(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011792
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】治療効果のある化合物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
C07D 401/14 20060101AFI20230117BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230117BHJP
A61K 31/53 20060101ALI20230117BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230117BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
C07D401/14 CSP
A61K9/20
A61K31/53
A61P35/00
A61P35/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022175208
(22)【出願日】2022-11-01
(62)【分割の表示】P 2017541075の分割
【原出願日】2016-02-03
(31)【優先権主張番号】62/112,127
(32)【優先日】2015-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.SPAN
(71)【出願人】
【識別番号】511223394
【氏名又は名称】アジオス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ステファン クルーゲ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】がんの治療に有用な化合物の新規結晶形を提供する。
【解決手段】
図40に類似したX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、2-メチル-1-[(4-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-6-{[2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]アミノ}-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ]プロパン-2-オールメシル酸塩の結晶形、及び当該化合物を投与することを含む、がんの治療方法を提供する。
【選択図】
図40
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図40または
図43に実質的に類似したX線粉末回折パターンによって特徴付けられる
、化合物1の単離された結晶形。
【請求項2】
IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性
肉腫、多発性骨髄腫及びリンパ腫から選択される進行性血液悪性腫瘍を治療する方法であ
って、それを必要とする対象に、治療上有効な投与量の請求項1に記載の化合物1の結晶
形を投与することを含む、前記方法。
【請求項3】
IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性
肉腫、多発性骨髄腫及びリンパ腫から選択される進行性血液悪性腫瘍を治療する方法であ
って、それを必要とする対象に、治療上有効な投与量の請求項1に記載の化合物1の結晶
形と、1つ以上の薬学的に許容される担体(複数可)とを含む医薬組成物を投与すること
を含む、前記方法。
【請求項4】
IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性
肉腫、多発性骨髄腫及びリンパ腫から選択される進行性血液悪性腫瘍を治療する方法であ
って、それを必要とする対象に、化合物1の結晶形を、遊離塩基換算含量約30mg~約
300mgの投与量で1日1回または1日2回投与することを含む、前記方法。
【請求項5】
前記投与量が、約75mg、1日1回または1日2回である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記投与量が、約100mg、1日1回または1日2回である、請求項4に記載の方法
。
【請求項7】
前記投与量が、約150mg、1日1回または1日2回である、請求項4に記載の方法
。
【請求項8】
前記投与量が、約200mg、1日1回または1日2回である、請求項4に記載の方法
。
【請求項9】
前記投与が経口剤形である、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記経口剤形が錠剤である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記投与量が1日1回投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
前記投与量が1日2回投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
化合物3の薬学的に許容され得る塩が、遊離塩基換算含量5、10、50または200
mgの錠剤の任意の組み合わせとして、1日2回または1日1回経口投与される、請求項
4に記載の方法。
【請求項14】
前記進行性血液悪性腫瘍が、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS
)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)及びリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)から選
択される、請求項2~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記進行性血液悪性腫瘍が急性骨髄性白血病(AML)である、請求項14に記載の方
法。
【請求項16】
前記進行性血液悪性腫瘍が骨髄異形成症候群(MDS)である、請求項15に記載の方
法。
【請求項17】
前記進行性血液悪性腫瘍が慢性骨髄単球性白血病(CMML)である、請求項15に記
載の方法。
【請求項18】
前記進行性血液悪性腫瘍がリンパ腫である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性
肉腫、多発性骨髄腫及びリンパ腫から選択される進行性血液悪性腫瘍を治療する方法であ
って、それを必要とする対象に、化合物1の結晶形を、少なくとも遊離塩基換算含量約3
0mgの投与量で1日2回投与することを含む、前記方法。
【請求項20】
前記経口剤形が錠剤である、請求項2~19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)は、イソクエン酸の2-オキソグルタル酸(
すなわち、α-ケトグルタル酸)への酸化的脱炭酸を触媒する。これらの酵素は、2つの
異なるサブクラスに属し、そのうちの一方は、電子受容体として、NAD(+)を利用し
、他方は、NADP(+)を利用する。5種類のイソクエン酸デヒドロゲナーゼが報告さ
れており、そのうちの3種類はNAD(+)依存性イソクエン酸デヒドロゲナーゼで、ミ
トコンドリアマトリックスに局在しており、2種類はNADP(+)依存性イソクエン酸
デヒドロゲナーゼで、一方はミトコンドリア、他方は主に細胞基質に存在している。各N
ADP(+)依存性アイソザイムは、ホモ二量体である。
【0002】
IDH2(イソクエン酸デヒドロゲナーゼ2(NADP+)、ミトコンドリア型)は、
IDH、IDP、IDHM、IDPM、ICD-MまたはmNADP-IDHとしても知
られている。この遺伝子によってコードされているタンパク質は、ミトコンドリアに存在
するNADP(+)依存性イソクエン酸デヒドロゲナーゼであり、中間代謝及びエネルギ
産生に関与している。このタンパク質は、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体と密接に関
係するか、または相互作用し得る。ヒトIDH2遺伝子は、452個のアミノ酸からなる
タンパク質をコードする。IDH2のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、それぞれG
enBank登録番号NM_002168.2及びNP_002159.2に認めること
ができる。ヒトIDH2のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列はまた、例えば、Huhら
のEMBL/GenBank/DDBJデータベース文献(投稿済み(NOV-1992
))及びThe MGC Project Team,Genome Res.14:2
121-2127(2004)にも記載されている。
【0003】
非変異、例えば、野生型のIDH2は、イソクエン酸のα-ケトグルタル酸(α-KG
)への酸化的脱炭酸を触媒することにより、例えば、正反応で、NAD+(NADP+)
をNADH(NADPH)に還元する。
イソクエン酸+NAD+(NADP+)→α-KG+CO2+NADH(NADPH)
+H+
【0004】
ある特定のがん細胞に存在するIDH2の変異により、酵素の新たな能力が生じ、α-
ケトグルタル酸のR(-)-2-ヒドロキシグルタル酸(2-HG)へのNAPH依存性
還元を触媒することが発見されている。2-HGは、野生型IDH2によっては形成され
ない。2-HGの産生は、がんの形成及び進行の一因であると考えられる(Dang,L
et al,Nature 2009,462:739-44)。
【0005】
そのため、変異型IDH2及びその新規活性の阻害は、がんに対する可能性のある治療
法である。したがって、アルファヒドロキシル新規活性を有するIDH2変異体の阻害物
質は、絶えず必要とされている。
【0006】
医薬組成物の大規模製造に関する第1の課題は、一貫した加工パラメータ及び医薬品品
質を確保するために、活性成分が安定な結晶形態を有さなければならないことである。活
性成分は、温度及び湿度などの種々の環境条件の影響に関係なく一貫して再現できる、吸
湿性、溶解性及び安定性に対する許容可能な性質を有する必要がある。不安定な結晶形が
使用されると、製造及び/または貯蔵中に結晶形態が変化する場合があり、品質管理上の
問題及び製剤のむらが生じる。そのような変化は、製造プロセスの再現性に影響を与える
ことから、医薬組成物の製剤化に課せられる高品質及び厳しい要件を満たさない医薬製剤
をもたらし得る。
【0007】
化合物が溶液またはスラリーから結晶化する場合、その化合物は、異なる空間格子配列
を持って結晶化することがあり、この性質は「多形」と呼ばれる。この結晶形のそれぞれ
は、「多形体」である。所与の物質の多形体は、同じ化学組成を有するが、溶解性及び解
離、真密度、融点、結晶形状、圧密挙動、流動性ならびに/または固体状態安定性などの
1つ以上の物理的性質に関して、互いに異なる場合がある。
【0008】
薬学的に活性である物質の多形挙動は、薬学及び薬理学において非常に重要である。多
形体によって示される物理的性質の違いは、貯蔵安定性、圧縮性及び密度(医薬組成物の
製造において重要)、ならびに解離速度(活性成分のバイオアベイラビリティを決定する
際に重要な因子)などの実際的なパラメータに影響する。安定性の違いは、化学反応性の
変化(例えば、ある多形体である場合、別の多形体である場合よりも錠剤の変色が速いな
どの酸化反応の差)、もしくは力学的変化(例えば、動力学的に有利な多形体が熱力学的
に一層安定な多形体に転化するにつれて、貯蔵時に錠剤が崩壊する)、またはその両方(
例えば、ある多形体の錠剤が、別の多形体よりも高湿度で分解しやすい)から生じ得る。
加えて、結晶の物理的性質は、加工において重要であり得る。例えば、ある多形体は、固
体形態を凝集させて固体取扱いの困難性を増大させる溶媒和物を形成する傾向が強いこと
があり、または濾過及び洗浄して不純物を除去するのが困難な場合がある(すなわち、粒
子形状及び粒度分布がある多形体と他の多形体との間で異なることがある)。
【0009】
化学的及び物理的性質が改善した医薬製剤が望まれているが、そのような製剤に向けた
既存する分子の新しい結晶形(例えば、多形体)を調製するための予測可能な手段は存在
しない。医薬製剤の製造及び貯蔵中に遭遇し得る環境範囲にわたって一定した物理的性質
を有する、変異型IDH2の阻害物質の結晶形が必要とされている。そのような結晶形は
、IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性
肉腫、多発性骨髄腫またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液悪性腫
瘍の治療に有用性を有し、大規模製造及び製剤化に適した性質を有するであろう。
【0010】
参考により全体を本明細書に援用する国際公開第2013/102431号及び米国特
許出願公開第2013/0190287号は、IDH2変異体(例えば、IDH2R14
0Q及びIDH2R172K)を阻害する化合物を開示している。これらの出願は、変異
型IDH2の阻害物質の調製方法、これらの化合物を含有する医薬組成物、ならびに変異
型IDH2の過剰発現及び/または増幅に関連した疾患、障害または病態(例えば、がん
)の治療法について更に開示している。
【発明の概要】
【0011】
IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性
肉腫、多発性骨髄腫またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫またはB細胞リンパ腫)な
どの進行性血液悪性腫瘍を治療する方法が本明細書にて開示される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】化合物3形態1のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
【
図2】化合物3形態2のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
【
図3】化合物3形態2の示差走査熱量測定(DSC)プロファイルである。
【
図4】化合物3形態2の熱重量分析(TGA)プロファイルである。
【
図5】化合物1形態3のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
【
図6】化合物1形態3の示差走査熱量測定(DSC)プロファイルである。
【
図7】化合物1形態3の熱重量分析(TGA)プロファイルである。
【
図8】化合物1形態3の動的蒸気吸着(DVS)プロファイルである。
【
図9】化合物1形態4のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
【
図10】化合物1形態4の示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルである。
【
図11】化合物1形態5のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
【
図12】化合物1形態5の示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルである。
【
図13】化合物1形態6のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
【
図14】化合物1形態6の示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルである。
【
図15】化合物1形態7のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
【
図16】化合物1形態7の示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルである。
【
図17】化合物1形態8のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
【
図18】化合物1形態8の示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルである。
【
図19】化合物1形態9のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
【
図20】化合物1形態9の示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルである。
【
図21】化合物1形態10のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
【
図22】化合物1形態10の示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルである。
【
図23】化合物1形態11のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
【
図24】化合物1形態11の示差走査熱量測定(DSC)プロファイルである。
【
図25】化合物1形態11の熱重量分析(TGA)プロファイルである。
【
図26】化合物1形態12のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
【
図27】化合物1形態12の示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルである。
【
図28】化合物1形態13のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
【
図29】化合物1形態13の示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルである。
【
図30】化合物1形態14のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
【
図31】化合物1形態14の示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルである。
【
図32】化合物1形態15のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
【
図33】化合物1形態15の示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)プロファイルである。
【
図34】化合物3形態16のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
【
図35】化合物3形態16の示差走査熱量測定(DSC)プロファイルである。
【
図36】化合物3形態16の熱重量分析(TGA)プロファイルである。
【
図37】化合物3形態17のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
【
図38】化合物3形態18のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
【
図39】化合物3形態19のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
【
図40】化合物1形態20のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
【
図41】化合物1形態20の熱重量分析(TGA)である。
【
図42】化合物1形態20の動的蒸気吸着(DVS)プロファイルである。
【
図43】化合物1形態21のX線粉末ディフラクトグラム(XRPD)である。
【
図44】化合物1形態21の熱重量分析(TGA)プロファイルである。
【
図45】化合物1形態21の示差走査熱量測定(DSC)プロファイルである。
【
図46】化合物1形態21の動的蒸気吸着(DVS)プロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明に記載されるまたは図面に示される構成の詳細及び構成要素の配置は、限定
的であることを意味するものではない。本発明を実施するための他の実施形態及び種々の
方法が明示的に含まれる。また、本明細書で使用される表現及び用語は、説明を目的とし
ており、限定的なものとみなされるべきではない。本明細書における「includin
g(含む)」、「comprising(含む)」または「having(有する)」、
「containing(含有する)」、「involving(伴う)」及びこれらの
変形の使用は、その後に列挙される項目及びそれらの等価物ならびに追加の項目を包含す
ることを意味する。
【0014】
定義:
上記及び本発明の明細書全体で使用されるとき、以下の用語は、特に指定のない限り、以
下の意味を有すると理解されるものとする。
【0015】
本明細書で使用されるとき、「2-HGの上昇したレベル」という用語は、変異IDH
対立遺伝子(例えば、変異型IDH2対立遺伝子)を保有しない対象に存在するものより
、10%、20% 30%、50%、75%、100%、200%、500%またはそれ
以上多い2-HGを意味する。「2-HGの上昇したレベル」という用語は、細胞内、腫
瘍内、腫瘍を含む器官内、または体液内の2-HGの量を指し得る。
【0016】
「体液」という用語は、胎児を包み込む羊水、房水、血液(例えば、血漿)、血清、脳
脊髄液、耳垢、キームス、カウパー腺液、膣液、間質液、リンパ液、母乳、粘液(例えば
、鼻漏または痰)、胸水、膿、唾液、皮脂、精液、血清、汗、涙、尿、膣分泌物または嘔
吐物のうちの1つ以上を含む。
【0017】
本明細書で使用されるとき、「阻害する」または「予防する」という用語は、完全及び
部分的な阻害及び予防の両方を含む。阻害物質は、目的とする標的を完全にまたは部分的
に阻害し得る。
【0018】
「変異型IDH2阻害物質」または「IDH2変異体(複数可)の阻害物質」という用
語は、IDH2変異体サブユニットに結合し、例えば、二量体、例えば、変異型IDH2
サブユニットのホモ二量体または変異体と野生型サブユニットとのヘテロ二量体の形成を
阻害することによって新規活性を阻害する分子、例えば、ポリペプチド、ペプチドもしく
は小分子(例えば、1,000ダルトン未満の分子)またはアプタマーを意味する。いく
つかの実施形態において、新規活性阻害は、少なくとも約60%、70%、80%、90
%、95%または99%である。
【0019】
「治療する」という用語は、疾患/障害(例えば、IDH2の変異対立遺伝子の存在に
よってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MD
S)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫またはリンパ腫(
例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液悪性腫瘍)の発症または進行を減じ、抑制し
、弱め、低下させ、停止させ、もしくは安定化させること、当該疾患/障害の重症度を下
げること、または当該疾患/障害に関連する症状を改善することを意味する。
【0020】
本明細書で使用されるとき、障害を治療するのに有効な化合物(その結晶形を含む)の
量または「治療上有効な量」もしくは「治療上有効な投与量」は、細胞の処理、または障
害を有する対象の治癒、軽減、緩和もしくは改善において、当該治療のない状態で予測さ
れるものを超えて、対象への単回投与または反復投与の投与時に有効である、当該化合物
またはその薬学的に許容される塩(その結晶形を含む)の量を指す。
【0021】
本明細書で使用されるとき、「対象」という用語は、ヒトを意味することが意図される
。例示的なヒト対象には、障害、例えば、本明細書に記載の障害を有するヒト患者(患者
と称する)または正常な対象が含まれる。
【0022】
「遊離塩基換算量」または「遊離塩基換算含量」は、化合物1、または化合物3の別の
薬学的に許容される塩の、遊離塩基の化合物3の投与量に相当する量である。例えば、3
0mg(遊離塩基換算含量)は化合物1の36mgに等しく、50mg(遊離塩基換算含
量)は化合物1の60mgに等しく、75mg(遊離塩基換算含量)は90mgに等しく
、100mg(遊離塩基換算含量)は120mgに等しく、125mg(遊離塩基換算含
量)は150mgに等しいだろう。
【0023】
「形態1」または「化合物3形態1」は、区別なく使用され、以下の実施例の項の実施
例3Aにおいて合成され、後述され、また
図1に示すデータによって表される、化合物3
の形態1を示す。
【0024】
「形態2」または「化合物3形態2」は、区別なく使用され、以下の実施例の項の実施
例4Aにおいて合成され、後述され、また
図2、3及び4に示すデータによって表される
、化合物3の形態2を示す。
【0025】
「形態3」または「化合物1形態3」は、区別なく使用され、以下の実施例の項の実施
例6Aにおいて合成され、後述され、また
図5、6、7及び8に示すデータによって表さ
れる、化合物1の形態3を示す。
【0026】
「形態4」または「化合物1形態4」は、区別なく使用され、以下の実施例の項の実施
例7Aにおいて合成され、後述され、また
図9及び10に示すデータによって表される、
化合物1の形態4を示す。
【0027】
「形態5」または「化合物1形態5」は、区別なく使用され、以下の実施例の項の実施
例8Aにおいて合成され、後述され、また
図11及び12に示すデータによって表される
、化合物1の形態5を示す。
【0028】
「形態6」または「化合物1形態6」は、区別なく使用され、以下の実施例の項の実施
例9Aにおいて合成され、後述され、また
図13及び14に示すデータによって表される
、化合物1の形態6を示す。
【0029】
「形態7」または「化合物1形態7」は、区別なく使用され、以下の実施例の項の実施
例10Aにおいて合成され、後述され、また
図15及び16に示すデータによって表され
る、化合物1の形態7を示す。
【0030】
「形態8」または「化合物1形態8」は、区別なく使用され、以下の実施例の項の実施
例11Aにおいて合成され、後述され、また
図17及び18に示すデータによって表され
る、化合物1の形態8を示す。
【0031】
「形態9」または「化合物1形態9」は、区別なく使用され、以下の実施例の項の実施
例12Aにおいて合成され、後述され、また
図19及び20に示すデータによって表され
る、化合物1の形態9を示す。
【0032】
「形態10」または「化合物1形態10」は、区別なく使用され、以下の実施例の項の
実施例13Aにおいて合成され、後述され、また
図21及び22に示すデータによって表
される、化合物1の形態10を示す。
【0033】
「形態11」または「化合物1形態11」は、区別なく使用され、以下の実施例の項の
実施例14Aにおいて合成され、後述され、また
図23、24及び25に示すデータによ
って表される、化合物1の形態11を示す。
【0034】
「形態12」または「化合物1形態12」は、区別なく使用され、以下の実施例の項の
実施例15Aにおいて合成され、後述され、また
図26及び27に示すデータによって表
される、化合物1の形態12を示す。
【0035】
「形態13」または「化合物1形態13」は、区別なく使用され、以下の実施例の項の
実施例16Aにおいて合成され、後述され、また
図28及び29に示すデータによって表
される、化合物1の形態13を示す。
【0036】
「形態14」または「化合物1形態14」は、区別なく使用され、以下の実施例の項の
実施例17Aにおいて合成され、後述され、また
図30及び31に示すデータによって表
される、化合物1の形態14を示す。
【0037】
「形態15」または「化合物1形態15」は、区別なく使用され、以下の実施例の項の
実施例18Aにおいて合成され、後述され、また
図32及び33に示すデータによって表
される、化合物1の形態15を示す。
【0038】
「形態16」または「化合物3形態16」は、区別なく使用され、以下の実施例の項の
実施例2Aにおいて合成され、後述され、また
図34、35及び36に示すデータによっ
て表される、化合物3の形態16を示す。
【0039】
「形態17」または「化合物3形態16」は、区別なく使用され、以下の実施例の項の
実施例20Aにおいて合成され、後述され、また
図37に示すデータによって表される、
化合物3の形態16を示す。
【0040】
「形態18」または「化合物3形態16」は、区別なく使用され、以下の実施例の項の
実施例21Aにおいて合成され、後述され、また
図38に示すデータによって表される、
化合物3の形態16を示す。
【0041】
「形態19」または「化合物3形態16」は、区別なく使用され、以下の実施例の項の
実施例22Aにおいて合成され、後述され、また
図39に示すデータによって表される、
化合物3の形態16を示す。
【0042】
「形態20」または「化合物1形態20」は、区別なく使用され、以下の実施例の項の
実施例23Aにおいて合成され、後述され、また
図40に示すデータによって表される、
化合物1の形態20を示す。
【0043】
「形態21」または「化合物1形態21」は、区別なく使用され、以下の実施例の項の
実施例24Aにおいて合成され、後述され、また
図43に示すデータによって表される、
化合物1の形態21を示す。
【0044】
本明細書で使用されるとき、「結晶性」とは、高度に規則的な化学構造を有する固体を
指す。特に、結晶性の化合物3または化合物1は、化合物3または化合物1の1つ以上の
単結晶形として生成し得る。本出願の目的上、「結晶形」、「単結晶形」及び「多形体」
という用語は、同義であり、当該用語は、異なる性質(例えば、異なるXRPDパターン
及び/または異なるDSCスキャン結果)を有する結晶を区別するものである。「多形体
」という用語は、典型的には、ある物質の異なる溶媒和物であり、そのため互いに性質が
異なる擬似多形体を含む。したがって、化合物3または化合物1の各別個の多形体及び擬
似多形体は、本明細書において別個の単結晶形であるとみなされる。
【0045】
「実質的に結晶性」とは、少なくとも特定の重量パーセントが結晶性であり得る形態を
指す。特定の重量パーセンテージは、10%、20%、30%、40%、50%、60%
、70%、75%、80%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%
、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%
、または10%~100%の間の任意のパーセンテージである。いくつかの実施形態にお
いて、実質的に結晶性とは、少なくとも70%が結晶性である、化合物3または化合物1
を指す。他の実施形態において、実質的に結晶性とは、少なくとも90%が結晶性である
、化合物3または化合物1を指す。
【0046】
本明細書で使用されるとき、「単離された」という用語は、化合物1または化合物3の
特定の結晶形が少なくとも特定の重量パーセントであり得る形態を指す。特定の重量パー
センテージは、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、9
8%、99%、99.5%、99.9%、または90%~100%の間の任意のパーセン
テージである。
【0047】
「溶媒和物または溶媒和された」という用語は、本発明の化合物(その結晶形を含む)
と1つ以上の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は、水素結合を含む。
特定の場合、例えば、1つ以上の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に組み込まれている場
合、溶媒和物は単離することができる。「溶媒和物または溶媒和された」は、液相の溶媒
和物と単離可能な溶媒和物の両方を包含する。代表的な溶媒和物には、例えば、水和物、
エタノレートまたはメタノレートが含まれる。
【0048】
「水和物」という用語は、溶媒分子が定義された化学量論量で存在するH2Oである溶
媒和物であり、例えば、半水和物、一水和物、二水和物または三水和物が含まれ得る。
【0049】
「混合物」という用語は、混合の相状態(例えば、液体または液体/結晶性)に関わら
ず、混合物の合わされた要素を指すために使用される。
【0050】
「接種」という用語は、再結晶化または結晶化を開始するための結晶性物質の添加を指
すために使用される。
【0051】
「貧溶媒」という用語は、化合物(その結晶形を含む)が難溶性である溶媒を指すため
に使用される。
【0052】
本明細書で使用されるとき、「約」という用語は、およそ、その範囲内、おおよそ、ま
たはその前後を意味する。「約」という用語が数値範囲とともに使用される場合、当該用
語は、当該範囲を、指定された数値の上下にその境界を拡張することにより修飾する。概
して、「約」という用語は、指定された値の10%の変動による上下の数値を修飾するた
めに本明細書で使用される。
【0053】
医薬組成物及び治療方法
IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性
肉腫、多発性骨髄腫またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫またはB細胞リンパ腫)な
どの進行性血液悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効
な量の変異型IDH2阻害物質を投与することを含む、方法が提供される。
【0054】
IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)またはリ
ンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液悪性腫瘍を治療する方法であって、
それを必要とする対象に、治療上有効な量の変異型IDH2阻害物質を投与することを含
む、方法も提供される。
【0055】
IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性
肉腫、多発性骨髄腫及びリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫またはB細胞リンパ腫)から
選択される進行性血液悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療
上有効な量の化合物3またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法も提
供される。
【0056】
IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性
肉腫、多発性骨髄腫またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫またはB細胞リンパ腫)な
どの進行性血液悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効
な量の化合物1を投与することを含む、方法も提供される。
【0057】
IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性
肉腫、多発性骨髄腫またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液悪性腫
瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効な量の2-メチル-1
-[(4-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-6-{[2-(トリフ
ルオロメチル)ピリジン-4-イル]アミノ}-1,3,5-トリアジン-2-イル)ア
ミノ]プロパン-2-オールメシル酸塩(化合物1)を投与することを含む、方法も提供
される。
【0058】
IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性
肉腫、多発性骨髄腫またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫またはB細胞リンパ腫)な
どの進行性血液悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効
な量の変異型IDH2阻害物質と、1つ以上の薬学的に許容される担体(複数可)とを含
む医薬組成物を投与することを含む、方法も提供される。
【0059】
IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性
肉腫、多発性骨髄腫及びリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫またはB細胞リンパ腫)から
選択される進行性血液悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療
上有効な量の化合物3またはその薬学的に許容される塩と、1つ以上の薬学的に許容され
る担体(複数可)とを含む医薬組成物を投与することを含む、方法も提供される。
【0060】
IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性
肉腫、多発性骨髄腫またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫またはB細胞リンパ腫)な
どの進行性血液悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効
な量の化合物1と、1つ以上の薬学的に許容される担体(複数可)とを含む医薬組成物を
投与することを含む、方法も提供される。
【0061】
IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性
