(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117575
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】モータ駆動用半導体集積回路装置、モータシステム、及びファン
(51)【国際特許分類】
H02P 5/46 20060101AFI20230817BHJP
【FI】
H02P5/46 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020218
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒部 友朗
(72)【発明者】
【氏名】郷原 勇気
【テーマコード(参考)】
5H572
【Fターム(参考)】
5H572AA10
5H572EE04
5H572EE10
5H572HB09
5H572HC07
5H572JJ03
5H572KK07
5H572MM09
5H572MM11
(57)【要約】
【課題】故障したモータの能力を補うことが可能なモータ駆動用半導体集積回路装置を提供する。
【解決手段】モータ駆動用半導体集積回路装置(101)は、他のモータ駆動用半導体集積回路装置(102)から送付される第1回転数情報を受け取るように構成される受信部(1)と、第1回転数情報に応じて、自身が駆動するモータの回転数を可変制御するように構成される制御部(2)と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他のモータ駆動用半導体集積回路装置から送付される第1回転数情報を受け取るように構成される受信部と、
前記第1回転数情報に応じて、自身が駆動するモータの回転数を可変制御するように構成される制御部と、
を備える、モータ駆動用半導体集積回路装置。
【請求項2】
前記第1回転数情報は第1異常状態、第2異常状態それぞれを含むことが可能である、
請求項1記載のモータ駆動用半導体集積回路装置。
【請求項3】
前記他のモータ駆動用半導体集積回路装置が前記第1異常状態と前記第2異常状態のどちらの場合も、前記制御部が目標回転数を第1設定値に切り替えるように構成される、
請求項2記載のモータ駆動用半導体集積回路装置。
【請求項4】
前記他のモータ駆動用半導体集積回路装置が前記第1異常状態であれば、前記制御部が目標回転数を第1設定値に切り替え、前記第2異常状態であれば、前記制御部が前記目標回転数を第2設定値に切り替えるように構成される、
請求項2記載のモータ駆動用半導体集積回路装置。
【請求項5】
自身が駆動する前記モータの回転数を示す第2回転数情報を前記他のモータ駆動用半導体集積回路装置に送付するように構成される送信部をさらに備える、
請求項1~4のいずれか一項に記載のモータ駆動用半導体集積回路装置。
【請求項6】
複数のモータ駆動用半導体集積回路装置と、
前記複数のモータ駆動用半導体集積回路装置それぞれによって駆動されるように構成される複数のモータと、を備え、
前記複数のモータ駆動用半導体集積回路装置それぞれが請求項5に記載のモータ駆動用半導体集積回路装置である、モータシステム。
【請求項7】
前記複数のモータ駆動用半導体集積回路装置それぞれは、前記第2回転数情報を送信し、前記第1回転数情報を受信するように構成される、
請求項6に記載のモータシステム。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載のモータシステムと、
前記複数のモータそれぞれによって回転トルクが付与されるように構成される複数のインペラと、
を備える、ファン。
【請求項9】
前記複数のインペラは送風方向に直列に並んで配置される、
請求項8に記載のファン。
【請求項10】
前記複数のモータは、第1回転方向で回転するモータを少なくとも一つ含み、第1回転方向と逆方向である第2回転方向で回転するモータを少なくとも一つ含む、
請求項9に記載のファン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示されている発明は、モータ駆動技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のコンピュータの高速化にともない、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)などの演算処理LSI(Large Scale Integrated circuit)の動作速度は上昇の一途をたどっている。このようなLSIは、その動作速度、すなわちクロック周波数が高くなるにつれて発熱量も大きくなる。LSIの発熱は、そのLSI自体を熱暴走に導いたり、あるいは周囲の回路に対して影響を及ぼすという問題がある。したがって、LSIの適切な熱冷却はきわめて重要である。
【0003】
