(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117873
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】ピッキング装置
(51)【国際特許分類】
B25J 13/08 20060101AFI20230817BHJP
【FI】
B25J13/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020665
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】515208326
【氏名又は名称】株式会社アールティ
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 真也
(72)【発明者】
【氏名】野村 弘行
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS13
3C707BS27
3C707CS10
3C707HS27
3C707KT01
3C707KT04
3C707LT11
3C707NS02
3C707NS26
(57)【要約】
【課題】ロボットを配置する場所の位置合わせを容易にする。
【解決手段】ピッキング装置は、撮像装置を有し、ワークを収容する容器からワークをピッキングして所定の搬送先へ搬送するロボットと、ユーザーとの間で情報の入出力を行うためのユーザーインターフェースと、ユーザーインターフェースを介してユーザーから操作を受け付けると共に、撮像装置が撮像する画像に基づいて容器及び搬送先を識別し、ロボットの動作を制御する制御装置とを備える。また、制御装置は、撮像装置が撮像した画像に対し、ピッキング装置を配置すべき位置から撮像される対象物の位置を示すガイドを重畳してユーザーインターフェースに表示させる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置と、
ワークを収容する容器から前記ワークをピッキングして所定の搬送先へ搬送するロボットと、
ユーザーとの間で情報の入出力を行うためのユーザーインターフェースと、
前記ユーザーインターフェースを介してユーザーから操作を受け付けると共に、前記撮像装置が撮像する画像に基づいて前記容器及び前記搬送先を識別し、前記ロボットの動作を制御する制御装置と、
を備えるピッキング装置であって、
前記制御装置は、前記撮像装置が撮像した画像に対し、前記ピッキング装置を配置すべき位置から撮像される対象物の位置を示すガイドを重畳して前記ユーザーインターフェースに表示させる
ピッキング装置。
【請求項2】
前記対象物は、前記容器であり、
前記ガイドは、前記容器の位置、大きさ及び向きを表す
請求項1に記載のピッキング装置。
【請求項3】
前記ガイドは、前記容器の外形を表す図形であり、前記容器の位置、大きさ及び向きに基づいて動的に生成される
請求項2に記載のピッキング装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記ユーザーインターフェースを介して入力された前記容器の種別に応じて、前記種別に対応付けて記憶装置に記憶されている前記ガイドを前記ユーザーインターフェースに表示させる
請求項1から3の何れか一項に記載のピッキング装置。
【請求項5】
前記ロボットを移動させるための移動手段と、
前記ロボットの移動を規制するためのストッパーと、
をさらに備える請求項1から4の何れか一項に記載のピッキング装置。
【請求項6】
前記ワークは食品であり、前記容器は番重である
請求項1から5の何れか一項に記載のピッキング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッキング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、連結機構が隣接するユニット間の位置決め手段を備える生産システムが提案されていた(例えば、特許文献1)。また、表示部の表示領域に対する部品が配置される位置を枠で示すガイド画像を、撮影部が撮影した画像と合成して表示させるボンディング装置も提案されていた(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-089039号公報
【特許文献2】特開2008-210948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
