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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117536
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】配線モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/583 20210101AFI20230817BHJP
   H01M 50/507 20210101ALI20230817BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20230817BHJP
【FI】
H01M50/583
H01M50/507
H01M50/591
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020149
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 優二
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真一朗
(72)【発明者】
【氏名】中山 治
【テーマコード(参考)】
5H043
【Fターム(参考)】
5H043AA19
5H043BA11
5H043CA04
5H043CA22
5H043CA28
5H043FA04
5H043FA33
5H043FA37
5H043GA03
5H043GA25
5H043JA01F
5H043JA02F
5H043JA17F
5H043LA21F
5H043LA22F
(57)【要約】
【課題】構成を簡素化し、コスト低減を実現できる配線モジュールを提供する。
【解決手段】配線モジュール20は、バスバー40と、芯線31を備える電線30と、バスバー40と芯線31とに接続されるヒューズユニット50と、を備え、ヒューズユニット50が、バスバー40に接続される第1端子部71と、芯線31と接続される第2端子部81と、第1端子部71と第2端子部81とを接続し、過電流により溶断する溶断部91と、溶断部91を覆うケース100とを備え、第1端子部71が、バスバー40と接する接触面74Aを有する第1接続部74と、第1接続部74と溶断部91との間に配されてケース100に保持される第1保持部73とを備え、第2端子部81が、芯線31と接続される第2接続部84と、第2接続部84と溶断部91との間に配されてケース100に保持される第2保持部83とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極端子を備える複数の蓄電素子に取り付けられる配線モジュールであって、
前記電極端子に接続される接続部材と、
芯線を備える電線と、
前記接続部材と前記芯線とに接続されるヒューズユニットと、を備え、
前記ヒューズユニットが、
前記接続部材に接続される第1端子部と、前記芯線と接続される第2端子部と、前記第1端子部と前記第2端子部とを接続し、過電流により溶断する溶断部と、前記溶断部を覆うケースとを備え、
前記第1端子部は、前記接続部材と接する接触面を有する第1接続部と、前記第1接続部と前記溶断部との間に配されて前記ケースに保持される第1保持部とを備え、
前記第2端子部は、前記芯線と接続される第2接続部と、前記第2接続部と前記溶断部との間に配されて前記ケースに保持される第2保持部とを備える、配線モジュール。
【請求項2】
前記ヒューズユニットが、前記第2接続部に接続されて前記電線を押さえる電線押さえ部を備える、請求項1に記載の配線モジュール。
【請求項3】
前記ケースが、前記接触面と隣接する隣接面を有しており、前記隣接面が、前記接触面と面一または前記接触面よりも引っ込んで配置されている、請求項1または請求項2に記載の配線モジュール。
【請求項4】
前記ケースが、前記第1保持部が挿入される第1挿入部と、前記第2保持部が挿入される第2挿入部と、を有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の配線モジュール。
【請求項5】
前記第1保持部が前記ケースと係合する第1係合孔を有し、前記第2保持部が前記ケースと係合する第2係合孔を有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の配線モジュール。
【請求項6】
前記接続部材が、一の前記電極端子に接続される第1電極接続部と、前記一の電極端子に隣り合う他の前記電極端子に接続される第2電極接続部とを備えるバスバーであり、
