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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117638
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】感知器
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20230817BHJP
【FI】
G08B17/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020311
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】舛永 鈴菜
【テーマコード(参考)】
5G405
【Fターム(参考)】
5G405AA01
5G405AB01
5G405AB02
5G405AB03
5G405BA01
5G405CA55
5G405FA06
(57)【要約】
【課題】内部に回路基板等を収容した筐体(感知器カバー)を固定具で被取り付け箇所に取り付ける感知器において、回路基板に一端が接続されるリード線の収容作業や固定具での取り付け作業を円滑に行うことで、施工性の向上を図る。
【解決手段】感知器は、室内の状態変化を感知する感知部と該感知部が実装される回路基板とを具備する感知部本体と、室内の被取り付け箇所に固定具で取り付けられ感知部本体が内部に収容される感知器カバーとを備え、感知器カバーは、感知部本体を支持する底部と、底部の中央に設けられ感知部に臨む開口部を備え、底部には、開口部を挟んで一対の取り付け孔部が一直線に沿って設けられ、一方向に長形の感知部本体の長手方向が一直線に沿って配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の状態変化を感知する感知部と該感知部が実装される回路基板とを具備する感知部本体と、室内の被取り付け箇所に固定具で取り付けられ前記感知部本体が内部に収容される感知器カバーとを備える感知器であって、
前記感知器カバーは、前記感知部本体を支持する底部と、前記底部の中央に設けられ前記感知部に臨む開口部を備え、
前記底部には、前記開口部を挟んで一対の取り付け孔部が一直線に沿って設けられ、一方向に長形の前記感知部本体の長手方向が前記一直線に沿って配置されていることを特徴とする感知器。
【請求項2】
前記感知器カバーの内部における前記一直線の両側には、略同等の広さとなる収容空間が形成され、一端が前記回路基板に接続されるリード線が前記収容空間に収容されることを特徴とする請求項1記載の感知器。
【請求項3】
前記感知部本体と前記取り付け孔部との間には、被取り付け箇所から突出する固定具のネジ頭を前記取り付け孔部の引掛け片に導くネジ頭当接部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の感知器。
【請求項4】
前記取り付け孔部は、前記一直線に沿って延設される長孔を有し、
前記引掛け片を有する側の前記取り付け孔部の長孔の長さを、他方の前記取り付け孔部の長孔の長さより長くしたことを特徴とする請求項3記載の感知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防災用の感知器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
火災等の防災用感知器として、筐体の内部に感知素子を実装した回路基板を収容し、筐体をネジなどの固定具で天井等の被取り付け箇所に直付けするものが知られている(下記特許文献1参照)。このような感知器は、筐体に一対の取り付け孔が設けられており、その取り付け孔にネジなどの固定具を挿入して、回路基板等が収納された筐体を被取り付け箇所に固定している。また、筐体の内部には、回路基板等の周囲に空間が設けられ、その空間に、回路基板に一端が接続され他端が既設配線に接続されるリード線の余長部を収容している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-209358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の感知器によると、回路基板等の周囲の狭い空間を利用して、リード線の余長を巻き回すように収容している。このため、リード線の収容作業において、リード線を整列させた状態にする必要があり、施工時の作業が煩雑になる。
【0005】
また、従来の感知器は、感知器の筐体を直接取り付ける際に、リード線を既設配線に接続した後に固定具での取り付けを行うことになるが、リード線余長部の収容作業と合わせて固定具での取り付けを行うことで、円滑な施工性を得ることが難しいという問題もあった。
【0006】
