(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011784
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】分岐末端停止ポリアミド組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 69/36 20060101AFI20230117BHJP
【FI】
C08G69/36
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174129
(22)【出願日】2022-10-31
(62)【分割の表示】P 2019551451の分割
【原出願日】2018-03-27
(31)【優先権主張番号】62/481,998
(32)【優先日】2017-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517213094
【氏名又は名称】アドバンシックス・レジンズ・アンド・ケミカルズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ADVANSIX RESINS & CHEMICALS LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】ネリアッパン,ベーラ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、ポリアミド前駆体から、分岐鎖を有する部分的に末端停止されたポリアミド組成物を製造する方法を提供する。部分的に末端停止された分岐ポリアミド組成物は、増大した溶融強度特性及び溶融安定性を有する。
【解決手段】反応容器中でカプロラクタムとアジピン酸又はヘキサメチレンジアミンとを反応させてポリアミドプレポリマーを形成すること、前記ポリアミドプレポリマーをダイマーアミン又はダイマー酸と反応させて分岐ポリアミド組成物を形成すること、及び前記分岐末端停止ポリアミド組成物が形成されるように反応容器に末端停止剤を添加すること、を含む、分岐末端停止ポリアミド組成物の製造方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分岐末端停止ポリアミド組成物の製造方法であって、
反応容器中でカプロラクタムとアジピン酸又はヘキサメチレンジアミンとを反応させてポリアミドプレポリマーを形成すること、
前記ポリアミドプレポリマーをダイマーアミン又はダイマー酸と反応させて分岐ポリアミド組成物を形成すること、及び
前記分岐末端停止ポリアミド組成物が形成されるように反応容器に末端停止剤を添加すること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記分岐末端停止ポリアミド組成物が、15ミリモル/kg乃至40ミリモル/kgのアミン末端基濃度を有し、15ミリモル/kg乃至40ミリモル/kgのカルボキシル末端基濃度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分岐末端停止ポリアミド組成物が、GB/T-12006.1-2009/ISO-307:2007によって求めて2.4RV乃至7.0RVの相対粘度を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記分岐末端停止ポリアミド組成物が、GB/T-12006.1-2009/ISO-307:2007によって求めて4.0RV乃至7.0RVの相対粘度を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記分岐末端停止ポリアミド組成物が、ASTM-D789によって求めて230FAV乃至260FAVのギ酸粘度を有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記分岐末端停止ポリアミド組成物が、4.0RV乃至7.0RVの相対粘度、及びASTM-D789によって求めて230FAV乃至260FAVのギ酸粘度を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記分岐末端停止ポリアミド組成物中のカプロラクタムとダイマー酸との比が88:12である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリアミド組成物は、ポリアミド-6、ポリアミド6,6、ポリアミド6/6,
6、ポリアミド4,6、ポリアミド6,10、ポリアミド12,12、並びにそれらの混
合物及びコポリマーからなる群から選択される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明はポリアミド組成物に関し、特に、高い分子量及び高い溶融強度などの望ましい特性を達成するために、ポリアミド分子鎖の分岐及び末端停止を導入したポリアミド組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]典型的には、ポリアミドは、加水分解、重付加、及び重縮合反応によってカプロラクタムなどの前駆体から形成される。カプロラクタムから形成されるポリアミド-6材料については、加水分解によってカプロラクタムモノマーの環を開環して、2つの末端基(1つのアミン末端基及び1つのカルボキシル末端基)を形成し、重付加によってカプロラクタムモノマーを化合させて中間分子量のオリゴマーにし、そして重縮合によってオリゴマーを化合させてより高い分子量のポリマーにする。
【0003】
[0003]下記の反応1に示すように、重縮合反応は、ポリアミド-6のオリゴマー又はプレポリマーが、追加の生成物としての水と共に高分子量ポリアミド鎖を形成する可逆的化学反応を含む。重縮合は加水分解及び重付加と同時に起こり、反応が進行してより高分子量のポリアミド鎖が形成されるにつれて、存在する末端基の総数の減少が起こる。
【0004】
【0005】
