IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日本アルファの特許一覧

<>
  • 特開-操作装置 図1
  • 特開-操作装置 図2
  • 特開-操作装置 図3
  • 特開-操作装置 図4
  • 特開-操作装置 図5
  • 特開-操作装置 図6
  • 特開-操作装置 図7
  • 特開-操作装置 図8
  • 特開-操作装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117552
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/22 20060101AFI20230817BHJP
   E03C 1/23 20060101ALI20230817BHJP
   A47K 1/14 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
E03C1/22 C
E03C1/23 Z
A47K1/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020173
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】392028767
【氏名又は名称】株式会社日本アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】太田 慎一
(72)【発明者】
【氏名】北川 浩平
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA01
2D061DA02
2D061DA03
2D061DB03
(57)【要約】
【課題】操作軸を構成する部品の分離防止、生産性や施工性の向上、及び、製造コストの増大抑制を図ることができる操作装置を提供する。
【解決手段】操作軸3は、棒状の本体軸部31と、介在部32と、インナーワイヤ5に接続されるワイヤ対応部33とを備える。介在部32の第一連結部322に本体軸部31を係合して連結するとともに、介在部32の第二連結部323にワイヤ対応部33を係合して連結することによって直列的に連結された本体軸部31、介在部33及びワイヤ対応部33によって操作軸3が構成される。連結された介在部32及びワイヤ対応部33をケース2内に配置した状態で、本体軸部31をケース2に挿通しつつ介在部32に向けて押し込むことにより、第一連結部322に対し本体軸部31をスナップフィット係合させて、第一連結部322に本体軸部31を連結させることが可能とされる。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のケースと、
前記ケースに対し往復移動可能な状態で挿通されるとともに、自身の一端側部位が当該ケースの一端側開口から当該ケース外へと出て被操作部を構成する棒状の操作軸と、
前記ケース内にて前記操作軸の他端側部位と連結され、前記操作軸とともに往復移動可能なインナーワイヤとを備え、
前記操作軸及び前記インナーワイヤの往復移動により、槽体の排水口を開閉するための栓蓋を上下動させて前記排水口の開閉状態を切換可能な操作装置であって、
前記操作軸は、
一端側に前記被操作部を有する棒状の本体軸部と、
前記インナーワイヤの一端側部位が挿通された状態で、当該インナーワイヤを固定保持するワイヤ挿通部を有してなる棒状のワイヤ対応部と、
前記本体軸部の他端側部位が係合されることで当該本体軸部と連結される第一連結部、及び、前記ワイヤ対応部の一端側部位が係合されることで当該ワイヤ対応部と連結される第二連結部を有する介在部とを備え、
前記第一連結部に前記本体軸部を係合して連結するとともに、前記第二連結部に前記ワイヤ対応部を係合して連結することによって直列的に連結された前記本体軸部、前記介在部及び前記ワイヤ対応部が前記操作軸を構成し、前記ケース内にて前記本体軸部、前記介在部及び前記ワイヤ対応部が連動して往復移動可能であり、
連結された前記介在部及び前記ワイヤ対応部を前記ケース内に配置した状態で、前記本体軸部を当該ケースに挿通しつつ当該介在部に向けて押し込むことにより、当該介在部の前記第一連結部に対し当該本体軸部をスナップフィット係合させて、当該第一連結部に当該本体軸部を連結させることが可能に構成されていることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記インナーワイヤが挿通される筒状のアウターチューブを備え、
前記ケース内には、中心に軸孔を有するとともに、所定の弾性材料により形成された筒状のシール保持部材が設けられ、
前記シール保持部材は、前記軸孔に挿通された前記ワイヤ対応部を弾性保持する保持部と、前記軸孔内に配置された前記アウターチューブの外周面及び前記ケースの内周面間に配置されて前記アウターチューブ及び前記ケース間を水密にシールするシール部とを一体に備えていることを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記ワイヤ対応部は、外側に向けて突出する突部を備え、
前記排水口が開状態であるときに、前記介在部及び前記突部間に前記保持部が配置されるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記介在部は、表面に前記第一連結部が突出形成される一方、裏面に前記第二連結部が突出形成された板状部を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項5】
前記第一連結部は、2つのスリットにより分離するとともに、前記第一連結部の中心軸を中心とした点対称形状をなす2つの分割部を有し、
それぞれの前記分割部の内周面は、当該内周面を形成する型を1の前記スリットを通して取外す際の当該型の移動方向に対し非アンダーカット形状をなすとともに、