前記ヒューズユニットが、前記第1端子部と前記第2端子部との並び方向が前記第1電極接続部と前記第2電極接続部との並び方向に直交する向きに配置されている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の配線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車等に用いられる電池モジュールは、一般に、多数の単電池をバスバーを介して接続することにより構成されている。電池モジュールは、各単電池に検知端子を介して接続される電圧検知線を備えている。電圧検知線にはヒューズが接続されており、過電流が流れるとヒューズが溶断するようになっている。
【0003】
このような構成の一例として、電極に接続される接続導体と、電圧検知用の電線の端末部に接続される中継端子と、接続導体と中継端子とを接続する可溶体と、可溶体を覆う樹脂モールド部材と、を備えるものがある(特許文献1参照)。また、他の例として、電極に接続されるとともに、第1端子を備える接続端子と、第1端子を内部に収容する電池側コネクタハウジングと、電線の端末に接続され、電池側コネクタハウジングに嵌合される電線側コネクタハウジングと、電線側コネクタハウジングの内部に収容され、第1端子に接続されるヒューズとを備えたものがある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-097986号公報
【特許文献2】特開2013-114956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の構成では、電圧検知線とヒューズとを取り付けるために多数の部材を必要とするため、配線モジュールの構成が複雑化し、製造コストが増大することが懸念される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される配線モジュールは、電極端子を備える複数の蓄電素子に取り付けられる配線モジュールであって、前記電極端子に接続される接続部材と、芯線を備える電線と、前記接続部材と前記芯線とに接続されるヒューズユニットと、を備え、前記ヒューズユニットが、前記接続部材に接続される第1端子部と、前記芯線と接続される第2端子部と、前記第1端子部と前記第2端子部とを接続し、過電流により溶断する溶断部と、前記溶断部を覆うケースとを備え、前記第1端子部は、前記接続部材と接する接触面を有する第1接続部と、前記第1接続部と前記溶断部との間に配されて前記ケースに保持される第1保持部とを備え、前記第2端子部は、前記芯線と接続される第2接続部と、前記第2接続部と前記溶断部との間に配されて前記ケースに保持される第2保持部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本明細書によって開示される配線モジュールによれば、構成を簡素化し、製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態の蓄電モジュールの部分拡大平面図である。
図2図2は、実施形態のヒューズユニットの斜視図である。
図3図3は、実施形態のヒューズ付き端子の斜視図である。
図4図4は、実施形態のヒューズ付き端子の平面図である。
図5図5は、実施形態のヒューズ付き端子の正面図である。
図6図6は、実施形態のケースの斜視図である。
図7図7は、実施形態のケースの側面図である。
図8図8は、図1のA-A線断面図である。
図9図9は、図2のB-B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態の概要]
(1)本明細書によって開示される配線モジュールは、電極端子を備える複数の蓄電素子に取り付けられる配線モジュールであって、前記電極端子に接続される接続部材と、芯線を備える電線と、前記接続部材と前記芯線とに接続されるヒューズユニットと、を備え、前記ヒューズユニットが、前記接続部材に接続される第1端子部と、前記芯線と接続される第2端子部と、前記第1端子部と前記第2端子部とを接続し、過電流により溶断する溶断部と、前記溶断部を覆うケースとを備え、前記第1端子部は、前記接続部材と接する接触面を有する第1接続部と、前記第1接続部と前記溶断部との間に配されて前記ケースに保持される第1保持部とを備え、前記第2端子部は、前記芯線と接続される第2接続部と、前記第2接続部と前記溶断部との間に配されて前記ケースに保持される第2保持部とを備える。
【0010】
上記の構成の配線モジュールによれば、構成を簡素化し、コスト低減を実現できる。
【0011】
(2)上記(1)の配線モジュールにおいて、前記ヒューズユニットが、前記第2接続部に接続されて前記電線を押さえる電線押さえ部を備えていても構わない。
【0012】
このような構成によれば、第2接続部からの電線の脱落を抑制できる。
【0013】
(3)上記(1)または(2)の配線モジュールにおいて、前記ケースが、前記接触面と隣接する隣接面を有しており、前記隣接面が、前記接触面と面一または前記接触面よりも引っ込んで配置されていても構わない。
【0014】
このような構成によれば、第1接続部を接続部材に接続する際にケースが接続部材に干渉することがなく、接続部材とヒューズユニットとの接続を円滑に行うことができる。
【0015】
