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特開2023-117841温水機器の遠隔管理システム及び遠隔管理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117841
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】温水機器の遠隔管理システム及び遠隔管理装置
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20230817BHJP
【FI】
H04Q9/00 311J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020623
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】峠田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】橋本 貴仁
(72)【発明者】
【氏名】桂川 裕幸
【テーマコード(参考)】
5K048
【Fターム(参考)】
5K048BA14
5K048DC01
5K048EB02
5K048EB12
5K048FC03
5K048GC03
5K048HA01
5K048HA02
5K048HA03
(57)【要約】
【課題】遠隔管理装置及び温水機器が中継装置を介して通信する遠隔管理システムにおいて、温水機器及び中継装置の組み合わせに応じて適切なデータ収集を実行する。
【解決手段】サーバ250は、中継装置150の通信能力に係る情報に基づいて、給湯器100から収集可能な状態データの全項目のうちの少なくとも一部の項目を、収集対象として決定し、収集対象とされた状態データを収集するための出力要求を中継装置150に出力する。出力要求は、中継装置150に一時的に蓄積可能なデータ上限容量を超えない範囲内で複数項目を指定する態様で、データ収集周期毎に1回または複数回生成される。中継装置150は、サーバ250からの出力要求によって指定された複数項目の状態データを給湯器100から順次収集して一時的に蓄積するとともに、蓄積した複数項目の状態データをサーバ250に送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水機器の遠隔管理システムであって、
前記温水機器の状態データを収集するための遠隔管理装置と、
前記温水機器及び前記遠隔管理装置の間の通信を中継する中継装置とを備え、
前記遠隔管理装置は、
前記温水機器から取得した情報に基づいて収集可能な状態データの全項目を特定するための手段と、
前記中継装置及び前記温水機器の間の通信能力に係る情報を取得する手段と、
予め定められたデータ収集周期毎に、前記通信能力に係る情報に基づいて前記全項目のうちの少なくとも一部の項目の状態データを収集対象として決定する手段と、
前記収集対象とされた状態データを収集するための、前記状態データの出力要求を前記中継装置に出力する手段とを含み、
前記出力要求は、前記中継装置に一時的に蓄積可能なデータ上限容量を超えない範囲内で複数個の項目を指定する態様で、前記データ収集周期毎に1回または複数回生成され、
前記中継装置は、前記出力要求に応答して、前記出力要求によって指定された前記複数個の項目の状態データの各々を前記温水機器から順次収集して一時的に蓄積するとともに、蓄積した前記複数個の項目の状態データを前記遠隔管理装置に送信する、温水機器の遠隔管理システム。
【請求項2】
前記遠隔管理装置は、前記中継装置によって前記全項目の状態データを一時的に蓄積するための容量が前記データ上限容量を超えない場合には、前記データ収集周期毎に、前記全項目の状態データを指定する前記出力要求を1回生成する、請求項1記載の遠隔管理システム。
【請求項3】
前記通信能力に係る情報は、前記中継装置が前記データ上限容量に相当する項目数の前記状態データを前記温水機器から収集するのに要する第1の時間を含み、
前記遠隔管理装置は、
前記第1の時間に基づいて、各前記データ収集周期における前記中継装置による前記温水機器からのデータ収集の上限回数を決定する手段を更に含み、
前記遠隔管理装置は、前記上限回数の前記データ収集によって前記中継装置が前記温水機器から前記全項目の状態データを取得できる場合には、前記全項目の状態データのうちの一部ずつを指定する態様で、前記出力要求を複数回生成する、請求項1記載の温水機器の遠隔管理システム。
【請求項4】
前記通信能力に係る情報は、前記中継装置が前記データ上限容量に相当する項目数の前記状態データを前記温水機器から収集するのに要する第1の時間を含み、
前記遠隔管理装置は、
前記第1の時間に基づいて、各前記データ収集周期における前記中継装置による前記温水機器からのデータ収集の上限回数を決定する手段を更に含み、
前記遠隔管理装置は、前記上限回数の前記データ収集によって前記中継装置が前記温水機器から前記全項目の状態データを取得できない場合には、予め定められた優先順位に従って前記全項目の状態データのうちの一部の項目の状態データを収集対象から削除し、かつ、削除されなかった項目の状態データを前記収集対象とするための前記出力要求を、前記削除されなかった項目の全部を指定する態様で1回、又は、前記削除されなかった項目の一部ずつを指定する態様で複数回生成する、請求項1記載の温水機器の遠隔管理システム。
【請求項5】
前記温水機器から取得した情報は、前記温水機器の機種情報と、前記温水機器の現在の制御ソフトウェアのバージョン情報とを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の温水機器の遠隔管理システム。
