(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117857
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】充電器
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20230817BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20230817BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02J7/02 J
H02J7/00 303D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020643
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】酒井 守
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503BB06
5G503CA11
5G503EA02
5G503FA03
5G503GB01
5G503GB03
5G503GD04
(57)【要約】
【課題】多様な充電形態に対応可能な充電器を提供する。
【解決手段】充電器は、少なくとも1つの給電アダプタと少なくとも1つの充電アダプタとを備える。少なくとも1つの充電アダプタは、アダプタ接続部を備える。アダプタ接続部は、少なくとも1つの給電アダプタに離脱可能に装着され、少なくとも1つの給電アダプタに電気的に接続されるように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源から第1の電力を受けて第2の電力を出力するように構成された少なくとも1つの給電アダプタと、
少なくとも1つの充電アダプタであって、
前記少なくとも1つの給電アダプタに離脱可能に装着され、前記少なくとも1つの給電アダプタに電気的かつ物理的に接続されるように構成されたアダプタ接続部と、
少なくとも1つの電池パックに離脱可能に装着され、前記少なくとも1つの電池パックに電気的に接続されるように構成された電池接続部と、
前記アダプタ接続部を介して前記第2の電力を受け、前記第2の電力を前記電池接続部への第3の電力に変換するように構成された変換部と、
を備える少なくとも1つの前記充電アダプタと
を備える充電器。
【請求項2】
請求項1に記載の充電器であって、
前記変換部は、前記電池接続部に装着された前記少なくとも1つの電池パックに、一定の充電電流及び/又は一定の充電電圧が供給されるように前記第2の電力を前記第3の電力に変換するように構成されている
充電器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の充電器であって、
前記少なくとも1つの充電アダプタは、さらに、
前記少なくとも1つの給電アダプタが挿抜されるように構成された装着スロットを備える、
充電器。
【請求項4】
請求項3に記載の充電器であって、
前記アダプタ接続部は、前記装着スロットの底面に配置されている
充電器。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の充電器であって、
前記少なくとも1つの充電アダプタは、さらに、
前記装着スロットに収納された前記少なくとも1つの給電アダプタが、前記装着スロットから脱落することを抑制するように構成された脱落抑制機構を備える
充電器。
【請求項6】
請求項3から請求項5までのいずれか1項に記載の充電器であって、
前記少なくとも1つの給電アダプタは、第1の給電アダプタと、第2の給電アダプタとを含み、
前記第1の給電アダプタ及び前記第2の給電アダプタは、互いに異なる機能を有し、
前記装着スロットは、前記第1の給電アダプタ及び前記第2の給電アダプタの双方に適合するように構成されている
充電器。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の充電器であって、
前記少なくとも1つの充電アダプタは、第1の充電アダプタと、第2の充電アダプタとを含み、
前記第1の充電アダプタ及び前記第2の充電アダプタは、前記電池パックとの接続構造が互いに異なる
充電器。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の充電器であって、
前記少なくとも1つの給電アダプタは、第3の給電アダプタと、第4の給電アダプタとを含み、
前記第3の給電アダプタ及び前記第4の給電アダプタは、前記外部電源との接続構造、及び/又は、前記アダプタ接続部との電気的な接続に用いるコネクタ部の構造が互いに異なる
充電器。
【請求項9】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の充電器であって、
前記少なくとも1つの給電アダプタは、
車両に設けられたシガーソケットに離脱可能に装着されるシガープラグを備えるプラグ付ケーブルと、
前記アダプタ接続部に離脱可能に装着され、前記プラグ付ケーブルを介して入力される前記第1の電力を、変換することなく前記第2の電力として出力する2つの専用出力端子を備えるコネクタ部と、
前記プラグ付ケーブルを取り出し可能に収納するように構成されたケーブル収納部と、
を備える充電器。
【請求項10】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の充電器であって、
前記少なくとも1つの給電アダプタは、
交流電源を提供するソケットに離脱可能に装着されるACプラグを備えるプラグ付ケーブルと、
前記プラグ付ケーブルを介して入力される前記第1の電力を、交流から直流に変換するように構成されたAC/DCコンバータと、
前記アダプタ接続部に離脱可能に装着され、前記AC/DCコンバータの出力を前記第2の電力として出力するUSB_TypeCコネクタを備えるコネクタ部と、
