(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117693
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】車両検索装置、車両検索方法、および車両検索プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/04 20060101AFI20230817BHJP
G08G 1/017 20060101ALI20230817BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20230817BHJP
G06T 11/60 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
G08G1/04 D
G08G1/017
G08G1/13
G06T11/60 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020396
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】391008559
【氏名又は名称】株式会社トランストロン
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】谷野 浩司
【テーマコード(参考)】
5B050
5H181
【Fターム(参考)】
5B050BA17
5B050DA04
5B050EA06
5B050EA07
5B050EA19
5B050FA02
5H181AA01
5H181CC04
5H181FF22
5H181FF32
(57)【要約】 (修正有)
【課題】撮像された画像から車両の情報が読み取りにくい場合であっても、所望の車両を精度よく抽出する。
【解決手段】画像データと、画像データが取得された時刻の情報である撮像日時情報、および画像データが取得された位置の情報である位置情報を取得するデータ取得部と、画像データから車両に関する情報である車両情報であって、車両の色及び進行方向を読み取る読取部と、車両情報と位置情報とを関連付けた検索用データを格納する記憶部と、被検索車両の特徴、日時および位置の情報を含む検索条件を受け付ける入力部と、検索条件に基づいて、検索用データの中から被検索車両と推定される車両を候補車両として抽出する抽出部と、候補車両を示す情報を位置情報に基づいて地図上に配置するマップ生成部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データと、前記画像データが取得された時刻の情報である撮像日時情報、および前記画像データが取得された位置の情報である位置情報を取得するデータ取得部と、
前記画像データから車両に関する情報である車両情報であって、車両の色及び進行方向を含む車両情報を読み取る読取部と、
前記車両情報と前記位置情報とを関連付けた検索用データを格納する記憶部と、
被検索車両の特徴、日時および位置の情報を含む検索条件を受け付ける入力部と、
前記検索条件に基づいて、前記検索用データの中から前記被検索車両と推定される車両を候補車両として抽出する抽出部と、
前記候補車両を示す情報を前記位置情報に基づいて地図上に配置するマップ生成部と、
を備え、
前記抽出部は、前記検索条件に含まれる第1時点を含む所定の時間範囲である第1時間範囲において、前記検索条件に含まれる位置を含む第1検索対象領域から前記被検索車両の特徴に合致する第1車両を抽出し、前記第1時間範囲から所定時間が経過した又は前記第1時間範囲より所定時間だけ前の第2時間範囲において、前記第1車両が存在すると推定される第2検索対象領域から前記被検索車両の特徴に合致する第2車両を抽出し、前記第1車両及び前記第2車両を前記候補車両として抽出する
ことを特徴とする車両検索装置。
【請求項2】
前記マップ生成部は、前記第1車両と前記第2車両とを連結した仮想経路を前記候補車両の推定移動ルートとして表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両検索装置。
【請求項3】
前記抽出部は、前記所定時間における前記被検索車両の移動距離を推定し、当該推定された移動距離を前記第1検索対象領域および前記第2検索対象領域の半径とする
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両検索装置。
【請求項4】
前記抽出部は、前記進行方向に基づいて、前記第2車両のうち、前記第1車両が前記所定時間だけ経過した後に到達し得ない位置に存在する車両を前記候補車両から除外する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の車両検索装置。
【請求項5】
前記抽出部は、通行可能な経路の情報を取得し、当該取得した経路の情報に基づいて、前記第2車両のうち、前記第1車両が前記所定時間だけ経過した後に到達し得ない位置に存在する車両を前記候補車両から除外する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の車両検索装置。
【請求項6】
前記車両情報は、前記色及び前記進行方向である第1情報と、前記第1情報以外の第2情報とを含み、
前記抽出部は、前記第1情報に基づいて前記第1車両及び前記第2車両を抽出し、かつ、前記第2車両の前記第2情報が前記第1車両の前記第2情報と一致しない場合に当該第2車両を前記候補車両から除外する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の車両検索装置。
【請求項7】
画像データと、前記画像データが取得された時刻の情報である撮像日時情報、および前記画像データが取得された位置の情報である位置情報を取得する取得ステップと、
前記画像データから車両に関する情報である車両情報であって、車両の色及び進行方向を含む車両情報を読み取る読取ステップと、
前記車両情報と前記位置情報とを関連付けた検索用データを格納する記憶ステップと、
被検索車両の特徴、日時および位置の情報を含む検索条件を受け付ける入力ステップと、
