(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117905
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】貯湯式給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24H 15/375 20220101AFI20230817BHJP
【FI】
F24H4/02 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020716
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100134038
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 薫央
(74)【代理人】
【識別番号】100150968
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 悠有子
(72)【発明者】
【氏名】巖 憲介
(72)【発明者】
【氏名】本間 誠
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 徹
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA23
3L122AA73
3L122AB22
3L122BA13
3L122BA14
3L122BA32
3L122BA34
3L122BA44
3L122BB03
3L122BB14
3L122BC12
3L122EA42
3L122EA46
3L122FA02
3L122FA04
3L122FA13
3L122FA34
(57)【要約】
【課題】自家発電電力による沸上げと商用電力による沸上げとを、ユーザーの希望を反映しながら実行することができる貯湯式給湯装置を提供する。
【解決手段】太陽光発電システムにより発電された自家発電電力および商用電源から供給される商用電力で作動するヒートポンプユニットと、一次判定時刻および二次判定時刻に所定時間帯の気象予測情報を取得する気象予測情報取得部と、一次判定時刻に取得された気象予測情報に基づいて算出される自家発電電力の一次予測発電量が所要発電量以上であるか否かを判定することにより、所定時間帯に自家発電電力による沸上げを実行するか否かを判定する実行判定部と、実行判定部が実行すると判定した場合において、二次判定時刻に取得された気象予測情報に基づいて算出される自家発電電力の二次予測発電量が所要発電量に満たない場合、所定時間帯における沸上げの実行または中止の指示を受け付ける指示受付部と、を備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、
太陽光発電システムにより発電された自家発電電力および商用電源から供給される商用電力で作動し、前記湯水を沸上げるヒートポンプユニットと、
一次判定時刻および前記一次判定時刻よりも後に到来する二次判定時刻に所定時間帯の気象予測情報を取得する気象予測情報取得部と、
前記一次判定時刻に取得された前記気象予測情報に基づいて算出される前記自家発電電力の一次予測発電量が所要発電量以上であるか否かを判定することにより、前記所定時間帯に前記自家発電電力で前記ヒートポンプユニットを作動させて前記湯水を沸上げる前記自家発電電力による沸上げを実行するか否かを判定する実行判定部と、
前記実行判定部が実行すると判定した場合において、前記二次判定時刻に取得された前記気象予測情報に基づいて算出される前記自家発電電力の二次予測発電量が前記所要発電量に満たない場合、前記所定時間帯における沸上げの実行または中止の指示を受け付ける指示受付部と、を備える貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記指示受付部が前記実行の指示を受け付けた場合、または前記実行および前記中止のいずれの指示も受け付けない場合、前記所定時間帯において前記自家発電電力による沸上げを実行し、所要の前記自家発電電力が得られない場合前記商用電力による沸上げを実行する沸上げ実行部をさらに備える、請求項1記載の貯湯式給湯装置。
【請求項3】
前記所定時間帯は、前記所定時間帯以外の時間帯に比べて前記商用電力の電力料金単価が高い時間帯である、請求項1または2記載の貯湯式給湯装置。
【請求項4】
前記指示受付部は、前記所定時間帯の沸上げを実行すると前記商用電力の電力料金が高くなる旨を通知するとともに、前記実行または前記中止の指示を受け付ける、請求項3記載の貯湯式給湯装置。
【請求項5】
前記指示受付部は、前記中止の指示を受け付けた場合、前記貯湯タンクの貯湯量が低下している旨の通知または前記貯湯量の湯増しを促す通知を行う、請求項1から4のいずれか一項記載の貯湯式給湯装置。
【請求項6】