それぞれの前記分割部は、自身の内周面を形成するための前記型が通ることとなる前記スリットとは反対側に位置する部位が、前記移動方向に沿って当該スリットと重なる位置まで延びる形状をなすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽体の排水口に設けられる栓蓋を遠隔操作するための操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、槽体(例えば、浴槽や洗面ボウル等)やその近傍に、槽体の底部に形成された排水口の開閉状態を遠隔操作によって切換えるための操作装置を設けることがある。
【0003】
操作装置としては、ケース、操作軸、インナーワイヤ及びアウターチューブを備えたものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。ケースは、操作軸が往復移動可能な状態で挿通されており、操作軸の往復移動をガイドする。操作軸は、ケースの一端側開口から当該ケース外に出た被操作部を有しており、当該被操作部は、使用者による操作対象として機能する。インナーワイヤは、操作軸が押し引き操作された際に操作軸とともに往復移動することで、操作軸の変位による駆動力を栓蓋側へと伝達する。アウターチューブは、インナーワイヤが挿通されるものであり、インナーワイヤを操作軸側から栓蓋側へと案内する。このような操作装置においては、操作軸を押したり引いたりしてインナーワイヤを往復移動させることで、栓蓋が上下動して排水口の開閉状態が切換えられる。
【0004】
また、上記操作装置において、操作軸は、直列的に連結された、それぞれ棒状をなす本体軸部及びワイヤ対応部によって構成されている。本体軸部及びワイヤ対応部の連結は、本体軸部に設けられた雄ねじがワイヤ対応部に設けられた雌ねじに螺合されることによってなされている。
【0005】
加えて、上記操作装置において、ケースの内周面及びワイヤ対応部の外周面における所定部位は、ケースの中心軸と直交する断面において六角形状とされており、ケースに対し、当該ケース内に配置されたワイヤ対応部が相対回転不能とされている。これにより、ケース内にワイヤ対応部を配置した上で、本体軸部をケースに挿通しつつ回転させることにより、ワイヤ対応部及び本体軸部を連結可能となっている。すなわち、ケース内にワイヤ対応部を配置したままの状態でワイヤ対応部及び本体軸部を連結することができ、装置をより容易に組み立て可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-157442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のような操作軸を構成する部品(本体軸部及びワイヤ対応部)をねじ止めにより連結する構成では、長期間の使用に伴い雌ねじに対する雄ねじの緩みが生じて、これら部品が分離するおそれがある。また、本体軸部を回転させることで部品を連結する手法では、連結に多くの手間や時間を要し、生産性や施工性が低下するおそれがある。さらに、ケースの内周面及びワイヤ対応部の外周面における所定部位が断面六角形状をなすように構成すると、製造コストの増大を招くおそれがある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、操作軸を構成する部品の分離防止、生産性や施工性の向上、及び、製造コストの増大抑制を図ることができる操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0010】
手段1.筒状のケースと、
前記ケースに対し往復移動可能な状態で挿通されるとともに、自身の一端側部位が当該ケースの一端側開口から当該ケース外へと出て被操作部を構成する棒状の操作軸と、
前記ケース内にて前記操作軸の他端側部位と連結され、前記操作軸とともに往復移動可能なインナーワイヤとを備え、
前記操作軸及び前記インナーワイヤの往復移動により、槽体の排水口を開閉するための栓蓋を上下動させて前記排水口の開閉状態を切換可能な操作装置であって、
前記操作軸は、
一端側に前記被操作部を有する棒状の本体軸部と、
前記インナーワイヤの一端側部位が挿通された状態で、当該インナーワイヤを固定保持するワイヤ挿通部を有してなる棒状のワイヤ対応部と、
前記本体軸部の他端側部位が係合されることで当該本体軸部と連結される第一連結部、及び、前記ワイヤ対応部の一端側部位が係合されることで当該ワイヤ対応部と連結される第二連結部を有する介在部とを備え、
前記第一連結部に前記本体軸部を係合して連結するとともに、前記第二連結部に前記ワイヤ対応部を係合して連結することによって直列的に連結された前記本体軸部、前記介在部及び前記ワイヤ対応部が前記操作軸を構成し、前記ケース内にて前記本体軸部、前記介在部及び前記ワイヤ対応部が連動して往復移動可能であり、
連結された前記介在部及び前記ワイヤ対応部を前記ケース内に配置した状態で、前記本体軸部を当該ケースに挿通しつつ当該介在部に向けて押し込むことにより、当該介在部の前記第一連結部に対し当該本体軸部をスナップフィット係合させて、当該第一連結部に当該本体軸部を連結させることが可能に構成されていることを特徴とする操作装置。
【0011】
上記手段1によれば、操作軸は、直列的に連結された本体軸部、介在部及びワイヤ対応部によって構成されている。そして、第一連結部に本体軸部が係合されて連結されるとともに、第二連結部にワイヤ対応部が係合されて連結されるようになっている。従って、ねじ止めを用いた手法と比較して、長期間の使用に伴う、操作軸を構成する部品の分離をより生じにくくすることができる。
【0012】
また、連結された介在部及びワイヤ対応部をケース内に配置した状態で、ケースに本体軸部を挿通しつつ介在部に向けて押し込むことにより、当該介在部の第一連結部に対し本体軸部をスナップフィット係合させて、第一連結部に対し本体軸部を連結させることができる。従って、操作軸を構成する部品(本体軸部及び介在部)を連結するにあたって、本体軸部を回転させる必要がない。これにより、連結に要する手間や時間を減らすことができ、生産性や施工性の向上を図ることができる。
【0013】
