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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117637
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】待機計画作成システム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20230817BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20230817BHJP
   G08G 1/0968 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/00 D
G08G1/0968 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020310
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 景
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129CC03
2F129DD46
2F129DD48
2F129DD49
2F129DD57
2F129DD70
2F129EE53
2F129EE83
2F129EE88
2F129EE89
2F129EE93
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF20
2F129FF47
2F129FF60
2F129HH02
2F129HH12
2F129HH35
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB08
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181EE10
5H181FF04
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】利便性を確保しつつ、車両の待機費用を抑制する。
【解決手段】待ち合わせ情報取得部111は、車両を降車したユーザと車両との待ち合わせ場所と待ち合わせ時刻を取得する。待機場所情報取得部112は、待ち合わせ場所から所定の距離内にある車両の待機場所を検索し、待機場所の位置情報と料金情報を取得する。移動時間推定部116は、車両の現在位置から各待機場所への往路移動時間と、各待機場所から待ち合わせ場所への復路移動時間を推定する。残量取得部114は、車両の燃料または走行用電池の残量を取得する。待機計画作成部117は、待ち合わせ場所に到着時の推定残量が設定値を下回らない範囲で、待機場所で掛かる料金が最も安価になる待機計画を作成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を降車したユーザと前記車両との待ち合わせ場所と待ち合わせ時刻を取得する待ち合わせ情報取得部と、
前記待ち合わせ場所から所定の距離内にある前記車両の待機場所を検索し、待機場所の位置情報と料金情報を取得する待機場所情報取得部と、
前記車両の現在位置から各待機場所への往路移動時間と、前記各待機場所から前記待ち合わせ場所への復路移動時間を推定する移動時間推定部と、
前記車両の燃料または走行用電池の残量を取得する残量取得部と、
前記待ち合わせ場所に到着時の推定残量が設定値を下回らない範囲で、前記待機場所で掛かる料金が最も安価になる待機計画を作成する待機計画作成部と、を有する、
待機計画作成システム。
【請求項2】
前記待機計画作成部は、前記待機場所で掛かる料金が最も安価になる待機計画候補が複数存在する場合、前記待ち合わせ場所に到着時の推定残量が最も多い待機計画候補を選択する、
請求項1に記載の待機計画作成システム。
【請求項3】
前記待機計画作成部は、前記待機計画に示される待機場所への到着予定時刻より実際の到着時刻が早い場合、前記待機場所で掛かる料金が加算されないように前記待機場所から前記待ち合わせ場所までのルートを変更する、
請求項1または2に記載の待機計画作成システム。
【請求項4】
前記待機場所から前記待ち合わせ場所へのルートの混雑情報及び天気情報の少なくとも一方を取得する外部情報取得部をさらに有し、
前記移動時間推定部は、前記混雑情報及び前記天気情報の少なくとも一方をもとに、前記復路動時間及び前記往路移動時間の少なくとも一方を補正し、
前記待機計画作成部は、補正された復路移動時間及び往路移動時間の少なくとも一方をもとに、前記待機場所からの出発時刻及び前記待機場所から前記待ち合わせ場所までのルートの少なくとも一方を変更する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の待機計画作成システム。
