(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117622
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】発光エンブレム
(51)【国際特許分類】
F21S 43/50 20180101AFI20230817BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20230817BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20230817BHJP
F21S 43/31 20180101ALI20230817BHJP
F21S 45/10 20180101ALI20230817BHJP
F21V 7/00 20060101ALI20230817BHJP
G09F 13/04 20060101ALI20230817BHJP
G09F 13/06 20060101ALI20230817BHJP
B60R 13/00 20060101ALI20230817BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230817BHJP
F21W 104/00 20180101ALN20230817BHJP
【FI】
F21S43/50
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21S43/14
F21S43/31
F21S45/10
F21V7/00 320
G09F13/04 D
G09F13/06 Z
B60R13/00
F21Y115:10
F21W104:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020284
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田 吉秀
【テーマコード(参考)】
3D024
3K013
5C096
【Fターム(参考)】
3D024BA07
3D024BA15
3K013BA01
3K013CA05
3K013CA16
5C096AA05
5C096AA11
5C096BA01
5C096FA05
5C096FA11
5C096FA20
(57)【要約】
【課題】比較的少ない光源を用いる場合であっても、高輝度かつ均一な発光を行うことのできる発光エンブレムを提供することにある。
【解決手段】光源としての発光素子131と、発光素子131が発する光を反射するリフレクター15と、発光素子131及びリフレクター15を収容するハウジング14と、エンブレムが表面に施され、発光部100が表面に含まれ、発光素子131及びリフレクター15を覆うようにハウジング14に取り付けられるカバー10と、を備え、リフレクター15が、発光素子131を挟んで対向し、ハウジング14側からカバー10側に向かって延びる2枚の側壁151を有し、発光素子131が発する光をリフレクター15の内面に反射させて発光部100に導く、発光エンブレム1を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源としての発光素子と、
前記発光素子が発する光を反射するリフレクターと、
前記発光素子及び前記リフレクターを収容するハウジングと、
エンブレムが表面に施され、前記発光素子から発せられる光が取り出される発光部が前記表面に含まれ、前記発光素子及び前記リフレクターを覆うように前記ハウジングに取り付けられるカバーと、
を備え、
前記発光素子が、光軸が前記カバーを向くように設置され、
前記リフレクターが、前記発光素子を挟んで対向し、前記ハウジング側から前記カバー側に向かって延びる2枚の側壁と、前記2枚の側壁の前記カバー側の端部を輪郭とする開口部を有し、
前記発光素子が発する光を前記リフレクターの内面に反射させて前記発光部に導く、
発光エンブレム。
【請求項2】
前記リフレクターが、上端が前記カバーと離隔するように設置される、
請求項1に記載の発光エンブレム。
【請求項3】
前記リフレクターと前記カバーとの前記発光エンブレムの厚さ方向の最小距離が10mm以下である、
請求項1又は2に記載の発光エンブレム。
【請求項4】
前記発光部の全領域の真下に前記開口部が位置している、
請求項1~3のいずれか1項に記載の発光エンブレム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光エンブレム、特に自動車などの車両に設置される発光エンブレムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両等に取り付けられる、発光表示できるエンブレムが知られている(特許文献1を参照)。特許文献1に記載のエンブレムにおいては、ロアカバーとアッパーカバーの間に形成される部品収容室に複数のLEDが収容され、LEDが発した光をアッパーカバーの側壁を透過させて取り出すことにより、エンブレムの内・外周縁が発光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のエンブレムの構造によれば、光源であるLEDから光取出部であるアッパーカバーの側壁に直接向かう光を主に取り出すため、高輝度で均一な発光のためには、エンブレム内に多数のLEDを広範囲に設置する必要があり、そのために製造コストが高くなるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、比較的少ない光源を用いる場合であっても、高輝度かつ均一な発光を行うことのできる発光エンブレムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、下記[1]~[4]の発光エンブレムを提供する。