前記指示受付部は、前記一次判定時刻に取得された前記気象予測情報が晴または曇であり、前記二次判定時刻に取得された前記気象予測情報が雨である場合に、前記所定時間帯における沸上げの前記実行または前記中止の指示を受け付ける請求項1から5のいずれか一項記載の貯湯式給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電システムにより発電された電力により湯水を沸上げる貯湯式給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、HEMS(Home Energy Management System)を利用して、宅内で使用されるエネルギーを一元管理する技術が知られている。例えば、太陽光発電システムと連携する貯湯式給湯装置が、太陽光発電システムが発電した自家発電電力により効率的に湯水の沸上げを行えるように、HEMSが沸上げ運転を実行可能な発電電力値となる時間帯を予測する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽光発電システムによる発電量は、気象に応じて変動する。例えば、取得された晴、曇、雨のような気象予測情報に基づいて所定時間帯における発電の可否を決定する。このため、所定時間帯の気象が気象予測情報通りであれば、予測通りの発電量が得られるし、気象予測情報が変化した場合には、予測通りの発電量が得られない。
【0005】
ここで、自家発電電力が得られない場合には、商用電源から供給される商用電力で湯水の沸上げを行うことになるが、商用電力は時間帯によって電力料金単価が変動する場合がある。例えば、昼間の電力料金単価が相対的に高くなる場合がある。このような事情から、ユーザーは、電力料金単価の安い時間帯に商用電力で湯水を沸上げ、それ以外の時間帯には自家発電電力で湯水を沸上げることを所望するのが一般的である。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、自家発電電力による沸上げと商用電力による沸上げとを、ユーザーの希望を反映しながら実行することができる貯湯式給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る貯湯式給湯装置は、上述した課題を解決するために、湯水を貯湯する貯湯タンクと、太陽光発電システムにより発電された自家発電電力および商用電源から供給される商用電力で作動し、前記湯水を沸上げるヒートポンプユニットと、一次判定時刻および前記一次判定時刻よりも後に到来する二次判定時刻に所定時間帯の気象予測情報を取得する気象予測情報取得部と、前記一次判定時刻に取得された前記気象予測情報に基づいて算出される前記自家発電電力の一次予測発電量が所要発電量以上であるか否かを判定することにより、前記所定時間帯に前記自家発電電力で前記ヒートポンプユニットを作動させて前記湯水を沸上げる前記自家発電電力による沸上げを実行するか否かを判定する実行判定部と、前記実行判定部が実行すると判定した場合において、前記二次判定時刻に取得された前記気象予測情報に基づいて算出される前記自家発電電力の二次予測発電量が前記所要発電量に満たない場合、前記所定時間帯における沸上げの実行または中止の指示を受け付ける指示受付部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る貯湯式給湯装置においては、自家発電電力による沸上げと商用電力による沸上げとを、ユーザーの希望を反映しながら実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態における貯湯式給湯装置を含む給湯システムのシステム構成図。
【
図2】制御部、リモコンおよびサーバーの機能ブロック図。
【
図3】制御部により実行される昼沸上げ判定処理を説明するフローチャート。
【
図4】昼沸上げ判定処理において昼沸上げが不可能あると判定された場合の給湯装置において実行される処理の概念図。
【
図5】昼沸上げ判定処理において昼沸上げが可能あると判定された場合の給湯装置において実行される処理の概念図。
【
図6】標準モードが選択されている場合における昼沸上げ判定処理を実行するために必要な情報を概念的に示す説明図。
【
図7】積極モードが選択されている場合における昼沸上げ判定処理を実行するために必要な情報を概念的に示す説明図。
【
図8】ユーザー端末において昼沸上げ判定処理を行うのに必要な情報をユーザーから受け付ける際の表示画面例を示す図。
【
図9】制御部により実行される昼沸上げ指示受付処理を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る貯湯式給湯装置の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本実施形態における貯湯式給湯装置1を含む給湯システム100のシステム構成図である。
【0012】
給湯システム100は、分電盤2と、太陽光発電システム3と、サーバー6と、貯湯式給湯装置1(以下単に「給湯装置1」という。)と、を有する。
【0013】
分電盤2は、太陽光発電システム3および給湯装置1とともに、住宅などの建造物(以下単に「住宅」という。)に設置されている。分電盤2は、商用電源2aおよび太陽光発電システム3に接続されている。分電盤2は、商用電源2aから供給される商用電力および太陽光発電システム3により発電された自家発電電力を、住宅で使用される給湯装置1や、給湯装置1以外のエアコンなどの宅内の電気負荷機器(以後の説明および
図1においては単に「エアコン等7」と示す。)に供給する。
【0014】
太陽光発電システム3は、太陽光発電パネル4と、インバータ5と、を有する。太陽光発電パネル4は、住宅の屋根などに設置される。インバータ5は、太陽光発電パネル4の発電電力を交流電源に変換する。
【0015】
サーバー6は、ネットワーク8を介して、給湯装置1およびユーザー端末9と接続されている。サーバー6は、給湯装置1で実行される種々の処理に必要な情報(詳細は後述)を給湯装置1およびユーザー端末9と送受信する。ユーザー端末9は、給湯装置1のユーザーの所有する、スマートフォンやタブレット、パーソナルコンピュータなどのネットワーク8を介してサーバー6と通信可能な機器である。
