(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117965
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】処理装置、処理システム、処理方法及び処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20230101AFI20230817BHJP
【FI】
G06Q10/10 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020805
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】石井 基隆
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA11
5L049AA20
(57)【要約】
【課題】誤った操作を防止する。
【解決手段】作業PC10は、作業者により操作された操作内容の情報を取得する第1処理部50と、操作内容の情報と特定動作定義DB23とを比較する第2処理部52と、操作内容の情報が承認依頼を必要とする情報であると第2処理部52において判定された場合、操作承認依頼を承認者が使用する承認PC12に送信する第3処理部54と、操作内容の情報が承認依頼を不要とする情報であると第2処理部52において判定された場合か、又は、操作内容の情報に関わる承認許可の操作承認結果を承認PC12から受信した場合、操作内容の情報に関わる実行指示の情報を出力する第4処理部56とを設ける。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者により操作された操作内容の情報を取得する第1処理部と、
前記操作内容の情報と、予め設定された情報とを比較する第2処理部と、
前記操作内容の情報が承認依頼を必要とする情報であると前記第2処理部において判定された場合、前記操作内容の情報に関わる承認依頼の情報を、承認者が使用する第1処理装置に送信する第3処理部と、
前記操作内容の情報が承認依頼を不要とする情報であると前記第2処理部において判定された場合か、又は、前記操作内容の情報に関わる承認許可の情報を前記第1処理装置から受信した場合、前記操作内容の情報に関わる実行指示の情報を出力する第4処理部と
を備えることを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記第4処理部は、
前記操作内容の情報が承認依頼を必要とする情報であると前記第2処理部において判定された場合、前記操作内容の情報に関わる承認許可の情報を前記第1処理装置から受信するまでは、前記操作内容の情報に関わる実行指示の情報を出力せず保留する
ことを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記第4処理部は、
前記操作内容の情報に関わる承認却下の情報を前記第1処理装置から受信した場合、前記操作内容の情報に関わる実行指示の情報を出力しない
ことを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項4】
前記第4処理部は、
前記操作内容の情報が承認依頼を不要とする情報であると前記第2処理部において判定された場合、前記操作内容の情報に関わる承認依頼の情報を前記第3処理部が前記第1処理装置に送信していない状態で、前記操作内容の情報に関わる実行指示の情報を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項5】
前記処理装置は、前記予め設定された情報を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項6】
前記予め設定された情報は、前記操作者は変更不可である一方、前記操作者よりも高い権限を有する管理者は変更可能である
ことを特徴とする請求項5に記載の処理装置。
【請求項7】
承認者により使用される第1処理装置と、前記第1処理装置と接続され操作者により使用される処理装置とを有し、
前記処理装置は、
前記操作者により操作された操作内容の情報を取得する第1処理部と、
前記操作内容の情報と、予め設定された情報とを比較する第2処理部と、
前記操作内容の情報が承認依頼を必要とする情報であると前記第2処理部において判定された場合、前記操作内容の情報に関わる承認依頼の情報を前記第1処理装置に送信する第3処理部と、
前記操作内容の情報が承認依頼を不要とする情報であると前記第2処理部において判定された場合か、又は、前記操作内容の情報に関わる承認許可の情報を前記第1処理装置から受信した場合、前記操作内容の情報に関わる実行指示の情報を出力する第4処理部と
を備え、
前記第1処理装置は、
前記承認依頼の情報を前記処理装置から受信すると、前記操作内容の情報に関わる承認許可又は承認却下の情報を前記処理装置へ送信する処理部
を備える
ことを特徴とする処理システム。
