(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117950
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/42 20120101AFI20230817BHJP
【FI】
G06Q20/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020787
(22)【出願日】2022-02-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り [1] ウェブサイトでの公開日 2022年01月13日 ウェブサイトのURL https://dashboard.paypay.ne.jp/app/#/login/ <資料>リリースノート プリントアウト
(71)【出願人】
【識別番号】519110124
【氏名又は名称】PayPay株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】カオ チーコン
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 希丘子
(72)【発明者】
【氏名】カイ ケイティー
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA78
(57)【要約】
【課題】サービスのユーザにとっての利便性を高めること。
【解決手段】実店舗での購買に係る決済を処理する電子決済サービスにおける店舗側インターフェースを提供する情報処理装置であって、前記電子決済サービスを利用する一以上の実店舗を管理する事業者の事業者アカウントと、前記一以上の実店舗の実店舗アカウントと、前記実店舗アカウントへのログインに応じて提供する情報アクセス権の設定とを互いに対応付けて記憶する記憶部と、前記実店舗アカウントへのログインに応じて提供する情報アクセス権の設定を店舗側利用者の使用する端末装置から受け付けて前記記憶部に記憶させる受付部と、前記実店舗アカウントへのログインに応じて、前記記憶部に記憶された前記設定に基づいて、前記事業者アカウントにログインした場合にアクセス可能な特定情報へのアクセスを許可または禁止する制御部と、を備える、情報処理装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実店舗での購買に係る決済を処理する電子決済サービスにおける店舗側インターフェースを提供する情報処理装置であって、
前記電子決済サービスを利用する一以上の実店舗を管理する事業者の事業者アカウントと、前記一以上の実店舗の実店舗アカウントと、前記実店舗アカウントへのログインに応じて提供する情報アクセス権の設定とを互いに対応付けて記憶する記憶部と、
前記実店舗アカウントへのログインに応じて提供する情報アクセス権の設定を店舗側利用者の使用する端末装置から受け付けて前記記憶部に記憶させる受付部と、
前記実店舗アカウントへのログインに応じて、前記記憶部に記憶された前記設定に基づいて、前記事業者アカウントにログインした場合にアクセス可能な特定情報へのアクセスを許可または禁止する制御部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記特定情報は、前記一以上の実店舗において決済された決済金額の合計に基づいて入金される前記事業者の銀行口座情報を含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記特定情報は、前記事業者のプロフィール情報を含む、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記実店舗に設置された決済端末装置による前記実店舗アカウントへのログイン状態において、前記電子決済サービスを用いた決済を前記決済端末装置に処理させる決済処理部を更に備え、
前記決済処理部は、前記事業者によって運営される実店舗が1つである場合、前記決済端末装置による前記事業者アカウントへのログイン状態においても、前記実店舗に紐づけて、前記決済を前記決済端末装置に処理させる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記実店舗に設置された決済端末装置による前記実店舗アカウントへのログイン状態において、前記電子決済サービスを用いた決済を前記決済端末装置に処理させる決済処理部を更に備え、
前記決済処理部は、前記事業者によって運営される実店舗が複数ある場合、前記決済を実行する実店舗を選択可能に表示させ、選択された前記実店舗に紐づけて、前記決済端末装置による前記事業者アカウントへのログイン状態においても、前記決済を前記決済端末装置に処理させる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記事業者によって運営される実店舗が1つである場合、前記事業者アカウントに提供する情報アクセス権と同一の情報アクセス権を前記実店舗の実店舗アカウントに提供する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータが、
