(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117924
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】ショーケース
(51)【国際特許分類】
A47F 3/04 20060101AFI20230817BHJP
【FI】
A47F3/04 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020749
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】722012006
【氏名又は名称】サンデン・リテールシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】吉田 敦史
【テーマコード(参考)】
3B110
【Fターム(参考)】
3B110AA12
3B110CA12
(57)【要約】
【課題】上棚に対するアクセス性を向上させることができるショーケースを提供する。
【解決手段】ショーケースは、上棚11が下棚12の上方位置と前方位置との間で移動可能に、上棚11の幅方向の端部と下棚12の幅方向の端部とを連結する連結ユニット20を含む。連結ユニット20は、上棚11が前後方向に移動可能に、上棚11の端部を支持するスライド機構30と、スライド機構30が下棚12に対して平行な姿勢を維持した状態で回動可能に、スライド機構30と下棚12の端部とを連結する回動機構40と、スライド機構30による移動範囲の前端まで引き出された上棚11についてのスライド機構30に沿った後方への移動を阻止可能な後方移動阻止機構70とを含む。後方移動阻止機構70は、後方移動阻止状態と後方移動許容状態とに回動機構40における回動運動に連動して切り替わるように構成されている。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に互いに離隔する複数の棚を有するショーケースであって、
前記複数の棚のうちの上下に隣り合う所定の上棚及び下棚のうちの前記上棚が前記下棚の上方位置と前記下棚の前方位置との間で移動可能に、前記上棚の幅方向の端部と前記下棚の幅方向の端部とを連結する連結ユニットを含み、
前記連結ユニットは、
前記上棚が前後方向に移動可能に、前記上棚の前記端部を支持するスライド機構と、
前記スライド機構が前記下棚に対して平行な姿勢を維持した状態で回動可能に、前記スライド機構と前記下棚の前記端部とを連結する回動機構と、
前記スライド機構による移動範囲の前端まで引き出された前記上棚についての前記スライド機構に沿った後方への移動を阻止可能な後方移動阻止機構であって、前記後方への移動を阻止した状態である後方移動阻止状態と、当該後方移動阻止状態を解除した状態である後方移動許容状態とに、前記回動機構における回動運動に連動して切り替わるように構成されている、後方移動阻止機構と、
を含む、
ショーケース。
【請求項2】
前記回動機構のうちの前記スライド機構への連結部分の回動軌跡は、頂点を有した円弧状の軌跡であると共に、前記頂点を境に前方円弧範囲と後方円弧範囲とに区分され、
前記後方移動阻止機構は、前記回動軌跡のうちの少なくとも前記前方円弧範囲で前記後方移動阻止状態を保持するように構成されている、請求項1に記載のショーケース。
【請求項3】
前記回動機構は、前記スライド機構と前記下棚の前記端部とを連結するための前後方向に互いに離隔する前アーム及び後アームを有し、
前記後方移動阻止機構は、前記前アーム及び前記後アームのうちの一方におけるスライド機構側部分の回動変位を用いて、前記後方移動阻止状態と前記後方移動許容状態とに切り替わる、請求項1又は2に記載のショーケース。
【請求項4】
前記前アーム及び前記後アームのそれぞれは、一端部が前記下棚の前記端部の近傍において前記幅方向に延びた下軸部に回動可能に支持されると共に他端部が前記スライド機構の近傍において前記幅方向に延びた上軸部に回動可能に支持されるアーム本体を有し、
前記前アーム及び前記後アームのうちの少なくとも前記一方は、前記アーム本体の前記他端部から延長するように延びたアーム延長部を有し、
前記スライド機構側部分は、前記前アーム及び前記後アームのうちの前記一方の前記アーム延長部である、請求項3に記載のショーケース。
【請求項5】
前記後方移動阻止機構は、
前記上棚と一緒に前後方向に移動可能に前記スライド機構に固定されるロック板であって、上方に開放したスリットが形成されている、ロック板と、
前記上軸部よりも後方において前記幅方向に延びるスイング軸部を支点として揺動可能に支持されるスイングプレートであって、前記アーム延長部が接離する接触片部を有する、スイングプレートと、
前記スイングプレートに固定されるロックピンであって、少なくとも一部が前記スリットの溝内に位置することによって前記後方移動阻止状態を保持し、前記後方移動阻止状態にあるときに、前記アーム延長部の先端部が変位して前記接触片部を押し上げると、前記スリットの開放端に向かって移動する、ロックピンと、
を有する、請求項4に記載のショーケース。
【請求項6】
前記回動機構は、少なくとも前記アーム延長部及び前記スイングプレートを覆う上箱体を有する、請求項5に記載のショーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下方向に互いに離隔する複数の棚を有するショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
ショーケースの一例として、特許文献1に記載されたショーケースが知られている。このショーケースでは、棚がケース本体内で前後方向に移動可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されたショーケースでは、例えば、店員などの利用者が複数の棚のうちの最も高い位置にある最上段の棚へ商品を載置したり、最上段の棚に載置されている商品を取り出したりする際に、利用者が最上段の棚を前方へ移動させるだけでは、依然として最上段の棚へのアクセス性が悪く、その工夫が求められ得る。また、アクセス性の向上は、複数の棚のうちの最上段の棚に限らず、他の段でも求められ得る。
【0005】
そこで、本発明は、上下に隣り合う上棚及び下棚のうちの上棚に対する利用者のアクセス性を向上させることができるショーケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によると、上下方向に互いに離隔する複数の棚を有するショーケースが提供され、このショーケースは、前記複数の棚のうちの上下に隣り合う所定の上棚及び下棚のうちの前記上棚が前記下棚の上方位置と前記下棚の前方位置との間で移動可能に、前記上棚の幅方向の端部と前記下棚の幅方向の端部とを連結する連結ユニットを含む。前記連結ユニットは、スライド機構と、回動機構と、後方移動阻止機構と、を含む。前記スライド機構は、前記上棚が前後方向に移動可能に、前記上棚の前記端部を支持する。前記回動機構は、前記スライド機構が前記下棚に対して平行な姿勢を維持した状態で回動可能に、前記スライド機構と前記下棚の前記端部とを連結する。前記後方移動阻止機構は、前記スライド機構による移動範囲の前端まで引き出された前記上棚についての前記スライド機構に沿った後方への移動を阻止可能であり、且つ、前記スライド機構による移動範囲の前端まで引き出された前記上棚についての前記スライド機構に沿った後方への移動を阻止した状態である後方移動阻止状態と、当該後方移動阻止状態を解除した状態である後方移動許容状態とに、前記回動機構における回動運動に連動して切り替わるように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一側面によれば、上下に隣り合う上棚及び下棚のうちの上棚に対する利用者のアクセス性を向上させることができるショーケースが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係るショーケースの斜視図である。