【請求項8】
承認者により使用される第1処理装置と接続され操作者により使用される処理装置の処理方法であって、
前記処理装置は、
前記操作者により操作された操作内容の情報を取得する第1処理ステップと、
前記操作内容の情報と、予め設定された情報とを比較する第2処理ステップと、
前記操作内容の情報が承認依頼を必要とする情報であると前記第2処理ステップにおいて判定された場合、前記操作内容の情報に関わる承認依頼の情報を前記第1処理装置に送信する第3処理ステップと、
前記操作内容の情報が承認依頼を不要とする情報であると前記第2処理ステップにおいて判定された場合か、又は、前記操作内容の情報に関わる承認許可の情報を前記第1処理装置から受信した場合、前記操作内容の情報に関わる実行指示の情報を出力する第4処理ステップと
を備えることを特徴とする処理方法。
【請求項9】
承認者により使用される第1処理装置と、前記第1処理装置と接続され操作者により使用される処理装置とを有する処理システムの処理方法であって、
前記処理装置は、
前記操作者により操作された操作内容の情報を取得する第1処理ステップと、
前記操作内容の情報と、予め設定された情報とを比較する第2処理ステップと、
前記操作内容の情報が承認依頼を必要とする情報であると前記第2処理ステップにおいて判定された場合、前記操作内容の情報に関わる承認依頼の情報を前記第1処理装置に送信する第3処理ステップと、
前記操作内容の情報が承認依頼を不要とする情報であると前記第2処理ステップにおいて判定された場合か、又は、前記操作内容の情報に関わる承認許可の情報を前記第1処理装置から受信した場合、前記操作内容の情報に関わる実行指示の情報を出力する第4処理ステップと
を備え、
前記第1処理装置は、
前記承認依頼の情報を前記処理装置から受信すると、前記操作内容の情報に関わる承認許可又は承認却下の情報を前記処理装置へ送信する処理ステップ
を備える
ことを特徴とする処理方法。
【請求項10】
承認者により使用される第1処理装置と接続され操作者により使用される処理装置を、
前記操作者により操作された操作内容の情報を取得する第1処理部と、
前記操作内容の情報と、予め設定された情報とを比較する第2処理部と、
前記操作内容の情報が承認依頼を必要とする情報であると前記第2処理部おいて判定された場合、前記操作内容の情報に関わる承認依頼の情報を前記第1処理装置に送信する第3処理部と、
前記操作内容の情報が承認依頼を不要とする情報であると前記第2処理部において判定された場合か、又は、前記操作内容の情報に関わる承認許可の情報を前記第1処理装置から受信した場合、前記操作内容の情報に関わる実行指示の情報を出力する第4処理部と
して機能させるための処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、処理システム、処理方法及び処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、作業者によるコンピュータの操作に誤りがないことを確認者が確認することにより、特に重要なコンピュータシステムの操作を行う際に、作業者が誤った操作を行ってしまいコンピュータを停止させたりデータを損失させたりといった事故を起こすことを防止するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、Web会議システムやテレビ会議システムを使用して、作業者と確認者とが物理的に離れた場所で画面のみを共有して作業を行うような、お互いのコミュニケーションが取りにくい環境では、作業者が誤った操作をしそうな状況でも確認者が直ちに制止することができず、誤った操作が実行されるおそれがあった。
【0005】
本発明は以上の点を考慮したものであり、誤った操作を防止し得る処理装置、処理システム、処理方法及び処理プログラムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明の処理装置においては、操作者により操作された操作内容の情報を取得する第1処理部と、操作内容の情報と、予め設定された情報とを比較する第2処理部と、操作内容の情報が承認依頼を必要とする情報であると第2処理部において判定された場合、操作内容の情報に関わる承認依頼の情報を、承認者が使用する第1処理装置に送信する第3処理部と、操作内容の情報が承認依頼を不要とする情報であると第2処理部において判定された場合か、又は、操作内容の情報に関わる承認許可の情報を第1処理装置から受信した場合、操作内容の情報に関わる実行指示の情報を出力する第4処理部とを設けるようにした。
【0007】
