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▶ フジモリ産業株式会社の特許一覧

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  • 特開-煙突 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117702
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】煙突
(51)【国際特許分類】
   E04H 12/28 20060101AFI20230817BHJP
   F23J 13/08 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
E04H12/28 Z
F23J13/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020407
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 宣貴
(72)【発明者】
【氏名】江水 友弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 芳宣
(72)【発明者】
【氏名】栃下 裕也
(57)【要約】
【課題】点検口付き煙突において、結露水や雨水が点検口から外部へ漏れ出るのを防止する。
【解決手段】煙突1の煙突本体10の下部の周壁11に点検口20が形成されている。点検口20の下側内面20bには、煙突本体10の内部へ向かって下がる勾配が付けられている。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
煙突本体と、前記煙突本体の下部の周壁に形成された点検口を有し、前記点検口の下側内面には、前記煙突本体の内部へ向かって下がる勾配が付けられていることを特徴とする煙突。
【請求項2】
前記点検口に開閉扉が設けられ、前記開閉扉が、前記下側内面と直交するように鉛直に対して上向きに傾斜されていることを特徴とする請求項1に記載の煙突。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煙突に関し、特に煙突の点検口構造に関する。
【背景技術】
【0002】
点検口を有する煙突は公知である。例えば、特許文献1の煙突においては、煙突本体の下部の周壁に四角形の点検口が開口されている。点検口には開閉扉が設けられている。開閉扉は鉛直である。点検口の上下の内面は水平であり、左右の内面は鉛直である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭63-002744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の煙突においては、煙突内部に発生した結露水や煙突内壁を伝う雨水が、点検口の内面と開閉扉との隙間から外部へ漏れ出る事案があった
本発明は、かかる事情に鑑み、点検口付き煙突において、結露水や雨水が点検口から外部へ漏れ出るのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明に係る煙突は、煙突本体と、前記煙突本体の下部の周壁に形成された点検口を有し、前記点検口の下側内面には、前記煙突本体の内部へ向かって下がる勾配が付けられていることを特徴とする。
【0006】
当該煙突によれば、煙突内部に発生した結露水や煙突内壁を伝う雨水は、点検口の下側内面に達した後、該下側内面の下がり勾配によって煙突内部側へ流下する。これによって、結露水や雨水が点検口から外部へ漏れ出るのを防止できる。
好ましくは、煙突の底部には、水抜き路が設けられている。前記流下した水は、水抜き路から排水される。点検口が煙突内部へ向かって下がっているため、水抜き路の目詰まり状態などを目視確認しやすくなる。
【0007】
好ましくは、前記点検口に開閉扉が設けられ、前記開閉扉が、前記下側内面と直交するように鉛直に対して上向きに傾斜されている。
これによって、開閉扉が自重によって自然と閉じられるようにでき、半開き状態になるのを防止できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る煙突によれば、煙突内部に発生した結露水や煙突内壁を伝う雨水が点検口から外部へ漏れ出るのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る煙突の下部を、図3のI-I線に沿う断面にて示す側面断面図である。
図2図2は、図3のII-II線に沿う平面断面図である。
図3図3は、図2のIII-III線に沿う正面図である。
図4図4は、図1の円部IVの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1に示すように、煙突1は、煙突本体10と、点検口20を備えている。煙突本体10は、断熱壁13と、外壁14と、内壁15を含み、鉛直(上下)に延びている。断熱壁13は、珪酸カルシウム等の硬質断熱材料にて構成されている。断熱壁13の外面に外壁14が設けられている。断熱壁13の内面に内壁15が設けられている。外壁14及び内壁15は、鋼板等の金属板によって構成されている。
【0011】
