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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117824
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】情報処理方法及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20230817BHJP
   G06F 3/04815 20220101ALI20230817BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20230817BHJP
   G06F 3/14 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
G06T19/00 600
G06T19/00 A
G06F3/0481 150
G06F3/01 510
G06F3/14 350A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020588
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】志小田 雄宇
【テーマコード(参考)】
5B050
5B069
5E555
【Fターム(参考)】
5B050CA06
5B050DA04
5B050EA07
5B050FA05
5B050FA06
5B069CA13
5B069DD06
5B069KA02
5E555AA27
5E555AA63
5E555BA04
5E555BA38
5E555BB04
5E555BB38
5E555BC08
5E555BE16
5E555BE17
5E555CA42
5E555CB19
5E555DA04
5E555DA08
5E555DA09
5E555DA11
5E555DB53
5E555DC09
5E555DC21
5E555DC43
5E555DD06
5E555EA07
5E555EA08
5E555EA09
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】仮想オブジェクトの立体表示が可能な三次元ディスプレイを透過型ディスプレイと併用する場合に、透過型ディスプレイによる表示と、三次元ディスプレイによる表示をシームレスに連携することが可能な情報処理方法及び情報処理システムを提供する。
【解決手段】情報処理方法及び情報処理システムは、ユーザの周囲をユーザから視認可能なように透過させる第1表示領域に重ねて、周囲に仮想的に配置された仮想オブジェクトを表す第1画像を表示可能な第1表示装置と、第2表示領域に仮想オブジェクトを表す第2画像を表示可能な第2表示装置と、をコントローラで制御する。制御の際に、第1表示領域において第1画像を表示させる第1位置、及び、第2表示領域において第2画像を表示させる第2位置を、互いに対応付けて設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表示装置と、第2表示装置と、コントローラと、を備える情報処理システムにおける情報処理方法であって、
前記第1表示装置は、
ユーザの周囲を前記ユーザから視認可能なように透過させる第1表示領域に重ねて、前記周囲に仮想的に配置された仮想オブジェクトを表す第1画像を表示可能であり、
前記第2表示装置は、
第2表示領域に前記仮想オブジェクトを表す第2画像を表示可能であり、
前記コントローラによって、
前記第1表示領域において前記第1画像を表示させる第1位置、及び、前記第2表示領域において前記第2画像を表示させる第2位置を、互いに対応付けて設定すること
を特徴とする情報処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理方法であって、
前記第1位置は、前記第1表示装置を基準とする第1座標系によって表現され、
前記第2位置は、前記第2表示装置を基準とする第2座標系によって表現されること
を特徴とする情報処理方法。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理方法であって、
前記コントローラによって、
前記第1座標系における前記第2表示装置の座標を特定し、
前記座標に基づいて、前記第1位置及び前記第2位置を対応付けること
を特徴とする情報処理方法。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理方法であって、
前記コントローラによって、
前記第1座標系における前記第2表示装置の姿勢を特定し、
前記姿勢に基づいて、前記第1位置と前記第2位置を対応付けること