【請求項6】
中継装置を介して温水機器と通信する、温水機器の遠隔管理装置であって、
前記温水機器から取得した情報に基づいて、前記温水機器から収集可能な状態データの全項目を特定するための手段と、
前記中継装置及び前記温水機器の間の通信能力に係る情報を取得する手段と、
予め定められたデータ収集周期毎に、前記通信能力に係る情報に基づいて前記全項目のうちの少なくとも一部の項目の状態データを収集対象として決定する手段と、
前記収集対象とされた状態データを収集するための、前記状態データの出力要求を前記中継装置に出力する手段とを備え、
前記出力要求は、前記中継装置に一時的に蓄積可能なデータ上限容量を超えない範囲内で複数個の項目を指定する態様で、前記データ収集周期毎に1回または複数回生成され、
前記中継装置は、前記出力要求に応答して、前記出力要求によって指定された前記複数個の項目の前記状態データの各々を前記温水機器から順次収集して一時的に蓄積するとともに、蓄積した前記複数個の項目の状態データを前記遠隔管理装置に送信する様に動作する、温水機器の遠隔管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水機器の遠隔管理システム及び遠隔管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭内の機器をインターネット等の通信網を介して上位サーバによって監視する遠隔監視制御システムが、特許第4595438号公報(特許文献1)に記載されている。
【0003】
特許文献1には、住宅毎に配置された機器監視制御装置が、ローカルエリアネットワークを介して複数の機器を監視及び/又は制御するとともに、当該複数の機器の情報及びデータを、インターネット等の通信ネットワークを介して機器監視制御装置からセンタサーバに通信する構成の遠隔監視制御システムが記載されている。
【0004】
更に、特許文献1には、特定の事象が生じた場合に、センタサーバが、機器監視制御装置との間の単位時間当たりの通信量を変更することが記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4595438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
給湯器に代表される温水機器に対しても同様に、インターネット等の通信網を介した通信接続を用いて、サーバ等の管理装置によって管理するシステムが適用される。例えば、給湯器の運転時の状態データを定期的に送信してサーバに代表される遠隔管理装置(以下、単に「サーバ」とも称する)で蓄積することで、当該給湯器のユーザに対するサービスに活用することができる。
【0007】
この際に、給湯器の状態データが、中継装置(通信アダプタ)を介してサーバへ送信される構成では、給湯器及び中継装置間の通信速度が比較的低いため、一定量のデータを中継装置に一時的に蓄積し、蓄積後にサーバへ送信するという通信態様が一般的である。このため、中継装置の通信能力、具体的には、一時的に蓄積可能なデータ上限容量、及び、給湯器との間の通信速度に依存して、サーバに送信可能な状態データの量(項目数)が制限を受けることが懸念される。
【0008】
一方、給湯器側で取得可能な状態データは、給湯器の機種及び制御ソフトウェアに依存して異なってくる。このため、配設後の給湯器に対して、制御ソフトウェアのバージョンアップが行われると、取得可能な状態データの項目が増える一方で、中継装置の通信制約により、サーバから要求された状態データの全項目をサーバへ送信することが困難となるケースの発生が懸念される。
【0009】
当該ケースでは、中継装置の通信能力の制約下で結果的に取得可能であったデータ項目のみがサーバ側で収集されることになると、サーバ側で想定していたデータを収集できなかった結果、ユーザへのサービス提供が不十分となる等の問題点が生じる虞がある。
【0010】
本発明はこの様な問題点を解決するためになされたものであって、遠隔管理装置及び温水機器が中継装置を介して通信する遠隔管理システムにおいて、温水機器及び中継装置の組み合わせに応じて適切なデータ収集を実行することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のある局面では、温水機器の遠隔管理システムが提供される。遠隔管理システムは、温水機器の状態データを収集するための遠隔管理装置と、中継装置とを備える。中継装置は、温水機器及び遠隔管理装置の間の通信を中継する。遠隔管理装置は、温水機器から取得した情報に基づいて収集可能な状態データの全項目を特定するための手段と、中継装置及び温水機器の間の通信能力に係る情報を取得する手段と、予め定められたデータ収集周期毎に、通信能力に係る情報に基づいて全項目のうちの少なくとも一部の項目の状態データを収集対象として決定する手段と、収集対象とされた状態データを収集するための、状態データの出力要求を中継装置に出力する手段とを含む。出力要求は、中継装置に一時的に蓄積可能なデータ上限容量を超えない範囲内で複数個の項目を指定する態様で、データ収集周期毎に1回または複数回生成される。中継装置は、出力要求に応答して、出力要求によって指定された複数個の項目の状態データの各々を温水機器から順次収集して一時的に蓄積するとともに、蓄積した複数個の項目の状態データを遠隔管理装置に送信する。
【0012】
