(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117820
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】自立性包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 30/16 20060101AFI20230817BHJP
【FI】
B65D30/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020582
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(72)【発明者】
【氏名】永井 暁
(72)【発明者】
【氏名】小野 靖方
(72)【発明者】
【氏名】藤本 雄斗
(72)【発明者】
【氏名】武井 寿郎
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AB25
3E064BA17
3E064BA24
3E064BA27
3E064BA30
3E064BB03
3E064BC02
3E064BC08
3E064BC18
3E064EA07
3E064FA03
3E064GA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】モノマテリアル化の実現に有用であり且つ十分な落袋耐性を有する自立性包装袋を提供すること。
【解決手段】本開示の自立性包装袋は、基材層及びシーラント層をそれぞれ含む一対の本体部と、基材層及びシーラント層を含み且つ山折り部を有する底テープと、をヒートシールして形成されている自立性包装袋であって、一対の本体部同士を、当該自立性包装袋の縦方向に接着している一対のサイドシール部と、一対の本体部と底テープとを、当該自立性包装袋の横方向にそれぞれ接着している底シール部と、を備え、基材層及びシーラントが同系の樹脂材料からなり、本体部の底辺から山折り部までの距離Lに対する底シール部の最小幅aの比a/Lが、0.15以上0.50以下であり、底シール部と未シール部の境界線を底シール線と定義したとき、山折り部と底シール線とが交差する点における、山折り部と底シール線とのなす角度αが、20°以上45°以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層及びシーラント層をそれぞれ含む一対の本体部と、基材層及びシーラント層を含み且つ山折り部を有する底テープと、をヒートシールして形成されている自立性包装袋であって、
前記一対の本体部同士を、当該自立性包装袋の縦方向に接着している一対のサイドシール部と、
前記一対の本体部と前記底テープとを、当該自立性包装袋の横方向にそれぞれ接着している底シール部と、
を備え、
前記基材層及び前記シーラントが同系の樹脂材料からなり、
前記本体部の底辺から前記山折り部までの距離Lに対する前記底シール部の最小幅aの比a/Lが、0.15以上0.50以下であり、
前記底シール部と未シール部の境界線を底シール線と定義したとき、前記山折り部と前記底シール線とが交差する点における、前記山折り部と前記底シール線とのなす角度αが、20°以上45°以下である、自立性包装袋。
【請求項2】
前記なす角度αが、25°以上30°未満である、請求項1に記載の自立性包装袋。
【請求項3】
前記なす角度αが、40°以上45°以下である、請求項1に記載の自立性包装袋。
【請求項4】
下記不等式(1)で表される条件を満たす、請求項1~3のいずれか一項に記載の自立性包装袋。
0.4≦W/2L≦0.8・・・(1)
[式中、Wは当該自立性包装袋の開き幅を示し、Lは前記本体部の底辺から前記山折り部までの距離を示す。]
【請求項5】
前記底テープの両サイドに切り欠き部がそれぞれ設けられることで、前記一対の本体部同士が前記切り欠き部を通じて接着している接合部を更に備え、
前記本体部の底辺から前記山折り部までの間にあり、前記本体部の側辺からの距離がその鉛直方向に10mmとなるまでの領域R1の面積S1に対する、前記接合部の面積S2の比S2/S1が、0.35以上0.60以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の自立性包装袋。
【請求項6】
前記一対の本体部及び前記底テープが、ガスバリア層を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の自立性包装袋。
【請求項7】
80℃以上の加熱処理を施す用途に用いられる、請求項1~6のいずれか一項に記載の自立性包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自立性包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