【0016】
給湯装置1は、貯湯タンク10と、ヒートポンプユニット19と、循環回路27と、リモコン32と、制御部31と、を有する。
【0017】
貯湯タンク10は、風呂や台所などの給湯端末に供給される湯水を貯湯する。貯湯タンク10は、給水管11と、出湯管12と、給水バイパス管13と、給湯管15と、貯湯温度センサ18と、を有する。
【0018】
給水管11は、貯湯タンク10の底部で貯湯タンク10に接続され、貯湯タンク10に給水する。出湯管12は、貯湯タンク10の頂部で貯湯タンク10に接続され、貯湯タンク10から出湯する。給水バイパス管13は、給水管11から分岐した配管であり、混合弁14を介して出湯管12と接続される。混合弁14は、出湯管12からの湯と給水バイパス管13からの水を、リモコン32によって設定された給湯設定温度になるように混合する。
【0019】
給湯管15は、混合弁14を介して供給される湯水を給湯端末に給湯する。給湯管15は、給湯流量センサ16と、給湯温度センサ17と、を有する。給湯流量センサ16は、給湯流量を検出し、対応する検出信号を制御部31に出力する。給湯温度センサ17は、給湯温度を検出し、対応する検出信号を制御部31に出力する。
【0020】
貯湯温度センサ18は、貯湯タンク10内の湯水の温度を検出し、対応する検出信号を制御部31に出力する。貯湯温度センサ18は、貯湯タンク10の側面に高さ位置を変えて複数個設けられている。これら複数の貯湯温度センサ18のそれぞれは、例えば、十分に加熱された状態の湯の温度に対応して予め設定された、所定のしきい値以上の湯水温度を検出したとき、対応する検出信号を制御部31へ出力する。制御部31は、検出信号を出力する貯湯温度センサ18の個数に基づき、貯湯タンク10内において湯水が十分に加熱された状態となっている湯の量(すなわち貯湯量)を検出する。
【0021】
ヒートポンプユニット19は、自家発電電力および商用電力で作動し、湯水との熱交換を行い湯水を沸上げる。ヒートポンプユニット19は、圧縮機20と、水冷媒熱交換器21と、膨張弁22と、空気熱交換器23と、冷媒管26と、送風機24と、を有する。
【0022】
圧縮機20は、冷媒を高温高圧に圧縮搬送する。水冷媒熱交換器21は、高温の高圧の冷媒と貯湯タンク10からの水との熱交換を行う。膨張弁22は、水冷媒熱交換器21で熱交換された冷媒を減圧膨張させる。空気熱交換器23は、外気と低圧冷媒との熱交換を行い低圧冷媒を蒸発させる。冷媒管26は、圧縮機20、水冷媒熱交換器21、膨張弁22、および空気熱交換器23に冷媒を循環させる。送風機24は、空気熱交換器23へ外気を送風する。
【0023】
また、ヒートポンプユニット19は、吐出温度センサ25と、外気温度センサ30と、を有する。吐出温度センサ25は、圧縮機20から吐出される冷媒の温度を検出し、対応する検出信号を制御部31へ出力する。外気温度センサ30は、外気温度を検出し、対応する検出信号を制御部31へ出力する。
【0024】
循環回路27は、貯湯タンク10と水冷媒熱交換器21との間で貯湯タンク10内の湯水を循環させる。循環回路27は、加熱往き管27aと、加熱戻り管27bと、加熱循環ポンプ28と、沸上げ温度センサ29と、を有する。
【0025】
加熱往き管27aは、貯湯タンク10の下部と水冷媒熱交換器21の水側入口とを接続する。加熱戻り管27bは、水冷媒熱交換器21の水側出口と貯湯タンク10の上部とを接続する。加熱循環ポンプ28は、加熱往き管27a上に配置され、湯水を循環させる。沸上げ温度センサ29は、加熱戻り管27b上に配置され、検出信号を制御部31へ出力する。
【0026】
リモコン32は、入力部33と、表示部34と、を有する。入力部33は、給湯端末に供給される湯水の設定温度などの給湯装置1に関するユーザーからの指示を受け付ける。表示部34は、ユーザーに提示すべき所要の情報を表示する。
【0027】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有し、制御部31の制御に必要な各種プログラムや、データを記憶する。制御部31は、各種プログラムに従って給湯装置1全体の作動を制御する。制御部31は、リモコン32と接続され、リモコン32と双方向に通信する。
【0028】
制御部31は特に、昼沸上げ判定処理および昼沸上げ指示受付処理(ともに後述)を実行するための機能を有する。ここで、
図2は、制御部31、リモコン32およびサーバー6の機能ブロック図である。
図2においては、特に昼沸上げ判定処理および昼沸上げ指示受付処理に必要な機能のみが図示され、その他の機能の図示は省略されている。制御部31は、記憶部50と、気象予測情報取得部41と、実行判定部42と、モード取得部43と、指示受付部44と、沸上げ実行部45と、を有する。
【0029】
記憶部50は、昼沸上げ判定処理のためにユーザー端末9より取得する情報であり、後述する選択モード情報51、システム容量情報52、沸上げ時間帯情報53、宅内消費電力情報54および地域情報55を記憶する。
【0030】
気象予測情報取得部41は、一次判定時刻および一次判定時刻よりも後に到来する二次判定時刻に所定時間帯の気象予測情報61をサーバー6より取得する。気象予測情報61は、雲量毎に規定された天気であり、例えば晴、曇、雨の三種類である。晴は、雲量が最も少なく、太陽光発電システム3の発電効率が最も高い天気である。曇は、晴よりも雲量の多い天気であり、晴よりも太陽光発電システム3の発電効率が低い天気である。雨は、太陽光発電システム3が発電しない、または発電したとしても晴よりも発電効率が低く、曇よりも発電効率が低い可能性のある天気である。
