(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117530
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】製造支援装置および製造支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20230817BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20230817BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020140
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】515128817
【氏名又は名称】細野 祐一
(74)【代理人】
【識別番号】100141106
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 清志
(72)【発明者】
【氏名】細野 祐一
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA38
3C100AA57
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB33
3C100CC02
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】機械による製造の状態を可視化する。
【解決手段】実績データに基づいて、製品を製造した機械ごとの付加価値額および固定費を算出すると共に、所定期間における製品を製造した機械ごとの稼働率の変化をボトルネックマーカとして算出する算出部132と、ボトルネックマーカが所定のボトルネック閾値以下か否かを判定するボトルネック判定部135と、ボトルネックマーカがボトルネック閾値を超えている機械の固定費より付加価値額が大きいか否かを判定する機械付加価値判定部136と、ボトルネックマーカがボトルネック閾値以下であると判定された機械に関する第1表示と、付加価値額が機械の固定費より大きいと判定された機械に関する第2表示と、付加価値額が前記機械の固定費以下であると判定された機械に関する第3表示とを、視覚的に判別可能に表示パネルに表示させる表示制御部138とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を機械で製造する製造システムとネットワークを介して接続された製造支援装置であって、
前記機械を稼働して前記製品を製造した実績データを記憶するデータ記憶手段と、
前記実績データに基づいて、前記製品を製造した機械ごとの付加価値額および固定費を算出すると共に、所定期間における前記製品を製造した機械ごとの稼働率の変化をボトルネックマーカとして算出する算出手段と、
前記算出したボトルネックマーカが所定のボトルネック閾値以下か否かを判定するボトルネック判定手段と、
前記ボトルネックマーカが前記ボトルネック閾値を超えている場合に、前記ボトルネックマーカが前記ボトルネック閾値を超えている機械の固定費より前記付加価値額が大きいか否かを判定する機械付加価値判定手段と、
前記ボトルネック判定手段により前記ボトルネックマーカが前記ボトルネック閾値以下であると判定された前記機械に関する第1表示と、前記機械付加価値判定手段により前記付加価値額が前記機械の固定費より大きいと判定された前記機械に関する第2表示と、前記機械付加価値判定手段により前記付加価値額が前記機械の固定費以下であると判定された前記機械に関する第3表示とを、視覚的に判別可能に表示パネルに表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする製造支援装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記第1表示と、前記第2表示と、前記第3表示とを、それぞれ異なる色で表示させる
ことを特徴とする請求項1記載の製造支援装置。
【請求項3】
前記算出手段は、前記実績データに基づいて、前記製品ごとに単位時間当たりの付加価値額を製品単位付加価値額として算出し、
前記算出した製品単位付加価値額が所定の付加価値額閾値より大きいか否かを判定する製品付加価値判定手段を、さらに備え、
前記ボトルネック判定手段は、前記製品付加価値判定手段により、前記算出した製品単位付加価値額が所定の付加価値額閾値より大きいと判定された場合に、前記算出したボトルネックマーカが所定のボトルネック閾値以下か否かを判定する
ことを特徴とする請求項1記載の製造支援装置。
【請求項4】
前記算出手段は、前記実績データに基づいて、前記製品全ての付加価値額の合計を付加価値総額として算出すると共に、前記製品全ての固定費の合計を固定費総額として算出し、
前記算出した付加価値総額が前記固定費総額より大きいか否かを判定する付加価値総額判定手段を、さらに備え、
前記製品付加価値判定手段は、前記付加価値総額判定手段により、前記算出した付加価値総額が前記固定費総額より大きいと判定された場合に、前記算出した製品単位付加価値額が所定の付加価値額閾値より大きいか否かを判定する
ことを特徴とする請求項3記載の製造支援装置。
【請求項5】
受注の実績があり、かつ新たに製造依頼があった製品の案件である受注候補案件を記憶する案件記憶手段、をさらに備え、
