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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117712
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】社会参加行動分析装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20180101AFI20230817BHJP
【FI】
G06Q50/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020423
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】野山 駿介
(72)【発明者】
【氏名】垂水 信二
(72)【発明者】
【氏名】小林 薫樹
(72)【発明者】
【氏名】伴 秀行
(72)【発明者】
【氏名】大崎 高伸
(72)【発明者】
【氏名】荒木 真敬
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】近藤 克則
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】
より正確に、社会参加情報の算出、補正を可能とすることを課題とする。
【解決手段】
ユーザの社会参加行動を分析する社会参加行動分析サーバ301であって、複数のユーザの行動を示すセンサ情報及び前記行動の際の環境を示す環境情報を受け付ける入力部31と、前記センサ情報から、前記ユーザの社会参加行動を示す社会参加情報を特定する社会参加情報特定部33と、前記環境情報に対する前記社会参加情報の回帰モデルを、前記社会参加行動の種類毎に生成するモデル生成部34と、前記回帰モデルに基づき、前記環境情報に対応する前記社会参加情報の補正量を計算する補正量計算部35と、前記補正量を用いて、前記社会参加情報を補正する社会参加情報補正部36を有する。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの社会参加行動を分析する社会参加行動分析装置であって、
複数のユーザの行動を示すセンサ情報及び前記行動の際の環境を示す環境情報を受け付ける入力部と、
前記センサ情報から、前記ユーザの社会参加行動を示す社会参加情報を特定する社会参加情報特定部と、
前記環境情報に対する前記社会参加情報の回帰モデルを、前記社会参加行動の種類毎に、生成するモデル生成部と、
前記回帰モデルに基づき、前記環境情報に対応する前記社会参加情報の補正量を計算する補正量計算部と、
前記補正量を用いて、前記社会参加情報を補正する社会参加情報補正部を有する社会参加行動分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の社会参加行動分析装置において、
前記社会参加情報特定部は、複数の所定期間それぞれについて前記社会参加情報を特定し、
前記補正量計算部は、前記所定期間における前記補正量を計算する社会参加行動分析装置。
【請求項3】
請求項2に記載の社会参加行動分析装置において、
前記補正量計算部は、前記複数の所定期間のうち、第1の期間の社会参加情報を、第2の期間の社会参加情報に対応させる補正量を計算する社会参加行動分析装置。
【請求項4】
請求項2に記載の社会参加行動分析装置において、
前記補正量計算部は、前記複数の所定期間ののうち、少なくとも第1の期間の社会参加情報を、予め定められた基準に対応させる補正量を計算する社会参加行動分析装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれかに記載の社会参加行動分析装置において、
前記入力部は、さらに、前記社会参加行動を支援する介入が実行されたことを受け付け、
さらに、前記介入の前後それぞれの所定期間における補正された前記社会参加情報に基づいて、前記介入の効果を算出するデータ分析部を有する社会参加行動分析装置。
【請求項6】
請求項5に記載の社会参加行動分析装置において、
さらに、補正された前記社会参加情報を用いて、前記ユーザの健康に関するリスクを予測するために用いられるリスク予測モデルを生成するリスク予測モデル生成部を有する社会参加行動分析装置。
【請求項7】
請求項6に記載の社会参加行動分析装置において、
前記社会参加情報には、前記ユーザの特定スポットへの滞在状況、就労状況、グループ活動への参加状況のうち少なくとも1つが含まれる社会参加行動分析装置。
【請求項8】
社会参加行動分析装置を用いて、ユーザの社会参加行動を分析する社会参加行動分析方法であって、
入力部により、複数のユーザの行動を示すセンサ情報及び前記行動の際の環境を示す環境情報を受け付け、
社会参加情報特定部により、前記センサ情報から、前記ユーザの社会参加行動を示す社会参加情報を特定し、
モデル生成部により、前記環境情報に対する前記社会参加情報の回帰モデルを、前記社会参加行動の種類毎に生成し、
補正量計算部により、前記回帰モデルに基づき、前記環境情報に対応する前記社会参加情報の補正量を計算し、
社会参加情報補正部により、前記補正量を用いて、前記社会参加情報を補正する社会参加行動分析方法。
【請求項9】
請求項8に記載の社会参加行動分析方法において、
前記社会参加情報特定部により、複数の所定期間それぞれについて前記社会参加情報を特定し、
前記補正量計算部により、前記所定期間における前記補正量を計算する社会参加行動分析方法。
【請求項10】
請求項9に記載の社会参加行動分析方法において、
前記補正量計算部により、前記複数の所定期間のうち、第1の期間の社会参加情報を、第2の期間の社会参加情報に対応させる補正量を計算する社会参加行動分析方法。
【請求項11】
請求項9に記載の社会参加行動分析方法において、
前記補正量計算部は、前記複数の所定期間ののうち、少なくとも第1の期間の社会参加情報を、予め定められた基準に対応させる補正量を計算する社会参加行動分析方法。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれかに記載の社会参加行動分析方法において、
前記入力部により、さらに、前記社会参加行動を支援する介入が実行されたことを受け付け、
さらに、データ分析部により、前記介入の前後それぞれの所定期間における補正された前記社会参加情報に基づいて、前記介入の効果を算出する社会参加行動分析方法。
【請求項13】
請求項12に記載の社会参加行動分析方法において、
さらに、リスク予測モデル生成部により、補正された前記社会参加情報を用いて、前記ユーザの健康に関するリスクを予測するために用いられるリスク予測モデルを生成する社会参加行動分析方法。
【請求項14】
請求項13に記載の社会参加行動分析方法において、
前記社会参加情報には、前記ユーザの特定スポットへの滞在状況、就労状況、グループ活動への参加状況のうち少なくとも1つが含まれる社会参加行動分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの社会参加行動を分析するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
人(ユーザ)の活動量を評価するにあたり、三次元加速度センサなどを用いて人の活動量を測定し、測定した活動量を気温などの環境情報で補正し、補正した活動量に基づいて評価する技術が開発されている。このような活動量評価システムについては、例えば、特開2007-275260号公報(特許文献1)に記載の技術がある。特許文献1には、「活動強度データと、活動時間帯データとを基に、かつ、少なくとも外部環境情報及び固定情報による補正を加えて補正後測定値を得ておき、その補正後測定値を後述する評価テーブルにて評価して、その評価結果を所定の表示画面データに形成してディスプレイ装置52に与える」(段落0017)ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-275260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、気温と活動量が大きく関連するという既知の知見に基づいて人為的に設定した回帰モデルを用いて活動量の補正を行っている。そのため、知見が未知の活動や社会参加行動に対しては、適切に補正することができない。仮に、移動時間や移動距離といった環境情報との関係性が未知の社会参加情報を補正しようとする場合、それぞれの社会参加情報と環境情報との関係を、データに基づいて分析したうえで、補正する必要がある。そこで、本発明では、より正確に社会参加情報の算出することを課題とする。なお、この算出には、補正が含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための代表的な本発明の態様の一つは、ユーザにおける社会参加情報に対して、その環境情報に応じた社会参加の種類毎に回帰モデルに基づいて、補正する。
