(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117914
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】探索装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20230817BHJP
H04N 23/63 20230101ALI20230817BHJP
H04B 5/02 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
G06K7/10 136
H04N5/232 930
G06K7/10 252
H04B5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020732
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真紀
(72)【発明者】
【氏名】大熊 裕美子
(72)【発明者】
【氏名】柳沼 順
(72)【発明者】
【氏名】桂田 蘭
(72)【発明者】
【氏名】梁瀬 蓉平
【テーマコード(参考)】
5C122
5K012
【Fターム(参考)】
5C122FK23
5C122FK34
5C122FK37
5C122GC13
5C122GC22
5C122HA13
5C122HA35
5C122HB01
5C122HB05
5K012AC01
5K012AC08
5K012AC10
5K012BA09
(57)【要約】
【課題】探索対象となる無線タグの位置にユーザが容易に辿り着くことを可能とする。
【解決手段】実施形態の探索装置は、指向性を有するアンテナ、通信手段、判定手段、撮影手段及び表示手段を備える。通信手段は、アンテナを用いて探索対象の無線タグと無線通信する。判定手段は、探索対象の無線タグとの通信手段による通信状況に基づいて、アンテナに対する無線タグの相対的な位置を判定する。撮影手段は、前記アンテナの指向方向側として定められた撮影範囲の画像を得る。表示手段は、判定手段により判定された位置にアンテナを近付けるための案内画像を、撮影手段により得られた画像に重ねて表す画面を表示する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指向性を有するアンテナと、
前記アンテナを用いて探索対象の無線タグと無線通信する通信手段と、
探索対象の無線タグとの前記通信手段による通信状況に基づいて、前記アンテナに対する前記無線タグの相対的な位置を判定する判定手段と、
前記アンテナの指向方向側として定められた撮影範囲の画像を得る撮影手段と、
前記判定手段により判定された位置に前記アンテナを近付けるための案内画像を、前記撮影手段により得られた画像に重ねて表す画面を表示する表示手段と、
を具備する探索装置。
【請求項2】
前記通信手段は、前記無線タグとの通信品質に応じて、前記無線タグの応答を促すための信号の送信強度を変化する、
請求項1に記載の探索装置。
【請求項3】
前記表示手段は、前記通信手段の送信強度に応じて、案内画像を変化させる、
請求項2に記載の探索装置。
【請求項4】
前記表示手段は、前記通信手段の送信強度が、予め定められた可変範囲の下限値である場合と、当該可変範囲の上限値である場合と、当該可変範囲内で下限値及び上限値を除いた中間値である場合とで、それぞれ案内画像を変化させる、
請求項3に記載の探索装置。
【請求項5】
前記表示手段は、複数の案内モードのうちのいずれが選択されているかに応じて、前記判定手段により判定された位置が同じであっても異なる案内画像を表示する、
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の探索装置。
【請求項6】
指向性を有するアンテナと、前記アンテナを用いて探索対象の無線タグと無線通信する通信手段と、前記アンテナの指向方向側として定められた撮影範囲の画像を得る撮影手段と、を備えた探索装置を制御するコンピュータを、
探索対象の無線タグとの前記通信手段による通信状況に基づいて、前記アンテナに対する前記無線タグの相対的な位置を判定する判定手段と、
前記判定手段により判定された位置に前記アンテナを近付けるための案内画像を、前記撮影手段により得られた画像に重ねて表す画面を表示デバイスに表示させる表示制御手段と、
して機能させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、探索装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
探索対象となる無線タグとの通信状況に基づいて当該無線タグの位置を判定し、その位置をユーザに知らせる探索装置は既に知られている。
しかしながら従来の探索装置は、無線タグの位置を、探索装置に対する相対的な位置として二次元平面上に表した画面により知らせるものとなっており、ユーザが無線タグの位置に効率的に辿り着くことができない場合があった。
このような事情から、探索対象となる無線タグの位置にユーザが容易に辿り着くことを可能とすることが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、探索対象となる無線タグの位置にユーザが容易に辿り着くことを可能とする探索装置及び情報処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の探索装置は、指向性を有するアンテナ、通信手段、判定手段、撮影手段及び表示手段を備える。通信手段は、アンテナを用いて探索対象の無線タグと無線通信する。判定手段は、探索対象の無線タグとの通信手段による通信状況に基づいて、アンテナに対する無線タグの相対的な位置を判定する。撮影手段は、前記アンテナの指向方向側として定められた撮影範囲の画像を得る。表示手段は、判定手段により判定された位置にアンテナを近付けるための案内画像を、撮影手段により得られた画像に重ねて表す画面を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態に係る探索装置の要部回路構成を示すブロック図。