包装袋は、例えば、内容物の性質及び量、内容物の変質を抑えるための後処理、包装体(包装袋に内容物が収容されたもの)を運搬する形態、包装体を開封する方法、並びに、廃棄する方法によって、さまざまな素材が組み合わせて用いられている。
【0003】
スタンディングパウチなどの自立性包装袋は、店頭の商品棚で商品を目立たせることが可能で、採用の範囲が広がっている。パウチが途中で折れ曲がることなく、全面が見えるようにするためには、パウチを構成する積層フィルムがある程度の剛性を有している必要がある。また、パウチの内容物が液体や半固形物(例えば、米飯類及び液体と固形物との混合物)であれば、落下の衝撃で破袋して内容物が漏洩しない強度が求められる。これらの機能に対応するため、ポリエステルフィルムやナイロンフィルム、ポリオレフィンフィルムなどを組み合わせた積層体が用いられてきた(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-237281号公報
【特許文献2】特開平7-241967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の環境問題への意識の高まりから、包材を構成する積層フィルムを同系統の材料で構成して、包材を一体の素材として再利用する技術が検討されている。これは包材のモノマテリアル化と称される。従来の包材は、上述のとおり、様々な異種材料を組み合わせることにより落袋耐性をはじめとする要求物性を向上させてきた。しかし、包材を同系統の材料で構成する場合、十分な落袋耐性を確保しにくいという課題がある。
【0006】
本開示は、モノマテリアル化の実現に有用であり且つ十分な落袋耐性を有する自立性包装袋を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る自立性包装袋は、基材層及びシーラント層をそれぞれ含む一対の本体部と、基材層及びシーラント層を含み且つ山折り部を有する底テープと、をヒートシールして形成されている自立性包装袋であって、一対の本体部同士を、当該自立性包装袋の縦方向に接着している一対のサイドシール部と、一対の本体部と底テープとを、当該自立性包装袋の横方向にそれぞれ接着している底シール部と、を備え、基材層及びシーラントが同系の樹脂材料からなり、本体部の底辺から山折り部までの距離Lに対する底シール部の最小幅aの比a/Lが、0.15以上0.50以下であり、底シール部と未シール部の境界線を底シール線と定義したとき、山折り部と底シール線とが交差する点における、山折り部と底シール線とのなす角度αが、20°以上45°以下である。
【0008】
上記自立性包装袋において、なす角度αは、25°以上30°未満であってよい。
【0009】
上記自立性包装袋において、なす角度αは、40°以上45°以下であってよい。
【0010】
上記自立性包装袋は、下記不等式(1)で表される条件を満たしてもよい。
0.4≦W/2L≦0.8・・・(1)
[式中、Wは当該自立性包装袋の開き幅を示し、Lは本体部の底辺から山折り部までの距離を示す。]
【0011】
上記自立性包装袋は、底テープの両サイドに切り欠き部がそれぞれ設けられることで、一対の本体部同士が切り欠き部を通じて接着している接合部を更に備え、本体部の底辺から山折り部までの間にあり、本体部の側辺からの距離がその鉛直方向に10mmとなるまでの領域R1の面積S1に対する、接合部の面積S2の比S2/S1が、0.35以上0.60以下であってよい。
【0012】
一対の本体部及び底テープは、ガスバリア層を更に含んでいてよい。
【0013】
上記自立性包装袋は、80℃以上の加熱処理を施す用途に用いられてよい。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、モノマテリアル化の実現に有用であり且つ十分な落袋耐性を有する自立性包装袋が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は本開示に係るスタンディングパウチの第一実施形態を模式的に示す正面図である。
【
図2】
図2は
図1に示すスタンディングパウチの構成を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は
図1に示すスタンディングパウチを構成する一対の本体部と、底テープとを模式的に示す斜視図である。
【
図4】
図4は
図1に示すスタンディングパウチの幅方向の中心に沿った端面図である。
【
図5】
図5は
図1に示すスタンディングパウチを構成する包装材を模式的に示す断面図である。
【
図6】
図6は本開示に係るスタンディングパウチの第二実施形態を模式的に示す正面図である。
