(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117772
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20230817BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20230817BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
H01L29/78 652K
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652F
H01L29/78 653C
H01L29/78 652M
H01L29/78 652N
H01L29/78 652T
H01L29/78 658F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020517
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】安武 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】加藤 浩朗
(72)【発明者】
【氏名】川井 博文
(72)【発明者】
【氏名】岸本 裕幸
(57)【要約】
【課題】製造時の工程数を削減可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係る半導体装置は、第1電極と、第1導電形の第1半導体領域と、第2導電形の第2半導体領域と、第1導電形の第3半導体領域と、第1導電部と、第1ゲート電極と、第2導電部と、第2ゲート電極と、第1接続部と、第2電極と、を備える。第1導電部は、第1半導体領域の中に第1絶縁部を介して設けられている。第1ゲート電極は、第1電極から第1半導体領域に向かう第1方向に垂直な第2方向において、第2半導体領域と対面する。第2導電部は、第1半導体領域の中に第2絶縁部を介して設けられている。第2ゲート電極は、第2方向において第2半導体領域と対面する。第1接続部は、第2半導体領域及び第3半導体領域よりも上方に設けられ、第1ゲート電極及び第2ゲート電極と接する。第2電極は、第2半導体領域及び第3半導体領域の上に設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられ、前記第1電極と電気的に接続された第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域の上に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域の一部の上に設けられた第1導電形の第3半導体領域と、
前記第1半導体領域の中に第1絶縁部を介して設けられた第1導電部と、
前記第1絶縁部の中に設けられ、前記第1電極から前記第1半導体領域に向かう第1方向に垂直な第2方向において、前記第2半導体領域と対面する第1ゲート電極と、
前記第1半導体領域の中に第2絶縁部を介して設けられ、前記第2方向において前記第1導電部から離れた第2導電部と、
前記第2絶縁部の中に設けられ、前記第2方向において前記第2半導体領域と対面する第2ゲート電極と、
前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域よりも上方に設けられ、前記第2方向に延び、前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極と接する第1接続部と、
前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域の上に設けられ、前記第2半導体領域、前記第3半導体領域、前記第1導電部、及び前記第2導電部と電気的に接続された第2電極と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられ、前記第1電極と電気的に接続された第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域の上に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域の一部の上に設けられた第1導電形の第3半導体領域と、
前記第1半導体領域の中に第1絶縁部を介して設けられた第1導電部と、
前記第1絶縁部の中に設けられ、前記第1電極から前記第1半導体領域に向かう第1方向に垂直な第2方向において、前記第2半導体領域と対面する第1ゲート電極と、
前記第1半導体領域の中に第2絶縁部を介して設けられ、前記第2方向において前記第1導電部から離れた第2導電部と、
前記第2絶縁部の中に設けられ、前記第2方向において前記第2半導体領域と対面する第2ゲート電極と、
