(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117948
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】生産管理装置、生産管理システムおよび生産管理方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20230817BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20230817BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020784
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】梶田 大毅
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA07
3C100AA16
3C100AA18
3C100AA52
3C100AA63
3C100BB13
3C100BB17
5L049CC04
(57)【要約】
【課題】複数の評価指標に応じた観点から定量的な評価が可能な複数の対策を立案することができる。
【解決手段】 異常が検知された工場設備の生産リソースに対する対策案を立案する対策立案部と、前記対策案および前記生産リソースに対応付けられ、対策の前後にわたる生産ラインの生産能力を示すパラメータを登録したライン能力情報と、正常時の前記生産リソースが組み込まれている生産ラインの生産能力を示す計画情報と、を記憶した記憶部と、立案された前記対策案と、前記ライン能力情報と、前記計画情報と、用いて、前記対策案に基づく対策の前後にわたる前記生産ラインの生産能力を予測した能力モデルを作成する能力モデル作成部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異常が検知された工場設備の生産リソースに対する対策案を立案する対策立案部と、
前記対策案および前記生産リソースに対応付けられ、対策の前後にわたる生産ラインの生産能力を示すパラメータを登録したライン能力情報と、正常時の前記生産リソースが組み込まれている生産ラインの生産能力を示す計画情報と、を記憶した記憶部と、
立案された前記対策案と、前記ライン能力情報と、前記計画情報と、用いて、前記対策案に基づく対策の前後にわたる前記生産ラインの生産能力を予測した能力モデルを作成する能力モデル作成部と、を備える
ことを特徴とする生産管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の生産管理装置であって、
前記能力モデル作成部は、
前記対策案に基づく対策の対策前、対策中および対策後における前記生産ラインの生産能力を時系列で予測した能力モデルを作成する
ことを特徴とする生産管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の生産管理装置であって、
前記対策案に対応するメンテナンス作業の内容、作業者の必要人数、作業時間およびコストを含むメンテナンス構成情報を生成する連携計画部をさらに備える
ことを特徴とする生産管理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の生産管理装置であって、
前記連携計画部は、
前記能力モデルと、前記メンテナンス構成情報と、を用いて、
前記メンテナンス作業を行うメンテナンス時期と、当該メンテナンス作業により変更される製品の生産計画の変更案と、の組み合わせに応じて所定の生産KPI(Key Performance Indicator)が最大化されるように、前記メンテナンス構成情報に前記メンテナンス時期を加えたメンテナンス計画と、前記生産計画の変更案と、を立案する
ことを特徴とする生産管理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の生産管理装置であって、
前記生産KPIには、前記対策案に対応する前記メンテナンス計画を実施した場合の製品の歩留まり率、前記生産ラインの平均稼働率、生産スループットおよび対策コストのうち、少なくとも1つが含まれる
ことを特徴とする生産管理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の生産管理装置であって、
各々の前記対策案に対応する前記生産KPIを評価し、所定の生産KPIが最大化されている前記対策案を特定する対策評価部をさらに備える
ことを特徴とする生産管理装置。
【請求項7】
請求項5に記載の生産管理装置であって、
前記生産KPIを含み、当該生産KPIに対応する前記対策案の内容を表示する表示部をさらに備える
ことを特徴とする生産管理装置。
【請求項8】
請求項6に記載の生産管理装置であって、
前記対策立案部は、前記生産リソースに対する複数の対策案を立案し、
前記対策評価部は、前記生産KPIを評価して、前記対策コストが最大化されている前記対策案を特定する
ことを特徴とする生産管理装置。
【請求項9】
請求項4に記載の生産管理装置であって、
前記生産計画の変更案に基づき、前記生産ラインが有する工場設備の各装置を制御する制御プログラムを生成する制御プログラム生成部をさらに備える
ことを特徴とする生産管理装置。
【請求項10】
製品の生産を管理する生産管理装置と、生産ラインの生産リソースを制御する制御システムと、を有する生産管理システムであって、
異常が検知された工場設備の生産リソースに対する対策案を立案する対策立案部と、
前記対策案および前記生産リソースに対応付けられ、対策の前後にわたる生産ラインの生産能力を示すパラメータを登録したライン能力情報と、正常時の前記生産リソースが組み込まれている生産ラインの生産能力を示す計画情報と、を記憶した記憶部と、