を特徴とする情報処理方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の情報処理方法であって、
前記第1表示装置は、第1撮像部を有し、
前記コントローラによって、
前記第1撮像部を介して、前記第2表示装置を撮像した撮像画像を取得し、
前記撮像画像に基づいて、前記座標を特定すること
を特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
請求項2~5のいずれか一項に記載の情報処理方法であって、
前記コントローラによって、
前記第1位置及び前記第2位置を、前記仮想オブジェクトの仮想的な配置場所を向くユーザの視線上に設定することで、前記第1位置と前記第2位置を対応付けること
を特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の情報処理方法であって、
前記コントローラによって、
所定周期ごとに、前記第1位置及び前記第2位置の少なくともいずれかを設定すること
を特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の情報処理方法であって、
前記コントローラによって、
前記第2位置が前記第2表示領域の内部にない場合に、前記第1表示領域に前記第1画像を表示させること
を特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の情報処理方法であって、
前記コントローラによって、
前記第2位置が前記第2表示領域の内部にある場合に、前記第1表示領域に前記第1画像を表示させず、前記第2表示領域に前記第2画像を表示させること
を特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の情報処理方法であって、
前記第1表示装置は、前記ユーザの頭部に固定された拡張現実型ディスプレイであること
を特徴とする情報処理方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の情報処理方法であって、
前記第2表示装置は、三次元ディスプレイであること
を特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
第1表示装置と、第2表示装置と、コントローラと、を備える情報処理システムであって、
前記第1表示装置は、
ユーザの周囲を前記ユーザから視認可能なように透過させる第1表示領域に重ねて、前記周囲に仮想的に配置された仮想オブジェクトを表す第1画像を表示可能であり、
前記第2表示装置は、
第2表示領域に前記仮想オブジェクトを表す第2画像を表示可能であり、
前記コントローラは、
前記第1表示領域において前記第1画像を表示させる第1位置、及び、前記第2表示領域において前記第2画像を表示させる第2位置を、互いに対応付けて設定すること
を特徴とする情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
透過型ディスプレイを用いて、実空間における検出される実物体を基準とした位置に仮想オブジェクトの表示を実空間に重畳させて表示させる第1の処理、又は、実空間における検出される実物体を基準としない位置に仮想オブジェクトの表示を実空間に重畳させて表示させる第2の処理を行う表示制御部、を備える情報処理装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2016/203792号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された発明によれば、透過型ディスプレイのみを用いて仮想オブジェクトを表示することが想定されている。そのため、仮想オブジェクトの立体表示が可能な三次元ディスプレイを透過型ディスプレイと併用する場合に、透過型のディスプレイによる表示と、三次元ディスプレイによる表示をシームレスに連携することができないという課題がある
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものである。その目的とするところは、仮想オブジェクトの立体表示が可能な三次元ディスプレイを透過型ディスプレイと併用する場合に、透過型ディスプレイによる表示と、三次元ディスプレイによる表示をシームレスに連携することが可能な情報処理方法及び情報処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る情報処理方法及び情報処理システムは、ユーザの周囲をユーザから視認可能なように透過させる第1表示領域に重ねて、周囲に仮想的に配置された仮想オブジェクトを表す第1画像を表示可能な第1表示装置と、第2表示領域に仮想オブジェクトを表す第2画像を表示可能な第2表示装置と、をコントローラで制御する。制御の際に、第1表示領域において第1画像を表示させる第1位置、及び、第2表示領域において第2画像を表示させる第2位置を、互いに対応付けて設定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、仮想オブジェクトの立体表示が可能な三次元ディスプレイを透過型ディスプレイと併用する場合に、透過型ディスプレイによる表示と、三次元ディスプレイによる表示をシームレスに連携することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0010】