【0006】
より具体的な本発明の態様は、ユーザの社会参加行動を分析する社会参加行動分析装置であって、複数のユーザの行動を示すセンサ情報及び前記行動の際の環境を示す環境情報を受け付ける入力部と、前記センサ情報から、前記ユーザの社会参加行動を示す社会参加情報を特定する社会参加情報特定部と、前記環境情報に対する前記社会参加情報の回帰モデルを、前記社会参加行動の種類毎に、生成するモデル生成部と、前記回帰モデルに基づき、前記環境情報に対応する前記社会参加情報の補正量を計算する補正量計算部と、前記補正量を用いて、前記社会参加情報を補正する社会参加情報補正部を有する社会参加行動分析装置である。
【0007】
また、本発明には、社会参加行動分析装置を用いた社会参加行動分析方法や社会参加行動分析装置をコンピュータとして機能させるためのプログラムやこのプログラムを格納する記録媒体も本発明に含まれる。さらに、社会参加行動分析装置やユーザ利用端末を含む社会参加分析システムも本発明の一態様である。またさらに、ユーザ利用端末をコンピュータとして機能させるためのプログラム(アプリ)も本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、より高精度かつ高信頼な分析を行うことができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1及び2における社会参加分析システムの構成例を示す図である。
図2】実施例1及び2で用いられるユーザ管理情報データベースの構成例を示す図である。
図3】実施例1及び2で用いられる社会参加情報データベースの構成例を示す図である。
図4】実施例1及び実施例2で用いられる環境情報データベースの構成例を示す図である。
図5】実施例1及び実施例2で用いられる補正量データベースの構成例を示す図である。
図6】実施例1及び実施例2で用いられる補正社会参加情報データベースの構成例を示す図である。
図7】実施例1及び実施例2で用いられる介入割付情報データベースの構成例を示す図である。
図8】実施例1及び実施例2で用いられる要介護認定情報データベースの構成例を示す図である。
図9】実施例1及び実施例2における社会参加情報分析の例を示すシーケンス図である。
図10】実施例1における回帰モデルの生成処理の一例を説明するフローチャートである。
図11】実施例1及び実施例2における補正量の計算処理の一例を説明するフローチャートである。
図12】実施例1及び実施例2のステップS15における分析結果の表示画面の一例を示す図である。
図13A】実施例1及び実施例2のステップS19における分析結果の表示画面の一例を示す図である。
図13B】実施例1及び実施例2のステップS19における分析結果の表示画面の他の一例を示す図である。
図14】実施例2における回帰モデルの生成処理の一例を説明するフローチャートである。
図15】実施例1及び2における社会参加行動分析サーバの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を具体的に示す実施例1及び2を、図面を用いて説明する。
【実施例0011】
図1は、実施例1及び2における社会参加分析システムの構成例を示す図である。社会参加分析システムは、環境情報配布サーバ101、ユーザ利用端末201、ユーザ利用端末251、及び社会参加行動分析サーバ301から構成される。環境情報配布サーバ101、ユーザ利用端末201、ユーザ利用端末251、及び社会参加行動分析サーバ301は、ネットワーク10を介して互いに接続される。まず、社会参加分析システムの処理の概要を説明する。社会参加分析システムでは、他の装置から取得されたセンサ情報から、ユーザの社会参加行動を示す社会参加情報を特定する。そして、社会参加分析システムでは、これをセンサ情報が示すユーザの行動の際における環境情報に基づき補正する。このために、環境情報配布サーバ101は、社会参加行動分析サーバ301に環境情報を送信する。また、ユーザ利用端末201は、社会参加行動分析サーバ301に、センサ情報を送信する。
【0012】
そして、社会参加行動分析サーバ301が、社会参加情報の特定やその補正を行う。また、社会参加行動分析サーバ301では、社会参加情報に対して分析を行う。さらに、社会参加行動分析サーバ301は、この分析結果や社会参加情報を他の装置に送信する。この結果、ユーザ利用端末201及びびユーザ利用端末251は、社会参加行動分析サーバ301から社会参加情報に関する分析結果を受信し、これを出力する。出力としては、画面に表示することが含まれる。つまり、社会参加行動分析サーバ301は、ユーザ利用端末201及びユーザ利用端末251に対して社会参加情報分析サービスを提供することになる。なお、社会参加情報分析サービスの実現に用いられるネットワーク10の接続方式は有線及び無線のいずれでもよく、ネットワーク10は、インターネットなどで実現できる。
【0013】
次に、社会参加分析システムの各装置の構成について、説明する。まず、環境情報配布サーバ101は、国や地方自治体などが運用する、気象観測情報などの環境情報を配布するサーバである。気象観測情報には、温度、湿度、天候などが含まれれる。なお、環境情報とは、社会参加行動が実行される際の環境を示す情報であり、気象観測情報はその一例である。このため、環境情報には、場所、地域、高度等の位置情報や屋内外などの状況も含まれる。これは、同じ気象観測情報であっても、地域によってユーザの感じ方、影響が異なるためである。例えば、寒冷地のユーザは、低気温であってもある程度活動の低下が抑止される。また、環境情報配布サーバ101は、演算装置102、主記憶装置103、補助記憶装置104、及び通信インターフェース(通信I/F)106を有する計算機(コンピュータ)で実現できる。
【0014】
以下、環境情報配布サーバ101の各構成について説明する。まず、演算装置102は、補助記憶装置104に格納されたプログラムを主記憶装置103にロードして実行する装置である。このため、演算装置102は、CPUといったプロセッサで実現できる。また、主記憶装置103は、演算装置102が実行するプログラム及びプログラムの実行の際に使用されるデータを一時的に格納(ロード)する。
【0015】
また、補助記憶装置104は、例えば、磁気記憶装置(HDD)、フラッシュメモリ等からなる半導体記憶装置(SSD)等の大容量かつ不揮発性の記録装置によって実現でき、演算装置102が実行するプログラムや各種情報を格納する。具体的には、補助記憶装置104は、主記憶装置103にロードするプログラム及び環境情報データベース105を格納する。ここで、環境情報データベース105は、計測地域ごとの気温や積雪量、降水量などの環境情報を格納するデータベースである。また、通信I/F106は、所定のプロトコルに従って、ネットワークを介して社会参加行動分析サーバ301との通信を制御し、社会参加行動分析サーバ301との間でデータ送受信を行う通信インターフェース装置である。
【0016】
次に、ユーザ利用端末201は、データの計測を行う端末(スマートフォン端末やウェアラブル端末)で実現でき、ユーザにより利用される。このため、ユーザ利用端末201は、携帯可能な端末であることが望ましい。なお、計測されるデータには、ユーザの行動を示すセンサ情報が含まれる。なお、ユーザの行動には、当該ユーザの移動が含まれる。また、ユーザ利用端末201は、入出力装置202、演算装置203、行動情報センサ204、通信I/F205、主記憶装置206、及び補助記憶装置208を有する計算機(コンピュータ)で実現できる。
【0017】
また、入出力装置202は、例えばタッチパネルのようなディスプレイ装置からなり、タッチパネルとしてユーザの操作入力を受け付け、プログラムの実行結果をユーザが視認可能な形式で出力する。例えば、入出力装置202は、ユーザからの入力を受け付けると、社会参加行動分析サーバ301から受信する社会参加情報分析結果を表示する。また、演算装置203は、CPUのようなプロセッサで実現でき、補助記憶装置208に格納されたプログラム(アプリ)を主記憶装置206にロードして実行する。なお、入出力装置202は、キーボード等の入力装置とディスプレイ画面等の出力装置に分けて構成してもよい。
【0018】
また、行動情報センサ204は、スマートフォンの状態を計測する種々の行動情報センサによって構成される。具体的には、位置情報センサや加速度センサによって構成できる。通信I/F205は、所定のプロトコルに従って、ネットワークを介して社会参加行動分析サーバ301との通信を制御し、社会参加行動分析サーバ301との間でデータ送受信を行う通信インターフェース装置である。
【0019】
また、主記憶装置206は、演算装置203が実行するプログラム及びプログラムの実行の際に使用されるデータを一時的に格納する。なお、主記憶装置206は、ソフトウェア構成として、センサ情報収集プログラム207がロードされる。補助記憶装置208には、センサ情報収集プログラム207が格納される。このセンサ情報収集プログラム207により、演算装置203がセンサ情報収集部として機能することになる。このセンサ情報収集部は、行動情報センサ204を制御し、センサ情報を収集する。