前記コネクタ部を介して受ける情報に従って、前記AC/DCコンバータの出力電圧を設定するように構成された制御部と、
を備える充電器。
【請求項11】
請求項8から請求項10までのいずれか1項に記載の充電器であって、
前記コネクタ部は、前記コネクタ部の中心に対して点対称な形状を備える
充電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1~3は、電動工具毎に専用の充電器を用いることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-44888号公報
【特許文献2】特許第6602944号公報
【特許文献3】特許第6177709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
充電器同士では、各々の充電能力、バッテリと接続される端子の構造、及び/又は入力電源に接続されるコネクタが異なり得る。従って、ユーザが複数種類のバッテリを充電し、かつ、複数種類の入力電源を使用する可能性がある場合には、複数種類の充電器を用意する必要があった。
【0005】
本開示の1つの局面は、多様な充電形態に対応可能な充電器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一局面における充電器は、少なくとも1つの給電アダプタと少なくとも1つの充電アダプタとを備える。少なくとも1つの給電アダプタは、外部電源から第1の電力を受けて第2の電力を出力するように構成される。少なくとも1つの充電アダプタは、アダプタ接続部と、電池接続部と、変換部とを備える。アダプタ接続部は、少なくとも1つの給電アダプタに離脱可能に装着され、少なくとも1つの給電アダプタに電気的かつ物理的に接続されるように構成される。電池接続部は、少なくとも1つの電池パックに離脱可能に装着され、少なくとも1つの電池パックに電気的に接続されるように構成される。変換部は、アダプタ接続部を介して第2の電力を受け、第2の電力を電池接続部への第3の電力に変換するように構成される。
【0007】
このような構成によれば、充電器は、外部電源の種類に応じて給電アダプタを取り換えることができると共に、電池パックの種類に応じて充電アダプタを取り換えることができる。従って、充電器は、多様な充電形態に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】充電器の外観及び使い方を示す説明図である。
【
図2】充電アダプタにおいて給電アダプタを装着する部位の構造、及び第1給電アダプタの外観を示す説明図である。
【
図3】第2給電アダプタの構造を示す説明図である。
【
図4】給電アダプタ側コネクタ構造、及び充電アダプタ側コネクタ構造を示す説明図である。
【
図6】制御ICが実行するアダプタ接続処理のフローチャートである。
【
図7】MCUが実行する給電側処理のフローチャートである。
【
図8】MCUが実行する充電側処理のフローチャートである。
【
図9】給電アダプタ側コネクタ構造、及び充電アダプタ側コネクタ構造の他の構成例を示す説明図である。
【
図10】充電器を机上に設置した例を示す説明図である。
【
図11】充電器を壁面に設置した例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態の総括]
ある実施形態における充電器は、少なくとも1つの給電アダプタを備えてもよい。少なくとも1つの給電アダプタは、外部電源から第1の電力を受けて第2の電力を出力するように構成されてもよい。加えて/あるいは、充電器は、少なくとも1つの充電アダプタを備えてもよい。
【0010】
少なくとも1つの充電アダプタは、アダプタ接続部を備えてもよい。アダプタ接続部は、少なくとも1つの給電アダプタに離脱可能に装着され、少なくとも1つの給電アダプタに電気的かつ物理的に接続されるように構成されてもよい。加えて/あるいは、少なくとも1つの充電アダプタは、電池接続部を備えてもよい。電池接続部は、少なくとも1つの電池パックに離脱可能に装着され、少なくとも1つの電池パックに電気的に接続されるように構成されてもよい。加えて/あるいは、少なくとも1つの充電アダプタは、変換部を備えてもよい。変換部は、アダプタ接続部を介して第2の電力を受け、第2の電力を電池接続部への第3の電力に変換するように構成されてもよい。
【0011】
ある実施形態における充電器は、外部電源の種類に応じて給電アダプタを取り換えることができると共に、電池パックの種類に応じて充電アダプタを取り換えることができる。従って、充電器は、多様な充電形態に対応できる。
【0012】
変換部は、電池接続部に装着された少なくとも1つの電池パックに、一定の充電電流及び/又は一定の充電電圧が供給されるように前記第2の電力を前記第3の電力に変換するように構成されてもよい。
【0013】
少なくとも1つの充電アダプタは、さらに、装着スロットを備えてもよい。装着スロットは、少なくとも1つの給電アダプタが挿抜されるように構成されてもよい。アダプタ接続部は、さらに、装着スロットの底面に配置されてもよい。
【0014】
少なくとも1つの充電アダプタは、さらに、脱落抑制機構を備えてもよい。脱落抑制機構は、装着スロットに収納された少なくとも1つの給電アダプタが、装着スロットから脱落することを抑制するように構成されてもよい。
【0015】
少なくとも1つの充電アダプタは、第1の給電アダプタと、第2の給電アダプタとを含んでもよい。第1の給電アダプタ及び第2の給電アダプタは、互いに異なる機能を有してもよい。装着スロットは、第1の給電アダプタ及び第2の給電アダプタの双方に適合するように構成されてもよい。
【0016】
少なくとも1つの充電アダプタは、第1の充電アダプタと、第2の充電アダプタとを含んでもよい。第1の充電アダプタ及び第2の充電アダプタは、電池パックとの接続構造が互いに異なっていてもよい。
【0017】
