)、メタノロバス(Methanolobus)、メタノサルキナ(Methanosarcina)、メタノテルムス(Methanothermus)、ペトロトガ(Petrotoga)、ピクロフィルス(Picrophilus)、シュードノカルジア(Pseudonocardia)、ピュロコックス(Pyrococcus)、ピロディクティウム(Pyrodictium)、ロドテルムス(Rhodothermus)、スラッキア(Slackia)、スタピュロテルムス(Staphylothermus)、スルフォロブス(Sulfolobus)、サーマナエロトリックス(Thermanaerothrix)、サーモアナエロバクター(Thermoanaerobacter)、サーモアナエロバクテリウム(Thermoanaerobacterium)、サーモビフィダ(Thermobifida)、サーモコッカス(Thermococcus)、サーモクリニス(Thermocrinis)、サーモフレキアス(Thermoflexus)、サーモトガ(Thermotoga)、テルムス(Thermus)、またはトルペラ(Truepera)属由来のプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素であってもよく、より具体的には、アリシクロバチルス・アシドカルダリウス(Alicyclobacillus acidocaldarius)、アリシクロバチルス・テングコンゲンシス(Alicyclobacillus tengchongensis)、アミコラトプシス・サーモフラバ(Amycolatopsis thermoflava)、アナエロリネア・サーモリモサ(Anaerolinea thermolimosa)、アナエロリネア・サーモフィラ(Anaerolinea thermophila)、アルカエオグロブス・フルギダス(Archaeoglobus fugidus)、アルカエオグロブス・プロファンデュス(Archaeoglobus profundus)、アルカエオグロブス・ベネフィカス(Archaeoglobus veneficus)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、カルディセルロシラプター・ベッシー(Caldicellulosiruptor bescii)、カルディリネア・アエロフィラ(Caldilinea aerophila)、カルディスリックス・アビッシ(Caldithrix abyssi)、カルボキシドセラsp.UL01(Carboxydocella sp. ULO1)、カルボキシドサームス・フェリレデューセンス(Carboxydothermus ferrireducens)、クロロフレクサス・バクテリウム54-19(Chloroflexi bacterium 54-19)、デフルヴィトガ・チュニジエンシス(Defluviitoga tunisiensis)、デイノコッカス・アエリウス(Deinococcus aerius)、デイノコッカス・アパチェンシス(Deinococcus apachensis)、デイノコッカス・アクアティリス(Deinococcus aquatilis)、デイノコッカス・ゲオサーマリス(Deinococcus geothermalis)、デイノコッカス・ホピエンシス(Deinococcus hopiensis)、デイノコッカス・マリコペンシス(Deinococcus maricopensis)、デイノコッカス・ムライ(Deinococcus murrayi)、デイノコッカス・レティクリサーミティス(Deinococcus reticulitermitis)、デイノコッカス・ブルムクイエンシス(Deinococcus wulumuqiensis)、デイノコッカスsp.Leaf326(Deinococcus sp. Leaf326)、デイノコッカス・フェニシス(Deinococcus phoenicis)、デイノコッカス・プロテオリュティクス(Deinococcus proteolyticus)、デイノコッカスsp.17bor-2(Deinococcus sp. 17bor-2)、デイノコッカス sp. NW-56(Deinococcus sp. NW-56)、デイノコッカスsp. RL(Deinococcus sp. RL)、デイノコッカスsp. YIM 77859(Deinococcus sp. YIM 77859)、デスルフロコッカス・ムコサス(Desulfurococcus mucosus)、ディクチオグロムス・トゥルギダム(Dictyoglomus turgidum)、エフシバチルス・ポリアエ(Effusibacillus pohliae)、フェルビドバクテリウム・ゴンデワネンス(Fervidobacterium gondwanense)、フェルビドバクテリウム・アイランディカム(Fervidobacterium islandicum)、フェルビドバクテリウム・ノドサム(Fervidobacterium nodosum)、フェルビドバクテリウム・ペニボランス(Fervidobacterium pennivorans)、ゲオバチルスsp.(Geobacillus sp.)、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)、ハロコッカス・サリフォディナエ(Halococcus salifodinae)、ヒドロゲニビルガsp.128-5-R1-1(Hydrogenivirga sp. 128-5-R1-1)、ハイドロジェノバクター・ヒドロゲノフィラス(Hydrogenobacter hydrogenophilus)、ハイドロジェノバクター・サーモフィラス(Hydrogenobacter thermophilus)、ハイパーサーマス・ブチリカス(Hyperthermus butylicus)、コスモトガ・アレニコラリナ(Kosmotoga arenicorallina)、コスモトガ・オレアリア(Kosmotoga olearia)、マリニトガ・ピエゾフィラ(Marinitoga piezophila)、メイオサーマス・セルベレウス(Meiothermus cerbereus)、メイオサーマス・クリアロファイルス(Meiothermus chliarophilus)、メイオサーマス・ルバー(Meiothermus ruber)、メイオサーマス・シルバヌス(Meiothermus Silvanus)、メイオサーマス・タイワンエンシス(Meiothermus taiwanensis)、メイオサーマス・ティミダス(Meiothermus timidus)、メイオサーマス・ルーファス(Meiothermus rufus)、メソトガ・インフェラ(Mesotoga infera)、メタロスファエラ・セデュラ(Metallosphaera sedula)、メタノケッラ・コンラディ(Methanocella conradii)、メタノコッコイデス・メチルテンス(Methanococcoides methylutens)、メタノハロビウム・エベスチガータム(Methanohalobium evestigatum)、メタノロバス・ティンダリウス(Methanolobus tindarius)、メタノサルキナ・シチリア(Methanosarcina sicilia)、メタノサーマス・フェルビダス(Methanothermus fervidus)、ペトロトガ・モビリス(Petrotoga mobilis)、ピクロフィルス・トリダス(Picrophilus torridus)、シュードノカルディア・サーモフィラ(Pseudonocardia thermophila)、ピュロコックス・フリオスス(Pyrococcus furiosus)、ピュロディクティウム・オカルタム(Pyrodictium occultum)、ロドテルムス・マリナス(Rhodothermus marinus)、スラッキア・ヘリオトリニレデューセンス(Slackia heliotrinireducens)、スタフィロテルムス・マリヌス(Staphylothermus marinus)、スルホロブス・アシドカルダリウス(Sulfolobus acidocaldarius)、サーマナエロトリックス・ダクセンシス(Thermanaerothrix daxensis)、サーモアナエロバクターsp.(Thermoanaerobacter sp.)、サーモアナエロバクター・サーモヒドロスルフリカス(Thermoanaerobacter thermohydrosulfuricus)、サーモアナエロバクター・ウィエジェリイ(Thermoanaerobacter wiegelii)、サーモアナエロバクテリウム・キシラノリティカム(Thermoanaerobacterium xylanolyticum)、サーモビフィダ・ハロトレランス(Thermobifida halotolerans)、サーモコッカス・セラー(Thermococcus celer)、サーモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)、サーモコッカス・プロファンダス(Thermococcus profundus)、サーモクリニス・ミネルヴァ(Thermocrinis minervae)、サーモクリニス・ルバー(Thermocrinis ruber)、サーモフレクサス・フゲンホルジイ(Thermoflexus hugenholtzii)、サーモトガ・レティンガエ(Thermotoga lettingae)、サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)、サーモトガ・ペトロフィラ(Thermotoga petrophilia)、サーマス・アミロリケファシエンス(Thermus amyloliquefaciens)、サーマス・フィリフォルミス(Thermus filiformis)、サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)、またはトルペラ・ラディオビクトリックス(Truepera radiovictrix)由来であってもよいが、これに制限されない。