【0020】
補助記憶装置208は、例えば、磁気記憶装置(HDD)、フラッシュメモリ等からなる半導体記憶装置(SSD)等の大容量かつ不揮発性の記録装置によって実現でき、演算装置203が実行するプログラムや各種情報を格納する。具体的には、補助記憶装置208は、主記憶装置206にロードするセンサ情報収集プログラム207及びセンサ情報データベース209を格納する。
【0021】
ここで、センサ情報データベース209は、センサ情報収集プログラム207に従って収集したセンサ情報を格納するデータベースである。具体的には、行動情報センサ204のうち、位置情報センサが収集した緯度と経度の時系列データや、加速度センサが収集した3次元加速度の時系列データを格納する。
【0022】
次に、ユーザ利用端末251は、上述の分析結果の表示を行う端末(PCやタブレット端末)で実現でき、自治体や保険会社などのユーザにより利用される。ユーザ利用端末251は、ユーザ利用端末201と比較して、分析結果の出力に機能が絞られている。また、ユーザ利用端末251は、ユーザ利用端末201のように携帯可能な端末でもよいし、固定的に設置される端末であってもよい。そして、ユーザ利用端末251は、入出力装置252、演算装置253、通信I/F254、主記憶装置255、及び補助記憶装置256を有する計算機(コンピュータ)である。
【0023】
ここで、入出力装置252は、例えばタッチパネルのようなディスプレイ装置からなり、ユーザの操作入力を受け付け、プログラムの実行結果をユーザが視認可能な形式で出力する装置である。例えば、ユーザ保有端末の入出力装置252は、ユーザからの入力を受け付けると、社会参加行動分析サーバ301から受信する社会参加情報分析結果を表示する。なお、入出力装置252は、キーボード等の入力装置とディスプレイ画面等の出力装置に分けて構成してもよい。
【0024】
また、演算装置253は、CPUのようなプロセッサで実現でき、補助記憶装置256に格納されたプログラムを主記憶装置255にロードして実行する。また、通信I/F254は、所定のプロトコルに従って、ネットワークを介して社会参加行動分析サーバ301との通信を制御し、社会参加行動分析サーバ301との間でデータ送受信を行う通信インターフェース装置である。
【0025】
また、主記憶装置255は、演算装置253が実行するプログラムを一時的に格納(ロード)する。補助記憶装置256は、例えば、磁気記憶装置(HDD)、フラッシュメモリ等からなる半導体記憶装置(SSD)等の大容量かつ不揮発性の記録装置によって構成されており、演算装置253が実行するプログラムを格納する。
【0026】
次に、社会参加行動分析サーバ301は、入出力装置302、演算装置303、通信I/F304、主記憶装置310、及び補助記憶装置350を有する計算機(コンピュータ)で実現できる。このため、社会参加行動分析サーバ301は、社会参加行動分析装置とも表現できる。以下、社会参加行動分析サーバ301の構成について説明する。
まず、入出力装置302は、例えばタッチパネルのようなディスプレイ装置からなり、操作入力を受け付け、プログラムの実行結果を視認可能な形式で出力する装置である。入出力装置302は、キーボードのような入力装置とディスプレイ画面のような出力装置に分けて構成してもよい。さらに、社会参加行動分析サーバ301は、入出力装置302を省略してもよいし、別筐体の端末装置で実現してもよい。
【0027】
また、演算装置303は、CPUのようなプロセッサで実現でき、補助記憶装置350に格納されたプログラムを主記憶装置310にロードして実行する。また、通信I/F304は、所定のプロトコルに従って、ネットワークを介して環境情報配布サーバ101、ユーザ利用端末201やユーザ利用端末251との通信を制御する。この結果、社会参加行動分析サーバ301は、環境情報配布サーバ101、ユーザ利用端末201、及びユーザ利用端末251との間でデータ送受信を行うことができる。
【0028】
また、主記憶装置310は、演算装置303が実行するプログラム及びプログラムの実行の際に使用されるデータを一時的に格納(ロード)する。ここで、主記憶装置310には、ソフトウェア構成として、以下のプログラムがロードされることなる。
社会参加情報特定プログラム311
モデル生成プログラム312
補正量計算プログラム313
社会参加情報補正プログラム314
リスク予測モデル生成プログラム315
データ分析プログラム316
これら各プログラムは、補助記憶装置350に格納されており、各プログラムの機能を演算装置303で実行する際に、主記憶装置310にされる。この結果、演算装置303は、社会参加情報特定部33、モデル生成部34、補正量計算部35、社会参加情報補正部36、リスク予測モデル生成部37及びデータ分析部38として機能する。これら、各部は上述したプログラム以外にも、ハードウェアで実現することも可能である。ここで、社会参加行動分析サーバ301の機能ブロックを説明する。図15は、本実施例及び実施例2における社会参加行動分析サーバ301の機能ブロックである。図15において、社会参加行動分析サーバ301は、入力部31、出力部32、社会参加情報特定部33、モデル生成部34、補正量計算部35、社会参加情報補正部36、リスク予測モデル生成部37及びデータ分析部38を有する。
【0029】
ここで、入力部31及び出力部32は、図1の通信I/F304及び入出力装置302に相当する。また、社会参加情報特定部33、モデル生成部34及び補正量計算部35のそれぞれが、社会参加情報特定プログラム311、モデル生成プログラム312、補正量計算プログラム313に相当する。さらに、社会参加情報補正部36、リスク予測モデル生成部37及びデータ分析部38のそれぞれが、社会参加情報補正プログラム314、リスク予測モデル生成プログラム315及びデータ分析プログラム316に相当する。以下、各機能ブロックについて、説明する。
【0030】
社会参加情報特定部33は、ユーザ利用端末201からのセンサ情報から社会参加情報を特定する。ここで、社会参加情報とは、ユーザの社会参加行動を示す情報であり、社会参加情報としてユーザの社会とのかかわり状況を示す社会参加指標を用いることができる。また、社会参加情報特定部33は、センサ情報から社会参加情報を抽出してもよいし、センサ情報に基づいて社会参加情報を算出ないし生成してもよい。
【0031】
また、モデル生成部34は、環境情報配布サーバ101から受信した環境情報を説明変数、社会参加情報特定部33が特定した社会参加情報を目的変数とした回帰モデルを生成する。モデル生成部34は、社会参加行動の種類ごとに、回帰モデルを生成することになる。また、補正量計算部35は、環境情報、社会参加情報及び回帰モデルに基づいて、社会参加情報の補正量を計算する。
【0032】
また、社会参加情報補正部36は、社会参加情報特定部で特定された社会参加情報を、計算された補正量分補正する。つまり、社会参加情報補正部は、社会参加情報を、補正量を用いて補正することで、補正社会参加情報を計算する。
【0033】
また、リスク予測モデル生成部37は、要介護認定情報データベース358に保存された要介護認定情報を目的変数、補正社会参加情報を説明変数として、将来、要介護認定となる確率を計算するためのリスク予測モデルを生成する。また、データ分析部38は、ユーザ利用端末201及びユーザ利用端末251からの分析要求に基づいて、社会参加情報の分析を実行する。具体的には、ユーザ利用端末201からの要求に対しては、社会参加情報補正部36が計算した補正社会参加情報を用いて、社会参加行動を評価する。ユーザ利用端末251からの要求に対しては、社会参加情報補正部36が計算した補正社会参加情報、及び介入割付情報データベースに保存される介入割り付け情報用いて、介入の効果を分析する。
【0034】
また、補助記憶装置350は、例えば、磁気記憶装置(HDD)、フラッシュメモリ等からなる半導体記憶装置(SSD)等の大容量かつ不揮発性の記録装置によって構成されており、演算装置303が実行するプログラムや各種情報を格納する。具体的には、補助記憶装置350は、主記憶装置310にロードする上述したプログラムが含まれる。また、情報には以下が含まれる。
ユーザ管理情報データベース351
社会参加情報データベース352
環境情報データベース353
回帰モデルデータベース354
補正量データベース355
補正社会参加情報データベース356
介入割付情報データベース357
要介護認定情報データベース358
リスク予測モデルデータベース359
ここで、ユーザ管理情報データベース351は、社会参加システムのユーザ管理情報を格納するデータベースであり、その詳細は図2を用いて後述する。また、社会参加情報データベース352は、社会参加情報特定部が特定した社会参加情報を格納するデータベースであり、その詳細は図3を用いて後述する。また、環境情報データベース353は、環境情報配布サーバ101から受信した環境情報を格納するデータベースであり、その詳細は図4を用いて後述する。
