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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117612
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】操舵装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 3/10 20060101AFI20230817BHJP
【FI】
G01L3/10 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020263
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅賀 淳愛
(57)【要約】
【課題】トルクセンサの製造コストを抑えることのできる操舵装置を提供すること。
【解決手段】トルクセンサ10は、スタブシャフト87に取り付けられる磁石16と、トーションバー87aを介してスタブシャフト87に連結される第1ピニオンギア88aに取り付けられ、磁石16に対向する位置に配置される磁気センサ21と、磁石16と磁気センサ21とを覆うハウジング40と、ハウジング40に配置され、磁石16の磁界を検出するインデックスセンサ26と、を備え、磁石16は、周方向における一部の範囲に配置され、インデックスセンサ26は、スタブシャフト87と共に磁石16が回転をする際における軌跡である磁石軌跡16aに対して、軸心方向における両側2箇所の位置と径方向における両側2箇所の位置との4箇所のうち、磁気センサ21が配置される位置を除く3箇所のいずかの位置で磁石軌跡16aに対向する位置に配置される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵トルクを検出するためのトルクセンサを備える操舵装置であって、
前記トルクセンサは、
第1回転軸に取り付けられ、前記第1回転軸の軸心を中心とする周方向における一部の範囲に配置される磁石と、
トーションバーを介して前記第1回転軸に連結される第2回転軸に取り付けられ、前記磁石に対向する位置に配置されて前記磁石の磁界を検出する磁気センサと、
前記第1回転軸と前記第2回転軸との周囲に配置されて前記磁石と前記磁気センサとを覆うハウジングと、
前記ハウジングに配置され、前記磁石の磁界を検出するインデックスセンサと、
を備え、
前記インデックスセンサは、前記第1回転軸と共に前記磁石が回転をする際における前記磁石の軌跡である磁石軌跡に対して、前記第1回転軸の軸心方向における両側2箇所の位置と前記第1回転軸の径方向における両側2箇所の位置との4箇所のうち、前記磁気センサが配置される位置を除く3箇所のいずかの位置で前記磁石軌跡に対向する位置に配置される操舵装置。
【請求項2】
前記インデックスセンサは、前記磁石軌跡に対して、前記軸心方向における前記第2回転軸が位置する側の反対側の位置に配置される請求項1に記載の操舵装置。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記軸心方向における前記磁石よりも前記第2回転軸が位置する側の反対側の位置に、前記磁石軌跡に対して前記軸心方向に重なる部分を有しており、
前記インデックスセンサは、前記ハウジングにおける、前記磁石軌跡に対して前記軸心方向に重なる部分に配置される請求項2に記載の操舵装置。
【請求項4】
前記ハウジングの内側には、前記ハウジングの内周面に対向して前記磁気センサと前記ハウジングの外部とを電気的に接続するスパイラルケーブルが配置され、
前記ハウジングは、軸受を介して前記第1回転軸と前記第2回転軸とを回転可能に支持する請求項1から3のいずれか1項に記載の操舵装置。
【請求項5】
前記ハウジングの外周面には、前記スパイラルケーブルと電気的に接続される外部コネクタが配置され、
前記インデックスセンサは、前記第1回転軸の軸心を中心とする周方向における位置が、前記周方向における前記外部コネクタの位置の近傍に配置される請求項4に記載の操舵装置。
【請求項6】
前記第2回転軸には、略円板状に形成されるベース部が、前記ベース部の軸心が前記第2回転軸の軸心に一致する向きで取り付けられ、
前記磁気センサは、前記ベース部における前記第1回転軸が位置する側の面に配置されることにより前記ベース部を介して前記第2回転軸に取り付けられ、
前記スパイラルケーブルは、前記ベース部における前記磁気センサが配置される側の面の反対側の面側に、前記第2回転軸の周囲に渦巻状に巻かれて配置される請求項4または5に記載の操舵装置。
【請求項7】
前記スパイラルケーブルは、前記渦巻の内側の位置から、前記ベース部に沿って前記ベース部の径方向における外側に向かって延び、前記ベース部の外周端の位置で前記ベース部における前記磁気センサが配置される側の面に向かって延びて前記磁気センサに電気的に接続される請求項6に記載の操舵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転体に加わるトルクを検出するトルクセンサは、操舵装置が有する回転体に取り付けられ、回転体に対して回転トルクが作用した際における回転体の回転方向の角度の変位を検出することにより、トルクを検出することが可能になっている。例えば、特許文献1に記載されたパワーステアリング装置が有する検出装置は、第1の回転軸と第2の回転軸との相対角度を検出する磁気検出素子と、磁気検出素子の検出値を制御装置に出力するフラットケーブルとを備え、磁気検出素子で第1の回転軸と第2の回転軸との相対角度を検出することにより、操舵トルクの検出を行っている。
【0003】
また、特許文献2に記載されたトルクセンサは、トルク検出用の第1磁石と、一対の軟磁性体製の磁気ヨークコアと、磁気ヨークコアから磁束を誘導する一対の集磁リングと、ホールICからなるトルク検出用の第1磁気センサとを備えている。また、特許文献2に記載されたトルクセンサは、ステアリングシャフトの位相が基準の位置にあるときに位置検出信号を出力するインデックスセンサが、操舵トルクを検出するトルクセンサと一体に設けられている。特許文献2におけるインデックスセンサは、第2軸と一体回転する第2磁石と、センサハウジングに固定された第2磁気センサとを有しており、第2軸が1回転する毎に、基準位置にある第2磁気センサに第2磁石が対向することにより、インデックセンサは位置検出信号を出力することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5001309号公報
【特許文献2】特許第6327456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2のようにインデックスセンサを備えるトルクセンサでは、操作トルクの検出に用いる磁石の他に、ステアリングシャフトの位相が基準位置にあることの検出に用いる磁石を備えている。このため、インデックスセンサを備えるトルクセンサは、磁石の数が増える分、製造コストが上昇し易くなっている。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、トルクセンサの製造コストを抑えることのできる操舵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のトルクセンサは、操舵トルクを検出するためのトルクセンサを備える操舵装置であって、前記トルクセンサは、第1回転軸に取り付けられ、前記第1回転軸の軸心を中心とする周方向における一部の範囲に配置される磁石と、トーションバーを介して前記第1回転軸に連結される第2回転軸に取り付けられ、前記磁石に対向する位置に配置されて前記磁石の磁界を検出する磁気センサと、前記第1回転軸と前記第2回転軸との周囲に配置されて前記磁石と前記磁気センサとを覆うハウジングと、前記ハウジングに配置され、前記磁石の磁界を検出するインデックスセンサと、を備え、前記インデックスセンサは、前記第1回転軸と共に前記磁石が回転をする際における前記磁石の軌跡である磁石軌跡に対して、前記第1回転軸の軸心方向における両側2箇所の位置と前記第1回転軸の径方向における両側2箇所の位置との4箇所のうち、前記磁気センサが配置される位置を除く3箇所のいずかの位置で前記磁石軌跡に対向する位置に配置される。
【0008】
この構成によれば、トルクセンサにおいて、磁気センサで検出する磁界を発生する磁石と、インデックスセンサで検出する磁界を発生させる磁石とを共用することができ、磁気センサやインデックスセンサで検出する磁界を発生させる磁石の数を減らすことができる。この結果、トルクセンサの製造コストを抑えることができる。
【0009】
望ましい形態として、前記インデックスセンサは、前記磁石軌跡に対して、前記軸心方向における前記第2回転軸が位置する側の反対側の位置に配置される。
【0010】