[情報処理システムの構成]
図1を参照して、本実施形態に係る情報処理システムの構成例を説明する。情報処理システムは一例として車両に搭載される。図1に示すように、情報処理システムは、第1表示装置10と、第2表示装置20と、コントローラ100とを備える。
【0011】
まず初めに、第1表示装置10は、後述するコントローラ100と有線又は無線によって接続される。なお、第1表示装置10自体がコントローラ100を備えていてもよい。第1表示装置10は、第1表示領域11、第1表示制御部13、撮像部17、通信部15を備える。
【0012】
例えば、第1表示装置10は拡張現実型ディスプレイである。すなわち、第1表示装置10は、ヘッドアップディスプレイ装置、ヘッドマウントディスプレイ、スマートグラス、プロンプターなどである。その他、第1表示装置10は、ユーザの頭部に固定されるものであってもよい。第1表示装置10がユーザの頭部に固定されることにより、第1表示領域とユーザの両眼の相対的な位置関係が固定されるものであってもよい。第1表示装置10は、ここに挙げた例に限定されない。
【0013】
第1表示領域11は、ユーザの周囲をユーザから視認可能なように透過させる領域であって、第1表示装置10の表面に位置する領域である。第1表示領域11は、第1表示制御部13から出力された第1画像(Augmented Reality(AR)画像)を表示する。したがって、第1表示領域11は、ユーザの周囲の風景に重畳して第1画像を表示する。
【0014】
第1表示制御部13は、第1表示領域11によって表示する第1画像を生成し、第1表示領域11に出力する。なお、第1画像は、ユーザの周囲に仮想的に配置された仮想オブジェクトを表す。例えば、第1表示制御部13は、仮想的な配置場所に、ユーザから見て実際に仮想オブジェクトが配置されているように見えるように第1画像を生成する。
【0015】
より具体的には、第1表示制御部13は、仮想オブジェクトの仮想的な配置場所とユーザの目の間の距離に基づいて、第1画像のサイズを設定してもよい。例えば、距離が長いほど、第1画像のサイズを小さく設定し、距離が短いほど、第1画像のサイズを大きく設定してもよい。また、第1表示制御部13は、ユーザの目から見た仮想オブジェクトが仮想的に位置する方向に基づいて、仮想オブジェクトの姿勢を変更し、第1画像を生成してもよい。
【0016】
なお、第1表示装置10自体がコントローラ100を備える場合、第1表示制御部13とコントローラ100は別個の構成要素であってもよいし、同一の構成要素であってもよい。
【0017】
撮像部17は、ユーザの周囲又は第1表示装置10の周囲の画像を撮像し、撮像画像を取得する。特に、撮像部17は、後述する第2表示装置20が写った撮像画像を取得する。
【0018】
例えば、撮像部17はCCD、CMOS等の固体撮像素子を備えたデジタルカメラであり、ユーザの周囲又は第1表示装置10の周囲を撮像して周辺領域のデジタル画像を取得する。撮像部17は、焦点距離、レンズの画角、カメラの垂直方向及び水平方向の角度などが設定されることにより、ユーザの周囲又は第1表示装置10の周囲の所定の範囲を撮像する。
【0019】
なお、撮像部17によって撮像された撮像画像は、所定の期間の間、図示しない記憶部に記憶されるものであってもよい。例えば、撮像部17、は所定の時間間隔で撮像画像を取得しており、所定の時間間隔で取得した撮像画像が、過去画像として記憶部に記憶される。過去画像は、当該過去画像の撮像時点から所定の期間を経過した後に削除されるものであってもよい。
【0020】
通信部15は、後述するコントローラ100の通信部110と有線又は無線によって接続され、通信部110との間で各種の情報が送受信される。その結果、第1表示装置10は、コントローラ100と接続される。また、通信部15は、第1表示制御部13及び撮像部17と接続され、第1表示制御部13及び撮像部17で生成又は使用する各種の情報が送受信される。通信部15は、4G/LTEのモバイル通信機能を備えたデバイスであってもよいし、Bluetooth(登録商標)もしくはWifi通信機能を備えたデバイスであってもよい。
【0021】