前記検索条件に基づいて、前記検索用データの中から前記被検索車両と推定される車両を候補車両として抽出する抽出ステップと、
前記候補車両を示す情報を前記位置情報に基づいて地図上に配置する生成ステップと、
を備え、
前記抽出ステップは、前記検索条件に含まれる第1時点を含む所定の時間範囲である第1時間範囲において、前記検索条件に含まれる位置を含む第1検索対象領域から前記被検索車両の特徴に合致する第1車両を抽出し、前記第1時間範囲から所定時間が経過した又は前記第1時間範囲より所定時間だけ前の第2時間範囲において、前記第1車両が存在すると推定される第2検索対象領域から前記被検索車両の特徴に合致する第2車両を抽出し、前記第1車両及び前記第2車両を前記候補車両として抽出する
ことを特徴とする車両検索方法。
【請求項8】
コンピュータを、
画像データと、前記画像データが取得された時刻の情報である撮像日時情報、および前記画像データが取得された位置の情報である位置情報を取得するデータ取得部と、
前記画像データから車両に関する情報である車両情報であって、車両の色及び進行方向を含む車両情報を読み取る読取部と、
前記車両情報と前記位置情報とを関連付けた検索用データを格納する記憶部と、
被検索車両の特徴、日時および位置の情報を含む検索条件を受け付ける入力部と、
前記検索条件に基づいて、前記検索用データの中から前記被検索車両と推定される車両を候補車両として抽出する抽出部と、
前記候補車両を示す情報を前記位置情報に基づいて地図上に配置するマップ生成部と、
として機能させ、
前記抽出部は、前記検索条件に含まれる第1時点を含む所定の時間範囲である第1時間範囲において、前記検索条件に含まれる位置を含む第1検索対象領域から前記被検索車両の特徴に合致する第1車両を抽出し、前記第1時間範囲から所定時間が経過した又は前記第1時間範囲より所定時間だけ前の第2時間範囲において、前記第1車両が存在すると推定される第2検索対象領域から前記被検索車両の特徴に合致する第2車両を抽出し、前記第1車両及び前記第2車両を前記候補車両として抽出する
ことを特徴とする車両検索プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両検索装置、車両検索方法、および車両検索プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
撮像された画像から車両の情報を抽出する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、車載カメラで撮像した画像からナンバープレート、車体色、車種等の車両特徴情報を検出し、これをセンタサーバに送信することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばナンバープレートが読み取れないといった、撮像された画像から十分な情報が読み取れない場合であっても、走行中の車両を精度よく検索できる装置が必要とされている。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、撮像された画像から車両の情報が読み取りにくい場合であっても、所望の車両を精度よく抽出することができる車両検索装置、車両検索方法、および車両検索プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る車両検索装置は、例えば、画像データと、前記画像データが取得された時刻の情報である撮像日時情報、および前記画像データが取得された位置の情報である位置情報を取得するデータ取得部と、前記画像データから車両に関する情報である車両情報であって、車両の色及び進行方向を含む車両情報を読み取る読取部と、前記車両情報と前記位置情報とを関連付けた検索用データを格納する記憶部と、被検索車両の特徴、日時および位置の情報を含む検索条件を受け付ける入力部と、前記検索条件に基づいて、前記検索用データの中から前記被検索車両と推定される車両を候補車両として抽出する抽出部と、前記候補車両を示す情報を前記位置情報に基づいて地図上に配置するマップ生成部と、を備え、前記抽出部は、前記検索条件に含まれる第1時点を含む所定の時間範囲である第1時間範囲において、前記検索条件に含まれる位置を含む第1検索対象領域から前記被検索車両の特徴に合致する第1車両を抽出し、前記第1時間範囲から所定時間が経過した又は前記第1時間範囲より所定時間だけ前の第2時間範囲において、前記第1車両が存在すると推定される第2検索対象領域から前記被検索車両の特徴に合致する第2車両を抽出し、前記第1車両及び前記第2車両を前記候補車両として抽出することを特徴とする。
【0007】
本発明の他態様に係る車両検索方法は、例えば、画像データと、前記画像データが取得された時刻の情報である撮像日時情報、および前記画像データが取得された位置の情報である位置情報を取得する取得ステップと、前記画像データから車両に関する情報である車両情報であって、車両の色及び進行方向を含む車両情報を読み取る読取ステップと、前記車両情報と前記位置情報とを関連付けた検索用データを格納する記憶ステップと、被検索車両の特徴、日時および位置の情報を含む検索条件を受け付ける入力ステップと、前記検索条件に基づいて、前記検索用データの中から前記被検索車両と推定される車両を候補車両として抽出する抽出ステップと、前記候補車両を示す情報を前記位置情報に基づいて地図上に配置する生成ステップと、を備え、前記抽出ステップは、前記検索条件に含まれる第1時点を含む所定の時間範囲である第1時間範囲において前記検索条件に含まれる位置を含む第1検索対象領域から前記被検索車両の特徴に合致する第1車両を抽出し、前記第1時間範囲から所定時間が経過した又は前記第1時間範囲より所定時間だけ前の第2時間範囲において前記第1車両が存在すると推定される第2検索対象領域から前記被検索車両の特徴に合致する第2車両を抽出し、前記第1車両及び前記第2車両を前記候補車両として抽出することを特徴とする。
【0008】
