(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117976
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】電動ショベル、及び管理システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/10 20060101AFI20230817BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230817BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20230817BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20230817BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20230817BHJP
H01M 10/633 20140101ALI20230817BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20230817BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20230817BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20230817BHJP
E02F 9/00 20060101ALI20230817BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
H02J7/10 L
H02J7/00 P
H01M10/48 301
H01M10/44 Q
H01M10/615
H01M10/633
H01M10/625
H01M10/6556
H01M10/6568
E02F9/00 C
E02F9/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020816
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】竹尾 実高
【テーマコード(参考)】
2D003
5G503
5H030
5H031
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003BA05
2D003CA02
2D003CA10
2D003DA04
2D003DB06
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA10
5G503CB06
5G503CB11
5G503DA04
5G503EA05
5G503FA06
5G503GB03
5G503GD03
5G503GD06
5H030AA10
5H030AS08
5H030BB01
5H030BB09
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
5H031AA09
5H031HH01
5H031HH06
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】効率的な充電を実現する。
【解決手段】本開示の一実施形態に係る電動ショベルは、電動ショベルは、電動機と、電動機に対して電力を供給するバッテリと、バッテリの温度を検出する検出部と、バッテリを加温する加温機構と、を有し、外部の電源がバッテリに充電可能に接続されている間に、検出部で検出されたバッテリの温度が第1基準温度より低い場合、外部の電源によってバッテリの充電を開始する前に、外部の電源から供給される電力を用いて加温機構でバッテリを加温するように構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機と、
前記電動機に対して電力を供給するバッテリと、
前記バッテリの温度を検出する検出部と、
前記バッテリを加温する加温機構と、を有し、
外部の電源が前記バッテリに充電可能に接続されている間に、前記検出部で検出された前記バッテリの温度が第1基準温度より低い場合、前記外部の電源によって前記バッテリの充電を開始する前に、前記外部の電源から供給される電力を用いて前記加温機構で前記バッテリを加温するように構成されている、
電動ショベル。
【請求項2】
前記外部の電源から供給される電力を用いて前記加温機構で前記バッテリを加温している間に、前記検出部が検出する前記バッテリの温度が、前記第1基準温度より高い場合、前記外部の電源から供給される電力を用いて前記加温機構で前記バッテリを加温すると共に、前記外部の電源から供給される電力で前記バッテリの充電を行うように構成されている、
請求項1に記載の電動ショベル。
【請求項3】
前記検出部が検出する前記バッテリの温度が前記第1基準温度より高くなるに従って、前記外部の電源から前記バッテリに供給される電力量を上昇させ、前記外部の電源から前記加温機構に供給される電力量を減少させるように構成されている、
請求項2に記載の電動ショベル。
【請求項4】
時刻情報を記憶し、
前記時刻情報で示される時刻に、前記バッテリの充電を完了させていると共に、前記加温機構による加温によって、前記検出部が検出する前記バッテリの温度が所定の温度より高くなるように構成されている、
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の電動ショベル。
【請求項5】
前記時刻情報は、前記電動ショベルが備える入力装置を介して入力された時刻を示す情報、外部装置から送信された時刻を示す情報、前記電動ショベルが作業する作業現場を管理する管理装置が予め作成された作業のスケジュール情報に従って自動設定された時刻を示す情報、前記電動ショベルの過去に作業を行った作業履歴情報に基づいて生成された時刻を示す情報のうちいずれか一つ以上である、
請求項4に記載の電動ショベル。
【請求項6】
前記加温機構は、前記電動ショベルのキャビンの空気を調整する空調装置によって加熱された液体を前記バッテリ近傍に設けられた流路に案内する機構、又は前記バッテリを加熱する加熱ヒータである、
請求項1乃至4のいずれか一つに記載の電動ショベル。
【請求項7】
電動ショベルと、電動ショベルと通信可能な第1通信端末と、を備える管理システムであって、
前記電動ショベルは、
電動機と、
前記電動機に対して電力を供給するバッテリと、
前記バッテリの温度を検出する検出部と、
前記バッテリを加温する加温機構と、を有し、
前記第1通信端末は、
前記バッテリに充電を開始する条件を示した充電条件情報の入力を受け付けるための画面情報を表示し、
前記画面情報から入力された前記充電条件情報を送信するよう構成され、
前記電動ショベルは、
前記充電条件情報を受信し、
外部の電源が前記バッテリに充電可能に接続されている間に、前記充電条件情報で示される条件に従って前記バッテリの充電を行う際に、前記検出部で検出された前記バッテリの温度が第1基準温度より低い場合、前記外部の電源から供給される電力を用いて前記加温機構で前記バッテリを加温するように構成されている、
管理システム。
【請求項8】
前記管理システムは、前記電動ショベルと通信可能な第2通信端末を、さらに有し、
前記電動ショベルは、前記充電条件情報を送信し、
前記第2通信端末は、前記充電条件情報を受信し、受信した前記充電条件情報が表された画面情報を表示するように構成されている、
請求項7に記載の管理システム。
【請求項9】
前記電動ショベルは、
前記充電条件情報に基づいた充電を開始する旨の通知情報、前記充電条件情報に基づいて充電を開始した旨の通知情報、及び充電を完了させる条件に達した旨の通知情報のうちいずれか一つ以上を送信するように構成されている、
請求項7又は8に記載の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動ショベル、及び管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、油圧駆動系を作動させる電動モータを有する電気駆動式のショベルが提案されている。当該電気駆動式のショベルにおいては、本体に設けられたバッテリから供給される電力で電動モータを駆動させている。
【0003】
ところで、バッテリは、気温が低い環境において充電及び放電の効率が低下するため様々な技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、特許文献1に記載された技術では、バッテリの温度が―2度以下にならないように、バッテリに充電を行うことで、バッテリを発熱させる技術が提案されている。
【0006】
引用文献1に記載された技術では、-2度以下になるたびに充電が開始されるので、バッテリの充電回数が増加する。充電回数が増加するに従ってバッテリの寿命は短くなる傾向にある。つまり、このような引用文献1に記載された技術では、バッテリの寿命は考慮されていない。
【0007】
そこで、上記課題に鑑み、外部の電源によってバッテリの充電を開始する前に、外部の電源から供給される電力を用いて加温機構でバッテリを加温することで、効率的に充電を行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態に係る電動ショベルは、電動機と、電動機に対して電力を供給するバッテリと、バッテリの温度を検出する検出部と、バッテリを加温する加温機構と、を有し、外部の電源がバッテリに充電可能に接続されている間に、検出部で検出されたバッテリの温度が第1基準温度より低い場合、外部の電源によってバッテリの充電を開始する前に、外部の電源から供給される電力を用いて加温機構でバッテリを加温するように構成されている。
【発明の効果】
【0009】
上述の実施形態によれば、バッテリの温度が第1基準温度よりも低い場合に、充電を開始する前に加温機構でバッテリが加温されるので、バッテリの寿命を短くすることなく、効率的な充電を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るショベル(掘削機)を示す側面図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るショベルの構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係るショベルに搭載される電源系及び空調系の概略図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係るバッテリ充電電力保持部が保持する対応関係をグラフとして示した図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る水加熱ヒータ出力保持部が保持する対応関係をグラフとして示した図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係るショベルコントローラにおける、作業開始時刻までに行われる充電処理手順を示したフローチャートである。