前記算出手段は、前記実績データに基づいて、前記受注候補案件に含まれる前記製品を製造したときの機械の稼働時間を予定稼働時間として算出すると共に、前記受注候補案件に含まれる製品を製造したときの機械ごとの単位時間当たりの付加価値額を候補機械単位付加価値額として算出すると共に、
前記算出された予定稼働時間が所定の予定稼働時間閾値以下であり、かつ、前記候補機械単位付加価値額が大きい製品を含む受注候補案件から順に受注案件として選定する商談選定手段を、さらに備えた
ことを特徴とする請求項1記載の製造支援装置。
【請求項6】
前記商談選定手段は、所定期間における前記機械の平均稼働時間を算出し、前記予定稼働時間閾値を、前記平均稼働時間と、前記ボトルネックマーカと、(数式A)とを用いて、
予定稼働時間閾値=平均稼働時間×(1+ボトルネックマーカ) (数式A)
算出することを特徴とする請求項5記載の製造支援装置。
【請求項7】
製品を機械で製造する製造システムとネットワークを介して接続された製造支援装置に実行させる製造支援プログラムであって、
前記機械を稼働して前記製品を製造した実績データをデータ記憶手段に記憶させるデータ記憶ステップと、
前記実績データに基づいて、前記製品を製造した機械ごとの付加価値額および固定費を算出すると共に、所定期間における前記製品を製造した機械ごとの稼働率の変化をボトルネックマーカとして算出する算出ステップと、
前記算出したボトルネックマーカが所定のボトルネック閾値以下か否かを判定するボトルネック判定ステップと、
前記ボトルネックマーカが前記ボトルネック閾値を超えている場合に、前記ボトルネックマーカが前記ボトルネック閾値を超えている機械の固定費より前記付加価値額が大きいか否かを判定する機械付加価値判定ステップと、
前記ボトルネック判定ステップにより前記ボトルネックマーカが前記ボトルネック閾値以下であると判定された前記機械に関する第1表示と、前記機械付加価値判定ステップにより前記付加価値額が前記機械の固定費より大きいと判定された前記機械に関する第2表示と、前記機械付加価値判定ステップにより前記付加価値額が前記機械の固定費以下であると判定された前記機械に関する第3表示とを、視覚的に判別可能に表示パネルに表示させる表示制御ステップと、
を前記製造支援装置に実行させることを特徴とする製造支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械による製造の状態を可視化することができる製造支援装置および製造支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場を有する企業では、工場内に設置されている機械やその機械で製造されている製品の製造実績の可視化の取り組みを進めてきた。特に、製造設備では、機械の稼働状況などを可視化することが多い。
工場には、複数の機械が設置されていることが多いが、その機械の稼働率は様々である。機械の中には、使用される頻度が低いものや生産のボトルネックとなっているものもある。
【0003】
特許文献1には、生産ラインからのデータをもとにシミュレーションのためのベースモデルを作成し、ボトルネックとなる設備やそのときの管理パラメータを指摘する統合ライン能力評価・管理運用システムに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、コンピュータシミュレーションによって生産システムの複数の生産ラインのライン物流を評価し、平均稼働率が最大の設備または設備グループをボトルネックとして同定するが、平均稼働率が最大である設備をボトルネックと同定すると、適切にボトルネックを設定することが困難であった。
また、ボトルネックを同定したとしてもそのボトルネックとなる機械に対する状態が明確ではなく、オペレータは機械による製造に対してどのように対処すべきか困惑することがあった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、機械による製造の状態を可視化する製造支援装置及び製造支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決するため、本発明に係る製造支援装置の第1の特徴は、
製品を機械で製造する製造システムとネットワークを介して接続された製造支援装置であって、
前記機械を稼働して前記製品を製造した実績データを記憶するデータ記憶手段と、
前記実績データに基づいて、前記製品を製造した機械ごとの付加価値額および固定費を算出すると共に、所定期間における前記製品を製造した機械ごとの稼働率の変化をボトルネックマーカとして算出する算出手段と、
前記算出したボトルネックマーカが所定のボトルネック閾値以下か否かを判定するボトルネック判定手段と、
前記ボトルネックマーカが前記ボトルネック閾値を超えている場合に、前記ボトルネックマーカが前記ボトルネック閾値を超えている機械の固定費より前記付加価値額が大きいか否かを判定する機械付加価値判定手段と、
前記ボトルネック判定手段により前記ボトルネックマーカが前記ボトルネック閾値以下であると判定された前記機械に関する第1表示と、前記機械付加価値判定手段により前記付加価値額が前記機械の固定費より大きいと判定された前記機械に関する第2表示と、前記機械付加価値判定手段により前記付加価値額が前記機械の固定費以下であると判定された前記機械に関する第3表示とを、視覚的に判別可能に表示パネルに表示させる表示制御手段と、