【0016】
本出願において、「プシコース-6-リン酸(psicose-6-phosphate)」は、アルロース-6-リン酸(allulose6-phosphate)とも知られており、「プシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素」とはプシコース-6-リン酸のリン酸基を脱リン酸化させてプシコースを生産する作用をする酵素を意味する。
【0017】
本出願のプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素は、高濃度澱粉を分解してプシコースを製造するにおいて、澱粉加工酵素及びリン酸糖転換酵素と複合的に組み合わせて高効率でプシコースを製造するのに用いられる。
【0018】
本出願のプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素は、配列番号1~222のいずれか一つのアミノ酸配列であるか、または上記アミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むものであってもよい。
【0019】
また、配列番号1、6、9、12、26、29,38~43、45~53、56、57、59、60、64~66、69、70、72、76、80、81、91~93、95、99~103、113、114、116、117、131、134、136、142、145、146、148、164、167、169、172、177、184~187、189、191、192、211、217及び221のいずれか一つのアミノ酸配列であるか、または上記アミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むものであってもよいが、これに制限されない。
【0020】
より具体的には、配列番号26、29、53、56、60、70、76、80、81、116、117、131、134、145、167、185、186、及び191のいずれか一つのアミノ酸配列であるか、または上記アミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むものであってもよいが、これに制限されない。
【0021】
また、上記アミノ酸配列と同一の活性を有する配列は、制限なく含まれてもよい。また、配列番号1~222のいずれか一つのアミノ酸配列またはこれと80%以上の相同性(homology)または同一性(identity)を有するアミノ酸配列を含んでもよいが、これに制限されるものではない。具体的には、上記アミノ酸は、配列番号1~222の配列及び上記配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の相同性または同一性を有するアミノ酸を含んでもよい。また、このような相同性または同一性を有し、上記タンパク質に対応する効能を示すアミノ酸配列であれば、一部の配列が欠失、変形、置換または付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質も本出願の範囲内に含まれることは自明である。
【0022】
即ち、本出願において、「特定配列番号で記載されたアミノ酸配列を有するタンパク質」と記載されているとしても、該当配列番号のアミノ酸配列からなるタンパク質と同一あるいは対応する活性を有する場合であれば、一部の配列が欠失、変形、置換、保存的置換または付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質も本出願で用いられることは自明である。例えば、上記酵素と同一あるいは対応する活性を有する場合であれば、上記アミノ酸配列の前後にタンパク質の機能を変更しない配列の追加、自然に発生し得る突然変異、その潜在性突然変異(silent mutation)または保存的置換を除くものでなく、そのような配列の追加あるいは突然変異を有する場合も、本出願の範囲内に属することが自明である。
【0023】
本出願において、用語、「相同性(homology)」または「同一性(identity)」とは、2つの与えられたアミノ酸配列または塩基配列と互いに関連した程度を意味し、百分率で表することができる。
【0024】
用語、相同性及び同一性は、しばしば相互交換的に用いられ得る。
【0025】
保存された(conserved)ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列相同性または同一性は、標準配列アルゴリズムにより決定され、用いられるプログラムにより確立したデフォルトギャップペナルティが共に用いられる。実質的に、相同性を有したり(homologous)または同一の(identical)配列は、中間または高いストリンジェントな条件(stringent conditions)で一般的に配列全体または全体長さの少なくとも約50%、60%、70%、80%または90%以上にハイブリッドすることができる。ハイブリッド化は、ポリヌクレオチドにおいてコドンの代わりに縮退コドンを含有するポリヌクレオチドも考慮される。
【0026】
任意の2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列が相同性、類似性または同一性を有するかどうかは、例えば、Pearson et al (1988)[Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85]: 2444でのようなデフォルトパラメータを用いて「FASTA」プログラムのような公知のコンピュータアルゴリズムを用いて決定され得る。または、EMBOSSパッケージのニードルマンプログラム(EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite, Rice et al., 2000, Trends Genet. 16: 276-277(非特許文献3))(バージョン5.0.0または以後のバージョン)で行われるように、ニードルマン-ウンシュ(Needleman-Wunsch)アルゴリズム(Needleman and Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48: 443-453(非特許文献4))が用いられて決定され得る。(GCGプログラムパッケージ(Devereux, J., et al, Nucleic Acids Research 12: 387 (1984)(非特許文献5)), BLASTP, BLASTN, FASTA (Atschul, [S.] [F.,] [ET AL, J MOLEC BIOL 215]: 403 (1990)(非特許文献6); Guide to Huge Computers, Martin J. Bishop, [ED.,] Academic Press, San Diego,1994(非特許文献7),及び[CARILLO ETA/.](1988) SIAM J Applied Math 48: 1073(非特許文献8)を含む)。例えば、国立生物工学情報データベースセンターのBLASTまたはClustalWを用いて相同性、類似性または同一性を決定することができる。
【0027】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの相同性、類似性または同一性は、例えば、 Smith and Waterman, Adv. Appl. Math (1981) 2:482(非特許文献9)に公知となっているように、例えば、 Needleman et al. (1970), J Mol Biol.48: 443(非特許文献4)のようなGAPコンピュータプログラムを用いて配列情報を比較することにより決定され得る。要約すると、GAPプログラムは2つの配列中、さらに短いものでの記号の全体数で類似の配列された記号(即ち、ヌクレオチドまたはアミノ酸)の数を除した値で定義する。GAPプログラムのためのデフォルトパラメータは、(1)一進法比較マトリックス(同一性のために1そして非同一性のために0の値を含有する)及びSchwartz and Dayhoff, eds., Atlas Of Protein Sequence And Structure, National Biomedical Research Foundation, pp. 353-358 (1979)(非特許文献10)により開示されている通り、Gribskov et al(1986) Nucl. Acids Res. 14: 6745(非特許文献11)の重み付けされた比較マトリックス(または EDNAFULL(NCBI NUC4.4のEMBOSSバージョン)置換マトリックス);(2)各ギャップのための3.0のペナルティ及び各ギャップにおいて各記号のための追加の0.10ペナルティ(またはギャップ開放ペナルティ10,ギャップ延長ペナルティ0.5);及び(3)末端ギャップのための無ペナルティを含んでもよい。従って、本出願において用いられたこととして、用語「相同性」または「同一性」は配列間の関連性(relevance)を示す。
【0028】
