(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118021
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】ペット用トイレ
(51)【国際特許分類】
A01K 1/01 20060101AFI20230817BHJP
【FI】
A01K1/01 801B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022032165
(22)【出願日】2022-02-12
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
(71)【出願人】
【識別番号】522081381
【氏名又は名称】岩下 美隆
(72)【発明者】
【氏名】岩下 美隆
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA13
2B101CA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】吸水用シート上での排泄を前提としたペット用トイレにおいて、ペットが排泄位置に侵入する途中で排泄、吸水用シートの端や隙間から排泄物が漏れ、床やトイレが汚れ、それらの清掃作業に手間が掛かってしまう。
【解決手段】トイレ外周は、ペットが侵入する際に脚を掛けて乗り越えることができる適度な高さと幅のトイレ外周部1で囲まれる。トイレ外周部1は、ペットが脚を掛けた時に変形、脚を外したら元の形状に戻る弾性構造部材により構成、表面は防水シートで覆う。吸水用シート4はトイレ外周部1の上面を含むトイレ内側全体を覆うように敷く。吸水用シート4の端はトイレ外周部1に設けた吸水用シート固定構造5で固定する。トイレ外周部1を分割構造にして、汚れた時の清掃の手間の削減、トイレの大きさや構成を変更したいという用途に対して有効としている。吸水用シート4の位置がずれて隙間が出来ても、床が汚れないようにトレイ8を設置する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水用シート上で排泄を行うことを前提としたペット用トイレにおいて、排泄位置にペットが侵入する経路の途中に、ペットが脚を掛けて乗り越えることが可能なトイレ外周部を有しており、そのトイレ外周部の高さは対象とするペットの脚の長さの1/4以上、かつ、そのトイレ外周部の幅は対象とするペットの前脚と後ろ脚の間の胴長さの1/4以上であることを特徴とするペット用トイレ。
【請求項2】
トイレ外周部が、ペットが脚を掛けた時に変形し脚を外したら元の形状に戻る弾性構造部材により構成されていることを特徴とする請求項1に記載のペット用トイレ。
【請求項3】
トイレ外周部の表面が防水材料で覆われていることを特徴とする請求項1に記載のペット用トイレ。
【請求項4】
トイレ外周部の上面または外側側面に、トイレ外周部上面を含むトイレ内側全体に敷く吸水用シートの端を固定することが出来る構造を有することを特徴とする請求項1のペット用トイレ。
【請求項5】
トイレ外周部が複数の構造体で構成されており、これら構造体の分割、再連結、連結状態維持を可能とする構造を有することを特徴とする請求項1に記載のペット用トイレ。
【請求項6】
トイレの下側に、防水機能を有するトレイを設置したことを特徴とする請求項1に記載のペット用トイレ。
【請求項7】
トイレの下側に設置したトレイの形状がトレイ中央に向けて低くなっていく傾斜が設けられていることを特徴とする請求項6に記載のペット用トイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬、猫などのペットが糞尿などの排泄物を排泄する際に使用するペット用トイレに関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋内で飼育している犬や猫などのペット用トイレとしては、板状のトレイの上に吸水用シートを敷き、それを外枠の押え部材で上から固定するタイプが一般的である(特許文献1)。また、サークル内を柵や壁で分割して一方をトイレとして設定、吸水用シートを敷いて使う場合もある(特許文献2)。これらのトイレは、ある程度トイレ内で糞尿などの排泄をすることをしつけられたペットが使うことが前提とされているが、そのようなペットであっても、例えば、前脚はトイレ内に入っているがお尻がトイレの領域外に出た姿勢となってしまう場合もあり、結果、トイレの外に排泄をしてしまう場合がある。