本発明の他態様に係る車両検索プログラムは、例えば、コンピュータを、画像データと、前記画像データが取得された時刻の情報である撮像日時情報、および前記画像データが取得された位置の情報である位置情報を取得するデータ取得部と、前記画像データから車両に関する情報である車両情報であって、車両の色及び進行方向を含む車両情報を読み取る読取部と、前記車両情報と前記位置情報とを関連付けた検索用データを格納する記憶部と、被検索車両の特徴、日時および位置の情報を含む検索条件を受け付ける入力部と、前記検索条件に基づいて、前記検索用データの中から前記被検索車両と推定される車両を候補車両として抽出する抽出部と、前記候補車両を示す情報を前記位置情報に基づいて地図上に配置するマップ生成部と、として機能させ、前記抽出部は、前記検索条件に含まれる第1時点を含む所定の時間範囲である第1時間範囲において前記検索条件に含まれる位置を含む第1検索対象領域から前記被検索車両の特徴に合致する第1車両を抽出し、前記第1時間範囲から所定時間が経過した又は前記第1時間範囲より所定時間だけ前の第2時間範囲において前記第1車両が存在すると推定される第2検索対象領域から前記被検索車両の特徴に合致する第2車両を抽出し、前記第1車両及び前記第2車両を前記候補車両として抽出することを特徴とする。
なお、コンピュータプログラムは、インターネット等のネットワークを介したダウンロードによって提供したり、CD-ROMなどのコンピュータ読取可能な各種の記録媒体に記録して提供したりすることができる。
【0009】
本発明の上記いずれかの態様では、車両情報と位置情報とを関連付けた検索用データのなかから被検索車両と推定される車両を候補車両として抽出する。具体的には、第1時間範囲(入力された検索条件に含まれる第1時点を含む所定の時間範囲)において検索条件に含まれる位置を含む第1検索対象領域から被検索車両の特徴に合致する第1車両を抽出し、また、第2時間範囲(第1時間範囲から所定時間が経過した又は1時間範囲より所定時間だけ前)において第1車両が存在すると推定される第2検索対象領域から被検索車両の特徴に合致する第2車両を抽出し、第1車両及び第2車両を被検索車両と推定される車両を候補車両として抽出する。これにより、撮像された画像から車両の情報が読み取りにくい場合であっても、所望の車両を精度よく抽出することができる。
【0010】
前記マップ生成部は、前記第1車両と前記第2車両とを連結した仮想経路を前記候補車両の推定移動ルートとして表示してもよい。これにより、被検索車両の移動ルートを地図上で明確に把握することができる。
【0011】
前記抽出部は、前記所定時間における前記被検索車両の移動距離を推定し、当該推定された移動距離を前記第1検索対象領域および前記第2検索対象領域の半径としてもよい。これにより、車両の移動距離を鑑みて検索対象とする領域を調整することができる。したがって、精度よく検索が可能である。
【0012】
前記抽出部は、前記進行方向に基づいて、前記第2車両のうち、前記第1車両が前記所定時間だけ経過した後に到達し得ない位置に存在する車両を前記候補車両から除外してもよい。これにより、所定時間経過後における候補車両を、実際に起こり得る車両の動きを鑑みてより精度よく抽出できる。
【0013】
前記抽出部は、通行可能な経路の情報を取得し、当該取得した経路の情報に基づいて、前記第2車両のうち、前記第1車両が前記所定時間だけ経過した後に到達し得ない位置に存在する車両を前記候補車両から除外してもよい。これにより、撮像時点が互いに異なる候補車両を、実際の道路交通事情に則して精度よく対応付けできる。
【0014】
前記車両情報は、前記色及び前記進行方向である第1情報と、前記第1情報以外の第2情報とを含み、前記抽出部は、前記第1情報に基づいて前記第1車両及び前記第2車両を抽出し、かつ、前記第2車両の前記第2情報が前記第1車両の前記第2情報と一致しない場合に当該第2車両を前記候補車両から除外してもよい。これにより、候補車両の抽出精度を高くすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、撮像された画像から車両の情報が読み取りにくい場合であっても、所望の車両を精度よく抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施の形態に係る車両検索装置1の電気的な機能ブロックの概略を示す図である。
【
図2】検索用データの一例である車両情報テーブルT1のデータ構造を模式的に示す図である。
【
図3】車両検索装置1が被検索車両を検索する処理フローである。
【
図4】車両検索装置1が被検索車両を抽出する工程を示す模式図であって、(a)は地点Fを含む所定範囲の地
図M1上に位置する車両を配置した様子を示し、(b)は検索条件に合致した黒い車両のみが抽出された状態を模式的に示し、(c)は(b)において抽出されている車両のうち、指定領域M11に含まれる車両のみが抽出された状態を模式的に示し、(d)は(c)からステップSP14で除外された車両を削除した状態を模式的に示す図である。
【
図5】車両検索装置1が被検索車両を抽出する工程を示す模式図であって、(a)は日時E(第1時点)から所定時間(例えば、5分)が経過した第2時点における車両を地
図M1上に配置した様子を模式的に示す図であり、(b)は第1時点において第1検索対象領域に存在した第1車両が第2時点において存在し得る範囲を示す図であり、(c)は第1車両と第2車両とを紐づける様子を模式的に示す図である。
【
図6】表示部に表示される画像の一例であり、(a)は候補車両を連結して描画した地
図M1の一例を示す図であり、(b)は車両C16の推定移動ルートを表示した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る車両検索装置の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。車両検索装置は、撮像された画像に映り込んでいる車両に関する情報を抽出し、入力される検索条件に基づいて被検索車両を検索する装置である。被検索車両は、例えば犯罪に関与して逃亡する車両であってもよい。
【0018】
図1は、実施の形態に係る車両検索装置1の電気的な機能ブロックの概略を示す図である。
【0019】