[0004]含水量は、得られるポリアミド鎖の分子量及び末端基の総数に影響を及ぼす。水を除去することによって、反応はより高分子量のポリマー鎖の生成に向かって進行して反応の平衡を維持する。1つの技術においては、有意により大きな分子量のポリアミドが所望される場合、反応生成物から水を除去するために、増加する量の真空が適用される。しかしながら、時間の経過と共に、水が混合物内でますます欠乏するようになり、それによって抽出するのがより困難になるので、ますます高い真空の適用は長時間にわたっては実用的ではない。
【0006】
[0005]更に、ポリアミドポリマーの分子量が重縮合反応中に増加するにつれて、ポリマーの粘度も増加する。これは特に、ポリマー溶融体が溶融加工の間に高い滞留時間にかけられる場合に望ましくない。これは、粘度の増加は、変化し且つ安定しない加工挙動をもたらす可能性があり、これはテキスタイル及びブローンフィルム又はキャストフィルム押出操作のような高速紡糸用途において不利であり得るからである。
【0007】
[0006]上記のポリアミド反応の別の態様は、ポリマーの末端基変性である。末端基は、特定のプロセスとの適合性のために、ポリアミドポリマーの設計を変更するために変性することができる。単官能性末端停止剤又は二官能性変性剤の使用に応じて、同じ分子量のポリアミドポリマーが異なる末端基構造を有し得る。
【0008】
[0007]末端停止剤又は変性剤は、通常、カプロラクタムに添加され、重合プロセス中にカプロラクタム及びカプロラクタムモノマーと反応する。単官能性末端停止剤(例えば、シクロヘキシルアミン又は酢酸)の使用は、化学反応によってそれぞれカルボキシル末端基又はアミン末端基の末端停止をもたらす。すなわち、末端停止剤の1重量当量は、対応する末端基を1当量減少させる。末端停止は、同じ分子量を有するポリマーと比較して、最終ポリアミドポリマーの含水量にも影響を及ぼす。末端停止ポリマーはまた、反応の平衡動力学と合致して非末端停止ポリマーの含水量よりも低い含水量を有する。更に、末端停止ポリマーの末端は更なる重付加又は重縮合反応を起こすことができず、したがって、その分子量が維持され、安定な溶融粘度が示される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[0008]二官能性変性剤(例えば、過剰のヘキサメチレンジアミン)の使用は、ポリマーの末端停止をもたらさず、むしろ末端基の型を変化させる。例えば、添加されるヘキサメチレンジアミンの重量当量毎に、1つのアミン末端基の付加及び1つのカルボキシル末端基の減少が正味の結果である。更に、単官能性末端停止剤と同様に、二官能性変性剤の使用はまた、変性ポリマーが非末端停止ポリマーのものよりも低い含水量を有するので、最終ポリアミドポリマーの含水量にも影響を及ぼす。
【0010】
[0009]更に、重合の間、反応の含水量は、ポリアミド生成物の解重合を防止するために非常に低いレベルまで減少させる必要がある場合もあり、これは製造コストを増加させる。例えば、重縮合反応のための長いサイクル時間及び/又は高レベルの真空が、含水量を減少させるために必要である。従って、分子量及び得られる溶融強度を増大させるために、反応サイクル時間のバランスをとることが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[0010]本発明は、ポリアミド前駆体から、分岐鎖を有する部分末端停止ポリアミド組成物を製造する方法を提供する。部分末端停止分岐ポリアミド組成物は、増大した溶融強度特性及び溶融安定性を有する。
【0012】
[0011]ポリアミド組成物は、次式:
【0013】
【0014】
(式中、a=6~10;b=6~10;c=6~10;d=6~10;y=80~400;m=1~400である)
を有し得る。ダイマーアミンの炭素鎖は両方とも8個より多い炭素を有し;ポリアミド組成物は、ポリアミド組成物の総重量を基準として1重量%~40重量%の間のダイマージアミン又はダイマー酸の組成を有し;ポリアミド組成物はアミン末端基及びカルボキシル
末端基で末端停止されており;そしてポリアミド組成物は、GB/T-12006.1-2009/ISO-307:2007によって求めて3.0~7.0RVの間の相対粘度を有する。
【0015】
[0012]アミン末端基濃度は15ミリモル/kg~40ミリモル/kgの間であり得、カルボキシル末端基濃度は15ミリモル/kg~40ミリモル/kgの間であり得る。ポリアミド組成物は、4.0RV~7.0RVの相対粘度を有し得る。ポリアミド組成物は、ASTM-D789によって求めて230FAV~950FAVのギ酸粘度を有し得る。或いは、ポリアミド組成物は、ASTM-D789によって求めて230FAV~260FAVのギ酸粘度を有し得る。或いは、ポリアミド組成物は、ASTM-D789によって求めて約250FAVのギ酸粘度を有し得る。ポリアミド組成物は、4.0RV~7.0RVの相対粘度、及びASTM-D789によって求めて230FAV~260FAVのギ酸粘度を有し得る。
【0016】
[0013]ポリアミド組成物は、次式:
【0017】
【0018】
(式中、a=6~10;b=6~10;c=6~10;d=6~10;x=80~400;m=1~400である)
を有し得る。ダイマー酸の炭素鎖は両方とも8個より多い炭素を有し;ポリアミド組成物は、ポリアミド組成物の総重量を基準として1重量%~40重量%の間のダイマージアミン又はダイマー酸の組成を有し;ポリアミド組成物はアミン末端基及びカルボキシル末端基で末端停止されており;そしてポリアミド組成物は、GB/T-12006.1-2009/ISO-307:2007によって求めて3.0~7.0RVの間の相対粘度を有する。
【0019】