【
図7】
図7は、第2の実施形態に係るショベルコントローラにおける、作業開始時刻までに行われる充電及び暖機の処理手順を示したフローチャートである。
【
図8】
図8は、変形例に係る管理システムの構成を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。また、以下で説明する実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述される全ての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の又は対応する符号を付し、説明を省略することがある。
【0012】
(第1の実施形態)
まず、電動ショベルの一例として、第1の実施形態に係るショベル200の概要を説明する。
【0013】
[ショベルの概要]
図1に示されるように、本実施形態に係るショベル200は、下部走行体1と、旋回機構2を介して旋回可能に下部走行体1に搭載される上部旋回体3と、アタッチメントとしてのブーム4、アーム5、及びバケット6と、キャビン10と、を備える。
【0014】
下部走行体1は、例えば、左右一対のクローラを含み、それぞれのクローラが走行油圧モータ1R,1L(
図2参照)で油圧駆動されることにより、自走する。
【0015】
上部旋回体3は、旋回機構2を通じて、旋回油圧モータ2M(
図2参照)で油圧駆動されることにより、下部走行体1に対して旋回する。メインポンプ14(
図2参照)から供給される作動油で全ての被駆動要素(例えば、旋回油圧モータ2M)が油圧駆動される。いわゆる油圧ショベルの動力源(エンジン)をポンプ用電動機12に置換した構成に相当する。
【0016】
また、上部旋回体3は、旋回機構2を通じて、旋回油圧モータ2Mの代わりに、バッテリモジュール19から供給される電力で駆動する旋回用電動機で電気駆動されてもよい。この場合、例えば、ショベル200は、バッテリモジュール19から電力変換装置100及びインバータを介して旋回用電動機に接続される。そして、旋回用電動機は、ショベルコントローラ30及びインバータの制御下で、上部旋回体3を旋回駆動する力行運転、及び回生電力を発生させて上部旋回体3を旋回制動する回生運転を行ってもよい。また、旋回用電動機は、インバータを介して、回生電力をバッテリモジュール19やポンプ用電動機12に供給してもよい。
【0017】
ブーム4は、上部旋回体3の前部中央に俯仰可能に取り付けられ、ブーム4の先端には、アーム5が上下回動可能に取り付けられ、アーム5の先端には、バケット6が上下回動可能に取り付けられる。ブーム4、アーム5、及びバケット6は、それぞれ、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9により油圧駆動される。
【0018】
バケット6は、エンドアタッチメントの一例であり、アーム5の先端には、作業内容等に応じて、バケット6の代わりに、他のエンドアタッチメントが取り付けられてもよい。他のエンドアタッチメントは、例えば、法面用バケット、浚渫用バケット等のバケット6と異なる種類のバケットであってよい。また、他のエンドアタッチメントは、例えば、ブレーカ、攪拌機、グラップル等のバケットと異なる種類のエンドアタッチメントであってもよい。
【0019】
キャビン10は、上部旋回体3の前部左側に搭載され、その内部(室内)には、オペレータが着座する操縦席や後述する操作装置26(
図2参照)等が設けられる。
【0020】
ショベル200は、キャビン10に搭乗するオペレータの操作に応じて、下部走行体1(左右のクローラ)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素を動作させる。
【0021】
また、ショベル200は、キャビン10に搭乗するオペレータによって操作可能に構成されるのに代えて、或いは、加えて、ショベル200の外部から遠隔操作(リモート操作)が可能に構成されてもよい。ショベル200が遠隔操作される場合、キャビン10の内部は、無人状態であってもよい。以下、オペレータの操作には、キャビン10のオペレータの操作装置26に対する操作、及び外部のオペレータの遠隔操作の少なくとも一方が含まれる前提で説明を進める。
【0022】
遠隔操作には、例えば、所定の外部装置で行われるショベル200のアクチュエータに関する操作入力によって、ショベル200が操作される態様が含まれる。この場合、ショベル200は、所定の外部装置と通信可能な(図示しない)通信機器を搭載し、例えば、(図示しない)撮像装置が出力する画像情報(撮像画像)を外部装置に送信してよい。そして、外部装置は、自装置に設けられる表示装置(以下、「遠隔操作用表示装置」)に受信される画像情報(撮像画像)を表示させてよい。また、ショベル200のキャビン10の内部の出力装置50(表示装置)に表示される各種の情報画像(情報画面)は、同様に、外部装置の遠隔操作用表示装置にも表示されてよい。これにより、外部装置のオペレータは、例えば、遠隔操作用表示装置に表示されるショベル200の周囲の様子を表す撮像画像や情報画面等の表示内容を確認しながら、ショベル200を遠隔操作することができる。そして、ショベル200は、通信機器により外部装置から受信される、遠隔操作の内容を表す遠隔操作信号に応じて、油圧アクチュエータを動作させ、下部走行体1(左右のクローラ)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素を駆動してよい。
【0023】
また、遠隔操作には、例えば、ショベル200の周囲の人(例えば、作業者)のショベル200に対する外部からの音声入力やジェスチャ入力等によって、ショベル200が操作される態様が含まれてよい。具体的には、ショベル200は、ショベル200(自機)に搭載される音声入力装置(例えば、マイクロフォン)やジェスチャ入力装置(例えば、撮像装置)等を通じて、周囲の作業者等により発話される音声や作業者等により行われるジェスチャ等を認識する。そして、ショベル200は、認識した音声やジェスチャ等の内容に応じて、アクチュエータを動作させ、下部走行体1(左右のクローラ)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素を駆動してもよい。
【0024】
また、ショベル200は、オペレータの操作の内容に依らず、自動でアクチュエータを動作させてもよい。これにより、ショベル200は、下部走行体1(クローラ1CL,1CR)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素の少なくとも一部を自動で動作させる機能(いわゆる「自動運転機能」或いは「マシンコントロール機能」)を実現する。
【0025】
自動運転機能には、オペレータの操作装置26に対する操作や遠隔操作に応じて、操作対象の被駆動要素(油圧アクチュエータ)以外の被駆動要素(アクチュエータ)を自動で動作させる機能(いわゆる「半自動運機能」)が含まれてよい。また、自動運転機能には、オペレータの操作装置26に対する操作や遠隔操作がない前提で、複数の被駆動要素(アクチュエータ)の少なくとも一部を自動で動作させる機能(いわゆる「完全自動運転機能」)が含まれてよい。ショベル200において、完全自動運転機能が有効な場合、キャビン10の内部は無人状態であってよい。また、半自動運転機能や完全自動運転機能等には、自動運転の対象の被駆動要素(アクチュエータ)の動作内容が予め規定されるルールに従って自動的に決定される態様が含まれてよい。また、半自動運転機能や完全自動運転機能等には、ショベル200が自律的に各種の判断を行い、その判断結果に沿って、自律的に自動運転の対象の被駆動要素(アクチュエータ)の動作内容が決定される態様(いわゆる「自律運転機能」)が含まれてもよい。
【0026】
[ショベルの構成]
次に、
図1に加えて、
図2を参照して、本実施形態に係るショベル200の構成について説明する。
【0027】
図2は、本実施形態に係るショベル200の構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【0028】
なお、
図2において、機械的動力ラインは二重線、油圧ラインは太い実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御ラインは細い実線でそれぞれ示される。
【0029】
<油圧駆動系>
本実施形態に係るショベル200の油圧駆動系は、下部走行体1、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素のそれぞれを油圧駆動する走行油圧モータ1R,1L、旋回油圧モータ2M、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等の油圧アクチュエータを含む。また、本実施形態に係るショベル200の油圧駆動系は、ポンプ用電動機12と、メインポンプ14と、コントロールバルブ17とを含む。
【0030】
ポンプ用電動機12(電動機の一例)は、油圧駆動系の動力源である。ポンプ用電動機12は、例えば、IPM(Interior Permanent Magnet)モータである。ポンプ用電動機12は、インバータ18Aを介してバッテリモジュール19及び電力変換装置100を含む高圧電源と接続される。ポンプ用電動機12は、インバータ18Aを介してバッテリモジュール19から供給される三相交流電力で力行運転し、メインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動する。ポンプ用電動機12の駆動制御は、後述するショベルコントローラ30の制御下で、インバータ18Aにより実行されてよい。
【0031】
メインポンプ14は、作動油タンクTから作動油を吸い込み、高圧油圧ライン16に吐出することにより、高圧油圧ライン16を通じてコントロールバルブ17に作動油を供給する。メインポンプ14は、ポンプ用電動機12により駆動される。メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、後述するショベルコントローラ30の制御下で、(図示しない)レギュレータが斜板の角度(傾転角)を制御する。これにより、メインポンプ14は、ピストンのストローク長を調整し、吐出流量(吐出圧)を調整することができる。
【0032】