本発明の他のある局面では、温水機器の遠隔管理装置が提供される。温水機器及び遠隔監視装置は、中継装置を介して通信する。遠隔管理装置は、温水機器から取得した情報に基づいて、温水機器から収集可能な状態データの全項目を特定するための手段と、中継装置及び温水機器の間の通信能力に係る情報を取得する手段と、予め定められたデータ収集周期毎に、通信能力に係る情報に基づいて全項目のうちの少なくとも一部の項目の状態データを収集対象として決定する手段と、収集対象とされた状態データを収集するための、状態データの出力要求を中継装置に出力する手段とを備える。出力要求は、中継装置に一時的に蓄積可能なデータ上限容量を超えない範囲内で複数個の項目を指定する態様で、データ収集周期毎に1回または複数回生成される。中継装置は、出力要求に応答して、出力要求によって指定された複数個の項目の状態データの各々を温水機器から順次収集して一時的に蓄積するとともに、蓄積した複数個の項目の状態データを遠隔管理装置に送信する様に動作する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、遠隔管理装置及び温水機器が中継装置を介して通信する遠隔管理システムにおいて、温水機器及び中継装置の組み合わせに応じて適切なデータ収集を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施の形態に係る温水機器の遠隔管理システムの構成例を示す概略図である。
図2図1に示された給湯器の構成例を説明する概略図である。
図3図1に示されたサーバの概略構成の一例を説明するブロック図である。
図4図1に示された通信アダプタの構成例を説明するブロック図である。
図5】サーバによる給湯器の状態データを収集する際の通信態様を説明する概念図である。
図6】収集対象となる状態データの項目数の増加と通信アダプタによる通信所要時間との関係を説明する概念図である。
図7】本実施の形態に係る給湯器の遠隔管理システムにおけるサーバによる給湯器の状態データの送信要求制御を説明するフローチャートである。
図8】サーバによる給湯器の状態データの収集処理の一例を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る温水機器の遠隔管理システムの構成例を示す概略図である。
【0017】
図1を参照して、本実施の形態に係る温水機器の遠隔管理システム5は、給湯システム200と、インターフェイス機器220と、外部通信網240と、サーバ250とを備える。
【0018】
給湯システム200は、「温水機器」の代表例として示される給湯器100と、リモートコントローラ(以下、単に「リモコン」とも表記する)120,130と、「中継装置」の一例である通信アダプタ150とを含む。給湯器100の内部には、給湯器100を駆動及び制御するためのコントローラ110が搭載される。
【0019】
給湯器100(コントローラ110)、及び、リモコン120,130の間は、通信線(例えば、2心通信線)101によって接続される。リモコン120,130は、表示部121,131、及び、入力部122,132を有する。ユーザは、表示部121,131による表示画面に従って入力部122,132を操作することにより、運転スイッチのオンオフ、ふろ湯張り運転の実行、並びに、ふろ設定温度及び給湯設定温度の設定等が可能である。
【0020】
例えば、リモコン120は浴室に配設することができる。又、リモコン130は台所に配設することができる。このように、リモコン120,130を用いて、ユーザは、給湯器100の各機能について、種々の設定を行うことができる。
【0021】
通信アダプタ150は、インターフェイス機器220との間で所定の通信プロトコル(例えばIEEE802.11n等)で通信するための無線通信機能を有する。図1の例では、通信アダプタ150は、リモコン130に内蔵されるが、リモコン120,130の外部に配置されてもよい。
【0022】
インターフェイス機器220は、リモコン120,130を含む一定範囲内に存在する機器を、外部通信網240を介してサーバ250に通信接続する機能を有する。例えば、インターフェイス機器220は、いわゆる、無線LAN(Local Area Network)ルータによって構成することができる。又、外部通信網240は、代表的には、インターネットである。以下では、外部通信網240を、単に、インターネット240とも称する。
【0023】
尚、インターフェイス機器220としては、無線LANルータに代えて有線LANルータを用いることも可能である。この場合には、通信アダプタ150は、有線LANルータとの間で所定の通信プロトコル(例えば、Ethernet規格のIEEE802.3等)で通信するように構成することができる。
【0024】
サーバ250は、インターネット240に接続されて、給湯器100に対する遠隔制御(遠隔操作及び遠隔監視)を管理するための「遠隔管理装置」の機能を有する。通信アダプタ150は、無線通信によってインターフェイス機器220に通信接続されることで、インターネット240を介して、サーバ250と通信することができる。これにより、遠隔管理システム5では、給湯器100(コントローラ110)は、通信アダプタ150を「中継装置」として、サーバ250と通信接続される。
【0025】