実店舗での購買に係る決済を処理する電子決済サービスにおける店舗側インターフェースを提供し、
前記電子決済サービスを利用する一以上の実店舗を管理する事業者の事業者アカウントと、前記一以上の実店舗の実店舗アカウントと、前記実店舗アカウントへのログインに応じて提供する情報アクセス権の設定とを互いに対応付けて記憶し、
前記実店舗アカウントへのログインに応じて提供する情報アクセス権の設定を店舗側利用者の使用する端末装置から受け付けて記憶し、
前記実店舗アカウントへのログインに応じて、記憶された前記設定に基づいて、前記事業者アカウントにログインした場合にアクセス可能な特定情報へのアクセスを許可または禁止する、
情報提供方法。
【請求項8】
コンピュータに、
実店舗での購買に係る決済を処理する電子決済サービスにおける店舗側インターフェースを提供させ、
前記電子決済サービスを利用する一以上の実店舗を管理する事業者の事業者アカウントと、前記一以上の実店舗の実店舗アカウントと、前記実店舗アカウントへのログインに応じて提供する情報アクセス権の設定とを互いに対応付けて記憶させ、
前記実店舗アカウントへのログインに応じて提供する情報アクセス権の設定を店舗側利用者の使用する端末装置から受け付けて記憶させ、
前記実店舗アカウントへのログインに応じて、記憶された前記設定に基づいて、前記事業者アカウントにログインした場合にアクセス可能な特定情報へのアクセスを許可または禁止させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サービスに登録するユーザのユーザIDと、当該ユーザIDに付与する情報アクセス権とを紐づけて管理する技術が知られている。例えば、特許文献1には、認証サーバが、ユーザIDと、ユーザIDに紐づくクライアント端末の位置情報と、当該位置情報に基づいて判定されたセキュリティレベルと、に基づいて、アカウント管理テーブルからサービスへのログインアカウントを判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、アカウント管理テーブルに記憶された情報に基づいて、サービスへのログインアカウントを設定するものである。しかしながら、従来技術では、同一ユーザが、異なる情報アクセス権を有する複数のアカウントを利用する場合、特定の情報を閲覧するために、複数のアカウント間でログイン/ログアウトを繰り返すことが求められ、サービスのユーザにとっての利便性が低い場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、サービスのユーザにとっての利便性を高めることができる、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、実店舗での購買に係る決済を処理する電子決済サービスにおける店舗側インターフェースを提供する情報処理装置であって、前記電子決済サービスを利用する一以上の実店舗を管理するブランドのブランドアカウントと、前記一以上の実店舗の実店舗アカウントと、前記実店舗アカウントへのログインに応じて提供する情報アクセス権の設定とを互いに対応付けて記憶する記憶部と、前記実店舗アカウントへのログインに応じて提供する情報アクセス権の設定を店舗側利用者の使用する端末装置から受け付けて前記記憶部に記憶させる受付部と、前記実店舗アカウントへのログインに応じて、前記記憶部に記憶された前記設定に基づいて、前記ブランドアカウントにログインした場合にアクセス可能な特定情報へのアクセスを許可または禁止する制御部と、を備える、情報処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、サービスのユーザにとっての利便性を高めることができる、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】電子決済サービスが実現されるための構成の一例を示す図である。
【
図2】電子決済の大まかな流れを例示した図である。
【
図4】情報アクセス権情報162の内容の一例を示す図である。
【
図5】事業者アカウントにログインした際に店舗端末装置50に表示される店舗側インターフェースの一例を示す図である。
【
図6】事業者アカウントにログインした際に店舗端末装置50に表示される店舗側インターフェースの別の例を示す図である。
【
図7】事業者アカウントにログインした際に店舗端末装置50に表示される店舗側インターフェースの別の例を示す図である。
【
図8】店舗アカウントにログインした際に店舗端末装置50に表示される店舗側インターフェースの一例を示す図である。
【
図9】店舗側インターフェースにおける情報アクセス権の設定方法の一例を示す図である。
【