車両検索装置1は、撮像部100とネットワークNWを介して接続されている。撮像部100は、例えば走行する車両に設けられ、当該車両の周辺を撮像する装置であり、例えばドライブレコーダーである。また、撮像部100は、道路および走行する車両を撮像範囲に含んでいればよく、道路近傍、路上、又は上空に配設されるカメラ、例えば防犯カメラであっていてもよい。撮像部100は、撮像データをネットワークNWに送信する。撮像データは、例えば、撮像された画像データ、撮像部100の識別情報、および当該画像データが取得された(画像が撮像された)時刻の情報(以下、撮像日時情報という)および画像が撮像された位置の情報(以下、位置情報という)を含む。なお、撮像データに含まれる情報は例示であり、例えば撮像部100の識別情報は必須ではない。
【0020】
撮像部100が撮像する画像は、動画であってもよいし、静止画であってもよい。
図1では、撮像部100が1個図示されているが、通常、複数の撮像部100がネットワークNWと接続されている。
【0021】
車両検索装置1は、主として、データ取得部10、入力部11、表示部12および制御部20を備える。
【0022】
データ取得部10は、ネットワークNWを介して撮像部100から撮像データを取得する機能部である。また、データ取得部10は、ネットワークNWを介して地図情報を取得してもよい。
【0023】
入力部11は、車両検索装置1において検索する被検索車両の検索条件を受け付ける機能部である。入力部11は、ハードウェア構成としてキーボードやマウス、タッチパネルを有していてもよい。また、入力部11は、ネットワークNWを介して適宜の装置と接続され、当該適宜の装置に入力される情報を受信するものであってもよい。適宜の装置は、例えばスマートホン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータであってよい。
【0024】
入力部11に入力される検索条件は、被検索車両の特徴、日時および位置に関する情報を含む。位置に関する情報は、例えば交差点の名称や、住所であってもよい。また、位置に関する情報は、ネットワークNWを介して接続された適宜の装置に表示される地図上の地点又は領域を、当該適宜の装置の入力手段により入力することで特定されてもよい。日時に関する情報は、例えば目撃された時点や、時間帯の情報である。また、検索条件は、車両の色や走行方向等の情報を含んでもよい。なお、入力部11は、検索条件として車速を受け付けてもよい。
【0025】
制御部20は、情報処理を実行するためのCPU(Central Processing Unit)などの演算装置、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの記憶装置により、ソフトウェア資源として、主として、読取部21、記憶部22、抽出部23、およびマップ生成部24を有する。
【0026】
読取部21は、データ取得部10により取得される画像データから、車両に関する情報(以下、車両情報という)を読み取る機能部である。車両情報は、車両の特徴、画像データを取得された(画像が撮像された)時点の車両の走行に関する情報を含む。また、車両の走行に関する情報は、車速、進行方向の情報を含む。
【0027】
車両情報は、車両の検索に必須の情報である識別情報、例えば色及び進行方向を含む。以下、これを第1情報とする。
【0028】
また、車両情報は、識別情報に含まれない情報(検索に必須ではないが、検索精度を高める情報)、例えばナンバープレート、車種、車両タイプおよびメーカー(エンブレム)、車速、ハンドル位置、ステッカーの有無、スモークの有無、撮像時点の車両の利用状況に関する情報(例えば、乗車人数の情報)を含む。以下、これを第2情報とする。
【0029】
読取部21により抽出された車両情報は、撮像日時情報及び位置情報とともに記憶部22に格納される。なお、記憶部22は、車両情報、撮像日時情報及び位置情報を関連づけた検索用データのほかに、地図情報やその他各種情報を格納してもよい。
【0030】
図2は、検索用データの一例である車両情報テーブルT1のデータ構造を模式的に示すである。車両情報テーブルT1のデータは、必須データと、サブデータに大別される。必須データは、各画像データに固有の数値であるデータIDと、車両の検索に必須のデータである。車両の検索に必須のデータとは、例えば、画像が撮像された日時を示す情報である年月日および時刻、画像が撮像された位置を示す位置情報、および車両情報(ここでは、第1情報である進行方向及び色)である。サブデータは、検索精度を高めるためのデータ(第2情報)であり、例えば、車両タイプ、メーカー、車両名、車速、乗車人数、ハンドル位置およびスモークの有無等である。
【0031】
なお、画像データから必ず取得される情報を必須データとし、画像データの撮影結果に応じて取得できる場合にのみ格納される情報をサブデータとしてもよい。また、必須データおよびサブデータの項目は例示である。
【0032】
また、車両情報テーブルT1には、後述する抽出部23の処理により対応付けられた情報を格納する関連データIDの項目を含む。関連データIDに格納される情報については、後に詳述する。なお、関連データIDの項目は必須ではない。
【0033】
図1の説明に戻る。抽出部23は、入力部11から入力された検索条件に基づいて、記憶部22に記憶された車両情報テーブルT1の中から被検索車両と推定される車両を候補車両として抽出する機能部である。
【0034】
抽出部23は、入力された検索条件に含まれる撮像時点(以下、第1時点という)において、検索条件に含まれる位置を含む第1検索対象領域から被検索車両の特徴に合致する車両(以下、第1車両という)を抽出する。抽出部23は、入力部11により受け付ける地図上の地点を第1検索対象領域としてもよい。
【0035】
また、抽出部23は、第1時点から所定時間だけ経過した後の時点又は第1時点から所定時間だけ前の時点(以下、第2時点という)において第1車両が存在すると推定される第2検索対象領域から被検索車両の特徴に合致する車両(以下、第2車両という)を抽出する。第2検索対象領域は、第1検索対象領域とは異なる領域である。
【0036】
例えば、抽出部23は、検索条件に含まれる位置を中心とする所定範囲を第1検索対象領域としてもよい。所定範囲は、あらかじめ記憶部22に記憶しておけばよい。また、例えば、抽出部23は、所定時間における被検索車両の移動距離を推定し、当該推定された移動距離を第1検索対象領域および第2検索対象領域の半径とする。このように、車両の移動距離を鑑みて検索対象とする領域を調整することで、精度よく検索が可能である。
