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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117641
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】トレー状紙容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/20 20060101AFI20230817BHJP
   B65D 5/40 20060101ALI20230817BHJP
   B65D 81/34 20060101ALI20230817BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
B65D5/20 B
B65D5/40
B65D81/34 U
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020314
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】谷口 正幸
【テーマコード(参考)】
3E013
3E060
3E086
【Fターム(参考)】
3E013BB06
3E013BC01
3E013BC04
3E013BC13
3E013BC14
3E013BD11
3E013BE01
3E060AA03
3E060AB15
3E060BC04
3E060DA21
3E060DA26
3E060DA30
3E060EA13
3E086AB01
3E086AD05
3E086BA14
3E086BA15
3E086BB41
3E086CA01
(57)【要約】
【課題】コストを抑えて、しかも、内容物を密封したまま電子レンジ加熱した場合でも内容物の漏れを生じにくいトレー状紙容器を提供すること。
【解決手段】板紙層2と内面合成樹脂フィルム層4とを有する積層体を所定の形状に打ち抜いたブランクシート1を成形してトレー状紙容器10とする。そして、内面合成樹脂フィルム層4が多層構造を有しており、この多層構造のうちその板紙側の紙側層41をポリエチレン樹脂で構成し、内容物と接する容器最内面の容器内側層43をポリプロピレン樹脂で構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板紙層と内面合成樹脂フィルム層とを有する積層体を所定の形状に打ち抜いたブランクシートを成形してなるトレー状紙容器であって、
前記内面合成樹脂フィルム層が多層構造を有しており、この多層構造のうちその板紙側の紙側層がポリエチレン樹脂で構成されており、内容物と接する容器最内面の容器内側層がポリプロピレン樹脂で構成されていることを特徴とするトレー状紙容器。
【請求項2】
前記板紙層が、底面板と、この底面板の周囲から立ち上がった側面板と、側面板同士の間を塞ぎ、かつ、底面板の周囲から立ち上がったコーナー板と、これら側面板の外側にそれぞれ連接して、容器のフランジを構成する複数の縁片とを備えて構成されており、
前記フランジの表面に前記内面合成樹脂フィルム層が配置されて、しかもこのフランジに段差がないことを特徴とする請求項1に記載のトレー状紙容器。
【請求項3】
前記ブランクシートは、正八角形を縦方向と横方向に引き伸ばした形状の底面板を有し、底面板の引き伸ばされていない4辺には、それぞれ山折罫線を介して長方形状のコーナー板が連設されており、
底面板の他の辺には、それぞれ山折罫線を介して逆台形形状の側面板が連設され、各側面板には谷折罫線を介して縁片が連設されており、
各コーナー板と側面板および各コーナー板と縁片との間には、板紙層が打ち抜かれて内面合成樹脂フィルム層が存在する部分があることを特徴とする請求項1に記載のトレー状紙容器。
【請求項4】
前記内面合成樹脂フィルム層の厚みが20~200μmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のトレー状紙容器。
【請求項5】
前記ポリプロピレン層とポリエチレン層との間に中間樹脂層を有することを特徴とする請求項1に記載のトレー状紙容器。
【請求項6】
前記中間樹脂層がナイロン及びエチレン-ビニルアルコール共重合体から選択された一つの樹脂を含むことを特徴とする請求項5に記載のトレー状紙容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレー形状の紙容器に関し、内容物を密封したまま電子レンジ加熱した場合にも、内容物の漏れを生じにくいトレー状紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
紙に合成樹脂フィルム層を積層した積層体で構成されたトレー状紙容器は公知である(特許文献1参照)。
【0003】