[0014]アミン末端基濃度は15ミリモル/kg~40ミリモル/kgの間であり得、カルボキシル末端基濃度は15ミリモル/kg~40ミリモル/kgの間であり得る。ポリアミド組成物は、4.0RV~7.0RVの相対粘度を有し得る。ポリアミド組成物は、ASTM-D789によって求めて230FAV~950FAVのギ酸粘度を有し得る。或いは、ポリアミド組成物は、ASTM-D789によって求めて230FAV~260FAVのギ酸粘度を有し得る。或いは、ポリアミド組成物は、ASTM-D789によって求めて約250FAVのギ酸粘度を有し得る。ポリアミド組成物は、4.0RV~7.0RVの相対粘度、及びASTM-D789によって求めて230FAV~260FAVのギ酸粘度を有し得る。
【0020】
[0015]任意の上記のタイプの分岐末端停止ポリアミド組成物を製造する方法も提供される。この方法は、カプロラクタムとアジピン酸又はヘキサメチレンジアミンを反応容器中で反応させてポリアミドプレポリマーを形成する工程;ポリアミドプレポリマーをダイマーアミン又はダイマー酸と反応させて分岐ポリアミド組成物を形成する工程;及び分岐末端停止ポリアミド組成物が形成されるように反応容器に末端停止剤を添加する工程;を含
む。
【0021】
[0016]化学量論的当量のダイマー酸又はダイマーアミン及びアジピン酸を反応器に添加することができる。分岐末端停止ポリアミド組成物は、15ミリモル/kg~40ミリモル/kgのアミン末端基濃度を有し得、15ミリモル/kg~40ミリモル/kgのカルボキシル末端基濃度を有し得る。分岐末端停止ポリアミド組成物は、2.4RV~7.0RVの相対粘度を有し得る。或いは、分岐末端停止ポリアミド組成物は、4.0RV~7.0RVの相対粘度を有し得る。分岐末端停止ポリアミド組成物は、ASTM-D789によって求めて230FAV~260FAVのギ酸粘度を有し得る。或いは、分岐末端停止ポリアミド組成物は、ASTM-D789によって求めて約250FAVのギ酸粘度を有し得る。分岐末端停止ポリアミド組成物は、4.0RV~7.0RVの相対粘度、及びASTM-D789によって求めて230FAV~260FAVのギ酸粘度を有し得る。分岐末端停止ポリアミド組成物中のカプロラクタムとダイマー酸との比は88:12であり得る。
【0022】
[0017]ポリアミド組成物に、例えば、アミン末端基及びカルボキシル末端基を有する二重末端停止ポリアミドを含ませることができ、この組成物は、4.0RV~7.0RVの相対粘度、及びASTM-D789によって求めて230FAV~970FAVのギ酸粘度を有し得る。
【0023】
[0018]ポリアミド組成物は、ポリアミド-6、ポリアミド6,6、ポリアミド6/6,6、ポリアミド4,6、ポリアミド6,10、ポリアミド12,12、並びにそれらの混合物及びコポリマーからなる群から選択することができる。
【0024】
[0019]アミン末端基濃度は15ミリモル/kg~40ミリモル/kgの間であり得、カルボキシル末端基濃度は15ミリモル/kg~40ミリモル/kgの間であり得る。
[0020]添付の図面と併せて本発明の実施形態の下記の説明を参照することによって、本発明の上記及び他の特徴、並びにそれらを達成する方法がより明らかになり、本発明それ自体がより良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】[0021]
図1は、比較のために、二重末端停止分岐ポリアミドのレオロジー熱安定性の、二重末端停止非分岐類似体、ポリアミド6対照試料、及び二重末端停止ポリアミド6との比較を示すグラフを示す。
【
図2】[0022]
図2は、比較のために、二重末端停止分岐ポリアミド、並びにポリアミド6対照試料、非末端停止ポリアミド(2%ダイマー酸)、及び二重末端停止ポリアミド6(MBMグレード)の振動数対複素粘度を示すグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[0023]対応する参照符号は、いくつかの図にわたって対応する構成要素を示す。本明細書に示される例示は本発明の例示的な実施形態を示し、そのような例示は、いかなるようにも本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0027】
1.分岐ポリアミド組成物の合成:
[0024]本ポリアミドは、一般に、カプロラクタム、1種類以上のダイマー酸、及び1種類以上のダイマーアミンから形成される。
【0028】
[0025]カプロラクタムは、式(I)として示され、下記の構造を有する:
【0029】
【0030】
[0026]ダイマー酸は、式(II)として下記に示され、ここで、a、b、c、及びdはそれぞれ6~10の範囲である。更に、ダイマー酸は、1つ以上の不飽和結合を含み得る。ダイマー酸に関する更なる情報は、Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, 第2巻, 1-13頁において見ることができる。ダイマー酸は、アンモニアとの反応及びその後の還元によってダイマーアミンに転化させることができる。
【0031】
【0032】
[0027]ダイマーアミンは、式(III)として下記に示され、ここで、a、b、c、及びdはそれぞれ6~10の範囲である。脂肪アミンは、天然源、油脂、又は石油化学原材料から調製される脂肪酸、オレフィン、又はアルコールの窒素誘導体である。脂肪アミンは、種々の触媒を用いて脂肪ニトリル中間体を水素化することによって、天然に存在する物質から調製することができる。脂肪アミンはまた、脂肪アルコールをアンモニア、又は低分子量の第一級若しくは第二級アミンと反応させることによって調製することもできる。ダイマーアミンに関する更なる情報は、Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, 第2巻, 518-537頁において見ることができる。
【0033】
[0028]好適なダイマーアミンは、下記に示す一般式によって表され、6~10個の間の炭素を有し得る炭素鎖、すなわち、6~10個の間の炭素を含むアルキル基を含む。
【0034】
【0035】
[0029]ダイマーアミンは8個より多い炭素を含むアルキル基を有し得るが、ダイマーアミンのアルキル基は、3個のような少ない数、又は8個、10個、15個、又はそれ以上のような多い数の炭素を有し得る。最終ポリマーのダイマージアミンの炭素鎖は、長さが変動していてもよい。炭素鎖は、同数の炭素原子を有し得る。例えば、最終化合物の炭素鎖は、それぞれ少なくとも6個の炭素を有し得る。