食品工場のように生産ラインのレイアウトが頻繁に変更されるような場合や、流れ作業においてロボットを配置する位置が変更されるような場合は、ロボットを配置する場所の位置合わせに手間がかかるという問題があった。本発明は、ロボットを配置する場所の位置合わせを容易にするための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ピッキング装置は、撮像装置と、ワークを収容する容器からワークをピッキングして所定の搬送先へ搬送するロボットと、ユーザーとの間で情報の入出力を行うためのユーザーインターフェースと、ユーザーインターフェースを介してユーザーから操作を受け付けると共に、撮像装置が撮像する画像に基づいて容器及び搬送先を識別し、ロボットの動作を制御する制御装置とを備える。また、制御装置は、撮像装置が撮像した画像に対し、ピッキング装置を配置すべき位置から撮像される対象物の位置を示すガイドを重畳してユーザーインターフェースに表示させる。
【0006】
また、対象物は、上記の容器であり、ガイドは、容器の位置、大きさ及び向きを表すものであってもよい。また、ガイドは、容器の外形を表す図形であり、容器の位置、大きさ及び向きに基づいて動的に生成されるものであってもよい。
【0007】
また、制御装置は、ユーザーインターフェースを介して入力された容器の種別に応じて、種別に対応付けて記憶装置に記憶されているガイドをユーザーインターフェースに表示させるものであってもよい。
【0008】
また、ロボットを移動させるための移動手段と、ロボットの移動を規制するためのストッパーとをさらに備えるものであってもよい。また、ワークは食品であり、容器は番重であってもよい。
【0009】
なお、課題を解決するための手段に記載の内容は、本発明の課題や技術的思想を逸脱しない範囲で可能な限り組み合わせることができる。また、課題を解決するための手段の内容は、コンピュータ等の装置若しくは複数の装置を含むシステム、コンピュータが実行する方法、又はコンピュータに実行させるプログラムとして提供することができる。なお、プログラムを保持する記録媒体を提供するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
ロボットを配置する場所の位置合わせを容易にするための技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、ピッキング装置の構成の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、ピッキング装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、ピッキング装置の使用状態の一例を示す側面図である。
【
図4】
図4は、ピッキング装置が実行する位置合わせ処理の一例を示す処理フロー図である。
【
図5】
図5は、第1の容器の配置に関する情報の一例である。
【
図6】
図6は、モニタに表示されるガイドの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0013】
<装置構成>
図1は、ピッキング装置100の構成の一例を示す斜視図である。
図2は、ピッキング装置100の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
図3は、ピッキング装置の使用状態の一例を示す模式的な側面図である。ピッキング装置100は、セントラルキッチンのような厨房や食品加工工場の製造ラインにおいて用いることができる。例えば、ピッキング装置100は、番重4(
図3)のような第1の容器にばら積みされた唐揚げ等の食品をピッキングし、ベルトコンベア3(
図3)のような搬送装置によって搬送される弁当容器31(
図3)等の第2の容器へ配置(プレーシング)する。また、ピッキング装置100は、自装置を配置すべき位置を示すガイドを、ユーザーに対し表示する。なお、ピッキング装置100は、その可動範囲等に基づいて、配置すべき位置が第1の容器又は第2の容器に対して相対的に定められているものとする。
【0014】
図1に示すように、ピッキング装置100は、ロボット1と、ロボット1が固定される台車2とを備える。また、ロボット1は、ロボットアーム11(11A、11B)と、エンドエフェクタ12(12A、12B)と、撮像装置13(13A、13B)とを有する。台車2は、ユーザーインターフェース(UI)21と、キャスター22と、取手23とを備え、その筐体内にピッキング装置100の動作を制御する制御装置24(
図2)を有する。また、UI21は、ボタン211と、モニタ212と、スピーカー213とを含む。なお、