【請求項5】
前記待ち合わせ場所から向かう目的地の位置情報を取得する目的地情報取得部をさらに備え、
前記待機計画作成部は、前記待ち合わせ場所から前記目的地までのルートの距離と、前記車両の燃費または電費に基づき、前記設定値を決定する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の待機計画作成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザとの待ち合わせ時刻まで車両を待機させる際の待機計画を作成する待機計画作成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動運転車両の開発が進められている。自動運転車両では、設定した待ち合わせ時刻に、自己の自動運転車両が待ち合わせ場所に到着するように設定することも可能である。ユーザの設定に基づく待ち合わせ時間の範囲内で、待機場所の利用に掛かる費用と待ち合わせ場所への移動に掛かる費用の合計が最小になるように、待ち合わせ時間を、駐車場での待機時間と走行時間に割り振る方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-15711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の方法では、費用削減が優先され、待ち合わせ場所に到着時の燃料または走行用電池の残量には注目されていない。待ち合わせ場所に到着時の燃料または走行用電池の残量が少ない場合、待ち合わせ場所から目的地までの途中で給油または充電が必要となり、ユーザの利便性が低下する。
【0005】
本実施形態はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、利便性を確保しつつ、待機費用を抑制することができる車両の待機計画を作成する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本実施形態のある態様の待機計画作成システムは、車両を降車したユーザと前記車両との待ち合わせ場所と待ち合わせ時刻を取得する待ち合わせ情報取得部と、前記待ち合わせ場所から所定の距離内にある前記車両の待機場所を検索し、待機場所の位置情報と料金情報を取得する待機場所情報取得部と、前記車両の現在位置から各待機場所への往路移動時間と、前記各待機場所から前記待ち合わせ場所への復路移動時間を推定する移動時間推定部と、前記車両の燃料または走行用電池の残量を取得する残量取得部と、前記待ち合わせ場所に到着時の推定残量が設定値を下回らない範囲で、前記待機場所で掛かる料金が最も安価になる待機計画を作成する待機計画作成部と、を有する。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本実施形態の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラム等の間で変換したものもまた、本実施形態の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本実施形態によれば、利便性を確保しつつ、待機費用を抑制することができる車両の待機計画を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る自動運転車両の構成例を示す図である。
図2】実施形態に係る待機計画作成システムの構成例を示す図である。
図3】待機計画作成の具体例を示す図である。
図4】ユーザの降車時に作成される待機計画の時間的な内訳を示す図である。
図5】ルート変更の具体例を示す図である。
図6】復路移動時間の延長が発生した場合の待機計画の時間的な変更を示す図である。
図7】実施形態に係る待機計画作成システムによる待機計画作成の基本処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、実施形態に係る自動運転車両1の構成例を示す図である。実施形態に係る自動運転車両1は、内燃機関を搭載しない電気自動車(EV)である。自動運転車両1は、待機計画作成システム10、カーナビゲーションシステム20、自動運転コントローラ30、センサ部40、駆動部50、電池パック60、及び無線通信部70を備える。待機計画作成システム10、カーナビゲーションシステム20、自動運転コントローラ30、センサ部40、駆動部50、電池パック60、及び無線通信部70は、車載ネットワーク5を介して相互に接続される。車載ネットワーク5として、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)を使用することができる。
【0011】