【0031】
所定時間帯は、太陽光発電システム3が発電可能な昼間に含まれる時間帯(以下「発電時間帯」という)であり、例えば9時から15時までである。気象予測情報取得部41は、発電時間帯の所定時間毎(例えば1時間毎)の気象予測情報61をサーバー6より取得する。
【0032】
実行判定部42は、自家発電電力の予測発電量に基づいて、発電時間帯中のいずれかの時間に自家発電電力による沸上げを実行するか否かを判定する。予測発電量は、気象予測情報取得部41が取得した気象予測情報61に基づいて算出される(後述)。自家発電電力による沸上げは、発電時間帯中のいずれかの時間に自家発電電力でヒートポンプユニット19を作動させて、循環回路27を循環する湯水を沸上げる運転である。実行判定部42は、記憶部50に記憶されている選択モード情報51を参照し、選択された判定モードで判定を行う。
【0033】
モード取得部43は、ユーザーより選択された判定モードに関する情報をユーザー端末9より取得する。モード取得部43は、取得した判定モードを、選択モード情報51として記憶部50に記憶させる。判定モードは、実行判定部42の判定に関するモードであり、ユーザーに選択させるために設けられる。判定モードは、標準モードおよび積極モードからなる。
【0034】
標準モードは、沸上げに必要な自家発電電力が得られる確実性が高い場合(例えば気象予測情報61が晴の場合)にだけ、実行判定部42に昼間に自家発電電力による沸上げを実行すると判定させるモードである。積極モードは、沸上げに必要な自家発電電力が得られる確実性が標準モードで想定されているものよりも低い場合(例えば気象予測情報61が曇りの場合)であっても、実行判定部42に昼沸上げを実行すると判定させるモードである。
【0035】
すなわち、積極モードは、標準モードよりも実行判定部42に自家発電電力による昼沸上げを実行すると判定させやすい。例えば、標準モードが、晴の場合にだけ自家発電電力による昼沸上げを実行すると判定するモードであるのに対し、積極モードは、晴と曇の場合に自家発電電力による昼沸上げを実行すると判定するモードである。「曇」は、雲量に範囲があり、同じ「曇」でも、所要の発電量が得られる雲量の場合と、得られない雲量の場合とが含まれる。このため、積極モード選択時において、自家発電電力による昼沸上げを実行すると判定された場合であっても、発電量が得られる確実性は、標準モードよりも低くなる。すなわち、雲量の多い曇りでは、十分に自家発電電力を確保できずに、所要量の湯水の沸上げを行うために、電力料金単価が相対的に高い昼間の商用電力を用いて昼沸上げを行なわなければいけないリスクがある。
【0036】
指示受付部44は、後述する昼沸上げ指示受付処理において、表示部34やユーザー端末9に所要の表示を行ったり、入力部33およびユーザー端末9から入力された指示を受け付けたりする。
【0037】
沸上げ実行部45は、所要タイミングにおいて商用電力または自家発電電力による湯水の沸上げを実行する。
【0038】
次に、本実施形態における給湯装置1の制御部31により実行される昼沸上げ判定処理の詳細を説明する。まず、昼沸上げ判定処理の前提として、給湯装置1が有する課題について説明する。
【0039】
給湯装置1は、商用電力または自家発電電力により、湯水の沸上げを行う。商用電力は、夜間(所定時間帯以外の時間帯)に比べて昼間(所定時間帯)の方が電力料金単価が高く設定されている。このため、給湯装置1は、商用電力を用いる場合には、昼間に湯水を沸上げる(昼沸上げ運転)よりも、夜間に湯水を沸上げる(夜沸上げ運転)を行うことがユーザーの電気代の負担を軽減する観点から好ましい。
【0040】
これと同時に、住宅に給湯装置1とともに太陽光発電システム3が設置されている場合には、商用電力ではなく、自家発電電力で湯水を沸上げることが好ましい。ここで、太陽光発電システム3は、日照時間や日射量に応じて発電効率が変動する。このため、給湯装置1が自家発電電力で湯水を沸上げるためには、太陽光発電システム3が、昼間において、ユーザーが必要な量の湯水を沸上げるための電力量が得られることが必要となる。
【0041】
例えば、HEMSが宅内で使用されるエネルギーを一元管理する場合には、給湯装置1が太陽光発電システム3の実際の発電量や宅内消費電力量の予測値を取得することができるため、発電量に応じて自家発電電力による沸上げの可否を判断することができる。しかしながら、HEMSが設置されていない住宅においては、それが難しいという現状がある。
【0042】
すなわち、給湯装置1により気象予測情報61に基づいて翌日の昼沸上げに必要な自家発電電力が得られると判断され、夜沸上げの量を減らすことで、商用電力の使用量を低減し、自家発電電力の使用量を増加することができる。
【0043】
HEMSにより実際の発電量と給湯装置1以外の電気負荷機器で消費される実際の消費電力量を把握できる場合には、昼間の自家発電電力による沸上げに利用可能な余剰電力量の予測にこの実際の発電量と実際の消費電力量とを利用できる。しかしながら、HEMSが設置されていない住宅においては、実際の発電量が利用できないために余剰電力量の予測精度が相対的に低くなる。このため、翌日の昼沸上げを実行することを決定した場合であっても、実際には電力量が得られずに電力料金単価の高い昼間の商用電力で沸上げすることになるおそれがある。
【0044】
給湯装置1の沸上げに利用する太陽光発電システム3の余剰電力量を確実に得るためには、発電効率の高い晴が気象予測情報61として得られる場合にのみ、昼間の沸上げを実行すると判断し、曇や雨の際には夜沸上げで所要量の全量の湯水の沸上げを実行し、昼沸上げを実施しないことが好ましい。