肉腫、多発性骨髄腫またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液悪性腫
瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効な量の化合物1と、1
つ以上の薬学的に許容される担体(複数可)とを含む医薬組成物を投与することを含む、
方法も提供される。
【0062】
IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)またはリ
ンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液悪性腫瘍を治療する方法であって、
それを必要とする対象に、治療上有効な量の化合物1と、1つ以上の薬学的に許容される
担体(複数可)とを含む医薬組成物を投与することを含む、方法も提供される。
【0063】
IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性
肉腫、多発性骨髄腫またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫またはB細胞リンパ腫)な
どの進行性血液悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効
な量の化合物1もしくはその結晶形、または治療上有効な投与量の化合物3もしくはその
結晶形を投与することを含む、方法も提供される。
【0064】
IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性
肉腫、多発性骨髄腫またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫またはB細胞リンパ腫)な
どの進行性血液悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効
な量の化合物1もしくはその結晶形、または治療上有効な投与量の化合物3もしくはその
結晶形と、1つ以上の薬学的に許容される担体(複数可)とを含む医薬組成物を投与する
ことを含む、方法も提供される。
【0065】
IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)またはリ
ンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液悪性腫瘍を治療する方法であって、
それを必要とする対象に、治療上有効な量の化合物1もしくはその結晶形、または治療上
有効な投与量の化合物3もしくはその結晶形と、1つ以上の薬学的に許容される担体(複
数可)とを含む医薬組成物を投与することを含む、方法も提供される。
【0066】
IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性
肉腫、多発性骨髄腫及びリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫またはB細胞リンパ腫)から
選択される進行性血液悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療
上有効な投与量の化合物3の薬学的に許容される塩を投与することを含み、当該治療上有
効な投与量は、約30mg~約300mg(遊離塩基換算含量)、1日1回または1日2
回(例えば、約30mg~約200mg、1日1回もしくは1日2回、または約30mg
~約150mg、1日1回もしくは1日2回)である、方法も提供される。一実施形態に
おいて、治療上有効な投与量は、遊離塩基換算含量30mg、1日1回または1日2回で
ある。別の実施形態において、治療上有効な投与量は、遊離塩基換算含量50mg、1日
1回または1日2回である。別の実施形態において、治療上有効な投与量は、遊離塩基換
算含量75mg、1日1回または1日2回である。別の実施形態において、治療上有効な
投与量は、遊離塩基換算含量100mg、1日1回または1日2回である。別の実施形態
において、治療上有効な投与量は、遊離塩基換算含量125mg、1日1回または1日2
回である。別の実施形態において、治療上有効な投与量は、遊離塩基換算含量150mg
、1日1回または1日2回である。別の実施形態において、治療上有効な投与量は、遊離
塩基換算含量175mg、1日1回または1日2回である。別の実施形態において、治療
上有効な投与量は、遊離塩基換算含量200mg、1日1回または1日2回である。別の
実施形態において、治療上有効な投与量は、遊離塩基換算含量225mg、1日1回また
は1日2回である。別の実施形態において、治療上有効な投与量は、遊離塩基換算含量2
50mg、1日1回または1日2回である。別の実施形態において、治療上有効な投与量
は、遊離塩基換算含量275mg、1日1回または1日2回である。別の実施形態におい
て、治療上有効な投与量は、遊離塩基換算含量300mg、1日1回または1日2回であ
る。
【0067】
いくつかの実施形態において、本発明の方法では、化合物3の薬学的に許容される塩は
、遊離塩基換算含量5、10、50または200mgの錠剤の任意の組み合わせとして、
1日2回または1日1回経口投与される。いくつかの実施形態において、化合物1は、遊
離塩基換算含量5、10、50または200mgの錠剤の任意の組み合わせとして、1日
2回または1日1回経口投与される。いくつかの実施形態において、化合物1の結晶形は
、遊離塩基換算含量5、10、50または200mgの錠剤の任意の組み合わせとして、
1日2回または1日1回経口投与される。
【0068】
いくつかの実施形態において、本発明の方法では、化合物3の薬学的に許容される塩は
、遊離塩基換算含量5、10、50、100、150または200mgの錠剤の任意の組
み合わせとして、1日2回または1日1回経口投与される。いくつかの実施形態において
、化合物1は、遊離塩基換算含量5、10、50、100、150または200mgの錠
剤の任意の組み合わせとして、1日2回または1日1回経口投与される。いくつかの実施
形態において、化合物1の結晶形は、遊離塩基換算含量5、10、50、100、150
または200mgの錠剤の任意の組み合わせとして、1日2回または1日1回経口投与さ
れる。
【0069】
IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性
肉腫、多発性骨髄腫またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫またはB細胞リンパ腫)な
どの進行性血液悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、化合物1を
、少なくとも約30mg(遊離塩基換算含量)の投与量(例えば、約30mg~約300
mg、約30mg~約200mgまたは約30mg~約150mg(遊離塩基換算含量)
の量)で、1日2回投与することを含む、方法も提供される。
【0070】
IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性
肉腫、多発性骨髄腫またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液悪性腫
瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、化合物1を、少なくとも約30m
g(遊離塩基換算含量)の投与量(例えば、約30mg~約300mg、約30mg~約
200mgまたは約30mg~約150mg(遊離塩基換算含量)の量)で、1日2回投
与することを含む、方法も提供される。
【0071】
いくつかの実施形態において、IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴
付けられる、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球
性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫またはリンパ腫(例えば、T細胞リン
パ腫またはB細胞リンパ腫)などの進行性血液悪性腫瘍を治療する方法は、それを必要と
する対象に、化合物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形を、少なく
とも約30mg(遊離塩基換算含量)の投与量(例えば、約30mg~約300mg、約
30mg~約200mgまたは約30mg~約150mg(遊離塩基換算含量)の量)で
、1日2回投与することを含む。
【0072】
いくつかの実施形態において、IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴
付けられる、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球
性白血病(CMML)またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液悪性
腫瘍を治療する方法は、それを必要とする対象に、化合物1もしくはその結晶形または化
合物3もしくはその結晶形を、約30mg~約300mg(遊離塩基換算含量)の投与量
(例えば、約30mg~約300mg、約30mg~約200mgまたは約30mg~約
150mg(遊離塩基換算含量)の量)で、1日2回投与することを含む。
【0073】
いくつかの実施形態において、2回目の1日投与は、1回目の投与後、約8時間~約1
6時間の間に行われる。
【0074】
一実施形態において、投与量は、30mg(遊離塩基換算含量)、1日2回である。別
の実施形態において、投与量は、50mg(遊離塩基換算含量)、1日2回である。別の
実施形態において、投与量は、75mg(遊離塩基換算含量)、1日2回である。別の実
施形態において、投与量は、100mg(遊離塩基換算含量)、1日2回である。別の実
施形態において、投与量は、125mg(遊離塩基換算含量)、1日2回である。別の実
施形態において、投与量は、150mg(遊離塩基換算含量)、1日2回である。別の実
施形態において、投与量は、175mg(遊離塩基換算含量)、1日2回である。別の実
施形態において、投与量は、200mg(遊離塩基換算含量)、1日2回である。別の実
施形態において、投与量は、225mg(遊離塩基換算含量)、1日2回である。別の実
施形態において、投与量は、250mg(遊離塩基換算含量)、1日2回である。
【0075】
いくつかの実施形態において、IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴
付けられる、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)または慢性骨髄
単球性白血病(CMML)などの進行性血液悪性腫瘍を治療する方法は、それを必要とす
る対象に、化合物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形を、約75m
g~約150mg(遊離塩基換算含量)の投与量で1日2回投与することを含む。
【0076】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
るAMLを治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはその結晶形
または化合物3もしくはその結晶形を、約75mg~約150mg(遊離塩基換算含量)
の投与量で1日2回投与することを含む。
【0077】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
るAMLを治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはその結晶形
を、錠剤の経口製剤で、約75mg~約150mg(遊離塩基換算含量)の投与量で1日
2回投与することを含む。
【0078】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
るMDSを治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはその結晶形
または化合物3もしくはその結晶形を、約75mg~約150mg(遊離塩基換算含量)
の投与量で1日2回投与することを含む。
【0079】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
るMDSを治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはその結晶形
または化合物3もしくはその結晶形を、錠剤の経口製剤で、約75mg~約150mg(
遊離塩基換算含量)の投与量で1日2回投与することを含む。
【0080】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
るCMMLを治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはその結晶
形または化合物3もしくはその結晶形を、約75mg~約150mg(遊離塩基換算含量
)の投与量で1日2回投与することを含む。
【0081】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
るCMMLを治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはその結晶
形または化合物3もしくはその結晶形を、錠剤の経口製剤で、約75mg~約150mg
(遊離塩基換算含量)の投与量で1日2回投与することを含む。
【0082】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
る骨髄性肉腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはその結
晶形または化合物3もしくはその結晶形を、約75mg~約150mg(遊離塩基換算含
量)の投与量で1日2回投与することを含む。
【0083】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
る骨髄性肉腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはその結
晶形または化合物3もしくはその結晶形を、錠剤の経口製剤で、約75mg~約150m
g(遊離塩基換算含量)の投与量で1日2回投与することを含む。
【0084】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
る多発性骨髄腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはその
結晶形または化合物3もしくはその結晶形を、約75mg~約150mg(遊離塩基換算
含量)の投与量で1日2回投与することを含む。
【0085】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
る多発性骨髄腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはその
結晶形または化合物3もしくはその結晶形を、錠剤の経口製剤で、約75mg~約150
mg(遊離塩基換算含量)の投与量で1日2回投与することを含む。
【0086】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
るリンパ腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはその結晶
形または化合物3もしくはその結晶形を、約75mg~約150mg(遊離塩基換算含量
)の投与量で1日2回投与することを含む。
【0087】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
るリンパ腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはその結晶
形または化合物3もしくはその結晶形を、錠剤の経口製剤で、約75mg~約150mg
(遊離塩基換算含量)の投与量で1日2回投与することを含む。
【0088】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
るT細胞リンパ腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはそ
の結晶形または化合物3もしくはその結晶形を、約75mg~約150mg(遊離塩基換
算含量)の投与量で1日2回投与することを含む。
【0089】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
るT細胞リンパ腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはそ
の結晶形または化合物3もしくはその結晶形を、錠剤の経口製剤で、約75mg~約15
0mg(遊離塩基換算含量)の投与量で1日2回投与することを含む。
【0090】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
るB細胞リンパ腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはそ
の結晶形または化合物3もしくはその結晶形を、約75mg~約150mg(遊離塩基換
算含量)の投与量で1日2回投与することを含む。
【0091】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
るB細胞リンパ腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはそ
の結晶形または化合物3もしくはその結晶形を、錠剤の経口製剤で、約75mg~約15
0mg(遊離塩基換算含量)の投与量で1日2回投与することを含む。
【0092】
いくつかの実施形態において、2回目の1日投与は、1回目の1日投与後、約10時間
~約14時間の間に行われる。
【0093】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、化合物1もしくはその結晶形
または化合物3もしくはその結晶形を、約30mg、約50mg、約75mg、約100
mg、125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mgまたは約
250mg(それぞれ遊離塩基換算含量である)の投与量で、1日2回、対象に経口投与
することを含む。一実施形態において、2回目の1日投与は、最初の1日投与から4、5
、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、2
0時間後に投与される。
【0094】
いくつかの実施形態において、IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴
付けられる、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球
性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫またはリンパ腫(例えば、T細胞リン
パ腫またはB細胞リンパ腫)などの進行性血液悪性腫瘍を治療する方法は、それを必要と
する対象に、化合物1を、約75mg~約300mg(遊離塩基換算含量)の投与量で1
日1回(例えば、約75mg~約200mg(遊離塩基換算含量)、1日1回)投与する
ことを含む。
【0095】
いくつかの実施形態において、IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴
付けられる、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球
性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫またはリンパ腫(例えば、T細胞リン
パ腫)などの進行性血液悪性腫瘍を治療する方法は、それを必要とする対象に、化合物1
もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形を、約75mg~約3000mg
(遊離塩基換算含量)の投与量で1日1回(例えば、約75mg~約200mg(遊離塩
基換算含量)、1日1回)投与することを含む。
【0096】
いくつかの実施形態において、IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴
付けられる、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球
性白血病(CMML)またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液悪性
腫瘍を治療する方法は、それを必要とする対象に、化合物1もしくはその結晶形または化
合物3もしくはその結晶形を、約75mg~約300mg(遊離塩基換算含量)の投与量
で1日1回(例えば、約75mg~約200mg(遊離塩基換算含量)、1日1回)投与
することを含む。
【0097】
一実施形態において、投与量は、100mg(遊離塩基換算含量)、1日1回である。
一実施形態において、投与量は、150mg(遊離塩基換算含量)、1日1回である。一
実施形態において、投与量は、175mg(遊離塩基換算含量)、1日1回である。一実
施形態において、投与量は、200mg(遊離塩基換算含量)、1日1回である。一実施
形態において、投与量は、225mg(遊離塩基換算含量)、1日1回である。一実施形
態において、投与量は、250mg(遊離塩基換算含量)、1日1回である。一実施形態
において、投与量は、275mg(遊離塩基換算含量)、1日1回である。
【0098】
いくつかの実施形態において、IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴
付けられる、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)または慢性骨髄
単球性白血病(CMML)などの進行性血液悪性腫瘍を治療する方法は、それを必要とす
る対象に、化合物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形を、約150
mg~約300mg(遊離塩基換算含量)の投与量で1日1回(例えば、約150mg~
約200mg(遊離塩基換算含量)、1日1回)投与することを含む。
【0099】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
るAMLを治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはその結晶形
または化合物3もしくはその結晶形を、約100mg~約300mg(遊離塩基換算含量
)の投与量で1日1回(例えば、約150mg~約200mg(遊離塩基換算含量)、1
日1回)投与することを含む。
【0100】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
るAMLを治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはその結晶形
を、錠剤の経口製剤で、約150mg~約300mg(遊離塩基換算含量)の投与量で1
日1回投与することを含む。
【0101】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
るMDSを治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはその結晶形
または化合物3もしくはその結晶形を、約100mg~約300mg(遊離塩基換算含量
)の投与量で1日1回投与することを含む。
【0102】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
るMDSを治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはその結晶形
または化合物3もしくはその結晶形を、錠剤の経口製剤で、約150mg~約300mg
(遊離塩基換算含量)の投与量で1日1回投与することを含む。
【0103】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
るCMMLを治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはその結晶
形または化合物3もしくはその結晶形を、約100mg~約300mg(遊離塩基換算含
量)の投与量で1日1回投与することを含む。
【0104】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
るCMMLを治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはその結晶
形または化合物3もしくはその結晶形を、錠剤の経口製剤で、約150mg~約300m
g(遊離塩基換算含量)の投与量で1日1回投与することを含む。
【0105】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
る骨髄性肉腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはその結
晶形または化合物3もしくはその結晶形を、約100mg~約300mg(遊離塩基換算
含量)の投与量で1日1回投与することを含む。
【0106】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
る骨髄性肉腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはその結
晶形または化合物3もしくはその結晶形を、錠剤の経口製剤で、約150mg~約300
mg(遊離塩基換算含量)の投与量で1日1回投与することを含む。
【0107】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
る多発性骨髄腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはその
結晶形または化合物3もしくはその結晶形を、約100mg~約300mg(遊離塩基換
算含量)の投与量で1日1回投与することを含む。
【0108】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
る多発性骨髄腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはその
結晶形または化合物3もしくはその結晶形を、錠剤の経口製剤で、約150mg~約30
0mg(遊離塩基換算含量)の投与量で1日1回投与することを含む。
【0109】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
るリンパ腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはその結晶
形または化合物3もしくはその結晶形を、約100mg~約300mg(遊離塩基換算含
量)の投与量で1日1回投与することを含む。
【0110】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
るリンパ腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはその結晶
形または化合物3もしくはその結晶形を、錠剤の経口製剤で、約150mg~約300m
g(遊離塩基換算含量)の投与量で1日1回投与することを含む。
【0111】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
るT細胞リンパ腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはそ
の結晶形または化合物3もしくはその結晶形を、約100mg~約300mg(遊離塩基
換算含量)の投与量で1日1回投与することを含む。
【0112】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
るT細胞リンパ腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはそ
の結晶形または化合物3もしくはその結晶形を、錠剤の経口製剤で、約150mg~約3
00mg(遊離塩基換算含量)の投与量で1日1回投与することを含む。
【0113】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
るB細胞リンパ腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはそ
の結晶形または化合物3もしくはその結晶形を、約100mg~約300mg(遊離塩基
換算含量)の投与量で1日1回投与することを含む。
【0114】
一実施形態において、方法は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられ
るB細胞リンパ腫を治療する方法であり、それを必要とする対象に、化合物1もしくはそ
の結晶形または化合物3もしくはその結晶形を、錠剤の経口製剤で、約150mg~約3
00mg(遊離塩基換算含量)の投与量で1日1回投与することを含む。
【0115】
いくつかの実施形態において、方法は、化合物1もしくはその結晶形または化合物3も
しくはその結晶形を、約75、約100mg、約125mg、約150mg、約175m
g、約200mg、約225mg、約250mg、約275mgまたは約300mg(そ
れぞれ遊離塩基換算含量である)の投与量で、1日1回、対象に経口投与することを含む
。
【0116】
治療上有効な投与量の化合物1もしくはその結晶形、または治療上有効な投与量の化合
物3もしくはその結晶形は、日中または夜間のいずれの時間にも服用できることが理解さ
れるであろう。いくつかの実施形態において、治療上有効な投与量の化合物1は、朝に服
用される。他の実施形態において、治療上有効な投与量の化合物1もしくはその結晶形、
または治療上有効な投与量の化合物3もしくはその結晶形は、晩に服用される。治療上有
効な投与量の化合物1もしくはその結晶形、または治療上有効な投与量の化合物3もしく
はその結晶形は、食物とともにまたは食物なしで服用できることが理解されるであろう。
いくつかの実施形態において、治療上有効な投与量の化合物1もしくはその結晶形、また
は治療上有効な投与量の化合物3もしくはその結晶形は、食事とともに服用される(例え
ば、高脂肪食[米国食品医薬品局高脂肪標準食:例えば、バターで調理した特大卵2個、
塩漬けベーコン2切れ、バター付き強化白パン2枚、ハッシュドブラウンポテト4オンス
、全乳(3.3%)8オンス]の開始から30分後の単回経口投与量の投与)。いくつか
の実施形態において、対象は、治療上有効な投与量の化合物1もしくはその結晶形、また
は治療上有効な投与量の化合物3もしくはその結晶形の後、少なくとも4時間の絶食が求
められる。水は、化合物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形の投薬
1時間前から1時間後までを除き、自由に摂取することができる(投薬とともに提供され
る240mLの水を例外として)。
【0117】
いくつかの実施形態において、治療上有効な投与量の化合物1もしくはその結晶形、ま
たは治療上有効な投与量の化合物3もしくはその結晶形は、絶食間に服用される(例えば
、10時間の一晩の絶食後の単回経口投与量の投与)。
【0118】
一実施形態において、本発明は、治療上有効な投与量の化合物1もしくはその結晶形、
または治療上有効な投与量の化合物3もしくはその結晶形を含む経口製剤を包含する。別
の実施形態において、本発明は、化合物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはそ
の結晶形を含む、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、150mgまた
は200mg(それぞれ遊離塩基換算含量である)の経口製剤を包含する。一実施形態に
おいて、経口製剤は、1つ以上の薬学的に許容される担体(複数可)を更に含む。
【0119】
一実施形態において、本発明は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特
徴付けられる、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単
球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫またはリンパ腫(例えば、T細胞リ
ンパ腫またはB細胞リンパ腫)などの進行性血液悪性腫瘍を治療する方法にてそれを必要
とする対象に使用するための、化合物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその
結晶形を包含する。一実施形態において、本発明は、IDH2の変異対立遺伝子の存在に
よってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MD
S)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫またはリンパ腫(
例えば、T細胞リンパ腫またはB細胞リンパ腫)などの進行性血液悪性腫瘍を治療する方
法にてそれを必要とする対象に使用するための、治療上有効な投与量の化合物1もしくは
その結晶形、または治療上有効な投与量の化合物3もしくはその結晶形と、1つ以上の薬
学的に許容される担体(複数可)とを含む医薬組成物を包含する。
【0120】
IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性
肉腫、多発性骨髄腫またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液悪性腫
瘍を有する対象における、2-HGの治療前もしくはベースラインレベル(例えば、患者
における治療前第-3日、またはIDH-2遺伝子変異疾患のない対象において測定され
たレベル)を減少させ、骨髄及び/もしくは末梢血芽細胞の治療前もしくはベースライン
レベル(例えば、患者における治療前第-3日、またはIDH-2遺伝子変異疾患のない
対象において測定されたレベル)を減少させ、ならびに/または好中球数の治療前もしく
はベースラインレベル(例えば、患者における治療前第-3日、またはIDH-2遺伝子
変異疾患のない対象において測定されたレベル)を増加させる方法であって、(a)化合
物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形を、少なくとも約30mg(
遊離塩基換算含量)の投与量で、1日1回または1日2回(例えば、約30mg~約30
0mgの遊離塩基の化合物3に相当する量(例えば、約30mg~約200mg、1日1
回もしくは1日2回、または約30mg~約150mg、1日1回もしくは1日2回)、
あるいは(b)少なくとも約30mg(遊離塩基換算含量)の投与量(例えば、約30m
g~約300mgの遊離塩基の化合物3に相当する量(例えば、約30mg~約200m
g、1日1回もしくは1日2回、または約30mg~約150mg、1日1回もしくは1
日2回)の化合物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形と、1つ以上
の薬学的に許容される担体(複数可)とを含む医薬組成物を、当該対象に投与することを
含む、方法も提供される。
【0121】
IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性
肉腫、多発性骨髄腫またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫またはB細胞リンパ腫)な
どの進行性血液悪性腫瘍を有する対象における、骨髄及び/または末梢血芽細胞の治療前
またはベースラインレベル(例えば、患者における治療前第-3日、またはIDH-2遺
伝子変異疾患のない対象において測定されたレベル)を減少させる(例えば、少なくとも
50%)方法であって、
当該対象における骨髄及び/または末梢血芽細胞の治療前またはベースラインレベルに
関する知識を得ること(例えば、治療前またはベースラインレベルを測定すること)と、
(a)少なくとも約30mg(遊離塩基換算含量)の投与量(例えば、約30mg~約
300mgの遊離塩基の化合物3に相当する量(例えば、約30mg~約200mg、1
日1回もしくは1日2回、または約30mg~約150mg、1日1回もしくは1日2回
)の化合物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形、あるいは(b)少
なくとも約30mg(遊離塩基換算含量)の投与量(例えば、約30mg~約300mg
の遊離塩基の化合物3に相当する量(例えば、約30mg~約200mg、1日1回もし
くは1日2回、または約30mg~約150mg、1日1回もしくは1日2回)の化合物
1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形と、1つ以上の薬学的に許容さ
れる担体(複数可)とを含む医薬組成物を、当該対象に投与することと、
当該対象における骨髄及び/または末梢血芽細胞の治療後レベルに関する知識を得るこ
と(例えば、治療後レベルを測定すること)と、
当該対象における骨髄及び/または末梢血芽細胞の治療後レベルを治療前またはベース
ラインレベルと比較することと、
骨髄及び/または末梢血芽細胞のレベルが減少していること(例えば、少なくとも50
%)を判定することとを含む、方法も提供される。
【0122】