LSIを冷却するための技術の一例として、冷却ファンによる空冷式の冷却方法がある(例えば特許文献1参照)。この方法においては、たとえば、LSIの表面に対向して冷却ファンを設置し、冷たい空気を冷却ファンによりLSIあるいはそれに取り付けられたヒートシンクに吹き付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンピュータの高速化に伴い、冷却ファンでは、さらなる冷却効率が求められる。一般的な冷却ファンは1台のファンから構成されるシングル空冷ファンになる。
【0006】
図1は、シングル空冷ファンのモータシステム回路構成を示す図である。モータ駆動用半導体集積回路装置100は、電圧VCCが入力されるVCC端子T1と、グランドに接続されるGND端子T2と、モータM0の回転を制御するPWM信号が入力されるPWM端子T3と、自身が駆動するモータM0の回転数を示す回転数情報が出力されるSO端子T4と、を備える。
【0007】
モータ駆動用半導体集積回路装置100は、マイコン等のコントローラCT0からモータM0の回転を制御するPWM信号を受信し、受信したPWM信号に従い、ファンの回転数の制御を行う。
【0008】
モータM0に異常が発生した場合、コントローラCT0は、モータ駆動用半導体集積回路装置100が駆動するモータM0の回転数を示す回転数情報から異常を検知し、ファンの電源供給の停止を行う、またはモータM0の停止を行う。
【0009】
シングル空冷ファンでは、ファンの回転方向に対して風が広く拡散する。二重反転ファンでは、インペラの回転方向を逆にしたファンが2台直列に並んで配置される。二重反転ファンは、前段のファンから来た風の旋回の流れを後段の逆回転させたファンで弱め、風の拡がりを抑制し、直進的な風の流れを生み出すことができる。このため、二重反転ファンは、シングル空冷ファンよりも効率良く冷却することが可能となる。
【0010】
二重反転ファンにおいて、1つのファンに異常が生じた場合、風の拡がりを抑制することができず、十分な空冷能力を発揮することができなくなる。
【0011】
また、空冷ファンに限らず、複数のモータを使用している装置において、モータの一部に異常が発生した場合、能力が低下するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書中に開示されているモータ駆動用半導体集積回路装置は、他のモータ駆動用半導体集積回路装置から送付される第1回転数情報を受け取るように構成される受信部と、前記第1回転数情報に応じて、自身が駆動するモータの回転数を可変制御するように構成される制御部と、を備える。
【0013】
本明細書中に開示されているモータシステムは、上記構成のモータ駆動用半導体集積回路装置を備える。
【0014】
本明細書中に開示されているファンは、上記構成のモータシステムを備える。
【発明の効果】
【0015】
本明細書中に開示されているモータ駆動用半導体集積回路装置、モータシステム、及びファンによれば、モータの回転状態を監視し、故障したモータの能力を補うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、シングル空冷ファンのモータシステム回路構成を示す図である。
【
図2】
図2は、二重反転ファンのモータシステム回路構成を示す図である。
【
図3】
図3は、二重反転ファンの構造を示す図である。
【
図4A】
図4Aは、正常動作時のファンの回転数特性カーブを示す図である。
【
図4B】
図4Bは、正常動作時のファンの回転数特性カーブを示す図である。
【
図5A】
図5Aは、異常動作時のファンの回転数特性カーブを示す図である。
【
図5B】
図5Bは、異常動作時のファンの回転数特性カーブを示す図である。
【
図6】
図6は、異常動作(モータ低速回転)時の回転数情報を示す図である。
【
図7A】
図7Aは、異常動作(モータロック)時の回転数情報を示す図である。
【
図7B】
図7Bは、異常動作(モータロック)時の回転数情報を示す図である。
【
図8】
図8は、コンピュータの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図2は、二重反転ファンのモータシステム回路構成を示す図である。モータ駆動用半導体集積回路装置101は、電圧VCCが入力されるVCC端子T1と、グランドに接続されるGND端子T2と、モータM1及びM2の回転を制御するPWM信号が入力されるPWM端子T3と、自身が駆動するモータM1の回転数を示す回転数情報が出力されるSO端子T4と、他のモータ駆動用半導体集積回路装置102が駆動するモータM2の回転数を示す回転数情報が入力されるSI端子T5と、を備える。モータ駆動用半導体集積回路装置102は、電圧VCCが入力されるVCC端子T1と、グランドに接続されるGND端子T2と、モータM1及びM2の回転を制御するPWM信号が入力されるPWM端子T3と、自身が駆動するモータM2の回転数を示す回転数情報が出力されるSO端子T4と、他のモータ駆動用半導体集積回路装置101が駆動するモータM1の回転数を示す回転数情報が入力されるSI端子T5と、を備える。