加えて、ケース内に介在部及びワイヤ対応部を配置した状態で介在部及び本体軸部を連結可能とするために、ケースの内周面及びワイヤ対応部の外周面を断面六角形状などの特殊な形状とする必要はない。従って、製造コストの増大抑制を図ることができる。
【0014】
手段2.前記インナーワイヤが挿通される筒状のアウターチューブを備え、
前記ケース内には、中心に軸孔を有するとともに、所定の弾性材料により形成された筒状のシール保持部材が設けられ、
前記シール保持部材は、前記軸孔に挿通された前記ワイヤ対応部を弾性保持する保持部と、前記軸孔内に配置された前記アウターチューブの外周面及び前記ケースの内周面間に配置されて前記アウターチューブ及び前記ケース間を水密にシールするシール部とを一体に備えていることを特徴とする手段1に記載の操作装置。
【0015】
上記手段2によれば、操作軸を弾性保持する保持部によって、操作軸が容易に移動しない状態とすることができる。これにより、排水口を開状態や閉状態でより確実に維持することができる。
【0016】
また、シール部によって、仮にアウターチューブ内を通ってケース内へと水が浸入したとしても、その水がケースの他端側から漏れ出してしまうことを効果的に防止できる。これにより、衛生性の向上を図ることができる。
【0017】
さらに、シール保持部材は、上記のような機能を有するシール部及び保持部を一体に備えている。従って、シール部及び保持部を別々の部品で構成する場合と比較して、部品点数を低減することができるとともに内部構造の簡素化を図ることができる。その結果、生産性及び施工性の向上や製造コストの増大抑制をより効果的に図ることができる。
【0018】
加えて、シール保持部材は弾性材料により形成されており、この材料の弾性を利用することで、保持部により操作軸を保持しつつ、シール部により水密性を確保することができるようになっている。従って、上記各機能を実現するために複数の材料を用いてシール保持部材を構成する場合と比べ、シール保持部材の製造に係るコストを効果的に低減させることができる。その結果、製造コストの増大抑制を一層効果的に図ることができる。
【0019】
尚、「所定の弾性材料」としては、弾性ゴムや弾性樹脂などを挙げることができる。
【0020】
手段3.前記ワイヤ対応部は、外側に向けて突出する突部を備え、
前記排水口が開状態であるときに、前記介在部及び前記突部間に前記保持部が配置されるように構成されていることを特徴とする手段2に記載の操作装置。
【0021】
上記手段3によれば、排水口が開状態であるときに、操作軸をより移動しにくくすることができる。これにより、操作軸の意図しない移動をより効果的に抑えることができ、排水口を開状態でより確実に維持することができる。
【0022】
手段4.前記介在部は、表面に前記第一連結部が突出形成される一方、裏面に前記第二連結部が突出形成された板状部を備えることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の操作装置。
【0023】
上記手段4によれば、介在部は、第一連結部及び第二連結部間に板状部が存在する構造となっている。そのため、介在部及び本体軸部を連結する際において、第一連結部の弾性変形に合わせて第二連結部が弾性変形することをより確実に防止できる。これにより、介在部及びワイヤ対応部の安定的な連結状態をより確実に維持することができる。
【0024】
手段5.前記第一連結部は、2つのスリットにより分離するとともに、前記第一連結部の中心軸を中心とした点対称形状をなす2つの分割部を有し、
それぞれの前記分割部の内周面は、当該内周面を形成する型を1の前記スリットを通して取外す際の当該型の移動方向に対し非アンダーカット形状をなすとともに、
それぞれの前記分割部は、自身の内周面を形成するための前記型が通ることとなる前記スリットとは反対側に位置する部位が、前記移動方向に沿って当該スリットと重なる位置まで延びる形状をなすことを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の操作装置。
【0025】
上記手段5によれば、介在部の製造時における円滑な型抜きが可能となるから、介在部の破損や変形を防ぐことができ、生産性をより高めることができる。
【0026】
また、上記手段5によれば、それぞれの分割部は、当該分割部の内周面を形成するための型が通過することとなるスリットとは反対側に位置する部位が、当該型の移動方向に沿って当該スリットと重なる位置まで延びる形状をなしている。つまり、それぞれの分割部における前記反対側の部位は、本体軸部の側方におけるより広範囲に亘って回り込む形状をなしている。その上で、両分割部は点対称形状であるから、介在部に連結された本体軸部の両スリット側への移動をそれぞれ規制することができ、介在部に対する本体軸部の偏心をより生じにくくすることができる。これにより、操作時において介在部等に対し局所的に偏荷重が加わることを効果的に抑制でき、その結果、介在部などの破損・変形や動作不良の発生をより確実に防ぐことができる。
【0027】
さらに、分割部が本体軸部の側方におけるより広範囲に亘って回り込む形状をなすことで、第一連結部における引張方向や曲げ方向の強度をより確実に高めることができる。これにより、第一連結部及び本体軸部をより強固に係合・連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】水栓に取付けられた状態の操作装置を示す断面図である。
図2】操作軸を復動させて排水口を閉状態としたときの操作装置の断面図である。
図3】操作軸を往動させて排水口を開状態としたときの操作装置の断面図である。
図4】操作軸を復動させて排水口を閉状態としたときの操作装置の部分拡大断面図である。
図5】操作軸を往動させて排水口を開状態としたときの操作装置の部分拡大断面図である。
図6】介在部の斜視図である。
図7】介在部の平面図である。
図8】内周形成型の取外し方向などを示すための介在部などの平面模式図である。
