(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117859
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】充電アダプタおよび充電器
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20230817BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20230817BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
H02J7/00 301B
H02J7/02 B
H02J7/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020645
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】酒井 守
(72)【発明者】
【氏名】水谷 真也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BB01
5G503DA15
5G503FA01
5G503FA03
5G503FA14
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】充電アダプタの大型化を抑制しつつ、単一の充電器で定格電圧が異なる複数種類の電池パックを充電できる技術を提供する。
【解決手段】充電アダプタは、第1接続部と、第2接続部と、給電経路と、状態監視部と、演算部と、送信部と、を備えている。前記第1接続部は、直流電圧を出力するように構成された給電アダプタに離脱可能に接続される。前記演算部は、前記電池パックの状態に応じて、前記給電アダプタの制御パラメータを演算する。前記送信部は、前記制御パラメータを前記給電アダプタに送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電アダプタであって、
直流電圧を出力するように構成された給電アダプタに離脱可能に接続されるように構成された第1接続部と、
電動作業機に接続されるように構成された電池パックに離脱可能に接続されるように構成された第2接続部であって、前記電池パックは、互いに直列接続または並列接続された第1バッテリセル及び第2バッテリセルを有している、第2接続部と、
前記第1接続部を前記第2接続部に電気的に接続するように構成された給電経路と、
前記電池パックの状態を監視するように構成された状態監視部と、
前記電池パックの前記状態に応じて、前記給電アダプタの制御パラメータを演算するように構成された演算部と、
前記第1接続部を介して前記制御パラメータを前記給電アダプタに送信するように構成された送信部と、
を備える、充電アダプタ。
【請求項2】
請求項1に記載の充電アダプタであって、
前記制御パラメータは、前記直流電圧の大きさ、および/または前記給電アダプタから出力されるべき電流の大きさを示している、
充電アダプタ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の充電アダプタであって、
前記給電経路に設けられて、導通状態または遮断状態に切り替わるように構成された経路スイッチと、
前記第1接続部に接続された前記給電アダプタが、前記第2接続部に接続された前記電池パックの充電に適していることに応じて、前記経路スイッチを前記導通状態に切り替え、前記給電アダプタが前記電池パックの充電に適していないことに応じて、前記経路スイッチを前記遮断状態に切り替えるように構成された切替制御部と、
を備える、充電アダプタ。
【請求項4】
請求項3に記載の充電アダプタであって、
前記直流電圧を、前記充電アダプタの内部に供給する内部電圧に変換するように構成された制御電源と、
前記給電経路における前記第1接続部と前記経路スイッチとの間に設けられて、導通状態または遮断状態に切り替わるように構成された第1スイッチと、
前記給電経路と前記制御電源とを電気的に接続するように構成された第1内部経路であって、前記第1内部経路は、前記給電経路における前記第1スイッチと前記経路スイッチとの間に電気的に接続されている、第1内部経路と、
前記第1接続部と前記制御電源とを電気的に接続するように構成された第2内部経路と、
前記第2内部経路に設けられて、導通状態または遮断状態に切り替わるように構成された第2スイッチと、
前記第1接続部が前記給電アダプタに接続されることに応じて、前記第1スイッチまたは前記第2スイッチを前記導通状態に切り替えるように構成された起動部と、
を備える、充電アダプタ。
【請求項5】
請求項4に記載の充電アダプタであって、
前記起動部は、
前記給電アダプタが前記充電アダプタに適していることに応じて、前記第1スイッチを前記導通状態に切り替え、且つ、前記第2スイッチを前記遮断状態に切り替え、
前記給電アダプタが前記充電アダプタに適していないことに応じて、前記第1スイッチを前記遮断状態に切り替え、且つ、前記第2スイッチを前記導通状態に切り替えるように構成されている、
充電アダプタ。
【請求項6】
請求項3から請求項5のうちいずれか一項に記載の充電アダプタであって、
前記切替制御部は、第1条件が成立することに応じて、前記経路スイッチを前記遮断状態に切り替えるように構成されている、
充電アダプタ。
【請求項7】
請求項6に記載の充電アダプタであって、
前記第1条件は、前記電池パックの充電容量の100%まで前記電池パックが充電されること、あるいは、前記電池パックが充電不可能となること、あるいは、前記第2接続部に前記電池パックが接続されていないことで、成立する、
充電アダプタ。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の充電アダプタであって、
前記演算部は、前記第1条件が成立することに応じて、前記直流電圧が第1電圧となるように前記制御パラメータを演算するように構成され、前記第1電圧は、前記演算部が動作できる最低電圧、および前記給電アダプタで選択可能な最低電圧のうち高い電圧値に対応している、
充電アダプタ。
【請求項9】
請求項1から請求項8のうちいずれか一項に記載の充電アダプタであって、
前記演算部は、(i)前記充電アダプタが前記直流電圧を前記電池パックに供給していること、かつ、(ii)前記電池パックの状態が変化することに応じて、前記制御パラメータを変更するように構成されている、
を備える充電アダプタ。
【請求項10】
請求項1から請求項9のうちいずれか一項に記載の充電アダプタであって、
前記第1接続部は、USB-PD規格に従い前記直流電圧を受けるように構成されている、
充電アダプタ。
【請求項11】
請求項1から請求項10のうちいずれか一項に記載の充電アダプタであって、
前記第1接続部は、前記直流電圧を受けるように構成されたUSB-TypeCコネクタの形態である、
充電アダプタ。
【請求項12】
請求項1から請求項11のうちいずれか一項に記載の充電アダプタであって、
前記電池パックは、前記電動作業機に前記電池パックの情報を送信するように構成された情報端子を備える、
充電アダプタ。
【請求項13】
請求項1から請求項12のうちいずれか一項に記載の充電アダプタであって、
前記演算部は、第2条件が成立することに応じて、前記直流電圧が、前記給電アダプタで選択可能な最低電圧となるように、前記制御パラメータを演算するように構成され、
前記第2条件は、前記給電アダプタが前記充電アダプタに適合しないこと、または、前記電池パックが充電不可能であることに応じて、成立し、
前記給電アダプタで選択可能な最低電圧の電圧値は、前記演算部が動作できる最低電圧の電圧値より低い、
充電アダプタ。
【請求項14】
請求項1から請求項13のうちいずれか一項に記載の充電アダプタと、
前記充電アダプタに離脱可能に接続され、前記充電アダプタから送信された前記制御パラメータに対応する前記直流電圧を出力するように構成された給電アダプタと、
を備える充電器。
【請求項15】
請求項14に記載の充電器であって、
前記給電アダプタは、
前記直流電圧を発生するように構成された電圧発生部と、
前記充電アダプタから送信された前記制御パラメータを受信し、前記制御パラメータに対応する前記直流電圧を発生するように前記電圧発生部を制御するように構成された給電制御部と、
前記充電アダプタの前記第1接続部に離脱可能に接続されて、前記直流電圧を出力するように構成された電圧出力部と、