少なくとも1つの給電アダプタは、第3の給電アダプタと、第4の給電アダプタとを含んでもよい。第3の給電アダプタ及び第4の給電アダプタは、外部電源との接続構造、及び/又は、アダプタ接続部との電気的な接続に用いるコネクタ部の構造が互いに異なっていてもよい。
【0018】
ある実施形態の充電器における少なくとも1つの給電アダプタは、プラグ付ケーブルを備えてもよい。プラグ付ケーブルは、車両に設けられたシガーソケットに離脱可能に装着されるシガープラグを備えてもよい。加えて/或いは、少なくとも1つの給電アダプタは、アダプタ接続部に離脱可能に装着されるコネクタ部を備えてもよい。コネクタ部は、プラグ付ケーブルを介して入力される第1の電力を、変換することなく第2の電力として出力する2つの専用出力端子を備えるように構成されてもよい。加えて/或いは、少なくとも1つの給電アダプタは、ケーブル収納部を備えてもよい。ケーブル収納部は、プラグ付ケーブルを取り出し可能に収納するように構成されてもよい。
【0019】
ある実施形態の充電器における少なくとも1つの給電アダプタは、プラグ付ケーブルを備えてもよい。プラグ付ケーブルは、交流電源を提供するソケットに離脱可能に装着されるACプラグを備えてもよい。加えて/或いは、少なくとも1つの給電アダプタは、AC/DCコンバータを備えてもよい。AC/DCコンバータは、プラグ付ケーブルを介して入力される第1の電力を、交流から直流に変換するように構成されてもよい。加えて/或いは、少なくとも1つの給電アダプタは、コネクタ部を備えてもよい。コネクタ部は、アダプタ接続部に離脱可能に装着され、AC/DCコンバータの出力を第2の電力として出力するUSB_TypeCコネクタを備えてもよい。加えて/或いは、少なくとも一つの給電アダプタは、制御部を備えてもよい。制御部は、コネクタ部を介して受ける情報に従って、AC/DCコンバータの出力電圧を設定するように構成されてもよい。
【0020】
コネクタ部は、コネクタ部の中心に対して点対称な形状を備えてもよい。このような構成によれば、給電アダプタを充電アダプタに装着する際に、左右の向きを気にすることなる装着できる。
【0021】
ある実施形態では、上述の特徴はどのように組み合わされてもよい。ある実施形態では、上述の特徴のいずれかは、除外されてもよい。
[特定の例示的な実施形態]
以下、図面を参照しながら、本開示の特定の例示的な実施形態を説明する。
【0022】
[1.構成]
図1に示す充電器1は、電動工具等に取り付けて使用される電池パック8を充電する機器である。電池パック8は、適用される電動工具毎に、特有な着脱構造及び端子形状を備えてもよい。
【0023】
充電器1は、給電アダプタ3と、充電アダプタ5とを備える。
[1-1.給電アダプタの概要]
給電アダプタ3は、筐体(以下、給電側筐体)31と、電力入力用の給電ケーブル32と、電力出力用のコネクタ部33とを備える。
【0024】
給電アダプタ3は、電力供給元となる外部電源である適用電源に対応して複数のバリエーションが存在してもよい。給電アダプタ3の複数のバリエーションは、例えば、商用電源のコンセントを適用電源とする第1給電アダプタ3aと、車両のシガーソケットを適用電源とする第2給電アダプタ3bとを含む。
【0025】
図2に示すように、第1給電アダプタ3aは、給電側筐体31aと、電力入力用の給電ケーブル32aと、電力出力用のコネクタ部33aとを備える。
給電側筐体31aは、略長方体状の外形を有する。以下、給電側筐体31aの説明では、
図2に矢印で示すように、上下方向及び横方向を定義する。また、
図2の奥行き方向を、縦方向と定義する。
【0026】
給電側筐体31aは、筐体本体311aと、充電アダプタ接続部312aとを有する。給電側筐体31aを上下に2分した場合に、上側に位置する部位が筐体本体311aであり、下側に位置する部位が充電アダプタ接続部312aである。
【0027】
給電ケーブル32aは、筐体本体311aの横方向に位置する面の一つに取り付けられる。つまり、給電ケーブル32aは、給電側筐体31aから横方向に沿って引き出されるように取り付けられる。給電ケーブル32aは、商用電源のコンセントに離脱可能に装着されるACプラグ321aを備える。
【0028】
コネクタ部33aは、給電側筐体31aの下方に位置する筐体下面313aに取り付けられる。
図3に示すように、第2給電アダプタ3bは、給電側筐体31bと、電力入力用の給電ケーブル32bと、電力出力用のコネクタ部33bとを備える。
【0029】
給電側筐体31bは、略長方体状の外形を有する二つの部位を連結した外形を有する。以下、給電側筐体31bの説明では、
図3に矢印で示すように、上下方向及び横方向を定義する。また、
図3の奥行き方向を、縦方向と定義する。
【0030】
給電側筐体31bは、筐体本体311bと、充電アダプタ接続部312bとを有する。筐体本体311b及び充電アダプタ接続部312bは、いずれも長方体状の外形を有する。但し、充電アダプタ接続部312bは、第1給電アダプタ3aの充電アダプタ接続部312aと、同一形状かつ同一サイズを有する。筐体本体311bは、充電アダプタ接続部312bより、大きな幅方向のサイズを有する。つまり、給電側筐体31bは、筐体本体311bと充電アダプタ接続部312bとの境界に段差を有する。
【0031】
給電側筐体31bは、給電ケーブル32bを取り出し可能に収納する空間であるケーブル収納部314を備える。筐体本体311bは、給電ケーブル32bの取り出し口を有する。
【0032】
給電ケーブル32bは、シガーソケットに離脱可能に装着されるシガープラグ321bを備える。
コネクタ部33bは、充電アダプタ接続部312bの下方に位置する筐体下面313bに取り付けられる。
【0033】
以下では、第1給電アダプタ3aと第2給電アダプタ3bとを区別せずに説明する場合には、筐体本体311、充電アダプタ接続部312、筐体下面313、コネクタ部33等のように記す。
【0034】
図2及び