【0007】
[1]光源としての発光素子と、前記発光素子が発する光を反射するリフレクターと、前記発光素子及び前記リフレクターを収容するハウジングと、エンブレムが表面に施され、前記発光素子から発せられる光が取り出される発光部が前記表面に含まれ、前記発光素子及び前記リフレクターを覆うように前記ハウジングに取り付けられるカバーと、を備え、前記発光素子が、光軸が前記カバーを向くように設置され、前記リフレクターが、前記発光素子を挟んで対向し、前記ハウジング側から前記カバー側に向かって延びる2枚の側壁と、前記2枚の側壁の前記カバー側の端部を輪郭とする開口部を有し、前記発光素子が発する光を前記リフレクターの内面に反射させて前記発光部に導く、発光エンブレム。
[2]前記リフレクターが、上端が前記カバーと離隔するように設置される、上記[1]に記載の発光エンブレム。
[3]前記リフレクターと前記カバーとの前記発光エンブレムの厚さ方向の最小距離が10mm以下である、上記[1]又は[2]に記載の発光エンブレム。
[4]前記発光部の全領域の真下に前記開口部が位置している、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の発光エンブレム。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、比較的少ない光源を用いる場合であっても、高輝度かつ均一な発光を行うことのできる発光エンブレムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1(a)は、本発明の実施の形態に係る発光エンブレムの正面図である。
図1(b)は、
図1(a)に示される切断線A-Aで切断された発光エンブレムの断面図である。
【
図2】
図2(a)は、カバーを外した状態の発光エンブレムの正面図である。
図2(b)は、
図2(a)に示される切断線B-Bで切断された発光エンブレムの部分的な断面図である。
【
図3】
図3(a)、(b)は、それぞれ異なる角度から視たリフレクターの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔発光エンブレムの構成〕
図1(a)は、本発明の実施の形態に係る発光エンブレム1の正面図である。
図1(b)は、
図1(a)に示される切断線A-Aで切断された発光エンブレム1の断面図である。
【0011】
発光エンブレム1は、光源としての発光素子131と、発光素子131が発する光を反射するリフレクター15と、発光素子131及びリフレクター15を収容するハウジング14と、発光素子131から発せられる光が取り出される発光部100が表面に含まれ、発光素子131及びリフレクター15を覆うようにハウジング14に取り付けられるカバー10と、を備える。ここで、上述のカバー10の発光部100は、後述するカバー本体11を構成する透光部11bの外部に露出した部分である。
【0012】
発光素子131は、光軸がカバー10を向くように設置される。リフレクター15は、発光素子131を挟んで対向し、ハウジング14側からカバー10側に向かって延びる2枚の側壁151と、2枚の側壁151のカバー10側の端部を輪郭とする開口部156を有する。そして、発光エンブレム1においては、発光素子131が発する光を2枚の側壁151の対向する面などのリフレクター15の内面に反射させてカバー10の発光部100に導く。
【0013】
発光素子131は、プリント基板13上に実装された発光素子であり、典型的には、LEDが用いられる。プリント基板13は、発光素子131が実装された面がカバー10を向くように設置される。プリント基板13は、ハウジング14に固定される。
【0014】
ハウジング14は、例えば、ASA(アクリロニトリル-スチレン-アクリル酸エステル)からなる。発光素子131が発する光は、リフレクター15によってカバー10の発光部100に導かれるため、ハウジング14に入射する光は少ない。このため、ハウジング14の材料が発光エンブレム1から取り出される光の強度に及ぼす影響は小さく、ハウジング14の反射率を高めるために材料の選択の幅を狭める必要がない。
【0015】
ハウジング14は、車両のフロントグリルなどの発光エンブレム1の取り付け対象にハウジング14を固定するための固定部141を有する。例えば、固定部141に設けられたネジ止め用の孔を通してネジを締め込むことにより、ハウジング14を発光エンブレム1の取り付け対象に固定することができる。