(4)上記(1)から(3)のうちいずれかに記載の配線モジュールにおいて、前記ケースが、前記第1保持部が挿入される第1挿入部と、前記第2保持部が挿入される第2挿入部と、を有していても構わない。
【0016】
このような構成によれば、第1保持部と第2保持部とをケースに安定的に保持でき、第1保持部と第2保持部との間に配された溶断部を確実に保護できる。
【0017】
(5)上記(1)から(4)のうちいずれかに記載の配線モジュールにおいて、前記第1保持部が前記ケースと係合する第1係合孔を有し、前記第2保持部が前記ケースと係合する第2係合孔を有していても構わない。
【0018】
このような構成によれば、簡易な構成で第1保持部および第2保持部をケースに固定できる。
【0019】
(6)上記(1)から(5)のうちいずれかに記載の配線モジュールにおいて、前記接続部材が、一の前記電極端子に接続される第1電極接続部と、前記一の電極端子に隣り合う他の前記電極端子に接続される第2電極接続部とを備えるバスバーであり、前記ヒューズユニットが、前記第1端子部と前記第2端子部との並び方向が前記第1電極接続部と前記第2電極接続部との並び方向に直交する向きに配置されていても構わない。
【0020】
このような構成によれば、ヒューズユニットがバスバーからはみ出して隣接する他のバスバーに干渉することを避けることができ、ヒューズユニットの設計の自由度が高まる。
【0021】
[実施形態の詳細]
本明細書によって開示される技術の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0022】
[全体構成]
実施形態を、図1から図9を参照しつつ説明する。本実施形態の配線モジュール20は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の車両の駆動源として用いられる蓄電モジュール1において、複数の蓄電素子10に接続されて使用される。
【0023】
[蓄電素子10]
蓄電素子10は、例えば、二次電池である。各蓄電素子10は、全体として扁平な直方体状であって、図1に示すように、一面に配置された2つの電極端子11A、11Bを備えている。2つの電極端子11A、11Bのうち一方は正極端子11Aであり、他方は負極端子11Bである。複数の蓄電素子10は、一列に並べられている。隣り合う2つの蓄電素子10は、異なる極性の電極端子11A、11Bが互いに隣り合うように、つまり、一の蓄電素子10の正極端子11Aと、これと隣接する他の蓄電素子10の負極端子11Bとが互いに隣り合うように並べられている。
【0024】
[配線モジュール20]
配線モジュール20は、図1に示すように、複数の電線30と、複数のバスバー40(接続端子の一例)と、複数のヒューズユニット50と、これらの部材を保持する保持部材110と、を備えている。
【0025】
[電線30]
電線30は、図1に示すように、単芯線または金属製の素線の複数本を撚り合わせた撚り線によって構成された芯線31と、この芯線31を被覆する合成樹脂製の絶縁被覆32とを備える。芯線31の材質としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等が挙げられる。芯線31は、電線30の端末部において、絶縁被覆32から露出された部分を有している。電線30の他端は、例えば、コネクタを介して外部のECU(Electronic Control Unit)に接続されている。ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、各蓄電素子10の電圧、電流、温度等の検知や、各蓄電素子10の充放電制御コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0026】
[バスバー40]
バスバー40は、金属製であって、導電性を有する。バスバー40の材質としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼(SUS)等が挙げられる。バスバー40は、図1に示すように、全体として長方形の板状であって、一端部が、一の蓄電素子10の正極端子11Aと接続される第1電極接続部41となっており、他端部が、この蓄電素子10と隣り合う他の蓄電素子10の負極端子11Bに接続される第2電極接続部42となっている。バスバー40において、正極端子11Aおよび負極端子11Bと接続される一面とは反対側の他面(図8の上面)は、平坦な平坦面40Aとなっている。
【0027】
[ヒューズユニット50]
ヒューズユニット50は、図2に示すように、ヒューズ付き端子60と、ケース100とを備える。
【0028】
[ヒューズ付き端子60]
ヒューズ付き端子60は、金属製であって、図3図4および図5に示すように、バスバー40に接続される第1端子部71と、電線30に接続される第2端子部81と、第1端子部71と第2端子部81とを繋ぐ溶断部91と、を備えている。
【0029】