本出願のプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素はプシコース-6-リン酸に選択的に脱リン酸化反応をする酵素であってもよい。具体的には、プシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素は、プシコース-6-リン酸とブドウ糖-1-リン酸(D-glucose-1-phosphate)、ブドウ糖-6-リン酸(D-glucose-6-phosphate)または果糖-6-リン酸(D-fructose-6-phosphate)を混合した時にプシコース-6-リン酸に脱リン酸化反応をする酵素であってもよい。一例として、プシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素は、同量のプシコース-6-リン酸、ブドウ糖-1-リン酸、ブドウ糖-6-リン酸、及び果糖-6-リン酸を混合した時にプシコース-6-リン酸の脱リン酸化率が1%以上、10%以上、または30%以上であってもよい。このような本出願のプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素の選択的活性に起因して複数の酵素及び基質を同時に用いる同時酵素反応(one-pot enzymatic conversion)で高いプシコース転換率を示すことができる。
【0029】
本出願の上記酵素自体またはこれを発現するDNAを菌株に形質転換させ、これを培養して培養物を得、上記培養物を破砕し、カラムなどを通じて精製したものであってもよい。上記形質転換用菌株としては、大腸菌(Escherichia coli)、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterum glutamicum)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)またはバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)があるが、これに制限されず、以後にGRAS(Generally Recognized as Safe)菌株内形質転換の可能性があってもよい。
【0030】
本出願のもう一つの様態は、上記プシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素をコードする核酸、または上記核酸を含むベクターを提供することである。
【0031】
本出願において、「核酸」とは、DNAまたはRNA分子を包括的に含む意味を有し、核酸における基本構成単位であるヌクレオチドは天然ヌクレオチドだけでなく、糖または塩基部位が変形された類似体も含んでもよい(参照文献: Scheit, Nucleotide Analogs, John Wiley, New York(1980)(非特許文献12); Uhlman 及びPeyman, Chemical Reviews, 90:543-584(1990)(非特許文献13))。
【0032】
本出願の酵素をコードする核酸は、単位体であるヌクレオチドが共有結合により連結されたDNAまたはRNA配列であってもよく、具体的には、配列番号1~222のアミノ酸配列のDNA化転換時(アミノ酸を61個codonに変形)に可能な全ての種類のいずれか一つのヌクレオチド配列であってもよく、より具体的には、本出願の配列番号1~222のアミノ酸配列のいずれか一つのアミノ酸配列に翻訳され得るそれぞれのヌクレオチドと90%以上、95%以上、97%以上、99%以上または100%の相同性、類似性または同一性を有しながら、翻訳されて目的とする酵素活性を示す核酸を含んでもよい。コドン縮退性(codon degeneracy)により活性が同一のタンパク質、翻訳(transcription)後にアミノ酸配列が同一の、具体的に配列番号1~222のいずれか一つのアミノ酸配列からなるタンパク質またはこれと相同性、類似性、または同一性を有するタンパク質に翻訳されるポリヌクレオチドも本出願の範囲に含まれ得ることは自明である。より具体的には、本出願の核酸は、配列は別途表記せず、配列番号1~222のアミノ酸配列に翻訳(translation)可能な全てのDNAコドンの種類からなるものであってもよいが、これに制限されない。
【0033】
また、公知の遺伝子配列から製造され得るプローブ、例えば、上記塩基配列の全体または一部に対する相補配列とストリンジェントな条件下にハイブリッド化し、本出願の酵素をコードする配列であれば、制限なく含まれ得る。
【0034】
上記「ストリンジェントな条件(stringent condition)」とは、ポリヌクレオチド間の特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件を意味する。このような条件は、文献(例えば、J. Sambrook et al.,(非特許文献14))に具体的に記載されている。例えば、相同性(homology)または同一性(identity)が高い遺伝子同士、80%以上、85%以上、具体的には90%以上、より具体的には95%以上、さらに具体的には97%以上、特に具体的には99%以上の相同性または同一性を有する遺伝子同士がハイブリッド化し、それより相同性または同一性が低い遺伝子同士がハイブリッド化しない条件、または通常のサザンハイブリッド化(southern hybridization)の洗浄条件である60℃、1×SSC,0.1% SDS,具体的には60℃、0.1×SSC、0.1% SDS、より具体的には68℃、0.1×SSC,0.1% SDSに相当する塩濃度及び温度で、1回、具体的には2回~3回洗浄する条件を列挙することができる。
【0035】
ハイブリダイゼーションは、たとえハイブリダイゼーションの厳格さにより塩基間のミスマッチ(mismatch)が可能であっても、2個の核酸が相補的配列を有することを要求する。用語、「相補的」は、互いにハイブリダイゼーションが可能なヌクレオチド塩基間の関係を記述するのに用いられる。例えば、DNAについて、アデノシンはチミンに相補的でシトシンはグアニンに相補的である。従って、本出願は、また、実質的に類似の核酸配列だけでなく全体配列に相補的な単離された核酸断片を含んでもよい。
【0036】
具体的には、相同性または同一性を有するポリヌクレオチドは55℃のTm値でハイブリダイゼーション段階を含むハイブリダイゼーション条件を用い、上述した条件を用いて探知することができる。また、上記Tm値は60℃、63℃または65℃であってもよいが、これに制限されるものではなく、その目的に応じて当業者により適宜調節され得る。
【0037】
ポリヌクレオチドをハイブリダイズする適切な厳格さは、ポリヌクレオチドの長さ及び相補性程度に依存し、変数は該当技術分野においてよく知られている(Sambrook et al., supra, 9.50-9.51, 11.7-11.8(非特許文献14)参照)。
【0038】
本出願において、「ベクター」とは、適した宿主内で目的変異型タンパク質を発現させるように適した調節配列に作動可能に連結された本出願の酵素をコードする核酸の塩基配列を含有するDNA製造物を意味する。上記調節配列は、転写を開始できるプロモーター、そのような転写を調節するための任意のオペレータ配列、適したmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、及び転写及び解読の終結を調節する配列を含んでもよい。ベクターは、適当な宿主細胞内に形質転換された後、宿主ゲノムと関係なく複製されたり機能することができ、ゲノムそのものに統合されうる。
【0039】
本出願において用いられるベクターは、宿主細胞内で複製可能であれば、特に限定されず、当業界において知られている任意のベクターを用いることができる。通常用いられるベクターの例としては、天然状態であるか、組み換えられた状態のプラスミド、コスミド、ウイルス及びバクテリオファージを挙げることができる。例えば、ファージベクターまたはコスミドベクターとしてpWE15、M13、MBL3、MBL4、IXII、ASHII、APII、t10、t11、Charon4A、及びCharon21Aなどを用いることができ、プラスミドベクターとしてpBR系、pUC系、pBluescriptII系、pGEM系、pTZ系、pCL系及びpET系などを用いることができる。具体的には pDZ、pACYC177、pACYC184、pCL、pECCG117、pUC19、pBR322、pMW118、pCC1BACベクターなどを用いることができる。
【0040】
本出願の更に他の様態は、本出願の各酵素をコードする核酸または本出願の酵素をコードする核酸を含むベクターを含む形質転換体を提供する。
【0041】
本出願において、「酵素をコードする核酸を含む形質転換体」または「酵素をコードする核酸を含むベクターを含む形質転換体」とは、本出願のプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素が発現されるように組み換えられた微生物を意味することができる。例えば、プシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素をコードする核酸を含めたり、またはプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素をコードする核酸を含むベクターに形質転換され、上記プシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素を発現することができる宿主細胞または微生物を意味する。本出願の目的上、上記形質転換体が発現するプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素は、配列番号1~222のいずれか一つのアミノ酸配列で構成されたものであってもよいが、これに制限されない。
【0042】