前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域よりも上方に設けられ、ポリシリコンを含み、前記第1ゲート電極と前記第2ゲート電極とを電気的に接続する第1接続部と、
前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域の上に設けられ、前記第2半導体領域、前記第3半導体領域、前記第1導電部、及び前記第2導電部と電気的に接続された第2電極と、
を備えた半導体装置。
【請求項3】
前記第2電極は、前記第1方向に延び且つ前記第1導電部と接する第1延在部を含み、
前記第1ゲート電極は、前記第1方向に対して垂直な第1面に沿って、前記第1延在部の一部の周りに設けられた、請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2電極は、前記第1方向に延び且つ前記第2導電部と接する第2延在部を含み、
前記第2ゲート電極は、前記第1面に沿って前記第2延在部の一部の周りに設けられ、
前記第1接続部は、前記第1延在部と前記第2延在部との間に位置する、請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1接続部は、前記第1方向において、前記第1半導体領域の一部、前記第2半導体領域、及び前記第3半導体領域の一部と、ゲート絶縁層を介して対面する、請求項1~4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1半導体領域の中に第3絶縁部を介して設けられ、前記第1方向に垂直であり前記第2方向と交差する第3方向において前記第1導電部から離れた第3導電部と、
前記第3絶縁部の中に設けられた第3ゲート電極と、
を備えた、請求項1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域よりも上方に設けられ、前記第3方向に延び、前記第1ゲート電極及び前記第3ゲート電極と接する第2接続部をさらに備えた、請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2接続部は、ポリシリコンを含む、請求項7記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1半導体領域の中に絶縁部を介して設けられ、前記第1導電部及び前記第2導電部から離れ、前記第2電極と電気的に接続された導電部と、
前記第1方向において前記導電部から離れ、前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極、及び前記第1接続部と電気的に接続され、ポリシリコンを含む電極層と、
前記電極層の上に設けられ、前記第2電極から離れ、前記電極層と電気的に接続された配線と、
を備えた、請求項1~8のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor(MOSFET)などの半導体装置は、電力変換の用途に用いられる。半導体装置を製造する際、必要な工程数は少ないことが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、製造時の工程数を削減可能な半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、第1電極と、第1導電形の第1半導体領域と、第2導電形の第2半導体領域と、第1導電形の第3半導体領域と、第1導電部と、第1ゲート電極と、第2導電部と、第2ゲート電極と、第1接続部と、第2電極と、を備える。前記第1半導体領域は、前記第1電極の上に設けられ、前記第1電極と電気的に接続されている。前記第2半導体領域は、前記第1半導体領域の上に設けられている。前記第3半導体領域は、前記第2半導体領域の一部の上に設けられている。前記第1導電部は、前記第1半導体領域の中に第1絶縁部を介して設けられている。前記第1ゲート電極は、前記第1絶縁部の中に設けられ、前記第1電極から前記第1半導体領域に向かう第1方向に垂直な第2方向において、前記第2半導体領域と対面する。前記第2導電部は、前記第1半導体領域の中に第2絶縁部を介して設けられ、前記第2方向において前記第1導電部から離れている。前記第2ゲート電極は、前記第2絶縁部の中に設けられ、前記第2方向において前記第2半導体領域と対面する。前記第1接続部は、前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域よりも上方に設けられ、前記第2方向に延び、前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極と接する。前記第2電極は、前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域の上に設けられ、前記第2半導体領域、前記第3半導体領域、前記第1導電部、及び前記第2導電部と電気的に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