を備えたことにある。
【0008】
上記目的を解決するため、本発明に係る製造支援装置の第2の特徴は、
前記表示制御手段が、前記第1表示と、前記第2表示と、前記第3表示とを、それぞれ異なる色で表示させることにある。
【0009】
上記目的を解決するため、本発明に係る製造支援装置の第3の特徴は、
前記算出手段は、前記実績データに基づいて、前記製品ごとに単位時間当たりの付加価値額を製品単位付加価値額として算出し、
前記算出した製品単位付加価値額が所定の付加価値額閾値より大きいか否かを判定する製品付加価値判定手段を、さらに備え、
前記ボトルネック判定手段は、前記製品付加価値判定手段により、前記算出した製品単位付加価値額が所定の付加価値額閾値より大きいと判定された場合に、前記算出したボトルネックマーカが所定のボトルネック閾値以下か否かを判定する
ことにある。
【0010】
上記目的を解決するため、本発明に係る製造支援装置の第4の特徴は、
前記算出手段は、前記実績データに基づいて、前記製品全ての付加価値額の合計を付加価値総額として算出すると共に、前記製品全ての固定費の合計を固定費総額として算出し、
前記算出した付加価値総額が前記固定費総額より大きいか否かを判定する付加価値総額判定手段を、さらに備え、
前記製品付加価値判定手段は、前記付加価値総額判定手段により、前記算出した付加価値総額が前記固定費総額より大きいと判定された場合に、前記算出した製品単位付加価値額が所定の付加価値額閾値より大きいか否かを判定する
ことにある。
【0011】
上記目的を解決するため、本発明に係る製造支援装置の第5の特徴は、
受注の実績があり、かつ新たに製造依頼があった製品の案件である受注候補案件を記憶する案件記憶手段、をさらに備え、
前記算出手段は、前記実績データに基づいて、前記受注候補案件に含まれる前記製品を製造したときの機械の稼働時間を予定稼働時間として算出すると共に、前記受注候補案件に含まれる製品を製造したときの機械ごとの単位時間当たりの付加価値額を候補機械単位付加価値額として算出すると共に、
前記算出された予定稼働時間が所定の予定稼働時間閾値以下であり、かつ、前記候補機械単位付加価値額が大きい製品を含む受注候補案件から順に受注案件として選定する商談選定手段を、さらに備えた
ことにある。
【0012】
上記目的を解決するため、本発明に係る製造支援装置の第6の特徴は、
前記商談選定手段は、所定期間における前記機械の平均稼働時間を算出し、前記予定可能時間閾値を、前記平均稼働時間と、前記ボトルネックマーカと、(数式A)とを用いて、
予定稼働時間閾値=平均稼働時間×(1+ボトルネックマーカ) (数式A)
算出することにある。
【0013】
上記目的を解決するため、本発明に係る製造支援プログラムの第1の特徴は、
製品を機械で製造する製造システムとネットワークを介して接続された製造支援装置に実行させる製造支援プログラムであって、
前記機械を稼働して前記製品を製造した実績データをデータ記憶手段に記憶させるデータ記憶ステップと、
前記実績データに基づいて、前記製品を製造した機械ごとの付加価値額および固定費を算出すると共に、所定期間における前記製品を製造した機械ごとの稼働率の変化をボトルネックマーカとして算出する算出ステップと、
前記算出したボトルネックマーカが所定のボトルネック閾値以下か否かを判定するボトルネック判定ステップと、
前記ボトルネックマーカが前記ボトルネック閾値を超えている場合に、前記ボトルネックマーカが前記ボトルネック閾値を超えている機械の固定費より前記付加価値額が大きいか否かを判定する機械付加価値判定ステップと、
前記ボトルネック判定ステップにより前記ボトルネックマーカが前記ボトルネック閾値以下であると判定された前記機械に関する第1表示と、前記機械付加価値判定ステップにより前記付加価値額が前記機械の固定費より大きいと判定された前記機械に関する第2表示と、前記機械付加価値判定ステップにより前記付加価値額が前記機械の固定費以下であると判定された前記機械に関する第3表示とを、視覚的に判別可能に表示パネルに表示させる表示制御ステップと、
を前記製造支援装置に実行させることにある。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る製造支援装置および製造支援プログラムによれば、機械の状態を可視化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態である製造支援装置が適用された製造支援システムの概略構成を示した概略構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態である製造支援装置の実績データ記憶部に記憶された実績データの関係性を示した図である。
【
図3】本発明の一実施形態である製造支援装置の実績データ記憶部に記憶された実績データの詳細を示した図である。
【
図4】本発明の一実施形態である製造支援装置の算出部による処理による出力結果の例を示した図である。
【
図5】ボトルネックマーカの算出の出力結果を示した図である。
【
図6】本発明の一実施形態である製造支援装置の案件記憶部に記憶された受注候補案件および算出部の算出の出力結果の一例を示した図である。
【
図7】本発明の一実施形態である製造支援装置の商談選定部により選出された出力結果の一例を示した図である。
