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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117749
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】物体検知装置および物体検知方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 15/46 20060101AFI20230817BHJP
   G01S 7/527 20060101ALI20230817BHJP
   G01S 15/931 20200101ALI20230817BHJP
【FI】
G01S15/46
G01S7/527
G01S15/931
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020477
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】目黒 宏明
(72)【発明者】
【氏名】平井 義人
(72)【発明者】
【氏名】中北 学
【テーマコード(参考)】
5J083
【Fターム(参考)】
5J083AA02
5J083AB12
5J083AC12
5J083AD01
5J083AD04
5J083AD15
5J083AE01
5J083AE10
5J083AF10
5J083AG20
5J083BC10
5J083BE60
5J083DC01
5J083EB11
(57)【要約】
【課題】ゴーストを除去し、物体のターゲット座標を出力すること。
【解決手段】本開示に係る物体検知装置は、受信回路と、算出回路と、選択回路と、判定回路とを備える。受信回路は、ターゲットまでの距離に応じた反射波を受信する。算出回路は、第一の位置で受信される第一反射波または第二反射波と、第二の位置で受信される第一反射波または第二反射波とに基づき候補点と各候補点に関する測距値情報とを算出する。選択回路は、複数の前記候補点の中から、優先順を示す順序に従って候補点を選択する。判定回路は、選択回路が選択した候補点と、受信位置の違いにより所定距離以上変化する候補点とに基づきターゲットとなる点を判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットまでの距離に応じた反射波を受信する受信回路と、
第一の位置で受信される第一反射波または第二反射波と、第二の位置で受信される第一反射波または第二反射波とに基づき候補点と各候補点に関する測距値情報とを算出する算出回路と、
複数の前記候補点の中から、優先順を示す順序に従って候補点を選択する選択回路と、
前記選択回路が選択した前記候補点と、受信位置の違いにより所定距離以上変化する候補点とに基づき前記ターゲットとなる点を判定する判定回路と、
を備える物体検知装置。
【請求項2】
前記選択回路は、前記第一の位置と前記第二の位置とにおける第一反射波同士で得られる候補点を第一優先で選択し、
前記第一の位置に対応する前記反射波と、前記第二の位置に対応する前記反射波のうちの、少なくとも一方が複数の反射波を有する場合に、前記順序に従って残りの候補点を選択する、
請求項1に記載の物体検知装置。
【請求項3】
前記選択回路は、前記第一の位置と前記第二の位置とにおける第二反射波同士で得られる候補点を第二優先で選択する、
請求項2に記載の物体検知装置。
【請求項4】
前記選択回路は、第一反射波と第二反射波とで得られる候補点を第三優先で選択する、
請求項3に記載の物体検知装置。
【請求項5】
前記算出回路は、第一の位置で受信される反射波と、第二の位置で受信される反射波とに基づき三角測位により候補点と各候補点に関する測距値情報とを算出する、
請求項1乃至4のうちの何れか一項に記載の物体検知装置。
【請求項6】
少なくとも前記受信回路は、車両に搭載されている、
請求項1乃至5のうちの何れか一項に記載の物体検知装置。
【請求項7】
ターゲットまでの距離に応じた反射波を受信し、
第一の位置で受信される第一反射波または第二反射波と、第二の位置で受信される第一反射波または第二反射波とに基づき候補点と各候補点に関する測距値情報とを算出し、
複数の前記候補点の中から、優先順を示す順序に従って候補点を選択し、
選択した前記候補点と、受信位置の違いにより所定距離以上変化する候補点とに基づき前記ターゲットとなる点を判定する、
物体検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物体検知装置および物体検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波で物体を検知する物体検知装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-165858号公報