【
図2】
図1中のプロセッサによる探索処理のフローチャート。
【
図3】
図1中のプロセッサによる探索処理のフローチャート。
【
図7】
図1中のプロセッサによる表示処理のフローチャート。
【
図13】第3のガイド表示における表示画面の一例を表す図。
【
図14】第1のガイド表示における別の一例としての表示画面を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態の一例について図面を用いて説明する。
図1は本実施形態に係る探索装置1の要部回路構成を示すブロック図である。
探索装置1は、ユーザによって移動することが可能である装置形態で実現される。例えば、探索装置1はグリップを備え、当該グリップをユーザが握っての手持ち状態で使用される。以下、ユーザが予め定められた状態で探索装置1を持っている状態を、使用状態と称する。そして探索装置1は、探索装置1を無線タグに近付けるようにユーザに案内することによって、例えば無線タグが取り付けられた物品の位置にユーザが辿り着くことを支援する。
【0008】
探索装置1は、プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶ユニット13、アンテナ14、通信ユニット15、カメラ16、タッチパネル17、モーションセンサ18及び伝送路19等を備える。プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶ユニット13、アンテナ14、通信ユニット15、カメラ16、タッチパネル17及びモーションセンサ18は、伝送路19を介して接続される。
【0009】
プロセッサ11、メインメモリ12及び補助記憶ユニット13を伝送路19で接続することによって、探索装置1を制御するための情報処理を行うコンピュータを構成する。
プロセッサ11は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ11は、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなどの情報処理プログラムに従って、探索装置1としての各種の機能を実現するべく各部を制御するための情報処理を実行する。
【0010】
メインメモリ12は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ12は、読み出し専用のメモリ領域と書き換え可能なメモリ領域とを含む。メインメモリ12は、読み出し専用のメモリ領域では上記の情報処理プログラムの一部を記憶する。またメインメモリ12は、プロセッサ11が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを読み出し専用のメモリ領域又は書き換え可能なメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ12は、書き換え可能なメモリ領域を、プロセッサ11によるワークエリアとして使用する。
【0011】
補助記憶ユニット13は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット13としては、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)が利用される。補助記憶ユニット13としては、HDD(hard disc drive)、SSD(solid state drive)、あるいはその他の周知の各種の記憶デバイスを利用することもできる。補助記憶ユニット13は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータと、プロセッサ11での処理によって生成されたデータとを記憶する。補助記憶ユニット13は、上記の情報処理プログラムを記憶する場合もある。補助記憶ユニット13は、本実施形態では、情報処理プログラムの1つである探索プログラムPRAを記憶する。
【0012】
アンテナ14は、通信ユニット15から供給される電気信号に応じた電波を空間に放射する。アンテナ14は、無線タグから空間に放射されて到来した電波を受信し、受信した電波に応じた電気信号を通信ユニット15に出力する。アンテナ14は、指向性を有する。アンテナ14は、探索装置1が使用状態にあるときに、指向範囲がユーザの前方を向くように設けられている。以下の説明では一例として、アンテナ14の指向範囲の中心軸の方向を、探索装置1の向きとして定義する。
【0013】
通信ユニット15は、予め定められたシーケンスに従って、アンテナ14を介して無線タグと無線通信する。通信ユニット15は、送信出力を変更可能である。通信ユニット15は、通信手段の一例である。
カメラ16は、光学系及びイメージセンサを含み、光学系により形成される画角内の像を表した画像データをイメージセンサにより生成する。カメラ16は、動画撮影が可能であることが好ましい。しかしながらカメラ16は、静止画像を単独で、又は連続で撮影するものであっても構わない。カメラ16の画角の中心軸は、探索装置1が使用状態にあるときに、ユーザの前方を向くように定められている。カメラ16は、撮影手段の一例である。
【0014】
タッチパネル17は、探索装置1の入力デバイス及び表示デバイスとして機能する。
モーションセンサ18は、探索装置1の動きを検出する。モーションセンサ18は、探索装置1の動きに基づいて、探索装置1の向きを三次元空間の中での向きとして判定する。モーションセンサ18としては、例えば加速度センサなどの周知のセンサデバイスを用いることができる。
伝送路19は、アドレスバス、データバス及び制御信号線等を含み、接続された各部の間で授受されるデータ及び制御信号を伝送する。なお伝送路19の一部には、例えばBluetooth(登録商標)などの無線伝送路が用いられてもよい。
【0015】