を備える、充電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池パックの充電に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、電池パックを充電するために、予め定められた電圧値を有する直流電圧を出力するように構成された充電器を開示している。この充電器は、出力する直流電圧に対応した定格電圧の電池パックを充電できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
充電器は、直流電圧を出力する給電アダプタと、電池パックに離脱可能に接続される充電アダプタと、で構成されている。充電アダプタは、給電アダプタから受けた直流電圧を電池パックに出力する。充電アダプタは、電池パックとの接続部分の形状が、接続される電池パックに対応した形状である。
【0005】
接続部分の形状が異なる複数種類の電池パックを充電するためには、充電器は、電池パックとの接続部分の形状が異なる複数種類の充電アダプタを用意することが考えられる。これにより、充電器は、複数種類の充電アダプタから適切な充電アダプタを選択することで、接続部分の形状が異なる複数種類の電池パックを充電できる。
【0006】
しかし、充電器は、出力する電圧値が固定であるため、この電圧値に対応した定格電圧の電池パックの充電しか利用できない。
このため、単一の充電器で、定格電圧が異なる複数種類の電池パックを充電するためには、例えば、充電アダプタに電圧変換部を備えて、出力する直流電圧の電圧値を各電池パックの種類に応じた電圧値に変換(昇圧または降圧)する必要がある。このように電圧変換部を備える場合には、充電アダプタの大型化という問題が生じうる。
【0007】
そこで、本開示の一つの局面は、充電アダプタの大型化を抑制しつつ、単一の充電器で定格電圧が異なる複数種類の電池パックを充電できる技術を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の1つの局面における充電アダプタは、第1接続部を備える。第1接続部は、給電アダプタに離脱可能に接続される。給電アダプタは、直流電圧を出力する。充電アダプタは、第2接続部を備える。第2接続部は、電池パックに離脱可能に接続される。電池パックは、電動作業機に接続されるように構成されている。電池パックは、互いに直列接続または並列接続された第1バッテリセル及び第2バッテリセルを有している。充電アダプタは、給電経路を備える。給電経路は、第1接続部を第2接続部に電気的に接続するように構成されている。
【0009】
充電アダプタは、状態監視部を備える。状態監視部は、電池パックの状態を監視する。充電アダプタは、演算部を備える。演算部は、電池パックの状態に応じて、給電アダプタの制御パラメータを演算する。充電アダプタは、送信部を備える。送信部は、第1接続部を介して制御パラメータを給電アダプタに送信する。
【0010】
このような充電アダプタは、充電時に要求される電圧値が異なる複数種類の電池パックのそれぞれに応じて、要求に応じた電圧値の直流電圧を出力できる。このため、充電アダプタは、複数種類の電池パックのそれぞれの充電時に要求される電圧値が異なる場合でも、複数種類の電池パックを充電できる。よって、充電アダプタは、複数種類の電池パックを充電する場合に、充電器を準備する負担を軽減できる。
【0011】
また、充電アダプタは、充電開始時から充電完了時までの電池パックの状態変化に応じて、給電アダプタの制御パラメータを変更できるため、電池パックの状態変化に応じた直流電圧を用いた適切な充電制御ができる。
【0012】
本開示の別の一局面における充電器は、上述の充電アダプタを備える。充電器は、給電アダプタを備える。給電アダプタは、充電アダプタに離脱可能に接続される。給電アダプタは、充電アダプタから送信された制御パラメータに対応する直流電圧を出力する。
【0013】
このような充電器は、充電時に要求される電圧値が異なる複数種類の電池パックのそれぞれに応じて、要求に応じた電圧値の直流電圧を出力できる。よって、充電器は、複数種類の電池パックを充電できる。また、充電器は、充電開始時から充電完了時までの電池パックの状態変化に応じた直流電圧を用いた適切な充電制御ができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】充電器を用いて電池パックを充電するための充電処理のフローチャートにおける第1の部分である。
【
図3】充電器を用いて電池パックを充電するための充電処理のフローチャートにおける第2の部分である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施形態の総括]
ある実施形態における充電アダプタは、第1接続部を備えてもよい。第1接続部は、給電アダプタに離脱可能に接続されてもよい。給電アダプタは、直流電圧を出力してもよい。加えて/あるいは、充電アダプタは、第2接続部を備えてもよい。第2接続部は、電池パックに離脱可能に接続されてもよい。電池パックは、電動作業機に接続されてもよい。電池パックは、互いに直列接続または並列接続された第1バッテリセル及び第2バッテリセルを有してもよい。加えて/あるいは、充電アダプタは、給電経路を備えてもよい。給電経路は、第1接続部を第2接続部に電気的に接続してもよい。給電経路は、第1接続部を介して給電アダプタから受けた直流電圧を、第2接続部を介して電池パックに伝達してもよい。
【0016】
加えて/あるいは、充電アダプタは、状態監視部を備えてもよい。状態監視部は、電池パックの状態を監視してもよい。加えて/あるいは、充電アダプタは、演算部を備えてもよい。演算部は、電池パックの状態に応じて、給電アダプタの制御パラメータを演算してもよい。加えて/あるいは、充電アダプタは、送信部を備えてもよい。送信部は、第1接続部を介して制御パラメータを給電アダプタに送信してもよい。
【0017】
ある実施形態において、充電アダプタが、上記の第1接続部、第2接続部、給電経路、状態監視部、演算部および送信部を備え、電池パックが、上述の第1バッテリセルおよび第2バッテリセルを備えるのであれば、このような充電アダプタは、充電時に要求される電圧値が異なる複数種類の電池パックを充電できる。よって、充電アダプタは、複数種類の電池パックを充電する場合に、充電器を準備する負担を軽減できる。また、充電アダプタは、電池パックの状態変化に応じた直流電圧を用いた適切な充電制御ができる。
【0018】
加えて/あるいは、制御パラメータは、直流電圧の大きさ、および/または給電アダプタから出力されるべき電流の大きさを示してもよい。このような充電アダプタは、電池パックの種類に応じて、電池パックに供給する直流電圧の大きさ、および/または電流の大きさを制御できる。
【0019】
ある実施形態における充電アダプタは、経路スイッチを備えてもよい。経路スイッチは、給電経路に設けられて、導通状態または遮断状態に切り替わるように構成されてもよい。
【0020】
加えて/あるいは、充電アダプタは、切替制御部を備えてもよい。切替制御部は、第1接続部に接続された給電アダプタが、第2接続部に接続された電池パックの充電に適していることに応じて、経路スイッチを導通状態に切り替えてもよい。切替制御部は、給電アダプタが電池パックの充電に適していないことに応じて、経路スイッチを遮断状態に切り替えてもよい。
【0021】
ある実施形態における充電アダプタが、経路スイッチおよび切替制御部を備えるのであれば、このような充電アダプタは、電池パックの充電に適さない給電アダプタによって電池パックを充電することを抑制できる。これにより、充電アダプタは、充電に適さない給電アダプタの使用に起因して電池パックが破損することを抑制できる。
【0022】
ある実施形態における充電アダプタは、制御電源を備えてもよい。制御電源は、直流電圧を、充電アダプタの内部に供給する内部電圧に変換してもよい。
加えて/あるいは、充電アダプタは、第1スイッチを備えてもよい。第1スイッチは、給電経路における第1接続部と経路スイッチとの間に設けられてもよい。第1スイッチは、導通状態または遮断状態に切り替わってもよい。
【0023】
加えて/あるいは、充電アダプタは、第1内部経路を備えてもよい。第1内部経路は、給電経路と制御電源とを電気的に接続してもよい。第1内部経路は、給電経路における第1スイッチと経路スイッチとの間に電気的に接続されてもよい。第1内部経路は、給電経路から制御電源にかけて直流電圧を伝達してもよい。給電経路は、第1スイッチと経路スイッチとの間に分岐点を備えてもよい。第1内部経路は、給電経路の分岐点に電気的に接続されてもよい。
【0024】
加えて/あるいは、充電アダプタは、第2内部経路を備えてもよい。第2内部経路は、第1接続部と制御電源とを電気的に接続してもよい。第2内部経路は、第1接続部から制御電源にかけて直流電圧を伝達してもよい。