【0037】
なお、移動距離の推定は、以下のよう方法が考えられる。例えば、抽出部23は、読取部21が読み取った車両の車速に基づいて、被検索車両の移動距離を推定してもよい。また、例えば、抽出部23は、入力部11から検索条件として被検索車両の車速が入力されている場合には、当該車速を用いて移動距離を推定してもよい。また、例えば、抽出部23は、入力部11から検索条件として入力された位置における道路の制限速度に基づいて移動距離を推定してもよい。
【0038】
抽出部23は、入力部11に入力される検索条件に含まれる被検索車両の特徴のうちの第1情報に基づいて、第1車両及び第2車両を抽出する。したがって、最低限の情報しか画像から読み取れない場合であっても、被検索車両を推定することができる。
【0039】
次に、第2検索対象領域の設定について説明する。例えば、抽出部23は、第1検索対象領域から所定の距離だけ移動された領域を第2検索対象領域とする。この所定の距離は、あらかじめ記憶部22に記憶しておくことができる。これにより、第2車両の抽出を少ない計算負荷で実行できる。
【0040】
また、例えば、抽出部23は、所定時間における被検索車両の移動距離を推定し、推定された移動距離だけ第1検索対象領域を移動させた領域を第2検索対象領域とする。これにより、第2検索対象領域を妥当な位置に設定することができ、第2車両の抽出精度を高くすることができる。
【0041】
抽出部23は、第1時点に第1検索対象領域において抽出された第1車両と、第2時点に第2検索対象領域において抽出された第2車両とを対応付ける。第2検索対象領域において抽出された車両は、第1検索対象領域において抽出された車両の所定時間経過後の様子であると推定される。したがって、撮像時点の異なる画像データに映り込んでいる同一の車両を対応付けることで、候補車両の情報を整理することができる。
【0042】
抽出部23は、車両情報テーブルT1において、第1車両に対応するデータIDと第2車両に対応するデータIDとを関連付ける。具体的には、例えば、抽出部23は、車両情報テーブルT1において、第1車両に対応するデータID(以下、第1データIDという)に紐づけられた車両情報テーブルT1の関連データIDの欄に第2車両に対応するデータID(以下、第2データIDという)を格納し、第2データIDに紐づけられた車両情報テーブルT1の関連データIDの欄に第1データIDを格納する。そして、抽出部23は、関連付けられた第1車両及び第2車両を被検索車両と推定し、候補車両として抽出する。
【0043】
なお、抽出部23は、第2車両の第2情報が第1車両の第2情報と一致しない場合に、第2車両を候補車両から除外してもよい。例えば、第2車両の候補が複数抽出された場合に、第2情報に基づいて第2車両を抽出する。これにより、第2車両の抽出精度を高くすることができる。なお、第2情報のうちのナンバープレートの情報が取得できている場合には、抽出部23は、ナンバープレートが共通する車両情報を同一の車両として抽出してもよいことは勿論である。
【0044】
また、抽出部23は、通行可能な経路の情報を取得し、当該取得した経路の情報に基づいて、第2検索対象領域から抽出された第2車両のうち、第1車両が所定時間だけ経過した後に到達し得ない位置に存在する車両を候補車両から除外してもよい。通行可能な経路の情報は、地図情報に含まれる。
【0045】
例えば、第1検索対象領域において地上の道路上の車両が抽出されており、かつ、第2検索対象領域において高速道路等の高架上の道路上に検索条件に合致する車両が抽出されている場合がある。この高架上の道路への入口が第1検索対象領域又は第2検索対象領域にない場合には、第1時点において地上の道路上に抽出された車両が、第2時点において高架道路上に到達することはできない。したがって、抽出部23は、高架道路上に存在する車両を候補車両から除外する。
【0046】
また、例えば、第1検索対象領域又は第2検索対象領域に川があり、この川を渡る橋が第1検索対象領域又は第2検索対象領域にない場合には、第2時点において対岸に到達することはできない。すなわち、抽出部23は、第2検索対象領域で抽出された車両のうち、第1検索対象領域において抽出された車両とは対岸に存在している車両を候補車両から除外する。このような構成によれば、実際の道路交通事情に則して精度よく候補車両を抽出することができる。
【0047】
なお、抽出部23は、川や高速道路に限らず、大きな建物や私有地、一方通行等の交通規則等により生じる通行可否の情報を通行可能な経路の情報として参照し、第2車両のうち、第1車両が第2時点に到達し得ない位置に存在する車両を候補車両から除外してよい。なお、抽出部23は、通行可能な経路の情報を参照する構成の他、通行が不可能な領域を参照して所定の車両を候補車両から除外する構成も採用できる。
【0048】
また、抽出部23は、第1検索対象領域内の第1車両から第2検索対象領域内の第2車両まで、通行可能な領域を通行して移動する移動経路の自動生成を試み、第1車両が所定時間で第2車両の位置まで到達可能な経路が生成し得るか否かを判定してもよい。抽出部23は、当該経路が生成可能である場合に、当該車両は同一車両であるものと推定し、対応付けを行い、第2車両を候補車両とする。
【0049】
また、抽出部23は、車両情報に含まれる進行方向に基づいて第2検索対象領域を設定してもよい。これにより、所定時間経過後における候補車両を、実際の車両の動きを鑑みて精度よく抽出できる。
【0050】
なお、車両がUターンする可能性を加味し、進行方向による除外を行わず、Uターンに要する時間を加味した上で第2検索対象領域を決定してもよい。
【0051】
マップ生成部24は、抽出部23により抽出された第1車両、第2車両及び候補車両を位置情報に基づいて地図上に配置する機能部である。
【0052】
マップ生成部24は、表示部12に車両のアイコンを配置した地図を出力する。表示部12は、入力部11に情報を入力するスマートホン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータに備えられていてもよい。また、マップ生成部24は、アイコンを表示した候補車両の一覧を生成し、表示部に表示してもよい。