探索装置1は例えば、互いに着脱可能に構成された別体の第1のユニットと第2のユニットとを備えて構成される。第1のユニットの筐体は、一部が前記のグリップとして形成される。そして第1のユニットには、例えば、アンテナ14、通信ユニット15、カメラ16及び伝送路19の一部を備える。また第2のユニットには、例えばプロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶ユニット13、タッチパネル17、モーションセンサ18及び伝送路19を備える。なお第2のユニットとしては、例えばスマートフォン又はタブレット端末などの情報端末装置をそのまま用いることも可能である。第1のユニットと第2のユニットとの間でのデータ伝送には、前述の無線伝送路を用いると好適である。ただし、カメラ16を第2のユニットに備えたり、モーションセンサ18を第1のユニットに備えたりするなど、各要素がいずれのユニットに備えられるかは任意である。また単一のユニット又は3つ以上のユニットにより構成されても構わない。
【0016】
探索装置1は、探索プログラムPRAが補助記憶ユニット13に記憶された状態で譲渡される。あるいは、探索装置1のハードウェアが、探索プログラムPRAが補助記憶ユニット13に記憶されない状態で、又は探索プログラムPRAと同種の別の情報処理プログラムが補助記憶ユニット13に記憶された状態で譲渡されてもよい。そしてこの場合は、探索プログラムPRAが、例えばユーザによる指示の下に、例えばプロセッサ11によって補助記憶ユニット13に書き込まれる。探索プログラムPRAの譲渡は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク又は半導体メモリなどのリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介して行われてよい。
【0017】
次に以上のように構成された探索装置1の動作について説明する。
探索装置1が無線タグを探索するための動作状態にあるとき、プロセッサ11は探索プログラムPRAに基づく情報処理(以下、探索処理と称する)を実行する。
図2及び
図3はプロセッサ11による探索処理のフローチャートである。なお、以下に説明する処理の内容は一例であって、一部の処理の順序の変更、一部の処理の省略、あるいは別の処理の追加などは適宜に可能である。
【0018】
図2中のACT1としてプロセッサ11は、探索の対象となる無線タグ(以下、対象タグと称する)の識別子を対象識別子として取得する。プロセッサ11は例えば、タッチパネル17での予め定められた操作により指定される識別子を対象識別子とする。
【0019】
ACT2としてプロセッサ11は、通信ユニット15の送信出力を、予め定められた上限値に設定する。上限値は、例えば探索装置1の設計者などにより固定的に定められてもよいし、探索装置1のユーザ又は管理者などにより任意に定められてもよい。
ACT3としてプロセッサ11は、第1のガイド表示を開始する。第1のガイド表示は、探索装置1と対象タグとの通信を可能とするための動作をユーザに案内するための表示である。プロセッサ11は例えば、探索装置1を移動させることをユーザに促すための第1のガイド画面と、探索装置1の向きを大きく変化させることをユーザに促すための第2のガイド画面とを、タッチパネル17にて交互に表示させる。
【0020】
図4は一例としての第1のガイド画面SCAを表す図である。
第1のガイド画面SCAは、動画MPAに重ねて、探索装置1を移動させることをユーザに促すための画像IMA及び文字メッセージMEAを表した画面である。なお
図4の例では、画像IMA及び文字メッセージMEAはユーザの移動を促すものであるが、探索装置1を持ったユーザが移動すれば探索装置1が移動することになるから、画像IMA及び文字メッセージMEAにより、探索装置1を移動させることをユーザに促すことになる。
【0021】
図5は一例としての第2のガイド画面SCBを表す図である。
第2のガイド画面SCBは、動画MPAに重ねて、向きを変化させることをユーザに促すための画像IMB及び文字メッセージMEBを表した画面である。
【0022】
プロセッサ11は例えば、カメラ16を起動させ、カメラ16が出力する画像データに基づく動画MPAのタッチパネル17での表示を開始させる。そしてプロセッサ11は、予め補助記憶ユニット13に保存された画像データに基づいて画像IMA及び文字メッセージMEAを動画MPAに重畳して表す状態と、予め補助記憶ユニット13に保存された画像データに基づいて画像IMB及び文字メッセージMEBを動画MPAに重畳して表す状態とを、予め定められた時間間隔で繰り返す。なお、動画MPAは、
図4及び
図5では同内容となっているが、実際には様々に変化する。これは、以下に説明する
図6、
図8~
図12及び
図14も同様である。
【0023】
ACT4としてプロセッサ11は、通信可能な無線タグの識別子を順次に読み出すための読み出しシーケンスを通信ユニット15に開始させる。読み出しシーケンスとしては、例えばISO/IEC 18000シリーズの規格に準拠するものなどのような既存の周知のシーケンスを適用できる。無線タグは、通信ユニット15からの信号供給に応じてアンテナ14から放射された電波を受けて動作し、予め記憶している識別子を含んだ電波を放射する。かくして、探索装置1による無線タグとの通信可能範囲は、探索装置1からの電波が到達する範囲よりも小さな範囲となる。つまり、通信可能範囲は、アンテナ14の指向性と通信ユニット15の送信出力の大きさとに応じて定まる。そして通信ユニット15の送信出力を、前述のように上限値に設定することは、通信可能範囲の大きさを、予め定められた可変幅のうちの最大に設定することに相当する。かくして探索装置1は、まずは予め定められた可変幅のうちの最大の通信可能範囲で対象タグとの通信を試みる。
【0024】
ユーザは、第1のガイド表示に従い、探索装置1の向きを変えながら移動する。そして、探索装置1の通信可能エリアに対象タグが入ると、通信ユニット15により対象識別子を読み取ることが可能となる。ただし、ユーザは探索装置1の向きを変えながら移動し続けるから、探索装置1の通信可能エリアから対象タグが出てしまうこともある。
【0025】