【
図7】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図8】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図9】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図10】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図11】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図12】参考例に係る半導体装置の一部を示す断面図である。
【
図13】第1実施形態の変形例に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
【
図15】第1実施形態の変形例に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
【
図16】第1実施形態の変形例に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
【
図17】第2実施形態に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
以下の説明及び図面において、n+、n-及びp+、pの表記は、各不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわち、「+」が付されている表記は、「+」及び「-」のいずれも付されていない表記よりも不純物濃度が相対的に高く、「-」が付されている表記は、いずれも付されていない表記よりも不純物濃度が相対的に低いことを示す。これらの表記は、それぞれの領域にp形不純物とn形不純物の両方が含まれている場合には、それらの不純物が補償しあった後の正味の不純物濃度の相対的な高低を表す。
以下で説明する各実施形態について、各半導体領域のp形とn形を反転させて各実施形態を実施してもよい。
【0008】
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
図2は、
図1の部分Aの拡大平面図である。
図3は、
図2のB1-B2断面図である。
図4は、
図2のC1-C2断面図である。
図2は、
図3及び
図4のA1-A2断面図に相当する。
図5は、
図1の部分Dの拡大平面図である。
図6は、
図5のE1-E2断面図である。
図5は、
図6のD1-D2断面図に相当する。
【0009】
第1実施形態に係る半導体装置は、MOSFETである。
図1~
図6に示すように、第1実施形態に係る半導体装置100は、n
-形(第1導電形)ドリフト領域1(第1半導体領域)、p形(第2導電形)ベース領域2(第2半導体領域)、n
+形ソース領域3(第3半導体領域)、p
+形コンタクト領域4、n
+形ドレイン領域5、p
+形コンタクト領域6、絶縁部10、絶縁部15、導電部20、ゲート電極30、ドレイン電極50(第1電極)、ソース電極60(第2電極)、ゲートパッド70、ゲート配線71、絶縁部81、導電部82、及び電極層83を含む。なお、
図2及び
図5では、絶縁部15が省略されている。
【0010】
実施形態の説明には、XYZ直交座標系を用いる。ドレイン電極50からn-形ドリフト領域1に向かう方向をZ方向(第1方向)とする。Z方向と直交する一方向をX方向(第3方向)とする。Z方向と直交し且つX方向と交差する方向をY方向(第2方向)とする。また、ここでは、ドレイン電極50からn-形ドリフト領域1に向かう方向を「上」と呼び、これと反対の方向を「下」と呼ぶ。これらの方向は、ドレイン電極50とn-形ドリフト領域1との相対的な位置関係に基づく方向であり、重力の方向とは無関係である。
【0011】
図1に示すように、半導体装置100の上面には、ソース電極60、ゲートパッド70、及びゲート配線71が設けられている。ゲートパッド70及びゲート配線71は、ソース電極60から離れており、ソース電極60とは電気的に分離されている。ゲート配線71は、X-Y面(第1面)においてソース電極60の周りに設けられている。ゲート配線71は、ゲートパッド70と電気的に接続されている。
【0012】
図3及び
図4に示すように、ドレイン電極50は、半導体装置100の下面に設けられている。n
+形ドレイン領域5は、ドレイン電極50の上に設けられ、ドレイン電極50と電気的に接続されている。n
-形ドリフト領域1は、n
+形ドレイン領域5の上に設けられている。n
