(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118007
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】光源装置、およびヘッドアップディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20230817BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20230817BHJP
G09F 13/04 20060101ALI20230817BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/00 A
G09F13/04 P
G02F1/13357
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020880
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001667
【氏名又は名称】弁理士法人プロウィン
(72)【発明者】
【氏名】豊嶋 隆延
【テーマコード(参考)】
2H199
2H391
3D344
5C096
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA12
2H199DA15
2H199DA34
2H391AA03
2H391AB05
2H391AB08
2H391AC04
2H391AC05
2H391AC13
2H391AC23
2H391AC42
2H391FA07
3D344AA03
3D344AA19
3D344AB01
3D344AC25
5C096AA05
5C096BA01
5C096CB01
5C096CC06
5C096CD28
5C096CF07
5C096CG06
5C096FA03
5C096FA11
5C096FA17
(57)【要約】
【課題】小型化が可能でかつ均一な照明を実現する光源装置、およびヘッドアップディスプレイを提供すること。
【解決手段】第1の光源(11)、および第2の光源(12)と、第1の光源(11)からの第1の出射光および第2の光源(12)からの第2の出射光が照射される照射部(14、15)と、第1の光源(11)と照射部(14、15)との間に配置され第1の出射光を集光する集光部、および第2の光源(12)と照射部(14、15)との間に配置され第2の出射光を拡散する拡散部(D1)の少なくとも一方を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光源、および第2の光源と、
前記第1の光源からの第1の出射光および前記第2の光源からの第2の出射光が照射される照射部と、
前記第1の光源と前記照射部との間に配置され前記第1の出射光を集光する集光部、および前記第2の光源と前記照射部との間に配置され前記第2の出射光を拡散する拡散部の少なくとも一方を備えることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光源装置であって、
前記集光部、および前記拡散部の少なくとも一方の周囲に遮光部をさらに備えることを特徴とする光源装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光源装置であって、
前記拡散部の周囲に散乱部をさらに備えることを特徴とする光源装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一つに記載の光源装置であって、
前記第1の光源と前記第2の光源の色が異なることを特徴とする光源装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一つに記載の光源装置であって、
前記照射部は、前記第1の出射光および前記第2の出射光を制御する第1の光学手段を含むか、または前記第1の光学手段および前記第1の光学手段と対象物との間に配置され前記第1の光学手段からの出射光を制御する第2の光学手段を含むことを特徴とする光源装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一つに記載の光源装置と、
前記光源装置から出射した光を投影する投影部と、を備えることを特徴とするヘッドアップディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、およびヘッドアップディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
光源装置の一分野として液晶ディスプレイを背面から照明する、いわゆるバックライトとしての光源装置がある。このような光源装置を開示した文献として、例えば特許文献1が知られている。