【0025】
加えて/あるいは、充電アダプタは、第2スイッチを備えてもよい。第2スイッチは、第2内部経路に設けられてもよい。第2スイッチは、導通状態または遮断状態に切り替わってもよい。
【0026】
加えて/あるいは、充電アダプタは、起動部を備えてもよい。起動部は、第1接続部が給電アダプタに接続されることに応じて、第1スイッチまたは第2スイッチを導通状態に切り替えてもよい。起動部は、第1接続部が給電アダプタに接続されることに応じて、起動部が直流電圧を受けて起動してもよい。
【0027】
ある実施形態における充電アダプタが、制御電源、第1スイッチ、第1内部経路、第2内部経路、第2スイッチ、および起動部を備えるのであれば、このような充電アダプタは、第1スイッチまたは第2スイッチを導通状態に切り替えることで、経路スイッチおよび制御電源への直流電圧の伝達状態を切り替えることができる。
【0028】
加えて/あるいは、起動部は、給電アダプタが充電アダプタに適していることに応じて、第1スイッチを導通状態に切り替え、且つ、第2スイッチを遮断状態に切り替えてもよい。起動部は、給電アダプタが充電アダプタに適していないことに応じて、第1スイッチを遮断状態に切り替え、且つ、第2スイッチを導通状態に切り替えてもよい。このような充電アダプタは、給電アダプタが充電アダプタに適していることに応じて、経路スイッチおよび制御電源の両者に対して直流電圧を伝達する。充電アダプタは、給電アダプタが充電アダプタに適していないことに応じて、経路スイッチには直流電圧を伝達せず、制御電源に対して直流電圧を伝達する。これにより、充電アダプタは、不適切な直流電圧による充電アダプタの破損を抑制しつつ、制御電源による充電アダプタの内部への電力供給を実現できる。
【0029】
加えて/あるいは、切替制御部は、第1条件が成立することに応じて、経路スイッチを遮断状態に切り替えてもよい。ある実施形態における充電アダプタにおいて、切替制御部がこのように経路スイッチを切り替えるのであれば、このような充電アダプタは、電池パックへの直流電圧の出力が継続することに起因する電池パックの破損を抑制できる。
【0030】
加えて/あるいは、第1条件は、電池パックの充電容量の100%まで電池パックが充電されることで、成立してもよい。加えて/あるいは、第1条件は、電池パックが充電不可能となることで、成立してもよい。加えて/あるいは、第1条件は、第2接続部に電池パックが接続されていないことで、成立してもよい。ある実施形態において、第1条件がこのように設定されるのであれば、このような充電アダプタは、電池パックの充電が完了することに応じて、直流電圧の出力を停止できる。あるいは、このような充電アダプタは、電池パックが異常状態になることに応じて、直流電圧の出力を停止できる。あるいは、このような充電アダプタは、電池パックが第2接続部から取り外されることに応じて、直流電圧の出力を停止できる。
【0031】
加えて/あるいは、演算部は、第1条件が成立することに応じて、直流電圧が第1電圧となるように制御パラメータを演算してもよい。第1電圧は、演算部が動作できる最低電圧、および給電アダプタで選択可能な最低電圧のうち電圧値が高い方に対応している。ある実施形態における充電アダプタにおいて、演算部がこのように制御パラメータを演算するのであれば、このような充電アダプタは、第1条件が成立することに応じて、直流電圧を第1電圧に制御でき、演算部が動作できる状態を実現しつつ、無駄な電力消費を抑制できる。
【0032】
加えて/あるいは、演算部は、(i)充電アダプタが直流電圧を電池パックに供給していること、かつ、(ii)電池パックの状態が変化することに応じて、制御パラメータを変更してもよい。ある実施形態における充電アダプタにおいて、演算部がこのように制御パラメータを変更するのであれば、このような充電アダプタは、電池パックに供給する直流電圧を、電池パックの状態変化に応じて変更することができる。このため、充電アダプタは、直流電圧の電圧値を適切な範囲に制御することで、電池パックの充電における無駄な電力消費を抑制できる。
【0033】
加えて/あるいは、第1接続部は、Universal Serial Bus-Power Delivery規格(USB-PD規格)(USBは登録商標)に従い直流電圧を受けるように構成されてもよい。このような第1接続部を備えるのであれば、充電アダプタは、USB-PD規格に従って給電アダプタの直流電圧を制御できる。
【0034】
加えて/あるいは、第1接続部は、直流電圧を受けるように構成されたUSB-TypeCコネクタの形態であってもよい。ある実施形態における充電アダプタにおいて、第1接続部がこのようなUSB-TypeCコネクタの形態であれば、このような充電アダプタは、USB-TypeCコネクタを介して給電アダプタの直流電圧を制御できる。USB-TypeCコネクタの例は、USB-TypeCポート、USB-TypeCプラグ、USB-TypeCレセプタクル、オス型コネクタ、メス型コネクタ、を含んでもよい。USB-TypeCコネクタは、ケーブルを介して他の機器と接続される形態、ケーブルを介することなく他の機器と直接接続される形態であってもよい。
【0035】
加えて/あるいは、電池パックは、情報端子を備えてもよい。情報端子は、電動作業機に電池パックの情報を送信してもよい。このような電池パックは、電動作業機の種類/型式に応じて出力電圧が異なりうる。上記の充電アダプタは、出力電圧が異なる複数種類の電池パックを充電できるため、複数種類の電池パックを充電する場合に、充電器および/または充電アダプタを準備する負担を軽減できる。なお、情報端子を介した情報の送信は、デジタル通信による送信、アナログ通信による送信を含んでもよい。デジタル通信は、シリアル通信、パラレル通信を含んでもよい。デジタル通信では、所定の通信プロトコルに基づいて、電池パックの情報を表すデジタル値を送信してもよい。アナログ通信では、電池パックの情報を表すアナログ値を送信してもよい。アナログ値は、電圧値、電流値であってもよい。
【0036】
加えて/あるいは、演算部は、第2条件が成立することに応じて、直流電圧が、給電アダプタで選択可能な最低電圧となるように、制御パラメータを演算してもよい。第2条件は、給電アダプタが充電アダプタに適合しないこと、または、電池パックが充電不可能であることに応じて、成立してもよい。給電アダプタで選択可能な最低電圧の電圧値は、演算部が動作できる最低電圧の電圧値より低くてもよい。このような充電アダプタは、第2条件が成立することに応じて、演算部を動作できない状態に移行させる。これにより、充電アダプタは、演算部の異常動作を抑制でき、ひいては、給電アダプタに適合しない電池パックへの充電を抑制できる。
【0037】
ある実施形態における充電アダプタは、USBを介して電力を供給する任意の規格に従って、給電アダプタへ制御パラメータを送信するように構成されてもよい。加えて/あるいは、第1接続部は、上述の任意の規格に従い直流電圧を受けてもよい。上述の任意の規格の例は、給電アダプタから出力される直流電圧を、充電アダプタによって変更できる規格を含む。
【0038】
ある実施形態における充電器は、上述のいずれかの充電アダプタを備えてもよい。加えて/あるいは、充電器は、給電アダプタを備えてもよい。給電アダプタは、充電アダプタに離脱可能に接続されてもよい。給電アダプタは、充電アダプタから送信された制御パラメータに対応する直流電圧を出力してもよい。
【0039】
ある実施形態における充電器が、上記の充電アダプタ、および給電アダプタを備えるのであれば、このような充電器は、複数種類の電池パックのそれぞれに応じて、要求に応じた電圧値および/または電流値に対応する直流電圧を出力できるため、複数種類の電池パックを充電できる。また、このような充電器は、電池パックの状態変化に応じた直流電圧を用いた適切な充電制御ができる。
【0040】
加えて/あるいは、給電アダプタは、電圧発生部を備えてもよい。電圧発生部は、直流電圧を発生する。加えて/あるいは、給電アダプタは、給電制御部を備えてもよい。給電制御部は、充電アダプタから送信された制御パラメータを受信してもよい。給電制御部は、制御パラメータに対応する直流電圧を発生するように電圧発生部を制御してもよい。加えて/あるいは、給電アダプタは、電圧出力部を備えてもよい。電圧出力部は、充電アダプタの第1接続部に離脱可能に接続されて、直流電圧を出力してもよい。
【0041】
ある実施形態において、給電アダプタが、上記の電圧発生部、給電制御部および電圧出力部を備えるのであれば、このような給電アダプタは、充電アダプタからの制御パラメータに応じて設定された直流電圧を出力できる。このような給電アダプタを備える充電器は、複数種類の電池パックのそれぞれに応じた直流電圧を出力できるため、複数種類の電池パックを充電できる。