-形ドリフト領域1のn形不純物濃度は、n
+形ドレイン領域5のn形不純物濃度よりも低い。n
-形ドリフト領域1は、n
+形ドレイン領域5を介してドレイン電極50と電気的に接続されている。
【0013】
図3に示すように、p形ベース領域2は、n
-形ドリフト領域1の上に設けられている。n
+形ソース領域3及びp
+形コンタクト領域4は、それぞれp形ベース領域2の一部の上に設けられている。p
+形コンタクト領域4のp形不純物濃度は、p形ベース領域2のp形不純物濃度よりも高い。
【0014】
導電部20は、n-形ドリフト領域1の中に、絶縁部10を介して設けられている。導電部20は、X方向及びY方向においてn-形ドリフト領域1と対面している。ゲート電極30は、絶縁部10の中に設けられ、X方向及びY方向においてp形ベース領域2と対面している。絶縁部10の一部は、p形ベース領域2とゲート電極30との間に位置し、ゲート絶縁層として機能する。
【0015】
ソース電極60は、n+形ソース領域3、p+形コンタクト領域4、及びゲート電極30の上に設けられ、n+形ソース領域3、p+形コンタクト領域4、及び導電部20と電気的に接続されている。p形ベース領域2は、p+形コンタクト領域4を介してソース電極60と電気的に接続されている。ゲート電極30は、絶縁部15により、ソース電極60とは電気的に分離されている。
【0016】
ソース電極60は、延在部61及びコンタクト部62を含む。延在部61は、Z方向に延び、導電部20の上に設けられている。延在部61の下端が導電部20の上端と接することで、ソース電極60が導電部20と電気的に接続されている。コンタクト部62は、p+形コンタクト領域4の上に設けられている。コンタクト部62の下部がn+形ソース領域3及びp+形コンタクト領域4と接することで、ソース電極60がこれらの半導体領域と電気的に接続されている。
【0017】
図2に示すように、ゲート電極30は、X-Y面において、延在部61の一部の周りに位置する。n
+形ソース領域3は、X-Y面において、ゲート電極30の周りに位置する。
【0018】
図2~
図4に示すように、n
+形ソース領域3、導電部20、ゲート電極30、及び延在部61のそれぞれは、X方向及びY方向において複数設けられている。コンタクト部62は、Z方向から見たときに、n
+形ソース領域3同士の間に位置する。
【0019】
接続部40は、隣り合うゲート電極30同士を電気的に接続する。具体的には、接続部40はY方向に延びており、接続部40のY方向における両端が、それぞれY方向において隣り合うゲート電極30と接している。これにより、Y方向において隣り合うゲート電極30同士が、電気的に接続されている。
図2に示すように、Y方向における接続部40の長さは、Y-Z面に垂直な方向における接続部40の長さよりも長い。Z方向から見たとき、ゲート電極30と接続部40は、Y方向において交互に設けられている。
【0020】
図3に示すように、接続部40は、p形ベース領域2、n
+形ソース領域3、及びp
+形コンタクト領域4よりも上方に設けられている。これらの半導体領域と接続部40との間には絶縁部15の一部が設けられ、接続部40はこれらの半導体領域とは電気的に分離されている。
図4に示すように、接続部40は、Y方向において隣り合う延在部61同士の間に位置する。
【0021】
具体例として、
図2に示すように、複数の絶縁部10は、絶縁部11(第1絶縁部)及び絶縁部12(第2絶縁部)を含む。複数の導電部20は、導電部21(第1導電部)及び導電部22(第2導電部)を含む。複数のゲート電極30は、ゲート電極31(第1ゲート電極)及びゲート電極32(第2ゲート電極)を含む。複数の接続部40は、接続部41(第1接続部)を含む。複数の延在部61は、延在部61a(第1延在部)及び延在部61b(第2延在部)を含む。
【0022】
導電部21及びゲート電極31は、絶縁部11の中に設けられている。導電部22及びゲート電極32は、絶縁部12の中に設けられている。導電部22及びゲート電極32は、Y方向において、導電部21及びゲート電極31と隣り合う。接続部41は、ゲート電極31とゲート電極32を電気的に接続している。延在部61aは、導電部21と接する。延在部61bは、導電部22と接する。接続部41は、延在部61aと延在部61bとの間に位置する。
【0023】
図1に示すように、半導体装置100は、セル領域101及び終端領域102を含む。終端領域102は、X-Y面において、セル領域101の周りに設けられている。ソース電極60は、セル領域101に設けられている。ゲート配線71は、終端領域102に設けられている。上述したp形ベース領域2、n
+形ソース領域3、p
+形コンタクト領域4、絶縁部10、導電部20、ゲート電極30、及び接続部40は、セル領域101に設けられる。
【0024】
図5及び