【
図2】前記ショーケースの要部の組立体の斜視図である。
【
図3】別の角度から視た前記組立体の斜視図である。
【
図5】前記組立体のスイングユニットの部分斜視図である。
【
図6】別の角度から視た前記スイングユニットの部分斜視図である。
【
図7】前記スイングユニットの連結ユニットの上端側の部分の拡大断面図である。
【
図8】前記連結ユニットの下端側の部分を前方から視た拡大正面図である。
【
図9】前記連結ユニットの回動機構を説明するための概念図である。
【
図11】前記連結ユニットの別の角度から視た部分斜視図である。
【
図12】前記連結ユニットの後方移動阻止機構を含む部分側面図である。
【
図13】前記ショーケースの動作を説明するための概念図である。
【
図14】前記後方移動阻止機構の動作を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係るショーケース100の斜視図である。ショーケース100は、例えば、コンビニエンスストアなどに設置される冷蔵ショーケースである。なお、ショーケース100は冷凍又は保温のためのショーケースであってもよい。
【0011】
ショーケース100は、前面が開口した断熱構造のケース本体1と、ケース本体1の底面に取り付けられてケース本体1を支持する設置台2と、を有する。なお、ここでは、ショーケース100の前面に向かって視た正面視で、前後、左右、上下が規定されている。
【0012】
ケース本体1の内側には、ケース本体1と間隔をあけて内部パネル3が取り付けられる。内部パネル3と左右の側壁1a、1aとにより、前面に開口する商品室4が構成される。各側壁1aとしては、例えば、商品室4の内部を透視可能なガラス板などの透明板が用いられる。主にケース本体1の内面と内部パネル3の外面とによって通気ダクトが形成される。通気ダクト内には、蒸発器及び冷気循環用送風機などが収容される。冷気循環用送風機による冷気の循環は、商品室4の前面開口の上縁部(内部パネル3の天板3a)に形成された吐出口(
図1では隠れて図示されていない)及び商品室4の前面開口の下縁部(内部パネル3のうちの底板3b)に形成された吸込口5を介して行われる。設置台2の内部には、圧縮機、凝縮器及び凝縮器用送風機などを配置するための機械室が形成される。圧縮機及び凝縮器は、前述の蒸発器とともに冷凍回路を構成している。
【0013】
商品室4内には、上下方向に互いに離隔する複数の棚10が設けられている。各棚10は、商品を載置(陳列)するための棚である。ここでは、棚10は上下に6段で左右に二列で、合計12個配置されている。複数の棚10のうちの最も高い位置に配置される最上段用の棚11と上から二段目の棚12以外の棚10、つまり、複数の棚10のうちの上から三段目の棚13、四段目の棚14、五段目の棚15、六段目の棚16は内部パネル3のうちの上下に延在した背面板3cに着脱自在に取り付けられる。なお、図示を省略するが、三段目以降の棚(13~16)の端部のそれぞれには、対応する棚(13~16)を背面板3cに対して前後方向に移動可能に支持するスライド機構が取り付けられている。
【0014】
以下では、主に、ショーケース100の要部であるスイングユニット80を含む組立体80Aの構造について説明する。
図2~
図4は組立体80Aの斜視図であり、
図2は前方から視た斜視図、
図3は後方から視た斜視図、
図4は組立体80Aの分解斜視図である。
【0015】
スイングユニット80は、複数の棚10のうちの上下に隣り合う所定の上棚及び下棚に対して適用され、本実施形態では、上下に隣り合う最上段の棚11及び二段目の棚12に適用されている。なお、本実施形態では、最上段の棚11が本発明に係る「上棚」に相当し、二段目の棚12が発明に係る「下棚」に相当する。以下、最上段用の棚11を適宜に上棚11と呼び、二段目の棚12を適宜に下棚12と呼ぶ。
【0016】
組立体80Aは、上棚11と、下棚12と、上棚11と下棚12とを連結するためのスイングユニット80と、を含む。組立体80Aは左列の最上段用と右列の最上段用のそれぞれについて設けられ、左列の最上段用の組立体80Aと右列の最上段用の組立体80Aは互いに同一の構造を有する。組立体80Aは、背面板3cに設けられた図示省略の支柱に取り付けられる。前記支柱には、組立体80Aの後部に設けられた爪部6が着脱自在に係合される図示省略の係合孔が上下方向に複数穿設され、組立体80Aは爪部6を介して前記支柱に取り付けられる。
【0017】
上棚11は、平面視矩形状の棚板111と、棚板111の前端以外の三辺に立設され商品の落下を防止するガード部112と、棚板111の前端で幅方向に延びる前端部113とを有する。下棚12は同様に棚板121とガード部122と前端部123とを有する。
【0018】
スイングユニット80は、上棚11の幅方向(左右方向)の端部と下棚12の幅方向の端部とを連結する連結ユニット20を有する。連結ユニット20は、上棚11が下棚12の真上(上方)の位置である上方位置(
図1の左列参照)と下棚12の前方の位置である前方位置(
図1の右列参照)との間で移動可能に、上棚11の幅方向の端部と下棚12の幅方向の端部とを連結するためのリンク機構を含んだものである。通常の運用時には、上棚11は下棚12の上方位置に位置し、商品が上棚11の上に載置(陳列)されている。
【0019】
スイングユニット80は、棚10(11、12)の幅方向の左端部同士の連結用と右端部同士の連結用のそれぞれについて連結ユニット20を有する。つまり、スイングユニット80(組立体80A)は、左右に一対の連結ユニット20、20を有する。以下、左右を区別する場合、左用の連結ユニット20を左連結ユニット20Lと呼び、右用の連結ユニット20を右連結ユニット20Rと呼ぶ。左連結ユニット20Lの構造と右連結ユニット20Rの構造は、左右対称であること以外については同一である。
【0020】
スイングユニット80は、一対の連結ユニット20、20(左連結ユニット20L、右連結ユニット20R)を互いに接続する上連結板21、下連結板22及び後接続アーム23を有している。上連結板21は上棚11の下面の近傍で上棚11の幅方向に延在し、下連結板22は下棚12の下面の近傍で下棚12の幅方向に延在し、後接続アーム23は上棚11の後部近傍で上棚11の幅方向に延在している。
【0021】
図5及び
図6は、スイングユニット80の部分斜視図である。
図6では、後述する第1外カバー412及び第2外カバー422が取り外されている。
図7は連結ユニット20(20L)の上端側の部分の拡大断面図であり、
図8は連結ユニット20(20L)の下端側の部分を前方から視た拡大正面図である。
【0022】
上棚11の幅方向の端部(左端部、右端部)には、当該上棚11を前後方向に移動可能に支持するスライド機構30が取り付けられている。本実施形態では、スイングユニット80の各連結ユニット20は、上棚11を前後にスライド移動させるための上述のスライド機構30と、上棚11を回動させるための回動機構40とを含むものとする。
【0023】
スライド機構30は、上棚11が前後方向に移動可能に、上棚11の幅方向の端部(左端部、右端部)を下方から支持する機構である。スライド機構30は、回動機構40の後述する上箱体41における棚10の幅方向の中心側の側面と相対しており、後述する上レール取付板413に取り付けられ且つ上棚11の端部に取り付けられている。