【特許文献2】特開2019-015682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物体からの反射波により物体の位置を検出すると、実際の物体の位置である実位置だけでなく実際には物体が存在していないゴースト位置も検出されることになるが、実位置とゴースト位置とが近いとゴースト位置を除去することができない場合がある。
【0005】
本開示の目的は、ゴーストを除去し、物体のターゲット座標を出力することが可能な物体検知装置および物体検知方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る物体検知装置は、受信回路と、算出回路と、選択回路と、判定回路とを備える。前記受信回路は、ターゲットまでの距離に応じた反射波を受信する。前記算出回路は、第一の位置で受信される第一反射波または第二反射波と、第二の位置で受信される第一反射波または第二反射波とに基づき候補点と各候補点に関する測距値情報とを算出する。前記選択回路は、複数の前記候補点の中から、優先順を示す順序に従って候補点を選択する。前記判定回路は、前記選択回路が選択した前記候補点と、受信位置の違いにより所定距離以上変化する候補点とに基づき前記ターゲットとなる点を判定する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ゴーストを除去し、物体のターゲット座標を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態に係る物体検知装置の構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施の形態に係る物体検知装置を車両に搭載して実施した場合の一例を示す説明図である。
図3図3は、実施の形態に係る物体検知装置における処理の概念図である。
図4図4は、実施の形態に係る物体検知装置において、優先順に候補点を選択する選択フローの一例を示す図である。
図5図5は、実施の形態に係る物体検知装置において、「12」が正しい場合の一例を説明する図である。
図6図6は、変形例に係る物体検知装置の検知方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本開示に係る物体検知装置および物体検知方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付すことにより重複説明を省略する。
【0010】
(実施の形態)
図1に示す物体検知装置1は、受信部100と、算出部110と、選択部120と、判定部130とを有する。これらは例えば信号処理ICなどを使用して実施する。
【0011】
受信部100は、物体を検知するための情報を複数の位置で受信する。一例として受信部はセンサ101とGPS102である。
【0012】
センサ101は、ターゲットまでの距離に応じた反射波を受信する送受信機であり、送信アンテナと受信アンテナとを含む。センサ101は送信アンテナに駆動信号を送出して送信アンテナから超音波を送信する。また、センサ101は、受信アンテナに戻る反射波を検波する。
【0013】
GPS102は、GPS(Global Positioning System)信号を受信する受信機であり、物体検知装置1の移動に伴って受信したGPS信号に基づいて移動量情報を出力する。
【0014】
信号処理ICは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)といった周知のマイクロコンピュータを用いて構成され、例えば、送信アンテナに送出する駆動信号を生成する駆動回路、及び、受信アンテナで受信した反射波を検波する検波回路を備えている。また、GPS102との通信回路などを備えている。
【0015】
算出部110は、受信部100が出力する情報から候補点を算出する。具体的に、算出部110は、受信部100が複数の位置(少なくとも2か所)で受信したそれぞれの反射波を同じターゲットからの反射波と見做し、すべての候補点と、各候補点に関する測距値情報とを算出する。この例では、移動量情報を使用して三角測位を行う。なお、測距値情報は、超音波の送信後に物体から反射波が戻って受信されるまでの時間、或いは、その時間から求めた距離であり、ここでは一例として後者の距離を示す測距値として説明する。また、超音波は一例であり、その他の周波数帯の電磁波であってもよい。
【0016】
選択部120は、候補点の中から、優先順を示す順序に従って候補点を選択する。
【0017】
判定部130は、選択部120が選択した候補点と、受信位置の違いにより当該候補の座標が所定距離以上変化する候補点とに基づきターゲットとなる点を判定する。所定距離以上変化する候補点はゴーストであるため除外する。ゴーストは、ターゲットがないにもかかわらず、あたかもターゲットがあるかのように検出されてしまう候補点のことである。
【0018】