【
図8】本発明の一実施形態である製造支援装置の処理内容を示したフローチャートである。
【
図9】本発明の一実施形態である製造支援装置の処理内容を示したフローチャートである。
【
図10】本発明の一実施形態である製造支援装置の表示制御部により表示される出力結果の一例を示した図である。
【
図11】本発明の一実施形態である製造支援装置の処理内容を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一若しくは同等の部位や構成要素には、同一若しくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0017】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0018】
<製造支援システムの概略構成>
図1は、本発明の一実施形態である製造支援装置1が適用された製造支援システム100の概略構成を示した概略構成図である。
【0019】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る製造支援システム100のハードウェア構成は、製造支援装置1と、製造システム2と、表示装置3と、サーバ4とを備えている。
製造システム2は、データ記憶部21と、機械22と、センサー23と、読み取り部24と、制御部26とを有している。なお、ここでは、機械22と、センサー23と、読み取り部24とは、予め関連付けられている。図示しないが、機械22と、センサー23と、読み取り部24とは、それぞれ複数組を有している。
【0020】
データ記憶部21は、制御部26から受信したデータを記憶する。具体的には、データ記憶部21は、少なくとも、機械22を識別する機械IDを含む機械22に関する機械情報と、センサー23を識別するセンサーIDを含むセンサー23により検出された検出情報と、読み取り部24により読み取られた作業員IDを含む人情報や作業に関する作業情報を記憶する。
【0021】
機械22は、例えば、切削加工を行う装置であり、モータなどの駆動装置により切削歯を回転しながら往復運動することにより金属片などの切削対象物を切削する。
【0022】
センサー23は、機械22の近傍に設置され、機械22のオン/オフ信号や、動作信号など様々な機械装置に関する状態を検出する。
【0023】
読み取り部24は、作業者ICカードC1などから作業者(人)に関する人情報を読み取る。また、読み取り部24は、作業指示書などをスキャンすることにより作業に関する作業情報を読み取る。
【0024】
制御部26は、製造システム2全体の制御を行う。また、制御部26は、機械情報、検出情報、作業情報、人情報をデータ記憶部21に記憶させる。
【0025】
表示装置3は、製造支援装置1が生成した各種支援情報を表示する。
【0026】
サーバ4は、受注データ、材料費・外注費データ、作業データ、作業指示データなどを管理しており、製造支援装置1からの要求に基づいて、これらのデータを送信する。
【0027】
製造支援装置1は、製造を支援する装置であり、特に、機械22の状態やボトルネックとなる機械22の対処方針を可視化する装置である。
【0028】
製造支援装置1は、実績データ記憶部11と、データ演算部13と、案件記憶部14とを有する。
【0029】
実績データ記憶部11は、データ演算部13により生成された日別稼働実績データと、サーバ4から送信された受注データ、材料費・外注費データ、作業データとを関連付けて、記憶している。
【0030】
図2は、本発明の一実施形態である製造支援装置1の実績データ記憶部11に記憶された実績データの関係性を示した図である。
【0031】
図2に示すように、1つの作業データSD01に対して、複数の受注データJD01,JD02,JD03が関連付けられている。
【0032】
また、1つの受注データJD02に対して、複数の材料費・外注費データPD02,PD03が関連付けられている。
【0033】
また、1つの作業データSD01に対して、複数の作業指示データSID01,SID02,SID03が関連付けられている。
【0034】
図3は、本発明の一実施形態である製造支援装置1の実績データ記憶部11に記憶された実績データの詳細を示した図である。
【0035】
図3に示すように、作業データSD01は、作業識別番号SSN01、受注名、受注管理番号、顧客名、納品名、数量、予定作業時間、実績作業時間、進行状況、受注識別番号などのデータを含んでいる。
【0036】
受注データJD01,JD02は、受注識別番号JSN01、受注名、受注管理番号、顧客名、製品名、数量、単位、単価、受注金額、進捗状況、外注発生、値引き要請、作業識別番号SSN01などのデータを含んでいる。
【0037】
材料費・外注費データPD02,PD03は、調達識別番号、受注識別番号JSN01、更新日、内容・型式など、単価、戸数、金額、備考などのデータを含んでいる。
【0038】
作業指示データSID01,SID02は、作業識別番号SSN01、明細番号、受注名、受注管理番号、顧客名、製品名、数量、予定作業時間、実績作業時間、進行状況などのデータを含んでいる。
【0039】
日別稼働実績データKD01は、KD02は、作業日、作業識別番号SSN01、明細番号、工程番号および/または機械番号、開始時刻、終了時刻、稼働時間などのデータを含んでいる。