【
図7】
図7は本開示に係るスタンディングパウチの第三実施形態を模式的に示す正面図である。
【
図8】
図8は本開示に係るスタンディングパウチを構成する包装材を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
[スタンディングパウチ]
<第一実施形態>
図1は、本実施形態に係るスタンディングパウチ(自立性包装袋)を模式的に示す正面図である。
図2は、本実施形態に係るスタンディングパウチの構成を模式的に示す断面図である。これらの図に示すスタンディングパウチ50は、一対の本体部10,20と、底テープ30とをヒートシールして形成されている。一対の本体部10,20及び底テープ30はいずれも、基材層1と、ガスバリア層2と、シーラント層3をこの順序で備える包装材で構成されている。ヒートシールによるスタンディングパウチの形成は、従来の方法と同様に実施することができる。
【0017】
底テープ30は一つの山折り部30aを有する。すなわち、スタンディングパウチ50が自立した状態において、底テープ30は逆V字状に配置されている(
図2,3参照)。スタンディングパウチ50の底部は、
図2に示すように、底シール部5と、底シール部6とによって構成されている。底シール部5は、本体部10の底部10aと底テープ30の一方の底部30bとをヒートシールした部分である。底シール部6は、本体部20の底部20aと底テープ30の他方の底部30cとをヒートシールした部分である。
【0018】
本体部の底辺から山折り部30aまでの距離Lに対する底シール部5,6の最小幅aの比a/Lは、0.15以上0.50以下である。a/Lをこのような範囲とすることで、スタンディングパウチ50は、落袋して着地する際に底部が接地しにくく、内容物の変形に伴う底部への衝撃を緩和することができ、また、自立性に優れる傾向がある。a/Lは、落袋耐性が一層向上することから、0.20以上であることが好ましく、0.30以上であることがより好ましい。a/Lは、自立性が一層向上することから、0.45以下であることが好ましく、0.40以下であることがより好ましい。
【0019】
スタンディングパウチ50の側部は、サイドシール部7で構成されている。サイドシール部7の幅は、例えば、3mm以上18mm以下であり、5mm以上15mm以下であってもよい。サイドシール部7の幅が3mm以上であることで十分なシール強度を達成できる傾向にあり、他方、18mm以下であることでスタンディングパウチ50の十分な内容量を確保しやすい傾向にある。
【0020】
底シール線65は、底シール部5と未シール部60の境界線であり、底シール線66は、底シール部6と未シール部61の境界線である。底シール線65,66は、曲線状である。山折り部30aと底シール線65、66とが交差する点における山折り部30aと底シール線65、66とのなす角度αは、20°以上45°以下である。なす角度αがこのような範囲にあることで、スタンディングパウチ50は、落袋耐性及び自立性に優れたものとなる傾向にある。なす角度αは、落袋耐性及び自立性が一層向上する傾向にあることから、25°以上30°未満又は40°以上45°以下であることが好ましく、25°以上30°未満であることがより好ましい。なす角度αは、山折り部30aと底シール線65、66とが交差する点における、山折り部30aと、底シール線65、66への接線tとの角度として規定される。
【0021】
図1に示されたとおり、スタンディングパウチ50は、底部の両サイドに半円状の接合部9をそれぞれ1個ずつ有する。接合部9は本体部10と本体部20とを接合している。接合部9は、底テープ30に設けられた切り欠き部8を通じて本体部10,20のシーラント層3同士が局所的に接着している箇所である。
図3に示されたように、底テープ30の切り欠き部8は、山折り部30aと底辺30d,30dとの間の領域であり且つ底テープ30の側部に設けられている。
【0022】
スタンディングパウチ50は、下記不等式(1)で表される条件を満たすものであってよい。
0.4≦W/2L≦0.8・・・(1)
[式中、Wはスタンディングパウチ50の開き幅を示し、Lは本体部の底辺から山折り部までの距離を示す。]
【0023】
W/2Lが0.4以上であることで、スタンディングパウチ50は、十分な量の内容物を充填することができ、自立性に優れる傾向にある。W/2Lが0.8以下であることで、スタンディングパウチ50は落袋時に底部にかかる負荷が軽減され、落体耐性が一層向上する傾向にある。W/2Lは、0.45以上であることがより好ましく、0.50以上であることが更に好ましく、0.75以下であることがより好ましく、0.70以下であることが更に好ましい。
【0024】
図4は、スタンディングパウチの幅方向の中心に沿った端面図である。