しかし、このトレー状紙容器に液体内容物を密封したまま電子レンジで加熱調理するためには、この電子レンジ加熱によって内面の合成樹脂フィルム層にピンホールが生じたり、あるいはトレー状紙容器自体が変形することを防ぐ必要がある。
【0004】
このようなピンホールや変形を防ぐためには、内面にポリプロピレンフィルムを積層すればよい。しかし、ポリプロピレンフィルムは高価であり、このため、充分な耐熱性を付与するために必要なコストは大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-86911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、容器全体のコストを抑えて、しかも、内容物を密封したまま電子レンジ加熱した場合でも内容物の漏れを生じにくいトレー状紙容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、請求項1に記載の発明は、板紙層と内面合成樹脂フィルム層とを有する積層体を所定の形状に打ち抜いたブランクシートを成形してなるトレー状紙容器であって、
前記内面合成樹脂フィルム層が多層構造を有しており、この多層構造のうちその板紙側の紙側層がポリエチレン樹脂で構成されており、内容物と接する容器最内面の容器内側層がポリプロピレン樹脂で構成されていることを特徴とするトレー状紙容器である。
【0008】
このトレー状紙容器を構成する前記板紙層は、底面板と、この底面板の周囲から立ち上がった側面板と、側面板同士の間を塞ぎ、かつ、底面板の周囲から立ち上がったコーナー板と、これら側面板の外側にそれぞれ連接して、容器のフランジを構成する複数の縁片とを備えて構成され、前記フランジの表面に前記内面合成樹脂フィルム層が配置されて、しかもこのフランジに段差がないものであることが望ましい。容器のフランジに段差がないから、このフランジに蓋材を重ねて隙間なく密封することができるからである。なお、このように容器のフランジを構成する複数の縁片の間に段差がないトレー状紙容器は、前記ブランクシートとして次のようなものを使用することによって形成することができる。
【0009】
すなわち、このブランクシートは、正八角形を縦方向と横方向に引き伸ばした形状の底面板を有し、底面板の引き伸ばされていない4辺には、それぞれ山折罫線を介して長方形状のコーナー板が連設されており、
底面板の他の辺には、それぞれ山折罫線を介して逆台形形状の側面板が連設され、各側
面板には谷折罫線を介して縁片が連設されており、
各コーナー板と側面板および各コーナー板と縁片との間には、板紙層が打ち抜かれて内面合成樹脂フィルム層のみが存在する部分があるものである。
【0010】
なお、前記内面合成樹脂フィルム層としては、その厚みが20~200μmの範囲にあるものを使用できる。
【0011】
また、この内面合成樹脂フィルム層は、ポリプロピレン層とポリエチレン層との間に中間樹脂層を有するものであってもよい。中間樹脂層としてはナイロン及びエチレン-ビニルアルコール共重合体から選択された樹脂であってよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、ポリプロピレン層とポリエチレン層とを含む内面合成樹脂フィルム層を使用しているため、ポリプロピレンの使用量を削減して、そのコストを低減することができる。
【0013】
しかも、容器内側にはポリプロピレン層を配置しているから、電子レンジ加熱による変形を抑制し、また、ピンホールも発生し難い。また、その反対側にポリエチレン層を配置した内面合成樹脂フィルム層を使用しているから、例えば、溶融したポリエチレン樹脂を介してこの内面合成樹脂フィルム層と紙とを強固に接合することができ、電子レンジ加熱によっても内面合成樹脂フィルム層が紙から剥離することがなく、このため、内容物を密封したまま電子レンジ加熱した場合でも内容物の漏れを生じにくい。なお、容器内側にはポリプロピレン層を配置していることから、電子レンジ加熱に伴って内容物から油分が発生した場合にも、この油分に対する耐性に優れるという副次的な効果も奏する。
【0014】
また、容器のフランジを構成する複数の縁片の間に段差がない場合には、このフランジに蓋材を重ねて隙間なく密封することができるため、このように密封した状態で電子レンジ加熱することにより、内容物を十分に蒸すことが可能である。
【0015】
また、内面合成樹脂フィルム層がポリプロピレン層とポリエチレン層との間に中間樹脂層を有する場合には、電子レンジ加熱によってポリエチレン層にピンホールを生じた場合にも、中間樹脂層にピンホールを生じなければ、内容物の漏れを生じにくい。なお、この中間樹脂層がナイロン及びエチレン-ビニルアルコール共重合体から選択された一つの樹脂を含むときには、これらナイロンやエチレン-ビニルアルコール共重合体は高い酸素バリア性を有するため、食品内容物の保存性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は本発明の実施の形態に係るトレー状紙容器を構成するブランクシートの部分断面図である。