【0045】
しかしながら、太陽光発電システム3のシステム容量が大きい場合には、曇でも一定量の発電が見込めるため、積極的に昼沸上げを実施することを希望するユーザーも存在し得る。そこで、給湯装置1は、自家発電電力を利用した昼沸上げをユーザー毎の希望を反映させつつ実行するために、昼沸上げ判定処理を実行する。
【0046】
図3は、制御部31により実行される昼沸上げ判定処理を説明するフローチャートである。
【0047】
図4は、昼沸上げ判定処理において昼沸上げが不可能あると判定された場合の給湯装置1において実行される処理の概念図である。
【0048】
図5は、昼沸上げ判定処理において昼沸上げが可能あると判定された場合の給湯装置1において実行される処理の概念図である。
【0049】
この昼沸上げ判定処理は、例えば給湯装置1が起動されている間繰り返し実行される。
【0050】
ステップS1において、気象予測情報取得部41は、一次判定時刻が到来したか否かを判定する。一次判定時刻は、翌日の発電時間帯の気象予測情報61をサーバー6より取得する、予め設定された時刻である。一次判定時刻は、例えば、後述するステップS4において沸上げが必要な湯水の全量が夜沸上げで沸上げられると判定された場合に、その後夜沸上げを完了することのできるタイミングである。また、一次判定時刻は、天気予報の確度の観点から、可能な限り発電時間帯に近い時刻(例えば23時)であることが好ましい。
【0051】
気象予測情報取得部41は、一次判定時刻がいまだ到来していないと判定した場合(ステップS1のNO)、一次判定時刻が到来するまで待機する。一方、気象予測情報取得部41は、一次判定時刻が到来したと判定した場合(ステップS1のYES)、ステップS2において、サーバー6から気象予測情報61を取得する。ここで、
図6は、標準モードが選択されている場合における昼沸上げ判定処理を実行するために必要な情報を概念的に示す説明図である。
図7は、積極モードが選択されている場合における昼沸上げ判定処理を実行するために必要な情報を概念的に示す説明図である。
図6においては、一次判定時刻で取得された気象予測情報61と、二次判定時刻で取得された気象予測情報61とが示されている。
図7においては、一次判定時刻で取得された気象予測情報61が示されている。
【0052】
気象予測情報取得部41は、給湯装置1が設置されている住宅の地域に関する地域情報55に基づいて、サーバー6より対応する地域の気象予測情報61を取得する。ここで、
図8は、ユーザー端末9において昼沸上げ判定処理を行うのに必要な情報をユーザーから受け付ける際の表示画面例を示す図である。
【0053】
ユーザー端末9は、例えば給湯装置1が専用に作成し提供するアプリケーションプログラム(アプリ)を所定のサーバーよりダウンロードしてインストールすることにより利用可能である。ユーザー端末9は、このアプリを介して給湯装置1の操作のための指示を給湯装置1に送信したり、給湯装置1の現在の使用状況や過去の使用履歴を受信して閲覧したりする。制御部31は、これら処理に必要な所要の情報をユーザー端末9に提供したり、ユーザー端末9から取得した指示を給湯装置1において実行したりする。本実施形態においては、制御部31は、昼沸上げ判定処理を実行するための初期設定として、
図8の表示画面9aにおいて所要の情報をユーザー端末9より受け付ける。
【0054】
地域情報55は、都道府県および市町村に関する情報をアプリを介してユーザー端末9から受け付けることにより、制御部31が取得する。記憶部50は、取得した地域情報55を記憶する。
【0055】
サーバー6は、例えば気象情報を提供する業者などから提供された全国の複数箇所の気象予測情報61を予め保有している。または、サーバー6は、給湯装置1より気象予測情報61が要求された場合に、所定のデーターサーバーから気象予測情報61を取得する。気象予測情報取得部41は、地域情報55に基づいて、対応する気象予測情報61をサーバー6に要求し取得する。気象予測情報取得部41は、例えば
図6および
図7に示すように、9時から15時までの発電時間帯の1時間毎の気象予測情報61を取得する。なお、
図6および
図7においては、時刻「9時」の気象予測情報61は、9時から10時の1時間の気象予測情報を示している。
【0056】
ステップS3において、実行判定部42は、発電時間帯において、自家発電電力でヒートポンプユニット19を作動させて湯水を沸上げる自家発電電力による昼沸上げを実行するか否か、を判定する。すなわち、実行判定部42は、一次判定時刻に取得された気象予測情報61に基づいて算出される自家発電電力の予測発電量(一次予測発電量)が所要発電量以上であるか否かを判定することにより、発電時間帯に、商用電力ではなく自家発電電力による沸上げを実行するか否かを判定する。
【0057】
具体的には、実行判定部42は、得られた気象予測情報61の内容、すなわち晴、曇、雨にそれぞれ割り当てられる発電率に基づいて、予測発電量を算出する。また、実行判定部42は、予測発電量からエアコン等7で消費される電力量(以下単に「宅内消費電力量」という)を引いた余剰電力量と、ヒートポンプユニット19が湯水を沸上げる際に消費する電力量とを比較する。実行判定部42は、ヒートポンプユニット19で消費される量(以下単にヒートポンプ消費電力量)と比較し、余剰電力量がヒートポンプ消費電力量よりも大きい場合、自家発電電力による沸上げを実行すると判定する。
【0058】