【0016】
カバー10は、発光素子131が発する光を透過しない非透光部11aと、発光素子131が発する光を透過する透光部11bを有するカバー本体11と、カバー本体11の表面に設置されるエンブレム12と、を有する。非透光部11aと透光部11bは、一体に成形されてもよいし、別部品であってもよい。
【0017】
非透光部11aは、例えば、ASAなどの樹脂からなる。非透光部11aは、例えば、黒色などに着色された樹脂を成形することにより形成されてもよいし、表面に塗装やめっきを施されてもよい。
【0018】
透光部11bは、発光素子131から発せられる光を透過するPMMA(メタクリル酸メチル)、PC(ポリカーボネート)などの樹脂からなる。透光部11bは、取り出される光の均一性を向上させるため、TiO2粒子などの拡散材を含んだり、発光素子131側の面にレンズカットが設けられたりしてもよい。
【0019】
エンブレム12は、例えば、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)などの樹脂からなり、表面にめっき処理が施される。エンブレム12は、車両のフロントグリルなどの発光エンブレム1の取り付け対象にエンブレム12を固定するための固定部121を有する。例えば、固定部121に設けられたネジ止め用の孔を通してネジを締め込むことにより、エンブレム12を発光エンブレム1の取り付け対象に固定することができる。また、
図2(b)に示されるように、エンブレム12は、両面テープ122によりカバー本体11に固定されてもよい。
【0020】
上述のように、透光部11bの一部は外部に露出しており、発光部100として機能する。すなわち、発光素子131から発せられて透光部11bに取り込まれた光が、その露出部である発光部100から取り出される。
図1(a)、(b)に示される例では、発光部100はエンブレム12の内側の輪郭に沿うように設けられており、発光素子131を点灯させると、エンブレム12の内側の輪郭に沿って発光する。
【0021】
なお、カバー10においては、専用部品であるエンブレム12を用いてエンブレムを表現しているが、エンブレムの表現方法はこれに限られず、例えば、発光部100としての透光部11bの一部や非透光部11aの一部をエンブレムの表現に用いてもよい。すなわち、カバー10にエンブレムを施す方法は限定されない。
【0022】
図2(a)は、カバー10を外した状態の発光エンブレム1の正面図である。
図2(b)は、
図2(a)に示される切断線B-Bで切断された発光エンブレム1の部分的な断面図である。
図3(a)、(b)は、それぞれ異なる角度から視たリフレクター15の斜視図である。
【0023】
リフレクター15は、ハウジング14側に設置される底部152と、底部152の両側の縁から延びる2枚の側壁151を有する。2枚の側壁151と底部152は、通常、一体に成形される。底部152は、プリント基板13に実装された発光素子131をカバー10側に露出させるための露出孔153を有する。なお、2枚の側壁151は、発光エンブレム1の厚さ方向に完全に平行である必要はなく、
図2(b)などに示されるように、ある程度傾斜していてもよい。
【0024】
リフレクター15は、発光素子131の発する光に対する反射率の高い、白色のPC(ポリカーボネート)、ASA、ABS、AES(アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-ジエン-スチレン)、PMMAなどの樹脂からなる。特に、ハウジング14の表面の発光素子131が発する光に対する反射率は85%以上であることが好ましい。なお、製造コストの観点からは、リフレクター15を白色樹脂の成形により形成することが好ましいが、白色でない材料の表面に白色の塗料を塗布して形成してもよい。
【0025】
なお、アルミニウムなどの反射率の高い材料をリフレクター15の内面、すなわち2枚の側壁151の対向する面や底部152の上面に蒸着して、リフレクター15の反射率を向上させてもよい。また、リフレクター15の内面にシボ加工を施して、反射光の拡散性を向上させてもよい。
【0026】
リフレクター15は、リフレクター15をネジ止めなどにより固定するための固定部154を有する。例えば、固定部154に設けられたネジ止め用の孔とプリント基板13に設けられたネジ止め用の孔を通してネジをハウジング14に設けられたネジ穴に締め込むことにより、プリント基板13及びリフレクター15をハウジング14に固定することができる。
【0027】
発光素子131から発せられた光は、直接、又はリフレクター15の内面に反射されて間接的に、カバー10の透光部11bに導かれ、透光部11bに進入した後、その露出部である発光部100から外部に取り出される。発光素子131から斜め上方に発せられた光は、側壁151の内面に反射される。また、カバー10側で反射されて発光素子131側に戻ってきた光は、リフレクター15の内面、すなわち2枚の側壁151の対向する面や底部152の上面で反射され、再び透光部11bに導かれる。