【0003】
特許文献1に開示された光源装置は、ヘッドアップディスプレイ(以下、「HUD」)に用いる液晶ディスプレイを背面から照明する光源装置で、白色光を出射する複数の第1の光源素子と、赤色光を出射する複数の第2の光源素子とを所定の方向に並べて配置した光源部と、光源部から出射された光を平行光とする第1のレンズと、第1のレンズから出射された光が液晶ディスプレイの裏面に設けられた、照明領域としての拡散板に照射されるように偏向する第2のレンズを備えている。
【0004】
特許文献1では、上記構成の光源装置によれば、第1のレンズにより、2つの互いに異なる発光色を有する複数の光源素子から出射される光が液晶ディスプレイの入射面における所定の領域で重なるように照明するので、液晶ディスプレイに表示する画像において、特定色を効率良く高輝度表示することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、液晶ディスプレイの光源装置では特に必要な輝度(一般に比較的高い輝度)が確保でき、かつ液晶ディスプレイ全体を均一に照明できる能力が求められている。ここでいう均一な照明とは照明むらのみならず色むらも抑制された照明をいう。HUD等に用いる場合には、設置スペースの関係からさらに小型であることも求められている。
【0007】
この点特許文献1に係る光源装置も高輝度化を目的としている。しかしながら特許文献1に係る光源装置では、第1の光源素子の出射光の各々、第2の光源素子の出射光の各々が、照明領域全体を比較的均一に照明するように構成されている。そのため光学系の制約を受け、光源素子と第1のレンズとの距離、第1のレンズと第2のレンズとの距離、第2のレンズと照明対象物との距離の短縮が困難である。このことにより、特許文献1に係る光源装置は小型化に限界があった。また、特許文献1に係る光源装置の構成では光束の利用効率も低下する傾向がある。
【0008】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、小型化が可能でかつ均一な照明を実現する光源装置、およびヘッドアップディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の光源装置は、第1の光源、および第2の光源と、前記第1の光源からの第1の出射光および前記第2の光源からの第2の出射光が照射される照射部と、前記第1の光源と前記照射部との間に配置され前記第1の出射光を集光する集光部、および前記第2の光源と前記照射部との間に配置され前記第2の出射光を拡散する拡散部の少なくとも一方を備えることを特徴とする。
【0010】
このような本発明の光源装置では、第1の出射光を集光する集光部、および第2の出射光を拡散する拡散部の少なくとも一方によって、第1の光源および第2の光源の各々に対応した光束の制御が行えるので、照明光を対象物に均一に照射することができる。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記集光部、および前記拡散部の少なくとも一方の周囲に遮光部をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記拡散部の周囲に散乱部をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記第1の光源と前記第2の光源の色が異なることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記照射部は、前記第1の出射光および前記第2の出射光を制御する第1の光学手段を含むか、または前記第1の光学手段および前記第1の光学手段と対象物との間に配置され前記第1の光学手段からの出射光を制御する第2の光学手段を含むことを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明のヘッドアップディスプレイは、上記いずれかの光源装置と、前記光源装置から出射した光を投影する投影部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、小型化が可能でかつ均一な照明を実現する光源装置、およびヘッドアップディスプレイを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態に係る光源装置の、(a)は構成の一例を示す模式断面図、(b)は照明領域における第1の発光素子による照明パターンを示す模式平面図、(c)は照明領域における第2の発光素子による照明パターンを示す模式平面図である。
【
図2】第1実施形態の変形例に係る光源装置の一例を示す模式断面図である。
【
図3】第2実施形態に係る光源装置の構成の一例を示す模式断面図である。
【