いくつかの実施形態において、方法は、骨髄及び/または末梢血芽細胞のレベルを、治
療前またはベースラインレベル(例えば、患者における治療前第-3日、またはIDH-
2遺伝子変異疾患のない対象において測定されたレベル)と比較して、少なくとも50%
(例えば、50%、50.5%、51%、51.5%、52%、52.5%、53%、5
3.5%、54%、または54.5%、55%、60%、65%、70%、75%、80
%、85%、90%または95%)減少させることを含む。いくつかの実施形態において
、方法は、骨髄及び/または末梢血芽細胞のレベルを、治療前またはベースラインレベル
と比較して、全骨髄細胞の5%未満(例えば、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%
、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1
.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%、2.2
5%、2.5%、2.75%、3%、3.25%、3.5%、3.75%、4%、4.2
5%、4.5%、4.75%または5%)まで減少させることを含む。
【0123】
IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性
肉腫、多発性骨髄腫またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液悪性腫
瘍を有する対象における、好中球数の治療前またはベースラインレベル(例えば、患者に
おける治療前第-3日、またはIDH-2遺伝子変異疾患のない対象において測定された
レベル)を増加させる(例えば、少なくとも1.0×109/L)方法であって、
当該対象における好中球数の治療前またはベースラインレベルに関する知識を得ること
(例えば、治療前またはベースラインレベルを測定すること)と、
(a)少なくとも約30mg(遊離塩基換算含量)の投与量(例えば、約30mg~約
300mgの遊離塩基の化合物3に相当する量(例えば、約30mg~約200mg、1
日1回もしくは1日2回、または約30mg~約150mg、1日1回もしくは1日2回
)の化合物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形、あるいは(b)少
なくとも約30mg(遊離塩基換算含量)の投与量(例えば、約30mg~約300mg
の遊離塩基の化合物3に相当する量(例えば、約30mg~約200mg、1日1回もし
くは1日2回、または約30mg~約150mg、1日1回もしくは1日2回)の化合物
1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形と、1つ以上の薬学的に許容さ
れる担体(複数可)とを含む医薬組成物を、当該対象に投与することと、
当該対象における好中球数の治療後レベルに関する知識を得ること(例えば、治療後レ
ベルを測定すること)と、
当該対象における好中球数の治療後レベルを治療前またはベースラインレベルと比較す
ることと、
好中球数レベルが増加していること(例えば、少なくとも1.0×109/L)を判定
することとを含む、方法も提供される。
【0124】
いくつかの実施形態において、方法は、対象における好中球数を、少なくとも1.0×
109/L(例えば、1.0×109/L、1.5×109/L、2.0×109/L、
2.5×109/L、3.0×109/L、3.5×109/L、4.0×109/L、
4.5×109/L、5.0×109/L、5.5×109/L、6.0×109/L、
6.5×109/L、7.0×109/Lまたは7.5×109/L)に増加させること
を含む。いくつかの実施形態において、方法は、対象における好中球数を、少なくとも0
.5×109/L、(例えば、0.5×109/L、0.6×109/L、0.7×10
9/L、0.8×109/L、0.9×109/Lまたは1.0×109/L)に増加さ
せることを含む。
【0125】
一実施形態において、変異型IDH2阻害物質は、ポリペプチドである。一実施形態に
おいて、ポリペプチドは、変異型酵素の新規活性に対してドミナントネガティブとして作
用する。ポリペプチドは、完全長IDH2またはその断片に相当し得る。ポリペプチドは
、対応する野生型IDH2の残基と同一である必要はないが、実施形態において、野生型
IDH2と少なくとも60、70、80、90または95%の相同性を有する。
【0126】
一実施形態において、変異型IDH2阻害物質は、例えば、変異型酵素への結合に競合
することによって、IDH2新規活性変異タンパク質のNADH、NADPHまたは二価
の金属イオン、例えば、Mg2+もしくはMn2+に対する親和性を減少させるか、ある
いはNADH、NADPHまたは二価の金属イオン、例えば、Mg2+もしくはMn2+
のレベルまたは利用可能性を減少させる。一実施形態において、酵素は、Mg2+または
Mn2+をCa2+に置き換えることによって阻害される。
【0127】
一実施形態において、変異型IDH2阻害物質は、IDH2の新規活性、例えば、2-
HG新規活性のレベルを低下させる。
【0128】
一実施形態において、変異型IDH2阻害物質は、IDH2変異体の新規活性を有する
変異体の産生レベルを低下させ、例えば、2-HG、例えば、R-2-HGのレベルを低
下させる。
【0129】
一実施形態において、変異型IDH2阻害物質は、変異型IDH2タンパク質と直接相
互作用する(例えば、結合する)か、変異型IDH2 mRNAと直接相互作用する(例
えば、結合する)かのいずれかである。
【0130】
一実施形態において、変異型IDH2阻害物質は、変異型IDH2タンパク質と直接相
互作用する(例えば、当該タンパク質に結合する)。
【0131】
一実施形態において、変異型IDH2阻害物質は、変異型IDH2 mRNAと直接相
互作用する(例えば、当該mRNAに結合する)。
【0132】
一実施形態において、変異型IDH2阻害物質は、例えば、変異型IDH2タンパク質
と相互作用する(例えば、当該タンパク質に結合する)ことによって、新規活性酵素活性
の量を低下させる。
【0133】
一実施形態において、変異型IDH2阻害物質は、小分子、例えば、化合物1であり、
変異型RNA、例えば、変異型IDH2 mRNAと相互作用する(例えば、結合する)
。
【0134】
いくつかの実施形態において、変異型IDH2阻害物質は、1つ以上の同位体置換も含
み得る。例えば、Hは、1H、2H(Dまたは重水素)及び3H(Tまたはトリチウム)
を含む任意の同位体であってよく、Cは、11C、12C、13C及び14Cを含む任意
の同位体であってよく、Nは、13N、14N及び15Nを含む任意の同位体であってよ
く、Oは、15O、16O及び18Oを含む任意の同位体であってよく、Fは、18Fを
含む任意の同位体であってよいなどである。例えば、化合物は、H、C、N、O及び/ま
たはFの特定の同位体で、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85
%、90%、95%、96%、97%、98%または99%濃縮される。例えば、化合物
1または化合物3の同位体置換には、2-メチル-1-[(4-[6-(トリフルオロメ
チル)ピリジン-2-イル]-6-{[2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル
]アミノ}-1,3,5-トリアジン-2-イル-4-14C)アミノ]プロパン-2-
オール;1-((4-(6-(ジフルオロ(フルオロ-18F)メチル)ピリジン-2-
イル)-6-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)アミノ)-1,3,
5-トリアジン-2-イル)アミノ)-2-メチルプロパン-2-オール、1-((4-
((2-(ジフルオロ(フルオロ-18F)メチル)ピリジン-4-イル)アミノ)-6
-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-
イル)アミノ)-2-メチルプロパン-2-オール、2-(((4-(6-(トリフルオ
ロメチル)ピリジン-2-イル)-6-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-
イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)メチル)プロパン-1,
1,1,3,3,3-d6-2-オール;2-メチル-1-((4-(6-(トリフルオ
ロメチル)ピリジン-2-イル)-6-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-
イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパン-1,1-d2
-2-オールまたはその薬学的に許容される塩(例えば、2-メチル-1-[(4-[6
-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-6-{[2-(トリフルオロメチル)
ピリジン-4-イル]アミノ}-1,3,5-トリアジン-2-イル-4-14C)アミ
ノ]プロパン-2-オールメタンスルホン酸塩;1-((4-(6-(ジフルオロ(フル
オロ-18F)メチル)ピリジン-2-イル)-6-((2-(トリフルオロメチル)ピ
リジン-4-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)-2-メチ
ルプロパン-2-オールメタンスルホン酸塩、1-((4-((2-(ジフルオロ(フル
オロ-18F)メチル)ピリジン-4-イル)アミノ)-6-(6-(トリフルオロメチ
ル)ピリジン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)-2-メチル
プロパン-2-オール)メタンスルホン酸塩、2-(((4-(6-(トリフルオロメチ
ル)ピリジン-2-イル)-6-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)
アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)メチル)プロパン-1,1,1
,3,3,3-d6-2-オールメタンスルホン酸塩;2-メチル-1-((4-(6-
(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-6-((2-(トリフルオロメチル)ピ
リジン-4-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ)プロパン-
1,1-d2-2-オールメタンスルホン酸塩)を挙げることができる。
【0135】
これらの治療方法及び医薬組成物については、以下に記載される詳細な説明及び例示的
な実施例によって更に説明される。
【0136】
組成物及び投与経路
本明細書に記載の方法において利用される変異型IDH2阻害物質、例えば、化合物1
もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形は、対象への投与の前に、1つ以
上の薬学的に許容される担体(複数可)またはアジュバント(複数可)とともに配合し、
薬学的に許容される組成物にすることができる。
【0137】
「薬学的に許容される担体またはアジュバント」という用語は、本明細書に記載の化合
物とともに対象に投与することができ、かつ治療量の化合物を送達するのに十分な投与量
で投与されたとき、その薬理活性を損なわず、非毒性である、担体またはアジュバントを
指す。
【0138】
いくつかの実施形態において、医薬組成物に使用することができる薬学的に許容される
担体、アジュバント及びビヒクルには、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニ
ウム、レシチン、自己乳化薬物送達系(SEDDS)、例えば、コハク酸d-α-トコフ
ェロールポリエチレングリコール1000、医薬製剤に使用されるTweenなどの界面
活性剤または他の類似のポリマー送達マトリックス、血清タンパク質、例えば、ヒト血清
アルブミン、緩衝物質、例えば、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム
、植物性飽和脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば、硫酸プロタ
ミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイ
ド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエ
チレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワック
ス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール
及び羊毛脂が挙げられるが、これらに限定されない。α-、β-及びγ-シクロデキスト
リンなどのシクロデキストリン、または2-及び3-ヒドロキシプロピル-β-シクロデ
キストリンを含むヒドロキシアルキルシクロデキストリンなどの化学修飾誘導体、または
他の可溶化誘導体もまた、本明細書に記載される式の化合物の送達を向上ために有利に使
用することができる。
【0139】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、経口、非経口、吸入スプレー、局所、経
直腸、経鼻、頬側、経膣または埋込型リザーバによって投与することができ、好ましくは
、経口投与または注射による投与である。本発明の一態様の医薬組成物は、任意の従来の
非毒性である薬学的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルを含有し得る。場合
によって、製剤化した化合物またはその送達形態の安定性を向上するために、薬学的に許
容される酸、塩基または緩衝液で製剤のpHを調節してもよい。本明細書で使用される非
経口という用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、髄液内、胸骨内、髄
腔内、病巣内及び頭蓋内の注射または注入技術を含む。
【0140】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、無菌注射用製剤の形態、例えば、水性ま
たは油性の無菌注射用懸濁液としてもよい。この懸濁液は、好適な分散剤または湿潤剤(
例えば、Tween 80など)及び懸濁化剤を使用して、当該技術分野において既知の
技術に従って製剤化することができる。無菌注射用製剤は、非経口的に許容される非毒性
の希釈剤または溶媒中の無菌注射用溶液または懸濁液、例えば、1,3-ブタンジオール
溶液としてもよい。利用可能な許容されるビヒクル及び溶媒には、マンニトール、水、リ
ンゲル液及び等張性塩化ナトリウム溶液がある。加えて、溶媒または懸濁媒には、無菌固
定油が慣習的に利用されている。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含む
、任意の無刺激性固定油を利用することができる。オレイン酸などの脂肪酸及びそのグリ
セリド誘導体は、注射製剤の調製に有用であり、オリーブ油またはヒマシ油などの天然の
薬学的に許容される油、特にそれらのポリオキシエチル化された形態も同様に有用である
。これらの油性溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤もしくは分散剤、または
乳剤及びもしくは懸濁剤などの薬学的に許容される剤形の製剤化において一般的に使用さ
れるカルボキシメチルセルロースもしくは類似の分散剤を含有し得る。Tweenもしく
はSpanなどの一般的に使用される他の界面活性剤及び/または薬学的に許容される固
体、液体もしくは他の剤形の製造にて一般的に使用される他の類似の乳化剤もしくはバイ
オアベイラビリティ向上剤もまた、製剤化の目的で使用することができる。
【0141】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、限定するものではないが、カプセル剤、
錠剤、乳剤、ならびに水性の懸濁剤、分散剤及び液剤を含む、経口的に許容される任意の
剤形で経口投与され得る。経口使用のための錠剤の場合、一般的に使用される担体には、
ラクトース及びコーンスターチが含まれる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も典
型的に添加される。カプセル形態での経口投与では、有用な希釈剤には、ラクトース及び
乾燥コーンスターチが含まれる。水性懸濁剤及び/または乳剤が経口投与される場合、活
性成分は、乳化剤及び/または懸濁化剤と合わせた油相中に懸濁または溶解され得る。所
望の場合、いくつかの甘味剤及び/または矯味剤及び/または着色剤が添加され得る。
【0142】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、経直腸投与用の坐剤の形態で投与するこ
ともできる。これらの組成物は、化合物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはそ
の結晶形を、室温では固体であるが直腸温度では液体になることにより直腸内で融解して
活性成分を放出する好適な非刺激性賦形剤と混合することによって、調製することができ
る。そのような物質には、ココアバター、蜜蝋及びポリエチレングリコールが挙げられる
が、これらに限定されない。
【0143】
いくつかの実施形態において、医薬組成物の局所投与は、所望の治療が局所適用によっ
て容易に到達できる領域または器官に関係する場合に有用である。皮膚への局所適用のた
めには、医薬組成物は、担体中に懸濁または溶解させた活性成分を含有する好適な軟膏で
製剤化される必要がある。化合物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶
形の局所投与のための担体には、ミネラルオイル、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピ
レングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス及び水
が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、医薬組成物は、好適な乳化剤で担体
中に懸濁または溶解させた活性化合物を含有する好適なローション剤またはクリーム剤で
製剤化することができる。好適な担体には、ミネラルオイル、モノステアリン酸ソルビタ
ン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチ
ルドデカノール、ベンジルアルコール及び水が挙げられるが、これらに限定されない。本
発明の一態様の医薬組成物は、直腸坐剤または好適な注腸剤によって下部消化管にも局所
適用することができる。局所経皮貼付剤も本発明の一態様に含まれる。
【0144】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、鼻エアゾールまたは吸入によって投与さ
れ得る。そのような組成物は、医薬製剤の分野において既知の技術に従って調製され、ベ
ンジルアルコールもしくは他の好適な保存剤、バイオアベイラビリティを高めるための吸
収促進剤、フルオロカーボン、及び/または当該技術分野において知られている他の可溶
化剤もしくは分散剤を使用して、生理食塩水中の溶液として調製することができる。
【0145】
本明細書に記載の方法において利用される変異型IDH2阻害物質、例えば、化合物1
もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形は、例えば、注射によって静脈内
、動脈内、皮下、腹腔内、筋肉内もしくは皮下に、または経口、頬側、経鼻、経粘膜、局
所、点眼剤もしくは吸入によって、約0.5~約100mg/kg体重の範囲の投与量、
あるいは1用量1mg~1000mgの投与量で、4~120時間ごとに、または特定の
薬物の要件に応じて、投与することができる。本明細書の方法は、所望の効果または指定
の効果を達成するために、有効量の化合物または化合物組成物を投与することを企図する
。典型的に、医薬組成物は、1日あたり約1~約6回、あるいは、持続注入で投与され得
る。そのような投与は、長期療法または急性期療法として使用することができる。単一剤
形を作製するために担体材料と組み合わすことができる活性成分の量は、治療される宿主
及び特定の投与方法に応じて変わり得る。典型的な製剤は、約5%~約95%の活性化合
物(w/w)を含有する。あるいは、そのような製剤は、約20%~約80%の活性化合
物を含有する。
【0146】
対象は、投与量の変異型IDH2阻害物質、例えば、実施例5に記載するように、化合
物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形が投与され得る。上に列挙さ
れた投与量よりも少ない投与量または多い投与量が必要とされる場合がある。任意の特定
の対象に対する具体的な投与量及び治療レジメンは、用いられる具体的な化合物の活性、
年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食事、投与時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、
疾患、病態または症状の重症度及び経過、疾患、病態または症状に対する対象の素因、な
らびに治療を行う医師の判断含む、種々の因子に依存する。
【0147】
対象の状態が改善した際には、必要に応じて、本発明の一態様の化合物、組成物、結晶
形または組み合わせの維持量を投与してもよい。その後、投与量もしくは投与頻度、また
はその両方を、症状に応じて、症状が所望のレベルにまで軽減されたときの改善状態が維
持されるレベルに減じてもよい。しかし、対象は、疾患症状の再発時には、長期的に断続
的な治療を必要とし得る。
【0148】
本発明のいくつかの実施形態は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体と、変異型
IDH2阻害物質とを含む錠剤を対象とする。
【0149】
本発明のいくつかの実施形態は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体と、化合物
1とを含む錠剤を対象とする。本発明のいくつかの実施形態は、少なくとも1つの薬学的
に許容される担体と、化合物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形と
を含む錠剤を対象とする。
【0150】
本発明のいくつかの実施形態は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体または希釈
剤と、化合物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形とを含む錠剤を対
象とする。他の実施形態において、化合物1または化合物3の結晶形は、少なくとも90
重量%の特定の結晶形であり、特定の結晶形は、本明細書に記載される形態である。他の
実施形態において、化合物1または化合物3の結晶形は、少なくとも95重量%の特定の
結晶形であり、特定の結晶形は、本明細書に記載される形態である。
【0151】
使用方法
IDH2変異体(例えば、IDH2R140Q及びIDH2R172K)に対する、化
合物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形の阻害活性は、参照により
全体を本明細書に援用する国際公開第2013/102431号及び米国特許出願公開第
2013/0190287号の実施例12に記載されている方法、または類似の方法によ
って試験することができる。
【0152】
変異型IDH2活性を阻害するための方法であって、それを必要とする対象を変異型I
DH2阻害物質と接触させることを含む、方法が提供される。一実施形態において、変異
型IDH2活性を阻害するための方法は、それを必要とする対象を化合物1と接触させる
ことを含む。一実施形態において、治療がなされる急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異
形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫
またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの本明細書に記載される進行性血液悪性
腫瘍は、IDH2の変異対立遺伝子によって特徴付けられ、当該IDH2変異は、患者に
おいて、α-ケトグルタル酸のR(-)-2-ヒドロキシグルタル酸へのNAPH依存性
還元を触媒する酵素の新たな能力をもたらす。本実施形態の一態様において、変異型ID
H2は、R140X変異を有する。本実施形態の別の態様において、R140X変異は、
R140Q変異である。本実施形態の別の態様において、R140X変異は、R140W
変異である。本実施形態の別の態様において、R140X変異は、R140L変異である
。本実施形態の別の態様において、変異型IDH2は、R172X変異を有する。本実施
形態の別の態様において、R172X変異は、R172Kである。本実施形態の別の態様
において、R172X変異は、R172Gである。
【0153】
別の実施形態において、変異型IDH2活性を阻害するための方法は、それを必要とす
る対象を化合物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形と接触させるこ
とを含む。一実施形態において、治療がなされる急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形
成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫ま
たはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの本明細書に記載される進行性血液悪性腫
瘍は、IDH2の変異対立遺伝子によって特徴付けられ、当該IDH2変異は、患者にお
いて、α-ケトグルタル酸のR(-)-2-ヒドロキシグルタル酸へのNAPH依存性還
元を触媒する酵素の新たな能力をもたらす。本実施形態の一態様において、変異型IDH
2は、R140X変異を有する。本実施形態の別の態様において、R140X変異は、R
140Q変異である。本実施形態の別の態様において、R140X変異は、R140W変
異である。本実施形態の別の態様において、R140X変異は、R140L変異である。
本実施形態の別の態様において、変異型IDH2は、R172X変異を有する。本実施形
態の別の態様において、R172X変異は、R172Kである。本実施形態の別の態様に
おいて、R172X変異は、R172Gである。IDH2の変異対立遺伝子の存在によっ
てそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)
、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、またはリンパ腫(例
えば、T細胞リンパ腫またはB細胞リンパ腫)などの進行性血液悪性腫瘍は、細胞試料を
シークエンシングして、IDH2のアミノ酸140及び/または172における変異(例
えば、140及び/または172に存在するアミノ酸変化)の存在及び具体的な性質を決
定することによって分析することができる。
【0154】
一実施形態において、IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられ
る、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病
(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)な
どの進行性血液悪性腫瘍の治療の有効性は、対象における2HGのレベルを測定すること
によって観察される。典型的に、2HGのレベルは、治療前に測定され、レベルの上昇は
、IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性
肉腫、多発性骨髄腫またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液悪性腫
瘍を治療するために、化合物1を使用する必要性を示す。
【0155】
一実施形態において、IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられ
る、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病
(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫また
はB細胞リンパ腫)などの進行性血液悪性腫瘍の治療の有効性は、対象における2-HG
のレベルを測定することによって観察される。典型的に、2-HGのレベルは、治療前に
測定され、レベルの上昇は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付け
られる、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白
血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫
またはB細胞リンパ腫)などの進行性血液悪性腫瘍を治療するために、化合物1もしくは
その結晶形または化合物3もしくはその結晶形を使用する必要性を示す。レベルの上昇が
確認されたら、治療期間中及び/または治療終了後に2-HGのレベルを測定し、有効性
を確認する。ある特定の態様において、2-HGのレベルは、治療期間中及び/または治
療終了後にのみ測定される。治療期間中及び治療終了後の2-HGレベルの低下は、有効
性を示す。同様に、治療期間中または治療後に2-HGレベルが上昇していないという判
定も有効性を示す。典型的に、これらの2-HG測定は、がん治療の有効性に関する他の
既知の判定法、例えば、腫瘍及び/または他のがん関連病変の数及びサイズの減少、骨髄
生検及び/または穿刺液の評価、全血球算定、末梢血塗抹標本検査、対象の全般的な健康
の改善、ならびにがん治療の有効性に関連する他のバイオマーカーの変化と一緒に利用さ
れる。
【0156】
IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性
肉腫、多発性骨髄腫またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫またはB細胞リンパ腫)な
どの進行性血液悪性腫瘍を有する対象における、2-HGの治療前またはベースラインレ
ベル(例えば、患者における治療前第-3日、またはIDH-2遺伝子変異疾患のない対
象において測定されたレベル)と比較して、2-HGを阻害する(例えば、少なくとも5
0%)方法であって、
当該対象における2-HGの治療前またはベースラインレベルに関する知識を得ること
(例えば、治療前またはベースラインレベルを測定すること)と、
(a)少なくとも約30mg(遊離塩基換算含量)の投与量(例えば、約30mg~約
300mgの遊離塩基の化合物3に相当する量)の化合物1もしくはその結晶形または化
合物3もしくはその結晶形、あるいは(b)少なくとも約30mg(遊離塩基換算含量)
の投与量(例えば、約30mg~約300mgの遊離塩基の化合物3に相当する量)の化
合物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形と、1つ以上の薬学的に許
容される担体(複数可)とを含む医薬組成物を、当該対象に投与することと、
当該対象における2-HGの治療後レベルに関する知識を得ること(例えば、治療後レ
ベルを測定すること)と、
当該対象における2-HGの治療後レベルを治療前またはベースラインレベルと比較す
ることと、
2-HGのレベルが阻害されていること(例えば、少なくとも50%)を判定すること
とを含む、方法も提供される。
【0157】
いくつかの実施形態において、方法は、IDH2 R140Q変異を有する患者または
当該変異を有すると判定された患者における2-HGを、治療前またはベースラインレベ
ル(例えば、患者における治療前第-3日、またはIDH-2遺伝子変異疾患のない対象
において測定されたレベル)と比較して、少なくとも50%(例えば、50%、55%、
60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、
90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%ま
たは100%)阻害することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、IDH2
R172K変異を有する患者または当該変異を有すると判定された患者における2-HG
を、治療前またはベースラインレベル(例えば、患者における治療前第-3日、またはI
DH-2遺伝子変異疾患のない対象において測定されたレベル)と比較して、最大60%
阻害すること(例えば、2-HGのレベルの最大50%、51%、52%、53%、54
%、55%、56%、57%、58%、59%または60%の減少)を含む。いくつかの
実施形態において、対象における2-HGレベルの測定は、分光分析、例えば、磁気共鳴
に基づく分析、例えば、MRI及び/もしくはMRS測定、血液、血漿、尿、骨髄もしく
は脊髄液分析などの体液試料分析、または外科的物質の分析、例えば、質量分析(例えば
、LC-MS、GC-MS)によって得ることができる。
【0158】
2-HGは、参照により全体を本明細書に援用する国際公開第2013/102431
号及び米国特許出願公開第2013/0190287号の方法、または類似の方法によっ
て、試料中で検出され得る。
【0159】
一実施形態において、2-HGは、直接評価される。
【0160】
別の実施形態において、分析方法の実施中において形成された2-HGの誘導体が評価
される。例として、そのような誘導体は、MS分析において形成された誘導体であり得る
。誘導体は、例えば、MS分析において形成される、塩付加体(例えばNa付加体)、水
和変異体、または塩付加体(例えばNa付加体)でもある水和変異体を含み得る。
【0161】
別の実施形態において、2-HGの代謝誘導体が評価される。例としては、2-HG、
例えば、R-2-HGに相関するグルタル酸またはグルタミン酸などの、2-HGの存在
の結果として蓄積されるか、または上昇もしくは低下する種が挙げられる。
【0162】
例示的な2-HG誘導体には、以下に記載される化合物などの脱水誘導体またはその塩
付加体が挙げられる。
【化1】
【0163】
一実施形態において、IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられ
る、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病
(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫また
はB細胞リンパ腫)などの進行性血液悪性腫瘍は、診断または治療の時点で、腫瘍細胞の
少なくとも30、40、50、60、70、80または90%がIDH2変異、特にID
H2 R140Q、R140WもしくはR140L及び/またはR172KもしくはR1
72G変異を有する腫瘍である。
【0164】
いくつかの実施形態において、対象は、診断または治療の時点で、IDH2遺伝子変異
疾患(例えば、R140Q変異またはR172K変異)を有しているか、または有すると
判定されている。いくつかの実施形態において、対象はまた、診断または治療の時点で、
FLT3-ITD(Fms関連チロシンキナーゼ3(FLT3)遺伝子内縦列重複(IT
D))、CEPBA(CCAAT/エンハンサー結合タンパク質α)、NPM1(ヌクレ
オフォスミン(核小体リンタンパク質B23))、及びDNMT3A(DNA(シトシン
-5-)メチルトランスフェラーゼ3α、ASXL1:additional sex
combs like 1)から選択される変異を有しているか、または有すると判定さ
れている。
【0165】
いくつかの実施形態において、対象は、治療前に、正常な細胞遺伝学的性質を有する。
いくつかの他の実施形態において、対象は、治療前に、異常であるか、または好ましくな
い細胞遺伝学的性質、例えば、モノソミー7(または7番染色体長腕の部分的欠失(7q
-))、トリソミー8、トリソミー11、転座t(17;18)、または転座t(1;1
3)のうちの1つ以上を有する。表8は、細胞遺伝学的分類について記載している(IP
SS及び新たな5群分類)。
【0166】
一実施形態において、治療がなされる進行性血液悪性腫瘍は、AMLである。いくつか
の実施形態において、AMLは、再発性及び/または初期治療抵抗性である。他の実施形
態において、AMLは、未治療である。いくつかの実施形態において、AMLは、60歳
以上の患者において、再発性及び/または初期治療抵抗性である。いくつかの実施形態に
おいて、AMLは、60歳以上の患者において、未治療である。いくつかの実施形態にお
いて、AMLは、60歳未満の患者において、再発性及び/または初期治療抵抗性である
。一実施形態において、化合物1は、AMLの第一選択治療として投与される。一実施形
態において、化合物1は、AMLの第二、第三または第四選択治療として投与される。一
実施形態において、化合物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形は、
AMLの第一選択治療として投与される。一実施形態において、化合物1もしくはその結