【0024】
スライド機構30は、上固定レール31と、上移動レール32と、上固定レール31と上移動レール32とを前後方向にスライド自在に連結する上中間レール33と、上棚取付板34と、を有する。上固定レール31は回動機構40(具体的には、上レール取付板413)に固定され、上移動レール32は上中間レール33を介して上固定レール31に対してスライド移動可能に連結され且つ上棚取付板34を介して上棚11に固定される。上棚取付板34は、上棚11を連結ユニット20に取り付けるためのブラケットである。上棚取付板34は、上移動レール32に沿って延在し上移動レール32における上固定レール31とは反対側の面に固定される。上棚11は上棚取付板34を介して上移動レール32に取り付けられる。上棚取付板34は、例えば、上箱体41と上移動レール32との間に位置する垂直片341と、垂直片341の上縁から内側に延びる水平片342とを有し、全体としてL字断面を有する。上棚11は、左右の上棚取付板34、34(水平片342、342)の間を架け渡すように設けられ、スライド機構30を介して回動機構40側の部材(上レール取付板413)に対して前後方向に移動可能になっている。
【0025】
スライド機構30は、自身のスライドストロークを規定する図示省略の前リミット片及び後リミット片を有する。上棚11は、前リミット片によって定まるスライド機構30による移動範囲の前端(前限)まで最大に引き出され得ると共に、後リミット片によって定まるスライド機構30による移動範囲の後端(後限)まで最大に押し戻され得る。
【0026】
回動機構40は、スライド機構30が下棚12に対して平行な姿勢を維持した状態で回動可能に、スライド機構30と下棚12の幅方向の端部とを連結する機構である。回動機構40は、下棚12の幅方向の端部の近傍において当該幅方向に延びた下軸部(431、441)を有し、スライド機構30が下軸部(431、441)を支点として下棚12の上方位置(
図1の左列参照)と下棚12の前方位置(
図1の右列参照)との間で回動可能に、スライド機構30と下棚12の幅方向の端部との間を連結する機構である。
【0027】
本実施形態では、回動機構40は、スライド機構30を支持するための上箱体41と、下棚12の幅方向の端部を支持するための下箱体42と、スライド機構30と下棚の幅方向の端部とを連結するための前後方向に互いに離隔する前アーム43及び後アーム44と、を有する。なお、下軸部(431、441)については、後に詳述する。
【0028】
上箱体41は、第1内カバー411と、第1外カバー412とを有する。第1内カバー411は第1外カバー412よりも上棚11側に位置している。第1内カバー411と第1外カバー412が互いに組み合わされることで、上箱体41が構成される。上箱体41の下面及び後面は各アーム(43、44)の回動を許容するように開放されている。
【0029】
上箱体41における上棚11側の側面には、前後方向に延在する上レール取付板413が固定される。上レール取付板413は、スライド機構30を回動機構40に取り付けるためのブラケットである。上レール取付板413は、例えば、上棚取付板34の垂直片341と相対する垂直片413aと、上棚取付板34の水平片342の下方において当該水平片342と相対し且つ垂直片413aの下縁に接続する水平片413bと、垂直片413aの上縁における前後方向の所定部位から内側に延びる上連結板接続片413cと、を有する。上固定レール31が上レール取付板413の垂直片413aに固定されることで、スライド機構30が連結ユニット20の上箱体41に支持される。上レール取付板413の上連結板接続片413cには、前側の上連結板21の端部が接続される。これにより、左側の上箱体41と右側の上箱体41は、互いに相対移動することなく、上連結板21を介して一体に接続される。
【0030】
下箱体42は、第2内カバー421と、第2外カバー422とを有する。第2内カバー421は第2外カバー422よりも下棚12側に位置している。第2内カバー421と第2外カバー422が互いに組み合わされることで、下箱体42が構成される。下箱体42の上面は、各アーム(43、44)の回動を許容するように開放され、下箱体42の前面には、各アーム(43、44)の回動を許容するアーム用スリット42aが形成される。
【0031】
下棚12の幅方向の端部(左端部、右端部)には、当該下棚12を前後方向に移動可能に支持する下スライド部50が取り付けられている。本実施形態では、下箱体42は、下棚12が前後方向に移動可能に下棚12の幅方向の端部を下方から支持する上述の下スライド部50を含むものとする。下スライド部50は、下箱体42における下棚12側の側面と相対しており、下箱体42の後述する下レール取付板423に取り付けられ且つ下棚12の端部に取り付けられている。
【0032】
下スライド部50は、下固定レール51と、下移動レール52と、下固定レール51と下移動レール52とを前後方向にスライド自在に連結する下中間レール53と、下棚取付板54と、ストッパ片55と、を有する。下固定レール51は第2内カバー421(具体的には、下レール取付板423)に固定され、下移動レール52は下中間レール53を介して下固定レール51に対してスライド移動可能に連結され且つ下棚取付板54を介して下棚12に固定される。下棚取付板54は、下棚12を連結ユニット20(下箱体42)に取り付けるためのブラケットである。下棚取付板54は、下移動レール52に沿って延在しており下移動レール52における下固定レール51とは反対側の面に固定される。下棚12は下棚取付板54を介して下移動レール52に取り付けられる。下棚取付板54は、例えば、下箱体42と下移動レール52との間に位置する垂直片541と、垂直片541の上縁から内側に延びる水平片542とを有し、全体としてL字断面を有する。下棚12は、左右の下棚取付板54、54(水平片542、542)の間を架け渡すように設けられ、ストッパ片55は、下固定レール51に対する下移動レール52の移動を阻止するように当該下スライド部50の前端部に着脱自在に取り付けられた部材である。上棚11が下棚12の上方位置にある状態で、組立体80Aを側方から視ると、下箱体42の前面の前後方向についての位置が下棚12の前端面の前後方向についての位置に概ね一致しており、例えば、通常の運用時においては、この位置で、下スライド部50による下棚12の前後方向の移動がストッパ片55により阻止されている。
【0033】
下箱体42における下棚12側の側面には、この側面に沿って前後方向に延在する下レール取付板423が固定されている。下レール取付板423は、下スライド部50を下箱体42に取り付けるためのブラケットである。下レール取付板423は、例えば、下棚取付板54の垂直片541と相対する垂直片423aと、下棚取付板54の水平片542の下方において当該水平片542と相対し且つ垂直片423aの下縁に接続する水平片423bと、垂直片423aの上縁における前後方向の所定部位から内側に延びる下連結板接続片423cと、を有する。下固定レール51が下レール取付板423の垂直片423aに固定されることで、下スライド部50及び下棚12が連結ユニット20の下箱体42に支持される。下レール取付板423の下連結板接続片423cには、下連結板22の端部が接続される。これにより、左側の下箱体42と右側の下箱体42は、互いに相対移動することなく、下連結板22を介して一体に接続される。
【0034】