図4】第3実施形態に係る光源装置の構成の一例を示す模式断面図である。
【
図5】(a)、(b)は第4実施形態に係る光源装置の構成の一例を示す模式断面図である。
【
図6】(a)から(c)は第5実施形態に係る光源装置の構成の一例を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。以下の説明では本発明に係る光源装置を、HUDで用いる液晶ディスプレイを背面から照明する光源装置に適用した形態を例示して説明する。
【0019】
(第1実施形態)
<光源装置>
図1を参照して、本実施形態に係る光源装置10について説明する。
図1(a)に示すように、光源装置10は第1の発光素子11-1、11-2、11-3(以下総称する場合は「第1の発光素子11」)、第2の発光素子12―1、12-2(以下総称する場合は「第2の発光素子12」)、第1のレンズ14、第2のレンズ15、および拡散部D1を含んでいる。
図1では照明対象である対象物50の一例である液晶ディスプレイも併せて図示しており、対象物50(液晶ディスプレイ)は液晶表示部17、拡散シート16を含んで構成されている。
【0020】
液晶表示部17は変調信号を受けて照射光を空間変調する透過型空間変調素子であり、変調信号に応じた画像を表示する。拡散シート16は、第1のレンズ14および第2のレンズ15で偏向した指向性の高い光を拡散させて液晶表示部17に出射し、液晶表示部17がより均一に照明されるように機能する。
【0021】
第1の発光素子11は、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)等の半導体発光素子であり、予め定められた方向(
図1の例では紙面横方向)に配列されている。第1の発光素子11の発光色は特に限定されないが、本実施形態では一例として白色光としている。なお、本実施形態では第1の発光素子11の配列数を1列としているが、2列以上であってもよい。また第1の発光素子11はLEDに限らず半導体レーザー等であってもよい。
【0022】
第2の発光素子12は、LED等の半導体発光素子であり、第1の発光素子11の間に交互に配置され、予め定められた方向(
図1の例では紙面横方向)に配列されている。第2の発光素子12の発光色は特に限定されないが、本実施形態では一例として青色光としている。すなわち本実施形態では液晶表示部17を第1の発光素子11による白色光で照明することを基本とし、第2の発光素子12による青色光を補正色として追加している。補正色は、例えば対象物50の一部である液晶表示部17において透過率の低い色を補強する等の理由によって用いられる。ただし補正色を用いる理由はこれに限らず、合成した色を用いる、色味を調整する等さまざまな理由で用いられる場合がある。
【0023】
なお、本実施形態では第2の発光素子12の配列数を1列としているが、第1の発光素子11に合わせて2列以上であってもよい。また第2の発光素子12はLEDに限らず半導体レーザー等であってもよい。「第1の発光素子11」および「第2の発光素子12」は各々、本発明に係る「第1の光源」および「第2の光源」の一例である。
【0024】
第1のレンズ14および第2のレンズ15は、両者相まって第1の発光素子11および第2の発光素子12から出射された光を対象物50の照明領域As(
図1(b)、(c)参照)に導く機能を有する。本実施形態では照明領域Asを、一例として拡散シート16の裏面(第1の発光素子11、第2の発光素子12側の面)としている。しかしながら、どこを照明領域Asとするかは光源装置の仕様等を勘案して決定すればよく、例えば液晶表示部17の裏面等であってもよい。以下の説明では第1のレンズ14、第2のレンズ15を各々「第1の共通レンズ」、「第2の共通レンズ」という場合がある。
【0025】
第1のレンズ14は、比較的大きな指向角(LEDの出射光が広がる角度)を有する第1の発光素子11、および第2の発光素子12からの出射光を集光し、例えば平行光、あるいは平行光に近い光束(以下、両者を併せて「略平行光」という)として出射する機能を有する。第1のレンズ14は例えば正のパワーを持つレンズであればよく、形状は特に限定されない。ただし第1のレンズ14のパワーの正負は第1の発光素子11および第2の発光素子12からの出射光の指向角等によって決めるべきものであり、一方に限定されない。本実施形態では第1のレンズ14の一例として平凸レンズを用いている。
【0026】