【0040】
受注データJD01と、材料費・外注費データPD01,PD02とは、受注識別番号JSN01により関連付けられている。
【0041】
作業データSD01と、受注データJD01,JD02とは、作業識別番号SSN01により関連付けられている。
【0042】
作業データSD01と、作業指示データSID01,SID02とは、作業識別番号SSN01により関連付けられている。
【0043】
作業指示データSID01と、日別稼働実績KD01,KS02とは、作業識別番号SSN01により関連付けられている。
【0044】
案件記憶部14は、受注の実績があり、かつ新たに製造依頼があった製品の案件である受注候補案件を記憶する。受注候補案件は、商談名、製品名、個数、使用する機械名を含んでいる。
【0045】
データ演算部13は、稼働実績情報作成部131と、算出部132と、付加価値総額判定部133と、製品付加価値判定部134と、ボトルネック判定部135と、機械付加価値判定部136と、商談選定部137と、表示制御部138とを有している。
【0046】
稼働実績情報作成部131は、データ記憶部21に記憶させた機械情報、検出情報、作業情報、人情報に基づいて、日別稼働実績データを生成する。具体的には、稼働実績情報作成部131は、作業識別番号SSN01ごとに、作業日、明細番号、工程番号(工程ID)および/または機械番号(機械ID)、開始時刻、終了時刻、稼働時間を抽出することにより、日別稼働実績データを生成する。
【0047】
稼働実績情報作成部131は、日別稼働実績データを実績データ記憶部11に記憶させる。
【0048】
算出部132は、実績データ記憶部11に記憶された実績データに基づいて、製品全ての付加価値額の合計を付加価値総額として算出すると共に、製品全ての固定費の合計を固定費総額として算出する。
【0049】
図4は、本発明の一実施形態である製造支援装置1の算出部132による処理による出力結果の例を示した図である。この出力結果は表示装置3に表示される。
【0050】
図4に示すように、ここでは、製品「ABC」、「EFG」、「HIJ」、「HIJ」を製造しているとする。
【0051】
算出部132は、製品ごとに、所定期間(ここでは1月)における売上、変動費、製品ごとの付加価値額、稼働時間、生産数、1個当たりの変動費、1個当たりの機械使用時間、単位時間当たりの付加価値額である製品単位付加価値額を算出する。
【0052】
ここでは、製品「ABC」の付加価値額が9,600(千円)、製品「EFG」の付加価値額が4,900(千円)、製品「HIJ」の付加価値額が2,000(千円)、製品「HIJ」の付加価値額が1,000(千円)として算出されている。
【0053】
そして、算出部132は、これらを合計することにより、付加価値総額を17,500(千円)として算出する。
【0054】
また、算出部132は、図示しないが、売上に関係なく発生する費用を固定費総額として算出する。
【0055】
また、算出部132は、実績データに基づいて、製品を製造した機械ごとの付加価値額および固定費を算出する。
【0056】
具体的には、算出部132は、製品を製造した機械ごとの付加価値額をVM、製品1個当たりの売値をP、製品1個当たりの変動費をVとすると、下記の(数式1)を用いて付加価値額VMを算出する。
VM=(機械の稼働時間÷1個当たりの機械使用時間)×(P-V) (数式1)
【0057】
また、算出部132は、ユーザにより入力された機械の減価償却費、電力費、場所代などの個別の費用を加算することにより固定費を算出する。
【0058】
また、算出部132は、所定期間における製品を製造した機械ごとの稼働率の変化をボトルネックマーカとして算出する。具体的には、算出部132は、ボトルネックマーカBNMを、下記の(数式2)を用いて算出する。
【0059】
BNM=AVE(|(日ごとの稼働時間-平均稼働時間)|÷平均稼働時間) (数式2)
【0060】
ここでは、平均稼働時間は、所定期間(ここでは1月)における平均稼働時間を算出する。工程のボトルネックとなる機械は、稼働率の変化が少ないことが特徴になる。そのため、上記のようにボトルネックマーカBNMを算出し、このボトルネックマーカBNMが小さいほど稼働率の変化が少ないので、ボトルネックとなっている可能性が高いことを示すことになる。
【0061】
なお、算出部132は、ボトルネックマーカBNMを、下記の(数式3)を用いて算出するようにしてもよい。
BNM=標準偏差(日ごとの稼働時間) ÷平均稼働時間 (数式3)
【0062】
図5は、ボトルネックマーカの算出の出力結果を示した図である。機械として、「ワイヤー58」、「ワイヤー59」、「放電84」、「放電90」がある。この出力結果は表示装置3に表示される。
【0063】
図5に示すように、「ワイヤー58」の平均稼働時間は283(H)であり、ボトルネックマーカBNMは20(%)である。「ワイヤー59」の平均稼働時間は66(H)であり、ボトルネックマーカBNMは90(%)である。「放電84」の平均稼働時間は50(H)であり、ボトルネックマーカBNMは150(%)である。「放電90」の平均稼働時間は5(H)であり、ボトルネックマーカBNMは200(%)である。
【0064】