図10】情報アクセス権の設定後に店舗アカウントにログインした際に店舗端末装置50に表示される店舗側インターフェースの一例を示す図である。
【
図11】店舗アカウントが一つである場合に店舗端末装置50によって実行される電子決済の一例を示す図である。
【
図12】店舗アカウントが複数ある場合に店舗端末装置50によって実行される電子決済の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムについて説明する。情報処理装置は、一以上のプロセッサにより実現される。情報処理装置は、電子決済サービスなどのサービスに登録する事業者(ブランド)に、当該事業者によって運営される実店舗における電子決済サービスの売上、入金、設定などの情報を参照および編集するための店舗側インターフェースを提供する装置である。電子決済サービスは、店舗における商品やサービスの購買に係る決済をサポートするサービスである。店舗とは、例えば、現実空間に存在する物理的な店舗(実店舗)である。以下の説明では、便宜上、情報処理装置は、電子決済サービスを提供する機能を併せて有するものとし、「決済サーバ」と称して説明するが、店舗側インターフェースを提供する装置と、電子決済サービスを提供する装置とは別個のものであってもよい。
【0010】
[電子決済サービス]
図1は、電子決済サービスが実現されるための構成の一例を示す図である。電子決済サービスは、決済サーバ100を中心として実現される。決済サーバ100は、例えば、一以上の利用者端末装置10、および一以上の店舗端末装置50のそれぞれとネットワークNWを介して通信する。ネットワークNWは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、無線基地局、プロバイダ装置などを含む。
【0011】
利用者端末装置10は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等の可搬型端末装置である。利用者端末装置10は、少なくとも、光学読取機能、通信機能、表示機能、入力受付機能、プログラム実行機能を有するコンピュータ装置である。以下の説明では、これらの機能を実現するための構成をそれぞれカメラ、通信装置、タッチパネル、CPU(Central Processing Unit)等と称する。利用者端末装置10では、CPU等のプロセッサにより決済アプリ20が実行されることで、決済サーバ100と連携して電子決済サービスを利用者に提供するように動作する。決済アプリ20は、カメラ、通信装置、タッチパネルなどを制御する。
【0012】
店舗端末装置50は、例えば、店舗に設置される。店舗端末装置50は、少なくとも、商品価格取得機能、光学読取機能、プログラム実行機能、表示機能、通信機能を有するコンピュータ装置である。店舗端末装置50は、いわゆるPOS(Point of Sale)装置を含み、POS装置によって商品価格取得機能や光学読取機能を実現してもよい。店舗コード画像60は、店舗に置かれ、QRコード(登録商標)等のコード画像が紙やプラスチックの媒体に印刷されたものである。なお、店舗コード画像60は、店舗に置かれたディスプレイによって表示されてもよい。
【0013】
決済サーバ100は、利用者端末装置10または店舗端末装置50から受信した決済情報に基づいて電子決済を実現する。決済サーバ100は、例えば、利用者IDに対応付けて管理しているチャージ残高を増減させる(換言すると、電子マネーを入出金する)ことで、電子決済を行う。電子決済は、リボ払いやクレジット払い等の方法によって、購買時点のチャージ残高よりも多額の購買を可能にするものが含まれてよい。
【0014】
図2は、電子決済の大まかな流れを例示した図である。電子決済には、パターン1とパターン2の二つが存在してよい。パターン1の場合、まず利用者端末装置10において決済アプリ20が起動し、QRコードやバーコード等のコード画像を表示する。利用者は利用者端末装置10の表示面を、電子決済サービスに登録された店舗アカウントにログインした状態の店舗端末装置50に翳す(提示する)。店舗端末装置50は、光学読取機能によってコード画像をデコードし、アカウントID等の情報を取得する。そして、店舗端末装置50は、アカウントID、決済金額、ログインした店舗アカウントに紐づく店舗ID等を含む決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する。決済金額の情報は、予めバーコード読み取りや手入力等によって取得されている。決済サーバ100は、受信した情報に基づいて、ユーザの電子決済口座から事業者の電子決済口座に決済金額を移動させて決済処理を完了させる。
【0015】