次に、物体検知装置1の実施例について説明する。図2の(a)に示す車両10は、物体検知装置1をサイドソナーとして設けている。サイドソナーは、車両10の側方に超音波を送信することで車両10の側方の物体を検知する。ここでソナーとしているが、測距センサであればソナーに限定されない。例えばレーダなどであってもよい。なお、サイドソナーが車両10の前方に配置される場合、検知範囲は、車両10の真横から前方にかけた範囲となる。このため、サイドソナーの位置より後方の物体は検知範囲外となる。
【0019】
車両10のサイドソナーは、車両10の側方に所定時間間隔で超音波を送信し、車両10の移動により受信位置が移動して、各移動位置で、各反射波を受信することにより物体検知を行う。図2には一例として、時刻t1の位置、時刻t2の位置、時刻t3の位置の各移動位置における超音波の送受信の様子を示している。
【0020】
図2の(a)に示す例では、車両10の移動方向Xの側方に第一車両21と第二車両23とが駐車されており、さらに第一車両21と第二車両23との間にポール22が置かれている。なお、以下において、第一車両21と第二車両23を、それぞれ、車両10から見て手前車両と奥車両と呼ぶ場合もある。
【0021】
図2の(b)は、反射波から得られるターゲットまでの測定値の経過時間による変化を説明する図である。図2の(b)には、時間Tを横軸にセンサ101が出力する測定値をプロットした例である。一例として時間T0~T6までの変化を示している。なお、図2の(a)の時刻との対応を示すため、車両10の移動位置である時刻t1の位置と、時刻t2の位置と、時刻t3の位置とに実線を重ねて示している。
【0022】
図2の(a)および図2の(b)に示すように、時刻t1では、手前車両である第一車両21に隠れ、車両10でポール22の反射波は受信されない。また第二車両23は奥車両で遠いため、反射波の受信強度が小さく検出範囲から外れている。このため、手前車両である第一車両21からの反射波が第一反射波として受信されて、その測定値がプロットされている。なお、反射波は、同じ位置で一番目に検出される反射波を第一反射波と呼び、同じ位置で二番目に検出される反射波を第二反射波と呼ぶ。また、図2の(a)にn(tm)のルールで付与した符号は、nは、何番目の反射波であるか、例えば「1」の場合は第一反射波を指し、「2」の場合は第二反射波を指す。tmは、どの時刻で検出した反射波か、例えばt1であれば時刻t1を指す。
【0023】
車両がt1の位置から方向Xに移動していくと、徐々に第一車両21の陰からポール22が見え始める。このため、車両10の移動により移動量x1の時刻t2の位置では、車両10から、第一車両21が手前で、ポール22が奥という位置関係になる。従って、時刻t2の位置では、第一車両21から第一反射波を受信し、その後、ポール22の反射波である第二反射波を受信する。図2の(b)には、第一車両21からの第一反射波と、ポール22からの第二反射波の、それぞれの測定値がプロットされている。
【0024】
さらに、車両がt2の位置から方向Xに移動していくと、第一車両21から少しずつ離れ、今度はポール22と距離が近くなる。このため、移動量x2の時刻t3の位置では、第一反射波としてポール22の反射波を受信する。このタイミングでは、第一車両21と第二車両23からの反射波は検出されず、ポール22の反射波の測定値がプロットされている。
【0025】
さらに、車両がt3の位置から方向Xに移動していくと、今度は第二車両23に近づき、ポール22が第二車両23の陰に入る。すると、ポール22からの反射波が検出されず、第二車両23の反射波が第一反射波として検出されるようになる。
【0026】
なお、各プロットは、物体の形状等や、その他の背景の乱反射により、一時的に検出されるものも含まれている。これらプロットしたもののうち、図2の(b)に曲線により結んだように、経過時間に沿って緩やかに繋げられるプロットが、ターゲットであり、この例では、第一車両21、ポール22、および第二車両23がそれぞれ、手前車両、ポール、および奥車両として検出される。
【0027】
次に、算出部110の処理を説明する。算出部110は、受信部100から出力される情報に基づき、候補点と各候補点に関する測距値情報とを随時算出する。車両10の移動により、少なくとも移動前の第一の位置で受信した反射波の測距情報と移動後の第二の位置で受信した反射波の測距情報とを随時使用して、移動後の各位置で候補を算出する。
【0028】
具体的に、図3の(a)、図3の(b)の概念図を参照し、候補点を三角測位で算出する場合の一例を説明する。ここで候補点とは、図3の(a)に示すようなセンサ位置t1(第一の位置に相当)で受信される第一反射波または第二反射波と、センサ位置t2(第二の位置に相当)で受信される第一反射波または第二反射波との組み合わせで得られる点(図3の(a)中に示す交点)のことを指す。また、図3の(b)に示すようなセンサ位置t2(第一の位置に相当)で受信される第一反射波または第二反射波と、センサ位置t3´(第二の位置に相当)で受信される第一反射波または第二反射波との組み合わせで得られる点(図3の(b)中に示す交点)のことを指す。