立案された前記対策案と、前記ライン能力情報と、前記計画情報と、用いて、前記対策案に基づく対策の前後にわたる前記生産ラインの生産能力を予測した能力モデルを作成する能力モデル作成部と、
前記対策案に対応するメンテナンス作業の内容、作業者の必要人数、作業時間およびコストを含むメンテナンス構成情報を生成し、前記能力モデルと、前記メンテナンス構成情報と、を用いて、前記メンテナンス作業を行うメンテナンス時期と、当該メンテナンス作業により変更される製品の生産計画の変更案と、の組み合わせに応じて所定の生産KPI(Key Performance Indicator)が最大化されるように、前記メンテナンス構成情報に前記メンテナンス時期を加えたメンテナンス計画と、前記生産計画の変更案と、を連携して立案する連携計画部と、
前記生産計画の変更案に基づき、前記生産ラインが有する工場設備の各装置を制御する制御プログラムを生成し、前記制御システムに送信する制御プログラム生成部と、を備える
ことを特徴とする生産管理システム。
【請求項11】
生産管理装置が行う生産管理方法であって、
前記生産管理装置は、
異常が検知された工場設備の生産リソースに対する対策案を立案する対策立案ステップと、
前記対策案および前記生産リソースに対応付けられ、対策の前後にわたる生産ラインの生産能力を示すパラメータを登録したライン能力情報と、正常時の前記生産リソースが組み込まれている生産ラインの生産能力を示す計画情報と、を記憶する記憶ステップと、
立案された前記対策案と、前記ライン能力情報と、前記計画情報と、用いて、前記対策案に基づく対策の前後にわたる前記生産ラインの生産能力を予測した能力モデルを作成する能力モデル作成ステップと、を行う
ことを特徴とする生産管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産管理装置、生産管理システムおよび生産管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、産業機器監視装置に関し、「監視装置は、センサデータに基づいて空気圧縮機の保守不良事象を検知する保守不良診断部と、保守不良事象を放置した場合に経時的に発生する故障モードを推定する故障リスク推定部と、正常復帰させるために掛かる復旧時間および復旧コストを推定・表示させるとともに、保守不良事象に対して保守対策を実施した場合と実施しない場合での故障モードの故障発生確率を計算・表示させる保守効果見積部と、を備えている。これにより、産業機器の保守不良を検知し、ユーザに保守実施を促す通知を行うとともに保守実施による保守コスト低減などのユーザメリットを合わせて通知することが可能となる。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、工場設備に故障などの不調(設備不良)が生じた場合、工場の生産技術者が生産ラインにおける各種設備の稼働状況を分析し、対策の立案を実施する。しかしながら、どのような対策を実施するのかは、生産技術者の経験や勘に頼っているのが現状であるため、対策の立案工数がかかり、対策の立案までに時間を要するという問題がある。また、立案される対策は、複数の評価指標に応じた観点から定量的な評価が可能であることが望まれる。
【0005】
なお、特許文献1には、保守実施を促す通知や保守不良事象を放置した場合のリクス推定および復旧時間や復旧コストなどを通知する技術が開示されている。しかしながら、同文献の技術では、複数の評価指標に応じた観点から定量的な評価が可能な複数の対策を立案することは考慮されていない。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、複数の評価指標に応じた観点から定量的な評価が可能な複数の対策を立案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下のとおりである。上記の課題を解決する本発明の一態様に係る生産管理装置は、異常が検知された工場設備の生産リソースに対する対策案を立案する対策立案部と、前記対策案および前記生産リソースに対応付けられ、対策の前後にわたる生産ラインの生産能力を示すパラメータを登録したライン能力情報と、正常時の前記生産リソースが組み込まれている生産ラインの生産能力を示す計画情報と、を記憶した記憶部と、立案された前記対策案と、前記ライン能力情報と、前記計画情報と、用いて、前記対策案に基づく対策の前後にわたる前記生産ラインの生産能力を予測した能力モデルを作成する能力モデル作成部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の評価指標に応じた観点から定量的な評価が可能な複数の対策を立案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】生産管理システムの概略構成の一例を示した図である。
【
図5】生産管理処理の一例を示したフロー図である。
【
図6】連携立案処理の一例を示したフロー図である。
【
図7】生産ライン能力モデルの一例を示した図である。
【
図10】生産管理装置のハードウェア構成の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る生産管理システム1000の概略構成の一例を示した図である。図示するように、生産管理システム1000は、生産管理装置100と、制御システム200と、生産ライン300と、を有している。また、生産管理装置100と、制御システム200とは、例えばインターネット等の公衆網やLAN(Local Area Network)あるいはWAN(Wide Area Network)などのネットワークNを介して相互通信可能に接続されている。また、制御システム200と、生産ライン300とは、例えば工場内ネットワーク(例えば、LAN)を介して相互通信可能に接続されている。