図3に示すように、台車2の底面側には、台車2を設置場所に固定するための固定装置(ストッパー)25を備えていてもよい。
【0015】
<ロボット>
ロボット1は、例えば、7軸の自由度を有するロボットアーム11を両腕に備え、人間の上半身を模した多関節ロボットである。なお、ロボット1は、その胴体部分等にもモータを備え、胴体部分を捻ることができる。ロボットアーム11はいわゆる垂直多関節ロボットであり、一体として変位する骨格部材であるリンクと、リンク間を接続し、リンク同士の角度を変位させる関節とを交互に備える。なお、
図1に示す多関節ロボットは本発明に係るロボット1の一例であり、ロボット1は、3つ以上のロボットアームを備えるものであってもよい。また、ロボット1が備えるロボットアームの少なくとも一部は、垂直多関節ロボットでなくてもよい。すなわち、ロボット1は、水平多関節ロボットや、直交ロボット、パラレルリンクロボット等のような既知のロボットを含むシステムであってもよい。
【0016】
また、ロボット1が備えるリンク等の材料は特に限定されず、樹脂や金属、カーボン等を利用することができる。また、成形方法も特に限定されず、塑性加工や射出成型により製造してもよいし、3Dプリンタを利用して造形してもよい。
【0017】
ロボットアーム11は、その先端に、任意の機構を含むエンドエフェクタ12を備える。
図1に示すエンドエフェクタ12は、支点部分が切断された、2本で一対となるトングを着脱可能に保持する2指グリッパである。なお、エンドエフェクタ12はレードル又はお玉等、トング以外の調理器具を模したものであってもよい。また、指部が3つ以上の多指グリッパや、多指グリッパであって指が回動するもの、指が直線運動を行うもの、これらの指の一部が固定されたもの、平行リンク機構を用いるもの、劣駆動型ハンド、腱駆動型ハンド、吸着(真空)グリッパを備えるもの等であってもよい。
【0018】
ロボットアーム11は、関節にサーボモータを内蔵すると共に、サーボモータの回転角を制御する制御装置24と信号線を介して接続される。また、エンドエフェクタ12もサーボモータを備え、所定のコネクタを介して制御装置24と電気的に接続され、制御装置24によってサーボモータの回転が制御される。なお、制御装置24は、ロボット1に内蔵されるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。また、制御装置24は、インターネットやLAN(Local Area Network)等の通信網を介して接続され、いわゆるクラウド上でサービスを提供するコンピュータであってもよい。
【0019】
また、ロボット1は2つの撮像装置13を備える。すなわち、ロボット1は頭部に撮像装置13Aを備えると共に、胸部に撮像装置13Bを備えている。撮像装置13は、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を利用したイメージセンサを備えるデジタルカメラであってもよいし、さらに深度を測定できるRGB-Dカメラ等であってもよい。2つの撮像装置を備えることにより、ロボット1が何らかのワークを扱う場合に、ロボットアームの死角を減らすことができる。
【0020】
<台車>
図1に示すように、台車2は、直方体形状の筐体を有し、その上面の一端側(便宜上「前方」または「正面側」と呼ぶ)にロボット1が固定されている。また、台車2の上面の他端側(便宜上「後方」または(背面側)と呼ぶ)には、複数のボタン211とモニタ212とが配置されている。なお、モニタ212は、タッチパネルのような入出力装置であるものとする。また、台車2の側面にはスピーカー213が配置されている。また、台車2の底面にはキャスター22を有すると共に、台車2の背面側には取手23を有しユーザーはピッキング装置100を容易に移動させることができる。
図3に示すように、台車2の底面(
図3の例では後方)には、固定装置25を備えていてもよい。固定装置25は、例えば、台車2を押し上げて支持(ジャッキアップ)し、少なくとも一部(例えば後方)のキャスター22を床面から離隔させ得る支持機構である。また、固定装置25に代えて、又は固定装置25に加えて、少なくとも一部(例えば後方)のキャスター22は、車輪の回転を規制するストッパーを備えていてもよい。
図3の例では、後方のキャスター22は、鉛直方向に延びる主軸の回りを旋回すると共に、ストッパーを備える自在車であり、前方のキャスター22は、進行方向が変わらない固定車である。また、
図3においては固定装置25と後方のキャスター22とを便宜上前後にずらして示しているが、固定装置25と後方のキャスター22とは側面視において重なるように配置されていてもよい。また、