また、算出部132は、実績データに基づいて、案件記憶部14に記憶された受注候補案件に含まれる製品を製造したときの機械の稼働時間を予定稼働時間として算出すると共に、受注候補案件に含まれる製品を製造したときの機械ごとの単位時間当たりの付加価値額を候補機械単位付加価値額として算出する。
【0065】
図6は、本発明の一実施形態である製造支援装置1の案件記憶部14に記憶された受注候補案件および算出部132の算出の出力結果の一例を示した図である。この出力結果は表示装置3に表示される。
【0066】
図6に示すように、案件記憶部14には、過去に受注の実績があり、かつ新たに製造依頼があった製品の案件である受注候補案件を記憶している。ここでは、製品「ABC」の製造依頼である商談1と、製品「EFD」の製造依頼である商談2と、製品「XYZ」の製造依頼である商談3と、製品「HIU」の製造依頼である商談4と、製品「XYZ」の製造依頼である商談5とが受注候補案件のリストとして記憶されている。
【0067】
商談1~商談5のそれぞれについて、個数、売上、1個当たりの変動費、変動費、将来見込まれる付加価値額、付加価値額、1個当たりの機械使用時間、1個当たりの付加価値、機械使用時間当たり付加価値、機械の使用時間(予定稼働時間)、機械名が記憶されている。このうち、商談名、製品名、個数、機械名が受注候補案件情報であり、売上、1個当たりの変動費、変動費、将来見込まれる付加価値額、付加価値額、1個当たりの機械使用時間、1個当たりの付加価値、機械使用時間当たり付加価値、機械の使用時間が算出部132による算出結果である。
【0068】
算出部132は、実績データに基づいて、今後の所定期間における受注候補案件に含まれる製品を製造したときの機械の稼働時間を予定稼働時間として算出する。具体的には、算出部132は、実績データから1個当たりの機械使用時間を抽出し、この1個当たりの機械使用時間に個数を乗算することにより、予定稼働時間を算出する。
【0069】
また、算出部132は、実績データに基づいて、案件記憶部14に記憶された受注候補案件に含まれる製品を製造したときの機械ごとの単位時間当たりの付加価値額を候補機械単位付加価値額として算出する。
【0070】
例えば、製品「ABC」は、「ワイヤー58」のみを用いて製造されるので、候補機械単位付加価値額VMPHは、下記の(数式4)を用いて算出される。
【0071】
VMPH=(売上-変動費)/機械の使用時間(予定稼働時間) (数式4)
【0072】
付加価値総額判定部133は、算出部132により算出した付加価値総額が固定費総額より大きいか否かを判定する。
【0073】
製品付加価値判定部134は、付加価値総額判定部133により、算出した付加価値総額が固定費総額より大きいと判定された場合に、算出部132により算出した製品単位付加価値額が所定の付加価値額閾値FTHより大きいか否かを判定する。
【0074】
ボトルネック判定部135は、製品付加価値判定部134により、算出した製品単位付加価値額が所定の付加価値額閾値FTHより大きいと判定された場合に、算出したボトルネックマーカBNMが所定のボトルネック閾値BTH以下か否かを判定する。
【0075】
機械付加価値判定部136は、ボトルネック判定部135により、ボトルネックマーカBNMがボトルネック閾値BTHを超えている場合に、ボトルネックマーカBNMがボトルネック閾値BTHを超えている機械の固定費より付加価値額が大きいか否かを判定する。
【0076】
商談選定部137は、算出部132により算出された予定稼働時間が所定の予定稼働時間閾値以下であり、かつ、候補機械単位付加価値額が大きい製品を含む受注候補案件から順に受注案件として選定する。
【0077】
図7は、本発明の一実施形態である製造支援装置1の商談選定部137により選出された出力結果の一例を示した図である。この出力結果は表示装置3に表示される。
【0078】
図7に示すように、商談選定部137は、機械ごとの次月稼働時間である月稼働可能時間MTを下記の(数式5)を用いて算出する。
【0079】
MT=月平均稼働時間×(1+BNM) (数式5)
【0080】
図7に示した例では、「ワイヤー58」のMTは400(hr)であり、「ワイヤー59」のMTは、300(hr)であり、「放電84」のMTは、150(hr)となっている。
【0081】
商談選定部137は、算出した月稼働可能時間MTを予定稼働時間閾値として、算出部132により算出された予定稼働時間が予定稼働時間閾値以下であり、かつ、候補機械単位付加価値額が大きい製品を含む受注候補案件から順に受注案件として選定する。
【0082】
ここでは、候補機械単位付加価値額が高い順に、「商談1」、「商談5」、「商談4」、「商談3」、「商談2」の順に並べ替えられている。
【0083】
商談選定部137は、候補機械単位付加価値額が最も高く、5,339(千円)である「商談1」を受注すると判定している。
【0084】
候補機械単位付加価値額が次に高い、3,333(千円)である「商談5」については、「放電84」の月稼働可能時間MTが150(hr)であるので、商談選定部137は、150(hr)で製造可能な生産個数として、2,000(個)を受注すると判定する。
【0085】
候補機械単位付加価値額が次に高い、2,667(千円)である「商談4」については、「ワイヤー58」の月稼働可能時間MTが残り220(=400-180)(hr)であり、「ワイヤー59」の月稼働可能時間MTが300(hr)であるから、商談選定部137は、「ワイヤー58」の220(hr)と「ワイヤー59」の300(hr)で製造可能な生産個数として、1,387(個)を受注すると判定する。