【0012】
生産管理装置100は、製品の生産管理に関する様々な処理を行う装置である。例えば、生産管理装置100は、製品の製造に用いられる各種の計画(例えば、生産計画、工程計画、作業計画および定期メンテナンス計画など)を立案し、それらを記憶する。
【0013】
また、生産管理装置100は、生産計画などの各種計画に基づく指示を、工場設備(例えば、組み立てロボットやコンベアなど。以下、生産リソースという場合がある)の監視や制御を行う制御システム200に出力(送信)する。また、生産管理装置100は、制御システム200を介して生産リソースから出力された計測情報を取得し、計測情報が示す内容に応じて、生産計画の変更案や定期外メンテナンス計画を立案する。
【0014】
このような生産管理装置100は、図示するように、処理部110と、記憶部120と、入力部140と、表示部150と、通信部160と、を有している。
【0015】
処理部110は、生産管理装置100で実行される様々な処理を行う機能部である。具体的には、処理部110は、異常検知部111と、対策立案部112と、能力モデル作成部113と、連携計画部114と、対策評価部115と、制御プログラム生成部116と、を有している。
【0016】
異常検知部111は、生産リソースの異常を検知する機能部である。具体的には、異常検知部111は、制御システム200を介して取得された計測情報を用いて生産リソースの異常を検知する。より具体的には、異常検知部111は、計測情報に異常値が含まれている場合、異常値の出力元である生産リソースの異常を検知する。
【0017】
対策立案部112は、生産リソースの異常に対応するための対策を立案する機能部である。具体的には、対策立案部112は、異常検知部111により検知された異常値と、異常値を出力した生産リソースと、が対応付けられている対策案を対策案情報130から引き当てることで、対策を立案する。
【0018】
能力モデル作成部113は、生産ライン300の生産能力を示すモデル情報(以下、生産ライン能力モデルという場合がある)を作成する機能部である。具体的には、能力モデル作成部113は、異常が検知された生産リソースが組み込まれている生産ライン300について、対策案に対応する定期外メンテナンスの対策前、対策中および対策後の各フェーズにおける生産能力を予測した生産ライン能力モデルを作成する。なお、生産ライン能力モデルを作成する処理の詳細については後述する。
【0019】
連携計画部114は、定期外メンテナンス計画と、生産計画の変更案と、を連携して立案する機能部である。なお、かかる計画および変更案の連携立案処理の詳細は後述する。
【0020】
対策評価部115は、検知された異常に対する対策の定量評価に用いる所定の生産KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を含む情報を生成する機能部である。具体的には、対策評価部115は、表示部150を介して、生産KPIを含む対策の定量評価を行うための画面情報を生成し、ディスプレイなどの表示装置に出力する。
【0021】
制御プログラム生成部116は、生産ライン300の生産リソースを制御する制御プログラムを生成する機能部である。具体的には、制御プログラム生成部116は、例えば生産計画情報あるいは生産計画情報の変更案に基づいて、生産リソースの動作を制御するロボットプログラムや装置間の動作を同期させるためのラダープログラムを生成する。また、制御プログラム生成部116は、通信部160を介して、生成した制御プログラムを制御システム200に送信する。
【0022】
次に、生産管理装置100の記憶部120について説明する。記憶部120は、処理部110により実行される様々な処理に用いられる各種の情報を記憶する機能部である。具体的には、記憶部120は、計測情報121と、ライン構成情報122と、工程計画情報123と、作業計画情報124と、生産計画情報125と、投入計画情報126と、メンテナンス計画情報127と、ロボットプログラム128と、ラダープログラム129と、対策案情報130と、ライン能力情報131と、コスト情報132と、を記憶している。なお、記憶部120は、処理部110が実行した処理によって生成された情報(例えば、後述の立案された対策案、定期外メンテナンス計画、生産計画の変更案および生産KPIなど)についても記憶する。
【0023】
計測情報121は、生産リソースから定期的(例えば、毎秒あるいは毎分)に出力される稼働状態を示すログ情報である。具体的には、計測情報121は、制御システム200を経由して通信部160により取得された後、記憶部120に格納される。また、計測情報121には、生産リソースに異常が生じていない場合に出力される正常値、または、故障などの不具合が生じた際に出力される異常値と、各出力値に対応する生産リソースの識別情報(例えば、生産リソースIDなど)と、が含まれている。
【0024】
ライン構成情報122は、生産ライン300の構成を示す情報である。具体的には、ライン構成情報122には、生産ライン300を構成する生産リソースの識別情報や、各生産ライン300を識別する情報(例えば、生産ラインIDなど)などが含まれている。
【0025】
図2は、工程計画情報123の一例を示した図である。工程計画情報123には、製品の製造工程に関する情報が登録されている。具体的には、工程計画の製品ID12aは、製造対象の製品を識別するための情報である。工程ID123bは、各工程を識別するための情報である。生産リソースID123cは、各工程で使用される生産リソースを識別するための情報である。
