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特開2023-118016光学部材、光源装置、およびヘッドアップディスプレイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118016
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】光学部材、光源装置、およびヘッドアップディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   F21V 5/00 20180101AFI20230817BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20230817BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230817BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20230817BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALN20230817BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230817BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20230817BHJP
【FI】
F21V5/00 510
F21V5/04 600
F21S2/00 480
G02B27/01
G02F1/13357
F21Y115:10
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020892
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001667
【氏名又は名称】弁理士法人プロウィン
(72)【発明者】
【氏名】野村 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】豊嶋 隆延
(72)【発明者】
【氏名】堀 匡紘
【テーマコード(参考)】
2H199
2H391
3K244
【Fターム(参考)】
2H199DA12
2H199DA30
2H199DA34
2H199DA43
2H391AA03
2H391AB04
2H391AB08
2H391AC26
2H391AC27
3K244AA01
3K244BA08
3K244DA01
3K244DA02
3K244FA03
3K244GA02
(57)【要約】
【課題】輝度むらの抑制された光学部材、光源装置、およびヘッドアップディスプレイを提供する。
【解決手段】中央部に配置された屈折部(17)、および屈折部(17)の両脇に配置された反射部(18)が予め定められた方向に延伸された第1のレンズ(12)と、第1のレンズ(12)の屈折部(17)からの出射光束に対応する領域、および反射部(18)からの出射光束に対応する領域の少なくとも一方に設けられた拡散部(13)と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部に配置された屈折部、および前記屈折部の両脇に配置された反射部が予め定められた方向に延伸された光学手段と、
前記光学手段の屈折部からの出射光束に対応する領域、および前記反射部からの出射光束に対応する領域の少なくとも一方に設けられた拡散部と、を備えることを特徴とする光学部材。
【請求項2】
請求項1に記載の光学部材であって、
前記拡散部は、前記予め定められた方向に沿って延伸して形成されたレンチキュラーレンズであることを特徴とする光学部材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学部材であって、
前記拡散部は、前記屈折部の出射面上および前記反射部の出射面上の少なくとも一方に形成されていることを特徴とする光学部材。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一つに記載の光学部材と、
前記予め定められた方向に沿うとともに前記光学部材の入射面側に配置された複数の発光素子と、
前記光学部材から出射した前記複数の発光素子からの光を照明対象に導くレンズ部と、を備えることを特徴とする光源装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の光学部材と、
前記予め定められた方向に沿うとともに前記光学部材の入射面側に配置された複数の発光素子と、
前記光学部材から出射した前記複数の発光素子からの光を照明対象に導くレンズ部と、を備え、
前記拡散部が前記レンズ部の入射面に形成されていることを特徴とする光源装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の光源装置と、
前記光源装置からの光を入射面から入射し、画像情報によって変調した光を出射面から出射する前記照明対象としての空間光変調部と、