上述の通り、判定モードは、ユーザー端末9を介してモード取得部43が選択を受け付けることによりユーザーにより設定される。
図8のユーザー端末9の表示画面9aにおいては、判定モードの設定は、「積極」ボタンまたは「標準」ボタンの選択により受け付けている。モード取得部43は、ユーザーより受け付けた判定モードに関する情報を、選択モード情報51として記憶する。
【0059】
実行判定部42は、標準モードが選択されている場合、気象予測情報61が晴である場合には発電率を0.6とする。また、曇および雨である場合には、発電率を0とする。積極モードが選択されている場合、気象予測情報61が晴である場合には発電率を0.6とする。また、曇である場合には発電率を0.4とする。また、雨である場合には、発電率を0とする。
【0060】
発電率は、積極モードが選択されている場合、標準モードが選択されている場合に比べて曇である場合の発電率が高くなるように設定される。すなわち、実行判定部42は、標準モードが選択された場合と積極モードが選択された場合とで、予測発電量の算出方法を異ならせる。これにより積極モードがユーザーに選択された場合に、標準モードが選択された場合よりも自家発電電力による沸上げを実行すると判定されやすくなる。
【0061】
予測発電量は、太陽光発電システム3のシステム容量に、得られた気象予測情報61に割り当てられる発電率を乗算した値を用いる。システム容量は、太陽光発電システム3の単位時間あたり(1時間あたり)の発電量であって発電能力を表す値であり、太陽光発電システム3に固有の値である。制御部31は、
図8に示すようにアプリの表示画面9aにおいてユーザー端末9からシステム容量を受け付け、システム容量情報52として記憶部50に記憶する。
【0062】
実行判定部42は、標準モードが選択されている状態で例えば
図6に示すような気象予測情報61が得られた場合、1時間毎の予測発電量を、システム容量と発電率とを掛け合わせてそれぞれ算出する。
【0063】
宅内消費電力量は、例えば単位時間あたり(1時間あたり)の宅内消費電力量の平均値であり、ユーザーにより設定される値である。制御部31は、ユーザー端末9より表示画面9aを介して受け付けた宅内消費電力量を、宅内消費電力情報54として記憶部50に記憶する。
【0064】
実行判定部42は、予測発電量からこの宅内消費電力量を引くことにより余剰電力量を算出する。すなわち、余剰電力量は、システム容量×発電率-宅内消費電力量で定義される。
【0065】
ヒートポンプ消費電力量は、予め設定されて制御部31が保有する、ヒートポンプユニット19が沸上げ時に消費する電力量に若干の上乗せ分の係数を掛け合わせた値である。ヒートポンプ消費電力量は、季節や曜日などにより変動し得る値である。例えば、ヒートポンプ消費電力量は、通常時は1kWに係数1.2を掛け合わせた値に設定される。また、ヒートポンプユニット19の使用頻度が高くなる冬などにおいては1.5kWに係数1.2を掛け合わせた値に設定される。
【0066】
ステップS4において、実行判定部42は、算出した余剰電力量がヒートポンプ消費電力量よりも大きいか否かを判定することにより、自家発電電力の余剰電力量で湯水の昼沸上げが可能であるか否かを判定する。実行判定部42は、沸上げに要する時間(例えば3時間)分連続して余剰電力量がヒートポンプ消費電力量よりも大きい場合に、昼沸上げが可能であると判定する。例えば
図6および
図7の例においては、いずれの判定モードにおいても3時間連続して余剰電力量がヒートポンプ消費電力量よりも大きく、運転判定が○であるため、実行判定部42は、昼沸上げが可能であると判定する。
【0067】
実行判定部42は、昼沸上げが不可能であると判定した場合(ステップS4のNO)、ステップS5において、沸上げが必要な湯水の全量を沸上げるための夜沸上げを実行する(
図4参照)。すなわち、翌日の昼間は所要の日照時間や日射量が得られず昼沸上げが行えないため、または余剰電力量がヒートポンプ消費電力量以下であるため、電力料金単価の低い夜間に、商用電力で全量の湯水を沸上げる。その後、制御部31は、ステップS1に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0068】
一方、実行判定部42は、昼沸上げが可能であると判定した場合(ステップS4のYES)、ステップS6において、昼沸上げの開始時刻を決定する。実行判定部42は、沸上げに要する時間分連続して得られる時刻のうち、最も早い時間帯を昼沸上げの開始時刻とする。これは、気象予測情報61を取得したタイミングに対して近い時刻の気象予測情報61は確度が高いといえるためである。例えば
図5から
図7の例においては、3時間連続して昼沸上げが実行可能な時間のうち最も早い9時を、開始時刻に決定する。
【0069】
また、実行判定部42は、昼沸上げを実行する時間帯の設定をユーザーから受け付けてもよい。
図8のユーザー端末9の表示画面9aにおいては、時間帯の設定を「早め」ボタン、「標準」ボタンまたは「遅め」ボタンの選択により受け付けている。制御部31は、ユーザー端末9より受け付けた沸上げ時間帯に関する情報を、沸上げ時間帯情報53として記憶部50に記憶する。太陽光発電システム3の発電のピークは、太陽光発電パネル4の設置角度などに応じてユーザー毎に異なる。このため、給湯装置1は、自家発電電力による昼沸上げを実行する時間帯をユーザーに選択させることにより、各ユーザーの環境に合わせた沸上げを実行する。
【0070】
ステップS7において、沸上げ実行部45は、沸上げが必要な湯水のうちの一部の量について、商用電力による夜沸上げを実行する(