【0026】
図3は、作業計画情報124の一例を示した図である。作業計画情報124には、製造の各工程で実施される作業内容を示す情報が登録されている。具体的には、作業計画情報124の作業ID124aは、作業を識別するための情報であって、工程計画の工程ID123bに紐づく情報である。作業計画ID124bは、作業計画を識別するための情報であって、作業計画の内容(例えば、組付け作業など)を示すIDが登録されている。作業時間124cは、作業ID124aで特定される工程に割り付けられた生産リソースが作業計画ID124bで特定される作業内容を実行する際の作業時間を示す情報である。このように、各工程の作業時間が登録されている作業計画情報124は、作業内容が実施される生産ライン300における生産能力を示す情報でもある。
【0027】
図4は、生産計画情報125の一例を示した情報である。生産計画情報125には、製品の生産計画に関する情報が登録されている。具体的には、生産計画の製品ID125aは、製造対象の製品を識別するための情報である。部品ID125bは、製品を構成する部品を識別するための情報である。工程ID125cは、工程を識別するための情報である。生産リソースID125dは、生産リソースを識別するための情報である。日時125eは、対応付けられている製品ID125aにより識別される製品の製造において、例えば対応する部品ID125bの部品を組み付け等する所定工程の実施日時を示す情報である。着手予定時間125fは、対応付けられている工程ID125cにより識別される工程の着手予定の時間を示す情報である。終了予定時間125gは、かかる工程の終了予定の時間を示す情報である。
【0028】
図1に戻って説明する。投入計画情報126は、所定期間における製品の目標生産数(製造台数)を示す情報である。具体的には、投入計画情報126には、例えば製品ごとに受注数や受注予測数から算出される月次の目標生産数が登録されている。
【0029】
メンテナンス計画情報127は、部品交換や設備調整といったメンテナンス作業を行う際の計画が登録されている情報である。具体的には、メンテナンス計画情報127には、例えば作業日時、メンテナンス作業の種類、作業人数、作業時間などの所定情報が登録されている。なお、メンテナンス計画情報127は、定期メンテナンスの計画情報であり、故障等が生じた場合に計画される定期外メンテナンス計画については後述する。
【0030】
ロボットプログラム128は、生産リソースであるロボットを動作させるプログラムである。具体的には、ロボットプログラム128は、例えば作業計画情報124の作業計画ID124bで特定される作業内容を実施するためのロボットの動作を規定するプログラムである。
【0031】
ラダープログラム129は、ロボットや搬送機など、生産ライン300における生産リソース間の動作を同期させるためのプログラムである。
【0032】
対策案情報130は、生産リソースの異常に対する対策案が登録されている情報である。具体的には、対策案情報130には、例えば生産リソースの識別情報と、異常値と、に対応付けられた複数の対策案(例えば、部品交換、設備調整および設備交換など)が登録されている。また、基本的には、各異常値に対して複数の対策案が対応付けられており、各対策案には、対応する定期外メンテナンス作業の必要人数や作業時間などの所定情報が対応付けられて登録されている。
【0033】
ライン能力情報131は、生産ライン300の生産能力を示すパラメータが登録されている情報である。具体的には、ライン能力情報131には、例えば対策案、生産ライン300および生産リソースの各組み合わせに対応付けられた対策前、対策中および対策後の各フェーズにおける生産ライン300の生産能力を示すパラメータが登録されている。
【0034】
コスト情報132は、各種のコストが登録されている情報である。具体的には、コスト情報132には、例えば対策案、生産ライン300および生産リソースの各組み合わせに対応付けられたメンテナンス作業(定期外メンテナンス作業を含む)のコスト(例えば、部品交換等の設備コスト)や、メンテナンス作業を行う作業者の単位時間当たりのコスト、作業者の残業コストおよび各製品の納期遅延により生じるペナルティーコスト等が登録されている。
【0035】
次に、生産管理装置100の入力部140について説明する。入力部140は、生産管理装置100が備える入力装置を介して、ユーザ(オペレータ)からの指示や情報の入力を受け付ける機能部である。また、入力部140は、通信部160を介して、制御システム200や制御システム200を介して生産ライン300から情報の入力を受け付ける。
【0036】
表示部150は、表示情報を生成し、生産管理装置100あるいは図示しない外部装置が備える表示装置(ディスプレイ)に表示情報を表示する機能部である。具体的には、表示部150は、例えば対策評価部115からの指示に基づき、生産KPIを含む画面情報を生成し、表示装置に出力する。
【0037】
通信部160は、外部装置(本例では、制御システム200)との間で情報通信を行う機能部である。具体的には、通信部160は、制御システム200を経由して生産ライン300の生産リソースから計測情報121を取得する。また、通信部160は、生産計画(生産計画の変更案を含む)に基づく製品の製造指示や制御プログラムを制御システム200に送信する。
【0038】
以上、生産管理装置100の各機能部について説明した。
【0039】
なお、制御システム200は、工場の生産ライン300や工場設備である生産リソースなどを監視、管理するためのシステムである。制御システム200は、生産管理装置100から製造に関する指示や生産リソースの制御プログラム(例えば、ロボットプログラム128あるいはラダープログラム129)を取得すると、これらを用いて、生産ライン300の各生産リソースに制御信号を出力する。