【0053】
なお、
図1では、車両検索装置1が表示部12を有するが、表示部の形態はこれに限られない。例えば、車両検索装置1が表示部を有さず、ネットワークNWを通じて表示部が接続されていてもよい。
【0054】
マップ生成部24は、抽出部23により抽出された候補車両(第1車両及び第2車両)を連結した仮想経路を、候補車両の推定移動ルートとして表示するものとしてもよい。この構成によれば、被検索車両の移動ルートを地図上で明確に把握することができる。当該処理については、後に詳述する。
【0055】
ここで、
図3~6を用いて、車両検索装置1が被検索車両を検索する処理の流れを説明する。
図3は、車両検索装置1が被検索車両を検索する処理フローである。
図3に示す処理は、主として制御部20により行われる。
図4、5は、車両検索装置1が被検索車両を抽出する工程を示す模式図である(
図4、5の図は実際には表示部12に表示されなくてもよい)。
図6は、表示部に表示される画像の一例である。
図4~6に含まれる各図の説明は後述する。
【0056】
以降の説明においては、「日時E(年月日、時刻の情報を含む)に、特定地点Fを走行していた黒色のワゴン」という検索条件が入力部11を介して取得されたときに被検索車両を抽出する場合を例として説明する。
【0057】
(ステップSP11)
抽出部23は、入力部11を介して被検索車両の検索条件の指定を受け付け、その結果を取得する。そして処理はステップSP12に移行する。
【0058】
(ステップSP12)
抽出部23は、記憶部22を参照し、被検索車両の検索条件に合致する車両を抽出する。例えば、抽出部23は、検索条件に含まれる車両の色が「黒」である場合、黒い車両C10を抽出する。
【0059】
図4(a)は、地点Fを含む所定範囲の地
図M1上に位置する車両を配置した様子を模式的に示す図である。地
図M1は、地点Fを示す地点M10を含む。
図4(a)には、車両情報テーブルT1に含まれる車両のうち、検索条件に含まれる第1時点(日時E)を含む所定の時間範囲(以下、時間範囲Hという)において、地
図M1上に位置する車両が配置されている。
【0060】
地
図M1上には、一般道路R11および高架道路R12が示され、路上に複数の車両C10、C30等がアイコンで示されている。車両C10、C30は、車両情報テーブルT1に含まれる車両であり、車両情報テーブルT1の位置情報に基づいて配置可能である。同図においては、説明のため、複数の黒い車両C10および複数の白い車両C30が存在しており、別の色の車両は存在しない状況となっている。
【0061】
図4(b)は、検索条件に合致した黒い車両のみが抽出された状態を模式的に示す図である。
図4(b)では、白い車両C30のアイコンは削除され、黒い車両C10のみが抽出されている。また、
図4(b)には、地点Fを示す地点M10と、地点M10から所定範囲である指定領域M11の範囲を示す線が示されている。
【0062】
抽出部23は、第1車両の候補である黒い車両C10のうち、検索条件に含まれる地点M10から所定範囲である指定領域M11に含まれる黒い車両C10を、検索条件に合致する車両として抽出する。
【0063】
図4(c)は、
図4(b)において抽出されている車両のうち、指定領域M11に含まれる車両のみが抽出された状態を模式的に示す図である。
図4(c)では、指定領域M11内の黒い車両C11、C12、C13、C14、C15及びC16のみが地
図M1に配置されている。これにより、指定領域M11から黒い車両C10が抽出される。そして処理はステップSP13に移行する。
【0064】
(ステップSP13)
マップ生成部24は、ステップSP12で抽出された候補、すなわち検索条件に合致した車両を地図上に配置する。すなわち、マップ生成部24は、
図4(c)に示す画像を生成する。なお、地点M10及び指定領域M11を示す表示は必須ではない。そして処理はステップSP14に移行する。なお、マップ生成部24は、生成した画像を表示部12に出力してもよい。
【0065】
(ステップSP14)
抽出部23は、地図情報に基づいて、検索にヒットした車両のうち除外条件に該当する車両の有無を判定する。例えば、
図4(c)においては、車両C14、C15は、位置情報から高架道路R12を走行していることが推定されるが、地点M10は高架道路ではない。したがって、抽出部23は、高架道路R12を走行している車両は候補車両ではない、すなわち除外条件に該当する車両があると判定する。
【0066】
除外条件に該当する車両がある場合には(ステップSP14でY)、ステップSP15に移行する。除外条件に該当する車両がない場合には(ステップSP14でN)、ステップSP16に移行する。
【0067】
(ステップSP15)
抽出部23は除外条件に該当する車両を候補車両から除外し、マップ生成部24は、除外された車両を地図上から削除する。
【0068】
図4(d)は、
図4(c)からステップSP14で除外された車両を削除した状態を模式的に示す図である。
図4(d)では、指定領域M11内の黒い車両C11~C16のうち、車両C14、C15が削除されている。
【0069】
マップ生成部24は、ステップSP13で生成された画像から、ステップSP14で除外された車両を削除した画像(すなわち、
図4(d)に示す画像)を生成する。なお、地点M10及び指定領域M11を示す表示は必須ではない。また、マップ生成部24は、当該生成した画像を表示部12に出力してもよい。そして処理はステップSP16に移行する。
【0070】
(ステップSP16)
抽出部23は、当該候補車両の抽出時点を含む時間範囲(ここでは、時間範囲H)よりも前の撮像データを処理済みであるか否かを判定する。前の撮像データを処理済みである場合(ステップSP16でY)には、ステップSP17に移行する。前の撮像データを処理済みでない場合(ステップSP16でN)には、ステップSP18に移行する。
【0071】
(ステップSP17)
前の撮像データを処理済みである場合(ステップSP16でN)とは、ステップSP12~SP15の処理を行うのが初めてでない場合である。この場合には、抽出部23は、ステップSP15で削除されなかった車両と、先に行われたステップSP15で削除されなかった車両とを紐づける。ステップSP17については後に詳述する。