この構成によれば、インデックスセンサは、磁石軌跡に対して、軸心方向における第2回転軸が位置する側の反対側の位置に配置されるため、トルクセンサの径方向における大きさを抑えることができる。この結果、トルクセンサの小型化を図ることができる。
【0011】
望ましい形態として、前記ハウジングは、前記軸心方向における前記磁石よりも前記第2回転軸が位置する側の反対側の位置に、前記磁石軌跡に対して前記軸心方向に重なる部分を有しており、前記インデックスセンサは、前記ハウジングにおける、前記磁石軌跡に対して前記軸心方向に重なる部分に配置される。
【0012】
この構成によれば、インデックスセンサは、ハウジングにおける、磁石軌跡に対して軸心方向に重なる部分に配置されるため、インデックスセンサを、磁石軌跡に対して軸心方向において対向する位置に容易に配置することができる。この結果、トルクセンサの小型化を図ることができる。
【0013】
望ましい形態として、前記ハウジングの内側には、前記ハウジングの内周面に対向して前記磁気センサと前記ハウジングの外部とを電気的に接続するスパイラルケーブルが配置され、前記ハウジングは、軸受を介して前記第1回転軸と前記第2回転軸とを回転可能に支持する。
【0014】
この構成によれば、内側にスパイラルケーブルが配置されるセンサハウジングと、センサハウジングの外側に配置して第1回転軸と第2回転軸とを回転可能に支持するハウジングとを個別に設ける必要がなく、磁石や磁気センサやスパイラルケーブルを覆うハウジングによって、第1回転軸と第2回転軸とを支持することができる。従って、ハウジングが二重で配置されることに起因するトルクセンサの大型化を抑制することができ、トルクセンサの小型化を図ることができる。
【0015】
望ましい形態として、前記ハウジングの外周面には、前記スパイラルケーブルと電気的に接続される外部コネクタが配置され、前記インデックスセンサは、前記第1回転軸の軸心を中心とする周方向における位置が、前記周方向における前記外部コネクタの位置の近傍に配置される。
【0016】
この構成によれば、周方向におけるインデックスセンサの位置を、周方向における外部コネクタの位置の近傍に配置することにより、インデックスセンサから延びるインデックスセンサコードの長さを短くすることができ、インデックスセンサコードを配置する際における容易性を高めることができる。この結果、トルクセンサの製造性を高めることができ、製造コストを抑えることができる。
【0017】
望ましい形態として、前記第2回転軸には、略円板状に形成されるベース部が、前記ベース部の軸心が前記第2回転軸の軸心に一致する向きで取り付けられ、前記磁気センサは、前記ベース部における前記第1回転軸が位置する側の面に配置されることにより前記ベース部を介して前記第2回転軸に取り付けられ、前記スパイラルケーブルは、前記ベース部における前記磁気センサが配置される側の面の反対側の面側に、前記第2回転軸の周囲に渦巻状に巻かれて配置される。
【0018】
この構成によれば、スパイラルケーブルは、ベース部における磁気センサが配置される側の面の反対側の面側に、第2回転軸の周囲に渦巻状に巻いて配置されるため、スパイラルケーブルの収納を目的としたフラットケーブルカバーを設けることなく、ハウジングの内側にスパイラルケーブルを配置することができる。この結果、トルクセンサの小型化を図ることができる。
【0019】
望ましい形態として、前記スパイラルケーブルは、前記渦巻の内側の位置から、前記ベース部に沿って前記ベース部の径方向における外側に向かって延び、前記ベース部の外周端の位置で前記ベース部における前記磁気センサが配置される側の面に向かって延びて前記磁気センサに電気的に接続される。
【0020】
この構成によれば、スパイラルケーブルは、渦巻の内側の位置から径方向における外側に向かって延び、ベース部の外周端の位置で磁気センサに電気的に接続されるため、スパイラルケーブルと、ベース部におけるスパイラルケーブルが配置される側の反対側に配置される磁気センサとの間で、電気的な接続を確保することができる。この結果、ハウジングの外部の電気部材と磁気センサとを、スパイラルケーブルによって電気的に接続することができる。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、磁石の個数を増加させることなく、インデックスセンサ付きのトルクセンサを構成することができるため、操舵装置の製造コストを抑えることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、実施形態の操舵装置を説明するための模式図である。
図2図2は、図1に示すトルクセンサの断面模式図である。
図3図3は、図2のA-A断面図である。
図4図4は、図2に示す外部コネクタ周りの詳細図である。
図5図5は、インデックスセンサが外部コネクタと電気的に接続される状態の一例を示す模式図である。
図6図6は、実施形態に係る操舵装置の変形例であり、トルクセンサのハウジングに形成される連通孔にケーブルコネクタを通す構成を示す説明図である。
図7図7は、実施形態に係る操舵装置の変形例であり、端部に外部コネクタが配置されるコード部材をハウジングに設ける構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本開示が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0024】
[実施形態]
図1は、実施形態の操舵装置80を説明するための模式図である。図1に示すように、操舵装置80は、操作者から与えられる力が伝達する順に、ステアリングホイール81と、ステアリングシャフト82と、ユニバーサルジョイント84と、ロアシャフト85と、ユニバーサルジョイント86と、スタブシャフト87と、ステアリングギア88と、タイロッド89とを備える。また、操舵装置80は、制御装置(以下、ECU(Electronic Control Unit)という。)90と、トルクセンサ10と、電動モータ95を備える。車速センサ91は、車両に備えられ、CAN(Controller Area Network)通信により車速信号VをECU90に出力する。
【0025】
ステアリングシャフト82は、一方の端部でステアリングホイール81に連結され、他方の端部でユニバーサルジョイント84に連結される。
【0026】
ロアシャフト85は、一方の端部でユニバーサルジョイント84に連結され、他方の端部でユニバーサルジョイント86に連結される。スタブシャフト87は、一方の端部がユニバーサルジョイント86に連結され、他方の端部でトルクセンサ10に連結される。トルクセンサ10は、一方の端部でスタブシャフト87に連結され、他方の端部でステアリングギア88が有する第1ピニオンギア88aに連結されている。
【0027】
詳しくは、第1ピニオンギア88aは、スタブシャフト87に連結される側の反対側の端部に、後述するラックバー88bと噛み合うギア88ag(図2参照)が形成される軸状の部材になっており、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとは、トーションバー87a(図2参照)を介して連結されている。トーションバー87aは、一端がスタブシャフト87に連結され、他端が第1ピニオンギア88aに連結され、トーションバー87aは、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとの間で回転トルクを伝達する。トルクセンサ10は、トーションバー87aを介してスタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとの間で伝達される回転トルクを検出する。
【0028】
ステアリングギア88は、第1ピニオンギア88aと、ラックバー88bと、第2ピニオンギア88cとを備える。第1ピニオンギア88aは、トーションバー87aを介してスタブシャフト87に連結される。ラックバー88bは、ラック歯88bg(図2参照)が第1ピニオンギア88aのギア88ag(図2参照)に噛み合う。また、ラックバー88bは、第1ピニオンギア88aとは異なる位置で第2ピニオンギア88cに噛み合う。
【0029】
第2ピニオンギア88cには、電動モータ95が連結されており、第2ピニオンギア88cは、電動モータ95から伝達される駆動力により回転になっている。電動モータ95は、図示しないウォーム減速装置を介して、第2ピニオンギア88cを回転させる。電動モータ95は、例えばブラシレスモータであるが、ブラシ(摺動子)及びコンミテータ(整流子)を備えるモータであってもよい。
【0030】
ステアリングギア88は、第1ピニオンギア88aや第2ピニオンギア88cに伝達された回転運動をラックバー88bで直進運動に変換する。本実施形態に係る操舵装置80は、ラックバー88bが第1ピニオンギア88aや第2ピニオンギア88cから伝達される回転運動により直進運動を行うデュアルピニオンアシスト方式である。タイロッド89は、ラックバー88bに連結される。すなわち、操舵装置80は、ラックアンドピニオン式の電動パワーステアリング装置である。