前記空間光変調部から出射した光を投影する投影部と、を備えることを特徴とするヘッドアップディスプレイ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部材、光源装置、およびヘッドアップディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来全反射を利用したレンズ、いわゆるTIR(Total Internal Reflection)レンズを用いた光源装置が知られている。TIRレンズは中央部に配置された屈折部、および屈折部の周囲に配置された反射部を備えている。TIRレンズを用いた光源装置を開示した文献として、例えば特許文献1が知られている。
【0003】
特許文献1に開示された光学ユニット(光源装置)は複数の光源(発光素子)、複数の光源上に各々配置されたコリメータレンズの機能を有する複数の光学手段(TIRレンズ)、複数の光学手段の出射面側に配置された複数のレンズアレイを備え、複数の異なる配光パターンを形成している。特許文献1に開示された光学ユニットの用途は、主に車両用灯具である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-189306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような光源装置は例えば車両等に搭載されるヘッドアップディスプレイ(以下、「HUD」という場合がある)の液晶ディスプレイの照明装置(バックライト)として用いられる場合もある。HUDに用いる光源装置においては、特に明るく、むらのない、すなわち、高輝度で均一な輝度分布であることが求められる。換言すれば、光束の利用効率が高く光の拡散度合いが高いことが求められる。上記のTIRレンズは、発光素子からの出射光において出射軸とのなす角度(指向角)が大きく外側に広がる光も集光させることができるので、この目的に適合する光学手段として用いられる場合も多い。
【0006】
しかしながらTIRレンズの場合屈折部とその周囲の反射部の作用によって、発光素子からの出射光の進行軸に対して垂直な面で見た場合、一般に中央領域と中央領域を囲む周縁領域とで3つの輝度分布に分かれる。すなわち、中央領域と周縁領域との間の輝度差を平準化することが一般に困難である。3つに分離した光束が液晶ディスプレイを介して観察者の目に届いた場合、3分割された照明となり輝度むらとして視認されてしまう。
【0007】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、輝度むらの抑制された光学部材、光源装置、およびヘッドアップディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の光学部材は、中央部に配置された屈折部、および前記屈折部の両脇に配置された反射部が予め定められた方向に延伸された光学手段と、前記光学手段の屈折部からの出射光束に対応する領域、および前記反射部からの出射光束に対応する領域の少なくとも一方に設けられた拡散部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
このような本発明の光学部材では、発光素子からの出射光の光束制御において、拡散部の作用により屈折部からの出射光束と、反射部からの出射光束との境界近傍における輝度の低下を抑制することができる。そのため、輝度むらの抑制された光学部材を提供することが可能である。
【0010】
また、本発明の一態様では、前記拡散部は、前記予め定められた方向に沿って延伸して形成されたレンチキュラーレンズであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記拡散部は、前記屈折部の出射面上および前記反射部の出射面上の少なくとも一方に形成されていることを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の光源装置は、上記何れかの光学部材と、前記予め定められた方向に沿うとともに前記光学部材の入射面側に配置された複数の発光素子と、前記光学部材から出射した前記複数の発光素子からの光を照明対象に導くレンズ部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
このような本発明の光源装置では、上記何れかの光学部材の作用により、均一な輝度分布の照明パターンを得ることができる。そのため、輝度むらの抑制された光源装置を提供することが可能である。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記予め定められた方向に沿うとともに前記光学部材の入射面側に配置された複数の発光素子と、前記光学部材から出射した前記複数の発光素子からの光を照明対象に導くレンズ部と、を備え、前記拡散部が前記レンズ部の入射面に形成されていることを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明のヘッドアップディスプレイは、上記何れかの光源装置と、前記光源装置からの光を入射面から入射し、画像情報によって変調した光を出射面から出射する前記照明対象としての空間光変調部と、前記空間光変調部から出射した光を投影する投影部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