また本発明の処理システムにおいては、承認者により使用される第1処理装置と、第1処理装置と接続され操作者により使用される処理装置とを有し、処理装置は、操作者により操作された操作内容の情報を取得する第1処理部と、操作内容の情報と、予め設定された情報とを比較する第2処理部と、操作内容の情報が承認依頼を必要とする情報であると第2処理部において判定された場合、操作内容の情報に関わる承認依頼の情報を承認者が使用する第1処理装置に送信する第3処理部と、操作内容の情報が承認依頼を不要とする情報であると第2処理部において判定された場合か、又は、操作内容の情報に関わる承認許可の情報を第1処理装置から受信した場合、操作内容の情報に関わる実行指示の情報を出力する第4処理部とを設け、第1処理装置は、承認依頼の情報を処理装置から受信すると、操作内容の情報に関わる承認許可又は承認却下の情報を処理装置へ送信する処理部を設けるようにした。
【0008】
さらに本発明の処理方法においては、承認者により使用される第1処理装置と接続され操作者により使用される処理装置の処理方法であって、処理装置は、操作者により操作された操作内容の情報を取得する第1処理ステップと、操作内容の情報と、予め設定された情報とを比較する第2処理ステップと、操作内容の情報が承認依頼を必要とする情報であると第2処理ステップにおいて判定された場合、操作内容の情報に関わる承認依頼の情報を第1処理装置に送信する第3処理ステップと、操作内容の情報が承認依頼を不要とする情報であると第2処理ステップにおいて判定された場合か、又は、操作内容の情報に関わる承認許可の情報を第1処理装置から受信した場合、操作内容の情報に関わる実行指示の情報を出力する第4処理ステップとを有するようにした。
【0009】
さらに本発明の処理方法においては、承認者により使用される第1処理装置と、第1処理装置と接続され操作者により使用される処理装置とを有する処理システムの処理方法であって、処理装置は、操作者により操作された操作内容の情報を取得する第1処理ステップと、操作内容の情報と、予め設定された情報とを比較する第2処理ステップと、操作内容の情報が承認依頼を必要とする情報であると第2処理ステップにおいて判定された場合、操作内容の情報に関わる承認依頼の情報を第1処理装置に送信する第3処理ステップと、操作内容の情報が承認依頼を不要とする情報であると第2処理ステップにおいて判定された場合か、又は、操作内容の情報に関わる承認許可の情報を第1処理装置から受信した場合、操作内容の情報に関わる実行指示の情報を出力する第4処理ステップとを有し、第1処理装置は、承認依頼の情報を処理装置から受信すると、操作内容の情報に関わる承認許可又は承認却下の情報を処理装置へ送信する処理ステップを有するようにした。
【0010】
さらに本発明の処理プログラムにおいては、承認者により使用される第1処理装置と接続され操作者により使用される処理装置を、操作者により操作された操作内容の情報を取得する第1処理部と、操作内容の情報と、予め設定された情報とを比較する第2処理部と、操作内容の情報が承認依頼を必要とする情報であると第2処理部おいて判定された場合、操作内容の情報に関わる承認依頼の情報を、第1処理装置に送信する第3処理部と、操作内容の情報が承認依頼を不要とする情報であると第2処理部において判定された場合か、又は、操作内容の情報に関わる承認許可の情報を第1処理装置から受信した場合、操作内容の情報に関わる実行指示の情報を出力する第4処理部として機能させるようにした。
【0011】
これにより本発明は、操作者が操作する処理装置と承認者が操作する第1処理装置との位置関係に関わらず、操作者により操作がされても、第1処理装置から操作内容の情報に関わる承認許可の情報を受信するまでは、処理装置において操作を保留し実行しないようにできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、操作者が操作する処理装置と承認者が操作する第1処理装置との位置関係に関わらず、操作者により操作がされても、第1処理装置から操作内容の情報に関わる承認許可の情報を受信するまでは、処理装置において操作を保留し実行しないようにでき、かくして誤った操作を防止し得る処理装置、処理システム、処理方法及び処理プログラムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】承認システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】作業PCによる操作処理手順を示すフローチャートである。
【
図3】承認PCによる承認処理手順を示すフローチャートである。
【
図4】作業PCの機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための形態(以下、これを実施の形態と呼ぶ)について、図面を用いて説明する。
【0015】
[1.本発明の前提となる項目]
この発明は、例えば、作業者の操作内容を承認者が承認するシステムに適用して好適なものである。また、この発明は、操作誤りが許されないような重要なコンピュータシステムにおいて、そのコンピュータシステムの操作インターフェースがCUI(Character User Interface)ではなくGUI(Graphical User Interface)であり、操作インターフェースを用いた作業内容を物理的距離が離れた場所にいる承認者が確実に確認(すなわち承認)を実施するシステムである。特に、作業に当たり、作業者とは別の人間である承認者の承認を必要とし、その承認結果を記録しなければならないようなコンピュータシステムの操作を対象とする。