なお、メインポンプ14は、ポンプ用電動機12に加えて、他の動力源からの動力で駆動されてもよい。例えば、ブーム4の下げ動作時やアーム5の閉じ動作時にブーム4やアーム5の自重でブームシリンダ7やアームシリンダ8から作動油タンクに排出される作動油のエネルギを回生し、メインポンプ14を駆動してもよい。具体的には、ブーム4の下げ動作時やアーム5の閉じ動作時にブーム4やアーム5の自重でブームシリンダ7やアームシリンダ8から作動油タンクに排出される作動油のエネルギで、メインポンプ14の回転軸と同軸で配置される油圧モータを駆動させてよい。また、ブーム4の下げ動作時やアーム5の閉じ動作時にブーム4やアーム5の自重でブームシリンダ7やアームシリンダ8から作動油タンクに排出される作動油のエネルギを回生し、発電機に発電を行わせてもよい。具体的には、ブーム4の下げ動作時やアーム5の閉じ動作時にブーム4やアーム5の自重でブームシリンダ7やアームシリンダ8から作動油タンクに排出される作動油のエネルギで、発電機と同軸に配置される油圧モータを駆動することにより、発電機に発電を行わせてよい。この場合、発電機の発電電力は、ポンプ用電動機12に供給されたり、バッテリモジュール19に充電されたりしてよい。
【0033】
コントロールバルブ17は、オペレータの操作や自動運転機能に対応する操作指令に応じて、油圧駆動系の制御を行う油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、上述の如く、高圧油圧ライン16を介してメインポンプ14と接続され、メインポンプ14から供給される作動油を、油圧アクチュエータ(走行油圧モータ1R,1L、旋回油圧モータ2M、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9)に選択的に供給可能に構成される。例えば、コントロールバルブ17は、メインポンプ14から油圧アクチュエータのそれぞれに供給される作動油の流量と流れる方向とを制御する複数の制御弁(方向切換弁)を含むバルブユニットである。メインポンプ14から供給され、コントロールバルブ17や油圧アクチュエータを通流した作動油は、コントロールバルブ17から作動油タンクTに排出される。
【0034】
<電気駆動系>
本実施形態に係るショベル200の電気駆動系は、ポンプ用電動機12と、センサ12sと、インバータ18Aとを含む。また、本実施形態に係るショベル200の電気駆動系は、バッテリモジュール19及び電力変換装置100等により構成される高圧電源を含む。
【0035】
センサ12sは、電流センサ12s1と、電圧センサ12s2と、回転状態センサ12s3とを含む。
【0036】
電流センサ12s1は、ポンプ用電動機12の三相(U相、V相、及びW相)のそれぞれの電流を検出する。電流センサ12s1は、例えば、ポンプ用電動機12とインバータ18Aの間の電力経路に設けられる。電流センサ12s1により検出されるポンプ用電動機12の三相それぞれの電流に対応する検出信号は、通信線を通じて、直接的に、インバータ18Aに取り込まれる。また、当該検出信号は、通信線を通じて、ショベルコントローラ30に取り込まれ、ショベルコントローラ30経由で、インバータ18Aに入力されてもよい。
【0037】
電圧センサ12s2は、ポンプ用電動機12の三相のそれぞれの印加電圧を検出する。電圧センサ12s2は、例えば、ポンプ用電動機12とインバータ18Aの間の電力経路に設けられる。電圧センサ12s2により検出されるポンプ用電動機12の三相それぞれの印加電圧に対応する検出信号は、通信線を通じて、直接的に、インバータ18Aに取り込まれる。また、当該検出信号は、通信線を通じて、ショベルコントローラ30に取り込まれ、ショベルコントローラ30経由で、インバータ18Aに入力されてもよい。
【0038】
回転状態センサ12s3は、ポンプ用電動機12の回転状態(例えば、回転位置(回転角)、回転速度等)を検出する。回転状態センサ12s3は、例えば、ロータリエンコーダやレゾルバである。
【0039】
インバータ18Aは、ショベルコントローラ30の制御下で、ポンプ用電動機12を駆動制御する。インバータ18Aは、例えば、直流電力を三相交流電力に変換したり、三相交流電力を直流電力に変換したりする変換回路と、変換回路をスイッチ駆動する駆動回路と、駆動回路の動作を規定する制御信号(例えば、PWM(Pulse Width Modulation)信号)を出力する制御回路とを含む。
【0040】
インバータ18Aの制御回路は、ポンプ用電動機12の動作状態を把握しながら、ポンプ用電動機12の駆動制御を行う。例えば、インバータ18Aの制御回路は、回転状態センサ12s3の検出信号に基づき、ポンプ用電動機12の動作状態を把握する。また、インバータ18Aの制御回路は、電流センサ12s1の検出信号及び電圧センサ12s2の検出信号(或いは制御過程で生成する電圧指令値)に基づき、逐次、ポンプ用電動機12の回転軸の回転角等を推定することにより、ポンプ用電動機12の動作状態を把握してもよい。
【0041】
なお、インバータ18Aの駆動回路及び制御回路の少なくとも一方は、インバータ18Aの外部に設けられてもよい。
【0042】
バッテリモジュール19は、充電された電力を、ショベル200内の電子部品に供給するための構成とする。具体的な構成については後述する。
【0043】
電力変換装置100は、バッテリモジュール19の電力を昇圧したり、インバータ18Aを経由してポンプ用電動機12からの電力を降圧し、バッテリモジュール19に蓄電させたりする。電力変換装置100は、ポンプ用電動機12の運転状態に応じて、DC(Direct Current)バス110の電圧値が一定の範囲内に収まるように昇圧動作と降圧動作とを切り替える。電力変換装置100の昇圧動作と降圧動作との切替制御は、例えば、DCバス110の電圧検出値、バッテリモジュール19の電圧検出値、及びバッテリモジュール19の電流検出値に基づき、ショベルコントローラ30により実行されてよい。
【0044】
なお、バッテリモジュール19の出力電圧を昇圧してポンプ用電動機12に印加する必要が無い場合、電力変換装置100は省略されてもよい。
【0045】
<操作系>
本実施形態に係るショベル200の操作系は、パイロットポンプ15と、操作装置26と、圧力制御弁31とを含む。
【0046】
パイロットポンプ15は、パイロットライン25を介してショベル200に搭載される各種油圧機器(例えば、圧力制御弁31)にパイロット圧を供給する。これにより、圧力制御弁31は、ショベルコントローラ30の制御下で、操作装置26の操作内容(例えば、操作量や操作方向)に応じたパイロット圧をコントロールバルブ17に供給することができる。そのため、ショベルコントローラ30及び圧力制御弁31は、オペレータの操作装置26に対する操作内容に応じた被駆動要素(油圧アクチュエータ)の動作を実現することができる。また、圧力制御弁31は、ショベルコントローラ30の制御下で、遠隔操作信号で指定される遠隔操作の内容に応じたパイロット圧をコントロールバルブ17に供給することができる。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量式油圧ポンプであり、上述の如く、ポンプ用電動機12により駆動される。
【0047】
操作装置26は、キャビン10の操縦席のオペレータから手の届く範囲に設けられ、オペレータがそれぞれの被駆動要素(即ち、下部走行体1の左右のクローラ、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等)の操作を行うために用いられる。換言すれば、操作装置26は、オペレータがそれぞれの被駆動要素を駆動する油圧アクチュエータ(例えば、走行油圧モータ1R,1L、旋回油圧モータ2M、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等)や電動アクチュエータの操作を行うために用いられる。操作装置26は、例えば、電気式であり、オペレータによる操作内容に応じた電気信号(以下、「操作信号」)を出力する。操作装置26から出力される操作信号は、信号線28を介して、ショベルコントローラ30に取り込まれる。これにより、ショベルコントローラ30は、圧力制御弁31を制御し、オペレータの操作内容や自動運転機能に対応する操作指令等に合わせて、ショベル200の被駆動要素(アクチュエータ)の動作を制御することができる。
【0048】
操作装置26は、例えば、レバー26A~26Cを含む。レバー26Aは、例えば、前後方向及び左右方向の操作に応じて、アーム5(アームシリンダ8)及び上部旋回体3(旋回動作)のそれぞれに関する操作を受け付け可能に構成されてよい。レバー26Bは、例えば、前後方向及び左右方向の操作に応じて、ブーム4(ブームシリンダ7)及びバケット6(バケットシリンダ9)のそれぞれに関する操作を受け付け可能に構成されてよい。レバー26Cは、例えば、下部走行体1(クローラ)の操作を受け付け可能に構成されてよい。
【0049】
なお、コントロールバルブ17が電磁パイロット式の制御弁(方向切換弁)で構成される場合、電気式の操作装置26の操作信号は、コントロールバルブ17に直接入力され、それぞれの油圧制御弁が操作装置26の操作内容に応じた動作を行う態様であってもよい。また、操作装置26は、操作内容に応じたパイロット圧を出力する油圧パイロット式であってもよい。この場合、操作内容に応じたパイロット圧は、コントロールバルブ17に供給される。
【0050】
圧力制御弁31は、ショベルコントローラ30の制御下で、パイロットポンプ15からパイロットライン25を通じて供給される作動油を用いて、所定のパイロット圧を出力する。圧力制御弁31の二次側のパイロットラインは、コントロールバルブ17に接続され、圧力制御弁31から出力されるパイロット圧は、コントロールバルブ17に供給される。
【0051】
<電源系>
ショベル200は、バッテリモジュール19の充電を行うための構成として、普通充電用車両インレット101と、急速充電用車両インレット102と、を含む。
【0052】
普通充電用車両インレット101は、外部の電源の所定のケーブル(以下「充電ケーブル」と称する)の先端部に設けられた充電コネクタと接続可能に構成される。
【0053】
充電用AC―DCコンバータ103は、普通充電用車両インレット101を介して、外部の電源から供給された交流電力を、バッテリ192に充電可能な直流電力に変換して、バッテリモジュール19に供給する。
【0054】
急速充電用車両インレット102は、外部の電源(例えば充電ステーション)の充電ケーブルの先端部に設けられた充電コネクタと接続可能に構成される。急速充電用車両インレット102は、例えば、CHAdeMO(登録商標)に基づいた急速充電を行うためのインレットである。本実施形態では、このような直流の充電方法を用いることで、AC―DCコンバータを介さずに、バッテリモジュール19に直流電力を供給できる。
【0055】
本実施形態に係るショベル200のバッテリモジュール19は、ショベル200内の各構成に電力を供給する。バッテリモジュール19は、バッテリ192と、バッテリコントローラ191と、温度センサ193と、を含む。