前アーム43及び後アーム44は、スライド機構30と下棚12の幅方向の端部とを連結するための部材であり、上箱体41と下箱体42とを連結することで、スライド機構30と下棚12の端部(ここでは詳しくは下スライド部50)とを連結する。前アーム43及び後アーム44は、上箱体41に支持されたスライド機構30が下箱体42に下スライド部50を介して支持された下棚12に対して平行な姿勢を維持した状態で下軸部(431、441)を支点として下棚12の上方位置(
図1の左列参照)と下棚12の前方位置(
図1の右列参照)との間で回動可能に、上箱体41と下箱体42とを連結するように構成されている。
【0035】
前アーム43及び後アーム44のそれぞれは、起立した状態で、下箱体42内の領域から上箱体41内の領域まで延在した部材である。本実施形態では、各アーム(43、44)は、全体として直線的に延びている。
【0036】
ここで、下箱体42内には、下棚12の幅方向に延びた前側下軸部431、及び、前側下軸部431よりも後方で下棚12の幅方向に延びた後側下軸部441が下棚12の幅方向の端部の近傍に位置するように設けられている。上箱体41内には、上棚11の幅方向に延びた前側上軸部432、及び、前側上軸部432よりも後方で上棚11の幅方向に延びた後側上軸部442が上棚11の幅方向の端部の近傍に位置するように設けられている。後側下軸部441は上下方向について前側下軸部431よりも上方に位置し、後側上軸部442は上下方向について前側上軸部432よりも上方に位置している。なお、本実施形態において、前側下軸部431、前側上軸部432、後側下軸部441、後側上軸部442が、前アーム43についての本発明に係る「下軸部」、「上軸部」、後アーム44についての本発明に係る「下軸部」、「上軸部」、にそれぞれ相当する。
【0037】
前アーム43は、前アーム本体43aと前アーム延長部43bとを有している。前アーム本体43aの一端部は前側下軸部431に回動可能に支持され、前アーム本体43aの他端部は前側上軸部432に回動可能に支持されている。前アーム延長部43bは前アーム本体43aの他端部から連続して延長するように延びた部分である。
【0038】
後アーム44は、後アーム本体44aと後アーム延長部44bとを有している。後アーム本体44aの一端部は後側下軸部441に回動可能に支持され、後アーム本体44aの他端部は後側上軸部442に回動可能に支持されている。後アーム延長部44bは後アーム本体44aの他端部から連続して延長するように延びた部分である。
【0039】
つまり、前アーム43及び後アーム44のそれぞれは、一端部が下棚12の幅方向の端部の近傍において前記幅方向に延びる下軸部(431、441)に回動可能に支持されると共に他端部がスライド機構30の近傍において前記幅方向に延びる上軸部(432、442)に回動可能に支持されるアーム本体(43a、44a)を有している。そして、本実施形態では、前アーム43及び後アーム44の両方がアーム延長部(43b、44b)を有する。なお、本実施形態において、前アーム本体43a、前アーム延長部43b、後アーム本体44a、後アーム延長部44bが、前アーム43についての本発明に係る「アーム本体」、「アーム延長部」、後アーム44についての本発明に係る「アーム本体」、「アーム延長部」、にそれぞれ相当する。
【0040】
そして、起立した前アーム43及び後アーム44によって、上箱体41及び下箱体42が互いに連結された状態において、上箱体41に支持されたスライド機構30(上棚取付板34)は下箱体42に下スライド部50を介して支持された下棚12(下棚取付板54)に対して平行に配置されるようになっている。そして、起立した前アーム43及び後アーム44がそれぞれの一端部側(下箱体42側)の対応する軸部(431、441)を支点として前方に向かって回動すると、上箱体41が軸部(431、441)を支点として下箱体42の上方位置(直上位置)から下箱体42の前方位置に向かって回動するようになっている。この回動の際に、スライド機構30は下棚12に対して平行な姿勢を維持するようになっている。
【0041】
上箱体41(第1外カバー412)の後部における後アーム44の後アーム延長部44bに対応する部分には、ストッパ部41aが設けられ、下箱体42における後アーム44の一端部の後方の部分には、後ストッパプレート45が設けられている。ストッパ部41a及び後ストッパプレート45に、後アーム44の対応する部分が当接することで、後アーム44のそれ以上の後方への回動が阻止される。上箱体41における後アーム延長部44bの前方には、第1前ストッパプレート46aが設けられ、下箱体42における前アーム43の一端部の後方の部分には、第2前ストッパプレート46bが設けられている。第1前ストッパプレート46a及び第2前ストッパプレート46bに、後アーム44の対応する部分が当接することで、後アーム44のそれ以上の前方への回動が阻止される。上箱体41における前アーム延長部43bの前方には、第3前ストッパプレート46cが設けられている。第3前ストッパプレート46cに、前アーム延長部43bが当接することで、前アーム43のそれ以上の前方への回動が阻止される。
【0042】
本実施形態では、後アーム44には、後接続アーム23が接続されている。後接続アーム23は、上棚11の幅方向に延びる接続本体部23aと、接続本体部23aの端部と後アーム44とを接続する左右一対の接続プレート23b、23bとを有する。これにより、左連結ユニット20Lと右連結ユニット20Rは、互いに相対移動することなく、後接続アーム23を介して一体に接続される。
【0043】
図9は、回動機構40を説明するための概念図であり、上棚11がスライド機構30による移動範囲の前端まで引き出された状態を一例に挙げて示されている。
図9では、スライド機構30が下棚12の前方位置に位置したときの状態が実線で示され、スライド機構30が下棚12の上方位置に位置したときの状態が破線で概略的に示されている。
【0044】
ここで、回動機構40のうちのスライド機構30への連結部分の回動軌跡Zは、頂点Ztを有した円弧状の軌跡であると共に、頂点Ztを境に前方円弧範囲Rfと後方円弧範囲Rrとに区分される。回動機構40のうちのスライド機構30への連結部分は、前アーム43や後アーム44であり、この連結部分の回動軌跡Zは、例えば、前側上軸部432の中心や後側上軸部442の中心を辿ることで表される。
図9では、前側上軸部432の中心を辿って得られた回動軌跡Zが示されている。そして、前アーム43及び後アーム44は、回動機構40によるスライド機構30(上棚11)の回動の半径を規定する。具体的には、回動機構40によるスライド機構30の回動の半径は、下軸部(431、441)の中心と上軸部(432、442)の中心との間の距離により定まる。
【0045】
回動軌跡Zの後端Zrと前端Zfとの間に頂点Ztがある。そして、回動軌跡Zの範囲では、スライド機構30(上棚11)は、頂点Ztで最も高い位置に位置し下棚12から上方に最も離れ、前端Zfで最も低く且つ最も前方に位置し、後端Zrで頂点Ztよりも僅かに低く且つ最も後方に位置している。つまり、回動軌跡Zの後端Zrは頂点Ztよりも後方で且つ僅かに下方の点であり、回動軌跡Zの前端Zfは頂点Ztよりも前方で且つ頂点Zt及び後端Zrよりも下方の点である。回動軌跡Zの後端Zrはストッパ部41a及び後ストッパプレート45によって規定され、回動軌跡Zの前端Zfは各前ストッパプレート(46a、46b、46c)によって規定される。
【0046】
上棚11がスライド機構30による移動範囲の後端まで最大に押し戻され且つ回動機構40の前側上軸部432が後端Zrまで移動することで、スライド機構30及び上棚11が下棚12の上方位置(直上位置)に位置するようになっている(
図1の左列、
図6及び後述の