【0042】
演算部、送信部、切替制御部、起動部および/または給電制御部は、マイクロコンピュータを備えてもよいし、マイクロコンピュータに代えて、またはマイクロコンピュータに加えて、例えばディスクリート素子などのような電子部品の組合せを備えてもよいし、Application Specified Integrated Circuit(ASIC)を備えてもよいし、Application Specific Standard Product(ASSP)を備えてもよいし、例えばField Programmable Gate Array(FPGA)などのプログラマブル・ロジック・デバイスを備えてもよいし、あるいはこれらの組合せを備えてもよい。
【0043】
ある実施形態では、上述の特徴はどのように組み合わされてもよい。ある実施形態では、上述の特徴のいずれかは、除外されてもよい。
[特定の例示的な実施形態]
以下、図面を参照しながら、本開示の特定の例示的な実施形態を説明する。
【0044】
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す第1実施形態の充電器1は、電池パック8を充電するように構成されている。充電器1は、給電アダプタ3と、充電アダプタ5とを備える。
【0045】
給電アダプタ3は、充電アダプタ5に離脱可能に接続されるように構成されている。
電池パック8は、図示しない電動作業機に接続されるように構成されている。電池パック8は、電動作業機に電力供給するように構成されている。電池パック8は、接続される電動作業機の種類に応じて、特有な着脱構造及び端子形状を備えている。電動作業機は、例えば、電動ドリルであってもよい。
【0046】
充電器1を構成する各部の機能構成について説明する。
[1-2.給電アダプタ]
図1に示すように、給電アダプタ3は、電力入力部32と、電力出力部33と、AC/DCコンバータ35と、給電制御集積回路36(以下、給電制御IC36ともいう)とを備える。
【0047】
電力入力部32は、ACプラグ32aと、ケーブル32bと、を備えている。ACプラグ32aは、図示しない交流電源に接続できるように構成されている。ケーブル32bは、交流電源から供給される第1電力PW1を伝達するように構成されている。第1電力PW1は、交流電圧および交流電流を含む交流電力である。つまり、電力入力部32は、交流電源から第1電力PW1を受けるように構成されている。交流電源は、商用電源であってもよい。第1電力PW1は、たとえば、100Vの交流電力であってもよい。
【0048】
電力出力部33は、後述する第2電力PW2を出力するように構成されている。第2電力PW2は、直流電圧および直流電流を含む直流電力である。電力出力部33は、充電アダプタ5に離脱可能に接続されるように構成されている。電力出力部33は、電力端子33aと、信号端子33bと、を備えている。電力端子33aは、AC/DCコンバータ35と電気的に接続されている。信号端子33bは、給電制御IC36と電気的に接続されている。電力出力部33は、USBコネクタを介して電力を供給する任意の規格に従っており、例えば、USB-PD規格に従ったUSB-TypeCコネクタであってもよい。USB-TypeCコネクタは、図示しないCC端子を備えてもよい。USB-TypeCコネクタは、USB-TypeCポート、USB-TypeCプラグ、USB-TypeCレセプタクルのいずれかであってもよい。
【0049】
AC/DCコンバータ35は、第1電力PW1を受ける。AC/DCコンバータ35は、第1電力PW1を第2電力PW2に変換する。第2電力PW2は、電力出力部33を介して充電アダプタ5に出力される。
【0050】
給電制御IC36は、USB-PD規格におけるソース側の機能を少なくとも実現する。給電制御IC36は、電力出力部33に接続された機器との間でUSB-PDの規格に従ったネゴシエーションを実行する。電力出力部33が充電アダプタ5と接続された場合には、給電制御IC36は、充電アダプタ5との間でネゴシエーションを実行する。
【0051】
給電制御IC36は、ネゴシエーションによって充電アダプタ5に対する供給電力を決定する。給電制御IC36は、決定した供給電力に応じてAC/DCコンバータ35の出力電圧(すなわち、第2電力PW2の電圧)を設定する。第2電力PW2の電圧値は、充電アダプタ5の電源電圧値に対応する。充電アダプタ5の電源電圧とは、充電アダプタ5が動作するために必要な電圧に対応する。なお、ネゴシエーション前における第2電力PW2の電圧値は、デフォルト値に設定される。ここでのデフォルト値は、USB-PD規格で定められた選択可能な電圧のうち、最も低い電圧(例えば、5V)である。
【0052】
給電アダプタ3は、充電アダプタ5から送信された情報(後述する充電設定情報Si)に基づいて、制御値(後述する第2電力PW2の制御値Pc)に対応する第2電力PW2を出力するように構成されている。
【0053】
[1-3.充電アダプタ]
充電アダプタ5は、アダプタ接続部52と、電池接続部53と、報知部54と、回路部56とを備える。
【0054】
アダプタ接続部52は、給電アダプタ3の電力出力部33に離脱可能に接続されるように構成されている。アダプタ接続部52は、給電アダプタ3から出力される第2電力PW2を受けるように構成されている。アダプタ接続部52は、第1アダプタ端子52aと、第2アダプタ端子52bと、を備えている。アダプタ接続部52が電力出力部33と接続されることに応じて、第1アダプタ端子52aは電力端子33aと電気的に接続され、第2アダプタ端子52bは信号端子33bと電気的に接続される。アダプタ接続部52は、例えば、USB-PD規格に従ったUSB-TypeCコネクタであってもよい。USB-TypeCコネクタは、図示しないCC端子を備えてもよい。
【0055】
電池接続部53は、電池パック8に離脱可能に接続されるように構成されている。電池接続部53は、アダプタ接続部52で受けた第2電力PW2の電圧を電圧変換せずにそのまま電池パック8に供給するように構成されている。換言すれば、電池接続部53は、アダプタ接続部52で受けた第2電力PW2の電圧を電圧変換せずにそのまま電池パック8に出力する。電池接続部53は、第1接続端子53aと、第2接続端子53bと、を備えている。
【0056】
回路部56は、第1スイッチ61(以下、第1SW61ともいう)と、第2スイッチ62(以下、第2SW62ともいう)と、充電制御用集積回路63(以下、充電制御IC63ともいう)と、制御電源64と、を備える。さらに、回路部56は、マイクロコントローラユニット68(以下、MCU68ともいう)と、ロードスイッチ69(以下、LDSW69ともいう)と、第1バッテリインタフェース70(以下、第1BTIF70ともいう)と、を備える。さらに、回路部56は、第1給電経路L1と、第2給電経路L2と、第3給電経路L3と、を備える。
【0057】
第1給電経路L1,第2給電経路L2,第3給電経路L3は、それぞれ第1アダプタ端子52aと電気的に接続されている。充電制御IC63は、第2アダプタ端子52bと電気的に接続されている。第1給電経路L1は、第1接続端子53aと電気的に接続されている。第1BTIF70は、第2接続端子53bと電気的に接続されている。
【0058】
第1給電経路L1は、アダプタ接続部52から第1SW61およびLDSW69を介して電池接続部53に至る電気経路を含む。第1給電経路L1は、アダプタ接続部52を電池接続部53に電気的に接続している。換言すれば、第1給電経路L1は、アダプタ接続部52を介して給電アダプタ3から受けた第2電力PW2の直流電圧を、電池接続部53を介して電池パック8に伝達するように、アダプタ接続部52を電池接続部53に電気的に接続している。第1給電経路L1は、第1SW61とLDSW69との間の分岐点P1から分岐して制御電源64に至る電気経路を含む。この電気経路は、アダプタ接続部52を制御電源64に電気的に接続している。
【0059】
第1SW61は、第1給電経路L1に設けられ、充電制御IC63からの指示に従ってONまたはOFFになることに応じて、第1給電経路L1を導通または遮断する。詳細には、第1SW61がONになることに応じて、アダプタ接続部52がLDSW69および制御電源64のそれぞれと、第1給電経路L1を介して電気的に接続される。第1SW61がOFFになることに応じて、アダプタ接続部52がLDSW69および制御電源64のそれぞれと、第1給電経路L1においては電気的に遮断される。
【0060】