【0003】
また、ペット個体の性格にもよるが、一度、排泄をして汚れてしまった場所の上を歩けないという習性を有している場合においては、吸水用シートを排泄後に直ぐに新品に交換をしておかないと、次の排泄を行う時にトイレ内に入ることが出来ず、結果、トイレの外で排泄をしてしまう場合もある。
【0004】
このような状況となってしまった場合には、床面やトイレ自体が排泄物で汚れてしまうこととなるため、異臭発生等の原因となり不衛生である。また、その汚れてしまった部分を清掃する作業に手間が掛かってしまうという問題もある。
【0005】
また、ペット用トイレのなかには、ペット出入口部以外の外周面を吸水用シートの取り付け壁とすることで排泄物が周辺に飛散しないようにしたペット用トイレもある(特許文献3)。このトイレの場合、出入口以外の外周面において排泄物は吸水用シート範囲内に収まりトイレが汚れてしまうことはないが、出入口の近くで排泄をしてしまった場合には、ペットの排泄姿勢によってはトイレの出入口自体、または出入口の外側の床面が排泄物で汚れてしまうという問題がある。
【0006】
また、このトイレでは出入口が前後2箇所に限定されるため、吸水用シートを新品に交換する前にトイレに入って2回目の排泄をしてしまった場合、ペットがトイレから外に出る時に汚れた吸水用シート上を歩かなくてはいけなくなってしまい、結果、出入口の外側の床面が汚れてしまうという問題もある。また、ペット個体の性格にもよるが、一度、排泄をして汚れてしまった場所の上を歩けないという習性を有している場合においては、ペットがトイレから出ることが出来なくなってしまう可能性もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-58290公報
【特許文献2】特許5265444公報
【特許文献3】実登3112544公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前述したような課題に対して提案するものであり、ペットの排泄物が吸水用シート内からはみ出す可能性を低減することで、トイレ自体やトイレ周辺の床面が汚れる可能性を低減したペット用トイレを提供するものである。
【0009】
また本発明は、仮に吸水用シートの隙間や端から排泄物がはみ出してしまった場合であっても、最小限の部分だけを水洗い等にて簡単に清掃出来るようにしたペット用トイレを提供するものである。
【0010】
また本発明は、部屋の中でトイレの占有スペースを出来るだけ小さくしておきたいという状況と吸水用シートを頻繁に交換出来ない等の理由のためトイレのスペースを比較的大きく設定しておきたいという状況に応じ、適宜トイレの大きさを変更したいというニーズに対し、トイレの一部の構造体を異なる大きさのものに入れ替えることでトイレの大きさを簡単に変更することを可能としたペット用トイレを提供するものでもある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の課題を解決するため、本発明のペット用トイレが採用した手段は以下の通りである。基本的に吸水用シートを敷設することが前提のトイレであり、トイレ外周は、トイレにペットが侵入する際に、脚を掛けて乗り越えることが可能である適度な高さと幅のトイレ外周部で囲まれていることを特徴とする。具体的には、トイレ外周部の高さが対象とするペットの脚の長さの1/4以上、かつ、そのトイレ外周部の幅が対象とするペットの前脚と後ろ脚の間の胴長さの1/4以上、この両方の条件を満たしているトイレとする。
【0012】
なお、脚を掛けて乗り越えることが可能である適度な高さと幅の数値は、ペットの種類、体格、年齢、健康状態、行動特性等により最適値は異なるが、おおよその目安として、高さは対象とするペットの脚の長さの1/4から1/2前後まで、幅は対象とするペットの前脚と後ろ脚の間の胴長さの1/4から1/2前後までで設定し、組み合わせることが有効となる。ただし、これらの長さはあくまで課題に対して高い効果が期待出来る目安であるため、本発明では特に高さと幅、それぞれの最大長さについて具体的に限定するものではない。また、トイレ外周部の断面形状についても、長方形、台形、半円形状、その他複雑な形状も考えられるが、本発明では特に具体的な断面形状を限定するものではない。
【0013】