第1端子部71および第2端子部81は、それぞれ、矩形の板状をなしている。第1端子部71と第2端子部81とは、並列して配されており、第1端子部71は、第2端子部81に対向する第1対向縁72を有し、第2端子部81は、第1端子部71に対向する第2対向縁82を有している。
【0030】
第1端子部71において、第1対向縁72に隣接する部分は第1保持部73となっており、第1保持部73に対して第2端子部81とは反対側に配される残りの部分が、バスバー40に接続される第1接続部74となっている。第1接続部74の一面(図5図8および図9の下面)は、バスバー40の平坦面40Aに接する平坦な接触面74Aとなっている。第1接続部74は、バスバー40に対して、例えばレーザ溶接、メカニカルクリンチ等によって接続される。第1保持部73は、第1接続部74よりも厚みが小さくなっている。第1保持部73は、複数(本実施形態では2つ)の第1係合孔75を有している。第1端子部71は、第1対向縁72から第2端子部81に向かって突出する係合突起76を有している。
【0031】
第2端子部81は、第2対向縁82に隣接する部分が第2保持部83となっており、第2保持部83に対して第1端子部71と反対側に配される残りの部分が、芯線31に接続される第2接続部84となっている。第2保持部83は、第2接続部84よりも厚みが小さくなっている。第2保持部83は、複数(本実施形態では2つ)の第2係合孔85を有している。第2端子部81は、第2対向縁82から第1端子部71に向かって突出する係合突起86を有している。
【0032】
溶断部91は、細い棒状をなし、一端が第1対向縁72に、他端が第2対向縁82に接続されている。溶断部91は、第1対向縁72と第2対向縁82との間に、略S字状に蛇行しつつ延びている。
【0033】
溶断部91は、所定の溶断電流値を超える過電流が流れた際に溶断するように設計されている。溶断部91の材料は、導電率が10-50%IACSで低融点の金属であることが好ましく、亜鉛合金、リン青銅、アルミニウム合金などが好適である。例えば、ヒューズ付き端子60の材料が亜鉛合金であり、溶断電流値が4アンペアに設定される場合には、溶断部91の抵抗値が10mΩ、溶断部91の厚みが0.2mm、溶断部91の幅が0.2mm、溶断部91の長さが10mm程度であることが望ましい。
【0034】
[ケース100]
ケース100は、ヒューズ付き端子60に組み付けられて、溶断部91を保護するための部材である。ケース100は、合成樹脂製であって、図6図7および図9に示すように、下板部101と、下板部101と対向して配される上板部102と、下板部101と上板部102とを連結する連結部105と、上板部102から延びる止め板部106と、を備える。
【0035】
下板部101は、矩形の平板状をなしている。上板部102は、下板部101に対して平行に、隙間を空けて配される第1挟み部103Aおよび第2挟み部103Bと、第1挟み部103Aと第2挟み部103Bとの間に配される中間部104とを備えている。第1挟み部103Aは、下板部101の一の側縁に沿って配され、第2挟み部103Bは、下板部101の他の側縁に沿って配されている。中間部104は、第1挟み部103Aおよび第2挟み部103Bから、それぞれ下板部101と反対側(図9の上側)に向かって延びる2つの側壁部104A、104Bと、2つの側壁部104A、104Bを繋ぐ天壁部104Cとを備えている。
【0036】
下板部101と第1挟み部103Aとの間隔は、第1保持部73の板厚と同等か僅かに大きい程度となっており、下板部101と第1挟み部103Aとの隙間は、第1保持部73を収容可能な第1挿入部107Aとなっている。同様に、下板部101と第2挟み部103Bとの間隔は、第2保持部83の板厚と同等か僅かに大きい程度となっており、下板部101と第2挟み部103Bとの隙間は、第2保持部83を収容可能な第2挿入部107Bとなっている。中間部104と下板部101とで囲まれた空間は、第1挿入部107Aおよび第2挿入部107Bと連通するヒューズ収容空間Sとなっている。
【0037】
連結部105は、上板部102の一端と、下板部101の一端とを接続する壁である。止め板部106は、板状をなし、上板部102において、連結部105とは反対側の他端から延びている。止め板部106は、上板部102との接続位置を基端として回動可能となっており、下板部101に向かって延び、ヒューズ収容空間Sにおいて連結部105とは反対側の開口部を塞ぐ閉塞位置(図7に実線で示す位置)と、下板部101と平行な方向に延び、ヒューズ収容空間Sにおいて連結部105とは反対側の開口部を開放する開放位置(図7に2点鎖線で示す位置)との間で変位可能となっている。
【0038】
[ヒューズ付き端子60とケース100との組み付け]
ヒューズ付き端子60をケース100に組み付ける際には、止め板部106が開放位置にある状態で、第1保持部73を第1挿入部107Aに、第2保持部83を第2挿入部107Bに挿入する。挿入が完了したら、止め板部106を閉塞位置に移動させる。止め板部106が閉塞位置にある状態では、図2に示すように、2つの係合突起76、86が止め板部106に係合することで、止め板部106が意図せず開放位置に変位することが防がれる。