図6に示すように、終端領域102近傍において、複数の絶縁部10は、絶縁部14を含む。絶縁部14は、Y方向に配列された複数の絶縁部10の端に位置する。同様に、複数の導電部20は、導電部24を含む。導電部24は、Y方向に配列された複数の導電部20の端に位置する。複数のゲート電極30は、ゲート電極34を含む。ゲート電極34は、Y方向に配列された複数のゲート電極30の端に位置する。導電部24及びゲート電極34は、絶縁部14の中に設けられている。
【0025】
絶縁部81、導電部82、及び電極層83は、終端領域102に設けられている。
図6に示すように、導電部82は、絶縁部81を介して、n
-形ドリフト領域1の中に設けられている。導電部82は、ソース電極60のコンタクト部63により、ソース電極60と電気的に接続されている。電極層83は、絶縁部81の中に設けられ、導電部82の上に位置する。電極層83は、ソース電極60及び導電部82とは電気的に分離されている。
【0026】
複数の接続部40は、接続部44をさらに含む。電極層83は、接続部44により、ゲート電極34と電気的に接続されている。ゲート配線71は、電極層83の上に位置する。電極層83は、コンタクト部72により、ゲート配線71と電気的に接続されている。ゲート電極30は、電極層83及びゲート配線71を介して、ゲートパッド70と電気的に接続されている。なお、
図5では、絶縁部15が省略され、ソース電極60、ゲート配線71、及びコンタクト部72が破線で示されている。
【0027】
p
+形コンタクト領域6は、X-Y面において、ゲート電極34の周りに設けられている。p
+形コンタクト領域6のp形不純物濃度は、p形ベース領域2のp形不純物濃度よりも高い。ゲート電極34の周りには、n
+形ソース領域3が設けられていない。
図5に示すように、X-Y面においてp
+形コンタクト領域6の周りにはコンタクト部62が設けられ、p
+形コンタクト領域6はコンタクト部62と電気的に接続されている。
【0028】
半導体装置100の動作を説明する。
ソース電極60に対してドレイン電極50に正の電圧が印加された状態で、ゲート電極30に閾値以上の電圧が印加される。これにより、p形ベース領域2にチャネル(反転層)が形成され、半導体装置100がオン状態となる。電子は、チャネルを通ってソース電極60からドレイン電極50へ流れる。ゲート電極30に印加される電圧が閾値よりも低くなると、p形ベース領域2のチャネルが消滅し、半導体装置100がオフ状態になる。
【0029】
半導体装置100がオフ状態に切り替わると、ソース電極60に対してドレイン電極50に印加される正の電圧が増大していく。このとき、絶縁部10とn-形ドリフト領域1との界面からn-形ドリフト領域1に向けて空乏層が広がる。この空乏層の広がりにより、半導体装置100の耐圧を高めることができる。又は、半導体装置100の耐圧を維持したまま、n-形ドリフト領域1におけるn形不純物濃度を高め、半導体装置100のオン抵抗を低減できる。
【0030】
半導体装置100の各構成要素の材料の一例を説明する。
n-形ドリフト領域1、p形ベース領域2、n+形ソース領域3、p+形コンタクト領域4、n+形ドレイン領域5、及びp+形コンタクト領域6は、半導体材料を含む。半導体材料として、シリコン、炭化シリコン、窒化ガリウム、又はガリウムヒ素を用いることができる。n形不純物として、ヒ素、リン、またはアンチモンを用いることができる。p形不純物として、ボロンを用いることができる。
【0031】
絶縁部10及び絶縁部15は、絶縁材料を含む。例えば、絶縁部10及び絶縁部15は、酸化シリコン、窒化シリコン、又は酸窒化シリコンを含む。導電部20、ゲート電極30、及び接続部40は、ポリシリコンを含む。導電部20、ゲート電極30、及び接続部40には、n形又はp形の不純物が添加されても良い。ドレイン電極50、ソース電極60、及びゲートパッド70は、チタン、タングステン、又はアルミニウムなどの金属を含む。接続部40は、ポリシリコンではなく、ドレイン電極50などと同様に金属を含んでも良い。
【0032】
図7(a)~
図11(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
まず、n
+形半導体層5aを含む半導体基板を用意する。n
+形半導体層5aの上に、半導体材料のエピタキシャル成長により、n
-形半導体層1aを形成する。
図7(a)に示すように、反応性イオンエッチング(RIE)により、n
-形半導体層1aに開口OP1を形成する。開口OP1は、X方向及びY方向において複数形成される。
【0033】
開口OP1の内面及びn
-形半導体層1aの上面に沿って、熱酸化又は化学気相堆積(CVD)により、絶縁層10aを形成する。CVDにより、絶縁層10aの上に、導電層を形成する。ケミカルドライエッチング(CDE)又はウェットエッチングにより、導電層の上面を後退させる。これにより、