本出願において、用語「形質転換」とは、本出願のプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素をコードする核酸を含むベクターを宿主細胞内に導入し、宿主細胞内で上記核酸が暗号化するタンパク質が発現できるようにすることを意味する。形質転換された核酸は、宿主細胞内で発現できるものであれば、宿主細胞の染色体内に挿入されて位置したり染色体外に位置したりに関係なく、これらをいずれも含んでもよい。また、上記核酸は、本出願のプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素をコードする核酸を暗号化するDNA及びRNAを含む。上記核酸は、宿主細胞内に導入されて発現されるものであれば、如何なる形態で導入されても問題ない。例えば、上記核酸は独自に発現されるのに必要な全ての要素を含む遺伝子構造体である発現カセット(expression cassette)の形態で宿主細胞に導入されてもよい。上記発現カセットは、通常、上記核酸に作動可能に連結されているプロモーター(promoter)、転写終結信号、リボソーム結合部位及び翻訳終結信号を含んでもよい。上記発現カセットは自体複製が可能な発現ベクターの形態であってもよい。また、上記核酸はそれ自体の形態で宿主細胞に導入されて宿主細胞で発現に必要な配列と作動可能に連結されているものであってもよく、これに限定されない。
【0043】
また、上記において用語「作動可能に連結」されたとは、本出願のプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素をコードする核酸の転写を開始及び媒介させるプロモーター配列と上記遺伝子配列が機能的に連結されていることを意味する。
【0044】
上記核酸またはベクターの染色体内への挿入は、当業界において知られた任意の方法、例えば、相同組換え(homologous recombination)により行われ得るが、これに制限されない。上記染色体挿入如何を確認するための選別マーカー(selection marker)をさらに含んでもよい。選別マーカーは、ベクターに形質転換された細胞を選別、即ち、目的核酸分子の挿入如何を確認するためのものとして薬物耐性、栄養要求性、細胞毒性剤に対する耐性または表面変異型タンパク質の発現のような選択可能表現型を付与するマーカーが用いられる。選択剤(selective agent)が処理された環境では選別マーカーを発現する細胞のみ生存したり、他の表現形質を示すため、形質転換された細胞を選別することができる。
【0045】
本出願のベクターを形質転換させる方法は、核酸を細胞内に導入する如何なる方法も含まれ、宿主細胞により当分野において公知となった通り、適した標準技術を選択して行うことができる。例えば、電気穿孔法(electroporation)、リン酸カルシウム(CaPO4)沈殿、塩化カルシウム(CaCl2)沈殿、レトロウイルス感染(retroviral infection)、マイクロインジェクション法(microinjection)、ポリエチレングリコール(PEG)法、DEAE-デキストラン法、カチオンリポソーム法、及び酢酸リチウム-DMSO法などがあるが、これに制限されない。
【0046】
上記宿主細胞としては、DNAの導入効率が高く、導入されたDNAの発現効率が高い宿主を用いるのがよいが、例えば、コリネ属微生物、エシェリキア属微生物、セラチア属微生物、バチルス属微生物、サッカロマイセス・セレビシェ属微生物またはピキア属微生物であってもよく、具体的には、大腸菌(E. coli)であってもよいが、これに制限されるものではなく、GRAS菌株の全てに適用可能である。
【0047】
より具体的には、本出願の形質転換体は、E. coli BL21(DE3)/pET-CJ-ap1~E. coli BL21(DE3)/pET-CJ-ap222で計222個である。
【0048】
本出願の更に他の一つの様態は、プシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素、これを発現する微生物、または上記微生物の培養物を含むプシコース生産用組成物を提供することにある。具体的には、上記組成物はリン酸糖をさらに含んでもよく、より具体的には、プシコース-6-リン酸を基質としてさらに含むものであってもよいが、これに制限されない。
【0049】
本出願のプシコース生産用組成物は、プシコース-6-リン酸を脱リン酸化してプシコースを生産する作用をするプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素、上記酵素を発現する微生物、または上記酵素を含む微生物の培養物を含むことにより、プシコース-6-リン酸の脱リン酸化を通じてプシコースを製造するものであってもよい。
【0050】
また、本出願のプシコース生産用組成物は、本出願のプシコース製造経路に関与する酵素及び/又は基質[(i)澱粉、マルトデキストリン、スクロースまたはその組合わせ;(ii)ホスフェート(phosphate)またはポリホスフェート(polyphosphate)またはその他リン酸化化合物;(iii)果糖-6-リン酸-3-エピマー化酵素;(iv)ブドウ糖-6-リン酸-異性化酵素;(v)ホスホグルコムターゼまたはブドウ糖リン酸化酵素;及び/又は(vi)α-グルカンホスホリラーゼ、澱粉ホスホリラーゼ、マルトデキストリンホスホリラーゼ、スクロースホスホリラーゼ、α-アミラーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼ、グルコアミラーゼ、アルファグルカノトランスフェラーゼ、ポリホスフェートグルコキナーゼまたはスクラーゼ];上記プシコース製造経路に関与する酵素を発現する微生物;または上記プシコース製造経路に関与する酵素を発現する微生物の培養物をさらに含んでもよい。ただし、これは、例示的なものであり、本出願のプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素を用いてプシコースを生産することができれば、本出願のプシコース生産用組成物に含まれる酵素及びプシコース生産に用いられる基質が制限されない。
【0051】
具体的には、上記果糖-6-リン酸-3-エピマー化酵素は、果糖-6-リン酸をプシコース-6-リン酸に転換する活性を有するタンパク質であれば、如何なるタンパク質も含んでもよい。上記ブドウ糖-6-リン酸-異性化酵素は、ブドウ糖-6-リン酸を果糖-6-リン酸に転換する活性を有するタンパク質であれば、如何なるタンパク質も含んでもよい。上記ホスホグルコムターゼ(phosphoglucomutase, EC 5.4.2.2)は、ブドウ糖-1-リン酸をブドウ糖-6リン酸に転換させる活性を有するタンパク質であれば、如何なるタンパク質も含んでもよい。上記澱粉/マルトデキストリンホスホリラーゼ(starch/maltodextrin phosphorylase, EC 2.4.1.1)及びα-グルカンホスホリラーゼは、ホスフェート(phosphate)をブドウ糖にリン酸化転移させて澱粉またはマルトデキストリンからブドウ糖-1-リン酸を生産する活性を有するタンパク質であれば、如何なるタンパク質も含んでもよい。上記スクロースホスホリラーゼ(sucrose phosphorylase, EC 2.4.1.7)は、ホスフェートをブドウ糖にリン酸化転移させてスクロースからブドウ糖-1-リン酸を生産する活性を有するタンパク質であれば、如何なるタンパク質も含んでもよい。上記澱粉液糖化酵素であるα-アミラーゼ(α-amylase, EC 3.2.1.1)、プルラナーゼ(pullulanse, EC 3.2.1.41)、イソアミラーゼ(isoamylase, EC 3.2.1.68)、4-α-グルカノトランスフェラーゼ(4-α-glucanotransferase, EC 2.4.1.25)及びグルコアミラーゼ(glucoamylase, EC 3.2.1.3)は、澱粉またはマルトデキストリンを脱分枝化されたマルトオリゴ糖またはブドウ糖に転換させる活性を有するタンパク質であれば、如何なるタンパク質も含んでもよい。上記スクラーゼ(sucrase, EC 3.2.1.26)は、スクロースをブドウ糖に転換させる活性を有するタンパク質であれば、如何なるタンパク質も含んでもよい。ポリホスフェートブドウ糖リン酸化酵素(polyphosphate glucokinase, EC 2.7.1.63)は、ポリホスフェートのリン酸をブドウ糖に転移させてブドウ糖-6-リン酸に転換する活性を有するタンパク質であれば、如何なるタンパク質も含んでもよい。
【0052】
本出願のプシコース生産用組成物に含まれるプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素、α-グルカンホスホリラーゼ、ホスホグルコムターゼ(またはホスホマンノムターゼ)、ブドウ糖-6-リン酸異性化酵素、プシコース-6-リン酸-3-エピマー化酵素(またはリブロース-5-リン酸-3-エピマー化酵素)、プルラナーゼ(またはイソアミラーゼ)、4-α-グルカノトランスフェラーゼ、ポリホスフェートブドウ糖リン酸化酵素などは最終産物であるプシコースに対する副反応がなかったり少ないものであってもよい。
【0053】
本出願のプシコース生産用組成物は、プシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素だけでなく、プシコースを製造するための複数の酵素及びその基質を適宜含んでもよく、種々の酵素が存在する環境でも本出願のプシコース-6リン酸の脱リン酸化酵素は選択的で非可逆的にプシコース-6-リン酸からプシコースを製造することができる効果を奏する。
【0054】
本出願のプシコース生産用組成物は、当該プシコース生産用組成物に通常用いられる任意の適した賦形剤をさらに含んでもよい。このような賦形剤には、例えば、保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、緩衝剤、安定化剤及び等張化剤などが含んでもよいが、これに限定されるものではない。
【0055】
本出願のプシコース生産用組成物は、金属イオンまたは金属塩をさらに含んでもよい。一具現例において、上記金属イオンは2価カチオンであってもよく、具体的には、Ni、Mg、Ni、Co、Mn、Fe及びZnからなる群から選択される1種以上の金属イオンであってもよい。より具体的には、本出願のプシコース生産用組成物は、金属塩をさらに含んでもよく、より具体的には、上記金属塩は NiSO4、MgSO4、MgCl2、NiCl2、CoSO4、CoCl2、MnCl2、MnSO4、FeSO4及びZnSO4からなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0056】