尚、サーバ250に対しては、スマートフォン又はタブレット端末等の携帯端末装置230から通信接続することも可能である。携帯端末装置230がインターフェイス機器220と接続可能な範囲内に存在する場合には、無線通信によってインターフェイス機器220と接続されることにより、携帯端末装置230は、サーバ250と通信可能である。又、携帯端末装置230が宅外等にある場合には、当該携帯端末装置230は、ルータ260又は基地局270を介してインターネット240に接続することによって、サーバ250と通信することができる。ユーザは、リモコン120,130の操作の他、携帯端末装置230を用いて、インターフェイス機器220と接続可能な範囲の内部及び外部の両方において、サーバ250とアクセスすることによって、給湯器100に対する遠隔制御(遠隔操作及び遠隔監視)を行うことも可能である。
【0026】
給湯器100(コントローラ110)、リモコン120,130、及び、通信アダプタ150の各々には、当該各機器の動作を制御するためのソフトウェア(以下、「ファームウェア(F/W)」とも称する)が格納される。ファームウェアは、工場出荷時の段階で、当該時点でのバージョンのものが書き込まれるとともに、サーバ250からの配信によって、或いは、コントローラ110に対するプログラム更新用機器の接続により、異なるバージョンのファームウェアに書き換えることができる。
【0027】
図2には、図1に示された給湯器の構成例が示される。
【0028】
図2を参照して、給湯器100は、構成機器を格納する筐体11と、入水配管21と、出湯配管22と、バイパス配管23と、一次熱交換器31と、二次熱交換器32と、バーナ35と、注湯配管36と、送風ファン37と、注湯開閉弁38と、コントローラ110とを備える。
【0029】
送風ファン37は、バーナ35に対して燃焼用空気を供給する。送風ファン37からの送風量は、ファン回転数に応じて決まる。バーナ35は、図示しない燃料供給系から流量調整弁を経由した燃料ガスの供給を受けて、燃焼作動するように構成される。一次熱交換器31は、バーナ35の燃焼ガスの顕熱(燃焼熱)により、通流する湯水を熱交換によって加熱する。二次熱交換器32は、バーナ35からの燃焼排ガスの潜熱によって、通流する湯水を熱交換によって加熱する。
【0030】
入水配管21は、入水口20と、二次熱交換器32の一端(入力側)との間に接続される。二次熱交換器32の他端(出力側)は、一次熱交換器31の一端(入力側)と接続され、出湯配管22は、一次熱交換器31の他端(出力側)と、給湯栓(図示せず)と接続された出湯口25との間に接続される。給湯栓が開栓されると、入水口20に対する入水圧に応じて、入水口20から、入水配管21、二次熱交換器32、一次熱交換器31、及び、出湯配管22を経て、出湯口25へ至る流路が形成される。
【0031】
これにより、入水配管21の低温水が、二次熱交換器32での加熱後、一次熱交換器31で更に加熱されることで、出湯配管22には、高温水が出力される。更に、入水配管21及び出湯配管22の間には、バイパス配管23が接続される。バイパス配管23には、バイパス配管23の流量(流量比)を制御するための流量調整弁34が介挿接続される。一次熱交換器31から出力された高温水と、バイパス配管23を経由する低温水との混合によって、給湯設定温度に従った適温の湯が、出湯口25から給湯栓(図示せず)等の給湯先へ供給される。
【0032】
出湯配管22から分岐する注湯配管36には、注湯開閉弁38が介挿接続される。注湯開閉弁38が開放されると、注湯口26から浴槽201に対して、出湯配管22の温水が出力されることで、ふろ湯張り運転が実行される。尚、浴槽201に対しては、浴槽水を循環加熱するための図示しない追焚回路が更に配置されてもよい。
【0033】
送風ファン37の駆動モータ(図示せず)には、電流センサ51x及び回転速度センサ51yが設けられて、送風ファン37の駆動電流(ファン電流)と、送風ファン37の単位時間当たりの回転数(ファン回転数)が検出される。
【0034】
入水配管21には、温度センサ52及び流量センサ53が設けられて、入水温度及び「通水流量」がそれぞれ検出される。出湯配管22には、温度センサ54及び55が設けられて、「缶体温度」及び「出湯温度」がそれぞれ検出される。尚、温度センサ54は、バイパス配管23との接続点よりも上流側に配置され、温度センサ55は、当該接続点よりも下流側に配置される。更に、筐体11の内部には、雰囲気温度(外気温度)を検出するための温度センサ56が配置される。温度センサ56の検出温度は、凍結防止制御の起動要否の判定等に用いられる。又、バーナ35からの燃焼ガスの排気路には、CO濃度を検出するためのCOセンサ58が配置される。更に、浴槽201に対して、図示は省略されるが、浴槽水の温度センサ及び水位センサが、給湯器100の内部において、図示しない追焚循環配管及びその周辺部に配置される。
【0035】
コントローラ110は、リモコン120,130に入力されたユーザ指示に従って給湯器100が動作する様に、上述した各センサを含むセンサ群の検出値を用いて、給湯器100の各構成機器の動作を制御する。コントローラ110は、代表的には、所定プログラムが予め記憶されたマイクロコンピュータを含んで構成される。
【0036】
一例として、コントローラ110は、給湯器100の運転スイッチがオンされた状態で、給湯栓の開放等に応じて、流量センサ53によって検出される通水流量が予め定められた最小作動流量(MOQ)を超えると、バーナ35の燃焼を開始(オン)する。一方で、バーナ35の燃焼がオンされている状態で、通水流量がMOQよりも低下するとバーナ35の燃焼を停止(オフ)する様に、バーナ35での燃焼オンオフは制御される。
【0037】
コントローラ110は、更に、バーナ35での燃焼オン時には、出湯温度をユーザによる給湯設定温度又はふろ設定温度に維持するための給湯温度制御を実行する。給湯温度制御は、通水流量及び入水温度からバーナ35でのガス燃焼量を算出し、当該ガス燃焼量に見合う燃焼用空気を供給するように送風ファン37の目標回転数を設定することによって実現される。