トイレ外周部の高さと幅を前述の目安長さとすることにより、ペットがトイレの外側から内側に侵入する際に、このトイレ外周部の上面に脚を掛け比較的容易にトイレ外周部を乗り越えてトイレ内側に侵入することが可能となると同時に、乗り越える途中でペットの前脚と後ろ脚が同時に本トイレ外周部の上面に掛かることがない比較的不安定な姿勢となる。この比較的不安定な姿勢の効果により、ペットは排泄を落ち着いて行うために自らトイレ外周部の内側まで確実に侵入して安定した姿勢を確保して排泄を行うようになる。
【0014】
また吸水用シートは、トイレ外周部の上面を含み、その内側全面に敷く使い方とすることにより、たとえ排泄位置および排泄方向が後ろ脚の位置よりトイレの外向き方向となってしまったとしても、排泄物をトイレ外周部の内側の段差により確実に吸水用シート内に収めることが可能となり、結果、トイレ自体、ならびにトイレ周辺の床面が排泄物で汚れることを防ぐことが出来る。
【0015】
また本発明は、より確実にペットがトイレ外周部を完全に乗り超えてから排泄を行うように促すため、トイレ外周部を弾性構造部材で構成することも提案している。弾性構造部材とは具体的には、内部が空洞で出来ている構造であったり、内部が発泡スチロールやスポンジ等の多孔質体や変形しやすいゴムを有する構造であったり、内部にスプリング機構を有する構造であったり、その他、様々な構造を含んでおり、ペットの脚が掛かり下方向への荷重が加わった時に沈み込み、ペットの脚が離れたら元の形状に戻るような弾性変形をする構造であれば、特に構造を限定するものではない。
【0016】
トイレ外周部をこのような弾性構造部材で構成することにより、ペットが脚を掛けた際にペットの姿勢がより不安定となるため、その不安定な姿勢を回避するため、ペットはトイレ外周部の内側まで確実に入ってから排泄を行おうとする傾向が強くなる。
【0017】
また本発明は、トイレ外周部の全表面を水分が染みこまない素材を使用すること、例えば、トイレ外周部を防水シートや撥水処理を施した布等で覆う構造についても提案している。防水を目的とした素材であれば、その材料や表面処理等を特に具体的に限定するものではない。
【0018】
トイレ外周部を前述のような防水構造とすることで、仮に、敷き詰めた複数枚の吸水用シート同士の隙間、または、吸水用シートの端から、排泄した尿が漏れてしまいトイレ外周部が汚れてしまったとしても、トイレ外周部全体を水で丸洗いすることが出来るため、結果、トイレの清掃が簡単であり、トイレを清潔な状態に維持し易いものとすることが出来る。
【0019】
また本発明は、トイレ外周部の上面または外側の側面に、トイレ外周部上面を含むトイレ内側全体に敷く吸水用シートの端を部分的に固定することが出来る吸水用シート固定構造を設ける構造を提案している。吸水用シート固定構造は、マグネット同士またはマグネットと鉄による磁力を使った構造や機械的な挟み込みにより拘束力を発生するクランプ構造、粘着力により吸水用シート裏面を拘束する構造等、吸水用シートの端がずれないように固定することを目的とする構造でれば、その方法を特に限定するものではない。また、固定する場所や範囲、数についても限定するものではない。
【0020】
また、吸水用シートを固定する方法として、吸水用シート固定構造を設ける代わりとして、トイレ外周部の下に吸水用シートを巻き付ける使い方も有効である。
【0021】
トイレ外周部の上面または外側の側面に吸水用シート固定構造を設けることで、ペットがトイレ外周部に脚を掛けた際や、トイレ外周部の内側にペットが侵入した状態でペットが動き回ったり寝転んだりすることにより、吸水用シートの位置がずれてしまって複数の吸水用シート同士に隙間が出来たり吸水用シートの端がトイレ外周部上面からずれてトイレ外周部の内側に入ってしまったりすることを防止することが可能となり、結果、ペットの排泄物がペットシートに収まり、吸水用シートの裏側に排泄物が漏れてしまうことを防止することが可能となる。
【0022】
なお、吸水用シート固定構造については、吸水用シートの交換が簡単であることと、仮に吸水用シート固定構造の上方でペットが排泄をしてしまった場合であっても清掃の手間が掛からない構造を考えた場合、マグネットによる磁力を利用して吸水用シートを着脱可能な部材で挟み込んで固定する構造が比較的有効である。ただし、ペットによっては、着脱が可能な部材を設けると、その部材を歯で噛んで遊んでしまう場合もあるので、そのような場合にはペットが噛むことを比較的好まない金属等で覆われた磁石とすることや、着脱する必要がない機械的なクランプ構造とすること有効である。