図5参照)。すなわち、翌日の昼間は所要の日照時間や日射量が得られる予測であることから、電力料金単価の低い夜間に、沸上げが必要な湯水の一部(例えば全量の20~60%)の湯水を商用電力で沸上げる。
【0071】
ステップS8において、気象予測情報取得部41は、二次判定時刻が到来したか否かを判定する。二次判定時刻は、昼沸上げを実行する当日の発電時間帯の気象予測情報61をサーバー6より取得する、予め設定された時刻(例えば7時)である。二次判定時刻は、後述するステップS13において実行される昼沸上げの開始時刻前の時刻である。
【0072】
気象予測情報取得部41は、二次判定時刻がいまだ到来していないと判定した場合(ステップS8のNO)、二次判定時刻が到来するまで待機する。一方、気象予測情報取得部41は、二次判定時刻が到来したと判定した場合(ステップS8のYES)、ステップS9において、ステップS2と同様にサーバー6から気象予測情報61を取得する。
【0073】
気象予測情報取得部41は、例えば
図6に示すように、9時から15時までの発電時間帯の1時間毎の気象予測情報61を取得する。
【0074】
ステップS10において、実行判定部42は、一次判定時刻で取得した気象予測情報61に対して、二次判定時刻で取得した気象予測情報61に変化があったか否かを判定する。実行判定部42は、変化があると判定した場合(ステップS10のYES)、ステップS11において、昼沸上げの開始時刻を、二次判定時刻で取得した、変化した気象予測情報61に基づいて決定する。実行判定部42は、沸上げに要する時間が連続して得られる時刻のうち、最も早い時間帯を昼沸上げの開始時刻とする。また、実行判定部42は、連続した3時間の余剰電力量の合計が最も大きい時間帯に昼沸上げが実行されるよう、開始時刻を決定してもよい。
【0075】
例えば
図6の例においては、10時から11時の気象予測情報61が晴から曇に変化したため、余剰電力量がヒートポンプ消費電力量よりも小さく、運転判定が×に変更された。このため、実行判定部42は、9時を開始時刻とする昼沸上げが不可能であると判定する。実行判定部42は、3時間連続して昼沸上げが実行可能な時間である11時を、開始時刻に決定する。なお、ステップS11において、制御部31は、余剰電力量がヒートポンプ消費電力量よりも小さく、沸上げに要する時間が連続して得られる時刻がない場合においては、後述する
図9の昼沸上げ指示受付処理に進む。
【0076】
気象予測情報61に変化がないと判定された場合(ステップS10のNO)、およびステップS11の後、ステップS12において、制御部31は、開始時刻決定ステップS6またはS11で決定された開始時刻が到来したか否かを判定する。制御部31は、開始時刻がいまだ到来していないと判定した場合(ステップS12のNO)、開始時刻が到来するまで待機する。一方、開始時刻が到来したと判定した場合(ステップS12のYES)、ステップS13において、沸上げ実行部45は、沸上げが必要な湯水のうちの残量を自家発電電力により沸上げる(
図5参照)。その後、制御部31はステップS1に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0077】
以上のような昼沸上げ判定処理においては、ユーザーから得られる所要の情報と、気象予測情報61を取得することにより、太陽光発電システム3と給湯装置1の連携を簡易に実現することができる。このため、給湯装置1は、太陽光発電システム3による自家発電電力をユーザー毎の希望を反映させつつ沸上げに使用することができる。
【0078】
ここで、一次判定時刻に取得された気象予測情報61に基づいて昼沸上げが可能であると判定された(ステップS4のYES)にも関わらず、二次判定時刻に取得された気象予測情報61が変化し(ステップS10のYES)、自家発電電力による昼沸上げが困難な場合も生じるおそれがある。例えば、一次判定時刻に取得された気象予測情報61が晴であるにも関わらず、二次判定時刻に取得された気象予測情報61が雨となる場合が起こり得る。この場合、一次判定時刻に算出される自家発電電力の一次予測発電量は所要発電量より大きい(余剰電力量>ヒートポンプ消費電力量)が、二次判定時刻に算出される自家発電電力の二次予測発電量が、所要発電量に満たない場合も起こり得る。この場合には、昼沸上げに割り当てられた沸上げが必要な湯水のうちの残量を自家発電電力により沸上げることができないため、貯湯量が不足するおそれがある。そこで、商用電力により昼沸上げを行うことにより、所要量の残量の湯水を得ることができるが、上述したとおり、昼間は電力料金単価が高いため、夜間に比べてユーザーの経済的負担が大きくなる。すなわち、ユーザーには、電力料金単価が相対的に高い昼間の商用電力を用いて昼沸上げを行なわなければいけないリスクが生じる。
【0079】
そこで、本実施形態における給湯装置1は、一次判定時刻において自家発電電力による昼沸上げを実行すると判定した場合において、二次判定時刻で算出された二次予測発電量が所要発電量に満たない場合、ユーザーの判断を反映して昼沸上げの実行の有無を決定するようにした。
【0080】
図9は、制御部31により実行される昼沸上げ指示受付処理を説明するフローチャートである。
【0081】
昼沸上げ指示受付処理は、二次判定時刻において得られる気象予測情報61に基づいて二次予測発電量を算出し所要発電量に満たない場合に開始してもよいし、単に二次判定時刻における気象予測情報61が一次判定時刻における気象予測情報61よりも発電効率が低くなる内容に変化した場合に開始してもよい。例えば昼沸上げ指示受付処理は、