図3に示すように、充電アダプタ接続部312は、給電側マグネット34を備える。給電側マグネット34は、コネクタ部33を挟んだ両側に配置される。給電側マグネット34は、充電アダプタ接続部312に埋設される。
【0035】
充電アダプタ接続部312及びコネクタ部33は、充電アダプタ接続部312を下方から見たときに、筐体下面313の中心に対して点対称な形状を備える。また、給電側マグネット34は、筐体下面313の中心に対して点対称な位置に配置される。即ち、給電アダプタ3を、回転軸を中心として180度回転させたときに、充電アダプタ接続部312及びコネクタ部33の形状、並びに給電側マグネット34の配置は、回転の前後で同一となるように構成される。なお、回転軸は、筐体下面313の中心を通る上下方向に沿った軸である。
【0036】
[1-2.充電アダプタの概要]
図1に示すように、充電アダプタ5は、筐体(以下、充電側筐体)51と、アダプタ接続部52と、電池接続部53と、報知部54とを備える。
【0037】
充電側筐体51は、略長方体状に形成される。充電アダプタ5は、充電側筐体上面511に電池接続部53と報知部54とを備える。充電側筐体上面511は、充電側筐体51の一つの面である。充電アダプタ5は、アダプタ装着面512に、装着スロット513を備える。アダプタ装着面512は、充電側筐体51の一つの面であって、充電側筐体上面511及び充電側筐体上面511に対向する面とは異なる面である。装着スロット513は、給電アダプタ3を離脱可能に装着するための凹部である。アダプタ接続部52は、装着スロット513の底面に設けられる。
【0038】
図2に示すように、装着スロット513は、給電アダプタ3の充電アダプタ接続部312が収納される大きさ及び形状を備える。アダプタ接続部52は、装着スロット513の底面において、装着スロット513に挿入された給電アダプタ3のコネクタ部33と対向する位置に設けられる。
【0039】
また、充電アダプタ5は、装着スロット513の底面において、装着スロット513に挿入された給電アダプタ3の各給電側マグネット34と対向する位置のそれぞれに充電側マグネット55を備える。
【0040】
つまり、給電側マグネット34と充電側マグネット55とは、互いの間に発生する吸引力によって、装着スロット513に装着された給電アダプタ3が装着スロット513から脱落することを抑制する。
なお、給電側マグネット34及び充電側マグネット55は、両者がマグネットである必要はなく、いずれか一方が鉄板であってもよい。
【0041】
図1に戻り、報知部54は、充電器1の状態等を、視覚的又は聴覚的にユーザに報知するための表示パネル、ランプ、スピーカ等を備える。
電池接続部53は、電池パック8を充電側筐体上面511に沿ってスライドさせることで、電池パック8が離脱可能に装着される接続構造を含む。但し、接続構造は、スライドを利用する構造に限らない。電池接続部53は、装着状態にある電池パック8に設けられた電池側端子と導通するアダプタ側端子を含む。電池接続部53の接続構造は、電池パック8の種類毎に異なっていてもよい。つまり、充電アダプタ5は、接続対象となる電池パック8である適用電池に応じて、電池接続部53の接続構造が異なる複数のバリエーションが存在してもよい。
【0042】
充電器1は、適用電源に合わせて選択される給電アダプタ3と、適用電池に合わせて選択される充電アダプタ5とを一体に組み合わせた状態で使用される。
【0043】
[1-3.コネクタ形状]
給電アダプタ3のコネクタ部33と、充電アダプタ5のアダプタ接続部52との間の電気的な接続を確保するコネクタ形状について説明する。
【0044】
図4に示すように、第1給電アダプタ3aのコネクタ部33aは、USBプラグ331と、突条部332とを備える。
USBプラグ331は、Universal Serial Bus(USB)規格に従ったUSB-TypeCコネクタのプラグである。USBプラグ331は、筐体下面313aの中央に位置する。
【0045】
突条部332は、USBプラグ331の周囲に、円環状に設けられる。突条部332は、USBプラグ331に不要な外力が加わって、USBプラグ331が破損することを防止する機能を含む。
【0046】
突条部332は、内壁に、2つの溝部332aを備える。2つの溝部332aは、突条部332が示す円形の直径に相当する軸の両端となる位置に配置される。
【0047】
第2給電アダプタ3bのコネクタ部33は、突条部332と専用出力端子333とを備える。専用出力端子333は、電極である。専用出力端子333は、突条部332に形成された2つの溝部332aのそれぞれに、溝部332aの底面の全体に渡って設けられる。
【0048】
つまり、第1給電アダプタ3a及び第2給電アダプタ3bの各コネクタ部33a,33bは、同一形状かつ同一サイズの突条部332を備える。更に、第1給電アダプタ3aのコネクタ部33aはUSBプラグ331を備える。また、第2給電アダプタ3bのコネクタ部33bは専用出力端子333を備える。
【0049】
充電アダプタ5のアダプタ接続部52は、USBレセプタクル521と、周溝部522と、専用入力端子523とを備える。
USBレセプタクル521は、USBプラグ331との接続に用いられる。USBレセプタクル521は、USB規格に従ったUSB_TypeCコネクタのレセプタクルである。USBレセプタクル521は、装着スロット513を形成する凹部の底面中央に埋設される。
【0050】
周溝部522は、USBレセプタクル521の周囲に円環状に形成される。周溝部522は、第1給電アダプタ3a及び第2給電アダプタ3bの各コネクタ部33a,33bが共通に備える突条部332が嵌合される。
【0051】
専用入力端子523は、周溝部522の側壁において、周溝部522に突条部332が嵌合された状態で、突条部332の各溝部332aと対向する位置に設けられる。専用入力端子523は、板状の電極である。専用入力端子523は、溝部332aの底面に設けられた専用出力端子333と接触したときに、自身を専用出力端子333に押し付ける方向の付勢力が生じる形状(例えば、円弧形状)を含む。