次に、第2表示装置20は、後述するコントローラ100と有線又は無線によって接続される。なお、第2表示装置20自体がコントローラ100を備えていてもよい。第2表示装置20は、第2表示領域21、第2表示制御部23、通信部25を備える。
【0022】
例えば、第2表示装置20は三次元ディスプレイである。すなわち、第2表示装置20は、三次元映像を表示するために、空間中に画像を立体的に投影するものであってもよいし、ユーザの左右の眼に別々の画像を見せることで立体感を与えるものであってもよい。
【0023】
三次元ディスプレイは、観察者に特殊な光学特性を持った眼鏡をかけさせ、両眼に視差をつけた画像を表示するも眼鏡式のディスプレイであってもよい。三次元ディスプレイは、視差障壁を利用したディスプレイであってもよい。視差障壁を利用したディスプレイとしては、パララックスバリア方式、レンチキュラーレンズ方式などが挙げられる。
【0024】
第2表示装置20は、三次元ディスプレイの他、二次元画像を表示するディスプレイであってもよく、ここに挙げた例に限定されない。
【0025】
第2表示領域21は、第2表示制御部23から出力された第2画像を表示する、第2表示装置20の表面に位置する領域である。
【0026】
第2表示制御部23は、第2表示領域21によって表示する第2画像を生成し、第2表示領域21に出力する。なお、第2画像は、ユーザの周囲に仮想的に配置された仮想オブジェクトを表す。例えば、第2表示制御部23は、仮想的な配置場所に、ユーザから見て実際に仮想オブジェクトが配置されているように見えるように第2画像を生成する。
【0027】
より具体的には、第2表示制御部23は、仮想オブジェクトの仮想的な配置場所とユーザの目の間の距離に基づいて、第2画像のサイズを設定してもよい。例えば、距離が長いほど、第2画像のサイズを小さく設定し、距離が短いほど、第2画像のサイズを大きく設定してもよい。また、第2表示制御部23は、ユーザの目から見た仮想オブジェクトが仮想的に位置する方向に基づいて、仮想オブジェクトの姿勢を変更し、第2画像を生成してもよい。
【0028】
なお、第2表示装置20自体がコントローラ100を備える場合、第2表示制御部23とコントローラ100は別個の構成要素であってもよいし、同一の構成要素であってもよい。
【0029】
通信部25は、後述するコントローラ100の通信部110と有線又は無線によって接続され、通信部110との間で各種の情報が送受信される。その結果、第2表示装置20は、コントローラ100と接続される。また、通信部25は、第2表示制御部23と接続され、第2表示制御部23で生成又は使用する各種の情報が送受信される。通信部25は、4G/LTEのモバイル通信機能を備えたデバイスであってもよいし、Bluetooth(登録商標)もしくはWifi通信機能を備えたデバイスであってもよい。
【0030】
次に、コントローラ100は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、記憶装置、入出力部などを備える汎用のコンピュータである。コントローラ100は、図示しないナビゲーション装置と接続されるものであってもよい。例えば、ナビゲーション装置は、車両のルート案内を実行する。
【0031】
コントローラ100(制御部)は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータである。コントローラ100には、情報処理システムとして機能するためのコンピュータプログラムがインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、コントローラ100は、情報処理システムが備える複数の情報処理回路(110、120、130、140、150、160)として機能する。なお、コンピュータプログラムは、コンピュータによって読み書き可能な記録媒体に格納されるものであってもよい。
【0032】
本実施形態では、ソフトウェアによって複数の情報処理回路(110、120、130、140、150、160)を実現する例を示す。ただし、以下に示す各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路(110、120、130、140、150、160)を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路(110、120、130、140、150、160)を個別のハードウェアにより構成してもよい。さらに、情報処理回路(110、120、130、140、150、160)は、ナビゲーション装置、あるいは、車両の制御に用いる制御ユニットと兼用してもよい。
【0033】