ACT5としてプロセッサ11は、対象識別子で識別される無線タグが検知されている状態(以下、検知状態と称する)となるのを待ち受ける。プロセッサ11は例えば、通信ユニット15が読み出しシーケンスを行うことで読み出している識別子をチェックし、対象識別子の読み出し状況が予め定められた条件に合致する場合に検知状態であると判断する。プロセッサ11は、一例としては、予め定められた期間内における対象識別子の読み取り回数が予めの設定回数を越える状態を検知状態とする。上記の条件は、探索装置1の設計者などによって固定的に設定されてもよいし、探索装置1のユーザ又は管理者などによって任意に設定されてもよい。そしてプロセッサ11は、検知状態であることが確認できたならば、YESと判定してACT6へと進む。
ACT6としてプロセッサ11は、検知画面をタッチパネル17に表示させる。検知画面は、検知状態となったことを、つまりは対象タグを検知したことをユーザに通知するための画面である。
【0026】
検知画面の表示に伴い、第1のガイド表示は終了となる。つまりプロセッサ11は、検知状態となるまでの期間に、第1のガイド表示を行っている。これによりプロセッサ11は、検知状態であることが確認できない状況を、対象タグの位置が通信可能範囲外にあると判定して、対象タグの位置を通信可能範囲内とするための案内のための画像である画像IMA,IMB及び文字メッセージMEA,MEBなどをカメラ16により得られた動画MPAに重ねて表した第1,第2のガイド画面をタッチパネル17に表示させている。かくして探索プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ11が実行することによって、プロセッサ11を中枢部分とするコンピュータは判定手段及び表示制御手段として機能している。またプロセッサ11を中枢部分とするコンピュータによる表示制御手段としての機能と、表示デバイスとしてのタッチパネル17との協働によって表示手段としての機能が実現されている。
【0027】
図6は一例としての検知画面SCCを表す図である。
検知画面SCCは、動画MPAに重ねて、対象タグが検知されたことをユーザに通知するための画像IMC及び文字メッセージMECを表した画面である。プロセッサ11は例えば、動画MPAの表示を継続したままで、予め補助記憶ユニット13に保存された画像データに基づいて画像IMC及び文字メッセージMECを動画MPAに重畳して表す。この検知画面SCCを目視することでユーザは、対象タグにある程度近づいたことを認識できる。
【0028】
図3中のACT7としてプロセッサ11は、通信ユニット15の送信出力を低下させる。プロセッサ11は例えば、通信ユニット15の送信出力の設定値を、現状での値から予め定められた減少値を差し引いて求まる値に変更する。減少値は、探索装置1の設計者などによって固定的に設定されてもよいし、探索装置1のユーザ又は管理者などによって任意に設定されてもよい。減少値は一例としては、ユーザ又は管理者により設定される送信出力の上限値と下限値との差を予め固定値として定められたステップ数で除算した値とすることが想定される。このように送信出力を低下させることにより、探索装置1の通信可能エリアが縮小され、ユーザがさらに対象タグに近づくべく探索装置1を移動させないと、検知状態を維持することができないようになる。
【0029】
ACT8としてプロセッサ11は例えば、第2のガイド表示を開始する。第2のガイド表示は、探索装置1をさらに対象タグに近付けるようにユーザに案内するための表示である。
図7は第2のガイド表示のためのプロセッサ11による情報処理(以下、表示処理と称する)のフローチャートである。
プロセッサ11は、表示処理を探索プログラムPRAに従い、探索処理と並行して実行する。なお、探索処理の情報処理プログラムと表示処理の情報処理プログラムとは、個別のアプリケーションプログラムとされてもよい。
【0030】
ACT21としてプロセッサ11は、対象タグの位置を判定する。プロセッサ11は例えば、直前の複数回の対象識別子の取得状況に基づいて、探索装置1の位置に対する対象タグの相対的な位置として対象タグの位置を判定する。プロセッサ11はより具体的には、複数回の対象識別子の読み取りのそれぞれにおける探索装置1の向き、複数回の対象識別子の読み取りのそれぞれにおける探索装置1の位置のずれ量、あるいは対象タグとの通信品質などを考慮して対象タグの位置を判定する。当該の判定のための処理は、例えば特開2015-33033号公報に開示されるような周知の処理を適用できる。対象タグとの通信品質の指標としては、例えばRSSI(receiver signal strength indicator)を用いることができる。RSSIは、例えば対象タグからの放射電波に関して通信ユニット15にて測定する。あるいは、探索装置1からの放射電波に関して無線タグにて測定されて無線タグから探索装置1に通知されるRSSIを用いるのでもよい。なお後者の場合は、無線タグから通知されるRSSIは、探索装置1の送信出力の変化の影響を受けるので、その影響を送信出力の設定値を考慮して補正することが望ましい。
【0031】
ACT22としてプロセッサ11は、第3のガイド画面をタッチパネル17に表示させる。第3のガイド画面は、探索装置1の向きを小さく変化させながら探索装置1を移動させることをユーザに促すための画面である。
【0032】
図8は一例としての第3のガイド画面SCDを表す図である。
第3のガイド画面SCDは、動画MPAに重ねて、探索装置1の向きを小さく変化させながら探索装置1を移動させることをユーザに促すための画像IMD及び文字メッセージMEDを表した画面である。また第3のガイド画面SCDは、ボタンBUA、画像IME及び画像IMFを表す。ボタンBUAは、探索の停止をユーザが指示するためのソフトキーである。画像IMEは、探索装置1に対する対象タグの水平方向の相対的な位置関係をレーダーチャートにより表す画像である。画像IMFは、探索装置1に対する対象タグの垂直方向の相対的な位置関係を表す画像である。プロセッサ11は例えば、動画MPAの表示を継続したままで、予め補助記憶ユニット13に保存された画像データに基づいて画像IMD、文字メッセージMED及びボタンBUAを動画MPAに重畳して表すとともに、対象タグの位置関係を表すように生成した画像IME,IMFを動画MPAに重畳して表す。なおプロセッサ11は、ACT21からACT22へと進んでいる場合は、ACT21での判定結果を画像IME,IMFに反映する。