本発明は、このような問題に対処することを課題としている。すなわち、内部に回路基板等を収容した筐体(感知器カバー)を固定具で被取り付け箇所に取り付ける感知器において、回路基板に一端が接続されるリード線の収容作業や固定具での取り付け作業を円滑に行うことで、施工性の向上を図ることが、本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するために、本発明の感知器は、以下の構成を具備するものである。
室内の状態変化を感知する感知部と該感知部が実装される回路基板とを具備する感知部本体と、室内の被取り付け箇所に固定具で取り付けられ前記感知部本体が内部に収容される感知器カバーとを備える感知器であって、前記感知器カバーは、前記感知部本体を支持する底部と、前記底部の中央に設けられ前記感知部に臨む開口部を備え、前記底部には、前記開口部を挟んで一対の取り付け孔部が一直線に沿って設けられ、一方向に長形の前記感知部本体の長手方向が前記一直線に沿って配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このような特徴を有する本発明の感知器によると、内部に回路基板等を収容した感知器カバーを固定具で被取り付け箇所に取り付ける感知器において、回路基板に一端が接続されるリード線の収容作業や固定具での取り付け作業を円滑に行うことで、施工性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る感知器の分解斜視図。
図2】本発明の実施形態に係る感知器の外観斜視図。
図3】本発明の実施形態に係る感知器の平面図。
図4】本発明の実施形態に係る感知器の断面図(取り付け状態説明図)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0011】
図1図4に示すように、本発明の実施形態に係る感知器1は、感知部本体2と、感知部本体2が内部に収容される感知器カバー3を備える。感知部本体2は、感知部20、回路基板21、本体部22、リード線23、本体カバー24などを備えている。感知器カバー3は、感知部本体2を収容した状態で、後述するように、室内の天井などの被取り付け箇所に固定具で取り付けられる。
【0012】
感知部20は、室内の状態変化を感知するセンサであり、図示の例では、棒状のサーミスタを用いた感熱素子を示しているが、これに限らず、煙を感知する光電式の煙感知部、COなどの有害ガスを感知するガスセンサ、或いはこれらを複合感知する複合感知部などであってもよい。感知部20は、感知部20の出力を信号処理する電子回路を備える回路基板21に実装されている。回路基板21に感知部20を実装することで、前述した電子回路と感知部20が電気的に接続される。感知部20を実装した回路基板21は、本体部22の前面に配置される。
【0013】
リード線23は、一端が回路基板21に接続され他端が天井裏などに配備されている既設配線に接続される。リード線23は、感知部20が感知した信号を外部へ伝送するための信号線と給電線を備えている。
【0014】
本体カバー24は、本体部22と感知部20が実装された回路基板21を収容し、感知部20を保護する保護枠4を介して、支持枠5に係合される。本体カバー24は、被係合部(係合孔)24Aを有しており、被係合部24Aが支持枠5の係合部(係合爪)5Bに係合される。支持枠5は、支持部5Aを備えており、支持部5A上に回路基板21が支持される。感知部本体2は、感知部20を保護する保護枠4と支持枠5を介して、感知器カバー3の内部に支持される。
【0015】
感知器カバー3は、感知部本体2を支持する底部3Aと、底部3Aの中央に設けられ、感知部20へ向かって熱気流や煙が流入する開口部3Bと、底部3Aの外縁に設けられる外周壁部3Cを備えている。底部3Aには、内部側に、感知器カバー3を被取り付け箇所に取り付けるための取り付け孔部10が設けられている。
【0016】
感知器カバー3における底部3Aの外側には、開口部3Bの周囲に、外側に突出して感知部20を保護する保護リブ3Dが設けられている。保護リブ3Dは、感知部20に臨む開口部3Bの周りに設けられ、開口部3Bの中心に位置する感知部20を囲んで機械的な衝撃等から保護する機能を有している。また、感知器カバー3の底部3Aの外側には、工具挿入孔3Eが設けられている。
【0017】
感知器カバー3における底部3Aの内側に設けられる取り付け孔部10は、開口部3Bを挟んで一対設けられ、一対の取り付け孔部10は、図3に一点鎖線で示す一直線Lに沿って設けられている。一対の取り付け孔部10は、それぞれ前述した工具挿入孔3Eに連通する長孔10A,10Bを有している。長孔10A,10Bは、図示の一直線Lに沿って延設され、その長手方向は、図示の一直線Lの方向に一致している。なお、図示の一直線Lは、長孔10A,10Bの中心と開口部3Bの中心(底部3Aの中心)を通っている。
【0018】
感知器カバー3における底部3Aの内側に支持される感知部本体2は、図3に示すように、平面視で一方向に長形の形状を有している。そして、感知部本体2の長手方向が、一直線Lに沿って配置されている。より具体的には、感知部本体2は、底部3Aの中央に配置され、一直線Lと重なるように配置されている。