【0038】
コントローラ110は、ふろ湯張り運転においても、出湯温度を、ユーザによる浴槽水設定温度(ふろ設定温度)に一致させるための上述の給湯温度制御が実行される。更に、コントローラ110は、浴槽水の水位センサ(図示せず)の検出値に応じて、浴槽水位がユーザによるふろ設定水位に達すると、注湯開閉弁38を閉止してふろ湯張り運転を終了することができる他、浴槽水の温度センサ(図示せず)の検出値に応じて図示しない追焚回路を作動させることも可能である。
【0039】
或いは、コントローラ110は、COセンサ58の検出値に応じて燃焼を停止させ、燃焼停止後に送風ファン37を作動させるポストパージを制御することができる。
【0040】
コントローラ110に入力される各種センサの検出値、及び、ユーザ設定値、例えば、上述の入水温度、出湯温度、缶体温度、通水流量、浴槽水温度、ファン回転数、ファン電流、CO濃度、雰囲気温度(外気温度)、給湯設定温度、ふろ設定温度等の一部は、給湯器100の運転状態を示す状態データとして、給湯器100の内部に蓄積される。当該状態データは、センサ検出値を用いた演算によって求められた制御値(出力号数等)、バーナ35の燃焼が開始される毎にカウントされる燃焼回数の累計値、給湯器100の通電時間の累計値等を含んでもよい。
【0041】
図3は、サーバ250の概略構成の一例を説明するブロック図である。
【0042】
図3を参照して、サーバ250は、装置全体を制御するためのCPU(Central Processing Unit)255と、CPU255と接続された、通信ユニット256及びメモリ257と、表示部258とを含む。通信ユニット256は、インターネット240に接続された通信によって、他の機器又はサーバと通信する機能を有する。表示部258は、ディスプレイ画面によって構成される。
【0043】
メモリ257は、例えば、CPU255で実行されるプログラムを記憶するためのメモリであるROM(Read Only Memory)257a、CPU255でプログラムを実行する際の作業領域となったり計算値を記憶したりするためのメモリであるRAM(Random Access Memory)257b、及び、大型の記憶装置の一例としてのHDD(Hard Disk Drive)257cを含む。サーバ250は、一般的なコンピュータに相当する機能を有して構成することができる。サーバ250は、操作入力を受け付けるための操作部をさらに含んでもよい。通信アダプタ150を経由して収集される給湯器100の状態データは、メモリ257を用いて格納される。
【0044】
図4は、通信アダプタ150の構成例を示すブロック図である。
【0045】
図4を参照して、通信アダプタ150は、制御部151と、通信ユニット152,153と、メモリ155と、アンテナ157と、コネクタ158とを含む。コネクタ158には、図1に示された通信線101(2心通信線)が接続される。
【0046】
制御部151は、CPU151a及びインターフェイス(I/F)151bを含むマイクロコンピュータによって構成することができる。メモリ155は、ROM155a及びRAM155bを有する。ROM155aは、代表的には、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)によって構成され、通信アダプタ150のファームウェア、及び、制御に用いるデータ等を格納する。制御部151は、起動処理時において、ROM155aに格納されたファームウェアを読出してRAM155bに展開する。
【0047】
通信ユニット152は、コネクタ158に接続された通信線101を経由して、給湯器100のコントローラ110及びリモコン120,130のマイクロコンピュータ(図示せず)との間で双方向にデータを送受信することによって情報を授受できるように構成される。
【0048】
通信ユニット153は、アンテナ157を経由した無線通信によって、インターフェイス機器220(無線LANルータ)との間で双方向にデータを送受信するように構成される。これより、通信ユニット153は、インターフェイス機器220及びインターネット240を経由して、サーバ250の通信ユニット256との間でデータを送受信することができる。
【0049】
これにより、本実施の形態に係る遠隔管理システム5では、給湯器100の状態データを定期的にサーバ250へ送信することで、サーバ250による給湯器100の状態データの収集が可能となる。給湯器100側で取得可能な状態データは、給湯器100の機種、及び、給湯器100を制御するソフトウェア(ファームウェア)のバージョンによって決まる。
【0050】
図5には、サーバ250による給湯器100の状態データを収集する際の通信態様を説明する概念図が示される。
【0051】
サーバ250によるデータ収集のために、サーバ250から通信アダプタ150に対して、状態データの項目(データ項目)を指定したデータリストDLSTの出力要求が送信される。通信アダプタ150は、サーバ250からの当該出力要求に基づいて、給湯器100(コントローラ110)に対してデータ出力要求を送信する。給湯器100は、データ出力要求で指定された項目の状態データを通信アダプタ150に対して出力する。
【0052】
図5の例では、サーバ250から指定されたデータ項目に対応するK個(K:2以上の整数)の項目の状態データDT1~DTKが、給湯器100から通信アダプタ150に順次出力される。更に、通信アダプタ150が、給湯器100から出力された状態データを中継してサーバ250へ出力することで、サーバ250は、要求されたデータ項目に対応した給湯器100の状態データを定期的に収集することができる。