図10に示す状態を参照)。上棚11についての下棚12の上方位置は、回動軌跡Zの半径、後端Zrの角度位置及びスライド機構30の移動範囲の後端によって定まる。
【0047】
上棚11がスライド機構30による移動範囲の前端まで最大に引き出され且つ回動機構40の前側上軸部432が回動軌跡Zの前端Zfまで移動することで、スライド機構30及び上棚11が下棚12の前方位置に位置するようになっている(
図1の右列、及び、
図9の実線で示された状態を参照)。上棚11についての下棚12の前方位置は、回動軌跡Zの半径、前端Zfの角度位置及びスライド機構30の移動範囲の前端によって定まる。
【0048】
本実施形態では、下箱体42には、第1付勢部47及び第2付勢部48が設けられている。第1付勢部47は、前側下軸部431を支点として後方へ回動する方向に前アーム43を付勢する。第2付勢部48は、下降時の衝撃吸収用の一方向性のロータリーダンパーであり、後アーム44が後側下軸部441を支点として後方に回動するときには制動トルクを発生せず、後アーム44が後側下軸部441を支点として前方に回動するとき制動トルクを発生するように構成されている。下棚12の上方位置にある上棚11は、その自重と第1付勢部47の付勢力によって後方への回動方向に付勢されている。したがって、上棚11の自重、第1付勢部47の付勢力及び第2付勢部48の制動力に抗する外力が上棚11に加えられない限り、上棚11は下棚12の上方位置で静止している。各付勢部(47、48)による抗力は、例えば、上棚11が回動軌跡Zの頂点Ztに対応する高さ位置よりも前方に位置しているときに、回動機構40が上棚11の自重及び上棚11に載置される所定量の商品の荷重だけで前方への回動方向に作動しない程度に、設定されている。つまり、所定量の商品を載置した状態の上棚11が回動軌跡Zの頂点Ztに対応する高さ位置よりも前方に位置しているときに、回動機構40は上棚11の自重及び所定量の商品の荷重だけで前方への回動方向に作動しないようになっている。
【0049】
本実施形態では、ショーケース100のスイングユニット80は、スライド機構30に沿う上棚11の移動を阻止するための、前方移動阻止機構60と後方移動阻止機構70とを有している。
【0050】
まず、前方移動阻止機構60について説明する。
図10は前方移動阻止機構60及び後方移動阻止機構70を含む部分斜視図であり、
図11は別の角度から視た前方移動阻止機構60を含む部分斜視図である。
図10及び
図11では、上棚11が下棚12の上方位置に位置している。なお、
図10では、上箱体41及び後接続アーム23が取り外され、第1内カバー411及び後接続アーム23については点線で示されている。
【0051】
前方移動阻止機構60は、スライド機構30による移動範囲の後端まで押し戻された上棚11についてのスライド機構30に沿った前方への移動を阻止可能な機構である。そして、前方移動阻止機構60は、下棚12の上方位置にある上棚11が前方へ移動することを阻止した状態である前方移動阻止状態(
図10、
図11(a)参照)と、この前方移動阻止状態が解除されて前方への移動を許容する状態である前方移動許容状態とに切り替え可能に構成されている。
【0052】
本実施形態では、前方移動阻止機構60は、レバー軸部61と、レバー部62と、係止孔部63とを有している。
【0053】
レバー軸部61は、上棚11の幅方向に延伸しており、上移動レール32に取り付けられた上棚取付板34に固定されている。レバー部62は、レバー軸部61回りに回動可能であり且つスライド機構30の上移動レール32と一体に移動する薄板状の部材である。レバー部62は、上棚取付板34と上箱体41の内側面(第1内カバー411側の側面)との間において、その後部がレバー軸部61に回動可能に支持される。レバー部62は、前方移動阻止用の爪部621と前方移動阻止状態の解除用の操作部622とをレバー軸部61より前側の部分に有する。爪部621は、レバー部62の下縁の前端側の部分に下方に突出するように形成される。操作部622は、レバー部62の前端部をなしており、前方に突出するように形成される。そして、操作部622は、上箱体41の前面よりも前方に位置している。レバー部62には、レバー回動範囲規制用スリット623が開口されており、このレバー回動範囲規制用スリット623に図示省略した規制軸が挿通される。レバー部62は、前記規制軸とレバー回動範囲規制用スリット623との間の隙間の範囲内で回動するようになっている。係止孔部63は、回動機構40の一部に開口され、前方移動阻止状態でレバー部62の爪部621が係止孔部63に係止される。係止孔部63は、回動機構40における上棚11と前後方向に相対移動可能な部分に開口された孔部であり、上レール取付板413の水平片413bにおける前端側の部分に形成されている。
【0054】
レバー軸部61は、レバー部62の重心位置よりも後方に位置している。したがって、操作部622が操作されて上方に引き上げられない限り、レバー部62の爪部621は係止孔部63に引っ掛かって係止されており、この状態(つまり、前方移動阻止状態)がレバー部62の自重により保持されている。
【0055】
前方移動阻止機構60の操作部622が利用者などによって操作され上方に引き上げられると、爪部621が上方に移動して係止孔部63から開放される。その結果、前方移動阻止機構60は前方移動阻止状態(
図10及び
図11(a)参照)から前方移動許容状態に切り替わり、上方位置にある上棚11の前方への移動が許容される。そして、操作部622が上方に引き上げられた状態で、上棚11は利用者などよってスライド機構30による移動範囲の前端まで最大に引き出される(
図11(b)参照)。
【0056】
次に、
図7、
図9、
図10及び
図12等を参照して後方移動阻止機構70について説明する。
図12は後方移動阻止機構70を含む部分側面図である。
図12(a)では、前方移動阻止機構60が前方移動阻止状態にあると共に上棚11は下棚12の上方位置にあり、
図12(b)では、前方移動阻止状態が解除されて上棚11が最大に引き出されている。なお、
図12では、上箱体41及び後接続アーム23については点線で示されている。
【0057】
後方移動阻止機構70は、スライド機構30による移動範囲の前端まで引き出された上棚11についてのスライド機構30に沿った後方への移動を阻止可能な機構である。そして、後方移動阻止機構70は、スライド機構30による移動範囲の前端まで引き出された上棚11についてのスライド機構30に沿った後方への移動を阻止した状態である後方移動阻止状態と、この後方移動阻止状態を解除した状態である後方移動許容状態とに、回動機構40における回動運動に連動して切り替わるように構成されている。
【0058】
本実施形態では、後方移動阻止機構70は、回動機構40のうちのスライド機構30への連結部分の回動軌跡Zのうちの少なくとも前方円弧範囲Rfで後方移動阻止状態を保持するように構成されている。特に限定されるものではないが、本実施形態では、後方移動阻止機構70は、前方円弧範囲Rfだけでなく、頂点Ztよりも後方で且つ後端Zrよりも前方の所定の範囲においても後方移動阻止状態を保持するように構成されている。つまり、後方移動阻止機構70は、回動軌跡Zのうちの後端Zrと頂点Ztとの間において頂点Ztの近傍に設定される所定の第1頂点近傍点Z1(
図9参照)から、回動軌跡Zの前端Zfまでの間において、後方移動阻止状態を保持するように構成されている。
【0059】