【0086】
候補機械単位付加価値額が次に高い、「商談3」および「商談2」については、月稼働可能時間MTがないことから、受注しないと判定する。
【0087】
表示制御部138は、ボトルネック判定部135によりボトルネックマーカBNMがボトルネック閾値BTH以下であると判定された機械に関する第1表示と、機械付加価値判定部136により付加価値額が機械の固定費より大きいと判定された機械に関する第2表示と、機械付加価値判定部136により付加価値額が機械の固定費以下であると判定された機械に関する第3表示とを、視覚的に判別可能に表示装置3に表示させる。具体的には、第1表示を黄色、第2表示を緑色、第3表示を赤色などというように、それぞれ異なる色で表示させる。
【0088】
具体的には、表示制御部138は、
図5に示した出力結果を表示装置3に表示させると共に、機械名が「ワイヤー58」であるカラムC01を黄色で表示させる。これは、稼働時間を増やす努力を促すことを示しており、受注期間の先延ばしを検討する対処方針を示ししている。
【0089】
また、表示制御部138は、機械名が「ワイヤー59」、「放電84」であるカラムC02,C03を緑色で表示させる。これは、機械が空いている時間の活用方法を検討する対処方針を示している。
【0090】
また、表示制御部138は、機械名が「放電90」であるカラムC04を緑色で表示させる。これは、保持する理由を明確にする対処方針を示している。
【0091】
<製造支援装置1の作用>
【0092】
図8,
図9は、本発明の一実施形態である製造支援装置1の処理内容を示したフローチャートである。
【0093】
図8に示すように、ステップS101において、算出部132は、実績データ記憶部11に記憶された実績データに基づいて、製品全ての付加価値額の合計を付加価値総額として算出すると共に、製品全ての固定費の合計を固定費総額として算出する。
【0094】
ステップS103において、算出部132は、実績データ記憶部11に記憶された実績データに基づいて、単位時間当たりの付加価値額である製品単位付加価値額、予定稼働時間、および候補機械単位付加価値額を算出する。
【0095】
ステップS105において、実績データに基づいて、製品を製造した機械ごとの付加価値額、固定費、ボトルネックマーカを算出する。
【0096】
ステップS107において、付加価値総額判定部133は、算出した付加価値総額が固定費総額より大きいか否かを判定する。
【0097】
算出した付加価値総額が固定費総額以下であると判定された場合(ステップS107;NO)、表示制御部138は、付加価値総額の表示を黄色に表示する(ステップS109)。例えば、
図4に示した出力結果を表示装置3に表示させると共に、付加価値総額を示すカラムC11の表示を黄色に表示する。製造の状態として、付加価値総額が低すぎて利益が出にくい状態を示している。
【0098】
ステップS111において、表示制御部138は、受注データの進捗状況が「失注」、または外注発注が「丸投げ」の項目を点灯する。
【0099】
なお、進捗状況は商談の進捗を示すものである。「失注」以外に、「問合せ」、「見積済」、「受注済」、「出荷待ち」、「請求中」、「入金完了」、「延期」、「納品待ち」があり、ユーザによる選択操作により入力されている。
【0100】
「外注発注」は、製造の主体を示すものである。「丸投げ」以外に、「社内」、「外注」がある。「丸投げ」とは、製品そのものの作成を全て外注に出すことを示しており、ユーザによる選択操作により入力されている。
【0101】
図10は、本発明の一実施形態である製造支援装置1の表示制御部138により表示される出力結果の一例を示した図である。
図10に示すように、表示制御部138は、進捗状況が「失注」となっている製品名「HIJ」のデータC21、および外注区分が「丸投げ」となっている製品名「OPQ」のデータC22、製品名「RST」のデータC23について点灯させる。
【0102】
ステップS113において、表示制御部138は、受注しなかった仕事はないか確認すること、外注に回した仕事はないか確認すること、売値単価、材料費単価を確認すること、受注個数を増やせるかを検討することなど対処方針を表示装置3に表示させる。
【0103】
一方、算出した付加価値総額が固定費総額より大きいと判定された場合(ステップS107;YES)、ステップS115において、製品付加価値判定部134は、算出部132により算出した製品単位付加価値額が所定の付加価値額閾値FTHより大きいか否かを判定する。
【0104】
算出した製品単位付加価値額が所定の付加価値額閾値FTH以下であると判定された場合(ステップS115;NO)、表示制御部138は、材料費外注費のコスト高、製造ミス、値引き要請、見積ミス、または戦略的な値引きのいずれかが起因している可能性があることを表示装置3に表示させる。また、表示制御部138は、材料費外注費のコスト高である場合にはコスト下げる販売価格を上げること、製造ミスの場合には原因の除去を行うこと、値引き要請の場合には、コストダウン検討や市場見直しを行うこと、見積ミスの場合には見積を見直すこと、戦略的な値引きの場合には先々の利益計画を策定することなど対処方針を表示装置3に表示させる。
【0105】