【0031】
なお、本開示にかかるトルクセンサ10を適用することができる操舵装置は、デュアルピニオンアシスト方式の操舵装置に限らない。例えば、コラム軸にアシスト力を付与するコラムアシスト方式の操舵装置や、ハンドルと車輪が機械的に分離されたステアバイワイヤ方式の操舵装置にも、本開示にかかるトルクセンサ10を適用することができる。
【0032】
トルクセンサ10は、ステアリングホイール81を介してステアリングシャフト82に伝達された運転者の操舵力を操舵トルクとして検出する。車速センサ91は、操舵装置80が搭載される車両の走行速度(車速)を検出する。電動モータ95と、トルクセンサ10と、車速センサ91とがECU90に、電気的に接続される。
【0033】
ECU90は、電動モータ95の動作を制御する。また、ECU90は、トルクセンサ10及び車速センサ91のそれぞれから信号を取得する。すなわち、ECU90は、トルクセンサ10から操舵トルクTを取得し、かつ車速センサ91から車両の車速信号Vを取得する。ECU90は、イグニッションスイッチ98がオンの状態で、電源装置(例えば車載のバッテリ)99から電力が供給される。ECU90は、操舵トルクTと車速信号Vとに基づいてアシスト指令の補助操舵指令値を算出する。そして、ECU90は、その算出された補助操舵指令値に基づいて電動モータ95へ供給する電力値Xを調節する。ECU90は、電動モータ95から誘起電圧の情報又は電動モータ95に設けられたレゾルバ等の回転検出装置から出力される情報を動作情報Yとして取得する。
【0034】
ステアリングホイール81に入力された操作者(運転者)の操舵力は、第1ピニオンギア88aに伝達される。第1ピニオンギア88aに伝達された操舵力は、ステアリングギア88を介してタイロッド89に伝達され、車輪を変位させる。
【0035】
また、ステアリングホイール81に入力された操作者の操舵力は、ステアリングホイール81から第1ピニオンギア88aまでの操舵力の伝達経路に配置されるトルクセンサ10に伝わる。このとき、ECU90は、操舵トルクTをトルクセンサ10から取得し、かつ車速信号Vを車速センサ91から取得する。そして、ECU90は、電動モータ95の動作を制御する。電動モータ95が作り出した補助操舵トルクは、第2ピニオンギア88cに伝達される。
【0036】
第2ピニオンギア88cに伝達された補助操舵トルクは、ステアリングギア88を介してタイロッド89に伝達され、車輪を変位させる。すなわち、操舵装置80は、第1ピニオンギア88aを介してラックバー88bに伝達された操作者の操舵力に加え、第2ピニオンギア88cを介してラックバー88bに伝達された電動モータ95の補助操舵トルクも用いて車輪を変位させる。
【0037】
図1に示すように、操舵装置80は、第2ピニオンギア88cにアシスト力が付与されるデュアルピニオン方式であるがこれに限定されない。操舵装置80は、例えば、ステアリングシャフト82にアシスト力が付与されるコラムアシスト方式や、第1ピニオンギア88aにアシスト力が付与されるシングルピニオンアシスト方式の電動パワーステアリング装置でもよい。また、ボールネジによりラックバー88bにアシスト力を付与するボールネジ式など、ピニオンを介さずにラックバー88bにアシスト力を付与する種類のラックアシスト式の電動パワーステアリング装置でもよい。
【0038】
図2は、図1に示すトルクセンサ10の断面模式図である。なお、以下の説明では、トルクセンサ10が配置されるスタブシャフト87や第1ピニオンギア88aの軸心方向を、トルクセンサ10においても軸心方向として説明する。同様に、スタブシャフト87や第1ピニオンギア88aの軸心を中心とする周方向を、トルクセンサ10においても周方向として説明し、スタブシャフト87や第1ピニオンギア88aの軸心を中心とする径方向を、トルクセンサ10においても径方向として説明する。
【0039】
トルクセンサ10は、第1回転軸であるスタブシャフト87と、トーションバー87aを介してスタブシャフト87に連結される第2回転軸である第1ピニオンギア88aとの端部付近に配置されている。即ち、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとは、いずれも中空の軸になっており、一方の軸の端部が、他方の軸の端部から当該軸の内側に入り込んでいる。本実施形態では、スタブシャフト87が、第1ピニオンギア88aの内側に入り込んでいる。
【0040】
トーションバー87aは、スタブシャフト87の内側から第1ピニオンギア88aの内側に亘って配置されており、一端がスタブシャフト87に連結され、他端が第1ピニオンギア88aに連結されている。つまり、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとは、直接連結されておらず、軸状の部材であるトーションバー87aを介して連結されている。このため、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aは相対回転が可能になっており、トーションバー87aに捩じれが発生した際には、トーションバー87aの捩じれに伴って、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとは相対回転をする。
【0041】
トルクセンサ10は、これらのようにトーションバー87aを介して連結されるスタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとの端部付近に配置されており、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとの相対回転の角度を検出することにより、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとの間で作用するトルクを検出することが可能になっている。トルクセンサ10は、スタブシャフト87に取り付けられる磁石16と、第1ピニオンギア88aに取り付けられて磁石16の磁界を検出する磁気センサ21とを備えており、磁石16の磁界の変化を磁気センサ21で検出することにより、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとの相対回転の角度を検出することが可能になっている。
【0042】
図3は、図2のA-A断面図である。磁石16は、永久磁石からなり、磁石スリーブ17により支持されて、磁石組み立体15としてスタブシャフト87に取り付けられている。磁石スリーブ17は、内径がスタブシャフト87の外径と同程度の大きさとなる略円筒形の形状で形成され、スタブシャフト87における第1ピニオンギア88a側の端部寄りの位置に嵌められている。磁石16は、磁石スリーブ17の外周面側の位置で、磁石スリーブ17の周方向における一部の比較的短い範囲に配置され、磁石スリーブ17に支持されている。一部の範囲とは、例えば、半周以下である。即ち、磁石スリーブ17の外周面側の位置に配置される磁石16は、磁石スリーブ17の軸心方向に見た場合において、円弧の中心が磁石スリーブ17の中心と同じ位置となり磁石スリーブ17の外周面に沿って形成される円弧状、或いは略扇状の形状で形成されて磁石スリーブ17によって支持されている。
【0043】
第1ピニオンギア88aに取り付けられる磁気センサ21は、ベース部20に取り付けられている。ベース部20は、第1ピニオンギア88aの外径と同程度の大きさの孔が中心に形成された略円板状の部材に、内径が第1ピニオンギア88aの外径と同程度の大きさとなる略円筒形のスリーブ部20aが接続される形態で形成されている。ベース部20は、スリーブ部20aに第1ピニオンギア88aが入り込んでスリーブ部20aが第1ピニオンギア88aに嵌められることにより、第1ピニオンギア88aにおけるスタブシャフト87側の端部付近に取り付けられる。これにより、ベース部20は、略円板状の部材やスリーブ部20aの軸心が、第1ピニオンギア88aの軸心に一致する向きで第1ピニオンギア88aに取り付けられている。その際に、ベース部20は、軸心方向においてスタブシャフト87が位置する側にスリーブ部20aが配置される向きで、第1ピニオンギア88aに取り付けられる。磁気センサ21は、このように第1ピニオンギア88aに取り付けられるベース部20におけるスタブシャフト87が位置する側の面に配置されている。
【0044】
磁気センサ21は、軸心方向における位置が、磁石組み立体15によってスタブシャフト87に取り付けられる磁石16の軸心方向における位置と、ほぼ同じ位置になっている。また、磁気センサ21は、スタブシャフト87に取り付けられる磁石16に対して、径方向における外側の位置で磁石16の近傍に配置されている。
【0045】