図9】第一連結部に対する本体軸部の連結を説明するための操作装置の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。操作装置1は、図示しない槽体(例えば、洗面器や浴槽、流し台など)に設けられた排水口の開閉用の栓蓋(図示せず)を遠隔操作し、前記栓蓋を上下動させることで前記排水口の開閉状態を切換えるためのものである。本実施形態において、操作装置1は、図1に示すように、槽体に対応して設けられた水栓100に取付けられている。より具体的には、水栓100に設けられた雌ねじ101に対し後述するケース2の雄ねじ部21aを螺合することで、操作装置1は水栓100に取付けられている。尚、図1では、水栓100を簡略化して示している。また、前記槽体の底部には、前記排水口を通過した排水の流路となる配管(図示せず)が取付けられている。
【0030】
尚、操作装置1を、前記槽体の一部を構成する、又は、前記槽体の近傍に設けられた構造物を構成する取付対象壁(例えば、洗面器や洗面化粧台のカウンタなど)に取付けることとしてもよい。また、操作装置1を水栓100などに取付けるにあたっては、後述するケース2の一端部と水栓100等との間に水密性を確保するためのシール部材110を設けてもよい。
【0031】
操作装置1は、図2~5(図2等では水栓100を不図示)に示すように、ケース2、操作軸3、アウターチューブ4、インナーワイヤ5及びシール保持部材6を備えている。
【0032】
ケース2は、操作軸3やアウターチューブ4等を保持するとともに、水栓100などに対する操作装置1の取付部として機能するものである。ケース2は、全体として筒状をなしており、メイン筒部21、連結筒部22及び固定保持部23を備えている。
【0033】
メイン筒部21は、中心に貫通孔を有する筒状をなしており、ケース2におけるその一端からその長手方向中心を超える位置までの間の部分を構成する。メイン筒部21の内周には操作軸3が往復移動可能な状態で挿通されており、メイン筒部21の内周面によって操作軸3の往復移動がガイドされるようになっている。また、メイン筒部21の一端側外周には、操作装置1を水栓100等の取付対象へと取付けるための雄ねじ部21aが形成されている。一方、メイン筒部21の他端側外周には、連結筒部22を取付けるための環状溝21bが形成されている。
【0034】
連結筒部22は、メイン筒部21に対し直列的に連結されており、メイン筒部21とともにケース2の大部分を構成する。連結筒部22は、メイン筒部21と同様に中心に貫通孔を有する筒状をなしており、その一端側には、連結筒部22の径方向に沿って弾性変形可能な係止爪22aが設けられている。そして、連結筒部22の一端部をメイン筒部21の他端部内周に挿通しつつ、係止爪22aを前記環状溝21bに配置した状態とすることで、メイン筒部21及び連結筒部22が直列的に連結された状態となっている。また、本実施形態では、水密性の向上を図るべく、メイン筒部21及び連結筒部22間に環状のシール部材7が配置されている。尚、本実施形態において、連結筒部22の内側面のうち操作軸3の後述するワイヤ対応部33の配置される箇所は、断面六角形状などの特殊な形状ではなく、単に断面円形状とされている。
【0035】
また、連結筒部22の他端側には、連結筒部22の内周から外周に貫通する被取付窓部22bが複数設けられている。そして、この被取付窓部22bの形成された連結筒部22の他端側部分は、例えばスリットが形成されることで径方向に沿って弾性変形可能となっている。さらに、連結筒部22の内周には、ケース2からの操作軸3の抜け等を防止するための段差部22cが形成されている。
【0036】
尚、本実施形態では、メイン筒部21及び連結筒部22が別体(別部品)であり、これらが連結される構成とされているが、一部材によってメイン筒部21及び連結筒部22を一体的に構成してもよい。この場合、環状溝21bや係止爪22aなど、メイン筒部21及び連結筒部22を連結するためのものを設ける必要はない。
【0037】
固定保持部23は、中心にアウターチューブ4等の挿通される貫通孔を有するとともに、外周に凹部の形成された円筒状部品である。固定保持部23は、アウターチューブ4の一端側部位やシール保持部材6を保持する役割などを有している。固定保持部23は、連結筒部22の他端側開口に挿通され、前記被取付窓部22bに自身の外周に設けられた突起部分が嵌入されることで、連結筒部22の他端部に取付けられている。本実施形態では、連結筒部22の他端側部分の弾性を利用することにより、連結筒部22の他端側開口へと固定保持部23を押し込むことで、連結筒部22へと固定保持部23を容易に取付けることが可能となっている。
【0038】
操作軸3は、前記排水口の開閉状態を切換える際に、使用者による押し引き操作の対象となる棒状部品である。本実施形態において、操作軸3は、本体軸部31、介在部32及びワイヤ対応部33が直列的に接続されて構成されている。操作軸3の構成については、後に詳述する。
【0039】
アウターチューブ4は、長尺筒状をなしており、前記栓蓋側に対しインナーワイヤ5を案内するためのものである。アウターチューブ4は、その一端部がケース2の他端側部位の内側に配置された状態でケース2へと固定されている。より詳しくは、アウターチューブ4の一端には鍔状のフレア部4aが設けられており、当該フレア部4aがシール保持部材6及び固定保持部23により挟み込まれた状態となることで、アウターチューブ4の一端部がケース2に固定された状態となっている。
【0040】
尚、本実施形態において、アウターチューブ4の一端側開口(フレア部4aの存在する側の開口)は、シール保持部材6の後述する軸孔63内に連通した状態とされている。一方、アウターチューブ4の他端部開口(図示せず)は、排水の流路となる前記配管内に配置されており、排水が当該他端部開口からアウターチューブ4内に入り得る状況となっている。そのため、本実施形態では、アウターチューブ4の他端側開口からアウターチューブ4内に入った水が、アウターチューブ4の一端側開口の方へと流れて、最終的に軸孔63に至ることがあり得る。
【0041】