【0016】
[2.承認システムの構成]
図1に示すように、承認システム1は、作業者(図示せず)により操作される作業PC10と、確認者(再鑑者)である承認者(図示せず)により操作される承認PC12とにより構成されている。作業者は、作業PC10を操作する権限を与えられたユーザであり、操作内容によっては承認者が監視しているということを条件として作業PC10への操作が認められる。承認者は、作業者による作業PC10に対する操作を承認PC12を用いて監視するという任務を課せられたユーザである。これら作業PC10と承認PC12とは、例えばインターネット等のネットワーク経由で接続されている。このネットワークで使用されるプロトコルに制限はないものの、通信内容が改ざんされないよう対策されたプロトコルが使用される。
【0017】
[3.作業PCの構成]
作業PC10は、例えばパーソナルコンピュータであり、作業PC制御部20、記憶部22、表示部24、操作部26及び通信部28により構成されている。
【0018】
作業PC制御部20は、CPU(Central Processing Unit)により構成されており、記憶部22から所定のプログラムを読み出して作業PC10を統轄制御する。
【0019】
記憶部22は、特定動作定義データベース(特定動作定義DB)23を予め記憶している。特定動作定義DB23は、承認者の許可を必要とする操作が登録されており、何に対して作業者がどのような操作を行った際に承認者による許可を必要とするかが定義されたデータベースである。この特定動作定義DB23は、データ内容として、例えば、操作対象のアプリケーションである操作対象アプリケーションの名前である操作対象アプリケーション名と、操作対象のオブジェクトである操作対象オブジェクトのクラス名、ウィンドウキャプション及びウィンドウラベルと、クリックやEnterキー入力等の操作内容を表すコマンドメッセージ等が登録されている。特定動作定義DB23は、所定の権限が与えられた管理者のみがデータ内容を変更可能な暗号化が施されていることにより、作業者がデータ内容を容易に変更してしまい、承認をすり抜けてしまうことが防止されている。
【0020】
表示部24は、例えば液晶ディスプレイにより構成されており、作業者へ情報を表示して出力する。操作部26は、例えばキーボード及びマウスにより構成されており、作業者からの操作入力を取得する。作業PC制御部20は、操作部26による操作内容(作業者の入力)を検出し、入力を保留、破棄又は操作対象アプリケーションへ転送する入力フック機能を有している。
【0021】
通信部28は、例えば作業PC10に搭載されたLAN(Local Area Network)ボードであり、例えば有線LAN又は無線LANによりインターネットに接続され、インターネットを介し承認PC12とデータを送受信する。作業PC制御部20は、通信部28を介した承認PC12からの接続を証明書やパスワード等で認証後に受け付ける。また作業PC制御部20は、作業者が現在操作しており表示部24に表示されている画面をキャプチャして取得し、画面情報として承認PC12へ送信する。
【0022】
[4.承認PCの構成]
承認PC12は、例えばパーソナルコンピュータであり、承認PC制御部30、記憶部32、表示部34、操作部36及び通信部38により構成されている。
【0023】
処理部としての承認PC制御部30は、CPUにより構成されており、記憶部32から所定のプログラムを読み出して承認PC12を統轄制御する。記憶部32は、承認依頼内容及び承認結果を関連付けてジャーナル33として記憶する。
【0024】
表示部34は、例えば液晶ディスプレイにより構成されており、承認者へ情報を表示して出力する。操作部36は、例えばキーボード及びマウスにより構成されており、承認者からの操作入力を取得する。通信部38は、例えば承認PC12に搭載されたLANボードであり、例えば有線LAN又は無線LANによりインターネットに接続され、インターネットを介し作業PC10とデータを送受信する。
【0025】
承認PC制御部30は、通信部38を介して作業PC10に接続して作業PC10から送信された画面情報を取得し、該画面情報に基づいた画面を再生して表示部34に表示させることにより、作業者が作業PC10の表示部24において現在見ている画面を承認者に確認させる。
【0026】
[5.操作承認処理]
次に、承認システム1による操作承認処理手順について、
図2及び