さらに、磁気センサ21は、周方向における配置位置と配置範囲が、スタブシャフト87に取り付けられる磁石16の配置位置及び配置範囲と近くなる形態で配置されており、即ち、磁気センサ21は、磁石16に対向する位置に磁石16に沿って配置されている。つまり、径方向において磁石16の外側に配置される磁気センサ21は、円弧の中心がスタブシャフト87や第1ピニオンギア88aの中心である軸心の位置と実質的に同じ位置となり、磁石16に沿って形成される円弧状、或いは略扇状の形状で、ベース部20に取り付けられている。
【0046】
磁気センサ21は、このように磁石16に沿って磁石16の近傍に配置されることにより、磁石16の磁界を検出することが可能になっている。即ち、磁気センサ21は、磁気センサ21に作用する磁束密度の変化を検出し、検出した磁束密度の変化を電気信号に変換して電気信号として出力することが可能なホールICを有して構成されている。なお、磁気センサ21は、ホールICに代えて、磁気抵抗効果やトンネル磁気抵抗効果を応用した磁気センサを用いることができる。要するに、磁気センサ21は、磁気センサ21に作用する磁束密度の変化を、電気信号として出力することができればよい。
【0047】
このように、磁束密度の変化を検出可能な磁気センサ21は、ベース部20を介して第1ピニオンギア88aに取り付けられており、磁石16は、磁石スリーブ17によってスタブシャフト87に取り付けられているため、磁気センサ21は、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとが相対的に微小に回転をした際における磁界の変化を検出することが可能になっている。つまり、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとは、トーションバー87aを介して連結されているため、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとの間でトーションバー87aを介してトルクが伝達された際には、トーションバー87aが僅かに捩じれることにより、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとが相対的に微小に回転をする。スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとが相対的に微小に回転をすると、スタブシャフト87に取り付けられる磁石16から、第1ピニオンギア88aに取り付けられる磁気センサ21に対して作用する磁束が変化するため、磁気センサ21は、磁束の変化を検出することにより、磁石16の磁界の変化を検出することができる。
【0048】
トルクセンサ10は、スタブシャフト87に取り付けられる磁石組み立体15と、第1ピニオンギア88aに取り付けられて磁気センサ21を備えるベース部20とを覆い、トルクセンサ10における筐体を構成するハウジング40を有している。本実施形態では、ハウジング40は樹脂材料により形成されている。ハウジング40は、軸心方向における位置によって径が異なる筒状の形状で形成され、磁石組み立体15とベース部20とを覆って、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとの周囲に配置されている。また、ハウジング40は、軸受50を介してスタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとを回転可能に支持している。
【0049】
詳しくは、ハウジング40は、軸心方向における、磁石組み立体15及びベース部20が配置される位置の両側に亘って配置されている。ハウジング40におけるスタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとの支持に用いる軸受50のうち、スタブシャフト87を支持する軸受50である入力側軸受51は、軸心方向において、磁石組み立体15に対してベース部20が位置する側の反対側に配置されて、スタブシャフト87を支持している。また、ハウジング40におけるスタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとの支持に用いる軸受50のうち、第1ピニオンギア88aを支持する軸受50である出力側軸受52は、軸心方向において、ベース部20に対して磁石組み立体15が位置する側の反対側に配置されて、第1ピニオンギア88aを支持している。
【0050】
さらに、ハウジング40は、第1ピニオンギア88aにおけるラックバー88bが形成される部分も覆っている。即ち、第1ピニオンギア88aには、軸心方向においてスタブシャフト87が連結される側の端部の反対側の端部寄りの位置に、ラックバー88bと噛み合うギア88agが形成されており、ハウジング40は、第1ピニオンギア88aにおけるギア88agが形成される側の端部も覆って形成されている。これらのように、ハウジング40において第1ピニオンギア88aにおけるギア88agが位置する側を覆う部分は、ハウジング40における磁石組み立体15やベース部20を覆う部分とは分割されて形成されている。即ち、ハウジング40は、ハウジング40における磁石組み立体15やベース部20を覆う第1ハウジングであるセンサ側ハウジング40aと、第1ピニオンギア88aのギア88agが位置する側を覆う第2ハウジングであるピニオン側ハウジング40bとが、軸心方向において分割されている。ハウジング40は、センサ側ハウジング40aとピニオン側ハウジング40bとが組み合わされることにより、磁石組み立体15やベース部20を覆うと共に、軸受50を介してスタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとを回転可能に支持する。
【0051】
第1ピニオンギア88aにおけるギア88agが形成される側の端部付近の位置とハウジング40との間には、第1ピニオンギア88aを支持する軸受であるピニオン軸受53が配置されている。このため、第1ピニオンギア88aは、スタブシャフト87に連結される側の端部寄りに配置される出力側軸受52と、ギア88agが形成される側の端部寄りに配置されるピニオン軸受53とにより、回転可能に支持される。
【0052】
また、第1ピニオンギア88aを覆う第2ハウジングであるピニオン側ハウジング40bは、第1ピニオンギア88aに噛み合うラックバー88bも覆っている。このため、ラックバー88bは、ラックバー88bに形成されるラック歯88bgが、第1ピニオンギア88aに形成されるギア88agに噛み合った状態で、第1ピニオンギア88aと共にハウジング40に覆われてハウジング40内に配置される。
【0053】
また、ピニオン側ハウジング40bには、ラックバー88bにおける第1ピニオンギア88aのギア88agに噛み合う側の反対側の位置に、貫通孔40cが形成されている。貫通孔40cには、押圧部材60と、バネ61と、封止部材62とが収容されている。押圧部材60は、ラックバー88bにおける第1ピニオンギア88aが位置する側の反対側から、ラックバー88bに当接している。封止部材62は、貫通孔40cの開口部に配置されて開口部を封止している。
【0054】
バネ61は、圧縮バネからなり、封止部材62と押圧部材60との間で押し縮められた状態で封止部材62と押圧部材60との間に配置されている。このため、押圧部材60は、バネ61からの付勢力によりラックバー88bに押し付けられており、ラックバー88bは、押圧部材60からの付勢力により、ラック歯88bgが形成される面が、第1ピニオンギア88aのギア88agに押し付けられている。これにより、ラックバー88bは、ラック歯88bgが第1ピニオンギア88aのギア88agに対して噛み合う状態が維持される。
【0055】
また、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとの少なくともいずれか一方と、ハウジング40との間には、シール部材54が配置されている。本実施形態では、スタブシャフト87とハウジング40との間に、シール部材54が配置されている。シール部材54は、軸心方向において入力側軸受51に対して磁石組み立体15が位置する側の反対側の位置で、スタブシャフト87とハウジング40との間に配置されている。本実施形態では、トルクセンサ10は、スタブシャフト87が位置する側が上側となり、第1ピニオンギア88aが位置する側が下側になる向きで配置される。このため、シール部材54は、ハウジング40における上端付近に配置されており、トルクセンサ10の上側から水等がハウジング40内に入り込むことを抑制できる。
【0056】
これらのように構成されるハウジング40は、車体に対して回転不可の状態で取り付けられ、軸心方向における磁石組み立体15とベース部20との両側に配置される軸受50によって、スタブシャフト87や第1ピニオンギア88aを回転自在に支持する。磁石組み立体15はスタブシャフト87に取り付けられ、ベース部20は第1ピニオンギア88aに取り付けられているため、軸受50により支持されるスタブシャフト87及び第1ピニオンギア88aがハウジング40に対して相対回転をした際には、磁石組み立体15やベース部20も、スタブシャフト87や第1ピニオンギア88aと一体となって回転をする。つまり、スタブシャフト87や第1ピニオンギア88aがハウジング40に対して相対回転をした際には、磁石16や磁気センサ21も、スタブシャフト87や第1ピニオンギア88aと一体となって回転をする。