【0052】
つまり、アダプタ接続部52は、第1給電アダプタ3a及び第2給電アダプタ3bのいずれのコネクタ部33であっても離脱可能に装着できる構造を含む。そして、第1給電アダプタ3aが装着された場合、USBプラグ331とUSBレセプタクル521とが接続される。また、第2給電アダプタ3bが装着された場合、専用出力端子333と専用入力端子523とが接触する。
【0053】
[2.機能構成]
[2-1.給電アダプタ]
充電器1を構成する各部の機能構成について説明する。
【0054】
図5に示すように、第1給電アダプタ3aは、AC/DCコンバータ35と、制御用集積回路(以下、制御IC)36とを備える。
AC/DCコンバータ35は、ACプラグ321aを備えた給電ケーブル32aを介して商用電源等の交流電源から第1の電力(すなわち、日本の場合、100Vの交流電力)を受ける。AC/DCコンバータ35は、第1の電力を、交流から直流に変換する。AC/DCコンバータ35から出力される第2の電力(すなわち、変換後の直流電力)は、USBプラグ331を介して充電アダプタ5に出力される。
【0055】
制御IC36は、Universal Serial Bus Power Delivery(USB-PD)規格におけるソース側の機能を少なくとも実現する。制御IC36は、USBプラグ331の接続先である充電アダプタ5が備える制御IC63との間でUSB-PDの規格に従ったネゴシエーションを実行する。制御IC36は、ネゴシエーションによって充電アダプタ5に対する供給電力を決定し、決定した供給電力に応じてAC/DCコンバータ35の出力電圧(すなわち、充電アダプタ5の電源電圧)を設定する。なお、ネゴシエーション前における充電アダプタ5の電源電圧は、デフォルト値に設定される。ここでのデフォルト値は、USB-PD規格で定められた選択可能な電圧のうち、最も低い電圧(例えば、5V)である。
【0056】
第2給電アダプタ3bは、シガープラグ321bを備えた給電ケーブル32bを介して第1の電力(すなわち、車載のバッテリからの直流電力)を受ける。給電ケーブル32は、専用出力端子333に直結される。従って、第2給電アダプタ3bは、シガープラグ321bから入力される第1の電力を、変換せずに第2の電力として専用出力端子333を介して充電アダプタ5に出力する。
【0057】
[2-2.充電アダプタ]
充電アダプタ5は、アダプタ接続部52と、電池接続部53と、報知部54と、回路部56とを備える。
【0058】
アダプタ接続部52は、USBレセプタクル521と、専用入力端子523とを備える。アダプタ接続部52には、第1給電アダプタ3aのコネクタ部33a及び第2給電アダプタ3bのコネクタ部33bのいずれかが択一的に接続される。USBレセプタクル521は、アダプタ接続部52に第1給電アダプタ3aのコネクタ部33aが接続された場合に使用される。専用入力端子523は、アダプタ接続部52に第2給電アダプタ3bのコネクタ部33bが接続された場合に使用される。
【0059】
回路部56は、第1スイッチ(以下、第1SW)61と、第2スイッチ(以下、第2SW)62と、制御IC63と、制御電源64とを備える。また、回路部56は、ブリッジ整流回路65と、電圧検出器66と、DC/DCコンバータ67と、マイクロコントローラユニット(以下、MCU)68と、ロードスイッチ(以下、LDSW)69と、バッテリインタフェース(以下、BTIF)70と、を備える。
【0060】
第1SW61は、USBレセプタクル521からDC/DCコンバータ67及び制御電源64に到る第1給電経路L1に設けられる。第1SW61は、制御IC63からの指示に従って、第1給電経路L1を導通遮断する。
【0061】
第2SW62は、USBレセプタクル521の電源用端子から制御電源64に到る第2給電経路L2に設けられる。第2SW62は、制御IC63からの指示に従って、第2給電経路L2を導通遮断する。
【0062】
制御IC63は、USB-PDのシンク側の機能を少なくとも実現する。制御IC63は、USBレセプタクル521を介して第2の電力を受けて動作する。制御IC63の起動時における充電アダプタ5の電源電圧は、ネゴシエーション前であるためデフォルト値となる。制御IC63は、USBレセプタクル521のCC端子の設定によってソース/シンクのいずれで動作するかを決定する。ここでは、制御IC63は、電力の供給を受けるシンクとして動作する。制御IC63は、USBレセプタクル521を介した第1給電アダプタ3aの制御IC36とのネゴシエーションを実行する。充電アダプタ5の電源電圧は、ネゴシエーションによって決定された供給電力に対応する電圧に切り替わる。制御IC63は、ネゴシエーションの結果に従って、第1SW61及び第2SW62のいずれかをオンすると共に、ネゴシエーションの結果を、MCU68に通知する。
【0063】
ブリッジ整流回路65は、専用入力端子523から入力される第2の電力を、第1給電経路L1における第1SW61の後段側に供給する。ブリッジ整流回路65は、専用入力端子523から入力される第2の電力が、常に同じ極性で、第1給電経路L1に供給されるようにする回路である。
【0064】
電圧検出器66は、ブリッジ整流回路65を介して第2の電力を受けているか否か、すなわち、第2の電力の供給源がシガーソケットであるか否かを判定し、判定結果をMCU68に通知する。
【0065】
制御電源64は、第1給電経路L1又は第2給電経路L2のいずれかを介して第2の電力を受けると作動し、給電電圧をMCU68の動作電圧に変換して、MCU68に電力を供給する。
【0066】
DC/DCコンバータ67は、MCU68から指示によって起動停止する。DC/DCコンバータ67は、後段に一定の充電電流(例えば、3A)が流れるように第2電力を第3電力に変換する。DC/DCコンバータ67は、具体的には、出力電圧を制御する。
【0067】
LDSW69は、DC/DCコンバータ67から電池接続部53に到る第3給電経路L3に接続される。LDSW69は、MCU68からの指示に従って、第3給電経路L3を導通遮断する。