LDSW69は、第1給電経路L1に設けられ、ON(換言すれば、導通状態)またはOFF(換言すれば、遮断状態)に切り替わる。LDSW69は、MCU68からの指示に従ってONまたはOFFになることに応じて、第1給電経路L1を導通または遮断する。詳細には、LDSW69がONになることに応じて、第1SW61が電池接続部53と第1給電経路L1を介して電気的に接続される。LDSW69がOFFになることに応じて、第1SW61が電池接続部53と電気的に遮断される。
【0061】
第2給電経路L2は、アダプタ接続部52と制御電源64とを電気的に接続するように構成された電気経路である。第2SW62は、第2給電経路L2に設けられ、充電制御IC63からの指示に従ってONまたはOFFになることに応じて、第2給電経路L2を導通または遮断する。詳細には、第2SW62がONになることに応じて、アダプタ接続部52が制御電源64と第2給電経路L2を介して電気的に接続される。第2SW62がOFFになることに応じて、アダプタ接続部52が制御電源64と、第2給電経路L2においては電気的に遮断される。
【0062】
第3給電経路L3は、アダプタ接続部52から充電制御IC63に至る電気経路である。アダプタ接続部52に接続された機器からアダプタ接続部52に電力が供給されることに応じて、その電力が充電制御IC63に供給される。
【0063】
充電制御IC63は、USB-PDでのソースおよびシンクにおけるシンクの機能を少なくとも実現する。ソースは、他のUSBデバイスに電力を供給する。シンクは、他のUSBデバイスから電力の供給を受ける。充電制御IC63は、アダプタ接続部52を介して第2電力PW2を受けることに応じて起動する。充電制御IC63の起動時はネゴシエーション前であるため、このときの充電アダプタ5の電源電圧は、デフォルト値となる。充電制御IC63は、アダプタ接続部52(詳細には、USB-TypeCコネクタ)のCC端子の設定によってソース/シンクのいずれで動作するかを決定する。ここでは、充電制御IC63は、電力の供給を受けるシンクとして動作する。充電制御IC63は、アダプタ接続部52を介した給電アダプタ3の給電制御IC36とのネゴシエーションを実行する。充電アダプタ5の電源電圧は、ネゴシエーションによって決定された供給電力に対応する電圧に切り替わる。充電制御IC63は、ネゴシエーションの結果に従って、第1SW61または第2SW62をオンすると共に、ネゴシエーションの結果を、MCU68に通知する。
【0064】
制御電源64は、第1給電経路L1または第2給電経路L2を介して第2電力PW2を受けることに応じて起動する。制御電源64は、第2電力PW2の直流電圧をMCU68の動作電圧Vdに変換して、MCU68に電力を供給する。MCU68の動作電圧Vdとは、MCU68が動作するために必要な電圧に対応する。動作電圧Vdは、例えば、5[V]であってもよい。つまり、制御電源64は、第2電力PW2の直流電圧を、充電アダプタ5の内部に供給するための動作電圧Vdに変換する。
【0065】
第1BTIF70は、電池接続部53に接続される電池パック8との通信により、電池情報を受信する。電池情報は、電池パック8の仕様及び電池パック8の状態等を含む。第1BTIF70は、電池情報をMCU68に転送する。第1BTIF70は、電池パック8の状態を監視するように構成されている。第1BTIF70は、電池パック8の異常を示す電池情報を受信することに応じて、LDSW69を強制的にオフする保護機能を備えてもよい。
【0066】
MCU68は、制御電源64から電力供給を受けることに応じて起動する。MCU68は、充電制御IC63および第1BTIF70から種々の情報を取得する。MCU68は、取得した情報に従って、充電アダプタ5の各部を制御する。MCU68は、取得した情報に従って、充電器1の状態及び充電中の電池パック8の状態等を、報知部54を介して使用者に報知する。
【0067】
MCU68は、マイクロコンピュータを備えるマイクロコントローラで構成されている。MCU68は、CPU681とメモリ682とを備える。MCU68は、マイクロコンピュータに代えて、又はマイクロコンピュータに加えて、例えばディスクリート素子などのような電子部品の組み合わせを備えてもよいし、ASICを備えてもよいし、ASSPを備えてもよいし、例えば、FPGAなどのプログラマブル・ロジックデバイスを備えてもよいし、あるいはこれらの組み合わせを備えてもよい。
【0068】
メモリ682は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを含む半導体メモリを備えている。CPU681は、メモリ682に記憶されている各種プログラムを実行することにより、各種の処理を実行する。
【0069】
MCU68は、電池パック8の状態に応じて、第2電力PW2の制御値Pcを含む充電設定情報Siを演算する。制御値Pcは、第2電力PW2における電圧値および/または電流値の設定値Paを含む。換言すれば、設定値Paは、給電アダプタ3から出力されるべき直流電圧の大きさ、および/または、給電アダプタ3から出力されるべき直流電流の大きさを示す。充電制御IC63は、MCU68から受け取った充電設定情報Siを給電アダプタ3に送信する。
【0070】
[1-4.電池パック]
電池パック8は、第2バッテリインタフェース81(以下、第2BTIF81ともいう)と、セルユニット83と、パック接続部85と、を備える。
【0071】
第2BTIF81は、充電アダプタ5の第1BTIF70との通信により、第1BTIF70へ電池情報を送信する。第2BTIF81は、電池パック8の状態を検出するように構成されている。前記状態は、電池パック8の充電状態、電池パック8の異常状態などを含む。
【0072】
セルユニット83は、第1バッテリセル83aおよび第2バッテリセル83bを備える。第1バッテリセル83aおよび第2バッテリセル83bは、充電および放電できる二次電池を備える。第1バッテリセル83aおよび第2バッテリセル83bは、互いに直列接続または並列接続されている。電池パック8は、2個のバッテリセルを備える構成に限られることはなく、3個以上のバッテリセルを備えてもよい。電池パック8は、3個以上のバッテリセルを備える場合、セル直列部とセル並列部とが併存する構成であってもよい。セル直列部は、2個以上のバッテリセルが互いに直列に接続されている部分である。セル並列部は、少なくとも1個のバッテリセルが他のバッテリセルと並列に接続されている部分である。
【0073】
パック接続部85は、充電器1(詳細には、充電アダプタ5。より詳細には、電池接続部53)に離脱可能に接続されるように構成されている。パック接続部85は、セルユニット83の充電時には、充電器1から第2電力PW2を受けるように構成されている。パック接続部85は、セルユニット83の放電時には、セルユニット83の放電電力を出力するように構成されている。
【0074】
パック接続部85は、第1パック端子85aと、第2パック端子85bと、を備えている。第1パック端子85aは、セルユニット83と電気的に接続されている。第2パック端子85bは、第2BTIF81と電気的に接続されている。パック接続部85が電池接続部53と接続されることに応じて、第1パック端子85aは第1接続端子53aと電気的に接続され、第2パック端子85bは第2接続端子53bと電気的に接続される。
【0075】
第2パック端子85bは、電池パック8が電動作業機(図示省略)と接続されることに応じて、電動作業機に電池パック8の情報を送信するように構成されている。詳細には、第2BTIF81が、電動作業機との通信処理を実行することで、第2パック端子85bを介して電池パック8の情報が送信される。
【0076】
なお、第2パック端子85bを介した情報の送信は、デジタル通信による送信、アナログ通信による送信を含んでもよい。デジタル通信は、シリアル通信、パラレル通信を含む。デジタル通信では、所定の通信プロトコルに基づいて、電池パック8の情報を表すデジタル値を送信する。アナログ通信では、電池パック8の情報を表すアナログ値を送信する。アナログ値は、電圧値、電流値であってもよい。例えば、電池パック8の温度を検出するように構成されたサーミスタを用いて、サーミスタに発生する検出電圧の電圧値を電池パック8の情報を表すアナログ値として利用してもよい。具体的には、電池パック8がサーミスタを備え、電動作業機がプルアップ抵抗器を備えて、基準電圧ラインからプルアップ抵抗器およびサーミスタを介してグランドラインに至る回路を形成して、プルアップ抵抗器とサーミスタとの接続点に、検出電圧を生成してもよい。この場合、電動作業機に備えられるマイクロコンピュータ(マイコン)が、検出電圧の電圧値(アナログ値)を受け取ることで、電動作業機に電池パック8の情報が送信される。
【0077】