【0035】
また、回帰モデルデータベース354は、モデル生成部が生成した回帰モデルを格納するデータベースであり、モデルの種類、ハイパーパラメータ、重みパラメータの値など、回帰モデルの復元に必要となる情報を格納する。また、補正量データベース355は、補正量計算部が計算した補正量を格納するデータベースであり、その詳細は図5を用いて後述する。また、補正社会参加情報データベース356は、社会参加情報補正部が計算した補正社会参加情報を格納するデータベースであり、その詳細は図6を用いて後述する。
【0036】
さらに、介入割付情報データベース357は、社会参加行動に対する施策などの介入についての介入割付情報を格納するデータベースであり、その詳細は図7を用いて後述する。また、要介護認定情報データベース358は、ユーザに対応する要介護認定情報を格納するデータベースであり、その詳細は図8を用いて後述する。また、リスク予測モデルデータベース359は、リスク予測モデル生成部37が生成したリスク予測モデルを格納するデータベースであり、モデルの種類、ハイパーパラメータ、重みパラメータの値など、リスク予測モデルの復元に必要となる情報を格納する。
【0037】
次に、各データベースの構成例を説明する。図2から図8に示すデータベースは、テーブル形式の構成例を図示するが、テーブル形式ではなく、リストやキュー等のデータ構造でもよい。また、各データベースの内容は一例を示すものであり、一部の情報を削除したり又は新たな情報を追加したりしてもよい。
【0038】
まず、図2は、本実施例及び実施例2で用いられるユーザ管理情報データベース351の構成例を示す図である。図2に示すように、ユーザ管理情報データベース351は、ユーザID401、氏名402、生年月日403、性別404、住所405、メールアドレス406を含み、ユーザ管理に用いる情報を記録する。ユーザID401は、ユーザに割り振られる識別番号である。氏名402は、ユーザの個人名である。生年月日403は、ユーザの生年月日である。性別404は、ユーザの性別である。住所405は、ユーザの居住地情報である。メールアドレス406は、ユーザのメールアドレスであり、社会参加行動分析サーバ301がメールで連絡する際の連絡先である。
【0039】
次に、図3は、本実施例及び実施例2で用いられる社会参加情報データベース352の構成例を示す図である。社会参加情報データベース352は、社会参加情報特定部33が特定した、ユーザの社会参加情報を記録するデータベースであり、基本情報501と計測データ502を含む。基本情報501は、ユーザID503、測定日504、地域505を含む。また、計測データ502は、歩数506、移動距離507、移動時間508を含む。なお、計測データ502には、ユーザ利用端末251が計測したセンサ情報から算出した社会参加行動を含めてもよい。ここで、社会参加行動には、以下のうち、少なくとも1つが含まれる。つまり、社会参加情報特定部33が、以下に例示する社会参加情報を特定する。
外出回数
滞在箇所数
特定スポットの滞在状況(回数や時間など)
自動車の利用状況
バイクの利用状況
鉄道の利用状況
バスの利用状況
旅行回数
歩行時間
連続歩行時間
高強度活動時間
グループ活動への参加状況(回数や時間など)
就労状況(回数や時間など)
転倒回数
なお、これらのうち、滞在箇所数、特定スポットの滞在状況、グループ活動への参加状況、就労状況のうち少なくとも1つを用いることが望ましい。これは、これらの情報が、ユーザの行動についての特徴的な情報のためである。
【0040】
また、ユーザID503は、ユーザに割り振られる識別番号である。測定日504は、社会参加情報の測定日である。地域505は、社会参加情報の計測地域である。地域505に記録される地域区分は、例えば都道府県や市、区、町、村など任意の地域区分でよい。歩数506は、ユーザ利用端末201で計測したセンサ情報から社会参加情報特定部33が抽出した、ユーザの一日の総歩数である。移動距離507は、ユーザ利用端末201で計測したセンサ情報から社会参加情報特定部33が特定した、ユーザの一日の総移動距離である。移動時間508は、ユーザ利用端末201で計測したセンサ情報から社会参加情報特定部33が特定した、ユーザの一日の総移動時間である。
【0041】
次に、図4は、本実施例及び実施例2で用いられる環境情報データベース353の構成例を示す図である。環境情報データベース353は、環境情報配布サーバ101から受信した環境情報を記録するデータベースであり、基本情報601と計測データ602を含む。基本情報601は、地域603、測定日604を含み、計測データ602は平均気温605、積雪量606、降水量607を含む。なお、計測データ602は、日照時間、風速、湿度、気圧、紫外線量等の情報を含んでもよい。また、積雪量606の代わりもしくはこれに加えて降雪量を用いてもよい。
【0042】
ここで、地域603は、環境情報の計測地域である。地域603に記録される地域区分は、例えば都道府県や市、区、町、村など任意の地域区分でよい。測定日604は、環境情報の測定日である。平均気温605は、観測気温の一日の平均値である。積雪量606は、24時間積雪量である。降水量607は、24時間降水量である。
【0043】
次に、図5は、本実施例及び実施例2で用いられる補正量データベース355の構成例を示す図である。補正量データベース355は、補正量計算部35が計算する、社会参加情報の補正量を記録するデータベースであり、基本情報701と計測データ702を含む。基本情報701は、ユーザID703、測定日704、地域705を含み、計測データ702は、歩数補正量706、移動距離補正量707、移動時間補正量708を含む。
【0044】
ユーザID703は、ユーザに割り振られる識別番号である。測定日704は、社会参加情報の測定日である。地域705は、社会参加情報の計測地域である。歩数補正量706は、歩数506の補正量である。移動距離補正量707は、移動距離507の補正量である。移動時間補正量708は、移動時間508の補正量である。補正量の具体的な算出方法は図11において後述する。
【0045】
次に、図6は、本実施例及び実施例2で用いられる補正社会参加情報データベース356の構成例を示す図である。補正社会参加情報データベース356は、社会参加情報補正部36が計算した補正社会参加情報を記録するデータベースであり、基本情報801と計測データ802を含む。基本情報801は、ユーザID803、測定日804、地域805を含み、計測データ802は、補正歩数806、補正移動距離807、補正移動時間808を含む。ここで、ユーザID803は、ユーザに割り振られる識別番号である。測定日804は、社会参加情報の測定日である。地域805は、社会参加情報が計測された地域である。補正歩数806は、補正後の歩数506である。補正移動距離807は、補正後の移動距離507である。補正移動時間808は、補正後の移動時間508である。補正社会参加情報の具体的な算出方法は図9において後述する。
【0046】
次に、図7は、本実施例及び実施例2で用いられる介入割付情報データベース357の構成例を示す図である。介入割付情報データベース357は、施策ID901、施策名902、地域903、施策開始日時904、ユーザID905を含み、データ分析部38における分析に用いる、介入割付情報を記録する。ここで、施策ID901は、介入施策に割り振られる識別番号である。施策名902は、介入施策の名称である。地域903は、介入施策の実施地域である。施策開始日時904は、施策の開始日時であり、介入開始日時とも表現できる。ユーザID905は、ユーザに割り振られる識別番号であり、施策に参加したユーザIDを登録する。
【0047】
次に、図8は、本実施例及び実施例2で用いられる要介護認定情報データベース358の構成例を示す図である。要介護認定情報データベース358は、ユーザID1001、氏名1002、生年月日1003、性別1004、被保険者番号1005、認定日1006、要介護状態区分1007を含む要介護認定情報を記録する。そして、要介護認定情報は、リスク予測モデル生成部37における分析に用いられる。なお、要介護状態区分1007は、要介護認定区分とも表現できる。
【0048】
ここで、ユーザID1001は、ユーザに割り振られる識別番号であり、要介護認定を受けたユーザのユーザIDを登録する。氏名1002は、ユーザの個人名である。生年月日1003は、ユーザの生年月日である。性別1004は、ユーザの性別である。被保険者番号1005は、ユーザの被保険者番号である。認定日1006は、ユーザが要介護状態区分1007を認定された日付である。要介護状態区分1007は、ユーザの要介護状態区分であり、要介護1、要介護2、要介護3、要介護4、要介護5を要素とする。また、要支援1、要支援2を要素に加えてもよい。
【0049】
