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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117582
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】押出装置及び樹脂組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/74 20190101AFI20230817BHJP
   B29C 48/685 20190101ALI20230817BHJP
   B29C 48/50 20190101ALI20230817BHJP
【FI】
B29C48/74
B29C48/685
B29C48/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020225
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】富山 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】福澤 洋平
(72)【発明者】
【氏名】澤田 朋樹
【テーマコード(参考)】
4F207
【Fターム(参考)】
4F207KA01
4F207KA17
4F207KK12
4F207KK30
4F207KL04
4F207KL33
4F207KL91
(57)【要約】
【課題】樹脂原料の詰まりを抑制しつつ当該樹脂原料に伸長作用を付与可能な押出装置を実現する。
【解決手段】本開示の一形態に係る押出装置(1)は、ホッパ(3)から樹脂原料が供給されるシリンダ(2)と、シリンダ(2)の端部に設けられ、混練された樹脂原料を吐出する吐出部(4)と、シリンダ(2)の内部に回転可能に挿入され、樹脂原料を混練すると共に吐出部(4)の側に搬送するスクリュ(5)と、シリンダ(2)とスクリュ(5)との間に配置され、樹脂原料が通過する貫通部(61)が形成された仕切り部(6)と、スクリュ(5)と仕切り部(6)との間に形成され、樹脂原料が通過する第1の流路と、シリンダ(2)と仕切り部(6)との間に形成され、樹脂原料が通過する第2の流路と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホッパから樹脂原料が供給されるシリンダと、
前記シリンダの端部に設けられ、混練された前記樹脂原料を吐出する吐出部と、
前記シリンダの内部に回転可能に挿入され、前記樹脂原料を混練すると共に前記吐出部の側に搬送するスクリュと、
前記シリンダと前記スクリュとの間に配置され、前記樹脂原料が通過する貫通部が形成された仕切り部と、
前記スクリュと前記仕切り部との間に形成され、前記樹脂原料が通過する第1の流路と、
前記シリンダと前記仕切り部との間に形成され、前記樹脂原料が通過する第2の流路と、
を備える、押出装置。
【請求項2】
前記第1の流路から前記樹脂原料を前記仕切り部の貫通部に誘導する第1の誘導部を備える、請求項1に記載の押出装置。
【請求項3】
前記第2の流路から前記樹脂原料を前記仕切り部の貫通部に誘導する第2の誘導部を備える、請求項1又は2に記載の押出装置。
【請求項4】
前記スクリュは、前記樹脂原料を搬送する搬送部と、前記搬送部に対して前記吐出部の側に配置され、前記樹脂原料を混練する混練部と、を備え、
前記仕切り部は、前記スクリュの混練部と対応する位置に配置されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の押出装置。
【請求項5】
前記スクリュにおける混練部のフライト角度は、前記スクリュにおける搬送部のフライト角度に対して小さい、請求項4に記載の押出装置。
【請求項6】
前記仕切り部は、前記スクリュを覆う円筒形状であり、前記貫通部として複数の孔を備えている、請求項1から5のいずれか1項に記載の押出装置。
【請求項7】
前記仕切り部は、前記シリンダに固定されている、請求項6に記載の押出装置。
【請求項8】
前記仕切り部は、前記樹脂原料を前記第1の流路から前記第2の流路に流出させる複数の流出孔と、前記樹脂原料を前記第2の流路から前記第1の流路に流入させる複数の流入孔と、を備える、請求項6又は7に記載の押出装置。
【請求項9】
前記スクリュの軸方向において前記流出孔と当該流出孔に対して前記吐出部の側に配置される前記流入孔との間に前記第1の流路を分断する第1の隔壁部を備え、
前記第1の流路が前記第2の流路を間にして配置されている、請求項8に記載の押出装置。
【請求項10】
前記スクリュは、前記樹脂原料を搬送する搬送部と、前記搬送部に対して前記吐出部の側に配置され、前記樹脂原料を混練する混練部と、前記第1の隔壁部と、を備え、