晶形または化合物3もしくはその結晶形は、AMLの第二、第三または第四選択治療とし
て投与される。一実施形態において、化合物1もしくはその結晶形または化合物3もしく
はその結晶形は、初回再発後に投与される。一実施形態において、化合物1は、初回導入
不応後に投与される。一実施形態において、化合物1は、再導入不応後に投与される。一
実施形態において、化合物1の投与は、移植前、移植中、または移植後になされ得る。一
実施形態において、化合物1は、移植後の再発後に投与される。一実施形態において、A
MLの出現は、MPDに続いて起こる。一実施形態において、AMLの出現は、MDS及
びCMMLに続いて起こる。一実施形態において、化合物1もしくはその結晶形または化
合物3もしくはその結晶形は、初回導入不応後に投与される。一実施形態において、化合
物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形は、再導入不応後に投与され
る。一実施形態において、化合物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶
形の投与は、移植前、移植中、または移植後になされ得る。一実施形態において、化合物
1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形は、移植後の再発後に投与され
る。一実施形態において、再発及びそれに続く再導入不応後に、化合物1もしくはその結
晶形または化合物3もしくはその結晶形が投与される。一実施形態において、再発(移植
後)及びそれに続く再導入不応後に、化合物1もしくはその結晶形または化合物3もしく
はその結晶形が投与される。一実施形態において、AMLの出現はMPDに続いて起こり
、化合物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形は初回導入不応後に投
与される。一実施形態において、初回導入不応及びそれに続く再発後(移植後)に、化合
物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形が投与される。一実施形態に
おいて、AMLの出現はMDS及びCMMLに続いて起こり、初回導入不応及びそれに続
く再導入不応後に、化合物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形が投
与される。
【0167】
別の実施形態において、治療がなされる進行性血液悪性腫瘍は、芽球増加を伴う不応性
貧血(サブタイプRAEB-1またはRAEB-2)のMDSである。他の実施形態にお
いて、MDSは、未治療である。一実施形態において、化合物1もしくはその結晶形また
は化合物3もしくはその結晶形は、MDSの第一選択治療として投与される。一実施形態
において、化合物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形は、MDSの
第二、第三または第四選択治療として投与される。一実施形態において、化合物1は、M
DSの第一選択治療として投与される。一実施形態において、化合物1は、MDSの第二
、第三または第四選択治療として投与される。一実施形態において、MDSの出現は、A
MLに続いて起こる。一実施形態において、MDSの出現はAMLに続いて起こり、化合
物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形はMDSの第一選択治療とし
て投与される。
【0168】
別の実施形態において、治療がなされる進行性血液悪性腫瘍は、再発性及び/または初
期治療抵抗性CMMLである。一実施形態において、化合物1は、CMMLの第一選択治
療として投与される。一実施形態において、化合物1は、CMMLの第二、第三または第
四選択治療として投与される。一実施形態において、化合物1もしくはその結晶形または
化合物3もしくはその結晶形は、CMMLの第一選択治療として投与される。一実施形態
において、化合物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形は、CMML
の第二、第三または第四選択治療として投与される。一実施形態において、化合物1もし
くはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形は、2回目の再発後に投与される。
【0169】
別の実施形態において、治療がなされる進行性血液悪性腫瘍は、リンパ腫(例えば、B
細胞リンパ腫(例えば、バーキットリンパ腫、慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ
腫(CLL/SLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、大細胞型免
疫芽球性リンパ腫、前駆B細胞芽球性リンパ腫及びマントル細胞リンパ腫)、及びT細胞
リンパ腫(例えば、菌状息肉症、未分化大細胞型リンパ腫及び前駆T細胞芽球性リンパ腫
)などの非ホジキンリンパ腫(NHL)である。
【0170】
別の実施形態において、治療がなされる進行性血液悪性腫瘍は、再発性及び/または初
期治療抵抗性の骨髄性肉腫である。他の実施形態において、骨髄性肉腫は、未治療である
。一実施形態において、化合物1は、骨髄性肉腫の第一選択治療として投与される。一実
施形態において、化合物1は、骨髄性肉腫の第二、第三または第四選択治療として投与さ
れる。一実施形態において、化合物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結
晶形は、骨髄性肉腫の第一選択治療として投与される。一実施形態において、化合物1も
しくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形は、骨髄性肉腫の第二、第三または
第四選択治療として投与される。一実施形態において、骨髄性肉腫は、AMLと同時に発
現する。一実施形態において、骨髄性肉腫は、AMLの再発時に発現する。
【0171】
別の実施形態において、治療がなされる進行性血液悪性腫瘍は、再発性及び/または初
期治療抵抗性の多発性骨髄腫である。他の実施形態において、多発性骨髄腫は、未治療で
ある。一実施形態において、化合物1は、多発性骨髄腫の第一選択治療として投与される
。一実施形態において、化合物1は、多発性骨髄腫の第二、第三または第四選択治療とし
て投与される。他の実施形態において、多発性骨髄腫は、未治療である。一実施形態にお
いて、化合物1もしくはその結晶形または化合物3もしくはその結晶形は、多発性骨髄腫
の第一選択治療として投与される。一実施形態において、化合物1もしくはその結晶形ま
たは化合物3もしくはその結晶形は、多発性骨髄腫の第二、第三または第四選択治療とし
て投与される。
【0172】
本明細書に記載される治療方法は、変異型IDH2阻害物質、例えば、化合物1もしく
はその結晶形または化合物3もしくはその結晶形による治療の前及び/または後に、種々
の評価ステップを更に含み得る。
【0173】
一実施形態において、方法は、変異型IDH2阻害物質、例えば、化合物1もしくはそ
の結晶形または化合物3もしくはその結晶形による治療の前及び/または後に、進行性血
液悪性腫瘍の成長、サイズ、重量、侵襲性、ステージ及び/または他の表現型を評価する
ステップを更に含む。
【0174】
一実施形態において、方法は、変異型IDH2阻害物質、例えば、化合物1もしくはそ
の結晶形または化合物3もしくはその結晶形による治療の前及び/または後に、がんのI
DH2遺伝子型を評価するステップを更に含む。これは、DNAシークエンシング、免疫
分析及び/または2-HGの存在、分布もしくはレベルの評価などの当該技術分野におけ
る通常の方法によって達成することができる。
【0175】
一実施形態において、方法は、変異型IDH2阻害物質、例えば、化合物1もしくはそ
の結晶形または化合物3もしくはその結晶形による治療の前及び/または後に、対象の2
-HGレベルを測定するステップを更に含む。これは、分光分析、例えば、磁気共鳴に基
づく分析、例えば、MRI及び/もしくはMRS測定、血液、血漿、尿、骨髄もしくは脊
髄液分析などの体液試料分析、または外科的物質の分析、例えば、質量分析(例えば、L
C-MS、GC-MS)によって達成することができる。
【0176】
結晶形
化合物1の結晶形が提供される。2-メチル-1-[(4-[6-(トリフルオロメチ
ル)ピリジン-2-イル]-6-{[2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]
アミノ}-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ]プロパン-2-オール(化合物
3)の結晶形も提供される。
【0177】
一実施形態において、化合物1は、単結晶形、または本明細書に記載される単結晶形の
いずれか1つである。少なくとも1つの薬学的に許容される担体または希釈剤と、単結晶
形、または本明細書に記載される結晶形のいずれか1つである化合物1とを含む医薬組成
物も提供される。医薬組成物を製造するために、単結晶形、または本明細書に記載される
単結晶形のいずれか1つである化合物1を使用することも提供される。
【0178】
一実施形態において、化合物3は、単結晶形、または本明細書に記載される単結晶形の
いずれか1つである。少なくとも1つの薬学的に許容される担体または希釈剤と、単結晶
形、または本明細書に記載される結晶形のいずれか1つである化合物3とを含む医薬組成
物も提供される。医薬組成物を製造するために、単結晶形、または本明細書に記載される
単結晶形のいずれか1つである化合物3を使用することも提供される。
【0179】
IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性
肉腫、多発性骨髄腫またはリンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫またはB細胞リンパ腫)な
どの進行性血液悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、(a)化合
物1もしくは化合物3の単結晶形、または(b)(a)と薬学的に許容される担体とを含
む医薬組成物を投与することを含む、方法も提供される。一実施形態において、(a)の
単結晶形は、90%~100%の間の任意のパーセンテージの純度である。
【0180】
IDH2の変異対立遺伝子の存在によってそれぞれ特徴付けられる、急性骨髄性白血病
(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)またはリ
ンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液悪性腫瘍を治療する方法であって、
それを必要とする対象に、(a)化合物1もしくは化合物3の単結晶形、または(b)(
a)と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を投与することを含む、方法も提供さ
れる。一実施形態において、(a)の単結晶形は、90%~100%の間の任意のパーセ
ンテージの純度である。
【0181】
化合物1及び化合物3の結晶形を記載するための様々な特性情報も本明細書にて提供さ
れる。しかしながら、そのような特定の形態が指定の組成物に存在することを当業者が決
定するには、そのような情報の全てを要するわけではなく、当業者が特定の形態の存在を
確認するのに十分であると認識するであろう特性情報のいずれかの部分を使用して、特定
の形態の同定を達成することができ、例えば、単一の特徴的なピークでも、そのような特
定の形態が存在することを当業者が判断するのに十分であり得ることを理解されたい。
【0182】
化合物1の結晶形は、医薬製剤の大規模製造に適した物理的性質を有する。本明細書に
記載される化合物1の結晶形の多くは、高結晶化度、高融点及び吸収または溶媒和の限定
された溶媒を呈する。化合物1の結晶形は、化合物1の非晶質形と比較して、改善された
バイオアベイラビリティを有する。特に、形態3は、非吸湿性であり、室温、相対湿度最
大40%で、少なくとも3ヶ月間、安定性の利点(例えば、熱力学的、化学的または物理
的安定性)を示す。
【0183】
一実施形態において、化合物3の少なくとも特定の重量パーセンテージが結晶性である
。特定の重量パーセンテージは、10%、20%、30%、40%、50%、60%、7
0%、75%、80%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、9
3%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、ま
たは10%~100%の間の任意のパーセンテージであり得る。化合物3の少なくとも特
定の重量パーセンテージが結晶性である場合、化合物3の残りは、化合物3の非晶質形で
ある。結晶性の化合物3の非限定的な例には、化合物3の単結晶形または異なる単結晶形
の混合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、化合物3は、少なくとも90重量
%が結晶性である。いくつかの他の実施形態において、化合物3は、少なくとも95重量
%が結晶性である。
【0184】
別の実施形態において、結晶性の化合物3の特定の重量パーセンテージは、特定の単結
晶形または単結晶形の組み合わせである。特定の重量パーセンテージは、10%、20%
、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、87%、88%
、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%
、99%、99.5%、99.9%、または10%~100%の間の任意のパーセンテー
ジであり得る。別の実施形態において、化合物3は、少なくとも90重量%が単結晶形で
ある。別の実施形態において、化合物3は、少なくとも95重量%が単結晶形である。
【0185】
一実施形態において、化合物1の少なくとも特定の重量パーセンテージが結晶性である
。特定の重量パーセンテージは、10%、20%、30%、40%、50%、60%、7
0%、75%、80%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、9
3%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、ま
たは10%~100%の間の任意のパーセンテージであり得る。化合物1の少なくとも特
定の重量パーセンテージが結晶性である場合、化合物1の残りは、化合物1の非晶質形で
ある。結晶性の化合物1の非限定的な例には、化合物1の単結晶形または異なる単結晶形
の混合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、化合物1は、少なくとも90重量
%が結晶性である。いくつかの他の実施形態において、化合物1は、少なくとも95重量
%が結晶性である。
【0186】
別の実施形態において、結晶性の化合物1の特定の重量パーセンテージは、特定の単結
晶形または単結晶形の組み合わせである。特定の重量パーセンテージは、10%、20%
、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、87%、88%
、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%
、99%、99.5%、99.9%、または10%~100%の間の任意のパーセンテー
ジであり得る。別の実施形態において、化合物1は、少なくとも90重量%が単結晶形で
ある。別の実施形態において、化合物1は、少なくとも95重量%が単結晶形である。
【0187】
化合物3に関する以下の記述において、本発明の実施形態は、本明細書にて考察される
1つ以上の性質によって特徴付けられた、化合物3の特定の結晶形に関して記載され得る
。結晶形を特徴付ける記述は、結晶性化合物3に存在し得る異なる結晶形の混合物を記載
するためにも使用され得る。しかしながら、化合物3の特定の結晶形はまた、特定の結晶
形を参照して、または参照せずに、本明細書に記載される結晶形の特徴のうちの1つ以上
によって特徴付けられてもよい。
【0188】
化合物1に関する以下の記述において、本発明の実施形態は、本明細書にて考察される
1つ以上の性質によって特徴付けられた、化合物1の特定の結晶形に関して記載され得る
。結晶形を特徴付ける記述は、結晶性化合物1に存在し得る異なる結晶形の混合物を記載
するためにも使用され得る。しかしながら、化合物1の特定の結晶形はまた、特定の結晶
形を参照して、または参照せずに、本明細書に記載される結晶形の特徴のうちの1つ以上
によって特徴付けられてもよい。
【0189】
結晶形については、以下に記載される詳細な説明及び例示的な実施例によって更に説明
される。表1A~19Aに記載されるXRPDピークは、データを取得するために使用し
た機器に応じて、±0.2°変動し得る。表1A~19Aに記載されるXRPDピークの
強度は、10%変動し得る。
【0190】
形態1
一実施形態において、化合物3の単結晶形である形態1は、CuKa線を使用して得ら
れた、
図1に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表1に示されるデータによ
って特徴付けられる。特定の実施形態において、多形体は、表1Aに示されるように、図
1から得られたピークの1つ以上によって特徴付けられ得る。例えば、多形体は、表1A
に示されるピークの1または2または3または4または5または6または7または8また
は9個によって特徴付けられ得る。
表1A
【表1】
【0191】
別の実施形態において、形態1は、8.9、13.0、18.9、23.8及び28.
1°の2θ角度に特定されるピークによって特徴付けられ得る。別の実施形態において、
形態1は、8.9、18.9及び24.8°の2θ角度に特定されるピークによって特徴
付けられ得る。
【0192】
形態2
一実施形態において、化合物3の単結晶形である形態2は、CuKa線を使用して得ら
れた、
図2に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表2Aに示されるデータに
よって特徴付けられる。特定の実施形態において、多形体は、表2Aに示されるように、
図2から得られたピークの1つ以上によって特徴付けられ得る。例えば、多形体は、表2
Aに示されるピークの1または2または3または4または5または6または7または8ま
たは9個によって特徴付けられ得る。
表2A
【表2】
【0193】
別の実施形態において、形態2は、12.7、17.1、19.2、23.0及び24
.2°の2θ角度に特定されるピークによって特徴付けられ得る。別の実施形態において
、形態2は、12.7、19.2及び24.2°の2θ角度に特定されるピークによって
特徴付けられ得る。
【0194】
別の実施形態において、形態2は、
図3に示される示差走査熱量測定プロファイル(D
SC)によって特徴付けられ得る。DSCグラフは、試料からの熱流を温度の関数として
プロットしたものであり、温度変化速度は約10℃/分である。このプロファイルは、約
88.2℃のオンセット温度で約91.0℃での融解を有する強い吸熱転移を特徴とする
。
【0195】
別の実施形態において、形態2は、
図4に示される熱重量分析(TGA)によって特徴
付けられ得る。TGAプロファイルは、試料の重量減少率を温度の関数としてグラフにし
たものであり、温度変化速度は約10℃/分である。重量減少は、温度が約26.6℃か
ら150.0℃まで変化するに伴い、試料の重量が約9.9%減少することを表している
。
【0196】
形態3
一実施形態において、化合物1の単結晶形である形態3は、CuKa線を使用して得ら
れた、
図5に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表3Aに示されるデータに
よって特徴付けられる。特定の実施形態において、多形体は、表3Aに示されるように、
図5から得られたピークの1つ以上によって特徴付けられ得る。例えば、多形体は、表3
Aに示されるピークの1または2または3または4または5または6または7または8ま
たは9または10個によって特徴付けられ得る。
表3A
【表3】
【0197】
別の実施形態において、形態3は、7.5、9.3、14.5、18.8、21.3及
び24.8°の2θ角度に特定されるピークによって特徴付けられ得る。更なる実施形態
において、形態3は、7.5、14.5、18.8及び24.8°の2θ角度に特定され
るピークによって特徴付けられ得る。別の実施形態において、形態3は、7.5、14.
5及び24.8°の2θ角度に特定されるピークによって特徴付けられ得る。
【0198】
別の実施形態において、形態3は、
図6に示される示差走査熱量測定プロファイル(D
SC)によって特徴付けられ得る。DSCグラフは、試料からの熱流を温度の関数として
プロットしたものであり、温度変化速度は約10℃/分である。このプロファイルは、約
210.7℃のオンセット温度で約213.4℃での融解を有する強い吸熱転移を特徴と
する。
【0199】
別の実施形態において、形態3は、
図7に示される熱重量分析(TGA)によって特徴
付けられ得る。TGAプロファイルは、試料の重量減少率を温度の関数としてグラフにし
たものであり、温度変化速度は約10℃/分である。重量減少は、温度が約21℃から1
96℃まで変化するに伴い、試料の重量が約0.03%減少し、温度が約196℃から2
41℃まで変化するに伴い、試料の重量が約7.5%減少することを表している。
【0200】
別の実施形態において、形態3は、
図5に実質的に類似したX線粉末回折パターンによ
って特徴付けられる。別の実施形態において、形態3は、
図6に実質的に類似した示差走
査熱量測定(DSC)プロファイルによって特徴付けられる。別の実施形態において、形
態3は、
図7に実質的に類似した熱重量分析(TGA)プロファイルによって特徴付けら
れる。更なる実施形態において、形態3の単結晶形は、本段落にて列挙された特徴の1つ
以上によって特徴付けられる。別の実施形態において、形態3は、
図8に実質的に類似し
たDVSプロファイルによって特徴付けられる。
【0201】
形態4
一実施形態において、化合物1の単結晶形である形態4は、CuKa線を使用して得ら
れた、
図9に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表4Aに示されるデータに
よって特徴付けられる。特定の実施形態において、多形体は、表4Aに示されるように、
図9から得られたピークの1つ以上によって特徴付けられ得る。例えば、多形体は、表4
Aに示されるピークの1または2または3または4または5または6または7または8ま
たは9個によって特徴付けられ得る。
表4A
【表4】
【0202】
別の実施形態において、形態4は、6.5、19.0、19.4、19.9及び24.
7°の2θ角度に特定されるピークによって特徴付けられ得る。更なる実施形態において
、形態4は、6.5、19.4及び19.9°の2θ角度に特定されるピークによって特
徴付けられ得る。
【0203】
別の実施形態において、形態4は、
図10に示される示差走査熱量測定プロファイル(
DSC)によって特徴付けられ得る。DSCグラフは、試料からの熱流を温度の関数とし
てプロットしたものであり、温度変化速度は約10℃/分である。このプロファイルは、
約59.2℃のオンセット温度で約85.5℃での融解を有する弱い吸熱転移と、約20
5.2℃のオンセット温度で約209.1℃での融解を有する強い吸熱転移とを特徴とす
る。
【0204】
別の実施形態において、形態4は、
図10に示される熱重量分析(TGA)によって特
徴付けられ得る。TGAプロファイルは、試料の重量減少率を温度の関数としてグラフに
したものであり、温度変化速度は約10℃/分である。重量減少は、温度が約44.8℃
から140.0℃まで変化するに伴い、試料の重量が約1.8%減少することを表してい
る。
【0205】
形態5
一実施形態において、化合物1の単結晶形である形態5は、CuKa線を使用して得ら
れた、
図11に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表5に示されるデータに
よって特徴付けられる。特定の実施形態において、多形体は、表5Aに示されるように、
図11から得られたピークの1つ以上によって特徴付けられ得る。例えば、多形体は、表
5Aに示されるピークの1または2または3または4または5または6または7または8
または9個によって特徴付けられ得る。
表5A
【表5】
【0206】
一実施形態において、形態5は、7.1、14.5、17.1及び21.8°の2θ角
度に特定されるピークによって特徴付けられ得る。更なる実施形態において、形態5は、
7.1及び21.8°の2θ角度に特定されるピークによって特徴付けられ得る。
【0207】
別の実施形態において、形態5は、
図12に示される示差走査熱量測定プロファイル(
DSC)によって特徴付けられ得る。DSCグラフは、試料からの熱流を温度の関数とし
てプロットしたものであり、温度変化速度は約10℃/分である。このプロファイルは、
約50.1℃のオンセット温度で約77.5℃での融解を有する弱い吸熱転移と、約20
3.1℃のオンセット温度で約208.2℃での融解を有する強い吸熱転移とを特徴とす
る。
【0208】
別の実施形態において、形態5は、
図12に示される熱重量分析(TGA)によって特
徴付けられ得る。TGAプロファイルは、試料の重量減少率を温度の関数としてグラフに
したものであり、温度変化速度は約10℃/分である。重量減少は、温度が約36.0℃
から120.0℃まで変化するに伴い、試料の重量が約0.3%減少することを表してい
る。
【0209】
形態6
一実施形態において、化合物1の単結晶形である形態6は、CuKα線を使用して得ら
れた、
図13に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表6Aに示されるデータ
によって特徴付けられる。特定の実施形態において、多形体は、表6Aに示されるように
、
図13から得られたピークの1つ以上によって特徴付けられ得る。例えば、多形体は、
表6Aに示されるピークの1または2または3または4または5または6または7または
8または9個によって特徴付けられ得る。
表6A
【表6】
【0210】
別の実施形態において、形態6は、6.3、7.2、8.1、12.7及び14.9°
の2θ角度に特定されるピークによって特徴付けられ得る。更なる実施形態において、形
態6は、6.3、7.2及び8.1°の2θ角度に特定されるピークによって特徴付けら
れ得る。
【0211】
別の実施形態において、形態6は、
図14に示される示差走査熱量測定プロファイル(
DSC)によって特徴付けられ得る。DSCグラフは、試料からの熱流を温度の関数とし
てプロットしたものであり、温度変化速度は約10℃/分である。このプロファイルは、
約61.7℃のオンセット温度で約86.75℃での融解と、約140.0℃のオンセッ
ト温度で約149.0℃での融解と、約175.3℃のオンセット温度で約192.1℃
での融解とを有する3つの弱い吸熱転移を特徴とする。
【0212】
別の実施形態において、形態6は、
図14に示される熱重量分析(TGA)によって特
徴付けられ得る。TGAプロファイルは、試料の重量減少率を温度の関数としてグラフに
したものであり、温度変化速度は約10℃/分である。重量減少は、温度が約31.8℃
から150.0℃まで変化するに伴い、試料の重量が約5.4%減少することを表してい
る。
【0213】
形態7
一実施形態において、化合物1の単結晶形である形態7は、CuKa線を使用して得ら
れた、
図15に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表7Aに示されるデータ
によって特徴付けられる。特定の実施形態において、多形体は、表7Aに示されるように
、
図15から得られたピークの1つ以上によって特徴付けられ得る。例えば、多形体は、
表7Aに示されるピークの1または2または3または4または5または6または7または
8または9個によって特徴付けられ得る。
表7A
【表7】
【0214】
別の実施形態において、形態7は、14.1、19.1、21.8、23.5及び25
.7°の2θ角度に特定されるピークによって特徴付けられ得る。更なる実施形態におい
て、形態7は、19.1、21.8及び23.5°の2θ角度に特定されるピークによっ
て特徴付けられ得る。
【0215】
別の実施形態において、形態7は、
図16に示される示差走査熱量測定プロファイル(
DSC)によって特徴付けられ得る。DSCグラフは、試料からの熱流を温度の関数とし
てプロットしたものであり、温度変化速度は約10℃/分である。このプロファイルは、
約213.6℃のオンセット温度で約214.7℃での融解を有する強い吸熱転移を特徴
とする。
【0216】
別の実施形態において、形態7は、
図16に示される熱重量分析(TGA)によって特
徴付けられ得る。TGAプロファイルは、試料の重量減少率を温度の関数としてグラフに
したものであり、温度変化速度は約10℃/分である。重量減少は、温度が約32.2℃
から150.0℃まで変化するに伴い、試料の重量が約0.01%減少することを表して
いる。
【0217】
形態8
一実施形態において、化合物1の単結晶形である形態8は、CuKa線を使用して得ら
れた、
図17に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表8Aに示されるデータ
によって特徴付けられる。特定の実施形態において、多形体は、表8Aに示されるように
、
図17から得られたピークの1つ以上によって特徴付けられ得る。例えば、多形体は、
表8Aに示されるピークの1または2または3または4または5または6または7または
8または9個によって特徴付けられ得る。
表8A
【表8】
【0218】
別の実施形態において、形態8は、9.0、9.2、21.9、22.1、24.2及
び24.6°の2θ角度に特定されるピークによって特徴付けられ得る。更なる実施形態
において、形態8は、21.9、22.1、24.2及び24.6°の2θ角度に特定さ
れるピークによって特徴付けられ得る。
【0219】
別の実施形態において、形態8は、
図18に示される示差走査熱量測定プロファイル(
DSC)によって特徴付けられ得る。DSCグラフは、試料からの熱流を温度の関数とし
てプロットしたものであり、温度変化速度は約10℃/分である。このプロファイルは、
約211.5℃のオンセット温度で約212.8℃での融解を有する強い吸熱転移を特徴
とする。
【0220】
別の実施形態において、形態8は、
図18に示される熱重量分析(TGA)によって特
徴付けられ得る。TGAプロファイルは、試料の重量減少率を温度の関数としてグラフに
したものであり、温度変化速度は約10℃/分である。重量減少は、温度が約31.2℃
から150.0℃まで変化するに伴い、試料の重量が約0.2%減少することを表してい
る。
【0221】
形態9
一実施形態において、化合物1の単結晶形である形態9は、CuKa線を使用して得ら
れた、
図19に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表9Aに示されるデータ
によって特徴付けられる。特定の実施形態において、多形体は、表9Aに示されるように
、
図19から得られたピークの1つ以上によって特徴付けられ得る。例えば、多形体は、
表9Aに示されるピークの1または2または3または4または5または6または7または
8または9個によって特徴付けられ得る。
表9A
【表9】
【0222】
別の実施形態において、形態9は、6.5、19.6、20.1及び21.6°の2θ
角度に特定されるピークによって特徴付けられ得る。更なる実施形態において、形態9は
、19.6及び20.1°の2θ角度に特定されるピークによって特徴付けられ得る。
【0223】
別の実施形態において、形態9は、
図20に示される示差走査熱量測定プロファイル(
DSC)によって特徴付けられ得る。DSCグラフは、試料からの熱流を温度の関数とし
てプロットしたものであり、温度変化速度は約10℃/分である。このプロファイルは、
約172.3℃のオンセット温度で約175.95℃での融解を有する強い吸熱転移と、
約192.3℃のオンセット温度で約202.1℃での融解を有する吸熱転移とを特徴と
する。
【0224】
別の実施形態において、形態9は、
図20に示される熱重量分析(TGA)によって特
徴付けられ得る。TGAプロファイルは、試料の重量減少率を温度の関数としてグラフに
したものであり、温度変化速度は約10℃/分である。重量減少は、温度が約24.7℃
から150.0℃まで変化するに伴い、試料の重量が約0.7%減少することを表してい
る。
【0225】
形態10
一実施形態において、化合物1の単結晶形である形態10は、CuKa線を使用して得
られた、
図21に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表10Aに示されるデ
ータによって特徴付けられる。特定の実施形態において、多形体は、表10Aに示される
ように、
図21から得られたピークの1つ以上によって特徴付けられ得る。例えば、多形
体は、表10Aに示されるピークの1または2または3または4または5または6または
7または8または9個によって特徴付けられ得る。
表10A
【表10】
【0226】
別の実施形態において、形態10は、6.7、9.1、10.8、19.9及び21.
9°の2θ角度に特定されるピークによって特徴付けられ得る。更なる実施形態において
、形態10は、9.1、10.8及び19.9°の2θ角度に特定されるピークによって
特徴付けられ得る。
【0227】
別の実施形態において、形態10は、
図22に示される示差走査熱量測定プロファイル
(DSC)によって特徴付けられ得る。DSCグラフは、試料からの熱流を温度の関数と
してプロットしたものであり、温度変化速度は約10℃/分である。このプロファイルは
、約139.9℃のオンセット温度で約150.9℃での融解を有する吸熱転移と、約1
97.3℃のオンセット温度で約201.3℃での融解を有する吸熱転移とを特徴とする
。
【0228】
別の実施形態において、形態10は、
図22に示される熱重量分析(TGA)によって
特徴付けられ得る。TGAプロファイルは、試料の重量減少率を温度の関数としてグラフ
にしたものであり、温度変化速度は約10℃/分である。重量減少は、温度が約31.0
℃から120.0℃まで変化するに伴い、試料の重量が約0.5%減少することを表して
いる。
【0229】
形態11
一実施形態において、化合物1の単結晶形である形態11は、CuKa線を使用して得
られた、
図23に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表11Aに示されるデ
ータによって特徴付けられる。特定の実施形態において、多形体は、表11Aに示される
ように、
図23から得られたピークの1つ以上によって特徴付けられ得る。例えば、多形
体は、表11Aに示されるピークの1または2または3または4または5または6または
7または8または9または10または11個によって特徴付けられ得る。
表11A
【表11】
【0230】
別の実施形態において、形態11は、6.3、20.0、20.2、20.5、21.
2及び26.5°の2θ角度に特定されるピークによって特徴付けられ得る。更なる実施
形態において、形態11は、20.0、20.2、20.5及び21.2°の2θ角度に
特定されるピークによって特徴付けられ得る。
【0231】
別の実施形態において、形態11は、
図24に示される示差走査熱量測定プロファイル
(DSC)によって特徴付けられ得る。DSCグラフは、試料からの熱流を温度の関数と
してプロットしたものであり、温度変化速度は約10℃/分である。このプロファイルは
、約144.3℃のオンセット温度で約154.5℃での融解を有する吸熱転移と、約1
93.4℃のオンセット温度で約201.6℃での融解を有する吸熱転移とを特徴とする
。
【0232】
別の実施形態において、形態11は、
図25に示される熱重量分析(TGA)によって
特徴付けられ得る。TGAプロファイルは、試料の重量減少率を温度の関数としてグラフ
にしたものであり、温度変化速度は約10℃/分である。重量減少は、温度が約25.7
℃から98.4℃まで変化するに伴い、試料の重量が約3.0%減少することを表してい
る。
【0233】
形態12
一実施形態において、化合物1の単結晶形である形態12は、CuKa線を使用して得
られた、
図26に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表12Aに示されるデ
ータによって特徴付けられる。特定の実施形態において、多形体は、表12Aに示される
ように、
図26から得られたピークの1つ以上によって特徴付けられ得る。例えば、多形
体は、表12Aに示されるピークの1または2または3または4または5または6または
7または8または9個によって特徴付けられ得る。
表12A
【表12】
【0234】
別の実施形態において、形態12は、7.2、7.4、8.0、8.2、16.5及び
18.6°の2θ角度に特定されるピークによって特徴付けられ得る。更なる実施形態に
おいて、形態12は、7.2、7.4、8.0及び8.2°の2θ角度に特定されるピー
クによって特徴付けられ得る。
【0235】
別の実施形態において、形態12は、
図27に示される示差走査熱量測定プロファイル
(DSC)によって特徴付けられ得る。DSCグラフは、試料からの熱流を温度の関数と
してプロットしたものであり、温度変化速度は約10℃/分である。このプロファイルは
、約80.9℃のオンセット温度で約106.3℃での融解を有する吸熱転移と、約13
6.32℃のオンセット温度で約150.3℃での融解を有する吸熱転移と、約199.