【0072】
(ステップSP18)
前の撮像データを処理済みでない場合(ステップSP16でN)とは、ステップSP12~SP15の処理を初めて行う場合である。この場合には、抽出部23は、ステップSP15で削除されなかった車両(
図4に示す例では車両C11、C12、C13、C16)と、指定領域を示す同心円の中心(
図4に示す例では地点M10)とを紐づける。なお、同心円の中心はステップSP13~SP15で抽出された車両の走行経路の起点を意味する。そして、抽出部23は、車両情報テーブルT1に紐づけた情報を格納する。
【0073】
例えば、ステップSP12~SP15の処理を初めて行った結果が
図4(c)であるとすると、抽出部23は、車両C11~C14と指定領域M11の中心、すなわち地点M10とを紐づける。そして、抽出部23は、車両C11~C13、C16に紐づけられたデータIDを有するデータの関連データIDに、地点M10の位置情報を格納する。
【0074】
(ステップSP19)
抽出部23は、適宜の情報(入力部11から入力された検索条件等)に基づいて検索を続行するか否か判定する。例えば、抽出部23は、検索を行う時間帯の入力を入力部11により受け付けた上で、当該時間帯から逸脱しない限りにおいて検索を続行すると判定してもよい。また、例えば、抽出部23は、入力部11により検索を行う回数を受け付け、当該回数までは検索を続行すると判定してもよい。
【0075】
検索を続行すると判定された場合(ステップSP18でYには)、ステップSP20に移行する。検索を続行する条件を満たさない場合には(ステップSP19でN)、処理を終了する。
【0076】
(ステップSP20)
抽出部23は、検索対象の撮像データの時間範囲を所定時間進め、処理をステップSP12に戻す。以下、ステップSP20の次に行われるステップSP12~SP17の処理の流れについて説明する。
【0077】
図5(a)は、
図4の日時Eを含む時間範囲H(本発明の第1時間範囲に相当)から所定時間(例えば、5分)が経過した時間範囲I(本発明の第2時間範囲に相当)における車両を地
図M1上に配置した様子を模式的に示す図である。
図5(a)には、ステップSP12において、車両情報テーブルT1に含まれる車両のうち、時間範囲Iにおいて被検索車両の検索条件に合致する黒い車両(第2車両の候補)のみが抽出されている。
【0078】
なお、
図5(a)では、参考として、地点M10及び指定領域M11(第1検索対象領域に相当)と、第1時点において指定領域M11から抽出された車両C11、C12、C13、C16(第1車両)が破線で示されている(実際には、第2時点において車両C11、C12、C13およびC16はこの位置に存在しない)。
【0079】
また、ステップSP12において、抽出部23は、第2車両の候補である黒い車両のうち、第2時点において第1車両が存在すると推定される第2検索対象領域から第2車両を抽出する。車両情報(車両情報テーブルT1を参照)に含まれる進行方向に基づいて第2検索対象領域を設定することで、所定時間経過後における候補車両を、実際の車両の動きを鑑みて精度よく抽出できる。
【0080】
図5(b)は、第1時点において第1検索対象領域(指定領域M11)に存在した第1車両が第2時点において存在し得る範囲(第2検索対象領域)を示す図である。第1時点から第2時点に至るまでに各第1車両C11、C12、C13、C16が移動する移動距離を推定し、地点M10から見た各第1車両C11、C12、C13、C16の方向に推定した移動距離だけ指定領域M11を移動させることで規定される指定領域N11、N12、N13、N16が示されている。
【0081】
第2時点においては、車両C11、C12、C13、C16が指定領域N11、N12、N13、N16内に移動している蓋然性が高い。したがって、第2時点で実行されるステップSP12では、抽出部23は、指定領域N11、N12、N13、N16に含まれる車両のみを第2車両として残す。
【0082】
ステップSP13では、マップ生成部24は、ステップSP12で抽出された第2車両を地図上に配置する。すなわち、マップ生成部24は、
図5(b)に示す画像を生成する。なお、地点M10及び指定領域N11、N12、N13、N16を示す表示は必須ではない。
【0083】
ステップSP14において、抽出部23は、地図情報に基づいて、検索にヒットした車両のうち除外条件に該当する車両の有無を判定する。例えば、
図5(b)においては、車両C31、C32、C33は、位置情報から高架道路R12を走行していることが推定されるが、第1車両C11、C12、C13、C16は高架道路に存在しない。したがって、抽出部23は、高架道路R12を走行している車両C31、C32、C33は候補車両ではない、すなわち除外条件に該当する車両であると判定する。
【0084】
ステップSP15において、抽出部23は除外条件に該当する車両(車両C31、C32、C33)を候補車両から除外し、マップ生成部24は、除外された車両を地図上から削除する。
【0085】
ステップSP17において、抽出部23は、ステップSP15で削除されなかった車両(第2車両)と、先に行われたステップSP15で削除されなかった車両(第1車両)とを紐づける。以下、ステップSP17について詳細に説明する。
【0086】
図5(c)は、第1車両と第2車両とを紐づける様子を模式的に示す図である。
図5(c)では、車両C31、C32、C33は削除され、車両C21、C22、C23、C26が第2車両として示されている。
【0087】
車両C11に対する指定領域N11には車両C22、C23が位置するため、抽出部23は、車両C11と車両C22、C23とを紐づける。車両C12に対する指定領域N12には車両C21が位置するため、抽出部23は、車両C12と車両C21とを紐づける。車両C13に対する指定領域N13には車両C21が位置するため、抽出部23は、車両C13と車両C21とを紐づける。車両C16に対する指定領域N16には車両C22、C26が位置するため、抽出部23は、車両C16と車両C22、C26とを紐づける。
【0088】