電池パック60は、駆動部50に走行用の電力を供給するための走行用電池62、走行用電池62の状態を管理する電池管理部61を含む。走行用電池62は、複数のセル(例えば、リチウムイオンセル)が直列、または直並列に接続されて構成される。電池管理部61は、走行用電池62内の複数のセルの電圧、電流、温度を監視する。電池管理部61は、走行用電池62内の複数のセルの初期容量、電圧、電流、温度をもとに走行用電池62のSOC(State Of Charge)を推定する。走行用電池62のSOCは、OCV(Open Circuit Voltage)法や電流積算法により推定することができる。
【0012】
センサ部40は、自車の状態、及び自車周辺の状況を把握するための種々のセンサの総称である。センサ部40として例えば、カメラ、LIDAR(Light Detection and Ranging)、ミリ波レーダ、車速センサ、GPSセンサを備える。なお、GPSセンサは、カーナビゲーションシステム20に搭載されたGPSセンサを使用してもよい。
【0013】
無線通信部70は、外部のデータセンタ、路側機、他の車両等と無線通信を行う。例えば、携帯電話網(セルラー網)、無線LAN、ETCシステム(Electronic Toll Collection System)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、V2I(Vehicle to Infrastructure)、V2V(Vehicle to Vehicle)を使用することができる。
【0014】
自動運転コントローラ30は、所定の自動運転アルゴリズム、3次元マップ、各種パラメータ(センサ部40により検知された各種データ、無線通信部70を介して外部から取得したデータ)に基づき、自動運転車両1の行動を決定する。自動運転コントローラ30は、決定した行動をもとに制御コマンドを生成し、生成した制御コマンドを車載ネットワーク5を介して駆動部50に送信する。
【0015】
駆動部50は、動力系負荷、操舵系負荷、及び制動系負荷を含む。動力系負荷はモータとインバータを含む。インバータは、走行用電池62から供給される直流電力を交流電力に変換してモータに供給し、モータを回転させる。
【0016】
カーナビゲーションシステム20は、地図データを参照して、GPSセンサにより検出された現在位置から、ユーザが入力した目的地までのルートを検索する。GPSセンサは、複数のGPS衛星から、それぞれの発信時刻を含む電波をそれぞれ受信し、受信した複数の電波にそれぞれ含まれる複数の発信時刻をもとに受信地点の緯度経度を算出する。カーナビゲーションシステム20は、ユーザにより選定されたルートに基づき、ルート案内する。カーナビゲーションシステム20は、地図データを参照して、現在位置または指定位置から所定の距離圏内にある駐車場を検索することができる。
【0017】
待機計画作成システム10は、ユーザが自動運転車両1を降車してから、指定の待ち合わせ場所でユーザを再乗車させるまでの間の待機計画を作成するためのシステムである。待機計画作成システム10はカーナビゲーションシステム20と連携して動作する。図1では、待機計画作成システム10は、カーナビゲーションシステム20と別の筐体内の基板に実装される例を示している。
【0018】
なお、待機計画作成システム10はカーナビゲーションシステム20に組み込まれて構成されてもよい。例えば、待機計画作成プログラムが、カーナビゲーションシステム20に予めインストールされていてもよいし、カーナビゲーションシステム20に事後的にダウンロードされてインストールされてもよい。また、待機計画作成機能が実装されたICチップがカーナビゲーションシステム20に追加されていてもよい。
【0019】
図2は、実施形態に係る待機計画作成システム10の構成例を示す図である。実施形態に係る待機計画作成システム10は、処理部11及び通信部12を有する。処理部11は、待ち合わせ情報取得部111、待機場所情報取得部112、外部情報取得部113、残量取得部114、目的地情報取得部115、移動時間推定部116、待機計画作成部117、及び走行ルート出力部118を含む。
【0020】
処理部11の機能はハードウェア資源とソフトウェア資源の協働、またはハードウェア資源のみにより実現できる。ハードウェア資源として、CPU、ROM、RAM、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源としてオペレーティングシステム、アプリケーション等のプログラムを利用できる。通信部12は、車載ネットワーク5に接続するための通信インタフェース(例えば、CANコントローラ)である。
【0021】