インナーワイヤ5は、操作軸3の往復移動時に操作軸3とともに移動し、操作軸3の変位による駆動力を前記栓蓋側へと伝達するものである。インナーワイヤ5は、例えばコアコイル(密着コイルバネ)によって構成されており、アウターチューブ4内に往復移動可能な状態で挿通されている。インナーワイヤ5の一端側部位は、アウターチューブ4の一端側開口から当該アウターチューブ4外へと出てケース2内にて操作軸3の他端側部位(特にワイヤ対応部33)と連結されている。
【0042】
本実施形態においては、操作軸3に対する押し操作(操作軸3を下方に押す操作)によって、操作軸3とともにインナーワイヤ5を往動した状態(図3及び図5に示す状態)とすることで、前記栓蓋を上動させて前記排水口を閉状態から開状態へと切換えることができる。一方、操作軸3に対する引き操作(操作軸3を上方に引く操作)によって、操作軸3とともにインナーワイヤ5を復動した状態(図2及び図4に示す状態)とすることで、前記栓蓋を下動させて前記排水口を開状態から閉状態へと切換えることができる。
【0043】
シール保持部材6は、ケース2における水密性向上や操作軸3の保持などの各種機能を担う部品である。シール保持部材6は、所定の弾性材料〔例えば、EPDMゴム等の弾性ゴムや、エラストマ(熱可塑性エラストマ)等の弾性樹脂など〕により形成されている。
【0044】
シール保持部材6は、比較的大きな外径の大径部61と比較的小さな外径の小径部62とを備えており(図4及び図5参照)、外観上、外径が比較的大きな短い円筒に対し、外径が比較的小さな長い円筒が同軸状に積み重なったような形状をなしている。本実施形態では、連結筒部22及び固定保持部23により大径部61が挟み込まれた状態とされることで、シール保持部材6は、ケース2(メイン筒部21)の他端側内部に配置・固定された状態となっている。尚、シール保持部材6は、ケース2内に配置されたときに圧縮変形した状態となるが、図2等では、圧縮変形していない状態のシール保持部材6を示している。
【0045】
また、シール保持部材6は、自身の中心を貫通し、操作軸3の往復移動方向に延びる軸孔63を有しており、当該軸孔63の他端側部位にアウターチューブ4の一端側部位(フレア部4a)が配置されている。そして、本実施形態では、小径部62が比較的長いものとされることで、操作軸3の配置位置に関わらず(つまり、排水口が開状態であっても閉状態であっても)常に軸孔63へと操作軸3が挿通された状態となるように構成されている。
【0046】
加えて、シール保持部材6は、軸孔63に挿通された操作軸3(特にワイヤ対応部33)を弾性保持する保持部64と、軸孔63に配置されたアウターチューブ4の一端側部位(フレア部4a)の外周及びケース2(連結筒部22)の他端側部位の内周間に配置された両者間を水密にシールする筒状のシール部65とを一体に備えている。
【0047】
保持部64は、操作軸3(ワイヤ対応部33)の外周面に押圧された状態でこれと接触することにより、操作軸3が極端に容易に往復移動することを抑える機能を有する。本実施形態において、保持部64は、小径部62の一端側内周から突出する内鍔状をなしており、軸孔63に挿通された操作軸3(ワイヤ対応部)の外周面におけるその周方向全周に亘って水密に接触するようになっている。尚、本実施形態では、排水口が開状態であっても閉状態であっても、軸孔63に挿通された操作軸3の外周面に保持部64が水密に接触した状態となる。
【0048】
シール部65は、前記大径部61により構成されており、アウターチューブ4の一端側部位(フレア部4a)の外周面、及び、ケース2(連結筒部22)の他端側部位の内周面によって挟み込まれている。シール部65によってアウターチューブ4及びケース2間が水密にシールされた状態となっている。
【0049】
加えて、本実施形態では、排水口を閉状態から開状態へと切換えるべく操作軸3を往動させたときに、操作軸3(介在部32)がシール保持部材6の一端面と接触することで、操作軸3のそれ以上の往動が規制されるようになっている。
【0050】
次いで、操作軸3についてより詳しく説明する。操作軸3は、上記の通り、本体軸部31、介在部32及びワイヤ対応部33を備えている。
【0051】
本体軸部31は、円柱状の本体基部311と、当該本体基部311よりも大径とされた被操作部312とが直列的に並んだ構成とされている。本体基部311は、その外周面の広範囲がケース2(メイン筒部21)の内周面に近接した状態とされており、これにより、ケース2及び操作軸3をほぼ同軸状態で維持することが可能となっている。
【0052】
また、本体基部311における被操作部312とは反対側に位置する端部(他端部)には、首部311a及び頭部311bが設けられている。首部311aは、頭部311bよりも小径とされており、頭部311bを首部311aよりも外側に突出させて、介在部32(特に後述する第一被係合部3221b)に対する頭部311bの係合を可能とするために形成されている。
【0053】
頭部311bは、本体基部311の他端から首部311a側に向けて徐々に太くなる円錐台状をなしている。また、頭部311bのうち首部311aに連なる面は、本体軸部31の中心軸と直交する方向に延びる面(首部311aの外周面に直交する面)となっており、介在部32の後述する第一被係合部3221bに係合されている。
【0054】
被操作部312は、使用者による操作対象となることを想定して設けられた部位である。被操作部312は、ケース2の一端側開口からケース2外へと出た操作軸3の一端側部位により構成されている。被操作部312は、本体軸部31の一端側に位置し、本体基部311よりも大径とされている。
【0055】
介在部32は、所定の樹脂により形成されており、本体軸部31及びワイヤ対応部33間において両者を連結するためのものである。介在部32は、図6,7に示すように、板状部321,第一連結部322及び第二連結部323を備えている。
【0056】
板状部321は、円板状をなしており、第一連結部322及び第二連結部323間に位置している。
【0057】