図2に示すように、煙突本体10の断面形状は、円形であるが、これに限らず、四角形その他の多角形であってもよい。
【0012】
図1に示すように、煙突本体10の下部の周壁11には、点検口20が開口されている。点検口20は、煙突外部へ向かって少し上向きに傾斜されている。
詳しくは、図1及び図3に示すように、煙突本体10の下部周壁11の一側には、四角形の点検口枠材21が設けられている。点検口枠材21は、上枠部材22、下枠部材23、左右の側枠部材24を含む。図1及び図2に示すように、各枠部材22~24は、煙突本体10と同様に、珪酸カルシウム等の硬質断熱材料からなる断熱壁25と、鋼板等の金属板からなる外壁26及び内壁27を有している。これら4つの枠部材22~24が四角形に組まれ、その内側に四角形の点検口20が画成されている。図1に示すように、下枠部材23の上面が、点検口20の下側内面20bを構成している。
【0013】
図1及び図2に示すように、点検口枠材21の煙突内側の端面は、周壁11の内周面と面一になっている。点検口枠材21の煙突外側の端部は、周壁11の外面から突出されている。図1に示すように、上枠部材22及び下枠部材23は、互いに平行をなし、かつ煙突外側へ向かって上へ少し傾斜されている。これによって、点検口20の下側内面20bには、煙突本体10の内部へ向かって下がる勾配が付けられている。
【0014】
図1及び図4に示すように、周壁11における、上下の枠部材22,23との接合面11f,11gは、これら枠材22,23の傾斜に合わせて、斜めになっている。
【0015】
図3に示すように、点検口20には開閉扉30が設けられている。開閉扉30は、点検口20に合わせた大きさの四角形に形成されている。図1及び図2に示すように、開閉扉30は、煙突本体10及び点検口枠材21と同様に、珪酸カルシウム等の硬質断熱材料からなる断熱壁31と、鋼板等の金属板からなる外壁32及び内壁33を有している。開閉扉30の閉状態において、内壁33及び断熱壁31が、点検口20内に嵌っている。外壁32の周縁部32eは、断熱壁31の周縁部よりも突出されている。図3及び図4に示すように、該周縁部32eが、パッキン35を介して、点検口枠材21の煙突外側の端面21eにネジ34等の固定手段によって固定されている。固定を解除することによって、開閉扉30を点検口20から取り外すことができる。これによって、点検口20を開閉できる。
【0016】
図4に示すように、点検口枠材21の煙突外側の端面21eは、点検口20の下側内面20bと直交するように、少し上向きに傾けられている。このため、図1及び図4に示すように、開閉扉30が、鉛直に対して少し上向きに傾斜され、下側内面20bに対して直交している。
【0017】
図4に示すように、下側内面20bの水平に対する角度θは、好ましくはθ=1°~10°程度、より好ましくはθ=4°前後である。下側内面20bの角度θは、開閉扉30の鉛直に対する傾斜角度と等しい。
【0018】
図1に示すように、煙突1における点検口20の直ぐ下側には、底盤40が設けられている。底盤40によって、煙突1の底部が構成されている。底盤40の上面が、煙突1の内部空間の底面(以下「煙突内底面41」と称す)を構成している。底盤40には、管材等からなる水抜き路42が設けられている。水抜き路42の端部が、煙突内底面41に開口されている。煙突内底面41には、水抜き路42の開口42aへ向かって下がる勾配が付けられている。
開口42aは、煙突内底面41の中央部に配置されているが、これに限らず、煙突内底面41の周縁部に設けられていてもよい。
【0019】
当該煙突1によれば、内壁15に付着した結露水や雨水が、内壁15を伝って下降して、点検口20の下側内面20bに達したときは、該下側内面20bの下がり勾配によって煙突内部側へ流下し、煙突内底面41の開口42aから水抜き路42へ排出される。これによって、結露水や雨水が点検口20から煙突外部へ漏れ出るのを防止できる。
【0020】
開閉扉30を開けることで、点検口20から煙突内部を点検できる。点検口20が煙突内部へ向かって下がっているため、水抜き路42の目詰まり状態などを目視確認しやすくなる。
点検が終わったら開閉扉30を閉じる。開閉扉30は、上向きに傾けられているため、自重が閉じ方向へ作用する。したがって、開閉扉30の閉じ具合が不良でも、開閉扉30が自然と閉じられるようにでき、半開き状態になるのを防止できる。
【0021】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、点検口の上縁面は水平であってもよい。
開閉扉は、ヒンジ付きの片開き式又は観音扉式などであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、例えば商業ビル、工場等の建物に付属の陣笠付き煙突に適用できる。
【符号の説明】
【0023】
1 煙突
10 煙突本体
11 下部周壁
11f 上、接合面
11g 下、接合面
13 断熱壁
14 外壁
15 内壁
20 点検口
20b 下側内面
21 枠材
21e 煙突外側端面
22 上枠部材
23 下枠部材
24 左右の側枠部材
25 断熱壁
26 外壁
27 内壁
30 開閉扉
31 断熱壁
32 外壁
32e 周縁部
33 内壁
34 ネジ
40 底盤(煙突底部)
41 煙突内底面
42 水抜き路
42a 開口
図1
図2
図3
図4