【0057】
磁石16や磁気センサ21を、スタブシャフト87や第1ピニオンギア88aと共に回転可能な状態で内側に配置するハウジング40の内側には、磁気センサ21とハウジング40の外部とを電気的に接続するスパイラルケーブル30(図2参照)が配置される。スパイラルケーブル30は、ベース部20における、磁気センサ21が配置される側の面の反対側の面側に配置されている。スパイラルケーブル30は、複数の電線が平行に並んで帯状に形成されるフラットケーブルからなり、帯の幅方向が軸心方向となり、第1ピニオンギア88aの軸心を中心とする渦巻状に巻かれて、ハウジング40の内側でベース部20に隣接して配置されている。即ち、スパイラルケーブル30は、ベース部20におけるスリーブ部20aが位置する側の面側に配置され、ベース部20のスリーブ部20aを中心として渦巻状に巻かれて配置されている。これにより、スパイラルケーブル30は、第1ピニオンギア88aの周囲に渦巻状に巻かれて配置されている。
【0058】
なお、図2では、渦巻状に巻かれて配置されるスパイラルケーブル30の断面を模式的に図示している。
【0059】
スパイラルケーブル30は、ベース部20に配置される磁気センサ21に一端が電気的に接続され、他端がハウジング40の外部と電気的に接続される。スパイラルケーブル30は、例えば、渦巻の内側の位置から、ベース部20における磁気センサ21が配置される面の反対側の面に沿ってベース部20の径方向における外側に向かって延び、ベース部20の外周端の位置で、ベース部20における磁気センサ21が配置される側の面に向かって延びて配置される。スパイラルケーブル30における、ベース部20の磁気センサ21が配置される側の面に向かって延びる部分は、径方向における磁気センサ21の外側部分に位置するケーブル接続部22(図3参照)で、磁気センサ21に電気的に接続される。
【0060】
また、ハウジング40には、外部の電線類が備えるコネクタ(図示省略)が接続される外部コネクタ43(図2参照)が、ハウジング40の外周面41に配置されている。外部コネクタ43は、軸心方向における位置が、軸心方向においてスパイラルケーブル30の配置される位置に近い位置となって配置されている。スパイラルケーブル30は、ハウジング40の内周面42との間に他の部材が介在することなく、ハウジング40の内周面42に直接対向して配置されており、磁気センサ21に接続される側の端部の反対側の端部が、外部コネクタ43に接続されている。これにより、スパイラルケーブル30は、磁気センサ21とハウジング40の外部とを電気的に接続することが可能になっている。
【0061】
図4は、図2に示す外部コネクタ43周りの詳細図である。ハウジング40の外周面41に形成される外部コネクタ43は、ハウジング40と同じ素材でハウジング40と一体に形成されている。即ち、外部コネクタ43は、ハウジング40を形成する樹脂材料と同じ樹脂材料からなり、ハウジング40から連続してハウジング40と一体に形成されている。外部コネクタ43は金属材料からなる棒状の導体45を、外部コネクタ43からハウジング40内に向けて有している。導体45は、スパイラルケーブル30が有する複数の電線に合わせて、複数が配置されている。導体45は、外部コネクタ43においては、外部コネクタ43に接続されるコネクタと間で電気的に接続される、コネクタピンとして用いられる。
【0062】
また、導体45は、外部コネクタ43からハウジング40の内側に向かって延び、ハウジング40の内周面42からハウジング40内に向けて突出して形成されている。スパイラルケーブル30における、磁気センサ21に接続される側の端部の反対側の端部には、ケーブルコネクタ31が備えられている。ケーブルコネクタ31は、渦巻状に巻かれるスパイラルケーブル30における、渦巻の外側に位置する端部に設けられている。
【0063】
ケーブルコネクタ31は、ハウジング40の内周面42から突出する導体45に対して挿抜することが可能になっており、ケーブルコネクタ31を導体45に挿すことにより、スパイラルケーブル30が有する複数の電線と導体45とを電気的に接続することが可能になっている。外部コネクタ43は、コネクタピンとしても用いられる導体45に、ケーブルコネクタ31を挿してスパイラルケーブル30が有する複数の電線と導体45とを電気的に接続することにより、ハウジング40内に配置されるスパイラルケーブル30と電気的に接続される。
【0064】
外部コネクタ43は、ハウジング40の内周面42から突出する導体45にケーブルコネクタ31が挿し込まれた状態で、外部の電線類が備えるコネクタが外部コネクタ43に接続されることにより、外部の電線類とスパイラルケーブル30とを電気的に接続することが可能になっている。本実施形態では、外部コネクタ43には、トルクセンサ10からの信号をECU90に伝達する信号線が接続される。
【0065】
ハウジング40におけるベース部20が配置される位置の内径は、渦巻状の形態でハウジング40内に配置されるスパイラルケーブル30に基づいて定められるのが好ましい。つまり、スパイラルケーブル30は、一端が磁気センサ21に接続され、ハウジング40の外周面41に配置される外部コネクタ43に対して他端が内周面42側から電気的に接続されている。また、磁気センサ21は、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとがハウジング40に対して相対回転をした際に、第1ピニオンギア88aと共にハウジング40に対して回転をする。
【0066】
このため、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとがハウジング40に対して相対回転をした際には、スパイラルケーブル30における磁気センサ21に接続される側の端部も、ハウジング40に対して相対回転をする。これにより、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとがハウジング40に対して相対回転をした際には、渦巻状に配置されるスパイラルケーブル30は、渦巻が締まる方向、または渦巻が緩む方向に、渦巻の状態が変化する。渦巻が緩む方向にスパイラルケーブル30の渦巻の状態が変化した場合は、スパイラルケーブル30は、径方向における大きさが大きくなる。
【0067】
このため、ハウジング40におけるベース部20が配置される位置の内径は、ハウジング40に対するスタブシャフト87及び第1ピニオンギア88aの相対回転の範囲に基づいて、スパイラルケーブル30の渦巻が最も緩んで径方向における大きさが大きくなった状態のスパイラルケーブル30をハウジング40内に収めることができ、且つ、極力小さな大きさで形成されるのが好ましい。
【0068】
トルクセンサ10は、多回転するステアリングシャフト82等の操舵部材の位置が基準位置にあることを検出するインデックスセンサ26を有している。ここでいう基準位置は、操舵部材の回転方向における位置であり、即ち、操舵部材の回転方向における、基準となる任意の回転角度になっている。インデックスセンサ26は、磁石スリーブ17によってスタブシャフト87に取り付けられる磁石16が、周方向においてインデックスセンサ26に対して重なった際に、磁石16の磁界を検出することにより、操舵部材が基準位置にあることを検出する。インデックスセンサ26は、操舵部材であるスタブシャフト87及び第1ピニオンギア88aの位置が基準位置にあることを磁石16の磁界に基づいて検出したときに、ECU90に対して位置検出信号を出力する。ECU90は、インデックスセンサ26から出力された位置検出信号に基づいて、操舵部材が何回転目にあるかを検出する。
【0069】
スタブシャフト87に取り付けられる磁石16で発生する磁界は、磁気センサ21で検出する他、このようにインデックスセンサ26によっても検出する。つまり、スタブシャフト87に取り付けられる磁石16で発生する磁界は、第1ピニオンギア88aに取り付けられるベース部20に配置される磁気センサ21と、ハウジング40に配置されるインデックスセンサ26との双方で検出する。
【0070】
インデックスセンサ26は、ハウジング40に配置されており、ハウジング40における内周面42側に配置されてハウジング40の内側に露出している。また、インデックスセンサ26は、磁石スリーブ17によってスタブシャフト87に取り付けられる磁石16で発生する磁界を検出することができる位置に配置されている。つまり、インデックスセンサ26は、ハウジング40の内周面42に配置される一方で、スタブシャフト87に取り付けられる磁石16は、スタブシャフト87の回転に伴ってハウジング40に対して回転をする。このため、インデックスセンサ26は、スタブシャフト87と共に磁石16が回転をする際における磁石16の軌跡である磁石軌跡16a(図3参照)における任意の位置に、磁石16が位置する場合における、磁石16で発生する磁界を検出することができる位置に配置されている。