第一連結部322は、板状部321における表面(表側の面)に突出形成されており、本体軸部31の他端側部位(本実施形態では、頭部311b)が係合されることで、本体軸部31と連結される部位である。第一連結部322は、2つのスリットSにより分離するとともに、第一連結部322の中心軸CLに沿って見たときに、当該中心軸CLを中心とした点対称形状をなす2つの分割部3221を有している。尚、本実施形態において、第一連結部322の中心軸CLは、介在部32の中心軸(板状部321の平面中心を通り、板状部321の板厚方向に延びる線)と一致するものである。
【0058】
各分割部3221は、板状部321から突出する基部3221aと、当該基部3221aの先端側(板状部321とは反対側)から内側(中心軸CL側)に向けて突出する第一被係合部3221bとを備えている。
【0059】
基部3221aの内周面(中心軸CL側に位置する面)のうち、板状部321に連結される部分を除いた大部分は、平坦面a1及び湾曲面a2(図7にて点線で示す部分)を備えた形状とされている。また、第一被係合部3221bの内周面も、基部3221aの前記平坦面a1に対応する平坦面b1と、基部3221aの前記湾曲面a2に対応する湾曲面b2とを備えた形状とされている。
【0060】
そして、中心軸CLに沿って見たときに、平坦面a1,b1はそれぞれ平行とされている。また、中心軸CLに沿って見たときに、湾曲面a2,b2は、それぞれ平坦面a1,b1の延びる方向に沿ってスリットSと重なる位置まで延びるように構成されている。従って、基部3221aから第一被係合部3221bにかけての分割部3221の内周面は、平坦面a1,b1と、平坦面a1,b1の延びる方向に沿ってスリットSと重なる位置にまで至る湾曲面a2,b2とを有するものとなっている。
【0061】
また、各分割部3221の内周面には、第一被係合部3221bから第一連結部322における一端部(板状部321とは反対側の端部)に向けて、中心軸CLから徐々に離間するように構成された傾斜面3221cが設けられている。傾斜面3221cは、第一連結部322に対する本体軸部31の連結を容易なものとするために設けられている。
【0062】
第二連結部323は、板状部321の裏面に突出形成されており、ワイヤ対応部33の一端側部位(本実施形態では、後述する鍔部332)が係合されることで、ワイヤ対応部33と連結される部位である。第二連結部323は、一対の第二連結片部3231と、これらを繋ぐ湾曲板状の接続部とを備えている。つまり、第二連結部323は、中心軸CLに沿って見たときにU字状をなしており、両連結片部3231における前記接続部とは反対側の端部同士の間には、開口Oが形成されている。また、各第二連結片部3231及び前記接続部には、内側(中心軸CL側)に向けて突出する第二被係合部3231aが形成されている。
【0063】
上述した介在部32は、所定の金型を用いて、射出成型法等により製造することができる。当該金型には、一対の内周形成型MD1(図8参照)が含まれる。本実施形態では、内周形成型MD1が「型」に相当する。両内周形成型MD1によって、少なくとも傾斜面3221cを除く分割部3221の内周面、つまり、少なくとも基部3221aから第一被係合部3221bにかけての内周面である平坦面a1,b1及び湾曲面a2,b2が形成される。
【0064】
本実施形態において、介在部32の製造時には、図8に示すように、中心軸CLに沿って見たときに、1のスリットSを通過するように平坦面a1,a2に沿って内周形成型MD1をスライド移動させることで、介在部32に引っ掛かることなく、内周形成型MD1を取外可能とされている。従って、それぞれの分割部3221の内周面は、当該内周面を形成する内周形成型MD1を1のスリットSを通して取外す際の当該内周形成型MD1の移動方向(図8における太線矢印の方向)に対し非アンダーカット形状をなしていると言える。
【0065】
また、上記の通り、分割部3221の内周面には、平坦面a1,b1の延びる方向に沿ってスリットSと重なる位置まで延びる湾曲面a2,b2が設けられているところ、介在部32の製造時には、当該スリットSを、当該分割部3221の内周面を形成するための内周形成型MD1が通過する。従って、各分割部3221は、それぞれ自身の内周面を形成するための内周形成型MD1が通ることとなるスリットSとは反対側に位置する部位が、当該内周形成型MD1の移動方向に沿って当該スリットSと重なる位置まで延びる形状をなしていると言える。
【0066】
図4,5に戻り、ワイヤ対応部33は、インナーワイヤ5の一端部を保持することで、当該インナーワイヤ5の一端部が固定される棒状部品である。ワイヤ対応部33は、棒状のワイヤ対応基部331と、当該ワイヤ対応基部331の一端部にて外側に突出形成された鍔部332とを備えている。尚、本実施形態において、ワイヤ対応部33の外周面は、断面六角形状などの複雑な形状ではなく、単なる断面円形状とされている。
【0067】
ワイヤ対応基部331は、ワイヤ対応部33の他端面(鍔部332とは反対側の端面)にて開口し、当該ワイヤ対応基部331の長手方向に沿って延びる長穴を有してなるワイヤ挿通部331aを備えている。本実施形態では、前記長穴にインナーワイヤ5の一端部が挿通された状態で、ワイヤ挿通部331aの外周面を押圧して当該ワイヤ挿通部331aを変形させることにより、インナーワイヤ5の一端部が、ワイヤ挿通部331aに保持・固定された状態となっている。つまり、インナーワイヤ5は、ワイヤ対応部33に対し加締め固定された状態となっている。これにより、インナーワイヤ5は、ワイヤ対応部33に連結されて、ワイヤ対応部33とともに往復移動する。
【0068】
また、ワイヤ対応基部331における鍔部332よりも他端側の外周には、外側に向けて突出する鍔状の突部331bが設けられている。そして、排水口が開状態であるときに、介在部32及び突部331b間に、前記保持部64が配置されるように構成されている(図5参照)。
【0069】
上記のように本体軸部31、介在部32及びワイヤ対応部33が構成されているところ、操作軸3は、第一連結部322に本体軸部31を係合して連結するとともに、第二連結部323にワイヤ対応部33を係合して連結することによって直列的に連結された本体軸部31、介在部32及びワイヤ対応部33により構成されている。そして、ケース2内にて本体軸部31、介在部32及びワイヤ対応部33が連動して往復移動可能とされている。