【0040】
生産ライン300は、工場内で製品を製造する各種の生産リソースが組み込まれたセル単位の設備群である。生産ライン300に組み込まれている各種の生産リソースは、制御システム200から取得したロボットプログラム128やラダープログラム129により動作する。
【0041】
以上、本実施形態に係る生産管理システム1000の概略構成の一例について説明した。
【0042】
[動作の説明]
次に、生産管理装置100で行われる処理の詳細について説明する。
【0043】
図5は、生産管理装置100で実行される生産管理処理の一例を示したフロー図である。生産管理処理は、例えば生産管理装置100の起動に伴い開始されても良く、入力部140を介してユーザから処理の実行指示を受け付けることで開始されても良い。
【0044】
処理が開始されると、異常検知部111は、一定期間ごと(例えば、数分~数時間ごと)に各種情報を取得する(ステップS010)。具体的には、異常検知部111は、通信部160を介して制御システム200から取得した直近の計測情報121と、ライン構成情報122と、工程計画情報123と、作業計画情報124と、生産計画情報125と、投入計画情報126と、ロボットプログラム128と、ラダープログラム129と、対策案情報130と、ライン能力情報131と、コスト情報132と、を記憶部120から取得する。
【0045】
次に、異常検知部111は、直近の計測情報121を用いて、異常値を出力した生産リソースがあるか否かを判定する(ステップS020)。具体的には、異常検知部111は、計測情報121に生産リソースから出力された異常値が含まれている場合、異常値を出力した生産リソースがあると判定する。
【0046】
そして、異常値を出力した生産リソースがないと判定した場合(ステップS020でNo)、異常検知部111は、処理をステップS010に戻す。一方で、異常値を出力した生産リソースがあると判定した場合(ステップS020でYes)、異常検知部111は、処理をステップS030に移行する。なお、この場合、異常検知部111は、異常値と、異常値を出力した生産リソースの識別情報と、を計測情報121から特定する。
【0047】
次に、対策立案部112は、検知された異常に対する複数の対策案を立案する(ステップS030)。具体的には、対策立案部112は、異常値を出力した生産リソースの識別情報と、異常値と、に対応付けられている複数の対策を対策案情報130から引き当てることで、異常に対する複数の対策案を立案する。
【0048】
次に、連携計画部114は、立案された全ての対策案について、定期外メンテナンス計画と、生産計画の変更案と、の連携立案処理を実行する(ステップS040)。
【0049】
図6は、定期外メンテナンス計画と、生産計画の変更案と、の連携立案処理の一例を示したフロー図である。
【0050】
ステップS041では、能力モデル作成部113は、異常値を出力した生産リソースが関わる全ての生産ライン300を特定する。具体的には、能力モデル作成部113は、例えば異常値を出力した生産リソースの識別情報が対応付けられている製品IDを生産計画情報125などから特定し、かかる製品IDの製品を製造する生産ライン300の識別情報をライン構成情報122から取得することで生産ライン300を特定する。
【0051】
なお、能力モデル作成部113は、異常値を出力した生産リソースが複数の製品の製造作業に関わる場合、すなわち、かかる生産リソースが複数の生産ライン300に組み込まれている場合、それらの生産ライン300を全て特定する。
【0052】
次に、能力モデル作成部113は、対策案の対策前、対策中および対策後の各フェーズにおける生産ライン能力モデルを作成する(ステップS042)。具体的には、能力モデル作成部113は、対策する(定期外メンテナンスを行う)生産リソースや、対策案(対策の種類)に応じてフェーズごとに異なる生産ライン300の生産能力について、対策前、対策中および対策後における生産能力を示すパラメータをライン能力情報131から引き当てる。より具体的には、能力モデル作成部113は、立案した対策案と、特定した生産ライン300と、異常値を出力した生産リソースの識別情報と、に基づいて、フェーズごとの生産能力を示すパラメータをライン能力情報131から引き当てる。
【0053】
また、能力モデル作成部113は、作業計画情報124と、引き当てたパラメータと、を用いて、各フェーズにおける生産ライン能力モデルを作成する。具体的には、能力モデル作成部113は、対応する生産ライン300の作業計画情報124における作業時間124cにフェーズごとのパラメータを乗算することで、対策前、対策中および対策後の各フェーズにおける各作業の作業時間を算出する。また、能力モデル作成部113は、算出した作業時間と、各作業時間に対応する作業ID124aおよび作業計画ID124bと、を含む生産ライン能力モデルをフェーズごとに作成する。
【0054】
図7は、生産ライン能力モデルの一例を示した図である。図示するように、生産ライン能力モデルは、作業計画情報124と同様の項目を有し、対策前、対策中および対策後の各フェーズにおいて相互に作業時間が異なっている。例えば、対策前すなわち定期外メンテナンスを行う前の生産ライン能力モデルの各作業時間は、作業計画情報124の対応する各作業時間よりも大きい値になっている。これは、生産リソースに不良が生じているために、生産リソースに不良が生じていない正常時に比べてその生産能力が低下していることを示している。なお、対策中の生産ライン能力モデルは、定期外メンテナンス作業を行っている期間、生産ライン300が停止されているために、作業時間は登録されていない。また、対策後の生産ライン能力モデルの作業時間は、対策後すなわち定期外メンテナンスを行った後で既に生産能力が復旧しているため、作業計画情報124の対応する作業と同じ作業時間が登録されている。