モータ駆動用半導体集積回路装置101のVCC端子T1とモータ駆動用半導体集積回路装置102のVCC端子T1とは、例えばプリント配線基板に形成された配線などによって電気的に接続される。モータ駆動用半導体集積回路装置101のGND端子T2とモータ駆動用半導体集積回路装置102のGND端子T2とは、例えばプリント配線基板に形成された配線などによって電気的に接続される。モータ駆動用半導体集積回路装置101のPWM端子T3とモータ駆動用半導体集積回路装置102のPWM端子T3とは、例えばプリント配線基板に形成された配線などによって電気的に接続される。モータ駆動用半導体集積回路装置101のSO端子T4とモータ駆動用半導体集積回路装置102のSI端子T5とは、例えばプリント配線基板に形成された配線などによって電気的に接続される。モータ駆動用半導体集積回路装置101のSI端子T5とモータ駆動用半導体集積回路装置102のSO端子T4とは、例えばプリント配線基板に形成された配線などによって電気的に接続される。
【0018】
モータ駆動用半導体集積回路装置101は、他のモータ駆動用半導体集積回路装置102から送付される第1回転数情報を受け取るように構成される受信部1と、第1回転数情報に応じて、自身が駆動するモータM1の回転数を可変制御するように構成される制御部2と、自身が駆動するモータM1の回転数を示す第2回転数情報を他のモータ駆動用半導体集積回路装置102に送付するように構成される送信部3と、を有する。
【0019】
モータ駆動用半導体集積回路装置102は、他のモータ駆動用半導体集積回路装置101から送付される第1回転数情報を受け取るように構成される受信部11と、第1回転数情報に応じて、自身が駆動するモータM2の回転数を可変制御するように構成される制御部12と、自身が駆動するモータM2の回転数を示す第2回転数情報を他のモータ駆動用半導体集積回路装置101に送付するように構成される送信部13と、を有する。
【0020】
複数のモータ駆動用半導体集積回路装置101、102は、コントローラCT1からモータM1及びM2の回転を制御するPWM信号をそれぞれに受け取り、受信したPWM信号に従い、複数のファンの回転数の制御をそれぞれに行う。
【0021】
複数のモータ駆動用半導体集積回路装置101、102は、自身が駆動するモータの回転数を示す回転数情報と、他のモータ駆動用半導体集積回路装置が駆動するモータの回転数を示す回転数情報の送受信を行い、それぞれが駆動するモータの異常を相互に監視している。
【0022】
モータシステム201は、複数のモータ駆動用半導体集積回路装置101、102と、複数のモータ駆動用半導体集積回路装置101、102それぞれによって駆動されるように構成される複数のモータM1及びM2と、を備える。
【0023】
複数のモータ駆動用半導体集積回路装置101、102それぞれは、自身が駆動するモータの回転数を示す第2回転数情報を送信し、他のモータ駆動用半導体集積回路装置が駆動するモータの回転数を示す第1回転数情報を受信するように構成される。
【0024】
図3は、二重反転ファンの構造を示す図である。
図3に示す二重反転ファンは、ファンF1及びF2を備える。ファンF1は、インペラIM1と、インペラIM1を回転させるモータM1(
図3において不図示)と、を備える。ファンF2は、インペラIM2と、インペラIM2を回転させるモータM2(
図3において不図示)と、を備える。前段のインペラIM1と後段のインペラIM2は回転方向が異なっている。同じ回転方向のファンを2台直列にした場合では、後段のインペラIM2が前段からきた旋回する風をさらに強く旋回して吐き出すため、空気が広がって流れてしまう。
【0025】
一方、二重反転ファンの場合では、後段のインペラIM2が逆回転することにより、後段のインペラIM2が前段のインペラIM1から送付された風の旋回の流れを弱め、風の拡がりを抑制し直進的な風を生み出すことができる。
【0026】
図4Aは、正常動作時のファンF1の回転数特性カーブを示す図である。
図4Bは、正常動作時のファンF2の回転数特性カーブを示す図である。実線が目標回転数を示し、一点鎖線が正常回転数の範囲の上下限を示す。
【0027】
図5Aと
図5Bは、異常動作時のファンF1及びF2の回転数特性カーブを示す図である。実線が回転数を示し、一点鎖線が正常回転数の範囲の上下限を示し、破線が目標回転数を示す。ファンF1の回転数は、一点鎖線が示す正常回転数の範囲より低い回転数で回転している。これは、ファンF1に異常が発生し、モータM1が低速で動作していることを示す。ファンF1の回転数が低くなる異常時、ファンF2は、通常モードからアシストモードに移行し、低くなったファンF1の回転数を補うように回転数を高くする。