図4に示すスタンディングパウチは、上部がヒートシールされている。スタンディングパウチ50の開き幅Wは、以下の方法によって測定される。すなわち、スタンディングパウチ50の容量を基準として35~40体積%の水を収容し、スタンディングパウチ50の上部をヒートシールする。スタンディングパウチ50の底部を下方に向けた状態で平面に設置し、本体部10を構成する包装材の最外層から本体部20を構成する包装材の最外層までの距離を測定する。測定された距離を開き幅Wとする。
【0025】
スタンディングパウチ50において、領域R1の面積S1に対する、接合部9の面積S2の比S2/S1は、0.35以上0.60以下であることが好ましい。S2/S1が0.35以上であることで、落袋時においても、接合部9が破れにくくなる傾向にある。その結果、本体部10,20が底部に加わる衝撃を緩和する役割を担うことで、スタンディングパウチ50は、落体耐性が一層向上する傾向にある。S2/S1が0.60以下であることで、スタンディングパウチ50は、自立性に優れる傾向にある。S2/S1は、0.37以上であることがより好ましく、0.55以下であることがより好ましく、0.50以下であることが更に好ましい。領域R1は、
図1に示すとおり、本体部の底辺から山折り部30aまでの間にあり、本体部の側辺からの距離がその鉛直方向に10mmとなるまでの領域である。
【0026】
スタンディングパウチ50に収容される内容物としては、例えば、スープ等の液状物、惣菜等の固形物、あるいはカレー等の液状物と固形物の固液混合物などが挙げられる。スタンディングパウチ50は、80℃以上の温度で加熱処理を施す用途、及び、125℃以上の温度でレトルト(ハイレトルト)殺菌処理を施す用途に好適に用いることができる。
【0027】
(包装材)
図5は本体部10,20及び底テープ30に適用される包装材の層構成を模式的に示す断面図である。この図に示す包装材40は、基材層1と、ガスバリア層2と、シーラント層3とをこの順序で備える。ガスバリア層2は、フィルム基材2aと、蒸着層2bとから構成されている。
【0028】
基材層1、フィルム基材2a及びシーラント層3は、リサイクル適性の観点から、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂)からなる。ポリエチレン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。ポリプロピレン樹脂としては、例えば、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン及び変性ポリプロピレンが挙げられる。また、無延伸ポリプロピレン(CPP)及び延伸ポリプロピレン(OPP)が挙げられる。ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂は、1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせてもよい。基材層1、フィルム基材2a及びシーラント層3の組成は、同一であってもよく、異なっていてもよい。基材層1、フィルム基材2a及びシーラント層3は、それぞれ単一の層から構成されていてもよく、複数の層から構成されていてもよい。
【0029】
ポリオレフィン樹脂の含有量は、リサイクル適性の観点から、スタンディングパウチ50の全量を基準として、90質量%以上であることが好ましく、92質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましい。
【0030】
蒸着層2bは、無機酸化物又は金属を蒸着した層である。スタンディングパウチ50は、蒸着層2bを備えることでガスバリア層に優れる傾向にある。蒸着層2bは、例えば、酸化ケイ素(SiOx)を蒸着した層であってもよく、酸化アルミニウム(AlOx)を蒸着した層であってもよく、アルミニウムを蒸着した層であってもよく、酸化マグネシウムを蒸着した層であってもよい。
【0031】
基材層1の厚さは、例えば、8μm以上100μm以下、10μm以上60μm以下、又は15μm以上40μm以下であってもよい。
【0032】
フィルム基材2aの厚さは、例えば、8μm以上100μm以下、10μm以上60μm以下、又は15μm以上35μm以下であってもよい。
【0033】
蒸着層2bの厚さは、使用用途によって適宜設定すればよいが、好ましくは10nm以上300nm以下であり、より好ましくは30nm以上100nm以下である。蒸着層2bの厚さを10nm以上とすることで蒸着層2bの連続性を十分なものとしやすく、300nm以下とすることでカールやクラックの発生を十分に抑制でき、十分なガスバリア性能及び可撓性を達成しやすい。
【0034】
シーラント層3の厚さは、例えば、2μm以上150μm以下、10μm以上120μm以下、又は30μm以上100μm以下であってもよい。