図7(b)に示すように、開口OP1の内部に、導電層20aが形成される。
【0034】
CVDにより、絶縁層10a及び導電層20aの上に、絶縁層10bを形成する。CDE又はウェットエッチングにより、絶縁層10aの上面及び絶縁層10bの上面を後退させる。熱酸化により、開口OP1の内面及びn
-形半導体層1aの上面に沿って、絶縁層10cを形成する。CVDにより、絶縁層10cの上に、導電層を形成する。化学機械研磨(CMP)により、導電層の上面を後退させる。これにより、
図8(a)に示すように、開口OP1の内部に導電層30aが形成される。
【0035】
n
-形半導体層1aの上面に、p形不純物及びn形不純物を順次イオン注入し、p形半導体領域2a及びn
+形半導体領域3aを形成する。CVDにより、
図8(b)に示すように、絶縁層10c及び導電層30aの上に、薄い導電層40aを形成する。
図9(a)に示すように、導電層40aの一部のみが残るように、導電層40aをパターニングする。
【0036】
RIEにより、導電層30aのX-Y面における中心と、絶縁層10bと、を除去する。導電層30a及び導電層40aを覆う絶縁層15aを形成する。
図9(b)に示すように、RIEにより、絶縁層15a及びn
+形半導体領域3aを貫通し、p形半導体領域2aに達する開口OP2を形成する。
【0037】
開口OP2を通してp形半導体領域2aにp形不純物をイオン注入し、p
+形半導体領域4aを形成する。
図10(b)に示すように、RIEにより、絶縁層15aを貫通し、導電層20aに達する開口OP3を形成する。CVDにより、開口OP2及びOP3を埋め込むバリアメタル60aを形成する。バリアメタル60aは、例えば、窒化チタン層、チタン層、及びタングステン層の積層構造を有する。スパッタリングにより、
図11(a)に示すように、バリアメタル60aの上にアルミニウム層60bを形成する。
【0038】
ソース電極60、ゲートパッド70、及びゲート配線71が形成されるように、バリアメタル60a及びアルミニウム層60bをパターニングする。n
+形半導体層5aが所定の厚さになるまで、n
+形半導体層5aの下面を研削する。
図11(b)に示すように、スパッタリングにより、n
+形半導体層5aの下面にアルミニウム層50aを形成する。以上により、半導体装置100が製造される。
【0039】
図11(b)に示すn
-形半導体層1aは、
図1~
図6に示す半導体装置100のn
-形ドリフト領域1に対応する。p形半導体領域2aは、p形ベース領域2に対応する。n
+形半導体領域3aは、n
+形ソース領域3に対応する。p
+形半導体領域4aは、p
+形コンタクト領域4に対応する。n
+形半導体層5aは、n
+形ドレイン領域5に対応する。絶縁層10a、絶縁層10c、及び絶縁層15aの一部は、絶縁部10に対応する。絶縁層15aの別の一部は、絶縁部15に対応する。導電層20aは、導電部20に対応する。導電層30aは、ゲート電極30に対応する。導電層40aは、接続部40に対応する。アルミニウム層50aは、ドレイン電極50に対応する。パターニングされたバリアメタル60a及びアルミニウム層60bは、ソース電極60、ゲートパッド70、及びゲート配線71に対応する。
【0040】
第1実施形態の利点を説明する。
図12は、参考例に係る半導体装置の一部を示す断面図である。
図12に示す半導体装置100rは、接続部40及びゲート配線71を含まず、ゲート配線層75を含む。ゲート配線層75は、X-Y面に沿って広がり、不図示のゲートパッド70と電気的に接続されている。また、ゲート配線層75は、Z方向に延びるコンタクト部75aを介して、ゲート電極30と電気的に接続されている。ゲート配線層75は、アルミニウムなどの金属を含む。
【0041】
半導体装置100rでは、半導体装置100と同様に、導電部20及びゲート電極30のそれぞれが、X方向及びY方向において複数設けられる。この構造によれば、導電部20及びゲート電極30が一方向に延びている場合に比べて、n-形ドリフト領域1の体積が増加する。オン状態のときの電流経路が増え、半導体装置100及び100rのオン抵抗を低減できる。
【0042】
一方、導電部20及びゲート電極30は、互いに電気的に分離されつつ、ソース電極60及びゲートパッド70と電気的に接続される必要がある。半導体装置100rでは、ゲート電極30とゲートパッド70との電気的な接続のために、ゲート配線層75が設けられている。ゲート配線層75を設ける場合、コンタクト部75aの形成、ゲート配線層75のパターニング、ゲート配線層75とソース電極60との分離など、製造に必要な工程が増加する。また、絶縁部10、導電部20、及びゲート電極30を微細化するほど、単位面積あたりのチャネル面積(チャネル密度)を大きくできるが、コンタクト部75aの位置ずれ等を考慮すると、ゲート電極30の微細化が困難となる。