図2図2は本発明の実施の形態に係るトレー状紙容器を構成するブランクシートの平面模式図である。
図3図3は本発明の実施の形態に係るトレー状紙容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を例として、本発明を説明する。なお、便宜上、まず、トレー状紙容器を構成するブランクシートの層構成を説明する。
【0018】
図1は本発明の実施の形態に係り、図1は本発明の実施の形態に係るトレー状紙容器10を構成するブランクシートBLの部分断面図である。
【0019】
図1から分るように、ブランクシートBLは、所定形状に断裁された板紙2に、必要な打ち抜き11を施し、そのトレー状紙容器10の内面側に内面合成樹脂フィルム層4を積層して構成されている。板紙2と内面合成樹脂フィルム層4とは接着性樹脂層3を介して接合されている。
【0020】
この内面合成樹脂フィルム層4は、図2に示すように、多層構造を有する必要がある。その板紙2側の層(紙側層)41はポリエチレン樹脂で構成されている必要がある。このように紙側層41をポリエチレン樹脂で構成しているため、例えば、溶融したポリエチレン樹脂を介してこの内面合成樹脂フィルム層4と板紙2とを強固に接合することができ、電子レンジ加熱によっても内面合成樹脂フィルム層4が板紙2から剥離することを防止できる。ポリエチレン樹脂としては、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)あるいは直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)等を使用できる。
【0021】
一方、内容物と接する容器10最内面の層(容器内側層)43はポリプロピレン樹脂(PP)で構成されている必要がある。このように内容物と接する容器内側層43をポリプロピレン樹脂で構成したため、内容物を密封したまま電子レンジで加熱しても、その熱によるトレー状紙容器10の変形を抑制し、また、容器内側層43の溶融や内部での発泡、ピンホールの発生も抑制する。
【0022】
そして、このように電子レンジ加熱の際に、トレー状紙容器10の変形、ピンホールの発生及び内面合成樹脂フィルム層4の剥離を防止できるから、内容物を密封したまま電子レンジ加熱しても内容物の漏れを生じにくいのである。
【0023】
なお、この例では、紙側層41と容器内側層43との間に中間層42が設けられているが、この中間層42は必須のものではない。もっとも、中間層42を有する場合には、電子レンジ加熱によって紙側層41にピンホールを生じた場合にも、中間層42にピンホールを生じなければ、内容物の漏れを生じにくい。中間層42としては、ナイロン(Ny)又はエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)を好ましく使用できる。そして、中間層42がナイロン及びエチレン-ビニルアルコール共重合体から選択された一つの樹脂を含む場合には、前述のようにピンホールの発生を防いで内容物の漏れを防止することに加えて、トレー状紙容器10に密封した食品内容物の保存性を高めることができる。
【0024】
この内面合成樹脂フィルム層4は溶融共押出し成形法によって成形することが可能である。その厚みは20~200μmの範囲であればよい。
【0025】
次に、打ち抜き11が施された板紙2と内面合成樹脂フィルム層4とは、その間に溶融した接着性樹脂3を押出し、この溶融した接着性樹脂3を介して板紙2と内面合成樹脂フィルム層4とを押圧することによって積層することができる。前述のように、紙側層41がポリエチレン樹脂で構成されているため、これと強固に溶着できるポリエチレン樹脂を接着性樹脂3として使用することが望ましい。
【0026】
次に、トレー状紙容器10を形成するために必要なブランクシートBLの構造について説明し、次にトレー状紙容器10の構造について説明する。
【0027】
図2は本発明の実施の形態に係るトレー状紙容器10を構成するブランクシートBLの平面模式図である。このブランクシートBLは、正八角形を縦方向と横方向に引き伸ばした形状の底面板5を有し、底面板5の引き伸ばされていない4辺には、それぞれ山折罫線e、f、g、hを介して長方形状のコーナー板6、6、6、6が連設されており、底面板5の他の辺には、それぞれ山折罫線a、b、c、dを介して逆台形形状の側面板7、7、
7、7が連設され、各側面板7には谷折罫線i、j、k、lを介して縁片8が連設されている。各コーナー板6と側面板7、および各コーナー板6と縁片8との間には、板紙層2が打ち抜かれて内面合成樹脂フィルム層4のみが存在する部分すなわち打ち抜き部11が存在する。
【0028】
次に、このブランクシートBLを使用してトレー状紙容器10を形成する方法について説明する。図3はこのブランクシートBLを使用して形成したトレー状紙容器10の斜視図である。