本出願の更に他の一つの様態は、プシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素、これを発現する微生物、または上記微生物の培養物をプシコース-6-リン酸と接触させてプシコース-6-リン酸をプシコースに転換する段階を含む、プシコース製造方法を提供することである。
【0057】
具体的には、本出願のプシコース製造方法は、プシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素、これを発現する微生物、または上記微生物の培養物をプシコース-6-リン酸に接触させてプシコースを製造するものであってもよいが、これに制限されない。
【0058】
本出願の方法は、プシコース-6-リン酸をプシコースに転換する段階以前、果糖-6-リン酸(fructose-6-phosphate)に果糖-6-リン酸-3-エピマー化酵素、上記果糖-6-リン酸-3-エピマー化酵素を発現する微生物または上記果糖-6-リン酸-3-エピマー化酵素を発現する微生物の培養物を接触させ、上記果糖-6-リン酸をプシコース-6-リン酸に転換する段階をさらに含んでもよい。
【0059】
本出願の方法は、上記果糖-6-リン酸をプシコース-6-リン酸に転換する段階以前、ブドウ糖-6-リン酸(glucose-6-phosphate)にブドウ糖-6-リン酸-異性化酵素、上記ブドウ糖-6-リン酸-異性化酵素を発現する微生物または上記ブドウ糖-6-リン酸-異性化酵素を発現する微生物の培養物を接触させ、上記ブドウ糖-6リン酸を果糖-6-リン酸に転換する段階をさらに含んでもよい。
【0060】
本出願の方法は、上記ブドウ糖-6-リン酸を果糖-6-リン酸に転換する段階以前、ブドウ糖-1-リン酸(glucose-1-phosphate)にホスホグルコムターゼ、上記ホスホグルコムターゼを発現する微生物または上記ホスホグルコムターゼを発現する微生物の培養物を接触させ、上記ブドウ糖-1-リン酸をブドウ糖-6-リン酸に転換する段階をさらに含んでもよい。
【0061】
本出願の方法は、上記ブドウ糖-6-リン酸を果糖-6-リン酸に転換する段階以前、ブドウ糖(glucose)にポリホスフェートブドウ糖リン酸化酵素、上記ポリホスフェートブドウ糖リン酸化酵素を発現する微生物または上記ポリホスフェートブドウ糖リン酸化酵素を発現する微生物の培養物、及びポリホスフェートを接触させて、上記ブドウ糖をブドウ糖-6-リン酸に転換する段階をさらに含んでもよい。
【0062】
本出願の方法は、上記ブドウ糖-1-リン酸をブドウ糖-6-リン酸に転換する段階以前、澱粉、マルトデキストリン、スクロースまたはその組合わせにα-グルカンホスホリラーゼ、澱粉ホスホリラーゼ、マルトデキストリンホスホリラーゼまたはスクロースホスホリラーゼ;上記ホスホリラーゼを発現する微生物;または上記ホスホリラーゼを発現する微生物の培養物、及びホスフェートを接触させ、上記澱粉、マルトデキストリン、スクロースまたはその組合わせをブドウ糖-1-リン酸に転換する段階をさらに含んでもよい。
【0063】
本出願の方法は、上記澱粉、マルトデキストリン、スクロースまたはその組合わせをブドウ糖-1-リン酸に転換する段階以前、澱粉、マルトデキストリン、スクロースまたはその組合わせにα-アミラーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼ、グルコアミラーゼまたはスクラーゼ;上記α-アミラーゼ、プルラナーゼ、グルコアミラーゼ、スクラーゼまたはイソアミラーゼを発現する微生物;または上記α-アミラーゼ、プルラナーゼ、グルコアミラーゼ、スクラーゼまたはイソアミラーゼを発現する微生物の培養物を接触させ、上記澱粉、マルトデキストリン、スクロースまたはその組合わせをブドウ糖に転換する段階をさらに含んでもよい。
【0064】
本出願のプシコース製造方法に用いられるプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素、α-グルカンホスホリラーゼ、ホスホグルコムターゼ(またはホスホマンノムターゼ)、ブドウ糖-6-リン酸異性化酵素、プシコース-6-リン酸-3-エピマー化酵素(またはリブロース-5-リン酸-3-エピマー化酵素)、プルラナーゼ(またはイソアミラーゼ)、4-α-グルカノトランスフェラーゼ、ポリホスフェートブドウ糖リン酸化酵素などは最終産物であるプシコースに対する副反応がなかったり少ないものであってもよい。
【0065】
本出願のプシコース製造方法は、高濃度澱粉を分解してリン酸糖転換酵素と複合的組合わせにより最適/最大のプシコースを生産するものであってもよく、プシコースの最大生産性の確保のために、最大8種類の酵素を組み合わせて用いることができる。
【0066】
第一に、澱粉を分解してブドウ糖-1-リン酸を生産する酵素であるグルカンホスホリラーゼ(glucan phosphorlase, glycogen phosphorylase, EC 2.4.1.1)は、α-1,4結合した澱粉に特異的にブドウ糖-1-リン酸(glucose-1-phosphate)を生成する。第二には、このように生成されたブドウ糖-1-リン酸をブドウ糖-6-リン酸(glucose-6-phosphate)に転換するホスホグルコムターゼ(phosphoglucomutase, EC 2.7.5.1)またはホスホマンノムターゼ(phosphomannomutase, EC 5.4.2.8が中間複合酵素反応に使われるようになる。第三には、使用酵素としては、ブドウ糖-6-リン酸を果糖-6-リン酸(fructose-6-phosphate)に転換するブドウ糖-6-リン酸異性化酵素(glucose-6-phosphate isomerase, EC 5.3.1.9)が用いられる。第4には、先に説明された、果糖-6-リン酸からプシコース-6-リン酸に転換する酵素であるリブロース-5-リン酸-3-エピマー化酵素またはプシコース-6-リン酸-3-エピマー化酵素を活用して可逆反応のプシコース-6-リン酸まで生成可能である。澱粉からプシコース-6-リン酸反応までは可逆反応で一定量以上の生成が不可能であるが、本発明に含まれたプシコース-6-リン酸選択的な脱リン酸酵素(psicose-6-phosphate phosphatase)の使用時に高収率のプシコース生産が可能である。
【0067】
付加的に澱粉利用率を高めるために、アミロペクチン(amylopectin)のα-1,4外α-1,6結合の枝(Branch)結合を分解するためにプルラナーゼ(pullulanase, EC 3.2.1.41)またはイソアミラーゼ(isoamylase EC 3.2.1.68)酵素が共に用いられ、また、グルカンホスホリラーゼの澱粉活用を高めるためにグルカントランスフェラーゼ(4-alpha-glucanotransferase, EC 2.4.1.25)を活用する。相対的に活性が低い基質である麦芽糖(maltose)またはその他オリゴ糖にα-1,4結合の形態でオリゴ糖を結合して細分化された澱粉基質の利用率を高めることができる。追加でポリホスフェートグルコキナーゼ(polyphosphate-glucose phosphotransferase, EC 2.7.1.63)を用いて澱粉使用後に分解されたブドウ糖から複合酵素反応を通じて追加のプシコース生産が可能であり、最大プシコース転換率の確保が可能である。
【0068】
また、本出願の製造方法において、本出願の接触はpH5.0~9.0、具体的にはpH6.0~8.0で実施することができる。
【0069】
本出願の製造方法において、本出願の接触は40℃~80℃の温度、具体的には40℃~60℃または50℃~60℃の温度で実施することができる。
【0070】
本出願の製造方法において、本出願の接触は2時間~24時間、具体的には6ないし24時間~120時間実施することができる。
【0071】
本出願の製造方法において、本出願の接触はpH5.0~9.0、40℃~80℃の温度、及び/又は2時間~24時間実施することができる。具体的には、上記接触はpH6.0~8.0、40℃~60℃または50℃~60℃の温度、及び/又は6時間ないし24時間~120時間実施することができる。
【0072】
本出願の製造方法は、プシコースを精製する段階をさらに含んでもよい。本出願の精製は特に制限されず、本出願の技術分野において通常用いる方法を用いることができる。非制限的な例として、クロマトグラフィ、分別結晶及びイオン精製などを挙げることができる。上記精製方法は一つだけ実施することもでき、2種類以上の方法を共に実施することができる。例えば、クロマトグラフィを通じてプシコース生成反応物を精製することができ、上記クロマトグラフィによる糖の分離は分離しようとする糖とイオン樹脂に付着された金属イオン間の弱い結合力の差を用いて行うことができる。
【0073】
また、本出願は、本出願の精製する段階の前または後に脱色、脱塩または両方を実施することをさらに含んでもよい。上記脱色及び/又は脱塩を実施することにより、不純物なしにより精製されたプシコース反応物を得ることができる。
【0074】
以下、本出願を実施例を挙げて詳細に説明するが、これは、本出願の理解を促進するためのものに過ぎず、本出願の範囲がこれに限定されるものではない。
【0075】
本出願においてアミノ酸は、下記のような略語またはアミノ酸名で表示され得る:
【0076】
【表1】
実施例1:各酵素の組換え発現ベクター及び形質転換微生物の製造
本出願のプシコース製造経路に必要な各酵素を提供するために耐熱性の遺伝子を選抜し、これを整理すると、下記表2の通りである。
【0077】
【0078】