【0028】
図6は、異常動作(モータ低速回転)時の回転数情報を示す図である。正常動作時、回転数情報は、あるDUTY比(40%~60%程度)でHレベルを出力する方形波である。
図6では、回転数情報は、時間t1から周波数が高くなり且つDUTY比が25%以下になっている。これは、異常が発生し、モータが低速回転している第1異常状態であることを示している。正常動作時における回転数情報の周波数は例えば数百Hzに設定され、第1異常状態を示す回転数情報の周波数は例えば数十kHzに設定される。
【0029】
図7Aと
図7B、異常動作(モータロック)時の回転数情報を示す図である。
図7Aでは、回転数情報は、時間t1からLレベルのみ出力している。また、
図7Bでは、回転数情報は、時間t1からHレベルのみ出力している。これは、異常が発生し、モータロック(モータが停止)している第2異常状態であることを示している。
【0030】
第1回転数情報と第2回転数情報は、ともに第1異常状態、第2異常状態それぞれを含むことが可能である。モータ駆動用半導体集積回路装置101は、第1回転数情報が第1異常状態と第2異常状態のどちらの場合も、制御部2が目標回転数を第1設定値SV1に切り替えるように構成されている。また、モータ駆動用半導体集積回路装置102は、第1回転数情報が第1異常状態と第2異常状態のどちらの場合も、制御部12が目標回転数を第1設定値SV1に切り替えるように構成される。
【0031】
モータ駆動用半導体集積回路装置101は、モータ駆動用半導体集積回路装置102から送られてくる第1回転数情報が
図6に示す時間t1からt2の期間経過しても、第1異常状態であった場合は、アシストモードに移行し、制御部2が目標回転数を第1設定値SV1に切り替えるように構成される。
【0032】
モータ駆動用半導体集積回路装置102から送られてくる第1回転数情報が
図7Aと
図7Bに示す時間t1からt2の期間経過しても、第2異常状態であった場合には、モータ駆動用半導体集積回路装置101はアシストモードに移行し、モータ駆動用半導体集積回路装置101の制御部2が目標回転数を第1設定値SV1に切り替える。その後、モータ駆動用半導体集積回路装置101の制御部2は、目標回転数を第1設定値SV1に維持するように構成されてもよく、さらに回転数を高くするように第2設定値SV2に切り替えるように構成されてもよい。なお、モータ駆動用半導体集積回路装置102から送られてくる第1回転数情報が
図7Aと
図7Bに示す時間t1からt2の期間経過しても、第2異常状態であった場合には、モータ駆動用半導体集積回路装置101はアシストモードに移行し、モータ駆動用半導体集積回路装置101の制御部2が目標回転数を直ちに第2設定値SV2に切り替えてもよい。
【0033】
モータ駆動用半導体集積回路装置102は、モータ駆動用半導体集積回路装置101から送られてくる第1回転数情報が
図6に示す時間t1からt2の期間経過しても、第1異常状態であった場合は、アシストモードに移行し、制御部12が目標回転数を第1設定値SV1に切り替えるように構成される。
【0034】
モータ駆動用半導体集積回路装置101から送られてくる第1回転数情報が
図7Aと
図7Bに示す時間t1からt2の期間経過しても、第2異常状態であった場合には、モータ駆動用半導体集積回路装置102はアシストモードに移行し、制御部2が目標回転数を第1設定値SV1に切り替える。その後、モータ駆動用半導体集積回路装置102の制御部2は、目標回転数を第1設定値SV1に維持するように構成されてもよく、さらに回転数を高くするように第2設定値SV2に切り替えるように構成されてもよい。なお、モータ駆動用半導体集積回路装置101から送られてくる第1回転数情報が
図7Aと
図7Bに示す時間t1からt2の期間経過しても、第2異常状態であった場合には、モータ駆動用半導体集積回路装置102はアシストモードに移行し、モータ駆動用半導体集積回路装置102の制御部2が目標回転数を直ちに第2設定値SV2に切り替えてもよい。
【0035】
ファンは、これまでに説明してきたモータシステムと、複数のモータそれぞれによって回転トルクが付与されるように構成される複数のインペラIM1、IM2と、を備える。
【0036】
複数のインペラIM1、IM2は、
図3に示すように、送風方向D0に直列に並んで配置される。複数のモータは、第1回転方向D1で回転するモータを少なくとも一つ含み、第1回転方向D1と逆方向である第2回転方向D2で回転するモータを少なくとも一つ含む。
図3では2個で表示しているが、3個以上であってもかまわない。
【0037】
上述した二重反転ファンは、例えば演算処理LSIの冷却に利用される。
図8は、コンピュータ300の概略構成を示す図である。コンピュータ300は、筐体301と、基板302と、演算処理LSI303と、ヒートシンク304と、二重反転ファン305と、備える。二重反転ファン305は、これまでに説明してきた二重反転ファンである。