【0033】
ACT23としてプロセッサ11は、対象タグの位置を改めて判定する。プロセッサ11は例えば、新たに対象識別子が複数回に渡り取得できるのを待ち、当該の複数の対象識別子の取得状況に基づいて、ACT21と同様に対象タグの位置を判定する。このときに、ユーザが探索装置1の位置及び向きを変化させれば、そのような操作状況に応じた新たな対象タグの位置が判定されることになる。
ACT24としてプロセッサ11は、対象タグの位置が探索装置1よりも上方であるか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT25へと進む。
ACT25としてプロセッサ11は、対象タグの位置が探索装置1よりも下方であるか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT26へと進む。
ACT26としてプロセッサ11は、対象タグの位置が探索装置1の左方であるか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT27へと進む。
ACT27としてプロセッサ11は、対象タグの位置が探索装置1の右方であるか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT28へと進む。
ACT28としてプロセッサ11は、対象タグの位置が探索装置1の後方であるか否かを確認する。
【0034】
プロセッサ11による上記のACT24~ACT28の確認のために、探索装置1の現在位置を基準に三次元空間を鉛直方向に3分割した中間範囲、上範囲及び下範囲と、水平方向に4分割した前範囲、左範囲、右範囲及び後範囲とを予め定めておく。一例としては、中間範囲は、探索装置1の現在位置を基点とし、水平方向を含んだ規定角度で拡がる範囲として定められる。そして上範囲及び下範囲は、中間範囲よりも上側及び下側の範囲として定められる。一例としては、前範囲は、探索装置1の現在位置を基点とし、水平面内での探索装置1の現在向きを含んだ規定角度で拡がる範囲として定められる。左範囲及び右範囲は、水平面内で前範囲の左側及び右側に隣接し、探索装置1の現在位置を基点とし規定角度で拡がる範囲として定められる。後範囲は、探索装置1の現在位置を基点とし、水平面内の前範囲、左範囲及び右範囲とは別の範囲として定められる。前範囲、左範囲、右範囲及び後範囲に関する上記の規定角度は、一例としていずれも90度とすることが想定される。しかしながら例えば、前範囲、左範囲及び右範囲のそれぞれに関する上記の規定角度をいずれも60度とし、後範囲に関する上記の規定角度を180度として設定されてもよい。中間範囲、上範囲、下範囲、前範囲、左範囲、右範囲及び後範囲は、探索装置1の設計者又はユーザなどによって任意に設定されてもよい。
【0035】
プロセッサ11は、ACT24~ACT28のすべてで該当の事象を確認できなかった場合には、ACT28にてNOと判定し、ACT29へと進む。つまりプロセッサ11は、対象タグの位置が中間範囲内であり、かつ前範囲内である場合に、ACT29へと進む。
ACT29としてプロセッサ11は、第4のガイド画面をタッチパネル17に表示させる。第4のガイド画面は、対象タグに近づくために前進すべきであることをユーザに案内するための画面である。
【0036】
図9は一例としての第4のガイド画面SCEを表す図である。
第4のガイド画面SCEは、動画MPAに重ねて、前進すべきであることを表した画像IMG及び文字メッセージMEEを表した画面である。また第4のガイド画面SCEは、ボタンBUA、画像IME及び画像IMFを、第3のガイド画面SCDと同様に表す。プロセッサ11は例えば、動画MPAの表示を継続したままで、予め補助記憶ユニット13に保存された画像データに基づいて画像IMG、文字メッセージMEE及びボタンBUAを動画MPAに重畳して表すとともに、第3のガイド画面SCDと同様に画像IME,IMFを表す。ただしプロセッサ11は、ACT23での判定結果を画像IME,IMFに反映する。
そしてプロセッサ11は、第4のガイド画面を予め定められた表示期間に渡り表示し終えたならば、ACT22へと戻る。なおプロセッサ11は、このようにACT21以外からACT22へと戻った場合には、ACT23での判定結果を画像IME,IMFに反映する。
【0037】
プロセッサ11は、ACT23で新たに判定したタグ位置が上述の上範囲内であることを確認したならば、ACT24にてYESと判定してACT30へと進む。
ACT30としてプロセッサ11は、第5のガイド画面をタッチパネル17に表示させる。第5のガイド画面は、対象タグが現在の探索装置1の向きに対して上の方にあることをユーザに案内するための画面である。
【0038】
図10は一例としての第5のガイド画面SCFを表す図である。
第5のガイド画面SCFは、動画MPAに重ねて、対象タグが現在の探索装置1の向きに対して上の方にあることをユーザに案内するための画像IMH及び文字メッセージMEFを表した画面である。また第5のガイド画面SCFは、ボタンBUA、画像IME及び画像IMFを、第4のガイド画面SCEと同様に表す。プロセッサ11は例えば、動画MPAの表示を継続したままで、予め補助記憶ユニット13に保存された画像データに基づいて画像IMH、文字メッセージMEF及びボタンBUAを動画MPAに重畳して表すとともに、第4のガイド画面SCEと同様に画像IME,IMFを表す。
そしてプロセッサ11は、第5のガイド画面を予め定められた表示期間に渡り表示し終えたならば、ACT22へと戻る。
【0039】
プロセッサ11は、ACT23で新たに判定したタグ位置が上述の下範囲内であることを確認したならば、ACT25にてYESと判定してACT31へと進む。
ACT31としてプロセッサ11は、第6のガイド画面をタッチパネル17に表示させる。第6のガイド画面は、対象タグが現在の探索装置1の向きに対して下の方にあることをユーザに案内するための画面である。
【0040】
第6のガイド画面は一例としては、第5のガイド画面SCFにおける画像IMGを、当該画像IMG中に含まれる矢印の向きを逆とした画像に置き換えるとともに、文字メッセージMEFを「もう少し下のほうにあります。」のような文字メッセージに置き換えた画面とする。