図3に示すフローチャートを用いて説明する。この承認システム1による操作承認処理手順が行われる際には、作業PC10と承認PC12とがネットワーク経由で予め接続されている。作業PC10は、クライアント証明書やパスワード等を用いて、接続してくる承認PC12が正規のPCであるか否かを判定する。また承認システム1は、作業PC10が、表示部24に表示されている情報である画面情報を取得して承認PC12へ送信し、承認者が承認PC12の表示部34においてその画面情報を見ることにより、作業PC10における作業者の作業状況を閲覧できる状態となっている。
【0027】
[5-1.作業PCによる操作処理]
まず、作業PC10による操作処理手順RT1について説明する。作業PC10は、記憶部22から操作処理プログラムを読み出して実行することにより作業PCアプリケーションを起動して
図2に示す操作処理手順RT1を開始し、ステップSP1へ移る。
【0028】
ステップSP1において作業PC制御部20は、作業者の全ての操作内容を操作部36により取得し、ステップSP2へ移る。このとき作業PC制御部20は、例えば、操作対象アプリケーションのウィンドウタイトル、操作対象アプリケーションのウィンドウクラス、操作対象アプリケーションのプロセス名や、操作によって発行されるコマンドメッセージ等の情報を、操作内容として取得する。
【0029】
ステップSP2において作業PC制御部20は、取得した操作内容を、記憶部22の特定動作定義DB23に設定されているデータ内容と比較し、ステップSP3へ移る。ステップSP3において作業PC制御部20は、操作内容が特定動作定義DB23に設定されているデータ内容と合致するか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、操作内容を承認者に承認してもらう必要があることを表し、このとき作業PC制御部20は、ステップSP4へ移る。
【0030】
ステップSP4において作業PC制御部20は、操作対象アプリケーションへの操作内容の送信を一時的に保留し、ステップSP5へ移る。ステップSP5において作業PC制御部20は、操作内容の承認依頼を示す操作承認依頼を通信部28により承認PC12へ送信し、ステップSP6へ移る。ステップSP6において作業PC制御部20は、操作承認依頼に対する結果を示す操作承認結果を通信部28により承認PC12から受信するまで待ち受け、操作承認結果を受信すると、肯定結果を得てステップSP7へ移る。
【0031】
ステップSP7において作業PC制御部20は、受信した操作承認結果が、操作内容の承認依頼を承認する内容であるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このとき作業PC制御部20は、ステップSP8へ移る。ステップSP8において作業PC制御部20は、一時的に保留していた操作対象アプリケーションへの操作内容の送信を許可し、ステップSP9へ移る。ステップSP9において作業PC制御部20は、一時的に保留していた操作内容を操作対象アプリケーションへ送信することにより、該操作対象アプリケーションにおいて該操作内容を処理し、ステップSP12へ移り、操作処理手順RT1を終了する。
【0032】
一方、ステップSP7において否定結果が得られると、このことは、承認PC12から受信した操作承認結果が、操作内容の承認依頼を却下する内容であることを表し、このとき作業PC制御部20は、ステップSP10へ移る。ステップSP10において作業PC制御部20は、一時的に保留していた操作対象アプリケーションへの操作内容の送信を拒否し、ステップSP11へ移る。ステップSP11において作業PC制御部20は、一時的に保留していた操作内容を読み捨てて操作対象アプリケーションへ送信しないことにより、処理を中断し、ステップSP12へ移り、操作処理手順RT1を終了する。
【0033】
また一方、ステップSP3において否定結果が得られると、このことは、操作内容が特定動作定義DB23に設定されているデータ内容と合致しないため、操作内容を承認者に承認してもらう必要がないことを表し、このとき作業PC制御部20は、ステップSP8へ移る。ステップSP8において作業PC制御部20は、承認者の判断なしに操作内容を許可し、ステップSP9へ移る。ステップSP9において作業PC制御部20は、操作内容を、操作対象のアプリケーションへ送信することにより、該アプリケーションにおいて該操作内容を処理し、ステップSP12へ移り、操作処理手順RT1を終了する。
【0034】
[5-2.承認PCによる承認処理]
次に、承認PC12による承認処理手順RT2について説明する。承認PC12は、記憶部32から承認処理プログラムを読み出して実行することにより承認PCアプリケーションを起動して
図3に示す承認処理手順RT2を開始し、ステップSP21へ移る。
【0035】
ステップSP21において承認PC制御部30は、操作承認依頼を通信部38により作業PC10から受信するまで待ち受け、操作承認依頼を受信すると、肯定結果を得てステップSP22へ移る。このとき承認者は、表示部34に表示された、作業者が作業PC10の表示部24において現在見ている画面を確認し、操作承認依頼を承認するか又は却下するかを操作部36に入力する。ステップSP22において承認PC制御部30は、操作承認依頼を承認するか又は却下するかを操作部36により取得し、ステップSP23へ移る。