【0029】
図3の(a)には、時刻t1のセンサ位置(t1)と時刻t2のセンサ位置(t2)における各測距値から三角測位で候補点を算出する例を示している。図3の(a)に示す横軸はセンサの移動量Lであり、センサ位置(t1)からセンサ位置(t2)までの距離(移動量x1)は移動量情報から求まる。図3の(b)には、センサ位置(t2)からセンサ位置(t3´)までの送受信時間間隔が短い場合における候補点の算出方法を模式的に示している。
【0030】
センサ位置(t1)では、第一反射波によって検出された測距値であるため、センサ位置(t1)を中心とする半円r1(t1)上にターゲットが存在する。ここで半円rm(tm)は、センサ位置(tm)中心の半円を意味する。rmは、半円の半径で、半径は、第m反射波の測距値に当たる。
【0031】
センサ位置(t2)では、第一反射波および第二反射波が検出され、それぞれの測距値を半径とする、センサ位置(t2)中心の半円r1(t2)上および半円r2(t2)上のいずれかにターゲットが存在する。
【0032】
従って、時刻t1と時刻t2の測距値を使用し、三角測位により、センサ位置(t1)の半円r1(t1)と、センサ位置(t2)の半円r1(t2)および半円r2(t2)との交点、例えば図3の(a)における交点(2か所)が候補点となる。このとき、実際のターゲットは、第一車両21とポール22であるが、時刻t1と時刻t2に組み合わせではポール22はまだ検出されていない。第一車両21の位置は、候補点1(t2)1(t1)に相当するが、それ以外も候補点が存在するので、1つに特定する処理を行う。
【0033】
本実施の形態では、候補点を選択する優先順序の第一優先として、第一反射波同士の組合せとする。従って、この優先順序に従えば、ターゲットに相当する候補点1(t2)1(t1)が第一反射波同士の組合せなので、優先順序が高い。候補点2(t2)1(t1)は、第二反射波と第一反射波の組合せのため、優先順序は低い。
【0034】
図3の(b)には、さらに時刻t3´のセンサ位置(t3´)の測距値のデータが反映されたものをしている。時刻t3´は、時刻t2と時刻t3の間の時刻である。時刻t3´は、第一車両21から第一反射波を検知し、ポール22から第二反射波を検知する期間の時刻であるとする。
【0035】
図2に示すプロットの変化によると、センサ位置(t3´)ではセンサ位置(t2)のときよりも第一反射波の測距値が大きく、第二反射波の測距値が小さくなる。図3の(b)に示すように、センサ位置(t3´)では、第一反射波および第二反射波が検出されるため、センサ位置(t3´)中心の半円r1(t3´)上および半円r2(t3´)を追加している。
【0036】
図3の(b)では、時刻t2と時刻t3´の測距値を使用することにより、三角測位により、センサ位置(t2)中心の半円と、センサ位置(t3´)中心の半円とのそれぞれの4つ交点が候補点となる。従って、これら4つの候補点の中から、選択部120が候補点を選択する。選択部120が行う選択方法について次に例を挙げて説明する。
【0037】
一例として、選択部120は、図4に示す選択フローで優先順に候補点を選択する。なお、この選択フローは、センサ位置(t3´)に限らず、図3の(a)に示すセンサ位置(t2)なども含め、車両10が移動する各位置において候補点と候補点に関する測距値情報を取得して繰り返し実施される。
【0038】
図4に示すように、選択部120は、まず第一優先として、第一反射波と第一反射波の組合せである「11」の組合せの点を選択する(S1)。この「11」の組合せの点はターゲットとして設定される。ここで「pq」の組合せの点は、「第pの反射波と第qの反射波の組合せの候補点のことを指す。「11」の場合、第一反射波と第二反射波の組合せの候補点を指す。図3の(b)に示す例では、1(t3´)1(t2)の組合せの候補点を指す。1(t2)1(t1)も「11」の組合せの点に相当するが、センサ位置(t2)で選択フローが実行される際に選択される点である。
【0039】
第一反射波と第一反射波の組合せで交点がある場合、ターゲットである可能性が高い。そのため、「11」の組合せの点がある場合は、まず第一優先で選択する。図3の(b)には1(t3´)1(t2)の組合せの点があるので、それを選択する。選択部120が選択した点はすべて、ターゲットを意味するタグ情報を対応づける。
【0040】
続いて、選択部120は、第二反射波と第二反射波の組合せである「22」の組合せの点があるかを判定する(S2)。「22」の組合せの点は、図3の(b)に示す例では、2(t3´)2(t2)の点である。「22」の組合せの点がある場合(S2:Yes)、その点を選択する(S5)。「11」の組合せがある場合、「22」の組合せの点もターゲットである可能性が高い。そこで、「22」の組合せを第二優先で選択する。
【0041】
また、選択部120は、「22」の組合せの点がない場合には(S2:No)、第二反射波と第一反射波の組合せである「21」の組合せの点があるかを判定する(S3)。「21」の組合せの点がある場合(S3:Yes)、その点を選択する(S5)。