【0055】
なお、能力モデル作成部113は、異常値を出力した生産リソースが関わる生産ライン300が複数ある場合、すなわち、ステップS041で特定した生産ライン300が複数ある場合、各生産ライン300について同様の処理を行う。すなわち、生産ライン能力モデルは、対策案および生産ライン300の全ての組み合わせについて作成される。
【0056】
次に、連携計画部114は、各対策案に対応する定期外メンテナンスの作業内容、かかるメンテナンス作業を行う作業者の必要人数、コスト、メンテナンス作業時間を含むメンテナンス構成情報を生成する(ステップS043)。具体的には、連携計画部114は、各対策案について、対応する定期外メンテナンス作業を行う作業者の必要人数と、メンテナンス作業時間と、を対策案データから引き当てる。また、連携計画部114は、定期外メンテナンス作業にかかるコスト(例えば、部品交換による設備コストや作業者のコスト等)をコスト情報132から引き当て、かつ、必要人数や作業時間に応じた全体コストを算出する。そして、連携計画部114は、これらの情報を含むメンテナンス構成情報を生成する。
【0057】
次に、連携計画部114は、所定の生産KPIを目的関数とし、定期外メンテナンス計画と、生産計画の変更案と、を連携して同時最適化することで立案する(ステップS044)。具体的には、連携計画部114は、メンテナンス構成情報や生産計画情報125および記憶部120内に格納されている各種情報を用いて、所定のKPIが最大化(最適化)されるように、例えばMIP(Mixed Integer Programming) SolverあるいはGA(Genetic Algorithm)等のメタヒューリスティック法により、定期外メンテナンス計画と、生産計画の変更案と、を連携して同時最適化することで立案する。
【0058】
なお、立案される定期外メンテナンス計画は、メンテナンス構成情報に定期外メンテナンス作業をいつ行うのか、という実行時期(タイミング)が対応付けられた情報である。また、生産計画の変更案は、かかる定期外メンテナンス作業の実行時期に応じて変更された生産計画を示す情報である。
【0059】
連携計画部114は、製造される製品の歩留まり率、生産ライン300の平均稼働率、生産スループットおよび対策コストといった生産KPIに関し、所定の生産KPIが最大化されるように、メンテナンス時期と生産計画の変更案との組み合わせに関する最適化問題を解くことで、定期外メンテナンス計画と、生産計画の変更案と、を連携して立案する。なお、製品の歩留まり率の最大化(最適化)とは、歩留まり率がより高い値の場合である。また、生産ライン300の平均稼働率の最大化(最適化)とは、平均稼働率がより高い値の場合である。また、生産スループットの最大化(最適化)とは、生産スループットがより高い値の場合である。また、対策コストの最大化(最適化)とは、対策コストがより低い値の場合である。
【0060】
なお、生産KPIは、これらに限定されるものではなく、ユーザの重視する観点に基づいて適宜設定されれば良い。また、生産KPIには、製品の歩留まり率、生産ライン300の平均稼働率、生産スループットおよび対策コストの全てではなく、任意の数(例えば、対策コストのみ等、少なくとも1つ)が含まれていれば良い。
【0061】
ステップS043までの処理で、対策案ごと、生産ライン300ごとに、対策前、対策中および対策後の各々のフェーズにおける製品の生産能力が算出されている。そのため、連携計画部114は、かかる生産能力を考慮し、対策案ごとに対応する定期外メンテナンスの実行タイミングを変更しながら生産シミュレーションを行うことで、定期外メンテナンスを行う各タイミングにおける生産KPIを算出する。これにより、所定の生産KPIが最大化された定期外メンテナンス計画を立案し、定期外メンテナンス作業を行う場合の生産計画を、生産計画の変更案として立案することができる。
【0062】
また、定期外メンテナンスを行う生産リソースが複数の生産ライン300に関わる場合、連携計画部114は、生産ライン300ごとに定期外メンテナンス計画を立案し、かかる定期外メンテナンス計画に対応する生産計画を、生産計画の変更案として立案する。
【0063】
なお、製品の歩留まり率とは、生産リソースに異常が生じなかった場合の所定期間(例えば、1ヶ月間)における目標生産数に対し、対策案に応じた定期外メンテナンス作業を実施した場合の実際の生産数の割合である。このような製品の歩留まり率は、例えば生産リソースに問題が生じていない場合の生産計画情報125、工程計画情報123、作業計画情報124および投入計画情報126と、生産ライン能力モデルと、メンテナンス構成情報と、を用いた生産シミュレーションを行うことで算出することができる。
【0064】
また、平均稼働率は、生産ライン300の平均稼働率であり、生産リソースに異常が生じなかった場合の所定期間(例えば、1ヶ月間)における生産ライン300の稼働率(例えば、工場稼働時間)に対し、対策案に対応する定期外メンテナンス作業を実施したことによる停止時間を含めた実際の生産ライン300の稼働時間の割合を、所定期間の日数で均した値である。このような生産ライン300の平均稼働率は、例えば生産リソースに問題が生じていない場合の工程計画情報123、作業計画情報124、生産計画情報125および投入計画情報126と、ライン構成情報122と、生産ライン能力モデルと、メンテナンス構成情報と、を用いた生産シミュレーションを行うことで算出することができる。
【0065】