図2に示すように、台車2の筐体内には、制御装置24が格納されている。
【0021】
制御装置24はコンピュータであり、プロセッサ241と、記憶装置242とを有する。また、制御装置24は、所定のコネクタやケーブル等を含む入出力インターフェースを介して、ロボット1やUI21と接続されている。
【0022】
プロセッサ241は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置であり、
本実施形態に係るプログラムを実行することにより所定の処理を行う。なお、プロセッサ241は、単一のプロセッサに限定されず、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、プロセッサ241は、単一のソケットで接続される単一のプロセッサであって、マルチコア構成のものであってもよい。さらに、ピッキング装置100の少なくとも一部の処理がDigital Signal Processor(DSP)、Graphics Processing Unit(GPU)、数値演算プロセッサ、ベクトルプロセッサ、画像処理プロセッサ等の専用プロセッサ、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)等によって提供されてもよい。また、ピッ
キング装置100の少なくとも一部が、Field-Programmable Gate Array(FPGA)等の
専用large scale integration(LSI)、その他のデジタル回路であってもよい。
【0023】
プロセッサ241は、UI21を介してユーザーからピッキング装置100に対する操作を受け付ける。プロセッサ241は、ロボット1の動作を開始させる前に、ピッキング装置100の位置決めを行うための情報をモニタ212に表示させる。位置決めを行うための情報は、例えばピッキング装置100を配置すべき位置から撮像される対象物の位置を示すガイドであり、撮像装置13が出力する画像データ(以下、単に「画像」と呼ぶ)に対して重畳してモニタ212に表示させる。ユーザーは、モニタ212に表示される画像における対象物の位置、大きさ及び向きが、ガイドと一致するように、台車2を移動させる。なお、位置合わせを行う場合の撮像装置13の向きは、ロボット1が予め定められた姿勢をとることで一定であるものとする。また、ガイドと一致させる対象物の向きについても、ユーザーが調整するようにしてもよい。また、ガイドは、例えばワークの種別に対応付けて記憶装置242に複数記憶されていてもよい。
【0024】
ロボット1に盛付け動作が指示された場合は、プロセッサ241は、ロボットアーム11の各関節やエンドエフェクタ12が備えるモータの角度を示す情報を取得したり、撮像装置13が出力するデータ等を取得し、記憶装置242に記憶させる。そして、プロセッサ241は、撮像装置13が出力するデータや、ロボットアーム11の各関節の回転角に基づいてロボット1の動作を決定する。すなわち、プロセッサ241は、撮像装置13が出力する画像に基づいて、第1の容器内に載置されたワークのいずれかをピッキングする位置、ピッキングしたワークを配置する第2の容器内のプレイス位置を決定し、逆運動学に基づいてエンドエフェクタ12の目標位置から各関節に必要な回転角を計算する。なお、プレイス位置である第2の容器は搬送装置によって搬送される。よって、プロセッサ241は、第2の容器の移動と、エンドエフェクタ12の移動に要する時間とを加味してプレイス位置を決定する。また、プロセッサ241は、撮像装置13が撮像するロボット1の動作に基づいてフィードバック処理を行い、プレイス位置を調整してもよい。また、プロセッサ241は、決定されたピッキング位置やプレイス位置に基づいてロボットアーム11の関節の角度を変更させ、第2の容器に追従してエンドエフェクタ12を移動させつつ第2の容器にワークを配置させる。
【0025】
記憶装置242は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の主記憶装置及びHDD(Hard-disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の補助記憶装置(二次記憶装置)である。主記憶装置は、プロセッサ241が読み出したプログラム等を一時的に記憶したり、プロセッサの作業領域を確保したりする。補助記憶装置は、プロセッサ241が実行するプログラムや、ロボット1の動作に用いる情報等を記憶する。なお、プロセッサ241及び記憶装置242は、メモリを内蔵したマイクロコントローラであってもよい。