また、ユーザID401、ユーザID503、ユーザID703、ユーザID803、ユーザID905、及びユーザID1001は、同一のユーザに対しては同一のものが付与される。したがって、ユーザID401、ユーザID503、ユーザID703、ユーザID803、ユーザID905、及びユーザID1001を用いて、以下のように検索することが可能になる。つまり、ユーザ管理情報データベース351、社会参加情報データベース352、補正量データベース355、補正社会参加情報データベース356、介入割付情報データベース357及び要介護認定情報データベース358から以下の情報が検索される。
同一ユーザのユーザ管理情報
社会参加情報
補正量
補正社会参加情報
介入割付情報
要介護認定情報
以上でデータベースの説明を終わり、次に、本実施例における処理について、説明する。図9は、本実施例における社会参加情報分析の例を示すシーケンス図である。以下、図9の各ステップの処理について説明する。なお、以下の説明では、社会参加行動分析サーバ301での処理における処理主体として、図15に示す各部を用いる。
【0050】
図9:ステップS1)
まず、ユーザ利用端末201は、入出力装置202を介して、ユーザからユーザ登録申請の入力を受け付ける。そして、ユーザ利用端末201は、通信I/F205を介して、受け付けたユーザ登録申請に応じたユーザ申請情報を、社会参加行動分析サーバ301に送信する。
【0051】
図9:ステップS2)
次に、社会参加行動分析サーバ301の入力部31は、ユーザ利用端末201からユーザ登録申請情報を受信する。また、社会参加情報特定部33等が、ユーザ登録申請情報に応じて、ユーザ管理情報データベース351に格納されたユーザ管理情報を更新する。そして、出力部32が、登録完了した旨をユーザ利用端末201に通知する。具体的なユーザ管理情報の更新は、ユーザ登録申請情報に対してユーザID401を割り当て、ユーザ管理情報データベース351にエントリを追加し、氏名402、生年月日403、性別404、住所405、メールアドレス406を登録することになる。
【0052】
図9:ステップS3)
また、ユーザ利用端末201は、通信I/F205により登録完了通知を受信する。また、登録完了通知の受信やセンサ情報収集プログラム207の起動を条件に、演算装置203がセンサ情報収集プログラム207に従って、センサ情報の計測を開始する。そして、演算装置203がセンサ情報収集プログラム207に従って、計測したセンサ情報をセンサ情報データベース209に格納する。具体的には、演算装置203がセンサ情報収集プログラム207に従って、行動情報センサ204を制御し、センサ情報を計測し、これら計測したセンサ情報をセンサ情報データベース209に登録する。
【0053】
図9:ステップS4)
ユーザ利用端末201は、センサ情報データベース209に保存したセンサ情報を任意のタイミングで社会参加行動分析サーバ301に送信する。具体的には、演算装置203がセンサ情報収集プログラム207に従って、周期的にセンサ情報を抽出し、これを通信I/F205を介して送信する。周期的な送信には、例えば、毎日同時刻に送信することが含まれる。
【0054】
図9:ステップS5)
また、社会参加行動分析サーバ301の入力部31は、ユーザ利用端末201からセンサ情報を受信する。そして、社会参加情報特定部33が、受信したセンサ情報から社会参加情報を特定する。また、社会参加情報特定部33は、特定された社会参加情報により、社会参加情報データベース352を更新する。具体的には、社会参加情報特定部33は、センサ情報に含まれる加速度情報及び位置情報から、歩数、移動距離、移動時間を抽出する。続いて、社会参加情報特定部33は、社会参加情報データベース352にエントリを追加し、抽出された各項目を、ユーザID503、測定日504、地域505、歩数506、移動距離507、移動時間508を登録する。なお、社会参加情報データベース352に登録する地域505を決定する方法として、任意の方法を用いることができる。例えば、ユーザ利用端末201が計測した位置情報の重心から割り出した住所を用いる方法や、ユーザ管理情報データベース351を参照し、住所405を用いる方法などが考えられる。
【0055】
なお、ステップS5における社会参加情報の特定を、以下のとおり実行してもよい。まず、ユーザ利用端末201が社会参加情報を特定し、この社会参加情報を、ユーザ利用端末201から社会参加行動分析サーバ301に送信してもよい。
【0056】
図9:ステップS6)
また、社会参加行動分析サーバ301は、環境情報配布サーバ101に、環境情報の要求を行う。このために、出力部32が、環境情報配布サーバ101に、環境情報要求を周期的に送信する。周期的な送信には、例えば、毎日同時刻の送信が含まれる。このように、ステップS4と本ステップの周期を合わせることが望ましい。
【0057】
図9:ステップS7)
また、環境情報配布サーバ101の通信I/F106が、社会参加行動分析サーバ301からの環境情報要求を受信する。そして、演算装置102が、環境情報要求に応じた環境情報を、環境情報データベース105から読み出す。この結果、通信I/F106が、読み出された環境情報を、社会参加行動分析サーバ301に送信する。
【0058】
この結果、社会参加行動分析サーバ301の入力部31は、環境情報を受信する。そして、モデル生成部34が、受信した環境情報に応じて、環境情報データベース353を更新する。具体的には、モデル生成部34は、環境情報データベース353にエントリを追加し、受信した環境情報に基づいて地域603、測定日604、平均気温605、積雪量606、降水量607を登録する。
【0059】
図9:ステップS8)
続いて、社会参加行動分析サーバ301のモデル生成部34は、任意のタイミングで回帰モデルを生成する。この回帰モデルは、対応する社会参加情報の種類毎に作成される。そして、モデル生成部34は、作成された回帰モデルに応じて、回帰モデルデータベース354を更新する。任意のタイミングとしては、例えば、前回のモデル生成実行から一定期間経過後とすることが含まれる。以下、この回帰モデルの生成の詳細を、図10を用いて説明する。図10は、本実施例における回帰モデルの生成処理の一例を説明するフローチャートである。
【0060】
図10:ステップS20)
モデル生成部34は、社会参加情報データベース352から、対象となる社会参加情報を読み出す。例えば、前回のモデル生成実行以降に社会参加情報データベース352に格納された社会参加情報が読み出される。
図10:ステップS21)
モデル生成部34は、環境情報データベース353からステップS21で読み出された社会参加情報に該当する環境情報を読み出す。ここで、本実施例における社会参加情報に該当する環境情報とは、それぞれの地域(505や603)及び測定日(504や604)のうち、少なくとも一方が一致する環境情報を示す。なお、ステップS20とステップS21の処理順序は問わない。ステップS21を先に行う場合、ステップS20では、所定条件に従って読み出された環境情報に該当する社会参加情報が読み出される。ここで、所定条件には、前回のモデル生成実行以降に登録されたことが含まれる。またさらに、モデル生成部34が、所定条件を特定し、これに応じてステップS20及びステップS21を実行してもよい。
【0061】
図10:ステップS22)
次に、モデル生成部34は、読み出した社会参加情報と環境情報の結合を行う。具体的には、モデル生成部34は、社会参加情報の測定日504(測定日604に対応)と地域505(地域603に対応)をキーとして環境情報を特定し、社会参加情報と特定された環境情報の内部結合を行い、結合データを生成する。なお、ステップS20やステップS21において、測定日や地域が1種類である場合には、これをキーとする環境情報の特定は不要となる。また、モデル生成部34は、環境情報の測定日や地域をキーにして、社会参加情報を特定してもよい。さらに、ステップS20やステップS21の該当する社会参加情報や環境情報の特定を省略してもよい。
【0062】
本ステップでは、結合元を環境情報、結合先を社会参加情報として内部結合を行うため、結合データのエントリ数は、読み出した社会参加情報のエントリ数と同じになる。そして、結合データのカラムは、ユーザID503、測定日504、地域505、歩数506、移動距離507、移動時間508、平均気温605、積雪量606、降水量607となる。
【0063】
図10:ステップS23)
また、モデル生成部34は、結合データを用いて、環境情報に対する社会参加情報の回帰モデルを、社会参加行動の種類毎に生成する。具体的には、モデル生成部34は、ステップS22で生成した結合データを用いて、以下の(1)~(3)に示す社会参加行動の種類毎の回帰モデルを作成する。
(1)目的変数を歩数506、説明変数を平均気温605と積雪量606と降水量607とした回帰モデル、
(2)目的変数を移動距離507、説明変数を平均気温605と積雪量606と降水量607とした回帰モデル、
(3)目的変数を移動時間508、説明変数を平均気温605と積雪量606と降水量607とした回帰モデル。
【0064】