本実施形態では、後方移動阻止機構70は、前アーム43及び後アーム44のうちの一方におけるスライド機構側部分の回動変位を用いて、後方移動阻止状態と後方移動許容状態とに切り替わる。本実施形態では、前アーム43及び後アーム44のうちの一方は、前アーム43である。つまり、後方移動阻止機構70は、前アーム43の回動変位を用いて、後方移動阻止状態と後方移動許容状態とに自律的に切り替わるようになっている。具体的には、切り替えに用いる前記スライド機構側部分は、前アーム43の前アーム延長部43bである。また、本実施形態では、第1頂点近傍点Z1が後方移動阻止状態と後方移動許容状態との切り替えの境界点(目標点)として設定されている。
【0060】
本実施形態では、後方移動阻止機構70は、ロック板71と、スイングプレート72と、ロックピン73と、を有する。
【0061】
ロック板71は、上棚11と一緒に前後方向に移動可能にスライド機構30に固定される。ロック板71は、例えば、スライド機構30の上移動レール32に取り付けられた上棚取付板34の垂直片341に取り付けられている。具体的には、ロック板71は、垂直片341の上箱体41側の側面における後端側の部分に取り付けられている。上棚11がスライド機構30による移動範囲の後端まで最大に押し戻された状態で、ロック板71は上箱体41の後面よりも後方に位置し(
図12(a)参照)、上棚11がスライド機構30の移動範囲の前端まで最大に引き出された状態で、ロック板71は前アーム43の前側上軸部432よりも前方で且つ上方に位置している(
図12(b)参照)。
【0062】
そして、ロック板71には、上方に開放したスリット71aが形成されている。ロック板71は、薄板状の部材からなり、例えば、上箱体41側に突出したハット状断面を有しており、スリット71aはロック板71における上箱体41側に突出した部分に形成されている。また、本実施形態では、ロック板71におけるスリット71aの開放端の角部は、斜めに面取りされている。本実施形態では、具体的には、ロック板71におけるスリット71aは、所定幅を有して上下方向に直線的に延びる直線部71a1と、スリット71aの開放端と直線部71a1との間の部分である逃げ部71a2とからなる。直線部71a1の下端はスリット溝の溝底をなし、例えば、円弧状に形成されている。逃げ部71a2は、ロック板71におけるスリット71aの開放端の角部が斜めに面取りされることで形成され、逃げ部71a2におけるスリット幅は直線部71a1側から開放端に向かうほど広がるようになっている。
【0063】
スイングプレート72は、前側上軸部432よりも後方において上棚11の幅方向に延びるスイング軸部72aを支点として揺動可能に支持される部材である。スイングプレート72は、スイングプレート72の本体であるプレート本体72bと、前アーム43の前アーム延長部43bが接離する接触片部72cとを有し、薄板材からなる。スイングプレート72は、回動機構40におけるスライド機構30を支持する固定側の部分、例えば、上箱体41に支持されている。
【0064】
スイング軸部72aは、上箱体41の第1内カバー411に固定されており、スイングプレート72はスイング軸部72aを支点として上箱体41内で上下方向に揺動可能に上箱体41に支持されている。したがって、上棚11がスライド機構30に沿って前後方向に移動しても、スイングプレート72は前後方向については移動せず、ロック板71がスイングプレート72の後方位置から前方位置に到達するようになっている。ロック板71は、換言すると、回動機構40におけるスイングプレート72に対して前後方向に相対移動可能な部分に取り付けられている。
【0065】
プレート本体72bは、第1内カバー411と相対するように配置され、プレート本体72bは、特に限定されるものではないが、ここでは、概ねL字状に形成されている。前アーム43が起立している状態において、プレート本体72bは前アーム43の前アーム延長部43bと第1内カバー411との間に位置している。スイング軸部72aはプレート本体72bの一端部を支持し、プレート本体72bの他端部が前アーム43の前側上軸部432よりも前方に位置する姿勢をとるようになっている。プレート本体72bの他端部には、スイング範囲規制孔72dが開口されており、このスイング範囲規制孔72dに規制軸72eが挿通されている。スイングプレート72は、規制軸72eとスイング範囲規制孔72dとの間の隙間の範囲内でスイング軸部72aを支点として揺動するようになっている。
【0066】
接触片部72cは、起立した状態の前アーム43の前アーム延長部43bの先端部を、上方から覆うように配置されており、プレート本体72bと一体に設けられている。接触片部72cは、例えば、プレート本体72bにおける直線的に延びる後縁全体に亘って延在し且つ上箱体41側に突出している。前アーム43の前アーム延長部43bの先端部の端面は丸められており、前アーム延長部43bの先端部の端面の後側の部分が接触片部72cの下面に対して接離するように、スイングプレート72及び前アーム43が配置されている。
【0067】
スイングプレート72は、上箱体41内に配置されており、上箱体41によって覆われている。また、前アーム延長部43bも上箱体41内に配置されている。つまり、上箱体41は、少なくともスイングプレート72及び前アーム延長部43bを覆う部材でもある。
【0068】
ロックピン73は、スイングプレート72に固定されるピンであり、例えば、円柱状に形成されている。ロックピン73は、スイングプレート72の他端部(つまり、スイングプレート72におけるスイング軸部72aと反対側の部分)に固定されている。ロックピン73は、上棚11の幅方向に延びており、上箱体41の第1内カバー411に開口された孔を通じて第1内カバー411を貫通するように配置されている。ロックピン73の一端はスイングプレート72に接合され、ロックピン73の他端は第1内カバー411と上棚取付板34の垂直片341との間に位置している(
図7参照)。ロックピン73の外径は、ロック板71のスリット71aにおける直線部71a1の前記所定幅よりも僅かに大きな寸法に設定されている。
【0069】
ここで、前アーム43の前アーム延長部43bの先端部がスイングプレート72の接触片部72cに接触した状態で、前アーム43が後方に回動すると、スイングプレート72はロックピン73と一緒にスイング軸部72aを支点として上方に揺動し、前アーム43が前方に回動すると、スイングプレート72はロックピン73と一緒にスイング軸部72aを支点として下方に揺動する。そして、上棚11がスライド機構30による移動範囲の前端まで引き出された状態において、ロック板71のスリット71aの溝幅中心を通る中心線が例えばロックピン73の揺動の円弧軌跡に概ね接するようになっている。
【0070】
前アーム43が回動軌跡Zの後端Zrまで回動してそれ以上の後方への回動が阻止されることで、ロックピン73の上方へのそれ以上の移動も阻止される。この状態で、ロックピン73の下端はロック板71のスリット71aの開放端よりも上方に位置しており、上棚11のスライド機構30に沿った後方への移動は許容されており、後方移動阻止機構70は後方移動許容状態になっている。そして、前アーム43が前方に回動し始めると、ロックピン73が下方に移動し、ロックピン73の一部がスリット71aの溝内に位置し、上棚11のスライド機構30に沿った後方への移動が阻止される。このとき、後方移動阻止機構70は後方移動許容状態から後方移動阻止状態に切り替わる。この後方移動阻止状態は、ロックピン73がスリット71aの溝の外に移動するまで保持される。そして、後方移動阻止状態において、前アーム43が後方に回動し始め、前アーム延長部43bの先端部が上方に移動して接触片部72c(スイングプレート72)を押し上げると、ロックピン73はスリット71aの溝の開放端に向かって移動する。そして、ロックピン73がスリット71aの溝の外に移動すると、後方移動阻止状態が解除される。このように、ロックピン73は、その少なくとも一部がスリット71aの溝内に位置することによって後方移動阻止状態を保持し、後方移動阻止状態にあるときに、前アーム延長部43bの先端部が後方に変位して接触片部72cを押し上げると、スリット71aの開放端に向かって移動するように構成されている。