【0043】
これらの課題について、半導体装置100では、ゲート電極30同士が、接続部40によって電気的に接続されている。接続部40は、Y方向に延び、Y方向において隣り合うゲート電極30と接する。ゲート電極30は、接続部40を介してゲートパッド70と電気的に接続されている。このため、半導体装置100では、ゲート電極30とゲートパッド70とを電気的に接続するためのゲート配線層75が、不要である。第1実施形態によれば、半導体装置100の製造時の工程数を削減できる。また、ゲート電極30とゲート配線層75を接続するためのコンタクト部75aも不要であるため、ゲート電極30の微細化が可能となる。この結果、半導体装置100のオン抵抗をさらに低減できる。
【0044】
また、接続部40がポリシリコンを含む場合、接続部40が金属を含む場合に比べて、接続部40の電気抵抗を大きくできる。接続部40の電気抵抗が大きくなることで、半導体装置100をオフ状態に切り替えたときの時間に対する電圧の変化(dV/dt)を小さくできる。これにより、ターンオフ時に、ゲート電極30及び接続部40の電圧の振動を小さくし、電圧の振動に起因するノイズを小さくできる。なお、ゲート電極30の電気抵抗が十分に大きく、接続部40の電気抵抗を大きくする必要が無い場合には、接続部40にタングステンなどの金属が用いられても良い。
【0045】
終端領域102近傍では、ゲート電極34の周りに、n+形ソース領域3に代えてp+形コンタクト領域6が設けられている。p+形コンタクト領域6が設けられることで、アバランシェ降伏時に終端領域102で発生したキャリアが、ソース電極60へ排出され易くなる。例えば、終端領域102近傍でのp形ベース領域2の電位の変動を抑制でき、寄生バイポーラトランジスタの動作を抑制できる。すなわち、アバランシェ耐量を向上できる。なお、半導体装置100のオン抵抗の低減がより重視される場合、p+形コンタクト領域6に代えてn+形ソース領域3が設けられても良い。
【0046】
(変形例)
図13、
図15、及び
図16は、第1実施形態の変形例に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
図14は、
図13のA1-A2断面図である。なお、
図13、
図15、及び
図16では、絶縁部15が省略されている。
図13及び
図14に示す半導体装置110と、
図15に示す半導体装置120と、において、複数の接続部40の一部は、Y方向に延びている。複数の接続部40の別の一部は、X方向に延びている。X方向に延びる接続部40の両端は、それぞれ、X方向において隣り合うゲート電極30と接している。これにより、X方向において隣り合うゲート電極30同士が、電気的に接続されている。
【0047】
具体例として、
図13及び
図14に示すように、複数の絶縁部10は、絶縁部13(第3絶縁部)をさらに含む。複数の導電部20は、導電部23(第3導電部)をさらに含む。複数のゲート電極30は、ゲート電極33(第3ゲート電極)をさらに含む。複数の接続部40は、接続部42(第2接続部)をさらに含む。複数の延在部61は、延在部61c(第3延在部)をさらに含む。
【0048】
導電部23及びゲート電極33は、絶縁部13の中に設けられている。導電部23及びゲート電極33は、X方向において、導電部21及びゲート電極31と隣り合う。接続部42は、ゲート電極31とゲート電極33を電気的に接続している。延在部61cは、導電部23と接する。接続部42は、延在部61aと延在部61cとの間に位置する。
【0049】
半導体装置110では、一部の接続部40の延在方向において、絶縁部14、導電部24、及びゲート電極34が、絶縁部81、導電部82、及び電極層83と並んでいる。
【0050】
半導体装置120では、接続部40の延在方向と交差する方向において、絶縁部14、導電部24、及びゲート電極34が、絶縁部81、導電部82、及び電極層83と並んでいる。
【0051】
図16に示す半導体装置130では、複数の接続部40が、接続部43(第3接続部)を含む。接続部43は、X方向及びY方向と交差する方向に延びている。接続部43は、その延在方向において、隣り合うゲート電極32とゲート電極33を電気的に接続している。
【0052】
半導体装置110~130のように、接続部40が隣り合うゲート電極30同士を電気的に接続していれば、接続部40の延在方向は、適宜変更可能である。また、各ゲート電極30がゲートパッド70と電気的に接続されてれば、接続部40の数も適宜変更可能である。
【0053】
半導体装置100によれば、半導体装置110~130に比べて、n+形ソース領域3の面積及びp+形コンタクト領域4の面積が大きい。アバランシェ降伏時に発生したキャリアが、ソース電極60へ排出され易い。このため、半導体装置100のアバランシェ耐量を向上できる。