なお、回帰モデルの種類としては、任意の回帰モデルを用いることができる。例えば、線形回帰モデル、ニューラルネットワーク、ランダムフォレスト、サポートベクトルマシン、勾配ブースティング木などが用いられる。このように、計測データに基づき、社会参加情報の種類毎に回帰モデルを生成することで、環境情報と各社会参加情報の未知の関係を、データに基づいて定量的かつ客観的に捉えることが可能となる。この結果、分析精度と信頼性の向上が期待できる。
【0065】
なお、回帰モデルの説明変数として、人々の社会参加行動に影響を与える情報を加えてもよい。このような情報には、年齢、性別、生体情報などのユーザの基本情報や、計測日が平日、休日、祝日のどれに該当するかといった暦に関する情報や、感染症パンデミック発生時の新規感染者数や重症患者数などが含まれる。また、社会参加行動は地域によって差があることを考慮し、地域505に基づいて、地域ごとに回帰モデルを生成し、以降の分析に用いてもよい。
【0066】
図10:ステップS24)
また、モデル生成部34は、生成した回帰モデルに基づいて、回帰モデルデータベース354を更新する。以上で、図10の説明を終わり、図9の説明に戻る。
【0067】
図9:ステップS9)
また、補正量計算部35は、回帰モデルの生成(ステップS8)の実行タイミングに依らず、任意のタイミングで、社会参加情報の補正量計算を実行し、補正量データベース355を更新することができる。補正量計算部35は、周期的に、例えば、毎日同時刻に補正量計算を実行し、補正量データベース355を更新する。ここで、本ステップでの補正量計算の詳細を、図11を用いて説明する。以下、図11は、本実施例及び実施例2における補正量の計算処理の一例を説明するフローチャートである。
【0068】
図11:ステップS30)
補正量計算部35は、回帰モデルデータベース354から、作成された社会参加行動毎に、回帰モデルを読み出す。
【0069】
図11:ステップS31)
補正量計算部35は、読み出した回帰モデルに、基準となる環境情報(以下、基準環境情報)を代入し、出力を計算する。具体的には、補正量計算部35は、(数1)、(数2)、(数3)に従って、それぞれ出力S0、D0、T0を計算する。(数1)、(数2)、(数3)において、fは歩数506を目的変数とした回帰モデルの関数、gは移動距離507を目的変数とした回帰モデルの関数、hは移動時間508を目的変数とした回帰モデルの関数である。X0、Y0、Z0は基準環境情報であり、それぞれ、任意の平均気温605、積雪量606、降水量607の値を設定する。例えば、X0=20℃、Y0=0mm、Z0=0mmと設定する。
【0070】
S0 = f(X0,Y0,Z0) ・・・(数1)
D0 = g(X0,Y0,Z0) ・・・(数2)
T0 = h(X0,Y0,Z0) ・・・(数3)
図11:ステップS32)
補正量計算部35は、社会参加情報データベース352から、前回補正量計算を実行して以降に、新たに追加された社会参加情報を読み出す。
【0071】
図11:ステップS33)
補正量計算部35は、環境情報データベース353から、ステップS32で読み出された社会参加情報に該当する環境情報を読み出す。なお、ステップS32とステップS33の処理順序は問わない。ステップS33を先に行う場合、ステップS32では、所定条件に従って読み出された環境情報に該当する社会参加情報が読み出される。
【0072】
図11:ステップS34)
ステップS22と同一処理であるため、説明を省略する。
【0073】
図11:ステップS35)
補正量計算部35は、読み出した回帰モデルに、ステップS34で得られた結合データを代入し、出力を計算する。具体的には、補正量計算部35は、(数4)、(数5)、(数6)に従って出力S、D、Tを計算する。(数4)、(数5)、(数6)において、X、Y、Zは観測された環境情報であり、Xは平均気温605、Yは積雪量606、Zは降水量607である。
【0074】
S = f(X,Y,Z) ・・・(数4)
D = g(X,Y,Z) ・・・(数5)
T = h(X,Y,Z) ・・・(数6)
図11:ステップS36)
補正量計算部35は、ステップS31の処理結果とステップS35の処理結果に基づいて、補正量を計算する。具体的には、補正量計算部35は、(数7)、(数8)、(数9)に従って歩数補正量706(ΔS)、移動距離補正量707(ΔD)、移動時間補正量708(ΔT)を計算する。
【0075】
ΔS = S0 - S ・・・(数7)
ΔD = D0 - D ・・・(数8)
ΔT = T0 - T ・・・(数9)
図11:ステップS37)
補正量計算部35は、ステップS36で計算した補正量に基づいて、補正量データベース355を更新する。具体的には、補正量計算部35は、補正量データベース355にエントリを追加し、ユーザID703、測定日704、地域705、歩数補正量706、移動距離補正量707、移動時間補正量708を登録する。なお、モデル生成(ステップS8)実行し、最初の補正量計算(ステップS9)を実行する場合、補正量計算部35は、社会参加情報データベース352に登録されている各社会参加情報について補正量計算を実行してもよい。この際、補正量計算部35は、補正量データベース355に登録されている各エントリを更新することになる。この更新対象は、全ての社会参加情報(エントリ)としてもよい。
【0076】
また、補正量は、(数7)、(数8)、(数9)のように、基準環境情報下で計測される社会参加情報の予測値(S0、D0、T0)と、実際に観測された環境情報下で計測される社会参加情報の予測値(S、D、T)の差によって計算される。つまり、補正量とは、基準環境情報と実際の環境情報の差が社会参加情報に与える影響を表す数量と表すこともできる。
【0077】
以上の補正量の計算は、予め定められた基準(絶対基準)を設け、少なくとも1つの期間の社会参加情報を補正している。さらに、絶対的な基準ではなく、複数の所定期間(例えば、周期)のうち、第1の期間の社会参加情報を、第2の期間の社会参加情報に対応させるような補正を行ってもよい。つまり、第2の期間の社会参加情報を基準とする相対的な補正を行ってもよい。また、第1の期間や第2の期間は、それぞれ介入前後のいずれかの期間(周期)を示すことになるが、いずれを前期間、後期間としてもよい。以上で、図11の説明を終わり、図9の説明に戻る。
【0078】
図9:ステップS10)
社会参加情報補正部36は、補正量により、社会参加情報の補正を実施する。そして、社会参加情報補正部36は、補正社会参加情報データベース356を更新する。具体的には、社会参加情報補正部36は、社会参加情報データベース352から社会参加情報を読み出し、補正量データベース355から補正量を読み出す。次に、社会参加情報補正部36は、読み出した社会参加情報と補正量を、ユーザID503(ユーザID703に対応)と測定日504(測定日704に対応)をキーとして対応付ける。そして、社会参加情報補正部36は、対応付けられたユーザID503、及び測定日504毎に歩数506と歩数補正量706の和をとり、補正歩数806を計算する。
【0079】
また、同様にして、社会参加情報補正部36は、移動距離507と移動距離補正量707の和をとり、補正移動距離807を計算する。また、同様にして、社会参加情報補正部36は、移動時間508と移動時間補正量708の和をとり、補正移動時間808を計算する。以上のように、社会参加情報補正部36は、社会参加行動の種類毎に、補正社会参加情報を計算することになる。
【0080】
そして、社会参加情報補正部36は、補正社会参加情報データベース356にエントリを追加し、ユーザID803、測定日803、地域805、補正歩数806、補正移動距離807、補正移動時間808を登録する。例えば、社会参加情報補正部36は、ユーザID503がu001、測定日504が2021/11/1であるエントリの場合、歩数506は8000歩、歩数補正量706は+200歩であるため、補正歩数806には8200歩を登録する。同様に、移動距離507は15km、移動距離補正量707は+1.2kmでるため、社会参加情報補正部36は、補正移動距離807には16.2kmを登録する。また、移動時間508は120分、移動時間補正量708は+12分であるため、社会参加情報補正部36は、補正移動時間808には132分を登録する。
【0081】
このように、社会参加情報補正部36は、環境情報に基づいて、社会参加情報の補正を行う。これにより、社会参加情報の計測環境が異なるデータを用いた分析が可能となる。例えば、計測時期が異なるデータや、計測場所が異なるデータは、データによって計測時の環境が大きく異なるが、補正を施すことによって、計測環境が異なるデータ間の比較が可能となり、分析精度と信頼性の向上につながる。
【0082】
図9:ステップS11)
以上のステップS10までの処理で、一旦社会参加情報の特定やその補正を終了する。以下、少なくとも補正社会参加情報を用いた分析を行うが、これらは社会参加情報の特定やその補正とは別タイミングで実行することが想定される。但し、そのタイミングは限定されない。また、以下の処理は省略してもよい。