0℃のオンセット温度で約203.1℃での融解を有する強い吸熱転移とを特徴とする。
【0236】
別の実施形態において、形態12は、
図27に示される熱重量分析(TGA)によって
特徴付けられ得る。TGAプロファイルは、試料の重量減少率を温度の関数としてグラフ
にしたものであり、温度変化速度は約10℃/分である。重量減少は、温度が約25.9
℃から80.0℃まで変化するに伴い、試料の重量が約6.4%減少し、温度が約25.
9℃から150.0℃まで変化するに伴い、試料の重量が約7.2%減少することを表し
ている。
【0237】
形態13
一実施形態において、化合物1の単結晶形である形態13は、CuKa線を使用して得
られた、
図28に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表13Aに示されるデ
ータによって特徴付けられる。特定の実施形態において、多形体は、表13Aに示される
ように、
図28から得られたピークの1つ以上によって特徴付けられ得る。例えば、多形
体は、表13Aに示されるピークの1または2または3または4または5または6または
7または8または9個によって特徴付けられ得る。
表13A
【表13】
【0238】
別の実施形態において、形態13は、6.3、12.7、20.3、20.8及び26
.5°の2θ角度に特定されるピークによって特徴付けられ得る。更なる実施形態におい
て、形態13は、6.3、12.7及び20.3°の2θ角度に特定されるピークによっ
て特徴付けられ得る。
【0239】
別の実施形態において、形態13は、
図29に示される示差走査熱量測定プロファイル
(DSC)によって特徴付けられ得る。DSCグラフは、試料からの熱流を温度の関数と
してプロットしたものであり、温度変化速度は約10℃/分である。このプロファイルは
、約144.1℃のオンセット温度で約152.4℃での融解を有する弱い吸熱転移と、
約198.1℃のオンセット温度で約204.8℃での融解を有する強い吸熱転移とを特
徴とする。
【0240】
別の実施形態において、形態13は、
図29に示される熱重量分析(TGA)によって
特徴付けられ得る。TGAプロファイルは、試料の重量減少率を温度の関数としてグラフ
にしたものであり、温度変化速度は約10℃/分である。重量減少は、温度が約24.9
℃から150.0℃まで変化するに伴い、試料の重量が約4.1%減少することを表して
いる。
【0241】
形態14
一実施形態において、化合物1の単結晶形である形態14は、CuKa線を使用して得
られた、
図30に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表14Aに示されるデ
ータによって特徴付けられる。特定の実施形態において、多形体は、表14Aに示される
ように、
図30から得られたピークの1つ以上によって特徴付けられ得る。例えば、多形
体は、表14Aに示されるピークの1または2または3または4または5または6または
7または8または9個によって特徴付けられ得る。
表14A
【表14】
【0242】
別の実施形態において、形態14は、6.6、17.5、20.8及び23.3°の2
θ角度に特定されるピークによって特徴付けられ得る。更なる実施形態において、形態1
4は、6.6及び20.8°の2θ角度に特定されるピークによって特徴付けられ得る。
【0243】
別の実施形態において、形態14は、
図31に示される示差走査熱量測定プロファイル
(DSC)によって特徴付けられ得る。DSCグラフは、試料からの熱流を温度の関数と
してプロットしたものであり、温度変化速度は約10℃/分である。このプロファイルは
、約122.3℃のオンセット温度で約134.5℃での融解を有する弱い吸熱転移と、
約207.6℃のオンセット温度で約211.8℃での融解を有する強い吸熱転移とを特
徴とする。
【0244】
別の実施形態において、形態14は、
図31に示される熱重量分析(TGA)によって
特徴付けられ得る。TGAプロファイルは、試料の重量減少率を温度の関数としてグラフ
にしたものであり、温度変化速度は約10℃/分である。重量減少は、温度が約28.1
℃から150.0℃まで変化するに伴い、試料の重量が約5.71%減少することを表し
ている。
【0245】
形態15
一実施形態において、化合物1の単結晶形である形態15は、CuKa線を使用して得
られた、
図32に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表15Aに示されるデ
ータによって特徴付けられる。特定の実施形態において、多形体は、表15Aに示される
ように、
図32から得られたピークの1つ以上によって特徴付けられ得る。例えば、多形
体は、表15Aに示されるピークの1または2または3または4または5または6または
7または8または9個によって特徴付けられ得る。
表15A
【表15】
【0246】
別の実施形態において、形態15は、6.4、12.9、20.2及び26.1°の2
θ角度に特定されるピークによって特徴付けられ得る。更なる実施形態において、形態1
5は、6.4、12.9及び26.1°の2θ角度に特定されるピークによって特徴付け
られ得る。
【0247】
別の実施形態において、形態15は、
図33に示される示差走査熱量測定プロファイル
(DSC)によって特徴付けられ得る。DSCグラフは、試料からの熱流を温度の関数と
してプロットしたものであり、温度変化速度は約10℃/分である。このプロファイルは
、約136.5℃のオンセット温度で約140.1℃での融解を有する弱い吸熱転移と、
約213.1℃のオンセット温度で約215.2℃での融解を有する強い吸熱転移とを特
徴とする。
【0248】
別の実施形態において、形態15は、
図33に示される熱重量分析(TGA)によって
特徴付けられ得る。TGAプロファイルは、試料の重量減少率を温度の関数としてグラフ
にしたものであり、温度変化速度は約10℃/分である。重量減少は、温度が約28.7
℃から150.0℃まで変化するに伴い、試料の重量が約7.6%減少することを表して
いる。
【0249】
形態16
一実施形態において、化合物3の単結晶形である形態16は、CuKa線を使用して得
られた、
図34に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表16Aに示されるデ
ータによって特徴付けられる。特定の実施形態において、多形体は、表16Aに示される
ように、
図34から得られたピークの1つ以上によって特徴付けられ得る。例えば、多形
体は、表16Aに示されるピークの1または2または3または4または5または6または
7または8または9個によって特徴付けられ得る。
表16A
【表16】
【0250】
別の実施形態において、形態16は、6.8、10.6、13.6、14.2及び19
.2°の2θ角度に特定されるピークによって特徴付けられ得る。別の実施形態において
、形態16は、10.6、14.2及び19.2°の2θ角度に特定されるピークによっ
て特徴付けられ得る。
【0251】
別の実施形態において、形態16は、
図35に示される示差走査熱量測定プロファイル
(DSC)によって特徴付けられ得る。DSCグラフは、試料からの熱流を温度の関数と
してプロットしたものであり、温度変化速度は約10℃/分である。このプロファイルは
、約169.7℃のオンセット温度で約172.1℃での融解を有する強い吸熱転移を特
徴とする。
【0252】
別の実施形態において、形態16は、
図36に示される熱重量分析(TGA)によって
特徴付けられ得る。TGAプロファイルは、試料の重量減少率を温度の関数としてグラフ
にしたものであり、温度変化速度は約10℃/分である。重量減少は、温度が約23.9
℃から150.0℃まで変化するに伴い、試料の重量が約0.1%減少することを表して
いる。
【0253】
形態17
一実施形態において、化合物3の単結晶形である形態17は、CuKa線を使用して得
られた、
図37に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表17Aに示されるデ
ータによって特徴付けられる。特定の実施形態において、多形体は、表17Aに示される
ように、
図37から得られたピークの1つ以上によって特徴付けられ得る。例えば、多形
体は、表17Aに示されるピークの1または2または3または4または5または6または
7または8または9個によって特徴付けられ得る。
表17A
【表17】
【0254】
別の実施形態において、形態17は、7.2、13.6、18.5、19.3、21.
9及び23.5°の2θ角度に特定されるピークによって特徴付けられ得る。別の実施形
態において、形態17は、13.6、18.5及び23.5°の2θ角度に特定されるピ
ークによって特徴付けられ得る。
【0255】
形態18
一実施形態において、化合物3の単結晶形である形態18は、CuKa線を使用して得
られた、
図38に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表18Aに示されるデ
ータによって特徴付けられる。特定の実施形態において、多形体は、表18Aに示される
ように、
図38から得られたピークの1つ以上によって特徴付けられ得る。例えば、多形
体は、表18Aに示されるピークの1または2または3または4または5または6または
7または8または9個によって特徴付けられ得る。
表18A
【表18】
【0256】
別の実施形態において、形態18は、6.4、8.4、9.8、17.8及び19.7
°の2θ角度に特定されるピークによって特徴付けられ得る。別の実施形態において、形
態18は、8.4及び9.8°の2θ角度に特定されるピークによって特徴付けられ得る
。
【0257】
形態19
一実施形態において、化合物3の単結晶形である形態19は、CuKa線を使用して得
られた、
図39に示されるX線粉末回折(XRPD)パターン及び表19Aに示されるデ
ータによって特徴付けられる。特定の実施形態において、多形体は、表19Aに示される
ように、
図39から得られたピークの1つ以上によって特徴付けられ得る。例えば、多形
体は、表19Aに示されるピークの1または2または3または4または5または6または
7または8個によって特徴付けられ得る。
表19A
【表19】
【0258】
別の実施形態において、形態19は、8.1、14.1、16.4、17.3、20.
5及び24.1°の2θ角度に特定されるピークによって特徴付けられ得る。別の実施形
態において、形態19は、8.1、16.4、17.3及び24.1°の2θ角度に特定
されるピークによって特徴付けられ得る。
【0259】
形態20
一実施形態において、化合物1の単結晶形である形態20は、CuKa線を使用して得
られた、
図40に示されるX線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。
特定の実施形態において、多形体は、
図40から得られたピークの1つ以上によって特徴
付けられ得る。
【0260】
別の実施形態において、形態20は、
図41に示される熱重量分析(TGA)によって
特徴付けられ得る。TGAプロファイルは、試料の重量減少率を温度の関数としてグラフ
にしたものであり、温度変化速度は約10℃/分である。
【0261】
別の実施形態において、形態20は、
図42に実質的に類似したDVSプロファイルに
よって特徴付けられる。
【0262】
形態21
一実施形態において、化合物1の単結晶形である形態21は、CuKa線を使用して得
られた、
図43に示されるX線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。
特定の実施形態において、多形体は、
図43から得られたピークの1つ以上によって特徴
付けられ得る。例えば、多形体は、ピークの1または2または3または4または5または
6または7または8または9個によって特徴付けられ得る。
【0263】
別の実施形態において、形態21は、
図45に示される示差走査熱量測定プロファイル
(DSC)によって特徴付けられ得る。DSCグラフは、試料からの熱流を温度の関数と
してプロットしたものであり、温度変化速度は約10℃/分である。
【0264】
別の実施形態において、形態21は、
図44に示される熱重量分析(TGA)によって
特徴付けられ得る。TGAプロファイルは、試料の重量減少率を温度の関数としてグラフ
にしたものであり、温度変化速度は約10℃/分である。
【0265】
別の実施形態において、形態21は、
図46に実質的に類似したDVSプロファイルに
よって特徴付けられる。
【0266】
他の実施形態は、本明細書で考察される単結晶形のいずれかの上記の特徴の組み合わせ
によって特徴付けられる、化合物1または化合物3の単結晶形を対象とする。特徴付けは
、特定の多形体に関して記載されたXRPD、TGA、DSC及びDVSのうちの1つ以
上の任意の組み合わせによるものであってよい。例えば、化合物1または化合物3の単結
晶形は、XRPDスキャンにおける主要ピークの位置に関するXRPDの結果の任意の組
み合わせ及び/またはXRPDスキャンにより得られたデータから導出された1つ以上の
パラメータの任意の組み合わせによって特徴付けられ得る。化合物1または化合物3の単
結晶形はまた、指定温度範囲にわたる試料に関係する重量減少及び/または特定の重量減
少転移が開始する温度に関するTGA測定によって特徴付けられ得る。また、熱流変化中
の最大熱流に関係する温度及び/または試料が熱流変化を受け始める温度に関するDSC
測定でも、結晶形を特徴付けることができる。ある範囲の相対湿度(例えば、0%~90
%)にわたる水分吸着/脱着測定によって決定された、試料の重量変化及び/または化合
物1もしくは化合物3の1分子あたりの水の吸着/脱着の変化もまた、化合物1または化
合物3の単結晶形を特徴付けることができる。
【0267】
先に考察されたキャラクタリゼーションの組み合わせは、本明細書で考察される化合物
1もしくは化合物3の多形体のいずれか、またはこれらの多形体の任意の組み合わせを記
載するためにも使用され得る。
【実施例0268】
略語
ca 約
CHCl3-クロロホルム
DCM-ジクロロメタン
DMF-ジメチルホルムアミド
Et2O-ジエチルエーテル
EtOH-エチルアルコール
EtOAc-酢酸エチル
MeOH-メチルアルコール
MeCN-アセトニトリル
PE-石油エーテル
THF-テトラヒドロフラン
AcOH-酢酸
HCl-塩酸
H2SO4-硫酸
NH4Cl-塩化アンモニウム
KOH-水酸化カリウム
NaOH-水酸化ナトリウム
Na2CO3-炭酸ナトリウム
TFA-トリフルオロ酢酸
NaHCO3-炭酸水素ナトリウム
DMSO ジメチルスルホキシド
DSC 示差走査熱量測定
DVS 動的蒸気吸着
GC ガスクロマトグラフィー
h 時間
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
min 分
m/z 質量電荷比
MS 質量スペクトル
NMR 核磁気共鳴
RT 室温
TGA 熱重量分析
XRPD X線粉末回折/X線粉末ディフラクトグラム/X線粉末回折計
【0269】
全般的方法
以下の実施例において、試薬は、民間の供給元(Alfa、Acros、Sigma
Aldrich、TCI及びShanghai Chemical Reagent C
ompanyを含む)から購入し、更に精製することなく使用することができる。核磁気
共鳴(NMR)スペクトルは、Brucker AMX-400 NMR(Brucke
r,Switzerland)で得ることができる。ケミカルシフトは、テトラメチルシ
ランから低磁場側を百万分率(ppm、δ)単位で報告する。質量スペクトルは、Wat
ers LCT TOF質量分析計(Waters,USA)によりエレクトロスプレー
イオン化(ESI)を用いて行うことができる。
【0270】
本項で開示される例示的な化合物(その結晶形を含む)に関して、立体異性体の特定化
(例えば、(R)または(S)立体異性体)は、その化合物が特定の立体中心で少なくと
も約90%、95%、96%、97%、98%または99%濃縮されるような化合物の調
製を指す。
【0271】
以下に記載される例示的な化合物のそれぞれの化学名は、ChemDrawソフトウェ
アによって生成される。
【0272】
X線粉末回折(XRPD)パラメータ:XRPD分析は、12の自動サンプルステージ
を備えたPANalytical Empyrean X線粉末回折計(XRPD)を使
用して実施した。使用したXRPDパラメータを表20に示す。
表20.
【表20】
【0273】
形態3に関しては、LYNXEYE XE検出器(Bruker)を使用してXRPD
分析を実施した。使用したXRPDパラメータを表21に示す。
表21.
【表21】
【0274】
示差走査熱量測定(DSC)パラメータ:DSC分析は、TA Instrument
s社製のTA Q100またはQ200/Q2000DSCを使用して実施した。温度は
、N2をパージガスとして使用し、パンをクリンプして、室温から10℃/分の加熱速度
で所望の温度まで上昇させた。
【0275】
熱重量分析(TGA)パラメータ:TGA分析は、TA Instruments社製
のTA Q500/Q5000 TGAを使用して実施した。温度は、N2をパージガス
として使用して、室温から10℃/分または20℃/分の加熱速度で所望の温度まで上昇
させた。
【0276】
動的蒸気吸着(DVS)パラメータ:DVSは、SMS(Surface Measu
rement Systems)社製のDVS Intrinsicによって測定した。
25℃での相対湿度は、LiCl、Mg(NO
3)
2及びKClの潮解点に対して校正し
た。使用したDVSパラメータを表22に示す。
表22
【表22】
【0277】
実施例1:化合物3の合成
実施例1、ステップ1:6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-カルボン酸の調製
ジエチルエーテル(4.32L)及びヘキサン(5.40L)をN2雰囲気下で反応容
器に加え、-75℃~-65℃まで冷却する。N2雰囲気下-65℃未満で、n-ブチル
リチウム(1.6Mヘキサン中3.78L)を滴加し、続いて、ジメチルアミノエタノー
ル(327.45g、3.67mol)を滴加し、10分後、2-トリフルオロメチルピ
リジン(360g、2.45mol)を滴加する。温度を-65℃未満に維持しながら、
反応物をN2下で約2.0~2.5時間攪拌する。反応混合物を、砕いたドライアイス上
にN2下で注ぎ、次いで、攪拌しながら0~5℃の温度にし(約1.0~1.5時間)、
続いて、水(1.8L)を加える。反応混合物を5~10分間攪拌し、5~10℃に昇温
させる。混合物がpH1.0~2.0に達するまで6NのHCl(900mL)を滴加し
、次いで、混合物を5~10℃で10~20分間攪拌する。反応混合物を25~35℃で
酢酸エチルにより希釈し、次いで、ブライン溶液で洗浄する。反応物を濃縮し、n-ヘプ
タンですすぎ、次いで乾燥させると、6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-カルボン
酸が生じる。
【0278】
実施例1、ステップ2:6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-カルボン酸メチルエ
ステルの調製
メタノールを窒素雰囲気下で反応容器に加える。6-トリフルオロメチル-ピリジン-
2-カルボン酸(150g、0.785mol)を周囲温度で加え、溶解させる。塩化ア
セチル(67.78g、0.863mol)を45℃未満の温度で滴加する。反応混合物
を65~70℃で約2~2.5時間維持し、次いで、真空下35~45℃で濃縮し、25
~35℃まで冷却する。混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCO3溶液ですすぎ、
次いでブライン溶液ですすぐ。混合物を真空下35~45℃の温度で濃縮し、25~35
℃まで冷却し、次いで、n-ヘプタンですすぎ、真空下35~45℃の温度で濃縮し、次
いで、脱気して茶色の固体を得、これをn-ヘプタンですすぎ、25~35℃で10~1
5分間攪拌する。懸濁液を攪拌しながら-40~-30℃まで冷却し、濾過し、乾燥させ
ると、6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-カルボン酸メチルエステルを与える。
【0279】
実施例1、ステップ3:6-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イル)-1H
-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの調製
1Lの無水エタノールをN2雰囲気下で反応容器に入れ、ナトリウム金属(11.2g
、0.488mol)をN2雰囲気下50℃未満で部分に分けて加える。反応物を5~1
0分間攪拌し、次いで、50~55℃まで加熱する。乾燥させたビウレット(12.5g
、0.122mol)を、N2雰囲気下、50~55℃の温度で反応容器に加え、10~
15分間攪拌する。50~55℃を維持しながら、6-トリフルオロメチル-ピリジン-
2-カルボン酸メチルエステル(50.0g、0.244mol)を加える。反応混合物
を加熱還流し(75~80℃)、1.5~2時間維持する。次いで、35~40℃まで冷
却し、真空下45~50℃で濃縮する。水を加え、混合物を真空下で濃縮し、次いで35
~40℃まで冷却し、更に水を加え、混合物を0~5℃まで冷却する。6NのHClをゆ
っくりと加えてpHを7~8に調節すると、固体が沈殿し、これを遠心分離にかけ、水で
すすぎ、再度遠心分離にかける。6-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イル)
-1H-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンのオフホワイトから薄茶色の固体を真
空下、50℃~60℃、600mm/Hgの圧力下で8~10時間乾燥させると、6-(
6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イル)-1H-1,3,5-トリアジン-2,
4-ジオンを与える。
【0280】
実施例1、ステップ4:2、4-ジクロロ-6-(6-トリフルオロメチル-ピリジン
-2-イル)-1、3、5-トリアジンの調製
POCl3(175.0mL)を20~35℃で反応容器中に入れ、6-(6-トリフ
ルオロメチル-ピリジン-2-イル)-1H-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオン
(35.0g、0.1355mol)を50℃未満で部分に分けて加える。N2ガスでパ
ージすることによって、反応混合物を5~20分間脱気する。50℃未満で攪拌しながら
五塩化リン(112.86g、0.542mol)を加え、得られたスラリーを加熱還流
し(105~110℃)、3~4時間維持する。反応混合物を50~55℃まで冷却し、
55℃未満で濃縮し、次いで、20~30℃まで冷却する。反応混合物を酢酸エチルです
すぎ、10℃未満の温度に維持し、攪拌しながら、酢酸エチル層を冷水(温度約5℃)に
ゆっくりと加える。混合物を10~20℃の間の温度で3~5分間攪拌し、酢酸エチル層
を回収する。反応混合物を炭酸水素ナトリウム溶液ですすぎ、無水硫酸ナトリウムで乾燥
させる。物質を真空下45℃未満で2~3時間乾燥させると、2,4-ジクロロ-6-(
6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イル)-1,3,5-トリアジンを与える。
【0281】
実施例1、ステップ5:4-クロロ-6-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2
-イル)-N-(2-(トリフルオロ-メチル)-ピリジン-4-イル)-1,3,5-
トリアジン-2-アミンの調製
THF(135mL)及び2,4-ジクロロ-6-(6-トリフルオロメチル-ピリジ
ン-2-イル)-1,3,5-トリアジン(27.0g、0.0915mol)の混合物
を20~35℃で反応容器に加え、次いで、4-アミノ-2-(トリフルオロメチル)ピ
リジン(16.31g、0.1006mol)及び炭酸水素ナトリウム(11.52g、
0.1372mol)を加える。得られたスラリーを20~24時間加熱還流する(75
~80℃)。反応物を30~40℃まで冷却し、減圧下45℃未満でTHFを蒸発させる
。反応混合物を20~35℃まで冷却し、酢酸エチル及び水ですすぎ、酢酸エチル層を回
収し、0.5NのHCl及びブライン溶液ですすぐ。有機層を真空下45℃未満で濃縮し
、次いで、ジクロロメタン及びヘキサンですすぎ、濾過し、ヘキサンで洗浄し、真空下4
5~50℃で5~6時間乾燥させると、4-クロロ-6-(6-(トリフルオロメチル)
ピリジン-2-イル)-N-(2-(トリフルオロ-メチル)-ピリジン-4-イル)-
1,3,5-トリアジン-2-アミンを与える。
【0282】
実施例1、ステップ6:2-メチル-1-(4-(6-(トリフルオロメチル)ピリジ
ン-2-イル)-6-(2-(トリフルオロメチル)-ピリジン-4-イルアミノ)-1
,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)プロパン-2-オールの調製
THF(290mL)、4-クロロ-6-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2
-イル)-N-(2-(トリフルオロ-メチル)-ピリジン-4-イル)-1,3,5-
トリアジン-2-アミン(29.0g、0.06893mol)、炭酸水素ナトリウム(
8.68g、0.1033mol)及び1,1-ジメチルアミノエタノール(7.37g
、0.08271mol)を20~35℃で反応容器に加える。得られたスラリーを16
~20時間加熱還流する(75~80℃)。反応物を30~40℃まで冷却し、減圧下4
5℃未満でTHFを蒸発させる。反応混合物を20~35℃まで冷却し、酢酸エチル及び
水ですすぎ、酢酸エチル層を回収する。有機層を真空下45℃未満で濃縮し、次いで、ジ