[1-5.充電処理]
次に、充電器1(詳細には、給電アダプタ3および充電アダプタ5)を用いて電池パック8を充電するための充電処理について、
図2および
図3のフローチャートを用いて説明する。
【0078】
まず、S110(Sはステップを表す)では、使用者によって、給電アダプタ3と充電アダプタ5とが接続される。詳細には、電力出力部33と、アダプタ接続部52とが接続される。
【0079】
次のS120では、給電アダプタ3は、電力出力部33から第2電力PW2の出力を開始する。つまり、給電アダプタ3は、充電アダプタ5と接続されたことに応じて、充電アダプタ5に対して第2電力PW2を出力する。このとき、給電アダプタ3と充電アダプタ5と(詳細には、給電制御IC36と充電制御IC63と)のネゴシエーション前であるため、第2電力PW2の電圧値は、デフォルト値に設定されている。本実施形態では、デフォルト値は、5[V]である。
【0080】
次のS130では、充電アダプタ5が第2電力PW2を受けたことに応じて、充電制御IC63が起動する。つまり、充電制御IC63は、給電アダプタ3から第3給電経路L3を介して第2電力PW2を受けることに応じて起動する。充電制御IC63の起動直後では、第1SW61、第2SW62およびLDSW69は、いずれもオフ状態(遮断状態)にある。
【0081】
次のS140では、給電制御IC36および充電制御IC63は、互いの間で通信を開始する。まず、給電制御IC36および充電制御IC63は、互いの間でUSB-PDの規格に従ったネゴシエーションを実行する。給電制御IC36は、電力出力部33のCC端子を確認することで、給電アダプタ3の受電仕様/給電仕様を確認する。充電制御IC63は、アダプタ接続部52のCC端子を確認することで、充電アダプタ5の受電仕様/給電仕様を確認する。つまり、給電アダプタ3および充電アダプタ5のうち、どちらが電力を供給するソースとして機能し、どちらが電力の供給を受けるシンクとして機能するのかを確認する。本実施形態では、給電制御IC36は、ソース側の機能を実現し、充電制御IC63は、シンク側の機能を実現する。
【0082】
次のS150では、給電制御IC36および充電制御IC63は、給電制御IC36と充電制御IC63との互いの仕様が適合しているか否かを判定する。給電制御IC36および充電制御IC63は、互いの仕様が適合している場合(YES)にはS160に移行し、互いの仕様が適合していない場合(NO)にはS180に移行する。例えば、給電アダプタ3および充電アダプタ5が、共にソースとして動作しようとしている場合、又は、共にシンクとして動作しようとしている場合は、適合しないと判定する。また、充電制御IC63は、ネゴシエーションの結果、給電アダプタ3が充電アダプタ5の要求電力を満たすことができない場合も、適合しないと判定する。つまり、充電制御IC63は、給電アダプタ3が充電アダプタ5に適合しているか否かを判定する。
【0083】
次のS160では、給電制御IC36および充電制御IC63は、ネゴシエーションの結果に従い、第2電力PW2を切り替える。具体的には、給電制御IC36および充電制御IC63は、第2電力PW2の電圧値を充電アダプタ5の電源電圧値に対応するように設定する。
【0084】
S170では、充電制御IC63は、第1SW61をオンに切り替える。さらに、充電制御IC63は、第2SW62をオフに切り替える。つまり、充電制御IC63は、第1給電経路L1を介して制御電源64およびLDSW69への第2電力PW2の供給を開始する。
【0085】
S180では、充電制御IC63は、第2SW62をオンに切り替える。さらに、充電制御IC63は、第1SW61をオフに切り替える。つまり、充電制御IC63は、第2給電経路L2を介して制御電源64への第2電力PW2の供給を開始する。
【0086】
続くS190では、制御電源64へ第2電力PW2が供給されることに応じて、MCU68が起動する。
続くS200では、MCU68と充電制御IC63との間での通信が開始される。
【0087】
続くS210では、MCU68は、アダプタ接続部52に接続された給電アダプタ3が充電アダプタ5に適しているか否かを判定する。MCU68は、給電アダプタ3が充電アダプタ5に適合している場合(YES)にはS220に移行し、給電アダプタ3が充電アダプタ5に適合していない場合(NO)にはS300に移行する。
【0088】
S220では、MCU68は、第1BTIF70を介して、電池接続部53に電池パック8が接続されているか否かを判定する。MCU68は、電池接続部53に電池パック8が接続されていること(YES)に応じてS225に移行する。MCU68は、電池接続部53に電池パック8が接続されていないこと(NO)に応じて、同ステップを繰り返すことで待機する。
【0089】
S225では、MCU68は、電池パック8を給電アダプタ3によって充電可能か否かを判定する。MCU68は、充電可能である場合(YES)にはS230に移行し、充電不可能である場合(NO)にはS300に移行する。MCU68は、給電アダプタ3が供給可能な電力と、電池パック8の充電に必要な電力と、を比較することで、電池パック8を充電可能であるか否かを判定する。換言すれば、MCU68は、給電アダプタ3が電池パック8の充電に適しているか否かを判定する。なお、給電アダプタ3が供給可能な電力は、出力可能な電圧によって判定してもよい。また、S225での「充電可能か否か」の判定は、電池パック8が正常状態であるか故障状態であるか否かに基づいて判定してもよい。電池パック8が正常状態の場合には肯定判定(YES)して、電池パック8が故障状態である場合には否定判定(NO)してもよい。このときの故障状態は、正常復帰が不可能な故障状態を意味する。正常復帰が不可能な故障状態は、例えば、電池パック8の内部での断線故障などが含まれる。電池パック8の高温異常などの一時的な異常状態は、時間経過による正常復帰が可能であるため、正常復帰が不可能な故障状態には含まれない。
【0090】
なお、S225の判定時に電池パック8が一時的な異常状態である場合には、S225で肯定判定した後、S230に移行する前(換言すれば、電池パック8の充電開始前)に、一時的な異常状態が解消するまで待機してもよい。例えば、S225で肯定判定した後に、電池パック8が一時的な異常状態であるか否かを判定する異常判定ステップを実行してもよい。この異常判定ステップでは、MCU68は、電池パック8が一時的な異常状態である場合には、同ステップを繰り返し実行することで一時的な異常状態が解消するまで待機し、電池パック8が一時的な異常状態ではない場合には、S230に移行してもよい。つまり、電池パック8が高温異常の場合には、S225で肯定判定した後、異常判定ステップで繰り返し否定判定して、電池パック8の温度が正常範囲に低下するまで待機して、電池パック8の温度が正常範囲に低下した場合に、S230に移行してもよい。また、電池パック8が高温異常の場合には、冷却ファンなどにより電池パック8を積極的に冷却してもよい。
【0091】
S230では、MCU68は、LDSW69をオンに切り替える。これにより、充電アダプタ5は、電池接続部53から第2電力PW2を出力する。このようにして、電池パック8へ第2電力PW2が供給されることで、電池パック8の充電が開始される。
【0092】
続くS240では、MCU68は、電池パック8が充電中であることを報知するように、報知部54を制御する。報知部54は、例えば、液晶パネル、LEDランプ、スピーカ、ブザーなどを備えてもよい。報知の形態は、文字表示、ランプ点灯、音声通知、音出力などであってもよい。例えば、報知部54は、「充電中」と文字表示してもよい。なお、電池パック8が充電中であることを報知することで、アダプタ接続部52に接続された機器(給電アダプタ3)が充電アダプタ5に適合していることも含めて、報知することが可能である。
【0093】
S300では、MCU68は、異常時処理を実行する。異常時処理は、異常報知処理と、自己休止処理と、を含む。MCU68は、異常報知処理を実行することで、異常報知するように報知部54を制御する。例えば、報知部54は、「異常」と文字表示してもよい。ここでの「異常」は、S210またはS225での判定内容に応じて、給電アダプタ不適合または電池パック不適合の少なくとも一方を含む。給電アダプタ不適合は、アダプタ接続部52に接続された機器(給電アダプタ3)が充電アダプタ5に適合していないことに対応する。電池パック不適合は、電池接続部53に接続された電池パック8が充電アダプタ5に適合していないことに対応する。電池パック不適合は、換言すれば、電池パック8が給電アダプタ3から出力される第2電力PW2に適合していないことにも対応する。
【0094】