【0026】
<位置合わせ処理>
図4は、ピッキング装置100が実行する位置合わせ処理の一例を示す処理フロー図で
ある。上述した通り、位置合わせ処理においては、ユーザーが台車2の位置合わせを行うためのガイドを表示する。
【0027】
まず、制御装置24のプロセッサ241は、UI21を介してピッキング装置100が行う盛付け動作の選択を受け付ける(
図4:S1)。本ステップでは、例えば第1の容器の種別等の入力を受け付ける。すなわち、ユーザーは、予め定められた候補の中から、使用する番重のサイズ等に応じて第1の容器の種類を選択する。なお、第1の容器の種別に加えて、又は第1の容器の種別に代えて、ベルトコンベア3が第2の容器を搬送する方向や、第2の容器の種別、ワークの種別の入力を受け付けるようにしてもよい。例えば、第2の容器搬送する方向は、ロボット1から見て右から左であるか、左から右であるかを示す。第2の容器の種別は、弁当箱の形状や弁当箱の仕切られた領域のうちワークを配置する位置を示す。ワークの種別は、ピッキング装置100が扱うワークである食品の種別を示す。
【0028】
本実施形態では、第1の容器の種別と対応付けて、第1の容器の大きさ、並びに第1の容器が載置される位置及び向きが定められているものとする。
図5は、記憶装置242に予め記憶されている、第1の容器の配置に関する情報の一例である。
図5のテーブルは、「種別」、「大きさ」、「位置」、「向き」の各属性を含む。「種別」のフィールドには、第1の容器の種別を示す識別情報が登録される。「大きさ」のフィールドには、第1の容器について縦・横・高さの大きさを示す情報が登録される。「位置」のフィールドには、所定の座標系における第1の容器の位置を示す情報が登録される。「向き」のフィールドには、所定の座標系において第1の容器の向きを表す回転角を示す情報が登録される。なお、大きさが同一の、又は大きさが異なる複数の第1の容器を載置するようにしてもよい。
【0029】
また、プロセッサ241は、モニタ212において第1の容器の種別に応じたガイドを表示する位置等を算出する(
図3:S2)。本ステップでは、
図5に示した情報を用いて、ロボット1の撮像装置13から見た第1の容器の形状を示す情報を算出する。例えば、
図5に示した情報に基づいて決定される第1の容器の大きさ、位置及び向きを、ロボット1の撮像装置13から見たビュー座標系に変換する。
【0030】
また、プロセッサ241は、ロボット1を所定の姿勢に変位させる(
図3:S3)。本ステップでは、撮像装置13が所定の方向を向くように、ロボット1に予め定められた姿勢をとらせる。位置合わせに、例えば撮像装置13Aを用いる場合は、ロボット1の腰部及び首部のサーボモータを変位させる。また、撮像装置13Bを用いる場合は、ロボット1の腰部のサーボモータを変位させる。なお、ロボット1が予め定められた姿勢をとっている場合は、S3の処理を省略する。S2とS3の処理は順序を入れ替えて実行してもよいし、並列に実行してもよい。また、例えばロボット1の首部のサーボモータの仰俯角は、S1で読み出した第1の容器の位置等の情報に基づいて、S2で変換したビュー座標系において中央にガイドが位置するように、動的に決定してもよい。この場合、S2においては、撮像装置13が向き得る角度であって、エンドエフェクタ12が第1の容器に載置されるワークに届く距離に相当する形状のガイドを算出しておくものとする。
【0031】
そして、プロセッサ241は、撮像装置13が出力する画像に対し、S2で位置等を算出したガイドの画像を重畳し、モニタ212に表示させる(
図3:S4)。
図6は、モニタ212に表示されるガイドの一例を示す図である。
図6の例では、撮像装置13が出力する画像に重畳して、破線で示すガイドが表示されている。ガイドは、第1の容器の外形を表す図形であり、
図6の例では直方体形状である。また、
図6に示した「OK」ボタンが押下されるまで、プロセッサ241は、撮像装置13が継続的に出力する画像を、所定の頻度でモニタ212に表示させるものとする。
【0032】
<効果>
上記の位置合わせ処理によれば、ユーザーは、台車2を移動させ、ガイドとモニタ212に表示される第1の容器とを一致させることで、ピッキング装置100を適切な位置に位置合わせすることができる。また、ユーザーは、
図3に示した支持台41に対する番重4(第1の容器)の角度についても、ガイドに従って変更してもよい。すなわち、ピッキング装置100が担当するワークの種別が変更される場合や、生産ラインのレイアウトが変更される場合であっても、ユーザーが第1の容器とピッキング装置100との相対的な位置を合わせることが容易になる。また、本実施形態においては、