前記混練部における前記第1の隔壁部の側の部分の溝部の深さは、前記第1の隔壁部の側に向かうのに従って浅くなる、請求項9に記載の押出装置。
【請求項11】
前記シリンダの軸方向において前記流入孔と当該流入孔に対して前記吐出部の側に配置される前記流出孔との間に前記第2の流路を分断する第2の隔壁部を備え、
前記第2の流路が前記第1の流路を間にして配置されている、請求項8から10のいずれか1項に記載の押出装置。
【請求項12】
前記第2の流路は、前記シリンダの内周面に形成された凹み部である、請求項1から11のいずれか1項に記載の押出装置。
【請求項13】
シリンダの内部に供給された樹脂原料をスクリュによって吐出部の側に搬送する工程と、
前記シリンダと前記スクリュとの間に配置された仕切り部の貫通部を介して、前記スクリュと前記仕切り部との間に形成された第1の流路に前記樹脂原料を侵入させて前記第1の流路で流動させる工程と、
前記仕切り部の貫通部を介して、前記シリンダと前記仕切り部との間に形成された第2の流路に前記樹脂原料を侵入させて前記第2の流路で流動させる工程と、
を備え、
前記樹脂原料が前記仕切り部の貫通部を通過する際に前記樹脂原料を加速させる、樹脂組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、押出装置及び樹脂組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
押出装置は、樹脂原料の混練性能を高めるために、樹脂原料にせん断作用だけではなく伸長作用を付与する構成とされている。例えば、特許文献1及び2の押出装置は、スクリュに形成された隔壁部で区切られた搬送部内で当該スクリュによってせん断作用が付与された樹脂原料が、スクリュの軸方向に延在し、且つ、隣接する搬送部を接続するように当該スクリュに形成された通路に流入して急激に絞られることで、樹脂原料に伸長作用が付与される構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-227053号公報
【特許文献2】特開2016-203576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願人は、以下の課題を見出した。特許文献1及び2の押出装置は、樹脂原料にせん断作用だけではなく、伸長作用も付与することができるが、通路内で樹脂原料が詰まってしまう可能性がある。
【0005】
本開示は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、樹脂原料の詰まりを抑制しつつ当該樹脂原料に伸長作用を付与することができる押出装置及び樹脂組成物の製造方法を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る押出装置は、
ホッパから樹脂原料が供給されるシリンダと、
前記シリンダの端部に設けられ、混練された前記樹脂原料を吐出する吐出部と、
前記シリンダの内部に回転可能に挿入され、前記樹脂原料を混練すると共に前記吐出部の側に搬送するスクリュと、
前記シリンダと前記スクリュとの間に配置され、前記樹脂原料が通過する貫通部が形成された仕切り部と、
前記スクリュと前記仕切り部との間に形成され、前記樹脂原料が通過する第1の流路と、
前記シリンダと前記仕切り部との間に形成され、前記樹脂原料が通過する第2の流路と、
を備える。
【0007】
本開示の一態様に係る樹脂組成物の製造方法は、
シリンダの内部に供給された樹脂原料をスクリュによって吐出部の側に搬送する工程と、
前記シリンダと前記スクリュとの間に配置された仕切り部の貫通部を介して、前記スクリュと前記仕切り部との間に形成された第1の流路に前記樹脂原料を侵入させて前記第1の流路で流動させる工程と、
前記仕切り部の貫通部を介して、前記シリンダと前記仕切り部との間に形成された第2の流路に前記樹脂原料を侵入させて前記第2の流路で流動させる工程と、
を備え、
前記樹脂原料が前記仕切り部の貫通部を通過する際に前記樹脂原料を加速させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、樹脂原料の詰まりを抑制しつつ当該樹脂原料に伸長作用を付与可能な押出装置及び樹脂組成物の製造方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態の押出装置を示す部分断面図である。
図2】実施の形態の押出装置における吐出部の側を拡大して示す部分断面図である。
図3】実施の形態の押出装置におけるシリンダの第1の部分及び第3の部分を示す断面図である。
図4】実施の形態の押出装置におけるスクリュを示す斜視図である。
図5】実施の形態の押出装置における仕切り部を示す斜視図である。
図6】実施の形態の押出装置におけるシリンダ内のY軸+側の部分での樹脂原料の流動を説明するための図である。