そしてプロセッサ11は、第6のガイド画面を予め定められた表示期間に渡り表示し終えたならば、ACT22へと戻る。
【0041】
プロセッサ11は、ACT23で新たに判定したタグ位置が上述の左範囲内であることを確認したならば、ACT26にてYESと判定してACT32へと進む。
ACT32としてプロセッサ11は、第7のガイド画面をタッチパネル17に表示させる。第7のガイド画面は、対象タグが現在の探索装置1の向きに対して左の方にあることをユーザに案内するための画面である。
そしてプロセッサ11は、第7のガイド画面を予め定められた表示期間に渡り表示し終えたならば、ACT22へと戻る。
【0042】
図11は一例としての第7のガイド画面SCGを表す図である。
第7のガイド画面SCGは、動画MPAに重ねて、対象タグが現在の探索装置1の向きに対して左の方にあることをユーザに案内するための画像IMI及び文字メッセージMEGを表した画面である。また第7のガイド画面SCGは、ボタンBUA、画像IME及び画像IMFを、第4のガイド画面SCEと同様に表す。プロセッサ11は例えば、動画MPAの表示を継続したままで、予め補助記憶ユニット13に保存された画像データに基づいて画像IMI、文字メッセージMEG及びボタンBUAを動画MPAに重畳して表すとともに、第4のガイド画面SCEと同様に画像IME,IMFを表す。
そしてプロセッサ11は、第7のガイド画面を予め定められた表示期間に渡り表示し終えたならば、ACT22へと戻る。
【0043】
プロセッサ11は、ACT23で新たに判定したタグ位置が上述の右範囲内であることを確認したならば、ACT27にてYESと判定してACT33へと進む。
ACT33としてプロセッサ11は、第8のガイド画面をタッチパネル17に表示させる。第8のガイド画面は、対象タグが現在の探索装置1の向きに対して右の方にあることをユーザに案内するための画面である。
【0044】
第8のガイド画面は一例としては、第7のガイド画面SCGにおける画像IMIを、当該画像IMI中に含まれる円及び縦線の位置を動画MPAの右端に位置させた画像に置き換えるとともに、文字メッセージMEGを「右の方にあります。」のような文字メッセージに置き換えた画面とする。
そしてプロセッサ11は、第8のガイド画面を予め定められた表示期間に渡り表示し終えたならば、ACT22へと戻る。
【0045】
プロセッサ11は、ACT23で新たに判定したタグ位置が上述の後範囲内であることを確認したならば、ACT28にてYESと判定してACT34へと進む。
ACT34としてプロセッサ11は、第9のガイド画面をタッチパネル17に表示させる。第9のガイド画面は、対象タグが現在の探索装置1の向きに対して後ろの方にあることをユーザに案内するための画面である。
【0046】
図12は一例としての第9のガイド画面SCHを表す図である。
第9のガイド画面SCHは、動画MPAに重ねて、対象タグが現在の探索装置1の向きに対して後ろの方にあることをユーザに案内するための画像IMJ及び文字メッセージMEHを表した画面である。また第9のガイド画面SCHは、ボタンBUA、画像IME及び画像IMFを、第4のガイド画面SCEと同様に表す。プロセッサ11は例えば、動画MPAの表示を継続したままで、予め補助記憶ユニット13に保存された画像データに基づいて画像IMJ、文字メッセージMEH及びボタンBUAを動画MPAに重畳して表すとともに、第4のガイド画面SCEと同様に画像IME,IMFを表す。
そしてプロセッサ11は、第9のガイド画面を予め定められた表示期間に渡り表示し終えたならば、ACT22へと戻る。
【0047】
なお、第4~第9のガイド画面の表示期間は、例えば表示開始後、予め定められた時間が経過するまでの期間として定められる。あるいは当該表示期間は、例えば画面内の予め定められた領域がタップされるまでの期間として定められる。当該表示期間は、探索装置1の設計者又はユーザなどによって任意に設定されてもよい。
【0048】
さてプロセッサ11は、
図3中のACT8として第2のガイド表示を開始したならば、ACT9へと進む。
ACT9としてプロセッサ11は、検知状態であるか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT10へと進む。
ACT10としてプロセッサ11は、未検知状態であるか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT11へと進む。
ACT11としてプロセッサ11は、探索の停止が指示されたか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT9へと戻る。
かくしてプロセッサ11はACT9~ACT11としては、検知状態又は未検知状態であることが確認できる状態となるか、停止指示がなされるのを待ち受ける。
【0049】
ユーザが、対象タグの存在する方向から大きく異なる方向に探索装置1を向けた場合、あるいは対象タグから離れる方向に探索装置1を移動させた場合には、対象タグが探索装置1の通信可能範囲から外れ、対象識別子を読み出せない状況となることがある。そしてプロセッサ11は、対象識別子の読み出し状況が予め定められた条件に合致する場合に未検知状態であると判断する。プロセッサ11は、一例としては、読み出しシーケンスを繰り返す中での読み取りに失敗した連続回数が予めの設定回数を越える状態を未検知状態とする。上記の条件は、探索装置1の設計者などによって固定的に設定されてもよいし、探索装置1のユーザ又は管理者などによって任意に設定されてもよい。そしてプロセッサ11は、未検知状態であることが確認できたならば、ACT10にてYESと判定してACT12へと進む。
【0050】