クロロメタン及びヘキサンですすぎ、濾過し、ヘキサンで洗浄し、真空下45~50℃で
8~10時間乾燥させると、2-メチル-1-(4-(6-(トリフルオロメチル)ピリ
ジン-2-イル)-6-(2-(トリフルオロメチル)-ピリジン-4-イルアミノ)-
1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)プロパン-2-オールを与える。
【0283】
実施例2:化合物1の合成
アセトン(435.0mL)及び化合物3(87.0g、0.184mol)を20~
35℃で反応容器に加える。別の容器中で、メタンスルホン酸を冷(0~4℃)アセトン
(191.4mL)に攪拌しながら10分間かけて加えて、メタンスルホン酸溶液を調製
する。ミクロンフィルターに通しながら、調製したばかりのメタンスルホン酸溶液を反応
混合物に滴加する。得られたスラリーを、ヌッチェフィルターを使用して濾過し、アセト
ンで洗浄する。濾過された物質を、真空を使用して30~40分間乾燥させると、化合物
1を与える。
【0284】
実施例2A:化合物3形態16の合成
実施例2A、ステップ1:6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-カルボン酸の調製
ジエチルエーテル(4.32L)及びヘキサン(5.40L)をN2雰囲気下で反応容器
に加え、-75℃~-65℃まで冷却する。N2雰囲気下-65℃未満で、n-ブチルリ
チウム(1.6Mヘキサン中3.78L)を滴加し、続いて、ジメチルアミノエタノール
(327.45g、3.67mol)を滴加し、10分後、2-トリフルオロメチルピリ
ジン(360g、2.45mol)を滴加する。温度を-65℃未満に維持しながら、反
応物をN2下で約2.0~2.5時間攪拌する。反応混合物を、砕いたドライアイス上に
N2下で注ぎ、次いで、攪拌しながら0~5℃の温度にし(約1.0~1.5時間)、続
いて、水(1.8L)を加える。反応混合物を5~10分間攪拌し、5~10℃に昇温さ
せる。混合物がpH1.0~2.0に達するまで6NのHCl(900mL)を滴加し、
次いで、混合物を5~10℃で10~20分間攪拌する。反応混合物を25~35℃で酢
酸エチルにより希釈し、次いで、ブライン溶液で洗浄する。反応物を濃縮し、n-ヘプタ
ンですすぎ、次いで乾燥させると、6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-カルボン酸
が生じる。
【0285】
実施例2A、ステップ2:6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-カルボン酸メチル
エステルの調製
メタノールを窒素雰囲気下で反応容器に加える。6-トリフルオロメチル-ピリジン-
2-カルボン酸(150g、0.785mol)を周囲温度で加え、溶解させる。塩化ア
セチル(67.78g、0.863mol)を45℃未満の温度で滴加する。反応混合物
を65~70℃で約2~2.5時間維持し、次いで、真空下35~45℃で濃縮し、25
~35℃まで冷却する。混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCO3溶液ですすぎ、
次いでブライン溶液ですすぐ。混合物を真空下35~45℃の温度で濃縮し、25~35
℃まで冷却し、次いで、n-ヘプタンですすぎ、真空下35~45℃の温度で濃縮し、次
いで、脱気して茶色の固体を得、これをn-ヘプタンですすぎ、25~35℃で10~1
5分間攪拌する。懸濁液を攪拌しながら-40~-30℃まで冷却し、濾過し、乾燥させ
ると、6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-カルボン酸メチルエステルを与える。
【0286】
実施例2A、ステップ3:6-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イル)-1
H-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンの調製
1Lの無水エタノールをN2雰囲気下で反応容器に入れ、ナトリウム金属(11.2g
、0.488mol)をN2雰囲気下50℃未満で部分に分けて加える。反応物を5~1
0分間攪拌し、次いで、50~55℃まで加熱する。乾燥させたビウレット(12.5g
、0.122mol)を、N2雰囲気下、50~55℃の温度で反応容器に加え、10~
15分間攪拌する。50~55℃を維持しながら、6-トリフルオロメチル-ピリジン-
2-カルボン酸メチルエステル(50.0g、0.244mol)を加える。反応混合物
を加熱還流し(75~80℃)、1.5~2時間維持する。次いで、35~40℃まで冷
却し、真空下45~50℃で濃縮する。水を加え、混合物を真空下で濃縮し、次いで35
~40℃まで冷却し、更に水を加え、混合物を0~5℃まで冷却する。6NのHClをゆ
っくりと加えてpHを7~8に調節すると、固体が沈殿し、これを遠心分離にかけ、水で
すすぎ、再度遠心分離にかける。6-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イル)
-1H-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンのオフホワイトから薄茶色の固体を真
空下、50℃~60℃、600mm/Hgの圧力下で8~10時間乾燥させると、6-(
6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イル)-1H-1,3,5-トリアジン-2,
4-ジオンを与える。
【0287】
実施例2A、ステップ4:2、4-ジクロロ-6-(6-トリフルオロメチル-ピリジ
ン-2-イル)-1、3、5-トリアジンの調製
POCl3(175.0mL)を20~35℃で反応容器中に入れ、6-(6-トリフ
ルオロメチル-ピリジン-2-イル)-1H-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオン
(35.0g、0.1355mol)を50℃未満で部分に分けて加える。N2ガスでパ
ージすることによって、反応混合物を5~20分間脱気する。50℃未満で攪拌しながら
五塩化リン(112.86g、0.542mol)を加え、得られたスラリーを加熱還流
し(105~110℃)、3~4時間維持する。反応混合物を50~55℃まで冷却し、
55℃未満で濃縮し、次いで、20~30℃まで冷却する。反応混合物を酢酸エチルです
すぎ、10℃未満の温度に維持し、攪拌しながら、酢酸エチル層を冷水(温度約5℃)に
ゆっくりと加える。混合物を10~20℃の間の温度で3~5分間攪拌し、酢酸エチル層
を回収する。反応混合物を炭酸水素ナトリウム溶液ですすぎ、無水硫酸ナトリウムで乾燥
させる。物質を真空下45℃未満で2~3時間乾燥させると、2,4-ジクロロ-6-(
6-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イル)-1,3,5-トリアジンを与える。
【0288】
実施例2A、ステップ5:4-クロロ-6-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-
2-イル)-N-(2-(トリフルオロ-メチル)-ピリジン-4-イル)-1,3,5
-トリアジン-2-アミンの調製
THF(135mL)及び2,4-ジクロロ-6-(6-トリフルオロメチル-ピリジ
ン-2-イル)-1,3,5-トリアジン(27.0g、0.0915mol)の混合物
を20~35℃で反応容器に加え、次いで、4-アミノ-2-(トリフルオロメチル)ピ
リジン(16.31g、0.1006mol)及び炭酸水素ナトリウム(11.52g、
0.1372mol)を加える。得られたスラリーを20~24時間加熱還流する(75
~80℃)。反応物を30~40℃まで冷却し、減圧下45℃未満でTHFを蒸発させる
。反応混合物を20~35℃まで冷却し、酢酸エチル及び水ですすぎ、酢酸エチル層を回
収し、0.5NのHCl及びブライン溶液ですすぐ。有機層を真空下45℃未満で濃縮し
、次いで、ジクロロメタン及びヘキサンですすぎ、濾過し、ヘキサンで洗浄し、真空下4
5~50℃で5~6時間乾燥させると、4-クロロ-6-(6-(トリフルオロメチル)
ピリジン-2-イル)-N-(2-(トリフルオロ-メチル)-ピリジン-4-イル)-
1,3,5-トリアジン-2-アミンを与える。
【0289】
実施例2A、ステップ6:2-メチル-1-(4-(6-(トリフルオロメチル)ピリ
ジン-2-イル)-6-(2-(トリフルオロメチル)-ピリジン-4-イルアミノ)-
1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)プロパン-2-オール化合物3の調製
THF(290mL)、4-クロロ-6-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2
-イル)-N-(2-(トリフルオロ-メチル)-ピリジン-4-イル)-1,3,5-
トリアジン-2-アミン(29.0g、0.06893mol)、炭酸水素ナトリウム(
8.68g、0.1033mol)及び1,1-ジメチルアミノエタノール(7.37g
、0.08271mol)を20~35℃で反応容器に加える。得られたスラリーを16
~20時間加熱還流する(75~80℃)。反応物を30~40℃まで冷却し、減圧下4
5℃未満でTHFを蒸発させる。反応混合物を20~35℃まで冷却し、酢酸エチル及び
水ですすぎ、酢酸エチル層を回収する。有機層を真空下45℃未満で濃縮し、次いで、ジ
クロロメタン及びヘキサンですすぎ、濾過し、ヘキサンで洗浄し、真空下45~50℃で
8~10時間乾燥させると、2-メチル-1-(4-(6-(トリフルオロメチル)ピリ
ジン-2-イル)-6-(2-(トリフルオロメチル)-ピリジン-4-イルアミノ)-
1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)プロパン-2-オールを与える。
【0290】
実施例3A:化合物3形態1の合成
方法A:
約10mgの形態3を0.5~1.0mLの水中に懸濁させて、スラリー転化を実施す
る。懸濁液を50℃で48時間攪拌した後、残留固体を遠心分離にかけると、形態1を与
える。
【0291】
方法B:
9.61mgの形態3を0.2mLのエタノール中に溶解させる。溶液を周囲条件に静
置し、エタノールを蒸発させて、形態1を得る。
【0292】
方法C:
6.93mgの形態3を0.2mLの酢酸イソプロピル中に溶解させる。溶液を周囲温
度で静置し、酢酸イソプロピルを蒸発させて、形態1を得る。
【0293】
実施例4A:化合物3形態2の合成
方法A:
約10mgの形態3を0.5~1.0mLの水中に懸濁させて、スラリー転化を実施す
る。懸濁液を室温で48時間攪拌した後、残留固体を遠心分離にかけると、形態2を与え
る。
【0294】
方法B:
6.07mgの形態3を1.0mLの水中に懸濁させる。懸濁液を室温で約24時間攪
拌する。固体を単離すると、形態2が得られる。
【0295】
実施例6A:化合物1形態3の合成
攪拌しながら、アセトン(961.1ml)を反応容器に加える。反応物を激しく攪拌
し、15℃まで冷却し、次いで、メタンスルホン酸(28.3g)を加え、反応物を少な
くとも10分間エージングする。形態3への結晶化を以下の塩形成によって行う。1)ア
セトン(500ml、4.17vol)を晶析器に入れ、次いで、この混合物を10分間
激しく攪拌する(550rpm)。2)化合物3(120.0g、253.5mmol)
を、固体充填器を通して45分間かけて晶析器に入れる。3)固体充填器をアセトン(1
00ml、0.83vol)ですすぐ。4)反応物を攪拌し(550rpm)、35℃ま
で加熱して(10分)、透明溶液を得る。5)MSA/アセトン溶液の第1部分(2%)
(0.3mol/L、18.1ml、3.8ml/分)を、ピストンポンプを通して5分
間かけて加え、次いで、ポンプのパイプラインをアセトン(5ml、0.04vol)で
洗浄する。6)溶液を確実に透明に保ちながら、この混合物を35℃で10~15分間エ
ージングする。7)化合物1の種晶(実施例5で生成されたもの2.4g、2wt%)を
透明溶液に加える。8)MSA/アセトン溶液の第2部分(49%)(0.3mom/L
、444ml、3.7ml/分)を2時間かけて加える。9)混合物を35℃で30分間
エージングする。10)MSA/アセトン溶液の第3部分(49%)(0.3mom/L
、444ml、7.4ml/分)を1時間かけて加える。11)混合物を35℃で2時間
間エージングする。12)混合物を20℃まで1時間冷却する。13)混合物を濾過し、
ケーキをアセトンで洗浄する(240mlを2回)。17)真空下30℃で乾燥させると
、形態3の結晶を与える。
【0296】
実施例7A:化合物1形態4の合成
化合物3(0.1mol/L)及びメタンスルホン酸(0.1mol/L)をMeCN
中で混合することによって反応晶析を実施すると、形態4を与える。
【0297】
実施例8A:化合物1形態5の合成
化合物3(0.1mol/L)及びメタンスルホン酸(0.1mol/L)をイソプロ
ピルアルコール中で混合することによって反応晶析を実施すると、形態5を与える。
【0298】
実施例9A:化合物1形態6の合成
3-mLのガラスバイアル中で約10mgの形態3を0.4~3.0mLの溶媒中に溶
解させて、低速蒸発を実施する。6~8の穴を有するホイルでバイアルを覆い、目視で透
明である溶液を室温で低速蒸発させて沈殿を誘起する。次いで、固体を単離する。形態6
は、溶媒または溶媒混合液が、MeOH、EtOH、IPA、THF、MeOH/トルエ
ン=3:1、MeOH/CAN=3:1、MeOH/IPAc=3:1、MeOH/H2
O=3:1、EtOH/アセトン=5:1、EtOH/DCM=5:1、MeOH/ジオ
キサン=3:1、MeOH/MTBE=3:1、EtOH/アセトン=1:1、及びTH
F/H2O=3:1であるとき、与えられる。
【0299】
実施例10A:化合物1形態7の合成
アセトンまたはMeCN中の化合物3(0.1mol/L)にメタンスルホン酸(0.
1mol/L)を素早く加えることによって反応晶析を実施すると、形態7を与える。
【0300】
実施例11A:化合物1形態8の合成
方法A
アセトン中の化合物3(0.1mol/L)にメタンスルホン酸(0.1mol/L)
を素早く加えると、形態8を与える。
【0301】
方法B
TGA中で形態12を155℃まで加熱し、室温まで冷却すると、形態8を与える。
【0302】
実施例12A:化合物1形態9の合成
化合物3(0.1mol/L)及びメタンスルホン酸(0.1mol/L)をアセトン
中で混合すると、形態9が直ちに溶液から沈殿する。
【0303】
実施例13A:化合物1形態10の合成
形態10は、形態12を10℃/分で80℃まで加熱するか、形態12をTGA中にN
2スウィープ条件下で1時間保持するかのいずれかによって生成される。
【0304】
実施例14A:化合物1形態11の合成
形態11は、XRPD中で、形態6を80℃まで加熱するか、形態13を100℃まで
加熱することで得られる。
【0305】
実施例15A:化合物1形態12の合成
方法A
約10mgの形態3を0.3~1.0mLの溶媒または溶媒混合液中に60℃で溶解さ
せて、低速冷却を実施する。懸濁液を60℃で濾過し、濾液を回収する。この飽和溶液を
インキュベータ中で0.05℃/分の速度で60℃から5℃まで冷却する。沈殿が全く観
察されない場合、溶液を室温で蒸発させて、沈殿を誘起する。溶媒または溶媒混合液が、
MeOH/H2O=3:1、n-PrOH/H2O=3:1、またはTHF/MTBE=
3:1であるとき、固体を単離すると、形態12を与える。
【0306】
方法B
3-mLのバイアル中で約10mgの形態3をMeOH中に溶解させることによって、
透明溶液を得て、溶媒中、室温で溶液蒸気拡散を実施する。約3mLの水を満たした20
-mLのバイアル中にこのバイアルを密封し、室温で5~7日間保持し、沈殿に十分な時
間を与える。固体を分離すると、形態12を与える。
【0307】
実施例16A:化合物1形態13の合成
方法A:
形態13は、形態6を80℃まで加熱し、室温まで冷却することによって、得られる。
【0308】
方法B:
水分活性0.31、室温で、形態6及び形態12の混合物から開始して、スラリー転化
を実施する。
【0309】
実施例17A:化合物1形態14の合成
3-mLのバイアル中で約10mgの形態3をMeOH中に溶解させることによって、
透明溶液を得て、溶媒中、室温で溶液蒸気拡散を実施する。約3mLのヘプタンを満たし
た20-mLのバイアル中にこのバイアルを密封し、室温で5~7日間保持し、沈殿に十
分な時間を与える。固体を分離すると、形態14を与える。
【0310】
実施例18A:化合物1形態15の合成
3-mLのバイアル中で約10mgの形態3をEtOH中に溶解させることによって、
透明溶液を得て、溶媒中、室温で溶液蒸気拡散を実施する。約3mLのIPAcまたはM
TBEを満たした20-mLのバイアル中にこのバイアルを密封し、室温で5~7日間保
持し、沈殿に十分な時間を与える。固体を分離すると、形態15を与える。
【0311】
実施例20A:化合物3形態17の合成
方法A:
10.26mgの形態16を0.4mLのヘプタン中に懸濁させる。懸濁液を室温で約
24時間攪拌する。固体を単離すると、形態17が得られる。
【0312】
方法B:
10.10mgの形態16を0.2mLのメチルtert-ブチルエーテル中に懸濁さ
せる。懸濁液を室温で約24時間攪拌する。固体を単離すると、形態17が得られる。
【0313】
実施例21A:化合物3形態18の合成
8.17mgの形態16を0.2mLのMeOH中に溶解させる。溶液を周囲室温に保
持し、MeOHを蒸発させると、形態18を与える。
【0314】
実施例22A:化合物3形態19の合成
905.61mgの形態16を5.0mLの水中に懸濁させる。懸濁液を室温で約4時
間攪拌し、固体を単離すると、形態19を与える。
【0315】
以下の実施例3、4、及び5において、化合物1は、非晶質、または結晶形の混合物、
または単結晶形であり得る。
【0316】
実施例23A:化合物1形態20の合成
100mgの化合物1を3mlのEtOH/1PrOH 1:1中に懸濁させ、60℃
で攪拌した。高温懸濁液を濾過し、15mlのn-ヘプタン(5℃)中に注いだ。得られ
た懸濁液を2分間攪拌し、次いで、沈殿物を濾去し、空気中で乾燥させた(5分)。NM
Rにより、この生成物は、メタンスルホン酸及び微量の溶媒を含有することが確認された
。乾燥は、形態のいかなる変化も引き起こさなかった。形態20は、結晶構造に影響を与
えることなく、種々の溶媒を容易に取り込むことができる。
【0317】
実施例24A:化合物1形態21の合成
100mgの化合物1を2.5mlのAcOH中に溶解させた。溶媒を穏やかなN2流
下(流量調整なし)にて室温で蒸発させた。NMRにより、形態21のこの生成物は、化
合物1であることが確認された。TG-FTIRでは、形態21は、AcOH溶媒和物で
ある可能性が高いことが判明した。(TG-FTIR:質量減少7.6%)。DSCは、
142℃での第1の融解ピーク、149℃での再結晶、188℃でのブロードな第2の融
解ピークを示した。
【0318】
実施例3:インビトロ実験
この実施例3において、化合物1の力価は、遊離塩基換算力価を示すことが意図される
。
【0319】
化合物1または化合物3は、細胞内及び細胞外2-HGレベルを用量依存的に低下させ
る。
TF-1/IDH2(R140Q)変異細胞をビヒクル(ジメチルスルホキシド;DM
SO)または漸増量の化合物1もしくは化合物3(1.6~5000nMの濃度)により
、7日間、インビトロ処理する。2-HGの細胞内レベルは、変異細胞株で低下し(DM
SOによる15.5mMから、化合物1または化合物3 5μMによる0.08mMまで
)、この低下は濃度依存的である。この用量漸増法により、2-HG阻害の細胞内IC5
0は、16nMと算出され、阻害濃度90%(IC90)は、160nMである。
【0320】
化合物1または化合物3は、2-HGの上昇したレベルに関連するビメンチンレベルを
低下させ、未成熟(未分化)細胞株の低下を示す。
化合物1または化合物3による7日間の処理後、TF-1細胞中でIDH2(R140
Q)によって誘発された幹細胞マーカーのビメンチン発現は、1mM未満の2-HGレベ
ル(すなわち、200nMを超える化合物1または化合物3の投与量)でベースラインレ
ベルにまで低下する。
【0321】
IDH2を阻害することにより、細胞内2-HGレベルを低下させる機能的帰結はまた
、TF-1 IDH2(R140Q)変異細胞モデルでも評価される。
【0322】
化合物1または化合物3は、TF-1細胞中のIDH2(R140Q)誘発性GM-C
SF依存的成長を低下させる。
TF-1 IDH2(R140Q)細胞を化合物1または化合物3(1μM)で7日間処
理すると、2-HG産生が99%超で阻害され、TF-1 IDH2(R140Q)の発
現によって与えられるGM-CSF依存的成長が逆転する。
【0323】
化合物1または化合物3は、2-HGの上昇したレベルに関連するヒストン高メチル化
を低下させる。
化合物1または化合物3での処理後、TF-1細胞中でIDH2(R140Q)によっ
て誘発されたヒストン高メチル化は、ウエスタンブロット分析に基づくと、逆転される。
ヒストンメチル化の濃度依存的低下は、4つのヒストンマーク(H3K4me3、H3K
9me3、H3K27me3及びH3K36me3)の全てで観察される。この作用は、
TF-1 IDH2(R140Q)変異細胞系)において細胞内2-HGレベルを1mM
未満に低下させることがわかっている化合物1または化合物3の濃度(すなわち、200
nMを超える化合物1または化合物3の投与量)で最も顕著である。7日間の処理後にお
けるH3K4me3のヒストン脱メチル化に対するIC50は、236nMと算出される
。この結果は、ヒストン高メチル化を変えるためには、IC90を超える化合物1または
化合物3の投与を要することと一致し、また最初の7日以内にヒストンメチル化の変化を
誘発させるのに必要な化合物3の投与量200nMと一致する。
【0324】
化合物1または化合物3は、TF-1赤白血病細胞株において、IDH2(R140Q
)変異によって誘発された分化停止を逆転させる。
化合物1または化合物3での処理は、2-HGレベルが1mM未満に下がった場合、T
F-1 IDH2(R140Q)変異細胞において、ヘモグロビンγ1/2と、赤血球生
成を調節する転写因子であるクルッペル様因子1(KLF-1)の両方のEPO誘発性発
現を回復させる。
【0325】
初代ヒトAML芽細胞を化合物1または化合物3で処理すると、細胞分化の増加につな
がる。
エクスビボアッセイで、IDH2(R140Q)変異患者試料を化合物1または化合物
により処理する。生細胞を選別し、化合物1または化合物3の存在下(500、1000
及び5000nM)または不存在下で培養する。第3、第6、第9及び第13日に細胞を
計数し、DMSO対照に正規化する。化合物処理の際に、細胞分化の開始と一致して、第
6日に開始する爆発的増殖がみられる。9日間のエクスビボ処理後、化合物1または化合
物3の存在下または不存在下における形態及び分化状態について、骨髄芽細胞を分析する
。細胞学的分析は、処理に関して盲検化する。細胞学分析により、芽細胞のパーセンテー
ジが、化合物1または化合物3での処理の第6日までに90%から55%に減少し、第9
日までに40%まで更に低下することがわかる。更に、後骨髄球の増加により示されるよ
うに、分化のより進んだ細胞の集団が明確に増加している。
【0326】
要約すると、初代ヒトIDH2(R140Q)変異AML細胞を化合物1または化合物
3でエクスビボ処理すると、細胞内2-HGの減少、ならびにマクロファージ及び顆粒球
の各系統を経るAML芽球の分化がもたらされる。これらのデータは、変異型IDH2の
阻害により、この白血病下位集団に存在する分化停止を軽減することができることを示し
ている。
【0327】
実施例4:インビボ実験
この実施例4において、化合物1の力価は、遊離塩基換算力価を示すことが意図される
。
【0328】
マウス異種移植モデルにおける化合物1または化合物3によるインビボ処置は、腫瘍2
-HG濃度の低下に至った。
U87MG IDH2(R140Q)腫瘍を皮下接種した雌のヌードマウスで、薬物動
態学/薬力学(PK/PD)試験を実施する。動物は、ビヒクルまたは10~150mg
/kgの範囲の投与量の化合物1もしくは化合物3の単回または反復経口投与を受ける。
【0329】
腫瘍2-HG濃度は、化合物1または化合物3の単回または反復経口投与後、急速に減
少する。腫瘍2-HG濃度は、化合物1または化合物3の血漿中濃度が1000ng/m
L未満に減少すると、増加する。
【0330】
このモデルにおいて、腫瘍2-HGレベルは、25mg/kg以上の3回連続した化合
物1または化合物3の投与後(1日2回、12時間の投与間隔)、野生型組織で認められ
るベースラインまで減少する。持続的な90%腫瘍2-HG阻害(EAUC90[0~1
2時間)及び持続的な97%腫瘍2-HG阻害(EAUC97[0~12時間])をもた
らす、0~12時間の化合物1または化合物3の濃度×時間曲線下推定面積(AUC0~
12時間)は、それぞれ約5000及び15200時間・ng/mLである。
【0331】
担腫瘍マウス及びナイーブマウスにおける生存、腫瘍量及び腫瘍分化に対する化合物1
もしくは化合物3またはシタラビンの影響
第1日に、液体窒素から解凍することができる凍結細胞AMM7577-P2(HuK
emia(登録商標)モデル、Crown BioScience Inc.)を40匹
のNOD/SCIDマウスに2×10
6/マウスで移植する。ヒト白血病細胞のFACS
分析のために、末梢血試料を細胞接種後第3週から開始して毎週採取する。血漿及び尿の
試料を第3週から開始して終了時点まで毎週採取する。腫瘍成長が末梢血試料中でヒトC
D45+細胞約10%になったら、移植マウスを、表1に表す処置計画を使用する5群に
無作為に割り付けることができる。
表1.