第2のレンズ15は、第1のレンズ14から出射された例えば略平行光が、照明領域Asの全体を均一に照明するように光束を制御する。従って第2のレンズ15の形状、パワーの正負はこの目的に沿うように選択されるが、本実施形態では第2のレンズ15の一例として平凸レンズを用いている。ここで、本実施形態では第1のレンズ14に加え第2のレンズ15を配置する形態を例示して説明するが、第1のレンズ14のみで後述する分割照明が可能な場合は第2のレンズ15を省略してもよい。なお、「第1のレンズ14」および「第2のレンズ15」は、各々本発明に係る「第1の光学手段」および「第2の光学手段」の一例である。また、「第1のレンズ14」単体、または「第1のレンズ14」および「第2のレンズ15」は、本発明に係る「照射部」の一例である。第1のレンズ14および第2のレンズ15は、例えばアクリル樹脂等の樹脂、あるいはガラス等によって形成されている。
【0027】
拡散部D1は第2の発光素子12-1、12-2の各々と第1のレンズ14との間に設けられている。拡散部D1は、第2の発光素子12から出射された光を拡散する機能を有する。拡散部D1の詳細については後述する。
【0028】
ところで、上述したように、液晶ディスプレイの光源装置では高輝度かつ均一な照明能力とともに、小型化が求められている。そこで本実施形態では、3個の第1の発光素子11の各々からの第1の出射光による3個の照明パターンが照明領域As全体を分割して照明(以下、「分割照明」)するように、かつ2個の第2の発光素子12の各々からの第2の出射光による2個の照明パターンが照明領域As全体を分割照明するように構成している。
【0029】
図1(b)および
図1(c)を参照し、上記分割照明についてより詳細に説明する。
図1(b)は第1の発光素子11による照明パターン(分割照明)の一例を、
図1(c)は第2の発光素子12による照明パターン(分割照明)の一例を、各々示している。
図1(b)および
図1(c)は、照明領域Asとなっている拡散シート16の裏面における照明パターンを示している。
【0030】
図1(b)に示すように、照明領域Asは3個の照明パターンA111、A112、A113によって分割照明されている。すなわち、照明パターンA111は第1の発光素子11-1による照明パターンを、照明パターンA112は第1の発光素子11-2による照明パターンを、照明パターンA113は第1の発光素子11-3による照明パターンを、各々示している。照明パターンA111、A112、A113は互いに隙間なく敷き詰められ、全体として一様に照明領域Asを照明している。ただし、照明パターンA111、A112、A113は互いに隙間のないことが肝要であり、若干の重なりは許容される。若干の重なりを許容して隙間をより確実に抑制する手段として、例えば第1のレンズ14、第2のレンズ15等の光学素子の位置調整等によるデフォーカスを用いる場合もある。
【0031】
図1(c)に示すように、照明領域Asは2個の照明パターンA121、A122によって分割照明されている。すなわち、照明パターンA121は第2の発光素子12-1による照明パターンを、照明パターンA122は第2の発光素子12-2による照明パターンを、各々示している。照明パターンA121、A122は互いに隙間なく敷き詰められ、全体として一様に照明領域Asを照明している。ただし、照明パターンA121、A122は互いに隙間のないことが肝要であり、若干の重なりは許容される。以上のように、本実施形態に係る光源装置10では、第1の発光素子11による分割照明と、第2の発光素子12による分割照明とが合成された照明で照明領域Asが照明されている。
【0032】
ここで、本実施形態のように分割照明を採用した場合、第1の発光素子11から出射される光束、あるいは第2の発光素子12から出射される光束に対する制御が必要となる。すなわち、本実施形態では第1の発光素子11の光出射面からの出射光の指向角と、第2の発光素子12の光出射面からの出射光の指向角とは同等とされている。この状態において単純に第1のレンズ14および第2のレンズ15を配置しても、第1の発光素子11および第2の発光素子12の各々に対する最適な分割照明を得ることができない。発光素子の個数が異なると、照明領域Asにおける照明パターンが異なるからであり、例えば第1の発光素子11の照明パターンを形成するように第1のレンズ14および第2のレンズ15を配置すると、第2の発光素子12の照明パターンに隙間ができる。
【0033】
上記の現象に対応するため、本実施形態では拡散部D1を設けている。すなわち、第2の発光素子12-1、12-2の光出射面の各々の上部に設けられた拡散部D1は、第2の発光素子12-1、12-2から出射された光の光束を広げ、上述した隙間を埋めるように作用する。このことによって、
図1(c)に示すような照明領域Asの全体を隙間なく照明する照明パターンA121、A122が得られる。その結果本実施形態に係る光源装置10によれば、第1の発光素子11および第2の発光素子12と第1のレンズ14との距離、第1のレンズ14と第2のレンズ15との距離、第2のレンズ15と対象物50との距離の少なくとも一つ(以下、「光学長」という場合がある)を短縮することが可能となる。すなわち、光源装置10の縦方向(第1の発光素子11,第2の発光素子12からの出射光の進行方向)の長さが短縮され、光源装置10が小型化されるという効果を奏する。第1の発光素子11および第2の発光素子12と第1のレンズ14との距離、第1のレンズ14と第2のレンズ15との距離、第2のレンズ15と対象物50との距離のいずれを短縮するかは光源装置10の具体的な設計条件等に応じて選択される。