【0019】
このような感知部本体2の配置によって、感知器カバー3の内部には、一直線Lの両側に略同等の広さとなる収容空間S1,S2が形成される。この収容空間S1,S2は、前述したリード線23の余長部を感知器カバー3内に収容するための空間になる。
【0020】
底部3Aの内側に支持された感知部本体2と一方の取り付け孔部10との間には、被取り付け箇所から突出する固定具のネジ頭を取り付け孔部10に導くネジ頭当接部13が設けられる。ネジ頭当接部13は、図1に示すように、支持枠5に対して一体に設けられている。
【0021】
図3に示すように、前述した取り付け孔部10は、一方側の長孔10Aに、引掛け片11が設けられている。引掛け片11は、長孔10Aの周囲に設けられ、底部3Aの中央側に切り欠きが形成されている。引掛け片11が設けられた側の取り付け孔部10には、ネジ挿入ガイド12が設けられている。また、引掛け片11を有する側の取り付け孔部10の長孔10Aの長さL1を、他方の取り付け孔部10の長孔10Bの長さL2より長くしている。
【0022】
ネジ挿入ガイド12は、底部3Aの内面に立設された一対の平板状のリブであり、底部3Aの中央側の間隔を広げて取り付け孔部10の長孔10Aに向けて間隔を狭めるように、一直線Lに対して傾斜して設けることで、その間に配置されたネジのネジ頭を引掛け片11の切り欠きに導く。ネジ挿入ガイド12の一対のリブ間には、前述したネジ頭当接部13が設けられている。
【0023】
図4を参照して、感知器1の取り付け作業を説明する。感知器1を被取り付け箇所Tに取り付けるに際して、被取り付け箇所Tには予め1つのネジ(固定具)Nを取り付けておく。そして、被取り付け箇所Tの配線引き出し孔T1から既設配線Kを引き出した状態で、感知器1のリード線23を配線引き出し孔T1から引き出された既設配線Kに接続部Jにて接続する接続作業を行う。その後、接続されたリード線23を感知器カバー3の収納空間S1,S2にそれぞれ収納する。そして、図4に示すように、ネジNのネジ頭Ntを感知部本体2と取り付け孔部10との間に設けたネジ頭当接部13上に当接させ、その後、感知器1を横にスライドさせることで、図示一点鎖線で示すようにネジ頭Ntを引掛け片11に引掛ける。
【0024】
このように、ネジNのネジ頭Ntが引掛け片11に引っ掛かった状態になると、感知器1は、被取り付け箇所Tに対して係止された状態になる。
【0025】
その状態で、感知器1を横にスライドしながら調整することで、もう一方側の長孔10Bを被取り付け箇所Tのネジ孔Mに合わせ、長孔10Bに連通する工具挿入孔3Eから別のネジを挿入し、ネジ孔Mに螺合する。最終的には、工具挿入孔3Eに工具(ドライバー)を挿入して2つのネジを締め付けて、取り付けを完了する。
【0026】
このような取り付け作業を行うことができる感知器1は、感知器1を被取り付け箇所Tに係止する際に、予め被取り付け箇所Tに取り付けているネジNのネジ頭Ntをネジ頭当接部13に当接された状態で感知器1を横にスライドさせるだけで、簡単に感知器1を取り付け箇所Tに係止させることができる。
【0027】
また、既設配線Kに接続されたリード線23を感知器カバー3の内部に収容させる際には、一対の広い収容空間S1,S2を利用して、特にリード線23を整列させることなく収容することができるので、簡易に収容作業を行うことができ、その後のネジ締めを円滑に行うことができる。
【0028】
更に、感知器1を被取り付け箇所TにネジNで係止した状態で、もう一方の取り付け孔部10にネジを挿入する際には、引掛け片11が設けられている側の取り付け孔部10の長孔10Aの長さL1を、もう一方の取り付け孔部10の長孔10Bの長さL2より長くしているので、感知器1を横にスライドする調整範囲を大きくとることができ、長孔10Bを簡易に被取り付け箇所Tのネジ孔Mに合わせることができる。
【0029】
このように、本発明の実施形態に係る感知器1によると、内部に感知部本体2を収容した感知器カバー3を固定具で被取り付け箇所Tに取り付ける感知器1において、リード線23の収容作業や固定具での取り付け作業を円滑に行うことができ、施工性を向上させることができる。
【0030】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0031】
1:感知器,2:感知部本体,
20:感知部,21:回路基板,22:本体部,23:リード線
24:本体カバー,24A:被係合部
3:感知器カバー,3A:底部,3B:開口部,3C:外周縁部,
3D:保護リブ,3E:工具挿入孔,
4:保護枠,5:支持枠,5A:支持部,5B:係合部,
10:取り付け孔部,10A,10B:長孔,11:引掛け片,
12:ネジ挿入ガイド,13:ネジ頭当接部,
N:ネジ(固定具),Nt:ネジ頭,
T:被取り付け箇所,T1:配線引き出し孔,
L:一直線,S1,S2:収容空間,M:ネジ孔,K:既設配線,J:接続部
図1
図2
図3
図4