【0029】
すなわち、このブランクシートBLを使用してトレー状紙容器10を形成するには、まず、山折罫線a、b、c、dで折り曲げて各側面板7を立ち上げると共に、山折罫線e、f、g、hで折り曲げて各コーナー板6を立ち上げる。この各側面板7及び各コーナー板6の立ち上げに伴い、打ち抜き部11の内面合成樹脂フィルム層4は二つ折りされる。また、各側面板7の先端部とこの各側面板7に連設された縁片8が、各コーナー板6の内側に折り込まれる。そして、このとき、図4から分かるように、隣接する側面板7の先端部同士を突合せるように各側面板7を立ちあげる。各コーナー板6は各側面板7の外側に位置するが、このため、各コーナー板6は側面板同士の間を塞いでいる。
【0030】
そして、各縁片8の全部が連続するように谷折罫線i、j、k、lで折り曲げ、この各縁片8の全部によってフランジ部9を構成する。この際、隣接する縁片8の先端同士を突合せるように各縁片8を折り曲げることにより、この縁片8は側面板7の上端に連続して、しかも、容器10の開口部の周囲を囲むフランジ部9を形成することができる。そして、このフランジ部9は隣接する縁片8を突合せて構成されているため、底面5に平行で段差がない平坦な面を構成している。しかも、このフランジ部9の上側の面には内面合成樹脂フィルム層4が配置されている。そして、このため、シート状の蓋材を重ねて、このフランジ部9にシールすることにより、隙間なく密封することができる。
【実施例0031】
<実施例1>
板紙2として三菱製紙社製パールカード(坪量260g/m)を使用して、図2に示す形状に打ち抜いた。
【0032】
また、内面合成樹脂フィルム層4として、二層構造の共押出しフィルムを使用した。この二層構造のうち、紙側層41は低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、容器内側層43はポリプロピレン樹脂(PP)で構成されている。なお、この内面合成樹脂フィルム層4の厚みは60μmである。
【0033】
そして、この板紙2と内面合成樹脂フィルム層4との間に溶融した接着性樹脂3を押出し、この溶融した接着性樹脂3を介して板紙2と内面合成樹脂フィルム層4とを押圧することによって積層した。なお、接着性樹脂3としては低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)を使用した。得られた積層体を所定の形状に打ち抜いてブランクシートBLとした後、このブランクシートBLから図3に示したような形状のトレー状紙容器10を製造した。
【0034】
このトレー状紙容器10に液体内容物を収容した後シート状の蓋材を重ね、この蓋材と容器10のフランジ部9とをシールして密封した。こうして密封したトレー状紙容器10を電子レンジで加熱した後、このトレー状紙容器10の変形の有無、板紙2から内面合成樹脂フィルム層4が剥離した部分の有無、及び内面合成樹脂フィルム層4に発生したピンホールの有無について評価した。
【0035】
<実施例2>
内面合成樹脂フィルム層4として、三層構造の共押出しフィルムを使用した他は、実施例1と同様にブランクシートBLを作成し、同様にトレー状紙容器10を製造した。実施例1と同様に評価した。内面合成樹脂フィルム層4の紙側層41は低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、容器内側層43はポリプロピレン樹脂(PP)、中間層はナイロン(Ny)である。また、その厚みは40μmである。
【0036】
<実施例3>
内面合成樹脂フィルム層4として、三層構造の共押出しフィルムを使用した他は、実施例1と同様にブランクシートBLを作成し、同様にトレー状紙容器10を製造した。実施例1,2と同様に評価した。内面合成樹脂フィルム層4の紙側層41は低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、容器内側層43はポリプロピレン樹脂(PP)、中間層はエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)である。また、その厚みは50μmである。
【0037】
<実施例4>
内面合成樹脂フィルム層4として、三層構造の共押出しフィルムを使用した。内面合成樹脂フィルム層4の紙側層41は中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、容器内側層43はポリプロピレン樹脂(PP)、中間層はナイロン(Ny)である。また、その厚みは40μmである。
【0038】
また、接着性樹脂3として中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)を使用した。
【0039】