また、抽出部23は、通行可能な経路の情報を取得し、当該取得した経路の情報に基づいて、第2車両のうち、第1車両が所定時間だけ経過した後に到達し得ない位置に存在する車両を候補車両から除外してもよい。例えば、車両C11と車両C22、C23とが紐づけられているが、車両C11と車両C22とは異なる道路上にいるため、車両C22を候補車両から除外し、車両C11と車両C22との紐づけを外す。
【0089】
また、抽出部23は、進行方向に基づいて、第2車両のうち、第1車両が所定時間だけ経過した後に到達し得ない位置に存在する車両を候補車両から除外してもよい。例えば、車両C11と車両C23とが紐づけられているが、車両C11と車両C23とは進行方向が異なる(逆)であるため、車両C23を候補車両から除外し、車両C11と車両C23との紐づけを外す。同様に、車両C13と車両C21とは進行方向が異なるため、車両C21を候補車両から除外し、車両C13と車両C21との紐づけを外す。
【0090】
なお、車両C12と車両C21とは進行方向が異なるが、経路の情報を参照することで、車両C12が右折すれば車両C21の位置に到達可能であると判断できる。したがって、車両C21は候補車両から除外しない。
【0091】
以上の結果、抽出部23は、車両C16と車両C22、C26とを紐づけ、これらを候補車両として抽出する。そして、抽出部23は、車両C16と車両C22、C26とを対応付けて車両情報テーブルT1に格納する。ここでは、抽出部23は、車両C16に紐づけられたデータIDを有するデータの関連データIDに、車両C22、C26に紐づけられたデータIDを格納し、車両C22、C26に紐づけられたデータIDを有するデータの関連データIDに、車両C16に紐づけられたデータIDを格納する。
【0092】
ステップSP18で抽出された候補車両は、マップ生成部24により地図上に配置される。なお、マップ生成部24は、候補車両を互いに連結して地
図M1上に描画してもよい。
図6(a)は、抽出された候補車両(第1車両及び第2車両)を連結した線を描画した地
図M1の一例を示す図である。マップ生成部24は、候補車両が配置された地図を表示部12に出力する。
【0093】
以上の処理、すなわちステップSP12~S19を繰り返して実行することにより、候補車両の移動ルートを時間軸に沿って推定することができる。
【0094】
抽出部23は、第1時点および第2時点で抽出され、車両情報が互いに対応付けられた車両について、さらに第2時点より所定時間が経過した第3時点における位置を抽出してもよい。抽出部23は、同様の方法により、第2検索対象領域に基づいて第3検索対象領域を決定し、第3検索対象領域において検索条件に合致する車両(第3車両)を抽出する。抽出部23は、この処理を繰り返し実行することで、異なる撮像時点で撮像される車両の対応付けを行う。
【0095】
図6(b)は、ステップSP12~S19を繰り返して実行した結果に基づいて、車両C16の推定移動ルートを表示した結果を示す図である。ステップSP12~S19を繰り返すことで、抽出部23は、車両C16を車両C26に紐づけ、車両C26を車両C41、C43、C46に紐づけ、車両C41を車両C42、C45に紐づけ、車両C43を車両C44に紐づける。マップ生成部24は、紐づけられた車両C16、C26、C41、C42を連結した仮想経路R21を地
図M1に表示する。同様に、マップ生成部24は、紐づけられた車両C16、C26、C41、C45を連結した仮想経路R22を地
図M1に表示し、紐づけられた車両C16、C26、C46を連結した仮想経路R23を地
図M1に表示し、紐づけられた車両C16、C26、C43、C44を連結した仮想経路R24を地
図M1に表示する。仮想経路R21、R22、R23およびR24は、車両C16が走行していたと推定できる推定移動ルートである。これにより、候補車両の推定移動ルートをユーザに提示することができる。そして、ユーザは、実際に現場での捜索が容易になる。
【0096】
なお、抽出部23は、推定移動ルートが複数推定された場合に、車両情報テーブルT1のサブデータに基づいて推定移動ルートを絞り込むことができる。
【0097】
また、ユーザが入力部11を介して、仮想経路R21~R24のいずれかの延長線上の範囲において再度処理を行う指示を入力することで、車両検索装置1により検索を続行してもよい。
【0098】
本実施の形態によれば、撮像された画像から車両の情報が読み取りにくい場合であっても、所望の車両を精度よく抽出することができる。
【0099】
なお、本実施形態においては、ステップSP19において、検索対象の撮像時点を含む時間範囲(第2時間範囲)を、直前の処理の時間範囲(第1時間範囲)よりも所定時間経過後に設定したが、第2時間範囲を第1時間範囲より所定時間だけ前に設定してもよい。
【0100】
また、本実施形態においては、ステップSP12において、第1検索対象領域の中心から見た第1車両の方向に、推定した移動距離だけ第1検索対象領域を移動させて第2検索対象領域を設定したが、第2検索対象領域の設定の方法はこれに限られない。例えば、抽出部23は、第1検索対象領域を第1車両の進行方向に移動距離だけ移動させて第2検索対象領域を設定してもよい。また、例えば、抽出部23は、地図情報を参照し、第1検索対象領域を道路に沿って移動させて第2検索対象領域を設定してもよい。
【0101】
また、本実施形態においては、検索情報に進行方向が含まれなかったが、検索情報に進行方向が含まれる場合には、進行方向に基づいて第1車両、第2車両の一部を候補車両から除外してもよい。例えば、
図4に示す例において、「日時E(年月日、時刻の情報を含む)に、とある地点Fを上り方面(同図中において紙面上向き)に走行していた黒色のワゴン」という検索情報が入力されていた場合には、ステップSP15において、上り方面(同図中において紙面上向き)に走行していない車両C11、C12、C13を候補車両から除外してもよい。
【0102】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0103】
1 :車両検索装置
10 :データ取得部
11 :入力部
12 :表示部
20 :制御部
21 :読取部
22 :記憶部
23 :抽出部
24 :マップ生成部
100 :撮像部