図1に示すように、コントローラ100は、複数の情報処理回路(110、120、130、140、150、160)として、通信部110、第1位置算出部120、第2位置算出部130、位置特定部140、仮想オブジェクト管理部150、判定部160を備える。
【0034】
通信部110は、第1表示装置10の通信部15、及び、第2表示装置20の通信部25との間で情報を送受信する。通信部110は、取得した情報を図示しないメモリ等に記憶する。例えば、通信部110は、4G/LTEのモバイル通信機能を備えたデバイスであってもよいし、Bluetooth(登録商標)もしくはWifi通信機能を備えたデバイスであってもよい。
【0035】
第1位置算出部120は、第1表示装置10の第1表示領域11において第1画像を表示させる第1位置を算出する。例えば、第1位置算出部120は、仮想オブジェクトの仮想的な配置場所を向くユーザの視線上に第1位置を設定するものであってもよい。第1位置算出部120は、当該視線が第1表示領域11と交わる交点を、第1位置として設定するものであってもよい。第1位置は、第1表示装置10を基準とする第1座標系の座標値によって表現される。
【0036】
第2位置算出部130は、第2表示装置20の第2表示領域21において第2画像を表示させる第2位置を算出する。例えば、第2位置算出部130は、仮想オブジェクトの仮想的な配置場所を向くユーザの視線上に第2位置を設定するものであってもよい。第2位置算出部130は、当該視線が第2表示領域21と交わる交点を、第2位置として設定するものであってもよい。第2位置は、第2表示装置20を基準とする第2座標系の座標値によって表現される。
【0037】
上述した例では、第1位置及び第2位置が、仮想オブジェクトの仮想的な配置場所を向くユーザの視線上に設定されるため、ユーザから見て、第1位置と第2位置は重なった位置に存在することになる。
【0038】
また、第1位置及び第2位置が仮想オブジェクトの仮想的な配置場所を向くユーザの視線上に設定されることで、第1位置と第2位置が互いに対応付けられるが、ここに挙げた例に限定されない。
【0039】
「第1位置と第2位置が互いに対応付けられる」の意味は、例えば、第1座標系において第1位置を示す座標値を座標変換することにより、第2座標系において第2位置を示す座標値を算出できることを意味する。また、第2座標系において第2位置を示す座標値を座標変換することにより、第1座標系において第1位置を示す座標値を算出できることを意味する。
【0040】
なお、第1位置と第2位置の間での座標変換を行うためには、第1表示装置10及び第2表示装置20の相対的な位置関係を特定する必要がある。第1表示装置10及び第2表示装置20の相対的な位置関係は、後述する位置特定部140により特定される。
【0041】
その他、第1位置算出部120は、第1表示制御部13の代わりに第1画像の生成を行ってもよい。また、第2位置算出部130は、第2表示制御部23の代わりに第2画像の生成を行ってもよい。
【0042】
また、第1表示制御部13は、第1位置算出部120の代わりに第1位置の設定を行ってもよい。第2表示制御部23は、第2位置算出部130の代わりに第2位置の設定を行ってもよい。
【0043】
位置特定部140は、第1表示装置10及び第2表示装置20の相対的な位置関係を特定する。より具体的には、位置特定部140は、第2表示装置20の位置(第2表示装置20の座標)を特定する。また、位置特定部140は、第1座標系における第2表示装置の姿勢(第2表示装置20の向き)を特定するものであってもよい。
【0044】
例えば、位置特定部140は、撮像部17によって取得された撮像画像に基づいた物体認識処理を行うことで、第1表示装置10に固定された撮像部17から第2表示装置20までの距離、及び、第1表示装置10を基準とする第2表示装置20の向きを特定する。その他、位置特定部140は、第2表示装置20に固定されたマーカの位置及び向きを検出することで、第2表示装置20までの距離及び向きを特定するものであってもよい。
【0045】
位置特定部140によって特定された、第1座標系における第2表示装置の座標は、第1位置算出部120及び第2位置算出部130に出力され、「第1位置と第2位置が互いに対応付けられる」ように、第1位置及び第2位置を算出するために用いられる。
【0046】
仮想オブジェクト管理部150は、第1表示装置10及び第2表示装置20によって表示する仮想オブジェクトを管理する。具体的には、仮想オブジェクト管理部150は、仮想オブジェクトごとに、仮想オブジェクトの仮想的な配置場所を特定する情報を保持する。仮想オブジェクト管理部150は、ユーザの位置を基準とする座標系における、当該配置場所を表現する座標値を保持してもよい。また、仮想オブジェクト管理部150は、第1表示装置10を基準とする座標系における、当該配置場所を表現する座標値を保持してもよい。仮想オブジェクト管理部150は、第2表示装置20を基準とする座標系における、当該配置場所を表現する座標値を保持してもよい。