【0053】
この様な通信アダプタ150を経由した、給湯器100及びサーバ250の間の双方向のデータ通信では、通信ユニット153によるサーバ250との間の通信が高速である一方で、通信ユニット152による給湯器100との間の通信速度が低いことが多い。
【0054】
このため、図5の例では、給湯器100から低速で送信された状態データDT1~DTKを通信アダプタ150内のメモリ155によって一時的に蓄積する。そして、状態データDT1~DTKの全てが通信アダプタ150に蓄積されると、状態データDT1~DTKを含むデータリストDLSTが、通信アダプタ150からサーバ250へ高速で送信される。これにより、サーバ250による給湯器100の状態データDT1~DTKの収集が実現される。
【0055】
この際に、通信アダプタ150では、一時的に状態データを蓄積可能なメモリ上限容量によって、サーバ250が収集可能なデータ量(データ項目数)が制約を受ける。従って、通信アダプタ150には、当該メモリ容量で蓄積可能な上限データ量を給湯器100から取得するための通信所要時間に相当する、状態データの通信上限時間Txが存在することになる。通信上限時間Txは、上述の上限データ上限容量と、給湯器100及び通信アダプタ150間での通信速度によって決まる。
【0056】
給湯器100及び通信アダプタ150を含む給湯システム200の工場出荷時には、給湯器100の機種及びファームウェアのバージョンと、通信アダプタ150の能力とを均衡させて、サーバ250で収集される状態データについての給湯器100から通信アダプタ150への通信所要時間が、通信アダプタ150の通信上限時間Tx以下となる様に設計することができる。そして、サーバ250は、予め定められたデータ収集周期Tc(例えば、1時間程度)毎に、状態データDT1~DTK(データ項目数K)を含むデータリストDLSTの出力要求を通信アダプタ150に送信することによって、状態データDT1~DTKを収集してメモリ257に蓄積することができる。
【0057】
一方で、上述の様に、給湯器100のファームウェアの更新によって制御機能が追加されると、給湯器100から収集可能な、或いは、収集すべき状態データの項目数が増加するケースがある。
【0058】
図6には、収集対象となる状態データの項目数の増加と通信アダプタによる通信所要時間との関係の一例が示される。
【0059】
図6の例では、サーバ250での収集対象となる状態データの項目数が、図5に示されたK個からL個(L:L>Kの整数)に増加する。そして、当該L個の項目の状態データを給湯器100から通信アダプタ150へ送信するための通信所要時間が、通信アダプタ150による状態データの通信上限時間Txを超えてしまう。
【0060】
この結果、サーバ250では、図5の例に従って状態データを収集すると、通信アダプタ150に対して要求したデータ項目のうちの一部しか実際には取得できないことが懸念される。これにより、ユーザサービスのための解析に必要なデータ項目の一部しか収集できないことでサービス提供が不十分となる等、状態データの収集を適切に行えないことで、遠隔管理システムの商品性が低下する虞がある。従って、本実施の形態に係る給湯器の遠隔管理システム5では、以下に説明する様に、サーバ250による状態データの送信要求制御が実行される。
【0061】
図7には、本実施の形態に係る給湯器の遠隔管理システムにおけるサーバによる給湯器の状態データの送信要求制御を説明するフローチャートが示される。
【0062】
図7を参照して、サーバ250は、ステップ(以下、単に「S」と表記する)41において、データ収集先である給湯器100の情報(給湯器情報)から、給湯器100から取得可能な状態データの全項目を特定する。即ち、給湯器情報は、給湯器100から収集することが可能であるデータ項目を特定するために必要な情報であり、給湯器100の機種を示す情報と、給湯器100で現在使用されている制御ソフトウェア(ファームウェア)のバージョン情報とを含む。
【0063】
給湯器100からの状態データが、通信アダプタ150(中継装置)を介してサーバ250へ送信される構成では、給湯器100及び通信アダプタ150間の通信速度が比較的低いため、一定量のデータを通信アダプタ150に一時的に蓄積し、蓄積後にサーバ250へ送信するという通信態様が一般的である。このため、通信アダプタ150の通信能力、具体的には、一時的に蓄積可能なデータ上限容量、及び、給湯器100との間の通信速度に依存して、サーバ250に送信可能な状態データの量(項目数)が制限を受けることが懸念される。そこで、以下のような処理によって、サーバ250は、給湯器100の状態データを収集するデータリストなどを決定する。
【0064】
サーバ250は、S42では、給湯器100からの状態データを一時的に蓄積する通信アダプタ150の情報(通信アダプタ情報)から、データ収集周期Tc内での通信上限回数Nxを決定する。通信アダプタ情報は、図5に示された通信上限時間Txを含む。
【0065】
通信上限回数Nxは、前後の認証処理等も含めて、通信上限時間Txを用いて給湯器100から収集された状態データをサーバ250で受信するのに要するトータルの通信所要時間によって、データ収集上限時間Tmaxを除算することで算出できる。データ収集上限時間Tmaxは、データ収集周期Tc内で、状態データの収集に割くことが可能な時間長の上限を示しており、データ収集周期Tc以下の値に予め設定することができる。アプリケーションによっては、Nx=1に固定されることも想定される。