図7】一般的な二軸押出装置を用いて樹脂原料を混練して得た複合材料の分散テスト結果を示す図である。
図8図7のVIII部分の拡大図である。
図9】実施の形態の押出装置を用いて樹脂原料を混練して得た複合材料の分散テスト結果を示す図である。
図10図9のX部分の拡大図である。
図11】一般的な二軸押出装置を用いて樹脂原料を混練して得た複合材料を成形した試験片と、本実施の形態の押出装置を用いて混練された樹脂原料を成形した試験片と、の引張弾性率を示す図である。
図12】一般的な二軸押出装置を用いて混練された樹脂原料を成形した試験片と、本実施の形態の押出装置を用いて混練された樹脂原料を成形した試験片と、の曲げ弾性率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本開示が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0011】
先ず、本実施の形態の押出装置の構成を説明する。図1は、本実施の形態の押出装置を示す部分断面図である。図2は、本実施の形態の押出装置における吐出部の側を拡大して示す部分断面図である。
【0012】
なお、以下の説明では、説明を明確にするために、三次元(XYZ)座標系を用いて説明する。ここで、以下の説明での「樹脂原料」とは、溶融前の状態だけではなく、溶融した状態を含めた総称として用いられている場合がある。
【0013】
本実施の形態の押出装置1は、樹脂原料を混練して押し出し、例えば、射出成形機や押出成形機などで用いられる複合材料(即ち、樹脂ストランド、樹脂ペレット又は樹脂フィルムなどの樹脂組成物)を形成するために好適である。押出装置1は、図1及び図2に示すように、シリンダ2、ホッパ3、吐出部4、スクリュ5、仕切り部6、駆動部7及び加熱部8を備えている。
【0014】
図3は、本実施の形態の押出装置におけるシリンダの第1の部分及び第3の部分を示す断面図である。シリンダ2は、例えば、図1から図3に示すように、略円筒形状であり、Y軸方向に延在している。シリンダ2におけるY軸+側の部分の内周面には、キャビティー部21及び隔壁部(第2の隔壁部)22が形成されている。
【0015】
キャビティー部21は、例えば、図1から図3に示すように、隔壁部22の直径に対して大きい外径を有する円筒形状の凹み部であり、Y軸方向に延在している。そして、キャビティー部21は、例えば、Y軸方向に間隔を開けて配置されている。
【0016】
隔壁部22は、図1から図3に示すように、Y軸方向においてキャビティー部21の間に配置されている。隔壁部22は、例えば、詳細は後述する仕切り部6の外径と略等しい内径を有する円筒形状の突出部であり、Y軸方向に延在している。
【0017】
このようなシリンダ2は、例えば、図1に示すように、キャビティー部21や隔壁部22が形成される第1の部分23と、ホッパ3が設けられる第2の部分24と、他の部分である第3の部分25と、の分割構造として構成されている。
【0018】
ちなみに、これらの第1の部分23、第2の部分24及び第3の部分25は、例えば、各々に形成されたフランジの貫通孔に通されたボルトなどを用いて接続することができる。但し、シリンダ2が分割される個数は限定されず、シリンダ2のY軸方向の長さやスクリュ5の形状などに応じて、適宜、変更することができる。
【0019】
ホッパ3は、樹脂原料をシリンダ2の内部に供給する。ホッパ3は、図1に示すように、シリンダ2の第2の部分24に設けられている。ここで、ホッパ3には、複数種類の樹脂原料が収容される。
【0020】
吐出部4は、混練された樹脂原料を吐出する。吐出部4は、図1及び図2に示すように、シリンダ2のY軸+側の端部に設けられており、吐出部4をY軸方向に貫通する吐出口41を備えている。
【0021】
スクリュ5は、図1に示すように、Y軸方向に延在しており、螺旋状のフライト51を備えている。スクリュ5は、駆動部7に接続されており、シリンダ2の内部を通り、スクリュ5のY軸-側の端部がシリンダ2のY軸-側の端部から突出している。
【0022】
図4は、本実施の形態の押出装置におけるスクリュを示す斜視図である。スクリュ5は、図4に示すように、搬送部52、混練部53及び隔壁部(第1の隔壁部)54を備えている。搬送部52は、樹脂原料を可塑化しつつY軸+側に搬送する。
【0023】
搬送部52は、例えば、図1に示すように、シリンダ2の第2の部分24及び第3の部分25の内部に配置されている。搬送部52の直径(即ち、搬送部52のフライト51aの外周端の直径)は、例えば、シリンダ2の第2の部分24及び第3の部分25の内径と略等しい。
【0024】
混練部53は、樹脂原料を混練すると共にY軸+側に搬送する。混練部53は、図1に示すように、搬送部52に対してY軸+側に配置されており、例えば、シリンダ2の第1の部分23の内部に配置されている。混練部53の直径(即ち、混練部53のフライト51bの外周端の直径)は、例えば、詳細は後述する仕切り部6の内径と略等しい。