【0035】
包装材40は、例えば、接着剤によるラミネート、又は熱処理によるラミネートにより各層を貼り合わせることによって得ることができる。
【0036】
(接着剤によるラミネート方法)
接着剤によるラミネート方法としては、ドライラミネート、ウェットラミネート、ノンソルベントラミネートなどの各種公知のラミネート方法を用いることができる。これらのラミネート方法に用いられる接着剤としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、カーボネートポリオールなどの主剤に対し、2官能以上のイソシアネート化合物を作用させたポリウレタン樹脂等が挙げられる。上述した各種ポリオールは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
(熱処理によるラミネート方法)
熱処理によるラミネート方法としては、大別して以下の方法が挙げられる。
(1)接着性樹脂を、各層との間に押出し、ラミネートする方法。
(2)上記(1)の方法で得られたラミネートを、更に熱ロールで加熱しながら加圧することにより接着させる方法。
(3)上記(1)の方法で得られたラミネート基材を、更に高温雰囲気下で保管する、あるいは高温雰囲気下の乾燥・焼付け炉を通過させる方法。
【0038】
熱処理によるラミネート方法で用いられる接着性樹脂としては、酸変性ポリオレフィンなどが挙げられる。
【0039】
各層の間には、接着性プライマー(アンカーコート)を設けることも可能であり、その材料として、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアリルアミン系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩素-酢酸ビニル系などを用いることが可能である。接着性プライマーには、必要に応じて、接着剤として使用可能な各種硬化剤や添加剤を配合してもよい。
【0040】
(作用効果)
スタンディングパウチ50のなす角度αは、20°以上45°以下であり、かつ、a/Lは、0.15以上0.50以下である。これにより、スタンディングパウチ50は、基材層1、フィルム基材2a及びシーラント層3が一般的に強度に劣るとされるポリオレフィン樹脂からなるにも関わらず、落体耐性に優れ、また、自立性に優れる傾向にある。そして、スタンディングパウチ50は、基材層1、フィルム基材2a及びシーラント層3がポリオレフィン樹脂からなるため、リサイクル適性に優れる。
【0041】
<第二及び第三実施形態>
以下、第二及び第三実施形態に係るスタンディングパウチについて説明する。以下で説明がない点については、不整合が生じない限り、第一実施形態に係るスタンディングパウチと同様である。
【0042】
図6は、第二実施形態に係るスタンディングパウチ70を模式的に示す正面図である。スタンディングパウチ70は、底シール線65,66の形状がスタンディングパウチ50とは異なる。スタンディングパウチ70において、底シール線65,66は、その両端部と中央部が直線状であり、両端部と中央部の直線を結ぶ部分が曲線状である。
【0043】
図7は、第三実施形態に係るスタンディングパウチ90を模式的に示す正面図である。スタンディングパウチ90は、底部の両サイドに半円状の接合部9をそれぞれ2個ずつ有する。
【0044】
以上、第一~第三実施形態に係るスタンディングパウチについて説明したが、本開示に係るスタンディングパウチは、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、基材層1、フィルム基材2a及びシーラント層3は、ポリエステル樹脂を含有していてもよい。その場合、ポリエステル樹脂の含有量は、スタンディングパウチの全量を基準として、90質量%以上であることが好ましく、92質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましい。
【0045】
また、フィルム基材2a及び蒸着層2bの積層順を入れ替えてもよい。また、スタンディングパウチを構成する包装材は、ガスバリア層2を有していなくてもよい(
図8(a)参照)。その場合、基材層1の厚さは、例えば、10μm以上120μm以下、10μm以上100μm以下、又は15μm以上80μm以下であってもよい。シーラント層3の厚さは、例えば、15μm以上120μm以下、30μm以上100μm以下、又は40μm以上80μm以下であってもよい。
【0046】
スタンディングパウチを構成する包装材は、ガスバリア層2を構成するフィルム基材2aが基材層としての役割を果たす場合には、基材層1を備えていなくてもよい(