【0034】
<ヘッドアップディスプレイ>
次に本実施形態に係るヘッドアップディスプレイについて説明する。本実施形態に係るヘッドアップディスプレイ(HUD)は、HUDユニットが例えば車両のダッシュボードの中に格納されており、HUDユニットからの映像が車両の例えばフロントガラスに投影されることで表示される。 HUDユニットは液晶ディスプレイに代表される画像光源を平面ミラーで反射し、凹面鏡などで拡大するユニットであり、生成された画像がフロントガラスで反射され、運転者の目に導くことで視認される。
【0035】
本実施形態に係るHUDは、光源装置10、対象物50(液晶ディスプレイ)、および投影部(図示省略)を含んでいる。投影部は、例えば上記の平面ミラー、凹面鏡、フロントガラスを含む。対象物50から出射された光を投影部で投影させることにより画像が表示される。本実施形態に係るヘッドアップディスプレイは光源装置10を用いているので、小型に構成できるとともに、むらのない画像を生成することができる。
【0036】
以上詳述したように、本実施形態に係る光源装置、およびヘッドアップディスプレイによれば、小型化が可能でかつ均一な照明を実現する光源装置、およびヘッドアップディスプレイを提供することが可能となる。
【0037】
<第1実施形態の変形例>
図2を参照して、本実施形態に係る光源装置10Aについて説明する。光源装置10Aは上記実施形態に係る光源装置10において第2のレンズ15を他の形態のレンズに置き変えた形態である。従って、その他の構成については光源装置10と同様なので、必要な場合は
図1を参照することとして詳細な説明を省略する。
【0038】
第1の共通レンズは光束の成形機能の観点から選択されるのに対して、第2の共通レンズは、光束の成形機能よりむしろ照明パターンの均一性や光束の利用効率の観点から選択してもよい。そのような観点から本実施形態では第2のレンズとしてレンチキュラーレンズ18を用いている。レンチキュラーレンズ18を用いることにより光線が畳み込まれ拡散されるので光線が混合し、照明パターンの均一性や光束の利用効率がより向上する。またレンチキュラーレンズ18は薄く形成できるので、さらなる小型化にも寄与する。なお、本実施形態で用いる第2の共通レンズとしてはレンチキュラーレンズ18に限られず、フレネルレンズ等を用いてもよい。その場合もレンチキュラーレンズ18と同様の効果を得ることができる。
【0039】
(第2実施形態)
図3を参照して、本実施形態に係る光源装置10Bについて説明する。光源装置10Bは上記実施形態に係る光源装置10において拡散部D1を集光部C1に置き換えた形態である。従って、その他の構成については光源装置10と同様なので、必要な場合は
図1を参照することとして詳細な説明を省略する。
【0040】
図3に示すように、光源装置10Bは第1の発光素子11の光出射面上に集光部C1を備えている。光源装置10では拡散部D1によって第2の発光素子12から出射される光束を拡散させ、第1の発光素子11および第2の発光素子12からの出射光の各々が照明領域Asに適切な照明パターを形成できるようにした。これに対し本実施形態は、第2の発光素子12からの出射光に対しては光束の制御をおこなわず、第1の発光素子11からの出射光を集光させることによって、第1の発光素子11および第2の発光素子12からの出射光の各々が照明領域Asに適切な照明パターを形成できるように構成している。
【0041】
より具体的には、一例として、まず第2の発光素子12-1、12-2から出射された出射光が照明パターンA121、およびA122(
図1(c)参照)を形成するように第1のレンズ14および第2のレンズ15を位置決めする。そして、この条件下において第1の発光素子11-1、11-2、11-3が照明パターンA111、A112、A113を形成するように集光部C1を選択、配置する。第2の発光素子12に対して第1のレンズ14、第2のレンズ15を最適配置すると、第1の発光素子11-1、11-2、11-3からの各照明パターンA111、A112、A113同士の重なりが過剰になる場合があるからである。
【0042】
このように、本実施形態に係る光源装置10Bによっても、小型化が可能でかつ均一な照明を実現する光源装置、およびヘッドアップディスプレイを提供することが可能となる。また上記実施形態および本実施形態によれば、第1の発光素子11、および第2の発光素子12からの光束に対する制御手段を柔軟に選択することができる。一般的には第1の発光素子11、第2の発光素子12のうち数の多い方の発光素子に対して集光部C1、数の少ない方の発光素子に対して拡散部D1を用いる。むろん集光部C1、拡散部D1の何れか一方を用いてもよい。また、拡散部D1および集光部C1の何れを用いるかは、例えば配置する個数の少ない方を選択するという条件で決定してもよい。