【0023】
また本発明は、トイレ外周部を部分的に切り離して分割することが可能な構造とすることも提案している。分割する場所や分割数、分割する場所での分割形状等を特に限定するものではない。
【0024】
トイレ外周部を分割構造とすることで、仮に、吸水用シートの隙間や端からペットの排泄物が漏れてしまいトイレ外周部が汚れたとしても、分割されたトイレの外周部分(以降、トイレ外周分割構造体と記載)だけを水洗いすれば良いため、清掃の手間を省くことが出来る。
【0025】
なお、分割する場所については、上方から見て外形が四角形の典型的なトイレの場合、このトイレを構成するトイレ外周部を四隅で斜め形状に分割することがより有効である。侵入距離の長い四隅からペットがトイレ内に侵入する可能性は比較的低いため、この分割部が汚れてしまう可能性を低減することが出来る。この分割部が汚れる可能性の低減効果により、仮にトイレ外周部が排泄物で汚れたとしても、トイレ外周分割構造体一つのみの清掃でトイレ汚れ清掃を済ませることが出来る可能性が高くなる。
【0026】
なお、トイレ清掃のために汚れたトイレ外周分割構造体を取り外して清掃した後、清掃前と同じ状態とすることを目的に、隣り合うトイレ外周分割構造体の分割面に、取り外しや再連結作業の手間が掛からず、しかも連結後にはその状態を維持することを可能とする構造を設けることも、清掃後のトイレ状態の復元を簡単に行うために有効となる。水洗いによる清掃作業を想定した場合、マグネットによる磁力を使った連結構造は簡単な清掃作業という面で比較的有効ではあるが、マジックテープや機械的なクランプ構造等、取り外し、再連結、維持を目的とする構造であれば、具体的な構造を特に限定するものではない。
【0027】
また分割と連結が簡単に可能な構造であるというメリットを生かし、一部のトイレ外周分割構造体を大きさの異なるトイレ外周分割構造体に交換し、トイレの広さを簡単に変更することも可能となる。日常、ペットの飼い主が頻繁に吸水用シートを交換出来る時には必要最小限の広さのトイレとし、逆に、ペットの飼い主が長時間不在である時や、ペットが薬治療中で1回あたりの排泄物の量が比較的多い等の時にはトイレの広さを広く設定してトイレ内の複数箇所に排泄を行うことが出来るようにすることが可能となる。
【0028】
また本発明は、トイレ外周部とその内側の全範囲を覆う大きさの防水用のトレイを、床面のすぐ上に設けたことを特徴とするペット用トイレを提案している。
【0029】
本発明のトイレであっても、吸水用シートの隙間や端から排泄物が吸水用シートの裏側に漏れてしまう可能性が完全になくなる訳ではないため、仮に、吸水用シートの裏側に排泄物が漏れてしまった場合であっても、床面が直接排泄物で汚れてしまうことを防ぐためのトレイを設ける構造が有効である。なお、トレイの大きさは、トイレ外周部の最外形の大きさで構成することが比較的広範囲での床面の汚れ防止に有効であるが、トイレ外周部の内側にちょうど収まる大きさとすることも有効な実施例となる。本発明では吸水用シートから漏れた排泄物を受ける目的のトレイ構造であれば、その材質、形状、大きさについて特に限定するものではない。
【0030】
また、このトレイの形状について、トレイ中央に向けて低くなっていく傾斜が設けられていることを特徴とするペット用トイレも提案している。
【0031】
傾斜が設けられていることにより、吸水用シートの隙間や端から下に漏れた排泄物、特に尿がトイレ外側方向、つまり、トイレ外周部側に流れてしまうことを防ぐことが可能であるため、トレイが排泄物で汚れてしまった場合であっても、このトレイの清掃だけでトイレ汚れ清掃を済ませることが出来る可能性が高くなる。なお、本発明では、傾斜を付けたトレイの構造であれば、その傾斜の角度や長さ等を特に限定するものではない。
【発明の効果】
【0032】
前述した本発明によれば、ペットはトイレ外周部の内側まで確実に入ってから排泄を行う可能性が高くなり、結果、吸水用シートの交換のみを行うことでトイレを異臭なく清潔な状態に保つことが出来る可能性が高くなる。
【0033】
また、仮に吸水用シートの位置がずれたりして隙間が出来て、排泄物が吸水用シートの裏面に漏れてしまった場合においても、必要最小限の部分の比較的簡単な清掃によりトイレ汚れ清掃を済ませることが出来る可能性が高くなる。
【0034】