このような本発明のヘッドアップディスプレイでは、上記何れかの光源装置の作用により、空間光変調部を均一な輝度分布の照明パターンで照明することができる。そのため、輝度むらの抑制された表示画像を生成するヘッドアップディスプレイを提供することが可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、輝度むらの抑制された光学部材、光源装置、およびヘッドアップディスプレイを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態に係る光学部材、および光源装置の一例を示す、(a)は正面断面図、(b)は側面断面図である。
図2】比較例に係る光学部材、および光源装置を示す、(a)は正面断面図、(b)は側面断面図である。
図3】(a)は第1実施形態に係る光源装置の第1のレンズから出射された光の照度分布のシミュレーション結果を示す図、(b)は比較例に係る光源装置の第1のレンズから出射された光の照度分布のシミュレーション結果を示す図、(c)は第1実施形態に係るHUDの表示画像を示す図、(d)は比較例に係るHUDの表示画像を示す図である。
図4】第2実施形態に係る光学部材、および光源装置の一例を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。以下の説明では、本発明に係る光学部材、光源装置を、車両等に搭載されるHUDに適用した形態を例示して説明する。
【0020】
(第1実施形態)
<光学部材および光源装置>
図1から図3を参照して、本実施形態に係る光学部材、および光源装置について説明する。図1(a)は本実施形態に係る光源装置10の正面断面図を、図1(b)は光源装置10の側面断面図を、各々示している。
【0021】
図1(a)、(b)に示すように、光源装置10は複数の発光素子11(図1では5個の場合を例示している)、第1のレンズ12、第2のレンズ14を含んでいる。本実施形態では第1のレンズ12が本発明に係る光学部材である。図1(a)、(b)には照明対象30も併せ図示しており、本実施形態における照明対象30は一例として液晶ディスプレイとされている。照明対象30は、液晶表示部16および拡散シート15を備えている。照明対象30は、光源装置10からの光を入射面から入射し、画像情報によって変調した光を出射面から出射する空間光変調部として機能する。拡散板シート15は、第1のレンズ12および第2のレンズ14で偏向した指向性の高い光を拡散させて液晶表示部16に出射し、液晶表示部16がより均一に照明されるように機能する。
【0022】
発光素子11は、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)等の半導体発光素子であり、予め定められた方向(図1(a)の例ではX軸方向)に配列されている。発光素子11の発光色は特に限定されないが、本実施形態では一例として白色としている。なお、本実施形態では発光素子11の配列数を1列としているが、2列以上であってもよい。また発光素子11はLEDに限らず半導体レーザー等であってもよい。
【0023】
第1のレンズ12および第2のレンズ14は、両者相まって発光素子11から出射した光を照明対象30の照明領域に導く機能を有する。本実施形態では照明領域を、一例として拡散シート15の裏面(発光素子11側の面)としている。しかしながら、どこを照明領域とするかは光源装置の仕様等を勘案して決定すればよく、例えば液晶表示部16の裏面等であってもよい。
【0024】
第1のレンズ12は、複数の発光素子11の上部に配置され、発光素子11の配列方向(X軸方向)に沿って延伸されている。第1のレンズ12は大きな指向角を有する発光素子11からの出射光を集光し、例えば平行光、あるいは平行光に近い光(以下、両者を併せて「略平行光」という)として出射する機能を有する。発光素子11からの指向角が大きい出射光とは、例えば図1(b)に光線L1で示す方向の外側に広がる光である。光線L1に対し相対的に指向角が小さい出射光とは、図1(b)に光線L2で示す方向のより内側に広がる光である。すなわち、第1のレンズ12は、光線L1の方向の出射光も効率よく集光することができる。
【0025】
本実施形態では第1のレンズ12の一例としてTIRレンズを用いている。図1(b)に示すように、本実施形態に係る第1のレンズ12は拡散部13を備え、拡散部13もX軸方向に沿って延伸されている。換言すれば、拡散部13は図1(a)に示す第1のレンズ12の上部において右端から左端にわたって形成されている。本実施形態では拡散部13の一例として、レンチキュラーレンズを用いている。「第1のレンズ12」は本発明に係る「光学部材」の一例である。拡散部13を含む第1のレンズ12の詳細については後述する。
【0026】
第2のレンズ14は、第1のレンズ12から出射された略平行光が、照明領域の全体を均一に照明するように光束を制御する。従って第2のレンズ14の形状、パワーの正負はこの目的に沿うように選択されるが、本実施形態では第2のレンズ14の一例として凹レンズを用いている。第1のレンズ12のみによって照明領域の全体を均一に照明するように構成すれば、第2のレンズ14は省略しても差し支えない。第1のレンズ12および第2のレンズ14は、例えばアクリル樹脂等の樹脂、ガラス等によって形成されている。なお、「第2のレンズ14」は、本発明に係る「レンズ部」の一例である。以下の説明では、第1のレンズ12の位置に配置されるレンズ、および第2のレンズ14の位置に配置されるレンズの各々を、「第1の共通レンズ」および「第2の共通レンズ」という場合がある。