一方、算出した製品単位付加価値額が所定の付加価値額閾値FTHより大きいと判定された場合(ステップS115;NO)、ステップS119において、ボトルネック判定部135は、算出したボトルネックマーカBNMが所定のボトルネック閾値BTH以下か否かを判定する。
【0106】
ボトルネックマーカBNMが所定のボトルネック閾値BTH以下の場合(ステップS119;YES)、ステップS121において、表示制御部138は、機械の表示を黄色に表示する。例えば、
図5に示した出力結果を表示装置3に表示させると共に、「ワイヤー58」を示すカラムC01の表示を黄色に表示する。製造の状態として、この機械の稼働櫃が低すぎる状態であることを示している。
【0107】
ステップS123において、表示制御部138は、ボトルネックの稼働時間を最大化すること、他の動きをボトルネックに合わせること、ボトルネックの能力を高めることなどを対処方針として表示装置3に表示させる。すなわち、表示制御部138は、できるだけ生産月を分散させ、いかに稼働時間を増やすかを対処方針として表示させる。
【0108】
一方、ボトルネックマーカBNMが所定のボトルネック閾値BTHを超えている場合(ステップS119;NO)、ステップS125において、機械付加価値判定部136は、ボトルネックマーカBNMがボトルネック閾値BTHを超えている機械の固定費より付加価値額が大きいか否かを判定する。
【0109】
固定費より付加価値額以下であると判定された場合(ステップS125;NO)、ステップS127において、表示制御部138は、機械の表示を赤色に表示する。例えば、
図5に示した出力結果を表示装置3に表示させると共に、「放電90」を示すカラムC04の表示を赤色に表示する。製造の状態として、この機械で製造することが無駄な可能性があることを示している。
【0110】
ステップS129において、表示制御部138は、機械の保持が必要か確認すること、保持する理由を明確にすることなどを対処方針として表示装置3に表示させる。すなわち、表示制御部138は、その機械は無駄な機械ではないか検討することを対処方針として表示する。
【0111】
一方、固定費より付加価値額を超えていると判定された場合(ステップS125;YES)、ステップS131において、表示制御部138は、機械の表示を赤色に表示する。例えば、
図5に示した出力結果を表示装置3に表示させると共に、「ワイヤー59」および「放電84」を示すカラムC02,C03の表示を青色に表示する。製造の状態として、余裕があり空いている時間を活用して製造できる状態であることを示している。
【0112】
ステップS133において、表示制御部138は、新たな受注案件がないか確認すること、機械の改良でニーズを捉えられないか確認することなどを対処方針として表示装置3に表示させる。すなわち、表示制御部138は、空いている時間の活用方法を対処方針として表示する。
【0113】
以上のように、表示制御部138が、ボトルネックマーカがボトルネック閾値以下であると判定された機械に関する第1表示と、機械付加価値判定部136により付加価値額が機械の固定費より大きいと判定された機械に関する第2表示と、機械付加価値判定部136により付加価値額が機械の固定費以下であると判定された機械に関する第3表示とを、視覚的に判別可能に表示装置3に表示させるので、ボトルネックの対処方針を可視化することで、ユーザは、視覚的に第1表示、第2表示、第3表示を識別できるので、それぞれの製造の状態を把握でき、それぞれに合った対処方針を検討することができる。
【0114】
図11は、本発明の一実施形態である製造支援装置1の処理内容を示したフローチャートである。
【0115】
図11に示すように、ステップS210において、商談選定部137は、機械ごとの次月稼働時間である月稼働可能時間MTを用いて算出する。
【0116】
ステップS203において、商談選定部137は、算出した月稼働可能時間MTを予定稼働時間閾値として決定する。
【0117】
ステップS205において、商談選定部137は、算出部132により算出された予定稼働時間が予定稼働時間閾値以下であり、かつ、候補機械単位付加価値額が大きい製品を含む受注候補案件から順に受注案件として選定する。
【0118】
表示制御部138は、選定された受注案件を表示装置3へ表示する。
【0119】
以上のように、本発明の一実施形態である製造支援装置1によれば、商談選定部137が、算出した月稼働可能時間MTを予定稼働時間閾値として、算出部132により算出された予定稼働時間が予定稼働時間閾値以下であり、かつ、候補機械単位付加価値額が大きい製品を含む受注候補案件から順に受注案件として選定するので、今後、受注候補の中からどれを受注案件として選定するか対処方法が明確になる。
【0120】
また、上述した実施形態は、コンピュータにインストールした製造支援プログラムを実行させることにより実現することもできる。
【符号の説明】
【0121】
1 製造支援装置
2 製造システム
3 表示装置(表示パネル)
4 サーバ
11 実績データ記憶部
13 データ演算部
14 案件記憶部
21 データ記憶部
22 機械
23 センサー
24 読み取り部
26 制御部
100 製造支援システム
131 稼働実績情報作成部
132 算出部
133 付加価値総額判定部
134 製品付加価値判定部
135 ボトルネック判定部
136 機械付加価値判定部
137 商談選定部
138 表示制御部