【表23】
*化合物1は、遊離塩基換算含量の投与量として与えられる。
【0332】
表1に示されるように、変異陽性AMLマウスモデルにおける化合物3による処置は、
シタラビンと比較して、用量依存的な生存利点をもたらす。最大投与量の化合物3(第4
群、45mg/kg)の投与を受けたマウス群では、9匹のマウス全てが試験の完了まで
生存した。白血病の用量依存的減少及び正常な分化の証拠が、化合物3で処置した動物の
全てで認められる。
【0333】
実施例5:
本臨床試験は、IDH2変異を有する、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候
群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫またはリ
ンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫)などの進行性血液悪性腫瘍である対象において経口投
与された化合物1の第1相多施設オープンラベル用量漸増での安全性、PK/PD及び臨
床活性に関する評価である。この実施例5において、化合物1の力価は、遊離塩基換算力
価を示すことが意図される(例えば、化合物1の含量が30mgと記載されている場合、
この投与量は、30mgの遊離塩基化合物3を示し、36mgの化合物に相当する)。
【0334】
主要試験目的には、1)進行性血液悪性腫瘍を有する被験者における、28日サイクル
の第1~第28日に単剤として1日2回(約12時間ごと)連続的に経口投与された化合
物1による治療の安全性及び忍容性に関する評価、ならびに2)進行性血液悪性腫瘍を有
する被験者における最大耐量(MTD)及び/または化合物1の第2相の推奨用量の決定
が含まれる。副次的試験目的には、1)進行性血液悪性腫瘍を有する被験者における化合
物1の用量制限毒性(DLT)の記述、2)進行性血液悪性腫瘍を有する被験者における
化合物1及びその代謝産物である6-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル
)-N2-(2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)-1,3,5-トリアジ
ン-2,4-ジアミン(化合物2)に関する薬物動態(PK)の特性評価、3)化合物1
と2-ヒドロキシグルタル酸(2-HG)のPK/薬力学(PD)関係の特性評価、なら
びに4)進行性血液悪性腫瘍を有する被験者における化合物1に関連する臨床活性の特性
評価が含まれる。
【0335】
探索的試験目的には、1)イソクエン酸デヒドロゲナーゼ-2(IDH2)変異腫瘍細
胞の細胞分化パターンの変化と、IDH2変異腫瘍細胞のヒストン及びデオキシリボ核酸
(DNA)のメチル化の変化とを評価することによる、進行性血液悪性腫瘍を有する被験
者における化合物1のPD効果の特性評価、ならびに2)抗腫瘍活性及び/または抵抗性
の予測因子を探索するための、IDH2-変異腫瘍細胞及び非IDH2変異腫瘍細胞のサ
ブクローン集団における遺伝子変異状態、全体的な遺伝子発現プロファイル及び他の潜在
的予後マーカー(細胞遺伝学的性質)の評価、ならびに3)IDH2変異腫瘍細胞におけ
る代謝プロファイルの変化の評価が含まれる。
【0336】
試験は、MTDを決定するための用量漸増段階と、それに続く、MTDの安全性及び忍
容性を更に評価するための拡大コホートを含む。用量漸増段階は、標準的な「3+3」デ
ザインを利用する。用量漸増段階の期間中に、化合物1の漸増用量の連続コホートに適格
な同意被験者を登録する。各用量コホートには、最低3名の被験者を登録する。試験の用
量漸増部分における各用量コホートに登録された最初の被験者3名は、第-3日(すなわ
ち、1日2回の投与が開始される3日前)に試験薬の単回投与を受け、72時間にわたっ
て安全性及びPK/PD評価を行って薬物濃度及び2-HGレベルを評価する。試験薬の
次の投与は、サイクル1の第1日(C1D1)とし、その時点から1日2回の投与を開始
する。コホート中の第3の被験者が治療を開始する時点で、スクリーニングプロセスに複
数の被験者がいる場合、最大2名の追加被験者をメディカルモニターの承認を受けて登録
することができる。これらの追加被験者については、第-3日から第1日のPK/PD評
価は、メディカルモニターとの検討後、任意選択とする。
【0337】
サイクル1の治療中に用量制限毒性を評価する。毒性の重症度は、米国国立がん研究所
の有害事象共通用語規準(NCI CTCAE)第4.03版に従ってグレードが付けら
れる。DLTは、次のように定義される。非血液学には、CTCAEグレード3以上の全
ての臨床的に重大な非血液毒性が含まれる(例えば、脱毛症は、臨床的に重大な事象とみ
なされない)。血液学は、サイクル1の療法開始後少なくとも42日にグレード3以上の
好中球減少症または血小板減少症(NCI CTCAE第4.03版白血病特別基準によ
る;すなわち、試験薬の開始から第28日以降に白血病の証拠がない5%未満の骨髄細胞
密度)が持続していることとして定義される長期骨髄抑制を含む。血球減少には、白血病
特別グレードが使用されるべきである(ベースラインからの減少率を基準にする:50~
75%=グレード3、75%超=グレード4)。試験下集団における高頻度の併存疾患及
び同時投薬のため、有害事象(AE)の特定の薬物への帰属は、困難である。したがって
、化合物1と無関係であることを明確に判断できない全てのAEを、DLTの決定に関す
るものとみなす。
【0338】
第3の被験者が28日のDLT評価期間(すなわち、サイクル1)を完了し、かつDL
Tが全く観察されない場合、試験は、安全性調査後、次のコホートの用量漸増を続ける。
最初のサイクル中に3名の被験者のうち1名がDLTを経験する場合、3名の追加被験者
を当該コホートに登録する。追加被験者3名のいずれもがDLTを経験しなければ、安全
性調査後、次のコホートに用量漸増を継続することができる。最初のサイクル中に、コホ
ート中の2名以上の被験者がDLTを経験する場合、用量漸増を中止し、1つ下の用量レ
ベルをMTDと定める。MTDコホートに被験者が3名しか含まれていない場合、当該用
量レベルに追加被験者3名を登録し、その用量でDLTを経験するのが被験者6名のうち
2名未満であることを確認する。
【0339】
各用量コホートに対する化合物1の増量は、加速漸増デザインにより導かれ、用量は、
化合物1に関連するNCI CTCAEグレード2以上の毒性がコホート中のいずれかの
被験者に観察されるまで、あるコホートから次のコホートに倍加(100%増加)される
。その後の用量の増加は、MTDが決定されるまで50%以下とする。用量の絶対パーセ
ント増加は、それまでの用量コホートでみられたあらゆる毒性の種類及び重症度を前提と
して、臨床試験チームによって決定される。新たなデータに基づいて適正であれば、代替
的な投与計画(例えば、1日1回または1日3回)が探索されてもよい。MTDは、被験
者6名のうち2名未満にDLTを引き起こす最高用量である。
【0340】
用量漸増段階中にDLTが確認されない場合、進行中のPK/PDの評価及び観察され
たあらゆる臨床活性によって決定される予想最大生物学的有効量を超える2つの用量レベ
ルで用量漸増を継続し、第2相の推奨用量を決定することができる。
【0341】
臨床的に適切である可能性がある用量で治療被験者の数を最適化するために、被験者内
での用量漸増が認められる。第2相の推奨用量の決定後、それぞれ約12名の被験者から
なる3つの拡大コホート(特定の血液悪性腫瘍適応症)を当該用量で治療する。拡大コホ
ートの目的は、特定の疾患適応症における、第2相の推奨用量の安全性及び忍容性を評価
し、確認することである。これらのコホートに登録される被験者は、第-3日から第1日
のPK/PD評価を受ける必要がないことを除き、用量漸増コホートの被験者と同じ手順
を受ける。
【0342】
化合物1の計画試験用量を表2にまとめる。この試験の出発用量は、約12時間ごとに
投与される30mg(遊離塩基換算含量)である。それまでの用量レベルの安全性、忍容
性及びPK/PDデータの評価に基づいて表2に明記されていない中間用量レベルで漸増
を行うように決定してもよい。
表2:用量漸増スキーム
【表24】
* 化合物1は、遊離塩基換算含量15、30、60、120、240または480mg
の投与量として与えられる(例えば、コホートレベル1では、36mgの化合物1が30
mgの遊離塩基化合物3に相当する)。
1 28日サイクルの第1~第28日に単剤として1日2回(約12時間ごと)経口投与
される。新たなデータに基づいて適正であれば、代替的な投与計画(例えば、1日1回ま
たは1日3回)が探索されてもよい。
2 用量レベル1(30mg)でDLTが観察される場合、2番目のコホートの用量を1
5mg(用量レベル-1)に減量する。
3 化合物1に関連するNCI CTCAEグレード2以上の毒性が観察されるまで、用
量の倍加を継続する。事象(複数可)の評価後、その後の用量の増加は、MTDが決定さ
れるまで50%以下。用量の絶対パーセント増加は、それまでの用量コホートでみられた
あらゆる毒性の種類及び重症度を前提とする。用量漸増は決して100%を超えない。
4 被験者6名のうち2名未満にDLTを引き起こす最高用量として定義される。DLT
が確認されない場合、進行中のPK/PDの評価及び観察されたあらゆる臨床活性によっ
て決定される予想最大生物学的有効量を超える2つの用量レベルで投与を継続し、第2相
の推奨用量を決定することができる。
5 特定の血液悪性腫瘍適応症である、それぞれ12名の被験者からなる3コホートを含
むため。
【0343】
新たなデータに基づいて適正であれば、表3に示されるように、代替的な投与計画(例
えば、1日1回または1日3回)が探索されてもよい。
表3:用量漸増スキーム
【表25】
1 28日サイクルの第1~第28日に単剤として1日2回(約12時間ごと)経口投与
される。
2 28日サイクルの第1~第28日に単剤として1日1回経口投与される。好ましいP
Kプロファイルである40時間よりも長い平均血漿半減期により、1日1回投与の可能性
が生じた。
* 化合物1は、遊離塩基換算力価30、50、75、100または150mgの投与量
として与えられる(例えば、コホートレベル1では、36mgの化合物1が30mgの遊
離塩基化合物3に相当する)。
【0344】
被験者は、適格性を判断するために、試験薬の治療開始前28日以内にスクリーニング
手順を受ける。スクリーニング手順は、病歴、手術歴及び薬歴、白血病芽球におけるID
H2変異の確認(以前に記録されていない場合)、身体検査、バイタルサイン、米国東海
岸がん臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス(PS)、12誘導心電
図(ECG)、左室駆出率(LVEF)評価、臨床検査評価(血液学、化学、凝固、尿検
査及び血清妊娠検査)、骨髄生検及び/または穿刺液、ならびに2-HG測定のための血
液及び尿試料を含む。
【0345】
1日2回の化合物1の投与を開始する3日前(第-3日)に、用量漸増段階の各コホー
トに登録された最初の3名の被験者は、施設で化合物1の単回投与を受け、化合物1、そ
の代謝産物及び2-HGの血液及び尿中濃度を決定するために一連の血液及び尿試料が取
得される。完全な72時間PK/PDプロファイルを実施する。被験者に対し、第-3日
に10時間試験施設に留まり、24、48及び72時間の試料を得るためにそれぞれ第-
2、第-1及び第1日に戻るように求める。第-3日の施設内期間の間には、臨床観察な
らびに連続12誘導ECG及びバイタルサイン評価を実施する。
【0346】
化合物1による1日2回の治療は、C1D1に開始する。第-3日のPK/PD評価を
受けなかった被験者に関しては、C1D1での化合物1の最初の投与後から8時間かけて
、臨床観察ならびに連続12誘導ECG及びバイタルサイン評価を実施する。治療期間中
に実施される安全性評価は、身体検査、バイタルサイン、ECOG PS、12誘導EC
G、LVEF評価及び臨床検査評価(血液学、化学、凝固及び尿検査)を含む。
【0347】
全ての被験者がC1D15とC2D1の両日に10時間の時間にわたるPK/PD評価
を受ける。加えて、被験者は、2-HGレベルを決定するために、隔週1回(C1D8に
開始)、朝の投与前に尿試料を自宅で採取する。
【0348】
被験者は、投与の遅れ及び/または投与の中断にかかわらず、スクリーニング時、第1
5、第29及び第57日、ならびに試験薬治療中の以後56日ごと、ならびに/または疾
患進行が疑われるあらゆる時点に、骨髄生検及び/または穿刺液ならびに末梢血を含め、
疾患の程度が評価される。治療への応答は、改変を加えた国際作業部会(IWG)の急性
骨髄性白血病(AML)効果判定基準に基づいて、試験責任医師によって判断される。
【0349】
被験者は、疾患の進行、DLTの発生または他の許容し得ない毒性の発現まで、化合物
1による治療を継続することができる。全被験者は、治療終了評価(試験薬の最終投与か
ら約5日以内)を受けるものとし、更に、最終投与後28日に追跡評価が予定されるもの
とする。
【0350】
研究には約57名の被験者の登録が見込まれる。これは、MTDの特定には、被験者6
名を要するMTDを例外として、1用量レベルにつき被験者3名のみの6用量レベルの化
合物1の評価(n=21)が必要であり、拡大段階では1コホートにつき登録被験者12
名(n=36)が必要とされることを想定している。第2相の推奨用量を最適化するため
に、用量漸増中のコホート拡大、評価不可能な被験者の交代、または計画された漸増スキ
ーム以外の代替投与レジメンもしくはMTDの評価に対して、追加の被験者を必要として
もよい。
【0351】
臨床試験に登録されるには、患者は、以下の組み入れ基準の全てを満たさなければなら
ない。1)被験者は、18歳以上でなければならない。2)被験者は、a)世界保健機関
(WHO)基準により定義される再発性及び/または初期治療抵抗性AML、b)60歳
以上であり、治療医師によれば、年齢、パフォーマンスステータス及び/または有害な危
険因子に起因して標準療法の候補ではなく、かつメディカルモニターの承認がある、未治
療のAML、c)過剰な芽球を伴う不応性貧血(サブタイプRAEB-1またはRAEB
-2)、または改訂国際予後判定システム(IPSS-R)(Greenberg et
al.Blood.2012;120(12):2454-65)によって高リスクと
みなされる、再発性もしくは不応性であるか、または治療医師によれば、患者は、その病
態に臨床的有用性をもたらすことが知られている確立された療法に対して耐容性がなく(
すなわち、患者は、臨床的有用性をもたらすことが知られているレジメンの候補であって
はならない)、かつメディカルモニターの承認がある、骨髄異形成症候群を含む、進行性
血液悪性腫瘍を有していなければならず、またd)他の再発性及び/または初期治療抵抗
性血液がん、例えば、CMMLを有し、組み入れ/除外基準を満たす被験者も個別に考慮
され得る。3)被験者は、施設内評価に基づいた、IDH2遺伝子変異疾患の記録を有し
ていなければならない。IDH2遺伝子変異に関する白血病芽細胞の分析は、被験者の試
験適格性を決定するために、試験施設の施設内検査室によって、スクリーニング時(以前
に評価されていない場合)に評価されるものとする。試験施設がIDH2遺伝子変異分析
のための施設内検査室の利用性を持たない場合、中央検査室の評価が認められ得る。中央
検査室のバイオマーカー分析のために、スクリーニングされた全被験者の治療前腫瘍試料
(血液及び/または骨髄由来試料)が必要である。腫瘍試料(血液または骨髄由来試料)
の遺伝子変異分析は、治療終了来院時に繰り返され、バイオマーカー分析のために中央検
査室に送られるものとする。4)被験者は、試験中、一連の骨髄生検、末梢血試料の採取
及び尿試料の採取に応じなければならない(AMLまたはMDSの診断及び評価は、コア
生検が得られず、かつ/または標準治療の一部でない場合、骨髄穿刺によって行うことが
できる。骨髄生検は、穿刺でのドライタップまたは不成功(主に希釈)の場合に必要とな
る)。5)被験者またはその法定代理人がインフォームドコンセントを理解することがで
き、それに署名しなければならない。6)被験者は、0~2のECOG PSを有してい
なければならない。7)血小板数≧20,000/μL(輸血でこのレベルに達する場合
は許容される)。基礎となる悪性腫瘍により血小板数ベースラインが20,000/μL
未満である被験者は、メディカルモニターの承認の上、適格とされる。8)被験者は、次
によって実証される十分な肝機能を有していなければならない。a)血清総ビリルビン≦
1.5×正常値上限(ULN)(ジルベール病または白血病器官の関与によることが認め
られる場合は除く)、ならびにb)アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アラニン
アミノトランスフェラーゼ(ALT)及びアルカリホスファターゼ(ALP)≦3.0×
ULN(白血病器官の関与によることが認められる場合は除く)。9)被験者は、血清ク
レアチニン≦2.0×ULN、またはクレアチニンクリアランス>40mL/分(コック
クロフト・ゴールトによる糸球体濾過量(GFR)の推算:(140-年齢)×(kg体
重)×(女性の場合0.85)/72×血清クレアチニンに基づく)によって実証される
十分な腎機能を有していなければならない。10)被験者は、以前の何らかの手術、放射
線治療またはがん治療を意図した他の療法の臨床的に関連のあるあらゆる毒性作用から回
復していなければならない(残存するグレード1の毒性、例えばグレード1の末梢神経障
害、または残存する脱毛症を有する被験者は、メディカルモニターの承認を受けて認めら
れる)。11)生殖能を有する女性被験者は、療法開始前7日以内の血清妊娠検査で陰性
でなければならない。生殖能を有する被験者は、生物学的に妊娠が可能な者と定義される
。出産可能な女性及び生殖能のある男性ならびにそのパートナーは、試験中、及び化合物
1の最終投与後90日間(女性及び男性)、性行為を自制するか、または効果のある避妊
形態を使用することに同意しなければならない。
【0352】
化合物1は、1日2回または1日1回経口投与される遊離塩基換算含量5、10、50
及び200mgの錠剤として与えられる。錠剤はそれぞれ6、12、60及び240mg
の化合物1を含有する。
【0353】
あるいは、化合物1は、遊離塩基換算含量25、50、100及び/または150mg
の錠剤として与えてもよい。これらの錠剤はそれぞれ30、60、120及び/または1
80mgの化合物1を含有する。
【0354】
試験の用量漸増部分における各コホートの最初の被験者3名は、第-3日に試験薬の単
回投与を受け、試験薬の次の投与は、C1D1に行われ、その時点から被験者は28日サ
イクルの第1~第28日に1日2回(約12時間ごと)の投与を開始する。C1D1から
投与を継続し、サイクル中に休薬期間は設けない。第-3日のPK/PD評価を受ける必
要がない被験者は、C1D1に化合物1による1日2回の投与(約12時間ごと)を開始
する。
【0355】
被験者は、試験薬投与前の2時間及び試験薬投与後の1時間、絶食が求められる(水は
認められる)。
【0356】
被験者に投与される化合物1の用量は、被験者が試験に適格とされたときに、いずれの
用量コホートが登録可能であるかによる。最初の被験者コホートに投与される化合物1の
出発用量は、1日2回経口投与される30mg(遊離塩基換算含量)である。
【0357】
被験者は、疾患の進行、DLTの発生または他の許容し得ない毒性の発現まで、化合物
1による治療を継続することができる。
【0358】
評価基準
安全性
12誘導心電図(ECG)は、スクリーニング時、サイクル1の第8、第15及び第2
2日、サイクル2の第1及び第15日、それ以後の各治療サイクルの第1日、治療終了来
院時、ならびに追跡来院時に取得されるものとする。更に、試験治療の初回投与(すなわ
ち、72時間のPK/PDプロファイルを受ける被験者の場合は第-3日、または第-3
日の評価に参加していない被験者の場合はC1D1)後、次の時点:投与前、ならびに試
験薬の朝の投与から30±10分及び2、4、6及び8時間(±15分間)の投与後に連
続12誘導ECGを取得するものとする。連続ECGは、バイタルサイン評価の後に取得
しなければならない。被験者には、これらの日に施設で化合物1の自身の用量を服用する
ように指示が出されるものとする。12誘導ECGは、3分の横臥の後に取得されるもの
とする。
【0359】
被験者は、C1D1から28日以内に心エコー図(ECHO)またはマルチゲートスキ
ャン(MUGA)によって左室駆出率(LVEF)の測定がなされ、C3D1、それ以後
の全ての他の治療サイクルの第1日(例えば、C5D1、D7D1など)、治療終了来院
時、及び追跡来院時に反復評価が実施されるものとする。LVEFを評価するには、試験
全体を通じて同じ手順を実施しなければならない。
【0360】
試験中、以下の療法は、認められない。(1)他の抗新生物療法(ヒドロキシウレアは
、WBCが30,000/μLを超える被験者における末梢白血病芽球の初期制御のため
に、登録前及び化合物1の投薬開始後28日まで認められる)。被験者の疾患の治療に代
替的療法が必要な場合、当該被験者は、化合物1の治療を中止しなければならない。(2
)コルチコステロイド。ただし、局所皮膚用、眼用、鼻用及び吸入ステロイドは例外(例
えば、分化症候群などの併存疾患を治療するための短期ステロイド療法は認められる)。
(3)QT間隔を延長することが知られている薬剤:アミオダロン、三酸化ヒ素、アステ
ミゾール、アジスロマイシン、ベプリジル、クロロキン、クロルプロマジン、シサプリド
、シタロプラム、クラリスロマイシン、ジソピラミド、ドフェチリド、ドンペリドン、ド
ロペリドール、エリスロマイシン、エスシタロプラム、フレカイニド、ハロファントリン
、ハロペリドール、イブチリド、レボメタジル、メソリダジン、メタドン、モキシフロキ
サシン、ペンタミジン、ピモジド、プロブコール、プロカインアミド、キニジン、セボフ
ルラン、ソタロール、スパルフロキサシン、テルフェナジン、チオリダジンまたはバンデ
タニブ。(4)治療域の狭い高感受性CYP基質薬剤:パクリタキセル(CYP2C8)
ワルファリン、フェニトイン(CYP2C9)、S-メフェニトイン(CYP2C19)
、チオリダジン(CYP2D6)、テオフィリン及びチザニジン(CYP1A2)。他の
CYP2C8、2C9、2C19、2D6及び1A2基質の共投与は、医学的に必要な場
合にのみ使用すべきである。(5)P-pg及びBCRPトランスポーター感受性基質で
あるジゴキシン及びロスバスタチン。他のP-gpまたはBCRP基質の共投与は、医学
的に必要な場合にのみ使用すべきである。
【0361】
第1日の投与前7日以内または試験中、次の消費物は認められない。(1)処方箋なし
(OTC)の薬剤(日常的なビタミンを除く)、(2)果汁、(3)炭火焼きの肉、及び
(4)アブラナ科由来の野菜(例えば、ケール、ブロッコリ、クレソン、カラードグリー
ン、コールラビ、メキャベツ、マスタード)。
【0362】
第1日の投与前14日以内または試験中、次の消耗品は認められない。(1)柑橘系果
実、例えば、ダイダイ、グレープフルーツまたはグレープフルーツジュース及び/または
ザボン、外来の柑橘系果実、またはグレープフルーツハイブリッド、ならびに(2)赤ワ
イン。
【0363】
第1日の投与前28日以内または試験中、セント・ジョーンズ・ワートの消費は認めら
れない。投与前48時間から投与後第6日まで、カフェインまたはキサンテン含有食物ま
たは飲料の消費は認められない。
【0364】
先に特定したもの以外の薬剤及び治療は、試験中認められる。基礎となる悪性腫瘍の介
入性病状及び合併症は全て標準治療に従って治療される。被験者は、必要に応じて、鎮痛
薬、制吐薬、抗感染薬、解熱剤及び血液製剤を服用するべきである。更に認められる薬剤
には、次のものが含まれる。(1)成長因子(顆粒球コロニー刺激因子[G-CSF]、
顆粒球単球コロニー刺激因子[GM-CSF])は、発熱及び/または感染症を伴う用量
制限グレード4の好中球減少症またはグレード3の好中球減少症を発症した被験者をサポ
ートするために使用することができる。エリスロポエチンの使用は、アメリカ臨床腫瘍学
会ガイドラインに従って認められる(Rizzo,et al.Blood.2010;
116(20):4045-59)。(2)ヒドロキシウレアは、WBCが30,000
/μLを超える被験者における末梢白血病芽球の初期制御のために、登録前及び化合物1
の投薬開始後28日まで認められる。(3)適正であれば、標準治療としての分化症候群
の治療のためのステロイド。
【0365】
化合物1は、直接的及び間接的な日光に対して過敏症を引き起こす場合がある。患者は
、直接日光に曝されることを避けるように警告すべきである。15分よりも長い日光への
曝露が予想される場合、指標30以上の日焼け止めを露出領域に塗布し、保護服及びサン
グラスを着用するように患者に指示が出されるものとする。
【0366】
臨床試験中、DLTの決定、重篤な有害事象(SAE)及び中止に至るAEを含むAE
;安全性検査パラメータ;身体検査所見;バイタルサイン;12誘導ECG;LVEF;
ならびにECOG PSをモニタリングする。ECOG PSの決定は、スクリーニング
時、第-3日(72時間のPK/PDプロファイルを受ける被験者の場合)、サイクル1
の第1及び第15日、それ以後の各治療サイクルの第1日、治療終了来院時、及び追跡来
院時に実施する。AEの重症度は、NCI CTCAE第4.03版によって評価される
。
【0367】
有害事象(AE)のモニタリングは、試験全体を通じて実施される。有害事象及び重篤
な有害事象(SAE)は、インフォームドコンセントへの署名時点から最後試験薬投与後
28日まで電子症例報告書(eCRF)に記録される。更に、治療後28日以降に生じる
、試験治療に関係し得るまたはおそらく関係すると評価されたSAEも報告されるものと
する。AEは、解消するか、被験者の安定状態もしくは慢性状態または介入性疾病(複数
可)に起因するものであると明確に判定されるまで、全てのAEがモニタリングされなけ
ればならない。
【0368】
有害事象(AE)は、薬物に関係するとみなされるか否かにかかわらず、ヒトにおける
薬物の使用に関連するあらゆる不都合な医学的な出来事である。AE(有害経験とも呼ば
れる)は、因果関係に関して全く判断せず、薬物の使用に時間的に関連する、好ましくな
い意図されないあらゆる徴候(例えば、検査所見の異常)、症状または疾患であり得る。
AEは、薬物の任意の使用(例えば、適応外使用、別の薬物との併用)及び任意の投与経
路、製剤または過剰摂取を含む投与量から引き起こされ得る。
【0369】
疑わしい有害反応は、当該薬物がAEを生じさせたという合理的な可能性があるAEで
ある。緊急安全性報告の目的上、「合理的な可能性」とは、薬物とAEとの間の因果関係
を示唆する証拠があることを意味する。予期されないAEは、その事象の性質または重症
度が、該当する製品情報、例えば、試験薬概要書と一致しないものである。AEまたは疑
わしい有害反応は、試験責任医師または試験依頼者のいずれかの見解で、以下の転帰のい
ずれかをもたらす場合、重篤なもの(SAE)とみなされる。(a)死亡。(b)生命を
脅かすもの(その事象が発現したときに、被験者がその反応による差し迫った死の危険に
さらされていること、すなわち、仮により重度な形態で生じていたら死に至ったかもしれ
ないという反応は含まない)。(c)入院患者;入院または既存の入院期間の延長(試験
期間中に行われることが計画され、試験登録前に予定されていた入院許可及び/または外
科手術は、その疾病または疾患が、被験者が試験に登録する前から存在しており、試験中
に予期しない方法で悪化しない限り(例えば、計画よりも早く実施された手術)、AEと
はみなされない)。(d)正常な生活機能を行う能力の永続的もしくは顕著な機能不全ま
たは実質的な崩壊。(e)先天異常/先天的欠損を来すもの。(f)重要な医学的事象(
死をもたらしたり、生命を脅かしたり、入院を要することはなくても、患者または被験者
を危機にさらすおそれがあり、SAEの定義に列挙されている転帰のうちの1つを阻止す
るために医学的または外科的介入を必要とし得る場合に、適切な医学的判断に基づいて、
SAEとみなされ得る事象。そのような医学的事象の例には、緊急治療室もしくは自宅で
の集中治療を要するアレルギー性気管支痙攣、入院患者の入院治療には至らない血液疾患
もしくは痙攣、または薬物依存症もしくは薬物乱用の発生が挙げられる)。
【0370】
全てのAEの強度は、臨床的に意義のある試験治療下で発現した検査異常を含め、NC
I CTCAE第4.03版に従ってグレードが付けられる。CTCAEに列挙されてい
ない有害事象は、以下の通りにグレードが付けられる。(a)軽度:被験者に認められる
が、日常的活動を妨げない事象。(b)中程度:日常的活動を妨げるが、対症療法または
静養に応答する事象。(c)重度:対症療法にもかかわらず、日常的活動を行う被験者の
能力を著しく制限する事象。(d)生命を脅かすもの:その事象時に被験者が死亡の危険
にさらされている事象。(e)死に至るもの:被験者の死をもたらす事象。
【0371】
試験薬投与との関係は、次の基準に従って試験責任医師によって判定される。(a)関
係なし:試験治療を受ける行為が行われなかったか、またはAEの発生が時間的に合理的
に関係しないか、またはAEが試験治療に関係し得るとは思われないもの。(b)関係し
得る:試験治療とAEが時間的に合理的に関係し、試験治療を受けたこと以外の原因によ
ってAEを等しく十分に説明できるもの。あるいは、(c)おそらく関係する:試験治療
とAEが時間的に合理的に関係し、他の原因よりも試験治療を受けたことによってAEを
説明できる可能性が高いか、試験治療が十中八九AEの原因であるもの。安全性分析の目
的上、関係し得るまたはおそらく関係するに分類された全てのAEが治療関連AEとみな
される。
【0372】
生じ得る有害事象の例は、白血球増加症(例えば、グレード2の白血球増加症、グレー
ド3の白血球増加症)、疾患関連分化症候群、錯乱(例えば、グレード3の錯乱)及び呼
吸不全(敗血症)(例えば、グレード5の呼吸不全)、食欲不振(例えば、グレード3の
食欲不振)、悪心(例えば、グレード1の悪心)、発熱、下痢(例えば、グレード3の下
痢)、血小板減少症、貧血、めまい、好中球減少症(例えば、発熱性好中球減少症)、末
梢浮腫、敗血症、咳嗽、疲労、点状出血及び発疹である。
【0373】
薬物動態及び薬力学
化合物1及びその代謝産物である化合物2の濃度-時間プロファイルを決定するために
、一連の血液試料を評価する。化合物1及びその代謝産物の化合物2の尿中排泄を決定す
るために、尿試料を評価する。2-HGレベルを決定するために、血液、骨髄及び尿試料
を評価する。
【0374】
薬物動態評価:
化合物1の循環血漿中濃度(技術的に実現可能な場合は代謝産物である化合物2)を決
定するために、化合物1の投与前及び投与後に一連の血液試料が採取される。血液試料は
、2-HG濃度を決定するためにも使用される。
【0375】
用量漸増段階中のコホートに登録された最初の被験者3名には、化合物1の単回投与が
第-3日(すなわち、計画されたC1D1投与の3日前)に行われる。血液試料が、化合
物1の単回投与が行われる前、ならびに投与後の次の時点:30分、ならびに1、2、3
、4、6、8、10、24、48及び72時間に採取される。72時間の血液試料採取後
、被験者は、化合物1の1日2回の経口投与を開始する(すなわち、C1D1)。第-3
日から第1日のPK/PDプロファイルは、用量漸増段階に登録された追加被験者(すな
わち、コホートに登録された最初の被験者3名以降のあらゆる被験者)については任意選
択であり、拡大コホートに登録された被験者には必要でない。
【0376】
全被験者は、C1D15及びC2D1(すなわち、1日2回投与の第15日及び第29
日)に10時間のPK/PD試料採取を受ける。このプロファイルでは、その日の化合物
1の最初の投与の直前に血液試料が1つ採取され(すなわち、化合物1による投与は臨床
施設で行われる)、その後の血液試料は、投与後の次の時点:30分、ならびに1、2、
3、4、6、8及び10時間に採取される。更に、1つの血液試料が治療終了来院時に採
取される。
【0377】
化合物1の濃度決定のために採取される血液試料のタイミングは、新たなデータが、化
合物1のPKプロファイルを良好に特徴付けるためには試料採取スキームの変更が必要で
あることを示している場合、変えてもよい。
【0378】
表4のコホート1及び2ならびに表7のコホート1~6の2-HGの循環血漿中濃度は
、本明細書に記載される通りに測定される。
【0379】
平均阻害は、例えば、(a)C1D15及びC2D1における10時間の試料採取期間
中の2-HGの平均レベルと(b)ベースライン(治療前第-3日)における2-HGレ
ベルとの差を求め、次いで、これにより得られた2-HGのレベルを、(a)ベースライ
ン(治療前第-3日)における2-HGレベルと(c)IDH-2遺伝子変異疾患のない
対象の2-HGレベルとの差で除算することでIDH-2遺伝子変異疾患のない対象の2
-HGのベースラインレベルに対して調整することによって、算出することができる。
【0380】
IDH-2遺伝子変異疾患のない対象の2-HGのベースラインレベルに対して調整す
る場合、C1D15及びC2D1における10時間の採取試料は、IDH2 R140Q
変異を有する患者において、ベースライン(治療前第-3日)の約90%超~最大100
%の2-HGの平均阻害を示す。例えば、表4のコホート1において、2-HGの平均阻
害は、C1D15で86%(患者3名)、C2D1で95%(患者1名)である。表7の
コホート1において、2-HGの平均阻害は、C1D15で88%(患者4名)、C2D
1で97%(患者2名)である。表4のコホート2において、2-HGの平均阻害は、C
1D15で98%(患者2名)、C2D1で100%(患者4名)である。表7のコホー
ト2において、2-HGの平均阻害は、C1D15で99%(患者3名)、C2D1で1
00%(患者4名)である。表7のコホート3において、2-HGの平均阻害は、C1D
15で103%(患者3名)、C2D1で81%(患者3名)である。表7のコホート4
において、2-HGの平均阻害は、C1D15で102%(患者3名)、C2D1で10
1%(患者2名)である。IDH-2遺伝子変異疾患のない対象の2-HGのベースライ
ンレベルに対して調整する場合、C1D15及びC2D1における10時間の採取試料は
、IDH2 R172K変異を有する患者2名において、ベースライン(第-3日治療前
)の最大60%の2-HGの平均阻害を示す(表7)。例えば、2-HGの約50%阻害
が表4の患者番号5において示されている。
【0381】
あるいは、平均阻害は、IDH-2遺伝子変異疾患のない対象の2-HGのベースライ
ンレベルに対する調整を行わずに、(a)C1D15及びC2D1における10時間の試
料採取期間中の2-HGの平均レベルと(b)ベースライン(治療前第-3日)における
2-HGレベルとの差を求め、次いで、これにより得られた2-HGのレベルを、ベース
ライン(治療前第-3日)における2-HGレベルで除算することによって、算出しても
よい。IDH-2遺伝子変異疾患のない対象に対する調整を行わずに平均阻害を算出する
場合、C1D15及びC2D1における10時間の採取試料は、IDH2 R140Q変
異を有する患者18名において、ベースライン(治療前第-3日)の最大97%の2HG
の平均阻害を示す。C1D15及びC2D1における10時間の採取試料は、IDH2
R172K変異を有する患者2名において、ベースライン(治療前第-3日)の最大50
%の2HGの平均阻害を示す。
【0382】
表4のコホート1及び2ならびに表7のコホート1~6の化合物1の循環血漿中濃度は
、本明細書に記載される通りに測定される。表4のコホート1では、第-3日(化合物1
の単回投与後)、C1D15及びC2D1における10時間の採取試料は、第-3日にお
けるAUC0~10時間 4.7(時間×μg/mL)(患者4名)からC1D15にお
けるAUC0~10時間 37.7(時間×μg/mL)(患者3名)及びC2D1にお
けるAUC0~10時間 22.6(時間×μg/mL)(患者1名)までの化合物1の
平均血漿曝露の増加を示す。表7のコホート1では、第-3日(化合物1の単回投与後)
、C1D15及びC2D1における10時間の採取試料は、第-3日におけるAUC0~
10時間 4.5(時間×μg/mL)(患者5名)からC1D15におけるAUC0~
10時間 41.0(時間×μg/mL)(患者4名)及びC2D1におけるAUC0~
10時間 47.2(時間×μg/mL)(患者2名)までの化合物1の平均血漿曝露の
増加を示す。表4のコホート2では、第-3日(化合物1の単回投与後)、C1D15及
びC2D1における10時間の採取試料は、第-3日におけるAUC0~10時間 5.