【0071】
つまり、インデックスセンサ26は、磁石軌跡16aに対して、軸心方向における両側2箇所の位置と、径方向における両側2箇所の位置との4箇所のうち、いずれかの位置に配置される。ここで、操舵トルクを検出する磁気センサ21は、磁石16に対して、当該磁石16の磁界を検出することができる位置に配置されており、即ち、磁石軌跡16aに対して軸心方向における両側2箇所と、径方向における両側2箇所との4箇所のうち、いずれかの1箇所の位置に配置されている。このため、インデックスセンサ26は、磁石軌跡16aに対して、軸心方向における両側2箇所と、径方向における両側2箇所との4箇所のうち、磁気センサ21が配置される位置を除く3箇所のうちのいずれかの位置で磁石軌跡16aに対向する位置に配置される。
【0072】
本実施形態では、磁気センサ21は、磁石16に対して径方向における外側の位置に配置されており、即ち、磁気センサ21は、磁石軌跡16aに対して径方向における外側の位置に配置されている。また、ハウジング40に配置されるインデックスセンサ26は、磁石軌跡16aに対して、軸心方向において第1ピニオンギア88aが位置する側の反対側、即ち、軸心方向における入力側軸受51が配置される側の位置で、磁石軌跡16aに対向する位置に配置されている。詳しくは、軸心方向における位置によって径が異なる筒状の形状で形成されるハウジング40は、軸心方向において磁石16が位置する部分よりも、入力側軸受51が配置される側の部分の方が、径が小さくなっている。このため、ハウジング40には、軸心方向における磁石16よりも入力側軸受51が位置する側の位置に、磁石16に対して軸心方向に重なる部分、即ち、磁石軌跡16aに対して軸心方向に重なる部分を有しており、インデックスセンサ26は、ハウジング40における、磁石軌跡16aに対して軸心方向に重なる部分に配置されている。このように、磁石軌跡16aに対向する位置に配置されるインデックスセンサ26の周方向における配置位置は、スタブシャフト87及び第1ピニオンギア88aの回転方向における位置が、基準である場合に、磁石16で発生する磁界を検出することが出来る位置に配置される。
【0073】
例えば、インデックスセンサ26で検出するスタブシャフト87や第1ピニオンギア88aの基準位置として、車両が直進する状態における位置が設定される場合は、インデックスセンサ26は、スタブシャフト87の回転方向における位置が、車両が直進する状態における位置のときに、磁石16に対してインデックスセンサ26が対向する状態となる位置に配置されている。即ち、インデックスセンサ26は、スタブシャフト87の回転方向における位置が、車両が直進する状態における位置のときに、磁石16に対して軸心方向における入力側軸受51が位置する側から対向する状態となる位置に配置されている。
【0074】
インデックスセンサ26は、インデックスセンサ26の近傍でインデックスセンサ26に対して対向する位置に磁石16が位置する場合は、磁石16からインデックスセンサ26に作用する磁界を検出することが可能になっている。即ち、インデックスセンサ26は、インデックスセンサ26に作用する磁束密度の変化を検出し、検出した磁束密度の変化を電気信号に変換して電気信号として出力することが可能なホールICを有して構成されている。なお、インデックスセンサ26は、ホールICに代えて、磁気抵抗効果やトンネル磁気抵抗効果を応用した磁気センサを用いることができる。要するに、インデックスセンサ26は、インデックスセンサ26に作用する磁束密度の変化を、電気信号として出力することができればよい。
【0075】
このように、磁束密度の変化を検出可能なインデックスセンサ26に対して、磁石16は、スタブシャフト87と一体となって相対回転が可能に配置されている。このため、インデックスセンサ26は、周方向における磁石16の位置が、インデックスセンサ26から離れている状態と、インデックスセンサ26と磁石16との周方向における位置が重なる状態との磁界の変化を検出することが可能になっている。
【0076】
つまり、インデックスセンサ26は、磁石16の周方向における位置が、インデックスセンサ26から離れている状態では、磁石16から作用する磁界を検出せず、磁石16の周方向における位置が、インデックスセンサ26の周方向における位置と重なる状態になったら、磁石16から作用する磁界を検出する。これにより、インデックスセンサ26は、磁石16の周方向における位置が、インデックスセンサ26の周方向における位置に位置しているか否かを検出することが可能になっている。
【0077】
インデックスセンサ26は、インデックスセンサ26から延びるコードが、スパイラルケーブル30とは別の経路で外部コネクタ43と電気的に接続されている。このため、トルクセンサ10からの信号をECU90に伝達する信号線が外部コネクタ43に接続された場合は、インデックスセンサ26から出力された信号も信号線によってECU90に伝達される。
【0078】
図5は、インデックスセンサ26が外部コネクタ43と電気的に接続される状態の一例を示す模式図である。インデックスセンサ26は、例えば、図5に示すように、インデックスセンサ26からの電気信号を伝達するインデックスセンサコード26aがハウジング40の壁面内を通って外部コネクタ43まで延びて配設される。この場合、インデックスセンサコード26aは、外部コネクタ43に配置されてコネクタピンとしても用いられる導体45に接続される。これにより、インデックスセンサ26は、外部コネクタ43に、ハウジング40の外部のコネクタ類が接続されることにより、ハウジング40の外部と電気的に接続される。
【0079】
なお、図5では、外部コネクタ43には、インデックスセンサコード26aが接続される導体45のみが図示されているが、外部コネクタ43には導体45は複数が配置され、そのうちの1本または複数本の導体45に、インデックスセンサコード26aが接続される。
【0080】
なお、このようにインデックスセンサ26から延びるインデックスセンサコード26aを、外部コネクタ43に向けて配置する際には、インデックスセンサ26の周方向における位置と、外部コネクタ43の周方向における位置とは、極力近い位置に配置するのが好ましい。即ち、インデックスセンサ26は、スタブシャフト87の軸心を中心とする周方向における位置が、周方向における外部コネクタの位置の近傍に配置されるのが好ましい。
【0081】
次に、本実施形態に係るトルクセンサ10の作用について説明する。トルクセンサ10が搭載される車両の運転時に、ステアリングホイール81が操作をされた場合は、ステアリングホイール81に付与された操舵力は、ステアリングホイール81からステアリングシャフト82に伝えられる。ステアリングシャフト82に伝えられた操舵力は、操舵トルクとしてステアリングシャフト82からロアシャフト85に伝達され、ロアシャフト85からスタブシャフト87を経て第1ピニオンギア88aに伝達される。これにより、第1ピニオンギア88aを有するステアリングギア88は、第1ピニオンギア88aから伝達された回転運動を、ラックバー88bの直線運動に変換し、タイロッド89を動作させる。
【0082】
また、本実施形態に係る操舵装置80は、運転者の操舵をアシストする補助操舵トルクを発生させる電動モータ95を有している。電動モータ95は、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aと間に亘って配置されるトルクセンサ10により検出した操舵トルクに基づいて補助操舵トルクを発生する。
【0083】
トルクセンサ10は、スタブシャフト87に付与された操舵トルクを、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとが相対回転した際における相対回転の角度に基づいて検出する。即ち、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとは、トーションバー87aを介して連結されているため、スタブシャフト87に操舵トルクが付与された際には、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとの間では、トーションバー87aを介して操舵トルクが伝達される。その際に、トーションバー87aが僅かに捩じれることにより、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとは、相対回転をする。
【0084】