【0043】
(第3実施形態)
図4を参照して、本実施形態に係る光源装置10Cについて説明する。光源装置10Cは上記実施形態に係る光源装置10、10Bにおいて拡散部D1および集光部C1を一体化した形態である。従って、その他の構成については光源装置10と同様なので、必要な場合は
図1を参照することとして詳細な説明を省略する。
【0044】
図4に示すように、光源装置10Cは、第1の発光素子11の光出射面上に配置された集光部C2、および第2の発光素子12の光出射面上に配置された拡散部D2を備えている。集光部C2、拡散部D2の作用は上述したとおりである。3個の集光部C2は、第1の発光素子11-1、11-2、11-3が各々照明パターンA111、A112、A113(
図1(b)参照)を形成するように設計され、2個の拡散部D2は、第2の発光素子12-1、12-2が各々照明パターンA121、A122(
図1(c)参照)を形成するように設計されている。
【0045】
そして本実施形態に係る光源装置10Cでは、
図4に示すように3個の集光部C2および2個の拡散部D2が一体に形成されている。集光部C2と拡散部D2が一体化された光学部材は、例えば樹脂による一体成型で製作することができる。本実施形態に係る光源装置10Cによれば、光源装置10の効果に加え、第1の発光素子11、第2の発光素子12、集光部C2、拡散部D2、第1のレンズ14および第2のレンズ15を含む光学部材の位置合わせが簡略化されるという効果がある。
【0046】
(第4実施形態)
図5を参照して、本実施形態に係る光源装置10D、10Eについて説明する。光源装置10D、10Eは上記実施形態に係る光源装置10、10Bにおいて拡散部D1、あるいは集光部C1を第1のレンズ14と一体化した形態である。従って、その他の構成については光源装置10と同様なので、必要な場合は
図1を参照することとして詳細な説明を省略する。
【0047】
図5(a)に示すように、光源装置10Dは第1のレンズ14Aを備えている。第1のレンズ14Aは平板部P上に3個の集光部C3が形成されており、3個の集光部C3の各々は平凸レンズ状となっている。ただし集光部C3の形状は平凸レンズ状に限らず例えば凸レンズ状等であってもよい。3個の集光部C3の各々は3個の第1の発光素子11の光出射面上に配置され、第2のレンズ15の作用と相まって照明領域Asに照明パターンA111、A112、A113(
図1(b)参照)を形成する。
【0048】
上記第1の発光素子11に対し第2の発光素子12については、第1のレンズ14Aの第2の発光素子12の光出射面に対応する領域にレンズ機能が配置されていない。すなわち、第2の発光素子12から出射した光は平板部Pを透過し、第2のレンズ15の作用によって照明パターンA121、A122(
図1(c)参照)を形成する。光源装置10Dによれば集光部C3と第1の共通レンズが一体化されるので、光学長をさらに短縮することができる。
【0049】
図5(b)に示すように、光源装置10Eは第1のレンズ14Bを備えている。第1のレンズ14Bの入射面(第2の発光素子12側の面)には2個の拡散部D3が形成されており、2個の拡散部D3は下面が下向きの凹形状、上面が直線とされている。2個の拡散部D3の各々は2個の第2の発光素子12の光出射面上に配置され、第2のレンズ15の作用と相まって照明領域Asに照明パターンA121、A122(
図1(c)参照)を形成する。
【0050】
第1の発光素子11は第1のレンズ14Bの入射面と直接対向しているので、第1の発光素子11から出射した光は平凸レンズとしての第1のレンズ14B、および第2のレンズ15の作用によって照明パターンA111、A112、A113(
図1(b)参照)を形成する。光源装置10Eによれば拡散部D3と第1の共通レンズが一体化されるので、光学長をさらに短縮することができる。
【0051】
以上のように本実施形態に係る光源装置10D、10Eによれば、光源装置10の効果に加え、さらに小型化されるという効果を奏する。
【0052】
(第5実施形態)
図6を参照して、本実施形態に係る光源装置10F、10G、10Hについて説明する。本実施形態は上記各実施形態において、集光部あるいは拡散部に、遮光部または散乱部を設けた形態である。従って、その他の構成については光源装置10と同様なので、必要な場合は
図1を参照することとして詳細な説明を省略する。
【0053】