【0036】
ステップSP23において承認PC制御部30は、操作部36に入力された操作承認結果が承認であるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このとき承認PC制御部30は、ステップSP24へ移る。ステップSP24において承認PC制御部30は、操作内容の承認依頼を承認する操作承認結果を通信部38により作業PC10へ送信し、ステップSP25へ移る。ステップSP25において承認PC制御部30は、操作承認依頼により示される承認依頼内容と、該操作承認依頼を承認したことを示す承認結果とを対応付けて、記憶部32のジャーナル33に保存し、ステップSP27へ移り、承認処理手順RT2を終了する。
【0037】
一方、ステップSP23において否定結果が得られると、このことは、操作承認結果が却下であることを表し、このとき承認PC制御部30は、ステップSP26へ移る。ステップSP26において承認PC制御部30は、操作内容の承認依頼を却下する操作承認結果を通信部38により作業PC10へ送信し、ステップSP25へ移る。ステップSP25において承認PC制御部30は、操作承認依頼により示される承認依頼内容と、該操作承認依頼を却下したことを示す承認結果とを対応付けて、記憶部32のジャーナル33に保存し、ステップSP27へ移り、承認処理手順RT2を終了する。
【0038】
[6.作業PCの機能構成]
ここで、作業PC10における操作処理に関係する基本的な機能を機能ブロック図により表すと、
図4のようになる。
【0039】
第1処理部50は、作業PC制御部20及び操作部26(
図1)と対応しており、操作者としての作業者により操作された操作内容の情報を取得する。第2処理部52は、作業PC制御部20(
図1)と対応しており、操作内容の情報と、予め設定された情報である特定動作定義DB23とを比較する。
【0040】
第3処理部54は、作業PC制御部20及び通信部28(
図1)と対応しており、操作内容の情報が承認依頼を必要とする情報であると第2処理部52において判定された場合、操作内容の情報に関わる承認依頼の情報である操作承認依頼を、承認者が使用する第1処理装置としての承認PC12に送信する。
【0041】
第4処理部56は、作業PC制御部20及び通信部28(
図1)と対応しており、操作内容の情報が承認依頼を不要とする情報であると第2処理部52において判定された場合か、又は、操作内容の情報に関わる承認許可の情報である操作承認結果を承認PC12から受信した場合、操作内容の情報に関わる実行指示の情報を出力する。また第4処理部56は、操作内容の情報が承認依頼を必要とする情報であると第2処理部52において判定された場合、操作内容の情報に関わる承認許可の情報である操作承認結果を承認PC12から受信するまでは、操作内容の情報に関わる実行指示の情報を出力せず保留する。さらに第4処理部56は、操作内容の情報に関わる承認却下の情報である操作承認結果を承認PC12から受信した場合、操作内容の情報に関わる実行指示の情報を出力しない。
[7.効果等]
以上の構成において作業PC10は、取得した操作内容に関わる操作承認依頼を承認PC12へ送信して操作内容を操作対象アプリケーションへ送信せずに保留するようにした。また承認PC12は、操作承認依頼に対し承認又は却下を承認者に選択させ、承認又は却下を示す操作承認結果を作業PC10へ送信するようにした。さらに作業PC10は、操作承認結果が承認であった場合は、操作内容を操作対象アプリケーションへ送信する一方、操作承認結果が却下であった場合は、操作内容を操作対象アプリケーションへ送信せずに読み捨てるようにした。
【0042】
このため作業PC10は、作業者により操作がされても、承認PC12から承認を示す操作承認結果を受信するまでは、操作を保留し実行しないようにできる。これにより作業PC10は、操作入力に対し承認者により明示的に許可がされるまでは、作業者に対し作業PC10を操作できないようにすることができる。
【0043】
これにより作業PC10は、承認者が確認途中にも関わらず作業PC10を作業者が操作してしまい操作を実行してしまったり、承認者が離席しており目を離した最中に作業PC10を作業者が操作してしまい操作を実行してしまったり、承認者が制止しているにも関わらず作業PC10を作業者が操作してしまい承認者が直ちに制止することができずに誤った操作を実行してしまったりといった、誤った操作を実行してしまうことを防止し、確実な操作を行うことができる。
【0044】
このため承認システム1は、例えばいわゆるテレワーク業務により作業PC10と承認PC12とが互いに離れた場所に設置されており、承認者が作業PC10の表示部24を直接目視して監視できないような状況であったとしても、承認PC12により遠隔で作業PC10の操作を監視できる。これにより承認システム1は、作業PC10が承認PC12から遠隔で設置されていたとしても、作業PC10における不正操作を承認PC12から遠隔で防止できると共に、円滑な業務遂行が可能となり、業務効率化やテレワーク業務率を向上させることができる。