【0036】
[0030]分岐ポリアミド組成物を合成するために、ダイマーアミン、アジピン酸又はヘキサメチレンジアミン、及びカプロラクタムを反応容器に添加することができる。本明細書中で更に議論される末端停止剤もまた、他の添加剤と共に反応器に添加される。添加剤の例としては、次亜リン酸、イソフタル酸、及び脱イオン水が挙げられる。
【0037】
[0031]下記の式1は、1段階付加合成反応としての分岐ポリアミド組成物の合成を示し、一方、式2~3(下記で更に議論する)は、示される中間生成物を用いた2段階プロセスとしての式1の分岐ポリアミド組成物の合成を示す。
【0038】
[0032]式1に示されるように、ダイマーアミン及びアジピン酸は1:1の化学量論比であり、一方、使用され得るカプロラクタムの量はnの値とともに変化し得る(すなわち、nは、ダイマーアミン及びアジピン酸に対して80~400の間のモル比であり得る)。下記に示される反応によって示されている分岐ポリアミド組成物が生成し、これは本明細書中でより詳細に議論されるように末端停止にかけられ、そしてこのポリアミド組成物はGB/T-12006.1-2009/ISO-307:2007によって求めて3.0RV~7.0RVの間の相対粘度を有し得る。
【0039】
【0040】
[0033]ダイマーアミンの量に対するカプロラクタムの量の種々の比を反応容器中に存在させることができる。例えば、かかる比は、75:25、80:20、85:15のような小さい値、87:13、90:10、又は95:5のような大きい値、或いは前述の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内であってよい。例示的な実施形態においては、カプロラクタムとダイマー酸との比は88:12であってよい。
【0041】
[0034]分岐ポリアミド組成物の二段合成においては、下記の式2に示すようにカプロラクタムとアジピン酸を反応させてポリアミドプレポリマー(PAプレポリマー)を形成する。
【0042】
【0043】
[0035]反応が進行したら、下記の式3に示すように、式2のPAプレポリマーをダイマーアミンと反応させて分岐ポリアミド組成物を形成する。式3において概して示されるように、ダイマーアミンの分岐基、例えばアルキル基が、PAプレポリマーの直鎖又は主鎖中に組み込まれて分岐ポリアミド組成物が形成される。
【0044】
【0045】
[0036]式1~3において、a、b、c、dはそれぞれ6~10の範囲であり、mは1~400の範囲であり、yは80~400の範囲である。更に、式3に示される分岐ポリアミド組成物生成物の鎖末端は、下記においてより詳細に議論されるように、好適な酸又はアミン末端停止剤で末端停止される。
【0046】
[0037]下記の式4は、1段階付加合成反応としての分岐ポリアミド組成物の合成を示し、一方、式5~6(下記において更に議論する)は、示される中間生成物を用いた2段階プロセスとしての式4の分岐ポリアミド組成物の合成を示す。
【0047】
[0038]式4に示されるように、ヘキサメチレンジアミン及びダイマー酸は1:1の化学量論比であり、一方、使用され得るカプロラクタムの量はnの値とともに変化し得る(すなわち、nは、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、及びダイマー酸の間で80~500のモル比であり得る)。下記に示される反応によって示されている分岐ポリアミド組成物が生成し、これは本明細書中でより詳細に議論されるように末端停止にかけられる。
【0048】
【0049】
[0039]ダイマーアミンの量に対するカプロラクタムの量の種々の例示的な比が反応容器中に存在する。例示的な比は、75:25、80:20、85:15のような小さい値、87:13、90:10、又は95:5のような大きい値、或いは前述の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内であってよい。例示的な実施形態においては、カプロラクタムとダイマー酸との比は88:12である。
【0050】
[0040]分岐ポリアミド組成物の二段合成においては、下記の式5に示すように、カプロラクタムとジアミンを反応させてポリアミドプレポリマー(PAプレポリマー)を形成する。
【0051】
【0052】
[0041]反応が進行したら、下記の式6に示すように、式5のPAプレポリマーをダイマー酸と反応させて分岐ポリアミド組成物を形成する。式6に概して示されるように、ダイマーアミンの分岐基、例えばアルキル基が、PAプレポリマーの直鎖又は主鎖中に組み込
まれて分岐ポリアミド組成物が形成される。
【0053】
【0054】
[0042]式4~6において、a、b、c、dはそれぞれ6~10の範囲であり、mは1~400の範囲であり、xは80~400の範囲である。更に、式6に示される分岐ポリアミド組成物生成物の鎖末端は、下記においてより詳細に議論されるように、好適な酸又はアミン末端停止剤で末端停止される。
【0055】
[0043]式3及び6の最終ポリマー生成物は、ポリアミド組成物の総重量を基準として、1重量%、2重量%、若しくは5重量%のような小さい値、又は25重量%、35重量%、若しくは40重量%のような大きい値、或いは1重量%~40重量%、5重量%~7重量%、12重量%~15重量%、及び20重量%~25重量%の間のような前述の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内のダイマーアミン又はダイマー酸の組成を有し得る。
【0056】
[0044]反応器は、例えば、225℃、230℃、235℃のような低い値、260℃、270℃、280℃、又は290℃のような高い値、或いは前述の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内、例えば225℃~290℃、230℃~280℃、又は235℃~260℃の間の温度で運転することができる。一例では、反応器は230℃で運転する。