ACT12としてプロセッサ11は、通信ユニット15の送信出力を増大させる。プロセッサ11は例えば、通信ユニット15の送信出力の設定値を、現状での値から予め定められた増加値を足し合わせて求まる値に変更する。ただしプロセッサ11は、変更後の設定値を上限値以下に抑える。増加値は、探索装置1の設計者などによって固定的に設定されてもよいし、探索装置1のユーザ又は管理者などによって任意に設定されてもよい。増加値は一例としては、ユーザ又は管理者により設定される送信出力の上限値と下限値との差を予め固定値として定められたステップ数で除算した値とすることが想定される。つまり、増加値は例えば、減少値と同じ値とすることが想定される。しかしながら、減少値と増加値とが異なる値に定められてもよい。これにより、探索装置1の通信可能エリアが拡大され、対象タグを再び検知し易い状態になる。
【0051】
ACT13としてプロセッサ11は、増大後の送信出力が上限値であるか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、増大後の送信出力が上限値に達していないならばNOと判定し、ACT9~ACT11の待ち受け状態に戻る。かくして、送信出力を増大させても上限値にならなかったのであれば、第2のガイド表示が継続される。ただしプロセッサ11は、増大後の送信出力が上限値であるならばACT13にてYESと判定し、
図2中のACT3に戻って、それ以降を前述と同様に繰り返す。つまり、探索装置1の動作状態は、探索の初期の状態に戻される。
【0052】
一方でプロセッサ11は、
図3中のACT9~ACT11の待ち受け状態にあるときに、対象識別子が継続して受信できる状況が継続しており、改めて検知状態であることが確認できたならば、ACT9にてYESと判定してACT14へと進む。
ACT14としてプロセッサ11は、ACT7と同様に、通信ユニット15の送信出力を低下させる。ただしプロセッサ11は、変更後の設定値を予め定められた下限値以下に抑える。下限値は、例えば探索装置1の設計者などにより固定的に定められてもよいし、探索装置1のユーザなどにより任意に定められてもよい。
【0053】
ACT15としてプロセッサ11は、低下後の送信出力が下限値であるか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、低下後の送信出力が下限値に達していないならばNOと判定し、ACT9~ACT11の待ち受け状態に戻る。かくして、送信出力を低下させても下限値にならなかったのであれば、第2のガイド表示が継続される。
【0054】
以上のように、送信出力が下限値から上限値までの可変範囲内で下限値及び上限値を除いた中間値である状態において第2のガイド表示が行われる。そして第2のガイド表示にてプロセッサ11は、対象タグの位置を通信状況に基づいて判定する。またプロセッサ11は、その判定した位置に探索装置1を近付けるための案内のための画像である画像IMD,IMG,IMH,IMI,IMJ及び文字メッセージMED,MEE、MEF,MEG,MEHなどをカメラ16により得られた動画MPAに重ねて表した第3~第9のガイド画面をタッチパネル17に表示させている。かくして、探索プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ11が実行することによって、プロセッサ11を中枢部分とするコンピュータは判定手段及び表示制御手段として機能している。そしてプロセッサ11を中枢部分とするコンピュータによる表示制御手段としての機能と、表示デバイスとしてのタッチパネル17との協働によって表示手段としての機能が実現されている。
【0055】
プロセッサ11は、低下後の送信出力が下限値であるならばACT15にてYESと判定し、ACT16へと進む。
ACT16としてプロセッサ11は、第3のガイド表示を開始する。これにより第2のガイド表示は終了される。第3のガイド表示は、対象タグの位置をユーザが特定可能とする案内のための表示である。つまり、送信出力が下限値まで低下されている状況では、十分に狭められた通信可能範囲内に対象タグが存在するのであり、探索装置1の前方、かつ大きくは離れていない位置に対象タグが存在するはずである。そしてその状態では、カメラ16による撮影画像に対象タグの位置が映り込んでいる可能性が高い。そこで第3のガイド表示は例えば、カメラ16により撮影されている範囲内に対象タグが存在していることを表すような画面とする。
【0056】
図13は第3のガイド表示における表示画面SCIの一例を表す図である。
表示画面SCIは、動画MPAに重ねて、当該動画MPAに映り込んだ位置に対象タグが存在することをユーザに案内するための画像IMK及び文字メッセージMEIを表した画面である。また表示画面SCIは、ボタンBUA、画像IME及び画像IMFを、第4のガイド画面SCEと同様に表す。プロセッサ11は例えば、動画MPAの表示を継続したままで、予め補助記憶ユニット13に保存された画像データに基づいて画像IMK、文字メッセージMEI及びボタンBUAを動画MPAに重畳して表すとともに、第4のガイド画面SCEと同様に画像IME,IMFを表す。
【0057】
ACT17としてプロセッサ11は、未検知状態であるか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT18へと進む。
ACT18としてプロセッサ11は、探索の停止が指示されたか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT17へと戻る。
かくしてプロセッサ11はACT17及びACT18としては、未検知状態であることが確認できる状態となるか、停止指示がなされるのを待ち受ける。
【0058】
プロセッサ11は、ACT17及びACT18の待ち受け状態にある間は、第3のガイド表示を継続し、表示画面SCIと同様な表示画面の表示を継続する。ただしプロセッサ11は例えば、対象識別子が取得できる毎に、その対象識別子の取得に関する対象タグとの通信品質に基づいて、画像IMKに含まれる円形の線LIAより内側の領域の大きさを変更する。プロセッサ11は例えば、通信品質が良好であるほどに線LIAの直径を大きくする。なお通信品質の指標としては例えば、ACT21に関して説明したのと同様にRSSIを用いることが想定される。
かくして、探索装置1の通信可能範囲に対象タグが留まっている状況においては、探索装置1が対象タグに近づくほどに表示画面における線LIAが大きくなるのであり、これによりユーザは、対象タグまでの距離の目安を認識することが可能となる。