【0068】
BTIF70は、電池接続部53に接続される電池パック8内の制御回路との通信により、電池パック8の仕様及び電池パック8の状態等を表す電池情報を受信する。BTIF70は、受信した電池情報を、MCU68に転送する。また、BTIF70は、受信した電池情報に電池パック8の異常を示す情報が含まれる場合、LDSW69を強制的にオフする保護機能を備えてもよい。
【0069】
MCU68は、制御電源64から電力供給を受けて動作する。MCU68は、制御IC63、電圧検出器66及びBTIF70から種々の情報を取得する。MCU68は、取得した情報に従って、充電アダプタ5の各部を制御する。また、MCU68は、取得した情報に従って、充電器1の状態及び充電中の電池パック8の状態等を、報知部54を介してユーザに報知する。
【0070】
MCU68は、マイクロコンピュータの形態である。従って、MCU68は、CPU681とメモリ682とを備える。MCU68は、マイクロコンピュータに代えて、又はマイクロコンピュータに加えて、例えばディスクリート素子などのような電子部品の組み合わせを備えてもよいし、Application Specified Integrated Circuit(ASIC)を備えてもよいし、Application Specific Standard Product(ASSP)を備えてもよいし、例えば、Field Programmable Gate Array(FPGA)などのプログラマブル・ロジックデバイスを備えてもよいし、あるいはこれらの組み合わせを備えてもよい。
【0071】
メモリ682は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを含む半導体メモリの形態である。CPU681は、メモリ682に記憶されている各種プログラムを実行することにより、各種の処理を実行する。
【0072】
[3.処理]
[3-1.アダプタ接続処理]
次に、制御IC63が実行するアダプタ接続処理について、
図6のフローチャートを用いて説明する。
【0073】
アダプタ接続処理は、USBレセプタクル521を介して制御IC63に第2の電力が供給され、制御IC63が起動すると開始される。すなわち、アダプタ接続処理は、アダプタ接続部52に第1給電アダプタ3aが装着された場合に実行される。なお、第1SW61、第2SW62、及びLDSW69の初期状態は、いずれもオフである。
【0074】
アダプタ接続処理が開始されると、S110では、制御IC63は、USBレセプタクル521のCC端子を確認することで、互いに接続された第1給電アダプタ3a及び充電アダプタ5の受/給電仕様を確認する。つまり、第1給電アダプタ3a及び充電アダプタ5のうち、どちらが電力を供給するソースとして動作し、どちらが電力の供給を受けるシンクとして動作するのかを確認する。更に、第1給電アダプタ3aの制御IC36とのネゴシエーションによって、第1給電アダプタ3aによる供給電力を決定する。ネゴシエーションによって供給電力が決定されると、第1給電アダプタ3aによって、充電アダプタ5の電源電圧は、供給電力に応じた電圧に変更される。
【0075】
続くS120では、制御IC63は、仕様が適合したか否かを判定し、適合していれば処理をS130に移行し、適合していなければ処理をS150に移行する。例えば、第1給電アダプタ3a及び充電アダプタ5が、共にソースとして動作しようとしている場合、又は、共にシンクとして動作しようとしている場合は、適合しないと判定する。また、ネゴシエーションの結果、第1給電アダプタ3aが充電アダプタ5の要求電力を満たすことができない場合も、適合しないと判定する。
【0076】
S130では、制御IC63は、第1SW61をオンに切り替えることで、第1給電経路L1を介して制御電源64及びDC/DCコンバータ67への電力供給を開始する。制御電源64への電力供給が開始されると、MCU68が起動する。
【0077】
続くS140では、制御IC63は、第1給電アダプタ3aと仕様が適合したことを示す適合通知を、MCU68に出力して、処理を終了する。
S150では、制御IC63は、第2SW62をオンに切り替えることで、第2給電経路L2を介した制御電源64への電力供給を開始する。制御電源64への電力供給が開始されると、MCU68が起動する。
【0078】
続くS160では、制御IC63は、第1給電アダプタ3aと仕様が適合しないことを示す不適合通知をMCU68に出力して、処理を終了する。
[3-2.給電側処理]
次に、MCU68が実行する給電側処理について、
図7のフローチャートを用いて説明する。
【0079】
給電側処理は、MCU68が起動すると開始される。
給電側処理が開始されると、S210では、MCU68は、電圧検出器66での検出結果から、ブリッジ整流回路65を介して第2の電力を受けているか否かを判定する。MCU68は、肯定判定した場合は、処理をS215に移行し、否定判定した場合は、処理をS230に移行する。
【0080】
S215では、MCU68は、電圧検出器66での検出電圧が、適正電圧であるか否かを判定する。MCU68は、検出電圧が適正電圧であると判定した場合は処理をS220に移行し、検出電圧が適正電圧ではないと判定した場合は処理をS225に移行する。
【0081】
S220では、MCU68は、報知部54を介してシガープラグ接続報知を行って、処理をS270に進める。シガープラグ接続報知は、シガーソケットが電力の供給源であることを示すための報知である。
【0082】
S225では、MCU68は、報知部54を介してシガープラグ電圧不適合報知を行って、処理を終了する。シガープラグ電圧不適合報知は、シガープラグを介して得られる電圧が適正電圧ではないことを示すための報知である。
【0083】
S230では、MCU68は、制御IC63から通知を受信しているか否かを判定する。MCU68は、通知を受信していると判定した場合は、処理をS240に移行し、通知を受信していないと判定した場合は処理をS210に戻す。