待ち合わせ情報取得部111は、自動運転車両1を降車したユーザと自動運転車両1との待ち合わせ場所と待ち合わせ時刻を取得する。例えば、ユーザは降車前に、カーナビゲーションシステム20のタッチパネルディスプレイから待ち合わせ場所と待ち合わせ時刻を入力する。また音声入力で待ち合わせ場所と待ち合わせ時刻を入力しても良い。待ち合わせ情報取得部111は、カーナビゲーションシステム20に入力された待ち合わせ場所と待ち合わせ時刻を取得する。待ち合わせ場所は、ユーザの降車場所と同じであってもよいし、異なっていてもよい。ユーザが待ち合わせ場所の入力を省略した場合、待ち合わせ場所に、ユーザの降車場所が設定されてもよい。
【0022】
なお、カーナビゲーションシステム20とユーザのスマートフォン、または待機計画作成システム10とユーザのスマートフォンが連携している場合、ユーザはスマートフォンから待ち合わせ場所と待ち合わせ時刻を入力することもできる。その場合、自動運転車両1の外からも待ち合わせ場所と待ち合わせ時刻を入力することができる。
【0023】
ユーザは、待ち合わせ場所と待ち合わせ時刻を入力する際、待ち合わせ場所から向かう目的地も入力することができる。目的地も入力された場合、目的地情報取得部115は、入力された目的地の位置情報を取得する。なお、ユーザが目的地を入力しなかった場合、目的地は取得されない。
【0024】
待機場所情報取得部112はカーナビゲーションシステム20と連携して、入力された待ち合わせ場所から所定の距離内にある駐車場を検索する。所定の距離は、予め設定された固定の距離であっても良いし、自動運転車両1の現在の走行用電池62または燃料の残量で移動できる距離であっても良い。駐車場の検索は、自動運転車両1の待機場所を決定するために実行される。待機場所情報取得部112は、ヒットした少なくとも一の駐車場の位置情報と料金情報を取得する。待機場所情報取得部112は例えば、無線通信部70を介してインターネットに接続し、インターネット上のサーバ(不図示)に構築された駐車場に関する情報サイトから位置情報と料金情報を取得することができる。
【0025】
残量取得部114は、電池管理部61から走行用電池62のSOCを取得する。なお、自動運転車両1がエンジン車両の場合、残量取得部114は、燃料の残量(例えば、ガソリンタンク内のガソリンの残量)を取得する。自動運転車両1がハイブリッド車両である場合、残量取得部114は、燃料の残量と走行用電池62のSOCの両方を取得する。
【0026】
移動時間推定部116は、自動運転車両1の現在位置から、待機場所情報取得部112により取得された各駐車場への移動時間(以下、往路移動時間という)、及び各駐車場から待ち合わせ場所への移動時間(以下、復路移動時間という)を推定する。
【0027】
移動時間推定部116はカーナビゲーションシステム20と連携して、自動運転車両1の現在位置と各駐車場との間のルートを検索する。自動運転車両1の現在位置は、自動運転車両1内のGPSセンサにより検知された現在位置が設定される。ユーザの降車時に待機計画を作成する場合、自動運転車両1の現在位置はユーザの降車位置と同じになる。移動時間推定部116は、自動運転車両1の現在位置と各駐車場との間の最速ルートを選択し、各最速ルートの距離と所要時間を取得する。
【0028】
移動時間推定部116はカーナビゲーションシステム20と連携して、各駐車場と待ち合わせ場所の間のルートを検索する。復路の場合、移動時間推定部116は各駐車場と待ち合わせ場所の間のそれぞれ複数のルート候補の距離と所要時間をそれぞれ取得する。
【0029】
待機計画作成部117は、待ち合わせ場所に到着時の走行用電池62の推定SOCが設定値を下回らない範囲で、駐車場で掛かる料金が最も安価になる待機計画を作成する。当該設定値は、自動運転車両1が待ち合わせ場所に到着した時に保持されているべき走行用電池62の下限SOCを示す値である。
【0030】
目的地情報取得部115により目的地が取得されている場合、待機計画作成部117は、待ち合わせ場所から目的地までのルートの距離と自動運転車両1の電費[km/kWh]に基づき、当該設定値を決定する。具体的には、待機計画作成部117はカーナビゲーションシステム20と連携して、待ち合わせ場所と目的地との間のルートを検索する。待機計画作成部117は待ち合わせ場所と目的地との間の最速ルートを選択し、当該ルートの距離を取得する。なお、待機計画作成部117は、待ち合わせ場所から目的地までの距離と、メーターパネルに表示される走行可能距離情報(残燃料または残電量・燃費または電費に基づき算出されている)との関係に基づいて、ルート選択してもよい。待機計画作成部117は当該距離と、自動運転車両1の電費[km/kWh]に基づき、待ち合わせ場所から目的地までの移動で消費される走行用電池62のΔSOCを推定する。待機計画作成部117は、走行用電池62の使用下限SOC(例えば、0~10%)に、推定したΔSOCと所定のマージン(例えば、5~10%)を加算して当該設定値を算出する。
【0031】