【0071】
なお、本実施形態では、スリット71aの開放端には、逃げ部71a2が設けられている。この逃げ部71a2により、円弧軌跡に沿って移動するロックピン73が上下方向に延びるスリット71aに対してスムーズに侵入又は退出し得るようになっている。さらに、この逃げ部71a2によって、装置における加工公差や組立時の位置決め誤差があったとしても、その公差及び誤差の範囲内で、ロックピン73のスリット71aに対する侵入及び退出がスムーズになされるようになっている。また、ロックピン73の中心がスリット71aにおける直線部71a1の領域に位置している状態では、ロックピン73の外面とスリット71a1(直線部71a1)の溝壁との間に僅かな隙間が空いている。この状態において、厳密には、上棚11は前記僅かな隙間分だけ後方に僅かに移動し得るが、本明細書では、この状態を後方移動阻止状態と呼ぶ。また、ロックピン73の下端がスリット71aの開放端を超えて逃げ部71a2の領域に侵入している状態では、ロックピン73の外面とスリット71a(逃げ部71a2)の溝壁との間には、ロックピン73の外面と直線部71a1の溝壁との間の隙間よりも大きな隙間が空いている。この状態においても、厳密には、上棚11は前記隙間分だけ後方に移動し得るが、本明細書では、この状態も後方移動阻止状態に含める。
【0072】
そして、ロック板71やスイングプレート72は薄板材からなるものであるため、ロックピン73の下端がスリット71aの逃げ部71a2に侵入している状態において、上棚11に後方への必要以上の外力が加えられることによって、スイングプレート72やロック板71などのロックピン周辺要素が僅かに弾性変形し、その結果、後方移動阻止状態が弾性変形により解除されてしまうおそれがある。つまり、意図した正確な位置(ここでは第1頂点近傍点Z1)において、後方移動阻止状態から後方移動許容状態に切り替わらず、第1頂点近傍点Z1よりも前方の位置で、後方移動許容状態に切り替わってしまうおそれがある。このような可能性があったとしても、本実施形態では、回動軌跡Zの前方円弧範囲Rfでは、ロックピン73の中心はスリット71aの直線部71a1よりも下方に位置しており、後方移動阻止状態が前記弾性変形により解除されてしまうことが確実に防止されている。その結果、前方円弧範囲Rfでは、後方移動阻止状態が確実に保持されるようになっている。
【0073】
次に、ショーケース100の動作及び利用者の操作の一例について説明する。
図13はショーケース100の動作及び利用者の操作を説明するための概念図であり、
図14は後方移動阻止機構70の動作を説明するための概念図である。
図13では、上箱体41が取り外されている。なお、以下の動作説明では、上述のスイングプレート72やロック板71などのロックピン周辺要素の弾性変形はないものとする。
【0074】
図13(a)では、上棚11は下棚12の上方位置にあり、前方移動阻止機構60は前方移動阻止状態になっている。上棚11が下棚12の上方位置にあるとき、前アーム43の前側上軸部432は回動軌跡Zの後端Zrに位置し、後方移動阻止機構70のスイングプレート72は前アーム43の前アーム延長部43bによって最大に後方に揺動され、その結果、ロックピン73がロック板71のスリット71aの溝の開放端よりも上方に位置している(
図13(a)及び
図14のZr位置参照)。したがって、後方移動阻止機構70は後方移動許容状態になっている。
【0075】
利用者が上棚11にアクセスしたい場合には、まず、利用者は前方移動阻止機構60の操作部622を上方に引き上げる。利用者が操作部622を上方に引き上げつつ上棚11を前方に引き出すと、第1付勢部47及び第2付勢部48からの抗力が上棚11に作用し、上棚11は、例えば、
図13(b)に示すように、前方に回動することなく、下棚12からの高さを維持した状態で、そのまま前方にスライド移動して、前方に最大に引き出される。このとき、ロックピン73はそのままロック板71のスリット71aの溝の開放端よりも上方で停止している。したがって、後方移動阻止機構70は後方移動許容状態を維持している。
【0076】
図13(b)の状態(上棚11がスライド機構30における移動範囲の前端まで引き出された状態)で、利用者が上棚11をさらに前方に引き出すと、前アーム43は、回動軌跡Zの後端Zrから頂点Ztに向かって回動し始める。このとき、この回動に連動して、ロックピン73が下方に移動し始める。前アーム43の前側上軸部432が頂点Ztの手前の第1頂点近傍点Z1に到達すると、ロックピン73の下端がロック板71のスリット71a(逃げ部71a2)の溝内に侵入し始める(
図14のZ1位置参照)。このとき、後方移動阻止機構70は、後方移動許容状態から後方移動阻止状態に切り替わる。その後、前アーム43が第1頂点近傍点Z1から頂点Ztに向かってさらに回動すると、ロックピン73はさらに下方に移動する。そして、前側上軸部432が頂点Ztに到達すると、ロックピン73の中心は、スリット71aの直線部71a1の上端に対応する位置に位置する(
図14のZt位置参照)。
【0077】
さらに、前アーム43が頂点Ztから前端Zfに向かって回動すると、ロックピン73はさらに下方に移動する。そして、前側上軸部432が回動軌跡Zのうちの頂点Ztと前端Zfとの間において頂点Ztの近傍に設定される第2頂点近傍点Z2(
図9及び
図14参照)に到達すると、ロックピン73の下端は、スリット71a(直線部71a1)の溝底に当接し(
図14のZ2位置参照)、ロックピン73のそれ以上の下方への移動が阻止される。このとき、
図13(c)に示されるように、上棚11が下棚12の上方位置のとき(
図13(a))と同程度の高さ位置に位置している。
【0078】
その後、前アーム43が第2頂点近傍点Z2から前端Zfに向かってさらに回動すると、前アーム43の前アーム延長部43bの先端部はスイングプレート72の接触片部72cから離れ、ロックピン73はそのままスリット71a(直線部71a1)の溝内に位置し、その結果、スイングプレート72は揺動することなくそのまま停止する。前側上軸部432が前端Zfに到達すると、回動機構40によるスライド機構30及び上棚11のそれ以上の回動は阻止される。この状態で、上棚11は下棚12の前方位置に位置し、ロックピン73はそのままスリット71a(直線部71a1)の溝内に位置している(
図13(d)及び
図14のZf位置参照)。このように、後方移動阻止機構70は、少なくとも回動軌跡Zの頂点Ztよりも前方の前方円弧範囲Rfを含む、第1頂点近傍点Z1と前端Zfとの間において、後方移動阻止状態を保持し、第1頂点近傍点Z1を境に後方移動許容状態と後方移動阻止状態とに切り替わっている。
【0079】
そして、上棚11が下棚12の前方位置に位置した状態で、利用者は、例えば、上棚11を下方に押さえつけながら上棚11に商品Pを陳列する。ここで、例えば、上棚11に商品Pを陳列すると、この状態で、上棚11及び陳列された商品の重さによる力が第1付勢部47の付勢力と概ねバランスし、下棚12の前方位置に位置した状態が維持される。
【0080】