図3に示すように番重4とピッキング装置100との間を横切るようにベルトコンベア3(搬送装置)が配置されるものとする。したがって、第1の容器とピッキング装置100との相対的な位置を合わせることにより、ピッキング装置100は、ベルトコンベア3上を移動する弁当容器31(第2の容器)にもワークを載置できるようになる。
【0033】
また、ワークに対応する第1の容器のガイドは、
図6に破線で示したような画像を、例えば背景を透過した画像データとして用意してもよい。ただし、
図3のS2に示すようにガイドの位置等を動的に算出することにより、記憶装置242に記憶するデータの容量を削減することができ、また、第2の容器の寸法等を入力するだけで、新たな種別の第2の容器を追加することができるようになる。
【0034】
また、例えばワークの種別と第1の容器の種別との対応付けを保持するテーブルを予め記憶装置242に記憶させておいてもよい。この場合は、
図4のS1において、ユーザーが選択したワークの種別に対応する第1の容器の種別を特定し、特定された第1の容器の「大きさ」、「位置」及び「向き」を
図5に示したテーブルから読み出す。なお、ワークの種別と対応付けて、大きさが同一の、又は大きさが異なる複数の第1の容器を対応付けておいてもよく、この場合は、S2において複数のガイドについて、表示する位置を算出する。また、1つのピッキング装置100が複数の種類のワークをピックアンドプレイスするようにしてもよく、この場合も、S2において複数の第1の容器に対応する複数のガイドについて、表示する位置を算出する。
【0035】
<その他>
なお、上述した構成は一例であり、本発明は例示した構成に限定されない。上述した事項は、本発明の課題や技術的思想を逸脱しない範囲で適宜組み合わせて実施することができる。また、ピッキング装置100は、食品加工工場等の製造ラインにおいて好適に用いることができるが、ピッキング装置100が扱うワークは食品には限定されない。
【0036】
また、モニタ212は、台車2でなくロボット1に設けるようにしてもよいし、例えば無線LAN等の無線通信により接続されたタブレット等のコンピュータが備えるものであってもよい。
【0037】
また、上述のようなロボット1と台車2とが組み合わせられた構成でなくてもよい。例えば、ロボット1の筐体は、UI21、キャスター22、固定装置25等を備え、制御装置24を内蔵するものであってもよい。また、ピッキング装置100が備える移動手段は、キャスター22のような転動装置に代えて無限軌道であってもよいし、両者を備えていてもよい。
【0038】
また、撮像装置13は、ロボット1からは独立して設けられるものであってもよい。例えば、下方を見下ろすように支持される撮像装置13と、垂直多関節ロボットや水平多関節ロボット等であるロボット1とが、台車2に固定される構成であってもよい。このような例であっても、UI21に表示されるガイドに従って、ピッキング装置100の位置合
わせを行うことができる。
【0039】
また、本発明は上述の処理を実行するコンピュータプログラムを含む。さらに、当該プログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に属する。当該プログラムが記録された記録媒体については、コンピュータに、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、上述の処理が可能となる。
【0040】
ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータから読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータから取り外し可能なものとしては、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、光ディスク、磁気テープ、メモリカード等がある。また、コンピュータに固定された記録媒体としては、ハードディスクドライブやROM等がある。
【符号の説明】
【0041】
100:ピッキング装置
1:ロボット
11(11A、11B):ロボットアーム
12(12A、12B):エンドエフェクタ
13(13A、13B):撮像装置
2:台車
21:ユーザーインターフェース(UI)
211:ボタン
212:モニタ(タッチパネル)
213:スピーカー
22:キャスター
23:取手
24:制御装置
241:プロセッサ
242:記憶装置
25:固定装置
3:ベルトコンベア(搬送装置)
31:弁当容器(第2の容器)
4:番重(第1の容器)
41:支持台