【0027】
次に第1のレンズ12についてより詳細に説明する。図1(b)に示すように第1のレンズ12は屈折部17および反射部18を備えている。屈折部17は発光素子11から出射された光を屈折させて集光し、第2のレンズ14に向けて出射する。反射部18は発光素子11から出射された光を反射させて集光し、第2のレンズ14に向けて出射する。
【0028】
ここで、本実施形態に係る光源装置10の特徴を説明するために図2を参照して、比較例に係る光源装置50について説明する。図2(a)は光源装置50の正面断面図を、図2(b)は側面断面図を各々示している。光源装置50は光源装置10において、第1のレンズ12を第1のレンズ20に置き換えた形態である。従ってその他の構成は光源装置10と同様なので、同様な構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0029】
図2(b)に示すように、第1のレンズ20は第1のレンズ12と同様TIRレンズであり屈折部17および反射部18を備えているが、拡散部13は備えていない。第1のレンズ20および第2のレンズ14の作用から、発光素子11から出射した光は照明領域である拡散シート15の裏面に照明パターンP1,P2を形成する。照明パターンP1は屈折部17によって中央領域に形成される照明パターンであり、照明パターンP2は反射部18によって中央領域の周縁領域に形成される照明パターンである。従って、図2(b)に示す側面断面図では照明パターンP1の両側に照明パターンP2が表されている。照明パターンP1、P2が形成される理由を以下に説明する。
【0030】
上述したように、第1のレンズ20はTIRレンズなので、発光素子11からの指向角が大きく外側に広がる光も集光させることができるので光束の利用効率が向上する。図2(b)ではこの指向角が大きく外側に広がる光を光線L1で示している。光線L1に対し相対的に指向角が小さく内側に広がる光を光線L2で示している。
【0031】
ここで、発光素子11から出射される出射光は、一般に指向角が大きくなるほど光量が低下する。すなわち図2(b)に示す光線L1の光量は光線L2の光量と比較して小さい。第1のレンズ20から出射する際には、光線L1に起因する照明パターンが光線L2に起因する照明パターンの内側に入り込み、発光素子11の出射軸に垂直な断面で見た場合の位置が逆転する。その結果、照明パターンP1と照明パターンP2との間に、周囲に比べて相対的に輝度の低い低輝度領域Dが形成される。この低輝度領域Dの形成により発光素子11の出射軸に垂直な断面で見た場合の全体の照明パターンが3つに分離される。以上の理由から照明パターンP1、P2が形成される。図3(b)は第1のレンズ20から出射した光の照度分布のシミュレーション結果を示している。このシミュレーション結果からも発光素子11から出射した光による照明パターンが3つに分離されることがわかる。
【0032】
上述したように、照明パターンP1、P2が形成された、すなわち3つに分離した光束が液晶表示部16を介して観察者の目に届いた場合、3本の線状照明となり輝度むらとして観察されてしまう。この現象を抑制するために本実施形態では拡散部13を配置している。
【0033】
再び図1を参照して、図1(b)に示すように、光源装置10の第1のレンズ12の出射面には拡散部13が形成されている。拡散部13は屈折部17の出射光束に対応する領域(以下、「屈折光束領域」)、および反射部18の出射光束に対応する領域(以下、「反射光束領域」)の各々に複数ずつ(図1(b)では2個ずつの例を示している)設けられている。しかしながらこれに限らず、拡散部13は屈折光束領域および反射光束領域の少なくとも一方に設ければよい。また、拡散部13の個数も2個ずつに限定されない。
【0034】
上述したように本実施形態では屈折部13がX軸方向に延伸されたレンチキュラーレンズで構成されている。また上述したように、屈折光束領域、反射光束領域の各々に配置するレンチキュラーレンズの個数は2個ずつに限らず拡散の程度等を勘案して適切な個数を設定してよい。レンチキュラーレンズの個数は例えばY軸方向で見た場合の配置密度で規定してもよく、この場合の配置密度は、一例として10個/cm以上、250個/cm以下程度とすることができる。10個/cm未満だと拡散が不十分であり、250個/cmより大きいと拡散が過剰となり逆効果である。
【0035】
本実施形態に係る光源装置10は拡散部13を備えた第1のレンズ12(光学部材)を配置しているので、第1のレンズ12を経由して出射した発光素子11からの光は主としてY軸方向に拡散されて広がる。そのため図2(b)に示す低輝度領域Dの形成が抑制され、照明パターンP1、P2の輝度がより均一化される。その結果照明対象30における照明むらが抑制される。図3(a)は光源装置10の第1のレンズ12から出射した光の照度分布のシミュレーション結果を示している。図3(b)と比較して明らかなように、低輝度領域Dの形成が抑制され全体の輝度がより均一化されていることがわかる。