4(時間×μg/mL)(患者4名)からC1D15におけるAUC0~10時間 58
.1(時間×μg/mL)(患者3名)及びC2D1におけるAUC0~10時間 93
.8(時間×μg/mL)(患者4名)までの化合物1の平均血漿曝露の増加を示す。表
7のコホート2では、第-3日(化合物1の単回投与後)、C1D15及びC2D1にお
ける10時間の採取試料は、第-3日におけるAUC0~10時間 5.4(時間×μg
/mL)(患者4名)からC1D15におけるAUC0~10時間 64.1(時間×μ
g/mL)(患者3名)及びC2D1におけるAUC0~10時間 97.0(時間×μ
g/mL)(患者4名)までの化合物1の平均血漿曝露の増加を示す。表7のコホート3
では、第-3日(化合物1の単回投与後)、C1D15及びC2D1における10時間の
採取試料は、第-3日におけるAUC0~10時間 9.0(時間×μg/mL)(患者
4名)からC1D15におけるAUC0~10時間 120(時間×μg/mL)(患者
3名)及びC2D1におけるAUC0~10時間 146(時間×μg/mL)(患者3
名)までの化合物1の平均血漿曝露の増加を示す。表7のコホート4では、第-3日(化
合物1の単回投与後)、C1D15及びC2D1における10時間の採取試料は、第-3
日におけるAUC0~10時間 8.2(時間×μg/mL)(患者4名)からC1D1
5におけるAUC0~10時間 72.6(時間×μg/mL)(患者3名)及びC2D
1におけるAUC0~10時間 87.1(時間×μg/mL)(患者2名)までの化合
物1の平均血漿曝露の増加を示す。
【0383】
用量漸増段階中のコホートに登録された最初の被験者3名については、化合物1(技術
的に実現可能な場合は代謝産物である化合物2)が変化せずに尿中に排泄される程度の暫
定的推定値を与えるために、化合物1の単回投与に先立つ第-3日及び単回投与後の最初
の72時間にわたって尿が採取される。試料は、2-HG濃度及び尿中クレアチニン濃度
についても分析される。
【0384】
5つの尿検体がこの72時間の期間中に取得される。最初の尿検体は、化合物1の投与
前になされる(少なくとも20mL)。第2の尿検体は、化合物1の投与後、約10時間
にわたって取得され、その後の8時間の尿検体は、施設からの退所と翌日の来院(24時
間の採血のため)との間に取得される。第4及び第5の尿検体は、約48時間及び72時
間の採血時に取得される。更に、尿検体(少なくとも20mL)は、治療終了来院時にも
行われる。
【0385】
第-3日から第1日の尿試料採取は、用量漸増段階に登録された追加被験者(すなわち
、コホートに登録された最初の被験者3名以降のあらゆる被験者)については任意選択で
あり、拡大コホートに登録された被験者には必要でない。
【0386】
各検体の体積が測定され、記録され、尿中化合物1濃度の決定のために中央検査室に送
られる。
【0387】
薬物動態的薬物相互作用:
ヒト酵素の表現型検査は、化合物1の代謝経路が複数のシトクロムP450及びウリジ
ン二リン酸(UDP)グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)を介することを示し
ている。全ての代謝産物ピークが定量限界以下であるような低濃度であるが、シトクロム
P450(CYP)1A2、2C8、2C9及び3A4及びUGT1A1、1A3、2B
7、2B15の全てが化合物1の代謝に関与すると思われる。
【0388】
化合物1及び化合物2は、ヒトCYP3A4の弱い誘導物質である。CYP1A2また
はCYP2B6の誘導は、どちらの化合物でも観察されなかった。マーカー基質として使
用した場合、どちらの化合物もリファンピシンなどの強いCYP3A4誘導物質の犠牲に
ならないようである。これは、酵素表現型検査実験でみられた低代謝回転と一致する。
【0389】
化合物1は、CYP2C8(IC50=3.9~4.4μM)、CYP2C9(IC5
0=3.7μM)、CYP2C19(IC50=6.3μM)及びCYP2D6(IC5
0=21μM)の中程度の直接阻害物質であり、一方、化合物2は、CYP1A2(IC
50=0.43μM)、2C8(IC50=5.3μM)及びCYP2C9(IC50=
30μM)の中程度の直接阻害物質である。どちらの化合物もCYP酵素の時間依存性ま
たは代謝依存性の阻害を示さない。
【0390】
化合物1は、UGT1A1の阻害物質として特徴付けられる。UGT1A1 *1/*
28及び*28/*28ジルベール症候群遺伝子型のその阻害が評価される。遺伝子型ご
とのUGT1A1のIC50は、*1/*1、*1/*28及び*28/*28遺伝子型
に関して、それぞれ1.9、3.5及び10μMである。
【0391】
Caco-2細胞アッセイにおいて、化合物1は、良好な透過性(Papp>17.9
×10-6cm/秒)を示した。B→A/A→Bの流出比率は3未満であることから、C
aco-2細胞を介した化合物1の能動輸送は起こりそうになく、インビトロにおいてヒ
トP糖タンパク質(P-gp)または乳がん耐性タンパク質(BCRP)の基質ではない
だろうことが示唆される。しかしながら、化合物1は、P-gp(5及び100μMでそ
れぞれ87%及び99%)とBCRP(5及び100μMで100%)の両方の強い阻害
物質である。
【0392】
薬力学的評価:
2-HGの循環濃度を決定するために、化合物1の投与前及び投与後に一連の血液試料
が採取される。PK評価のために採取された試料も2-HGレベルを評価するために使用
される。更に、被験者は、スクリーニング評価時に、2-HGレベルの決定のために採血
を受ける。
【0393】
2-HGの濃度決定のために採取される血液試料のタイミングは、新たなデータが、化
合物1の治療に対する2-HGの応答を良好に特徴付けるためには試料採取スキームの変
更が必要であることを示している場合、変えてもよい。
【0394】
骨髄も2-HGレベルについて評価される。
【0395】
2-HGの濃度を決定するために、化合物1による投与前及び投与後に尿が採取される
。PK評価のために第-3日に採取された試料も2-HGレベルを評価するために使用さ
れる。更に、被験者は、スクリーニング評価時及び治療終了来院時に、2-HGレベルの
決定のために採尿を受ける。
【0396】
加えて、1日2回の化合物1治療を開始した後、全ての被験者は、朝の投与前に2週に
1回(C1D8に開始)、尿試料を自宅で採取する。各試料につき少なくとも20mLの
尿を採取する。被験者には、尿を保管する方法及び採取した全試料を次の来院時に施設へ
持参する方法について説明がなされる。
【0397】
各検体の体積が測定され、記録され、尿中2-HG濃度の決定のために中央検査室に送
られる。尿中クレアチニン濃度について、各検体から得たアリコートが分析される。
【0398】
臨床活性
改変を加えたAMLに関するIWG効果判定基準に基づき、治療効果を決定するために
臨床試験中、一連の血液及び骨髄採取試料が評価される。化合物1の臨床活性は、改変を
加えたMDS、MDS/骨髄増殖性新生物(MPN)またはAMLに関するIWG200
6基準(Cheson BD,et al.J Clin Oncol.2003;21
(24):4642-9,Cheson BD,et al.Blood.2006;1
08(2):419-25)に従って、治療効果を判定することによって評価される。
【0399】
疾患の治療への応答は、全血球算定及び末梢血塗抹標本検査とともに、骨髄穿刺液及び
生検の評価を通じて判定される。被験者は、投与の遅れ及び/または投与の中断にかかわ
らず、スクリーニング時、第15、第29及び第57日、ならびに試験薬治療中の以後5
6日ごと、ならびに/または疾患進行が疑われるあらゆる時点に、疾患の程度が評価され
、記録される。評価はまた、疾患進行以外の理由により試験を中止する被験者に対し、治
療終了来院にも実施される。
【0400】
骨髄穿刺液及び生検は、投与の遅れ及び/または中断にかかわらず、スクリーニング時
、第15日、第29日、第57日、以後56日ごと、疾患進行が疑われるあらゆる時点、
及び治療終了来院時に取得されるものとする。骨髄穿刺液及びコア試料採取は、標準治療
に従って実施され、国際血液検査標準化協議会(ICSH)ガイドライン(Lee SH
,et al.Int J Lab Hematol.2008;30(5):349-
64)に従って、施設内の検査室で分析されるべきである。骨髄コア生検及び穿刺液は、
潜在的な臨床活性を判定するために、形態、フローサイトメトリー及び核型について評価
されるものとする。骨髄及び/または末梢血芽細胞のアリコートはまた、2-HGレベル
、遺伝子発現プロファイル、ヒストン及びDNAメチル化パターン、ならびにメタボロー
ムプロファイリングに関して、中央検査室で評価される。白血病芽細胞の評価のための末
梢血は、投与の遅れ及び/または中断にかかわらず、スクリーニング時、第15日、第2
9日、第57日、以後56日ごと、疾患進行が疑われるあらゆる時点、及び治療終了来院
時に取得されるものとする。細胞数及びフローサイトメトリーを使用して、骨髄及び末梢
血から収集した芽細胞の分化の状態を評価する。化合物1に応答する芽細胞の複雑性を決
定するために、側方散乱も分析される。
【0401】
性別、生年月日、年齢、人種及び民族性を含む、被験者の背景データをスクリーニング
中に取得する。表4は、ECOGパフォーマンスステータスがグレード0またはグレード
1である53~74歳(中央値62.5歳)のAML患者10名の臨床活性を示している
。
表4:臨床活性
【表26】
*化合物1は、遊離塩基換算含量30mgまたは50mgの投与量として与えられる(例
えば、コホートレベル1では、36mgの化合物1が30mgの遊離塩基化合物3に相当
する)。
1 化合物1は、28日サイクルの第1~第28日に単剤として1日2回(約12時間ご
と)経口投与される。
2 IDH2のR140Q変異、IDH2のR172K変異、FLT3-ITD:Fms
関連チロシンキナーゼ3(FLT3)遺伝子内縦列重複(ITD)、CEPBA:CCA
AT/エンハンサー結合タンパク質α、NPM1:ヌクレオフォスミン(核小体リンタン
パク質B23)、DNMT3A:DNA(シトシン-5-)メチルトランスフェラーゼ3
α、ASXL1:additional sex combs like 1。
3 表5に定義の通りに評価された応答判定基準。CR:完全寛解、CRp:完全寛解・
血小板回復不完全、PR:部分寛解、PD:疾患進行、NE:評価不能。
【0402】
AML治療は、典型的に、(1)目に見える全ての白血病を排除することを目的にする
寛解導入と、(2)残存するあらゆる白血病細胞を治療し、再発の防止を目的にする地固
め(寛解後療法)の2つの化学療法相に分けられる。患者の再発後には、再導入が行われ
る。
【0403】
導入治療の強度は、患者の年齢及び健康に依存する。60歳未満などの若年患者におけ
る導入は、多くの場合、シタラビン(ara-C)及びダウノルビシン(ダウノマイシン
)またはイダルビシンなどのアントラサイクリン薬物の2つの化学療法薬による治療を伴
う。場合により、第3の薬物であるクラドリビン(ロイスタチン、2-CdA)も投与さ
れる。心機能が劣る患者は、アントラサイクリンによる治療ができないため、フルダラビ
ン(フルダラ)またはトポテカンなどの別の化学療法薬により治療され得る。白血病が脳
または脊髄にまで広がった稀な場合では、脳脊髄液(CSF)にも化学療法薬が投与され
得る。
【0404】
導入は、白血病細胞だけでなく、正常な骨髄細胞の大部分も破壊する。ほとんどの患者
で血液数が危険なほど低くなり、患者は重病になる場合がある。ほとんどの患者が抗生物
質及び血液製剤輸注を要する。白血球数を上げるための薬物も使用され得る。血球数は、
数週間下がったままになる傾向がある。通常、この期間、患者は入院する。
【0405】
化学療法による治療から1~2週間後、骨髄生検が採取され、骨髄細胞数の減少及び1
0%未満の芽球を示すはずであるが、そうでなければ、更に化学療法が行われ得る。場合
により、この時点で幹細胞移植が推奨される。
【0406】
骨髄生検が骨髄細胞数の減少及び10%未満の芽球を示す場合、数週間以内に正常な骨
髄細胞が回復し、新たな血液細胞を作り始める。血球細胞数が回復したら、骨髄試料を採
取し、白血病が寛解にあるかどうか確認する。導入は、通常、白血病細胞の全てを破壊す
るわけではなく、少数が残存することが多い。地固め治療なしでは、数ヶ月以内に白血病
が再発する可能性がある。
【0407】
導入は、寛解が達成されたら成功とみなされる。次いで、残存するあらゆる白血病細胞
を破壊し、再発予防を支援するために、更なる地固めの治療が行われる。若年患者の場合
、AML地固め療法の主な選択肢は、数サイクルの高用量シタラビン(ara-C)(H
iDACとしても知られることもある)、同種(ドナー)幹細胞移植、または自家(患者
自身)幹細胞移植である。幹細胞移植に先立ち、患者は、全ての骨髄細胞を破壊するため
に非常に高い用量の化学療法を受けた後に、幹細胞移植を行って血液細胞産生を回復させ
る。幹細胞移植は、標準的な化学療法よりも白血病の再発リスクを低下させることがわか
っているが、治療に起因する死亡リスクの増大を含む、重篤な合併症を有する可能性が高
い。
【0408】
高齢の患者または健康が良好ではない患者は、そのような集中的な地固め治療に耐えら
れない可能性がある。多くの場合、より集中的な療法をこれらの患者に行うと、利益のほ
とんどを得ることなく、重篤な副作用(治療関連死を含む)のリスクが増大する。これら
の患者は、1もしくは2サイクルの高めの用量のシタラビン(通常、若年患者の場合ほど
高用量ではない)、または中間用量のAra-C(MEC)、デシタビン、5-アザシチ
ジン、クロファラビン、場合によってイダルビシンもしくはダウノルビシンを併用する1
もしくは2サイクルの標準用量のシタラビン、または骨髄非破壊的幹細胞移植(ミニ移植
)により治療され得る。
【0409】
以下の表5及び表6に概略される基準を使用して、治療効果を評価する。
表5:改変を加えたMDSの自然経過変更に関する国際作業部会の効果判定基準案
【表27】
典拠:Cheson,et al.Blood.2006;108(2):419-25
略語:MDS=骨髄異形成症候群;CR=完全寛解;Hgb=ヘモグロビン;HI=血液
学的改善;PR=部分寛解;FAB=フランス・アメリカ・イギリス;AML=急性骨髄
性白血病;PFS=無増悪生存期間;DFS=無病生存期間。
備考:IWG効果判定基準から削除したものは示していない。
備考:ヘモグロビンをg/Lからg/dLに変換するには、g/Lを10で除算する。
*異形成変化は、正常範囲の異形成変化を考慮すべきである(改変)。
†IWG効果判定基準(Cheson,et al.J Clin Oncol.200
3;21(24):4642-9)を改変。
‡場合によって、プロトコール療法は、4週間の期間前に、更なる治療(例えば、地固め
、維持)の開始を要することがある。そのような被験者は、その療法が開始された時点で
適合する効果分類に含めることができる。反復化学療法コース中の一過性の血球減少は、
先のコースの改善したカウントに回復するのであれば、効果の持続性を中断するものとみ
なすべきではない。
表6:改変を加えた血液学的改善に関する国際作業部会の効果判定基準案
【表28】
典拠:Cheson,et al.Blood.2006;108(2):419-25
略語:Hgbはヘモグロビンを示す。RBC:赤血球;HI:血液学的改善。
備考:IWG効果判定基準から削除したものは示していない。
備考:ヘモグロビンをg/Lからg/dLに変換するには、g/Lを10で除算する。
*1週間以上間をあけた少なくとも2つの測定値(輸血により影響されない)の治療前カ
ウント平均値(改変)。
†IWG効果判定基準(Cheson,et al.J Clin Oncol.200
3;21(24):4642-9)を改変。
‡急性感染症、化学療法の反復コース(改変)、消化管出血、溶血などの別の説明がない
場合。2種の赤血球及び血小板応答を全体として、また個々の応答パターンごとに報告す
ることが推奨される。
表8:IPSS及び新たな5群分類による細胞遺伝学的分類
【表29】
Greenberg P,et al.International scoring
system for evaluating prognosis in myelo
dysplastic syndromes [erratum appears in
Blood.1998;91(3):1100].Blood 1997;89(6)
:2079-2088.
Schanz J,et al.Coalesced multicentric an
alysis of 2351 patients with myelodyspla
stic syndromes indicates an underestimat
ion of poor-risk cytogenetics of myelody
splastic syndromes in the international
prognostic scoring system.J Clin Oncol 2
011;29(15):1963-1970.
-は、該当なしを示す。
*あらゆる染色体7の異常
†クローン異常の数
【0410】
表7は、IDH2の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられた進行性血液悪性腫瘍
を有する、ECOGパフォーマンスステータスが、グレードが0、1、または2である4
8~81歳(中央値68歳)の患者合計35名のうち14名の患者の臨床活性を示す(病
勢安定の5名、進行の6名、評価不可の10名の患者は表7に含めない)。好中球数は、
サイクル1第15日までに増加する。白血球数及び好中球数は、応答のある患者において
、サイクル2第15日までに正常範囲になる。
表7:臨床活性
【表30】
†化合物1は、遊離塩基換算含量30、50、75、100または150mgの投与量と
して与えられる(例えば、コホートレベル1では、36mgの化合物1が30mgの遊離
塩基化合物3に相当する)。
*サイクル5第1日で骨髄芽球7%。1日2回(約12時間ごと)経口投与される単剤と
して75mg(遊離塩基換算量)まで用量漸増。
**サイクル3第1日で骨髄芽球11%増加。1日2回(約12時間ごと)経口投与され
る単剤として75mg(遊離塩基換算量)まで用量漸増。
1 化合物1は28日サイクルの第1~第28日に単剤として1日2回(約12時間ごと
)経口投与される。
2 化合物1は28日サイクルの第1~第28日に単剤として1日1回経口投与される。
3 施設内評価に基づいた腫瘍遺伝学的性質。IDH2のR140Q変異、IDH2のR
172K変異、FLT3-ITD:Fms関連チロシンキナーゼ3(FLT3)遺伝子内
縦列重複(ITD)、CEPBA:CCAAT/エンハンサー結合タンパク質α、NPM
1:ヌクレオフォスミン(核小体リンタンパク質B23)、DNMT3A:DNA(シト
シン-5-)メチルトランスフェラーゼ3α、ASXL1:additional se
x combs like 1。
4 表5及び表6に定義の通りに評価された効果判定基準。CR:完全寛解、CRp:完
全寛解・血小板回復不完全、CRi:完全寛解・血液学的回復不完全、PR:部分寛解、
PD:疾患進行、NE:評価不能。
5 完全寛解の患者5名は、1~4ヶ月の範囲で2.5ヶ月を超える継続期間を有する。
【0411】
統計分析
統計分析は、試験の目標が化合物1のMTDを決定することであるので、本質的に主に
記述的である。適切な内訳、背景、ベースライン、安全性、PK、PD及び臨床活性パラ
メータについて表を作成し、用量レベルごとに、また全体的に表す。カテゴリー変数は度
数分布(被験者の数及びパーセンテージ)によりまとめ、連続変数は記述統計(平均、標
準偏差、中央値、最小値及び最大値)によりまとめる。
【0412】
有害事象は、国際医薬用語集(MedDRA)の器官別大分類及び基本語によりまとめ
る。治療下で発現したAE(TEAE)、治療関連AE(試験責任医師が少なくとも薬物
に関係し得るとみなしたもの)、SAE、AEに起因する中止及び少なくともグレード3
の重症度のAEのすべてについて別個の表を作成する。被験者ごとのリストを死亡、SA
E、DLT及び治療の中止に至るAEに関して作成する。
【0413】
記述統計は、臨床検査、ECG間隔、LVEF及びバイタルサインデータについて記載
し、実際値と、試験中の各評価値及び試験の最終評価値に対するベースラインからの変化
との両方として表される。検査パラメータ及びECOG PSに関するシフト分析を実施
する。
【0414】
記述統計(すなわち、被験者数、平均、標準偏差、幾何平均及び変動係数、中央値、最
小値及び最大値)を使用して、各用量群に関して、また適切であれば集団全体に関して、
PKパラメータをまとめる。そのようなパラメータには、Cmax、最高濃度到達時間(
Tmax)、AUC、消失半減期及び未変化のまま尿中に排泄される薬物の割合が挙げら
れる(ただし、これらに限定されない)。用量とCmax及びAUCの両方との関係は、
用量比例関係についてグラフに示して調べる。
【0415】
改変を加えたIWGを使用して施設の試験責任医師によって評価された治療への応答を
表にする。奏効率の両側90%信頼区間を各用量レベル及び全体について算出する。コホ
ート拡大段階では、被験者の悪性腫瘍の種類ごとにデータをまとめる。
【0416】
実施例6:
含量5mg及び10mgの錠剤(遊離塩基換算量)は、表Aに記載されるドライブレン
ドプロセスを使用して、調製することができる。
表A
【表31】
*遊離塩基換算量
【0417】
含量50mg及び200mgの錠剤(遊離塩基換算量)は、表Bに記載される乾式造粒
プロセスを使用して、調製することができる。
表B
【表32】
*遊離塩基換算量
【0418】
含量25mg、50mg、100mg及び150mgの錠剤(遊離塩基換算量)は、表
Cに記載される乾式造粒共通ブレンドを使用して、調製することができる。
表C
【表33】
*遊離塩基換算量
【0419】
明確さ及び理解のために、上述の発明について、ある程度詳細に記載してきたが、これ
らの特定の実施形態は、例示的なものであり、限定的なものとみなされないものとする。
当業者であれば、本発明の真の範囲を逸脱することなく、形態及び詳細の種々の変更が可
能であり、本発明の真の範囲は、特定の実施形態ではなく、添付の特許請求の範囲によっ
て定義されるべきことを本開示の解釈から認識するであろう。
【0420】
本明細書において参照される特許及び科学文献は、当業者に利用可能な知識を確立する
。別途の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明
が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細
書に引用される交付済み特許、出願及び参考文献は、各々が、参照により本明細書に援用
されることが明確にかつ個々に示された場合と同じ程度に、参照により本明細書に援用さ
れる。矛盾がある場合、定義を含め、本開示が優先される。