【0057】
[0045]反応が反応器内で起こっている際に真空を適用することができる。例えば、適用される真空は、29インチ(水銀柱(Hg)インチ)未満であってよい。別の例では、適用される真空は28インチ又は27インチ(水銀柱(Hg)インチ)未満であってよい。反応器には、反応を行う間に混合物を撹拌するための撹拌機を含ませることができる。攪拌機の回転速度は、200毎分回転数(rpm)、250rpm、300rpmのような小さい値、350rpm、400rpm、450rpmのような大きい値、又は前述の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内であってよい。例えば、攪拌機の回転速度は300rpmに設定する。
【0058】
2.分岐ポリアミド組成物の末端停止:
[0046]ポリマー化学において、連鎖末端停止は、重合中に連鎖伝播段階を停止する化学反応である。先に述べたように、反応器に末端停止剤を添加して、式1及び3の分岐ポリ
アミド組成物のアミン末端及び酸末端を末端停止して、二重末端停止分岐ポリアミド組成物を形成することができる。二重末端停止ポリアミド組成物に、分岐ポリアミド組成物のアミン(-NH2)末端基及びカルボキシル(-COOH)末端基のための異なる末端停止剤を含ませることができる。例えば、好適な酸又はアミン末端停止剤には、それぞれ一官能性のカルボキシル基及びアミン基を有する分子を含ませることができる。例えば、末端停止剤は化学的に異なっていてもよい。
【0059】
[0047]二重末端停止ポリアミド組成物は、下記の式7に示すように、重合プロセスに末端停止剤を添加してアミン及びカルボキシル末端基を末端停止することによって製造することができる。酸性末端停止剤を用いてNH2アミン末端基を末端停止し、アミン末端停止剤を用いて式1及び3のポリアミド組成物の-COOHカルボキシル末端基を末端停止する。ポリマーのアミン末端のための末端停止剤の例としては、一官能性の酸(例えば、酢酸)のような酸性末端停止剤が挙げられる。カルボキシル末端停止剤の例としては、一官能性アミン(例えば、シクロヘキシルアミン)のようなアミン官能性末端停止剤が挙げられる。酸基及びアミン基のための末端停止剤は、それぞれシクロヘキシルアミン及び酢酸であってよい。増加したレベルの末端停止剤を添加するとアミン及びカルボキシル末端基の末端基レベルが低下し、これにより増加したポリマー溶融安定性が達成される。
【0060】
[0048]簡単にするために、式3の拡張された分岐ポリアミド組成物生成物を下記に示す式7で使用して、末端停止機構を説明する。
【0061】
【0062】
[0049]式7に示すように、反応に末端停止剤を添加して、式7に示す最終ポリマーの鎖末端を末端停止する。末端停止剤の例としては、酢酸及びシクロヘキシルアミンが挙げられる。添加された末端停止剤は、アミン末端基又は酸末端基を、末端基の初期濃度(meq/kg)を基準として、末端基の10%、20%、若しくは30%のような小さい値、又は40%、50%、若しくは80%のような大きな値、或いは25%~30%、30%~40%、及び60%~80%の間のような前述の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の異なる程度まで末端停止することができる。
【0063】
[0050]添加された末端停止剤は、示されるように、ポリマー鎖の末端に追加の官能基を
付加して分岐ポリアミド組成物の幾らかを末端停止するが、一方で他の分岐ポリアミド組成物は式7に示されるように末端停止されないままである。
【0064】
[0051]更に、下記に示す式8に示すように、式4及び6の分岐ポリマー生成物でも同様の末端停止が起こる。末端停止剤の例としては、酢酸及びシクロヘキシルアミンが挙げられる。添加された末端停止剤は、アミン末端又は酸末端を、末端基の初期濃度(meq/kg)を基準として、末端基の10%、20%、若しくは30%のような小さい値、又は40%、50%、若しくは80%のような大きな値、或いは25%~30%、30%~40%、及び60%~80%の間のような前述の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の異なる程度まで末端停止することができる。
【0065】
[0052]添加された末端停止剤は、示されるように、ポリマー鎖の末端に追加の官能基を付加して分岐ポリアミド組成物の幾らかを末端停止するが、一方で他の分岐ポリアミド組成物は式8に示されるように末端停止されないままである。
【0066】
【0067】
[0053]アミン末端基濃度は、次式:
【0068】
【0069】
に従って、90%フェノール/10%メタノール中のポリアミドの試料を滴定するのに必
要なp-トルエンスルホン酸(PTSA)の量によって求めることができる。
[0054]分岐二重末端停止ポリアミド組成物は、40meq/kg、35meq/kg、30meq/kgのような大きい値、25meq/kg、20meq/kg、15meq/kg、又はそれ以下のような小さい値、或いは前述の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の総アミン末端基濃度を有し得る。
【0070】
[0055]カルボキシル末端基濃度は、次式:
【0071】
【0072】
に従って、ベンジルアルコール中のポリアミドの試料を滴定するのに必要な水酸化カリウム(KOH)の量によって求めることができる。
[0056]二重末端停止ポリアミド組成物は、40meq/kg、35meq/kg、30meq/kgのような大きい値、25meq/kg、20meq/kg、15meq/kg、又はそれ以下のような小さい値、或いは前述の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内のカルボキシル末端基濃度を有し得る。
【0073】