パターン2の場合、決済アプリ20が起動した状態の利用者端末装置10が、光学読取機能によって店舗コード画像60をデコードする。店舗コード画像60には、店舗名等の情報が含まれている。利用者は、店舗名等が表示された画面において、決済金額を利用者端末装置10に入力する。そして、利用者端末装置10は、アカウントID、決済金額、店舗ID等を含む決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する。決済サーバ100は、受信した情報に基づいて決済処理を行う。なお、上記のいずれかのパターンでのみ電子決済が行われてもよい。また、
図2で説明する「アカウントID」は、利用者の識別情報として用いられ得る他の情報(例えば電話番号)であってもよい。
【0016】
[決済サーバ]
図3は、決済サーバ100の構成図である。決済サーバ100は、例えば、通信部110と、決済コンテンツ提供部120と、決済処理部130と、設定受付部140と、制御部150と、記憶部160とを備える。通信部110および記憶部160以外の構成要素は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0017】
記憶部160は、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などである。記憶部160は、決済サーバ100がネットワークを介してアクセス可能なNAS(Network Attached Storage)装置であってもよい。記憶部160には、情報アクセス権情報162、決済コンテンツ情報164などの情報が格納される。
【0018】
通信部110は、ネットワークNWに接続するための通信インターフェースである。通信部110は、例えばネットワークインターフェースカードである。
【0019】
決済コンテンツ提供部120は、例えば、Webサーバの機能を有し、電子決済サービスの各種画面を表示するための情報(コンテンツ)を利用者端末装置10に提供する。決済コンテンツ提供部120は、決済コンテンツ情報164から適宜、必要なコンテンツを読み出して利用者端末装置10に提供する。利用者端末装置10は、決済アプリ20によってコンテンツが再生された状態で利用者による各種入力を受け付け、前述した決済情報などを決済サーバ100に送信する。なお、決済コンテンツ情報164に基づくコンテンツには、ログイン状態で提供されるコンテンツと、非ログイン状態で提供されるコンテンツがある。非ログイン状態のコンテンツにおいて、決済サーバ100は、各種案内情報を提供したり、新規登録や電話番号の変更申し込みを受け付けたりする。
【0020】
決済処理部130は、店舗端末装置50により送信された決済情報に基づいて、決済処理を行う。より具体的には、決済処理部130は、店舗に設置された店舗端末装置50による店舗アカウントへのログイン状態において、電子決済サービスを用いた決済を店舗端末装置50に処理させ、店舗端末装置50により送信された決済情報に基づいて、ユーザの電子決済口座から事業者の電子決済口座に決済金額を移動させて決済処理を完了させる。事業者の電子決済口座に移動させられた決済金額は、定期的に、又は事業者の依頼に応じて、事業者の銀行口座に送金される。
【0021】
設定受付部140は、店舗側インターフェースにおける店舗アカウントへのログインに応じて提供する情報アクセス権の設定を店舗端末装置50(より一般的には、事業者の使用する端末装置)から受け付けて、情報アクセス権情報162として記憶部160に記憶させる。
【0022】
図4は、情報アクセス権情報162の内容の一例を示す図である。情報アクセス権情報162は、例えば、事業者IDと店舗IDとの組み合わせに対して、情報アクセス権などの情報が対応付けられたものである。事業者IDは、電子決済サービスに登録する事業者を一意に識別するための識別情報である。店舗IDは、事業者IDによって示される事業者によって運営される店舗の各々を一意に識別するための識別情報である。情報アクセス権は、事業者IDと店舗IDとの組み合わせによって特定される店舗の店舗アカウントが店舗側インターフェースにログインした際に、事業者および店舗に関する情報に対するアクセス権(参照権、編集権など)の詳細を規定する情報である。
図4において、店舗IDに「-」が設定されたレコードは、事業者アカウント(マスターアカウント)を表し、当該事業者および店舗に関する全ての情報に対するアクセス権が付与されるものである。
【0023】
情報アクセス権は、例えば、店舗側インターフェースに表示される店舗プロフィールの参照権および編集権、事業者プロフィールの参照権および編集権、事業者の銀行口座への入金情報の参照権、各店舗における取引情報の参照権、事業者の銀行口座設定の参照権および編集権などを含む。より一般的に、情報アクセス権は、電子決済サービスに関する任意の情報への参照権および編集権を含んでよい。
【0024】
制御部150は、店舗端末装置50に店舗側インターフェースを提供するために必要な様々な処理を実行する。例えば、制御部150は、店舗側インターフェースにおける店舗アカウントへのログインに応じて、記憶部160に記憶された情報アクセス権情報162を参照し、ログインが実行された店舗アカウントに対応する情報アクセス権情報162の設定に基づいて、当該店舗アカウントに、店舗側インターフェース上でアクセス可能な情報を提供する。