【0047】
また、仮想オブジェクト管理部150は、仮想オブジェクトごとに当該仮想オブジェクトの形状および色彩などを特定する三次元データを保持するものであってもよい。ここで、三次元データとは、三次元空間でのコンピュータグラフィックスにおいて立体を表現するモデルに関する情報である。例えば、三次元データは、ベクターデータ(ポイント、ライン、ポリゴン)である。
【0048】
判定部160は、第2位置算出部130によって算出した第2位置が、第2表示領域21の内部にあるか否かを判定する。
【0049】
第2位置が第2表示領域21の内部にないと判定された場合、判定部160は、第1表示制御部13に対して、第1表示領域11に第1画像を表示させる信号を出力する。この場合、判定部160は、第2表示制御部23に対して、第2表示領域21に第2画像を表示させる信号を出力しない。この理由は、第2位置が第2表示領域21の内部にないことから、第2表示領域21は第2画像を表示できないためである。
【0050】
一方、第2位置が第2表示領域21の内部にあると判定された場合、判定部160は、第2表示制御部23に対して、第2表示領域21に第2画像を表示させる信号を出力する。この場合、判定部160は、第1表示制御部13に対して、第1表示領域11に第1画像を表示させる信号を出力しない。ここで、ユーザの周囲をユーザから視認可能なように透過させる第1表示領域11の輝度と比較して、第2表示領域21の輝度の方が高いと考えられる。第1表示領域11によって表示された第1画像よりも、第2表示領域21によって表示された第2画像の方を、ユーザは視認しやすいと考えられるためである。
【0051】
[情報処理システムの処理手順]
次に、本実施形態に係る情報処理システムの処理手順を、図2のフローチャートを参照して説明する。図2に示す情報処理システムの処理は、ユーザの指示に基づいて開始されるものであってもよいし、所定の周期で繰り返し実行されるものであってもよい。
【0052】
まず、ステップS101において、仮想オブジェクト管理部150は、第1表示装置10及び第2表示装置20の少なくともいずれかで表示する仮想オブジェクトの配置場所を指定する。指定された配置場所に基づいて、後述するステップを実行する。
【0053】
ステップS103において、位置特定部140は、第2表示装置20の位置を特定する。したがって、位置特定部140は、第1表示装置10及び第2表示装置20の相対的な位置関係を特定する。
【0054】
ステップS105において、第1位置算出部120が第1位置を算出し、第2位置算出部130が第2位置を算出する。
【0055】
ステップS107において、判定部160は、第2位置算出部130によって算出した第2位置が、第2表示領域21の内部にあるか否かを判定する。
【0056】
第2位置が第2表示領域21の内部にあると判定された場合(ステップS107にてYESの場合)、ステップS111において、判定部160は、第2表示制御部23に対して、第2表示領域21に第2画像を表示させる信号を出力する。その結果、第2表示領域21は第2画像を表示する。
【0057】
一方、第2位置が第2表示領域21の内部にないと判定された場合(ステップS107にてNOの場合)、ステップS113において、判定部160は、第1表示制御部13に対して、第1表示領域11に第1画像を表示させる信号を出力する。その結果、第1表示領域11は第1画像を表示する。
【0058】
[実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る情報処理方法及び情報処理システムは、ユーザの周囲をユーザから視認可能なように透過させる第1表示領域に重ねて、周囲に仮想的に配置された仮想オブジェクトを表す第1画像を表示可能な第1表示装置と、第2表示領域に仮想オブジェクトを表す第2画像を表示可能な第2表示装置と、をコントローラで制御する。制御の際に、第1表示領域において第1画像を表示させる第1位置、及び、第2表示領域において第2画像を表示させる第2位置を、互いに対応付けて設定する。
【0059】
これにより、第1表示装置と第2表示装置を併用する場合に、第1表示装置による表示と第2表示装置による表示を、シームレスに連携することができる。その結果、ユーザの利便性が向上する。特に、仮想オブジェクトの立体表示が可能な三次元ディスプレイを透過型ディスプレイと併用する場合に、透過型ディスプレイによる表示と、三次元ディスプレイによる表示をシームレスに連携することができる。
【0060】