【0059】
プロセッサ11は、ACT17及びACT18の待ち受け状態にあるときにACT10と同様に未検知状態であることが確認できたならば、ACT17にてYESと判定してACT19へと進む。
ACT19としてプロセッサ11は、ACT12と同様にして通信ユニット15の送信出力を増大させる。そしてプロセッサ11はこののち、ACT8へと戻り、それ以降を前述と同様に繰り返す。これにより探索装置1は、第3のガイド表示を終了し、第2のガイド表示による案内を行う状態に戻る。
【0060】
以上のように、送信出力が上限値である状態において検知状態が継続している状況において第3のガイド表示が行われる。これによりプロセッサ11は、上記の状況を、対象タグの位置を探索装置1の近隣の範囲内であると判定して、対象タグに探索装置1をより近付けるための案内のための画像である画像IMG及び文字メッセージMEEなどをカメラ16により得られた動画MPAに重ねて表した表示画面をタッチパネル17に表示させている。かくして、探索プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ11が実行することによって、プロセッサ11を中枢部分とするコンピュータは判定手段及び表示制御手段として機能している。そしてプロセッサ11を中枢部分とするコンピュータによる表示制御手段としての機能と、表示デバイスとしてのタッチパネル17との協働によって表示手段としての機能が実現されている。
【0061】
さて、ユーザは、探索装置1による探索を停止することを決定したならば、ボタンBUAにタッチする等の予め定められた操作によって停止を指示する。プロセッサ11は、このように停止が指示されたことを確認したならば、ACT9~ACT11の待ち受け状態にあるときにはACT11にて、ACT17及びACT18の待ち受け状態にあるときにはACT18にて、それぞれYESと判定し、いずれの場合もACT20へと進む。
ACT20としてプロセッサ11は、通信ユニット15により行われている読み出しシーケンスを終了させる。そしてプロセッサ11は、探索処理を終了する。
【0062】
以上のように探索装置1は、指向性を有するアンテナ14を用いての対象タグとの通信ユニット15による通信状況に基づいて、アンテナ14に対する対象タグの相対的な位置を判定する。そして探索装置1は、当該の判定した位置にアンテナを近付けるための案内画像である画像IMA,IMB,IMC,IMD,IMG,IMH,IMI,IMJ,IMK及び文字メッセージMEA,MEB,MEC,MED,MEE、MEF,MEG,MEHを、カメラ16によりアンテナ14の指向方向側を撮影範囲として得られた画像に重ねて表す画面をタッチパネル17にて表示する。かくして、上記の判定された対象タグの位置に辿り着くための案内が、アンテナ14の指向方向を撮影した画像上での表示によりなされることとなり、対象タグの位置にユーザが容易に辿り着くことを可能とすることができる。
【0063】
また探索装置1は、対象タグとの通信品質に基づいて送信出力を変化させることで、ユーザが探索装置1を対象タグに効率的に近付けることを促しつつ、送信出力の変化に同期して第1~第3の案内表示を切り替える。これにより、探索装置1の探索動作に合わせた効果的な案内表示が可能となる。
【0064】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
プロセッサ11が探索処理によりタッチパネル17に表示させる各種画面は、適宜に変形されて構わない。
図14は第1のガイド表示における別の一例としての表示画面SCJを表す図である。
表示画面SCJは、動画MPAに重ねて、当該動画MPAの右端に画像IML及びボタンBUBを表した画面である。画像IMLは、探索装置1の向きを大きく変化させつつ、探索装置1を移動させることをユーザに促すための画像である。ボタンBUBは、探索の停止をユーザが指示するためのソフトキーである。
プロセッサ11は、第1のガイド表示においては、第1のガイド画面及び第2のガイド画面の交互に変えて、表示画面SCJのような画面を表示するのでもよい。
あるいはプロセッサ11は、複数の案内モードを利用者が任意に選択可能とし、第1のモードが選択されている場合の第1のガイド表示においては第1のガイド画面及び第2のガイド画面の交互表示を行い、第2のモードが選択されている場合の第1のガイド表示においては表示画面SCJのような画面を表示するのでもよい。この場合、例えば第1のモードを不慣れなユーザ向け、第2のモードをベテランユーザ向けとして、利用者毎の探索装置1の利用に関する習熟度に応じて探索装置1の動作を変更することができる。
なお、複数の案内モードを選択可能とするのであれば、第2のガイド表示及び第3のガイド表示における各表示画面も案内モードに応じて異ならせることが好ましい。
【0065】
前記実施形態で表示する画面の一部の画面の表示を行わなくてもよい。例えば、後範囲を分割して左範囲及び右範囲にそれぞれ含めて、第9のガイド画面の表示は行わなくてもよい。
【0066】
前記実施形態で表示する画面とは別の画面による案内を行ってもよい。例えばプロセッサ11は、ユーザの指定に応じて、各種のガイド表示に代えて、画像IME,IMFのみを表示させるようにしてもよい。
【0067】
対象タグの位置の判定は、前記実施形態とは別のどのような手法で行われてもよい。例えば、送信出力の変更は行わずに、通信品質に基づいて判定した位置に応じて各ガイド表示を切り替えてもよい。
【0068】
情報処理によりプロセッサ11が実現する各機能は、その一部又は全てをロジック回路などのようなプログラムに基づかない情報処理を実行するハードウェアにより実現することも可能である。また上記の各機能のそれぞれは、上記のロジック回路などのハードウェアにソフトウェア制御を組み合わせて実現することも可能である。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1…探索装置、11…プロセッサ、12…メインメモリ、13…補助記憶ユニット、14…アンテナ、15…通信ユニット、16…カメラ、17…タッチパネル、18…モーションセンサ、19…伝送路。