【0066】
更に、サーバ250は、S43では、S41で特定された、給湯器100から取得可能な状態データの全項目を、通信アダプタ150によって収集するのに必要な合計通信時間Tsumを算出する。
【0067】
サーバ250は、S44では、S43で算出された合計通信時間Tsumと、S42で取得された通信アダプタ150の通信上限時間Txとを比較する。合計通信時間Tsumが通信上限時間Txを超えていないときには(S44のNO判定時)、S45により、分割無しの1回のデータリストDLSTによって状態データを収集する。このときは、図5に例示した様に、1個のデータリストDLSTによって、収集可能な状態データの全項目を収集することができる。
【0068】
サーバ250は、合計通信時間Tsumが通信上限時間Txを超えるとき(S44のYES判定時)には、S46により、通信上限時間Tx及び通信上限回数Nxの積が、合計通信時間Tsum以下の範囲内であるか否かを判定する。
【0069】
サーバ250は、Tsum≦Tx・Nxのときには(S46のYES判定)、S47に処理を進めて、N個(N≦Nx)に分割されたデータリストによって、給湯器100の状態データを収集する。
【0070】
図8には、サーバ250による給湯器100の状態データの収集処理の一例、特に、S47による分割転送が選択されたときの例を説明するシーケンス図が示される。
【0071】
図8を参照して、サーバ250は、データ収集周期Tcの経過毎に、S10により、給湯器100及び通信アダプタ150に対する情報出力要求を、通信アダプタ150へ送信する。通信アダプタ150は、当該情報出力要求を給湯器100へ転送する。当該情報出力要求に応じて、給湯器100は、給湯器情報を通信アダプタ150へ送信する。通信アダプタ150は、給湯器100から送信された給湯器情報を、サーバ250へ転送する。これに応じて、サーバ250は、S20によって、給湯器情報を取得する。
【0072】
更に、通信アダプタ150は、サーバ250からの情報出力要求に応じて、自身(当該通信アダプタ150)の通信能力情報(通信上限時間Tx含む)を含む、通信アダプタ情報をサーバ250に送信する。これに応じて、サーバ250は、S30によって、通信アダプタ情報を取得する。
【0073】
サーバ250は、S40により、状態データ送信要求制御を実行する。S40は、図7に示されたS41~S48によって構成される。S41での給湯器100から取得可能な状態データの全データ項目の特定は、S10で取得された給湯器情報を用いて実行される。同様に、S42での通信上限回数Nxの算出は、S20で取得された通信アダプタ情報を用いて実行することができる。
【0074】
S40にて、S47(図7)の分割転送処理が選択された場合には、サーバ250は、全ての状態データDT1~DTL(取得可能な全項目)を、N個のデータリストに分割して収集する。
【0075】
図5の例に従って、1個のデータリストDLSTによって、K個の項目の状態データが収集可能である場合には、サーバ250は、L個の項目の状態データDT1~DTLのうちの最初のK個の項目の状態データの出力を要求するための、1回目のデータリストDLST(1)の取得要求RqDLST(1)を、通信アダプタ150へ送信する。
【0076】
通信アダプタ150は、取得要求RqDLST(1)に含まれるK個の項目の状態データの1個ずつについて、データ出力要求DRq(1-1)~DRq(1-K)を、給湯器100に対して順次送信する。給湯器100は、通信アダプタ150からのデータ出力要求DRq(1-1)~DRq(1-K)にそれぞれ応答して、データ出力応答DRs(1-1)~DRs(1-K)を、通信アダプタ150へ順次送信する。この際に、通信アダプタ150は、データ出力要求DRqをデータ項目1個毎に生成し、各データ出力要求DRqに応答するデータ出力応答DRsが受信される毎に、次のデータ項目のデータ出力要求DRqを生成する。
【0077】
通信アダプタ150は、給湯器100から受信した各データ出力応答DRs(1-1)~DRs(1-K)によって取得された各項目の状態データを、順次、メモリ155に蓄積する。そして、通信アダプタ150は、データリストDLST(1)に含まれるK個の項目の状態データDT1~DTKが揃うと、取得要求RqDLST(1)に対する応答出力RsDLST(1)により、取得したデータリストDLST(1)をサーバ250へ送信する。
【0078】
サーバ250は、1個のデータリストの応答出力RsDLST(i)を受信すると、次のデータリストDLST(i+1)の取得要求RqDLST(i+1)を、通信アダプタ150へ送信する(i:i≦(N-1)の自然数)。通信アダプタ150では、メモリ155のうちの、データリストDLST(i)を構成するK個のデータ項目の蓄積に用いた領域に対する上書きによって、次のデータリストDLST(i+1)を構成するK個の項目の状態データを蓄積する。そして、当該K個のデータ項目が蓄積されると、取得要求RqDLST(i+1)に応答したデータリストDLST(i+1)が、通信アダプタ150からサーバ250へ送信される。
【0079】
最後のN個目のデータリストDLST(N)の取得要求RqDLST(N)が、サーバ250から通信アダプタ150へ送信されると、通信アダプタ150は、取得要求RqDLST(N)に含まれるK個のデータ項目の1個ずつについて、データ出力要求DRq(N-1)~DRq(N-K)を、給湯器100に対して順次送信する。給湯器100は、通信アダプタ150から順次送信されるデータ出力要求DRq(N-1)~DRq(N-K)にそれぞれ応答して、データ出力応答DRs(N-1)~DRs(N-K)を、通信アダプタ150へ送信する。