上記選抜したアミノ酸の遺伝子は、遺伝子合成または各分譲菌株の染色体DNA(genomic DNA)からそれぞれの遺伝子をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて増幅し、増幅されたそれぞれのDNAは制限酵素NdeI及びXhoIまたはSalIを用いて大腸菌発現用プラスミドベクターpET21a(Novagen社)に挿入して組換え発現べクターを製作した。上記発現ベクターは、通常の形質転換方法(参照: Sambrook et al. 1989]で大腸菌(E. coli)BL21(DE3)菌株にそれぞれ形質転換して形質転換微生物を製造した。
【0079】
具体的には、配列番号26、29、53、56、60、70、76、80、81、116、117、131、134、145、167、185、186、及び191のプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素を大腸菌(E. coli)BL21(DE3)菌株にそれぞれ形質転換してE.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap26、E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap29、E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap53、E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap56、E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap60、E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap70、E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap76、E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap80、E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap81、E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap116、E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap117、E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap131、E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap134、E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap145、E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap167、E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap185、E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap186、及びE.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap191 と命名された形質転換微生物を製造した。
【0080】
上記製造された形質転換微生物を国際寄託機関である韓国微生物保存センター(KCCM)に2018年11月14日付で寄託してKCCM12390P(E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap26)、KCCM12391P(E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap29)、KCCM12392P(E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap53)、KCCM12393P(E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap56)、KCCM12394P(E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap60)、KCCM12395P(E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap70)、KCCM12396P(E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap76)、KCCM12397P(E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap80)、KCCM12398P(E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap81)、KCCM12399P(E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap116)、KCCM12400P(E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap117)、KCCM12401P(E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap131)、KCCM12402P(E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap134)、KCCM12403P(E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap145)、KCCM12404P(E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap167)、KCCM12405P(E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap185)、KCCM12406P(E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap186)、KCCM12407P(E.coil BL21(DE3)/pET-CJ-ap191)の寄託番号をそれぞれ付与を受けた。
【0081】
実施例2:組換え酵素の製造
組換え酵素を製造するために、実施例1で製造した各形質転換微生物をLB液体培地5mlを含む培養チューブに接種し、600nmで吸光度が2.0になるまで37℃の振盪インキュベーターで種菌培養をした。本種菌培養された培養液をLB液体培地を含む培養フラスコに接種して本培養を進行した。600nmでの吸光度が2.0になる時1mM IPTGを添加して組換え酵素の発現生産を誘導した。上記培養過程中の攪拌速度は180rpmであり、培養温度は37℃が維持されるようにした。培養液は8,000×gで4℃で20分間遠心分離後に菌体を回収した。回収された菌体は50mM Tris-HC1(pH8.0)緩衝溶液で2回洗浄し、同一の緩衝溶液で懸濁後に超音波細胞破砕機を用いて細胞を破砕した。細胞破砕物は13,000×gで4℃で20分間遠心分離後に上澄液のみを取った。上記上澄液からHis-tag親和クロマトグラフィを用いて組換え酵素を精製し、50mM Tris-HC1(pH8.0)緩衝溶液で透析した後、反応に用いた。
【0082】
実施例3:リン酸糖脱リン酸活性及びプシコース-6-リン酸脱リン酸の活性分析
果糖-6-リン酸からプシコース-6-リン酸を製造した後、プシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素よるプシコース生産活性を確認またはブドウ糖-1-リン酸を最初基質として3個の酵素を追加で入れてプシコースを検出して活性測定した。ここで、酵素3個はブドウ糖-1-リン酸をブドウ糖-6-リン酸(glucose-6-phosphate)に転換するホスホグルコムターゼ(phosphoglucomutase, EC 2.7.5.1)またはホスホマンノムターゼ(phosphomannomutase, EC 5.4.2.8)とブドウ糖-6-リン酸を果糖-6-リン酸(fructose-6-phosphate)に転換するブドウ糖-6-リン酸異性化酵素(glucose-6-phosphate isomerase, EC 5.3.1.9)そして果糖-6-リン酸からプシコース-6-リン酸に転換する酵素であるリブロース-5-リン酸-3-エピマー化酵素またはプシコース-6-リン酸-3-エピマー化酵素を本出願の脱リン酸酵素222種それぞれと混合して生成される一般糖であるブドウ糖、果糖、プシコースを定性及び定量評価して確認した。
【0083】
具体的には、50mM果糖-6-リン酸または20mMブドウ糖-1-リン酸を50mM Tris-HCl(pH7.0)または50mM Sodium-posphate(pH6~7)または50mM Potassium-posphate(pH6~7)緩衝溶液に懸濁した後、ホスホグルコムターゼまたはホスホマンノムターゼとブドウ糖-6-リン酸異性化酵素とリブロース-5-リン酸-3-エピマー化酵素またはプシコース-6-リン酸-3-エピマー化酵素及び実施例2で製造した組換えプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素222種をそれぞれ0.1unit/ml添加し、45℃~70℃で1~24時間反応させた。HPLCを用いてブドウ糖、果糖、プシコース生成如何を分析し、HPLC分析はSP_0810(Shodex社)カラムとAminex HPX-87C(Bio-RAD社)カラムを用いて80℃で移動相に0.6ml/minの流速で流しながら行い、Refractive Index Detector(RID)で検出した。