【0025】
混練部53は、例えば、図4に示すように、Y軸方向に間隔を開けて配置されており、Y軸+側の第1の部分53a、Y軸-側の第2の部分53b、及び第1の部分53aと第2の部分53bとの間の第3の部分53cを備えている。
【0026】
このとき、図2に示すように、第1の部分53aは、シリンダ2の第1の部分23のY軸+側の部分に配置されている。第2の部分53bは、シリンダ2の第1の部分23のY軸-側の部分に配置されている。第3の部分53cは、シリンダ2の第1の部分23におけるY軸方向の略中央で、シリンダ2の隔壁部22を跨ぐように配置されている。
【0027】
隔壁部54は、例えば、図2及び図4に示すように、混練部53の第1の部分53aと第3の部分53cとの間、及び混練部53の第3の部分53cと第2の部分53bとの間に配置されている。隔壁部54は、詳細は後述する仕切り部6の内径と略等しい直径を有する円筒形状の突出部である。
【0028】
このとき、Y軸+側の隔壁部54は、図2に示すように、シリンダ2のY軸+側のキャビティー部21におけるY軸方向の略中央に配置され、Y軸-側の隔壁部54は、シリンダ2のY軸-側のキャビティー部21におけるY軸方向の略中央に配置されている。
【0029】
そのため、図2に示すように、混練部53の第1の部分53aの少なくともY軸-側の部分は、シリンダ2のY軸+側のキャビティー部21のY軸+側の部分で覆われるように配置され、混練部53の第3の部分53cのY軸+側の部分は、シリンダ2のY軸+側のキャビティー部21のY軸-側の部分で覆われるように配置されている。
【0030】
また、図2に示すように、混練部53の第2の部分53bの少なくともY軸+側の部分は、シリンダ2のY軸-側のキャビティー部21のY軸-側の部分で覆われるように配置され、混練部53の第3の部分53cのY軸-側の部分は、シリンダ2のY軸-側のキャビティー部21のY軸+側の部分で覆われるように配置されている。
【0031】
ここで、詳細な機構は後述するが、図4に示すように、混練部53のフライト51bのフライト角度θ1は、搬送部52のフライト51aのフライト角度θ2に対して小さいとよい。
【0032】
また、混練部53の第2の部分53bのY軸+側の部分の溝部の深さがY軸-側の隔壁部54に向かうのに従って浅くなるように当該第2の部分53bが形成され、混練部53の第3の部分53cのY軸+側の部分の溝部の深さがY軸+側の隔壁部54に向かうのに従って浅くなるように当該第3の部分53cが形成されているとよい。
【0033】
仕切り部6は、例えば、図1及び図2に示すように、シリンダ2の第1の部分23の内周面とスクリュ5の混練部53及び隔壁部54の外周端との間に配置されている。図5は、本実施の形態の押出装置における仕切り部を示す斜視図である。
【0034】
仕切り部6は、図5に示すように、略円筒形状であり、複数の貫通部61が形成されている。仕切り部6の外径は、シリンダ2の隔壁部22の直径と略等しく、仕切り部6の内径は、スクリュ5の混練部53及び隔壁部54の直径と略等しい。
【0035】
貫通部61は、例えば、図5に示すように、仕切り部6を当該仕切り部6の厚さ方向に貫通する円形孔である。貫通部61は、仕切り部6におけるY軸方向で間隔を開けて配置された複数の領域に夫々、複数形成されている。例えば、貫通部61は、仕切り部6の第1の領域A1、第2の領域A2、第3の領域A3及び第4の領域A4に形成されている。
【0036】
第1の領域A1は、図2に示すように、スクリュ5の混練部53の第1の部分53aにおけるシリンダ2のY軸+側のキャビティー部21のY軸+側の部分で覆われる部分を覆う領域である。第2の領域A2は、スクリュ5の混練部53の第3の部分53cにおけるシリンダ2のY軸+側のキャビティー部21のY軸-側の部分で覆われる部分を覆う領域である。
【0037】
第3の領域A3は、図2に示すように、スクリュ5の混練部53の第3の部分53cにおけるシリンダ2のY軸-側のキャビティー部21のY軸+側の部分で覆われる部分を覆う領域である。第4の領域A4は、スクリュ5の混練部53の第2の部分53bにおけるシリンダ2のY軸-側のキャビティー部21のY軸-側の部分で覆われる部分を覆う領域である。
【0038】
そのため、例えば、図5に示すように、仕切り部6におけるスクリュ5の隔壁部54に対応する領域、即ち、第1の領域A1と第2の領域A2との間の領域、及び第3の領域A3と第4の領域A4との間の領域には、貫通部61が形成されていない。また、仕切り部6におけるシリンダ2の隔壁部22に対応する領域、即ち、第2の領域A2と第3の領域A3との間の領域にも、貫通部61が形成されていない。
【0039】