【0083】
リスク予測モデル生成部37は、任意のタイミングでリスク予測モデルを生成する。そして、リスク予測モデル生成部37は、生成されたリスク予測モデルにより、リスク予測モデルデータベース359を更新する。例えば、リスク予測モデル生成部37は、新たな要介護認定情報を取得し、要介護認定情報データベース358が更新されたタイミングでリスク予測モデル生成を実行する。以下、リスク予測モデル生成の詳細を説明する。
【0084】
まず、リスク予測モデル生成部37は、補正社会参加情報データベース356から、補正社会参加情報を読み出す。また、リスク予測モデル生成部37は、要介護認定情報データベース358から、要介護認定情報を読み出す。そして、リスク予測モデル生成部37は、補正社会参加情報と要介護認定情報を用いて、要介護リスク予測モデルを構築する。具体的には、リスク予測モデル生成部37は、要介護状態区分1007を目的変数とし、補正歩数806、補正移動距離807及び補正移動時間808を説明変数として、リスク予測モデルを生成する。
【0085】
また、リスク予測モデル生成部37は、生成したリスク予測モデルに基づいて、リスク予測モデルデータベース359を更新する。ここで生成されたリスク予測モデルは、補正歩数806と補正移動距離807と補正移動時間808を代入すると、3年以内に要介護と認定される確率を返すものである。なお、予測する期間は任意に設定できる。さらに、リスク予測モデルとしては、ロジスティック回帰、ニューラルネットワーク、ランダムフォレストなど、任意の分類モデルを用いることが可能である。
【0086】
なお、これら分類モデルの説明変数として、ユーザの年齢、性別、生体情報、投薬情報、既往歴などの情報を加えてもよい。さらに、分類モデルの目的変数に、死亡情報、疾病罹患情報などを用いることで、死亡リスク予測モデルや疾病罹患リスク予測モデルなど、他のリスク予測モデルを構築してもよい。
【0087】
図9:ステップS12)
ユーザ利用端末251は、入出力装置252を介して、ユーザから分析要求の入力を受け付けると、通信I/F254により、分析要求情報を社会参加行動分析サーバ301に送信する。分析要求情報には、ユーザが介入の効果を調べたい施策に対応する施策ID901が含まれる。
【0088】
図9:ステップS13)
データ分析部38は、ステップS12での受信があると、データ分析を実行する。以下、データ分析の詳細を説明する。まず、データ分析部38は、補正社会参加情報データベース356から、分析要求情報に応じた補正社会参加情報及び介入割付情報データベース357から、介入割付情報を読み出す。分析要求情報に応じた補正社会参加情報や介入割付情報とは、例えば、分析要求情報の施策ID901に対応する情報を指す。
【0089】
また、データ分析部38は、読み出された補正社会参加情報のうち、介入前に計測された補正社会参加情報と、介入後に計測された補正社会参加情報をそれぞれ抽出する。具体的には、データ分析部38は、ユーザID803(ユーザID905に対応)をキーとして補正社会参加情報と介入割付情報を対応付ける。そして、データ分析部38は、分析対象の施策ID901をフィールドに持つエントリから、測定日804が施策開始日時904以前のエントリと、測定日804が施策開始日時904以降のエントリを抽出する。
【0090】
なお、分析対象とする介入前の期間、及び、介入後の期間は、任意の期間でよい。例えば、介入前の期間として、介入開始日以前28日間を使用し、介入後の期間として、介入開始日以降28日間を設定する。
【0091】
次に、データ分析部38は、リスク予測モデルデータベース359から、リスク予測モデルを読み出す。また、データ分析部38は、介入開始前に計測された補正社会参加情報と、介入開始後に計測された補正社会参加情報を、リスク予測モデルに代入する。そして、データ分析部38は、介入開始前のリスクスコアと介入開始後のリスクスコアをそれぞれ計算する。具体的には、データ分析部38は、以下に示す(数7)、(数8)に従って、介入開始前のリスクスコアRpreと介入開始後のリスクスコアRpostを計算する。(数7)、(数8)において、rはリスク予測モデルの関数を示す。また、Spreは介入開始前期間の補正歩数806を示す。また、Dpreは介入開始前期間の補正移動距離807を示す。また、Tpreは介入開始前期間の補正移動時間808を示す。また、Spostは介入開始後期間の補正歩数806を示す。また、Dpostは介入開始後期間の補正移動距離807を示す。さらに、Tpostは介入開始後期間の補正移動時間808を示す。
【0092】
Rpre = r(Spre,Dpre,Tpre) ・・・(数7)
Rpost = r(Spost,Dpost,Tpost) ・・・(数8)
また、データ分析部38は、計算したリスクスコアを用いて、各ユーザについて、介入開始前の期間のリスクスコアの平均値と、介入開始後の期間のリスクスコアの平均値を計算する。なお、データ分析部38は、補正後の社会参加情報ではなく、補正前の社会参加情報に基づいてリスクスコアを計算してもよい。具体的には、(数7)、(数8)において、以下のように代入してリスクスコアを計算する。まず、Spreに介入開始前期間の歩数506を代入する。また、Dpreに介入開始前期間の移動距離507を代入する。また、Tpreに介入開始前期間の移動時間508を代入する。また、Spostに介入開始後期間の歩数506を代入する。また、Dpostに介入開始後期間の移動距離507を代入する。また、Tpostに介入開始後期間の移動時間508を代入する。
【0093】
図9:ステップS14)
ステップS13が完了すると、出力部32は、分析結果をユーザ利用端末251に送信する。具体的には、出力部32は、ステップS13で計算したリスクスコア及びユーザ利用端末251の画面上に表示するその他の情報を、ユーザ利用端末251に送信する。その他の情報については、ステップS15の説明において、図12を用いて説明する。
【0094】
図9:ステップS15)
ユーザ利用端末251は、データ分析結果を受け付けると、入出力装置252に分析結果を表示する。図12は、本ステップにおける分析結果の表示画面の一例を示す図であり、介入効果の分析結果を示している。以下、図12について説明する。この分析結果の表示画面は、環境情報表示領域1201、及び分析結果表示領域1204を含む。まず、環境情報表示領域1201は、環境情報テーブル表示領域1202と、補正量表示領域1203を含む。また、環境情報テーブル表示領域1202は、介入前期間における気温、降雪量、降水量の平均値と、介入後期間における気温、降雪量、降水量の平均値がそれぞれ表示される。具体的には、ステップS14において、社会参加行動分析サーバ301から受け付けた以下の各種情報が表示される。
介入前期間における平均気温605、積雪量606、降水量607の平均値と、介入後期間における平均気温605、積雪量606、降水量607の平均値。
【0095】
また、補正量表示領域1203には、介入前期間と介入後期間の環境情報の差が社会参加情報に与える影響が表示される。具体的には、ステップS14において、社会参加行動分析サーバ301から受け付けた以下の各種情報が表示される。
介入前期間における歩数補正量706の平均値と介入後期間における歩数補正量706の平均値の差
介入前期間における移動距離補正量707の平均値と介入後期間における移動距離補正量707の平均値の差
介入前期間における移動時間補正量708の平均値と介入後期間における移動時間補正量708の平均値の差
また、分析結果表示領域1204は、補正有無選択部1205と介入効果表示領域1206を含む。まず、補正有無選択部1205は、介入効果表示領域1206に表示する分析結果を、補正後の社会参加情報に基づいて計算するか、補正前の社会参加情報に基づいて計算するかを選択するために用いられる。具体的には、ユーザにより、補正有無選択部1205で「補正あり」が選択された場合、ステップS13において、補正歩数806、補正移動距離807及び補正移動時間808が代入されて計算されるリスクスコアが表示される。また、補正有無選択部1205で「補正なし」が選択された場合、ステップS13において、歩数506、移動距離507及び移動時間508が代入されて計算されるリスクスコアが表示される。
【0096】
また、介入効果表示領域1206には、ステップS13で計算した、介入前期間のリスクスコアと介入後期間のリスクスコアが表示される。具体的には、介入効果表示領域1206には、介入前期間のリスクスコア、介入後期間のリスクスコアを比較するボックスプロット及び数値が表示される。加えて、介入効果表示領域1206には、介入前期間のリスクスコアと介入後期間のリスクスコアが統計的検定で比較、計算されたP値が表示される。
【0097】
なお、介入効果表示領域1206には、介入前と介入後での比較に用いる指標として、リスクスコア以外の指標が表示されてもよい。例えば、歩数、移動距離、移動時間を比較指標として用いてもよい。以上のデータ分析は、ユーザ利用端末251からの要求に応じて行ったが、ユーザ利用端末201からの要求に応じて実行することも可能である。以下では、その内容を説明する。