【0070】
尚、本実施形態においては、両分割部3221間に頭部311bを配置し、第一被係合部3221bに対し頭部311bを係合した状態とすることで、第一連結部322に本体軸部31が連結されている。一方、両第二連結片部3231間に鍔部332を配置し、第二被係合部3231aに対し鍔部332を係合した状態とすることで、第二連結部323に本体軸部31が連結されている。
【0071】
また、本実施形態では、図9に示すように、連結された介在部32及びワイヤ対応部33をケース2内に配置した状態で、本体軸部31をケース2に挿通しつつ介在部32側に向けて押し込み、第一連結部322に対し本体軸部31をスナップフィット係合(材料の弾性を利用して係合)させることで、第一連結部322に対し本体軸部31を連結させることが可能に構成されている。
【0072】
第一連結部322に対する本体軸部31の連結についてより詳しく説明すると、まず、連結された介在部32及びワイヤ対応部33をケース2内に配置する。より詳しくは、ワイヤ対応部33及びインナーワイヤ5を連結するとともに、ワイヤ対応部33をシール保持部材6の軸孔63に挿通した状態とする。その上で、介在部32及びワイヤ対応部33を連結する。介在部32及びワイヤ対応部33の連結は、両第二連結片部3231間に位置する前記開口Oの側方にワイヤ対応部33の一端側部分(鍔部332など)を配置した状態で、ワイヤ対応部33の長手方向と直交する方向に沿って介在部32又はワイヤ対応部33をスライド移動させて、鍔部332を開口Oを通して両第二連結片部3231間に配置することによって行うことができる。
【0073】
そして、連結筒部22の他端側開口から連結筒部22内へと介在部32、ワイヤ対応部33及びシール保持部材6等を挿通した上で、当該他端側開口へと固定保持部23を押し込むことにより、連結筒部22に固定保持部23を取付ける。これにより、シール保持部材6が固定保持部23及び連結筒部22で挟み込まれるとともに、フレア部4aが固定保持部23及びシール保持部材6で挟み込まれた状態で、連結された介在部32及びワイヤ対応部33がケース2内に配置される。
【0074】
次いで、連結筒部22にメイン筒部21を連結する。尚、メイン筒部21及び連結筒部22を連結させた上で、上記のような連結筒部22内に対する介在部32などの挿通等を行うようにしてもよい。
【0075】
介在部32等をケース2内に配置した後、ケース2の一端側開口からケース2内へと本体軸部31を挿通する。そして、頭部311bを傾斜面3221cに接触させるとともに、本体軸部31を介在部32に向けて押し込む。本体軸部31を押し込むことにより、第一連結部322(各分割部3221)は外側(中心軸CLから離れる側)に向けて弾性変形していく。そして、第一連結部322の弾性変形が進んで頭部311bが第一被係合部3221bを通過すると、第一連結部322はその弾性変形が解除されて元の形状に戻る。その結果、第一被係合部3221bに対し頭部311bが係合される状態となり、第一連結部322に対し本体軸部31が連結される。
【0076】
尚、第一連結部322に対し本体軸部31を連結する際には、ケース2内に配置されたワイヤ対応部33が保持部64により弾性保持された状態となっているため、ケース2の中心軸と直交する方向に沿った介在部32のずれ動きが抑制され、当該中心軸と直交する方向において介在部32は一定位置に配置された状態となっている。従って、頭部311bを傾斜面3221cに対しより確実に接触させることができ、第一連結部322に対する本体軸部31の連結を容易に行うことができるようになっている。
【0077】
以上詳述したように、本実施形態によれば、第一連結部322に本体軸部31が係合されて連結されるとともに、第二連結部323にワイヤ対応部33が係合されて連結され、その結果、本体軸部31、介在部32及びワイヤ対応部33が直列的に連結されることで操作軸3が構成されている。従って、操作軸3を構成する部品(本体軸部31等)の連結にあたり「ねじ止め」を用いた手法と比較して、長期間の使用に伴う、操作軸3を構成する部品の分離をより生じにくくすることができる。
【0078】
また、連結された介在部32及びワイヤ対応部33をケース2内に配置した状態で、ケース2に本体軸部31を挿通しつつ介在部32に向けて押し込むことにより、第一連結部322に対し本体軸部31をスナップフィット係合させて、第一連結部322に対し本体軸部31を連結させることができる。従って、操作軸3を構成する部品(本体軸部31及び介在部32)を連結するにあたって、本体軸部31を回転させる必要がない。これにより、連結に要する手間や時間を減らすことができ、生産性や施工性の向上を図ることができる。
【0079】
加えて、従来のような、操作軸3を構成する部品の連結のために「ねじ止め」を利用する場合には、ケース2の内周面及びワイヤ対応部33の外周面を断面六角形状などの特殊な形状とする必要があるが、本実施形態によれば、ケース2の内周面やワイヤ対応部33の外周面をこのような特殊な形状とする必要はない。従って、製造コストの増大抑制を図ることができる。
【0080】
また、操作軸3を弾性保持する保持部64によって、操作軸3が容易に移動しない状態とすることができる。これにより、排水口を開状態又は閉状態でより確実に維持することができる。
【0081】
さらに、シール部65によって、軸孔63に配置されたアウターチューブ4の一端側部位の外周及びケース2の他端側部位の内周間が水密にシールされるため、仮にアウターチューブ4内を通ってケース2内へと水が浸入したとしても、その水がケース2の他端側から漏れ出してしまうことを効果的に防止できる。
【0082】
特に本実施形態では、保持部64が、操作軸3の配置位置に関わらず常に(つまり、排水口が開状態であっても閉状態であっても)操作軸3の外周面に対しその周方向全周に亘って接触するため、アウターチューブ4内を通ってケース2内へと水が流れるといった事態が生じたとしても、その水をより確実に軸孔63に留めておくことができる。これにより、ケース2外への水の漏出防止効果をより一層高めることができる。