S300では、さらに、MCU68は、LDSW69をオフに切り替えてもよい。
MCU68は、自己休止処理を実行することで、給電アダプタ3が出力する直流電圧を、給電アダプタ3で選択可能な最低電圧(以下、アダプタ最低電圧Vaminともいう)に設定する。詳細には、MCU68は、アダプタ最低電圧Vaminを示す制御値Pcを含む充電設定情報Siを演算して、その充電設定情報Siを充電制御IC63に送信する。充電制御IC63は、給電制御IC36に対して、充電設定情報Siを送信する。つまり、充電アダプタ5は、アダプタ最低電圧Vaminを示す制御値Pcを、給電アダプタ3へ送信する。これにより、給電アダプタ3は、アダプタ最低電圧Vaminに対応する直流電圧を充電アダプタ5に出力する。
【0095】
なお、本実施形態では、給電アダプタ3で選択可能な最低電圧は、3.3[V]である。また、充電アダプタ5のMCU68が動作できる最低電圧は、5.0[V]である。このため、MCU68が自己休止処理を実行することに応じて、給電アダプタ3が出力する直流電圧(=3.3[V])は、MCU68が動作できる最低電圧(=5.0[V])を下回るため、MCU68は動作できない状態となる。つまり、MCU68は、自己休止処理を実行することで、MCU68自身を動作できない状態に移行させる。これにより、MCU68の異常動作を抑制でき、ひいては、給電アダプタ3に適合しない電池パック8への充電を抑制できる。
【0096】
さらに、電池パック8に備えられるバッテリセルに関して、1つのバッテリセルの最大充電電圧が、アダプタ最低電圧Vaminよりも大きい場合には、MCU68が自己休止処理を実行することで、電池パック8の過充電を抑制できる。例えば、1つのバッテリセルの最大充電電圧が4.2[V]であり、アダプタ最低電圧Vaminが3.3[V]である場合には、自己休止処理の実行後は、充電アダプタ5が電池パック8に出力する電圧値が、1つのバッテリセルの最大充電電圧を下回る。これにより、何らかの要因で、給電アダプタ3および充電アダプタ5により電池パック8の充電が実行されたとしても、1つのバッテリセルの最大充電電圧よりも小さい直流電圧しか印加されないため、電池パック8の過充電を抑制できる。
【0097】
S240に続くS250では、MCU68は、充電制御IC63との間で通信を行う。まず、MCU68は、第1BTIF70を介して電池パック8の電池情報を取得する。MCU68は、電池情報に基づいて電池パック8の充電状態を判定し、その充電状態の電池パック8を充電するのに適した適正充電電力を判定する。適正充電電力は、適正充電電圧値および適正充電電流を含む。MCU68は、充電制御IC63に対して適正充電電力の制御値Pcを含む充電設定情報Siを送信する。
【0098】
続くS260では、充電制御IC63は、給電制御IC36との間で通信を行う。充電制御IC63は、給電制御IC36に対して、充電設定情報Siを送信する。これにより、充電アダプタ5は、給電アダプタ3へ適正充電電力を含む制御値Pcを送信する。
【0099】
続くS270では、MCU68は、電池パック8の充電停止条件が成立しているか否かを判定する。まず、MCU68は、第1BTIF70を介して、電池パック8の電池情報を取得する。MCU68は、電池情報に基づいて、電池パック8の充電停止条件が成立しているか否かを判定する。MCU68は、充電停止条件が成立していると判定した場合(YES)にはS280に移行し、充電停止条件が完了していないと判定した場合(NO)には再びS250に移行する。
【0100】
充電停止条件は、例えば、電池パック8の充電容量の100%まで電池パック8が充電されることで成立してもよい。前記充電停止条件は、電池パック8が充電不可能な異常状態となることで成立してもよい。前記充電停止条件は、電池接続部53に電池パック8が接続されていないことで、成立してもよい。
【0101】
なお、充電容量は、電池パック8の定格容量に対する所定割合に相当する値である。電池パック8の定格容量とは、未使用状態(換言すれば、電池パック8のバッテリセルが劣化していない状態)の電池パック8が蓄えることができる電力量に相当する。電池パック8は、充電・放電を繰り返すことで劣化する。充電容量は、電池パック8が蓄えることができる電力量に相当し、電池パック8の劣化状態によって変動する。充電容量は、定格容量と同値あるいは定格容量よりも小さい値が設定される。例えば、定格容量5.0Ahの電池パック8においては、充電容量は、4.9Ahに設定されてもよい。電池パック8が寿命を迎えるまでの許容充放電回数を多く確保するためには、充電容量をより小さい値に設定してもよい。許容充放電回数は、電池パック8の充電・放電の累積回数であって、電池パック8が正常動作可能な累積回数の上限値に対応する。充電容量は、充電・放電の累積回数に応じて変更してもよい。例えば、充電・放電の累積回数が予め定められた基準値を超えた場合には、充電容量を小さい値に変更してもよい。
【0102】
S270で電池パック8が異常状態であると判定した場合には、その後に実行されるステップにおいて、上述の異常報知処理と同様の処理を実行してもよい。
充電器1が、S250およびS260の処理を繰り返し実行することで、MCU68は、(i)充電アダプタ5が第2電力PW2の直流電圧を電池パック8に供給していること、かつ、(ii)電池パック8の状態が変化することに応じて、充電設定情報Siを変更する。さらに、充電制御IC63は、アダプタ接続部52を介して給電制御IC36に充電設定情報Siを送信することで、給電制御IC36に適正充電電力を含む制御値Pcを送信する。
【0103】
S280では、MCU68は、LDSW69をオフに切り替える。これにより、充電アダプタ5は、電池接続部53からの第2電力PW2の出力を停止する。このようにして、電池パック8への第2電力PW2の供給が停止されることで、電池パック8の充電が終了する。
【0104】
あるいは、S280では、充電制御IC63およびMCU68は、第2電力PW2の直流電圧をデフォルト値に設定するための充電設定情報Siを演算し、給電制御IC36に対してその充電設定情報Siを送信してもよい。充電制御IC63が、アダプタ接続部52を介してこの充電設定情報Siを給電制御IC36に送信することに応じて、給電制御IC36は、第2電力PW2の直流電圧をデフォルト値に制御する。これにより、充電器1は、第2電力PW2の直流電圧を第1電圧V1に制御でき、無駄な電力消費を抑制できる。第1電圧V1は、第1最低電圧Vmin1およびアダプタ最低電圧Vaminのうち、電圧値が高い方に対応している。第1最低電圧Vmin1は、MCU68が動作できる最低電圧に対応する。アダプタ最低電圧Vaminは、上述のとおり、給電アダプタ3で選択可能な最低電圧に対応する。例えば、第1最低電圧Vmin1が5.0[V]で、アダプタ最低電圧Vaminが3.3[V]である場合には、第1電圧V1の電圧値は、第1最低電圧Vmin1の電圧値(=5.0[V])に対応する。
【0105】
あるいは、S280では、充電制御IC63およびMCU68は、第2電力PW2の供給停止を要求する要求信号を、アダプタ接続部52を介して給電制御IC36に送信してもよい。給電アダプタ3は、このような要求信号を受信したことに応じて、充電アダプタ5への第2電力PW2の供給を停止する。この結果、充電器1は、電池パック8の充電を停止する。
【0106】
S290では、MCU68は、電池パック8の充電を停止したことを報知するように、報知部54を制御する。例えば、報知部54は、「充電停止」と文字表示してもよい。あるいは、電池パック8の充電容量の100%まで充電が完了した場合には、報知部54は、「充電完了」と文字表示してもよい。電池パック8が異常状態である場合には、報知部54は、「電池パック異常」と文字表示してもよい。
【0107】
充電器1は、S290またはS300の処理を終了することで、充電処理を完了する。
[1-6.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0108】
(1a)充電器1において、充電アダプタ5は、電池パック8の状態を監視し、前記状態に応じた制御値Pcを含む充電設定情報Siを給電アダプタ3に送信する。このため、充電アダプタ5は、給電アダプタ3から出力される第2電力PW2(詳細には、第2電力PW2の電圧値および/または電流値)を、前記状態に応じて変更できる。
【0109】