トルクセンサ10は、磁石16がスタブシャフト87に取り付けられ、磁気センサ21が第1ピニオンギア88aに取り付けられることにより、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとが相対回転をした際には、トルクセンサ10が有する磁石16と磁気センサ21も、相対的に回転をする。磁石16と磁気センサ21と相対回転の角度は、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとの間で作用する操舵トルクが大きくなるに従って相対回転の角度が大きくなる。磁気センサ21は、磁石16からの磁束を検出することができるため、磁石16と磁気センサ21が相対回転をした際には、磁石16から磁気センサ21に作用する磁束の変化を検出し、磁石16からの磁界の変化を検出することができる。
【0085】
このように、磁気センサ21で検出する、磁石16から作用する磁界は、磁石16と磁気センサ21と相対回転の角度に応じて変化する。磁気センサ21は、磁石16と磁気センサ21と相対回転の角度に応じて変化する磁石16からの磁界の変化を電気信号に変換し、スパイラルケーブル30からハウジング40の外部に伝達し、ECU90に伝達する。
【0086】
ECU90は、トルクセンサ10から伝達された電気信号に基づいて電動モータ95を作動させ、電動モータ95に補助操舵トルクを発生させる。つまり、トルクセンサ10の磁気センサ21からECU90に伝達された電気信号は、磁石16と磁気センサ21と相対回転の角度に応じて変化し、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとの間で作用する操舵トルクTに基づいて変化する。このため、ECU90は、トルクセンサ10の磁気センサ21から伝達された電気信号を、スタブシャフト87及び第1ピニオンギア88aに作用する操舵トルクTによって変化する情報として使用し、磁気センサ21から伝達される電気信号に基づいて電動モータ95へ供給する電力値Xを調節し、電動モータ95に補助操舵トルクを発生させる。
【0087】
即ち、ECU90は、トルクセンサ10から操舵トルクTの信号を取得し、車速センサ91から車両の車速信号Vを取得し、さらに、電動モータ95に設けられた回転検出装置から電動モータ95の動作情報Yを取得し、これらの動作情報Yと操舵トルクTと車速信号Vとに基づいて電動モータ95に補助操舵トルクを発生させる。電動モータ95で発生した補助操舵トルクは、第2ピニオンギア88cに伝達される。第2ピニオンギア88cを有するステアリングギア88は、第2ピニオンギア88cから伝達された回転運動を、ラックバー88bの直線運動に変換する。これにより、運転者がステアリングホイール81に付与した操舵力は、電動モータ95で発生した補助操舵トルクによりアシストされる。
【0088】
また、運転者がステアリングホイール81を操舵した際には、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとは操舵力が伝達されることにより回転をする。トルクセンサ10が有するハウジング40は、車体に対して回転不可の状態で取り付けられており、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとは、軸受50を介してハウジング40に対して回転可能にハウジング40に支持されている。
【0089】
一方で、第1ピニオンギア88aにベース部20を介して取り付けられる磁気センサ21は、第1ピニオンギア88aの回転時には、第1ピニオンギア88aと一体となって回転をする。このように、第1ピニオンギア88aと共に回転する磁気センサ21は、渦巻状に巻かれて配置されるスパイラルケーブル30によって、ハウジング40の外部の信号線と電気的に接続されている。このため、第1ピニオンギア88aが回転をした際には、回転の方向に応じてスパイラルケーブル30の渦巻が締まったり緩んだりすることにより、第1ピニオンギア88aと共に回転をする磁気センサ21は、ハウジング40の外部の信号線と接続される状態が維持される。即ち、第1ピニオンギア88aが回転をすることにより、磁気センサ21がハウジング40に対して相対回転をする場合でも、第1ピニオンギア88aの回転に応じて渦巻の状態が変化するスパイラルケーブル30によって、磁気センサ21は、ハウジング40の外部の信号線と電気的に接続される状態が維持される。
【0090】
また、スタブシャフト87及び第1ピニオンギア88aが回転をした場合には、磁石スリーブ17によってスタブシャフト87に取り付けられる磁石16も、スタブシャフト87と一体となって回転をするが、磁石16で発生する磁界は、インデックスセンサ26によっても検出する。つまり、インデックスセンサ26は、ハウジング40の内周面42における、磁石軌跡16aに対向する位置に配置されている。このため、スタブシャフト87と共に磁石16が回転し、インデックスセンサ26に対向する位置を磁石16が通過したり、対向する位置に磁石16が停止したりした場合は、インデックスセンサ26は、磁石16の磁界を検出する。
【0091】
インデックスセンサ26は、スタブシャフト87の回転方向における位置が、車両の直進時の位置である場合に、磁石16がインデックスセンサ26に対して対向する状態となるように配置されており、スタブシャフト87が1回転するごとに、磁石16はインデックスセンサ26に対向する。インデックスセンサ26で検出する磁石16からの磁界は、磁石16がインデックスセンサ26に対向したり、対向している状態から対向しなくなったりするごとに変化するため、インデックスセンサ26は、このように変化する磁界を電気信号に変換してECU90に伝達する。ECU90は、インデックスセンサ26に基づいて、多回転するスタブシャフト87及び第1ピニオンギア88aが何回転目にあるかを検出し、車両の走行制御を行う。
【0092】
以上のように、本実施形態に係る操舵装置80は、トルクセンサ10の磁石16が、周方向における一部の範囲に配置され、インデックスセンサ26が、磁石軌跡16aに対して軸心方向における両側2箇所と径方向における両側2箇所との4箇所のうち、磁気センサ21が配置される位置を除く3箇所のいずかの位置で磁石軌跡16aに対向する位置に配置されている。これにより、磁気センサ21で検出する磁界を発生する磁石16と、インデックスセンサ26で検出する磁界を発生させる磁石16とを共用することができ、磁気センサ21やインデックスセンサ26で検出する磁界を発生させる磁石の数を減らすことができる。この結果、本実施形態に係る操舵装置80は、磁石の個数を増加させることなく、インデックスセンサ26付きのトルクセンサ10を構成することができるため、トルクセンサ10の製造コストを抑えることができ、操舵装置80の製造コストを抑えることができる。また、トルクセンサ10で使用する磁石の数を減らすことができるため、軽量化を図ることができる。
【0093】
また、インデックスセンサ26は、磁石軌跡16aに対して、軸心方向における第1ピニオンギア88aが位置する側の反対側の位置に配置されるため、トルクセンサ10の径方向における大きさを抑えることができる。この結果、トルクセンサ10の小型化を図ることができる。
【0094】
また、インデックスセンサ26は、ハウジング40における、磁石軌跡16aに対して軸心方向に重なる部分に配置されるため、インデックスセンサ26を、磁石軌跡16aに対して軸心方向において対向する位置に容易に配置することができる。この結果、トルクセンサ10の小型化を図ることができる。
【0095】
また、ハウジング40は、軸受50を介してスタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとを回転可能に支持し、ハウジング40の内側には、磁気センサ21とハウジング40の外部とを電気的に接続するスパイラルケーブル30が配置されている。これにより、内側にスパイラルケーブル30が配置されるセンサハウジングと、センサハウジングの外側に配置してスタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとを回転可能に支持するハウジングとを個別に設ける必要がなく、磁石16や磁気センサ21やスパイラルケーブル30を覆うハウジング40によって、スタブシャフト87と第1ピニオンギア88aとを支持することができる。従って、ハウジングが二重で配置されることに起因するトルクセンサ10の大型化を抑制することができる。この結果、本実施形態に係る操舵装置80は、トルクセンサ10の小型化を図ることができる。
【0096】
また、ハウジング40の外周面41には、スパイラルケーブル30と電気的に接続される外部コネクタ43が配置されるため、ハウジング40の内側に配置されるスパイラルケーブル30と、ハウジング40の外部の電気部材とを、容易に電気的に接続することができる。この結果、トルクセンサ10のスパイラルケーブル30とハウジング40の外部の電気部材とを電気的に接続する際における製造コストを抑えることができる。
【0097】
また、外部コネクタ43に、インデックスセンサ26を電気的に接続することにより、外部コネクタ43に外部のコネクタ類を接続するのみで、磁気センサ21に加えてインデックスセンサ26も、ハウジング40の外部と電気的に接続することができる。これにより、トルクセンサ10に接続するコネクタの数を低減することができ、トルクセンサ10に外部のコネクタ類を接続する際における利便性を高めることができる。