また、トイレの大きさを状況に応じて簡単に変更することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を添付図面により説明する。
図1は、本発明のペット用トイレの基本構造を示す全体斜視図である。このペット用トイレは、トイレ外周部1により四角形の形状で囲われており、そのトイレ外周部の高さ1cは対象とするペットの脚の長さの1/4から1/2前後、かつ、トイレ外周部の幅1dは対象とするペットの前脚と後ろ脚の間の胴長さの1/4から1/2前後の長さとなっており、このトイレ外周部1の上面を含みその内側全面を覆うように吸水用シートを敷き詰めてからトイレとして使用するものである。
【0037】
図2、
図3、
図4では、トイレ外周部1をペット11が侵入する際の姿勢を事例として絵で表現している。
図2はペット11がトイレに入って排泄する時の状態を示しており、
図3と
図4はペット11がトイレ内に侵入するためにトイレ外周部1を乗り越える時の代表的な状態を示している。トイレ外周部の高さ1cを対象とするペットの脚の長さ11cの1/4から1/2前後としていることで、ペット11がトイレ内へ侵入することを阻害することがなく比較的容易に乗り越えることが可能な構造体となるとともに、トイレ内に侵入したペット11が排泄した排泄物がトイレ外側方向にはみ出さないための壁の役割も果たす構造となっている。
【0038】
また、トイレ外周部の幅1dを対象とするペット11の前脚と後ろ脚の間の胴長さ11dの1/4から1/2前後としていることで、ペット11がトイレに侵入する途中において、トイレ外周部1の上面に前脚11aまたは後ろ脚11bのどちらかが掛かる状態となる可能性を高くすることが出来る。このような状態ではペット11は不安定な姿勢となるため排泄を行う可能性が低くなり、結果、トイレ外周部1の内側に後ろ脚11bが確実に収まる位置まで侵入してから排泄を行う可能性が高くなる。
【0039】
なお、トイレ外周部の幅1dが狭すぎる場合には、ペット11がトイレに侵入する途中で、前脚11aと後ろ脚11bの両方がトイレ外周部1の上面に掛からない姿勢となる可能性が高くなり、その場合の姿勢が安定するため、排泄を行ってしまう可能性が高くなってしまう。またトイレ外周部の幅1dが広すぎる場合には、ペット11がトイレに侵入する際に、前脚11aと後ろ脚11bの両方が同時にトイレ外周部1の上面に掛かってしまう可能性が高くなる。この場合も比較的、姿勢が安定するため排泄を行ってしまう可能性が高くなってしまう。
【0040】
実際に一例ではあるが、中型犬において、脚の長さ110mm、前脚と後ろ脚の間の寸法310mmのペット11に対して、トイレ外周部1の高さ50mm、トイレ外周部1の幅150mmという寸法でトイレ外周部1を構成したところ、この中型犬がトイレ内に侵入してから排泄を行う割合が非常に高くなり、前述したとおりの効果があることが確認されている。
【0041】
図5、
図6はトイレ外周部1の弾性構造部材2の断面構造の実施例を示す。
図5は中身に発泡スチロールやスポンジ等の弾性体6を使用し、その外周を防水シート3で完全に覆った構成となっている。
図6は中空の筒形状の断面としている。いずれの構造も、ペット11が上面に脚を掛けた時に弾性変形を起こすことを目的とした構造である。弾性変形をすることで、ペット11の姿勢はより不安定となるため、トレイ外周部1に脚を掛けた状態で排泄を行う可能性を低減することが可能となる。なお、弾性変形量が大きすぎる場合、ペット11が脚を掛けた時のトイレ外周部1の沈み込み量が大きくなってしまってトイレ外周部1の上面に敷いた吸水用シート4の位置がずれてしまう問題が起こる場合があり、排泄物が吸水用シート4の端や隙間から漏れてしまう可能性が高くなってしまう。このため、ペット11がトイレ外周部1に脚を掛けた時の高さが変形前高さの50%より高くなるような構造が比較的有効である。当然ながらペット11の体重の違いにより、同じ断面構造であっても弾性変形量は異なってくるため、体重に応じた構造とすることが必要である。
【0042】
なお、トイレ外周部1の外面を防水シート3により覆うことで、仮に排泄物でトイレ外周部1が汚れてしまったとしても、水による丸洗いが可能であり、簡単な作業でトイレ汚れ清掃を済ませることが可能となる。
【0043】
図7は、
図1の基本構造を引用し、排泄物はみ出し防止の信頼性向上、吸水用シート交換等の使い易さの確保、仮に排泄物で汚れてしまった場合の清掃作業の簡略化、これらを達成するための各構造を追加した実施例である。