【0056】
バッテリ192は、ショベル200内の各種構成に対して電力を供給する。例えば、バッテリ192は、充電(蓄電)された電力をポンプ用電動機12に供給する。また、バッテリ192は、ポンプ用電動機12の発電電力(回生電力)を充電する。
【0057】
バッテリ192は、外部の電源と充電ケーブルで接続されることにより充電(蓄電)される。
【0058】
バッテリ192は、例えば、リチウムイオンバッテリであり、相対的に高い出力電圧(例えば、数百ボルト)を有する。
【0059】
温度センサ(検出部の一例)193は、バッテリ192の温度を検出する。温度センサ193による検出結果は、バッテリコントローラ191に出力される。
【0060】
バッテリコントローラ191(制御部の一例)は、バッテリモジュール19内部の構成を制御する。例えば、バッテリコントローラ191は、温度センサ193からの出力結果からバッテリ192の温度状況の監視を行うと共に、バッテリ192のSOC(State Of Charge)を算出する。そして、バッテリコントローラ191は、温度センサ193の検出結果、及びSOCをショベルコントローラ30に出力する。これにより、ショベルコントローラ30は、キャビン10の内部の出力装置50(表示装置)に、バッテリ192の温度や、バッテリ192のSOCを表示させることができる。
【0061】
バッテリコントローラ191は、普通充電用車両インレット101又は急速充電用車両インレット102を介して、外部の電源と充電ケーブルで接続されたか否かによって、給電可能か否かを判定する。本実施形態では、外部の電源と、ショベル200と、の間を充電ケーブルが接続されているか否かに応じて、給電可能な状態であるか否かを判定する。なお、本実施形態は、給電可能か否かの判定手法を、充電ケーブルが接続されているか否かに応じた判定に制限するものではない。例えば、無線給電を行う場合に、外部の電源が設けられた充電設備との相互通信で、給電可能な状態であるか否かを判定する等、他の手法を用いてもよい。
【0062】
そして、バッテリコントローラ191は、外部の電源(例えば充電ステーション)と充電ケーブルで接続されたと判定した場合(換言すれば、給電可能な状態であると判定された場合)に、外部の電源が設けられた充電設備との間で通信を行う。バッテリコントローラ191は、当該充電設備と通信によって、充電設備から電力の供給が許可された場合に、外部の電源からの給電が開始される。
【0063】
<制御系>
本実施形態に係るショベル200の制御系は、ショベルコントローラ30と、出力装置50と、入力装置52と、を含む。
【0064】
出力装置50は、キャビン10内に設けられ、ショベルコントローラ30の制御下で、オペレータに向けて各種情報を出力する。出力装置50は、例えば、視覚的な方法で情報をオペレータに出力(通知)する表示装置を含む。表示装置は、例えば、キャビン10内のオペレータから視認し易い場所に設置され、ショベルコントローラ30の制御下で、各種情報画像を表示してよい。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイである。また、出力装置50は、例えば、オペレータに対して聴覚的な方法で情報を出力する音出力装置を含む。音出力装置は、例えば、ブザーやスピーカ等である。
【0065】
入力装置52は、キャビン10内に設けられ、オペレータからの各種入力を受け付ける。入力装置52は、例えば、オペレータの操作入力を受け付ける操作入力装置を含んでよい。操作入力装置は、例えば、ボタン、トグル、レバー、タッチパネル、タッチパッド等を含む。また、入力装置52は、例えば、オペレータからの音声入力を受け付ける音声入力装置やオペレータからのジェスチャ入力を受け付けるジェスチャ入力装置を含んでもよい。音声入力装置は、例えば、キャビン10内のオペレータの音声を取得するマイクロフォンを含む。また、ジェスチャ入力装置は、例えば、キャビン10内のオペレータのジェスチャの様子を撮像可能な室内カメラを含む。入力装置52で受け付けられるオペレータからの入力に対応する信号は、ショベルコントローラ30に取り込まれる。
【0066】
ショベルコントローラ30は、それぞれの機能が任意のハードウェア、或いは、任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現されてよい。例えば、ショベルコントローラ30は、それぞれ、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置(主記憶装置)、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性の補助記憶装置、及び外部との入出力用のインタフェース装置等を含むコンピュータを中心に構成されてよい。
【0067】
ショベルコントローラ30は、ショベル200の駆動制御を行う。ショベルコントローラ30は、例えば、操作装置26から入力される操作信号に応じて、圧力制御弁31に制御指令を出力し、圧力制御弁31から操作装置26の操作内容に応じたパイロット圧を出力させる。これにより、ショベルコントローラ30は、電気式の操作装置26の操作内容に対応するショベル200の被駆動要素(油圧アクチュエータ)の動作を実現させることができる。
【0068】
また、ショベル200が遠隔操作される場合、ショベルコントローラ30は、例えば、遠隔操作に関する制御を行ってもよい。具体的には、ショベルコントローラ30は、圧力制御弁31に制御指令を出力し、圧力制御弁31から遠隔操作の内容に応じたパイロット圧を出力させてよい。これにより、ショベルコントローラ30は、遠隔操作の内容に対応するショベル200(被駆動要素)の動作を実現させることができる。
【0069】
また、ショベルコントローラ30は、例えば、自動運転機能に関する制御を行ってもよい。具体的には、ショベルコントローラ30は、圧力制御弁31に制御指令を出力し、自動運転機能に対応する操作指令に応じたパイロット圧を圧力制御弁31からコントロールバルブ17に作用させてよい。これにより、ショベルコントローラ30は、自動運転機能に対応するショベル200の被駆動要素(油圧アクチュエータ)の動作を実現させることができる。
【0070】
ショベルコントローラ30は、ショベル200の全体(ショベル200に搭載される各種機器)の動作を統合的に制御してよい。
【0071】
ショベルコントローラ30は、入力される各種情報(例えば、操作装置26の操作信号を含む制御指令等)に基づき、電気駆動系の駆動制御を行う。
【0072】
また、ショベルコントローラ30は、例えば、操作装置26の操作状態に基づき、電力変換装置100を駆動し、電力変換装置100の昇圧運転と降圧運転、換言すれば、バッテリモジュール19の放電状態と充電状態との切替制御を行ってよい。また、ショベルコントローラ30は、例えば、ショベル200が遠隔操作される場合、遠隔操作の内容に基づき、電力変換装置100を駆動し、バッテリモジュール19の放電状態と充電状態との切替制御を行ってよい。また、ショベルコントローラ30は、例えば、ショベル200の自動運転機能が有効な場合、自動運転機能に対応する操作指令に基づき、電力変換装置100を駆動し、バッテリモジュール19の放電状態と充電状態との切替制御を行ってよい。
【0073】
ショベルコントローラ30は、ショベル200の空調システム90の制御を行ってよい。また、ショベルコントローラ30は、空調システム90の制御として、HVAC(Heating, Ventilation, and Air Conditioning)91、ウォータポンプ92、水加熱ヒータ93、及び2個の電磁弁95の稼働及び停止に関する制御を行ってよい。HVAC91、ウォータポンプ92、及び水加熱ヒータ93については後述する。
【0074】
また、ショベルコントローラ30は、例えば、バッテリコントローラ191からバッテリ192の検出値を受けて各種演算を実行し、HVAC91、ウォータポンプ92、水加熱ヒータ93、2個の電磁弁95等に各種指令を出力する。例えば、ショベルコントローラ30は、バッテリ192の温度が第1基準温度(例えば、0度)より低いと判定した場合に、バッテリを暖機するために空調システム90に対して各種指令を出力する。第1基準温度は、バッテリ192を暖機するか否かの基準として定められた温度とする。なお、本実施形態は、バッテリ192に加温するか否かを判定する第1基準温度が0度の場合について説明するが、第1基準温度を0度に制限するものではなく、実施態様に応じた温度が設定される。なお、ショベルコントローラ30が、バッテリ192を暖機するために設けられた各機能ブロックについては後述する。
【0075】
<ショベルの空調系、及び空調系の一部を用いたバッテリを暖機するための構成>
図3は、本実施形態に係るショベル200に搭載される電源系及び空調系の概略図である。電源ケーブルは2重線、冷媒流路は太い実線、信号線は点線でそれぞれ示される。
【0076】
図3に示される例では、ショベル200に設けられている急速充電用車両インレット102は、充電ケーブル1311によって、充電ステーション1301から電力を供給可能に接続されている。なお、本実施形態は、急速充電用車両インレット102が充電ステーション1301から急速充電可能に接続されている例について説明する。しかしながら、本実施形態は、バッテリ192が外部の電源(例えば、充電ステーション1301)から電力の供給可能であれよく、接続されるインレット等を制限するものではない。例えば、充電ステーション1301が普通充電用車両インレット101と接続されてもよい。
【0077】
ところで、従来においては、充電ステーションから供給される電力で、バッテリモジュール内のバッテリを充電する際、バッテリが冷えている場合に、低電流充電となり、バッテリの充電時間が長くなる。そこで、本実施形態においては、バッテリ192の温度が第1基準値(例えば0度)より低い場合、ショベルコントローラ30は、空調システム90に設けられた水加熱ヒータ93等を用いて、バッテリ192の暖機を行ってから、バッテリ192の充電を行う。バッテリモジュール19内の構成は上述した通りなので説明を省略し、空調システム90の構成について説明する。
【0078】
本実施形態では、空調システム90として、HVAC91と、ウォータポンプ92と、水加熱ヒータ93と、リザーブタンク94と、水循環流路96と、を備えている。
【0079】
水循環流路96は、ウォータポンプ92と、水加熱ヒータ93と、リザーブタンク94と、HVAC91と、バッテリモジュール19内のバッテリ192と、の間で水を循環させる経路である。なお、本実施形態は、水を循環させる例について説明するが、水の循環に制限するものではなく、液体の循環であればよい。
【0080】