図3のステップS11において余剰電力量がヒートポンプ消費電力量以上となる時間が、沸上げに要する時間(例えば3時間)分連続して得られない場合や、一次判定時刻において晴や曇であったが、二次判定時刻において曇や雨に変更した場合などに開始される。
【0082】
ステップS21において、制御部31の指示受付部44は、発電時間帯における沸上げの実行または中止の指示を受け付ける指示受付画面をリモコン32の表示部34に表示する。または、指示受付部44は、ユーザー端末9にアプリを介して表示する。指示受付画面は、例えば昼沸上げを実行するか中止するかを選択させるための情報で構成される。このとき、指示受付部44は、昼沸上げを実行する場合には、自家発電では電力量が不足し、商用電力を用いた昼沸上げを実行する可能性があること、これに伴い電力料金が高くなることをユーザーに通知する。指示受付部44は、例えば「天気予報が変化しました。昼間に沸上げ運転することにより電力料金が高くなる可能性があります。沸上げ運転を継続しますか?」などの通知をユーザーに行う。リモコン32およびユーザー端末9は、入力部33などを介して受け付けた指示を制御部31に出力する。
【0083】
ステップS22において、指示受付部44は、昼沸上げを中止する指示を受け付けたか否かを判定する。指示受付部44が中止する指示を受け付けたと判定した場合(ステップS22のYES)、ステップS23において、制御部31は、昼沸上げの中止に伴い、予定されていた沸上げが行われず貯湯量が低下する旨を、表示部34またはユーザー端末9に表示する。また、制御部31は、貯湯量が低下している旨や節水を促す注意喚起、ユーザーの手動による貯湯量の湯増し(貯湯量の追加)を促す旨を表示する。制御部31は、例えば「いつもより貯湯量が少なくなっています。貯湯量が不足した際には湯増しをしてください」などの通知をユーザーに行う。
【0084】
ステップS24において、沸上げ実行部45は、ユーザーの指示に基づいて、予定されていた昼沸上げを中止する。
【0085】
一方、指示受付部44が中止する指示を受け付けないと判定した場合(ステップS22のNO)、ステップS25において、沸上げ実行部45は予定通り昼沸上げを実行する。指示受付部44が中止する指示を受け付けない場合とは、実行する指示を受け付けた場合と、ユーザーが通知に気づかないなどにより、実行および中止のいずれの指示も受け付けない場合と、を含む。すなわち、ユーザーの指示が得られずユーザーの希望が把握できない場合には、上述した
図8の設定画面で受け付けた指示を優先し、昼沸上げを実行する。沸上げ実行部45は、自家発電電力による沸上げを実行し、所要の自家発電電力が得られない場合には、商用電力による沸上げを実行する。または、沸上げ実行部45は、天気が雨などの場合には、自家発電電力による沸上げは行わず、商用電力による沸上げのみを実行してもよい。
【0086】
ステップS24およびS25の後、処理は終了する。
【0087】
本実施形態における給湯装置1は、このような昼沸上げ指示受付処理を実行することにより、気象予測情報61に基づいて制御部31が自動的に昼沸上げの実行の可否を判断することができると同時に、昼沸上げに商用電力が使用される可能性がある場合には、商用電力を使用してまで昼沸上げを実行するか否かをユーザーに判断させることができる。すなわち、給湯装置1は、ユーザーが、自家発電電力による沸上げを期待して昼沸上げを所望しているにも関わらず、意思に反して、相対的に経済的負担が大きくなる商用電力による昼沸上げが実行される可能性がある場合には、ユーザーの判断により実施の有無を決定することができる。このため、給湯装置1は、自家発電電力による沸上げと商用電力による沸上げとを、ユーザーの希望を反映しながら実行することができる。
【0088】
また、給湯装置1は、昼沸上げの実行または中止の指示を受け付ける際に、電力料金が高くなる可能性があることをユーザーに通知するため、ユーザーが状況に応じて適切に実行または中止を判断できる。さらに、給湯装置1は、昼沸上げの中止の指示を受け付けた場合には、貯湯量が低下していることをユーザーに通知するため、ユーザーにその旨を認識させることができ、適宜湯増しの実行や節水などを促すことができる。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0090】
例えば、昼沸上げ判定処理の沸上げ可否判定ステップS3において、標準モードと積極モードで判定の条件を異ならせる例を説明したがモードが複数ある必要はなく、一定条件下で判定してもよい。
【0091】
また、給湯装置1がHEMSに接続されていない例を用いて、
図3の昼沸上げ判定処理および
図9の昼沸上げ指示受付処理を実行する例を説明したが、給湯装置1がHEMSに接続されている場合であっても同処理を実行し得る。
【0092】
サーバー6が、昼沸上げ判定処理に必要な情報をユーザーより取得し、記憶したが、制御部31が直接ユーザーより取得してもよい。
【符号の説明】
【0093】
1 貯湯式給湯装置(給湯装置)
3 太陽光発電システム
6 サーバー
7 エアコン等
8 ネットワーク
9 ユーザー端末
10 貯湯タンク
19 ヒートポンプユニット
27 循環回路
31 制御部
32 リモコン
33 入力部
34 表示部
41 気象予測情報取得部
42 実行判定部
43 モード取得部
44 指示受付部
45 沸上げ実行部
50 記憶部
51 選択モード情報
52 システム容量情報
53 沸上げ時間帯情報
54 宅内消費電力量情報
55 地域情報
61 気象予測情報
100 給湯システム