【0028】
発光エンブレム1においては、発光素子131が発する光がリフレクター15により透光部11b、すなわちカバー10の発光部100に効率的に導かれ、また、リフレクター15の内面で反射を繰り返すことにより効果的に拡散する。このため、使用する発光素子131の数が比較的少ない場合であっても、例えば、発光部100の真下に多数の発光素子131を連続して配置しなくても、高輝度かつ均一な発光を行うことができる。
【0029】
なお、リフレクター15の底部152においては、露出孔153内にプリント基板13の表面がカバー10側に露出しており、この露出部分も光の反射面の一部として機能する。このため、プリント基板13は、FR-4、CEM3などを基材とする白色の基板や、表面の露出孔153内に露出する部分が白色に塗装された基板であることが好ましい。
【0030】
透光部11bの露出部分、すなわち発光部100の全領域の真下にリフレクター15の開口部156が位置していることが好ましい。これにより、発光部100をより均一に発光させることができる。
【0031】
リフレクター15は、
図2に示されるように、1つの発光素子131に対してそれぞれ設けられる複数の部品ではなく、複数の発光素子131に対して設けられる連続した1つの部品であることが好ましい。具体的には、複数の露出孔153を有して、それらの露出孔153から露出する複数の発光素子131が発する光をリフレクター15の内面で反射させて拡散させる。複数の発光素子131が発する光を1つのリフレクター15の内側で拡散させることにより、発光部100をより均一に発光させることができる。
【0032】
リフレクター15の2枚の側壁151に挟まれた空間は、
図2、
図3に示されるように、隔たりなく連続した1つの空間であることが好ましい。これによって、発光素子131が発する光をリフレクター15の内側でより効率的に拡散させ、発光部100をより均一に発光させることができる。
【0033】
また、
図2、
図3に示されるように、リフレクター15の2枚の側壁151に挟まれた空間が、分岐部155を含むことが好ましい。2枚の側壁151に挟まれた空間を分岐させることにより、リフレクター15内の光の経路を増やし、発光素子131が発する光をリフレクター15の内側でより効率的に拡散させることができる。これにより、発光部100をより均一に発光させることができる。
【0034】
また、リフレクター15は、その上端、すなわち側壁151の上端がカバー10と離隔するように設置されることが好ましい。この場合、カバー10が外力を受けて撓んだ場合であっても、リフレクター15に衝撃が伝わりづらくなる。そのため、リフレクター15や発光素子131の位置ずれや損傷を抑え、発光部100の発光状態を維持することができる。また、リフレクター15や発光素子131の位置ずれや損傷をより効果的に抑えるためには、リフレクター15とカバー10との発光エンブレム1の厚さ方向の最小距離が2mm以上であることが好ましい。
【0035】
発光素子131が発する光をリフレクター15によってより効率的に発光部100に導くためには、リフレクター15の上端、すなわち側壁151の上端がカバー10になるべく近いことが好ましく、例えば、リフレクター15とカバー10との発光エンブレム1の厚さ方向の最小距離が10mm以下であることが好ましい。ここで、高さhは、発光エンブレム1の厚さ方向の長さである。
【0036】
また、リフレクター15の高さhが大きいほど、発光部100から取り出される光の強度が大きくなるため、リフレクター15の高さhにより、発光部100から取り出される光の強度を調節することができる。
【0037】
また、リフレクター15の反射率が大きいほど、発光部100から取り出される光の強度が大きくなるため、リフレクター15の材料により、発光部100から取り出される光の強度を調節することができる。例えば、目的の発光強度に応じて、反射率の異なる複数種のポリカーボネートの中から、適切な反射率を有するものを選択することができる。
【0038】
(実施の形態の効果)
上記の本発明の実施の形態に係る発光エンブレム1においては、発光素子131が発する光をリフレクター15によって効率的に発光部100に導くことにより、比較的少ない発光素子131を用いる場合であっても、高輝度かつ均一な発光を行うことができる。このため、例えば、高輝度かつ均一な発光を維持しつつ、搭載する発光素子131の数を抑えて製造コストを低減することができる。
【0039】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。また、発明の主旨を逸脱しない範囲内において上記実施の形態の構成要素を任意に組み合わせることができる。
【0040】
また、上記の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0041】
1 発光エンブレム
10 カバー
100 発光部
11 カバー本体
11a 非透光部
11b 透光部
12 エンブレム
13 プリント基板
131 発光素子
14 ハウジング
15 リフレクター
151 側壁
156 開口部