【0044】
本実施例は上方から見て四角形でトイレ外周部1が各辺で分割されているが、例えば、トレイ外周分割構造体1a、1bの分割面にそれぞれマグネット等によるトレイ外周結合構造7を設けることにより、トイレ外周分割構造体1a、1bを適正な位置で簡単に再連結させることができ、その状態を維持することが可能な構造となっている。本実施例では分割面を45°で構成しているが、トイレ外周分割構造体1a、1bを単純な直方体として一方の側面と一方の端面を結合して連結する構造とすることも可能である。
【0045】
また、トイレ外周部1が分割構造であるため、異なる長さのトイレ外周分割構造体に簡単に交換することも可能となる。
図8は、トイレ外周分割構造体を長さの長いものに交換した事例を示す。この実施例の場合、例えば、トイレ外周分割構造体1a、および、それと対向するトイレ外周分割構造体の合計2個を
図7で示した構造の2倍の長さのものに交換することで、トイレ自体の広さを約2倍に広げることが簡単に可能となる。
図8では、トイレ上面に敷く吸水用シート4は敷く枚数を2枚に増やす対応としているが、元の吸水用シート4よりも大きいもの1枚を敷くことで対応することも可能である。
【0046】
また、トイレ外周部1の上面には、敷いた吸水用シート4の端がずれることを防止するための吸水用シート固定構造5を設けている。具体的な構造としては、トイレ外周部1の上面にマグネットを設置し、別のマグネットまたは鉄を材料とする吸水用シート固定補助部品を用いて吸水用シート4を上から挟み込むことで、吸水用シート4の端がずれることを防ぐ構造が簡単であり有効であるが、その他、手動で動くクランプ構造等とすることも可能である。
【0047】
図9は、トイレの下側に防水機能を有するトレイ8を設置した実施例を示す。また
図10はトレイ8の基本的な形状を示す。本発明では、トイレ外周部1の上面を含めて内側全面には吸水用シート4を敷いているため、基本的には吸水用シート4の端以外からの排泄物の漏れは防止出来ているが、例えば、吸水用シート4の上で、排泄前にペット11が激しく動き回ったり寝転んだりした場合には、吸水用シート4の位置がずれてしまい、吸水用シート4の端から床面に排泄物が漏れてしまうことがある。そのような場合であっても、床面が直接排泄物で汚れてしまわないように、床面と吸水用シート4の間に防水性のあるトレイ8を設けている。
【0048】
このトレイ8は清掃作業を簡単に行うことが出来るよう、トイレ外周部1とは簡単に分離することが可能なものとしている。また、外周を少し高くした構造としていることで、排泄物がトレイ8の外側に流れ出てしまうことを防止することが出来る。トレイ8の外形は、
図9ではトイレ外周部1の外側まで延びた形態となっているが、トイレ外周部1の内側に収まる形態で構成することも可能である。それぞれの形態で排泄物が漏れた場合の汚れ状況が変わってくるため、ペット11の行動特性や汚れて良い部材や場所等の優先を考慮し、どちらの形態を選択するかを決めることが望ましい。
【0049】
図11は、本発明のトイレを部屋の隅の壁沿いに設置した場合の実施例を示す。壁沿いの2辺については、ペット11がトイレに侵入した時に脚を掛ける可能性は非常に低いため、前述までで説明していたようなペット11が脚を掛けることを前提とした比較的幅の広いトイレ外周分割構造体を設ける必要はない。従って、本実施例では、壁側からトイレ内側に向けて低くなる傾斜だけを有する幅が狭くて単純な構造であるトイレ傾斜構造体10をトイレ外周分割構造体として連結、無駄なスペースを削減、トイレが必要以上に大きくならないように工夫をしている。
【0050】
このトイレ傾斜構造体10の上に吸水用シート4を敷くことで、壁の近くでペット11が排泄を行った場合であっても、排泄物は壁側には流れずトイレ内側方向に流れるようにすることを可能としている。結果、壁や壁近くの床面が排泄物で汚れてしまう可能性を低減している。
【符号の説明】
【0051】
1 トイレ外周部
1a トイレ外周分割構造体
1b トイレ外周簡易構造体
1c トイレ外周部の高さ
1d トイレ外周部の幅
2 弾性構造部材
3 防水シート
4 吸水用シート
5 吸水用シート固定構造
7 トイレ外周結合構造
8 トレイ
10 トイレ傾斜構造体
11 ペット
11a 前脚
11b 後ろ脚
11c ペットの脚の長さ
11d ペットの前脚と後ろ脚の間の胴長さ