そして、実施例1~3と同様に、板紙2と内面合成樹脂フィルム層4との間に溶融した接着性樹脂3を押出し、この溶融した接着性樹脂3を介して板紙2と内面合成樹脂フィルム層4とを押圧することによって積層した。次に、実施例1と同様に、所定の形状に打ち抜いてブランクシートBLとした後、このブランクシートBLから図3に示したような形状のトレー状紙容器10を製造した。
【0040】
こうして得られたトレー状紙容器10についても、そして、実施例1~3と同様に評価した。すなわち、液体内容物を密封したトレー状紙容器10を電子レンジで加熱した後、このトレー状紙容器10の変形の有無、板紙2から内面合成樹脂フィルム層4が剥離した部分の有無、及び内面合成樹脂フィルム層4に発生したピンホールの有無について評価した。
【0041】
<実施例5>
内面合成樹脂フィルム層4として、三層構造の共押出しフィルムを使用した他は、実施例4と同様にブランクシートBLを作成し、同様にトレー状紙容器10を製造した。そして、実施例1~4と同様に評価した。内面合成樹脂フィルム層4の紙側層41は低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、容器内側層43はポリプロピレン樹脂(PP)、中間層はエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)である。また、その厚みは50μmである。
【0042】
<比較例1>
内面合成樹脂フィルム層4として、単層構造のポリプロピレン樹脂(PP)フィルムを使用した。その厚みは60μmである。
【0043】
また、接着性樹脂3としてポリプロピレン樹脂(PP)を使用した。
【0044】
そして、実施例1~5と同様に、板紙2と内面合成樹脂フィルム層4との間に溶融した接着性樹脂3を押出し、この溶融した接着性樹脂3を介して板紙2と内面合成樹脂フィルム層4とを押圧することによって積層した。次に、実施例1と同様に、所定の形状に打ち
抜いてブランクシートBLとした後、このブランクシートBLから図3に示したような形状のトレー状紙容器10を製造した。
【0045】
こうして得られたトレー状紙容器10についても、そして、実施例1~5と同様に評価した。すなわち、液体内容物を密封したトレー状紙容器10を電子レンジで加熱した後、このトレー状紙容器10の変形の有無、板紙2から内面合成樹脂フィルム層4が剥離した部分の有無、及び内面合成樹脂フィルム層4に発生したピンホールの有無について評価した。
【0046】
<比較例2>
内面合成樹脂フィルム層4として、三層構造の共押出しフィルムを使用した他は、比較1と同様にブランクシートBLを作成し、同様にトレー状紙容器10を製造した。実施例1~5及び比較例1と同様に評価した。内面合成樹脂フィルム層4の紙側層41及び容器内側層43はいずれもポリプロピレン樹脂(PP)、中間層はナイロン(Ny)である。また、その厚みは50μmである。
【0047】
<比較例3>
内面合成樹脂フィルム層4として、三層構造の共押出しフィルムを使用した他は、比較1、2と同様にブランクシートBLを作成し、同様にトレー状紙容器10を製造した。実施例1~5及び比較例1,2と同様に評価した。内面合成樹脂フィルム層4の紙側層41及び容器内側層43はいずれもポリプロピレン樹脂(PP)、中間層はエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)である。また、その厚みは40μmである。
【0048】
<比較例4>
内面合成樹脂フィルム層4として、単層構造の低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)フィルムを使用した他は、比較例1、2と同様にブランクシートBLを作成し、同様にトレー状紙容器10を製造した。実施例1~5及び比較例1~3と同様に評価した。その厚みは60μmである。
【0049】
<評価結果及び考察>
以上の結果を表1にまとめた。
【0050】
【表1】
【0051】
この結果から分かるように、内面合成樹脂フィルム層4としてポリプロピレン樹脂を使用すれば、電子レンジ内容物を密封したまま電子レンジ加熱した場合でも、トレー状紙容器10の変形、内面合成樹脂フィルム層4の剥離、あるいはピンホールの発生を生じることがなく、液体内容物の漏れを生じる虞が少ない。
【0052】
しかし、高価なポリプロピレン樹脂の一部を安価なポリエチレン樹脂に置換して、紙側層をポリエチレン樹脂で構成しても、同様にトレー状紙容器10の変形、内面合成樹脂フィルム層4の剥離、あるいはピンホールの発生を生じることがなく、液体内容物の漏れを生じる虞が少ないことが理解できる。
【符号の説明】
【0053】
1:ブランクシート
2:板紙層
3:接着性樹脂層
4:内面合成樹脂フィルム層 41:紙側層 42:中間層 43:容器内側層
5:底面板
6:コーナー板
7:側面板
8:縁片
9:フランジ部
10:トレー状紙容器
11:打ち抜き部
a~l:折罫線
図1
図2
図3