なお、第1の領域A1、第2の領域A2、第3の領域A3及び第4の領域A4での単位面積あたりの貫通部61の割合(広さ)は、樹脂原料に付与すべき伸長作用、及び樹脂原料の流動性などを考慮して設定することができる。
【0040】
ここで、仕切り部6をシリンダ2の第1の部分23の内部にY軸方向から挿入できるように、シリンダ2は、図2及び図3に示すように、当該シリンダ2のY軸+側の端部及びY軸-側の端部に取り外し可能な環形状の蓋部26を備えているとよい。
【0041】
このとき、図3に示すように、Y軸+側の蓋部26の貫通部周辺のY軸-側の端部でシリンダ2のY軸+側のキャビティー部21のY軸+側の端部(即ち、Y軸+側のキャビティー部21のY軸+側の側壁部)を形成するとよい。
【0042】
また、図3に示すように、Y軸-側の蓋部26の貫通部周辺のY軸+側の端部でシリンダ2のY軸-側のキャビティー部21のY軸-側の端部(即ち、Y軸-側のキャビティー部21のY軸-側の側壁部)を形成するとよい。
【0043】
さらに、仕切り部6は、シリンダ2に固定されているとよい。例えば、仕切り部6のY軸方向に突出する凸形状の係合部62をシリンダ2の蓋部26に形成された凹形状の被係合部26aに係合することで、Y軸回りの回転が拘束されているとよい。
【0044】
駆動部7は、スクリュ5を回転駆動する。駆動部7は、図1に示すように、スクリュ5のY軸-側の端部に駆動力を伝達可能に接続されている。加熱部8は、シリンダ2の内部に供給された樹脂原料を加熱して当該樹脂原料を溶融させる。加熱部8は、例えば、シートヒーターで構成することができ、シリンダ2の外周面に巻回されている。
【0045】
次に、本実施の形態の押出装置1を用いて複合材料を製造する際の樹脂原料の流動を説明する。図6は、本実施の形態の押出装置におけるシリンダ内のY軸+側の部分での樹脂原料の流動を説明するための図である。なお、図6では、矢印によって樹脂原料の流動を示している。
【0046】
先ず、ホッパ3からシリンダ2に供給された樹脂原料は、スクリュ5の搬送部52によってY軸+側に搬送されつつ可塑化されると共に、加熱部8によって加熱されて溶融する。
【0047】
溶融樹脂が後続する溶融樹脂に押されてスクリュ5の混練部53の第2の部分53bと仕切り部6との隙間(即ち、スクリュ5の混練部53の第2の部分53bの溝部)に侵入して当該スクリュ5のY軸-側の隔壁部54近傍に到達すると、溶融樹脂は、スクリュ5のY軸-側の隔壁部54によってY軸+側への流動が堰き止められて減速する。このとき、スクリュ5の混練部53の第2の部分53bと仕切り部6との隙間は、溶融樹脂が通過する流路(第1の流路)を形成している。
【0048】
溶融樹脂は、後続する溶融樹脂に押されると共にスクリュ5の混練部53の回転によって仕切り部6の第4の領域A4に形成された貫通部61を通過し、シリンダ2のY軸-側のキャビティー部21に侵入する。これにより、溶融樹脂は、仕切り部6の貫通部61に流入する際に流路断面積が急縮小することで、急激な加速が生じる。また、溶融樹脂は、仕切り部6の貫通部61を流出する際に流路断面積が急拡大することで、急激な減速が生じる。その結果、溶融樹脂に伸長作用が付与される。
【0049】
このとき、スクリュ5のY軸-側の隔壁部54は、溶融樹脂をスクリュ5の混練部53の第2の部分53bと仕切り部6との隙間から仕切り部6の第4の領域A4に形成された貫通部61に誘導する誘導部(第1の誘導部)として機能する。
【0050】
また、仕切り部6の第4の領域A4に形成された貫通部61は、溶融樹脂をスクリュ5の混練部53の第2の部分53bと仕切り部6との隙間からシリンダ2のY軸-側のキャビティー部21に流出させる流出孔として機能する。
【0051】
ここで、スクリュ5の混練部53の第2の部分53bの溝部がY軸-側の隔壁部54に向かうのに従って浅くなるように当該第2の部分53bが形成されているので、溶融樹脂を良好に仕切り部6の第4の領域A4に形成された貫通部61に導くことができる。
【0052】
溶融樹脂が後続する溶融樹脂に押されてシリンダ2のY軸-側のキャビティー部21をY軸+側に流動すると、溶融樹脂は、シリンダ2の隔壁部22によってY軸+側への流動が堰き止められて減速する。このとき、シリンダ2と仕切り部6との隙間である、シリンダ2のY軸-側のキャビティー部21は、溶融樹脂が通過する流路(第2の流路)を形成している。
【0053】
ここで、スクリュ5の混練部53のフライト51bのフライト角度θ1がスクリュ5の搬送部52のフライト51aのフライト角度θ2に対して小さい場合、スクリュ5の搬送部52に比べて混練部53でのY軸+側への搬送力を弱めつつ、溶融樹脂にX軸+側およびZ軸+側へ流れを促進させることができる。
【0054】