[0057]分岐二重末端停止ポリアミド組成物は、100meq/kg、75meq/kg、50meq/kgのような大きい値、40meq/kg、30meq/kg、20meq/kg、又はそれ以下のような小さい値、或いは100meq/kg~40meq/kg、60meq/kg~50meq/kg、30meq/kg~20meq/kg、又は25meq/kg~20meq/kgのような前述の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の全活性末端基濃度(アミン末端基+カルボキシル末端基)を有し得る。分岐二重末端停止ポリアミド組成物は、28meq/kgのアミン末端基濃度及び24meq/kgのカルボキシル末端基濃度を有し得る。アミン及びカルボキシル末端停止剤のレベルを増加させると、アミン及びカルボキシル末端基の末端基レベルが低下する。
【0074】
3.二重末端停止分岐ポリアミド組成物の特性:
[0058]分岐し且つ二重末端停止されているポリアミド組成物は、同じ分子量を有する非末端停止のポリアミド組成物と比較して改善された熱及びレオロジー特性を示す。換言すれば、短鎖分岐(≦C8)を含むポリアミド組成物は、同等の分子量を有する非分岐類似体と比較してより高い溶融粘度を示す。すなわち、分岐を導入するとポリアミド組成物の溶融強度が増加する。更に、分岐二重末端停止ポリアミド組成物は、末端停止基の存在によってより大きな溶融安定性を示す。
【0075】
[0059]得られる分岐二重末端停止ポリアミド組成物は、2.0RV、2.5RV、3RV、3.5RV、4.0RV、4.5RVのような小さい値、5.0RV、5.5RV、6.0RV、6.5RV、7.0RVのような大きい値、或いは2.4RV~7.0RV、3.0RV~7.0RV、4.0RV~7.0RV、4.5RV~7.0RV、4.5RV~6.5RV、又は5.0RV~6.5RVのような前述の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内のGB/T-12006.1-2009/ISO-307:2007による相対粘度(RV)を有し得る。
【0076】
[0060]得られる分岐二重末端停止ポリアミド組成物は、230FAV、235FAV、240FAVのような小さい値、900FAV、925FAV、950FAVのような大きい値、或いは230FAV~260FAVのような前述の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の比較的高いASTM-D789によるギ酸粘度(FAV)を有し得る
。例えば、得られる分岐二末端停止ポリアミド組成物は、約250FAVのギ酸粘度を有する。
【0077】
[0061]分岐二重末端停止ポリアミド組成物は、190℃、195℃、200℃、205℃のような低い値、210℃、215℃、220℃のような高い値、或いは190℃~220℃;195℃~217℃、195℃~215℃、195℃~210℃、190℃~205℃のような前述の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の融点を有し得る。
【0078】
[0062]分岐二重末端停止ポリアミド組成物は、例えば示差走査熱量測定(DSC)によって求めて、160℃、162℃、165℃のような低い値、170℃、175℃、180℃のような高い値、或いは166℃~173℃のような前述の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の結晶化温度(Tcc)を有し得る。
【0079】
[0063]得られる分岐二重末端停止ポリアミド組成物は、比較的高いクリープ回復率を有し得る。クリープ回復率は、1.0%、2.5%、5.0%のような小さい値、7.0%、8.5%、10.0%のような大きい値、或いは2.5%~5.0%のような前述の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内であってよい。得られる分岐二重末端停止ポリアミド組成物は、4.1%のクリープ回復率を有し得る。
【0080】
[0064]本明細書で議論するポリアミド組成物は、材料の中でもとりわけ繊維及びフィラメントを形成するために使用することができる。本発明による繊維及びフィラメントは、ポリアミド-6(PA-6)、ポリアミド-6,6(PA-66)、ポリアミド-6/6,6(PA-666)、ポリアミド-4,6(PA-46)、ポリアミド-6,10(PA-610)、ポリアミド-12,12(PA-1212)、並びにそれらの混合物及びコポリマーなどのポリアミド二重末端停止分岐ポリアミドから形成することができる。
【0081】
[0065]本明細書で使用される「前述の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内」という語句は、文字通り、値がリストの下位部分にあるか、又はリストの上位部分にあるかにかかわらず、そのような語句の前にリストされた値の任意の2つから任意の範囲を選択することができることを意味する。例えば、一対の値は、2つのより低い値、2つのより高い値、又はより低い値とより高い値から選択することができる。
【実施例0082】
実施例1-種々のポリアミド材料の複素粘度:
[0066]
図1を参照すると、下記の表1に示す化合物のレオロジー熱安定性を示すグラフが示されている。
【0083】
【0084】
[0067]表1の分岐二重末端停止組成物は、分岐コモノマー(ダイマー酸又はダイマージアミン)、化学量論的当量の対応するアミン又は酸、カプロラクタム、及びカルボキシル又はアミン末端基を末端停止するための2種類の別個の末端停止剤の群を添加することによって調製した。
【0085】
[0068]比較例1~3及び実施例1を、245℃、0.1ラジアン/秒、及び1.25%の歪みにおいて30分間、時間掃引を用いてそれらのレオロジー特性について試験した。TA Instruments Discovery HR-2 Hybrid Rheometerにおいてパラレルプレートレオロジー測定を行い、約1グラムの試料を、ローター間のギャップを1mmに調節して25mmローターの間に配置した。