【0084】
S240では、MCU68は、制御IC63からの通知の内容を確認し、適合通知である場合は処理をS250に移行し、不適合通知である場合はS260に移行する。
【0085】
S250では、MCU68は、報知部54を介してUSB接続適合報知を行って、処理をS270に進める。USB接続適合報知は、充電アダプタ5との間で仕様が適合した機器がアダプタ接続部52に接続されたことを示すための報知である。
【0086】
S260では、MCU68は、報知部54を介して、USB接続不適合報知を行って、処理を終了する。USB接続不適合報知は、充電アダプタ5との間で仕様が不適合となる機器がアダプタ接続部52に接続されたことを示すための報知である。
【0087】
S270では、MCU68は、MCU充電側処理を起動して、処理を終了する。
[3-3.充電側処理]
次に、MCU充電側処理を、
図8のフローチャートを用いて説明する。
【0088】
充電側処理は、先のS270にて起動されると、繰り返し実行される。
充電側処理が開始されると、S310では、MCU68は、BTIF70を介して、電池接続部53に電池パック8が接続されているか否かを判定する。MCU68は、電池パック8が接続されていると判定した場合は、処理をS320に移行し、電池パック8が接続されていないと判定した場合は、S310の処理を繰り返すことで待機する。
【0089】
S320では、MCU68は、BTIF70を介して、接続された電池パック8の電池情報から要求電力を判定する。
続くS330では、MCU68は、アダプタ接続部52に接続された給電アダプタ3の供給電力と電池パック8の要求電力とを比較することで、電池パック8の充電が可能であるか否かを判定する。なお、給電アダプタ3の供給電力は、供給電圧によって決まる。MCU68は、充電可能であると判定した場合、処理をS340に移行し、充電不能であると判定した場合、処理をS410に移行する。
【0090】
S410では、MCU68は、報知部54を介して電池不適合報知を行なって、処理をS420に進める。電池不適合報知は、電池接続部53に接続された電池パック8が不適合であることを示すための報知である。
【0091】
S340では、MCU68は、LDSW69をオンに切り替えると共に、DC/DCコンバータ67を作動させる。これにより、DC/DCコンバータ67から電池接続部53に接続された電池パック8へ、第3の電力が供給され、電池パック8への充電が開始される。
【0092】
続くS350では、MCU68は、報知部54を介して充電中報知を行う。充電中報知は、電池パック8が充電中であることを示すための報知である。
続くS360では、MCU68は、BTIF70を介して、電池パック8の電池情報を取得し、取得した電池情報に従って電池パック8の充電が完了しているか否かを判定する。MCU68は、充電が完了していると判定した場合、処理をS370に移行し、充電が完了していないと判定した場合、処理をS380に移行する。
【0093】
S370では、MCU68は、報知部54を介した報知を、充電中報知から充電完了報知に切り替えて、処理をS400に進める。充電完了報知は、電池パック8の充電が完了したことを示すための報知である。
【0094】
S380では、MCU68は、BTIF70を介して電池パック8の電池情報を取得し、取得した電池情報に従って電池パック8にて異常が検知されたか否かを判定する。MCU68は、異常が検知されたと判定した場合、処理をS390に移行し、異常が検知されていないと判定した場合、処理をS360に戻す。
【0095】
S390では、MCU68は、報知部54を介した報知を、充電中報知から異常検知報知に切り替えて、処理をS400に進める。異常検知報知は、電池パック8の異常が検知されたことを示すための報知である。
【0096】
S400では、MCU68は、DC/DCコンバータ67の作動を停止させると共に、LDSW69をオフに切り替えて、処理をS420に進める。これにより、DC/DCコンバータ67から電池パック8への第3の電力の供給が停止され、電池パック8への充電が停止する。
【0097】
S420では、MCU68は、BTIF70を介して、電池接続部53における電池パック8の電池情報を取得し、取得した電池情報に従って電池パック8が離脱したか否かを判定する。MCU68は、電池パック8が離脱していると判定した場合、処理をS430に移行し、電池パック8が離脱していないと判定した場合、同ステップを繰り返すことで待機する。
【0098】
S430では、MCU68は、報知部54を介した、充電完了報知、異常検知報知、電池不適合報知を解除して処理を終了する。
[4.用語の対応]
本実施形態において、DC/DCコンバータ67が本開示における変換部の一例に相当し、装着スロット513が本開示における共通スロットの一例に相当し、制御IC36が本開示における制御部の一例に相当する。本実施形態において、第1給電アダプタ3a及び第2給電アダプタ3bが、本開示における第1の給電アダプタ及び第2の給電アダプタの一例に相当すると共に、第3の給電アダプタ及び第4の給電アダプタの一例に相当する。
【0099】
[5.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(5a)充電器1は、適用電源に合わせて選択される給電アダプタ3と、適用電池に合わせて選択される充電アダプタ5とを一体に組み合わせた状態で使用される。従って、適用電源がM種類、適用電池がN種類存在する場合、全ての組み合わせに対応するには、従来の一体型の充電器では、M×N種類のバリエーションを用意する必要がある。これに対して、充電器1では、M種類の給電アダプタ3のバリエーションと、N種類の充電アダプタ5のバリエーションとを用意するだけで、M×N種類のすべての組み合わせに対応できる。つまり、充電器1によれば、より小規模なバリエーションで、多様な充電形態に対応できる。
【0100】