【0038】
基板302、演算処理LSI303、ヒートシンク304、及び二重反転ファン305は、筐体301の内部に設けられる。演算処理LSI303は基板302上に配置され、ヒートシンク304は演算処理LSI303上に配置される。二重反転ファン305は、冷たい空気をヒートシンク304に吹き付ける。
【0039】
本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0040】
以上説明したモータ駆動用半導体集積回路装置(101)は、他のモータ駆動用半導体集積回路装置(102)から送付される第1回転数情報を受け取るように構成される受信部(1)と、前記第1回転数情報に応じて、自身が駆動するモータの回転数を可変制御するように構成される制御部(2)と、を備える構成(第1の構成)である。
【0041】
上記第1の構成であるモータ駆動用半導体集積回路装置は、モータの回転状態を監視し、故障したモータの能力を補うことが可能となる。より詳細には、上記第1の構成であるモータ駆動用半導体集積回路装置は、他のモータ駆動用半導体集積回路装置とともに相互にモータの回転状態を監視し、故障したモータの能力を補うことが可能となる。したがって、上記第1の構成であるモータ駆動用半導体集積回路装置を用いることで、マイコンがモータの故障検知に関与せずに、故障したモータの能力を補うことが可能となる。
【0042】
上記第1の構成であるモータ駆動用半導体集積回路装置は、前記第1回転数情報は第1異常状態、第2異常状態それぞれを含む構成(第2の構成)であってもよい。
【0043】
上記第2の構成であるモータ駆動用半導体集積回路装置において、他のモータ駆動用半導体集積回路装置(102)が前記第1異常状態と前記第2異常状態のどちらの場合も、前記制御部(2)が目標回転数を第1設定値(SV1)に切り替えるように構成される構成(第3の構成)であってもよい。
【0044】
上記第2の構成であるモータ駆動用半導体集積回路装置において、他のモータ駆動用半導体集積回路装置(102)が前記第1異常状態であれば、前記制御部が目標回転数を第1設定値(SV1)に切り替え、前記第2異常状態であれば、前記制御部が前記目標回転数を第2設定値(SV2)に切り替えるように構成される構成(第4の構成)であってもよい。
【0045】
上記第1~第4いずれかの構成であるモータ駆動用半導体集積回路装置において、自身が駆動する前記モータの回転数を示す第2回転数情報を前記他のモータ駆動用半導体集積回路装置(102)に送付するように構成される送信部(3)をさらに備える構成(第5の構成)であってもよい。
【0046】
以上説明したモータシステム(201)は、上記第5の構成である複数のモータ駆動用半導体集積回路装置と、前記複数のモータ駆動用半導体集積回路装置それぞれによって駆動されるように構成される複数のモータと、を有する構成(第6の構成)である。
【0047】
上記第6の構成であるモータシステムにおいて、前記複数のモータ駆動用半導体集積回路装置それぞれは、前記第2回転数情報を送信し、前記第1回転数情報を受信するように構成される構成(第7の構成)であってもよい。
【0048】
上記第6の構成であるモータシステムでは、複数のモータ駆動用半導体集積回路装置が、相互にモータの回転状態を監視し、故障したモータの能力を補うことができる。
【0049】
以上説明したファンは、上記第6又は第7の構成であるモータシステムと、前記複数のモータそれぞれによって回転トルクが付与されるように構成される複数のインペラ(IM1、IM2)と、を有する構成(第8の構成)である。
【0050】
上記第8の構成であるファンは、前記複数のインペラは送風方向に直列に並んで配置されるように構成される構成(第9の構成)であってもよい。
【0051】
上記第9の構成であるファンは、前記複数のモータは、第1回転方向で回転するモータM1を少なくとも一つ含み、第1回転方向と逆方向である第2回転方向で回転するモータM2を少なくとも一つ含むように構成される構成(第10の構成)であってもよい。
【0052】
上記第10の構成であるファンでは、複数のモータ駆動用半導体集積回路装置が、相互にモータの回転状態を監視し、故障したモータの能力を補うことができる。
【符号の説明】
【0053】
1、11 受信部
2、12 制御部
3、13 送信部
100、101、102 モータ駆動用半導体集積回路装置
200、201 モータシステム
300 コンピュータ
301 筐体
302 基板
303 演算処理LSI
304 ヒートシンク
305 二重反転ファン
CT0、CT1 コントローラ
D0 送風方向
D1 第1回転方向
D2 第2回転方向
IM1、IM2 インペラ
M0、M1、M2 モータ
SV1 第1設定値
SV2 第2設定値
T1 VCC端子
T2 GND端子
T3 VCC端子
T4 SO端子
T5 SI端子