【0025】
[店舗側インターフェース]
図5は、事業者アカウントにログインした際に店舗端末装置50に表示される店舗側インターフェースの一例を示す図である。言い換えれば、店舗端末装置50のユーザがログインした際に事業者アカウントの階層にいることを示している。
図5は、一例として、店舗端末装置50が、デスクトップコンピュータと、当該デスクトップコンピュータに接続されるQRコードリーダーとによって構成される場合を表している。
図5において、領域A1は、店舗側インターフェースにログインした事業者およびアカウントの種類を表す。領域A1の右下部に示される矢印をクリックすることによって、ログイン可能なアカウント(事業者アカウントおよび複数店舗の店舗アカウント)の一覧が表示される。店舗端末装置50のユーザは、表示されたアカウントのいずれかをクリックすることによって、ログインアカウント(言い換えれば、階層)を切り替えることができる。ログインアカウントを切り替える場合、切替先のアカウントに紐づくパスワードの入力が求められても良い。
【0026】
領域A2は、店舗側インターフェースによって提供される情報の項目を示すメニュー画面を表す。メニュー画面は、例えば、入金、取引、銀行口座設定、事業者プロフィール、店舗プロフィール、サブユーザ設定などの項目を含む。店舗端末装置50のユーザが、メニュー画面に表示された項目をクリックすると、当該項目に対応する情報が領域A3に表示される。
図5では、一例として、事業者によって管理される実店舗での決済金額の合計に基づいて入金された入金情報が表示される場合を表している。本実施形態において、デフォルト設定では、入金情報の参照権は、事業者アカウントのみに付与されるものとする。
【0027】
図6は、事業者アカウントにログインした際に店舗端末装置50に表示される店舗側インターフェースの別の例を示す図である。
図6は、店舗端末装置50のユーザが、メニュー画面に表示された銀行口座設定の項目をクリックすることによって、銀行口座設定に関する情報が表示された場面を表している。
図6に示す通り、銀行口座設定に関する情報は、例えば、銀行名、支店名、口座種別、口座番号、口座名義人などの項目を含む。銀行口座設定の参照権が付与された場合、ログインしたユーザは、領域A3に示される項目の情報を閲覧することが許可される。銀行口座設定の編集権が付与された場合、ログインしたユーザは、領域A3に示される項目の情報を編集することが許可される。本実施形態において、デフォルト設定では、銀行口座設定の参照権および編集権は、事業者アカウントのみに付与されるものとする。
【0028】
図7は、事業者アカウントにログインした際に店舗端末装置50に表示される店舗側インターフェースの別の例を示す図である。
図7は、店舗端末装置50のユーザが、メニュー画面に表示された事業者プロフィールの項目をクリックすることによって、事業者プロフィールに関する情報が表示された場面を表している。
図7に示す通り、事業者プロフィールに関する情報は、例えば、事業者ID、屋号、代表者、月間決済限度額などの項目を含む。事業者プロフィールの参照権が付与された場合、ログインしたユーザは、領域A3に示される項目の情報を閲覧することが許可される。事業者プロフィールの編集権が付与された場合、ログインしたユーザは、領域A3に示される項目の情報を編集することが許可される。本実施形態において、デフォルト設定では、事業者プロフィールの参照権および編集権は、事業者アカウントのみに付与されるものとする。
【0029】
上述した通り、本実施形態において、デフォルト設定では、入金情報の参照権、銀行口座設定の参照権および編集権、並びに事業者プロフィールの参照権および編集権は、事業者アカウントのみに付与されるものである。これら、デフォルト設定において事業者アカウントのみに情報アクセス権が付与される情報を、以下、「特定情報」と称する場合がある。本実施形態では、説明の便宜上、入金情報の参照権、銀行口座設定の参照権および編集権、並びに事業者プロフィールの参照権および編集権が特定情報として設定されている場合について説明するが、本発明はそのような構成に限定されず、電子決済サービスに係る任意の情報が特定情報として設定されてよい。
【0030】
図8は、店舗アカウントにログインした際に店舗端末装置50に表示される店舗側インターフェースの一例を示す図である。言い換えれば、店舗端末装置50のユーザがログインした際に店舗アカウントの階層にいることを示している。領域A1によって示される通り、
図8は、店舗端末装置50のユーザが、店舗ID0001の店舗アカウントにログインした際に店舗端末装置50に表示される店舗側インターフェースの一例を表している。制御部150は、店舗アカウントへのログインに応じて、記憶部160に記憶された情報アクセス権情報162を参照し、当該店舗アカウントに対応する情報アクセス権情報162の設定に基づいて、店舗側インターフェース上でアクセス可能な情報を提供する。換言すると、制御部150は、情報アクセス権情報162の設定に基づいて、店舗アカウントによる特定情報へのアクセスを許可または禁止する。