【0042】
また、選択部120は、「21」の組合せの点がない場合には(S3:No)、第一反射波と第二反射波の組合せである「12」の組合せの点があるかを判定する(S4)。「12」の組合せの点がある場合(S4:Yes)、その点を選択する(S5)。
S3またはS4のように第一反射波と第二反射波の組合せは、第三優先で選択する。
【0043】
選択部120は、S1~S5により、優先順に候補点を選択する。
その後、判定部130が、選択部120が優先順に選択した候補点と、車両10の受信位置の移動により候補点の座標が所定距離以上変化したかの判定に基づき、ターゲットとなる点を判定する(S6)。受信位置の移動により候補点の座標が所定距離以上変化する候補点は、トラッキング処理により判定する。
【0044】
トラッキング処理は、候補点を例えば二次元座標上に随時マッピングするなどして座標の変化を示す。判定部130は、車両10の移動による候補点の座標の変化から、所定距離以上変化があった候補点がある場合、その点をゴーストとして除去する。残った候補点は、タグに基づき、ターゲット座標として検知され、残りはゴーストとして除去される。なお、トラッキング処理に限定されず、その他の方法を用いてもよい。
【0045】
図3の(b)に示す例では、この優先順序の選択フローにより、S1で1(t3´)1(t2)の点が検出され、S2で2(t3´)2(t2)の点が検出される。この2つの点は、車両20の移動による座標の変化が所定距離未満になるため、後の判定部130の判定でターゲットとして残る。実際に、この2点は、2つのターゲットである第一車両21とポール22の位置の近くに位置している。
【0046】
また、図4の選択フローで「12」が正しい選択となるケースは、例えば図2の(a)に示すように車両10がセンサ位置(t2)とセンサ位置(t3)で測距値を取得するようなケースである。この場合、センサ位置(t2)では、第一車両21の反射波が第一反射波で、ポール22の反射波が第二反射波となり、センサ位置(t3)では、ポール22の反射波が第一反射波となる。センサ位置(t3)では、車両23が検知範囲外のため、第二反射波は存在しない。このようなケースで「12」が選択される状況が生じる。このようなケースでは、優先順の「11」よりも「12」の選択の方が正しいことになる。このケースについて、さらに図5を参照して説明する。
【0047】
図5において、センサ位置(t2)で第一反射波と第二反射波が検知され、センサ位置(t3)で第一反射波が検知されるので、交点2か所が候補点となる。なお、センサ位置(t2)中心の半円と、センサ位置(t3)中心の半円とのそれぞれの交点は、1(t3)1(t2)である「11」と、1(t3)2(t2)である「12」の2点である。よって、このケースでは、優先順でまず「11」がターゲットの候補点として選択され、次に、「22」も「21」にないので、「12」がターゲットの候補点として選択される。なお、「11」で選択される点1(t3)1(t2)は、センサ位置(t2)において検知された点1(t2)1(t1)と異なる位置であるため、第一車両21とは位置が離れており、実際にはターゲットではなくゴーストであると判断される。点1(t3)1(t2)は、後にトラッキング処理で除去されることになる。
【0048】
一方、候補点として選択した「12」は、ポール22の位置にあり、ターゲットとして正しい。後段のトラッキング処理で除去されることなく、ターゲット位置となる。
【0049】
なお、「12」の組合せでも、ターゲットがすべて選択できていない場合でも、これを選択することにより、後にターゲット位置として利用することができる。例えばターゲットが「12」や「21」などで現れる場合がある。実験によると、三角測位によって優先順の高い「11」や「22」が現れずに、「21」と「12」の何れか一方が現れる場合があり、現れた点をターゲットの候補点として選択することにより、ターゲットを検知することが可能である。
【0050】
トラッキング処理後、ターゲットの情報が後段に出力されて利用される。例えば、後段の装置には、表示装置があり、ディスプレイにターゲットを示す点をリアルタイムに表示する。また、信号処理IC4は、求めたターゲットに関する情報を車両10に搭載された車両ECUに出力し、車両ECUは、信号処理ICから入力された情報を基に、車両10の制御、または、運転者への警報を行ってもよい。ターゲットと車両10の距離に基づいて衝突などを回避することも可能である。
【0051】
なお、本実施の形態では、一例として車両10がX軸の正方向に移動する例を示したが負の方向に移動する場合も実施可能である。正方向は、例えば車両10が前進する方向であり、負方向は、車両10が後退する方向である。
【0052】
(効果)