【0054】
一方、半導体装置110~130によれば、半導体装置100に比べて、接続部40の数が多い。接続部40の数が増えるほど、ゲートパッド70とゲート電極30との間のゲート抵抗が小さくなる。例えば、スイッチング時におけるゲート電極30の電位の変動期間を短くし、半導体装置の動作を安定化できる。特に、半導体装置130は、半導体装置110及び120よりもさらに多くの接続部40を含むため、ゲート抵抗をさらに低減できる。
【0055】
(第2実施形態)
図17は、第2実施形態に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
図18は、
図17のA1-A2断面図である。
図19は、
図17のB1-B2断面図である。
図17は、
図18及び
図19のC1-C2断面図に相当する。なお、
図17では、絶縁部15が省略されている。
第2実施形態に係る半導体装置200は、プレーナ型ゲート構造を含む点で、第1実施形態に係る半導体装置100~130と異なる。
【0056】
具体的には、
図18に示すように、n
-形ドリフト領域1が、Y-Z面に垂直な方向においてn
+形ソース領域3と並ぶ第1部分1pを含む。第1部分1pは、n
+形ソース領域3同士の間に位置する。第1部分1pとn
+形ソース領域3との間には、p形ベース領域2の一部が設けられている。
図18に示すように、接続部40は、Z方向において、第1部分1p、p形ベース領域2の前記一部、及びn
+形ソース領域3の一部と、絶縁部15の一部を介して対面する。絶縁部15の当該一部は、ゲート絶縁層として機能する。
【0057】
図17及び
図19に示すように、接続部40の両側部の下には、n
+形ソース領域3が位置する。両側部は、接続部40の延在方向と直交する方向における接続部40の端部である。第1実施形態に係る半導体装置では、n
+形ソース領域3は、Y方向において複数設けられている。これに対して、半導体装置200では、n
+形ソース領域3はY方向において互いに繋がっている。
【0058】
半導体装置200がオン状態のとき、ゲート電極30と対面するp形ベース領域2の一部に加えて、接続部40と対面するp形ベース領域2の別の一部にもチャネルが形成される。電子は、チャネルを通って、n+形ソース領域3と第1部分1pとの間を移動できる。第2実施形態によれば、第1実施形態に比べて、オン状態のときの電流経路が増える。このため、第2実施形態によれば、半導体装置200のオン抵抗をさらに低減できる。
【0059】
半導体装置200に対して、第1実施形態のいずれかの変形例に係る構造を適用することも可能である。例えば、半導体装置200は、絶縁部11~13、導電部21~23、ゲート電極31~33、接続部41、及び延在部61a~61cを含む。半導体装置200は、半導体装置110又は120と同様に、接続部42をさらに含んでも良い。半導体装置200は、半導体装置130と同様に、接続部43をさらに含んでも良い。これにより、半導体装置200におけるゲート抵抗を低減できる。
【0060】
以上で説明した各実施形態における、各半導体領域の間の不純物濃度の相対的な高低については、例えば、走査型静電容量顕微鏡(SCM)を用いて確認することが可能である。なお、各半導体領域におけるキャリア濃度は、各半導体領域において活性化している不純物濃度と等しいものとみなすことができる。従って、各半導体領域の間のキャリア濃度の相対的な高低についても、SCMを用いて確認することができる。また、各半導体領域における不純物濃度については、例えば、二次イオン質量分析法(SIMS)により測定することが可能である。
【0061】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0062】
1:n-形ドリフト領域、 1a:n-形半導体層、 1p:第1部分、 2:p形ベース領域、 2a:p形半導体領域、 3:n+形ソース領域、 3a:n+形半導体領域、 4:p+形コンタクト領域、 4a:p+形半導体領域、 5:n+形ドレイン領域、 5a:n+形半導体層、 6:p+形コンタクト領域、 10~15:絶縁部、 10a~10c,15a:絶縁層、 20~24:導電部、 20a:導電層、 30~34:ゲート電極、 30a:導電層、 40~44:接続部、 40a:導電層、 50:ドレイン電極、 50a:アルミニウム層、 60:ソース電極、 60a:バリアメタル、 60b:アルミニウム層、 61,61a~61c:延在部、 62,63:コンタクト部、 70:ゲートパッド、 71:ゲート配線、 72:コンタクト部、 75:ゲート配線層、 75a:コンタクト部、 81:絶縁部、 82:導電部、 83:電極層、 100,100r,110~130,200:半導体装置、 101:セル領域、 102:終端領域、 OP1~OP3:開口