なお、当該設定値には予め設定された固定値(例えば、50%)が設定されてもよい。また、当該設定値にユーザが設定した値を使用してもよい。例えば、自動運転車両1が近距離圏内でしか使用されていない場合、当該設定値には低い値が設定される。
【0032】
待機計画作成部117は待機場所情報取得部112から、各駐車場の料金情報を取得する。待機計画作成部117は移動時間推定部116から、現在位置から各駐車場への各最速ルートの距離と所要時間を取得する。待機計画作成部117は移動時間推定部116から、各駐車場から待ち合わせ場所へのそれぞれ複数のルート候補の距離と所要時間を取得する。待機計画作成部117は残量取得部114から、走行用電池62の現在SOCを取得する。
【0033】
待機計画作成部117は、各ルートの距離と、自動運転車両1の電費[km/kWh]をもとに、各ルートの移動で消費される走行用電池62のΔSOCを推定する。待機計画作成部117は、駐車場ごとに往路のルートと復路の各ルート候補の全通りの組み合わせを特定し、特定した組み合わせごとに、往路移動で消費されるΔSOCと復路移動で消費されるΔSOCを合計した移動合計ΔSOCを算出する。待機計画作成部117は、走行用電池62の現在SOCから移動合計ΔSOCを減算して、待ち合わせ場所到着時のSOCを推定する。待機計画作成部117は、推定した待ち合わせ場所到着時のSOCが上記設定値を下回らない組み合わせを待機計画候補として抽出する。
【0034】
待機計画作成部117は、各待機計画候補の駐車場への到着予定時刻と、当該駐車場からの出発予定時刻を特定する。到着予定時刻は、現在時刻に各待機計画候補の往路のルートの所要時間を加算することで求めることができる。出発予定時刻は、待ち合わせ時刻から各待機計画候補の復路のルートの所要時間を減算することで求めることができる。
【0035】
待機計画作成部117は、各待機計画候補の駐車場への到着予定時刻と、当該駐車場からの出発予定時刻の間の時間(以下、駐車時間という)と、当該駐車場の料金情報をもとに、各待機計画候補で必要となる駐車料金を算出する。時間帯によって料金が異なる駐車場の場合、待機計画作成部117は、駐車時間の時間帯も考慮して、各待機計画候補で必要となる駐車料金を算出する。
【0036】
待機計画作成部117は、駐車料金が最も安価になる待機計画候補が複数存在する場合、待ち合わせ場所に到着時の走行用電池62の推定SOCが最も多い(即ち、移動合計ΔSOCが最も少ない)待機計画候補を選択する。
【0037】
走行ルート出力部118は、待機計画作成部117により決定された待機計画に基づく走行ルートと走行スケジュールを自動運転コントローラ30に出力する。自動運転コントローラ30は、入力された走行ルートと走行スケジュールに基づき自動運転車両1を自律制御する。
【0038】
待機計画作成部117は、決定した待機計画を状況変化に応じて変更する。待機計画作成部117は、決定した待機計画に示される駐車場へ到着したタイミングで、当該駐車場への到着予定時刻と実際の到着時刻とのずれをチェックする。実際の到着時刻が到着予定時刻より遅い場合、駐車料金が高くなることはないため、待機計画に示される復路のルートと駐車場からの出発予定時刻を変更する必要はない。到着の遅れに応じて駐車時間を短縮すればよい。
【0039】
一方、当該駐車場への実際の到着時刻が到着予定時刻より早い場合、出発予定時刻まで当該駐車場に滞在すると、駐車料金が高くなる可能性がある。待機計画作成部117は、駐車場からの出発予定時刻が駐車料金の加算タイミングの時刻を跨ぐようになる場合、駐車料金が加算されないように駐車場からの出発予定時刻を駐車料金の加算タイミングの直前の時刻まで早める。待機計画作成部117は、変更後の出発予定時刻と待ち合わせ時刻をもとに復路移動時間を変更する。
【0040】
待機計画作成部117は、変更後の復路移動時間より所要時間の短い、当該駐車場から待ち合わせ場所までのルート候補の内、最も所要時間が長いルート候補を選択する。待機計画作成部117は、選択したルート候補の距離と自動運転車両1の電費[km/kWh]をもとに、当該ルート候補の移動で消費される走行用電池62のΔSOCを推定する。待機計画作成部117は、走行用電池62の現在SOCから、推定したΔSOCを減算して、待ち合わせ場所到着時のSOCを推定する。待機計画作成部117は、推定した待ち合わせ場所到着時のSOCが上記設定値を下回らない場合、当該ルート候補を採用し、復路のルートを変更する。
【0041】
待機計画作成部117は、推定した待ち合わせ場所到着時のSOCが上記設定値を下回る場合、GPSセンサにより検知された現在位置を設定して、待ち合わせ場所到着時の推定SOCが上記設定値を下回らない範囲で、駐車場で掛かる料金が最も安価になる待機計画を再作成する。待機計画の再作成により、駐車場の変更が発生するか、駐車料金の加算の受け入れが発生する。
【0042】