【0031】
図4に示す情報アクセス権情報162を参照すると、店舗ID0001の店舗アカウントは、店舗プロフィールの参照権、店舗プロフィールの編集権、および店舗取引履歴の参照権を有することが分かる。そのため、店舗端末装置50のユーザが、店舗ID0001の店舗アカウントにログインした状態で入金項目をクリックしたとしても、制御部150は、当該店舗アカウントは入金情報の参照権を有しないと判定し、入金情報へのアクセスを禁止する(すなわち、入金情報を非表示にする)。
【0032】
このように、デフォルト設定において、事業者アカウントには特定情報への情報アクセス権が付与される一方、店舗アカウントには特定情報への情報アクセス権が付与されない。これは、一つの事業者が多店舗を運営する場合に合理的な仕組みである。しかしながら、例えば、小規模事業者のように、一つの事業者が一つの店舗のみを運営する場合には、店舗端末装置50のユーザは、特定情報にアクセスするために、店舗アカウントから事業者アカウントに切り替えることが求められると同時に、店舗で電子決済を行う際には、事業者アカウントから店舗アカウントに切り替えることが求められる。その結果、店舗端末装置50のユーザは、事業者アカウントと店舗アカウントとを頻繁に切り替えることとなり、店舗側インターフェースの利便性が低いことがあり得る。以下で説明する情報アクセス権の設定は、そのような問題を解決するものである。
【0033】
[情報アクセス権の設定]
図9は、店舗側インターフェースにおける情報アクセス権の設定方法の一例を示す図である。
図9は、店舗端末装置50のユーザが、事業者アカウントにログインした状態において、アカウント設定をクリックした際に店舗端末装置50に表示される店舗側インターフェースの一例を表している。領域A3において、設定アカウントは、情報アクセス権が設定される対象となるアカウントを示す。
【0034】
図9に示される通り、アカウント設定において、店舗側インターフェースは、例えば、事業者および店舗に関する情報に対するアクセス権を設定するための受付画面を表示させる。
図9は、一例として、情報アクセス権の設定を、トグルボタンを介して受け付ける例を表しているが、本発明はそのような構成に限定されず、例えば、付与する情報アクセス権をユーザがリストボックスによって選択する形式でもよいし、ラジオボタンによって選択する形式であってもよい。
【0035】
店舗端末装置50のユーザが、設定する情報アクセス権を指定して、ボタンB1を押下すると、設定受付部140は、指定された情報アクセス権に基づいて、情報アクセス権情報162を更新する。
図9の場合、一例として、取引情報の参照権、店舗プロフィールの参照権、および店舗プロフィールの編集権が指定されているため、設定受付部140は、店舗ID0001の店舗アカウントについて、入金情報の参照権、店舗プロフィールの参照権、および店舗プロフィールの編集権を情報アクセス権情報162に設定する。なお、サブユーザを追加・編集・削除する際に情報アクセス権を設定する場合も同様である。
【0036】
図10は、情報アクセス権の設定後に店舗アカウントにログインした際に店舗端末装置50に表示される店舗側インターフェースの一例を示す図である。
図10は、
図9に示される情報アクセス権の設定後に、店舗端末装置50のユーザが、店舗ID0001の店舗アカウントにログインした際に店舗端末装置50に表示される店舗側インターフェースの一例を表している。
図9では、店舗ID0001の店舗アカウントに入金情報の参照権を付与するように設定されている。そのため、
図10では、店舗端末装置50のユーザは、店舗ID0001の店舗アカウントにログインした状態においても、入金情報を閲覧することができる。これにより、店舗端末装置50のユーザは、店舗アカウントから事業者アカウントにログイン状態を切り替える(店舗アカウントの階層から事業者アカウントに階層を切り替えることを含む)ことなく、特定情報にアクセスすることができる。
【0037】
[電子決済の実行]
図11は、店舗アカウントが一つである場合に店舗端末装置50によって実行される電子決済の一例を示す図である。
図11は、店舗端末装置50が、QRコードリーダーの機能を有するタブレット端末であり、店舗端末装置50のユーザが、事業者アカウントへのログイン状態において、利用者端末装置10によって提示されたQRコードを読み取って決済を行う場面を表している。
【0038】