【0039】
ヒューズ付き端子60にケース100が組み付けられた状態では、図9に示すように、下板部101と上板部102との間に、第1保持部73と第2保持部83と溶断部91とが配されている。第1挿入部107Aに第1保持部73が収容され、第2挿入部107Bに第2保持部83が収容されている。第1接続部74と第2接続部84とは、ケース100から外部に露出されている。第1接続部74と第2接続部84とは、ケース100に対して互いに反対側に突出している。ケース100の内部には、中間部104と下板部101とで囲まれた比較的広いヒューズ収容空間Sが存在しており、このヒューズ収容空間Sの内部に溶断部91の大部分が配されている。これにより、溶断部91のケース100への接触を極力避けることができる。
【0040】
ヒューズ付き端子60にケース100が組み付けられた後、例えば、第1挟み部103Aの表面がピンで押圧されることにより、第1挟み部103Aの一部が塑性変形され、第1保持部73の2つの第1係合孔75のそれぞれの内部に進入する突起が形成される。これにより、第1保持部73がケース100に固定される。同様に、第2挟み部103Bの表面がピンで押圧されることにより、第2保持部83の2つの第2係合孔85のそれぞれの内部に進入する突起が形成され、第2保持部83がケース100に固定される。
【0041】
第1接続部74の厚さは、第1保持部73よりも下板部101の厚さ分だけ大きくなっている。これにより、図8および図9に示すように、下板部101において接触面74Aに隣接する外表面(隣接面101A)が、接触面74Aと面一になっている。
【0042】
[保持部材110]
保持部材110は、合成樹脂製であって、図1に示すように、複数のバスバー40をそれぞれ保持するバスバー保持部111と、電線30が配索される電線配索部112とを備えている。
【0043】
[蓄電モジュール1の製造方法]
続いて、上記の構成の蓄電モジュール1を製造する方法の一例を説明する。まず、複数のヒューズユニット50のそれぞれにおいて、ケース100から露出された第1接続部74が、複数のバスバー40のそれぞれに重ねられる。このとき、図8に示すように、平坦面40Aに接触面74Aが接するようにする。この状態で、バスバー40と第1接続部74が、例えばレーザ溶接によって接続される。このとき、接触面74Aと隣接面101Aとが面一になっているので、ケース100がバスバー40に干渉することを避けることができ、バスバー40と第1接続部74との接続を円滑に行うことができる。
【0044】
次に、ヒューズユニット50が接続された複数のバスバー40が、保持部材110のバスバー保持部111にそれぞれセットされる。次に、保持部材110の電線配索部112に複数の電線30が配索され、各電線30の端末部において露出された芯線31が、各ヒューズユニット50の第2接続部84上に載置される。この状態で、例えばロボット半田付け装置を用いて、芯線31が半田によって第2接続部84に接続される。このようにして、配線モジュール20の製造が完了する。
【0045】
ヒューズユニット50がバスバー40に接続された状態では、図1に示すように、ヒューズユニット50は、第1端子部71と第2端子部81との並び方向が第1電極接続部41と第2電極接続部42との並び方向に直交する向きとなっている。ここで、ヒューズユニット50が、第1端子部71と第2端子部81との並び方向が第1電極接続部41と第2電極接続部42との並び方向に沿う向きで取り付けられる場合には、ヒューズ付き端子60の幅(第1端子部71において第2端子部81とは反対側の側縁と、第2端子部81において第1端子部71とは反対側の側縁との距離)を、ヒューズ付き端子60がバスバー40からはみ出して隣接する他のバスバー40に干渉することがないように設定しなければならず、ヒューズユニット50の設計に一定の制約が生じる。しかし、ヒューズユニット50が、第1端子部71と第2端子部81との並び方向が第1電極接続部41と第2電極接続部42との並び方向に直交する向きとなっている場合には、ヒューズユニット50がバスバー40からはみ出すとしても、隣接する他のバスバー40が配置されている側とは異なる側(図1の右側)に突出することとなるため、ヒューズユニット50が他のバスバー40に干渉することを避けることができ、ヒューズユニット50の設計の自由度が高まる。
【0046】
次に、並べられた複数の蓄電素子10上の所定位置に配線モジュール20が配置される。この状態で、各電極端子11A、11Bとバスバー40とが、例えばレーザ溶接によって接続される。このようにして蓄電モジュール1の製造が完了する。
【0047】
[作用効果]