【0036】
以上のように本実施形態に係る光学部材(第1のレンズ12)によれば、拡散部13を備えているので、入射面から入射した光を拡散し、外方に広げることができる。さらに拡散部13としてレンチキュラーレンズを用いることにより光線が畳み込まれ拡散されるので光線が混合し、照明パターンの均一性や光束の利用効率がより向上する。なお、拡散部13としてはレンチキュラーレンズに限られず、他のレンズ、例えばフレネルレンズ等を用いてもよい。また、凹形状あるいは非球面形状を有する光学素子を用いてもよい。以上のように本実施形態に係る光学部材(第1のレンズ12)は、光の拡散を必要とする光学機器に好適に用いることができる。
【0037】
また本実施形態に係る光源装置10によれば、拡散部13を備えた第1のレンズ12を採用しているので照明パターンP1、P2のような輝度の分割が抑制され、低輝度領域Dの輝度が周囲の輝度と均一化されるので、輝度むらの抑制された光源装置を実現することが可能となる。
【0038】
<ヘッドアップディスプレイ>
ヘッドアップディスプレイ(HUD)は、HUDユニットが例えば車両のダッシュボードの中に格納されており、HUDユニットからの映像が車両の例えばフロントガラスに投影されることで表示される。 HUDユニットは液晶ディスプレイに代表される画像光源を平面ミラーで反射し、凹面鏡などで拡大するユニットであり、生成された画像がフロントガラスで反射され、運転者の目に導くことで視認される。
【0039】
本実施形態に係るHUDは、光源装置10、照明対象30(液晶ディスプレイ)、および投影部(図示省略)を含んでいる。投影部は、例えば上記の平面ミラー、凹面鏡、フロントガラスを含む。照明対象30から出射された光を投影部で投影させることにより表示画像が表示される。
【0040】
本実施形態に係るヘッドアップディスプレイによれば光源装置10を採用しているので、輝度むらの抑制された表示画像を実現することができる。図3(c)は本実施形態に係る光源装置10を用いたHUD(本実施形態に係るHUD)の表示画像のシミュレーション結果を、図3(d)は比較例に係る光源装置50を用いたHUD(比較例に係るHUD)の表示画像のシミュレーション結果を、各々示している。図3(d)から明らかなように、比較例に係るHUDによる表示画像では低輝度領域Dに起因する筋が明瞭に表れている。これに対し図3(c)に示す本実施形態に係るHUDによる表示画像では低輝度領域Dによる筋の形成が抑制され、全体的に均一な輝度分布になっていることがわかる。
【0041】
(第2実施形態)
図4を参照して、本実施形態に係る光学部材、光源装置、およびヘッドアップディスプレイについて説明する。図4は本実施形態に係る光源装置10Aの側面断面図を示している。光源装置10Aの正面断面図は図1(a)と同様なので省略する。光源装置10Aは光源装置10において、第1のレンズ12を比較例に係る光源装置50と同様通常のTIRレンズである第1のレンズ20とし、第2のレンズ14を第2のレンズ21に置き換えた形態である。従ってその他の構成は光源装置10と同様なので、同様な構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0042】
図4に示すように、第2のレンズ21は拡散部19を備えている。拡散部19は第2のレンズ21の入射面に形成されている。拡散部19の形状は特に限定されず、レンチキュラーレンズ、凹レンズ等拡散度合い等に応じて適切な形状を選択することができる。第1のレンズ20と拡散部19との組み合わせが本実施形態に係る光学部材の一例である。
【0043】
本実施形態に係る光学部材によれば、第1のレンズ20によって形成された照明パターンP1、P2の境界近傍の光束が拡散部19によって拡散されるので低輝度領域Dの形成が抑制される。その結果、第2のレンズ21からの出射光は輝度むらの少ない出射光となっている。また光源装置10Aによれば、この輝度むらの抑制された第2のレンズ21からの光束で照明領域を照明することができるので、輝度むらの抑制された光源装置を得ることができる。また光源装置10Aを用いたヘッドアップディスプレイによれば輝度むらの抑制された光源で照明対象30(液晶ディスプレイ)を照明することができるので、輝度むらの抑制された表示画像を得ることができる。
【0044】
なお上記各実施の形態では第1の共通レンズの出射面、または第2の共通レンズの入射面に拡散部を形成する、すなわち第1の共通レンズ、または第2の共通レンズと一体的に拡散部を形成する形態を例示して説明したがこれに限らない。例えば拡散部を独立した光学素子とし、第1の共通レンズと第2の共通レンズとの間に分離して配置した形態としてもよい。この場合第1の共通レンズと拡散部との組み合わせが本発明に係る「光学部材」を構成する。
【符号の説明】
【0045】
10、10A、50…光源装置
11…発光素子
12…第1のレンズ
13…拡散部
14…第2のレンズ
15…拡散シート
16…液晶表示部
17…屈折部
18…反射部
19…拡散部
20…第1のレンズ
21…第2のレンズ
30…照明対象
D…低輝度領域
L1、L2…光線
P1、P2…照明パターン
図1
図2
図3
図4