また、生産スループットは、対策案に対応する定期外メンテナンス作業を実施した場合に低下した製品の生産数を加味した所定期間(例えば、1ヶ月)における所定時間毎(例えば、毎分)の生産数の平均である。このような生産スループットは、例えば生産リソースに問題が生じていない場合の工程計画情報123、作業計画情報124、生産計画情報125および投入計画情報126と、生産ライン能力モデルと、メンテナンス構成情報と、を用いた生産シミュレーションを行うことで算出することができる。
【0066】
また、対策コストは、部品交換や設備調整などの対策案に対応する定期外メンテナンス作業にかかるコストである。なお、対策コストには、定期外メンテナンス作業を行う作業者の人件費や、対策により低下した生産数に対して投入計画が示す目標生産数を維持するために残業等を行った作業者の残業費なども加味される。また、対策コストには、定期外メンテナンス作業のタイミングに応じて投入計画が示す目標生産数を生産できない場合等、納期遅延によるペナルティーコストも含まれる。このような対策コストは、例えば生産リソースに問題が生じていない場合の工程計画情報123、作業計画情報124、生産計画情報125および投入計画情報126と、生産ライン能力モデルと、メンテナンス構成情報と、コスト情報132と、を用いた生産シミュレーションを行うことで算出することができる。
【0067】
なお、算出された各生産KPIは、定期外メンテナンス計画および生産計画の変更案に対応付けられて、記憶部120に格納される。
【0068】
また、連携計画部114は、各対策案についてステップS044の処理を行うと、処理をステップS050(
図5)に移行する。
【0069】
次に、対策評価部115は、所定のKPIが最大化された対策案の対策確認画面を出力する(ステップS050)。具体的には、対策評価部115は、表示部150を介して、かかる対策確認画面を生成し、表示装置に出力する。
【0070】
より具体的には、対策評価部115は、所定の対策IDに対応付けられた対策案に対応する定期外メンテナンス計画と、かかる対策案に対応する生産KPIと、を記憶部120から取得する。また、対策評価部115は、表示部150を介して、生産KPIを含む対策確認画面を表示装置に出力する。
【0071】
図8は、対策確認画面の一例を示した図である。かかる対策確認画面400は、不良が生じた生産リソースが関わる生産ライン300が1つの場合における対策案の対策確認画面である。
【0072】
図示するように、対策確認画面400は、対策ID表示領域410と、対策内容表示領域420と、対象生産リソースID表示領域430と、対策時期表示領域440と、対象期間内KPI予想表示領域450と、を有している。対策ID表示領域410は、立案された定期外メンテナンス計画に対応する対策案を識別するIDが表示される領域である。また、対策内容表示領域420は、立案された定期外メンテナンス計画に対応する対策案の対策内容が表示される領域である。対象生産リソースID表示領域430は、定期外メンテナンス作業を行う対象の生産リソースを識別するIDが表示される領域である。対策時期表示領域440は、定期外メンテナンス作業を実施する日時が表示される領域である。また、対象期間内KPI予想表示領域450は、立案された定期外メンテナンス計画に対応する対策案を実施した場合の各生産KPIが表示される領域である。
【0073】
対象期間内KPI予想表示領域450には、生産KPIの対象期間を表示する対象期間表示領域451と、各生産KPIの値が表示される領域452と、が含まれている。表示されている歩留まり、平均稼働率、生産スループットおよび対策コストといった各生産KPIは、選択されている対策IDで特定される対策案に対応する定期外メンテナンス計画を行う場合の生産KPIを示している。
【0074】
なお、対策ID表示領域410に表示される対策IDは、ユーザが入力装置610を介して選択可能に表示されている。また、対策評価部115は、入力部140を介してユーザから受け付けた対策IDに対応する定期外メンテナンス計画を記憶部120から取得し、表示部150を介して、かかる定期外メンテナンス計画に対応する対策内容、対象生産リソースID、対策時期および生産KPIを各々の表示領域に表示する。
【0075】
図9は、対策確認画面の他の一例を示した図である。かかる対策確認画面500は、不良が生じた生産リソースが関わる生産ライン300が2つある場合における対策案の対策確認画面である。図示するように、対象となる生産ライン300が2つある場合、対策確認画面500には、各々の生産ライン300ごとに対象期間内KPI予想表示領域550、560が設けられ、各生産ライン300における生産KPIが表示される。すなわち、対策確認画面500には、不良が生じた生産リソースが関わる生産ライン300に応じた数の対象期間内KPI予想表示領域が表示されることになる。なお、対象期間表示領域551、561と、各生産KPIの値が表示される領域552、562は対策確認画面400の場合と同様のため、詳細な説明は省略する。
【0076】
また、対策評価部115は、各対策案に対応する各々の生産KPIを評価し、ユーザが重視する所定の生産KPI(例えば、対策コスト)が最大化(最適化)されている対策案に関する対策確認画面を出力しても良い。
【0077】
具体的には、対策評価部115は、表示部150を介して、ユーザが重視する所定の生産KPIの入力を受け付ける画面情報を表示する。また、対策評価部115は、入力部140を介して、ユーザからかかる生産KPIを示す情報の入力を受け付けると、各対策案に対応する各々の生産KPIを評価する。また、対策評価部115は、入力を受け付けた生産KPIが最大化(最適化)されている対策案を特定し、表示部150を介して、特定した対策案に対応する対策内容表示領域や対策期間内KPI予想表示領域を含む対策確認画面の画面情報を生成および表示する。