【0098】
図9:ステップS16)
ユーザ利用端末201は、入出力装置252を介して、ユーザから分析要求の入力を受け付けると、分析要求情報を、通信I/F205により、社会参加行動分析サーバ301に送信する。つまり、ステップS12と同様の処理を実行する。
【0099】
図9:ステップS17)
データ分析部38は、ステップS16でのユーザ利用端末201からの分析要求情報の受信があると、データ分析を実行する。以下、本ステップでのデータ分析の詳細を説明する。なお、本ステップにおける分析は、ユーザ利用端末251から分析要求情報を受信した場合のステップS13に相当する処理である。
【0100】
まず、データ分析部38は、補正社会参加情報データベース356から、分析要求情報に応じた補正社会参加情報を読み出す。ここで、分析要求情報には、ユーザ利用端末201のユーザを識別するユーザIDが含まれる。なお、ユーザIDは、分析要求情報とは別情報として受信してもよい。データ分析部38は、読み出された補正社会参加情報、つまり、分析要求情報のユーザIDに対応する補正社会参加情報に基づいて、当該ユーザの社会参加行動を評価する。具体的には、データ分析部38は、当該ユーザの補正歩数806と補正移動距離807と補正移動時間808のそれぞれについて、任意に設定した閾値に基づいて評価する。例えば、補正歩数806に応じて、そのランクが特定される。補正歩数806の評価に使用する閾値を、3000歩と7000歩に設定したとする。この場合、当該ユーザの補正歩数806が3000歩未満であれば、Cランク、当該ユーザの補正歩数806が3000歩以上、7000歩未満であれば、Bランク、当該ユーザの補正歩数806が7000歩以上であれば、Aランクと評価される。また、補正移動距離807、補正移動時間808についても同様の方法で評価を行うことが可能である。なお、評価に用いる閾値の数、及び、値は任意に設定してよい。また、評価の表現方法は任意の言葉に置き換えて良い。
【0101】
図9:ステップS18)
出力部32は、ステップS17が完了すると、分析結果をユーザ利用端末201に送信する。具体的には、出力部32は、ステップS17で計算したユーザの社会参加情報の評価及びユーザ利用端末201の画面上に表示するその他の情報を、ユーザ利用端末201に送信する。その他の情報については、ステップS19の説明において、図13A及び図13Bを用いて説明する。
【0102】
図9:ステップS19)
ユーザ利用端末201は、データ分析結果を受け付けると、入出力装置202に分析結果を表示する。図13A及び図13Bは、本ステップにおける分析結果の表示画面示す図である。まず、図13Aについて説明する。
【0103】
図13Aに示す表示画面は、補正有無選択部1301、社会参加評価表示領域1302、及び補正説明表示領域1303を含む。まず、補正有無選択部1301は、社会参加評価表示領域1302に表示する分析結果を、補正後の社会参加情報に基づいて計算するか、補正前の社会参加情報に基づいて計算するかを選択するために用いられる。具体的には、ユーザが、補正有無選択部1301で「補正あり」を選択した場合、ステップS17において、補正社会参加情報データベース356から読み出した補正社会参加情報に基づく評価の結果が表示される。また、補正有無選択部1301で「補正なし」が選択された場合、ステップS17において、社会参加情報データベース352から読み出した社会参加情報に基づく評価の結果が表示される。以下の説明では、補正有無選択部1301で「補正あり」が選択された場合の表示画面について説明する。
【0104】
社会参加評価表示領域1302には、ステップS18で社会参加行動分析サーバ301から受信した分析結果が表示される。具体的には、ステップS17において計算した評価及び補正社会参加情報データベース356に格納されている補正社会参加情報が画面上に表示される。
【0105】
補正説明表示領域1303は、補正に関する説明の表示に用いられ、ユーザがこれを指定することで、表示画面が図13Bに切り替わる。
【0106】
以下、本ステップにおける分析結果の表示画面である図13Bについて、説明する。図13Bに示す表示画面は、環境情報表示領域1304、及び補正社会参加情報表示領域1305を含む。まず、環境情報表示領域1304には、ステップS18で受信した、計測期間中の環境情報が表示される。具体的には、平均気温605、積雪量606、降水量607の、計測期間中の平均値が表示される。
【0107】
また、補正社会参加情報表示領域1305には、ステップS18で受信した、補正後の社会参加情報及び補正量が表示される。具体的には、補正歩数806、補正移動距離807、補正移動時間808、歩数補正量706、移動距離補正量707、移動時間補正量708の計測期間中の平均値が表示される。以上で、実施例1の説明を終わる。
【実施例0108】
次に、実施例2について説明する。本実施例は、実施例1における社会参加行動分析サーバ301のモデル生成(ステップS8)において、データに対するモデルの当てはまり度合いに基づいてモデルの生成を実行するものである。実施例1との差異点は、社会参加行動分析サーバ301のモデル生成部34でのモデル生成(ステップS8)である。このため、以下では、ステップS8に関して、図14を用いて説明する。図14は、実施例2における回帰モデルの生成処理の一例を説明するフローチャートである。
【0109】
図14:ステップS40~ステップS42)
図10のステップS20~ステップS22と同一処理であるため、説明を省略する。
【0110】
図14:ステップS43)
モデル生成部34は、回帰モデルデータベース354から回帰モデルを読み出す。この際、回帰モデルデータベース354に回帰モデルが存在しない場合、ステップS46を実行する。
【0111】
図14:ステップS44)
また、モデル生成部34は、ステップS42で生成した結合データとステップS43で読み出した回帰モデルを用いて、モデルのデータに対する当てはまり度を計算する。具体的には、モデル生成部34は、歩数506を目的変数とする回帰モデルに、結合データの平均気温605、積雪量606、降水量607を代入して出力を計算する。次に、モデル生成部34は、モデルの出力と歩数506を用いて、モデルのデータに対する当てはまり度を計算する。例えば、モデルのデータに対する当てはまり度の指標として、決定係数やRoot Mean Squared Error(RMSE)などを用いる。なお、モデル生成部34は、移動距離507及び移動時間508を目的変数とする回帰モデルについても同様の処理を行い、それぞれのモデルについて、モデルのデータに対する当てはまり度を計算する。
【0112】
図13:ステップS45)
また、モデル生成部34は、ステップS44で計算した当てはまり度に基づいて、モデルの更新を実施するか判断する。具体的には、モデル生成部34は、ステップS44にて計算した当てはまり度が、予め設定した基準よりも高ければ(YES)、処理を終了する。また、当てはまり度が、予め設定した基準よりも低ければ(NO)、モデル生成部34はステップS46に遷移する。つまり、モデル生成を実行する。
【0113】
図13:ステップS46及びステップS47)
それぞれ図10のステップ23及びステップS24と同一処理であるため、説明を省略する。
【0114】
このように、データに対するモデルの当てはまり度合いを計算することで、環境情報と各社会参加情報の関係が変化した時点でモデルを更新することが可能となる。これにより、環境情報と各社会参加情報の関係を正確にモデル化した回帰モデルが常に使用可能となり、分析精度と信頼性の向上につながる。また、環境情報と各社会参加情報の関係が変化した時点においてのみモデルの更新処理を実行する。このため、定期的にモデル生成処理を実行する場合と比較して、計算量が少なく済み、社会参加行動分析サーバ301の負荷低減につながる。
【0115】
なお、本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
【0116】
また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、IC カード、SD カード、DVD 等の記録媒体に置くことができる。
【符号の説明】
【0117】
101…環境情報配布サーバ、201…ユーザ利用端末、251…ユーザ利用端末、301…社会参加行動分析サーバ、31…入力部、32…出力部、33…社会参加情報特定部、34…モデル生成部、35…補正量計算部、36…社会参加情報補正部、37…リスク予測モデル生成部、38…データ分析部、352…社会参加情報データベース、353…環境情報データベース、354…回帰モデルデータベース、355…補正量データベース、356…補正社会参加情報データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15