そのため、溶融樹脂は加圧されシリンダ2のキャビティー部21に強く押し込むことができる。これにより、溶融樹脂が仕切り部6の貫通部61やシリンダ2のキャビティー部21で詰まることを抑制できる。
【0055】
溶融樹脂は、後続する溶融樹脂に押されて仕切り部6の第3の領域A3に形成された貫通部61を通過し、スクリュ5の混練部53の第3の部分53cのY軸-側の部分と仕切り部6との隙間(即ち、スクリュ5の混練部53の第3の部分53cの溝部)に侵入する。これにより、溶融樹脂は、仕切り部6の貫通部61に流入する際に流路断面積が急縮小することで、急激な加速が生じる。また、溶融樹脂は、仕切り部6の貫通部61を流出する際に流路断面積が急拡大することで、急激な減速が生じる。その結果、溶融樹脂に伸長作用が付与される。
【0056】
このとき、シリンダ2の隔壁部22は、溶融樹脂をシリンダ2のY軸-側のキャビティー部21から仕切り部6の第3の領域A3に形成された貫通部61に誘導する誘導部(第2の誘導部)として機能する。
【0057】
また、仕切り部6の第3の領域A3に形成された貫通部61は、溶融樹脂をシリンダ2のY軸-側のキャビティー部21からスクリュ5の混練部53の第3の部分53cと仕切り部6との隙間に流入させる流入孔として機能する。
【0058】
溶融樹脂は、スクリュ5の混練部53の第3の部分53cによってY軸+側に搬送されつつ混練される。これにより、溶融樹脂にせん断作用が付与される。このとき、スクリュ5の混練部53の第3の部分53cと仕切り部6との隙間は、溶融樹脂が通過する流路(第1の流路)を形成している。
【0059】
溶融樹脂が後続する溶融樹脂に押されてY軸+側に流動すると、溶融樹脂は、スクリュ5のY軸+側の隔壁部54によってY軸+側への流動が堰き止められて減速する。そして、溶融樹脂は、後続する溶融樹脂に押されて仕切り部6の第2の領域A2に形成された貫通部61を通過し、シリンダ2のY軸+側のキャビティー部21に侵入する。これにより、溶融樹脂は、仕切り部6の貫通部61に流入する際に流路断面積が急縮小することで、急激な加速が生じる。また、溶融樹脂は、仕切り部6の貫通部61を流出する際に流路断面積が急拡大することで、急激な減速が生じる。その結果、溶融樹脂に伸長作用が付与される。
【0060】
このとき、スクリュ5のY軸+側の隔壁部54は、溶融樹脂をスクリュ5の混練部53の第3の部分53cと仕切り部6との隙間から当該仕切り部6の第2の領域A2に形成された貫通部61に誘導する誘導部(第1の誘導部)として機能する。
【0061】
また、仕切り部6の第2の領域A2に形成された貫通部61は、溶融樹脂をスクリュ5の混練部53の第3の部分53cと仕切り部6との隙間からシリンダ2のY軸+側のキャビティー部21に流出させる流出孔として機能する。
【0062】
ここで、スクリュ5の混練部53の第3の部分53cの溝部がY軸+側の隔壁部54に向かうのに従って浅くなるように当該第3の部分53cが形成されているので、溶融樹脂を良好に仕切り部6の第2の領域A2に形成された貫通部61に導くことができる。
【0063】
溶融樹脂が後続する溶融樹脂に押されてシリンダ2のY軸+側のキャビティー部21をY軸+側に流動すると、溶融樹脂は、シリンダ2のY軸+側のキャビティー部21のY軸+側の端部によってY軸+側への流動が堰き止められて減速する。
【0064】
このとき、シリンダ2と仕切り部6との隙間である、シリンダ2のY軸+側のキャビティー部21は、溶融樹脂が通過する流路(第2の流路)を形成している。そのため、本実施の形態では、第2の流路がシリンダ2の隔壁部22によって分断されていることになる。
【0065】
溶融樹脂は、後続する溶融樹脂に押されて仕切り部6の第1の領域A1に形成された貫通部61を通過し、スクリュ5の混練部53の第1の部分53aと仕切り部6との隙間(即ち、スクリュ5の混練部53の第1の部分53aの溝部)に侵入する。これにより、溶融樹脂は、仕切り部6の貫通部61に流入する際に流路断面積が急縮小することで、急激な加速が生じる。また、溶融樹脂は、仕切り部6の貫通部61を流出する際に流路断面積が急拡大することで、急激な減速が生じる。その結果、溶融樹脂に伸長作用が付与される。
【0066】
このとき、シリンダ2のY軸+側のキャビティー部21のY軸+側の端部は、溶融樹脂をシリンダ2のY軸+側のキャビティー部21から仕切り部6の第1の領域A1に形成された貫通部61に誘導する誘導部(第2の誘導部)として機能する。
【0067】
また、仕切り部6の第1の領域A1に形成された貫通部61は、溶融樹脂をシリンダ2のY軸+側のキャビティー部21からスクリュ5の混練部53の第1の部分53aと仕切り部6との隙間に流入させる流入孔として機能する。
【0068】
その後、溶融樹脂は、スクリュ5の混練部53の第1の部分53aによってY軸+側に搬送され、複合材料として吐出部4の吐出口41から吐出される。このとき、スクリュ5の混練部53の第1の部分53aと仕切り部6との隙間は、溶融樹脂が通過する流路(第1の流路)を形成している。そのため、本実施の形態では、第1の流路がスクリュ5の隔壁部54によって分断されていることになる。