水循環流路96は、HVAC91が配置された第1分岐流路96Aと、バッテリモジュール19内のバッテリ192が配置された第2分岐流路96Bと、に分岐している。
【0081】
第1分岐流路96Aには第1電磁弁95Aが設けられ、第2分岐流路96Bには第2電磁弁95Bが設けられている。
【0082】
第1電磁弁95Aは、第1分岐流路96Aに水を流すか否かを切り替えるために設けられた弁である。第1電磁弁95Aによる第1分岐流路96Aに水を流すか否かの切り替えは、ショベルコントローラ30からの制御に基づいて行われる。
【0083】
第2電磁弁95B(バッテリ192近傍に設けられた流路に案内する機構の一例)は、第2分岐流路96Bに水を流すか否かを切り替えるために設けられた弁である。第2電磁弁95Bによる第2分岐流路96Bに水を流すか否かの切り替えは、ショベルコントローラ30からの制御に基づいて行われる。
【0084】
なお、本実施形態においては、第1分岐流路96Aと第2分岐流路96Bとに流れる水を切り替えるために、第1電磁弁95A及び第2電磁弁95Bを用いる例について説明する。しかしながら、本実施形態は、水の流れを切り替え可能な構成であればよく、第1電磁弁95Aと第2電磁弁95Bとを用いる例に制限するものではない。例えば、第1分岐流路96Aと第2分岐流路96Bとに流れる水を切り替えるために、三方弁などを用いてもよい。
【0085】
ウォータポンプ92は、ショベルコントローラ30からの制御に従って、水循環流路96から流れてくる水を吸い込み、吐出することにより、水循環流路96内の水を循環させる。
【0086】
HVAC91(空調装置の一例)は、ショベルコントローラ30からの制御に従って、キャビン10内部の空気の状態を調整できるように構成されている。空気の状態とは、例えば、温度又は湿度等である。本実施形態に係るHVAC91は、送風機、熱交換器、及び加湿器等の空気の状態を調整するための機器を一体的に含む装置ユニットである。例えば、HVAC91は、水循環流路96を流れる水と、キャビン10内部の空気との間で熱を交換することで、キャビン10内部の空気の温度等を調整する。
【0087】
水加熱ヒータ93(加熱ヒータの一例)は、ショベルコントローラ30からの制御に従って、水循環流路96を流れる水を加温する。水加熱ヒータ93は、水を加温可能なヒータであればよく。例えば、PTCヒータを用いてもよい。
【0088】
リザーブタンク94は、水循環流路96を流れる水を一時的に溜めるために設けられたタンクである。例えば、水加熱ヒータ93の加温等に応じて水の温度が変化して、水循環流路96を流れる水の体積が変化した場合であっても、リザーブタンク94が水を一時的に溜めることができるので、水循環流路96内の内圧を調整し、水循環流路96に負荷がかかることを抑制できる。
【0089】
<ショベルコントローラの機能ブロック>
ショベルコントローラ30内の各機能ブロックについて説明する。ショベルコントローラ30内の各機能ブロックは概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各機能ブロックの全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。各機能ブロックにて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUにて実行されるプログラムにより実現される。または各機能ブロックをワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。
【0090】
本実施形態においては、ショベルコントローラ30が、充電ステーション(外部の電源の一例)1301と、普通充電用車両インレット101又は急速充電用車両インレット102と、の間に充電ケーブル1311によって充電可能に接続されている場合に、空調システム90内の各構成を制御して、水加熱ヒータ93で加温された温水を、水循環流路96及び第2分岐流路96Bを介してバッテリ192に流すことで、バッテリ192の暖機を行う。
【0091】
このため、ショベルコントローラ30は、バッテリ192の充電制御を行うための機能ブロックとして、取得部301と、判定部302と、加温制御部303と、充電制御部304と、を備える。さらに、ショベルコントローラ30は、不揮発性の補助記憶装置に、バッテリ充電電力保持部305と、水加熱ヒータ出力保持部306と、設定時刻保持部307と、を備える。まずは、補助記憶装置に格納されている各保持部について説明する。
【0092】
バッテリ充電電力保持部305は、バッテリ192の温度と、当該温度の場合にバッテリ192に充電するための電力の制限値と、の対応関係を保持している。
【0093】
図4は、本実施形態に係るバッテリ充電電力保持部305が保持する対応関係をグラフとして示した図である。
図4の対応関係を示す線1401に従って充電制御部304が充電制御を行う。具体的な例としては、バッテリ192の温度が0度以下の場合には、充電は抑制されている。
図4に示されるように、バッテリ192の温度が、0度~10度の間で、バッテリ192の温度に応じて、充電するための電力の制限値が上昇する。バッテリ192の温度が10度以上の場合に、バッテリ192は、充電可能な最大電力Pbで充電される。
【0094】
水加熱ヒータ出力保持部306は、バッテリ192の温度と、水加熱ヒータ93に供給される電力の制限値と、の対応関係を保持している。
【0095】
図5は、本実施形態に係る水加熱ヒータ出力保持部306が保持する対応関係をグラフとして示した図である。
図5に示される例では、バッテリ192の温度が5度以下の場、水加熱ヒータ93には、加温する際の最大電力Phが供給される。
図5に示されるように、バッテリ192の温度が5度~10度の間で、バッテリ192の温度が上昇するに従って、水加熱ヒータ93に供給される電力は減少するように制御される。
【0096】
図3に戻り、設定時刻保持部307は、ショベル200が作業を開始する作業開始時刻を示す時刻情報を保持する。また、設定時刻保持部307が保持する作業開始時刻の時刻情報は、ショベル200に搭乗しているオペレータが入力装置52を介した操作として入力された時刻情報や、オペレータが外部装置から送信された時刻情報が格納されている。他の例としては、設定時刻保持部307は、作業現場を管理する管理センター(管理装置の一例)が予め作成された作業のスケジュール情報に従って自動設定された、各日程の作業開始時刻を示した時刻情報を保持してもよい。さらには、補助記憶装置が、ショベル200の過去の作業開始時刻及び作業終了時刻を含んだ作業履歴情報を記憶し、ショベルコントローラ30が、当該作業履歴情報に基づいて各日程の作業開始時刻を推測し、設定時刻保持部307が、推測された各日程の作業開始時刻の時刻情報を記憶してもよい。このように設定時刻保持部307が保持する時刻情報の設定は、周知の手法を問わず、どのような設定手法を用いてもよい。
【0097】
取得部301は、ショベル200内の各種構成の信号を取得する。例えば、取得部301は、バッテリコントローラ191から、外部の電源(例えば、充電ステーション1301)と接続されているか否かを示す情報を取得する。また、外部の電源(例えば、充電ステーション1301)と接続されている場合に、取得部301は、バッテリコントローラ191から、接続された外部の電源(例えば、充電ステーション1301)に関する情報(例えば、供給可能な最大電力等)を取得してもよい。
【0098】
また、取得部301は、バッテリコントローラ191から、温度センサ193が検出したバッテリ192の温度等を取得する。
【0099】
判定部302は、取得部301が取得した信号等に基づいて、バッテリ192の充電に関する様々な判定を行う。
【0100】
加温制御部303は、判定部302による判定結果に応じて、空調システム90の各構成を制御して、バッテリ192を加温する制御を行う。
【0101】
加温制御部303は、バッテリ192を加温する制御として、第1電磁弁95Aを閉じる制御と共に、第2電磁弁95Bを開ける制御を行う。これにより、バッテリ192に、水循環流路96の水が流れる。
【0102】
さらに、加温制御部303は、加温する制御として、ウォータポンプ92の駆動を開始すると共に、水加熱ヒータ93による加温を開始する制御を行う。これにより、水加熱ヒータ93によって温められた温水が、バッテリモジュール19のバッテリ192に流れる。したがって、本実施形態は、空調システム90でバッテリ192を加温できる。
【0103】
充電制御部304は、判定部302による判定結果に応じて、外部の電源(例えば、充電ステーション1301)から供給される電力で、バッテリ192を充電する制御を行う。
【0104】
例えば、判定部302は、充電ステーション1301がバッテリ192に充電可能に接続されている間に、取得部301が取得した、(温度センサ193が検出する)バッテリ192の温度が、0度(第1基準温度の一例)より低いか否かを判定する。0度(第1基準温度の一例)より低いと判定された場合、充電制御部304が充電ステーション1301から供給される電力でバッテリ192の充電を開始する前に、加温制御部303が、充電ステーション1301から供給される電力を用いて、空調システム(加温機構の一例)90でバッテリ192の加温するよう制御する。
【0105】
一方、判定部302は、0度(第1基準温度の一例)以上と判定した場合には、空調システム90を用いたバッテリ192の加温が行われずに、充電制御部304が、バッテリ192に対する充電の制御を開始する。その際、充電制御部304は、バッテリ充電電力保持部305が保持する、バッテリ192の温度に対応する電力の制限値より、バッテリ192に充電される電力が大きくならないよう、バッテリコントローラ191に指示する。これにより、バッテリコントローラ191は、充電ステーション1301と通信して、当該制限値に対応する電力がバッテリ192に供給されるように調整する。
【0106】
バッテリ192の温度が0度(第1基準温度の一例)より低いため、充電ステーション1301からの電力を用いた空調システム90でバッテリ192の加温が行われている間、判定部302は、(温度センサ193が検出する)バッテリ192の温度が、5度(第2基準温度の一例)以上か否かを判定する。判定部302が5度(第2基準温度の一例)以上と判定された場合には、加温制御部303が、充電ステーション1301から供給される電力を用いて空調システム90でバッテリ192を加温し続けると共に、充電制御部304が、充電ステーション1301から供給される電力をバッテリ192に充電する制御を開始する。その際、加温制御部303は、水加熱ヒータ出力保持部306が保持する、バッテリ192の温度に対応する電力の制限値より、水加熱ヒータ93に供給される電力が大きくならないように制御する。同様に、充電制御部304は、バッテリ充電電力保持部305が保持する、バッテリ192の温度に対応する電力の制限値より、バッテリ192に充電される電力が大きくならないように、バッテリコントローラ191に指示する。なお、本実施形態は、バッテリ192の充電する制御を開始するか否かを判定する第2基準温度が5度の場合について説明するが、第2基準温度を5度に制限するものではなく、実施態様に応じた温度が設定されればよい。