上棚11が利用者によって押し下げられている(スイングダウンしている)ときや、上棚11が下棚12の前方位置に位置した状態においても、後方移動阻止機構70は後方移動阻止状態を維持している。そのため、利用者が意図せず、スイングダウン中に上棚11を後方に押してしまったり、下棚12の前方位置にある上棚11を後方に押してしまったりしたとしても、上棚11の後方への移動は阻止されている。その結果、上棚11がスイングダウンしたり下棚12の前方位置に位置したりしているときに、上棚11の後端部が下棚12の商品Pに衝突することが確実に防止されている。
【0081】
そして、この上棚11を下棚12の上方位置に戻す場合には、利用者は上棚11を押し上げ(持ち上げ)、回動機構40を介して上棚11をスイングアップさせる。このスイングアップの際においても、後方移動阻止機構70は後方移動阻止状態を保持しており、上棚11の後方への移動は阻止されている。そして、上棚11がスイングアップした後、後方に僅かにスイングダウンし、前アーム43が回動軌跡Zの頂点Ztの後方の第1頂点近傍点Z1を超えた位置まで回動したところ(
図14のZ1位置参照)で、後方移動阻止機構70は後方移動許容状態に自律的に切り替わる。そして、利用者はそのまま上棚11を後方に押し戻す。これにより、上棚11は下棚12の上方位置に戻り(
図13(a)及び
図14のZr位置参照)、この位置では、前方移動阻止機構60の爪部621が係止孔部63に再び係止され、上棚11の前方への移動が前方移動阻止機構60により阻止される。このように、後方移動阻止状態は、回動軌跡Zの前端Zfから第1頂点近傍点Z1までの範囲で保持されており、上棚11が前方位置からスイングアップしている最中においても、上棚11の後端部が下棚12の商品Pに衝突することがより確実に防止されている。
【0082】
本実施形態によるショーケース100において、(1)上棚11の幅方向の端部と下棚12の幅方向の端部との間を連結する連結ユニット20によって、下棚12の上方位置と下棚12の前方位置との間で移動可能に連結されている。このため、例えば、通常時には、上棚11を下棚12の上方位置に配置させ、利用者が上棚11にアクセスしたい場合などには、利用者は連結ユニット20によって下棚12に連結された上棚11を引き出だしてスライド機構30に沿って移動させると共に回動機構40を介して回動させることで、上棚11を下棚12の上方位置から下棚12の前方位置まで移動させることができる。つまり、利用者が上棚11にアクセスしたい場合などに、上棚11を下棚12の上方位置から一段分下方で且つ下棚12の前方位置に移動させることができるため、この位置で、利用者は上棚11へ商品を容易に載置(陳列)できるとともに上棚11に載置してある商品を容易に取り出すこともできる。(2)そして、スライド機構30による移動範囲の前端まで引き出された上棚11についてのスライド機構30に沿った後方への移動は後方移動阻止機構70によって阻止可能であり、この後方移動阻止機構70はスライド機構30による移動範囲の前端まで引き出された上棚11についての後方移動阻止状態と、当該後方移動阻止状態を解除した状態である後方移動許容状態とに、回動機構40における回動運動に連動して切り替わるようになっている。つまり、後方移動阻止機構70は、回動機構40における回動運動に連動して自動的(自律的)に後方移動阻止状態と後方移動許容状態とに切り替わっている。このため、利用者は上棚11を昇降させる際に上棚11の後方移動のロック・アンロックのための特別な操作を行う必要はなく、利用者の操作性は良好に保たれる。
【0083】
本実施形態では、後方移動阻止機構70は、回動軌跡Zのうちの少なくとも前方円弧範囲Rfで後方移動阻止状態を保持するように構成されている。これにより、例えば、利用者が回動軌跡Zの前方円弧範囲Rfの範囲において上棚11を持ち上げたり押し下げたりしている(スイングアップ・スイングダウンさせている)最中に、上棚11が下棚12の商品Pに干渉(衝突)してしまうことが防止される。その結果、利用者は、下棚12の商品と上棚11との干渉を気にすることなく、上棚11を容易に昇降させることができる。詳しくは、本実施形態では、後方移動阻止機構70は、前方円弧範囲Rfだけでなく、頂点Ztと第1頂点近傍点Z1との間の範囲でも後方移動阻止状態を保持しているため、利用者の操作性がより向上すると共に、商品Pの干渉がより確実に防止される。
【0084】
本実施形態では、後方移動阻止機構70は前アーム43におけるスライド機構側部分の回動変位を用いて、後方移動阻止状態と後方移動許容状態とに切り替わるように構成されている。これにより、簡素な構造で、自律的に切り替わる後方移動阻止機構70が構築され得る。また、前アーム43の前アーム延長部43bの回動変位が切り替えに用いられている。これにより、コンパクトな構造で且つ比較的に大きな回動変位を用いて、後方移動阻止状態と後方移動許容状態との間の切り替えが、確実且つスムーズになされる。なお、切り替えに用いる回動変位は、前アーム43に限らず、後アーム44におけるスライド機構側部分(例えば、後アーム延長部44b)の回動変位でもよい。
【0085】
本実施形態では、少なくとも前アーム延長部43b及びスイングプレート72は、上箱体41によって覆われており、外部から視認されないようになっている。これにより、後方移動阻止機構70が利用者によって誤って操作されることや、後方移動阻止機構70が異物などによって誤動作することが、効果的に防止される。
【0086】
なお、本実施形態では、連結ユニット20は、最上段の棚11と二段目の棚12とを連結しているが、これに限らず、複数の二段目の棚10のうちの二段目の棚12と三段目の棚13や、三段目の棚13と四段目の棚14などの、上下に隣り合う棚であれば、いずれの棚10に対しても適用され得る。
【0087】
また、下スライド部50は有さなくてもよい。そして、スイングユニット80は、左右に一対の連結ユニット20、20を有するものとしたが、例えば、棚10の幅が比較的に狭く、片持ちでも十分に棚10(上棚11)を支持することができる場合などには、スイングユニット80は、左右方向(幅方向)の一方にのみ連結ユニット20を有していればよい。
【0088】
上述の説明では、スライド機構30は連結ユニット20に含まれ、連結ユニット20の一要素であるものとしたが、これに限らず、連結ユニット20の要素でなくてもよい。スライド機構30は上棚11に取り付けられ、上棚11とスライド機構30とがユニット化されたものが、連結ユニット20に取り付けられてもよい。下スライド部50についても同様であり、下棚12と下スライド部50とがユニット化されたものが、連結ユニット20に取り付けられてもよい。つまり、連結ユニット20は、上棚11及びスライド機構30のユニット品と下棚12及び下スライド部50のユニット品との間を連結してもよい。
【0089】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて更なる変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0090】
10…棚(商品陳列棚)、
11…最上段用の棚(上棚)、
12…二段目の棚(下棚)、
20…連結ユニット、
30…スライド機構、
40…回動機構、
41…上箱体、
43…前アーム、
43a…前アーム本体(アーム本体)、
43b…前アーム延長部(アーム延長部、スライド機構側部分)、
431…前側下軸部(下軸部)、
432…前側上軸部(上軸部)、
44…後アーム、
44a…後アーム本体(アーム本体)、
44b…後アーム延長部(アーム延長部)、
441…後側下軸部(下軸部)、
442…後側上軸部(上軸部)、
70…後方移動阻止機構、
71…ロック板、
71a…スリット、
72…スイングプレート、
72a…スイング軸部、
72c…接触片部、
73…ロックピン、
100…ショーケース、
Z…回動軌跡、
Zt…頂点、
Rf…前方円弧範囲、
Rr…後方円弧範囲