【0080】
通信アダプタ150は、データリストDLST(N)に含まれるK個の項目の状態データが蓄積されると、取得要求RqDLST(N)に対する応答出力RsDLST(N)により、取得したデータリストDLST(N)をサーバ250へ送信する。
【0081】
この様にして、サーバ250は、取得可能な全項目の状態データDT1~DTLを、N個のデータリストDLST(1)~DLST(N)に分割して、通信アダプタ150の通信能力に適合させて、適切に収集することができる。即ち、S46(図7)でのTsum≦Tx・Nxのケースでは、分割転送を用いることで、収集可能な全項目の状態データをサーバ250によって収集することができる。
【0082】
再び図7を参照して、Tsum>Tx・Nxのケースでは(S46のNO判定時)、収集可能な全項目の状態データが通信アダプタ150を介して収集できない。このため、サーバ250は、S48により、収集対象とするデータ項目の優先順位を判定する。サーバ250では、状態データの各項目に対して、当該優先順位が予め定められている。例えば、上述した、ふろ設定温度、給湯設定温度等のユーザ設定値等の頻繁に変化しないことが想定される状態データ、並びに、燃焼累積回数及び累積通電時間等の機器寿命への影響が大きい状態データについて、優先順位を高く設定することができる。反対に、出湯温度、浴槽水温度等の瞬時値データについては、データ収集周期Tc毎に収集する意義は比較的低いので、優先順位を低く設定することができる。
【0083】
S48では、予め定められた優先順位に従って、収集対象のデータ項目が収集可能な全項目から減少された状態で、S43と同様の合計通信時間Tsumを再計算する。そして、再計算された合計通信時間Tsumを用いて、S46の判定が再度実行される。S46が再びNO判定であるときには、再びS48に処理を進めて、上記優先順位の下で更に、収集対象のデータ項目が減少して、合計通信時間Tsumが再計算される。
【0084】
S46がYES判定となる様に、収集対象のデータ項目が決定されるまで、S46及びS48の処理を繰り返すことで、優先順位が高い順に、通信アダプタ150の通信能力上で収集可能なデータ項目を決定して、S47の分割転送処理(図8)によって、サーバ250で収集することが可能となる。
【0085】
この様に、本実施の形態に係る遠隔管理システム5によれば、通信アダプタ150での状態データの一時的な蓄積可能容量を超えない範囲内で状態データの項目数を決定した出力要求が、データ収集周期Tc毎に1回又は複数回生成される。これにより、給湯器100から取得可能な状態データの項目、及び、データ通信の中継装置(通信アダプタ150)の通信能力に適合させて、給湯器100の状態データをサーバ250で適切に収集することが可能となる。
【0086】
特に、中継装置の通信能力の制約下で、取得可能な全ての状態データのうちの一部のデータ項目しか収集できない場合にも、収集対象のデータ項目をサーバ250側で適切に判断できるので、ユーザへのサービス提供のために適切なデータ収集を実現することができる。
【0087】
又、本実施の形態では、状態データの収集対象となる給湯器100として、燃焼加熱式の給湯器を例示したが、本実施の形態の適用において、給湯器100は、このような例示に限られない。例えば、燃料電池の排熱回収又はヒートポンプ加熱による貯湯タンク式の給湯器等を給湯器100とした場合でも、当該給湯器100の状態データをサーバで収集する際に、本実施の形態を適用することが可能である。更に、温水機器としては、給湯器の他、浴槽湯水のろ過装置、又は、浴槽補給水装置等を適用することも可能であり、この場合でも、温水機器の状態データの収集に、本実施の形態を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0088】
5 遠隔管理システム、11 筐体、20 入水口、21 入水配管、22 出湯配管、23 バイパス配管、25 出湯口、26 注湯口、31 一次熱交換器、32 二次熱交換器、34 流量調整弁、35 バーナ、36 注湯配管、37 送風ファン、38 注湯開閉弁、51x 電流センサ、51y 回転速度センサ、52,54,55,56 温度センサ、53 流量センサ、58 CO(濃度)センサ、100 給湯器、101 通信線、110 コントローラ、120,130 リモコン、121,131,258 表示部、122,132 入力部、150 通信アダプタ、151 制御部、152,153,256 通信ユニット、155,257 メモリ、155a ROM、155b RAM、157 アンテナ、158 コネクタ、200 給湯システム、201 浴槽、220 インターフェイス機器、230 携帯端末装置、240 外部通信網(インターネット)、250 サーバ、260 ルータ、270 基地局、DLST,DLST(1),DLST(K) データリスト、DRq(1-1),DRq(1-K),DRq(N-1),DRq(N-K) データ出力要求、DRs(1-1),DRs(1-K),DRs(N-1),DRs(N-K) データ出力応答、DT1,DTK,DTL 状態データ、Nx 通信上限回数、RqDLST(1),RqDLST(N) 取得要求、RsDLST(1),RsDLST(N) 応答出力、Tc データ収集周期、Tmax データ収集上限時間、Tsum 合計通信時間、Tx 通信上限時間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8