本実施の形態では、トラッキング処理を用いて距離によりゴーストを判定する前に、所定の優先順序でターゲットを選択しておく。このため、トラッキング処理において距離により判定することが困難なゴーストでも除去することができる。こうして、本実施の形態に係る物体検知装置では、ゴーストを除去し、物体のターゲット座標を出力することが可能になる。
【0053】
(変形例)
実施の形態では、一例として、物体検知装置1が1つのセンサ101を備え、車両10の少なくとも2か所の移動位置で送受信して得た測距情報を使用してターゲット位置を求める例を示した。車両10は進行方向の前後2か所以上に受信部(送受波センサa、受波センサb)を備え、それぞれの受信位置の違う受信部で反射波を受信して得た測距情報でターゲット位置を求めるようにしてもよい。
【0054】
図6の(a)に位置関係(t1)、図6の(b)に位置関係(t2)を示している。位置関係(t1)において、車両10の送受波センサaでは、実線矢印のように、超音波の送受信を行う。受波センサbでは、点線矢印のように超音波の受信を行う。時刻t1では、送受波センサaおよび受波センサbのそれぞれで第一反射波と第二反射波とを受信する。
【0055】
図6の(c)に算出座標(t1)、図6の(d)に算出座標(t2)を示している。算出座標(t1)は、位置関係(t1)に対応し、算出座標(t2)は、位置関係(t2)に対応する。算出座標(t1)および算出座標(t2)において、それぞれ測距値の半円の交点がターゲットの候補点となる。なお、各符号(a)、(b)は、図3図5で説明に使用した(t1)、(t2)を(a)、(b)に置き換えて示したものである。(a)、(b)は、送受波センサaで受信した反射波か、受波センサbで受信した反射波かを示している。
【0056】
算出座標(t1)および算出座標(t2)において、この例では、4点が候補であり、2点がターゲット、2点がゴーストである。これらも、優先順序の選択フローを実施することにより、ゴーストを除外する。
【0057】
算出座標(t1)の半円上の交点は、それぞれ、1(a)1(b)、1(a)2(b)、2(a)2(b)、2(a)1(b)となる。選択フローの実施により、第一のターゲットとして点1(a)1(b)が選択され、第二のターゲットとして点2(a)2(b)が選択されることになる。これらの点は、第一車両21とポール22の近くにあり、実際のターゲットである。
【0058】
算出座標(t2)でも、同様に選択フローを実施し、ターゲットを検知することができる。なお、これ以上の説明は、これまでの説明の繰り返しになるため省略する。
【0059】
(効果)
変形例においても、トラッキング処理を用いて距離によりゴーストと判定する前に、所定の優先順序でターゲットを選択しておく。このため、トラッキング処理において距離により判定することが困難なゴーストでも除去することができる。
【0060】
本発明の実施形態および変形例を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0061】
また、上述した実施の形態における「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・アッセンブリ」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0062】
上記各実施形態では、本開示はハードウェアを用いて構成する例にとって説明したが、本開示はハードウェアとの連携においてソフトウェアでも実現することも可能である。
【0063】
また、上記各実施形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。集積回路は、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックを制御し、入力端子と出力端子を備えてもよい。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0064】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサおよびメモリを用いて実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、LSI内部の回路セルの接続又は設定を再構成可能なリコンフィギュラブル プロセッサ(Reconfigurable Processor)を利用してもよい。
【0065】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術により、LSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックを集積化してもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【符号の説明】
【0066】
1 物体検知装置
10 車両
100 受信部
101 センサ
102 GPS
110 算出部
120 選択部
130 判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6