図6(a)に示すように、光源装置10Fは集光部C4および拡散部D4が一体化された第1のレンズ14Cを備えている。集光部C4は第1の発光素子11の光出射面上に配置され、拡散部D4は第2の発光素子12の光出射面上に配置され、第1のレンズ14Cおよび第2のレンズ15の作用によって、
図1(b)および
図1(c)に示す分割照明が形成されている。
【0054】
ここで、LEDから出射される出射光は一般に指向角が大きく、例えば隣接するLEDとの間でクロストークが発生し、このクロストークに起因して迷光が発生する場合がある。迷光は照明領域Asにおける色むら、照明むらの原因となるので、極力抑制する必要がある。そこで光源装置10Fではこの迷光を抑制するために遮光部19を設けている。
図6(a)に示すように遮光部19は集光部C4および拡散部D4の各々の両端の近傍に配置されている。このことにより第1の発光素子11および第2の発光素子12から出射される指向角の大きい光が遮断される。その結果、光源装置10Fは照明領域Asにおける色むら、照明むらをより効果的に抑制することができる。
【0055】
図6(b)に示すように、光源装置10Gは拡散部D5が一体化された第1のレンズ14Dを備えている。拡散部D5は第2の発光素子12の光出射面上に配置され、第1の発光素子11は第1のレンズ14Dの入射面と直接対向している。第1のレンズ14Dおよび第2のレンズ15の作用によって、
図1(b)および
図1(c)に示す分割照明が形成されている。
【0056】
光源装置10Gでは拡散部D5の周囲に遮光部19Aが形成されている。遮光部19Aは遮光部19と同様迷光を抑制する機能を有する。遮光部19Aによれば拡散部D5と一体化されているので、拡散部D5や第2の発光素子12等との位置合わせが不要となり組み立てがより簡易になるという効果がある。
【0057】
図6(c)に示すように、光源装置10Hは拡散部D6が一体化された第1のレンズ14Eを備えている。拡散部D6は第2の発光素子12の光出射面上に配置され、第1の発光素子11は第1のレンズ14Eと直接対向している。第1のレンズ14Eおよび第2のレンズ15の作用によって、
図1(b)および
図1(c)に示す分割照明が形成されている。
【0058】
光源装置10Hでは拡散部D6の周囲に散乱部20が形成されている。散乱部20は微細な凹凸、粗面、シボ加工等によって形成され、第2の発光素子12から入射した指向角の大きい光を散乱する効果を有している。すなわち、光源装置10Gでは迷光を遮光部19Aによって遮断していたが、光源装置10Hでは迷光を散乱させて
図1(b)、
図1(c)に示す照明パターンにおける迷光の影響を軽減させ、均一な照明パターンを実現している。散乱部20によれば、光束の利用効率をより高めることができるという効果がある。また散乱部20によれば拡散部D6と一体化されているので、拡散部D6や第2の発光素子12等との位置合わせが不要となり組み立てがより簡易になるという効果がある。
【0059】
以上のように本実施形態に係る光源装置10F、10G、10Hによれば、光源装置10の効果に加え、さらに照明領域Asにおける色むら、照明むらがより効果的に抑制されるという効果を奏する。
【0060】
ここで、本実施形態では遮光部または散乱部を設ける形態を例示して説明したがこれに限らず、両者を併用してもよい。すなわち、例えば第1の発光素子11側に遮光部、第2の発光素子12側に散乱部を設ける形態等としてもよい。
【0061】
また、迷光を抑制する手段としては上記に限らず、例えば光学部品(集光部、拡散部、第1の共通レンズ、第2の共通レンズ等)の一部に吸光材を塗布する、あるいは光学部品の入射面の形状を極力連続で滑らかな形状とする等の手段もある。
【0062】
なお、本実施形態では第1の発光素子11を3個、第2の発光素子12を2個とする形態を例示して説明したが各々の発光素子の個数はこれに限らず、双方が1個以上であればよい。
【0063】
また、上記各実施形態では拡散部および集光部を光学系の一部として配置する形態を例示して説明したがこれに限らず、例えば発光素子の光出射面上に形成する形態としてもよい。
【0064】
また、上記各実施形態では集光部、拡散部、遮光部、散乱部等の配置等について個別に説明したが、これらの配置等を適宜組み合わせた形態としてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10、10A、10B、10C、10D、10E、10F、10G、10H…光源装置
11、11-1、11-2、11-3…第1の発光素子
12、12-1、12-2…第2の発光素子
14、14A、14B、14C、14D、14E…第1のレンズ
15…第2のレンズ
16…拡散シート
17…液晶表示部
18…レンチキュラーレンズ
19、19A…遮光部
20…散乱部
50…対象物
As…照明領域
C1、C2、C3、C4…集光部
D1、D2、D3、D4、D5、D6…拡散部
P…平板部