上述した通り、店舗端末装置50は、電子決済を実行する際、電子決済サービスに登録された店舗アカウントにログインした状態において、利用者端末装置10によって提示されたQRコードを読み取り、ログインした店舗アカウントに紐づく店舗IDを含む決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する。しかしながら、店舗端末装置50のユーザは、店舗側インターフェースにおいて特定情報の閲覧のために、事業者アカウントにログインする(言い換えれば、事業者アカウントの階層にいる)こともあり、事業者アカウントに紐づく店舗アカウントが一つである場合においても、電子決済を実行するために店舗アカウント(言い換えれば、店舗アカウントの階層)に手動で切り替えさせることは、ユーザにとっての利便性が低下する場合がある。
【0039】
そのため、店舗端末装置50は、電子決済を実行する際、電子決済の実行を指示する指示情報を決済処理部130に送信し、決済処理部130は、店舗端末装置50から指示情報を受信した場合、情報アクセス権情報162を参照して、事業者によって運営店舗の店舗アカウントが一つであるか否かを判定する。決済処理部130は、事業者によって運営される店舗の店舗アカウントが一つであると判定した場合、当該店舗アカウントに対応する店舗IDを店舗端末装置50に送信し、店舗端末装置50は、当該店舗IDを含めて決済情報を生成する。すなわち、店舗側インターフェースにおいてユーザにアカウントを手動で切り替えさせることなく、決済情報を生成し、電子決済を実行することができる。
【0040】
図12は、店舗アカウントが複数ある場合に店舗端末装置50によって実行される電子決済の一例を示す図である。
図11と同様、
図12は、店舗端末装置50のユーザが、事業者アカウントへのログイン状態において、利用者端末装置10によって提示されたQRコードを読み取って決済を行う場面を表している。
【0041】
決済処理部130は、情報アクセス権情報162を参照して、事業者によって運営される店舗の店舗アカウントが一つではないと判定した場合、すなわち、事業者によって運営される店舗の店舗アカウントが複数あると判定した場合、店舗端末装置50に、電子決済の候補となる店舗アカウントおよび店舗IDを送信し、店舗端末装置50は、受信した店舗アカウントおよび店舗IDを、例えば、リスト形式で表示させる。店舗端末装置50は、ユーザによる店舗アカウントの選択を受け付けると、選択された店舗アカウントに紐づく店舗IDを含めて決済情報を生成する。すなわち、店舗側インターフェースにおいてユーザにアカウントを手動で切り替えさせることなく、決済情報を生成し、電子決済を実行することができる。
【0042】
なお、上記の実施形態では、事業者アカウントにログインした状態において、店舗アカウントに付与する情報アクセス権の設定を受け付け、当該店舗アカウントが特定情報へのアクセス権を有する場合に、店舗側インターフェースを介して、特定情報を提供している。しかしながら、本発明はそのような構成に限定されず、店舗アカウントが一つしか存在しない場合には、当該店舗アカウントに事業者アカウントと同一の情報アクセス権(すなわち、フルコントロール)を与えても良い。このようにしても、小規模事業者にとっての利便性を高めることができる。
【0043】
以上の通り説明した実施形態によれば、事業者アカウントと、当該事業者によって運営される複数の店舗の店舗アカウントとの階層構造を維持しつつ、店舗アカウントに付与する情報アクセス権の設定を受け付け、当該店舗アカウントに特定情報への情報アクセス権を付与する。その結果、店舗端末装置50のユーザは、店舗アカウントを事業者アカウントに切り替えることなく、特定情報にアクセスすることができる。これにより、電子決済サービスの店舗側ユーザにとっての利便性を高めることができる。
【0044】
さらに、上述した実施形態によれば、事業者は、運営店舗を増加させる際に、アカウント設定を通じて、新規に開設する店舗の情報アクセス権を設定する。すなわち、事業者は、新規に開設する店舗に対して、店舗側インターフェースを介して、事業者アカウントと同一の情報アクセス権を設定することもできるし、店舗のオペレーションに係る情報アクセス権のみを設定することもできる。あるいは、事業者は、新規に開設する店舗に対して、既に開設済みのアカウント(サブユーザを含む)で付与された情報アクセス権を設定することができる。例えば、役職や役割(店舗責任者、経費処理担当、プロモーション担当等)に対応する情報アクセス権の設定を特定し、新規の店舗にも当該設定を引き継ぐことができる。このように設定された情報アクセス権は、上述した情報アクセス権情報として階層構造で管理され、事業者は、その後、必要に応じて、情報アクセス権情報の設定を変更することもできる。これにより、事業者が運営店舗を増加させる際の利便性を高めることもできる。
【0045】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0046】
10 利用者端末装置
20 決済アプリ
50 店舗端末装置
60 店舗コード画像
100 決済サーバ
110 通信部
120 決済コンテンツ提供部
130 決済処理部
140 設定受付部
150 制御部
160 記憶部
162 情報アクセス権情報
164 決済コンテンツ情報