【0086】
[0069]
図1に示されるように、比較例3及び実施例1は両方とも、長い時間比較的安定な粘度(長い時間にわたる複素粘度の限定された増加)を示した。比較すると、比較例1及び比較例2の曲線は、同じ時間にわたって複素粘度の約50%の上昇を示す。いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、反応中に連鎖調節剤を存在させると分子量成長(これはより高い粘度に寄与する)のための反応時間が増加する傾向があるので、末端停止ポリマーは複素粘度のより大きな安定性を示すと考えられる。したがって、比較例3及び実施例1は、他の化合物よりも高い溶融強度を示す。
【0087】
実施例2-カプロラクタムと20%ダイマージアミンの重合:
[0070]下記の表2に列挙する実施例2に関するポリアミド組成物を調製するために、AdvanSix Resins & Chemicals LLCによって製造されている154グラムの商業フレークグ
レードのカプロラクタム、36グラムのダイマージアミン、及び9.66グラムのアジピン酸を、タービン型インペラを備えた600mLのParr反応器中に充填した。0.12mLの5%次亜リン酸ストック溶液(30ppm)を、重縮合触媒として添加した。反応器を窒素でパージし、28インチの真空を適用した。内容物をゆっくりと230℃に加熱して反応を開始し、撹拌を300rpmで維持した。
【0088】
[0071]混合物を230℃で維持し、周期的な減圧を適用して、重合時間(4.5時間であった)中に内容物を28インチ下に保持した。この時間間隔の終了時に、反応器の内容物を260℃に加熱し、その後、反応混合物を排出し、回収した。
【0089】
[0072]浸出及び乾燥した後、ASTM-D789の方法に従って、ギ酸中の溶液粘度を求めた。
実施例3~9:
[0073]表2に列挙し、下記に記載する実施例3~9のポリアミド組成物を調製するために、異なるカプロラクタム:ダイマー酸の比を有するカプロラクタム及びダイマーアミンの一連のポリマーを、実施例2で使用されたものと同じ装置を使用して製造した。
【0090】
実施例3:
[0074]実施例3のポリアミド組成物については、24グラムのダイマージアミン、6.44グラムのアジピン酸、及び170グラムのカプロラクタムを反応器に添加した。
【0091】
実施例4:
[0075]実施例4のポリアミド組成物の調製は、408グラムのアジピン酸、6170グラムのカプロラクタム、及び2グラムの脱イオン水で希釈した0.20グラムの次亜リン酸を反応器に添加することを含んでいた。。次に、内容物を80グラムの脱イオン水でフラッシュし、反応器及びその内容物を窒素で加圧し、密封し、260℃に加熱した。次いで、反応器の温度が175℃に達したら混合物を撹拌した。圧力が安定したら、圧力を大気に放出し、窒素を反応器上にスイープした。トルクが安定した後、反応を更に4時間続けた。
【0092】
[0076]次に、反応器の内容物を水浴中に投入して空にした。次に、得られた12ポンドのポリマー片を、125℃の圧力鍋中で4ガロンの脱イオン水を用いて洗浄し、濾過した。このプロセスを3回繰り返し、得られたポリマーを、真空オーブン中80℃及び29インチの真空において3日間乾燥させた後、回収した。カルボキシル含量は、下記の滴定手順によって521meq/kgであることが確認された。
【0093】
[0077]次いで、ダイマーアミンを、前の工程から形成されたポリアミドプレポリマーに添加した。具体的には、次に、206meq/kgのアミン価を有する12gのダイマーアミンを88gのポリアミドプレポリマーに添加し、タービン型インペラーを備えた600mL反応器中に充填した。0.12mLの5%次亜リン酸ストック溶液(30ppm)を重縮合触媒として反応器に添加し、反応器を窒素及び-28インチの真空でパージした。次いで、反応器の内容物をゆっくりと230℃に加熱して反応を開始した。内容物はまた、300rpmで混合し、230℃に維持した。周期的な真空を適用して内容物を28インチの真空下に保ち、重合を合計で4.5時間継続させた。この時間間隔の終了時に、反応器の内容物を260℃に加熱し、その後、反応混合物を排出し、回収した。
【0094】
実施例5:
[0078]実施例5のポリアミド組成物は、24グラムのダイマー酸及び5.11グラムのヘキサメチレンジアミンを171グラムのカプロラクタムと混合したことを除いて実施例2と同様に調製した。
【0095】
実施例6:
[0079]実施例6のポリアミド組成物については、反応器充填物は実施例3と同じであったが、3グラムのシクロヘキシルアミン及び8.5グラムの酢酸を添加して、それぞれ酸及びアミン末端と部分的に反応させた。
【0096】
実施例7:
[0080]実施例7のポリアミド組成物は、200グラムのカプロラクタム、12mgの次亜リン酸、及び3グラムの加水分解水を用いて調製した。この実施例では、反応器の内容物を窒素で加圧し、230℃に加熱した。反応をこれらの条件において4時間維持した。4時間後、圧力を反応器から解放し、反応器を260℃に加熱した。次いで、反応器の内容物を反応器中に1時間保持した後、最終生成物を試験のために回収した。
【0097】
実施例8:
[0081]実施例8のポリアミド組成物は、12グラムのダイマージアミン1075、及び3.12グラムのアジピン酸を185グラムのカプロラクタムと混合したことを除いて実施例3と同様に調製した。0.1グラムのイソフタル酸も混合物中に含ませた。
【0098】
実施例9:
[0082]実施例9のポリアミド組成物は、195.4グラムのカプロラクタムに加えて、3.6グラムのダイマージアミン及び0.97グラムのアジピン酸を添加することによって調製した。
【0099】
[0083]上記のすべての試料(実施例3~9)を、それぞれの調製後、100℃で3時間浸出し、試験前に90℃で48時間真空オーブン乾燥した。かかる試験の結果を下記の表2に示す。
【0100】
【0101】