【0069】
このように本実施の形態の押出装置1及び複合材料の製造方法は、樹脂原料を仕切り部6の貫通部61を介して第1の流路と第2の流路との間で流動させることで、樹脂原料にせん断作用だけではなく、伸長作用を付与している。
【0070】
このとき、第2の流路は、シリンダ2と仕切り部6との間に形成されており、特許文献1及び2の流路に比べて大きな空間を確保することができるため、第2の流路での樹脂原料の詰まりを抑制することができる。そのため、本実施の形態の押出装置1及び複合材料の製造方法は、樹脂原料の詰まりを抑制しつつ当該樹脂原料に伸長作用を付与することができる。
【0071】
しかも、本実施の形態の押出装置1及び複合材料の製造方法は、シリンダ2のキャビティー部21の端部やスクリュ5の隔壁部54を樹脂原料の誘導部として機能させることができるので、樹脂原料を良好に仕切り部6の貫通部61に誘導することができる。
【0072】
特に、スクリュ5の混練部53の第2の部分53bや第3の部分53cの溝部の深さがY軸+側に向かうのに従って浅くなるように、第2の部分53b及び第3の部分53cが形成されている場合、樹脂原料を良好に仕切り部6の貫通部61に導くことができる。そのため、樹脂原料が仕切り部6の貫通部61で詰まることを抑制できる。
【0073】
また、スクリュ5の混練部53のフライト51bのフライト角度θ1がスクリュ5の搬送部52のフライト51aのフライト角度θ2に対して小さい場合、スクリュ5の搬送部52に比べて混練部53でのY軸+側への樹脂原料の搬送力を弱めつつ、樹脂原料にX軸+側およびZ軸+側へ流れを促進させることができる。そのため、樹脂原料は加圧されシリンダ2のキャビティー部21に強く押し込むことができる。これにより、溶融樹脂が仕切り部6の貫通部61や第2の流路で詰まることを抑制できる。
【0074】
次に、一般的な二軸押出装置を用いて樹脂原料を混練して得た複合材料の分散テスト結果と、本実施の形態の押出装置1を用いて樹脂原料を混練して得た複合材料の分散テスト結果と、の比較結果を説明する。
【0075】
図7は、一般的な二軸押出装置を用いて樹脂原料を混練して得た複合材料の分散テスト結果を示す図である。図8は、図7のVIII部分の拡大図である。図9は、本実施の形態の押出装置を用いて樹脂原料を混練して得た複合材料の分散テスト結果を示す図である。図10は、図9のX部分の拡大図である。
【0076】
ここで、一般的な二軸押出装置では、バレル径32mmのスクリュを500rpmで回転させて、ポリプロピレン(80%)とエチレン-ビニルアルコール樹脂(20%)とを混練して得た複合材料の分散テスト結果を取得した。
【0077】
また、本実施の形態の押出装置1では、バレル径35mmのスクリュ5を1300rpmで回転させて、ポリプロピレン(80%)とエチレン-ビニルアルコール樹脂(20%)とを混練して得た複合材料の分散テスト結果を取得した。
【0078】
図7及び図8に示すように、一般的な二軸押出装置を用いて樹脂原料を混練して得た複合材料において、エチレン-ビニルアルコール樹脂の平均分散径が9.53μmであったのに対して、図9及び図10に示すように、本実施の形態の押出装置1を用いて樹脂原料を混練して得た複合材料において、エチレン-ビニルアルコール樹脂の平均分散径が2.73μmであった。
【0079】
これにより、本実施の形態の押出装置1は、一般的な二軸押出装置に比べて、高い混練性能を発揮できることが解る。特に、上述の樹脂原料は、伸長作用が付与されなければ微細混練は困難であるが、本実施の形態の押出装置1は、一般的な二軸押出装置に比べて微細混練を実現できているため、伸長作用を複合材料に良好に付与できていることが解る。
【0080】
次に、一般的な二軸押出装置を用いて樹脂原料を混練して得た複合材料を成形した試験片の機械強度と、本実施の形態の押出装置1を用いて樹脂原料を混練して得た複合材料を成形した試験片の機械強度と、の比較結果を説明する。
【0081】
図11は、一般的な二軸押出装置を用いて樹脂原料を混練して得た複合材料を成形した試験片と、本実施の形態の押出装置を用いて混練された樹脂原料を成形した試験片と、の引張弾性率を示す図である。図12は、一般的な二軸押出装置を用いて混練された樹脂原料を成形した試験片と、本実施の形態の押出装置を用いて混練された樹脂原料を成形した試験片と、の曲げ弾性率を示す図である。
【0082】
一般的な二軸押出装置では、バレル径32mmのスクリュを500rpmで回転させて、樹脂原料としてポリプロピレン(70%)とガラス繊維(30%)とを混練して得られた複合材料のガラス繊維の長さ、及び当該複合材料を成形した試験片の引張弾性率及び曲げ弾性率を取得した。