これにより、充電アダプタ5は、充電時に要求される電圧値および/または電流値が異なる複数種類の電池パック8のそれぞれに応じて、要求に応じた電圧値および/または電流値の第2電力PW2を出力できる。このため、充電アダプタ5は、複数種類の電池パック8のそれぞれの充電時に要求される電圧値および/または電流値が異なる場合でも、複数種類の電池パック8を充電できる。また、充電アダプタ5は、充電開始時から充電完了時までの電池パック8の状態変化に応じて、第2電力PW2の電圧値および/または電流値を変更できるため、電池パック8の状態変化に応じた第2電力PW2を用いた適切な充電制御ができる。
【0110】
(1b)充電アダプタ5は、LDSW69およびMCU68を備えることで、電池パック8の充電に適さない給電アダプタ3が充電アダプタ5に接続されることに応じて、第2電力PW2の出力を停止する。つまり、充電アダプタ5は、電池パック8の充電に適さない給電アダプタ3によって電池パック8を充電することを抑制できる。これにより、充電アダプタ5は、充電に適さない給電アダプタ3から供給される電力によって電池パック8が破損することを抑制できる。
【0111】
(1c)充電アダプタ5は、給電アダプタ3が充電アダプタ5に適している場合には、LDSW69および制御電源64に対して第2電力PW2を供給する。充電アダプタ5は、給電アダプタ3が充電アダプタ5に適していない場合には、LDSW69には第2電力PW2を供給せず、制御電源64に対して第2電力PW2を供給する。これにより、充電アダプタ5は、不適切な第2電力PW2による充電アダプタ5の破損を抑制しつつ、制御電源64による充電アダプタ5の内部への電力供給を実現できる。
【0112】
(1d)充電アダプタ5は、電池パック8に供給する第2電力PW2を、電池パック8の状態変化に応じて変更できる。これにより、充電アダプタ5は、一定の電力量を電池パック8に供給する場合に比べて、電池パック8への負担を軽減しつつ、適切な充電が可能となる。さらに、充電アダプタ5は、第2電力PW2の電圧値を適切な範囲に制御することで、電池パック8の充電における無駄な電力消費を抑制できる。
【0113】
(1e)充電アダプタ5において、MCU68は、充電停止条件が成立することに応じて、電池パック8への第2電力PW2の出力を停止する。これにより、充電アダプタ5は、電池パック8への第2電力PW2の出力が継続することに起因して、電池パック8が破損することを抑制できる。
【0114】
(1f)充電器1において、給電アダプタ3は、充電アダプタ5からの充電設定情報Siに応じて設定された第2電力PW2を出力できる。よって、充電器1は、電池パック8の状態変化に応じた第2電力PW2を用いた適切な充電制御ができる。
【0115】
(1g)充電器1において、充電アダプタ5は、アダプタ接続部52で受けた第2電力PW2の直流電圧を電圧変換せずにそのまま電池パック8に供給するため、電圧変換器を備える必要がない。このため、本開示の充電アダプタは、電圧変換器を備える構成に比べて、部品点数が少なくなり、コストを低減できる。また、本開示の充電アダプタは、部品点数が少なくなることで、小型化できる。
【0116】
(1h)充電器1は、給電アダプタ3と充電アダプタ5とがUSB-TypeCコネクタを介して互いに接続されるため、USB-PD規格に従って給電アダプタ3の第2電力PW2の直流電圧を制御できる。
【0117】
[1-7.用語の対応]
本実施形態において、アダプタ接続部52が本開示における第1接続部の一例に相当し、電池接続部53が本開示における第2接続部の一例に相当し、第1給電経路L1が本開示における給電経路の一例に相当する。第1BTIF70が本開示における状態監視部の一例に相当し、MCU68が本開示における演算部の一例に相当し、充電制御IC63が本開示における送信部の一例に相当する。充電設定情報Siが本開示の充電アダプタにおける制御パラメータの一例に相当する。
【0118】
LDSW69が本開示における経路スイッチの一例に相当し、MCU68が本開示における切替制御部の一例に相当する。充電制御IC63が本開示における起動部の一例に相当する。第1給電経路L1における分岐点P1から制御電源64に至る電気経路が本開示における第1内部経路の一例に相当し、第2給電経路L2が本開示における第2内部経路の一例に相当する。S270の充電停止条件が本開示における第1条件の一例に相当する。
【0119】
給電制御IC36が本開示における給電制御部の一例に相当し、AC/DCコンバータ35が本開示における電圧発生部の一例に相当する。第2パック端子85bが本開示における情報端子の一例に相当する。S210、S225の判定条件が本開示における第2条件の一例に相当する。
【0120】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0121】
(2a)上記実施形態では、給電アダプタ3がUSB-TypeCコネクタを備える構成について説明したが、本開示の給電アダプタは、このような構成に限られることはない。本開示の給電アダプタは、USB-TypeCコネクタを備えない直流電源であってもよい。直流電源は、直流電圧を含む直流電力を出力するように構成されてもよい。
【0122】
例えば、直流電源は、給電アダプタ3におけるUSB-TypeCコネクタの代わりに、他の形態の出力コネクタを備えてもよい。給電アダプタが、出力コネクタを備える直流電源の場合、充電アダプタの第1接続部(上記実施形態では、アダプタ接続部52)は、出力コネクタに離脱可能に接続できるように構成されてもよい。直流電源は、給電アダプタ3における給電制御IC36の代わりに電源制御用集積回路(以下、電源制御ICともいう)を備えてもよい。充電アダプタの演算部(例えば、充電制御IC63)は、直流電源の電源制御ICと通信できるように構成されてもよい。
【0123】
(2b)上記実施形態では、充電アダプタ5は、異常時処理の異常報知処理(S300)の形態として、給電アダプタ不適合および電池パック不適合を区別することなく報知する形態について説明したが、本開示の充電アダプタは、このような構成に限られることはない。本開示の充電アダプタは、給電アダプタ不適合および電池パック不適合を区別して報知する形態であってもよい。例えば、「給電アダプタ不適合」あるいは「電池パック不適合」と文字表示することで、異常内容を区別して報知してもよい。また、本開示の充電アダプタは、これら以外の異常を報知してもよい。
【0124】
(2c)上記実施形態では、充電アダプタ5は、電池パック8の充電が完了した場合(S270:YES)に、給電アダプタ3への通信を行わない形態について説明したが、本開示の充電アダプタは、このような構成に限られることはない。本開示の充電アダプタは、電池パックの充電が完了した場合に、給電アダプタに対して、充電停止時電力の制御値を含む充電設定情報を送信してもよい。充電停止時電力は、電池パックの充電を行わない場合に、充電アダプタが動作するために必要な電力に対応してもよい。充電停止時電力の電圧値は、デフォルト値に設定されてもよい。デフォルト値は、USB-PD規格で定められた選択可能な電圧のうち、最も低い電圧(例えば、5V)でもよい。
【0125】
なお、このような形態を上記実施形態で実現するには、電池パック8の充電が完了した場合に、MCU68は、充電制御IC63に対して、充電停止時電力を含む制御値Pcを送信してもよい。続いて、充電制御IC63は、給電制御IC36に対して、制御値Pcを含む充電設定情報Siを送信してもよい。つまり、充電アダプタ5は、電池パック8の充電が完了した場合に、充電停止時電力を含む充電設定情報Siを給電アダプタ3に送信してもよい。
【0126】
(2d)上記実施形態では、電池パック8が電力供給する電動作業機の例として電動ドリルについて説明したが、電動作業機は他の形態であってもよい。電動作業機は、例えば、インパクトドライバ、丸鋸などの電動工具であってもよい。また、電動作業機は、日曜大工、製造、園芸、工事などの作業現場で使用される各種電動作業機であってもよい。より具体的には、電動作業機は、例えば、電動芝刈り機、電動芝生バリカン、電動刈払機、電動クリーナ、電動ブロア、電動噴霧器、電動散布機、電動集塵機などであってもよい。
【0127】
(2e)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0128】
1…充電器、3…給電アダプタ、5…充電アダプタ、8…電池パック、33…電力出力部、35…AC/DCコンバータ、36…給電制御集積回路(給電制御IC)、52…アダプタ接続部、53…電池接続部、54…報知部、61…第1スイッチ、62…第2スイッチ、63…充電制御用集積回路(充電制御IC)、64…制御電源、68…マイクロコントローラユニット(MCU)、69…ロードスイッチ、70…第1バッテリインタフェース、83a…第1バッテリセル、83b…第2バッテリセル、L1…第1給電経路、L2…第2給電経路、L3…第3給電経路。