図8(b)参照)。その場合、包装材は、フィルム基材2aと、蒸着層2bと、シーラント層3とをこの順に備える。その場合、フィルム基材2aの厚さは、例えば、10μm以上120μm以下、10μm以上100μm以下、又は15μm以上80μm以下であってもよい。シーラント層3の厚さは、例えば、10μm以上120μm以下、10μm以上100μm以下、又は15μm以上80μm以下であってもよい。
【0047】
スタンディングパウチを構成する包装材は、無機酸化物の蒸着層に代えて、又は加えて、金属層(金属箔)を備えていてもよい。金属層としては、アルミニウム、ステンレス鋼等からなる各種金属箔を使用することができ、これらのうち、防湿性、延展性等の加工性、コスト等の面から、アルミニウム箔が好ましい。アルミニウム箔としては、一般の軟質アルミニウム箔を用いることができる。なかでも、耐ピンホール性及び成型時の延展性に優れる点から、鉄を含むアルミニウム箔が好ましい。金属層を設ける場合、その厚さは、バリア性、耐ピンホール性、加工性等の点から、7~50μmであってよく、9~15μmであってよい。
【0048】
スタンディングパウチを構成する包装材は、印刷層を更に備えていてもよい。印刷層は、基材層1とガスバリア層2との間に設けられてもよく、ガスバリア層2とシーラント層3との間に設けられてもよい。印刷層を設ける場合、印刷インキには塩素を含まないものを用いることが、印刷層が再溶融時に着色したり、臭いが発生したりすることを防ぐ観点から好ましい。また、印刷インキに含まれる化合物にはバイオマス材料を使用することが、環境配慮の観点から好ましい。
【実施例0049】
以下、実施例により本開示を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0050】
[スタンディングパウチの製造]
<実施例1~14、比較例1、2>
スタンディングパウチを構成する包装材を準備した。包装材の層構成は以下のとおりである。
包装材:基材層(OPPフィルム、厚さ:20μm、フタムラ化学株式会社製、品種「FOR」)、ガスバリア層(フィルム基材及び蒸着層から構成されている、フィルム基材の材料:ポリプロピレン樹脂)及びシーラント層(CPPフィルム、厚さ:60μm、東レ株式会社製、商品名「ZK207」)をこの順に備える包装材。
包装材においては、蒸着層と基材層とが接し、フィルム基材とシーラント層とが接している。
【0051】
積層体を用いてスタンディングパウチを製造した。スタンディングパウチの山折り部と底シール線とが交差する点における、なす角度α、底シール部の最小幅a、距離L、スタンディングパウチの横方向の長さb、開き幅Wは表1に示す値とした。スタンディングパウチの高さ、サイドシール部の幅は、それぞれ、180mm、5mmとした。スタンディングパウチの両サイドに接合部を設けた。接合部の形状は、半円状(半径:表1に示す値)である。スタンディングパウチのそれぞれサイドには、表1に示す数の接合部を設けた。表1には、距離Lに対する底シール部の最小幅aの比a/L、距離Lに2を乗じた値に対する開き幅Wの比W/2L、面積S1に対する面積S2の比S2/S1の値を示した。
【0052】
[落袋耐性の評価]
各実施例及び比較例で作製したスタンディングパウチに内容物として水を250mL充填し、スタンディングパウチの上部をヒートシールして封止した。常温(23℃)にて、高さ1mから底テープが下になるようにスタンディングパウチを垂直落下させて破袋するまでの落下回数を数えた。同一条件で10サンプルを評価し、下記の評価基準に従って評価した。結果を表1に示した。
(評価基準)
A:破袋するまでの落下回数が10回を超えるサンプルの数が10個
B:破袋するまでの落下回数が10回を超えるサンプルの数が6個以上9個以下
C:破袋するまでの落下回数が10回を超えるサンプルの数が1個以上5個以下
D:破袋するまでの落下回数が10回を超えるサンプルの数が0個
【0053】
[自立性の評価]
各実施例及び比較例で作製したスタンディングパウチに内容物として水を250ml充填し、スタンディングパウチの上部をヒートシールして封止した。封止後のスタンディングパウチの自立性を下記の評価基準に従って評価した。結果を表1に示した。
A:スタンディングパウチは、10°傾いた台の上に置いた場合でも立つことが可能
B:スタンディングパウチは、平らな場所では立つことが可能だが、10°傾いた台の上に置いた場合は転倒する
C:スタンディングパウチは、平らな場所においても立たせることが不可能
【0054】
1…基材層、2…ガスバリア層、3…シーラント層、5,6…底シール部、7…サイドシール部、8…切り欠き部、9…接合部、10,20…本体部、30…底テープ、30a…山折り部、30d…底辺、60,61…未シール部、65,66…底シール線、L…距離、a…最小幅、R1…領域、W…開き幅、α…なす角度。