[0084]それぞれの実施例の組成物の6mgの試料について、TA Qシリーズ示差走査熱量計(DSC)を使用して、10℃/分の加熱速度で265℃まで加熱し、続いて170℃まで急冷し、30分間保持することによって熱分析を行った。それぞれの試料に関する融点(Tm)、結晶化温度(Tcc)、及び等温結晶化温度(t1/2)を表2に与える。
【0102】
[0085]それぞれのコポリマーの融点は、ASTM-D3418に従って示差走査熱量測定を用いて求めた。その結果を上表2に与える。表2に示すように、実施例6は、実施例
7又は比較例4よりも低い融点を示す一方で、実施例3~5に関するものと同等の融点を示した。更に、それぞれのコポリマーの融点は、より多量のダイマーアミンが添加されるにつれて低下する。
【0103】
[0086]試料はまた、特別の方法によってそれらの酸含量を求めるために滴定した。それぞれの試料は、0.4gの材料を70mLのベンジルアルコール中に溶解し、撹拌しながら約200℃に加熱することによって3連で調製した。次いで、電位差自動滴定装置(例えば、Tiamo 2.4ソフトウェアを備えたMetrohm 855 Robotic Titrosampler)を用いて、試料を標準化したメタノール中の0.014Mテトラブチルアンモニウムヒドロキシドで滴定した。ブランク試料も実験して、試料をブランク試料の酸含量に関して補正した。比較例4に関する結果は、52meq/kgであると求められた。
【0104】
[0087]試料のパラレルプレート粘度データも、下表3に示すように記録した。粘度データは、ギ酸粘度(FAV)、貯蔵弾性率(G’)、及びクリープ回復率(%)などの測定基準を含む。試験条件は下記の通りであった:50パスカル(Pa)の一定のせん断を100秒間適用し、モニターしてクリープ回復率を測定した。試験を行った温度は245℃であった。比較例4及び実施例6(表3に示す)は両方とも、アミン及びカルボキシル末端基に基づいて計算される同等の鎖長を有する。
【0105】
【0106】
[0088]表3に示すように、実施例6は、比較例と比較してより高いクリープ回復率及び貯蔵弾性率(G’)を示した。より高いクリープ回復率及び貯蔵弾性率は、一般に、より高い溶融強度及びより良好な伸長性を示す。更に、全体的により高いクリープ回復率は、一般により大きな溶融弾性を示す。このように、実施例6の分岐二重末端停止ポリアミド組成物は、その非分岐類似体よりも大きな溶融強度及び伸長性を示した。
【0107】
実施例10-種々のポリアミド材料の複素粘度:
[0089]ここで
図2を参照すると、下記の表4に示す化合物の複素粘度vs振動数の曲線を示すグラフが示されている。
【0108】
【0109】
[0090]表4の組成物は、分岐コモノマー(ダイマー酸又はダイマーアミン)、化学量論的当量のアミン又は酸、カプロラクタム、及びカルボキシル又はアミン末端を末端停止するための2種類の末端停止剤の群を添加することによって調製した。
【0110】
[0091]比較例5~7及び実施例1を、245℃、0.1ラジアン/秒、及び1.25%の歪みにおいて30分間、時間掃引を用いて試験した。TA Instruments Discovery HR-2 Hybrid Rheometerにおいてパラレルプレートレオロジー測定を行い、4~5gの試料を、ローター間のギャップを1mmに調節して25mmのローターの間に配置した。
【0111】
[0092]次に、比較例5~7及び実施例1の複素粘度を、
図2に示すように比較した。
図2は、二重末端停止分岐ポリアミド(実施例1)の振動数vs複素粘度を、ポリアミド6対照試料(比較例5、AdvanSix Resins & Chemicals LLC製)、非末端停止ポリアミド(2
%ダイマー酸)(比較例6)、及び二重末端停止ポリアミド6(比較例7、MBMグレード、AdvanSix Resins & Chemicals LLC製)と共に示す。
図2は、分岐類似体の粘度が、
それらの非分岐の類似体と比較して、振動数に依存していることを示す。低振動数においては、実施例1がより高い複素粘度を示す。しかしながら、振動数が増加するにつれて、実施例1の複素粘度は約20ラジアン/秒及びより高い振動数において交差し、実施例1は、より低い複素粘度を示す。
【0112】
[0093]更に、分岐の長さ及び分布は、それらの絡み合う能力に影響を及ぼし得る。ポリアミド組成物の分岐が十分に長く、良好に分布している場合、複素粘度は、より低い振動数において、同等の分子量の対応する非分岐の類似体のものよりも高くなる。
【0113】
[0094]本発明を例示的なデザインに関して記載したが、本発明は本発明の精神及び範囲内で更に修正することができる。更に、本出願は、本発明が関係する技術分野における公知又は慣例的な実施の範囲内にあるような本発明からの逸脱をカバーすると意図される。
前記分岐末端停止ポリアミド組成物が、15ミリモル/kg乃至40ミリモル/kgのアミン末端基濃度を有し、15ミリモル/kg乃至40ミリモル/kgのカルボキシル末端基濃度を有する、請求項1に記載の方法。
前記分岐末端停止ポリアミド組成物が、GB/T-12006.1-2009/ISO-307:2007によって求めて2.4RV乃至7.0RVの相対粘度を有する、請求項1又は2に記載の方法。
前記分岐末端停止ポリアミド組成物が、GB/T-12006.1-2009/ISO-307:2007によって求めて4.0RV乃至7.0RVの相対粘度を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
前記分岐末端停止ポリアミド組成物が、ASTM-D789によって求めて230FAV乃至260FAVのギ酸粘度を有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
前記分岐末端停止ポリアミド組成物が、4.0RV乃至7.0RVの相対粘度、及びASTM-D789によって求めて230FAV乃至260FAVのギ酸粘度を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。