【0107】
空調システム90によるバッテリ192の加温と、充電制御部304による、充電ステーション1301から供給される電力でバッテリ192の充電と、が行われている間、(温度センサ193が検出する)バッテリ192の温度が5度(第2基準温度の一例)より高くなるに従って、充電制御部304は、バッテリ充電電力保持部305に従って、充電ステーション1301からバッテリ192に供給される電力量を上昇させる制御を行うと共に、加温制御部303が、水加熱ヒータ出力保持部306に従って、充電ステーション1301から空調システム90(加温機構の一例)に供給される電力量を減少させるような制御を行う。
【0108】
つまり、バッテリ192の温度が5度(第2基準温度の一例)より高くなった場合には、バッテリ192が充電可能なものとして、充電を開始する。その際に、バッテリ192は充電による自己発熱で、バッテリ192本体を温めることができる。
【0109】
なお、本実施形態では、判定部302が、バッテリ192の温度が、5度(第2基準温度の一例)以上と判定した場合に、充電制御部304が、充電ステーション1301から供給される電力をバッテリ192に充電する制御を開始する例について説明した。しかしながら、本実施形態は、判定部302が、5度(第2基準温度の一例)以上と判定した場合に、充電制御部304が、充電する制御を開始するための基準温度を制限するものではない。例えば、判定部302が、バッテリ192の温度が0度(第1基準温度の一例)よりも高いと判定した場合に、充電制御部304が、充電を開始する制御を開始してもよい。このように、本実施形態においては、充電制御部304が、充電する制御を開始する基準温度は、バッテリ192の充電が可能な温度であればよい。
【0110】
また、バッテリ192の温度が0度(第1基準温度の一例)よりも高いと判定され、充電が開始された場合に、加温制御部303は、充電ステーション1301から空調システム90(加温機構の一例)に供給される電力量を減少させるような制御を行ってもよい。この際、バッテリ192の温度が0度(第1基準温度の一例)より高くなるに従って、充電制御部304が、充電ステーション1301からバッテリ192に供給される電力量を上昇させ、加温制御部303が、充電ステーション1301から空調システム90(加温機構の一例)に供給される電力量を減少させるように制御を行ってもよい。さらには、バッテリ192の温度が0度(第1基準温度の一例)より高くなるに従って、充電制御部304が、充電ステーション1301からバッテリ192に供給される電力量を上昇させる際に、充電ステーション1301から充電及び加熱に十分な電力を供給可能な場合には、充電ステーション1301から空調システム90(加温機構の一例)に供給される電力量を減少させなくてもよい。このように、充電の開始条件(又は開始温度)、充電量を増加する条件(又は温度)、加熱するために供給される電力量を減少させる条件(又は温度)、加熱を終了する条件(又は温度)は、様々な組み合わせが考えられるので、任意の組み合わせを用いてよい。
【0111】
また、充電ステーション1301が供給可能な電力よりも、空調システム90による加温に必要な電力量と、バッテリ192に充電される電力量と、の合計値が高い場合がある。このような場合、充電ステーション1301が供給可能な電力から、空調システム90による加温に必要な電力量を減算した電力量が、バッテリ192に充電される電力量として用いられる。つまり、バッテリ192に対する加温を優先することで、バッテリ192を早く温めて、最大電力Pbによる充電を早期に開始できる。
【0112】
その後、バッテリ192の温度が10度(第3基準温度の一例)以上になった場合、加温制御部303が、空調システム90によるバッテリ192の加温を停止し、充電制御部304は、バッテリ192に対して最大電力Pbで充電を行うよう制御する。その後は、バッテリ192の充電による自己発熱によって、バッテリ192が冷えることを抑制できる。なお、本実施形態は、バッテリ192の加温を停止するか否かを判定する第3基準温度が10度の場合について説明するが、第3基準温度を10度に制限するものではなく、実施態様に応じた温度が設定されればよい。
【0113】
加温制御部303は、バッテリ192の加温を停止として、ウォータポンプ92の駆動を停止すると共に、水加熱ヒータ93による加温を停止する。
【0114】
本実施形態に係るショベルコントローラ30は、設定時刻保持部307に時刻情報として保持されている、ショベル200の作業開始時刻に、バッテリ192の充電、及びバッテリ192の暖気が完了するように制御を行う。
【0115】
具体的には、判定部302が、設定時刻保持部307に情報として保持されている、ショベル200の作業開始時刻から、充電時間を減算した時刻になったか否かを判定する。そして、判定部302が、作業開始時刻から、充電時間を減算した時刻になったと判定した場合に、外部の電源からバッテリ192への充電制御を開始する。その際、バッテリ192から検知された温度が0度(第1基準温度)より低いと判定された場合には、上述した制御を行う。
【0116】
充電時間は、外部の電源(例えば充電ステーション1301)からバッテリ192を満充電するまでに要する時間とする。充電時間は、バッテリ192のSOC、充電ステーション1301が出力可能な最大電力、及びバッテリ192の温度に基づいて算出される時間であってもよいし、予め設定された時間(例えば2時間)でもよい。つまり、充電時間は、バッテリ192を満充電にすることが可能な時間であればよい。
【0117】
作業開始時刻から充電時間を減算した時刻にバッテリ192の充電を開始して、バッテリ192が満充電になったのが作業開始時刻よりも早い場合、判定部302が、作業開始時間になるまでの間に、バッテリ192の温度が5度(第2基準温度の一例)より小さくなったか否かを判定する。そして、判定部302が、5度(第2基準温度の一例)より小さくなったと判定した場合には、加温制御部303が、空調システム90でバッテリ192を加温する制御を行ってもよい。
【0118】
ショベルコントローラ30は、上述した制御を行うことで、設定時刻保持部307が保持している情報で示される作業開始時刻に、バッテリ192の充電を完了させていると共に、空調システム90による加温によって、温度センサ193が検出するバッテリ192の温度が5度(第2基準温度の一例)より高くなるように制御を行う。
【0119】
<作業開始時刻までの充電の流れ>
次に、ショベルコントローラ30における、作業開始時刻までに行われるバッテリ192の充電処理手順について説明する。
図6は、本実施形態に係るショベルコントローラ30における、作業開始時刻までに行われる充電処理手順を示したフローチャートである。
【0120】
まず、判定部302は、取得部301が取得した情報(例えば、バッテリコントローラ191による充電ステーション1301との通信結果)に基づいて、普通充電用車両インレット101又は、急速充電用車両インレット102に、充電ケーブル1311で充電ステーション1301(外部の電源の一例)と接続されるか否かを判定する(S1601)。接続されていない場合(S1601:No)、接続されるまで当該判定を繰り返す。
【0121】
判定部302は、普通充電用車両インレット101又は、急速充電用車両インレット102に、充電ケーブル1311で充電ステーション1301と接続されたと判定した場合(S1601:Yes)、充電ステーション1301からバッテリ192を満充電にするまでの充電時間を導出する(S1602)。充電時間は、上述したとおりとして、説明を省略する。
【0122】
そして、判定部302は、現在時刻が、作業開始時刻から充電時間を減算した時刻以降であるか否かを判定する(S1603)。現在時刻が、作業開始時刻から、充電時間を減算した時刻より前であると判定した場合(S1603:No)、判定部302は、現在時刻が、作業開始時刻から充電時間を減算した時刻になるまで当該判定を繰り返す。
【0123】
判定部302は、現在時刻が、作業開始時刻から充電時間を減算した時刻以降であると判定した場合(S1603:Yes)、取得部301が、バッテリコントローラ191から、バッテリ192の温度を取得する(S1604)。
【0124】
そして、判定部302は、取得したバッテリ192の温度が、0度より低いか否かを判定する(S1605)。0度以上と判定した場合(S1605:No)、充電制御部304が、充電ステーション1301から供給される電力で、バッテリ192の充電を開始し(S1606)、S1614の処理に移る。
【0125】
一方、判定部302は、取得したバッテリ192の温度が、0度より低いと判定した場合(S1605:Yes)、加温制御部303が、第1電磁弁95Aを閉じると共に、第2電磁弁95Bを開けた上で、水加熱ヒータ93による加温及びウォータポンプ92の駆動を開始する(S1607)。これにより、バッテリ192の加温が開始される。
【0126】
取得部301が、バッテリコントローラ191から、バッテリ192の温度を取得する(S1608)。
【0127】
そして、判定部302は、取得したバッテリ192の温度が、5度以上か否かを判定する(S1609)。5度より低いと判定された場合(S1609:No)、S1607で開始された空調システム90によるバッテリ192の加温を継続して行う。
【0128】
一方、判定部302は、取得したバッテリ192の温度が、5度以上と判定した場合(S1609:Yes)、加温制御部303は、バッテリ192の温度に応じた電力量で水加熱ヒータ93による加温を行うと共に、充電制御部304が、バッテリ192の温度に応じた電力量で充電を行う(S1610)。この際、充電制御部304は、バッテリ192へ充電する電力と、水加熱ヒータ93の消費電力の和が、充電ステーション1301の最大出力を超えないよう、バッテリ192へ充電する電力を制限する。
【0129】
取得部301が、バッテリコントローラ191から、バッテリ192の温度を取得する(S1611)。
【0130】
そして、判定部302は、取得したバッテリ192の温度が、10度以上か否かを判定する(S1612)。10度より低いと判定された場合(S1612:No)、再びS1610から処理を行う。
【0131】