【0083】
また、本実施の形態の押出装置1では、バレル径35mmのスクリュ5を1300rpmで回転させて、樹脂原料としてポリプロピレン(70%)とガラス繊維(30%)とを混練して得られた複合材料のガラス繊維の長さ、及び当該複合材料を成形した試験片の引張弾性率及び曲げ弾性率を取得した。
【0084】
一般的な二軸押出装置を用いて混練して得られた複合材料のガラス繊維の平均繊維長さは、0.51mmであった。このとき、当該複合材料のガラス繊維の繊維長さの標準偏差は、0.34mmであった。
【0085】
一方、本実施の形態の押出装置を用いて混練して得られた複合材料のガラス繊維の平均繊維長さは、0.36mmであった。このとき、当該複合材料のガラス繊維の繊維長さの標準偏差は、0.24mmであった。
【0086】
本実施の形態の押出装置1を用いて得た複合材料の試験片の引張弾性率は、図11に示すように、一般的な二軸押出装置を用いて得た複合材料の試験片の引張弾性率に比べて低いが、引張弾性率の低下率は11%に留まった。
【0087】
一方、本実施の形態の押出装置1を用いて得た複合材料の試験片の曲げ弾性率は、図12に示すように、押出装置1を用いて得た複合材料の方が一般的な二軸押出装置を用いて得た複合材料に比べてガラス繊維の長さが短いが、一般的な二軸押出装置を用いて得た複合材料の試験片の曲げ弾性率に比べて5%高い結果を得た。
【0088】
このような結果に基づいた場合、本実施の形態の押出装置1を用いて得た複合材料の試験片の曲げ弾性率と、一般的な二軸押出装置を用いて得た複合材料の試験片の曲げ弾性率と、の関係は、押出装置1を用いて得た複合材料のガラス繊維の長さと、一般的な二軸押出装置を用いて得た複合材料のガラス繊維の長さと、の関係に対して逆転するが、複合材料のガラス繊維の繊維長さよりも繊維自体の分散性の高さが曲げ強度の向上に寄与しているものと思われる。つまり、混練によりガラス繊維が破断されて短くなっても、樹脂原料中でガラス繊維の微細分散を実現できれば、機械強度の向上を見込め、本実施の形態の押出装置1を用いた場合、当該機械強度の向上を実現できることが解る。
【0089】
このことは、例えば、樹脂製品をリサイクルするために粉砕した際にガラス繊維が短くなった樹脂片を用いて、再度、複合材料を得る際に、本実施の形態の押出装置1を用いた場合、機械強度の高いリサイクル品を得ることができる。
【0090】
本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0091】
上記実施の形態の押出装置1は、単軸の押出装置として構成されているが、複数のスクリュを備える押出装置として構成されていてもよい。
【0092】
上記実施の形態の押出装置1は、2つのキャビティー部21を備えているが、単数でもよく、3つ以上でもよい。この場合、樹脂原料に付与すべき伸長作用、及び第1の流路と第2の流路とを行き来する際に樹脂原料の温度上昇による当該樹脂原料の変異などを考慮して、キャビティー部21の個数を設定すればよい。また、キャビティー部21の個数に応じて、シリンダ2やスクリュ5の隔壁部の配置及び仕切り部6の貫通部61の配置を、適宜、変更すればよい。
【0093】
上記実施の形態では、キャビティー部21がシリンダ2の内周面に形成されているが、例えば、シリンダ2の内径を略等しく形成し、仕切り部6の外周面に凹部を形成することで、シリンダ2と仕切り部6との間にキャビティー部を形成してもよい。また、キャビティー部は、略円筒形状に限定されず、Y軸方向に延在する溝部などでもよい。
【0094】
上記実施の形態では、円筒形状の仕切り部6を用いたが、仕切り部6は、第1の流路と第2の流路とを仕切ることができる形状であればよく、例えば、キャビティー部の形状などに応じて、適宜、変更することができる。また、仕切り部6の貫通部61は、円形に限定されず、多角形、楕円形などであってもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 押出装置
2 シリンダ、23 第1の部分、24 第2の部分、25 第3の部分
21 キャビティー部
22 隔壁部
26 蓋部、26a 被係合部
3 ホッパ
4 吐出部
41 吐出口
5 スクリュ
51 フライト、51a 搬送部のフライト、51b 混練部のフライト
52 搬送部
53 混練部、53a 第1の部分、53b 第2の部分、53c 第3の部分
54 隔壁部
θ1 スクリュの混練部のフライトのフライト角度
θ2 スクリュの搬送部のフライトのフライト角度
6 仕切り部、A1 第1の領域、A2 第2の領域、A3 第3の領域、A4 第4の領域
61 貫通部
62 係合部
7 駆動部
8 加熱部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12