【0078】
これにより、ユーザは、重視する生産KPIが最大化されている対策案の内容や、その対策案における他の生産KPIを容易に確認することができる。
【0079】
なお、制御プログラム生成部116は、ユーザが選択した対策IDで特定される対策案に対応する生産計画の変更案に基づき、ロボットプログラム128およびラダープログラム129を生成し、通信部160を介して、生成した制御プログラムや制御情報を制御システム200に送信する。これにより、定期外メンテナンス計画を考慮して変更された生産計画の変更案に基づき生産ライン300の各生産リソースを制御することが可能となる。
【0080】
このような本実施形態に係る生産管理装置によれば、複数の評価指標に応じた観点から定量的な評価が可能な複数の対策を立案することができる。特に、生産管理装置は、対策前、対策中および対策後の時系列で各々の場合で異なる生産ラインの生産能力を予測することにより、かかる生産能力の予想値を用いた評価指標の算出をより高い精度で実現することができる。
【0081】
また、生産管理装置は、定期外メンテナンス計画と、生産計画の変更案とを、生産ラインの生産能力を考慮しつつ連携して立案する。これにより、生産管理装置は、所定の評価指標が最大化された定期外メンテナンス計画と、生産計画の変更案と、を立案することができる。
【0082】
次に、生産管理装置100のハードウェア構成について説明する。
【0083】
図10は、生産管理装置100のハードウェア構成の一例を示した図である。図示するように、生産管理装置100は、入力装置610と、表示装置620と、処理装置630と、主記憶装置640と、補助記憶装置650と、通信装置660と、これらを電気的に相互接続するバス670と、を有している。
【0084】
入力装置610は、例えばタッチパネルやキーボードあるいはマウスなどの入力デバイスである。表示装置620は、液晶ディスプレイや有機ディスプレイなどの表示デバイスである。
【0085】
処理装置630は、例えばCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などの演算装置である。主記憶装置640は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリ装置である。
【0086】
補助記憶装置650は、デジタル情報を記憶可能ないわゆるハードディスク(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)あるいはフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置である。
【0087】
通信装置660は、有線通信を行う通信装置、またはアンテナを介して無線通信を行う無線通信装置である。
【0088】
以上、生産管理装置100のハードウェア構成の一例について説明した。
【0089】
このような生産管理装置100の処理部110は、処理装置630に各種の演算処理を行わせるプログラムによって実現される。このプログラムは、主記憶装置640あるいは補助記憶装置650に記憶され、プログラムの実行にあたって主記憶装置640上にロードされ、処理装置630により実行される。
【0090】
また、入力部140は、入力装置610により実現される。また、表示部150は、表示装置620により実現される。また、記憶部120は、主記憶装置640または補助記憶装置650あるいはこれらの組合せにより実現される。また、通信部160は、通信装置660により実現される。
【0091】
また、生産管理装置100の上記の各構成、機能、処理部および処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現しても良い。また、上記構成、機能は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現しても良い。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD等の記憶装置またはICカード、SDカードおよびDVD等の記録媒体に置くことができる。
【0092】
また、本発明は上記した実施形態および変形例に限定されるものではなく、同一の技術的思想の範囲内において様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。
【0093】
また、上記説明では、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えて良い。
【符号の説明】
【0094】
1000・・・生産管理システム、100・・・生産管理装置、110・・・処理部、111・・・異常検知部、112・・・対策立案部、113・・・能力モデル作成部、114・・・連携計画部、115・・・対策評価部、116・・・制御プログラム生成部、120・・・記憶部、121・・・計測情報、122・・・ライン構成情報、123・・・工程計画情報、124・・・作業計画情報、125・・・生産計画情報、126・・・投入計画情報、127・・・メンテナンス計画情報、128・・・ロボットプログラム、129・・・ラダープログラム、130・・・対策案情報、131・・・ライン能力情報、132・・・コスト情報、140・・・入力部、150・・・表示部、160・・・通信部、610・・・入力装置、620・・・表示装置、630・・・処理装置、640・・・主記憶装置、650・・・補助記憶装置、660・・・通信装置、670・・・バス、200・・・制御システム、300・・・生産ライン、N・・・ネットワーク