また、本実施形態に係る情報処理方法及び情報処理システムにおいて、第1位置は、第1表示装置を基準とする第1座標系によって表現され、第2位置は、第2表示装置を基準とする第2座標系によって表現されるものであってもよい。これにより、第1座標系と第2座標系の間での対応付けが行われ、第1表示装置と第2表示装置のそれぞれに表示すべき仮想オブジェクトの範囲と位置を算出できる。
【0061】
さらに、本実施形態に係る情報処理方法及び情報処理システムは、第1座標系における第2表示装置の座標を特定し、座標に基づいて、第1位置及び第2位置を対応付けるものであってもよい。また、本実施形態に係る情報処理方法及び情報処理システムは、第1座標系における第2表示装置の姿勢を特定し、姿勢に基づいて、第1位置と第2位置を対応付けるものであってもよい。
【0062】
これらにより、第1座標系と第2座標系の間での座標変換を行うことができる。その結果、第1座標系と第2座標系の間での対応付けを行うことができる。また、第1表示装置と第2表示装置のそれぞれに表示すべき仮想オブジェクトの範囲と位置を算出できる。
【0063】
さらに、本実施形態に係る情報処理方法及び情報処理システムは、第1表示装置が有する第1撮像部を介して、第2表示装置を撮像した撮像画像を取得し、撮像画像に基づいて、座標を特定するものであってもよい。これにより、第1表示装置と第2表示装置の相対的な位置関係が変化しても、撮像画像に基づいて位置関係を確定させることができる。その結果、第1座標系と第2座標系の間での座標変換を行うことができる。
【0064】
また、本実施形態に係る情報処理方法及び情報処理システムは、第1位置及び第2位置を、仮想オブジェクトの仮想的な配置場所を向くユーザの視線上に設定することで、第1位置と第2位置を対応付けるものであってもよい。これにより、第1表示装置と第2表示装置を併用する場合に、第1表示装置による表示と第2表示装置による表示を、シームレスに連携することができる。その結果、ユーザの利便性が向上する。
【0065】
さらに、本実施形態に係る情報処理方法及び情報処理システムは、所定周期ごとに、第1位置及び第2位置の少なくともいずれかを設定するものであってもよい。これにより、第1表示装置と第2表示装置のそれぞれに表示すべき仮想オブジェクトの範囲と位置を算出する際に生じる、位置ずれなどの誤差を低減できる。
【0066】
また、本実施形態に係る情報処理方法及び情報処理システムは、第2位置が第2表示領域の内部にない場合に、第1表示領域に第1画像を表示させるものであってもよい。これにより、仮想オブジェクトが第2表示装置による表示範囲に位置しない場合であっても、第1表示装置によって仮想オブジェクトを表示できる。その結果、ユーザの利便性が向上する。
【0067】
さらに、本実施形態に係る情報処理方法及び情報処理システムは、第2位置が第2表示領域の内部にある場合に、第1表示領域に第1画像を表示させず、第2表示領域に第2画像を表示させるものであってもよい。ここで、ユーザの周囲をユーザから視認可能なように透過させる第1表示領域の輝度と比較して、第2表示領域の輝度の方が高いと考えられる。したがって、第1表示領域に第1画像を表示させず、第2表示領域に第2画像を表示させることで、ユーザが感じる視認性を向上させることができ、ユーザの利便性が向上する。
【0068】
また、本実施形態に係る情報処理方法及び情報処理システムにおいて、第1表示装置は、ユーザの頭部に固定された拡張現実型ディスプレイであってもよい。これにより、ユーザが感じる没入感が増し、ユーザの利便性が向上する。
【0069】
さらに、本実施形態に係る情報処理方法及び情報処理システムにおいて、第2表示装置は、三次元ディスプレイであってもよい。これにより、ユーザの周囲をユーザから視認可能なように透過させる第1表示領域を有する第1表示装置と比較して、輝度の高い第2表示装置によって仮想オブジェクトを表示できる。その結果、ユーザが感じる視認性を向上させることができ、ユーザの利便性が向上する。
【0070】
上述の実施形態で示した各機能は、1又は複数の処理回路によって実装されうる。処理回路には、プログラムされたプロセッサや、電気回路などが含まれ、さらには、特定用途向けの集積回路(ASIC)のような装置や、記載された機能を実行するよう配置された回路構成要素なども含まれる。
【0071】
以上、実施形態に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0072】
本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0073】
10 第1表示装置
11 第1表示領域
13 第1表示制御部
15,25,110 通信部
17 撮像部
20 第2表示装置
21 第2表示領域
23 第2表示制御部
100 コントローラ
120 第1位置算出部
130 第2位置算出部
140 位置特定部
150 仮想オブジェクト管理部
160 判定部
図1
図2