(5b)充電器1では、給電アダプタ3を中心軸の周りに180°回転させて充電アダプタ5の装着スロット513に取り付けても、正常に作動するように構成されている。従って、給電アダプタ3を装着する際には、向きを気にする必要がなく、取り付け作業を容易にすることができる。
【0101】
また、充電器1では、給電アダプタ3の装着向きを適宜反転させることで、給電ケーブル32の引き出し方向を変更できる。従って、給電側筐体31に対する給電ケーブル32の引き出し方向が固定されている場合でも、周囲の状況に応じた無理のない配線を実現できる。例えば、
図10に示すように、充電器1をテーブル上に設置した場合、無理なくテーブルの奥に向けて給電ケーブル32を引き出すことができる。また、
図11に示すように、充電器1を壁面に取り付けた場合、無理なく、下方に向けて給電ケーブル32を引き出すことができる。
【0102】
(5c)充電アダプタ5は、装着スロット513を一つ備え、アダプタ接続部52は、第1給電アダプタ3a及び第2給電アダプタ3bの各コネクタ部33をいずにも接続できるように構成されている。従って、給電アダプタ3の種類毎に個別に装着スロット513を設ける場合と比較して、充電アダプタ5、ひいては充電器1を小型化できる。
【0103】
[6.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0104】
(6a)上記実施形態では、種類の異なる給電アダプタ3のコネクタ部33が共通に備える突条部332が円形に構成されているが、突条部332の形状は、円形に限定されるものではない。突条部332の形状は、中心に対して点対称な形状であればよく、例えば、
図9に示すように、長方形状であってもよい。この場合、アダプタ接続部52が備える周溝部522は、突条部332の形状に合わせて長方形状とすればよい。また、突条部332の形状は、菱形、六角形、八角形などの多角形状、あるいは楕円形状等であってもよい。
【0105】
(6b)上記実施形態では、装着スロット513に収納された給電アダプタ3の脱落を抑制する脱落抑制機構として、磁力を利用するマグネット34,55を備える。脱落抑制機構は、マグネット34,55に限定されるものではなく、マグネット34,55の代わりに、又はマグネット34,55に加えて、機械的な係合によって脱落を抑制するスナップ機構等を備えてもよい。
【0106】
(6c)上記実施形態では、電池接続部53及び報知部54が、充電側筐体上面511に配置され、装着スロット513が、アダプタ装着面512に配置されている充電アダプタ5を例示している。充電アダプタ5を構成する各部の配置は、上記例示に限定されない。例えば、装着スロット513が充電側筐体上面511に配置されてもよいし、報知部54が、充電側筐体上面511以外の面に配置されてもよい。
【0107】
(6d)上記実施形態では、第1給電アダプタ3a及び第2給電アダプタ3bは、共通の装着スロット513を用いて充電アダプタ5に装着される。充電アダプタ5は、共通の装着スロット513を備える代わりに、給電アダプタ3の種類毎に異なる複数の装着スロット513を備えてもよい。
【0108】
(6e)上記実施形態では、充電アダプタ5に対して電池パック8をスライドさせることで電池パック8が着脱される。充電アダプタ5に対する電池パック8の着脱方法は、スライド式に限定されず、例えば、差し込み式等であってもよい。
【0109】
(6f)上記実施形態では、充電アダプタ5に対して、第1給電アダプタ3a又は第2給電アダプタ3bのいずれかが装着される場合について例示している。充電アダプタ5は、第1給電アダプタ3a及び第2給電アダプタ3bを同時に装着できるように構成されてもよい。この場合、充電アダプタ5は、いずれから給電を受けるかを手動で切り替えるスイッチ等を備えてもよい。また、この場合、充電アダプタ5は、第1給電アダプタ3a及び第2給電アダプタ3bのいずれが給電を受けているか検出し、給電を受けている側を有効にする回路を備えてもよい。更に、充電アダプタ5は、両方から給電を受けている場合は、優先的にいずれかを選択する回路等を備えてもよい。
【0110】
(6g)上記実施形態では、充電器1は、電池パック8を一定の充電電流で充電するように構成されているが、一定の充電電圧で充電、又は一定の充電電流かつ一定の充電電圧で充電するように構成されてもよい。
【0111】
(6h)上記実施形態では、報知部54は、MCU68からの指示に従って報知を行うように構成されている。報知部54は、MCU68からの指示だけでなく、制御IC63からの指示に従って報知を行うように構成されてもよい。
【0112】
(6i)上記実施形態では、本開示の技術が適用された充電器の充電対象となる電池パックは、電動工具に適用される。電池パックが適用される電動工具は、例えば、インパクトドライバ、丸鋸などであってもよい。また、電池パックの適用対象は電動工具に限らず、例えば、日曜大工、製造、園芸、工事などの作業現場で使用される各種電動作業機であってもよい。より具体的には、例えば、電動芝刈り機、電動芝生バリカン、電動刈払機、電動クリーナ、電動ブロア、電動噴霧器、電動散布機、電動集塵機などであってもよい。
【0113】
(6j)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0114】
1…充電器、3…給電アダプタ、3a…第1給電アダプタ、3b…第2給電アダプタ、5…充電アダプタ、8…電池パック、31…給電側筐体、32…給電ケーブル、33…コネクタ部、34…給電側マグネット、51…充電側筐体、52…アダプタ接続部、53…電池接続部、54…報知部、55…充電側マグネット、311…筐体本体、312…充電アダプタ接続部、313…筐体下面、314…ケーブル収納部、331…USBプラグ、332…突条部、332a…溝部、333…専用出力端子、511…充電側筐体上面、512…アダプタ装着面、513…装着スロット、521…USBレセプタクル、522…周溝部、523…専用入力端子。