一方、判定部302は、取得したバッテリ192の温度が、10度以上と判定した場合(S1612:Yes)、加温制御部303は水加熱ヒータ93の加温及びウォータポンプ92の駆動を停止するとともに、充電制御部304が、充電ステーション1301から最大電力Pbでバッテリ192の充電を開始する(S1613)。この際、最大電力Pbが充電ステーション1301の最大出力を超える場合、充電制御部304は、バッテリ192へ充電する電力が、充電ステーション1301の最大出力を超えないよう制限する。
【0132】
そして、充電制御部304は、バッテリコントローラ191から送信されるSOCによって、バッテリ192が満充電になったか否かを判定する(S1614)。バッテリ192が満充電になっていないと判定された場合(S1614:No)、充電を継続しながら、再びS1615の処理を行う。
【0133】
一方、充電制御部304は、バッテリ192が満充電になったと判定された場合(S1614:Yes)、バッテリコントローラ191に充電停止の指示を行い、充電を終了する(S1615)。
【0134】
上述した処理手順によって、作業開始時刻までにバッテリ192の充電が行われる。また、バッテリ192の充電が完了した後、作業開始時刻になるまでに、バッテリ192の温度が、5度よりも小さくなった場合には、加温制御部303が、水加熱ヒータ93の加温及びウォータポンプ92の駆動を開始する制御を行ってもよい。
【0135】
本実施形態では、バッテリ192の充電が完了した場合として、当該バッテリ192のSOCが100%になった場合とする。なお、本実施形態では、バッテリ192の充電の完了を、SOCが100%になった場合に制限するものではなく、他の状態であってもよい。例えば、バッテリ192の寿命を考慮して、SOCが80%~100%の間の所定の基準値に到達した場合でもよいし、ユーザが設定した充電の条件を満たした場合等でもよい。
【0136】
上述した処理によって、外気の温度が低い場合であっても、作業開始時刻には、バッテリ192の充電、及びバッテリ192の温度が5度以上に保持されているので、バッテリ192は、効率を低下させることなく、バッテリ192から供給される電力を用いた動作を行うことができる。したがって、オペレータは、作業開始時刻後、すぐにショベル200による作業を開始できる。
【0137】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、作業開始時刻から充電時間を減算した時刻に、バッテリ192の充電を行う例について説明した。しかしながら、このような充電手法に制限するものではない。そこで、第2の実施形態では、充電ステーション1301と接続された際に充電を行うと共に、作業開始時刻にはバッテリ192の温度を5度以上に保持するよう制御を行う例について説明する。本実施形態におけるショベル200の構成は、第1の実施形態と同様として説明を省略する。
【0138】
次に、ショベルコントローラ30における、作業開始時刻までに行われるバッテリ192の充電及び暖機の処理手順について説明する。
図7は、本実施形態に係るショベルコントローラ30における、作業開始時刻までに行われる充電及び暖機の処理手順を示したフローチャートである。
【0139】
まず、判定部302は、取得部301が取得した情報(例えば、バッテリコントローラ191による充電ステーション1301との通信結果)に基づいて、普通充電用車両インレット101又は、急速充電用車両インレット102に、充電ケーブル1311で充電ステーション1301と接続されるか否かを判定する(S1701)。接続されていない場合(S1701:No)、接続されるまで当該判定を繰り返す。
【0140】
判定部302は、普通充電用車両インレット101又は、急速充電用車両インレット102に、充電ケーブル1311で充電ステーション1301と接続されたと判定した場合(S1701:Yes)、取得部301が、バッテリコントローラ191から、バッテリ192の温度を取得する(S1702)。
【0141】
判定部302は、取得したバッテリ192の温度が、0度より低いか否かを判定する(S1703)。0度以上と判定した場合(S1703:No)、充電制御部304が、充電ステーション1301から供給される電力で、バッテリ192の充電を開始し(S1704)、S1713の処理に移る。
【0142】
一方、判定部302は、取得したバッテリ192の温度が、0度より低いと判定した場合(S1703:Yes)、加温制御部303が、第1電磁弁95Aを閉じると共に、第2電磁弁95Bを開けた上で、水加熱ヒータ93による加温及びウォータポンプ92の駆動を開始する(S1705)。これにより、バッテリ192の加温が開始される。
【0143】
その後、取得部301が、バッテリコントローラ191から、バッテリ192の温度を取得する(S1706)。
【0144】
そして、判定部302は、取得したバッテリ192の温度が、5度以上か否かを判定する(S1707)。5度より低いと判定された場合(S1707:No)、S1705で開始された空調システム90によるバッテリ192の加温を継続して行いながら、所定時間後に再びS1707の処理を行う。
【0145】
一方、判定部302は、取得したバッテリ192の温度が、5度以上と判定した場合(S1707:Yes)、加温制御部303は、バッテリ192の温度に応じた電力量で水加熱ヒータ93による加温を行うと共に、充電制御部304が、バッテリ192の温度に応じた電力量で充電を行う(S1708)。この際、充電制御部304は、バッテリ192へ充電する電力と、水加熱ヒータ93の消費電力の和が、充電ステーション1301の最大出力を超えないよう、バッテリ192へ充電する電力を制限する。
【0146】
その後、取得部301が、バッテリコントローラ191から、バッテリ192の温度を取得する(S1709)。
【0147】
そして、判定部302は、取得したバッテリ192の温度が、10度以上か否かを判定する(S1710)。10度より低いと判定された場合(S1710:No)、再び1708から処理を行う。
【0148】
一方、判定部302は、取得したバッテリ192の温度が、10度以上と判定した場合(S1710:Yes)、加温制御部303は水加熱ヒータ93の加温及びウォータポンプ92の駆動を停止するとともに、充電制御部304が、充電ステーション1301から最大電力Pbでバッテリ192の充電を開始する(S1711)。この際、最大電力Pbが充電ステーション1301の最大出力を超える場合、充電制御部304は、バッテリ192へ充電する電力が、充電ステーション1301の最大出力を超えないよう制限する。
【0149】
そして、充電制御部304は、バッテリコントローラ191から送信されるSOCによって、バッテリ192が満充電になったか否かを判定する(S1712)。バッテリ192が満充電になっていないと判定された場合(S1712:No)、充電を継続しながら、再びS1712の処理を行う。
【0150】
一方、充電制御部304は、バッテリ192が満充電になったと判定された場合(S1712:Yes)、バッテリコントローラ191に充電停止の指示を行い、充電を終了する(S1713)。
【0151】
その後、判定部302は、現在時刻が、作業開始時刻から暖機時間を減算した時刻以降であるか否かを判定する(S1714)。現在時刻が、作業開始時刻から、暖機時間を減算した時刻より前であると判定した場合(S1714:No)、判定部302は、現在時刻が、作業開始時刻から暖機時間を減算した時刻になるまで当該判定を繰り返す。暖機時間は、バッテリ192が温まるまでに要する時間とする。本実施形態に係る暖機時間は、予め定められた時間(例えば1時間)の場合について説明する。なお、暖機時間は、予め定められた時間に制限するものではなく、例えば、バッテリ192の現在の温度等に基づいて算出される時間であってもよい。
【0152】
判定部302は、現在時刻が、作業開始時刻から充電時間を減算した時刻以降であると判定した場合(S1714:Yes)、取得部301が、バッテリコントローラ191から、バッテリ192の温度を取得する(S1715)。
【0153】
そして、判定部302は、取得したバッテリ192の温度が、5度より低いか否かを判定する(S1716)。5度以上と判定した場合(S1716:No)、バッテリ192の暖気は不要とみなして処理を終了する。
【0154】
一方、判定部302は、取得したバッテリ192の温度が、5度より低いと判定した場合(S1716:Yes)、加温制御部303が、第1電磁弁95Aを閉じると共に、第2電磁弁95Bを開けた上で、水加熱ヒータ93による加温及びウォータポンプ92の駆動を開始する(S1717)。これにより、バッテリ192の加温が開始される。
【0155】
その後、取得部301が、バッテリコントローラ191から、バッテリ192の温度を取得する(S1718)。
【0156】
そして、判定部302は、取得したバッテリ192の温度が、10度以上か否かを判定する(S1719)。10度より低いと判定した場合(S1719:No)、バッテリ192の加温を継続しながら、再びS1718から処理を行う。
【0157】
一方、判定部302は、取得したバッテリ192の温度が、10度以上と判定した場合(S1719:Yes)、加温制御部303は、水加熱ヒータ93の加温及びウォータポンプ92の駆動を停止するよう制御する(S1720)。
【0158】
上述した処理手順によって、作業開始時刻までにバッテリ192の充電が行われると共に、バッテリ192の暖気が行われる。また、バッテリ192の暖気が終了した後に、再びバッテリ192の温度が5度よりも小さくなった場合には、S1717~S1720の処理を行ってもよい。
【0159】
上述した実施形態のように、作業開始時刻に、バッテリ192の充電、及びバッテリ192の温度が5度以上に保持されていれば、バッテリ192の充電を行うタイミングを制限するものではない。
【0160】
上述した処理によって、外気の温度が低い場合であっても、作業開始時刻には、バッテリ192の充電、及びバッテリ192の温度が5度以上に保持されているので、ショベル200は、バッテリ192から供給される電力を用いた動作を行うことができる。換言すれば、オペレータは、作業開始時刻後、すぐにショベル200による作業を開始できるので、作業効率の向上を実現できる。
【0161】
上述した実施形態では、加熱機構として、空調システム90として備えた水加熱ヒータ93で温めた水を、第2分岐流路96Bに流すことで、バッテリ192を暖機させる例について説明した。しかしながら、上述した実施形態は、加熱機構を、キャビン10内の空気を調整する空調システム90を流用する手法に制限するものではない。加熱機構は、バッテリ192を加熱可能な機構であればよい。例えば、バッテリ192近傍に、加熱機構として加熱ヒータを設けてもよい。
【0162】
上述した実施形態では、暖機を行うか否かの基準となる第1基準温度が0度、充電を開始するか否かの基準となる第2基準温度が5度、暖機を終了するか否かの基準となる第3基準温度が10度の場合について説明した。しかしながら、上述した実施形態は、第1基準温度、第2基準温度、及び第3基準温度の一例を示したもので具体的な温度設定は、実施態様に応じて異なる。例えば、第2基準温度は、第1基準温度と同じ温度であってもよい。