駐車場での待機中、外部情報取得部113はカーナビゲーションシステム20と連携して、復路のルートの混雑情報及び天気情報の少なくとも一方を定期的に取得する。外部情報取得部113は例えば、道路交通情報センタのサーバから、復路のルートの走行予定時間帯の混雑情報を取得する。また、外部情報取得部113は天気予報サイトのサーバから、復路のルートの走行予定時間帯の天気情報を取得する。
【0043】
移動時間推定部116は、ルートの混雑情報と所要時間の増減の関係をもとに統計的に導出された補正マップまたは補正関数に、外部情報取得部113により取得された混雑情報を適用して、復路のルートの所要時間(即ち、復路移動時間)を補正する。なお、往路のルートの所要時間を補正しても良いし、復路と往路の両方を補正しても良い。また、移動時間推定部116は、天気情報と所要時間の増減の関係をもとに統計的に導出された補正マップまたは補正関数に、外部情報取得部113により取得された天気情報を適用して、復路のルートの所要時間を補正する。なお、往路のルートの所要時間を補正しても良いし、復路と往路の両方を補正しても良い。
【0044】
待機計画作成部117は、補正された復路移動時間をもとに、駐車場からの出発時刻及び復路のルートの少なくとも一方を変更する。復路移動時間が延長方向に補正された場合、待機計画作成部117は、復路移動時間の延長分、駐車場からの出発予定時刻を早める。
【0045】
一方、復路移動時間が短縮方向に補正された場合において、復路移動時間の短縮分、駐車場からの出発予定時刻を遅くすると、駐車料金の加算タイミングの時刻を跨ぐ可能性がある。待機計画作成部117は、駐車場からの出発予定時刻を遅くしても駐車料金の加算タイミングを跨がない場合、復路移動時間の短縮分、駐車場からの出発予定時刻を遅くする。
【0046】
一方、駐車場からの出発予定時刻を遅くすると駐車料金の加算タイミングを跨ぐ場合、待機計画作成部117は、駐車料金が加算されないように駐車場からの出発予定時刻を駐車料金の加算タイミングの直前の時刻に変更する。待機計画作成部117は、変更後の出発予定時刻と待ち合わせ時刻をもとに復路移動時間を変更する。
【0047】
待機計画作成部117は、変更後の復路移動時間より所要時間の短い、当該駐車場から待ち合わせ場所までのルート候補の内、最も所要時間が長いルート候補を選択する。待機計画作成部117は、選択したルート候補の距離と自動運転車両1の電費[km/kWh]をもとに、当該ルート候補の移動で消費される走行用電池62のΔSOCを推定する。待機計画作成部117は、走行用電池62の現在SOCから、推定したΔSOCを減算して、待ち合わせ場所到着時のSOCを推定する。待機計画作成部117は、推定した待ち合わせ場所到着時のSOCが上記設定値を下回らない場合、当該ルート候補を採用し、復路のルートを変更する。
【0048】
待機計画作成部117は、推定した待ち合わせ場所到着時のSOCが上記設定値を下回る場合、GPSセンサにより検知された現在位置を設定して、待ち合わせ場所到着時の推定SOCが上記設定値を下回らない範囲で、駐車場で掛かる料金が最も安価になる待機計画を再作成する。待機計画の再作成により、駐車場の変更が発生するか、駐車料金の加算の受け入れが発生する。
【0049】
以上の説明において、自動運転車両1がエンジン車両の場合、走行用電池62のSOCは燃料の残量、ΔSOCは燃料の消費量、自動運転車両1の電費[km/kWh]は自動運転車両1の燃費[km/L]にそれぞれ読み替えられる。
【0050】
図3は、待機計画作成の具体例を示す図である。図3は、降車場所P1と待ち合わせ場所P3が離れている例を示している。また、目的地P4も設定される例を示している。待機場所情報取得部112は、待ち合わせ場所P3から所定の距離内にある駐車場を検索する。図3では第1駐車場P(2a)と第2駐車場P(2b)の2つがヒットしている。第1駐車場P(2a)の駐車料金は200円/30分であり、第2駐車場P(2b)の駐車料金は100円/20分であり、第2駐車場P(2b)の駐車料金の方が安価である。
【0051】
一般的に駐車料金は、オフィス街や繁華街の中心地に近いほど高く、離れるほど安くなる傾向がある。待ち合わせ場所P3が中心地に近い場合、待ち合わせ場所P3から離れた場所の駐車場に駐車した方が駐車料金が安価になる可能性が高まる。ただし、走行用電池62の電気容量または燃料の消費が大きくなる。また、待ち合わせ場所P3から目的地P4まで充電または給油なしに到着することがユーザの利便性向上につながる。待機計画作成部117は上述した方法により、駐車料金の節約、電池容量または燃料の節約、及び利便性低下の防止の要請を満たす待機計画を作成する。
【0052】