【0045】
また作業PC10は、該作業PC10の記憶部22に特定動作定義DB23を予め記憶し、取得した操作内容が特定動作定義DB23に設定されているか否かを判定するようにした。そして作業PC10は、操作内容が特定動作定義DB23に設定されていない場合、操作内容を承認者に承認してもらう必要はないと判断し、操作承認依頼を承認PC12へ送信することなく、操作内容を許可して操作対象アプリケーションへ送信するようにした。
【0046】
このため作業PC10は、例えばクラウド上等の作業PC10の外部に特定動作定義DB23を記憶させたり、取得した全ての操作内容を承認PC12へ送信して承認が必要な操作内容であるか否かを承認PC12において判定させたりする場合と比較して、作業者に操作がされてから承認が不要な操作内容を操作対象アプリケーションに送るまでの処理を高速化させることができると共に、承認PC12の処理負荷を低減させることができる。
【0047】
以上の構成によれば作業PC10は、作業者により操作された操作内容の情報を取得する第1処理部50と、操作内容の情報と特定動作定義DB23とを比較する第2処理部52と、操作内容の情報が承認依頼を必要とする情報であると第2処理部52において判定された場合、操作承認依頼を承認者が使用する承認PC12に送信する第3処理部54と、操作内容の情報が承認依頼を不要とする情報であると第2処理部52において判定された場合か、又は、操作内容の情報に関わる承認許可の操作承認結果を承認PC12から受信した場合、操作内容の情報に関わる実行指示の情報を出力する第4処理部56とを設けるようにした。
【0048】
これにより作業PC10は、作業者が操作する作業PC10と承認者が操作する承認PC12との位置関係に関わらず、作業者により操作がされても、承認PC12から承認を示す操作承認結果を受信するまでは、作業PC10において操作を保留し実行しないようにできる。
【0049】
[8.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、1つの作業PC10に対し1台の承認PC12が接続される場合について述べた。本発明はこれに限らず、1人の作業者に対し複数人の承認者の承認が必要な場合や、1人の作業者に対し複数人の承認者のうちの少なくとも1人の承認者の承認が必要な場合、1つの作業PC10に対し複数台の承認PC12が接続されても良い。また、複数人の作業者に対し1人の承認者が承認を行う場合、複数台の作業PC10に対し1台の承認PC12が接続されても良い。
【0050】
さらに上述した実施の形態においては、処理システムの具体例である承認システム1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、承認システム1とは異なる構成の処理システムに本発明を適用しても良い。さらに上述した実施の形態においては、処理装置の具体例である作業PC10に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、作業PC10とは異なる構成の処理装置に本発明を適用しても良い。
【0051】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。また、本発明は、上述した各実施の形態及び上述した他の実施の形態のうち任意の実施の形態に記載された構成の一部を抽出し、上述した実施の形態及び他の実施の形態のうちの任意の実施の形態の構成の一部と置換・転用する場合や、該抽出された構成の一部を任意の実施の形態に追加する場合にも本発明の適用範囲が及ぶものである。
【0052】
さらに上述した実施の形態においては、第1処理部としての第1処理部50と、第2処理部としての第2処理部52と、第3処理部としての第3処理部54と、第4処理部としての第4処理部56とによって、処理装置としての作業PC10を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる第1処理部と、第2処理部と、第3処理部と、第4処理部とによって、処理装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、作業PCに対する作業者の操作を承認者が承認する承認システムで広く利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1……承認システム、10……作業PC、12……承認PC、20……作業PC制御部、22……記憶部、23……特定動作定義DB、24……表示部、26……操作部、28……通信部、30……承認PC制御部、32……記憶部、33……ジャーナル、34……表示部、36……操作部、38……通信部、50……第1処理部、52……第2処理部、54……第3処理部、56……第4処理部。