【0163】
(変形例)
上述した実施形態では、ショベル200で充電を行う態様について説明した。しかしながら、上述した実施形態は、ショベル200のみで充電に関する設定を行う態様に制限するものではない。そこで、本変形例では、管理システムで電動ショベルの充電に関する設定を行う例について説明する。
【0164】
図8は、本変形例に係る管理システムの構成を例示した図である。
図8に示される例では管理システム800として、ショベル200と、第1通信端末801と、第2通信端末802と、を備えている。ショベル200と、第1通信端末801と、第2通信端末802と、の間は、通信ネットワーク850を介して接続されている。
【0165】
通信ネットワーク850は、ショベル200、第1通信端末801、及び第2通信端末802の間で相互通信を可能であればよく、所定の移動体通信規格(例えば、LTE、4G、又は5G)で相互通信を行ってもよい。さらには、通信ネットワーク850は、無線通信規格(例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)を用いた無線通信ネットワークでもよい。
【0166】
第1通信端末801、及び第2通信端末802は、例えば、オペレータを含む、ショベル200が作業する作業現場の作業員が利用する通信端末(例えば、スマートフォン、タブレット端末、又はPC)とする。また、第1通信端末801、及び第2通信端末802は、作業員が利用する通信端末に制限するものではなく、ショベル200の作業を管理するための管理サーバ等でもよい。
【0167】
本変形例に係るショベル200は、上述した実施形態のショベル200と同様の構成を備える他に、ショベルコントローラ30に、充電条件保持部308をさらに備えている。
【0168】
充電条件保持部308は、充電条件情報を記憶する。充電条件情報は、給電ステーション(外部の電源の一例)からバッテリ192に充電を開始するための条件が示されている。充電条件情報は、例えば、上述した実施形態のように、作業開始時刻を基準とした条件でもよい。充電条件情報の他の例としては、充電を開始する開始時刻が設定されていてもよい。充電条件情報は、時刻に関する条件に制限するものではなく、どのような条件であってもよい。例えば、オペレータが搭乗しているか否か、バッテリ192のSOCが所定の基準値以下か否かなどを含めてもよい。
【0169】
充電制御部304は、給電ステーション(外部の電源の一例)がバッテリ192に充電可能に接続されている場合に、充電条件情報に従って、給電ステーションからバッテリ192に充電するための制御を行う。その際に、上述した実施形態と同様にバッテリ192の暖機を行う。
【0170】
具体的には、判定部302が、充電条件情報で示された充電を開始する条件を満たした否かを判定する。充電を開始する条件を満たしたと判定した場合、取得部301が、バッテリコントローラ191から、バッテリ192の温度を取得する。そして、判定部302は、取得したバッテリ192の温度が、0度(第1基準温度の一例)より低いか否かを判定する。判定部302は、取得したバッテリ192の温度が、0度より低いと判定した場合、加温制御部303が、第1電磁弁95Aを閉じると共に、第2電磁弁95Bを開けた上で、水加熱ヒータ93による加温及びウォータポンプ92の駆動を開始する。
【0171】
その後、充電制御部304は、上述した実施形態と同様の手順でバッテリ192を充電するようにバッテリコントローラ191に指示する。
【0172】
充電条件保持部308に記憶されている充電条件情報は、ショベル200に搭乗しているオペレータが入力装置52を介した操作として入力された情報に制限するものではなく、第1通信端末801、及び第2通信端末802によって設定された情報でもよい。そこで、第1通信端末801が、設定する場合について説明する。
【0173】
第1通信端末801は、表示装置811に、充電条件情報の入力を受け付けるための画面情報を表示する。画面情報は、充電条件情報を入力するための欄が表示される。充電条件情報としては、充電を開始する時刻でもよいし、上述した実施形態に作業開始時刻でもよい。
【0174】
そして、第1通信端末801は、画面情報に入力された充電条件情報を、ショベル200に送信する。
【0175】
ショベル200のショベルコントローラ30は、第1通信端末801から充電条件情報を受信する。そして、ショベルコントローラ30は、受信した充電条件情報を、充電条件保持部308に記憶する。そして、ショベルコントローラ30は、記憶された充電条件情報に基づいて、上述した制御を行う。
【0176】
さらに、ショベル200のショベルコントローラ30は、受信した充電条件情報を、他の通信端末(例えば第2通信端末802)に送信してもよい。つまり、ショベルコントローラ30は、第1通信端末801から受信した充電条件情報を充電条件保持部308に記憶すると共に、第2通信端末802に送信してもよい。
【0177】
第2通信端末802は、ショベル200から充電条件情報を受信する。そして、第2通信端末802は、受信した充電条件情報を表した画面情報を、表示装置821に表示する。
【0178】
これにより、例えば、作業現場の管理者が充電条件情報を設定した場合に、設定されたことをオペレータに通知できる。
【0179】
ショベルコントローラ30は、充電条件情報に関する通知を、第1通信端末801及び第2通信端末802のいずれか一つ以上に行ってもよい。当該通知は、どのような手法を用いてもよいが、例えば、メールを用いることが考えられる。
【0180】
例えば、ショベルコントローラ30は、充電条件情報で示した充電条件を満たした場合に、充電条件情報に基づいた充電を開始する旨の通知情報を、第1通信端末801及び第2通信端末802のいずれか一つ以上に送信してもよい。当該送信によって、オペレータは、予め充電が開始される状況であることを認識できる。
【0181】
ショベルコントローラ30は、通知情報を送信した後、上述した制御を開始してもよいし、待機してもよい。
【0182】
待機する場合としては、例えば、ショベルコントローラ30は、第1通信端末801又は第2通信端末802から、通知情報に対応する許可通知を受信するまで待機してもよい。ショベルコントローラ30は、受信した許可通知に充電開始を許可する旨が示されている場合に、上述した制御を開始する。
【0183】
他の例としては、ショベルコントローラ30は、充電条件情報に基づいて充電を開始した旨の通知情報を、第1通信端末801及び第2通信端末802のいずれか一つ以上に送信してもよい。当該送信によって、オペレータは、現在充電が行えていることを認識できる。
【0184】
さらに、ショベルコントローラ30は、バッテリ192の充電を完了させる条件に達した旨の通知情報を、第1通信端末801及び第2通信端末802のいずれか一つ以上に送信してもよい。当該送信によって、オペレータは、充電が完了したことを認識できる。
【0185】
さらには、ショベル200は、充電条件情報に関する通知を、通信端末にメール等で行う手法に制限するものではなく、SNSのサーバ等に送信してもよい。つまり、SNS上に充電条件情報がアップロードされた場合に、オペレータ等の当該情報を確認できる。
【0186】
これにより、オペレータは状況を認識できると共に、所望する指示が可能となる。したがって、ショベル200の利便性の向上を実現できる。
【0187】
本変形例では、充電条件情報を保持し、当該充電条件に従って、バッテリ192の充電を行う例について説明した。しかしながら、本変形例は保持する情報を、充電条件情報に制限するものではない。例えば、ショベルコントローラ30は、バッテリ192を暖機する条件を示した暖機条件情報を保持してもよい。暖機条件情報は、上述した充電条件情報と同様にどのような条件であってもよい。例えば、作業開始前のバッテリ192の暖機を行うことで効率的な作業を実現できる。
【0188】
<作用>
上述した実施形態においては、ショベルコントローラ30が、バッテリ192の温度が第1基準値(例えば0度)より低い場合に、バッテリ192の充電を行う前に、バッテリ192の加温を行うよう制御する。バッテリ192の充電前に加温することで、低電流充電を抑制して、バッテリ192の充電効率を向上させることができる。また、バッテリ192を暖機してから充電することで、バッテリ192に対して最大電力Pbで充電するまでに要する時間を短縮できる。したがって、上述した実施形態においては、バッテリ192の充電時間を短縮できる。
【0189】
上述した実施形態においては、ショベルコントローラ30が、作業開始時刻の前に、バッテリ192の暖気(加温)を行うことで、ショベル200は作業開始時刻にすぐに作業に取り掛かることができるので、作業効率の向上を実現できる。
【0190】
上述した実施形態においては、ショベルコントローラ30が、バッテリ192の温度が第2基準温度(例えば5度)~第3基準温度(例えば10度)の間の場合には、空調システム90を用いたバッテリ192の加温と、当該バッテリ192の充電と、を行うことで、バッテリ192の温度の上昇と、バッテリ192の充電と、の両立を図ることができる。また、バッテリ192の充電を行うことで、バッテリ192の自己発熱によって、効率のよいバッテリ192の温度の上昇を実現できる。
【0191】
上述した実施形態においては、ショベルコントローラ30が、バッテリ192の温度が第2基準温度(例えば5度)~第3基準温度(例えば10度)の間において、バッテリ192の温度が上昇するにしたがって、バッテリ192の加温を抑制して、バッテリ192の充電電力量を大きくしている。このようにバッテリ192の温度が上昇するにしたがって充電電力量が大きくなるので、バッテリ192の特性に応じた効率的な充電を実現できる。
【0192】
以上、実施形態について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0193】
200 ショベル
1 下部走行体
2 旋回機構
3 上部旋回体
4 ブーム
5 アーム
6 バケット
7 ブームシリンダ
8 アームシリンダ
9 バケットシリンダ
10 キャビン
12 ポンプ用電動機
14 メインポンプ
19 バッテリモジュール
191 バッテリコントローラ
192 バッテリ
193 温度センサ
30 ショベルコントローラ
90 空調システム
91 HVAC
92 ウォータポンプ
93 水加熱ヒータ
94 リザーブタンク
95A 第1電磁弁
95B 第2電磁弁
96 水循環流路
301 取得部
302 判定部
303 加温制御部
304 充電制御部
305 バッテリ充電電力保持部
306 水加熱ヒータ出力保持部
307 設定時刻保持部