【0098】
また、周方向におけるインデックスセンサ26の位置を、周方向における外部コネクタ43の位置の近傍に配置することにより、インデックスセンサコード26aの長さを短くすることができ、インデックスセンサコード26aを配置する際における容易性を高めることができる。この結果、トルクセンサ10の製造性を高めることができ、製造コストを抑えることができる。また、インデックスセンサコード26aに代えて、導電性の板状部材(いわゆるバスバー)を用いてもよい。
【0099】
また、スパイラルケーブル30は、第1ピニオンギア88aに取り付けられるベース部20における、磁気センサ21が配置される側の面の反対側の面側に、第1ピニオンギア88aの周囲に渦巻状に巻いて配置されている。このため、スパイラルケーブル30の収納を目的としたフラットケーブルカバーを設けることなく、ハウジング40の内側にスパイラルケーブル30を配置することができる。この結果、トルクセンサ10の小型化を図ることができる。
【0100】
また、スパイラルケーブル30は、渦巻の内側の位置から、ベース部20に沿ってベース部20の径方向における外側に向かって延び、ベース部20の外周端の位置で磁気センサ21に電気的に接続されている。このため、スパイラルケーブル30と、ベース部20におけるスパイラルケーブル30が配置される側の反対側に配置される磁気センサ21との間で、電気的な接続を確保することができる。この結果、ハウジング40の外部の電気部材と磁気センサ21とを、スパイラルケーブル30によって電気的に接続することができる。
【0101】
[変形例]
なお、上述した実施形態では、スパイラルケーブル30は、外部コネクタ43に配置される導体45にケーブルコネクタ31が接続されることにより、ハウジング40の外部と電気的に接続可能になっているが、スパイラルケーブル30は、これ以外の形態でハウジング40の外部と電気的に接続可能に構成されていてもよい。
【0102】
図6は、実施形態に係る操舵装置80の変形例であり、トルクセンサ10のハウジング40に形成される連通孔44にケーブルコネクタ31を通す構成を示す説明図である。ハウジング40には、図6に示すように、ハウジング40の内側と外側とを連通する連通孔44を形成し、スパイラルケーブル30の端部に備えられるケーブルコネクタ31は、連通孔44に通して連通孔44で保持してもよい。
【0103】
つまり、ハウジング40に形成される連通孔44は、ケーブルコネクタ31の挿抜方向にケーブルコネクタ31を見た場合におけるケーブルコネクタ31の形状と同等の形状で、内周面42側から外周面41側にかけて連通する孔として形成する。このように形成する連通孔44には、連通孔44の内周面に溝部44aを形成し、溝部44aにはシール部材であるOリング44bを配置する。
【0104】
ケーブルコネクタ31は、ケーブルコネクタ31の延在方向における長さが、ハウジング40の壁面の厚みよりも長い長さで形成される。このように形成されるケーブルコネクタ31は、ハウジング40に形成される連通孔44に対して、ハウジング40の内側から外側に向けて通され、ケーブルコネクタ31は、ハウジング40の外周面41から突出する状態で連通孔44によって保持される。その際に、連通孔44にはOリング44bが配置されるため、ケーブルコネクタ31を保持する連通孔44は、Oリング44bによってシール性が確保される。
【0105】
スパイラルケーブル30は、ケーブルコネクタ31がハウジング40の外周面41から突出して配置されるため、ハウジング40の外部のコネクタ類を、ケーブルコネクタ31に直接接続することにより、ハウジング40の外部と電気的に接続することができる。このように、スパイラルケーブル30の端部に配置されるケーブルコネクタ31に、ハウジング40の外部のコネクタ類を直接接続可能に構成することにより、トルクセンサ10の部品点数を抑えることができ、製造コストを抑えることができる。
【0106】
図7は、実施形態に係る操舵装置80の変形例であり、端部に外部コネクタ48が配置されるコード部材47をハウジング40に設ける構成を示す説明図である。ハウジング40には、図7に示すように、端部に外部コネクタ48が配置されるコード部材47を設け、コード部材47によって、スパイラルケーブル30をハウジング40の外部と電気的に接続することができるようにしてもよい。
【0107】
詳しくは、ハウジング40には、ハウジング40の内側でスパイラルケーブル30と電気的に接続される導体45を設ける。この場合における導体45は、実施形態における導体45と同様に、金属材料からなる棒状の形状で形成され、ハウジング40の内周面42からハウジング40内に向けて突出し、ケーブルコネクタ31を挿抜することが可能になっている。また、この場合における導体45は、実施形態とは異なり、ハウジング40の内周面42から突出する側の端部の反対側の端部は、ハウジング40の内周面42と外周面41との間の位置で、ハウジング40の壁面に埋設される。
【0108】
コード部材47は、複数の電線47aが束ねられ、可撓性を有して構成される。コード部材47は、ハウジング40の外周面41からハウジング40の外側に延びると共に、一端が導体45に接続され、他端に外部コネクタ48が配置される。詳しくは、コード部材47は、コード部材47が有する電線47aが、ハウジング40の壁面の中に入り込み、ハウジング40の壁面に埋設される導体45に対して、接続部46で接続される。接続部46は、例えば、はんだ付けや抵抗溶接により、コード部材47の電線47aと導体45とを接続する。また、導体45、接続部46、コード部材47が接続された状態で、ハウジング40を射出成形等により成形することで、導体45、接続部46、コード部材47を、ハウジング40と一体的に形成してもよい。
【0109】
コード部材47の端部に配置される外部コネクタ48は、ハウジング40の外部のコネクタ類を接続することが可能になっている。これにより、スパイラルケーブル30は、スパイラルケーブル30の端部に配置されるケーブルコネクタ31が接続される導体45と、コード部材47とを介して、ハウジング40の外部と電気的に接続することができる。その際に、コード部材47は、可撓性を有しているため、コード部材47の端部に配置される外部コネクタ48は、コード部材47が撓むことにより、向きや位置を変えることができる。これにより、外部コネクタ48にコネクタ類を接続する際に、接続し易い位置や角度で接続することができ、トルクセンサ10に外部のコネクタ類を接続する際における利便性を高めることができる。
【0110】
また、上述した実施形態では、シール部材54は、スタブシャフト87とハウジング40との間に配置されているが、シール部材54は、第1ピニオンギア88aとハウジング40との間に配置されていてもよい。また、実施形態では、シール部材54は、軸受50から独立して配置されているが、軸受50に、シール部材と軸受とが一体となったシール付き軸受を用いることにより、スタブシャフト87や第1ピニオンギア88aとハウジング40との間に、シール部材を配置してもよい。スタブシャフト87や第1ピニオンギア88aとハウジング40との間に配置するシール部材は、ハウジング40の外からハウジング40内への水等の侵入を防ぐことができれば、その形態は問わない。
【0111】
また、上述した実施形態では、ハウジング40は樹脂材料により形成されているが、ハウジング40は、樹脂材料以外の材料が用いられていてもよい。ハウジング40は、例えば、外部コネクタ43と外部コネクタ43の近傍は樹脂材料により形成され、それ以外の部位は金属材料により形成されていてもよい。この場合、外部コネクタ43の位置では導体45との間の絶縁性を確保しつつ、ハウジング40全体の強度を確保することができる。
【0112】
以上、本開示の好適な実施形態を説明したが、本開示は上記の実施形態に記載されたものに限定されない。実施形態や変形例として説明した構成は、適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0113】
10 トルクセンサ
15 磁石組み立体
16 磁石
17 磁石スリーブ
20 ベース部
21 磁気センサ
26 インデックスセンサ
30 スパイラルケーブル
31 ケーブルコネクタ
40 ハウジング
41 外周面
42 内周面
43 外部コネクタ
44 連通孔
45 導体
47 コード部材
48 外部コネクタ
50 軸受
51 入力側軸受
52 出力側軸受
53 ピニオン軸受
54 シール部材
80 操舵装置
81 ステアリングホイール
82 ステアリングシャフト
85 ロアシャフト
87 スタブシャフト
87a トーションバー
88 ステアリングギア
88a 第1ピニオンギア
88b ラックバー
88c 第2ピニオンギア
89 タイロッド
90 ECU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7