【0083】
さらに、シール保持部材6は、上記のような機能を有する保持部64及びシール部65を一体に備えている。従って、保持部64及びシール部65を別々の部品で構成する場合と比較して、部品点数を低減することができるとともに内部構造の簡素化を図ることができる。その結果、生産性及び施工性の向上や製造コストの増大抑制をより効果的に図ることができる。
【0084】
加えて、シール保持部材6は弾性材料により形成されており、この材料の弾性を利用することで、保持部64により操作軸3を保持しつつ、シール部65により水密性を確保することができるようになっている。従って、上記各機能を実現するために複数の材料を用いてシール保持部材を構成する場合と比べ、シール保持部材6の製造に係るコストを効果的に低減させることができる。その結果、製造コストの増大抑制を一層効果的に図ることができる。
【0085】
併せて、排水口の開閉状態を切換える(本実施形態では、排水口を閉状態から開状態へと切換える)べく、操作軸3を往動させたときには、弾性材料からなるシール保持部材6の一端面に操作軸3が接触する。そのため、操作時に操作軸3を介して使用者に対し加わる衝撃を少なくすることができ、操作感を良好なものとすることができる。
【0086】
また、排水口が開状態であるときに、介在部32及び突部331b間に保持部64が配置されるように構成されているため、排水口が開状態であるときに、操作軸3をより移動しにくくすることができる。これにより、操作軸3の意図しない移動をより効果的に抑えることができ、排水口を開状態でより確実に維持することができる。
【0087】
さらに、介在部32は、第一連結部322及び第二連結部323間に板状部321が存在する構造となっている。そのため、介在部32及び本体軸部31を連結する際において、第一連結部322の弾性変形に合わせて第二連結部323が弾性変形することをより確実に防止できる。これにより、介在部32及びワイヤ対応部33の安定的な連結状態をより確実に維持することができる。
【0088】
加えて、本実施形態によれば、介在部32の製造時における円滑な型抜きが可能となるから、介在部32の破損や変形を防ぐことができ、生産性をより高めることができる。
【0089】
また、それぞれの分割部3221は、当該分割部3221の内周面を形成するための内周形成型MD1が通過することとなるスリットSとは反対側に位置する部位が、当該内周形成型MD1の移動方向に沿って当該スリットSと重なる位置まで延びる形状をなしている。つまり、それぞれの分割部3221における前記反対側の部位は、本体軸部31の側方におけるより広範囲に亘って回り込む形状をなしている。その上で、両分割部3221は点対称形状であるから、介在部32に連結された本体軸部31の両スリットS側への移動をそれぞれ規制することができ、介在部32に対する本体軸部31の偏心をより生じにくくすることができる。これにより、操作時において介在部32等に対し局所的に偏荷重が加わることを効果的に抑制でき、その結果、介在部32などの破損・変形や動作不良の発生をより確実に防ぐことができる。
【0090】
さらに、分割部3221が本体軸部31の側方におけるより広範囲に亘って回り込む形状をなすことで、第一連結部322における引張方向や曲げ方向の強度をより確実に高めることができる。これにより、第一連結部322及び本体軸部31をより強固に係合・連結することができる。
【0091】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0092】
(a)介在部の形状は上記実施形態で挙げたものに限定されず、適宜変更してもよい。従って、例えば、環状に配列された3つ以上の突状部分(分割部3221に相当する部分)によって第一連結部を構成してもよい。また、例えば、板状部321を設けないこととし、介在部を、周方向における一部が途切れた筒状をなすように構成してもよい。
【0093】
(b)第二連結部及びワイヤ対応部の連結態様は上記実施形態で挙げたものに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。例えば、上記実施形態における第一連結部322及び本体軸部31の連結態様を、第二連結部及びワイヤ対応部の連結態様に適用してもよい。
【0094】
(c)上記実施形態では、操作軸3が常に(つまり、排水口が開状態であっても閉状態であっても)軸孔63へと挿通されるように構成されており、保持部64によって常に操作軸3が弾性保持されるように構成されている。これに対し、操作軸3が往動し排水口が開状態であるときにのみ、軸孔63へと操作軸3(ワイヤ対応部33)が挿通されるように構成してもよい。この場合には、開状態をより確実に維持可能としつつ、排水口の開閉状態を切換える際に操作軸3へと加えるべき操作力を低減させることができる。
【0095】
(d)上記実施形態では、操作軸3及びインナーワイヤ5の往動により排水口が閉状態から開状態へと切換えられ、操作軸3及びインナーワイヤ5の復動により排水口が開状態から閉状態へと切換えられるように構成されている。これに対し、操作軸3等の往動により排水口が開状態から閉状態へと切換えられ、操作軸3等の復動により排水口が閉状態から開状態へと切換えられるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0096】
1…操作装置、2…ケース、3…操作軸、4…アウターチューブ、5…インナーワイヤ、6…シール保持部材、31…本体軸部、32…介在部、33…ワイヤ対応部、63…軸孔、64…保持部、65…シール部、321…板状部、322…第一連結部、323…第二連結部、331a…ワイヤ挿通部、331b…突部、3221…分割部、CL…(第一連結部の)中心軸、MD1…内周形成型(型)、S…スリット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9