【0084】
その後、製造されたブドウ糖-1-リン酸、ブドウ糖-6-リン酸、果糖-6-リン酸及びプシコース-6-リン酸の混合液で本出願のプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素の脱リン酸活性及びプシコース-6-リン酸特異的(選択的)脱リン酸化率を測定した。
【0085】
具体的には、0.1unit/mlのそれぞれの本出願のプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素及び5mM MgCl2(またはMgSO4)を1%(w/v)ブドウ糖-6-リン酸、ブドウ糖-1-リン酸、果糖-6-リン酸及びプシコース-6-リン酸の混合液に添加して50℃で12時間反応させた後、HPLCを用いて反応物を分析した。HPLC分析はAminex HPX-87C(Bio-RAD社)カラムを用いて80℃で移動相に0.6ml/minの流速で流しながら行い、Refractive Index Detectorで生成されたプシコース及びその他の糖(果糖及びブドウ糖)を検出した。
【0086】
その結果、全ての222種の酵素中、69酵素でプシコース-6-リン酸に対して高い選択的脱リン酸活性を確認し、45酵素でプシコース-6-リン酸の弱い選択的脱リン酸活性を確認した。108酵素では選択的プシコース-6-リン酸の脱リン酸力価は確認することができなかった。ただし、222種のうち、1種を除いた221種の酵素で脱リン酸活性を確認し、この中で113酵素は高い脱リン酸活性を確認し、108種の酵素で低い脱リン酸活性を確認した。一方、脱リン酸力価がないことが確認された配列番号54の酵素は脱リン酸酵素として知られているが、実際には脱リン酸活性がないことが確認された。当該結果は、下記表3の通り整理した。
【0087】
A=低活性(リン酸糖から単糖への脱リン酸転換率が1%~30%)
B=高活性(リン酸糖から単糖への脱リン酸転換率が30%以上)
C=無活性(リン酸糖から単糖への脱リン酸転換率が1%未満)
【0088】
【0089】
実施例4:複合酵素(多重酵素)反応を通じたプシコース生産活性の分析
マルトデキストリンからプシコース生産のために及び7酵素を選別して同時に(one-pot)反応させた。7酵素は、それぞれ澱粉を分解してブドウ糖-1-リン酸に転換するグルカンホスホリラーゼと澱粉を脱分枝化するプルラナーゼ、澱粉基質活用度を高める4-アルファーグルカノトランスフェラーゼ、ブドウ糖-1リン酸をブドウ糖-6-リン酸に転換するホスホグルコムターゼ、ブドウ糖-6-リン酸を果糖-6-リン酸に転換するグルコース-6-ホスフェート・イソメラーゼ、果糖-6-リン酸をプシュース-6-リン酸に転換するプシコース-6-ホスフェート-3-エピメラーゼとプシコース-6-リン酸からプシコースを生産することができる配列1~222酵素をそれぞれ準備して0.1unit/mlを用い、1~5mM MgCl2、10~50mMのリン酸ナトリウム(sodium phosphate pH 7.0)に5%(w/v)マルトデキストリンを添加して温度50℃で12時間反応させた後にHPLCを用いて反応結果物でプシコースをHPLCを用いて分析した。HPLC分析は、Aminex HPX-87C(Bio-RAD社)カラムを用いて80℃で移動相に0.6ml/min流速で流しながら行い、Refractive Index Detectorで検出した。
【0090】
その結果、複合酵素反応によりマルトデキストリンからプシコースが生成されることを確認した。
【0091】
以上の説明から、本発明が属する技術分野の当業者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施されることがあることを理解できるだろう。これに関連し、以上で記述した実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本発明の範囲は上記詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導かれるあらゆる変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈すべきである。
【受託番号】
【0092】
寄託機関名 : 韓国微生物保存センター(KCCM)
受託番号 : KCCM12390P
受託日付 : 20181114
寄託機関名 : 韓国微生物保存センター(KCCM)
受託番号 : KCCM12391P
受託日付 : 20181114
寄託機関名 : 韓国微生物保存センター(KCCM)
受託番号 : KCCM12392P
受託日付 : 20181114
寄託機関名 : 韓国微生物保存センター(KCCM)
受託番号 : KCCM12393P
受託日付 : 20181114
寄託機関名 : 韓国微生物保存センター(KCCM)
受託番号 : KCCM12394P
受託日付 : 20181114
寄託機関名 : 韓国微生物保存センター(KCCM)
受託番号 : KCCM12395P
受託日付 : 20181114
寄託機関名 : 韓国微生物保存センター(KCCM)
受託番号 : KCCM12396P
受託日付 : 20181114
寄託機関名 : 韓国微生物保存センター(KCCM)
受託番号 : KCCM12397P
受託日付 : 20181114
寄託機関名 : 韓国微生物保存センター(KCCM)
受託番号 : KCCM12398P
受託日付 : 20181114
寄託機関名 : 韓国微生物保存センター(KCCM)
受託番号 : KCCM12399P
受託日付 : 20181114
寄託機関名 : 韓国微生物保存センター(KCCM)
受託番号 : KCCM12400P
受託日付 : 20181114
寄託機関名 : 韓国微生物保存センター(KCCM)
受託番号 : KCCM12401P
受託日付 : 20181114
寄託機関名 : 韓国微生物保存センター(KCCM)
受託番号 : KCCM12402P
受託日付 : 20181114
寄託機関名 : 韓国微生物保存センター(KCCM)
受託番号 : KCCM12403P
受託日付 : 20181114
寄託機関名 : 韓国微生物保存センター(KCCM)
受託番号 : KCCM12404P
受託日付 : 20181114
寄託機関名 : 韓国微生物保存センター(KCCM)
受託番号 : KCCM12405P
受託日付 : 20181114
寄託機関名 : 韓国微生物保存センター(KCCM)
受託番号 : KCCM12406P
受託日付 : 20181114
寄託機関名 : 韓国微生物保存センター(KCCM)
受託番号 : KCCM12407P
受託日付 : 20181114
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
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【0100】
【0101】
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【0111】
本発明は、以下の発明を含む。
[1]Alicyclobacillus, Amycolatopsis, Anaerolinea, Archaeoglobus, Bacillus, Caldicellulosiruptor, Caldilinea, Caldithrix, Carboxydocella, Carboxydothermus, Chloroflexi, Defluviitoga , Deinococcus, Desulfurococcus, Dictyoglomus, Effusibacillus, Fervidobacterium, Geobacillus, Halococcus, Hydrogenivirga, Hydrogenobacter, Hyperthermus, Kosmotoga, Marinitoga, Meiothermus, Mesotoga, Metallosphaera, Methanocella, Methanococcoides, Methanohalobium, Methanolobus, Methanosarcina, Methanothermus, Petrotoga, Picrophilus, Pseudonocardia, Pyrococcus, Pyrodictium, Rhodothermus, Slackia, Staphylothermus, Sulfolobus, Thermanaerothrix, Thermoanaerobacter, Thermoanaerobacterium, Thermobifida, Thermococcus, Thermocrinis, Thermoflexus, Thermotoga, Thermus, 及びTruepera属からなる群から選択されるいずれか一つの由来のプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素。