以上のように本実施形態によれば、電極端子11A、11Bを備える複数の蓄電素子10に取り付けられる配線モジュール20は、電極端子11A、11Bに接続されるバスバー40と、芯線31を備える電線30と、バスバー40と芯線31とに接続されるヒューズユニット50と、を備え、ヒューズユニット50が、バスバー40に接続される第1端子部71と、芯線31と接続される第2端子部81と、第1端子部71と第2端子部81とを接続し、過電流により溶断する溶断部91と、溶断部91を覆うケース100とを備え、第1端子部71が、バスバー40と接する接触面74Aを有する第1接続部74と、第1接続部74と溶断部91との間に配されてケース100に保持される第1保持部73とを備え、第2端子部81が、芯線31と接続される第2接続部84と、第2接続部84と溶断部91との間に配されてケース100に保持される第2保持部83とを備える。
【0048】
上記の構成の配線モジュール20によれば、ヒューズユニット50の構成を簡素化し、コスト低減を実現できる。
【0049】
また、ヒューズユニット50が、第2接続部84に接続されて電線30を押さえる電線押さえ部77を備えている。このような構成によれば、第2接続部84からの電線30の脱落を抑制できる。
【0050】
また、ケース100が、接触面74Aと隣接する隣接面101Aを有しており、隣接面101Aが、接触面74Aと面一になっている。このような構成によれば、第1接続部74をバスバー40に接続する際にケース100がバスバー40に干渉することがなく、バスバー40とヒューズユニット50との接続を円滑に行うことができる。
【0051】
また、ケース100が、第1保持部73が挿入される第1挿入部107Aと、第2保持部83が挿入される第2挿入部107Bと、を有している。このような構成によれば、第1保持部73と第2保持部83とをケース100に安定的に保持でき、第1保持部73と第2保持部83との間に配された溶断部91を確実に保護できる。
【0052】
また、第1保持部73がケース100と係合する第1係合孔75を有し、第2保持部83がケース100と係合する第2係合孔85を有している。このような構成によれば、簡易な構成で第1保持部73および第2保持部83をケース100に固定できる。
【0053】
また、バスバー40が、正極端子11Aに接続される第1電極接続部41と、正極端子11Aに隣り合う負極端子11Bに接続される第2電極接続部42とを備え、ヒューズユニット50が、第1端子部71と第2端子部81との並び方向が第1電極接続部41と第2電極接続部42との並び方向に直交する向きに配置されている。このような構成によれば、ヒューズユニット50がバスバー40からはみ出して隣接する他のバスバー40に干渉することを避けることができ、ヒューズユニット50の設計の自由度が高まる。
【0054】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態では、接続部材がバスバー40であったが、接続部材が、バスバーと、バスバーに接続される中継端子とを備えており、第1端子部が中継端子に接続されていても構わない。
(2)上記実施形態では、第1端子部71、第2端子部81の形状がそれぞれ矩形の板状であったが、第1端子部、第2端子部の形状は上記実施形態に限定されない。例えば、第2端子部は、芯線をかしめるかしめ部を有していても構わない。
(3)上記実施形態では、溶断部91がS字状に蛇行していたが、溶断部は、例えばV字状、U字状、クランク状、直線状であっても構わない。
(4)ケース100と第1保持部73、第2保持部83との固定の形態は上記実施形態の限りではなく、例えば、ケースを加熱しつつ加圧して熱変形させることで、第1保持部、第2保持部の係合孔に進入する突起を形成させる熱かしめによってケースと第1保持部、第2保持部が固定されていても構わない。
(5)上記実施形態では、ケース100の隣接面101Aが、接触面74Aと面一となっていたが、ケースの隣接面が、接触面よりも引っ込んで配置されていても構わない。
【符号の説明】
【0055】
1:蓄電モジュール
10:蓄電素子
11A:正極端子(電極端子)
11B:負極端子(電極端子)
20:配線モジュール
30:電線
31:芯線
32:絶縁被覆
40:バスバー(接続部材)
40A:平坦面
41:第1電極接続部
42:第2電極接続部
50:ヒューズユニット
60:ヒューズ付き端子
71:第1端子部
72:第1対向縁
73:第1保持部
74:第1接続部
74A:接触面
75:第1係合孔
76:係合突起
81:第2端子部
82:第2対向縁
83:第2保持部
84:第2接続部
85:第2係合孔
86:係合突起
91:溶断部
100:ケース
101:下板部
101A:隣接面
102:上板部
103A:第1挟み部
103B:第2挟み部
104:中間部
104A、104B:側壁部
104C:天壁部
105:連結部
106:止め板部
107A:第1挿入部
107B:第2挿入部
110:保持部材
111:バスバー保持部
112:電線配索部
S:ヒューズ収容空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9