図4は、ユーザの降車時に作成される待機計画の時間的な内訳を示す図である。ユーザの降車時に作成される待機計画の全体時間は、降車場所P1から駐車場P2までの往路移動時間と、駐車場P2での駐車時間と、駐車場P2から待ち合わせ場所P3までの復路移動時間の合計で規定される。待ち合わせ場所P3から目的地P4までの移動時間は、待機計画には含まれない。なお、ユーザの降車後に作成される待機計画は、降車場所P1の代わりに現在位置が使用される。
【0053】
図5は、ルート変更の具体例を示す図である。駐車場2bの駐車料金の加算タイミング、道路の混雑状況、または天気の都合で、駐車場2bから出発時刻を早める必要がある場合が発生する。待機計画作成部117は出発時刻を早める場合、それに伴う復路移動時間の延長に応じて、待ち合わせ場所P3へのルートを、第1ルートR1から、第2ルートR2~第4ルートR4のいずれかに変更する。
【0054】
図6は、復路移動時間の延長が発生した場合の待機計画の時間的な変更を示す図である。復路移動時間の延長は例えば、降車場所P1から駐車場P2へ到着予定時刻より早く到着した際に発生する。なお、駐車料金の加算タイミングの時刻を跨がない範囲で、駐車時間を延長してもよいし、駐車時間と復路移動時間の両方を延長してもよい。
【0055】
図7は、実施形態に係る待機計画作成システム10による待機計画作成の基本処理の流れを示すフローチャートである。待ち合わせ情報取得部111は、自動運転車両1とユーザとの待ち合わせ場所と待ち合わせ時刻を取得し、目的地情報取得部115は、待ち合わせ場所でユーザが乗車後の目的地を取得する(S10)。残量取得部114は、電池管理部61から走行用電池62の現在SOCを取得する(S11)。待機場所情報取得部112は、待ち合わせ場所から所定の距離圏内にある駐車場を検索する(S12)。待機場所情報取得部112は、ヒットした各駐車場の位置情報と料金情報を取得する(S13)。
【0056】
待機計画作成部117は、待ち合わせ場所から目的地までのルートの距離と自動運転車両1の電費に基づき、待ち合わせ場所到着時の下限SOCを決定する(S14)。待機計画作成部117は、待ち合わせ場所到着時の推定SOCが当該下限SOCを下回らない範囲内で、駐車料金が最も安価な待機計画を作成する(S15)。
【0057】
駐車料金が最も安価な待機計画が一つの場合(S16のN)、当該待機計画を採用する。駐車料金が最も安価な待機計画が複数発生した場合(S16のY)、待機計画作成部117は、待ち合わせ場所到着時の推定SOCが最も多い待機計画を選択する(S17)。
【0058】
以上説明したように本実施形態によれば、利便性を確保しつつ、自動運転車両1の駐車料金を抑制することができる。待ち合わせ場所から目的地までの距離に応じて、待ち合わせ場所到着時のSOCまたは燃料の推定残量の下限を設定することで、待ち合わせ場所から目的地まで充電または給油を行わずに移動することができ、ユーザの利便性が確保される。これに対して、目的地までの途中で充電または給油が必要になる場合、充電または給油の時間が必要になり、目的地への到着時刻が遅延し、ユーザの利便性が低下する。また、待ち合わせ時刻までの状況変化を反映して復路移動時間を調整することで、駐車料金の加算を回避しつつ、設定された待ち合わせ時刻に待ち合わせ場所に到着することができる。
【0059】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0060】
上述の実施形態では、復路移動時間を延長させる場合、待機計画作成部117が復路のルートを所要時間が長いルートに変更する例を説明した。この点、待機計画作成部117は、復路のいずれかのルートを2周以上して、復路移動時間を延長してもよい。また、待機計画作成部117は、可能な範囲で自動運転車両1の走行速度を変更してもよい。また、待機計画作成部117は、ルート変更と速度変更の両方を行ってもよい。
【0061】
上述の実施形態では自動運転車両1を想定したが、実施形態に係る待機計画作成システム10は、運転手(ユーザと別人)付きの車両にも適用可能である。この場合、待機計画作成システム10はカーナビゲーションシステム20やディスプレイオーディオ等のディスプレイに、作成した待機計画を表示して、運転手に待機計画を提示する。
【符号の説明】
【0062】
1 自動運転車両、 5 車載ネットワーク、 10 待機計画作成システム、 11 処理部、 111 待ち合わせ情報取得部、 112 待機場所情報取得部、 113 外部情報取得部、 114 残量取得部、 115 目的地情報取得部、 116 移動時間推定部、 117 待機計画作成部、 118 走行ルート出力部、 12 通信部、 20 カーナビゲーションシステム、 30 自動運転コントローラ、 40 センサ部、 50 駆動部、 60 電池パック、 61 電池管理部、 62 走行用電池、 70 無線通信部。
図1
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図7