[2]上記酵素はAlicyclobacillus acidocaldarius, Alicyclobacillus tengchongensis, Amycolatopsis thermoflava, Anaerolinea thermolimosa, Anaerolinea thermophila, Archaeoglobus fugidus, Archaeoglobus profundus, Archaeoglobus veneficus, Bacillus licheniformis, Caldicellulosiruptor bescii, Caldilinea aerophila, Caldithrix abyssi, Carboxydocella sp. ULO1, Carboxydothermus ferrireducens, Chloroflexi bacterium 54-19, Defluviitoga tunisiensis, Deinococcus aerius, Deinococcus apachensis, Deinococcus aquatilis, Deinococcus geothermalis, Deinococcus hopiensis, Deinococcus maricopensis, Deinococcus murrayi, Deinococcus reticulitermitis, Deinococcus wulumuqiensis, Deinococcus sp. Leaf326, Deinococcus phoenicis, Deinococcus proteolyticus, Deinococcus sp. 17bor-2, Deinococcus sp. NW-56, Deinococcus sp. RL, Deinococcus sp. YIM 77859, Desulfurococcus mucosus, Dictyoglomus turgidum, Effusibacillus pohliae, Fervidobacterium gondwanense, Fervidobacterium islandicum, Fervidobacterium nodosum, Fervidobacterium pennivorans, Geobacillus sp., Geobacillus stearothermophilus, Halococcus salifodinae, Hydrogenivirga sp. 128-5-R1-1, Hydrogenobacter hydrogenophilus, Hydrogenobacter thermophilus, Hyperthermus butylicus, Kosmotoga arenicorallina, Kosmotoga olearia, Marinitoga piezophila, Meiothermus cerbereus, Meiothermus chliarophilus, Meiothermus ruber, Meiothermus silvanus, Meiothermus taiwanensis, Meiothermus timidus, Meiothermus rufus, Mesotoga infera, Metallosphaera sedula, Methanocella conradii, Methanococcoides methylutens, Methanohalobium evestigatum, Methanolobus tindarius, Methanosarcina sicilia, Methanothermus fervidus, Petrotoga mobilis, Picrophilus torridus, Pseudonocardia thermophila, Pyrococcus furiosus, Pyrodictium occultum, Rhodothermus marinus, Slackia heliotrinireducens, Staphylothermus marinus, Sulfolobus acidocaldarius, Thermanaerothrix daxensis, Thermoanaerobacter sp., Thermoanaerobacter thermohydrosulfuricus, Thermoanaerobacter wiegelii, Thermoanaerobacterium xylanolyticum, Thermobifida halotolerans, Thermococcus celer, Thermococcus litoralis, Thermococcus profundus, Thermocrinis minervae, Thermocrinis ruber, Thermoflexus hugenholtzii, Thermotoga lettingae, Thermotoga neapolitana, Thermotoga petrophilia, Thermus amyloliquefaciens, Thermus filiformis, Thermus thermophilus, 及びTruepera radiovictrixからなる群から選択されるいずれか一つの由来である、[1]に記載の酵素。
[3]上記酵素は、配列番号1~222のいずれか一つのアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む、[1]に記載の酵素。
[4]上記酵素は、配列番号1、6、9、12、26、29、38~43、45~53、56、57、59、60、64~66、69、70、72、76、80、81、91~93、95、99~103、113、114、116、117、131、134、136、142、145、146、148、164、167、169、172、177、184~187、189、191、192、211、217、及び221のいずれか一つのアミノ酸配列と70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む、[3]に記載の酵素。
[5]上記酵素は、プシコース-6-リン酸の選択的活性を示す、[1]に記載の酵素。
[6][1]~[5]のいずれか一項に記載のプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素をコードする核酸。
[7][6]に記載の核酸を含む形質転換体。
[8][1]~[5]のいずれか一項に記載のプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素、これを発現する微生物、または上記微生物の培養物を含むプシコース生産用組成物。
[9]上記組成物は、リン酸糖をさらに含む、[8]に記載の組成物。
[10][1]~[5]のいずれか一項に記載のプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素、これを発現する微生物、または上記微生物の培養物をプシコース-6-リン酸と接触させてプシコース-6-リン酸をプシコースに転換する段階を含む、プシコース製造方法。
[11]上記方法は、プシコース-6-リン酸をプシコースに転換する段階以前、果糖-6-リン酸(fructose-6-phosphate)に果糖-6-リン酸-3-エピマー化酵素、これを発現する微生物または上記微生物の培養物を接触させ、上記果糖-6-リン酸をプシコース-6-リン酸に転換する段階をさらに含む、[10]に記載のプシコース製造方法。
[12]上記方法は、上記果糖-6-リン酸をプシコース-6-リン酸に転換する段階以前、ブドウ糖-6-リン酸(Glucose-6-phosphate)にブドウ糖-6-リン酸-異性化酵素、これを発現する微生物または上記微生物の培養物を接触させ、上記ブドウ糖-6-リン酸を果糖-6-リン酸に転換する段階をさらに含む、[11]に記載のプシコース製造方法。
[13]上記方法は、上記ブドウ糖-6-リン酸を果糖-6-リン酸に転換する段階以前、ブドウ糖-1-リン酸(Glucose-1-phosphate)にホスホグルコムターゼ、これを発現する微生物または上記微生物の培養物を接触させ、上記ブドウ糖-1-リン酸をブドウ糖-6-リン酸に転換する段階をさらに含む、[12]に記載のプシコース製造方法。
[14]上記方法は、上記ブドウ糖-6-リン酸を果糖-6-リン酸に転換する段階以前、ブドウ糖(Glucose)にポリホスフェートブドウ糖リン酸化酵素、これを発現する微生物または上記微生物の培養物、及びポリホスフェートを接触させ、上記ブドウ糖をブドウ糖-6-リン酸に転換する段階をさらに含む、[12]に記載のプシコース製造方法。
[15]上記方法は、上記ブドウ糖-1-リン酸をブドウ糖-6-リン酸に転換する段階以前、澱粉、マルトデキストリン、スクロースまたはその組合わせにα-グルカンホスホリラーゼ、澱粉ホスホリラーゼ、マルトデキストリンホスホリラーゼまたはスクロースホスホリラーゼ; これを発現する微生物;または上記微生物の培養物、及びホスフェートを接触させ、上記澱粉、マルトデキストリン、スクロースまたはその組合わせをブドウ糖-1 リン酸に転換する段階をさらに含む、[13]に記載のプシコース製造方法。
[16]上記澱粉、マルトデキストリン、スクロースまたはその組合わせをブドウ糖-1-リン酸に転換する段階はα-アミラーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼ、α-グルカノトランスフェラーゼ、グルコアミラーゼまたはスクラーゼ;これを発現する微生物;または上記微生物の培養物をさらに含み、上記澱粉、マルトデキストリン、スクロースまたはその組合わせをマルトオリゴ糖またはブドウ糖に転換する段階をさらに含む、[15]に記載のプシコース製造方法。
[17]澱粉、マルトデキストリン、スクロースまたはその組合わせ、及びホスフェートに(a)[1]に記載のプシコース-6-リン酸の脱リン酸化酵素;果糖-6-リン酸-3-エピマー化酵素;ブドウ糖-6-リン酸-異性化酵素; ホスホグルコムターゼまたはブドウ糖リン酸化酵素;及びα-グルカンホスホリラーゼ、澱粉ホスホリラーゼ、マルトデキストリンホスホリラーゼ、スクロースホスホリラーゼ、α-アミラーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼ、グルコアミラーゼ、α-グルカノトランスフェラーゼ、ポリホスフェートグルコキナーゼまたはスクラーゼ;または(b)上記項目(a)の酵素を発現する微生物または上記微生物の培養物を接触させる段階を含む、プシコース製造方法。
[18]上記接触は、pH5.0~9.0、40℃~80℃の温度、及び/又は2時間ないし24時間または120時間実施する、[11]~[17]のいずれか一項に記載のプシコース製造方法。
【配列表】